(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119657
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】産業用ロボットのハンドおよび産業用ロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 15/00 20060101AFI20230822BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
B25J15/00 Z
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022630
(22)【出願日】2022-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】栗林 保
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707AS24
3C707BS15
3C707CV07
3C707CW07
3C707DS01
3C707DS02
3C707ES17
3C707EV21
3C707FS01
3C707HS14
3C707NS13
5F131AA02
5F131CA51
5F131DB03
5F131DB14
5F131DB52
5F131DB76
5F131DB82
5F131GA14
(57)【要約】
【課題】搬送対象物が収容される収容部の、ハンドの移動方向に直交する方向における幅が狭くなっていても、収容部に対する搬送対象物の搬入時や搬出時に、保持機構によってハンドの一定位置で保持されている搬送対象物やハンドの移動方向に直交する方向における収容部の壁面が損傷するのを防止することが可能な産業用ロボットのハンドを提供する。
【解決手段】ハンド11は、搬送対象物2が搭載される搭載部20と、V方向におけるハンド11の一端側部分を構成するとともに搭載部20が連結されるハンド基部21とを備えている。搭載部20は、搭載部20に搭載される搬送対象物2を水平方向の一定位置で保持する保持機構26を備えており、ハンド基部21に対してV方向に直交するW方向にスライド可能になっている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象物を搬送する産業用ロボットのハンドにおいて、
上下方向に直交する所定の方向を第1方向とし、上下方向と前記第1方向とに直交する方向を第2方向とすると、
前記搬送対象物が搭載される搭載部と、前記第1方向における前記ハンドの一端側部分を構成するとともに前記搭載部が連結されるハンド基部とを備え、
前記搭載部は、前記搭載部に搭載される前記搬送対象物を水平方向の一定位置で保持する保持機構を備え、前記ハンド基部に対して前記第2方向にスライド可能になっていることを特徴とするハンド。
【請求項2】
前記第2方向に前記搭載部を案内するためのガイド機構を備え、
前記ガイド機構は、前記第2方向を長手方向とする直線状に形成されるとともに前記ハンド基部に固定されるガイドレールと、前記ガイドレールに係合するとともに前記搭載部に固定されるガイドブロックとを備え、
前記搭載部は、前記ガイドレールに沿って前記ハンド基部に対して前記第2方向にスライド可能になっていることを特徴とする請求項1記載のハンド。
【請求項3】
前記ハンド基部に対して前記搭載部を前記第2方向の一方側に付勢する第1付勢部材と、前記ハンド基部に対して前記搭載部を前記第2方向の他方側に付勢する第2付勢部材とを備えることを特徴とする請求項1または2記載のハンド。
【請求項4】
前記第2方向の所定の位置で前記搭載部を保持するための搭載部保持機構を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のハンド。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のハンドと、前記ハンドが連結されるアームと、前記アームが連結される本体部とを備えることを特徴とする産業用ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送対象物を搬送する産業用ロボットで使用される産業用ロボットのハンドに関する。また、本発明は、かかるハンドを備える産業用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハを搬送するための水平多関節型の産業用ロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の産業用ロボットは、半導体ウエハが搭載されるハンドと、ハンドが先端側に回動可能に連結されるアームと、アームの基端側が回動可能に連結される本体部とを備えている。ハンドは、ハンドに搭載される半導体ウエハを水平方向の一定位置で保持する保持機構を備えている。保持機構は、半導体ウエハの端面が当接する当接面を有する端面当接部材と、半導体ウエハの端面が端面当接部材の当接面に押し付けられるように半導体ウエハを押す押付機構とを備えている。
【0003】
特許文献1に記載の産業用ロボットは、半導体製造システムに組み込まれて使用される。この産業用ロボットは、半導体ウエハが収容されるFOUP(Front Opening Unify Pod)と、半導体ウエハに対して所定の処理を行うウエハ処理装置との間で半導体ウエハを搬送する。特許文献1に記載の産業用ロボットでは、FOUPおよびウエハ処理装置への半導体ウエハの搬入時や、FOUPおよびウエハ処理装置からの半導体ウエハの搬出時に、ハンドが一定方向を向いた状態で直線的に移動するように(具体的には、上下方向から見たときにハンドが直線的に移動するように)、アームに対してハンドが回動するとともに本体部に対してアームが伸縮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の産業用ロボットでは、半導体ウエハの搬入時や搬出時に、上下方向から見たときのハンドの軌跡が直線的な軌跡となるように、アームに対してハンドが回動するとともに本体部に対してアームが伸縮する。しかしながら、上下方向から見たときの、半導体ウエハの搬入時や搬出時におけるハンドの軌跡は、完全は直線とはならず、ハンドの移動方向に直交する方向における振動やうねりを含んだ軌跡となる。
【0006】
そのため、特許文献1に記載の産業用ロボットの場合、半導体ウエハが収容されるFOUPやウエハ処理装置等の収容部の、ハンドの移動方向に直交する方向における幅が狭くなって、ハンドの移動方向に直交する方向における収容部の幅と半導体ウエハの直径との差が小さくなると、収容部に対する半導体ウエハの搬入時や搬出時に、ハンドの移動方向に直交する方向における収容部の壁面と、保持機構によってハンドの一定位置で保持されている半導体ウエハとが過剰な接触圧で接触して半導体ウエハや収容部の壁面が損傷するおそれが生じる。
【0007】
そこで、本発明の課題は、搬送対象物を搬送する産業用ロボットのハンドにおいて、搬送対象物が収容される収容部の、ハンドの移動方向に直交する方向における幅が狭くなっていても、収容部に対する搬送対象物の搬入時や搬出時に、保持機構によってハンドの一定位置で保持されている搬送対象物やハンドの移動方向に直交する方向における収容部の壁面が損傷するのを防止することが可能な産業用ロボットのハンドを提供することにある。また、本発明の課題は、かかるハンドを備える産業用ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の産業用ロボットのハンドは、搬送対象物を搬送する産業用ロボットのハンドにおいて、上下方向に直交する所定の方向を第1方向とし、上下方向と第1方向とに直交する方向を第2方向とすると、搬送対象物が搭載される搭載部と、第1方向におけるハンドの一端側部分を構成するとともに搭載部が連結されるハンド基部とを備え、搭載部は、搭載部に搭載される搬送対象物を水平方向の一定位置で保持する保持機構を備え、ハンド基部に対して第2方向にスライド可能になっていることを特徴とする。
【0009】
本発明の産業用ロボットのハンドでは、搬送対象物が搭載される搭載部は、第1方向におけるハンドの一端側部分を構成するハンド基部に対して第2方向にスライド可能になっている。そのため、本発明では、搬送対象物が収容される収容部に対する搬送対象物の搬入時や搬出時に、保持機構によって搭載部の一定位置で保持されている搬送対象物と第2方向における収容部の壁面とが接触しても、収容部の壁面と搬送対象物とが過剰な接触圧で接触しないように、ハンド基部に対して搭載部を第2方向にスライドさせることが可能になる。
【0010】
したがって、本発明では、ハンドの移動方向と第1方向とが一致し、かつ、ハンドの移動方向に直交する方向と第2方向とが一致していれば、ハンドの移動方向に直交する方向における収容部の幅が狭くなっていても、収容部に対する搬送対象物の搬入時や搬出時に、保持機構によってハンドの一定位置で保持されている搬送対象物やハンドの移動方向に直交する方向における収容部の壁面が損傷するのを防止することが可能になる。
【0011】
本発明において、ハンドは、たとえば、第2方向に搭載部を案内するためのガイド機構を備え、ガイド機構は、第2方向を長手方向とする直線状に形成されるとともにハンド基部に固定されるガイドレールと、ガイドレールに係合するとともに搭載部に固定されるガイドブロックとを備え、搭載部は、ガイドレールに沿ってハンド基部に対して第2方向にスライド可能になっている。
【0012】
本発明において、ハンドは、ハンド基部に対して搭載部を第2方向の一方側に付勢する第1付勢部材と、ハンド基部に対して搭載部を第2方向の他方側に付勢する第2付勢部材とを備えることが好ましい。このように構成すると、第1付勢部材および第2付勢部材の付勢力以外の外力が搭載部に作用していないときに、第1付勢部材および第2付勢部材の付勢力によって、ハンド基部に対する所定の基準位置に搭載部を自動的に戻すことが可能になる。
【0013】
本発明において、ハンドは、第2方向の所定の位置で搭載部を保持するための搭載部保持機構を備えることが好ましい。このように構成すると、ハンド基部に対して搭載部が第2方向にスライド可能になっていても、搭載部保持機構によって、ハンド基部に対する搭載部の第2方向の揺れを防止することが可能になる。したがって、たとえば、収容部に搭載部を差し込むときの、ハンド基部に対する搭載部の状態を安定させることが可能になる。そのため、ハンド基部に対して搭載部が第2方向にスライド可能になっていても、収容部に搭載部を差し込むときの搭載部と収容部との干渉を防止することが可能になる。
【0014】
本発明のハンドは、ハンドが連結されるアームと、アームが連結される本体部とを備える産業用ロボットに用いることができる。この産業用ロボットでは、ハンドの移動方向に直交する方向における収容部の幅が狭くなっていても、収容部に対する搬送対象物の搬入時や搬出時に、保持機構によってハンドの一定位置で保持されている搬送対象物やハンドの移動方向に直交する方向における収容部の壁面が損傷するのを防止することが可能になる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明では、搬送対象物を搬送する産業用ロボットのハンドにおいて、搬送対象物が収容される収容部の、ハンドの移動方向に直交する方向における幅が狭くなっていても、収容部に対する搬送対象物の搬入時や搬出時に、保持機構によってハンドの一定位置で保持されている搬送対象物やハンドの移動方向に直交する方向における収容部の壁面が損傷するのを防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる産業用ロボットの概略構成を説明するための平面図である。
【
図3】
図2のE-E方向からガイド機構を示す図である。
【
図4】
図2に示す搭載部保持機構の動作を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
(産業用ロボットの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1の概略構成を説明するための平面図である。
【0019】
本形態の産業用ロボット1(以下、「ロボット1」とする。)は、搬送対象物である半導体ウエハ2(以下、「ウエハ2」とする。)を搬送するための水平多関節型のロボットである。ウエハ2は、薄い円板状に形成されている。ロボット1は、半導体製造システム3に組み込まれて使用される。以下の説明では、上下方向(鉛直方向)に直交する
図1のX方向を「左右方向」とし、上下方向と左右方向とに直交する
図1のY方向を「前後方向」とする。
【0020】
半導体製造システム3は、たとえば、EFEM(Equipment Front End Module)4と、ウエハ2に対して所定の処理を行うウエハ処理装置5とを備えている。ロボット1は、EFEM4の一部を構成している。また、EFEM4は、たとえば、ウエハ2が収容されるFOUP6を開閉する複数のロードポート7と、ロボット1が収容される筺体8とを備えている。ウエハ処理装置5は、たとえば、前後方向における筺体8の一方側に配置されている。また、複数のロードポート7は、たとえば、前後方向における筺体8の他方側に配置されている。複数のロードポート7は、左右方向に一定の間隔をあけた状態で配列されている。
【0021】
FOUP6には、複数枚のウエハ2が、上下方向において一定の間隔をあけた状態で、かつ、上下方向において重なった状態で収容可能となっている。ロボット1は、FOUP6とウエハ処理装置5との間でウエハ2を搬送する。たとえば、ロボット1は、FOUP6からウエハ2を搬出し、搬出したウエハ2をウエハ処理装置5に搬入する。また、ロボット1は、ウエハ処理装置5からウエハ2を搬出し、搬出したウエハ2をFOUP6に搬入する。
【0022】
ロボット1は、ウエハ2が搭載されるハンド11と、ハンド11が先端側に回動可能に連結されるとともに水平方向に動作するアーム12と、アーム12の基端側が回動可能に連結される本体部13とを備えている。アーム12は、基端側が本体部13に回動可能に連結されるアーム部15と、アーム部15の先端側に基端側が回動可能に連結されるアーム部16と、アーム部16の先端側に基端側が回動可能に連結されるアーム部17とから構成されている。
【0023】
アーム部15~17は、上下方向を回動の軸方向として回動する。本体部13は、アーム部15の基端側が回動可能に連結される柱状部材と、アーム12と一緒に柱状部材を昇降させる昇降機構とを備えている。アーム部15の基端側は、柱状部材の上端部に回動可能に連結されている。本体部13とアーム部15とアーム部16とアーム部17とは、上下方向において、下側からこの順番で配置されている。また、ロボット1は、アーム部15、16を回動させてアーム部15とアーム部16とからなるアーム12の一部を伸縮させるアーム部駆動機構と、アーム部17を回動させるアーム部駆動機構と、ハンド11を回動させるハンド駆動機構とを備えている。
【0024】
(ハンドの構成)
図2は、
図1に示すハンド11の平面図である。
図3は、
図2のE-E方向からガイド機構22等を示す図である。
図4は、
図2に示す搭載部保持機構25の動作を説明するための平面図である。
【0025】
ハンド11は、上下方向から見たときの形状が略Y形状となるように形成されている。ハンド11は、アーム部17の先端側に回動可能に連結されている。ハンド11は、アーム部17の上側に配置されている。ハンド11は、上下方向を回動の軸方向として回動する。ハンド11は、ウエハ2が搭載される搭載部20と、ハンド11の基端側部分を構成するハンド基部21とを備えている。
【0026】
上下方向から見たときに、略Y形状をなすハンド11の長手方向(
図2のV方向)をハンド長手方向とし、ハンド長手方向に直交する方向(
図2のW方向)をハンド短手方向とすると、FOUP6へのウエハ2の搬入時、ウエハ処理装置5へのウエハ2の搬入時、FOUP6からのウエハ2の搬出時およびウエハ処理装置5からのウエハ2の搬出時には、ハンド長手方向と前後方向とが一致するとともに(すなわち、ハンド短手方向と左右方向とが一致するとともに)ハンド11が一定方向を向いた状態でハンド11が前後方向に直線的に移動するように(具体的には、上下方向から見たときにハンド11が前後方向に直線的に移動するように)、アーム12に対してハンド11が回動するとともに本体部13に対してアーム12が伸縮する。ただし、上下方向から見たときの、ウエハ処理装置5やFOUP6に対するウエハ2の搬入時、搬出時におけるハンド11の軌跡は、必ずしも完全な直線にはならない。
【0027】
本形態のハンド長手方向(V方向)は、上下方向に直交する所定の方向(すなわち、水平方向のうちの所定の方向)である第1方向となっており、ハンド短手方向(W方向)は、上下方向と第1方向とに直交する第2方向となっている。ハンド基部21は、第1方向におけるハンド11の一端側部分を構成しており、アーム部17の先端側に回動可能に連結されている。
【0028】
搭載部20は、ハンド基部21に連結されている。また、搭載部20は、ハンド基部21に対してハンド短手方向にスライド可能になっている。ハンド11は、搭載部20をハンド短手方向に案内するためのガイド機構22と、ハンド基部21に対して搭載部20をハンド短手方向の一方側に付勢する第1付勢部材としての引張りコイルバネ23と、ハンド基部21に対して搭載部20をハンド短手方向の他方側に付勢する第2付勢部材としての引張りコイルバネ24と、ハンド短手方向の所定の位置で搭載部20を保持するための搭載部保持機構25とを備えている。
【0029】
搭載部20には、ハンド11の基端側に向かって突出する突出部20aが形成されている。すなわち、搭載部20には、ハンド基部21側に突出する突出部20aが形成されている。突出部20aは、たとえば、ハンド長手方向に細長い直方体状に形成されている。突出部20aの大半部分は、ハンド基部21の内部に配置されている。突出部20aの先端面(突出部20aの、ハンド11の基端側の端面)には、ハンド11の先端側に向かって窪む円錐状の凹部20bが形成されている。
【0030】
搭載部20は、搭載部20に搭載されるウエハ2を水平方向の一定位置で保持する保持機構26を備えている。本形態の保持機構26は、搭載部20に搭載されるウエハ2の端面(外周面)に3方向から接触して搭載部20に搭載されるウエハ2を水平方向において一定位置で保持するエッジグリップ型の保持機構である。保持機構26は、ウエハ2の端面が当接する当接面を有する端面当接部材27と、ウエハ2の端面が端面当接部材27の当接面に押し付けられるようにウエハ2を押すウエハ押付機構28とを備えている。
【0031】
端面当接部材27は、略Y形状をなすハンド11の先端部の2箇所に配置されている。ウエハ押付機構28は、ハンド11の先端側に向かってウエハ2の端面を押す押付部と、押付部を駆動するエアシリンダとを備えている。押付部は、ウエハ2の端面に接触するローラを備えている。搭載部20の上面には、ウエハ2が載置される2個のウエハ載置部材29が固定されており、ウエハ2は、端面当接部材27とウエハ載置部材29とに搭載される。
【0032】
ガイド機構22は、ハンド基部21に固定されるガイドレール32と、ガイドレール32に係合するガイドブロック33とを備えている。ガイドレール32は、ハンド短手方向を長手方向とする直線状に形成されている。ガイドレール32は、ハンド基部21の内部に配置されている。ガイドブロック33は、搭載部20に固定されている。具体的には、ガイドブロック33は、突出部20aに固定されている。また、ガイドブロック33は、たとえば、突出部20aの下面に固定されており、ガイドレール32に上側から係合している。ガイドブロック33は、ハンド基部21の内部に配置されている。搭載部20は、ガイドレール32に沿ってハンド基部21に対してハンド短手方向にスライド可能になっている。
【0033】
引張りコイルバネ23、24は、ハンド基部21の内部に配置されている。引張りコイルバネ23、24の一端は、搭載部20に係合している。具体的には、引張りコイルバネ23、24の一端は、突出部20aに係合している。引張りコイルバネ23、24の他端は、ハンド基部21に係合している。本形態では、搭載部20をハンド短手方向の一方側に付勢する引張りコイルバネ23の付勢力と、搭載部20をハンド短手方向の他方側に付勢する引張りコイルバネ24の付勢力とによって、ハンド短手方向における所定の基準位置に搭載部20を自動で戻すことが可能になっている。ハンド短手方向における基準位置に搭載部20が配置されているときには、たとえば、
図2に示すように、ハンド短手方向における搭載部20の中心とハンド短手方向におけるハンド基部21の中心とが一致している。
【0034】
搭載部保持機構25は、たとえば、突出部20aの凹部20bに係合する円錐状の係合部34aが形成される係合部材34と、係合部材34を駆動するエアシリンダ35とを備えている。エアシリンダ35は、ハンド長手方向に係合部材34を直線的に移動させる。また、エアシリンダ35は、係合部34aが凹部20bに係合する保持位置34A(
図4(B)参照)と、係合部34aが凹部20bから外れるように係合部材34が退避する退避位置34B(
図4(A)参照)との間で係合部材34を移動させる。
【0035】
係合部材34が退避位置34Bに配置されているときには、搭載部20がハンド基部21に対してハンド短手方向にスライド可能になる。本形態では、ガイドレール32に対するガイドブロック33の摺動抵抗が小さくなっており、搭載部20は、ハンド基部21に対してハンド短手方向に比較的滑らかにスライドする。一方、係合部材34が保持位置34Aに配置されているときには、ハンド基部21に対するハンド短手方向への搭載部20の移動が規制されており、ハンド短手方向の所定の位置で搭載部20が保持される。本形態では、搭載部保持機構25によって、ハンド短手方向における基準位置で搭載部20が保持される。また、本形態では、ウエハ処理装置5やFOUP6に搭載部20を差し込むときに、係合部材34が保持位置34Aに移動して、ハンド短手方向における基準位置で搭載部20が保持される
【0036】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、搭載部20は、アーム12に回動可能に連結されるハンド基部21に対してハンド短手方向にスライド可能になっている。また、本形態では、ウエハ処理装置5やFOUP6へのウエハ2の搬入時、および、ウエハ処理装置5やFOUP6からのウエハ2の搬出時に、ハンド短手方向と左右方向とが一致するようにハンド11が直線的に移動する。
【0037】
そのため、本形態では、ウエハ処理装置5やFOUP6に対するウエハ2の搬入時や搬出時に、保持機構26によって搭載部20の一定位置で保持されているウエハ2とウエハ処理装置5やFOUP6の左右方向の壁面とが接触しても、ウエハ処理装置5やFOUP6の左右方向の壁面とウエハ2とが過剰な接触圧で接触しないように、ハンド基部21に対して搭載部20を左右方向(ハンド短手方向)にスライドさせることが可能になる。したがって、本形態では、ウエハ処理装置5やFOUP6の左右方向の幅が狭くなっていても、ウエハ処理装置5やFOUP6に対するウエハ2の搬入時や搬出時に、保持機構26によってハンド11の一定位置で保持されているウエハ2や、ウエハ処理装置5やFOUP6の左右方向の壁面が損傷するのを防止することが可能になる。
【0038】
本形態では、ハンド11は、ハンド短手方向における基準位置で搭載部20を保持するための搭載部保持機構25を備えている。そのため、本形態では、ハンド基部21に対して搭載部20がハンド短手方向にスライド可能になっていても、搭載部保持機構25によって、ハンド基部21に対する搭載部20のハンド短手方向の揺れを防止することが可能になる。また、本形態では、ウエハ処理装置5やFOUP6に搭載部20を差し込むときに、搭載部保持機構25によって、ハンド短手方向における基準位置で搭載部20が保持されている。
【0039】
したがって、本形態では、ウエハ処理装置5やFOUP6に搭載部20を差し込むときの、ハンド基部21に対する搭載部20の状態を安定させることが可能になる。その結果、本形態では、ハンド基部21に対して搭載部20がハンド短手方向にスライド可能になっていても、ウエハ処理装置5やFOUP6に搭載部20を差し込むときの、ウエハ処理装置5やFOUP6と搭載部20との干渉を防止することが可能になる。
【0040】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0041】
上述した形態において、ガイドレール32が搭載部20の突出部20aに固定され、ガイドブロック33がハンド基部21に固定されていても良い。また、上述した形態において、ガイド機構22は、ガイドレール32およびガイドブロック33に代えて、たとえば、ハンド基部21に固定されるガイド軸と、ガイド軸が挿通されるとともに搭載部20の突出部20aに固定される円筒状のガイドブッシュとを備えていても良い。
【0042】
上述した形態において、保持機構26は、搭載部20に搭載されるウエハ2を真空吸引して一定位置で保持する吸引型の保持機構であっても良い。また、上述した形態において、ハンド基部21に対して搭載部20をハンド短手方向に付勢する付勢部材は、引張りコイルバネ23、24以外のバネ部材であっても良い。また、上述した形態において、ハンド11は、搭載部保持機構25を備えていなくても良い。
【0043】
上述した形態において、ロボット1は、アーム12の先端側に回動可能に連結される2個のハンド11を備えていても良い。また、上述した形態において、アーム12は、2個のアーム部によって構成されていても良いし、4個以上のアーム部によって構成されていても良い。また、上述した形態において、ロボット1によって搬送される搬送対象物は、ウエハ2以外のものであっても良い。この場合には、たとえば、搬送対象物は、正方形または長方形の平板状に形成されていても良い。
【0044】
本発明が適用される産業用ロボットは、水平多関節型の産業用ロボット以外のロボットであっても良い。たとえば、本発明が適用される産業用ロボットは、ハンド11の直線的な往復移動が可能となるようにハンド11が連結されるアームと、アームが回動可能に連結される本体部と、アームに対してハンド11を直線的に往復移動させるリニア駆動部とを備える産業用ロボットであっても良い。
【符号の説明】
【0045】
1 ロボット(産業用ロボット)
2 ウエハ(半導体ウエハ、搬送対象物)
11 ハンド
12 アーム
13 本体部
20 搭載部
21 ハンド基部
22 ガイド機構
23 引張りコイルバネ(第1付勢部材)
24 引張りコイルバネ(第2付勢部材)
25 搭載部保持機構
26 保持機構
32 ガイドレール
33 ガイドブロック
V 第1方向
W 第2方向