(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119747
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】紙製ストロー及び紙製ストローの製造方法
(51)【国際特許分類】
A47G 21/18 20060101AFI20230822BHJP
【FI】
A47G21/18 ZAB
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022765
(22)【出願日】2022-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】597079289
【氏名又は名称】宮脇 茂夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 茂夫
【テーマコード(参考)】
3B115
【Fターム(参考)】
3B115AA11
3B115AA13
3B115BA18
3B115DA17
3B115DB13
3B115EA10
(57)【要約】
【課題】安価な紙製ストローを提供する。
【解決手段】 本発明の紙製ストロー1は、紙製のシート材をロール状に巻いた筒体3を紙製の帯封5で留めて形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙製のシート材をロール状に巻いた筒体を紙製の帯封で留めたことを特徴とする紙製ストロー。
【請求項2】
前記シート材は矩形状を有し、巻き終わり側の端縁が山状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の紙製ストロー。
【請求項3】
前記シート材の巻き始め側の端縁が山状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の紙製ストロー。
【請求項4】
紙製ストローの製造方法であって、
矩形状の紙製のシート材を、丸棒を中心としてロール状に巻く工程と、
前記ロール状に巻かれたシート材の中央部を紙製の帯封で留めた後で前記丸棒を抜き出す工程と、を備えることを特徴とする紙製ストローの製造方法。
【請求項5】
前記シート材は矩形状を有し、巻き終わり側の端縁が山状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の紙製ストローの製造方法。
【請求項6】
前記シート材の巻き始め側の端縁が山状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の紙製ストローの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙製ストロー及び紙製ストローの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題を考慮して、プラスチック製のストローは紙製のストローに置き換わりつつある。しかしながら、紙製のストローは、プラスチック製のストローよりも単価が高いことや、飲料によって飲み口がふやけて使用感が低下すること等の問題があった。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されている紙製のストローは、紙シートをロール状に複数層に巻き重ねて接着することで形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されている紙製のストローのように紙シートをロール状に巻き重ねるには、大掛かりな機械設備が必要になり、単価が上昇してしまう。
【0006】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、紙製ストロー、及び、簡易で安価な方法で紙製ストローを形成する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の紙製ストローは、紙製のシート材をロール状に巻いた筒体を紙製の帯封で留めたことを特徴とする。
【0008】
本発明においては、前記シート材は矩形状を有し、巻き終わり側の端縁が山状に形成されていることを特徴としてもよい。
【0009】
本発明においては、前記シート材の巻き始め側の端縁が山状に形成されていることを特徴としてもよい。
【0010】
本発明の紙製ストローの製造方法は、矩形状の紙製のシート材を、丸棒を中心としてロール状に巻く工程と、前記ロール状に巻かれたシート材の中央部を紙製の帯封で留めた後で前記丸棒を抜き出す工程と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明においては、前記シート材は矩形状を有し、巻き終わり側の端縁が山状に形成されていることを特徴としてもよい。
【0012】
本発明においては、前記シート材の巻き始め側の端縁が山状に形成されていることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、紙製ストローを、大型の機械設備を使用せずに、人手でも簡単に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る紙製ストローを示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る紙製ストローを示す分解斜視図である。
【
図3A】本発明の実施形態に係る紙製ストローにおいて、シート材を示す平面図である。
【
図3B】本発明の実施形態に係る紙製ストローにおいて、シート材の他の例を示す平面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る紙製ストローの変形例を示す斜視図である。
【
図5A】本発明の実施形態に係る紙製ストローの製造工程を示す平面図である。
【
図5B】本発明の実施形態に係る紙製ストローの製造工程を示す平面図である。
【
図5C】本発明の実施形態に係る紙製ストローの製造工程を示す平面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る紙製ストローと従来のストローとの保管状態の一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1、
図2、
図3A及び
図3Bを参照して、本発明の実施形態に係る紙製ストロー1について説明する。
図1は紙製ストロー1の斜視図、
図2は紙製ストロー1の分解斜視図、
図3A及び
図3Bはシート材10を示す平面図である。
【0016】
紙製ストロー1は、紙製のシート材10(
図3A、
図3B参照)がロール状に巻かれた筒体3と、筒体3の中央部を留める紙製の帯封5と、で構成される。
【0017】
シート材10について、
図3A及び
図3Bを参照して説明する。
図3Aに示されるように、シート材10は矩形状であり、巻き始め側の端縁10X及び巻き終わり側の端縁10Yが山状に形成されている。すなわち、端縁10X、10Yは、両端から中央の頂部に向かって徐々に傾斜している。また、端縁10X、10Yの頂部は滑らかに湾曲している。なお、
図3Bに示されるように、巻き終わり側の端縁10Yのみが山状に形成されてもよい。
【0018】
シート材10の材質は特に限定されないが、食品の包装に使用されるグラシン紙が好ましい。また、シート材10の坪量は20~80g/m2、好ましくは、30~70g/m2である。また、シート材10の両面にポリプロピレン加工して、耐水性や耐久性を向上させることが好ましい。あるいは、耐水性や耐久性を有する塗料をコーティングした紙であってもよい。
【0019】
このようなシート材10を、巻き始め側の端縁10Xから巻き終わり側の端縁10Yまで、例えば5層~8層に巻き重ねることで筒体3が形成される。
【0020】
帯封5は、矩形状の紙製のシート材を所定の径の筒状に巻いて、巻き始め側の端部と巻き終わり側の端部とを接着剤や両面テープで固定したり両端部を重ねた後で両端部をシールで固定したりすることで形成される。帯封5は、シート材10を、例えば5層から8層巻き重ねた後、シート材10が巻き戻ることを防止する役割がある。このように帯封5を設けることによって、5層~8層巻き重ねたシート材10間の隙間のない筒体3を形成できる。
【0021】
上記構成を有する紙製ストロー1においては、筒体3及び帯封5が紙製であるので、使用後に廃棄される際にプラスチックごみを発生しない。さらに、シート材10をロール状に巻いて筒体3を形成し、筒体3を帯封5で留めることで簡易に作成することができるので、大型の機械設備を使用せずに、人手でも簡単に作成することができる。
【0022】
また、シート材10の巻き終わり側の端縁10Yが山状に形成されているので、巻き終わり側の2つの角が鈍角となってめくれ上がりにくくなる。
【0023】
さらに、坪量が20~80g/m2のシート材10を、例えば5層~8層巻き重ねることで、強度を付与することができる。また、シート材10を耐水性を有する材料で作成することで、飲み口がふやけることを低減できる。
【0024】
さらに、
図4に示されるように、径の異なる複数の帯封5を準備することで、同じ形状のシート材10を使用して口径の異なる複数の紙製ストロー1を作成することが可能となる。例えば、
図4の下側の図に示されるように、帯封5の径を大きくすれば、筒体3の口径が大きくなり、固形物が含まれる飲料に対応できる。また、
図4の上側の図に示されるように、帯封5の径を小さくすれば、筒体3の口径が小さくなり、幼児用の飲料に対応できる。
【0025】
また、シート材10の表面に所望のデザインをプリントしてもよい。例えば、飲食店のロゴやキャラクターをプリントすることで、汎用性を高めることができる。
【0026】
次に、
図5A~
図5Cを参照して、紙製ストロー1の製造方法について説明する。
図5A~
図5Cは紙製ストロー1の製造方法の一例を示す平面図である。
【0027】
まず、巻き始め側の端縁10X及び巻き終わり側の端縁10Yが山状に形成されたシート材10と、所望の径の丸棒20を準備する。さらに、所望の径の帯封5(
図1参照)を準備する。
【0028】
そして、
図5Aに示されるように、シート材10の巻き始め側の端部に丸棒を当て、
図5Bに示されるように、シート材10を丸棒20に沿って巻き重ねる。巻き始め側の端縁10Xを山状に形成することで、端縁10Xの頂部から滑らかに巻き進めることができる。
【0029】
シート材10を5層~8層巻き重ね、巻き終わり側の端縁10Yまで巻き終わって筒体3を形成した後、
図5Cに示されるように、帯封5に筒体3を挿入する。筒体3の中央部に帯封5を通して、巻き終わり側の端縁10Yの頂部を帯封5で留める。これにより、巻き重ねられたシート材10の巻き戻りが防止され、巻き重ねられたシート材10間の隙間がなくなる。その後、丸棒10を筒体3から引き抜く。
【0030】
上記説明したように紙製ストロー1を簡易に作成することができるので、人手でも簡易に且つ寸法や形状のばらつきなく形成することができる。例えば、家庭で使用される場合は使用者によって、店舗で使用される場合は店舗の店員によって必要時に作成することができる。
【0031】
また、家庭や店舗で使用される場合に、保管スペースを狭くすることができる。例えば、
図6に示されるように、口径が0.63cm、長さが21cmの従来のストロー101を100本保管する場合、保管に必要な体積は、幅W6.3cm×高さH5.4cm×奥行きD21cm=714.42cm
3である(上側の図を参照)。
【0032】
一方で、従来のストローと同様の口径及び長さを有する本発明の紙製ストロー1の場合は、厚さ0.08mmのシート材10を使用すると、保管に必要な体積は幅W20×奥行21Dcm×高さH0.8cm=336cm3である(下側の図を参照)。帯封5の保管体積を含めても、従来のストローよりも保管体積を少なくすることができる。
【0033】
また、上記した本発明の実施の形態の説明は、本発明に係る紙製ストローにおける好適な実施の形態を説明しているため、材質、寸法、構造等、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0034】
1 紙製ストロー
3 筒体
5 帯封
10 シート材