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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119678
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/12 20060101AFI20230822BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20230822BHJP
   H05B 33/26 20060101ALI20230822BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20230822BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
H05B33/12 E
H05B33/14 A
H05B33/26 Z
H05B33/12 B
H05B33/22 Z
G02B5/20 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022661
(22)【出願日】2022-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000221926
【氏名又は名称】東北パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】高橋 純
【テーマコード(参考)】
2H148
3K107
【Fターム(参考)】
2H148BE15
2H148BG06
2H148BH28
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107CC45
3K107DD11
3K107DD24
3K107DD29
3K107DD44X
3K107DD44Y
3K107DD46X
3K107DD46Y
3K107DD89
3K107EE22
3K107EE23
3K107EE24
3K107GG04
(57)【要約】
【課題】DMD電極及びカラーフィルタ層の双方を簡易に形成する。
【解決手段】発光装置10Aは、基板100A、封止部材110A、カラー有機EL素子200A、2つの白色有機EL素子200A´、絶縁層310A及び隔壁320Aを備えている。カラー有機EL素子200Aは、DMD電極210A、有機層220A及び陰極230Aを有している。各白色有機EL素子200A´は、陽極210A´、有機層220A及び陰極230Aを有している。DMD電極210Aは、金属層212A、誘電体層214A及びカラーフィルタ層216Aを含んでいる。陽極210A´は、カラーフィルタ層216Aを有さず、金属層212A及び誘電体層214Aを有している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極と、
少なくとも一部分が前記電極の少なくとも一部分と重なる有機層と、
を備え、
前記電極が、
金属層と、
前記金属層の前記有機層が位置する側と、前記金属層の前記有機層が位置する側の反対側と、の一方に位置する誘電体層と、
前記金属層の前記有機層が位置する側と、前記金属層の前記有機層が位置する側の反対側と、の他方に位置するカラーフィルタ層と、
を有する、発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置において、
複数の前記有機層を互いに隔てる隔壁をさらに備え、
複数の前記金属層が前記隔壁によって互いに隔てられ、
複数の前記誘電体層が前記隔壁によって互いに隔てられている、発光装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の発光装置において、
前記カラーフィルタ層が、ルブレン系色素、クマリン系色素及びスチリル系色素からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、発光装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の発光装置において、
前記金属層が、銀、金及び銅からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、発光装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の発光装置において、
前記誘電体層が金属酸化物を含有する、発光装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の発光装置において、
前記カラーフィルタ層が蒸着層である、発光装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の発光装置において、
前記カラーフィルタ層が、前記有機層から発せられた光を吸収して蛍光を発する、発光装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の発光装置において、
基板をさらに備え、
前記電極が前記基板と前記有機層との間に位置する、発光装置。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか一項に記載の発光装置において、
基板をさらに備え、
前記有機層が前記基板と前記電極との間に位置する、発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子を備える様々な発光装置が開発されている。例えば特許文献1に記載されているように、発光装置は、顔料及び有機染料の少なくとも一方を蒸着して形成されたカラーフィルタ層を備えていることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-175879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、有機EL素子を有する発光装置の透明電極として、金属層と、金属層の両面上に積層された誘電体層と、を有するDMD(Dielectric-Metal-Dielectric)電極が検討されている。また、例えば特許文献1に記載されているように、カラーフィルタ層によって発光装置から発せられる光の色を調整することがある。しかしながら、DMD電極及びカラーフィルタ層を別々に設けた場合、DMD電極を形成する工程及びカラーフィルタ層を形成する工程の双方が必要になる。このため、発光装置の製造プロセスが複雑になり得る。
【0005】
本発明が解決しようとする課題としては、DMD電極及びカラーフィルタ層の双方を簡易に形成することが一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、
電極と、
少なくとも一部分が前記電極の少なくとも一部分と重なる有機層と、
を備え、
前記電極が、
金属層と、
前記金属層の前記有機層が位置する側と、前記金属層の前記有機層が位置する側の反対側と、の一方に位置する誘電体層と、
前記金属層の前記有機層が位置する側と、前記金属層の前記有機層が位置する側の反対側と、の他方に位置するカラーフィルタ層と、
を有する、発光装置である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態1に係る発光装置の断面模式図である。
図2】実施形態1に係る発光装置のカラー有機EL素子の断面模式図である。
図3】実施形態2に係る発光装置のカラー有機EL素子の断面模式図である。
図4】実施形態3に係る発光装置のカラー有機EL素子の断面模式図である。
図5】実施形態4に係る発光装置のカラー有機EL素子の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において「AがB上に位置する」という表現は、例えば、AとBの間に他の要素(例えば、層)が位置せずにAがB上に直接位置することを意味してもよいし、又はAとBの間に他の要素(例えば、層)が部分的又は全面的に位置することを意味してもよい。さらに、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」及び「後ろ」等の向きを示す表現は、基本的に図面の向きと合わせて用いるものであって、例えば本明細書に記載された発明品の使用する向きに限定して解釈されるものではない。
【0009】
本明細書において「A及びBが重なる」という表現は、特に断らない限り、ある方向からの投影像において、Aの少なくとも一部がBの少なくとも一部と同じ場所にあることを意味する。このとき複数の要素同士は直接接していてもよいし、又は離間していてもよい。
【0010】
本明細書中における陽極とは、発光材料を含む層(例えば有機層)に正孔を注入する電極のことを示し、陰極とは、発光材料を含む層に電子を注入する電極のことを示す。また、「陽極」及び「陰極」という表現は、「正孔注入電極」及び「電子注入電極」又は「正極」及び「負極」等の他の文言を意味することもある。
【0011】
本明細書において「Aの端」という表現は、一方向から見たときのAとその他の要素との境界を意味し、「Aの端部」という表現は、当該境界を含むAの一部の領域を意味し、「Aの端点」という表現は、当該境界のある一点を意味する。
【0012】
本明細書における「発光装置」とは、ディスプレイや照明等の発光素子を有するデバイスを含む。また、発光素子と直接的、間接的又は電気的に接続された配線、IC(集積回路)又は筐体等も「発光装置」に含む場合もある。
【0013】
本明細書において「接続」とは、複数の要素が直接的又は間接的を問わずに接続している状態を表す。例えば、複数の要素の間に接着剤又は接合部材が介して接続している場合も単に「複数の要素は接続している」と表現することがある。また、複数の要素の間に、電流、電圧又は電位を供給可能又は伝送可能な部材が存在しており、「複数の要素が電気的に接続している」場合も単に「複数の要素は接続している」と表現することがある。
【0014】
本明細書において、特に断りがない限り「第1、第2、A、B、(a)、(b)」等の表現は要素を区別するためのものであり、その表現により該当要素の本質、順番、順序又は個数等が限定されるものではない。
【0015】
本明細書において、各部材及び各要素は単数であってもよいし、又は複数であってもよい。ただし、文脈上、「単数」又は「複数」が明確になっている場合はこれに限らない。
【0016】
本明細書において、「AがBを含む」という表現は、特に断らない限り、AがBのみによって構成されていることに限定されず、AがB以外の要素によって構成され得ることを意味する。
【0017】
本明細書において「断面」とは、特に断らない限り、発光装置を画素や発光材料等が積層した方向に切断したときに現れる面を意味する。
【0018】
本明細書において「有さない」、「含まない」、「位置しない」等の表現は、ある要素が完全に排除されていることを意味してもよいし、又はある要素が技術的な効果を有さない程度に存在していることを意味してもよい。
【0019】
本明細書において、「~後に」、「~に続いて」、「~次に」、「~前に」等の時間的前後関係を説明する表現は、相対的な時間関係を表しているものであり、時間的前後関係が用いられた各要素が必ずしも連続しているとは限らない。各要素が連続していることを表現する場合、「直ちに」又は「直接」等の表現を用いることがある。
【0020】
本明細書において「AがBを覆う」という表現は、特に断らない限り、AとBの間に他の要素(例えば、層)が位置せずにAがBに接触することを意味してもよいし、又はAとBの間に他の要素(例えば、層)が部分的又は全面的に位置することを意味してもよい。
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0022】
図1は、実施形態1に係る発光装置10Aの断面模式図である。
【0023】
図1において、第1方向X又は第3方向Zを示す矢印は、当該矢印の基端から先端に向かう方向が当該矢印によって示される方向の正方向であり、当該矢印の先端から基端に向かう方向が当該矢印によって示される方向の負方向であることを示している。第2方向Yを示すX付き白丸は、紙面の手前から奥に向かう方向が第2方向Yの正方向であり、紙面の奥から手前に向かう方向が第2方向Yの負方向であることを示している。
【0024】
図1において、第1方向Xは、後述するカラー有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子200Aと2つの白色有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子200A´との配列方向である。第1方向Xの正方向は、カラー有機EL素子200Aが位置する側から2つの白色有機EL素子200A´が位置する側に向かう方向である。第1方向Xの負方向は、2つの白色有機EL素子200A´が位置する側からカラー有機EL素子200Aが位置する側に向かう方向である。第2方向Yは、第1方向Xに直交している。第3方向Zは、第1方向X及び第2方向Yの双方に直交している。第3方向Zの正方向は、後述する基板100Aが位置する側から封止部材110Aが位置する側に向かう方向である。第3方向Zの負方向は、封止部材110Aが位置する側から基板100Aが位置する側に向かう方向である。
【0025】
実施形態1に係る発光装置10Aは、基板100A、封止部材110A、カラー有機EL素子200A、2つの白色有機EL素子200A´、絶縁層310A及び隔壁320Aを備えている。カラー有機EL素子200Aは、DMD(Dielectric-Metal-Dielectric)電極210A、有機層220A及び陰極230Aを有している。各白色有機EL素子200A´は、陽極210A´、有機層220A及び陰極230Aを有している。DMD電極210Aは、金属層212A、誘電体層214A及びカラーフィルタ層216Aを含んでいる。陽極210A´は、カラーフィルタ層216Aを有さず、金属層212A及び誘電体層214Aを有している。
【0026】
基板100Aは、透光性を有している。基板100Aの可視光に対する透過率は、例えば、75%以上100%以下である。基板100Aは、例えば、ガラス基板又は樹脂基板である。基板100Aは、可撓性を有していてもよい。基板100Aが樹脂基板である場合、基板100Aは、例えば、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PES(ポリエーテルサルホン)、PET(ポリエチレンテレフタラート)、ポリイミド等の有機材料からなっている。この場合、基板100Aの第3方向Zの正方向側の面及び負方向側の面の少なくとも一方は、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物等の無機バリア層によって覆われていてもよい。
【0027】
封止部材110Aは、基板100Aの第3方向Zの正方向側の面のカラー有機EL素子200A、2つの白色有機EL素子200A´、絶縁層310A及び隔壁320Aが位置する部分を覆っている。これによって、封止部材110Aは、基板100Aとともに封止領域を画定している。図1に示す例において、封止部材110Aは封止缶である。封止部材110Aは、封止領域の第3方向Zに垂直な方向の周辺において、基板100Aの第3方向Zの正方向側の面と接着剤を介して接着されている。封止領域の内部は、中空となっている。また、封止部材110Aのカラー有機EL素子200A及び2つの白色有機EL素子200A´と第3方向Zに重なる部分の第3方向Zの負方向側の面には、乾燥剤112Aが設けられている。ただし、封止領域の内部は、中空でなく、樹脂等の充填剤によって中実になっていてもよい。また、封止領域の画定方法は、図1に示す例に限定されない。例えば、原子層堆積(ALD)によって形成された無機層等の封止層によってカラー有機EL素子200A、白色有機EL素子200A´、絶縁層310A及び隔壁320Aを覆うことで、封止領域を画定してもよい。
【0028】
図2を用いて詳細を後述するように、カラー有機EL素子200Aは、カラー有機EL素子200Aに設けられた有機層220Aから発せられた白色光をカラーフィルタ層216Aによって変換することで、白色と異なる色の光を発している。カラー有機EL素子200Aから発せられた光は、基板100Aを透過して基板100Aの第3方向Zの負方向側の面から第3方向Zの負方向側に向けて出射されている。
【0029】
白色有機EL素子200A´の積層構造は、陽極210A´がカラーフィルタ層216Aを有しない点を除いて、カラー有機EL素子200Aの積層構造と同一となっている。白色有機EL素子200A´は、白色有機EL素子200A´に設けられた有機層220Aから発せられた白色光によって白色光を発している。白色有機EL素子200A´から発せられた白色光は、基板100Aを透過して基板100Aの第3方向Zの負方向側の面から第3方向Zの負方向側に向けて出射されている。
【0030】
絶縁層310Aは、基板100Aの第3方向Zの正方向側の面上に位置している。絶縁層310Aは、例えば、ポリイミド等の有機絶縁層又はシリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン酸窒化物等の無機絶縁層である。図1に示す断面において、絶縁層310Aは、第1開口312A、第2開口314A及び第3開口316Aを画定している。第1開口312A、第2開口314A及び第3開口316Aは、第3方向Zの正方向側に向けて開口している。第1開口312Aは、第2開口314Aに対して第1方向Xの負方向側に位置している。第2開口314Aは、第1方向Xにおいて第1開口312A及び第3開口316Aの間に位置している。第3開口316Aは、第2開口314Aに対して第1方向Xの正方向側に位置している。
【0031】
第1開口312Aでは、DMD電極210Aの少なくとも一部分と、有機層220Aの少なくとも一部分と、陰極230Aの少なくとも一部分と、が第3方向Zに重なっている。したがって、第3方向Zの負方向側から見たときのカラー有機EL素子200Aの発光部の形状は、第1開口312Aの形状と実質的に同一となっている。すなわち、絶縁層310Aは、第3方向Zの負方向側から見たときのカラー有機EL素子200Aの発光部の形状を画定している。
【0032】
第2開口314A及び第3開口316Aの各々では、陽極210A´の少なくとも一部分と、有機層220Aの少なくとも一部分と、陰極230Aの少なくとも一部分と、が第3方向Zに重なっている。したがって、第3方向Zの負方向側から見たときの第2開口314Aに設けられた白色有機EL素子200A´の発光部の形状は、第2開口314Aの形状と実質的に同一となっている。すなわち、絶縁層310Aは、第3方向Zの負方向側から見たときの第2開口314Aに設けられた白色有機EL素子200A´の発光部の形状を画定している。同様にして、第3方向Zの負方向側から見たときの第3開口316Aに設けられた白色有機EL素子200A´の発光部の形状は、第3開口316Aの形状と実質的に同一となっている。すなわち、絶縁層310Aは、第3方向Zの負方向側から見たときの第3開口316Aに設けられた白色有機EL素子200A´の発光部の形状を画定している。
【0033】
隔壁320Aは、絶縁層310Aの第3方向Zの正方向側の面上に位置している。図1に示す断面では、第1開口312Aの第1方向Xの負方向側と、第1方向Xにおいて第1開口312A及び第2開口314Aの間と、第1方向Xにおいて第2開口314A及び第3開口316Aの間と、第3開口316Aの第1方向Xの正方向側と、の4箇所に隔壁320Aが位置している。図1に示す断面において、各箇所の隔壁320Aの第1方向Xの幅は、隔壁320Aの第3方向Zの負方向側の端部から隔壁320Aの第3方向Zの正方向側の端部に向かうにつれて増加している。
【0034】
図1に示す例では、第1方向Xにおいて第1開口312A及び第2開口314Aの間に位置する隔壁320Aは、第1開口312Aに設けられたカラー有機EL素子200Aの金属層212A、誘電体層214A、有機層220A及び陰極230Aと、第2開口314Aに設けられた白色有機EL素子200A´の金属層212A、誘電体層214A、有機層220A及び陰極230Aと、をそれぞれ互いに隔てている。また、第1方向Xにおいて第2開口314A及び第3開口316Aの間に位置する隔壁320Aは、第2開口314Aに設けられた白色有機EL素子200A´の金属層212A、誘電体層214A、有機層220A及び陰極230Aと、第3開口316Aに設けられた白色有機EL素子200A´の金属層212A、誘電体層214A、有機層220A及び陰極230Aと、をそれぞれ互いに隔てている。
【0035】
図2は、実施形態1に係る発光装置10Aのカラー有機EL素子200Aの断面模式図である。図2では、説明を簡易化するため、図1に示した第1方向X及び第2方向Yは示していない。
【0036】
まず、図2を参照して、カラー有機EL素子200AのDMD電極210A、有機層220A及び陰極230Aについて説明する。
【0037】
DMD電極210Aは、陽極として機能している。したがって、DMD電極210Aに代えてITO(Indium Tin Oxide)等の酸化物半導体の単層の電極が陽極として用いられる場合と比較して、DMD電極210Aの導電率及び透過率を向上させることができる。
【0038】
有機層220Aは、発光層222A、正孔輸送層224A及び電子輸送層226Aを有している。発光層222Aは、第3方向Zにおいて正孔輸送層224A及び電子輸送層226Aの間に位置している。発光層222Aは、白色光を発する発光ドーパントを含有している。正孔輸送層224Aは、発光層222Aの第3方向Zの負方向側に位置している。すなわち、正孔輸送層224Aは、第3方向Zにおいて発光層222A及びDMD電極210Aの間に位置している。電子輸送層226Aは、発光層222Aの第3方向Zの正方向側に位置している。すなわち、電子輸送層226Aは、第3方向Zにおいて発光層222A及び陰極230Aの間に位置している。
【0039】
陰極230Aは、電子輸送層226Aの第3方向Zの正方向側に位置している。陰極230Aの第3方向Zの負方向側の面は、電子輸送層226Aの第3方向Zの正方向側の面と接している。ただし、電子輸送層226Aの第3方向Zの正方向側の面と陰極230Aの第3方向Zの負方向側の面との間には、電子輸送層226A及び陰極230Aと異なる層が位置していてもよい。陰極230Aは、遮光性、具体的には光反射性を有している。このため、有機層220Aから発せられた白色光は、陰極230Aをほとんど透過せずにDMD電極210Aへ向けて照射される。陰極230Aは、例えば、Al、Au、Ag、Pt、Mg、Sn、Zn及びInからなる群の中から選択される少なくとも1つの金属又はこの群から選択される金属の合金を含有している。ただし、陰極230Aに含有される材料はこの例に限定されない。
【0040】
次に、図2を参照して、DMD電極210Aの金属層212A、誘電体層214A及びカラーフィルタ層216Aについて説明する。
【0041】
金属層212Aは、第3方向Zにおいて誘電体層214A及びカラーフィルタ層216Aの間に位置している。
【0042】
金属層212Aは、例えば、銀、金及び銅からなる群から選択される少なくとも1つを含有している。ただし、金属層212Aに含有される材料はこの例に限定されない。金属層212Aは、透光性を有している。すなわち、金属層212Aの第3方向Zの厚さは、有機層220Aから発せられた光が透過可能な厚さとなっている。有機層220Aから発せられた光の金属層212Aによる吸収を抑制する観点からすると、金属層212Aは、銀を含有することが好ましい。
【0043】
誘電体層214Aは、金属層212Aの第3方向Zの正方向側に位置している。すなわち、誘電体層214Aは、第3方向Zにおいて金属層212A及び正孔輸送層224Aの間に位置している。誘電体層214Aの第3方向Zの負方向側の面は、金属層212Aの第3方向Zの正方向側の面と接している。誘電体層214Aの第3方向Zの正方向側の面は、正孔輸送層224Aの第3方向Zの負方向側の面と接している。ただし、金属層212Aの第3方向Zの正方向側の面と誘電体層214Aの第3方向Zの負方向側の面との間には、金属層212A及び誘電体層214Aと異なる層が位置していてもよい。正孔輸送層224Aの第3方向Zの負方向側の面と誘電体層214Aの第3方向Zの正方向側の面との間には、正孔輸送層224A及び誘電体層214Aと異なる層が位置していてもよい。
【0044】
誘電体層214Aは、MoO等のモリブデン酸化物、WO等のタングステン酸化物、ReO等のレニウム酸化物といった金属酸化物を含有している。ただし、誘電体層214Aに含有される材料はこの例に限定されない。誘電体層214Aは、透光性を有している。
【0045】
カラーフィルタ層216Aは、金属層212Aの第3方向Zの負方向側に位置している。すなわち、カラーフィルタ層216Aは、第3方向Zにおいて基板100A及び金属層212Aの間に位置している。カラーフィルタ層216Aの第3方向Zの正方向側の面は、金属層212Aの第3方向Zの負方向側の面と接している。カラーフィルタ層216Aの第3方向Zの負方向側の面は、基板100Aの第3方向Zの正方向側の面と接している。ただし、金属層212Aの第3方向Zの負方向側の面とカラーフィルタ層216Aの第3方向Zの正方向側の面との間には、金属層212A及びカラーフィルタ層216Aと異なる層が位置していてもよい。基板100Aの第3方向Zの正方向側の面とカラーフィルタ層216Aの第3方向Zの負方向側の面との間には、基板100A及びカラーフィルタ層216Aと異なる層が位置していてもよい。
【0046】
実施形態1において、カラーフィルタ層216Aは、DMD電極210Aを構成する誘電体となっている。したがって、DMD電極及びカラーフィルタ層を別々に設けた場合と比較して、DMD電極及びカラーフィルタ層の双方を簡易に形成することができる。
【0047】
実施形態1において、カラーフィルタ層216Aは、発光層222Aから発せられた白色光を吸収する発光ドーパントを含有している。カラーフィルタ層216Aは、例えば、ルブレン系色素、クマリン系色素及びスチリル系色素からなる群から選択される少なくとも1つを含有している。ただし、カラーフィルタ層216Aに含有される材料はこの例に限定されない。当該発光ドーパントは、発光層222Aから発せられた白色光を吸収して白色と異なる色の蛍光を発する。これによって、カラーフィルタ層216Aは、発光層222Aから発せられた白色光を白色と異なる色の光に変換することができる。当該発光ドーパントによって吸収される白色光の量を増加させる観点から、カラーフィルタ層216Aに含有される発光ドーパントの吸収スペクトルと、発光層222Aに含有される発光ドーパントの発光スペクトルと、の重なりは比較的大きいことが好ましい。
【0048】
実施形態1においては、カラーフィルタ層216Aが発光層222Aから発せられた白色光の一部分の波長の光を吸収するフィルタである場合と比較して、カラーフィルタ層216Aの第3方向Zの厚さを薄くすることができる。したがって、実施形態1においては、ステップカバレッジのためのオーバコート層によってカラーフィルタ層216Aを覆わなくても済むようにすることができる。ただし、発光層222Aから発せられた白色光をカラーフィルタ層216Aによって変換する方法は、上述した例に限定されない。例えば、カラーフィルタ層216Aは、発光層222Aから白色光の一部分の波長の光を吸収するフィルタであってもよい。
【0049】
実施形態1において、カラーフィルタ層216Aは、樹脂系材料を含有させなくてもよい。このため、実施形態1においては、カラーフィルタ層216Aが樹脂系材料を含有する場合にカラーフィルタ層216Aから発生するガスから有機層220Aを保護するためのガスバリア層を形成しなくても済むようにすることができる。
【0050】
実施形態1においては、第3方向Zにおいて金属層212A及び正孔輸送層224Aの間に誘電体層214Aが位置している。このため、第3方向Zにおいて金属層212A及び正孔輸送層224Aの間にカラーフィルタ層216Aが位置する場合と比較して、発光層222A及び誘電体層214Aの間の正電荷注入障壁を小さくすることができる。したがって、第3方向Zにおいて金属層212A及び正孔輸送層224Aの間にカラーフィルタ層216Aが位置する場合と比較して、カラー有機EL素子200Aの駆動電圧を低くすることができ、カラー有機EL素子200Aの発光効率を向上させることができる。
【0051】
カラー有機EL素子200Aの積層構造は、図2に示す例に限定されない。例えば、第3方向Zにおいて誘電体層214A及び正孔輸送層224Aの間には、正孔注入層が位置していてもよい。また、第3方向Zにおいて陰極230A及び電子輸送層226Aの間には、電子注入層が位置していてもよい。
【0052】
次に、図1及び図2を参照して、実施形態1に係る発光装置10Aの製造方法について説明する。
【0053】
まず、基板100Aの第3方向Zの正方向側の面上にリソグラフィによって絶縁層310Aを形成する。次いで、絶縁層310Aの第3方向Zの正方向側の面上にリソグラフィによって隔壁320Aを形成する。
【0054】
次いで、基板100Aの第3方向Zの正方向側の面の第1開口312Aと第3方向Zに重なる領域上にカラーフィルタ層216Aを蒸着によって形成する。例えば、マスクを用いた蒸着によって、基板100Aの第3方向Zの正方向側の面の第2開口314A及び第3開口316Aと第3方向Zに重なる領域上にはカラーフィルタ層216Aが形成されないようにする。
【0055】
次いで、基板100Aの第3方向Zの正方向側の面の第1開口312A、第2開口314A及び第3開口316Aと第3方向Zに重なる領域上に金属層212Aを蒸着によって形成する。これによって、第1開口312Aに形成される金属層212Aと、第2開口314Aに形成される金属層212Aと、が第1方向Xにおいて第1開口312A及び第2開口314Aの間に位置する隔壁320Aによって分離される。また、第2開口314Aに形成される金属層212Aと、第3開口316Aに形成される金属層212Aと、が第1方向Xにおいて第2開口314A及び第3開口316Aの間に位置する隔壁320Aによって分離される。
【0056】
次いで、基板100Aの第3方向Zの正方向側の面の第1開口312A、第2開口314A及び第3開口316Aと第3方向Zに重なる領域上に誘電体層214Aを蒸着によって形成する。これによって、第1開口312Aに形成される誘電体層214Aと、第2開口314Aに形成される誘電体層214Aと、が第1方向Xにおいて第1開口312A及び第2開口314Aの間に位置する隔壁320Aによって分離される。また、第2開口314Aに形成される誘電体層214Aと、第3開口316Aに形成される誘電体層214Aと、が第1方向Xにおいて第2開口314A及び第3開口316Aの間に位置する隔壁320Aによって分離される。
【0057】
実施形態においては、カラー有機EL素子200Aにおける金属層212A及び誘電体層214Aと、白色有機EL素子200A´における金属層212A及び誘電体層214Aと、を同一工程で形成している。このため、カラー有機EL素子200Aにおける金属層212A及び誘電体層214Aと、白色有機EL素子200A´における金属層212A及び誘電体層214Aと、が異なる工程で形成されている場合と比較して、発光装置10Aの製造プロセスを簡易にすることができる。
【0058】
次いで、基板100Aの第3方向Zの正方向側の面の第1開口312A、第2開口314A及び第3開口316Aと第3方向Zに重なる領域上に有機層220Aを蒸着によって形成する。これによって、第1開口312Aに形成される有機層220Aと、第2開口314Aに形成される有機層220Aと、が第1方向Xにおいて第1開口312A及び第2開口314Aの間に位置する隔壁320Aによって分離される。また、第2開口314Aに形成される有機層220Aと、第3開口316Aに形成される有機層220Aと、が第1方向Xにおいて第2開口314A及び第3開口316Aの間に位置する隔壁320Aによって分離される。
【0059】
次いで、基板100Aの第3方向Zの正方向側の面の第1開口312A、第2開口314A及び第3開口316Aと第3方向Zに重なる領域上に陰極230Aを蒸着によって形成する。これによって、第1開口312Aに形成される陰極230Aと、第2開口314Aに形成される陰極230Aと、が第1方向Xにおいて第1開口312A及び第2開口314Aの間に位置する隔壁320Aによって分離される。また、第2開口314Aに形成される陰極230Aと、第3開口316Aに形成される陰極230Aと、が第1方向Xにおいて第2開口314A及び第3開口316Aの間に位置する隔壁320Aによって分離される。
【0060】
実施形態では、カラーフィルタ層216A、誘電体層214A、金属層212A、有機層220A及び陰極230Aのいずれもが蒸着によって形成されている。すなわち、カラーフィルタ層216A、誘電体層214A、金属層212A、有機層220A及び陰極230Aのいずれもが蒸着層となっている。したがって、カラーフィルタ層216A、誘電体層214A、金属層212A、有機層220A及び陰極230Aのいずれも同一の真空装置で形成することができる。ただし、発光装置10Aの製造方法は、この例に限定されない。例えば、カラーフィルタ層216Aは、蒸着と異なる方法で形成されてもよい。
【0061】
図3は、実施形態2に係る発光装置10Bのカラー有機EL素子200Bの断面模式図である。実施形態2に係る発光装置10Bは、以下の点を除いて、実施形態1に係る発光装置10Aと同様である。
【0062】
実施形態2に係るカラー有機EL素子200Bは、DMD電極210B、有機層220B及び陰極230Bを有している。DMD電極210Bは、金属層212B、誘電体層214B及びカラーフィルタ層216Bを含んでいる。有機層220Bは、発光層222B、正孔輸送層224B及び電子輸送層226Bを含んでいる。
【0063】
実施形態2に係る誘電体層214Bは、金属層212Bの第3方向Zの負方向側に位置している。すなわち、誘電体層214Bは、第3方向Zにおいて基板100B及び金属層212Bの間に位置している。誘電体層214Bの第3方向Zの正方向側の面は、金属層212Bの第3方向Zの負方向側の面と接している。誘電体層214Bの第3方向Zの負方向側の面は、基板100Bの第3方向Zの正方向側の面と接している。ただし、金属層212Bの第3方向Zの負方向側の面と誘電体層214Bの第3方向Zの正方向側の面との間には、金属層212B及び誘電体層214Bと異なる層が位置していてもよい。基板100Bの第3方向Zの正方向側の面と誘電体層214Bの第3方向Zの負方向側の面との間には、基板100B及び誘電体層214Bと異なる層が位置していてもよい。
【0064】
実施形態2に係るカラーフィルタ層216Bは、金属層212Bの第3方向Zの正方向側に位置している。すなわち、カラーフィルタ層216Bは、第3方向Zにおいて金属層212B及び正孔輸送層224Bの間に位置している。カラーフィルタ層216Bの第3方向Zの負方向側の面は、金属層212Bの第3方向Zの正方向側の面と接している。カラーフィルタ層216Bの第3方向Zの正方向側の面は、正孔輸送層224Bの第3方向Zの負方向側の面と接している。ただし、金属層212Bの第3方向Zの正方向側の面とカラーフィルタ層216Bの第3方向Zの負方向側の面との間には、金属層212B及びカラーフィルタ層216Bと異なる層が位置していてもよい。正孔輸送層224Bの第3方向Zの負方向側の面とカラーフィルタ層216Bの第3方向Zの正方向側の面との間には、正孔輸送層224B及びカラーフィルタ層216Bと異なる層が位置していてもよい。
【0065】
実施形態2において、発光層222Bは白色光を発している。カラーフィルタ層216Bは、発光層222Bから発せられた白色光を吸収して白色と異なる色の蛍光を発している。カラーフィルタ層216Bから発せられた蛍光は、金属層212B、誘電体層214B及び基板100Bを透過して、基板100Bの第3方向Zの負方向側の面から第3方向Zの負方向側に向けて出射される。
【0066】
実施形態2においても、実施形態1と同様にして、カラーフィルタ層216Bは、DMD電極210Bを構成する誘電体となっている。したがって、DMD電極及びカラーフィルタ層を別々に設けた場合と比較して、DMD電極及びカラーフィルタ層の双方を簡易に形成することができる。
【0067】
実施形態2において、カラーフィルタ層216Bは、第3方向Zにおいて金属層212Bに対して発光層222Bが位置する側に位置している。このため、実施形態2では、カラーフィルタ層216Bが第3方向Zにおいて金属層212Bに対して発光層222Bが位置する側の反対側に位置する場合と比較して、カラーフィルタ層216Bと発光層222Bとを第3方向Zにおいて互いに近づけることができる。したがって、実施形態2では、上述した場合と比較して、カラーフィルタ層216Bでの色変換に必要なエネルギー移動効率を向上させることができる。
【0068】
図4は、実施形態3に係る発光装置10Cのカラー有機EL素子200Cの断面模式図である。実施形態3に係る発光装置10Cは、以下の点を除いて、実施形態1に係る発光装置10Aと同様である。
【0069】
実施形態3において、DMD電極210Cは、有機層220Cの第3方向Zの正方向側に位置している。すなわち、DMD電極210Cは、第3方向Zにおいて有機層220Cに対して基板100Cが位置する側の反対側に位置している。
【0070】
実施形態3において、有機層220Cは、第3方向ZにおいてDMD電極210C及び陰極230Cの間に位置している。有機層220Cは、発光層222C、正孔輸送層224C及び電子輸送層226Cを有している。発光層222Cは、第3方向Zにおいて正孔輸送層224C及び電子輸送層226Cの間に位置している。正孔輸送層224Cは、発光層222Cの第3方向Zの正方向側に位置している。すなわち、正孔輸送層224Cは、第3方向Zにおいて発光層222C及びDMD電極210Cの間に位置している。電子輸送層226Cは、発光層222Cの第3方向Zの負方向側に位置している。すなわち、電子輸送層226Cは、第3方向Zにおいて発光層222C及び陰極230Cの間に位置している。
【0071】
陰極230Cは、有機層220Cの第3方向Zの負方向側に位置している。すなわち、陰極230Cは、第3方向Zにおいて基板100C及び有機層220Cの間に位置している。
【0072】
実施形態3において、金属層212Cは、第3方向Zにおいて誘電体層214C及びカラーフィルタ層216Cの間に位置している。
【0073】
実施形態3において、誘電体層214Cは、金属層212Cの第3方向Zの負方向側に位置している。すなわち、実施形態3に係る誘電体層214Cは、第3方向Zにおいて金属層212C及び正孔輸送層224Cの間に位置している。誘電体層214Cの第3方向Zの正方向側の面は、金属層212Cの第3方向Zの負方向側の面と接している。誘電体層214Cの第3方向Zの負方向側の面は、正孔輸送層224Cの第3方向Zの正方向側の面と接している。ただし、金属層212Cの第3方向Zの負方向側の面と誘電体層214Cの第3方向Zの正方向側の面との間には、金属層212C及び誘電体層214Cと異なる層が位置していてもよい。正孔輸送層224Cの第3方向Zの正方向側の面と誘電体層214Cの第3方向Zの負方向側の面との間には、正孔輸送層224C及び誘電体層214Cと異なる層が位置していてもよい。
【0074】
実施形態3に係るカラーフィルタ層216Cは、金属層212Cの第3方向Zの正方向側に位置している。カラーフィルタ層216Cの第3方向Zの負方向側の面は、金属層212Cの第3方向Zの正方向側の面と接している。ただし、金属層212Cの第3方向Zの正方向側の面とカラーフィルタ層216Cの第3方向Zの負方向側の面との間には、金属層212C及びカラーフィルタ層216Cと異なる層が位置していてもよい。
【0075】
実施形態3において、発光層222Cは白色光を発している。陰極230Cは、光反射性を有している。このため、発光層222Cから発せられた光は、陰極230Cをほとんど透過せずに誘電体層214C及び金属層212Cを透過してカラーフィルタ層216Cに入射する。カラーフィルタ層216Cは、発光層222Cから発せられた白色光を吸収して白色と異なる色の蛍光を発している。カラーフィルタ層216Cから発せられた蛍光は、カラーフィルタ層216Cの第3方向Zの正方向側の面から照射され、カラーフィルタ層216Cの第3方向Zの正方向側に位置する不図示の封止部材を透過して第3方向Zの正方向側に向けて出射される。
【0076】
実施形態3においても、実施形態1と同様にして、カラーフィルタ層216Cは、DMD電極210Cを構成する誘電体となっている。したがって、DMD電極及びカラーフィルタ層を別々に設けた場合と比較して、DMD電極及びカラーフィルタ層の双方を簡易に形成することができる。
【0077】
実施形態3においても、実施形態1と同様にして、第3方向Zにおいて金属層212C及び正孔輸送層224Cの間に誘電体層214Cが位置している。このため、第3方向Zにおいて金属層212C及び正孔輸送層224Cの間にカラーフィルタ層216Cが位置する場合と比較して、発光層222C及び誘電体層214Cの間の正電荷注入障壁を小さくすることができる。したがって、第3方向Zにおいて金属層212C及び正孔輸送層224Cの間にカラーフィルタ層216Cが位置する場合と比較して、カラー有機EL素子200Cの駆動電圧を低くすることができ、カラー有機EL素子200Cの発光効率を向上させることができる。
【0078】
図5は、実施形態4に係る発光装置10Dのカラー有機EL素子200Dの断面模式図である。実施形態4に係る発光装置10Dは、以下の点を除いて、実施形態3に係る発光装置10Cと同様である。
【0079】
実施形態4に係るカラー有機EL素子200Dは、DMD電極210D、有機層220D及び陰極230Dを有している。DMD電極210Dは、第3方向Zにおいて有機層220Dに対して基板100Dが位置する側の反対側に位置している。DMD電極210Dは、金属層212D、誘電体層214D及びカラーフィルタ層216Dを含んでいる。有機層220Dは、発光層222D、正孔輸送層224D及び電子輸送層226Dを含んでいる。陰極230Dは、第3方向Zにおいて基板100D及び有機層220Dの間に位置している。
【0080】
実施形態4に係る誘電体層214Dは、金属層212Dの第3方向Zの正方向側に位置している。誘電体層214Dの第3方向Zの負方向側の面は、金属層212Dの第3方向Zの正方向側の面と接している。ただし、金属層212Dの第3方向Zの正方向側の面と誘電体層214Dの第3方向Zの負方向側の面との間には、金属層212D及び誘電体層214Dと異なる層が位置していてもよい。
【0081】
実施形態4に係るカラーフィルタ層216Dは、金属層212Dの第3方向Zの負方向側に位置している。すなわち、カラーフィルタ層216Dは、第3方向Zにおいて金属層212D及び正孔輸送層224Dの間に位置している。カラーフィルタ層216Dの第3方向Zの正方向側の面は、金属層212Dの第3方向Zの負方向側の面と接している。カラーフィルタ層216Dの第3方向Zの負方向側の面は、正孔輸送層224Dの第3方向Zの正方向側の面と接している。ただし、金属層212Dの第3方向Zの負方向側の面とカラーフィルタ層216Dの第3方向Zの正方向側の面との間には、金属層212D及びカラーフィルタ層216Dと異なる層が位置していてもよい。正孔輸送層224Dの第3方向Zの正方向側の面とカラーフィルタ層216Dの第3方向Zの負方向側の面との間には、正孔輸送層224D及びカラーフィルタ層216Dと異なる層が位置していてもよい。
【0082】
実施形態4において、発光層222Dは白色光を発している。カラーフィルタ層216Dは、発光層222Dから発せられた白色光を吸収して白色と異なる色の蛍光を発する。カラーフィルタ層216Dから発せられた蛍光は、金属層212D及び誘電体層214Dを透過して、誘電体層214Dの第3方向Zの正方向側に位置する不図示の封止部材を透過して第3方向Zの正方向側に向けて出射される。
【0083】
実施形態4においても、実施形態1と同様にして、カラーフィルタ層216Dは、DMD電極210Dを構成する誘電体となっている。したがって、DMD電極及びカラーフィルタ層を別々に設けた場合と比較して、DMD電極及びカラーフィルタ層の双方を簡易に形成することができる。
【0084】
実施形態4においても、実施形態2と同等にして、カラーフィルタ層216Dは、第3方向Zにおいて金属層212Dに対して発光層222Dが位置する側に位置している。このため、実施形態4では、カラーフィルタ層216Dが第3方向Zにおいて金属層212Dに対して発光層222Dが位置する側の反対側に位置する場合と比較して、カラーフィルタ層216Dと発光層222Dとを第3方向Zにおいて互いに近づけることができる。したがって、実施形態4では、上述した場合と比較して、カラーフィルタ層216Dでの色変換に必要なエネルギー移動効率を向上させることができる。
【0085】
以上、図面を参照して実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0086】
10A 発光装置
10B 発光装置
10C 発光装置
10D 発光装置
100A 基板
100B 基板
100C 基板
100D 基板
110A 封止部材
112A 乾燥剤
200A カラー有機EL素子
200A´ 白色有機EL素子
200B カラー有機EL素子
200C カラー有機EL素子
200D カラー有機EL素子
210A DMD電極
210A´ 陽極
210B DMD電極
210C DMD電極
210D DMD電極
212A 金属層
212B 金属層
212C 金属層
212D 金属層
214A 誘電体層
214B 誘電体層
214C 誘電体層
214D 誘電体層
216A カラーフィルタ層
216B カラーフィルタ層
216C カラーフィルタ層
216D カラーフィルタ層
220A 有機層
220B 有機層
220C 有機層
220D 有機層
222A 発光層
222B 発光層
222C 発光層
222D 発光層
224A 正孔輸送層
224B 正孔輸送層
224C 正孔輸送層
224D 正孔輸送層
226A 電子輸送層
226B 電子輸送層
226C 電子輸送層
226D 電子輸送層
230A 陰極
230B 陰極
230C 陰極
230D 陰極
310A 絶縁層
312A 第1開口
314A 第2開口
316A 第3開口
320A 隔壁
X 第1方向
Y 第2方向
Z 第3方向
図1
図2
図3
図4
図5