(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119722
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】翼付き杭の製造方法及び設計方法
(51)【国際特許分類】
E02D 5/72 20060101AFI20230822BHJP
E02D 5/56 20060101ALI20230822BHJP
E02D 5/28 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
E02D5/72
E02D5/56
E02D5/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022722
(22)【出願日】2022-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127845
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 壽彦
(72)【発明者】
【氏名】市川 和臣
【テーマコード(参考)】
2D041
【Fターム(参考)】
2D041AA02
2D041BA35
2D041CA05
2D041DB02
(57)【要約】
【課題】疑似螺旋翼や平板翼を管端部に接合するに際して接合不良や応力集中が生じにくく性能の高い翼付き杭の製造方法及び設計方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る翼付き杭1の製造方法は、円筒状の管の先端面に、前記管の直径より大きな直径を持った平板翼5又は疑似螺旋翼を、管の中心軸に対して傾斜する軸方向傾斜した状態で取り付けた翼付き杭1の製造方法であって、平板翼5又は前記疑似螺旋翼の上面と当接する前記管の先端面に、前記軸方向傾斜すると共に径方向の傾斜である径方向傾斜した傾斜端面7を形成する傾斜端面形成ステップと、傾斜端面7に平板翼5又は前記疑似螺旋翼の上面を当接させて接合する翼接合ステップとを備え、前記傾斜端面形成ステップは、傾斜端面7が周方向の位置によって径方向の傾斜角度が変化することで、平板翼5又は前記疑似螺旋翼の上面と前記傾斜端面の板厚方向の全面で当接するように形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の管の先端面に、前記管の直径より大きな直径を持った平板翼又は疑似螺旋翼を、管の中心軸に対して傾斜する軸方向傾斜した状態で取り付ける翼付き杭の製造方法であって、
前記平板翼又は前記疑似螺旋翼の上面と当接する前記管の先端面に、前記軸方向傾斜すると共に径方向の傾斜である径方向傾斜した傾斜端面を形成する傾斜端面形成ステップと、
該傾斜端面に前記平板翼又は前記疑似螺旋翼の上面を当接させて接合する翼接合ステップとを備え、
前記傾斜端面形成ステップは、前記傾斜端面が周方向の位置によって径方向の傾斜角度が変化することで、前記平板翼又は前記疑似螺旋翼の上面と前記傾斜端面の板厚方向の全面とで当接するように形成する翼付き杭の製造方法。
【請求項2】
前記傾斜端面形成ステップは、管内面と管外面の全周に渡って切断用の線を設定し、前記管内面の切断用の線と前記管外面の切断用の線とを、管の板厚方向に結ぶようにして切断する請求項1に記載の翼付き杭の製造方法。
【請求項3】
円筒状の管の先端面に、前記管の直径より大きな直径を持った平板翼又は疑似螺旋翼を、管の中心軸に対して傾斜する軸方向傾斜した状態で取り付けた翼付き杭の設計方法であって、
前記平板翼又は前記疑似螺旋翼の上面と当接する前記管の先端面に、前記軸方向傾斜すると共に径方向の傾斜である径方向傾斜した傾斜端面を設定し、
該傾斜端面に前記平板翼又は前記疑似螺旋翼の上面を当接させて接合することとし、
前記傾斜端面の設定は、前記傾斜端面が周方向の位置によって径方向の傾斜角度が変化することで、前記平板翼又は前記疑似螺旋翼の上面と前記傾斜端面の板厚方向の全面とで当接するように設定する翼付き杭の設計方法。
【請求項4】
前記傾斜端面の設定は、管内面側の全周に亘る管内面線と、管外面側の全周に亘る管外面線とを設定し、前記管内面線と前記管外面線とを、管の板厚方向に結ぶようにして設定する請求項3に記載の翼付き杭の設計方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状の管の先端面に、平板翼又は疑似螺旋翼を、管の中心軸に対して傾斜した状態で取り付けた翼付き杭の製造方法及び設計方法に関する。
なお、本明細書において疑似螺旋翼とは、円板又はドーナツ状の板の一か所に半径方向の切断線を入れ、円板又はドーナツ状の板を切断箇所において上下方向に離すように変形させて疑似的な螺旋形状とした翼をいう。
【背景技術】
【0002】
鋼管杭の工法として、鋼管の先端面やその近傍に鋼管径より大きい先端翼を取り付け、地面に回転貫入させる翼付き鋼管杭が普及している。
このような翼付き鋼管杭の先端翼として、平板を簡易に曲げた疑似的な螺旋翼(以下、「疑似螺旋翼」という)(特許文献1参照)や、複数の平板を組み合わせて、鋼管軸に対して一定の傾斜をさせて取り付ける平板翼(特許文献2参照)が低コストな先端翼として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-220738号公報
【特許文献2】特開平9-324419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
翼の形状が厳密な螺旋状になっている螺旋翼の場合、鋼管の中心から半径方向に見ると螺旋翼は全周に渡って管軸に直角となっている。
しかし、疑似螺旋翼や平板翼の場合、鋼管の中心から半径方向に見ると翼が傾斜している。より具体的には、鋼管中心から見て翼の外周部が鋼管取り付け部より杭先端側にある方向では、鋼管外面と翼のなす角度が鋼管上部から見て鈍角となり、翼の外周部が鋼管取り付け側より杭頭側にある方向では前記角度が鋼管上部から見て鋭角となる。
【0005】
この点を、鋼管3の端部に半円状の平板翼5を2枚取り付けた翼付き鋼管杭11を例に挙げて
図6に基づいて説明する。
図6(a)は、翼付き鋼管杭11の先端部の側面図、
図6(b)は
図6(a)の矢視A-A図、
図6(c)は
図6(b)の矢視B-B図である。
【0006】
図6(c)に示されるように、鋼管3の中心から見て平板翼5の外周部が鋼管取り付け部より杭先端側にある方向における鋼管外面と平板翼5とのなす角度αは鈍角となり、平板翼5の外周部が鋼管取り付け側より杭頭側にある方向における鋼管外面と平板翼5との成す角度βは鋭角となっている。
【0007】
鋼管3の切断は、通常は鋼管外周面に、平板翼5の傾斜に合わせた罫書を入れた後、ガス等で鋼管表面に対して直角に行う。このため、切断面は鋼管3の外面に対して直角な平坦面13となり、このような平坦面13に平板翼5を合わせた場合、ほとんどの位置で鋼管外面か鋼管内面のどちらかしか平板翼5に接しない状態となり、接していない側には隙間Sが生じる(
図6(c)の拡大図参照)。
それ故、例えば平板翼5の接合を溶接で行う場合、外面側が接触している場合は通常の隅肉溶接が可能であるが、外面側に隙間Sがある場合には、中途半端に溶接ビードが隙間Sに溶け込む可能性があり、溶接欠陥が生じやすくなるだけでなく、無駄な溶接材料が必要になる。
また、杭に押込み荷重が作用した場合、溶接部および接触している部分でしか荷重を伝達しないため、局部的に非常に高い応力(応力集中)が生じる可能性がある。
このような問題は、平板翼5を溶接により接合する場合のみならず、構造用接着剤で接合する場合も同様である。
【0008】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、疑似螺旋翼や平板翼を管端部に接合するに際して接合不良や応力集中が生じにくく性能の高い翼付き杭の製造方法及び設計方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係る翼付き杭の製造方法は、円筒状の管の先端面に、前記管の直径より大きな直径を持った平板翼又は疑似螺旋翼を、管の中心軸に対して傾斜する軸方向傾斜した状態で取り付けた翼付き杭の製造方法であって、
前記平板翼又は前記疑似螺旋翼の上面と当接する前記管の先端面に、前記軸方向傾斜すると共に径方向の傾斜である径方向傾斜した傾斜端面を形成する傾斜端面形成ステップと、
該傾斜端面に前記平板翼又は前記疑似螺旋翼の上面を当接させて接合する翼接合ステップとを備え、
前記傾斜端面形成ステップは、前記傾斜端面が周方向の位置によって径方向の傾斜角度が変化することで、前記平板翼又は前記疑似螺旋翼の上面と前記傾斜端面の板厚方向の全面とで当接するように形成する。
【0010】
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、前記傾斜端面形成ステップは、管内面と管外面の全周に渡って切断用の線を設定し、前記管内面の切断用の線と前記管外面の切断用の線とを、管の板厚方向に結ぶようにして切断するものである。
【0011】
(3)本発明に係る翼付き杭の設計方法は、円筒状の管の先端面に、前記管の直径より大きな直径を持った平板翼又は疑似螺旋翼を、管の中心軸に対して傾斜する軸方向傾斜した状態で取り付けた翼付き杭の設計方法であって、
前記平板翼又は前記疑似螺旋翼の上面と当接する前記管の先端面に、前記軸方向傾斜すると共に径方向の傾斜である径方向傾斜した傾斜端面を設定し、
該傾斜端面に前記平板翼又は前記疑似螺旋翼の上面を当接させて接合することとし、
前記傾斜端面の設定は、前記傾斜端面が周方向の位置によって径方向の傾斜角度が変化することで、前記平板翼又は前記疑似螺旋翼の上面と前記傾斜端面の板厚方向の全面とで当接するように設定する。
【0012】
(4)また、上記(3)に記載のものにおいて、前記傾斜端面の設定は、管内面側の全周に亘る管内面線と、管外面側の全周に亘る管外面線とを設定し、前記管内面線と前記管外面線とを、管の板厚方向に結ぶようにして設定するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る翼付き杭の設計方法よれば、疑似螺旋翼や平板翼を管端部に接合するに際して接合不良や応力集中が生じにくく性能の高い杭を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施の形態に係る翼付き杭の製造方法で製造された翼付き杭の説明図である。
【
図2】本実施の形態に係る翼付き杭の製造方法のステップを説明する説明図である。
【
図3】鋼管の先端を鋼管表面に対して直角に切断し、平板翼を取り付けた場合に生ずる隙間を説明する説明図である。
【
図4】鋼管先端面における平板翼に接する鋼管外面及び鋼管内面の高さと周方向角度のとの関係を示すグラフである。
【
図5】鋼管表面に対して直角に切断した鋼管先端面に平板翼を取り付けた場合の隙間と周方向角度との関係を示すグラフである。
【
図6】鋼管表面に対して直角に切断した鋼管先端面に平板翼を取り付けた場合の課題を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施の形態に係る翼付き杭の製造方法について、鋼管の先端に平板翼5を取り付ける場合を例に挙げて
図1~
図5に基づいて説明する。なお、各図において
図6と同一部分、対応する部分には同一の符号を付しており、その説明は省略する。ここで、
図1(b)には、向かって右側のBから反時計回りに90°回転した位置にC、向かって左側のBから反時計回りに90°回転した位置にC’を付した。その為、管の縦方向の中心線を示す一点鎖線は、このCとC’とを結んだ線と一致する。
【0016】
本実施の形態に係る翼付き杭の製造方法は、
図1に示すように、円筒状の鋼管3の先端に、鋼管3の直径より大きな直径を持った平板翼5を、鋼管3の中心軸に対して傾斜する軸方向傾斜した状態で取り付けることで翼付き杭1を製造する方法である。
そして、平板翼5の上面と当接する鋼管3の先端面に、軸方向傾斜すると共に径方向の傾斜である径方向傾斜した傾斜端面7を形成する傾斜端面形成ステップ(
図2(a)参照)と、
傾斜端面7に平板翼5の上面を当接させて接合する翼接合ステップ(
図2(b)、(c)参照)とを備えている。
以下、各ステップについて詳細に説明する。
【0017】
<傾斜端面形成ステップ>
傾斜端面形成ステップは、上述したように、平板翼5の上面と当接する鋼管3の先端面に、軸方向傾斜すると共に径方向傾斜した傾斜端面7を形成するステップである。
そして、傾斜端面形成ステップは、傾斜端面7が周方向の位置によって径方向の傾斜角度が変化することで、平板翼5の上面と傾斜端面7の板厚方向の全面とで当接するように形成する。
【0018】
ここで、傾斜端面7を平板翼5の上面と傾斜端面7の板厚方向の全面とで当接させるための傾斜端面7の形成方法について説明する。
図1に示す翼付き杭1のピッチは1回転で貫入がどの程度進むかを規定するものであり、柔らかい地盤であれば翼付き杭1はピッチに近い形で貫入していく。通常、ピッチは杭径の25%~50%が一般的である。また、平板翼5を取り付ける鋼管3の板厚は、杭径の1.5~2.0%程度が一般的である。
【0019】
前述したように、平板翼5を取り付ける鋼管3の先端を鋼管3表面に対して直角に切断し、切断面(平坦面13)に平板翼5を合わせた場合、ほとんどの位置で(例えば、
図1(b)の場合、CとC’とを結んだ一点鎖線上を除いた位置)切断面と平板翼5との間に隙間Sが生ずる。
図3は、
図1のような平板翼5を2枚取り付ける場合における杭径とピッチと鋼管板厚と隙間Sとの関係を示している。
図3に示したものは、平板翼5が鋼管先端面の板厚方向内側で当接する部位における隙間S(最大隙間)である。
この
図3に基づいて計算した隙間量を表1に示す。
【0020】
【0021】
表1に示されるように、杭径が大きくなるほど隙間Sが大きくなっており、杭径が400mm以上だと隙間Sが1mm以上となる。このような平板翼5と鋼管先端面との間に隙間Sが生ずると、溶接欠陥の発生、溶接材料の無駄、応力集中の発生等の問題が発生することは前述した通りである。
【0022】
このような隙間Sが生ずるのは、平板翼5と接する鋼管先端面の高さは、鋼管外面と鋼管内面で異なっており、かつ周方向の角度に応じてこの高さが変化するためである。
図4は、平板翼5を例とし、外径D=400mm、板厚t=8mm、平板翼5の傾斜角度θ=7.125016°(平板翼が2枚で疑似螺旋を形成する場合、ピッチ/杭径が25%に相当する)の場合において、平板翼5と接する鋼管外面と鋼管内面の高さが角度によってどのように変化するかを示したものである。
図4において、横軸は周方向角度φ(°)を示しており、鋼管3の周方向の位置を直線状に展開したものである。そして、軸方向に傾斜する平板翼5の最も下側の位置を0(°)としている。また、縦軸は鋼管先端面の高さを示し、鋼管外面と鋼管内面の高さが同じになる位置(横軸の90°の位置、即ち
図1(b)におけるCとC’を結んだ一点鎖線上の位置)を0(mm)としている。
【0023】
図4に示されるように、鋼管外面の高さ(実線)と鋼管内面の高さ(破線)は同一ではなく、周方向の角度に応じて、それぞれ変化していることが分かる。
そのため、鋼管3の先端を鋼管表面に対して直角に切断した場合、鋼管先端面は鋼管外面と鋼管内面で同じ高さになるので、
図4に示す鋼管外面高さと鋼管内面高さの差に相当する隙間Sが生ずることになる。この隙間Sは、
図5に示すように、鋼管3の周方向で変化する。
【0024】
このような隙間Sが生じないようにするには、鋼管先端面を鋼管外面に対して直角に切断するのではなく、
図4の実線と破線を径方向で繋ぐように切断した傾斜端面7にすればよい。隙間Sが発生する箇所においてはこのような傾斜端面7にすることで、平板翼5は周方向のいずれの部位でも傾斜端面7の板厚方向の全面(特に好ましくは、板厚方向において鋼管外面側から鋼管内面側に至る全面)に当接する。
【0025】
鋼管先端面に傾斜端面7を形成する方法として、機械的に行うためには、鋼管3の直径よりも大きな刃を持つ切断機を用いて、
図4の高さ関係を満足すように刃を傾斜させて鋼管3を切断すればよい。なお、刃の代わりにレーザー切断機を用いることもできる。
【0026】
ガス切断で行うためには、トーチの角度を機械的に調整していくことが考えられるが、手動で行う場合には、鋼管先端の外周面に
図4の実線に相当する線を描き、鋼管先端の内周面に
図4の破線に相当する線を描き、これらの線を鋼管3の板厚方向で結ぶようにして切断すればよい。
なお、
図4に示す2本の線を鋼管3の内外面に罫書いた上で、鋼管3が長くなる側を通常のように垂直に切断した上で、残りの部分を切り落とすようにしてもよい。
以上のような方法によって、
図2(a)に示すように、傾斜端面7が形成される。
【0027】
<翼接合ステップ>
翼接合ステップは、傾斜端面7に平板翼5の上面を当接させ(
図2(b)参照)、例えば溶接接合する(
図2(c)参照)ステップである。
鋼管3の先端面に傾斜端面7を設けているので、
図2(c)に示すように、傾斜端面7と平板翼5が隙間なくまたはより隙間を少なくして当接して接合することができる。すななち、傾斜端面7と平板翼5の接触面はより密着させて溶接可能となり、溶接欠陥の可能性が低く、荷重も接触面全体および溶接部で伝達されるため応力集中が発生しない。
【0028】
以上のように、本実施の形態においては、平板翼5を管端部に接合するに際し、傾斜端面7と平板翼5が隙間なくまたはより隙間を少なくして当接させることができ、接合不良や応力集中が生じにくく応力伝達がスムーズな性能の高い鋼管杭を得ることができる。
また、鋼管3の先端に傾斜端面7を形成するのに際して、鋼管先端の外周面に
図4の実線と破線に相当する線を描き、これらの線を鋼管3の板厚方向で結ぶようにして切断するようにしたので、傾斜端面7を正確かつ簡単に形成することができる。
【0029】
上記の実施の形態においては翼の例として平板翼5を例示して説明したが、翼が厳密な螺旋翼ではない疑似螺旋翼であって同様に製造することができる。また、上記の実施の形態においては、翼の例として中心軸の周りまで翼がある半円型の平板翼5を例示して説明したが、中心軸の周りが開口しているドーナツ状(半ドーナツ状を含む)の平板翼でもあっても、同様に製造することができる。
また、上記の説明では翼と鋼管先端面との接合を溶接接合する例であったが、構造用接着剤で接着するようにしてもよい。
また、上記の例では杭を構成する管の例として鋼管3を例に挙げたが、管の材質は鋼に限らず、他の金属や金属以外の材質、例えばコンクリート等であってもよい。
【0030】
なお、上記の説明は翼付き杭1の製造方法としての発明であったが、本明細書で示した発明は翼付き杭の設計方法として構成することもできる。
翼付き杭の設計方法として構成した場合には以下のように表現できる。
【0031】
円筒状の管の先端面に、前記管の直径より大きな直径を持った平板翼又は疑似螺旋翼を、管の中心軸に対して傾斜する軸方向傾斜した状態で取り付けた翼付き杭の設計方法であって、
前記平板翼又は前記疑似螺旋翼の上面と当接する前記管の先端面に、前記軸方向傾斜すると共に径方向の傾斜である径方向傾斜した傾斜端面を設定し、
該傾斜端面に前記平板翼又は前記疑似螺旋翼の上面を当接させて接合することとし、
前記傾斜端面の設定は、前記傾斜端面が周方向の位置によって径方向の傾斜角度が変化することで、前記平板翼又は前記疑似螺旋翼の上面と前記傾斜端面の板厚方向の全面で当接するように設定する翼付き杭の設計方法。
【0032】
また、傾斜端面7の設定は、管内面側の全周に亘る管内面線と、管外面側の全周に亘る管外面線とを設定し、前記管内面線と前記管外面線とを、管の板厚方向に結ぶようにして設定することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 翼付き杭(実施の形態)
3 鋼管
5 平板翼
7 傾斜端面
11 翼付き鋼管杭(従来例)
13 平坦面
S 隙間