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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119741
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/16 20060101AFI20230822BHJP
   E06B 3/26 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B3/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022748
(22)【出願日】2022-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 琢二
(72)【発明者】
【氏名】石井 宏典
(72)【発明者】
【氏名】村山 克哉
(72)【発明者】
【氏名】松村 心互
【テーマコード(参考)】
2E014
2E239
【Fターム(参考)】
2E014AA02
2E014BA01
2E014BA08
2E014BB00
2E014BB01
2E239CA02
2E239CA12
2E239CA26
2E239CA32
2E239CA33
2E239CA47
2E239CA53
2E239CA54
2E239CA62
(57)【要約】
【課題】断熱性及び防火性の向上を図る。
【解決手段】枠体10に対してドアパネル20が開閉可能に支持された建具であって、枠体10は、ドアパネル20の見込み面に対向する金属枠部13Mと、金属枠部13Mから内周側に突出するように設けられた樹脂枠部13Pとを有し、樹脂枠部13Pの見付け面には、タイト材装着部13P3が設けられ、タイト材装着部13P3には、ドアパネル20に対する枠側タイト材AT3が装着されているとともに、枠側タイト材AT3との間に見付け側熱膨張性部材EX4が設けられている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体に対して面材が開閉可能に支持された建具であって、
前記枠体は、前記面材の見込み面に対向する金属枠部と、前記金属枠部から内周側に突出するように設けられた樹脂枠部とを有し、
前記樹脂枠部の見付け面には、タイト材装着部が設けられ、前記タイト材装着部には、前記面材に対する枠側タイト材が装着されているとともに、前記枠側タイト材との間に見付け側熱膨張性部材が設けられていることを特徴とする建具。
【請求項2】
前記樹脂枠部は、前記金属枠部に対してスナップフィット係合により装着されていることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記見付け側熱膨張性部材は、前記タイト材装着部において前記金属枠部に近接した部分に片寄って設けられていることを特徴とする請求項2に記載の建具。
【請求項4】
前記樹脂枠部は、中空部を有し、前記中空部と前記枠側タイト材との間に前記見付け側熱膨張性部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項5】
前記面材は、金属材料からなる金属面材部と、前記金属面材部の一方の表面側に設けられた樹脂材料からなる樹脂面材部とを有し、
前記金属枠部には、前記枠側タイト材及び前記樹脂面材部に対向する部分に枠側熱膨張性部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の建具。
【請求項6】
前記枠体は、左右の縦枠の上端部に上枠を備えたものであり、
前記枠側熱膨張性部材は、少なくとも前記縦枠の金属枠部に設けられ、かつ前記金属面材部に対向する位置まで延在されていることを特徴とする請求項5に記載の建具。
【請求項7】
前記金属面材部において前記金属枠部に対向する部分に面材側熱膨張性部材が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の建具。
【請求項8】
前記金属面材部には、前記金属枠部に対する面材側タイト材が設けられ、
前記面材側熱膨張性部材は、前記枠側熱膨張性部材との間に前記面材側タイト材を挟む位置に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の建具。
【請求項9】
前記枠体は、左右の縦枠の上端部に上枠を備えたものであり、
前記左右の縦枠の金属枠部及び前記上枠の金属枠部にそれぞれ前記枠側熱膨張性部材が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の建具。
【請求項10】
前記左右の縦枠に設けた前記枠側熱膨張性部材は、個々の上端部が前記上枠に設けた前記枠側熱膨張性部材と接触するように設けられていることを特徴とする請求項9に記載の建具。
【請求項11】
前記枠体の見込み面に凹部が設けられ、前記凹部に前記枠側熱膨張性部材が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
建具には、断熱性及び防火性を考慮して、枠体の室内側に配置される戸当り部を樹脂によって構成するとともに、戸当り部の見付け面に熱膨張性部材から成るタイト材を設けるようにしたものがある。すなわち、戸当り部を樹脂によって成形することで、建具の断熱性を向上させることができる。また、火災等の発生によって建具が高温状態となった場合には、タイト材を膨張させることで枠体と面材との間の隙間を塞ぎ、室内外に火炎の貫通孔が生じる事態を防止することが可能となる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-48484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、建具が高温状態となった場合には、樹脂によって構成された戸当り部が溶融し、枠体の金属部分から脱落する事態が発生し得る。戸当り部が枠体の金属部分から脱落した場合には、タイト材が膨張したとしても枠体と面材との間の隙間を塞ぐことが困難となり、防火性に影響を与える懸念がある。上述の建具では、枠体の金属部分から戸当り部までの間に金属製の補強材が設けられているため、戸当り部が脱落する事態を防止することが可能となるものの、断熱性を考慮した場合、必ずしも好ましいとはいえない。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、断熱性及び防火性の向上を図ることのできる建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る建具は、枠体に対して面材が開閉可能に支持された建具であって、前記枠体は、前記面材の見込み面に対向する金属枠部と、前記金属枠部から内周側に突出するように設けられた樹脂枠部とを有し、前記樹脂枠部の見付け面には、タイト材装着部が設けられ、前記タイト材装着部には、前記面材に対する枠側タイト材が装着されているとともに、前記枠側タイト材との間に見付け側熱膨張性部材が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、金属枠部及び樹脂枠部を有するように枠体を構成しているため、樹脂枠部を室内側に配置することで断熱性の向上を図ることが可能となる。しかも、火災発生時等において建具が高温状態となった場合には、見付け側熱膨張性部材が膨張することで、戸当り部として機能する樹脂枠部の温度上昇が抑えられ、金属枠部から樹脂枠部が脱落する事態が防止される。これにより、金属枠部と樹脂枠部との間に金属製の補強材を設ける必要がなくなり、断熱性及び防火性の点で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態である建具を室内側から見た姿図である。
図2図1に示した建具の縦断面図である。
図3図1に示した建具の横断面図である。
図4図1に示した建具に適用する枠体の上枠及び面材の上框を示すもので、(a)は枠体に対して面材が閉じた状態の縦断面図、(b)は上枠に対して上框を離隔させた状態の縦断面図である。
図5図1に示した建具の上方部分を示す縦断面斜視図である。
図6図1に示した建具に適用する枠体の上方部分を示す縦断面斜視図である。
図7図1に示した建具に適用する枠体の下枠と面材の下框を示すもので、(a)は枠体に対して面材が閉じた状態の縦断面図、(b)は下枠に対して下框を離隔させた状態の縦断面図である。
図8図1に示した建具に適用する枠体の吊り元となる縦枠と面材の吊り元となる縦框を示すもので、(a)は枠体に対して面材が閉じた状態の横断面図、(b)は縦枠に対して縦框を離隔させた状態の横断面図である。
図9図1に示した建具の吊り元部分を示す横断面斜視図である。
図10図1に示した建具に適用する枠体の吊り元となる縦枠の横断面斜視図である。
図11図1に示した建具に適用する枠体の戸先となる縦枠と面材の戸先となる縦框を示すもので、(a)は枠体に対して面材が閉じた状態の横断面図、(b)は縦枠に対して縦框を離隔させた状態の横断面図である。
図12図1に示した建具の戸先部分を示す横断面斜視図である。
図13図1に示した建具に適用する枠体の戸先となる縦枠の横断面斜視図である。
図14】変形例である建具の縦断面図である。
図15図14に示した建具の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る建具の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下においては便宜上、見込み方向及び見付け方向という用語を用いる場合がある。見込み方向とは、図中の矢印Aで示すように、建具の奥行きに沿った方向である。見込み方向に沿った面については見込み面と称する場合がある。見付け方向とは、下枠等のように水平方向に沿って延在するものの場合、見込み方向に直交した上下に沿う方向である。縦枠等のように上下方向に沿って延在するものの場合には、見込み方向に直交した水平に沿う方向を見付け方向という。見付け方向に沿った面については、見付け面と称する場合がある。
【0010】
図1図3は、本発明の実施の形態である建具を示したものである。ここで例示する建具は、勝手口ドアとして用いられるもので、枠体10及びドアパネル(面材)20を備えている。枠体10は、上枠11、下枠12及び左右の縦枠13を四周枠組みして構成したものである。ドアパネル20は、パネル框体21、2つの通風用障子22A,22B、格子付き網戸23を備えて構成したもので、パネル框体21と一方の縦枠13との間に介在させたヒンジ1を介して枠体10に開閉可能に支持してある。以下、枠体10及びドアパネル20の構成について詳述し、併せて本願発明の特徴部分について説明する。なお、枠体10の構成要素及びドアパネル20の構成要素については、躯体に取り付けた状態の姿勢でそれぞれの方向を特定することとする。
【0011】
枠体10を構成する上枠11、下枠12及び左右の縦枠13は、いずれも金属枠部及び樹脂枠部を備えて構成した複合型のもので、金属枠部が室外側となる状態で躯体に取り付けてある。金属枠部は、アルミニウム合金等の金属によって成形した押し出し形材であり、樹脂枠部は、樹脂によって成形した押し出し形材である。これら金属枠部及び樹脂枠部は、それぞれが長手に沿った全長にわたる部分がほぼ一様の断面形状を有するように構成してある。なお、実施の形態の枠体10では、左右の縦枠13として互いに対称形状となるものを適用しているため一方についてのみ説明し、他方については同一の符号を付して説明を省略する。
【0012】
上枠11の金属枠部(以下、金属上枠部11Mという)は、図4図6に示すように、上枠基部11M1、釘ヒレ部11M2、係合受部11M3を一体に成形したものである。図示の例では、上枠基部11M1の外周側となる部分に中空の突状部11M4が構成してある。上枠基部11M1は、見込み方向に沿ってほぼ水平に延在した薄板状を成すものである。釘ヒレ部11M2は、金属上枠部11Mを躯体に取り付けるためのもので、上枠基部11M1の外周側となる見込み面から見付け方向に沿って延在した薄板状を成している。係合受部11M3は、上枠基部11M1の内周側となる見込み面において室内側に位置する部分に設けたものである。上枠基部11M1の内周側となる見込み面において係合受部11M3よりも室外側となる部分には、収容凹部11M5が設けてあり、この収容凹部11M5に収容する状態で枠側熱膨張性部材EX1が配設してある。枠側熱膨張性部材EX1は、熱により膨張する不燃性または難燃性の耐火部材であり、上枠基部11M1の長手に沿った全長にわたる部分に連続して設けてある。枠側熱膨張性部材EX1としては、例えば熱膨張性を有した黒鉛含有の発泡材を適用することができる。
【0013】
上枠11の樹脂枠部(以下、樹脂上枠部11Pという)は、上枠基部11M1の見込み面から内周側に向けて略直方体状に突出することにより、戸当りとして機能するものである。この樹脂上枠部11Pには、外周側となる部分に係合爪部11P1が設けてあるとともに、室外に臨む見付け面の内周側となる部分にタイト材装着部11P2が設けてある。係合爪部11P1は、金属上枠部11Mに設けた係合受部11M3にスナップフィットすることにより、樹脂上枠部11Pを金属上枠部11Mに着脱可能に装着するものである。タイト材装着部11P2は、樹脂上枠部11Pの見付け面に開口する凹所である。このタイト材装着部11P2には、後述するドアパネル20に対して気密性及び水密性を確保する枠側タイト材AT1が全長にわたって連続して装着してある。図からも明らかなように、上述した上枠11の枠側熱膨張性部材EX1は、枠側タイト材AT1の外周面及び枠側タイト材AT1よりも室外側となる部分までの範囲に対応して設けてある。樹脂上枠部11Pにおいて室内に望む見付け面には、ほぼ中央となる部分に釘ヒレ部11P3が一体に設けてある。釘ヒレ部11P3は、樹脂上枠部11Pを躯体に取り付けるためのものである。
【0014】
下枠12の金属枠部(以下、金属下枠部12Mという)は、図7に示すように、下枠基部12M1、釘ヒレ部12M2、戸当り部12M3、係合受部12M4を一体に成形したものである。図示の例では、金属上枠部11Mと同様、下枠基部12M1の外周側となる部分に中空の突状部12M5が構成してある。下枠基部12M1は、見込み方向に沿ってほぼ水平に延在した薄板状を成すものである。釘ヒレ部12M2は、金属下枠部12Mを躯体に取り付けるためのもので、下枠基部12M1の外周側となる見込み面から見付け方向に沿って延在した薄板状を成している。戸当り部12M3は、下枠基部12M1の内周側となる見込み面において室内側に位置する縁部から内周側に向けて略直方体状に突出したものである。戸当り部12M3には、室外に臨む見付け面に収容凹部12M6及びタイト材装着部12M7が設けてある。収容凹部12M6は、戸当り部12M3の外周側となる部分に設けたもので、内部に枠側熱膨張性部材EX2を収容している。タイト材装着部12M7は、戸当り部12M3の見付け面に開口する凹所である。このタイト材装着部12M7には、上枠11の枠側タイト材AT1と同様の枠側タイト材AT2が全長にわたって連続して装着してある。係合受部12M4は、戸当り部12M3の内周側となる見込み面に設けたものである。
【0015】
下枠12の樹脂枠部(以下、樹脂下枠部12Pという)は、見込み方向に沿って延在する薄板状を成すもので、外周側において室外側となる部分に係合爪部12P1が設けてある。係合爪部12P1は、金属下枠部12Mに設けた係合受部12M4にスナップフィットすることにより、樹脂下枠部12Pを金属下枠部12Mに着脱可能に装着するものである。図示の樹脂下枠部12Pでは、係合爪部12P1を介して金属下枠部12Mに装着した場合に室内側となる部分が室内に向けて突出し、樹脂上枠部11Pの釘ヒレ部11P3に対応した釘ヒレ部12P2を構成している。釘ヒレ部12P2は、樹脂下枠部12Pを躯体に取り付けるためのものである。
【0016】
縦枠13の金属枠部(以下、金属縦枠部13Mという)は、図8図13に示すように、縦枠基部13M1、釘ヒレ部13M2、突状部13M3、係合受部13M4を一体に成形したものである。縦枠基部13M1は、見込み方向に沿ってほぼ鉛直に延在した薄板状を成すものである。釘ヒレ部13M2は、金属縦枠部13Mを躯体に取り付けるためのもので、縦枠基部13M1の外周側となる見込み面から見付け方向に沿って延在した薄板状を成している。突状部13M3は、縦枠基部13M1を一辺として内周側となる部分に略長方形断面の中空部を構成するものである。突状部13M3において内周側、かつ室内側となる部分には、収容凹部13M5が設けてあり、この収容凹部13M5に収容する状態で枠側熱膨張性部材EX3が収容してある。係合受部13M4は、縦枠基部13M1の内周側において室内側となる部分及び突状部13M3の室内側において見付け方向に延在する部分にそれぞれ設けてある。枠側熱膨張性部材EX3は、突状部13M3の長手に沿った全長にわたる部分に連続して設けてあり、個々の上端部が上枠11に設けた枠側熱膨張性部材EX1と連続するように接触、もしくは近接して配設してある。
【0017】
縦枠13の樹脂枠部(以下、樹脂縦枠部13Pという)は、縦枠基部13M1の見込み面において突状部よりも室内側となる部分から内周側に向けて略直方体状に突出することにより、縦枠13の戸当りとして機能するものである。この樹脂縦枠部13Pには、中空状を成す樹脂枠部本体(中空部)13P1の外周側となる部分に係合爪部13P2が設けてあるとともに、樹脂枠部本体13P1の室外に臨む見付け面にタイト材装着部13P3が設けてある。係合爪部13P2は、樹脂枠部本体13P1から外周側に突出したもので、金属縦枠部13Mに設けた係合受部13M4にスナップフィットすることにより、樹脂縦枠部13Pを金属縦枠部13Mに着脱可能に装着することが可能である。タイト材装着部13P3は、樹脂縦枠部13Pの見付け面に開口する凹所である。このタイト材装着部13P3には、上述した枠側タイト材AT1と同様の枠側タイト材AT3が全長にわたって連続して装着してあり、さらに枠側タイト材AT3との間に見付け側熱膨張性部材EX4が配設してある。左右の縦枠13では、枠側タイト材AT3として互いに断面形状が異なるものを適用している。見付け側熱膨張性部材EX4は、縦枠13と縦框213,214との間の隙間に対向し、かつ金属縦枠部13Mに近接するように、タイト材装着部13P3の外周側に片寄った位置に配設してある。図からも明らかなように、上述した縦枠13の枠側熱膨張性部材EX3は、枠側タイト材AT1の外周面及び枠側タイト材AT1よりも室外側となる部分までの範囲に対応して設けてある。樹脂枠部本体13P1の外周側、かつ室内側となる隅部には、樹脂上枠部11Pの釘ヒレ部11P3に対応した釘ヒレ部13P4が室内に向けて一体に設けてある。
【0018】
ドアパネル20のパネル框体21は、図2図3に示すように、上框211、下框212及び左右の縦框213,214を四周枠組みすることによって構成したものである。これら上框211、下框212及び縦框213,214は、いずれもアルミニウム合金等の金属によって成形した金属框部(金属面材部)と、樹脂によって成形した樹脂框部(樹脂面材部)とを備えた複合型のもので、金属框部が室外側となる状態で枠体10に支持してある。金属框部及び樹脂框部は、いずれも押し出し形材であり、それぞれが長手に沿った全長にわたる部分がほぼ一様の断面形状を有するように構成してある。
【0019】
上框211の金属框部(以下、金属上框部211Mという)は、図4図5に示すように、上框基部211M1及び上框支持壁部211M2を一体に成形したものである。上框基部211M1は、縦長の略長方形断面を有した中空状を成すものである。上框基部211M1の外周側となる見込み面には、補助熱膨張性部材EXS1が設けてある。補助熱膨張性部材EXS1は、枠体10に対してドアパネル20を閉じた場合に上枠11の金属上枠部11Mに対向するものである。また、上框基部211M1には、室内に臨む見付け面のほぼ全面を覆うように第1の樹脂框部(以下、第1樹脂上框部211P1という)が取り付けてある。上框基部211M1及び第1樹脂上框部211P1の内周側となる見込み面には、第2の樹脂框部(以下、第2樹脂上框部211P2という)が室内側に突出するように設けてある。上框支持壁部211M2は、上框基部211M1の室外に臨む見付け面において内周側となる部分から室外に向けてほぼ水平に延在した後、内周側に向けてほぼ直角に屈曲した薄板状を成すものである。図からも明らかなように、金属上框部211Mは、枠体10に対してドアパネル20を閉じた場合に、上框基部211M1の室外に臨む見付け面が上枠11の室外に臨む見付け面よりも室内側に位置する一方、上框支持壁部211M2の室外に臨む見付け面が上枠11の室外に臨む見付け面よりも室外側に突出するようにそれぞれの寸法が設定してある。第1樹脂上框部211P1及び第2樹脂上框部211P2は、枠体10に対してドアパネル20を閉じた場合に、いずれも上枠11の見込み面内に収容され、かつ第1樹脂上框部211P1の室内に臨む見付け面が上枠11の枠側タイト材AT1に接触するとともに、第1樹脂上框部211P1の外周面が上枠11に設けた枠側熱膨張性部材EX1に対向するようにそれぞれの寸法が設定してある。図中の符号EX5は、第1樹脂上框部211P1の内周側において室外となる隅部に設けた熱膨張性部材である。
【0020】
下框212の金属框部(以下、金属下框部212Mという)は、図7に示すように、下框基部212M1、下框境界壁部212M2、下框内周壁部212M3、下框支持壁部212M4を一体に成形したものである。下框基部212M1は、上框基部211M1と同様、縦長の略長方形断面を有した中空状を成すものである。下框基部212M1の中空内部には、補強材212Rが設けてある。補強材212Rは、アルミニウム合金や鋼材等の金属によって構成したもので、下框基部212M1の中空内部において室外側となる部分及び内周側となる部分に沿うように設けてある。下框基部212M1の見込み方向に沿った寸法及び見付け方向に沿った寸法は、上框基部211M1とほぼ同じである。下框基部212M1の外周側となる見込み面には、補助熱膨張性部材EXS2が設けてある。補助熱膨張性部材EXS2は、枠体10に対してドアパネル20を閉じた場合に下枠12の金属下枠部12Mに対向するものである。下框境界壁部212M2は、下框基部212M1の内周側となる見込み面においてほぼ中央となる部分から内周に向けて突出した薄板状を成すものである。下框内周壁部212M3は、下框基部212M1の内周側において室内側の隅部から内周に向けて突出した後、室内に向けて屈曲し、さらに内周に向けて屈曲したものである。下框支持壁部212M4は、下框基部212M1の内周側において室外側の隅部から室外に向けて漸次下方となるように延在した薄板状を成すものである。下框支持壁部212M4の室外への突出寸法は、上框支持壁部211M2の室外への突出寸法とほぼ同じである。この金属下框部212Mには、下框基部212M1において室内に臨む見付け面のほぼ全面を覆うように第1の樹脂框部(以下、第1樹脂下框部212P1という)が取り付けてあるとともに、下框内周壁部212M3の外周側となる表面及び室内に臨む見付け面を覆うように第2の樹脂框部(以下、第2樹脂下框部212P2という)が装着してある。図からも明らかなように、金属下框部212Mは、枠体10に対してドアパネル20を閉じた場合に、下框基部212M1の室外に臨む見付け面が下枠12の室外に臨む見付け面よりも室内側に位置する一方、下框支持壁部212M4の室外に臨む見付け面が下枠12の室外に臨む見付け面よりも室外側に突出するようにそれぞれの寸法が設定してある。第1樹脂下框部212P1及び第2樹脂下框部212P2は、枠体10に対してドアパネル20を閉じた場合に、いずれも下枠12の見込み面内に収容され、かつ第1樹脂下框部212P1の室内に臨む見付け面が下枠12の枠側タイト材AT2に接触するようにそれぞれの寸法が設定してある。
【0021】
図7中の符号EX6,EX7,EX8は、それぞれ下框212に設けた熱膨張性部材を示すものである。すなわち、符号EX6は補強材212Rの3面に設けた熱膨張性部材、符号EX7は下框基部212M1の内周側となる見込み面において下框境界壁部212M2よりも室内側となる部分に設けた熱膨張性部材、符号EX8は下框内周壁部212M3の内周側となる見込み面及び室外に臨む見付け面に設けた熱膨張性部材である。
【0022】
ドアパネル20の吊り元となる縦框213の金属框部(以下、金属吊り元框部213Mという)は、図8図9に示すように、互いに別体に成形した第1金属吊り元框部213MA及び第2金属吊り元框部213MBを相互に係合することによって構成したものである。
【0023】
第1金属吊り元框部213MAは、横長の略長方形断面を有した中空状を成すものである。上述したヒンジ1は、第1金属吊り元框部213MAの外周側となる見込み面と縦枠13の金属縦枠部13Mとの間に設けてある。第1金属吊り元框部213MAの室内に臨む見付け面には、そのほぼ全面を覆うように第1の樹脂框部(以下、第1樹脂吊り元框部213P1という)が取り付けてある。第1金属吊り元框部213MAには、中空内部に補強材213Rが設けてあるとともに、外周側となる見込み面に面材側タイト材213AT及び補助熱膨張性部材EXS3が設けてある。補強材213Rは、アルミニウム合金や鋼材等の金属によって構成したもので、中空内部において室外側となる部分及び内周側となる部分に沿うように設けてある。面材側タイト材213ATは、枠体10に対してドアパネル20を閉じた場合に、金属縦枠部13Mの突状部13M3に対して接触することにより、縦枠13との間の水密性及び気密性を確保するためのもので、長手に沿った全長にわたる部分に連続して設けてある。補助熱膨張性部材EXS3は、面材側タイト材213ATよりも室外側となる部分に長手に沿って全長に連続して設けてある。すなわち、この補助熱膨張性部材EXS3は、ドアパネル20を閉じた場合に、縦枠13の金属縦枠部13Mに対向し、かつ見込み方向において縦枠13に設けた枠側熱膨張性部材EX3との間に面材側タイト材213ATが挟まれる位置となるように設けてある。また、第1金属吊り元框部213MA及び第1樹脂吊り元框部213P1は、ドアパネル20を閉じた場合に、縦枠13に設けた枠側熱膨張性部材EX3が、第1金属吊り元框部213MAの外周側となる見込み面及び第1樹脂吊り元框部213P1の外周側となる見込み面の双方に対向する位置となるようにそれぞれの寸法が設定してある。
【0024】
第2金属吊り元框部213MBは、縦框基部213MB1、縦框内方見付け壁部213MB2、縦框外方見付け壁部213MB3、縦框境界壁部213MB4を一体に成形したものである。縦框基部213MB1は、見込み方向に沿ってほぼ鉛直に延在する平板状を成すものである。縦框内方見付け壁部213MB2は、縦框基部213MB1の室内側縁部から内周に向けて延在した薄板状を成すものである。縦框外方見付け壁部213MB3は、縦框基部213MB1の室外側縁部から内周に向けて延在した平板状を成すものである。縦框境界壁部213MB4は、縦框基部213MB1の内周側となる見込み面において縦框内方見付け壁部213MB2及び縦框外方見付け壁部213MB3からほぼ等距離となる部分において内周に向けて突出した薄板状を成すものである。縦框境界壁部213MB4の室内に臨む見付け面から縦框基部213MB1の内周側となる見込み面にわたる部分には、樹脂によって成形した縦框内周カバー部213Cが装着してある。また、縦框内方見付け壁部213MB2の室内に臨む見付け面から縦框基部213MB1の外周側となる見込み面にわたる部分には、樹脂によって成形した第2の樹脂框部(以下、第2樹脂吊り元框部213P2という)が装着してある。
【0025】
図8中の符号EX9,EX10,EX11,EX12,EX13は、それぞれ吊り元となる縦框213に設けた熱膨張性部材を示すものである。すなわち、符号EX9は第1金属吊り元框部213MAの内周側となる見込み面に設けた熱膨張性部材、符号EX10は補強材213Rの室外側に延在する部分に設けた熱膨張性部材、符号EX11は第2金属吊り元框部213MBにおいて縦框基部213MB1の内周側となる見込み面に設けた熱膨張性部材、符号EX12は縦框境界壁部213MB4の室内に臨む見付け面に設けた熱膨張性部材、符号EX13は縦框内周カバー部213Cの内周側となる見込み面に設けた熱膨張性部材である。
【0026】
ドアパネル20の戸先となる縦框214の金属框部(以下、金属戸先框部214Mという)は、図11図12に示すように、互いに別体に成形した第1金属戸先框部214MA及び第2金属戸先框部214MBを有したものである。
【0027】
第1金属戸先框部214MAは、第1金属吊り元框部213MAと同様、横長の略長方形断面を有した中空状を成すもので、煙返し部214MA1を有している点で第1金属吊り元框部213MAと相違している。すなわち、第1金属戸先框部214MAには、外周側において室外側の隅部から室外に向けて突出した後、外周側に向けて屈曲するように煙返し部214MA1が一体に設けてある。煙返し部214MA1よりも室内側となる部分には、面材側タイト材214ATが設けてある。第1金属戸先框部214MAの外周側となる見込み面には、補助熱膨張性部材EXS4が設けてある。補助熱膨張性部材EXS4は、枠体10に対してドアパネル20を閉じた場合に縦枠13の金属縦枠部13Mに対向するものである。第1金属戸先框部214Mにおいて補助熱膨張性部材EXS4の両側となる部分には、リブ214MA2が突出するように設けてある。第1金属戸先框部214MAの室内に臨む見付け面には、そのほぼ全面を覆うように第1の樹脂框部(以下、第1樹脂戸先框部214P1という)が取り付けてある。第1樹脂戸先框部214P1は、第1樹脂吊り元框部213P1と対称形状に構成したものである。図中の符号2は、第1金属戸先框部214MA及び第1樹脂戸先框部214P1に設けたドアハンドルである。
【0028】
第2金属戸先框部214MBは、第2金属吊り元框部213MBと同様、縦框基部214MB1、縦框内方見付け壁部214MB2、縦框外方見付け壁部214MB3、縦框境界壁部214MB4を一体に成形したものである。縦框内周カバー部214C及び第2樹脂戸先框部214P2を備える点についても、吊り元の縦框213と同様である。
【0029】
図中の符号EX14,EX15,EX16,EX17は、それぞれ戸先となる縦框214に設けた熱膨張性部材を示すものである。すなわち、符号EX14は第1金属戸先框部214MAの内周側となる見込み面に設けた熱膨張性部材、符号EX15は第2金属戸先框部214MBにおいて縦框基部214MB1の内周側となる見込み面に設けた熱膨張性部材、符号EX16は縦框境界壁部214MB4の室内に臨む見付け面に設けた熱膨張性部材、符号EX17は縦框内周カバー部214Cの内周側となる見込み面に設けた熱膨張性部材である。
【0030】
2つの通風用障子22A,22Bは、パネル框体21の内部において下框境界壁部212M2、縦框境界壁部213MB4、縦框境界壁部214MB4よりも室内側となる部分及び下框境界壁部212M2、縦框境界壁部213MB4、縦框境界壁部214MB4よりも室外側となる部分にそれぞれ上下に移動可能に配設したものである。室内側の通風用障子(以下、区別する場合に通風用内障子22Aという)は、長方形状を成す複層ガラス22A1の四周に通風上框22A2、通風下框22A3及び左右の通風縦框22A4を装着することによって構成したものである。室外側の通風用障子(以下、区別する場合に通風用外障子22Bという)は、長方形状を成す複層ガラス22B1の四周に通風上框22B2、通風下框22B3及び左右の通風縦框22B4を装着することによって構成したものである。本実施の形態では、通風用内障子22Aの通風上框22A2と通風用外障子22Bの通風下框22B3とが互いに見込み方向に並設する状態で通風用内障子22Aを下方に配置するとともに、通風用外障子22Bを上方に配置した場合にパネル框体21の開口を閉塞することができるように、それぞれの通風用障子22A,22Bの寸法が設定してある。通風用内障子22Aの通風上框22A2、通風下框22A3、左右の通風縦框22A4及び通風用外障子22Bの通風上框22B2、左右の通風縦框22B4は、いずれもアルミニウム合金等の金属によって成形した金属框部22Mと、樹脂によって成形した樹脂框部22Pとを備えた複合型のもので、金属框部22Mが室外側となる状態で互いの間に複層ガラス22A1,22B1を保持している。通風用外障子22Bの通風下框22B3は、アルミニウム合金等の金属によって一体に成形してある。これら通風用障子22A,22Bを構成する框は、金属框部22M及び樹脂框部22Pに限らず、いずれも押し出し形材であり、それぞれが長手に沿った全長にわたる部分がほぼ一様の断面形状を有するように構成してある。
【0031】
図には明示していないが、これらの通風用障子22A,22Bは、ワイヤケーブルによって互いに接続してある。ワイヤケーブルは、縦枠13に設けた滑車に巻き掛けたもので、通風用内障子22Aを上方に移動させた場合に通風用外障子22Bが下方に移動するように連係するものである。図中の符号30は、滑車を収容するケースを示すものである。このケース30には、内周側となる部分に熱膨張性部材EX18が設けてある。また、それぞれの通風用障子22A,22Bには、通風縦框22A4,22B4の外周側となる見込み面にそれぞれ熱膨張性部材EX19が配設してある。さらに通風用外障子22Bには、通風上框22B2の外周側となる見込み面、通風下框22B3の室内側となる部分に熱膨張性部材EX20が設けてあり、通風用内障子22Aには、通風下框22A3の外周側となる見込み面、通風上框22A2の室外に臨む見付け面に熱膨張性部材EX21が設けてある。
【0032】
格子付き網戸23は、網戸枠体23aの内部にネット23b及び横桟23cを設けることによって構成したものである。この格子付き網戸23と通風用外障子22Bの通風上框22B2との間には、ブラケット24を介して熱膨張性部材EX22が設けてある。
【0033】
上記のように構成した建具では、金属枠部11M,12M,13M及び樹脂枠部11P,12P,13Pを有するように枠体10の上枠11、下枠12及び縦枠13を構成し、樹脂枠部11P,12P,13Pを室内側に配置するようにしているため、断熱性の向上を図ることが可能となる。しかも、火災発生時等において建具が高温状態となった場合には、縦枠13に設けた見付け側熱膨張性部材EX4が膨張することで、戸当り部として機能する樹脂枠部13Pの温度上昇が抑えられ、金属枠部13Mから樹脂枠部13Pが脱落する事態が防止される。特に、実施の形態では、タイト材装着部13P3の外周側に片寄った位置に見付け側熱膨張性部材EX4を配設しているため、さらには樹脂枠部13Pに中空状の樹脂枠部本体13P1を設けるようにしているため、金属縦枠部13Mとの接合部分の温度上昇をより確実に抑えることが可能となる。これにより、金属枠部13Mと樹脂枠部13Pとの間に金属製の補強材を設ける必要がなくなり、断熱性及び防火性の点で有利となる。加えて、金属枠部11M,12M,13Mと樹脂枠部11P,12P,13Pとの間をスナップフィット係合するように構成することができ、建具を組み立てる際の作業も容易化することが可能となる。
【0034】
また、上記の建具では、ドアパネル20のパネル框体21において室内に臨む表面全面が樹脂によって覆われた状態となる。すなわち、上框211においては第1樹脂上框部211P1、第2樹脂上框部211P2が配置され、下框212においては第1樹脂下框部212P1、第2樹脂下框部212P2が配置され、縦框213,214においては第1樹脂吊り元框部213P1、第2樹脂吊り元框部213P2、第1樹脂戸先框部214P1、第2樹脂戸先框部214P2が配置されることになる。これにより、ドアパネル20においては、室内外方向の熱伝達が抑えられ、断熱性の点で有利となる。
【0035】
しかも、上枠11においては、金属枠部11Mの見込み面において第1樹脂上框部211P1及び枠側タイト材AT1に対向するように枠側熱膨張性部材EX1が設けてある。同様に、縦枠13においては、金属枠部13Mの見込み面において第1樹脂吊り元框部213P1及び枠側タイト材AT3に対向するように枠側熱膨張性部材EX3が設けてあるとともに、第1樹脂戸先框部214P1及び枠側タイト材AT3に対向するように枠側熱膨張性部材EX3が設けてある。従って、火災発生時等において建具が高温状態となった場合には、第1樹脂上框部211P1、枠側タイト材AT1、第1樹脂吊り元框部213P1、第1樹脂戸先框部214P1、枠側タイト材AT3が溶融、もしくは焼失した場合にも、これらの枠側熱膨張性部材EX1,EX3が膨張することによりドアパネル20との間に隙間が生じる事態を防止することが可能となり、防火性の点でも有利となる。特に、実施の形態においては、収容凹部11M5,13M5に枠側熱膨張性部材EX1,EX3が設けてある。このため、枠側熱膨張性部材EX1,EX3が上枠11や縦枠13の見込み面から突出する事態を防止することができ、枠側熱膨張性部材EX1,EX3が不用意に脱落する懸念がなくなるとともに、建具の外観品質が損なわれる事態を防止することができる。
【0036】
さらに、縦枠13については、枠側熱膨張性部材EX3が縦框213,214において第1金属吊り元框部213MA及び第1金属戸先框部214Mに対向する位置まで延在してある。換言すれば、縦枠13の枠側熱膨張性部材EX3については、第1金属吊り元框部213MAと第1樹脂吊り元框部213P1との接合部及び第1金属戸先框部214Mと第1樹脂戸先框部214P1との接合部を覆うように設けてある。従って、枠側熱膨張性部材EX3が膨張した場合には、第1金属吊り元框部213MAと第1樹脂吊り元框部213P1との接合部及び第1金属戸先框部214Mと第1樹脂戸先框部214P1との接合部の温度上昇が抑制されることになり、第1金属吊り元框部213MAから第1樹脂吊り元框部213P1が脱落したり、第1金属戸先框部214Mから第1樹脂戸先框部214P1が脱落する事態を防止して防火性の向上を図ることができる。
【0037】
加えて、枠側タイト材AT1,AT3としては、耐火性を考慮したものを適用する必要がなく、溶融もしくは焼失するものであっても良いため、例えばTPE(ThermoPlastic Elastomer)等のように柔軟な材質のものを適用することが可能となり、ドアパネル20を閉じる際の反発性が小さくなる等、開閉操作性を良好なものとすることができる。
【0038】
また、ドアパネル20には、それぞれの金属框部211M,212M,213M,214Mにおいて金属枠部11M,12M,13Mに対向する部分に補助熱膨張性部材EXS1,EXS2,EXS3,EXS4が設けてある。従って、建具が高温状態となって枠体10に対してドアパネル20の位置が多少ずれるような事態が発生したとしても、補助熱膨張性部材EXS1,EXS2,EXS3,EXS4が膨張することによって枠体10との間の隙間をより確実に塞ぐことができるようになり、防火性の点で有利となる。特に、吊り元となる縦框213においては、枠側熱膨張性部材EX3との間に面材側タイト材213ATを挟むように設けてある。従って、室外側から高温となった場合であっても、室内側から高温となった場合であっても、面材側タイト材213ATが溶融する事態を抑えることが可能となり、防火性の点で好ましい。
【0039】
なお、上述した実施の形態では、ドアパネル20としてパネル筐体21に通風用障子22A,22B及び格子付き網戸23を備えたものを例示しているが、本発明は必ずしもこれに限定されない。例えば、図14及び図15に示す変形例のように、パネル筐体にFIX窓40が設けられたドアパネル20′を適用しても良いし、単に通風用障子やFIX窓を有していないものを適用することも可能である。変形例において実施の形態と同様の構成については同一の符号が付してある。
【0040】
また、上述した実施の形態では、勝手口ドアを例示しているが、その他の建具であっても同様に適用することが可能である。
【0041】
さらに、上述した実施の形態では、縦枠13にのみ見付け側熱膨張性部材EX4を設けるようにしているが、上枠11や下枠12に設けても構わない。またさらに、金属枠部と樹脂枠部との間をスナップフィット係合させるようにしているが、必ずしもこれに限定されない。
【0042】
以上のように、本発明に係る建具は、枠体に対して面材が開閉可能に支持された建具であって、前記枠体は、前記面材の見込み面に対向する金属枠部と、前記金属枠部から内周側に突出するように設けられた樹脂枠部とを有し、前記樹脂枠部の見付け面には、タイト材装着部が設けられ、前記タイト材装着部には、前記面材に対する枠側タイト材が装着されているとともに、前記枠側タイト材との間に見付け側熱膨張性部材が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、金属枠部及び樹脂枠部を有するように枠体を構成しているため、樹脂枠部を室内側に配置することで断熱性の向上を図ることが可能となる。しかも、火災発生時等において建具が高温状態となった場合には、見付け側熱膨張性部材が膨張することで、戸当り部として機能する樹脂枠部の温度上昇が抑えられ、金属枠部から樹脂枠部が脱落する事態が防止される。これにより、金属枠部と樹脂枠部との間に金属製の補強材を設ける必要がなくなり、断熱性及び防火性の点で有利となる。
【0043】
また本発明は、上述した建具において、前記樹脂枠部は、前記金属枠部に対してスナップフィット係合により装着されていることを特徴としている。
この発明によれば、金属枠部に対して樹脂枠部を容易に取り付けることが可能になる。
【0044】
また本発明は、上述した建具において、前記見付け側熱膨張性部材は、前記タイト材装着部において前記金属枠部に近接した部分に片寄って設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、見付け側熱膨張性部材が膨張することで、樹脂枠部と金属枠部との間のスナップフィット係合部の温度上昇を抑えることができ、高温状態となった場合に樹脂枠部が金属枠部から脱落する事態をより確実に防止することができる。
【0045】
また本発明は、上述した建具において、前記樹脂枠部は、中空部を有し、前記中空部と前記枠側タイト材との間に前記見付け側熱膨張性部材が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、中空部によって樹脂枠部の断熱性を高めることができ、金属枠部から脱落する事態をより確実に防止できる。
【0046】
また本発明は、上述した建具において、前記面材は、金属材料からなる金属面材部と、前記金属面材部の一方の表面側に設けられた樹脂材料からなる樹脂面材部とを有し、前記金属枠部には、前記枠側タイト材及び前記樹脂面材部に対向する部分に枠側熱膨張性部材が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、一方の表面側に樹脂面材部を有するように面材を構成しているため、断熱性の点で有利となる。しかも、火災発生時等において建具が高温状態となった場合には、金属枠部の見込み面において枠側タイト材及び樹脂面材部に対向するように設けた枠側熱膨張性部材が膨張するため、樹脂面材部が溶融、もしくは焼失した場合にも面材との間に隙間が生じる事態を防止することが可能となる。
【0047】
また本発明は、上述した建具において、前記枠体は、左右の縦枠の上端部に上枠を備えたものであり、前記枠側熱膨張性部材は、少なくとも前記縦枠の金属枠部に設けられ、かつ前記金属面材部に対向する位置まで延在されていることを特徴としている。
この発明によれば、枠側熱膨張性部材が膨張することにより、金属面材部と樹脂面材部との接合部分の温度上昇が抑制されることにより、金属面材部から樹脂面材部が脱落する事態を防止して防火性の向上を図ることができる。
【0048】
また本発明は、上述した建具において、前記金属面材部において前記金属枠部に対向する部分に面材側熱膨張性部材が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、高温状態の影響によって枠体に対して面材の位置がずれる事態が生じたとしても、補助熱膨張性部材が膨張することによって枠体との間の隙間をより確実に塞ぐことができるようになり、防火性の点で有利となる。
【0049】
また本発明は、上述した建具において、前記金属面材部には、前記金属枠部に対する面材側タイト材が設けられ、前記面材側熱膨張性部材は、前記枠側熱膨張性部材との間に前記面材側タイト材を挟む位置に設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、室内側及び室外側のいずれが高温状態となった場合にも、補助熱膨張性部材もしくは枠側熱膨張性部材が膨張することで面材側タイト材が溶融、もしくは焼失する事態の発生を抑えることができる。
【0050】
また本発明は、上述した建具において、前記枠体は、左右の縦枠の上端部に上枠を備えたものであり、前記左右の縦枠の金属枠部及び前記上枠の金属枠部にそれぞれ前記枠側熱膨張性部材が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、枠体と面材との間の三方において隙間が生じる事態を防止することが可能となる。
【0051】
また本発明は、上述した建具において、前記左右の縦枠に設けた前記枠側熱膨張性部材は、個々の上端部が前記上枠に設けた前記枠側熱膨張性部材と接触するように設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、左右の縦枠と上枠との両入隅部において面材との間に隙間が生じる事態を防止することが可能となる。
【0052】
また本発明は、上述した建具において、前記枠体の見込み面に凹部が設けられ、前記凹部に前記枠側熱膨張性部材が設けられていることを特徴としている。
この発明によれば、枠側熱膨張性部材が見込み面から突出する事態を防止することができ、枠側熱膨張性部材が不用意に脱落する懸念がなくなるとともに、建具の外観品質を向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0053】
10 枠体、11 上枠、11M,12M,13M 金属枠部、11M3,12M4,13M4 係合受部、11M5,13M5 収容凹部、11P,12P,13P 樹脂枠部、11P1,12P1,13P2 係合爪部、13 縦枠、13P1 樹脂枠部本体、13P3 タイト材装着部、20 ドアパネル、211M,212M,213M,214M 金属框部、211P1,211P2,212P1,212P2,213P1,213P2,214P1,214P2 樹脂框部、213AT,214AT 面材側タイト材、AT1,AT3 枠側タイト材、EX1,EX3 枠側熱膨張性部材、EX4 見付け側熱膨張性部材、EXS1,EXS2,EXS3,EXS4 補助熱膨張性部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15