(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119725
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】給排気装置
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20230822BHJP
【FI】
A61H7/00 322B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022727
(22)【出願日】2022-02-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】390006286
【氏名又は名称】株式会社テクノ高槻
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100138232
【弁理士】
【氏名又は名称】野間 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】北尾 雅哉
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AD02
4C100BA01
4C100BA03
4C100BA05
4C100BA10
4C100BB05
4C100BC13
4C100CA20
4C100DA08
4C100DA10
(57)【要約】
【課題】機械的な摩耗や経年劣化に伴う故障によってマッサージ具の種類が誤判定されることを防止すると共に、より多くの種類のマッサージ具を判定することができる、給排気装置を提供する。
【解決手段】給排気装置3は、マッサージ具2の種類を識別する識別部25と、気体の供給及び排出によって膨張収縮する複数の気体室201~216と、気体室に連通する連通路Hと、を有するマッサージ具に、連通路を介して気体を供給すると共に気体を排出する、給排気装置である。給排気装置3は、予め設定された動作パターンに従ってマッサージ具への気体の供給及び/又は排出を制御する制御部7と、識別部25を無線通信によって認識可能な認識部35と、を備える。制御部は、認識部によって認識された識別部に基づいてマッサージ具の種類を特定すると共に、特定されたマッサージ具の種類に応じて動作パターンを設定する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マッサージ具に対する気体の供給及び排出を行う給排気装置であって、
前記マッサージ具の種類を識別する識別部と、気体の供給及び排出によって膨張収縮する複数の気体室と、前記気体室に連通する連通路と、を有するマッサージ具に、前記連通路を介して気体を供給すると共に気体を排出する、給排気装置であって、
予め設定された動作パターンに従って前記マッサージ具への気体の供給及び/又は排出を制御する制御部と、
前記識別部を無線通信によって認識可能な認識部と、を備え、
前記制御部は、前記認識部によって認識された前記識別部に基づいて前記マッサージ具の種類を特定すると共に、特定された前記マッサージ具の種類に応じて前記動作パターンを設定する、給排気装置。
【請求項2】
前記制御部は、特定された前記マッサージ具の種類に応じて複数の前記動作パターンを設定候補として記憶すると共に、設定された複数の動作パターンの中から一つの前記動作パターンの選択を受け付け可能に設けられている、請求項1記載の給排気装置。
【請求項3】
前記識別部は、個々を一意に識別する識別情報を有しており、
前記認識部は、前記識別情報を無線通信によって取得し、
前記制御部は、取得した前記識別情報に応じて、複数の前記動作パターンの中から選択可能な動作パターンを制限する、請求項2記載の給排気装置。
【請求項4】
前記連通路の端部に形成された第一接続部に接続可能な第二接続部を更に備え、
前記認識部は、前記第一接続部に設けられた前記識別部を認識可能に設けられている、請求項1~3の何れか一項記載の給排気装置。
【請求項5】
前記認識部は、近距離無線通信によって前記識別部と通信し、
前記認識部は、前記第一接続部に前記第二接続部が接続された状態において前記識別部を認識し、前記第一接続部に前記第二接続部が接続されていない状態において前記識別部を認識しないように設けられている、請求項4記載の給排気装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記認識部による前記識別部の識別の有無に基づいて、前記マッサージ具の前記第二接続部に対する接続の有無を判定すると共に、前記接続が外れたと判定すると報知部に報知させる、請求項5記載の給排気装置。
【請求項7】
前記第一接続部を介して前記第二接続部に接続された前記マッサージ具の使用状況を記録する記憶部を更に備える、請求項4~6の何れか一項記載の給排気装置。
【請求項8】
前記第二接続部は、複数設けられており、
前記制御部は、複数の前記第二接続部のそれぞれに接続された前記マッサージ具ごとに独立して前記動作パターンを設定する、請求項4~7の何れか一項記載の給排気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ具に用いられる給排気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
気体を受容して膨張すると共に気体を排出して収縮するスリーブを有するマッサージ具と、スリーブに対し気体の供給及び排出を行なう気体供給装置と、を備える、気体式マッサージ機(エアマッサージ機)が知られている。上記マッサージ具には、マッサージ(治療)部位ごと、マッサージ方法ごとに、様々なタイプのマッサージ具が用意されており、マッサージ具の種類ごとに、例えば気体供給装置からの気体の供給タイミング、供給量、順番等の動作パターンが定められている。このため、このようなマッサージ制御装置では、接続されたマッサージ具に対応した動作パターンとなるように、使用者が手動で動作パターンを選択している。ところが、このような動作パターンの選択は、使用者にとって手間であり、また、使用者が設定を間違ったりして適切な設定ができないおそれがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、ポンプから接続口にまで延びる流路内の圧力を測定する圧力センサが示す測定圧力が所定の初期設定圧力以上になったときにエアポンプから流路への圧縮空気の供給を停止し、圧縮空気の供給を停止してから所定の待機時間が経過したときに圧力センサが示す測定圧力を判別圧力値として取得して、当該判別圧力値に基づいて接続口に接続されているマッサージ具の種類を判別するようにしたマッサージ制御装置が開示されている。そこで、このように判別されたマッサージ具の種類に基づいて動作パターンを自動的に選択させることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のマッサージ制御装置では、スリーブに個体差があるため誤判定の要因となったり、判別できるマッサージ具の種類に制限があったりする。そこで、気体供給装置に接続されるマッサージ側に段差を付ける等して、気体供給装置側の機械的なスイッチによってマッサージ具の種類を判別することが考えられる。しかしながら、この場合は、機械的なスイッチの耐久性が問題となり、故障等によって間違った判別がなされた場合、人体に危険を及ぼす可能性がある。また、判別できるマッサージ具の種類にも制限があるので適切な設定ができない場合がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、機械的な摩耗や経年劣化に伴う故障に起因するマッサージ具の種類の誤判定によって人体に危険が及ぶ可能性を低減すると共に、より多くの種類のマッサージ具を判定することができる、給排気装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の給排気装置は、マッサージ具に対する気体の供給及び排出を行う給排気装置であって、マッサージ具の種類を識別する識別部と、気体の供給及び排出によって膨張収縮する複数の気体室と、気体室に連通する連通路と、を有するマッサージ具に、連通路を介して気体を供給すると共に気体を排出する、給排気装置であって、予め設定された動作パターンに従ってマッサージ具への気体の供給及び/又は排出を制御する制御部と、識別部を無線通信によって認識可能な認識部と、を備え、制御部は、認識部によって認識された識別部に基づいてマッサージ具の種類を特定すると共に、特定されたマッサージ具の種類に応じて前記動作パターンを設定する。
【0008】
この構成の給排気装置の認識部は、マッサージ具に設けられた識別部を無線通信によって認識するので、機械的な摩耗や経年劣化に伴う故障によってマッサージ具の種類が誤判定されることを防止することができる。また、無線通信によって識別部を認識する方式では、機械的に異なる形状を複数用意することによって種類を判定することに比べて、容易に接続される多くの種類のマッサージ具を判定することができる。
【0009】
本発明の給排気装置では、制御部は、特定されたマッサージ具の種類に応じて複数の動作パターンを設定候補として記憶すると共に、設定された複数の動作パターンの中から一つの動作パターンの選択を受け付け可能に設けられていてもよい。この構成では、制御部によって特定されるマッサージ具の種類に基づいて、自動的に選択可能な複数の動作パターンが設定される。使用者は設定された複数の動作パターンの中から任意にパターンを選択することが可能になる。
【0010】
本発明の給排気装置では、識別部は、個々を一意に識別する識別情報を有しており、認識部は、識別情報を無線通信によって取得し、制御部は、取得した識別情報に応じて、複数の動作パターンの中から選択可能な動作パターンを制限してもよい。この構成では、制御部によって特定されるマッサージ具の種類に基づいて、自動的に選択可能な複数の動作パターンが設定されると共に、認識部によって認識される識別情報に基づいて、選択(利用)することができる動作パターンが制限される。これにより、例えば、治療方針が異なる使用者ごとに利用できる機能が設定されるので、誤った治療(動作)がなされることを防ぐことができる。
【0011】
本発明の給排気装置では、連通路の端部に形成された第一接続部に接続可能な第二接続部を更に備え、認識部は、第一接続部に設けられた識別部を認識可能に設けられてもよい。この構成では、第二接続部を介して接続部に接続されたマッサージ具の識別部が認識されるので、給排気装置に接続されたマッサージ具の種類を特定することができる。
【0012】
本発明の給排気装置では、認識部は、近距離無線通信によって識別部と通信し、認識部は、第一接続部に第二接続部が接続された状態において識別部を認識し、第一接続部に第二接続部が接続されていない状態において識別部を認識しないように設けられてもよい。この構成では、給排気装置にマッサージ具が接続されているか否かを判定できるので、治療中にマッサージ具が外れた場合の異常を検知することができる。
【0013】
本発明の給排気装置では、制御部は、認識部による識別部の識別の有無に基づいて、マッサージ具の第二接続部に対する接続の有無を判定すると共に、接続が外れたと判定すると報知部に報知させてもよい。この構成では、マッサージ具が外れたことを使用者に報知することができる。
【0014】
本発明の給排気装置は、第一接続部を介して第二接続部に接続されたマッサージ具の使用状況を記録する記憶部を更に備えてもよい。この構成では、使用者の使用状況及び使用者の使用状況に対応する使用者の状態を記録することができる。
【0015】
本発明の給排気装置では、第二接続部は、複数設けられており、制御部は、複数の第二接続部のそれぞれに接続されたマッサージ具ごとに独立して動作パターンを設定してもよい。この構成では、例えば、使用者の体の異なる部位に取り付けたそれぞれのマッサージ具に対して、それぞれ異なる動作をさせることができる。これにより、複数の給排気装置を用意する必要がなくなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、機械的な摩耗や経年劣化に伴う故障に起因するマッサージ具の種類の誤判定によって人体に危険が及ぶ可能性を低減すると共に、より多くの種類のマッサージ具を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る給排気システムとマッサージ具とが接続されたときの模式図である。
【
図3】
図3は、給排気システムとマッサージ具の接続部分を示す斜視図である。
【
図4】
図4(A)及び
図4(B)は、エアポンプ及び分配用バルブユニットの回路図である。
【
図5】
図5(A)及び
図5(B)は、エアポンプ及び分配用バルブユニットの回路図である。
【
図6】
図6(A)及び
図6(B)は、動作パターンの一例を示した図である。
【
図7】
図7は、一実施形態に係る給排気システムと他のマッサージ具とが接続されたときの模式図である。
【
図8】
図8(A)及び
図8(B)は、変形例に係る給排気システムの動作の制限を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して一実施形態に係る給排気装置3について説明する。図面の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0019】
最初に、気体式マッサージ機1について説明する。気体式マッサージ機1は、高圧気体を使用して被施術者の身体をマッサージする機器である。気体式マッサージ機1は、例えば、被施術者の静脈、リンパの滞りを改善し、その流れを促進するなど、身体状態を改善することを目的に、被施術者の身体を「揉む」等、被施術者の身体に刺激を与えるために用いられる。ここで、本明細書において、「高圧気体」は、大気圧より高い気圧を有する気体を指す。本実施形態では、気体は、利便性の観点から、空気である。しかしながら、気体は、特に限定されず、He(ヘリウム)及びN2(窒素)などの不活性ガス、並びにO2(酸素)等のその他のガスであってもよい。
【0020】
気体式マッサージ機1は、
図1に示されるように、マッサージ具2と、マッサージ具2に接続される給排気装置3と、を備える。本実施形態における「接続」は、単なる物理的接続に限定されない。例えば、ホース、チューブ、タンクなどの中間部材を介して2つの装置間を気体、液体などの流体が流れるとき、当該二つの装置は互いに接続する(流体接続する)とみなされる。
【0021】
マッサージ具2は、被施術者の身体にマッサージを施すために、身体に装着される器具である。マッサージ具2は、ホース(連通路)HおよびコネクタCを介して給排気装置3に接続される。マッサージ具2は、給排気装置3から高圧気体が供給されて膨張し、給排気装置3を介して高圧気体が排出されて収縮する。マッサージ具2は、膨張することで身体を圧迫し、収縮することで身体の圧迫を解除する。マッサージ具2は、身体の圧迫と圧迫解除を繰り返すことで、被施術者の身体をマッサージする。マッサージ具2は、本実施形態では、被施術者の身体Bを囲むように装着されて、身体Bの周囲から身体Bを圧迫し、その後その圧迫を解除するように構成される。より具体的には、マッサージ具2は、右脚を囲むように装着される第一マッサージ具21(右脚用マッサージ具)と、鼠径部近傍を囲むように装着される第二マッサージ具22(鼠径部用マッサージ具)と、を備えている。
【0022】
第一マッサージ具21は、気体室201~212と、第一ホース(連通部)H1と、第一識別部(識別部)25Aと、を有している。気体室201~212は、高圧気体が供給されて膨張し、高圧気体が排出されて収縮する。気体室201~212のそれぞれは、マッサージ対象となる身体Bの部位を囲むように、略筒状の袋体として形成される。気体室201~212の形状及び大きさは、装着される身体Bの部位に応じて適宜決定することができる。また、気体室201~212は、例えば樹脂材料によって形成される。なお、気体室201~212は、高圧気体を蓄える気密性を有し、高圧気体の供給及び排出によって変形可能であれば、形成される材料は特に限定されない。
【0023】
第一ホースH1は、気体室201~212のそれぞれに連通する、可撓性のある筒状部材であり、給排気装置3に流体接続される。第一ホースH1の一端は、気体室201~212に接続され、第一ホースH1の他端は、給排気装置3に接続される。第一ホースH1と給排気装置3とは、コネクタC1を介して接続される。更に詳細には、第一ホースH1の他端には、第一接続部C11が形成されており、給排気装置3には、第二接続部C12が形成されており、第一接続部C11と第二接続部C12とが接続されることで、気体室201~212と給排気装置3とが流体連通されるようになっている。
【0024】
このように、第一マッサージ具21は、気体室201~212が第一ホースH1を介して給排気装置3に流体接続されることにより、給排気装置3に流体接続される。このような構成の第一マッサージ具21は、気体室201~212のそれぞれが膨張することで対応する身体Bの部位を圧迫し、気体室201~212のそれぞれが収縮することで身体Bの圧迫を解除する。
【0025】
第一識別部25A、RF(Radio Frequency)タグであり、第一接続部C11に取り付けられている。RFタグは、情報を読み書きできる公知の記録媒体である。第一識別部25Aには、少なくとも、第一マッサージ具21の種類に関する情報と、第一マッサージ具21を個々に識別する個体番号に関する情報(識別情報)と、が記録されている。第一識別部25Aは、後段にて詳述する給排気装置3に設けられる認識部35(第一認識部35A)との間で無線通信が行われることによって記録されている情報が読み取られる。
【0026】
第二マッサージ具22は、気体室213~216と、第二ホース(連通部)H2と、を有している。気体室213~216は、気体室201~212と同様に、高圧気体が供給されて膨張し、高圧気体が排出されて収縮する。その他、形状等の特徴は、気体室201~212と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0027】
第二ホースH2は、気体室213~216のそれぞれに連通する、可撓性のある筒状部材であり、給排気装置3に流体接続される。第一ホースH1の一端は、気体室213~216に接続され、第二ホースH2の他端は、給排気装置3に接続される。第二ホースH2と給排気装置3とは、コネクタC2を介して接続される。更に詳細には、第二ホースH2の他端には、第一接続部C21が形成されており、給排気装置3には、第二接続部C22が形成されており、第一接続部C21と第二接続部C22とが接続されることで、気体室213~216と給排気装置3とが流体連通されるようになっている。
【0028】
このように、第二マッサージ具22は、気体室213~216が第二ホースH2を介して給排気装置3に流体接続されることにより、給排気装置3に流体接続される。このような構成の第二マッサージ具22は、気体室213~216のそれぞれが膨張することで対応する身体Bの部位を圧迫し、気体室213~216のそれぞれが収縮することで身体Bの圧迫を解除する。
【0029】
第二識別部25Bは、RF(Radio Frequency)タグであり、第一接続部C21に取り付けられている。RFタグは、情報を読み書きできる公知の記録媒体である。第二識別部25Bには、少なくとも、第二マッサージ具22の種類に関する情報と、第二マッサージ具22を個々に識別する個体番号に関する情報(識別情報)と、が記録されている。第二識別部25Bは、後段にて詳述する給排気装置3に設けられる認識部35(第二認識部35B)との間で無線通信が行われることによって記録されている情報が読み取られる。
【0030】
給排気装置3は、少なくとも一つの気体室201~216に高圧気体を供給し、少なくとも一つの気体室201~216から高圧気体を排出する。給排気装置3は、
図1に示されるように、エアポンプ4と、分配用バルブユニット5と、分配用バルブユニット5に接続されるメインバルブユニット6と、エアポンプ4、制御部7と、表示操作部31と、筐体33と、を有する。
【0031】
エアポンプ4は、分配用バルブユニット5に高圧気体を供給すると共に、分配用バルブユニット5から気体を吸入する装置である。エアポンプ4は、例えば、高圧気体を送出するポンプ、バルブの開放によって高圧気体が噴出するボンベなどを備え得る。
図2西江されるように、エアポンプ4は、本体4aと、本体4aから外部へ気体を供給する供給口4bと、外部から本体4aへ気体を吸入する吸入口4cと、を備える。供給口4bと吸入口4cとのそれぞれは、分配用バルブユニット5に接続される。
【0032】
例えば、エアポンプ4は、供給口4b及び分配用バルブユニット5を介してメインバルブユニット6へ気体を供給する(気体供給動作)。このとき、エアポンプ4は、吸入口4c及び分配用バルブユニット5を介して外部から気体を吸入する。また、エアポンプ4は、吸入口4c及び分配用バルブユニット5を介してメインバルブユニット6から気体を吸入する。このとき、エアポンプ4は、供給口4b及び分配用バルブユニット5を介して外部へ気体を供給(排出)する(強制減圧動作)。上記気体供給動作及び上記強制減圧動作の詳細については、後述する。
【0033】
分配用バルブユニット5は、エアポンプ4に接続される。分配用バルブユニット5は、メインバルブユニット6への高圧気体の供給と、メインバルブユニット6からの気体の排出と、を制御する装置である。分配用バルブユニット5は、例えば、エアポンプ4とメインバルブユニット6との間の流路を、エアポンプ4からメインバルブユニット6への気体の流路、メインバルブユニット6からエアポンプ4への気体の流路等に切り替える装置である。分配用バルブユニット5は、エアポンプ4よりも下流に位置し、メインバルブユニット6よりも上流に位置する。
【0034】
図1~
図4に示されるように、分配用バルブユニット5は、本体部50と、第一フリーポートFP1と、第二フリーポートFP2と、第一接続ポートP1と、第二接続ポートP2と、第三接続ポートP3と、第四接続ポートP4と、第一開閉機構51と、第二開閉機構52と、を有する。本体部50は、第一フリーポートFP1、第二フリーポートFP2、第一接続ポートP1、第二接続ポートP2、第三接続ポートP3、第四接続ポートP4、第一開閉機構51及び第二開閉機構52が形成される筐体である。
【0035】
分配用バルブユニット5は、第一部分5aと第二部分5bとを有し、互いに独立している。詳細には、第一部分5aの内部空間と、第二部分5bの内部空間とは、互いに仕切られている。第一部分5aは、チャンバCA1、エアポンプ4の供給口4bに接続される第一フリーポートFP1、メインバルブユニット6に接続される第一接続ポートP1、外部に接続される第二接続ポートP2、並びに、第一接続ポートP1の開閉及び第二接続ポートP2の開閉を制御する第一開閉機構51を有する。第二部分5bは、チャンバCA1とは異なるチャンバCA2、エアポンプ4の吸入口4cに接続される第二フリーポートFP2、メインバルブユニット6に接続される第三接続ポートP3、外部に接続される第四接続ポートP4、並びに、第三接続ポートP3の開閉及び第四接続ポートP4の開閉を制御する第二開閉機構52を有する。なお、分配用バルブユニット5の外部は、例えば、給排気装置3の外気である。
【0036】
第一開閉機構51は、第一部分5aのチャンバCA1に流入される気体の流路を切り替える機構であり、第一接続ポートP1を開閉するための第一電磁弁V1と、第二接続ポートP2を開閉するための第二電磁弁V2と、を有する。第一電磁弁V1は、電気で駆動することによって第一接続ポートP1を開閉する二方弁である。第二電磁弁V2は、電気で駆動することによって第二接続ポートP2を開閉する二方弁である。本実施形態では、第一電磁弁V1と第二電磁弁V2とは、互いに同一構造を有する。
【0037】
第二開閉機構52は、第二部分5bのチャンバCA2に流入される気体の流路を切り替える機構であり、第三接続ポートP3を開閉するための第三電磁弁V3と、第四接続ポートP4を開閉するための第四電磁弁V4と、を有する。本実施形態では、第三電磁弁V3及び第四電磁弁V4のそれぞれは、第一電磁弁V1と同一構造を有する二方弁である。
【0038】
メインバルブユニット6は、分配用バルブユニット5に接続される。メインバルブユニット6は、分配用バルブユニット5と連動して、マッサージ具2の気体室201~216のそれぞれに高圧気体を供給する流路と、マッサージ具2の気体室201~216のそれぞれから高圧気体を排出する流路と、を切り替える装置である。
【0039】
メインバルブユニット6は、四つの電磁弁ユニット61~64を有する。電磁弁ユニット61~64のそれぞれは、分配用バルブユニット5と同一構造を有する。このため、電磁弁ユニット61~64のそれぞれは、二つのチャンバと、二つのフリーポートFP3,FP4と、四つの接続ポートP1~P4と、四つの電磁弁V11~V14と、を有する。
【0040】
図2に示されるように、電磁弁ユニット61に含まれるフリーポートFP3,FP4の両方は、互いに分配用バルブユニット5の第一接続ポートP1及び第三接続ポートP3に接続される。また、電磁弁ユニット61に含まれる接続ポートP11~P14は、気体室201~204にそれぞれ接続される。気体室201~204への気体供給もしくは気体室201~204からの気体排出は、電磁弁ユニット61に含まれる電磁弁V11~V14によって制御される。また、例えば、電磁弁ユニット62に含まれる接続ポートP21~P24は、気体室205~208にそれぞれ接続される。同様に、電磁弁ユニット63に含まれる接続ポートP31~P34は、気体室209~212にそれぞれ接続され、電磁弁ユニット64に含まれる接続ポートP41~P44は、気体室213~216にそれぞれ接続される。接続ポートP21~P24、P31~P34及びP41~P44のそれぞれの開閉は、対応する電磁弁V21~V24、V31~V34及びV41~V44のそれぞれによって制御される。
【0041】
次に、給排気装置3の動作を、
図4及び
図5を参照しながら説明する。まず、給排気装置3によるメインバルブユニット6への気体供給動作を説明する。
図4(A)に示されるように、エアポンプ4によるメインバルブユニット6への気体供給時、第一電磁弁V1及び第四電磁弁V4が開放される一方で、第二電磁弁V2及び第三電磁弁V3が閉塞される。このため、気体供給時、第一接続ポートP1及び第四接続ポートP4が開放されると共に、第二接続ポートP2及び第三接続ポートP3が閉塞される。これにより、
図4(A)に示される矢印のように、第四接続ポートP4を介して外部からエアポンプ4に流入した気体は、第一接続ポートP1を介してメインバルブユニット6に供給される。本実施形態では、上記気体供給時、メインバルブユニット6の動作によって、気体室201~216の少なくとも一つに高圧気体が供給され、気体室201~216のそれぞれが所望の内圧になるように、上記気体供給が実施される。
【0042】
次に、
図4(B)を参照しながら、給排気装置3による内圧調整動作を説明する。内圧調整動作にて実施される内圧調整は、例えば、メインバルブユニット6に含まれる少なくとも一つのチャンバの内圧の調整、気体室201~216の少なくとも一つの内圧の調整等である。内圧調整時においては、エアポンプ4は停止状態になっている。
図4(B)に示されるように、内圧調整時、第三電磁弁V3及び第四電磁弁V4が開放される一方で、第一電磁弁V1及び第二電磁弁V2が閉塞される。このため、内圧調整時、第三接続ポートP3及び第四接続ポートP4が開放されると共に、第一接続ポートP1及び第二接続ポートP2が閉塞される。これにより、
図4(B)に示される矢印のように、第三接続ポートP3及び第四接続ポートP4を介して、少なくとも一つの上記チャンバ、及び/又は、気体室201~216の少なくとも一つから気体が排出される。本実施形態では、上記内圧調整時、メインバルブユニット6の動作によって、上記チャンバの少なくとも一つの内圧と、気体室201~216少なくとも一つの内圧とが調整され得る。
【0043】
次に、
図5(A)を参照しながら、給排気装置3による自然減圧動作を説明する。自然減圧動作にて実施される自然減圧は、例えば、メインバルブユニット6に含まれる少なくとも一つのチャンバの自然減圧、気体室201~216の少なくとも一つの内圧の自然減圧などである。自然減圧時においては、エアポンプ4は停止状態になっている。
図5(A)に示されるように、内圧調整時、第一電磁弁V1及び第二電磁弁V2が開放される一方で、第三電磁弁V3及び第四電磁弁V4が閉塞される。このため、自然減圧時、第一接続ポートP1及び第二接続ポートP2が開放されると共に、第三接続ポートP3及び第四接続ポートP4が閉塞される。これにより、
図5(A)に示される矢印のように、第一接続ポートP1及び第二接続ポートP2を介して、上記チャンバ、及び気体室201~216から気体が排出される。本実施形態では、上記自然減圧時、メインバルブユニット6の動作によって、各チャンバと、気体室201~216を自然減圧する。
【0044】
次に、
図5(B)を参照しながら、給排気装置3による強制減圧動作を説明する。強制減圧動作にて実施される強制減圧は、例えば、緊急事態時などにおいて、メインバルブユニット6に含まれる全てのチャンバをエアポンプ4の気体吸入によって強制的に減圧すること、気体室201~216の全てをエアポンプ4の気体吸入によって強制的に減圧することである。
図5(B)に示されるように、エアポンプ4の気体吸入時、第二電磁弁V2及び第三電磁弁V3が開放される一方で、第一電磁弁V1及び第四電磁弁V4が閉塞される。このため、当該強制減圧時、第二接続ポートP2及び第三接続ポートP3が開放されると共に、第一接続ポートP1及び第四接続ポートP4が閉塞される。これにより、
図5(B)に示される矢印のように、第三接続ポートP3を介してメインバルブユニット6からエアポンプ4に流入した気体は、第二接続ポートP2を介して給排気装置3の外部に排出される。
【0045】
図1に戻り、制御部7は、エアポンプ4と、分配用バルブユニット5と、メインバルブユニット6と、表示操作部31と、認識部35と、を制御する。制御部7は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read only memory)と、を含んで構成されている。制御部7は、例えば、ROMに格納されている制御プログラムを実行することができるように構成されている。制御プログラムは、例えば、気体室201~216を膨張及び収縮させる所望の順番に基づいて、エアポンプ4、分配用バルブユニット5及びメインバルブユニット6を動作させるように記述されている。
【0046】
表示操作部31は、給排気装置3に設定された動作パターン、後述する認識部35によって読み取られたマッサージ具2の種類及び識別情報等を表示する。表示操作部31は、給排気装置3の各種動作を受け付け可能に設けられている。例えば、表示操作部31は、給排気装置3に接続されたマッサージ具2を作動させる動作パターンを選択を受け付け可能に設けられている。
【0047】
筐体33は、エアポンプ4と、分配用バルブユニット5と、メインバルブユニット6と、制御部7と、を格納する。筐体33には、表示操作部31が設けられている。また、筐体33には、マッサージ具2が給排気装置3に接続される接続部、すなわち、マッサージ具2のホースHと給排気装置3とを接続するコネクタCの一部である第二接続部C12,C22が形成されている。
【0048】
認識部35は、RFタグに記録された情報を読み出すと共に情報を書き込むことができるRFIDリーダライタであり、第二接続部C12,C22に取り付けられている。認識部35は、第一認識部35Aと、第二認識部35Bと、を有する。第一認識部35Aは、第二接続部C12に接続される第一接続部C11(すなわち第一マッサージ具21)に取り付けられた第一識別部25Aに記録された情報を読み取る。第一認識部35Aは、第一識別部25Aに記録された、第一マッサージ具21の種類に関する情報と、第一マッサージ具21を個々に識別する個体番号に関する情報と、を読み取る。
【0049】
第二認識部35Bは、第二接続部C22に接続される第一接続部C21(すなわち第二マッサージ具22)に取り付けられた第二識別部25Bに記録された情報を読み取る。第二認識部35Bは、第二識別部25Bに記録された、第二マッサージ具22の種類に関する情報と、第二マッサージ具22を個々に識別する個体番号に関する情報と、を読み取る。
【0050】
第一認識部35Aは、第二接続部C12に接続された第一接続部C11に取り付けられた第一識別部25Aのみを読み取ることができるように電波の出力値が調整されている。第二認識部35Bは、第二接続部C22に接続された第一接続部C21に取り付けられた第二識別部25Bのみを読み取ることができるように電波の出力値が調整されている。すなわち認識部35は、第一接続部C11,C21に第二接続部C12,C22が接続された状態において識別部25を認識し、第一接続部C11,C21に第二接続部C12,C22が接続されていない状態において識別部25を認識しないように設けられている。
【0051】
なお、第一認識部35Aが第一識別部25Aのみを読み取り、第二認識部35Bが第二識別部25Bのみを読み取る構成としては、上記出力値の調整に代えて又は加えて、第一認識部35Aから発される磁界内に第二識別部25Bが侵入しないように、かつ、第二認識部35Bが発生する発される磁界内に第一識別部25Aが侵入しないように、第一識別部25A及び第二識別部25B同士の距離を離して配置してもよい。
【0052】
上述したような給排気装置3の構成において、制御部7は、認識部35による識別部25の識別の有無に基づいて、マッサージ具2の第二接続部C12,C22に対する接続の有無を判定すると共に、接続が外れたと判定すると表示操作部(報知部)31に報知させる。表示操作部31は、マッサージ具2の接続がされていること、及び、マッサージ具2の接続が外れたことの少なくとも一方を表示(報知)する。なお、制御部7は、マッサージ具2の接続がされていること、及び、マッサージ具2の接続が外れたことの少なくとも一方を表示操作部31を介して報知するだけでなく、例えば、音、光又は振動等を生成する装置を介して報知してもよいし、その旨を知らせる情報を、例えば他の端末装置に送信するようにしてもよい。
【0053】
また、制御部7は、認識部35によって認識された識別部25に基づいてマッサージ具2の種類を特定すると共に、特定されたマッサージ具2の種類に応じて少なくとも一つの動作パターンを設定する。ここでいう動作パターンとは、マッサージ具2の気体室201~216にどのような順番で、どのような量の気体を供給し、どれくらい繰り返すのかが規定された供給パターン、マッサージ具2の気体室201~216にどのような順番で、どのような量の気体を排出するのという排出パターン、上記供給パターンと上記排出パターンとがどれくらい繰り返されるのかといった繰返回数等が規定された動作仕様をいう。マッサージ具2の動作パターンは、例えば、加圧の順番と、加圧の強さと、繰り返しサイクル数との組み合わせによって定義することができる。
【0054】
以下、血液及び/又はリンパ液の流れを良くするために身体にマッサージを施す場合の動作パターンを例に挙げて説明する。加圧の順番には、四肢の先端部から胴体(心臓)に向かう順番で身体を圧迫していくパターンがある。これに対応する第一マッサージ具21(右脚用マッサージ具)による動作パターンの一例には、
図6(A)に示されるように、四肢の先端部に該当する気体室201から胴体側の端部に該当する気体室206まで順に気体室を膨張させ、気体室206を膨張させ終わるまで、その他の気体室201~212の膨張を保持するようなパターン(いわゆる「スクイーズモード(squeeze-mode)」がある。また、第一マッサージ具21(右脚用マッサージ具)による動作パターンの一例には、
図6(B)に示されるように、四肢の先端部に該当する気体室201から胴体側の端部に該当する気体室206まで順番に気体室を膨張させ、膨張させた気体室の膨張状態を一定時間保持した後に(膨張させた気体室を一旦保圧した後に)、膨張させた順に気体室を収縮させるようなパターン(いわゆる「ウェーブモード(wave-mode)」がある。
【0055】
加圧の強さは、20mmHG~60mmHG程度の値を動作パターンとして設定することができる。繰り返しサイクル数は、10回~100回程度の値を動作パターンとして設定することができる。繰り返しサイクル数は、例えば作動時間を設定することによっても設定することができる。作動時間は、10分~60分程度の値を動作パターンとして設定することができる。例えば、1サイクルに1.5分の時間を要するとすると、10分の作動時間を設定することによって、繰り返しサイクル数としては7サイクルが設定されることになる。
【0056】
第二マッサージ具22(鼠径部用マッサージ具)の動作パターンも、第一マッサージ具21の動作パターンと同様に、上述したような、例えば、加圧の順番と、加圧の強さと、繰り返しサイクル数との組み合わせによって定義することができる。
【0057】
制御部7は、複数の動作パターンが記憶された記憶部を有しており、認識部35によって認識された識別部25に基づいて特定されるマッサージ具2の種類に基づいて使用できる一つの動作パターンを設定する。(←前段から移動させました。)具体的には、第一マッサージ具21が給排気装置3に接続されることによって、識別部25に記録された個体番号に関する情報が認識部35によって読み取られ、読み取られた個体番号に基づいて第一マッサージ具21が使用できる一つの動作パターンを設定する。
【0058】
制御部7は、第一マッサージ具21が給排気装置3に接続されることによって、第一マッサージ具21が使用できる複数の動作パターンを設定(仮設定)してもよい。この場合、制御部7は、表示操作部31に、仮設定された複数の動作パターンの選択画面を表示させる。制御部7は、表示操作部31を介して一つの動作パターンの選択を受け付け可能に制御する。制御部7は、表示操作部31を介して選択された一つの動作パターンを、実際に稼働させるときの動作パターンとして設定する。
【0059】
また、識別部25に記録された情報には、医療向け用であること又は在宅向け用であることを区別する情報が含まれていてもよい。基本的には、医療向け用も在宅向け用も使用できる動作パターン(加圧の順番)は同じあるが、制御部7は、医療向け用では動作パターン(例えば、加圧の強さ及び繰り返しサイクル数)の一部を使用者(すなわち医療従事者)が選択することを可能にしている。動作パターンの選択は、表示操作部31における操作により可能としている。一方、在宅向け用では、接続時に制御部7によって設定された動作パターンのみでの動作が可能であり、表示操作部31では、例えば、スタートとストップ等の限定された操作しかできないようになっている。より具体的には、在宅向け用では、医師の判断や症状によって医師が適切と判断した動作パターン(いくつかある動作パターンの中の一つ)での作動しか許容されない。また、加圧の強さ及び繰り返しサイクル数の動作パターンについては、識別部25に書き込まれた情報に基づいて設定されてもよい。このように、在宅向け用のマッサージ具2において機能を制限することで、使用者(すなわち治療を受ける者)に誤った使用をさせることを防止でき、安全対策を図ることができる。
【0060】
なお、上述したとおり、認識部35は、識別部25に記録された、マッサージ具2を個々に識別する個体番号に関する情報を読み取っている。制御部7は、取得した個体番号に関する情報に応じて、複数の動作パターンの中から選択可能な動作パターンを制限してもよい。例えば、第一マッサージ具21の種類に基づいて二つの動作パターンが仮設定された場合であっても、二つの動作パターンが実行できる第一マッサージ具21もあれば、どちらか一方しか実行できない第一マッサージ具21があることになる。
【0061】
制御部7は、複数の第二接続部C12,C22のそれぞれに接続されたマッサージ具2ごとに独立して動作パターンを設定する。より詳細には、制御部7は、第二接続部C12に接続された第一マッサージ具21の種類を特定(右脚用マッサージ具)すると共に、第二接続部C22に接続された第二マッサージ具22の種類を特定(鼠径部用マッサージ具)し、第一マッサージ具21と第二マッサージ具22とに対してそれぞれ動作パターンを設定する。
【0062】
制御部7は、このように第一マッサージ具21と第二マッサージ具22とにそれぞれ設定された動作パターンに基づいて、当該動作パターンで気体を供給及び排出できるように、エアポンプ4と、分配用バルブユニット5と、メインバルブユニット6と、を制御する。
【0063】
以上のような構成において、例えば
図7に示されるように、右脚を囲むように装着される第三マッサージ具23(右腕用マッサージ具)が接続され、給排気装置3のコネクタC1に接続され、給排気装置3のコネクタC2には何のマッサージ具2も接続されなかった場合を仮定する。この場合、第一認識部35Aは、給排気装置3のコネクタC1に接続された第三マッサージ具23に取り付けられた識別部25Cを認識する。制御部7は、第一認識部35Cによって認識された、識別部25Cに記録された第三マッサージ具23の種類に関する情報と、第三マッサージ具23を個々に識別する個体番号に関する情報と、に基づいて動作パターンを設定し、設定された動作パターンに基づいて、給排気装置3(エアポンプ4、分配用バルブユニット5及びメインバルブユニット6)を制御する。なお、第三マッサージ具23の動作パターンには、手先から胴体(心臓)に向かう順番で身体を圧迫していくパターンがあり、この場合も、例えば「スクイーズモード(squeeze-mode)」と、「ウェーブモード(wave-mode)」とがある。
【0064】
また、制御部7は、第一マッサージ具21及び第二マッサージ具22と同様に、特定されたマッサージ具2の種類に応じて複数の動作パターンを設定候補として記憶すると共に、設定された複数の動作パターンの中から一つの動作パターンの選択を受け付け可能に制御する。また、制御部7は、第一マッサージ具21及び第二マッサージ具22と同様に、制御部7は、取得した個体番号に関する情報に応じて、複数の動作パターンの中から選択可能な動作パターンを制限してもよい。
【0065】
更に、制御部7は、第二認識部35Bによって識別部25を認識しない場合、コネクタC2にマッサージ具2が接続されていないと判定する。
【0066】
上記実施形態の給排気装置3における作用効果について説明する。上記実施形態の給排気装置3の認識部35は、マッサージ具2に設けられた識別部25を無線通信によって認識するので、機械的な摩耗や経年劣化に伴う故障に起因するマッサージ具2の種類が誤判定によって人体に危険が及ぶ可能性を低減することができる。また、無線通信によって識別部25を認識する方式では、機械的に異なる形状を複数用意することによって種類を判定することに比べて、より多くの種類のマッサージ具2を判定することができる。
【0067】
上記実施形態の給排気装置3の制御部7は、特定されたマッサージ具2の種類に応じて複数の動作パターンを設定候補として記憶すると共に、設定された複数の動作パターンの中から一つの動作パターンの選択を受け付け可能に設けられてもよい。この構成では、制御部7によって特定されるマッサージ具2の種類に基づいて、自動的に選択可能な複数の動作パターンが設定される。使用者は設定された複数の動作パターンの中から任意にパターンを選択することが可能になる。
【0068】
上記実施形態の給排気装置3の制御部7は、取得した識別情報に応じて、複数の動作パターンの中から選択可能なパターンが制限される。この構成では、制御部7によって特定されるマッサージ具2の種類に基づいて、自動的に選択可能な複数の動作パターンが設定されるが、認識部35によって認識される識別情報に基づいて、選択(利用)することができる動作パターンが制限される。これにより、例えば、治療方針が異なる使用者ごとに利用できる機能が設定されるので、誤った治療(動作)がなされることを防ぐことができる。
【0069】
気体式マッサージ機1は、例えば、医療機関向けの「医科向け用」として用いられる場合と、在宅治療患者向けの「在宅向け用」として用いられる場合がある。「医科向け」として用いられる場合は、圧力設定又は圧力順序等、全ての設定機能が使用される。しかし「在宅向け」として用いられる場合には、治療患者本人が操作するため、「医科向け」と同じように全ての設定機能が使用可能となると、誤操作による治療の危険性が生じる。この点、上記の給排気装置3では、医師による治療方針を識別部25へ記録し、制御部7は、認識部35に認識された識別部25に記録された情報に基づいて、使用できる動作パターンに制限がかけられるので、誤操作による危険性を回避する事ができる。
【0070】
上記実施形態の給排気装置3の認識部35は、第一接続部C11,C21に設けられた識別部25を認識可能に設けられている。この構成では、第二接続部C12,C22を介して第一接続部C11,C21に接続されたマッサージ具2の識別部25が認識されるので、給排気装置3に接続されたマッサージ具2の種類を特定することができる。言い換えれば、認識部35は、認識部35の近傍かつコネクタCに接続されていないマッサージ具2の識別部25が誤って読み取られることがない。したがって、今からマッサージ具2に取り付けられた識別部25を認識部35に読み取らせることを、制御部7に通知する操作等をしなくても、マッサージ具2をコネクタCに接続するだけで、自動的にマッサージ具2の識別部25に認識部35を読み取らせることができる。
【0071】
上記実施形態の給排気装置3の認識部35は、近距離無線通信によって識別部25と通信し、認識部35は、第一接続部C11,C21に第二接続部C12,C22が接続された状態において識別部25を認識し、第一接続部C11,C21に第二接続部C12,C22が接続されていない状態において識別部25を認識しないように設けられてもよい。この構成では、給排気装置3にマッサージ具2が接続されているか否かを判定できるので、治療中にマッサージ具2が外れた場合の異常を検知することができる。
【0072】
上記実施形態の給排気装置3の制御部7は、認識部35による識別部25の識別の有無に基づいて、マッサージ具2の第二接続部C12,C22に対する接続の有無を判定すると共に、接続が外れたと判定すると表示操作部31に報知させている。この構成では、マッサージ具2が外れたことを使用者に報知することができる。
【0073】
上記実施形態の給排気装置3の制御部7は、複数の第二接続部C12,C22のそれぞれに接続された第一マッサージ具21及び第二マッサージ具22ごとに独立して動作パターンを設定している。この構成では、例えば、使用者の体の異なる部位に取り付けたそれぞれの第一マッサージ具21及び第二マッサージ具22に対して、それぞれ異なる動作をさせることができる。これにより、複数の給排気装置3を用意する必要がなくなる。
【0074】
以上、一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限られない。発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0075】
(変形例1)
上記実施形態では、上述したとおり、二つのマッサージ具2,2を接続するための接続部(コネクタC1,C2)がそれぞれ設けられている。このような構成において、制御部7は、マッサージ具2に設けられた識別部25と認識部35との通信によって特定されるマッサージ具2の種類に応じて動作パターンを設定する例を挙げて説明したが、この構成に加えて、制御部7は、コネクタC1及びコネクタC2の一方に接続されたマッサージ具2から特定されるマッサージ具2の種類に応じて、コネクタC1及びコネクタC2の他方に接続されたマッサージ具2の動作パターンを決定又は制限してもよい。
【0076】
具体的には、例えば、
図8(A)に示されるように、コネクタC1に第一マッサージ具21(右脚用マッサージ具)を接続すると共に、コネクタC2に第二マッサージ具22(鼠径部用マッサージ具)を接続する場合と、
図8(B)に示されるように、コネクタC1に第一マッサージ具24(左脚用マッサージ具)を接続すると共に、コネクタC2に第二マッサージ具22(鼠径部用マッサージ具)を接続する場合とで、第二マッサージ具22(鼠径部用マッサージ具)に設定される動作パターンが異なる。より詳細には、
図8(A)に示されるように、コネクタC1に第一マッサージ具21(右脚用マッサージ具)を接続すると共に、コネクタC2に第二マッサージ具22(鼠径部用マッサージ具)を接続する場合、第二マッサージ具22の気体室216(
図8(A)で示される丸で囲まれた部分)に高圧気体が供給されることを制限する動作パターンが設定される。また、
図8(B)に示されるように、コネクタC1に第一マッサージ具24(左脚用マッサージ具)を接続すると共に、コネクタC2に第二マッサージ具22(鼠径部用マッサージ具)を接続する場合、第二マッサージ具22の気体室213(
図8(B)で示される丸で囲まれた部分)に高圧気体が供給されることを制限する動作パターンが設定される。
【0077】
このような変形例1の構成によって、左右に一方の脚をマッサージする際に左右の他方がうっ滞することを防止することができる。また、このような変形例1の構成では、使用者が特に設定をすることなく、上記のような動作パターンが設定されるので、設定忘れや設定間違いによって使用者に危険が及ぶことを防止できる。
【0078】
(変形例2)
上記実施形態に付加された上記変形例1の構成に代えて、又は加えて、制御部7は、コネクタC1及びコネクタC2の一方に接続されたマッサージ具2から特定されるマッサージ具2の種類に応じて、コネクタC1及びコネクタC2の他方に、正しいマッサージ具2が接続されているか否かを判定してもよい。なお、マッサージ具2の正しい組み合わせに関する情報は、識別部25に記憶されていてもよいし、制御部7に記憶されていてもよい。そして、この判定結果は、表示操作部31を介して使用者に報知されてもよい。このような変形例2の構成では、コネクタC1及びコネクタC2に誤った組み合わせのマッサージ具2が接続されることを防止できる。
【0079】
(その他の変形例)
上記実施形態又は変形例では、予め複数の動作パターンが制御部7に記憶されており、認識部35によって認識された識別部25に基づいてマッサージ具2の種類を特定すると共に、特定されたマッサージ具の種類に応じて、制御部7に記憶された複数の動作パターンから一つ又は複数を設定する例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、識別部25に一つ又は複数の動作パターンが記憶されており(書き込まれており)、記憶されている動作パターンを接続部を介して制御部7に送り込み、制御部7に送り込んだ動作パターンを実行させてもよい。
【0080】
変形例に係る給排気装置3は、上記実施形態の給排気装置3の構成に加えて、第一接続部C11,C21を介して第二接続部C12,C22に接続されたマッサージ具2の使用状況を記録する記憶部を備えてもよい。変形例に係る給排気装置3の構成では、使用者の使用状況及び使用者の使用状況に対応する使用者の状態を記録することができる。
【符号の説明】
【0081】
1…気体式マッサージ機、2…マッサージ具、3…給排気装置、4…エアポンプ、5…分配用バルブユニット、6…メインバルブユニット、7…制御部、21…第一マッサージ具、22…第二マッサージ具、25…識別部、25A…第一識別部、25B…第二識別部、31…表示操作部、33…筐体、35…認識部、35A…第一認識部、35B…第二認識部、C,C1,C2…コネクタ、C11,C21…第一接続部、C12,C22…第二接続部、201~216…気体室。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マッサージ具の種類を識別する識別部と、気体の供給及び排出によって膨張収縮する複数の気体室と、前記気体室に連通する連通路と、を有するマッサージ具に、前記連通路を介して気体を供給すると共に気体を排出する、給排気装置であって、
予め設定された動作パターンに従って前記マッサージ具への気体の供給及び/又は排出を制御する制御部と、
前記連通路の端部に形成された第一接続部に接続可能な第二接続部と、
前記第一接続部に設けられた前記識別部を認識可能に設けられている認識部と、を備え、
前記制御部は、前記認識部によって認識された前記識別部に基づいて前記マッサージ具の種類を特定すると共に、特定された前記マッサージ具の種類に応じて前記動作パターンを設定し、
前記認識部は、近距離無線通信によって前記識別部と通信すると共に、前記第一接続部に前記第二接続部が接続された状態において前記識別部を認識し、前記第一接続部に前記第二接続部が接続されていない状態において前記識別部を認識しないように設けられている、給排気装置。
【請求項2】
前記制御部は、特定された前記マッサージ具の種類に応じて複数の前記動作パターンを設定候補として記憶すると共に、設定された複数の動作パターンの中から一つの前記動作パターンの選択を受け付け可能に設けられている、請求項1記載の給排気装置。
【請求項3】
前記識別部は、個々を一意に識別する識別情報を有しており、
前記認識部は、前記識別情報を無線通信によって取得し、
前記制御部は、取得した前記識別情報に応じて、複数の前記動作パターンの中から選択可能な動作パターンを制限する、請求項2記載の給排気装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記認識部による前記識別部の識別の有無に基づいて、前記マッサージ具の前記第二接続部に対する接続の有無を判定すると共に、前記接続が外れたと判定すると報知部に報知させる、請求項1~3の何れか一項記載の給排気装置。
【請求項5】
前記第一接続部を介して前記第二接続部に接続された前記マッサージ具の使用状況を記録する記憶部を更に備える、請求項1~4の何れか一項記載の給排気装置。
【請求項6】
前記第二接続部は、複数設けられており、
前記制御部は、複数の前記第二接続部のそれぞれに接続された前記マッサージ具ごとに独立して前記動作パターンを設定する、請求項1~5の何れか一項記載の給排気装置。