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特開2023-119783水平力分担構造体設置用架台、水平力分担構造体設置装置および水平力分担構造体設置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119783
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】水平力分担構造体設置用架台、水平力分担構造体設置装置および水平力分担構造体設置方法
(51)【国際特許分類】
   E01D 22/00 20060101AFI20230822BHJP
   E01D 19/04 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
E01D22/00 B
E01D19/04 101
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022829
(22)【出願日】2022-02-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-22
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】522063929
【氏名又は名称】ケーティーマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】古谷 智之
(72)【発明者】
【氏名】中島 亨
(72)【発明者】
【氏名】大類 賢司
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 太朗
(72)【発明者】
【氏名】林 浩太郎
【テーマコード(参考)】
2D059
【Fターム(参考)】
2D059AA03
2D059EE03
2D059GG35
2D059GG40
2D059GG55
(57)【要約】
【課題】作業の安全性を高めるとともに、作業期間を短くすることができる水平力分担構造体設置用架台を提供する。
【解決手段】下部構造物2に対する上部構造物1の横方向の変位を制限するための水平力分担構造体100を、上部構造物1および下部構造物2に取り付けるための水平力分担構造体設置用架台50であって、ベースマシン20の昇降部23に支持される基部60と、基部60に対して横方向にスライド可能に連結された上部板70と、を有している。上部板70の上面に水平力分担構造体100の構成部材を載置可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部構造物に対する上部構造物の横方向の変位を制限するための水平力分担構造体を、前記上部構造物および前記下部構造物に取り付けるための水平力分担構造体設置用架台であって、
ベースマシンの昇降部に支持される基部と、
前記基部に対して横方向にスライド可能に連結された上部板と、を有し、
前記上部板の上面に前記水平力分担構造体の構成部材を載置可能であることを特徴とする水平力分担構造体設置用架台。
【請求項2】
前記上部板は、前記基部の上面にローラを介して連結されていることを特徴とする請求項1に記載の水平力分担構造体設置用架台。
【請求項3】
前記基部は、
前記昇降部に支持される下部板と、
前記下部板の上面に配置される中部板と、を備え、
前記中部板は、上下方向の回転軸を中心に回動可能であり、
前記上部板は、前記中部板に対して横方向にスライド可能に連結されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水平力分担構造体設置用架台。
【請求項4】
前記上部板は、前記基部に対して傾動可能に連結されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の水平力分担構造体設置用架台。
【請求項5】
前記上部板の上面には、支柱を取り付け可能であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の水平力分担構造体設置用架台。
【請求項6】
前記上部板の上面に昇降装置が設けられており、
前記昇降装置の上面に前記水平力分担構造体の構成部材を載置可能であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の水平力分担構造体設置用架台。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の水平力分担構造体設置用架台と、
前記ベースマシンと、を有し、
前記ベースマシンは、
本体装置と、
前記本体装置に対して横方向および上下方向に回動可能に連結された伸縮可能なブームと、
前記ブームの先端部に連結された前記昇降部と、を備えていることを特徴とする水平力分担構造体設置装置。
【請求項8】
前記昇降部には、横方向に突出した爪部が形成されており、
前記水平力分担構造体設置用架台には、前記爪部が挿入される連結孔が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の水平力分担構造体設置装置。
【請求項9】
下部構造物に対する上部構造物の横方向の変位を制限するための水平力分担構造体を、前記上部構造物および前記下部構造物に取り付けるための水平力分担構造体設置方法であって、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載された水平力分担構造体設置用架台の前記上部板に前記水平力分担構造体のストッパを載置し、前記ベースマシンの前記昇降部によって前記ストッパを上昇させて、前記ストッパを前記上部構造物の下面に取り付ける工程と、
前記上部板の上面に前記水平力分担構造体のブラケットを載置し、前記昇降部によって前記ブラケットを上昇させるとともに、前記基部に対して前記上部板をスライドさせて、前記ブラケットを前記下部構造物の側面に取り付ける工程と、
前記ストッパと前記ブラケットとを連結する工程と、を備えていることを特徴とする水平力分担構造体設置方法。
【請求項10】
前記上部構造物の下面には、前記ストッパに連結されるアンカーボルトが突出しており、
下端部に縮径部が形成された筒状のガイドキャップを、前記アンカーボルトの先端部に被せた状態で、前記昇降部によって前記ストッパを上昇させて、前記ストッパの取付孔に前記アンカーボルトを挿入することを特徴とする請求項9に記載の水平力分担構造体設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下部構造物に対する上部構造物の変位を制限し、地震発生時に上部構造物に生じる水平力の一部を受ける水平力分担構造体を設置するための水平力分担構造体設置用架台、水平力分担構造体設置装置および水平力分担構造体設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
橋脚や橋台等の下部構造物に支承を介して上部構造物が支持されている構造物では、下部構造物に対する上部構造物の横方向の変位を制限し、地震発生時に上部構造物に生じる水平力を、支承と水平力分担構造体とが分担して受けることで、支承の負荷を低減できる水平力分担構造体を設けている。
前記した水平力分担構造体としては、上部構造物の下面に取り付けられるストッパと、下部構造物の側面に取り付けられるブラケットと、を備え、ストッパの下部に対して上部が所定の範囲で横方向に移動可能なものがある。
そして、ストッパの上部を上部構造物に取り付け、ストッパの下部をブラケットに連結することで、下部構造物に対する上部構造物の横方向の変位を制限している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-115639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した水平力分担構造体を構造物に後付けするときは、上部構造物に設置したチェーンブロック等の吊り具によってストッパおよびブラケット(水平分担構造体の構成部材)を吊り上げて、ストッパを上部構造物に取り付けるとともに、ブラケットを下部構造物に取り付けている。このような従来の水平力分担構造体の設置方法では、作業の安全性を確保するための対策に手間がかかり、作業期間も長くなるという問題がある。
【0005】
本発明は、前記した問題を解決し、作業の安全性を高めるとともに、作業期間を短くすることができる水平力分担構造体設置用架台、水平力分担構造体設置装置および水平力分担構造体設置方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、第一の発明は、下部構造物に対する上部構造物の横方向の変位を制限するための水平力分担構造体を、前記上部構造物および前記下部構造物に取り付けるための水平力分担構造体設置用架台であって、ベースマシンの昇降部に支持される基部と、前記基部に対して横方向にスライド可能に連結された上部板と、を有している。前記上部板の上面に前記水平力分担構造体の構成部材を載置可能である。
本発明の水平力分担構造体設置用架台では、上部構造物および下部構造物に水平力分担構造体を設置するときに、上部構造物の下面から水平力分担構造体の構成部材(例えば、ストッパやブラケット)を吊り下げる必要がないため、作業の安全性を高めることができ、さらに、吊り具の設置作業を省略できるため、作業期間を短くすることができる。
前記した水平力分担構造体設置用架台において、前記上部板を前記基部の上面にローラを介して連結した場合には、水平力分担構造体の構成部材をスムーズに横方向にスライドさせることができる。
【0007】
前記した水平力分担構造体設置用架台において、前記基部には、前記昇降部に支持される下部板と、前記下部板の上面に配置される中部板と、を設け、前記中部板を上下方向の回転軸を中心に回動可能に構成し、前記上部板を前記中部板に対して横方向にスライド可能に連結してもよい。
前記した水平力分担構造体設置用架台において、前記上部板を前記基部に対して傾動可能に連結してもよい。
これらの構成では、水平力分担構造体の構成部材の向きや位置を精度良く調整できるため、作業効率を高めることができる。
前記した水平力分担構造体設置用架台において、前記上部板の上面に支柱を取り付け可能である場合には、支柱に水平力分担構造体の構成部材を連結することで、水平力分担構造体の構成部材を安定して移動できる。
前記した水平力分担構造体設置用架台において、前記上部板の上面に昇降装置を設け、前記昇降装置の上面に前記水平力分担構造体の構成部材を載置可能であるように構成してもよい。
この構成では、上部構造物の下方に水平力分担構造体の構成部材を配置した後に、昇降装置によって水平力分担構造体の構成部材を上昇させることで、水平力分担構造体の構成部材を上部構造物の下面に取り付けることができる。したがって、ベースマシンの昇降部を上部構造物の下面に近づけることができない場合でも、水平力分担構造体の構成部材を上部構造物の下面に取り付けることができる。
【0008】
前記課題を解決するため、第二の発明は、水平力分担構造体設置装置であって、前記水平力分担構造体設置用架台と、前記ベースマシンと、を有している。前記ベースマシンは、本体装置と、前記本体装置に対して横方向および上下方向に回動可能に連結された伸縮可能なブームと、前記ブームの先端部に連結された前記昇降部と、を備えている。
本発明の水平力分担構造体設置装置では、上部構造物および下部構造物に水平力分担構造体を設置するときに、上部構造物から水平力分担構造体の構成部材を吊り下げる必要がないため、作業の安全性を高めるとともに、作業期間を短くすることができる。また、ベースマシンのブームを操作することで、水平力分担構造体の構成部材を設置位置に精度良く近づけることができる。
前記した水平力分担構造体設置装置において、前記昇降部には、横方向に突出した爪部を形成し、前記水平力分担構造体設置用架台には、前記爪部が挿入される連結孔を形成した場合には、ベースマシンの昇降部に対して水平力分担構造体設置用架台を容易に連結できる。
【0009】
前記課題を解決するため、第三の発明は、下部構造物に対する上部構造物の横方向の変位を制限するための水平力分担構造体を、前記上部構造物および前記下部構造物に取り付けるための水平力分担構造体設置方法である。まず、前記水平力分担構造体設置用架台の前記上部板に前記水平力分担構造体のストッパを載置し、前記ベースマシンの前記昇降部によって前記ストッパを上昇させて、前記ストッパを前記上部構造物の下面に取り付ける。続いて、前記上部板の上面に前記水平力分担構造体のブラケットを載置し、前記昇降部によって前記ブラケットを上昇させるとともに、前記基部に対して前記上部板をスライドさせて、前記ブラケットを前記下部構造物の側面に取り付ける。その後、前記ストッパと前記ブラケットとを連結する。
本発明のストッパ設置方法では、上部構造物および下部構造物に水平力分担構造体を設置するときに、上部構造物からストッパおよびブラケットを吊り下げる必要がないため、作業の安全性を高めることができ、さらに、吊り具の設置作業を省略できるため、作業期間を短くすることができる。
【0010】
前記した水平力分担構造体設置方法において、前記上部構造物の下面に、前記ストッパに連結されるアンカーボルトが突出している場合には、下端部に縮径部が形成された筒状のガイドキャップを、前記アンカーボルトの先端部に被せた状態で、前記昇降部によって前記ストッパを上昇させて、前記ストッパの取付孔に前記アンカーボルトを挿入することが好ましい。このようにすると、アンカーボルトに対してストッパをスムーズに連結できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の水平力分担構造体設置用架台、水平力分担構造体設置装置および水平力分担構造体設置方法では、上部構造物に吊り具を設置する必要がないため、作業の安全性を高めるとともに、作業期間を短くして、施工コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る水平力分担構造体設置装置を示した側面図である。
図2】本発明の実施形態に係る水平力分担構造体を示した側面図である。
図3】本発明の実施形態に係る水平力分担構造体を示した正面図である。
図4】本発明の実施形態に係る水平力分担構造体設置用架台を示した側面図である。
図5】本発明の実施形態に係る水平力分担構造体設置用架台を示した後面図である。
図6】本発明の実施形態に係る水平力分担構造体設置方法において、ストッパを上部構造物に取り付ける状態を示した側面図である。
図7】本発明の実施形態に係る水平力分担構造体設置方法において、ブラケットを下部構造体に取り付ける状態を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る水平力分担構造体設置装置を示した側面図である。図2は、本発明の実施形態に係る水平力分担構造体を示した側面図である。図3は、本発明の実施形態に係る水平力分担構造体を示した正面図である。
本実施形態では、図1に示すように、上部構造物1および下部構造物2に水平力分担構造体100の構成部材(ストッパ110およびブラケット150)を取り付けるための水平力分担構造体設置用架台50、水平力分担構造体設置装置10および水平力分担構造体設置方法について説明する。
本実施形態の上部構造物1は橋梁であり、下部構造物2は橋脚である。図2および図3に示すように、下部構造物2に支承3を介して上部構造物1が支持されている。水平力分担構造体100は、下部構造物2に対する上部構造物1の横方向の変位を制限する金属製の部材である。地震発生時に上部構造物1に生じる水平力を、支承3と水平力分担構造体100とが分担して受けることで、支承3の負荷を低減できる。
【0014】
水平力分担構造体100は、上部構造物1の下面1aに取り付けられるストッパ110と、下部構造物2の側面2aに取り付けられるブラケット150と、を構成部材としている。ストッパ110の下面とブラケット150の上面は連結されている。
ストッパ110は、上部120と下部130とが軸部140を介して連結されており、下部130に対して上部120が所定の範囲で横方向に移動可能である。
ストッパ110では、上部120を上部構造物1の下面1aに取り付け、下部130をブラケット150の上面に連結することで、下部構造物2に対する上部構造物1の横方向の変位を制限している。
【0015】
上部構造物1の下面1aには、複数のアンカーボルト1bが設けられている。上部構造物1から突出した複数のアンカーボルト1bは、上部120に形成された複数の取付孔にそれぞれ挿通されており、アンカーボルト1bの先端部にナットが螺合されている。また、上部120の上面と上部構造物1の下面1aとの隙間には、グラウト等の充填材4が充填されている。このようにして、ストッパ110の上部120が、上部構造物1の下面1aに固定されている。
また、下部130に形成された複数の取付孔には、複数のボルト160がそれぞれ挿通されている。
【0016】
ブラケット150は、箱状の部材であり、図3に示すように、内部には複数の縦リブ151が横方向に間隔を空けて配置されている。
ブラケット150の頂板152に形成された複数の取付孔には、ストッパ110の下部130から突出した複数のボルト160がそれぞれ挿通されている。ボルト160の先端部にはナットが螺合されている。このようにして、ストッパ110の下部130の下面に、ブラケット150の頂板152が固定されている。
【0017】
ブラケット150において下部構造物2側の側板155は、頂板152に対して垂直に配置されている。下部構造物2の側面2aには、複数のアンカーボルト2bが設けられている。側板155に形成された複数の取付孔には、下部構造物2の側面2aから突出した複数のアンカーボルト2bがそれぞれ挿通されている。アンカーボルト2bの先端部にはナットが螺合されている。このようにして、ブラケット150の側板155が、下部構造物2の側面2aに固定されている。
【0018】
本実施形態の水平力分担構造体設置装置10は、図1に示すように、水平力分担構造体設置用架台50と、ベースマシン20と、を備えている。
ベースマシン20は、自走式であり、走行可能な車両である本体装置21と、本体装置21に対して横方向および上下方向に回動可能に連結されたブーム22と、を備えている。ブーム22は、軸方向に伸縮可能である。ブーム22の先端部には、昇降部23が連結されている。
図6は、本発明の実施形態に係る水平力分担構造体設置方法において、ストッパを上部構造物に取り付ける状態を示した側面図である。
昇降部23は、図6に示すように、荷役用の左右二本の爪部24(フォーク)を有するアタッチメント部材であり、ブーム22の傾動と伸縮に伴って昇降する。爪部24は、横方向(前方)に突出している。ベースマシン20は、ブーム22を移動させたときに、爪部24が水平を保つように昇降部23を制御している。
【0019】
水平力分担構造体設置用架台50は、図1に示すように、ベースマシン20の昇降部23に支持される基部60と、基部60に対して横方向(前後方向)にスライド可能に連結された上部板70と、を有している。
図4は、本発明の実施形態に係る水平力分担構造体設置用架台を示した側面図である。図5は、本発明の実施形態に係る水平力分担構造体設置用架台を示した後面図である。
基部60は、図4に示すように、昇降部23に支持される下部板61と、下部板61の上面に連結された中部板62と、を備えている。
下部板61は、図5に示すように、左右の側部に二つの連結孔63,63が形成されている。連結孔63は、図4に示すように、下部板61の後端面から前端面に亘って前後方向に延びている。連結孔63には、図6に示すように、昇降部23の爪部24が後端部から差し込まれる。このようにして、水平力分担構造体設置用架台50の基部60が、ベースマシン20の昇降部23に支持される。
中部板62は、図4および図5に示すように、下部板61の上面に間隔を空けて配置されている。中部板62と下部板61との間には、回転機構64が設けられている。中部板62は、下部板61の上面に対して上下方向の回転軸L1を中心に回動可能である。
【0020】
上部板70は、図4に示すように、中部板62と平行な状態で、中部板62の上面に間隔を空けて配置されている。上部板70は、中部板62の上面に複数のローラ71を介して連結されており、中部板62に対して横方向(前後方向)にスライド可能である。図5に示すように、上部板70の左右の縁部と中部板62の左右の縁部とは、前後方向に延びている左右のレール部72,72(図4参照)によってスライド可能に連結されている。
【0021】
なお、中部板62および上部板70は、油圧機構または電動機構によって駆動させることができる。本実施形態では、水平力分担構造体設置用架台50に設けた油圧機構がベースマシン20の油圧機構に連結されており、遠隔操作によって上部板70を回動またはスライドさせるように構成されている。
【0022】
上部板70の上面には、図1に示すように、水平力分担構造体100のストッパ110またはブラケット150を載置可能である(図6および図7参照)。
また、上部板70の上面の後部には、図4および図5に示すように、左右二本の支柱73,73を取り付け可能である。支柱73は、上部板70の上面に対して垂直に配置されている。
支柱73は、図7に示すように、上部板70の上面にブラケット150を載置したときに、ブラケット150を支持するものである。ここで、図7は、本発明の実施形態に係る水平力分担構造体設置方法において、ブラケットを下部構造体に取り付ける状態を示した側面図である。
支柱73の下端部は、ボルトによって上部板70の上面に取り付けられる。上部板70の上面には、複数の取付孔が形成されており、ブラケット150の形状や大きさに応じて支柱73の位置を調整できる。
上部板の上面には、図6に示すように、昇降装置80を設けることができる。昇降装置80は、電動式または油圧式のリフトである。ストッパ110を昇降装置80の上面に載置した状態で、昇降装置80を上昇させると、ストッパ110を上昇させることができる。
【0023】
水平力分担構造体設置用架台50では、下部板61の上面と、中部板62の下面との間に、複数のねじ部材65が介設されている。このねじ部材65を回転させることで、下部板61と中部板62との間隔を調整可能である。
そして、下部板61と中部板62との間隔を調整することで、中部板62を下部板61に対して傾動可能である。中部板62を下部板61に対して傾動させると、中部板62に連動して上部板70も下部板61に対して傾動する。このように、上部板70は、基部60に対して傾動可能に連結されている。
【0024】
次に、本実施形態の水平力分担構造体設置方法について説明する。
まず、図6に示すベースマシン20の昇降部23を下げて、水平力分担構造体設置用架台50を地上に降ろした状態で、上部板70の上面に昇降装置80を設置し、昇降装置80の上面にストッパ110を載置する。
続いて、ベースマシン20のブーム22を操作して、昇降部23および水平力分担構造体設置用架台50を上昇させて、ストッパ110を上部構造物1の下面の取付位置の近くまで上昇させる。
ストッパ110を上部構造物1の下面の取付位置の直下に配置したら、昇降装置80によってストッパ110を上部板70に対して上昇させる。そして、上部構造物1の下面1aから突出している各アンカーボルト1bを、ストッパ110の上部120の各取付孔にそれぞれ挿通させる。
このとき、基部60に対して上部板70を前方にスライドさせたり、回転軸L1を回転中心として上部板70を回動させたりして、ストッパ110の位置を調整する。さらに、下部板61と中部板62との間の各ねじ部材65を回転させて、上部板70を基部60に対して傾動させることで、上部板70の傾きを調整する。このように、ストッパ110の位置や傾きを微調整しながら、アンカーボルト1bをストッパ110の上部120の取付孔に差し込む。
【0025】
図7に示すように、ストッパ110の上部120の上面が、上部構造物1の下面1aに押し当てられるまで、ストッパ110を上昇させる。この状態で、アンカーボルト1bの先端部にナットを螺合して、上部構造物1の下面1aに、ストッパ110を密着させて仮止めする。
【0026】
なお、作業者は高所作業車を用いて高い位置からストッパ110と上部構造物1との位置関係をチェックしながら、水平力分担構造体設置用架台50の各部を遠隔操作して、ストッパ110を上部構造物1の下面1aに取り付ける。
【0027】
また、本実施形態では、図6に示すように、上部構造物1の下面1aから突出したアンカーボルト1bの先端部(下端部)に、樹脂製の筒状のガイドキャップ1cが被せられている。ガイドキャップ1cの下端部には縮径部1dが形成されている。このようにすると、ストッパ110の取付孔にアンカーボルト1bの先端部をスムーズに挿入することができ、アンカーボルト1bおよびストッパ110の損傷を防ぐことができる。
【0028】
ストッパ110を上部構造物1の下面1aに取り付けた後に、昇降部23を下げて、水平力分担構造体設置用架台50を地上に降ろす。
水平力分担構造体設置用架台50を地上に置いた状態で、図7に示すように、上部板70の上面に二本の支柱73,73(図5参照)を取り付けるとともに、上部板70の上面にブラケット150を載置し、ブラケット150を支柱73に連結する。
続いて、昇降部23を上昇させて、ブラケット150を下部構造物2の側面2aの取付位置の近くまで上昇させる。
ストッパ110の直下を通過させて、ブラケット150を下部構造物2の側面2aの取付位置に近づけたら、基部60に対して上部板70を前方に向けてスライドさせて、下部構造物2の側面2aから突出している各アンカーボルト2bを、ブラケット150の各取付孔にそれぞれ挿通させる。
このとき上部板70を回動させたり、上部板70を基部60に対して傾動させたりして、ブラケット150の位置や傾きを微調整しながら、アンカーボルト2bをブラケット150の取付孔に差し込む。
そして、図2に示すように、ブラケット150の側面を下部構造物2の側面2aに重ねた状態で、アンカーボルト2bの先端部にナットを螺合して、下部構造物2の側面2aにブラケット150を固定する。
【0029】
下部構造物2の側面2aにブラケット150を固定した後に、ストッパ110と上部構造物1とを連結している各アンカーボルト1bの各ナットを緩めて、ストッパ110を下げる。そして、ストッパ110の下面をブラケット150の上面に重ねる。
その後、ストッパ110の下部130の各取付孔およびブラケット150の頂板152の各取付孔にボルト160をそれぞれ挿通し、ボルト160の先端部にナットを螺合させて、ストッパ110とブラケット150とを連結する。
さらに、ストッパ110の上部120の上面と上部構造物1の下面1aとの隙間に充填材4を充填して、ストッパ110を上部構造物1の下面1aに固定する。
【0030】
以上のような水平力分担構造体設置用架台50、水平力分担構造体設置装置10および水平力分担構造体設置方法では、図6および図7に示すように、上部構造物1および下部構造物2に水平力分担構造体100の構成部材を設置するときに、上部構造物1からストッパ110およびブラケット150を吊り下げる必要がない。つまり、チェーンブロック等の吊り具を上部構造物1の下面1aに設置する作業を省略できるため、作業の安全性を高めるとともに、作業期間を短くすることができる。
本実施形態の水平力分担構造体設置用架台50では、上部板70を基部60の上面にローラ71を介して連結しているため、水平力分担構造体100の構成部材をスムーズに横方向にスライドさせることができる。
本実施形態の水平力分担構造体設置用架台50では、上部板70が基部60に対して上下方向の回転軸L1を中心に回動であるとともに、上部板70が基部60に対して傾動可能であり、ストッパ110やブラケット150の位置を精度良く調整できるため、作業効率を高めることができる。
本実施形態の水平力分担構造体設置用架台50では、図6に示すように、上部板70の上面に設けた昇降装置80によってストッパ110を上昇させることができる。したがって、ベースマシン20の昇降部23を上部構造物1の下面1aに近づけることができない場合でも、ストッパ110を上部構造物1の下面1aに取り付けることができる。
本実施形態の水平力分担構造体設置用架台50では、図7に示すように、上部板70の上面に支柱73を取り付け、この支柱73にブラケット150を連結することで、ブラケット150を安定して移動させることができる。
本実施形態の水平力分担構造体設置装置10では、図6に示すように、昇降部23の爪部24を水平力分担構造体設置用架台50の連結孔63に差し込むことで、ベースマシン20の昇降部23に対して水平力分担構造体設置用架台50を容易に連結できる。
【0031】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
本実施形態の水平力分担構造体設置装置10では、図1に示すように、ベースマシン20がブーム22を有する自走式クレーンであるが、ベースマシンの構成は限定されるものではない。例えば、車両前部で爪部が昇降するフォークリフトをベースマシンに用いてもよい。
また、ベースマシン20の昇降部23と水平力分担構造体設置用架台50とを連結させる構成も限定されるものではなく、昇降部23と水平力分担構造体設置用架台50とをボルト等の固定手段によって連結してもよい。
本実施形態の水平力分担構造体設置装置10では、図6に示すように、水平力分担構造体設置用架台50の上部板70の上面に、別体の昇降装置80を設置しているが、上部板70が基部60に対して昇降するように構成してもよい。
本実施形態の水平力分担構造体設置用架台50では、図2に示すように、下部板61と中部板62との間の各ねじ部材65を回転させることで、上部板70を基部60に対して傾動させているが、上部板70を基部60に対して傾動させる構成は限定されるものではない。例えば、油圧機構や電動機構を用いて上部板70を傾動させてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1 上部構造物
1b アンカーボルト
1c ガイドキャップ
2 下部構造物
2b アンカーボルト
3 支承
4 充填材
10 水平力分担構造体設置装置
20 ベースマシン
21 本体装置
22 ブーム
23 昇降部
24 爪部
50 水平力分担構造体設置用架台
60 基部
61 下部板
62 中部板
63 連結孔
64 回転機構
65 ねじ部材
70 上部板
71 ローラ
72 レール部
73 支柱
80 昇降装置
100 水平力分担構造体
110 ストッパ
120 上部
130 下部
140 軸部
150 ブラケット
151 縦リブ
152 頂板
155 側板
160 ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2022-11-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部構造物に対する上部構造物の横方向の変位を制限するための水平力分担構造体を、前記上部構造物および前記下部構造物に取り付けるための水平力分担構造体設置用架台であって、
ベースマシンの昇降部に支持される基部と、
前記基部に対して横方向にスライド可能に連結された上部板と、を有し、
前記上部板の上面に前記水平力分担構造体の構成部材を載置可能であり、
前記基部には、前記昇降部から横方向に突出した爪部が挿入される連結孔が横方向に延びて形成されていることを特徴とする水平力分担構造体設置用架台。
【請求項2】
前記上部板は、前記基部の上面にローラを介して連結されていることを特徴とする請求項1に記載の水平力分担構造体設置用架台。
【請求項3】
前記基部は、
前記昇降部に支持される下部板と、
前記下部板の上面に配置される中部板と、を備え、
前記中部板は、上下方向の回転軸を中心に回動可能であり、
前記上部板は、前記中部板に対して横方向にスライド可能に連結されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水平力分担構造体設置用架台。
【請求項4】
前記上部板は、前記基部に対して傾動可能に連結されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の水平力分担構造体設置用架台。
【請求項5】
前記上部板の上面には、支柱を取り付け可能であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の水平力分担構造体設置用架台。
【請求項6】
前記上部板の上面に昇降装置が設けられており、
前記昇降装置の上面に前記水平力分担構造体の構成部材を載置可能であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の水平力分担構造体設置用架台。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の水平力分担構造体設置用架台と、
前記ベースマシンと、を有し、
前記ベースマシンは、
本体装置と、
前記本体装置に対して横方向および上下方向に回動可能に連結された伸縮可能なブームと、
前記ブームの先端部に連結された前記昇降部と、を備えていることを特徴とする水平力分担構造体設置装置。
【請求項8】
下部構造物に対する上部構造物の横方向の変位を制限するための水平力分担構造体を、前記上部構造物および前記下部構造物に取り付けるための水平力分担構造体設置方法であって、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載された水平力分担構造体設置用架台の前記上部板に前記水平力分担構造体のストッパを載置し、前記ベースマシンの前記昇降部によって前記ストッパを上昇させて、前記ストッパを前記上部構造物の下面に取り付ける工程と、
前記上部板の上面に前記水平力分担構造体のブラケットを載置し、前記昇降部によって前記ブラケットを上昇させるとともに、前記基部に対して前記上部板をスライドさせて、前記ブラケットを前記下部構造物の側面に取り付ける工程と、
前記ストッパと前記ブラケットとを連結する工程と、を備えていることを特徴とする水平力分担構造体設置方法。
【請求項9】
前記上部構造物の下面には、前記ストッパに連結されるアンカーボルトが突出しており、
下端部に縮径部が形成された筒状のガイドキャップを、前記アンカーボルトの先端部に被せた状態で、前記昇降部によって前記ストッパを上昇させて、前記ストッパの取付孔に前記アンカーボルトを挿入することを特徴とする請求項8に記載の水平力分担構造体設置方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
前記課題を解決するため、第一の発明は、下部構造物に対する上部構造物の横方向の変位を制限するための水平力分担構造体を、前記上部構造物および前記下部構造物に取り付けるための水平力分担構造体設置用架台であって、ベースマシンの昇降部に支持される基部と、前記基部に対して横方向にスライド可能に連結された上部板と、を有している。前記上部板の上面に前記水平力分担構造体の構成部材を載置可能であり、前記基部には、前記昇降部から横方向に突出した爪部が挿入される連結孔が横方向に延びて形成されている。
本発明の水平力分担構造体設置用架台では、上部構造物および下部構造物に水平力分担構造体を設置するときに、上部構造物の下面から水平力分担構造体の構成部材(例えば、ストッパやブラケット)を吊り下げる必要がないため、作業の安全性を高めることができ、さらに、吊り具の設置作業を省略できるため、作業期間を短くすることができる。
前記した水平力分担構造体設置用架台において、前記上部板を前記基部の上面にローラを介して連結した場合には、水平力分担構造体の構成部材をスムーズに横方向にスライドさせることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
前記課題を解決するため、第二の発明は、水平力分担構造体設置装置であって、前記水平力分担構造体設置用架台と、前記ベースマシンと、を有している。前記ベースマシンは、本体装置と、前記本体装置に対して横方向および上下方向に回動可能に連結された伸縮可能なブームと、前記ブームの先端部に連結された前記昇降部と、を備えている。
本発明の水平力分担構造体設置装置では、上部構造物および下部構造物に水平力分担構造体を設置するときに、上部構造物から水平力分担構造体の構成部材を吊り下げる必要がないため、作業の安全性を高めるとともに、作業期間を短くすることができる。また、ベースマシンのブームを操作することで、水平力分担構造体の構成部材を設置位置に精度良く近づけることができる。
前記した水平力分担構造体設置装置において、前記昇降部には、横方向に突出した爪部を形成し、前記水平力分担構造体設置用架台には、前記爪部が挿入される連結孔を形成しているため、ベースマシンの昇降部に対して水平力分担構造体設置用架台を容易に連結できる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
本実施形態の水平力分担構造体設置装置10では、図1に示すように、ベースマシン20がブーム22を有する自走式クレーンであるが、ベースマシンの構成は限定されるものではない。例えば、車両前部で爪部が昇降するフォークリフトをベースマシンに用いてもよい。
また、本発明の参考例としては、ベースマシン20の昇降部23と水平力分担構造体設置用架台50とを連結させる構成限定されるものではなく、昇降部23と水平力分担構造体設置用架台50とをボルト等の固定手段によって連結してもよい。
本実施形態の水平力分担構造体設置装置10では、図6に示すように、水平力分担構造体設置用架台50の上部板70の上面に、別体の昇降装置80を設置しているが、上部板70が基部60に対して昇降するように構成してもよい。
本実施形態の水平力分担構造体設置用架台50では、図2に示すように、下部板61と中部板62との間の各ねじ部材65を回転させることで、上部板70を基部60に対して傾動させているが、上部板70を基部60に対して傾動させる構成は限定されるものではない。例えば、油圧機構や電動機構を用いて上部板70を傾動させてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2023-03-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部構造物に対する上部構造物の横方向の変位を制限するための水平力分担構造体を、前記上部構造物の下面および前記下部構造物の側面に取り付けるための水平力分担構造体設置用架台であって、
ベースマシンの昇降部から前方向に突出した爪部に支持される基部と、
前記基部に対して前後方向にスライド可能に連結された上部板と、を有し、
前記上部板の前端部が前記基部の前端部よりも前方に配置されるように、前記上部板が前記基部に対して前方に向けてスライド可能であるとともに、
前記上部板の上面に前記水平力分担構造体の構成部材を載置可能であり、
前記基部には、前記爪部が挿入される連結孔が前後方向に延びて形成されていることを特徴とする水平力分担構造体設置用架台。
【請求項2】
前記上部板は、前記基部の上面にローラを介して連結されていることを特徴とする請求項1に記載の水平力分担構造体設置用架台。
【請求項3】
前記基部は、
前記昇降部に支持される下部板と、
前記下部板の上面に配置される中部板と、を備え、
前記中部板は、上下方向の回転軸を中心に回動可能であり、
前記上部板は、前記中部板に対して前後方向にスライド可能に連結されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水平力分担構造体設置用架台。
【請求項4】
前記上部板は、前記基部に対して傾動可能に連結されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の水平力分担構造体設置用架台。
【請求項5】
前記上部板の上面には、支柱を取り付け可能であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の水平力分担構造体設置用架台。
【請求項6】
前記上部板の上面に昇降装置が設けられており、
前記昇降装置の上面に前記水平力分担構造体の構成部材を載置可能であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の水平力分担構造体設置用架台。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の水平力分担構造体設置用架台と、
前記ベースマシンと、を有し、
前記ベースマシンは、
本体装置と、
前記本体装置に対して横方向および上下方向に回動可能に連結された伸縮可能なブームと、
前記ブームの先端部に連結された前記昇降部と、を備えていることを特徴とする水平力分担構造体設置装置。
【請求項8】
下部構造物に対する上部構造物の横方向の変位を制限するための水平力分担構造体を、前記上部構造物および前記下部構造物に取り付けるための水平力分担構造体設置方法であって、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載された水平力分担構造体設置用架台の前記上部板に前記水平力分担構造体のストッパを載置し、前記ベースマシンの前記昇降部によって前記ストッパを上昇させて、前記ストッパを前記上部構造物の下面に取り付ける工程と、
前記上部板の上面に前記水平力分担構造体のブラケットを載置し、前記昇降部によって前記ブラケットを上昇させるとともに、前記基部に対して前記上部板を前方向にスライドさせて、前記ブラケットを前記下部構造物の側面に取り付ける工程と、
前記ストッパと前記ブラケットとを連結する工程と、を備えていることを特徴とする水平力分担構造体設置方法。
【請求項9】
前記上部構造物の下面には、前記ストッパに連結されるアンカーボルトが突出しており、
下端部に縮径部が形成された筒状のガイドキャップを、前記アンカーボルトの先端部に被せた状態で、前記昇降部によって前記ストッパを上昇させて、前記ストッパの取付孔に前記アンカーボルトを挿入することを特徴とする請求項8に記載の水平力分担構造体設置方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
前記課題を解決するため、第一の発明は、下部構造物に対する上部構造物の横方向の変位を制限するための水平力分担構造体を、前記上部構造物の下面および前記下部構造物の側面に取り付けるための水平力分担構造体設置用架台であって、ベースマシンの昇降部から前方向に突出した爪部に支持される基部と、前記基部に対して前後方向にスライド可能に連結された上部板と、を有している。前記上部板の前端部が前記基部の前端部よりも前方に配置されるように、前記上部板が前記基部に対して前方に向けてスライド可能であるとともに、前記上部板の上面に前記水平力分担構造体の構成部材を載置可能であり、前記基部には、前記爪部が挿入される連結孔が前後方向に延びて形成されている。
本発明の水平力分担構造体設置用架台では、上部構造物および下部構造物に水平力分担構造体を設置するときに、上部構造物の下面から水平力分担構造体の構成部材(例えば、ストッパやブラケット)を吊り下げる必要がないため、作業の安全性を高めることができ、さらに、吊り具の設置作業を省略できるため、作業期間を短くすることができる。
前記した水平力分担構造体設置用架台において、前記上部板を前記基部の上面にローラを介して連結した場合には、水平力分担構造体の構成部材をスムーズに横方向にスライドさせることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
前記した水平力分担構造体設置用架台において、前記基部には、前記昇降部に支持される下部板と、前記下部板の上面に配置される中部板と、を設け、前記中部板を上下方向の回転軸を中心に回動可能に構成し、前記上部板を前記中部板に対して前後方向にスライド可能に連結してもよい。
前記した水平力分担構造体設置用架台において、前記上部板を前記基部に対して傾動可能に連結してもよい。
これらの構成では、水平力分担構造体の構成部材の向きや位置を精度良く調整できるため、作業効率を高めることができる。
前記した水平力分担構造体設置用架台において、前記上部板の上面に支柱を取り付け可能である場合には、支柱に水平力分担構造体の構成部材を連結することで、水平力分担構造体の構成部材を安定して移動できる。
前記した水平力分担構造体設置用架台において、前記上部板の上面に昇降装置を設け、前記昇降装置の上面に前記水平力分担構造体の構成部材を載置可能であるように構成してもよい。
この構成では、上部構造物の下方に水平力分担構造体の構成部材を配置した後に、昇降装置によって水平力分担構造体の構成部材を上昇させることで、水平力分担構造体の構成部材を上部構造物の下面に取り付けることができる。したがって、ベースマシンの昇降部を上部構造物の下面に近づけることができない場合でも、水平力分担構造体の構成部材を上部構造物の下面に取り付けることができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
前記課題を解決するため、第三の発明は、下部構造物に対する上部構造物の横方向の変位を制限するための水平力分担構造体を、前記上部構造物および前記下部構造物に取り付けるための水平力分担構造体設置方法である。まず、前記水平力分担構造体設置用架台の前記上部板に前記水平力分担構造体のストッパを載置し、前記ベースマシンの前記昇降部によって前記ストッパを上昇させて、前記ストッパを前記上部構造物の下面に取り付ける。続いて、前記上部板の上面に前記水平力分担構造体のブラケットを載置し、前記昇降部によって前記ブラケットを上昇させるとともに、前記基部に対して前記上部板を前方向にスライドさせて、前記ブラケットを前記下部構造物の側面に取り付ける。その後、前記ストッパと前記ブラケットとを連結する。
本発明のストッパ設置方法では、上部構造物および下部構造物に水平力分担構造体を設置するときに、上部構造物からストッパおよびブラケットを吊り下げる必要がないため、作業の安全性を高めることができ、さらに、吊り具の設置作業を省略できるため、作業期間を短くすることができる。