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  • 特開-両面研磨装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119760
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】両面研磨装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/08 20120101AFI20230822BHJP
   B24B 37/02 20120101ALI20230822BHJP
【FI】
B24B37/08
B24B37/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022786
(22)【出願日】2022-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000166948
【氏名又は名称】シチズンファインデバイス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宮島 敏朗
【テーマコード(参考)】
3C158
【Fターム(参考)】
3C158AA13
3C158CB01
3C158DA17
3C158EA01
(57)【要約】
【課題】 上定盤と下定盤の水平方向の位置ずれを抑えた係止機構を備える両面研磨装置を提供する。
【解決手段】 基台1に備えられた下定盤5と、下定盤5に対向配置した上定盤9とを備え、上定盤9と下5定盤との間に被加工部材100を配置して下定盤5を回転させ被加工部材100を研磨加工する両面研磨装置200において、上定盤9は当該上定盤9の定盤面と直交する方向へ突設するガイドピン7を有し、基台1には、基台1から突設する基体6と、基体6に取り付けられガイドピン7を接触支持するガイド部10a、10bとを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台に備えられた下定盤と、前記下定盤に対向配置した上定盤とを備え、前記上定盤と前記下定盤との間に被加工部材を配置して前記下定盤を回転させ当該被加工部材を研磨加工する両面研磨装置において、
前記上定盤は当該上定盤の定盤面と直交する方向へ突設するガイドピンを有し、前記基台には、前記基台から突設する基体と、当該基体に取り付けられ前記ガイドピンを接触支持するガイド部と、を備えることを特徴とする両面研磨装置。
【請求項2】
前記上定盤は、当該上定盤の定盤面と平行な方向へ突出するアーム部を備え、前記ガイドピンは前記アーム部の先端に設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の両面研磨装置。
【請求項3】
前記ガイド部は、前記基体への取付部を支点として回転可能な回転支持体を備える、ことを特徴とする請求項1または2に記載の両面研磨装置。
【請求項4】
前記基体は、前記ガイドピンを挟み前記下定盤の回転進行方向側と回転逆方向側とに前記ガイド部を備える、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の両面研磨装置。
【請求項5】
前記回転進行方向側の前記ガイド部と前記回転逆方向側の前記ガイド部とは所定の角度をもって配置される、ことを特徴とする請求項4に記載の両面研磨装置。
【請求項6】
前記基体は、前記回転進行方向側または前記回転逆方向側の少なくとも一方に前記下定盤の定盤面に直交する方向に複数配置された前記ガイド部を備える、ことを特徴とする請求項4または5に記載の両面研磨装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は両面研磨装置に関し、さらに詳細には上定盤と回転する下定盤との間に挟まれた被加工部材を、前記上定盤及び下定盤に形成された各研磨面によって研磨を施す両面研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被加工部材を研磨する研磨装置として上定盤と下定盤との間に挟んだ被加工物を研磨する両面研磨装置が広く利用されている。例えば球体である被加工物の研磨においては、両面研磨装置の下定盤、または下定盤及び上定盤に備えられた環状のワーク転動溝に被加工物を保持して高精度な加工を行うことができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このような両面研磨装置においては、上定盤と下定盤との相対的回転差異を付加するために上定盤を回転方向に係止するための係止機構が必要となる。特許文献1には、上定盤が自在継手及びシリンダロッドを含む上定盤昇降手段に接続され、被加工物を研磨する際にはシリンダロッドを固定して上下方向の所定位置に固定するとともに、上定盤に接続された回動式駆動ツメを上定盤駆動ドラムの嵌合溝に係止し、上定盤駆動ドラムを回転駆動することで上定盤を回転させる両面研磨装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-31493号公報
【特許文献2】特開2011-194517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術の研磨装置では、例えば特許文献1に記載されるように上定盤と下定盤にワーク転動溝を備えた定盤を利用する場合、上定盤と下定盤における研磨面と平行な水平方向の位置ずれは、上定盤及び下定盤に形成された研磨溝に挟まれた球体に過度な荷重を加えることとなり、被加工物の研磨キズ発生に繋がる。
【0006】
また、特許文献1に記載の両面研磨装置では、上定盤は自在接手及びシリンダロッドを介して研磨装置に固定されており、上定盤の固定位置と研磨応力発生位置(上定盤の研磨面と被加工物の接触箇所)との距離が離れていることから、上定盤位置は研磨応力によって容易に変動し、研磨キズの発生要因となり得る。本発明の目的は、このような課題に鑑み、上定盤と下定盤の水平方向の位置ずれを抑えた係止機構を備える両面研磨装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
基台に備えられた下定盤と、前記下定盤に対向配置した上定盤とを備え、前記上定盤と前記下定盤との間に被加工部材を配置して前記下定盤を回転させ当該被加工部材を研磨加工する両面研磨装置において、前記上定盤は当該上定盤の定盤面と直交する方向へ突設するガイドピンを有し、前記基台には、前記基台から突設する基体と、当該基体に取り付けられ前記ガイドピンを接触支持するガイド部と、を備える両面研磨装置とする。
前記上定盤は、当該上定盤の定盤面と平行な方向へ突出するアーム部を備え、前記ガイドピンは前記アーム部の先端に設けてもよい。
また、前記ガイド部は、前記基体への取付部を支点として回転可能な回転支持体を備えてもよい。
また、前記基体は、前記ガイドピンを挟み前記下定盤の回転進行方向側と回転逆方向側とに前記ガイド部を備えてもよい。
また、前記回転進行方向側の前記ガイド部と前記回転逆方向側の前記ガイド部とは所定の角度をもって配置されてもよい。
さらにまた、前記基体は、前記回転進行方向側または前記回転逆方向側の少なくとも一方に前記下定盤の定盤面に直交する方向に複数配置された前記ガイド部を備えてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る両面研磨装置によれば、上定盤と下定盤の水平方向の位置ずれを抑え加工精度の高い両面研磨装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の両面研磨装置の正面断面図である。
図2】本発明の両面研磨装置の平面図である。
図3】ガイド基体の正面図である。
図4】ガイド基体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る両面研磨装置の一例を、図を参照しつつ以下に説明する。図1は、本発明に係る両面研磨装置の正面断面図であり、両面研磨装置に被加工対象物であるワークを配置した状態を示す。図2は、本発明に係る両面研磨装置の平面図である。両面研磨装置200は、下定盤5と上定盤9との間にワーク100を挟みワーク100を研磨する装置である。両面研磨装置200は、床面に載置され、両面研磨装置200の全構造を支持する基台1を備える。基台1は、その上面にベアリング3が設置されており、このベアリング3を介して下定盤支持部4が基台1上に回転可能に載置されている。下定盤支持部4の上面には下定盤5が固定される。また、基台1には、基台1の上面から上方に向かって突設されたガイド基体6を備える。ガイド基体6は、上定盤9の水平方向における移動を規制する部材であり、下定盤5の周囲であり下定盤5の中心を挟んで対向する2箇所に設けられている。なお、本説明において水平方向とは下定盤5の定盤面(研磨面)と水平な任意の方向とし、軸方向とは下定盤5の回転中心軸に平行な方向、回転方向とは下定盤5が回転する進行方向(回転進行方向)または回転が進行する方向とは逆の方向(回転逆方向)とする。
【0011】
下定盤支持部4は、下定盤駆動軸2に接続され、下定盤駆動軸2は下定盤駆動機構(図示せず)と連結されている。下定盤駆動軸2及び下定盤駆動機構は基台1の内部に収容されている。下定盤支持部4と下定盤支持部4上に固定された下定盤5とは、下定盤駆動機構によって回転駆動される。
【0012】
下定盤5の上部には下定盤5と対向して上定盤9が配置される。上定盤9は、基台1に固定された上定盤昇降装置(図示せず)に取付けられ、上定盤昇降装置はワーク100を下定盤5上に供給、排出等する際に上定盤9を下定盤5に対して昇降する。また、上定盤9は、ワーク100の加工時において、下定盤5に対して軸方向に移動可能である。ワーク100の加工時においては、下定盤5に供給されたワーク100上に上定盤9が載置され、ワーク100は上定盤9の自重によって下定盤5との間に挟まれ加工が行われ、上定盤9はワーク100の形状に倣って軸方向に移動するようになっている。なお、上定盤昇降装置及び下定盤駆動機構は、公知の昇降装置や駆動機構を利用することができる。
【0013】
次に下定盤5及び上定盤9について詳細に説明する。下定盤5及び上定盤9は、円盤状であり、それぞれの一方の面に定盤面(研磨面)を備え、下定盤5と上定盤9は、この定盤面が向かい合うよう配置され、その定盤面には複数本(図1では1本のみ図示する)の同心円の溝5a、9aが形成されている。なお、ここでは下定盤5に形成された溝を溝5a、上定盤9に形成された溝を溝9aとする。この溝5a、9aは、ワーク100の加工時にワーク100が供給され、ワーク100を転動させながら研磨する溝であり、下定盤5に形成された溝5aと上定盤9に形成された溝9aとは軸方向に対向して配置される。
【0014】
上定盤9は、定盤面と対向する面に上定盤9の径方向に突出するアーム8を備える。アーム8は、上定盤9の中心を挟んで水平方向に対向する2箇所に形成されており、アーム8の先端には、上定盤9の定盤面と直交する軸に平行であり、上定盤9の定盤面側へ向かい突出するガイドピン7を備える。
【0015】
次に、ガイド基体6について詳細に説明する。図3は本発明に係る両面研磨装置のガイド基体を示す正面図であり、図4はガイド基体の平面図である。本実施形態における両面研磨装置200はガイド基体6を2つ備えるが、2つのガイド基体6は同一構造であるため、ここでは一方のガイド基体6を図示するとともに説明をわかりやすくするため上定盤9に固定されたアーム8の一部、ガイドピン7及び基台1の一部を図示している。
【0016】
本実施形態のガイド基体6は五角柱状の部材であり、底面が基台1の上面に固定され、下定盤5の接線と平行となるよう基台1上に配置された側面6a、側面6aと接続し側面6aに対し下定盤5の回転逆方向側に位置する側面6b、側面6bと接続される側面6c、側面6cと接続される側面6d、及び側面6dと側面6aとに接続される側面6eを備える。側面6aと側面6b、及び側面6bと側面6cのなす角はそれぞれ135°、側面6cと側面6d、側面6dと側面6e、及び側面6dと側面6aのなす角度はそれぞれ90°であり、側面6a、6b、6c、6d、6eは下定盤5の定盤面と直交した下定盤5の軸と平行な面である。ガイド基体6は、側面6aと側面6bとの稜線が上定盤9のガイドピン7の中心よりやや下定盤5の回転方向下流側(ガイドピン7の中心を基準として回転の進行方向側)に位置するよう基台1上に固定されている。
【0017】
側面6aはその表面にガイド基体6の軸方向に所定の間隔をもって並べて配置された二つの回転支持体10aを備え、側面6bはその表面に一つの回転支持体10bを備える。つまり、ガイド基体6は、回転進行方向側に位置する回転支持体10aと、回転逆方向側に位置する回転支持体10bとを備える。回転支持体10bは、軸方向において二つの回転支持体10aの間の中央に配置される。回転支持体10a、10bは、それぞれが備えられる側面6aまたは側面6bと直交する回転ベアリング押さえピン101と、ベアリング押さえピン101に取付けられベアリング押させピン101に対して回転可能なボールベアリングからなるベアリング102とから構成される。この回転支持体10aと回転支持体10bとは、ワーク100の加工時において、両者の間に上定盤9のガイドピン7が挿通され、挿通されたガイドピン7を接触支持することで、上定盤9を係止し、下定盤5に対する上定盤9の水平方向の位置決めを行うものである。
【0018】
より具体的に説明すると、ガイド基体6における回転支持体10aのベアリング102の外周と回転支持体10bのベアリング102の外周とは、水平方向において、下定盤5に近づくに従いそれぞれの間隔が大きくなる扇状であり、このように配置される回転支持体10a及び回転支持体10bを備えたガイド基体6が下定盤5の中心を挟んで対向した2箇所に配置されている。そのため、回転支持体10aと回転支持体10bとの間に挿通されたガイドピン7に下定盤5からガイド基体6側へ向かう力が作用した際には、回転支持体10a及び回転支持体10bにガイドピン7が接触支持されることによって下定盤5からガイド基体6側へ向かう上定盤9の水平方向の動きが規制される。また、上定盤9は、ワーク100の加工時に下定盤5の回転にともないワーク100を介して上定盤9に回転方向に力が作用するが、下定盤5の回転にともなう回転進行方向に作用する力に対しては回転支持体10aがガイドピン7を支持し上定盤9の動きを規制する。さらに、両面研磨装置200の加工振動により発生することがある回転逆方向の力に対しては回転支持体10bがガイドピン7を支持し上定盤9の動きを規制する。したがって、水平方向における上定盤9の位置は、ガイド基体6により確実に規制されることとなり、下定盤5と上定盤9との相対的な位置ずれを抑制する。
【0019】
また、本実施形態では、上定盤9の係止機構を構成するガイド基体6は、回転支持体10aと回転支持体10bとを備え、回転支持体10a及び回転支持体10bのベアリング102は軸方向に回転可能な構成としている。上定盤9の係止では、ワーク100の加工時において、上定盤9はワーク100を介して下定盤5の回転進行方向の力が作用し、係止部はその力を受けることとなる。したがって、上定盤9がワーク100に倣って軸方向へ移動しようとした場合、上定盤9の係止部にあたるガイド基体6には、その上定盤9に作用する回転進行方向の力を抗力とした摩擦力が発生することとなる。この摩擦力が大きい場合、上定盤9の軸方向への移動の妨げとなり、上定盤9がワーク100に十分に倣って移動することができずに加工精度を悪化させる要因となることがある。さらに、複数配置されたうちの一つのガイド基体6において上定盤9の軸方向への移動が妨げられれば、上定盤9が傾斜し上定盤9と下定盤5との平行度を保てず、さらに加工精度が悪化する要因となり得る。本実施例では、ガイド基体6に軸方向に回転可能な回転支持体10a、10bを備えた構成とすることで、上定盤9が軸方向へ移動しようとする際の摩擦力を小さく抑えることが可能である。そのため、上定盤9はワーク100に倣って軸方向に容易に移動することが可能であり、2箇所に配置したガイド基体6においてこの構成を採用することで上定盤9と下定盤5との平行度も常に維持することができ、ワーク100を高精度に加工することができる。
【0020】
さらに、ガイド基体6は、軸方向において二つの回転支持体10aと一つの回転支持体10bの3点によりガイドピン7を支持する構成としている。ワーク100の加工に際し、上定盤9を下定盤5に下降させ、上定盤9のガイドピン7をガイド基体6に係止する場合、例えば、2点支持による係止だと上定盤9が大きく傾斜した状態でワーク100に接触し、ワーク100に過大な荷重がかかることがあるが、本実施形態では3点支持とすることで、係止する際の上定盤9の傾斜を抑えることができる。
【0021】
以上、一実施形態に基づき本発明の両面研磨装置について説明したが、本発明の両面研磨装置はこの実施形態に限定されるものではない。例えば、回転支持体10aと回転支持体10bは、水平方向において135°の角度をもって配置されているが、この回転支持体10a及び回転支持体10bは、ガイドピン7を回転進行方向及び回転逆方向に係止できればよく、それらの配置角度は135°に限定されない。また、ガイド基体6に回転支持体10a、10bとしてベアリング102を備えた例を説明したが、回転支持体10a、10bに代わりすべり軸受を備えたガイド基体6としてもよい。
【符号の説明】
【0022】
1 基台
2 下定盤駆動軸
3 ベアリング
4 下定盤支持部
5 下定盤
5a 溝
6 ガイド基体
6a、6b、6c、6d、6e 側面
7 ガイドピン
8 アーム
9 上定盤
9a 溝
10a、10b 回転支持体
100 ワーク
101 ベアリング押さえピン
102 ベアリング
200 両面研磨装置
図1
図2
図3
図4