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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119794
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】散水車の放水装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 17/00 20060101AFI20230822BHJP
   B05B 15/70 20180101ALI20230822BHJP
   B60P 3/30 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
B05B17/00 101
B05B15/70
B60P3/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022858
(22)【出願日】2022-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000192073
【氏名又は名称】株式会社モリタホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(72)【発明者】
【氏名】山田 大二
【テーマコード(参考)】
4D073
4D074
【Fターム(参考)】
4D073AA05
4D073BB03
4D073CA01
4D073CA04
4D073CA20
4D073CB03
4D073CB10
4D073CB12
4D073CB14
4D073CB20
4D073CB23
4D074AA09
4D074BB03
4D074CC04
4D074CC11
4D074CC24
4D074CC32
4D074CC34
4D074CC37
4D074CC55
4D074FF04
(57)【要約】
【課題】放水銃の可動範囲が広く、放水対象物に対して適切な位置から適切な向きで放水することができる散水車の放水装置を提供する。
【解決手段】放水装置Bは、キャビンAの前方下部に設けられた基台1に搭載されている。放水装置Bは、基台1上に旋回テーブル2を介して旋回移動可能に搭載された支柱部3と、支柱部3に起伏移動可能に取り付けられたブーム4と、ブーム4の先端部に取り付けられた放水銃5と、放水銃5に接続された水配管6とを備えている。放水銃5は、ブーム4の先端部に取り付けられ、ブーム4の先端部から下方側に延在する銃本体部5aと、銃本体部5aの下端部に上下方向に回動可能に接続された放水ノズル部5bとを備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に設けられた基台に旋回移動可能に搭載された支柱部と、前記支柱部に起伏移動可能に取り付けられたブームと、前記ブームに取り付けられた放水銃と、前記放水銃に接続された水配管とを備え、
前記放水銃は、前記ブームの先端部に取り付けられ、前記ブームの先端部から下方側に延在する銃本体部と、前記銃本体部の下端部に上下方向に回動可能に接続された放水ノズル部とを備えていることを特徴とする散水車の放水装置。
【請求項2】
前記銃本体部は、前記ブームの先端部に取付けられ、上下方向に向いた回動中心軸を有する第1回動駆動部と、前記第1回動駆動部に接続され、前記第1回動駆動部の回動中心軸回りに回動駆動される筒部と、前記筒部の下端部に接続され、前記第1回動駆動部の回動中心軸と直交する回動中心軸を有する第2回動駆動部とを備え、前記放水ノズル部は、その基端部が前記第2回動駆動部に接続され、前記第2回動駆動部の回動中心軸を回動支点として上下方向に回動駆動される請求項1に記載の散水車の放水装置。
【請求項3】
前記ブームの起伏移動に対して、前記放水銃の姿勢を維持する平行リンク機構を有する請求項1又は2に記載の散水車の放水装置。
【請求項4】
前記平行リンク機構は、前記ブームと前記水配管をリンク節として構成される請求項3に記載の散水車の放水装置。
【請求項5】
前記水配管は、前記ブームの長手方向に沿って配置される長手方向管と、前記長手方向管に接続される第1接続管および第2接続管とを有し、
前記第1接続管の一端部は、前記長手方向管の一端部に、前記ブームの起伏移動の方向に回動可能に接続され、前記第1接続管の他端部は、前記銃本体部に接続されると共に、前記ブームの先端部に設けられた枢軸に、前記ブームの起伏移動の方向に回動可能に軸支され、
前記第2接続管の一端部は、前記長手方向管の他端部に、前記ブームの起伏移動の方向に回動可能に接続され、前記第2接続管の他端部は、前記車体に搭載された水供給源に到る前記水配管の端部に、前記ブームの旋回移動の方向に回動可能に接続され、
前記ブームの起伏移動の支点と、第2接続管の一端部と前記長手方向管の他端部との回動接続部と、前記第1接続管の一端部と前記長手方向管の一端部との回動接続部と、前記第1接続管の他端部と前記枢軸との回動軸支部が、それぞれ、前記平行リンク機構の対偶を構成する請求項4に記載の散水車の放水装置。
【請求項6】
前記基台がキャビンの前方に設けられている請求項1から5の何れかに記載の散水車の放水装置。
【請求項7】
前記支柱部は、前記基台の側の下側部分と、前記下側部分に傾動可能に連結された上側部分とで構成され、前記キャビンの車両前方側へのチルト移動に対し、前記上側部分の車両前方側への傾動により、前記キャビンと前記支柱部との干渉が回避される請求項6に記載の散水車の放水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、散水車に装備される放水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
散水車(「放水車」と呼ばれることもある。)は、例えば、道路、公園、工事現場、製鉄所構内、競馬場等の砂塵が発生しやすい場所に水を散布又は放水して、砂塵を抑制したり、製鉄所等の工場内の設備に水を散布又は放水して、設備の冷却や洗浄を行ったりするために用いられている。
【0003】
散水車の中には、キャビンの前方に放水装置を搭載したものがある(例えば、下記の特許文献1、2)。放水装置は、キャビン前方の基台に取り付けられたコントロールボックスと、コントロールボックスに旋回移動可能に設置された旋回ボックスと、旋回ボックスに起伏移動可能に取り付けられた放水銃とを備えており、旋回ボックスの旋回移動と放水銃の起伏移動により、放水銃の旋回方向の位置と上下方向の向きを調整して、放水方向を設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭53-32338号公報
【特許文献2】実開昭54-17216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
放水銃の旋回方向の位置と上下方向の向きを調整して、放水方向を設定する構成では、放水銃の可動範囲が狭く、放水対象物に適切な位置から適切な向きで放水できないことが多い。例えば、放水対象物に向けて高位位置から水平方向または斜め下方向に放水し、あるいは、放水対象物に向けて低位位置、特に基台よりも低位の位置から水平方向または斜め上方向に放水することができず、放水範囲に死角ができ易い。
【0006】
本発明の課題は、放水銃の可動範囲が広く、放水対象物に対して適切な位置から適切な向きで放水することができる散水車の放水装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、車体に設けられた基台に旋回移動可能に搭載された支柱部と、前記支柱部に起伏移動可能に取り付けられたブームと、前記ブームに取り付けられた放水銃と、前記放水銃に接続された水配管とを備え、前記放水銃は、前記ブームの先端部に取り付けられ、前記ブームの先端部から下方側に延在する銃本体部と、前記銃本体部の下端部に上下方向に回動可能に接続された放水ノズル部とを備えていることを特徴とする散水車の放水装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、放水銃の可動範囲が広く、放水対象物に対して適切な位置から適切な向きで放水することができる散水車の放水装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】散水車のキャビンと実施形態に係る放水装置を車両側方から見た図である。
図2】散水車のキャビンと実施形態に係る放水装置を車両前方から見た図である。
図3】散水車のキャビンと実施形態に係る放水装置を車両上方から見た図である。
図4】実施形態に係る放水装置を斜め前方から見た斜視図である。
図5】実施形態に係る放水装置を上方から見た図である。
図6】実施形態に係る放水装置を前方から見た斜視図である。
図7】車両前方に放水する際の放水装置の姿勢を示す図であり、図7(a)は、放水銃が上限の高さ位置にある状態、図7(b)は、ブームを伏移動させて、放水銃の高さ位置を下げた状態、図7(c)は、ブームを下限まで伏移動させて、放水銃の高さ位置を下限まで下げた状態を示している。
図8図7(c)に示す放水銃の低位位置において、放水ノズル部を上方向に回動させた状態を示す図である。
図9】キャビンを車両前方側にチルトさせた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。
【0011】
図1図3は、散水車のキャビンAと、この実施形態に係る放水装置Bを示している。キャビンAは模式的に示しており、また、散水車のキャビンAより後方側の部分は図示を省略している。周知のように、キャビンAの後方側には、外部エンジン式又はPTO式の水ポンプ、水貯留タンク、その他の設備や機器類が搭載される。この実施形態において、放水装置Bは、キャビンAの前方下部に設けられた基台1に搭載されている。基台1は、車体の前部に適宜の手段で取り付けられる。
【0012】
放水装置Bは、基台1上に旋回テーブル2を介して旋回移動可能に搭載された支柱部3と、支柱部3に起伏移動可能に取り付けられたブーム4と、ブーム4の先端部に取り付けられた放水銃5と、放水銃5に接続された水配管6とを備えている。旋回テーブル2は、適宜の駆動手段、例えば油圧モータで旋回駆動される。
【0013】
図4に示すように、支柱部3は、基台1上の旋回テーブル2に固定される下側部分3aと、下側部分3aの上部に枢軸3cで傾動可能に連結された上側部分3bとで構成される。上側部分3bは、常時はピンロック3dとネジロック3eで下側部分3bに傾動不能にロックされる。また、支柱部3の内部には、上側部分3aの傾動を駆動する駆動手段、例えばエアーシリンダ(図示省略)が設けられている。ピンロック3dとネジロック3eによるロックを解除した後、上記エアーシリンダを駆動させると、上側部分3bが枢軸3cを傾動支点としてブーム4の側に所定範囲だけ傾動する。また、上側部分3bの傾動に伴い、ブーム4も伏方向に移動する。
【0014】
ブーム4は、支柱部3の下側部分3aの基部に枢軸4aで起伏移動可能に連結され、適宜の駆動手段、例えば支柱部3の上側部分3bとブーム4にそれぞれ枢着された油圧シリンダ4bで起伏駆動される。
【0015】
放水銃5は、ブーム4の先端部に取り付けられ、ブーム4の先端部から下方側に延在する銃本体部5aと、銃本体部5aの下端部に上下方向に回動可能に接続された放水ノズル部5bとを備えている。この実施形態において、銃本体部5aは、ブーム4の先端部に取付けられる第1回動駆動部5a1と、第1回動駆動部5a1に回動可能に接続された筒部5a2と、筒部5a2の下端部に接続された第2回動駆動部5a3とで構成される。放水ノズル部5bは、その基端部を第2回動駆動部5a3に回動可能に接続される。第1回動駆動部5a1は、電動モータ5a11を備えており、電動モータ5a11の駆動により、第1回動駆動部5a1の内部機構が、上下方向に向いた回動中心軸X1回りに回動する。この第1回動駆動部5a1の回動により、筒部5a2が回動中心軸X1回りに回動する。また、第2回動駆動部5a3も、電動モータ5a31を備えており、電動モータ5a31の駆動により、第2回動駆動部5a3の内部機構が、回動中心軸X1と直交する(水平方向に向いた)回動中心軸X2回りに回動する。この第2回動駆動部5a3の回動により、放水ノズル部5bが回動中心軸X2回りに回動する。
【0016】
さらに、この実施形態の放水装置Bは、ブーム4の起伏移動に対して、放水銃5の姿勢を維持する平行リンク機構を備えている。この平行リンク機構は、ブーム4と水配管6をリンク節として構成される。
【0017】
図4図6に示すように、水配管6は、ブーム4の長手方向に沿って配置される長手方向管6aと、長手方向管6aに接続される第1接続管6bおよび第2接続管6cを有している。この実施形態において、長手方向管6aは、その両端部がそれぞれブーム4側にエルボ状に屈曲した形態に形成され、第1接続管6bと第2接続管6cは、それぞれエルボ型のスイベルジョイントで構成される。第1接続管6bの一端部は、長手方向管6aの一端部に、ブーム4の起伏移動の方向に回動可能に接続される(回動接続部6b1)。また、第1接続管6bの他端部は、銃本体部5aの第1回動駆動部5a1に接続されると共に、ブーム4の先端部に設けられた枢軸4cに、ブーム4の起伏移動の方向に回動可能に軸支される(回動軸支部6b2)。第2接続管6cの一端部は、長手方向管6aの他端部に、ブーム4の起伏移動の方向に回動可能に接続される(回動接続部6c1)。また、第2接続管6cの他端部は、キャビンAの後方側に搭載された水ポンプに到る固定側の水配管6dの端部に、エルボ型のスイベルジョイント6e(図1図2を参照)で、ブーム4の旋回移動の方向に回動可能に接続される。尚、図1及び図2において、符号6fを付している部材は、固定側の水配管6dに分岐接続された散水ノズルである。
【0018】
ブーム4を側方からみた投影視で、ブーム4の起伏移動の支点となる枢軸4aの中心と、第2接続管6cの一端部と長手方向管6aの他端部との回動接続部6c1の中心と、第1接続管6bの一端部と長手方向管6aの一端部との回動接続部6b1の中心と、第1接続管6bの他端部と銃本体部5aの第1回動駆動部5a1との回動軸支部6b2の中心(枢軸4cの中心)とを結ぶ線図は、平行四辺形をなす。すなわち、枢軸4a、回動接続部6c1、回動接続部6b1、回動軸支部6b2は、それぞれ、上記平行リンク機構の対偶(回り対偶)を構成し、前2者は固定側の対偶、後2者は可動側の対偶になる。
【0019】
支柱3・ブーム4の旋回移動およびブーム4の起伏移動と、放水銃5の銃本体部5aの回動および放水ノズル部5bの回動は、キャビンAの内部に設けられた操作盤等の操作手段を用いて、キャビンA内から遠隔操作することができる。車両の通常走行時は、図1図3に示すように、ブーム4を上限まで起移動させて、支柱3・ブーム4を車両側方に向けた状態にしておく。尚、支柱3・ブーム4の旋回移動およびブーム4の起伏移動に用いる油圧動力は、車両に装備された油圧ポンプから供給され、また、放水銃5の銃本体部5aおよび放水ノズル部5bの回動に用いる電力は、車両に装備されたバッテリー、その他の電力源から供給される。
【0020】
図7は、車両前方に放水する際の放水装置Bの姿勢を示している。図7(a)では、図1図3に示す通常走行時の状態から、支柱3およびブーム4を車両前方側に旋回移動させて、放水銃5を車両前方に向けると共に、放水ノズル部5bを下方側に回動させて水平姿勢(先端の放水口が水平方向に向いた姿勢)にしている。銃本体部5aは、図4に示す第1回動駆動部5a1の回動中心軸X1が上下方向(鉛直方向)に向いた上下姿勢である。図7(b)は、図7(a)に示す状態から、ブーム4を伏移動させて、放水銃5の高さ位置を下げた状態を示し、図7(c)は、図7(a)に示す状態から、ブーム4を下限まで伏移動させて、放水銃5の高さ位置を下限まで下げた状態を示している。
【0021】
この実施形態の放水装置Bは、ブーム4の先端部に放水銃5を取り付けているため、ブーム4の起伏移動により、放水銃5の高さ位置を広い範囲{図7(a)~図7(c)に示す範囲}で調整することができる。しかも、放水銃5は、銃本体部5aがブーム4の先端部から下方側に延在する形態を有するため、図7(c)に示すように、ブーム4の伏移動により、銃本体部5aの下端部(第2回動駆動部5a3)に接続される放水ノズル部5bの基端部が基台1よりも低位の位置に来るように、放水銃5の高さ位置を調節することが可能である。これにより、従来装置よりも低位の位置から放水することが可能となる。
【0022】
また、放水銃5の放水ノズル部5bは、銃本体部5aに対して上下方向に回動させることができるので、放水銃5の各高さ位置において、放水ノズル部5bを回動操作することにより、上下方向への放水方向を適宜に調整することができる。例えば、図8に示すように、図7(c)に示す放水銃5の低位位置において、放水ノズル部5bを上方向に回動させると、低位位置から上向きに放水することができる。
【0023】
上記のような、ブーム4の起伏移動操作による放水銃5の高さ位置調整と、放水ノズル部5bの回動操作による上下方向への放水方向調整とを組み合わせることで、多様な放水対象物に応じて、適切な放水姿勢を実現することができる。例えば、製鉄所内において、図7(a)に示す放水銃5の高位位置からコークスに放水して、コークスの飛散防止や自然発火の消火を行い、あるいは、設備等の高位箇所に放水して、高位箇所の洗浄を行うことができる。また、図7(c)に示す放水銃5の低位位置から設備等の低位箇所に放水して、低位箇所の洗浄を行うことができる。特に、放水銃5の位置と姿勢を図8に示す態様に設定し、設備等の低位箇所に向けて、低位位置から上向きに放水することにより、低位箇所の下面側の部位を効果的に洗浄することが可能となる。
【0024】
また、この実施形態の放水装置Bは、上述した平行リンク機構を備えているため、図7(a)~(c)に示すように、ブーム4が起伏移動しても、放水銃5は常に一定姿勢を維持する。すなわち、図7において、放水銃5の銃本体部5aは、第1回動駆動部5a1の回動中心軸X1が上下方向に向いた上下姿勢、放水銃5の放水ノズル部5bは、その先端の放水口が水平方向に向いた水平姿勢になっているが、ブーム4をどの位置に起伏移動させても、この放水銃5の姿勢は変わらない。このように、放水ノズル部5bが常に一定姿勢(水平姿勢)を維持するため、放水対象物に対して、ブーム4の起伏移動により、放水銃5の放水ノズル部5bを適切な高さ位置に設定する遠隔操作が容易になる。そして、ブーム4の起伏移動により、放水銃5の放水ノズル部5bを適切な高さ位置に設定した後、その状態で放水ノズル部5bから水平方向に放水し、または、放水ノズル部5bを上方向に回動させて、放水ノズル部5bから斜め上方向に放水し、もしくは、放水ノズル部5bを下方向に回動させて、放水ノズル部5bから斜め下方向に放水する。さらに、これらの操作に、銃本体部5aを回動中心軸X1回りに回動させる操作を加え、放水ノズル部5bを回動中心軸X1回りに回動させることにより、放水対象物に対して、より適切な方向から放水することが可能となる。
【0025】
上述の動作の説明は、ブーム4の起伏移動の方向に関するものであるが、ブーム4を旋回移動させると、ブーム4の旋回移動の各位置で上述の動作を行わせることができる。
【0026】
また、ブーム4が車両側方側に向くように、ブーム4を旋回移動させると共に、ブーム4を伏姿勢にし、さらに銃本体部5aを回動させて、放水ノズル部5bが車両後方側に向くようにすると、車両後方側に放水することもできる。
【0027】
図9は、車両整備等のために、キャビンAを車両前方側にチルトさせた状態を示している。支柱3・ブーム4を車両前方に向けた状態で、上述したピンロック3dとネジロック3eによるロックを解除し、エアーシリンダを駆動させると、支柱部3の上側部分3bが枢軸3cを傾動支点として車両前方側に所定範囲だけ傾動する。また、上側部分3bの傾動に伴い、ブーム4も車両前方側に伏移動する。この状態で、キャビンAを車両前方側にチルトさせると、キャビンAのチルト移動に対して、支柱部3の上側部分3aが車両前方側に傾動していることにより、キャビンAと支柱部3との干渉が回避される。なお、上記エアーシリンダは、車両に装備されたエアタンクから供給される圧縮空気によって駆動され、あるいは、整備場所に装備された作業用エアコンプレッサーから供給される圧縮空気によって駆動される。
【0028】
この実施形態では、放水装置BをキャビンAの前方に搭載しているが、放水装置Bは、車両の後部やその他の部位に搭載することも可能である。
【符号の説明】
【0029】
A キャビン
B 放水装置
1 基台
2 旋回テーブル
3 支柱部
3a 下側部分
3b 上側部分
3c 枢軸
4 ブーム
4a 枢軸
4b 油圧シリンダ
4c 枢軸
5 放水銃
5a 銃本体部
5a1 第1回動駆動部
5a2 筒部
5a3 第2回動駆動部
5b 放水ノズル部
6 水配管
6a 長手方向管
6b 第1接続管
6b1 回動接続部
6b2 回動軸支部
6c 第2接続管
6c1 回動接続部
6d キャビンの後方側に搭載された水ポンプに到る固定側の水配管
6e スイベルジョイント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9