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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119659
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】水平多関節ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/06 20060101AFI20230822BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
B25J9/06 D
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022632
(22)【出願日】2022-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】栗林 保
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707AS24
3C707BS15
3C707BT03
3C707CU05
3C707CV05
3C707CV07
3C707CW07
3C707CY36
3C707ES17
3C707HS27
3C707HT02
3C707HT20
3C707NS13
5F131AA02
5F131CA38
5F131DB03
5F131DB52
5F131DB76
5F131DB82
5F131GA14
(57)【要約】
【課題】アームが下限位置まで下降しているときの水平多関節ロボットの高さを変えることなく、アームの昇降量を増やすことが可能であっても、水平方向において小型化することが可能な水平多関節ロボットを提供する。
【解決手段】水平多関節ロボット1では、本体部13に対する第1アーム部15の回動中心である第1回動中心と第1アーム部15に対する第2アーム部16の回動中心である第2回動中心との水平方向の距離である第1距離が、第2アーム部16に対する第3アーム部17の回動中心である第3回動中心と第2回動中心との水平方向の距離である第2距離よりも短くなっている。また、水平多関節ロボット1では、アーム12が下限位置まで下降しているときに、アーム昇降機構20の上端部は、第1アーム部15の基端部の側方に配置されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向にアームが動作する水平多関節ロボットにおいて、
搬送対象物が搭載されるハンドと、前記ハンドが先端側に回動可能に連結される前記アームと、前記アームの基端側が回動可能に連結される本体部と、前記アームを昇降させるアーム昇降機構とを備え、
前記アームは、前記本体部に基端側が回動可能に連結される第1アーム部と、前記第1アーム部の先端側に基端側が回動可能に連結される第2アーム部とを備え、
前記本体部の上面側に、前記第1アーム部の下面側が連結され、
前記第1アーム部の上面側に、前記第2アーム部の下面側が連結され、
前記第2アーム部の先端側には、前記アームの一部を構成する第3アーム部の基端側または前記ハンドの基端側が回動可能に連結され、
前記本体部に対する前記第1アーム部の回動中心である第1回動中心と前記第1アーム部に対する前記第2アーム部の回動中心である第2回動中心との水平方向の距離である第1距離は、前記第2アーム部に連結される前記第3アーム部または前記ハンドの前記第2アーム部に対する回動中心である第3回動中心と前記第2回動中心との水平方向の距離である第2距離よりも短くなっており、
前記アームが下限位置まで下降しているときに、前記アーム昇降機構の上端部は、前記第1アーム部の基端部の側方に配置されていることを特徴とする水平多関節ロボット。
【請求項2】
前記アーム昇降機構は、前記アームを昇降させるためのボールねじと、前記アームを上下方向に案内するためのガイドレールとを備え、
前記ボールねじのねじ軸は、前記ねじ軸の軸方向と上下方向とが一致するように配置され、
前記ガイドレールは、前記ガイドレールの長手方向と上下方向とが一致するように配置され、
前記アームが下限位置まで下降しているときに、前記ねじ軸および前記ガイドレールの上端部は、前記第1アーム部の基端部の側方に配置されていることを特徴とする請求項1記載の水平多関節ロボット。
【請求項3】
前記アームが下限位置まで下降しているときに、前記アーム昇降機構の上端は、前記第2アーム部の下端よりも下側に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の水平多関節ロボット。
【請求項4】
前記第1アーム部および前記第2アーム部が互いに重なっている状態で前記本体部に対して所定の基準位置に配置されているときの前記第1アーム部および前記第2アーム部の長手方向をアーム部長手方向とし、前記アーム部長手方向の一方側を第1方向側とし、第1方向側の反対側を第2方向側とすると、
前記第1アーム部および前記第2アーム部が互いに重なっている状態で前記本体部に対して前記基準位置に配置されるとともに前記アームが下限位置まで下降しているときに、前記第1アーム部の基端部は、前記第1アーム部の第1方向側の端部となっていて、前記アーム昇降機構の上端部の第2方向側に配置され、前記第2アーム部の先端部は、前記第2アーム部の第1方向側の端部になっていて、前記アーム昇降機構の上側に配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の水平多関節ロボット。
【請求項5】
前記昇降機構は、前記本体部の内部に収容され、
前記第1アーム部および前記第2アーム部が互いに重なっている状態で前記本体部に対して前記基準位置に配置されているときの前記第2アーム部の第1方向側端は、前記アーム部長手方向において、前記本体部の第1方向側端と同じ位置に配置されていることを特徴とする請求項4記載の水平多関節ロボット。
【請求項6】
前記第2アーム部の先端側には、前記第3アーム部の基端側が回動可能に連結され、
前記第3アーム部の先端側には、前記ハンドの基端側が回動可能に連結されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の水平多関節ロボット。
【請求項7】
前記本体部に対して前記第1アーム部を回動させる第1アーム部駆動機構と、前記第1アーム部に対して前記第2アーム部を回動させる第2アーム部駆動機構と、前記第2アーム部に対して前記第3アーム部を回動させる第3アーム部駆動機構と、前記第3アーム部に対して前記ハンドを回動させるハンド駆動機構とを備えることを特徴とする請求項6記載の水平多関節ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平方向にアームが動作する水平多関節ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハを搬送するための水平多関節ロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の水平多関節ロボットは、半導体製造システムに組み込まれて使用される。半導体製造システムは、EFEM(Equipment Front End Module)を備えており、水平多関節ロボットは、EFEMの一部を構成している。EFEMは、水平多関節ロボットが収容される筐体を備えている。
【0003】
特許文献1に記載の水平多関節ロボットは、半導体ウエハが搭載されるハンドと、ハンドが先端側に回動可能に連結されるアームと、アームの基端側が回動可能に連結される本体部とを備えている。アームは、本体部に基端側が回動可能に連結される第1アーム部と、第1アーム部の先端側に基端側が回動可能に連結される第2アーム部と、第2アーム部の先端側に基端側が回動可能に連結される第3アーム部とを備えている。第3アーム部の先端側には、ハンドが回動可能に連結されている。第1アーム部は、本体部よりも上側に配置され、第2アーム部は、第1アーム部よりも上側に配置され、第3アーム部は、第2アーム部よりも上側に配置され、ハンドは、第3アーム部よりも上側に配置されている。
【0004】
また、特許文献1に記載の水平多関節ロボットは、アームを昇降させるアーム昇降機構を備えている。アーム昇降機構は、ボールねじ、および、ボールねじのねじ軸を回転させるモータ等を有する駆動機構と、ガイドレール、および、ガイドレールに係合するガイドブロック等を有するガイド機構とを備えている。アーム昇降機構は、本体部の内部に収容されており、第1アーム部より下側に配置されている。すなわち、アーム昇降機構の一部を構成するボールねじおよびガイドレールは、第1アーム部より下側に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-36186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の水平多関節ロボットにおいて、アームが下限位置まで下降しているときの水平多関節ロボットの高さを変えることなく、アームの昇降量を増やすことができれば、水平多関節ロボットを様々な半導体製造システムで使用することが可能になって、水平多関節ロボットの汎用性を高めることが可能になるため、特許文献1に記載の水平多関節ロボットは、このようになっていることが好ましい。また、半導体製造システムにおいて筐体の中に設置される水平多関節ロボットは、水平方向において小型であることが好ましい。
【0007】
そこで、本発明の課題は、水平方向にアームが動作する水平多関節ロボットにおいて、アームが下限位置まで下降しているときの水平多関節ロボットの高さを変えることなく、アームの昇降量を増やすことが可能であっても、水平方向において小型化することが可能な水平多関節ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の水平多関節ロボットは、水平方向にアームが動作する水平多関節ロボットにおいて、搬送対象物が搭載されるハンドと、ハンドが先端側に回動可能に連結されるアームと、アームの基端側が回動可能に連結される本体部と、アームを昇降させるアーム昇降機構とを備え、アームは、本体部に基端側が回動可能に連結される第1アーム部と、第1アーム部の先端側に基端側が回動可能に連結される第2アーム部とを備え、本体部の上面側に、第1アーム部の下面側が連結され、第1アーム部の上面側に、第2アーム部の下面側が連結され、第2アーム部の先端側には、アームの一部を構成する第3アーム部の基端側またはハンドの基端側が回動可能に連結され、本体部に対する第1アーム部の回動中心である第1回動中心と第1アーム部に対する第2アーム部の回動中心である第2回動中心との水平方向の距離である第1距離は、第2アーム部に連結される第3アーム部またはハンドの第2アーム部に対する回動中心である第3回動中心と第2回動中心との水平方向の距離である第2距離よりも短くなっており、アームが下限位置まで下降しているときに、アーム昇降機構の上端部は、第1アーム部の基端部の側方に配置されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の水平多関節ロボットでは、アームが下限位置まで下降しているときに、アーム昇降機構の上端部は、第1アーム部の基端部の側方に配置されている。そのため、本発明では、アーム昇降機構の全体が第1アーム部よりも下側に配置されている場合と比較して、アームが下限位置まで下降しているときの水平多関節ロボットの高さを変えることなく、アーム昇降機構の高さを高くすることが可能になる。したがって、本発明では、アームが下限位置まで下降しているときの水平多関節ロボットの高さを変えることなく、アームの昇降量を増やすことが可能になる。
【0010】
また、本発明では、本体部に対する第1アーム部の回動中心である第1回動中心と第1アーム部に対する第2アーム部の回動中心である第2回動中心との水平方向の距離である第1距離が、第2アーム部に連結される第3アーム部またはハンドの第2アーム部に対する回動中心である第3回動中心と第2回動中心との水平方向の距離である第2距離よりも短くなっているため、第1アーム部の長さを短くすることが可能になる。
【0011】
したがって、本発明では、アームが下限位置まで下降しているときに第1アーム部の基端部の側方にアーム昇降機構の上端部が配置されていても、長さの短い第1アーム部の側方にアーム昇降機構の上端部を配置することが可能になり、その結果、水平方向において水平多関節ロボットを小型化することが可能になる。すなわち、本発明では、アームが下限位置まで下降しているときの水平多関節ロボットの高さを変えることなく、アームの昇降量を増やすことが可能であっても、水平方向において水平多関節ロボットを小型化することが可能になる。
【0012】
本発明において、たとえば、アーム昇降機構は、アームを昇降させるためのボールねじと、アームを上下方向に案内するためのガイドレールとを備え、ボールねじのねじ軸は、ねじ軸の軸方向と上下方向とが一致するように配置され、ガイドレールは、ガイドレールの長手方向と上下方向とが一致するように配置され、アームが下限位置まで下降しているときに、ねじ軸およびガイドレールの上端部は、第1アーム部の基端部の側方に配置されている。
【0013】
本発明において、アームが下限位置まで下降しているときに、アーム昇降機構の上端は、第2アーム部の下端よりも下側に配置されていることが好ましい。このように構成すると、第2アーム部とアーム昇降機構との干渉を防止するための切欠き部等が第2アーム部に形成されていなくても、第2アーム部が回動したときの、第2アーム部とアーム昇降機構との干渉を防止することが可能になる。
【0014】
本発明において、たとえば、第1アーム部および第2アーム部が互いに重なっている状態で本体部に対して所定の基準位置に配置されているときの第1アーム部および第2アーム部の長手方向をアーム部長手方向とし、アーム部長手方向の一方側を第1方向側とし、第1方向側の反対側を第2方向側とすると、第1アーム部および第2アーム部が互いに重なっている状態で本体部に対して基準位置に配置されるとともにアームが下限位置まで下降しているときに、第1アーム部の基端部は、第1アーム部の第1方向側の端部となっていて、アーム昇降機構の上端部の第2方向側に配置され、第2アーム部の先端部は、第2アーム部の第1方向側の端部になっていて、アーム昇降機構の上側に配置されている。この場合には、アームが下限位置まで下降しているときの水平多関節ロボットの高さを変えることなく、アームの昇降量を増やすことが可能であっても、アーム部長手方向において水平多関節ロボットを小型化することが可能になる。
【0015】
本発明において、昇降機構は、本体部の内部に収容され、第1アーム部および第2アーム部が互いに重なっている状態で本体部に対して基準位置に配置されているときの第2アーム部の第1方向側端は、アーム部長手方向において、本体部の第1方向側端と同じ位置に配置されていることが好ましい。このように構成すると、アームが下限位置まで下降しているときの水平多関節ロボットの高さを変えることなく、アームの昇降量を増やすことが可能であっても、アーム部長手方向において水平多関節ロボットをより小型化することが可能になる。
【0016】
本発明において、たとえば、第2アーム部の先端側には、第3アーム部の基端側が回動可能に連結され、第3アーム部の先端側には、ハンドの基端側が回動可能に連結されている。
【0017】
本発明において、水平多関節ロボットは、本体部に対して第1アーム部を回動させる第1アーム部駆動機構と、第1アーム部に対して第2アーム部を回動させる第2アーム部駆動機構と、第2アーム部に対して第3アーム部を回動させる第3アーム部駆動機構と、第3アーム部に対してハンドを回動させるハンド駆動機構とを備えることが好ましい。このように構成すると、水平多関節ロボットの動作の自由度を高めることが可能になる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明では、水平方向にアームが動作する水平多関節ロボットにおいて、アームが下限位置まで下降しているときの水平多関節ロボットの高さを変えることなく、アームの昇降量を増やすことが可能であっても、水平方向において水平多関節ロボットを小型化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態にかかる水平多関節ロボットの構成を説明するための平面図である。
図2図1に示す水平多関節ロボットの異なる状態の平面図である。
図3図2に示す水平多関節ロボットの側面図である。
図4図3に示す水平多関節ロボットの、アームが上昇している状態の側面図である。
図5図2に示す水平多関節ロボットの構成を説明するためのブロック図である。
図6図3のE-E方向からアーム昇降機構の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0021】
(水平多関節ロボットの構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる水平多関節ロボット1の構成を説明するための平面図である。図2は、図1に示す水平多関節ロボット1の異なる状態の平面図である。図3は、図2に示す水平多関節ロボット1の側面図である。図4は、図3に示す水平多関節ロボット1の、アーム12が上昇している状態の側面図である。図5は、図2に示す水平多関節ロボット1の構成を説明するためのブロック図である。図6は、図3のE-E方向からアーム昇降機構20の構成を説明するための図である。
【0022】
本形態の水平多関節ロボット1(以下、「ロボット1」とする。)は、搬送対象物である半導体ウエハ2(以下、「ウエハ2」とする。)を搬送するための産業用ロボットである。ウエハ2は、薄い円板状に形成されている。ロボット1は、半導体製造システム3に組み込まれて使用される。以下の説明では、上下方向(鉛直方向)に直交する図1等のX方向を「左右方向」とし、上下方向と左右方向とに直交する図1等のY方向を「前後方向」とする。また、前後方向の一方側である図1等のY1方向側を「前」側とし、その反対側である図1等のY2方向側を「後ろ」側とする。
【0023】
半導体製造システム3は、EFEM4を備えている。ロボット1は、EFEM4の一部を構成している。EFEM4は、たとえば、ウエハ2が収容されるFOUP6を開閉する複数のロードポート7と、ロボット1が収容される筺体8とを備えている。筺体8は、直方体の箱状に形成されている。上下方向から見たときの筐体8の外形は、左右方向に細長い長方形となっている。複数のロードポート7は、たとえば、筺体8の前側に配置されている。また、複数のロードポート7は、左右方向に一定の間隔をあけた状態で配列されている。
【0024】
ロボット1は、ウエハ2が搭載される2個のハンド11と、2個のハンド11が先端側に回動可能に連結されるとともに水平方向に動作するアーム12と、アーム12の基端側が回動可能に連結される本体部13とを備えている。ハンド11は、上下方向から見たときの形状が略Y形状となるように形成されている。アーム12は、本体部13に基端側が回動可能に連結される第1アーム部15と、第1アーム部15の先端側に基端側が回動可能に連結される第2アーム部16と、第2アーム部16の先端側に基端側が回動可能に連結される第3アーム部17とから構成されている。第3アーム部17の先端側には、2個のハンド11の基端側が回動可能に連結されている。2個のハンド11の基端側は、上下方向で重なっている。
【0025】
ハンド11、第1アーム部15、第2アーム部16および第3アーム部17は、上下方向を回動の軸方向として回動する。第1アーム部15、第2アーム部16および第3アーム部17の上面および下面は、上下方向に直交する平面となっている。第1アーム部15は、本体部13の上面側に連結されている。第2アーム部16は、第1アーム部15の上面側に連結されている。第3アーム部17は、第2アーム部16の上面側に連結されている。ハンド11は、第3アーム部17の上面側に連結されている。
【0026】
すなわち、本体部13の上面側には、第1アーム部15の下面側が連結され、第1アーム部15の上面側には、第2アーム部16の下面側が連結され、第2アーム部16の上面側には、第3アーム部17の下面側が連結され、第3アーム部17の上面側には、ハンド11の下面側が連結されている。第2アーム部16は、第1アーム部15よりも上側に配置され、第3アーム部17は、第2アーム部16よりも上側に配置され、ハンド11は、第3アーム部17よりも上側に配置されている。
【0027】
また、ロボット1は、アーム12を昇降させるアーム昇降機構20と、本体部13に対して第1アーム部15を回動させる第1アーム部駆動機構21と、第1アーム部15に対して第2アーム部16を回動させる第2アーム部駆動機構22と、第2アーム部16に対して第3アーム部17を回動させる第3アーム部駆動機構23と、第3アーム部17に対してハンド11を回動させるハンド駆動機構24とを備えている。本形態のロボット1は、2個のハンド11のそれぞれを個別に回動させる2個のハンド駆動機構24を備えている。
【0028】
第3アーム部17に対する2個のハンド11の回動中心は一致している。本体部13に対する第1アーム部15の回動中心を第1回動中心C1とし、第1アーム部15に対する第2アーム部16の回動中心を第2回動中心C2とし、第2アーム部16に対する第3アーム部17の回動中心を第3回動中心C3とし、第3アーム部17に対するハンド11の回動中心を第4回動中心C4とすると、第1回動中心C1と第2回動中心C2との水平方向の距離である第1距離D1は、第2回動中心C2と第3回動中心C3との水平方向の距離である第2距離D2よりも短くなっている。また、第2距離D2は、第3回動中心C3と第4回動中心C4との水平方向の距離である第3距離D3よりも短くなっている。
【0029】
そのため、本形態では、第1アーム部15の長さ(第1アーム部15の長手方向の長さ)は、第2アーム部16の長さ(第2アーム部16の長手方向の長さ)よりも短くなっており、第2アーム部16の長さは、第3アーム部17の長さ(第3アーム部17の長手方向の長さ)よりも短くなっている。
【0030】
本体部13は、筐体26と、第1アーム部15の基端側が回動可能に連結される昇降体27とを備えている。筐体26は、全体として上下方向に細長い直方体状に形成されている。筐体26の後端部には、上側に向かって突出する突出部26aが形成されている。すなわち、筐体26の後端部の高さは、筐体26の前側部分の高さよりも高くなっている。突出部26aは、第1アーム部15の基端よりも後ろ側に配置されている。突出部26aの上面は、上下方向に直交する平面となっている。また、筐体26の、突出部26aよりも前側部分の上面も、上下方向に直交する平面となっている。筐体26の前側部分の上面に対する突出部26aの高さは、第1アーム部15の厚さ(上下方向の厚さ)とほぼ等しくなっている。
【0031】
昇降体27は、筐体26に対して昇降可能になっている。図3に示すように、アーム12が下限位置まで下降しているときには、昇降体27の大半部分は、筐体26の内部に収容されている。昇降体27は、上端に第1アーム部15の基端側が回動可能に連結される昇降体本体27aと、昇降体本体27aの下端部から後ろ側に向かって突出する保持部27bとを備えている。昇降体本体27aは、筐体26の突出部26aよりも前側に配置されている。昇降体本体27aの上端は、筐体26の、突出部26aよりも前側部分の上面よりも上側に配置されている。筐体26の、突出部26aよりも前側部分の上端部には、昇降体本体27aの一部が配置される貫通穴が形成されている。
【0032】
アーム昇降機構20は、昇降体27を昇降させる。すなわち、アーム昇降機構20は、昇降体27を昇降させることで、昇降体27と一緒にアーム12を昇降させる。また、アーム昇降機構20は、図3に示すアーム12の下限位置と図4に示すアーム12の上限位置との間で昇降体27と一緒にアーム12を昇降させる。図6に示すように、アーム昇降機構20は、昇降体27と一緒にアーム12を昇降させるためのボールねじ28と、ボールねじ28のねじ軸29を回転させるモータ30と、昇降体27と一緒にアーム12を上下方向に案内するためのガイドレール31およびガイドブロック32とを備えている。アーム昇降機構20は、筐体26の内部に配置されている。すなわち、アーム昇降機構20は、本体部13の内部に収容されている。
【0033】
ねじ軸29は、ねじ軸29の軸方向と上下方向とが一致するように配置されている。ねじ軸29は、筐体26の内部に配置されるフレームに回転可能に保持されている。ボールねじ28のナット部材33は、昇降体27の保持部27bに取り付けられている。ナット部材33は、ねじ軸29に係合している。ねじ軸29の下端部には、プーリ35が固定されている。モータ30は、筐体26の内部で固定されている。モータ30の出力軸には、プーリ36が固定されている。プーリ35とプーリ36とには、ベルト37が架け渡されている。モータ30は、ロボット1の制御部38に電気的に接続されている。
【0034】
ガイドレール31は、ガイドレール31の長手方向と上下方向とが一致するように配置されている。ガイドレール31は、筐体26の内部に配置されるフレームに固定されている。本形態では、2本のガイドレール31が左右方向に間隔をあけた状態で設置されている。ガイドブロック32は、昇降体27の保持部27bに取り付けられている。ガイドブロック32は、前側からガイドレール31に係合している。また、本形態では、上下方向において間隔をあけた状態で配置される2個のガイドブロック32が1本のガイドレール31に係合している。
【0035】
上述のように、アーム昇降機構20は、筐体26の内部に配置されている。具体的には、アーム昇降機構20は、筐体26の後端部の内部に配置されている。また、アーム昇降機構20の上端部は、突出部26aの内部に配置されている。具体的には、ねじ軸29およびガイドレール31の上端部が突出部26aの内部に配置されている。また、アーム12の上限位置までアーム12が上昇しているときには、1本のガイドレール31に係合する2個のガイドブロック32のうちの上側に配置されるガイドブロック32が突出部26aの内部に配置されている(図4参照)。
【0036】
また、上述のように、アーム昇降機構20は、図3に示すアーム12の下限位置と図4に示すアーム12の上限位置との間で昇降体27と一緒にアーム12を昇降させる。アーム12が下限位置まで下降しているときには、第1アーム部15は、上下方向において筐体26の突出部26aとほぼ同じ位置に配置されており、突出部26aの上面は、第1アーム部15の下面よりも上側に配置されている。また、アーム12が下限位置まで下降しているときには、第1アーム部15の基端部は、突出部26aの前側に配置されている。
【0037】
すなわち、アーム12が下限位置まで下降しているときには、突出部26aの内部に配置されるアーム昇降機構20の上端部(具体的には、ねじ軸29およびガイドレール31の上端部)は、第1アーム部15の基端部の後ろ側(後方)に配置されている。すなわち、アーム12が下限位置まで下降しているときには、アーム昇降機構20の上端部(具体的には、ねじ軸29およびガイドレール31の上端部)は、第1アーム部15の基端部の側方(横)に配置されている。また、アーム12が下限位置まで下降しているときには、アーム昇降機構20の上端(具体的には、ねじ軸29およびガイドレール31の上端)は、第1アーム部15の下面よりも上側に配置されている。
【0038】
また、アーム12が下限位置まで下降しているときには、第1アーム部15の上面は、突出部26aの上面よりもわずかに上側に配置されている。また、アーム12が下限位置まで下降しているときには、第2アーム部16の下面は、突出部26aの上面よりも上側に配置されている。すなわち、アーム12が下限位置まで下降しているときには、アーム昇降機構20の上端は、第2アーム部16の下端よりも下側に配置されている。
【0039】
本形態では、第1アーム部15および第2アーム部16が互いに重なっている状態で本体部13に対して所定の基準位置に配置されているとき(図2図4に示す状態のとき)の第1アーム部15および第2アーム部16の長手方向は、前後方向と一致している。また、第1アーム部15および第2アーム部16が互いに重なっている状態で本体部13に対して基準位置に配置されるとともにアーム12が下限位置まで下降しているときには、第2アーム部16の先端部は、第2アーム部16の後端部になっていて、突出部26aの上側に配置されている(図3参照)。
【0040】
すなわち、第1アーム部15および第2アーム部16が互いに重なっている状態で本体部13に対して基準位置に配置されるとともにアーム12が下限位置まで下降しているときには、第2アーム部16の先端部は、アーム昇降機構20の上側に配置されている。また、このときには、第1アーム部15の基端部は、第1アーム部12の後端部となっていて、アーム昇降機構20の上端部の前側に配置されている。また、図3に示すように、第1アーム部15および第2アーム部16が互いに重なっている状態で本体部13に対して基準位置に配置されているときの第2アーム部16の後端は、前後方向において、本体部13の後端(具体的には、筐体26の後面)と同じ位置に配置されている。
【0041】
本形態の前後方向(Y方向)は、第1アーム部15および第2アーム部16が互いに重なっている状態で本体部13に対して基準位置に配置されているときの第1アーム部15および第2アーム部16の長手方向であるアーム部長手方向となっている。また、後ろ側(Y2方向側)は、アーム部長手方向の一方側である第1方向側となっており、前側(Y1方向側)は、第1方向側の反対側である第2方向側となっている。
【0042】
第1アーム部駆動機構21は、モータ39を備えている。モータ39は、昇降体27に取り付けられている。モータ39の動力は、減速機、プーリおよびベルト等からなる動力伝達機構によって第1アーム部15に伝達される。第2アーム部駆動機構22は、モータ40を備えている。モータ40は、第1アーム部15と昇降体27との連結部に取り付けられている。モータ40の動力は、減速機、プーリおよびベルト等からなる動力伝達機構によって第2アーム部16に伝達される。
【0043】
第3アーム部駆動機構23は、モータ41を備えている。モータ41は、第2アーム部16の内部に取り付けられている。モータ41の動力は、減速機、プーリおよびベルト等からなる動力伝達機構によって第3アーム部17に伝達される。ハンド駆動機構24は、モータ42を備えている。モータ42は、第3アーム部17の内部に取り付けられている。モータ42の動力は、減速機、プーリおよびベルト等からなる動力伝達機構によってハンド11に伝達される。
【0044】
モータ39~42は、制御部38に電気的に接続されている。本形態では、上下方向から見たときに略Y形状をなすハンド11の長手方向と前後方向とが一致した状態でハンド11が左右方向に移動する場合に、制御部38は、上下方向から見たときに、左右方向に平行な仮想線VL(図1参照)上を第3回動中心C3が通過するように、モータ39~42を制御して、第1アーム部15、第2アーム部16、第3アーム部17およびハンド11を回動させる。
【0045】
すなわち、ハンド11の長手方向と前後方向とが一致した状態でハンド11が左右方向に移動する場合に、制御部38は、上下方向から見たときに、第3回動中心C3が左右方向に直線的に移動するように、第1アーム部15、第2アーム部16、第3アーム部17およびハンド11を回動させる。このときには、制御部38は、ハンド11およびアーム12と筐体8とが干渉しないように、第1アーム部15、第2アーム部16、第3アーム部17およびハンド11を回動させる。
【0046】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、アーム12が下限位置まで下降しているときに、突出部26aの内部に配置されるアーム昇降機構20の上端部は、第1アーム部15の基端部の後ろ側に配置されている。そのため、本形態では、アーム昇降機構20の全体が第1アーム部15よりも下側に配置されている場合と比較して、アーム12が下限位置まで下降しているときのロボット1の高さを変えることなく、アーム昇降機構20の高さを高くすることが可能になる。すなわち、本形態では、アーム12が下限位置まで下降しているときのロボット1の高さを変えることなく、ねじ軸29およびガイドレール31の上下方向の長さを長くすることが可能になる。したがって、本形態では、アーム12が下限位置まで下降しているときのロボット1の高さを変えることなく、アーム12の昇降量を増やすことが可能になる。
【0047】
また、本形態では、本体部13に対する第1アーム部15の回動中心である第1回動中心C1と第1アーム部15に対する第2アーム部16の回動中心である第2回動中心C2との水平方向の距離である第1距離D1が、第2アーム部16に対する第3アーム部17の回動中心である第3回動中心D3と第2回動中心D2との水平方向の距離である第2距離D2よりも短くなっており、第1アーム部15の長さが第2アーム部16の長さよりも短くなっている。
【0048】
そのため、本形態では、アーム12が下限位置まで下降しているときに第1アーム部15の基端部の後ろ側にアーム昇降機構20の上端部が配置されていても、長さの短い第1アーム部15の後ろ側にアーム昇降機構20の上端部を配置することが可能になり、その結果、前後方向においてロボット1を小型化することが可能になる。すなわち、本形態では、アーム12が下限位置まで下降しているときのロボット1の高さを変えることなく、アーム12の昇降量を増やすことが可能であっても、前後方向においてロボット1を小型化することが可能になる。
【0049】
また、本形態では、第1アーム部15および第2アーム部16が互いに重なっている状態で本体部13に対して基準位置に配置されているときの第2アーム部16の後端が、前後方向において、本体部13の後端と同じ位置に配置されているため、アーム12が下限位置まで下降しているときのロボット1の高さを変えることなく、アーム12の昇降量を増やすことが可能であっても、前後方向においてロボット1をより小型化することが可能になる。
【0050】
本形態では、アーム12が下限位置まで下降しているときに、第2アーム部16の下端となる第2アーム部16の下面は、筐体26の突出部26aの上面よりも上側に配置されている。そのため、本形態では、アーム昇降機構20の上端部が収容されている突出部26aと第2アーム部16との干渉を防止するための切欠き部等が第2アーム部16に形成されていなくても、第2アーム部16が回動したときの、第2アーム部16と突出部26aとの干渉を防止することが可能になる。
【0051】
本形態では、ロボット1は、本体部13に対して第1アーム部15を回動させる第1アーム部駆動機構21と、第1アーム部15に対して第2アーム部16を回動させる第2アーム部駆動機構22と、第2アーム部16に対して第3アーム部17を回動させる第3アーム部駆動機構23と、第3アーム部17に対してハンド11を回動させるハンド駆動機構24とを備えている。そのため、本形態では、ロボット1の動作の自由度を高めることが可能になる。
【0052】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0053】
上述した形態において、第1アーム部15および第2アーム部16が互いに重なっている状態で本体部13に対して基準位置に配置されているときの第2アーム部16の後端が、本体部13の後端より前側に配置されていても良いし、本体部13の後端より後ろ側に配置されていても良い。また、上述した形態において、アーム12が下限位置まで下降しているときに、第2アーム部16の下端が筐体26の突出部26aの上面より下側に配置されていても良い。この場合には、突出部26aと第2アーム部16との干渉を防止するための切欠き部等が第2アーム部16に形成されている。
【0054】
上述した形態において、アーム12は、第1アーム部15と第2アーム部16との2個のアーム部によって構成されていても良い。この場合には、第2アーム部16の先端側に、ハンド11の基端部が回動可能に連結されている。また、この場合には、第2アーム部16に対するハンド11の回動中心である第3回動中心と第2回動中心C2との水平方向の距離である第2距離が第1距離D1よりも長くなっている。また、上述した形態において、アーム12は、4個以上のアーム部によって構成されていても良い。
【0055】
上述した形態において、アーム昇降機構20は、ガイドレール31およびガイドブロック32に代えて、たとえば、ガイド軸と、ガイド軸が挿通される筒状のガイドブッシュとを備えていても良い。また、上述した形態において、アーム昇降機構20は、ボールねじ28に代えて、たとえば、昇降体27の保持部27bに一部が固定されるベルトと、このベルトが架け渡されるプーリとを備えていても良い。さらに、上述した形態において、アーム12の先端側に回動可能に連結されるハンド11の数は、1個であっても良い。また、上述した形態において、ロボット1によって搬送される搬送対象物は、ウエハ2以外のものであっても良い。この場合には、たとえば、搬送対象物は、正方形または長方形の平板状に形成されていても良い。
【符号の説明】
【0056】
1 ロボット(水平多関節ロボット)
2 ウエハ(半導体ウエハ、搬送対象物)
11 ハンド
12 アーム
13 本体部
15 第1アーム部
16 第2アーム部
17 第3アーム部
20 アーム昇降機構
21 第1アーム部駆動機構
22 第2アーム部駆動機構
23 第3アーム部駆動機構
24 ハンド駆動機構
28 ボールねじ
29 ねじ軸
31 ガイドレール
C1 第1回動中心
C2 第2回動中心
C3 第3回動中心
D1 第1距離
D2 第2距離
Y アーム部長手方向
Y1 第2方向側
Y2 第1方向側
図1
図2
図3
図4
図5
図6