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特開2023-119658産業用ロボットのハンドおよび産業用ロボット
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  • 特開-産業用ロボットのハンドおよび産業用ロボット 図1
  • 特開-産業用ロボットのハンドおよび産業用ロボット 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119658
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】産業用ロボットのハンドおよび産業用ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/00 20060101AFI20230822BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
B25J15/00 Z
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022631
(22)【出願日】2022-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】栗林 保
(72)【発明者】
【氏名】青木 雅裕
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707AS24
3C707BS15
3C707CV07
3C707CW07
3C707CY25
3C707DS01
3C707DS02
3C707ES17
3C707EV21
3C707HS14
3C707HS27
3C707HT11
3C707NS13
5F131AA02
5F131DB03
5F131DB52
5F131DB76
5F131DB82
(57)【要約】
【課題】搬送対象物が搭載される搭載部と、ハンドの基端側部分を構成するとともに搭載部の基端側が固定されるハンド基部と、搭載部に搭載される搬送対象物を水平方向の一定位置で保持するための保持機構とを備える産業用ロボットのハンドにおいて、ハンド基部の内部への液体の浸入を防止するためのシール部材の摩耗量を従来よりも低減することが可能なハンドを提供する。
【解決手段】ハンド3では、搬送対象物2の端面に接触して端面当接部材の当接面に搬送対象物2の端面を押し付ける押付部16を有する押付部材17は、押付部材17の回動中心になる回動軸と、回動軸の径方向の外側に向かって回動軸から伸びる第1レバー部23とを備えている。ハンド3では、ハンド基部12の外部に配置される第1レバー部23の先端部に押付部16が繋がっている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象物を搬送する産業用ロボットのハンドにおいて、
前記搬送対象物が搭載される搭載部と、前記ハンドの基端側部分を構成するとともに前記搭載部の基端側が固定されるハンド基部と、前記搭載部に搭載される前記搬送対象物を水平方向の一定位置で保持するための保持機構とを備え、
前記保持機構は、前記搬送対象物の端面が当接する当接面を有し前記搭載部の先端側に取り付けられる端面当接部材と、前記搬送対象物の端面に接触して前記当接面に前記搬送対象物の端面を押し付ける押付部を有し前記ハンド基部に保持される押付部材と、前記ハンド基部の内部に収容されるとともに上下方向を回動の軸方向として前記ハンド基部に対して前記押付部材を回動させる駆動源と、前記押付部材を回動可能に支持する軸受と、前記ハンド基部の内部への液体の浸入を防止するためのシール部材とを備え、
前記押付部材は、前記押付部材の回動中心になる回動軸と、前記回動軸の径方向の外側に向かって前記回動軸から伸びる第1レバー部を備え、
前記第1レバー部は、前記ハンド基部の外部に配置され、
前記第1レバー部の先端部には、前記押付部が繋がり、
前記軸受は、前記回動軸を回動可能に支持し、
前記シール部材は、前記回動軸の外周側に配置されるとともに前記回動軸の外周面に密着していることを特徴とするハンド。
【請求項2】
前記押付部は、前記第1レバー部に回転可能に保持されるローラであることを特徴とする請求項1記載のハンド。
【請求項3】
前記押付部材は、前記回動軸の径方向の外側に向かって前記回動軸から伸びる第2レバー部を備え、
前記第2レバー部は、前記ハンド基部の内部に配置され、
前記第2レバー部の先端部は、前記駆動源に連結されていることを特徴とする請求項1または2記載のハンド。
【請求項4】
上下方向から見たときの前記押付部材の形状は、L形状となっていることを特徴とする請求項3記載のハンド。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のハンドと、前記ハンドが連結されるアームと、前記アームが連結される本体部とを備えることを特徴とする産業用ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送対象物を搬送する産業用ロボットで使用される産業用ロボットのハンドに関する。また、本発明は、かかるハンドを備える産業用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハを搬送するための水平多関節型の産業用ロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の産業用ロボットは、半導体ウエハが搭載されるハンドと、ハンドが先端側に回動可能に連結されるアームと、アームの基端側が回動可能に連結される本体部とを備えている。ハンドは、半導体ウエハが搭載される搭載部と、ハンドの基端側部分を構成するハンド基部と、搭載部に搭載される半導体ウエハを水平方向の一定位置で保持するための保持機構とを備えている。搭載部の基端側は、ハンド基部に固定されている。ハンド基部は、アームの先端側に回動可能に連結されている。
【0003】
特許文献1に記載の産業用ロボットでは、保持機構は、半導体ウエハの端面が当接する当接面を有する端面当接部材と、半導体ウエハの端面に接触して端面当接部材の当接面に半導体ウエハの端面を押し付ける押付部材と、押付部材を直線的に移動させるエアシリンダとを備えている。エアシリンダは、中空状に形成されるハンド基部の内部に収容されている。押付部材の基端部は、エアシリンダに連結されており、ハンド基部の内部に収容されている。押付部材の先端側部分は、ハンド基部の外部に配置されており、押付部材の先端が半導体ウエハの端面に接触可能となっている。ハンド基部には、押付部材が挿通される開口部が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-36186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の産業用ロボットが、たとえば、液体を使う所定の処理が行われた後の半導体ウエハを搬送する場合には、半導体ウエハ上に残っている液体がハンド基部の開口部からハンド基部の内部に浸入するおそれがある。また、ハンド基部の内部に液体が浸入すると、ハンド基部の内部に収容されるエアシリンダ等が腐食するおそれが生じる。ハンド基部の内部への液体の浸入を防止するためには、ハンド基部の開口部にシール部材を配置して、直線的に移動する押付部材の外周面にシール部材の内周面を密着させれば良い。
【0006】
しかしながら、ハンド基部の開口部にシール部材を配置して押付部材の外周面に密着させると、保持機構が半導体ウエハを保持するたび、および、保持機構が保持していた半導体ウエハを解放するたびに、シール部材の内周面に押付部材の外周面が高い接触圧で接触している状態で押付部材のストローク分、押付部材が直線的に移動するため、シール部材の摩耗が激しくなって、シール部材の寿命が短くなるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、搬送対象物が搭載される搭載部と、ハンドの基端側部分を構成するとともに搭載部の基端側が固定されるハンド基部と、搭載部に搭載される搬送対象物を水平方向の一定位置で保持するための保持機構とを備える産業用ロボットのハンドにおいて、ハンド基部の内部への液体の浸入を防止するためのシール部材の摩耗量を従来よりも低減することが可能なハンドを提供することにある。また、本発明の課題は、かかるハンドを備える産業用ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の産業用ロボットのハンドは、搬送対象物を搬送する産業用ロボットのハンドにおいて、搬送対象物が搭載される搭載部と、ハンドの基端側部分を構成するとともに搭載部の基端側が固定されるハンド基部と、搭載部に搭載される搬送対象物を水平方向の一定位置で保持するための保持機構とを備え、保持機構は、搬送対象物の端面が当接する当接面を有し搭載部の先端側に取り付けられる端面当接部材と、搬送対象物の端面に接触して当接面に搬送対象物の端面を押し付ける押付部を有しハンド基部に保持される押付部材と、ハンド基部の内部に収容されるとともに上下方向を回動の軸方向としてハンド基部に対して押付部材を回動させる駆動源と、押付部材を回動可能に支持する軸受と、ハンド基部の内部への液体の浸入を防止するためのシール部材とを備え、押付部材は、押付部材の回動中心になる回動軸と、回動軸の径方向の外側に向かって回動軸から伸びる第1レバー部とを備え、第1レバー部は、ハンド基部の外部に配置され、第1レバー部の先端部には、押付部が繋がり、軸受は、回動軸を回動可能に支持し、シール部材は、回動軸の外周側に配置されるとともに回動軸の外周面に密着していることを特徴とする。
【0009】
本発明の産業用ロボットのハンドでは、搬送対象物の端面に接触して端面当接部材の当接面に搬送対象物の端面を押し付ける押付部を有する押付部材は、押付部材の回動中心になる回動軸と、回動軸の径方向の外側に向かって回動軸から伸びる第1レバー部とを備えている。また、本発明では、ハンド基部の外部に配置される第1レバー部の先端部に押付部が繋がっている。
【0010】
そのため、本発明では、回動軸の回動角度を小さくしても、保持機構が搬送対象物を保持したり、保持機構が保持していた搬送対象物を解放したりするための押付部の移動量を確保することが可能になる。したがって、本発明では、保持機構が搬送対象物を保持したり、保持機構が保持していた搬送対象物を解放したりするための押付部の移動量を確保しつつ、シール部材の内周面に回動軸の外周面が高い接触圧で接触している状態で回動する回動軸の回動角度を小さくすることが可能になる。その結果、本発明では、シール部材の摩耗量を従来よりも低減することが可能になる。
【0011】
本発明において、たとえば、押付部は、第1レバー部に回転可能に保持されるローラである。また、本発明において、たとえば、押付部材は、回動軸の径方向の外側に向かって回動軸から伸びる第2レバー部を備え、第2レバー部は、ハンド基部の内部に配置され、第2レバー部の先端部は、駆動源に連結されている。この場合には、たとえば、上下方向から見たときの押付部材の形状は、L形状となっている。
【0012】
本発明のハンドは、ハンドが連結されるアームと、アームが連結される本体部とを備える産業用ロボットに用いることができる。この産業用ロボットでは、ハンド基部の内部への液体の浸入を防止するためのシール部材の摩耗量を従来よりも低減することが可能になる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明では、搬送対象物が搭載される搭載部と、ハンドの基端側部分を構成するとともに搭載部の基端側が固定されるハンド基部と、搭載部に搭載される搬送対象物を水平方向の一定位置で保持するための保持機構とを備える産業用ロボットのハンドにおいて、ハンド基部の内部への液体の浸入を防止するためのシール部材の摩耗量を従来よりも低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態にかかる産業用ロボットの平面図である。
図2図1のE部の構成を説明するための拡大図である。
図3図2のF-F断面の構成を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
(産業用ロボットの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1の平面図である。
【0017】
本形態の産業用ロボット1(以下、「ロボット1」とする。)は、搬送対象物である半導体ウエハ2(以下、「ウエハ2」とする。)を搬送するための水平多関節型のロボットである。ウエハ2は、円板状に形成されている。ロボット1は、半導体製造システムに組み込まれて使用される。本形態では、ウエハ2に対して液体を使う所定の処理が行われ、ロボット1は、処理後のウエハ2を搬送する。
【0018】
ロボット1は、ウエハ2が搭載されるハンド3と、ハンド3が先端側に回動可能に連結されるとともに水平方向に動作するアーム4と、アーム4の基端側が回動可能に連結される本体部5とを備えている。アーム4は、基端側が本体部5に回動可能に連結されるアーム部7と、アーム部7の先端側に基端側が回動可能に連結されるアーム部8と、アーム部8の先端側に基端側が回動可能に連結されるアーム部9とから構成されている。
【0019】
アーム部7~9は、上下方向を回動の軸方向として回動する。本体部5は、アーム部7の基端側が回動可能に連結される柱状部材と、アーム4と一緒に柱状部材を昇降させる昇降機構とを備えている。アーム部7の基端側は、柱状部材の上端部に回動可能に連結されている。本体部5とアーム部7とアーム部8とアーム部9とは、上下方向において、下側からこの順番で配置されている。また、ロボット1は、アーム部7、8を回動させてアーム部7とアーム部8とからなるアーム4の一部を伸縮させるアーム部駆動機構と、アーム部9を回動させるアーム部駆動機構と、ハンド3を回動させるハンド駆動機構とを備えている。
【0020】
ハンド3は、上下方向から見たときの形状が略Y形状となるように形成されており、ハンド3の先端側は、二股状に分かれている。ハンド3は、アーム部9の先端側に回動可能に連結されている。また、ハンド3は、アーム部9の上側に配置されている。ハンド3は、上下方向を回動の軸方向として回動する。ハンド3は、ウエハ2が搭載される搭載部11と、ハンド3の基端側部分を構成するハンド基部12と、搭載部11に搭載されるウエハ2を水平方向の一定位置で保持するための保持機構13とを備えている。
【0021】
ハンド基部12は、アーム部9の先端側に回動可能に連結されている。ハンド基部12には、搭載部11の基端側が固定されている。搭載部11は、平板状に形成されている。搭載部11は、搭載部11の厚さ方向と上下方向とが一致するように配置されている。ハンド基部12は、上下方向の厚さが薄い扁平なブロック状に形成されている。ハンド基部12は、中空状に形成されている。保持機構13は、搭載部11に搭載されるウエハ2の端面(外周面)に3方向から接触して搭載部11に搭載されるウエハ2を水平方向において一定位置で保持するエッジグリップ型の保持機構である。以下、保持機構13の構成について説明する。
【0022】
(保持機構の構成)
図2は、図1のE部の構成を説明するための拡大図である。図3は、図2のF-F断面の構成を説明するための断面図である。
【0023】
保持機構13は、ウエハ2の端面が当接する当接面15aを有する端面当接部材15と、ウエハ2の端面に接触して端面当接部材15の当接面15aにウエハ2の端面を押し付ける押付部としてのローラ16を有する押付部材17とを備えている。端面当接部材15は、搭載部11の先端側に取り付けられている。具体的には、端面当接部材15は、略Y形状をなすハンド3の先端部の2箇所に固定されている。また、端面当接部材15は、搭載部11の上面に固定されている。また、搭載部11の基端側の上面には、ウエハ2が載置される2個のウエハ載置部材18が固定されており、ウエハ2は、端面当接部材15とウエハ載置部材18とに搭載される。
【0024】
押付部材17は、ハンド基部12に回動可能に保持されている。具体的には、押付部材17は、ハンド基部12に対して上下方向を回動の軸方向とする回動が可能となるようにハンド基部12に保持されている。また、保持機構13は、上下方向を回動の軸方向としてハンド基部12に対して押付部材17を回動させる駆動源としてのエアシリンダ19と、押付部材17を回動可能に支持する軸受20と、ハンド基部12の内部への液体の浸入を防止するためのシール部材21とを備えている。
【0025】
押付部材17は、押付部材17の回動中心になる回動軸22と、回動軸22の径方向の外側に向かって回動軸22から伸びる第1レバー部23および第2レバー部24とを備えている。回動軸22は、回動軸22の軸方向と上下方向とが一致するように配置されている。回動軸22は、ハンド基部12の先端部の上面側に形成される挿通穴12aに挿通されている。
【0026】
第1レバー部23および第2レバー部24は、上下方向から見たときの形状が細長い長円形状となる平板状に形成されている。第1レバー部23の基端部は、回動軸22の上端に繋がっている。第2レバー部24の基端部は、回動軸22の下端に繋がっている。上下方向から見たときに、第1レバー部23と第2レバー部24とは、回動軸22から互いに異なる方向に伸びており、上下方向から見たときの押付部材17の形状は、L形状となっている。
【0027】
第1レバー部23は、ハンド基部12の外部に配置されている。第1レバー部23の先端部には、ローラ16が繋がっている。ローラ16は、第1レバー部23に回転可能に保持されている。具体的には、ローラ16は、第1レバー部23の先端部に固定される固定軸25に回動可能に保持されており、固定軸25を介して第1レバー部23に回転可能に保持されている。固定軸25は、固定軸25の軸方向と上下方向とが一致するように配置されている。ローラ16は、第1レバー部23に対して上下方向を回転の軸方向とする回転が可能になっている。
【0028】
第2レバー部24は、ハンド基部12の内部に配置されている。すなわち、第2レバー部24は、ハンド基部12の内部に収容されている。エアシリンダ19は、ハンド基部12の内部に収容されている。第2レバー部24の先端部は、エアシリンダ19に連結されている。具体的には、第2レバー部24の先端部は、エアシリンダ19のロッドの先端に固定される連結部材26に回動可能に連結されている。第2レバー部24の先端部は、連結部材26に対して上下方向を回動の軸方向とする回動が可能になっている。また、エアシリンダ19の本体部は、ハンド基部12に対して上下方向を回動の軸方向とする回動が可能になるようにハンド基部12に取り付けられている。
【0029】
軸受20は、たとえば、玉軸受等の転がり軸受である。軸受20は、ハンド基部12の挿通穴12aの中に配置されている。軸受20は、回動軸22を回動可能に支持している。軸受20の外輪は、挿通穴12aの内周側に固定され、軸受20の内輪は、回動軸22の外周面に固定されている。なお、軸受20は、滑り軸受であっても良い。
【0030】
シール部材21は、円環状に形成されている。シール部材21は、ハンド基部12の挿通穴12aの中に配置されている。また、シール部材21は、軸受20の上側に配置されている。シール部材21は、回動軸22の外周側に配置されている。すなわち、回動軸22は、シール部材21の内周側に配置されている。シール部材21は、回動軸22の外周面に密着している。具体的には、シール部材21の内周面が回動軸22の外周面に密着している。
【0031】
以上のように構成された保持機構13では、エアシリンダ19は、ローラ16がウエハ2の端面に接触して端面当接部材15の当接面15aにウエハ2の端面を押し付けるウエハ保持位置(図2の二点鎖線で示す位置)と、ローラ16がウエハ2の端面から離れるように退避する退避位置(図2の実線で示す位置)との間で回動軸22を回動中心にして押付部材17を回動させる。
【0032】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、ウエハ2の端面に接触して端面当接部材15の当接面15aにウエハ2の端面を押し付けるローラ16を有する押付部材17は、押付部材17の回動中心になる回動軸22と、回動軸22の径方向の外側に向かって回動軸22から伸びる第1レバー部23を備えている。また、本形態では、ハンド基部12の外部に配置される第1レバー部23の先端部にローラ16が繋がっている。そのため、本形態では、回動軸22の回動角度を小さくしても、保持機構13がウエハ2を保持したり、保持機構13が保持していたウエハ2を解放したりするためのローラ16の移動量を確保することが可能になる。
【0033】
すなわち、本形態では、回動軸22を回動中心にして回動する第1レバー部23の先端部にローラ16が繋がっているため、回動軸22の回動角度を小さくしても、図2の二点鎖線で示す位置と図2の実線で示す位置との間でローラ16を移動させることが可能になる。したがって、本形態では、保持機構13がウエハ2を保持したり、保持機構13が保持していたウエハ2を解放したりするためのローラ16の移動量を確保しつつ、シール部材21の内周面に回動軸22の外周面が高い接触圧で接触している状態で回動する回動軸22の回動角度を小さくすることが可能になる。その結果、本形態では、シール部材21の摩耗量を低減することが可能になる。
【0034】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0035】
上述した形態において、保持機構13は、エアシリンダ19に代えて、ハンド基部12に対して押付部材17を回動させるモータ等の駆動源を備えていても良い。保持機構13が駆動源としてモータを備えている場合には、たとえば、モータが回動軸22を直接回動させても良い。この場合には、押付部材17は第2レバー部24を備えていなくても良い。また、上述した形態において、ローラ16は、第1レバー部23に対して回転可能になっていなくても良い。また、上述した形態において、押付部材17は、ローラ16以外の押付部を備えていても良い。
【0036】
上述した形態において、ロボット1は、アーム4の先端側に回動可能に連結される2個のハンド3を備えていても良い。また、上述した形態において、アーム4は、2個のアーム部によって構成されていても良いし、4個以上のアーム部によって構成されていても良い。また、上述した形態において、ロボット1によって搬送される搬送対象物は、ウエハ2以外のものであっても良い。この場合には、たとえば、搬送対象物は、正方形または長方形の平板状に形成されていても良い。
【0037】
本発明が適用される産業用ロボットは、水平多関節型の産業用ロボット以外のロボットであっても良い。たとえば、本発明が適用される産業用ロボットは、ハンド3の直線的な往復移動が可能となるようにハンド3が連結されるアームと、アームが回動可能に連結される本体部と、アームに対してハンド3を直線的に往復移動させるリニア駆動部とを備える産業用ロボットであっても良い。
【符号の説明】
【0038】
1 ロボット(産業用ロボット)
2 ウエハ(半導体ウエハ、搬送対象物)
3 ハンド
4 アーム
5 本体部
11 搭載部
12 ハンド基部
13 保持機構
15 端面当接部材
15a 当接面
16 ローラ(押付部)
17 押付部材
19 エアシリンダ(駆動源)
20 軸受
21 シール部材
22 回動軸
23 第1レバー部
24 第2レバー部
図1
図2
図3