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特開2023-119724表示パネルの製造装置および表示パネルの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119724
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】表示パネルの製造装置および表示パネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20230822BHJP
【FI】
G09F9/00 338
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022725
(22)【出願日】2022-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】598014825
【氏名又は名称】株式会社クオルテック
(72)【発明者】
【氏名】鋤柄 新菜
(72)【発明者】
【氏名】高原 博司
【テーマコード(参考)】
5G435
【Fターム(参考)】
5G435AA17
5G435BB04
5G435KK05
(57)【要約】
【課題】
パネル基板202の側面にめっき膜215を形成する凹部216の形成をする際、加工が困難であるという課題があった。
【解決手段】
パネル基板202の側面にレーザミラー301を配置する。レーザミラー301はミラー基材302上に反射膜303が形成され、レーザ光205は反射膜303で反射してパネル基板202の側面に入射する。レーザ光205により、凹部216が形成される。凹部216はレーザ光205により粗化される。
レーザ光205の入射角度をレーザミラー301aのように、臨界角θとすることにより、レーザ光205は全反射し、レーザミラー301aを損傷することがなく、凹部216を形成できる。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネル基板の製造方法であって、
パネル基板の側面にレーザミラーを配置し、
前記パネル基板に垂直方向から、レーザ光を照射し、
前記レーザ光を前記レーザミラーで反射させて、前記パネル基板の側面を加工することを特徴とする表示パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示パネル等の製造における基板の位置合わせマーカ、位置合わせ方法、位置合わせマーカの製造方法、表示パネルの製造方法、表示パネルの製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
大画面液晶テレビが商品化され、また、有機EL素子を利用した有機ELテレビが商品化されている。しかし、液晶テレビはコントラストが低いという課題があり、有機ELテレビは画像が焼きつくという課題がある。この課題を解決するため、近年では画素に自発光するLEDチップを使用した大型LEDテレビが開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-164764
【特許文献2】特開2014-224010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画素に自発光するLEDを使用した大型LEDテレビは、数百万個のLEDチップを実装する必要があり、LEDチップの実装不良が発生しやすく、歩留まりが低い。
【0005】
本発明は、歩留まり向上のため、複数の表示モジュールあるいは表示パネルを作製し、複数の表示モジュールを組み合わせることにより1つの表示画面を構成する方法を提案する。
【0006】
複数の表示モジュールを組み合わせるためには、各表示モジュールを位置決めし、表面に形成された信号線に配線を接続し、裏面に配置したドライバ回路から、前記配線を介して信号線に映像信号、選択信号等を印加する必要がある。
配置の形成のためには、表示モジュールに位置決めマーカを形成し、位置決めマーカを基準位置として配線を形成する。
パネル基板202の側面にめっき膜215を形成する凹部216の形成をする際、形成位置の位置決めが困難であるという課題があった。
【0007】
特許文献1には、コマンドを受信すると、マーカヘッドによる加工対象物の撮像によって得られた画像データを用いて基準位置に対する加工対象物のずれ量を算出するとともに、ずれ量をコントローラ21に通知し、コントローラ21は、ずれ量に基づきレーザ光を走査する位置を補正した後、マーカヘッドに走査を実行させる位置決め方式が開示されている。
特許文献1は、特許文献1の図17に図示するマーカを上方から認識するものであって、側面からマーカを認識することはできない。
特許文献2には、レーザ光照射による貫通穴の形成後、貫通穴にドライガスを吹き付けてクラックの発生を抑制する方法が記載されている。
特許文献2は、良好な貫通穴を形成することが難しく、また、クラック発生の抑制効果も小さい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
パネル基板202の側面に位置合わせマーカ201を基準位置として、溝状マーカ207を形成する。溝状マーカ207は、パネル基板202の側面にレーザ光を照射しV字状に形成する。溝状マーカ207をV字状に形成されているため、溝状マーカ207の認識時に濃淡画像となりV字状の中心位置を検出することができる。
【0009】
レーザ光は、パネルの側面に配置したミラーで反射させてパネルの側面に照射する。レーザ照射により、パネル側面は粗化される。また、レーザ光の照射により凹部216を形成する。
【0010】
溝状マーカ207の位置を基準として、レーザ光の照射により凹部216を形成する。信号線214と凹部216までのパネル基板202の表面をレーザ光により粗化させる。粗化部および凹部216にめっき膜215を形成し、信号線214とパネル基板202の裏面に形成された端子と電気に接続する。
【0011】
パネル基板202の側面にレーザミラー301を配置する。レーザミラー301はミラー基材302上に反射膜303が形成され、レーザ光205は反射膜303で反射してパネル基板202の側面に入射する。レーザ光205により、凹部216が形成される。凹部216はレーザ光205により粗化される。
【0012】
レーザ光205の入射角度をレーザミラー301aのように、臨界角θとすることにより、レーザ光205は全反射し、レーザミラー301aを損傷することがなく、凹部216を形成できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、溝状マーカ207を形成する。溝状マーカ207はパネル基板202の表面および側面のいずれの面からも位置決めのための画像認識することができる。したがって、溝状マーカ207をパネル基板202の表面から認識することにより位置決めが行うことができ、パネル基板202の表面をレーザ光等で加工することができる。また、溝状マーカ207をパネル基板202の側面から認識することにより位置決めが行うことができ、パネル基板202の側面をレーザ光等で加工することができる。
【0014】
また、パネル基板202の側面に配置したミラーで、パネル基板202の上面から照射したレーザ光を90度の方向に変化させ、パネル基板202の側面を加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のパネルの製造方法および製造装置の説明図である。
図2】本発明のパネルの製造方法および製造装置の説明図である。
図3】本発明のパネルの製造方法および製造装置の説明図である。
図4】本発明のパネルの製造方法および製造装置の説明図である。
図5】本発明のパネルの製造方法および製造装置の説明図である。
図6】本発明の位置合わせマーカの説明図である。
図7】本発明の位置合わせマーカの説明図である。
図8】本発明の位置合わせマーカの製造方法の説明図である。
図9】本発明の表示パネルの製造方法の説明図である。
図10】本発明の表示パネルの説明図である。
図11】本発明の位置合わせマーカの説明図である。
図12】本発明の位置合わせマーカの製造方法の説明図である。
図13】本発明の表示パネルの説明図である。
図14】本発明の表示パネルの画素部の等価回路図及び説明図である。
図15】本発明の表示パネルの画素部の説明図である。
図16】本発明の表示パネルの製造方法の説明図である。
図17】本発明の位置合わせマーカの説明図である。
図18】本発明の第1の実施例における表示パネルの製造方法の説明図である。
図19】本発明の第1の実施例における表示パネルの構造図である。
図20】本発明の第1の実施例における表示パネルの一部断面図である。
図21】本発明の第1の実施例における表示パネルの構造図である。
図22】本発明の第1の実施例における表示パネルの製造方法の説明図である。
図23】本発明の第1の実施例における表示パネルの製造方法の説明図である。
図24】本発明の第1の実施例における表示パネルの製造方法の説明図である。
図25】本発明の第1の実施例における表示パネルの製造方法の説明図である。
図26】本発明の第1の実施例における表示パネルの製造方法の説明図である。
図27】本発明の第1の実施例における表示パネルの製造方法の説明図である。
図28】本発明の第1の実施例における表示パネルの製造方法の説明図である。
図29】本発明の第1の実施例における表示パネルの製造方法の説明図である。
図30】本発明の第2の実施例における表示パネルの製造方法の説明図である。
図31】本発明の第2の実施例における表示パネルの構造図である。
図32】本発明の第2の実施例における表示パネルの一部断面図である。
図33】本発明の第2の実施例における表示パネルの製造方法の説明図である。
図34】本発明の第2の実施例における表示パネルの製造方法の説明図である。
図35】本発明の第3の実施例における表示パネルの構造図である。
図36】本発明の第3の実施例における表示パネルの製造方法の説明図である。
図37】本発明の第3の実施例における表示パネルの製造方法の説明図である。
図38】本発明の表示パネルの製造方法のフローチャート図である。
図39】本発明の表示パネルの製造方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態について説明をする。発明を実施するための形態を説明するための各図面において、同一の機能を有する要素、構成には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。また、本明細書に記載する本発明の実施例は、一部または全部をそれぞれの実施例と組み合わせることができる。
【0017】
必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0018】
なお、当業者が本開示を十分に理解するために図面、及び以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0019】
図11は、本発明の位置合わせマーカの説明図である。なお、図11等で図示する位置合わせマーカは、十字マークとして図示しているが、本発明はこれに限定するものではない。たとえば、円形、多角形、矩形等、また、複数の形状の組み合わせであってもよい。
【0020】
位置合わせマーカ201は、基板202に形成されている。基板202はガラス等の光透過性を有する基板であり、具体的には、0.5mm厚の石英ガラス、無アルカリガラス、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、ライトライムガラス等である。特にケイ酸(SiO2)を含むガラス基板を選択することが好ましい。
【0021】
なお、基板202は、ガラス等の無機材料に限定されるものではなく、光透過性を有する樹脂材料であってもよい。有機材料からなる基板としては板状のもの、フィルム状のいずれでもよく、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂から構成されたものが例示される。
【0022】
パネル基板202厚としては0.2mm以上0.8mm以下で例示される。パネル基板202は少なくとも一方が光透過性を有すればよく、裏面が、シリコンあるいはアルミ等の金属基板で構成されていても、染料あるいは顔料等で着色されたプラスチック基板で構成されていてもよい。
【0023】
位置合わせマーカ201は少なくとも基板形状の対角位置に形成される。好ましくは4辺の隅(位置合わせマーカ201a~位置合わせマーカ201d)、4辺の中央部(図示せず)に形成される。位置合わせマーカ201は、パネル基板202に深さ方向に加工されて形成されている。深さは、2μm以上である。
【0024】
位置合わせマーカ201は、図17に図示するように、パネル基板202の上方から画像認識カメラ206a、画像認識カメラ206bで位置合わせマーカ201a、位置合わせマーカ201bを認識する。
【0025】
パネル基板202は光透過性を有する。したがって、パネル基板202の側面から、位置合わせマーカ201を認識することができる。パネル基板202の側面から、画像認識カメラ206c、画像認識カメラ206dで位置合わせマーカ201a、位置合わせマーカ201bを認識する。
【0026】
図11(d)に図示するように、位置合わせマーカ201に斜面を有するプリズム形状としてもよい。照明光227を位置合わせマーカ201の斜面で反射させ、斜面で反射光を検出することにより、位置合わせマーカ201eを検出し、位置合わせマーカ201eの位置を基準として位置決めを行う。プリズム形状の斜面部は、臨界角以上の角度とすることにより、反射膜を形成せずとも、照明光227を反射する。
【0027】
図11(d)の位置合わせマーカ201eもパネル基板202の上面から認識することができ、位置を行うことができる。パネル基板202の側面からも位置合わせマーカ201eを認識することができ、位置決めを行うことができる。
【0028】
図17に図示するように、パネル基板202あるいは表示モジュール203は、XYZステージ217に積載され、XYZステージ217に、エアーチェック機構(図示せず)で、パネル基板202あるいは表示モジュール203は固定される。
【0029】
画像認識カメラ206は、オートフォーカス機能を有し、位置合わせマーカ201にフォーカスを合わせて、パネル基板202あるいは表示モジュール203の位置を認識する。認識した位置からレーザ光205を照射する位置を設定する。
【0030】
本発明の位置合わせマーカ201は、透明あるいは光透過性を有するパネル基板202等、あるいは表示モジュール203等に形成され、深さ方向に形状のある3D形状に作製されている。そのため、図17に図示するように、パネル基板202あるいは表示モジュール203の上方だけでなく、側面からも位置合わせマーカ201を認識することができる。
【0031】
したがって、パネル基板202の上方からレーザ光205を照射する際の位置決め、及びパネル基板202の側面からレーザ光205を照射する際の位置決めの両方に位置合わせマーカ201を利用することができる。
【0032】
図12は本発明の位置合わせマーカ201の作製方法を説明する説明図である。図12(a)に図示するように、位置合わせマーカ201を形成する位置に、レーザ光吸収部224を形成する。レーザ光吸収部224の形成方法としては、スパッタによる方法、電着による方法、蒸着による方法、焼結による方法が例示される。
パネル基板202は、軟化温度が約730℃前後、融点は全成分を完全に溶融させる温度と定義するならば約1200℃~1500℃前後である。
【0033】
レーザ光吸収部224を形成する材料は、パネル基板202の融点よりも高い材料であることが好ましく、また、照射するレーザ光205を吸収しやすい材料を選定することが好ましい。また、レーザ光吸収部224を形成する材料の沸点は、パネル基板202の融点よりも高いことが好ましい。
【0034】
レーザ光吸収部224にレーザ光205が照射されることにより、レーザ光吸収部224が発熱し、発熱した熱によりパネル基板202が溶解、蒸発する。レーザ光205のパワーを調整し、好ましくは、レーザ光吸収部224を形成する材料の沸点以下で、かつ、パネル基板202を形成する材料の溶解温度以上に制御する。
【0035】
レーザ光205によりパネル基板202の該当箇所に穴が形成され、穴は、順次、深さ方向に進行する。レーザ光吸収部224の材料の沸点以下の温度を維持することにより、パネル基板202に穴、あるいは溝が形成される。
【0036】
好ましくは、図22図27図28に図示するように、レーザ光吸収部224にスリット228(レーザ光吸収部224が形成されていない部分)を形成し、スリット228から照射されたレーザ光205により、パネル基板202材料を溶解あるいは加工してもよい。スリット228の周辺部のレーザ光吸収部224はレーザ光り205を吸収し、発熱してよりパネル基板202材料を溶解させ、あるいは加工され、凹部216または貫通穴223の形成を促進させる。
【0037】
なお、パネル基板202に貫通穴223を形成する場合は、パネル基板202の両面(表面側と裏面側)から、レーザ光205を、同時に、あるいは交互に、あるいは一方の加工後に他方から照射する。また、一定以上の穴が形成された後は、フッ酸(フッ化水素、弗化水素 HF)を用いて、パネル基板202を腐食させることにより貫通穴223を形成する。
【0038】
レーザ光吸収部224の材料として、タングステン(W 融点3407℃)、タンタル(Ta 融点2985℃)、チタン(Ti 融点1666℃)、鉄(Fe 融点1536℃)、
【0039】
ニッケル(Ni 融点1455℃)、白金(Pt 融点1769℃)、パラジウム(Pd 融点1552℃)、モリブデン(Mo 融点2623℃)が例示される。
【0040】
中でも、高融点のチタン(Ti 融点1666℃)、タングステン(W 融点3407℃)、モリブデン(Mo 融点2623℃)、または、これらの合金を使用することが好ましい。これらの金属あるいは合金は、液晶パネル、有機ELパネル等の信号線の形成材料として使用されているため、本発明の表示モジュールの製造方法に適用することが容易である。
また、レーザ光吸収部224をめっき技術で作製する場合は、ニッケル(Ni 融点1455℃)、鉄(Fe 融点1536℃)を採用することが好ましい。
【0041】
図12(a)に図示するように、位置合わせマーカ201の形成する位置あるいは位置を含む近傍にレーザ光吸収部224の材料を形成または配置する。レーザ光吸収部224の膜厚は、1μm以上が好ましい。
【0042】
次に、レーザ加工装置204で位置合わせマーカ201の形成部にレーザ光205を照射する。一例としてレーザ光205は図11に図示するように、十字形状である。図11(d)に図示するように、斜面を有するプリズム形状であってもよい。加工深さは、2μm以上とし、好ましくは、100μm以上の深さに加工する。
【0043】
位置合わせマーカ201の加工は、フェムト秒レーザ加工装置204が発生するレーザ光205で行う。加工状態あるいは粗化状態は、フェムト秒レーザ光205のレーザ強度、照射するレーザパルスの移動速度を変更あるいは設定することにより容易に実現できる。
【0044】
フェムト秒レーザ加工装置204は、一般にパルス幅が、サブピコ秒から数十フェムト秒のフェムト秒レーザ光205を発生する。サブピコ秒から数十フェムト秒の超短パルスのレーザ光205を材料に照射した場合、材料の熱拡散時間に比べてパルス幅が十分に短いため、光エネルギーを有効に照射部に投入できる。
【0045】
その結果、照射周辺部への熱影響を局限化することが可能である。また、高精度な微細加工が実現できる。また、レーザ光の電場強度が非常に高いため、ビームが集光されたところにのみ、空間選択的に多光子吸収、多光子イオン化等の非線形作用を誘起することができる。
【0046】
フェムト秒グリーンレーザは、第二高調波であるため、比較的高出力を取り出すことができ、レーザ光吸収部224に対しても、照射したレーザ光の吸収が良好である。
【0047】
フェムト秒グリーンレーザが出射する光の波長は500nm~540nmであるのが好ましい。パルス幅は、1フェムト秒~1000フェムト秒であるのが好ましい。
【0048】
ピコ秒レーザを用いる場合、ピコ秒レーザが出射する光の波長は500nm~540nmであるのが好ましい。パルス幅は、1ピコ秒~10ピコ秒であるのが好ましい。
パネル基板202の表面は、パルス幅の単位がピコ秒であるピコ秒レーザ光、又はフェムト秒であるフェムト秒レーザ光により粗化され、また加工される。
【0049】
図12(a)等で説明するレーザ光吸収部224の形成、レーザ光205の照射によるパネル基板202の加工は、複数回、繰り返しても良い。レーザ光205の照射によりレーザ光吸収部224が除去されることにより、加工箇所のパネル基板202の加熱が小さくなる。その対策として、レーザ光吸収部224の形成 -> レーザ光205の照射 -> レーザ光吸収部224の形成 -> レーザ光205の照射を複数回、繰り返す。
【0050】
次に、図12(b)に図示するように、位置合わせマーカ201部を含む箇所に、光反射機能あるいは、光吸収機能を有する反射膜211を形成する。たとえば、反射膜211の材料として、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)が例示される。反射膜211の材料は、加工された位置合わせマーカ201の底部及び側面に付着し、位置合わせマーカ201は光を吸収または反射する。また、位置合わせマーカ201は、パネル基板202の上方、あるいは側面から観察することができる。
【0051】
図12の実施例では、位置合わせマーカ201部に反射膜211を形成するとしたが、位置合わせマーカ201の形成部と、他の箇所とのコントラストがあれば、位置合わせマーカ201の位置を検出することができる。したがって、反射膜211の替わりに、光吸収膜211を形成または配置してもよい。なお、説明を容易にするため、薄膜または厚膜211は反射膜211として説明する。
【0052】
位置合わせマーカ201は、光を吸収または反射することにより、他の部分(位置合わせマーカ201が形成されていない領域)とコントラストがつき、位置合わせマーカ201として機能する。
【0053】
図12(c)に図示するように、位置合わせマーカ201の加工位置、あるいは/または位置合わせマーカ201の加工位置を含む近傍に、マスク212(マスク212a、マスク212b)を形成する。
次に、図12(d)に図示するように、マスク212をマスクとして、他の箇所に形成された反射膜あるいは吸収膜211をエッチングにより除去する。
【0054】
次に、図12(e)に図示するように、マスク212をエッチング等で除去することにより、反射膜211が形成された位置合わせマーカ201を形成することができる。
【0055】
図12(d)では、マスク212により、位置合わせマーカ201部に反射膜211等を残存させるとした。しかし、位置合わせマーカ201部以外を研磨、等の技術により除去してもよいことは言うまでもない。
【0056】
図11の位置合わせマーカ201は、パネル基板202の深さ方向にレーザ光205等で位置合わせマーカ201を加工し、図11(d)に図示するように、照明光227を反射する反射面を形成したものである。
【0057】
図6は、本発明の第2の実施例のおける位置合わせマーカ201の構成図および説明図である。図6の実施例では、位置合わせマーカ207は、パネル基板202の側面にV溝状に形成されている。以降、位置合わせマーカ207を溝状マーカ207と呼ぶ。
なお、以下の実施例で、溝状マーカ207はV字状として説明するが、たとえば、U字状等であっても良いことは言うまでもない。また、凹状であっても良い。
【0058】
以下、図6図10等を参照しながら、溝状マーカ207について説明をする。なお、本明細書、図面で記載する事項、あるいは類似事項等は説明を省略する場合がある。また、図6等で説明する溝状マーカ207は、本明細書、図面等で説明する他の実施例に適用できることは言うまでもない。
また、本明細書、図面等で説明する他の実施例と相互に組み合わせることができることは言うまでもない。
【0059】
図6等において、溝状マーカ207はV字状の溝として説明するがこれに限定するものではなく、例えば、半円状、三角形状、凹状、多角形状、線状等の形状であっても良いことは言うまでもない。また、パネル基板202の側面に位置合わせマーカ201のように十字状等に形成してもよいことは言うまでもない。
【0060】
図6(a)に図示するように、溝状マーカ207は、パネル基板202に形成されている。溝状マーカ207は、少なくとも基板形状の対角位置に形成される。好ましくは4辺の隅、4辺の中央部に形成される。また、溝状マーカ207は、各信号線214の位置に合わせて形成される。溝状マーカ207は、パネル基板202の側面に厚み方向に形成され、また、図6等に図示するようにパネル基板202の表面からも観察、画像認識できるサイズ、形状に形成されている。
【0061】
図6(b)では、溝状マーカ207は、パネル基板202の表面から裏面の全範囲に線状に形成されているように図示しているが、これに限定するものではなく、たとえば、パネル基板202の厚み方向の一部(たとえば、厚みの1/2)に範囲に溝状マーカ207を形成しても良いことは言うまでもない。また、位置合わせマーカ201のように十字状等に形成してもよい。また、溝状マーカ207は円状、円弧状であっても位置決めとして機能する。
【0062】
溝状マーカ207は、パネル基板202にV状に加工され、その深さは、5μm以上40μm以下とすることが好ましい。また、溝状マーカ207幅は、信号線214の幅と略一致させるか、信号線214の幅よりも大きくする。
【0063】
図7(a)は、溝状マーカ207を形成したパネル基板202を側面方向から図示した図であり、図7(b)はパネル基板202の一部平面図である。図7に図示するように、パネル基板202の側面にV字状の溝状マーカ207を配置する。
【0064】
図11の位置合わせマーカ201では、パネル基板202上に形成された位置合わせマーカ201を画像認識装置206で認識し、位置決めを行う。図6の実施例では、パネル基板202の平面から認識されるV字を画像認識装置206で認識し、位置決めを行う。つまり、パネル基板202の表面および裏面はこの溝状マーカ207の頂点を基準点する。頂点は線状に認識される。
【0065】
なお、溝状マーカ207はパネル基板202の表面からも画像認識することができる。したがって、パネル基板202の表面からも溝状マーカ207を用いて位置決めを行うことができる。
【0066】
パネル基板202側面は、溝状マーカ207の濃淡を判別して最も濃いラインと判定した点を基準点(基準線)とする。図7(a)において、溝状マーカ207の頂点部(一点鎖線で示す)を基準位置とする。
【0067】
したがって、溝状マーカ207を画像認識装置206で認識することにより、パネル基板202の表面、裏面、側面のいずれかからも溝状マーカ207を認識することができ、認識あるいは検出した基準位置から凹部216の加工、パネル基板202の信号線214等の表面のレーザ粗化加工等を実施することができる。
【0068】
なお、図6に図示する位置合わせマーカ201と、溝状マーカ207の両方を形成または配置し、用途あるいは目的に応じて、位置合わせマーカ201と溝状マーカ207とを使い分けても良いことは言うまでもない。
【0069】
溝状マーカ207はレーザ加工装置204からレーザ光205を照射し、パネル基板202を加工することによりたとえば、V字状に加工し、アライメント時に図7(a)に図示するように濃淡画像が発生できるように加工する。
【0070】
濃淡画像を発生させるためには、画像認識装置206の焦点深度が関係する。したがって、溝状マーカ207の深さは、画像認識装置206の焦点深度を考慮して決定する必要がある。通常、溝状マーカ207の深さ(V字の頂点)は、10μm以上にすることが好ましい。また、加工の制約から50μm以下とすることが好ましい。
【0071】
パネル基板202がガラス材料から構成される場合、V字の頂点が鋭角だと、V字の頂点からクラックが発生し、パネル基板202が割れる場合がある。そのため、溝状マーカ207のV字の加工後、フッ化水素等でエッチングを行い、クラックをなくすとともに、V字の鋭角部を適度な円弧状に加工することが好ましい。
【0072】
なお、以上の実施例では、溝状マーカ207はレーザ光205により形成するとして説明するがこれに限定するものではない。たとえば、サンドブラスタによりクラックを除去する方法、砥石等の切削研磨により形成する方法、フッ化水素等を使用してエッチングにより形成する方法等が例示される。
【0073】
図8は本発明の溝状マーカ207の形成方法あるいは製造方法の説明図である。溝状マーカ207の形成位置は、多様な基準位置からを基準にすることが考えられる。
【0074】
位置合わせマーカ201の形成位置を基準にする場合は、図8に示すように、位置合わせマーカ201の中心線からcの距離の位置を溝状マーカ207の中心線とする。位置合わせマーカ201は、信号線214aの基準位置として、a距離を離れて形成されている。
信号線214aの形成位置を基準にする場合は、信号線214aの中心線からbの距離の位置を溝状マーカ207の中心線とする。
【0075】
少なくともパネル基板202の一辺の側面には、複数の溝状マーカ207を形成する。図8の実施例では、パネル基板202の左辺に、溝状マーカ207aと溝状マーカ207bを形成し、いずれかの溝状マーカ207を基準として、あるいは両方の溝状マーカ207を基準として認識し、凹部216を形成する。
図9は溝状マーカ207を基準位置として、凹部216を形成する製造方法の説明図である。凹部216は、信号線214に対応するように形成、配置される。
【0076】
図9は、溝状マーカ207aと基準として、b距離の位置にある信号線214aに対応する箇所に凹部216を形成している。凹部216は各信号線214a、各信号線214bに対応する位置合わせマーカ201に形成する。
【0077】
なお、凹部216の形成方法、パネル基板202の表面の加工、表示モジュールの構成、製造方法等は、本明細書、本図面の他の実施例で説明するため説明を省略する。
なお、本明細書、図面などで説明した事項、内容、技術的思想は相互に一部または全部を組み合わせることができる。
【0078】
図10は本発明の表示モジュール203の構成図および説明図である。図10に図示するように、表示モジュール203の各側面には、複数の溝状マーカ207が形成されている。溝状マーカ207を基準として凹部216が形成加工されて配置されている。
【0079】
図10では、左辺に溝状マーカ207a、溝状マーカ207bが形成され、 上辺に溝状マーカ207c、溝状マーカ207dが形成され、下辺に溝状マーカ207e、溝状マーカ207fが形成され、右辺に溝状マーカ207g、溝状マーカ207hが形成されている。
【0080】
左辺の凹部216は、左辺の溝状マーカ207a、溝状マーカ207bを基準として加工される。上辺の凹部216は、上辺の溝状マーカ207c、溝状マーカ207dを基準として加工される。下辺の凹部216は、溝状マーカ207e、溝状マーカ207fを基準として加工される。右辺の凹部216は、右辺の溝状マーカ207g、溝状マーカ207hを基準として加工される。また、パネル基板202の表面の加工は、各溝状マーカ207を基準として加工等される。
以上の実施例では、パネル基板202の側面からレーザ光205を照射する必要がある。そのため、レーザ加工装置204を水平に配置する必要がある。
【0081】
図1は、レーザ加工装置204をパネル基板202に対して垂直方向に配置し、レーザ光205をパネル基板202に対して垂直方向(上下方向)から照射できるようにした実施例である。
【0082】
図1は本発明の表示パネルの製造装置および製造方法の説明図である。図1において、レーザミラー301はパネル基板202の側面に配置されている。レーザミラー301はパネル基板202の一辺以上の長さ、あるいは凹部216を加工する範囲以上の長さを有する。
【0083】
レーザミラー301は、垂直軸に対して40°以上50°(DEG.)の角度で配置される。レーザミラー301は、石英ガラスを基材とするミラー基材302に銀またはアルミニウムからなる反射膜303が形成されている。
【0084】
反射膜303には、レーザ光205が入射し、レーザ光205の方向を90°変化させて、パネル基板202の凹部216の形成箇所にレーザ光205が照射される。レーザ光205は、図1のレーザ光205a位置から、レーザ光205b位置、レーザ光205cに移動する(矢印で示す)。
【0085】
凹部216には、図22図23図27図28に図示して説明しているように、スリット228、光吸収部224を形成または配置しても良いことは言うまでもない。あるいはこれらの技術的思想、技術的方法と組み合わせることができることは言うまでもない。
【0086】
パネル基板202は、XYZステージ217に積載され、XYZステージは、加工する凹部216位置にパネル基板202を移動し、レーザ光205の焦点を合わせ、またパネル基板202のZ位置を移動させる。
【0087】
レーザ光205a位置のレーザ光は、パネル基板202の側面a’位置に照射される。レーザ光205b位置のレーザ光は、パネル基板202の側面b’位置に照射される。レーザ光205c位置のレーザ光は、パネル基板202の側面c’位置に照射される。レーザ光205を矢印方向に移動されることにより、凹部216が形成される。
【0088】
図2は、パネル基板202の側面にレーザミラー301を配置した構成を図示している。パネル基板202の一辺にレーザミラー301が配置されている。レーザ光205はレーザミラー301上を移動し、レーザ光205が照射されたパネル基板202の側面に凹部216が形成されていく。
レーザ光205は、形成あるいは加工する凹部216位置に対応して、位置決めする。レーザ光205は、矢印方向に順次、移動して凹部216を形成する。
【0089】
なお、図2ではレーザ光205は1つとして図示しているが、多数のレーザ光205を同時にパネル基板202に照射しても良い。また、パネル基板202の一辺に限定するものではなく、パネル基板202の二辺あるいは4辺から照射しても良い。
【0090】
なお、凹部216の形成方法、位置合わせマーカ201等に関しては、図6図7図8図9図10図11図12等で説明しているため、説明を省略する。
【0091】
レーザミラー301は反射膜303が形成されている。レーザ光205はレーザミラー301の反射膜303で反射し、反射したレーザ光205aはパネル基板202の側面に入射し、凹部216が形成される。
【0092】
レーザミラー301には、反射膜303が形成されているが、図3に図示するように、レーザ光205の一部の光は反射膜303を透過し、レーザ光205bとなり、レーザ光205bが迷光となってパネル基板202の意図しない位置を加工される場合がある。
【0093】
この課題に対して、図3の一点鎖線に示すようにレーザミラー301aを配置し、レーザ光205のレーザミラー301aの面に対しての角度θを5°(DEG.)以下とする。さらに好ましくは、3°(DEG.)以下とする。角度θを小さくすることにより、臨界角となり、レーザ光205は全反射あるいは全反射に近い状態で反射される。反射したレーザ光205c(一点鎖線で示す)はパネル基板202の側面に入射し、凹部216を加工する。
【0094】
パネル基板202の側面には、レーザ光205が斜め方向に入射する。レーザ光205はパネル基板202内で反射する可能性がある。この対策として、図23図24の実施例を実施することが有効である。
【0095】
なお、図3のレーザ光205cは、パネル基板202の側面に垂直方向に照射されるようにパネル基板202を傾けて(パネル基板202の側面の平面にレーザ光205cが略垂直に入射するように)、配置しても良い。
【0096】
図4の実施例は、レーザミラー301の反射面の反射膜上に誘電体ミラー304を形成した実施例である。なお、誘電体ミラー304で十分な反射率が得られる場合は、反射膜303は省略してもよい。
誘電体ミラー304は、誘電体材料の複数の薄層で構成されるタイプのミラーである。
【0097】
狭い範囲の波長で99.999%以上の値を生成できる。その他、シリコン全反射ミラーを使用することも好ましい。ミラー基材302は、溶融石英、合成石英を使用することが好ましい。
【0098】
また、レーザミラー301の裏面にレーザ光吸収部224を形成あるいは配置することにより、レーザ光205bを吸収することができ、図3で説明した迷光のレーザ205bを抑制あるいはなくすことができる。
【0099】
図3のレーザ光205bをなくす方法として、図5に図示するように、レーザミラー301の裏面にプリズム305を配置することが有効である。レーザミラー301とプリズム305とはオプティカルカップリング液226(図示せず)で光学的に接合される。
【0100】
なお、図5等においても、反射膜303の上に、誘電体ミラー304を形成することが好ましい。また、誘電体ミラー304を形成または構成する場合は、反射膜303がなくても良い。レーザ光205が炭酸ガスレーザ等の場合、ミラー301はシリコンミラーで構成することもできる。
【0101】
レーザミラー301とプリズム305とを一体として構成し、光学的界面がないように構成あるいは形成する。また、プリズム305のA点(レーザ光205bが照射される箇所あるいは部分)に、レーザ光吸収部224を形成しても良いことは言うまでもない。
【0102】
プリズム305の面とレーザ光205bの入射角度θを全反射角以下とすることにより、レーザ光205bはプリズム305と空気の界面Aで反射光205cとなり、パネル基板202側には出射されない。
【0103】
なお、図1図2図3図4図5の実施例は一部または全部を相互に組み合わせることができることは言うまでもない。また、本明細書、図面に記載している事項、内容、技術的思想は一部または全部を組み合わせることができることは言うまでもない。
【0104】
図13図14は、本発明の表示パネルの等価回路図である。赤色(R)の画素175R、緑色(G)の画素175G、青色(B)の画素175Bが表示画面165にマトリックス状に配置されている(図15参照)。なお、画素175の色は、RGBに限定されるものではない、黄色(Y)を加えて4色でもよく、また、RBの2色や、RGBのいずれか1色の表示モジュール203であってもよい。
【0105】
各画素175には、薄膜トランジスタ(TFT)171、コンデンサ173、LED172が形成、または、配置、もしくは実装されている。TFTはスイッチまたは、駆動用トランジスタとして機能する。
【0106】
本明細書では、駆動用トランジスタ171a、スイッチ用トランジスタ171は、薄膜トランジスタとして説明するが、これに限定するものではない。薄膜ダイオード(TFD)、リングダイオード等でも構成することができる。
【0107】
薄膜素子に限定するものではなく、シリコンウエハに形成したトランジスタでもよい。たとえば、シリコンウエハでトランジスタを構成し、剥がしてガラス基板に転写したものが例示される。また、シリコンウエハでトランジスタチップを形成し、ガラス基板のボンディング実装した表示パネルが例示される。
【0108】
トランジスタ171は、もちろん、FET、MOS-FET、MOSトランジスタ、バイポーラトランジスタでもよい。これらも基本的に薄膜トランジスタである。その他、バリスタ、サイリスタ、リングダイオード、ホトダオード、ホトトランジスタ、PLZT素子等でもよいことは言うまでもない。
本発明のトランジスタ171は、Nチャンネル、Pチャンネルとも、LDD(Lightly Doped Drain)構造を採用することが好ましい。
【0109】
トランジスタ171は、高温ポリシリコン(HTPS : High- temperature rature polycrystalline silicon)、低温ポリシリコン(LTPS : Low- temperature poly silicon)、連続粒界シリコン(CGS : Continuous grain silicon)、透明アモルファス酸化物半導体(TAOS : Transparent Amorphous Oxide Semiconductors)、アモルファスシリコン(AS : amorphous silicon)、赤外線RTA(RTA : rapid thermal annealing)で形成したもののうち、いずれでもよい。
【0110】
図14ではすべてのトランジスタ171はPチャンネルで構成している。PチャンネルはNチャンネルのトランジスタに比較してモビリティが低い。しかし、耐圧が大きく、また、寿命劣化も少ない。
【0111】
本発明は、画素のトランジスタ171をPチャンネルで構成することのみに限定するものではない。Nチャンネルのみで構成してもよい。また、NチャンネルとPチャンネルの両方を用いて構成してもよい。また、駆動用トランジスタ171aをPチャンネルトランジスタとNチャンネルトランジスタの両方を用いて構成してもよい。
【0112】
スイッチ用トランジスタ171は、トランジスタに限定するものではなく、たとえば、PチャンネルトランジスタとNチャンネルトランジスタの両方を用いた、アナログスイッチであってもよい。
【0113】
なお、本発明の表示パネルの画素のトランジスタ171は、Pチャンネルで構成することが好ましい。Pチャンネルで画素を構成すると、Nチャンネルで画素を構成した場合に比較して、1画素あたりのトランジスタ数を少なくでき、また、画素のスイッチ用トランジスタを制御するゲート信号線の本数も少なくできるからである。
【0114】
また、トランジスタ171はトップゲート構造にすることが好ましい。トップゲート構造にすることにより寄生容量が低減し、トップゲートのゲート電極パターンが、遮光層となり、LED172から出射された光を遮光層で遮断し、トランジスタ171の誤動作、オフリーク電流を低減できるからである。
【0115】
ゲート信号線163またはソース信号線164、もしくはゲート信号線163とソース信号線164の両方の配線材料として、銅配線または銅合金配線を採用できるプロセスを実施することが好ましい。信号線の配線抵抗を低減でき、より大型の表示パネルを実現できるからである。特に、ゲートドライバ161が駆動(制御)するゲート信号線163は、低インピーダンス化すること好ましい。銅配線は、Ti-Cu-Tiの3層構造を採用することが好ましい。
【0116】
信号線214(ソース信号線164、ゲート信号線163)の表面は、ITOで被覆することが好ましい。ITOで被覆することにより、信号線214が腐食することが低減し、また、信号線214にめっき膜215を形成しやすくなるからである。
【0117】
図13は、ゲート信号線163の一方にゲートドライバ161を接続した構成であるが、ゲート信号線163の両側にゲートドライバ161を接続することより、表示画像の輝度傾斜が低減し好ましい。
【0118】
図14は、本発明の実施例における表示パネルの画素構成の説明図である。図14において、Pチャンネルの駆動用トランジスタ171aのドレイン端子に、スイッチ用トランジスタ171dのソース端子が接続され、スイッチ用トランジスタ171dのドレイン端子にLED172のアノード端子が接続されている。また、LED172のカソード端子には、カソード電圧Vssが印加されている。駆動用トランジスタ171aのソース端子には、アノード電圧Vddが印加されている。
【0119】
ゲート信号線163bにオン電圧が印加されると、スイッチ用トランジスタ171dがオンし、駆動用トランジスタ171aからの発光電流がLED172に供給される。LED172は、発光電流の大きさに基づき発光する。
【0120】
駆動用トランジスタ171aのゲート端子とドレイン端子間には、スイッチ用トランジスタ171bのソース端子とドレイン端子が接続され、ゲート信号線163aにオン電圧が印加されることにより、駆動用トランジスタ171aのゲート端子にソース信号線164に印加された信号電圧が印加される。
駆動用トランジスタ171aのゲート端子には、コンデンサ173の1端子が接続され、コンデンサ173の他端子は、アノード電極Vddと接続されている。
【0121】
ソースドライバ162は映像信号に基づく電圧をソース信号線164に出力する。ゲートドライバ161は、スイッチ用トランジスタ171b、171dをオンさせる電圧(オン電圧)、オフさせる電圧(オフ電圧)をゲート信号線163に印加する。
【0122】
ゲート信号線163aにオン電圧が印加されている時には、トランジスタ171bがオン状態であり、ソース信号線164に印加されている映像信号を画素175に印加される。
【0123】
ソース信号線164には、ソースドライバ162a、ソースドライバ162bが接続される。ソース信号線164は、ソースドライバ162a、ソースドライバ162bによる両側給電が行われることにより、表示画面165の輝度傾斜は発生しない。
【0124】
ゲートドライバ161、ソースドライバ162は、シリコンチップで形成されている。ゲートドライバ161、ソースドライバ162は、COF(Chip On Film)218に実装される。COF218は信号線214(ゲート信号線163、ソース信号線164等)と表示画面165の端で接続される。
【0125】
LED172はチップ形状のものが例示される。その他、マイクロLED,ナノLEDが例示される。LED172の電極端子は、接続電極174に、異方性導電膜(ACF:Anisotropic Conductive Film)219で実装される。また、めっき技術で実装、あるいは接続してもよい。
【0126】
LED172の実装後、LED172上に、拡散材(散乱材)176を塗布あるいは形成もしくは配置する。拡散材176として、酸化チタン(TiO2)、炭酸カルシウム(CaCO3)、オパールガラス等の無機材料が例示される。これらをアセトン等の溶媒中に拡散あるいは混合し、インクジェット方式等により塗布する。また、樹脂性の拡散シートを配置する構成も有用である。その他、LED172上に色度を改善するカラーフィルタ、量子ドット(QD:Quantum dot)を形成または配置する。
【0127】
図16は、本発明の表示パネルの製造方法の説明図である。図16に図示するように、パネル基板202には、複数の表示モジュール203が作製される。各表示モジュール203の4つの端には、位置合わせマーカ201が形成、または配置される。
【0128】
図16では、表示モジュール203(1,1)~表示モジュール203(4,4)の16個をパネル基板202に形成または配置した例を示している。本発明はこれに限定するものではなく、パネル基板202には、適正に表示モジュール203を形成または設計すればよい。
【0129】
図16では、図示を容易にするため、各表示モジュール203には模式的に信号線214を図示している。なお、図14で説明した画素回路等は、図示を省略している。
【0130】
パネル基板202は、図16の矢印の位置で、切断され、表示モジュール203に分離される。図18(a)に図示するように、必要に応じて、表示モジュール203はaa’線、bb’線、cc’線、dd’線で、精密切断、あるいは切断後に研磨加工される。
【0131】
図16の矢印位置での切断は、ガラスカッターで切断するため、寸法精度が低い。aa’線、bb’線、cc’線、dd’線まで、研磨加工等を行うことにより、表示モジュール203サイズ、表示モジュール203の信号線124端と表示モジュール203端の寸法を精度よく形成することができる。
【0132】
また、図18(b)に図示するように、矢印に示すパネル基板202の側面を精密研磨加工することにより、平滑化する。また、ガラス切断により、発生したクラックを消去する。
本発明の表示パネルは、複数の表示モジュール203を接続、組み合わせることにより、大画面の表示パネルを構成するものである。
【0133】
LED172の実装では、接続不良が発生しやすい。大画面の表示画面165を有する表示パネルには数百万個のLED172を実装する必要がある。したがって、大画面の表示画面165を有する表示パネルは製造歩留まりが悪くなる。
【0134】
本発明の表示パネルは、図16で説明したように、比較的、表示画面165が小さい表示モジュール203を作製し、当該表示モジュール203を組み合わせることにより、大画面の表示画面165(大画面の表示モジュール)を作製するものである。
【0135】
比較的、表示画面165が小さい表示モジュール203には、それぞれゲートドライバ161、ソースドライバ162が接続される。各表示モジュール203は、図19図20に図示するように、各表示モジュール203間の界面がない、あるいは、各表示モジュール203間を目立たないように接続、組み合わされる。
【0136】
図19は、本発明の表示パネルの構造の説明図であり、表示パネルの一部を拡大した図面である。図20は、図19のAA’線での断面図である。また、図21(a)は表示モジュール203の側面図であり、図21(b)は表示モジュール203の平面図である。
【0137】
図19に図示するように、表示モジュール203aの左端には、信号線214位置に一致させて、凹部216が形成されている。凹部216には、図21(a)に図示するように、めっき膜215が形成されている。
【0138】
めっき膜215は信号線214と電気的に接続され、また、表示モジュール203の裏面にACF219が接続できるように、端子形状(図示せず)が形成されている。
【0139】
めっき膜215と信号線214が接続される箇所で、かつ、信号線214の表面にはITO膜(図示せず)が形成されている。したがって、信号線214を構成する金属材料と、めっき膜215間にはITO膜が配置されている。
凹部216の深さは、1μm以上10μm以下である。したがって、めっき膜215の膜厚は、10μm以下としている。
図21は、表示モジュール203の一辺を図示しているが、表示モジュール203の他の3辺にも凹部216を形成する。
【0140】
表示モジュール203に形成されたソース信号線164の両端にめっき膜215が形成される。図13に図示するように、ソース信号線164の両端にソースドライバ162a、ソースドライバ162bを接続するように構成することが好ましい。
【0141】
信号線214上には、ITO膜(図示せず)が信号線214を被覆するように形成されている。ITO膜を形成することにより、めっき膜215と信号線214との接続抵抗が低減する。
【0142】
図21は、本発明の表示モジュール203の構成の説明図である。図21(a)は、本発明の表示モジュール203の側面図であり、図21(b)は、表示モジュール203の平面図である。
【0143】
図21において、表示モジュール203の側面には、信号線214位置に一致させて、凹部216が形成されている。また、凹部216にめっき膜215が形成されている。めっき膜215は、信号線214(ソース信号線164、ゲート信号線163)、電源配線(アノードVdd、カソードVss)等と接続されている。
【0144】
なお、本明細書等において、信号線214はめっき膜215と接続するとして説明するが、めっき膜に限定されるものでなく、めっき膜215は、蒸着、エッチング技術等によりパターニングされた配線、スパッタリングにより形成した配線、導電ペーストをノズルで塗布することにより形成した配線、導電ペーストをインクジェット技術により形成された配線等であってもよい。
【0145】
以下、説明を容易にするため、一例として、めっき膜215は、めっきにより形成されためっき膜を例示して説明をする。したがって、めっき膜215は、めっきで形成された膜に限定されるものではない。
【0146】
めっき膜215は、凹部216内に形成される。めっき膜は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)等の多層膜で形成することが好ましい。めっき膜215をインクジェット技術により形成する場合も、複数の金属を多層に形成することが好ましい。
【0147】
図19は、本発明の表示モジュール203を組み合わせた状態を説明する説明図である。表示モジュール203aと表示モジュール203bとは近接あるいは密着させて配置される。凹部216にめっき膜215が配置されているため、めっき膜215が損傷することがない。
【0148】
図20は、図19のAA’線での断面図である。図20に図示するように、表示モジュール203aと表示モジュール203bが近接あるいは密着して配置され、表示モジュール203aと表示モジュール203b間にはガラス接着材221が充填あるいは塗布されている。めっき膜215は信号線214と電気的に接続され、表示モジュール203aと表示モジュール203b間に形成された凹部216で、表示モジュール203aの裏面に引き出されている。
【0149】
表示モジュール203aの裏面は、図示を省略しているが、めっき膜215は端子形状に加工されている。表示モジュール203aの裏面の端子形状に、ACF219を介してCOF218が接続されている。COF218にドライバIC220が実装され、ドライバIC220の出力信号が、めっき膜215を介して信号線214に印加される。
図22図27図28は、本発明の表示モジュール203の製造方法の説明図である。特に、凹部216の形成方法を説明した図面である。
【0150】
凹部216の形成は、図12の位置合わせマーカ201の形成と同様あるいは類似である。なお、図27等は溝状の凹部216の形成方法として説明するが、これに限定するものではなく、たとえば、貫通穴223を形成してもよい。
【0151】
図27に図示するように、表示モジュール203において、凹部216を形成する位置にレーザ光吸収部224を形成する。レーザ光吸収部224は、表示モジュール203に形成された信号線2144から距離t離れた位置に形成される。距離tは極力、短いことがめっき膜215と電気的接続を取る観点から好ましいが、レーザ光205による信号線214の改質あるいは変形、画素175のサイズを考慮して決定する。具体的には、距離tは画素175のサイズ以下の距離である。
【0152】
図27等で図示するように、レーザ光吸収部224に、スリット228を形成することが好ましい。スリット228は、レーザ光205を照射する位置に形成する。
スリット228部は、レーザ光吸収部224が形成されていないか、他の部分よりレーザ光吸収部224が薄く形成されている。
【0153】
スリット228にレーザ光205が照射されると、レーザ光205は表示モジュール203のパネル基板202を直接に加工する。また、多くのレーザ光205はレーザ光吸収部224に照射され。レーザ光吸収部224を加熱する。
【0154】
パネル基板202に照射されたレーザ光205はガラス材料を溶解、蒸発、除去する。レーザ光吸収部224に照射されたレーザ光205はレーザ光吸収部224を加熱し、加熱された熱は、ガラス材料の溶解、蒸発、除去を促進する。したがって、スリット228が形成去れた位置を中心に加工が促進され、凹部216が形成される。
スリット228は、図12で説明した位置合わせマーカ201の形成時にも、レーザ光吸収部224に形成することが好ましい。
【0155】
レーザ光吸収部224の構成は、図28(a)に図示するように、表示モジュール203の側面に形成する構成が例示される。また、図28(c)、図28(d)に図示するように、レーザ光205を照射する位置に合わせて、孤立したレーザ光吸収部224とする構成が例示される。なお、図28(d)は、図28(c)の側面から見た構成面である。
図27図28(a)は、レーザ光吸収部224の表面に矩形あるいは円形のスリット228が形成された実施例である。
【0156】
図28(c)は、レーザ光吸収部224の表面に矩形のスリット228が形成された実施例である。また、図28(d)の側面図で図示するように、スリット228はレーザ光吸収部224に線形に形成される。図28(d)では、スリット228の長手方向にレーザ光205を移動させて凹部216を形成する。
【0157】
めっき膜215を形成する位置に、レーザ光吸収部224を形成する。レーザ光吸収部224の形成方法としては、スパッタによる方法、電着による方法、焼結による方法、インクジェットにより塗布する方法が例示される。
【0158】
レーザ光吸収部224を構成する材料は、パネル基板202の融点よりも高い材料であることが好ましく、また、照射するレーザ光205を吸収しやすい材料を選定することが好ましい。
【0159】
レーザ光吸収部224にスリット228を形成し、スリット228にレーザ光205が照射され、スリット228の近傍部がレーザ光205を吸収し発熱することにより、スリット228部を中心として、パネル基板202の加工が進行する。
【0160】
また、図28(c)に図示するように、レーザ光吸収部224が独立させることにより、レーザ光吸収部224にレーザ光205の照射により発生した熱の伝導がレーザ光吸収部224に留まり、よりレーザ光205の加工部の加熱状態が良好となる。したがって、凹部216、貫通穴223の加工が促進される。
【0161】
また、レーザ光吸収部224が溶解し、ガラス基板の材料と反応する材料が選定される。たとえば、フッ化水素(HF)、フッ化水素アンモニウムを含有する樹脂材料、クリーム状の混合ペースト等が例示される。フッ化水素は、レーザ光205の照射により反応性が向上し、凹部216の形成に寄与する。
【0162】
スリット228部をフッ化水素に浸透させた状態、フッ酸、硫酸の混合液、フッ化水素アンモニウム、フッ化水素を充填させた状態で、レーザ光205をスリット228部に照射することにより、スリット228部のガラス材料の溶解、腐食が加速される。ガラス材料が溶解あるいは腐食すると、レーザ光205の光吸収が向上し、より凹部216あるいは貫通穴223の形成が促進される。また、貫通穴223、凹部216部に、ガラスエッチング液を充填すること、超音波を印加すること、放電加工を実施すること、サンドブラスト加工をすることも有用である。
レーザ光吸収部224を形成する材料の沸点は、パネル基板202の融点よりも高いことが好ましい。
【0163】
レーザ光吸収部224にレーザ光205が照射されることにより、レーザ光吸収部224が発熱し、発熱した熱によりパネル基板202が溶解する。あるいは軟化する。したがって、凹部216の形成が進行する。
レーザ光205のパワーを調整し、レーザ光吸収部224を形成する材料の沸点以下で、かつ、パネル基板202を形成する材料の溶解温度以上に制御する。
レーザ光205の照射時は、窒素、アルゴン等の不活性ガス中で行うことが好ましく、または、真空中で行うことが好ましい。
【0164】
図28(a)に図示するように、レーザ光吸収部224にレーザ光205を照射することにより、パネル基板202の該当箇所に穴が形成され、穴は深さ方向に進行する。レーザ光吸収部224の材料の沸点以下の温度を維持することにより、パネル基板202に穴が形成される。
【0165】
図28(a)は、レーザ光吸収部224が表示モジュール203の側面に連続して形成された構成である。レーザ光205は表示モジュール203の上面側から照射し、レーザ光205の焦点位置を移動しながら、凹部216を形成する。
【0166】
図28(c)は、レーザ光吸収部224が表示モジュール203の側面に孤立して形成された構成である。レーザ光205は表示モジュール203の上面側からレーザ光吸収部224に照射し、レーザ光205の焦点位置を移動しながら、凹部216を形成する。図28(c)の構成では、レーザ光吸収部224が孤立して形成されているため、レーザ光205により発生した熱が伝熱されにくくなり、効率的にガラス基板を加熱し、凹部216に形成が容易になる。
図28(a)、図28(c)、図28(d)に図示するように、凹部216がレーザ光205により順次、形成される。
【0167】
図28(c)、図28(c)、図28(d)は、表示モジュール203の上面からレーザ光205を照射することにより、凹部216または貫通穴223を形成する実施例であったが、本発明はこれに限定するものではない。
【0168】
図28(b)に図示するように、表示モジュール203の側面からレーザ加工装置204のレーザ光205をレーザ光吸収部224に照射し、凹部216を形成してもよいことは言うまでもない。
【0169】
レーザ光205は、図22に図示するように、レーザ光205をレーザ光吸収部224に照射することにより、表示モジュール203のガラス基板に凹部216、あるいは貫通穴223が形成される。
【0170】
パネル基板202に貫通穴223を形成する場合は、パネル基板202の両面(表面側と裏面側)から、レーザ光205を同時にあるいは、交互にあるいは、一方の加工後に他方から照射する。一定以上の穴が形成された後は、フッ酸(フッ化水素、弗化水素 HF)を用いて、パネル基板202を腐食させることにより貫通穴223を形成する。
【0171】
レーザ光吸収部224の形成部にレーザ光205を照射することにより、凹部216を形成する。レーザ光吸収部224の形成、レーザ光205の照射による凹部216の加工は、複数回、繰り返しても良い。レーザ光205の照射によりレーザ光吸収部224が除去されることにより、凹部216の発熱が小さくなる。レーザ光吸収部224の形成 -> レーザ光205の照射 -> レーザ光吸収部224の形成 -> レーザ光205の照射を繰り返すことにより、凹部216の加工、形成が容易になる。また、レーザ光205の照射前にフッ化水素アンモニウムを塗布することも有効である。
レーザ光205を照射する位置の決定、基準は、図12図17等で説明した位置合わせマーカ201により行う。
【0172】
図22に図示するように、表示モジュール203の側面側からレーザ光205を照射する方法が、溝形状の凹部216を形成する場合に有用である。しかし、側面側からレーザ光205を照射すると、レーザ光205が、パネル基板202内に進入し、表示モジュール203に形成された画素175、信号線214等を破壊する場合がある。
【0173】
図23に図示するように、レーザ光205がレーザ光205Cの場合、レーザ光205Cは表示モジュール203の裏面で全反射して表示モジュール203内で反射を繰り返す。また、レーザ光205Cは、表示モジュール203に形成された画素175、信号線214等に照射され、画素175、信号線214を焼損させる。
【0174】
レーザ光205の入射角度θが45°(DEG.)以下の場合は、表示モジュール203の裏面で反射するレーザ光205の角度は、45°以上となり、基本的には、レーザ光205は裏面で全反射される。したがって、レーザ光205は表示モジュール203のパネル基板202内を反射して進行する。
【0175】
レーザ光205の入射角度θが45°(DEG.)以上の場合は、表示モジュール203の裏面で反射するレーザ光205の角度は、45°以下となり、基本的には表示モジュール203の裏面から外に出射される。したがって、表示モジュール203に形成された画素175、信号線214等にレーザ光205が照射され、画素175、信号線214を焼損させるリスクは小さくなる。
【0176】
しかし、入射角度θが45°(DEG.)以上の場合は、表示モジュール203の側面で、レーザ光205が反射し、凹部216の加工を行うことができないか、加工に長時間を必要とする。
【0177】
したがって、図23に示すレーザ光205の入射角度θは、レーザ光205Bのように45°よりも小さくする。しかし、レーザ光205Bは、表示モジュール203の裏面で反射して、レーザ光205Cが発生する。
【0178】
本発明は、少なくとも側面の凹部216の加工時には、表示モジュール203の裏面にレーザ光吸収層222を形成する。レーザ光吸収層222は、レーザ光205Bを吸収し、レーザ光205Cを発生しないようにする効果を発揮する。
【0179】
レーザ光吸収層222は、レーザ光205を吸収するカラーフィルタが例示される。カラーフィルタはゼラチン、アクリルを染色した樹脂からなるカラーフィルタの他、光学的誘電体多層膜により形成したカラーフィルタ、ホログラムによるカラーフィルタでもよい。
【0180】
アクリル樹脂にカーボン等を添加した樹脂からなるもので構成してもよい。その他、六価クロム等の黒色の金属、黒色の色素あるいは染料を含有する塗料、黒色でなくともレーザ光205に対して補色の関係のある染料、顔料等で着色されたものでもよい。また、ホログラムあるいは回折格子でもよい。
【0181】
黒色の色素あるいは顔料を樹脂中に分散したものを用いても良いし、カラーフィルタの様にゼラチンやカゼインを黒色の酸性染料で染色してもよい。黒色色素の例としては、単一で黒色となるフルオラン系色素を発色させて用いること、緑色系色素と赤色系色素とを混合した配色ブラックを用いることもできる。
【0182】
色吸収材料と同様に、色素を用いて天然樹脂を染色した材料、色素を合成樹脂中に分散した材料を用いることができる。色素の選択の範囲は黒色色素よりもむしろ幅広く、アゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、トリフェニルメタン染料等から適切な1種、もしくはそれらのうち2種類以上の組み合わせでも良い。
【0183】
図24の方法も例示される。図24は、容器225にオプティカルカップリング液226を充填し、表示モジュール203とオプティカルカップリング液226との屈折率差をなくす、あるいは少なくする構成である。オプティカルカップリング液226によりレーザ光205Cの反射はなくなる。
【0184】
オプティカルカップリング液226は、純水でも良いが、更に屈折率が、ガラス基板の屈折率に近いサルチル酸メチル液、エチレングリコール液、フロロカーボン系液を採用することが好ましい。
さらに、オプティカルカップリング液226にレーザ光205を吸収する顔料、染料を含有させることより、より効果が高くなる。
【0185】
たとえば、液体に、色素あるいは顔料を樹脂中に分散したものを用いても良いし、ゼラチンやカゼインを黒色の酸性染料で染色してもよい。黒色色素の例としては、単一で黒色となるフルオラン系色素を発色させて用いることもし、緑色系色素と赤色系色素とを混合した配色ブラックを用いることもできる。
【0186】
オプティカルカップリング液226に、色素を用いて天然樹脂を染色すること、色素を合成樹脂中に分散した材料を用いることができる。色素の選択の範囲は黒色色素よりもむしろ幅広く、アゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、トリフェニルメタン染料等から適切な1種、もしくはそれらのうち2種類以上の組み合わせでも良い。
【0187】
図22図23図24図25図28等の実施例についても、図1図5で説明した実施例を適用できること、あるいは組み合わせることができることは言うまでもない。
【0188】
信号線214上にITOに金属膜をめっきする方法について説明をする。ITOの表面、凹部216を脱脂する。脱脂工程では、ITO及び凹部216に付着した無機及び有機の汚れを除去する。脱脂工程では、ITOへの汚染物を除去して、めっき皮膜の密着を阻害する因子を排除すると同時に、めっきの選択性を劣化させる要因となる汚染物が除去される。
【0189】
脱脂処理にはアルカリ性界面活性剤溶液を60~80℃に加温して用い、洗浄効果を高めるために超音波を併用することが好ましい。MHz領域の周波数の超音波を用いて洗浄するいわゆるメガソニックは、素材にダメージを与えにくく、洗浄効果も高く好ましい。
次に、フッ化物を含むエッチング液で、ITOを溶解し、表面を粗化することで、上層に形成するめっき膜の密着性を向上させる。
【0190】
ITOへのめっき処理で用いられる触媒付与処理は、全面にパラジウムコロイド系触媒を付与した後にフッ酸系エッチング液でガラス表面をエッチングしてITOのみを触媒化する方法と、ITOへ選択的に付着するパラジウムイオン系触媒を用いる方法が例示される。
前者は、エッチング条件やパラジウムの再付着によって選択性が劣る傾向があるが、めっき膜の密着状態が良好で好ましい。
【0191】
パラジウムイオン系触媒で、ITOとガラスへの付着密度を測定すると、付着密度比はITO:ガラス=10:1となり、パラジウムはITOと比較してガラスには付着しにくい傾向を示すことから、ITOのみを選択的にめっきできる。
【0192】
以上の処理を行ったITOに無電解めっきを行う。ITOパターンへ選択的に無電解ニッケルめっきを行う。ITOへ最も密着良く製膜できるめっき皮膜は、無電解ニッケルめっき法によるニッケル-リン皮膜である。
【0193】
無電解ニッケルめっき液は、次亜リン酸を還元剤とする酸性タイプの組成である。ニッケル-リン皮膜は比較的電気伝導性の低い皮膜であるため、必要に応じて、ニッケル-リン皮膜上に金や銅等のより電気伝導性の高い皮膜を形成する。
【0194】
無電解ニッケルめっき後の熱処理は、密着増強のために実施する。熱処理による密着増強効果は120℃程度から現れるが、密着を確実にするために200℃~250℃、30分程度の熱処理で良好な結果が得られる。
【0195】
本発明の表示パネルの製造方法について図面を参照しながら説明をする。図25は、本発明の表示モジュール203の製造方法の説明図である。一実施例として、図25等は、表示モジュール203の側面にレーザ光205を照射し、凹部216を形成するとして説明するが、本発明はこれに限定するものではない。図28に図示するように、表示モジュール203の上面からレーザ光205を照射することにより凹部216あるいは貫通穴223を形成してもよいし、図23図24で説明した方法等と組み合わせてもよい。
【0196】
以上のように、本発明は、本明細書、図面に記載している全部または一部を相互に組み合わせることができる。また、それぞれの構成を適時、採用することができる。
【0197】
なお、図25は、表示モジュール203の側面にレーザ光吸収部224を形成した製造方法であるが、本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、図29(a)は、レーザ光吸収部224を形成せず、凹部216を形成した実施例である。なお、図29(b)は図25(b)と、図29(c)は図25(c)と同様あるいは類似であり、説明を省略する。
【0198】
図16図30に図示するように、1つのパネル基板202には、複数の表示モジュール203が作製される。各表示モジュール203の4つの端には、位置合わせマーカ201が形成、または配置される。
【0199】
パネル基板202は、図16の矢印の位置で切断され、表示モジュール203に分離される。図18(a)に図示するように、必要に応じて、表示モジュール203はaa’線、bb’線、cc’線、dd’線で精密切断、あるいは研磨加工される。
【0200】
研削加工とは、一例として、砥石車と呼ばれる円状の大きな工具を高速回転させ、その表面を加工するものに当てることにより、その表面を滑らかな状態に整える。この砥石車の表面には大きめの砥粒が無数につけられており、これによって対象物の表面の微小突起等を削ることができる。
【0201】
好ましくは、研磨は、CP(Cross section polisher)加工(イオンミリング)で行うことが好ましい。CP加工(イオンミリング)とは、集束していないブロードなアルゴンイオンビームを試料に照射し、試料原子を弾き飛ばすスパッタリング現象を利用して試料を削ることである。試料の表面にアルゴンイオンビームを入射させ、試料を作製する。CP加工では、研磨面に熱が発生せず、熱による影響がない。
【0202】
図18(b)に図示するように、矢印に示すパネル基板202の側面を精密研磨加工することにより、平滑化する。また、ガラス切断により、発生したクラックを消去する。また、研磨面をフッ化水素で洗浄することにより、微小なクラックをなくすことができる。
【0203】
本発明の表示パネルは、図16で説明したように、比較的、表示画面165が小さい表示モジュール203を作製し、当該表示モジュール203を組み合わせることにより、大画面の表示画面165(大画面の表示モジュール)を作製するものである。
【0204】
表示画面165が小さい表示モジュール203には、それぞれゲートドライバ161、ソースドライバ162が接続される。ソースドライバ162は、ソース信号線164の両側に接続する。ゲートドライバ161は、ゲート信号線163の一方に接続するが、好ましくは、ゲート信号線163の両方に接続することが好ましい。
【0205】
各表示モジュール203は、図19図20に図示するように、各表示モジュール203間の界面がない、あるいは、各表示モジュール203間を目立たないように接続、組み合わされる。
【0206】
本発明は、複数の表示モジュール203を組み合わせることより、大画面の表示画面165を構成する。各表示モジュール203は、表示不良の検査を行い、不良は修正をして完成させる。したがって、良品の表示モジュール203を組み合わせることにより表示ディスプレイを構成するため、製造歩留まりを向上させることができる。
【0207】
以上の事項は、図30図33図34図35図37等においても同様である。また、その一部または全部を組み合わせること、適用できることは言うまでもない。
図25(a)に図示するように、表示モジュール203の側面から、レーザ光吸収部224にレーザ光205を照射し、凹部216を形成する。
【0208】
次に、凹部216及び裏面及び信号線214a上にめっき膜215を形成する。めっき膜215の形成方法について図38図39を参照しながら説明する。図38は、めっき膜215の形成方法に関するフローチャート図である。図39はめっき膜の形成方法の説明図である。
図39(a)に図示するように、表示モジュール203(パネル基板202)を洗浄する。あるいは、プラズマアッシャー装置でアッシング処理を行う。
次に、図39(b)に図示するように、表示モジュール203(パネル基板202)にレーザ光吸収部224、スリット228を形成する(図38S11)。
【0209】
図17で説明したように、表示モジュール203(パネル基板202)の位置合わせマーカ201を画像認識装置206で検出・認識し、XYZステージ217を制御して位置決めを行う。
次に、図39(c)に図示するように、レーザ光205をレーザ光吸収部224に照射し、凹部216を形成する(図38S12)。
凹部216は、フェムト秒レーザ光205のレーザ強度、照射するレーザパルスの移動速度を変更あるいは設定することによりに実現できる。
【0210】
フェムト秒レーザ加工装置は、一般にパルス幅が、サブピコ秒から数十フェムト秒のフェムト秒レーザ光205を発生する。サブピコ秒から数十フェムト秒の超短パルスのレーザ光205を材料に照射した場合、材料の熱拡散特性時間に比べてパルス幅が十分に短いため、光エネルギーを有効に照射部に投入できる。
【0211】
その結果、照射周辺部への熱影響が局限することが可能で、高精度な微細加工が実現できる。また、レーザ光の電場強度が非常に高いので、ビームが集光されたところにのみ、空間選択的に多光子吸収、多光子イオン化等の非線形作用を誘起することができる。
【0212】
フェムト秒レーザ光205のパルスを照射することにより、レーザ光吸収部224及びスリット228の形成部に対応する箇所のガラス材料が除去され、凹部216が形成される。
パネル基板202に対し酸性脱脂剤を用い、例えば45℃、5分の条件で脱脂を行う(図38S13)。
塩酸系水溶液を用いてプリディップ処理を行う(図38S14)。保持時間は、一例として、2分である。
【0213】
次に、Sn-Pd触媒229を凹部216の表面、及びレーザ光吸収部224の残存している部分の表面に付与する(図38S15図39(d))。Sn-Pd触媒229はコロイド状の粒子であり、Sn-Pdの核部の表面にSn-rich層、及びSn2+層が順に形成されている。
【0214】
次に、活性化を行う(図38S16)。Sn-Pd触媒229を付与したパネル基板202を塩酸系の溶液に浸漬することでSnの層が除去され、内部のPd触媒が露出する。Pd触媒が露出するので、Sn-Pd触媒229が存在する部分において、無電解Ni-Pめっき液による反応が生じる。
【0215】
アルカリ溶液を用いて、レーザ光吸収部224を剥離する(図38S17図39(e))。パネル基板202のレーザ光吸収部224が剥離された部分にはSn-Pd触媒229が存在しない。
【0216】
アルカリ溶液を用いて、レーザ光吸収部224を剥離する(図38S17図39(e))。パネル基板202のレーザ光吸収部224が剥離された部分にはSn-Pd触媒229が存在しない。
【0217】
パネル基板202の表面に無電解Ni-Pめっきを行い、薄膜ヒータ117、温度プローブ116が形成される(図38S18図39(f))。無電解Ni-Pめっき液としては、酸性領域から中性領域で次亜リン酸ナトリウムを還元剤とする還元析出型の無電解Ni-Pめっき液を用いることができる。
【0218】
キレート剤としては、リンゴ酸、またはクエン酸、またはマロン酸、酒石酸等のオキシカルボン酸、または酢酸やコハク酸等のモノカルボン酸、アンモニアやグリシン等のアミン類を単独もしくは複数併用して用いることができる。無電解Ni-Pめっき液中の還元剤がパネル基板202上で電子を放出するように触媒として機能するPdが付与されている。したがって、無電解Niめっき液中のNiイオンが、還元剤の酸化反応で放出される電子によって還元され、パネル基板202の表面に析出し、薄膜ヒータ117、温度プローブ116が形成される。
【0219】
本実施形態によれば、難めっき材料からなるパネル基板202に対して、特殊な薬液またはフォトリソグラフィの技術を用いることなく、図25(b)に図示するように、密着性が良好であるNi-Pめっきからなるめっき膜215を形成することができる。必要に応じて、Ni-Pめっき上に、電解めっきによる銅(Cu)めっき膜を形成する。
次に、図25(c)に図示するように、表示モジュール203の裏面部のめっき膜215に異方性導電膜(ACF)219を取り付ける。
次に、図26(d)に図示するように、ACF219を介して、めっき膜215とCOF218の端子電極とを電気的に接続する。
【0220】
COF218には、ソースドライバ162またはゲートドライバ161が実装されている。また、COF218には、コンデンサ(図示せず)、電源用のコイル(図示せず)が実装されている。
【0221】
次に、図26(e)に図示するように、複数の表示モジュール203(図26では、表示モジュール203a、表示モジュール203b)が、近接して配置され、また、組み合わせされる。
【0222】
次に、図26(f)に図示するように、配置された表示モジュール203間にガラス接着剤221が塗布され、複数の表示モジュール203の組み合わせにより大画面を有する表示パネルが作製される。
【0223】
ガラス接着剤221としては、シリコン系、エポキシ系、ウレタン系、これらの紫外線硬化系等の多くから選択することができる。ガラス接着剤は、光透過性を有し、パネル基板202の屈折率が近似した材料からなるものを選択することが好ましい。特に、ウレタン接着剤は、一液硬化型で接着強度も高い。紫外線硬化型は、接着工法が容易である。
【0224】
表示モジュール203aと表示モジュール203bを近接して配置し、位置合わせをする。次に、表示モジュール203aと表示モジュール203b間に、ガラス接着剤221を流し込む。
【0225】
次に、2~5分間、UV光をガラス接着剤221に照射し、初期硬化させる。次に、UV光の強度を高くして、再度UV光を2~3分間、照射して完全硬化させる。
【0226】
なお、ガラス接着剤221としたが、ガラスに限定されるものではない。表示モジュール203が樹脂の場合は、樹脂接着剤でよい。ガラス接着剤は、表示モジュール203のパネル基板202と屈折率が等しい、あるいは近似であり接続部が目立ちにくくなるものであればいずれでもよい。
以上の事項は、図30図32図34図37等においても同様である。また、その一部または全部を組み合わせること、適用できることは言うまでもない。
以下、本発明の第2の実施例における表示モジュール203について図面を参照しながら説明をする。
【0227】
図31は、本発明の第2の実施例における表示パネルの構造の説明図であり、表示パネルの一部を拡大した図面である。図32は、図31のAA’線での断面図である。
【0228】
図31に図示するように、表示モジュール203aに近接して表示モジュール203bが配置される。なお、表示モジュール203aの右端、表示モジュール203aの紙面上側、表示モジュール203aの紙面下側にも、表示モジュール203が配置されることは、図19の第1の実施例と同様である。
【0229】
図19の第1の実施例と同様に、表示モジュール203aの信号線214a(ゲート信号線163、ソース信号線164等)と、表示モジュール203bの信号線214bは平行に、近接して配置される。
【0230】
図19の第1の実施例、図31の第2の実施例でも同様であるが、アノード配線Vdd、カソード配線Vssも信号線214と同様に構成され、めっき膜215等が形成される。
【0231】
図16に図示するように、1つのパネル基板202には、複数の表示モジュール203が作製される。各表示モジュール203の4つの端には、位置合わせマーカ201が形成、または配置される。
【0232】
パネル基板202は、図16の矢印の位置で切断され、表示モジュール203に分離される。図30(a)に図示するように、必要に応じて、表示モジュール203はaa’線、bb’線、cc’線、dd’線で精密切断、あるいは研磨加工される。
【0233】
好ましくは、研磨は、CP(Cross section polisher)加工(イオンミリング)で行うことが好ましい。CP加工(イオンミリング)とは、集束していないブロードなアルゴンイオンビームを試料に照射し、試料原子を弾き飛ばすスパッタリング現象を利用して試料を削ることである。試料の表面にアルゴンイオンビームを入射させ、試料を作製する。CP加工では、研磨面に熱が発生せず、熱による影響がない。
【0234】
図30(b)の矢印で図示するように、表示モジュール203の端面は、斜面となるように、研磨される。表示モジュール203の左右は斜面の形状方向が異なり、また、紙面の上下の斜面の形状方向が異なるように加工される。
【0235】
研削加工とは、一例として、砥石車と呼ばれる円状の大きな工具を高速回転させ、その表面を加工するものに当てることにより、その表面を滑らかな状態に整える。その後、 パネル基板202の側面を精密研磨加工することにより、平滑化する。また、研磨面をフッ化水素で洗浄することにより、微小なクラックをなくす。あるいは、CP加工を実施する。
【0236】
図32で図示するように、表示モジュール203aの左端に表示モジュール203bが配置される。表示モジュール203aの端部は斜面状に形成され、同様に、表示モジュール203bの端部は斜面状に形成される。表示モジュール203aの端部と、表示モジュール203bの端部とが、組み合わせて接するように構成されている。
【0237】
表示モジュール203aの左側端部には、信号線214位置に一致させて、凹部が形成されている。凹部には、図21(a)に図示するように、めっき膜215が形成されている。
【0238】
第2の実施例では、図38図39等でせつめいしたように、斜面にレーザ光205を照射することにより凹部216(図示せず)し、めっき膜215を形成する。レーザ光205の照射部は斜面ながら、表示モジュール203の上方からの照射となる。上方からのレーザ光205の照射は、表示モジュール203の側面側からの照射よりも容易である。
【0239】
なお、第2の実施例における凹部は、第1の実施例における凹部216のように必須の構成物ではない。したがって、凹部216は、形成しない構成も例示されることは言うまでもない。
【0240】
めっき膜215は信号線214と電気的に接続される。表示モジュール203aの斜面のめっき膜215には、ACF219が配置され、ACF219を介してCOF218とめっき膜215が電気的に接続されている。表示モジュール203の斜面にACF219が接続できるように、端子形状(図示せず)が形成されている。
【0241】
めっき膜215と信号線214が接続される箇所で、かつ、信号線214の表面にはITO膜(図示せず)が形成されている。したがって、信号線214を構成する金属材料と、めっき膜215間にはITO膜が配置されている。ITO膜は、好ましくはめっき膜215にも形成することが好ましい。
図31は、表示モジュール203の一辺を図示しているが、図30(b)に図示するように表示モジュール203の他の3辺にも斜面を形成する。
【0242】
信号線214上には、ITO膜(図示せず)が信号線214を被覆するように形成されている。ITO膜を形成することにより、めっき膜215と信号線214との接続抵抗が低減する。
【0243】
表示モジュール203aと表示モジュール203b間にはガラス接着剤221が充填される。ガラス接着剤221は、表示モジュール203aと表示モジュール203bを接着するとともに、COF218を固定する役割もはたす。
【0244】
表示モジュール203aと表示モジュール203bの端に形成した斜面で2つの表示モジュール203を接続する。斜面で接続するため、接続面積が広く、2つの表示モジュール203を強固に接続することができる。また、図20のように、表示モジュール203の裏面にACFと接続のための端子を形成する必要がない。
表示モジュール203の端面は、斜面部と垂直方向に厚みを有する2つの略垂直部を有する。垂直部を厚くするほうがパネル基板202はクラックし難くなる。
【0245】
本発明の第2の実施例のおける表示パネルの製造方法について図面を参照しながら説明をする。図33図34は、本発明の表示モジュール203の製造方法の説明図である。
図33(a)の実施例では、レーザ光吸収部224を形成していないが、図36(a2)に図示するように、レーザ光吸収部224を斜面に形成してもよい。
表示モジュール203の斜面にめっき膜215を形成する方法は、図38図39で説明したので説明を省略する。
【0246】
本実施形態によれば、難めっき材料からなる表示モジュール203(パネル基板202)に対して、特殊な薬液またはフォトリソグラフィの技術を用いることなく、密着性が良好であるNi-Pめっきからなるめっき膜215を形成することができる。
【0247】
Ni-Pめっき215上には、必要に応じて、銅(Cu)めっき膜を形成する。また、Ni-Pめっき215上には、必要に応じてITO膜を形成し、また、銅(Cu)めっき膜上には必要に応じてITO膜を形成する。
図33(c)に図示するように、表示モジュール203の斜面のめっき膜215に異方性導電膜(ACF)219を取り付ける。
【0248】
次に、図34(d)に図示するように、ACF219を介して、めっき膜215とCOF218の端子電極とを電気的に接続する。接続の際にACF219を加熱、押圧が必要であるが、押圧方向も表示モジュール203の上方からでよいので、製造工程、製造方法が容易である。
【0249】
COF218には、ソースドライバ162またはゲートドライバ161が実装されている。また、COF218には、コンデンサ(図示せず)、電源用のコイル(図示せず)が実装されている。
【0250】
次に、図34(e)に図示するように、複数の表示モジュール203(図34では、表示モジュール203a、表示モジュール203b)が、近接して配置され、また、組み合わせされる。
次に、図34(f)に図示するように、配置された表示モジュール203間にガラス接着剤221が塗布され、UV(紫外線)光が照射されて、硬化される。
複数の表示モジュール203の組み合わせにより大画面を有する表示パネルが作製される。
【0251】
図32の実施例は、表示モジュール203の斜面に、めっき膜215を形成し、めっき膜215にACF219を取り付けた構成であった。本発明はこれに限定されるものではない。
【0252】
図35は、第3の実施例における本発明の表示モジュール203の断面図である。図35では表示モジュール203の斜面に貫通穴223が形成され、貫通穴223にめっき膜215bが形成されている。全体構成は、図31図32と同様あるいは類似であるので説明を省略する。
【0253】
めっき膜223bは表示モジュール203aの裏面に端子形状に形成され、斜面のめっき膜215aと電気的に接続されている。めっき膜215aは信号線214aと電気的に接続されている。表示モジュール203aの裏面のめっき膜215bは、ACF219が取り付けられ、ACF219はCOF218が取り付けられている。
【0254】
したがって、表示モジュール203aの信号線214aは、めっき膜215a、めっき膜215b、ACF219を介して、ドライバIC220の出力端子と接続されている。
【0255】
本発明の第3の実施例のおける表示パネルの製造方法について図面を参照しながら説明をする。図36図37は、図35の本発明の表示モジュール203の製造方法の説明図である。
図36(a1)の実施例では、レーザ光吸収部224を形成していないが、図36(a2)に図示するように、レーザ光吸収部224を斜面に形成してもよい。
表示モジュール203の斜面にめっき膜215を形成する方法は、図38図39で説明したので説明を省略する。
【0256】
図36(a1)に図示するように、表示モジュール203aの斜面にはLの範囲にレーザ光205が照射される。レーザ光205の照射により、めっき膜215aを形成する領域が粗化される。また、好ましくは、加えて凹部216が形成される。
【0257】
図36(a2)に図示するように、斜面にレーザ光吸収部224を形成することにより、めっき膜215aを形成する領域の粗化が促進される。また、凹部216の形成も促進される。
【0258】
次に、図36(b)に図示するように、貫通穴223を形成する領域にレーザ光吸収部224を形成する。レーザ光吸収部224にレーザ光205を照射することにより、容易に貫通穴223を形成できる。貫通穴223の形成工程時は、レーザ光205の貫通穴223の形成深さに対応して、レーザ光205の焦点位置を移動させる。
【0259】
図36(b)での貫通穴223の形成後、貫通穴223部を中心にフッ酸溶液、フッ化水素アンモニウムを浸透させ、貫通穴223部のクラックをなくすことが有効である。
【0260】
次に、図38図39で説明しためっき膜の製造方法で、めっき膜215a、めっき膜215bを形成する。めっき膜215a、めっき膜215bの形成後の表示モジュール203の断面を図36(c)に図示する。
【0261】
本実施形態によれば、難めっき材料からなる表示モジュール203(パネル基板202)に対して、特殊な薬液またはフォトリソグラフィの技術を用いることなく、密着性が良好であるNi-Pめっきからなるめっき膜215を形成することができる。
Ni-Pめっき215bには、貫通穴223部に無電解めっきによりめっき膜を形成し、その後、電解めっきにより、銅(Cu)めっき膜を形成する。
【0262】
図37(c)に図示するように、表示モジュール203の裏面のめっき膜215bに異方性導電膜(ACF)219を取り付ける。また、ACF219を介して、めっき膜215bとCOF218の端子電極とを電気的に接続する。
【0263】
次に、図37(e)に図示するように、複数の表示モジュール203(図37では、表示モジュール203a、表示モジュール203b)が、近接して配置され、また、組み合わせされる。複数の表示モジュール203の組み合わせにより大画面を有する表示パネルが作製される。
次に、図37(f)に図示するように、配置された表示モジュール203間にガラス接着剤221が塗布され、UV(紫外線)光が照射されて、硬化される。
本実施の形態に係る表示ディスプレイ、表示パネル、表示モジュール203は、情報機器等のシステム機器を含む概念である。
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面及び詳細な説明を提供した。
【0264】
したがって、添付図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0265】
上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略等を行うことができる。
【0266】
以上、本明細書において、実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
本明細書及び図面に記載した事項あるいは内容は、一部または全部を相互に組み合わせることができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0267】
本開示は、特に、アクティブ型のLEDディスプレイ、LED表示パネルに有用である。LEDは、LEDチップ、マイクロLED、ナノLED等の多くのサイズに適用できる。
【符号の説明】
【0268】
161 ゲートドライバIC
162 ソースドライバIC
163 ゲート信号線
164 ソース信号線
165 表示画面
171 コンデンサ
172 LED
173 トランジスタ
174 接続電極
175 画素
176 拡散材
201 位置合わせマーカ
202 パネル基板
203 表示モジュール
204 レーザ加工装置
205 レーザ光
206 画像認識装置
207 溝状マーカ
211 反射膜
212 マスク
214 信号線
215 めっき膜
216 凹部
217 XYZステージ
218 COF
219 ACF
220 ドライバIC
221 ガラス接着剤
222 レーザ光吸収部
223 貫通穴
224 レーザ光吸収部
225 容器
226 オプティカルカップリング液
227 照明光
228 スリット
229 Sn-Pd触媒
301 レーザミラー
302 ミラー基材
303 反射膜
304 誘電体ミラー
305 プリズム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図12
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