IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日新電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-通電検出機構、及び電線 図1
  • 特開-通電検出機構、及び電線 図2
  • 特開-通電検出機構、及び電線 図3
  • 特開-通電検出機構、及び電線 図4
  • 特開-通電検出機構、及び電線 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119799
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】通電検出機構、及び電線
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/32 20060101AFI20230822BHJP
【FI】
H01B7/32 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022873
(22)【出願日】2022-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】小倉 正嗣
【テーマコード(参考)】
5G315
【Fターム(参考)】
5G315BA12
5G315BA14
(57)【要約】
【課題】電流計等の計器を用いることなく、電流が流れているか否かを簡単に検出する。
【解決手段】導体1に電流が流れていることを検出する通電検出機構3であって、電流により発生する磁束が通過することで発光する発光体31又は変色する変色体を備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体に電流が流れていることを検出する通電検出機構であって、
前記電流により発生する磁束が通過することで発光する発光体又は変色する変色体を備える、通電検出機構。
【請求項2】
導体と、
請求項1に記載の通電検出機構とを備える、電線。
【請求項3】
前記通電検出機構は、前記導体の周囲に固定されている、請求項2に記載の電線。
【請求項4】
前記導体を被覆する絶縁体をさらに備え、
前記通電検出機構は、前記絶縁体に設けられている、請求項2又は3に記載の電線。
【請求項5】
前記通電検出機構は、前記絶縁体の周囲に設けられている、請求項4に記載の電線。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導体に流れている電流を検出する通電検出機構、及び当該通電検出機構を備える電線に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電線における異常等を検出するために種々の工夫がなされている。例えば、特許文献1では、電線の屈曲部位を検出する構成が開示されている。具体的にこの電線には、導体の外周を覆う被膜に外的作用により発光が生じる発光体が設けられている。この発光体は、触媒を含む液体と発光物質を含む液体とを個別に内蔵しており、外的作用によってそれらの液体が混合することにより化学発光を生じさせるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-102148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電線の通電状態を検出することで電線における異常等を検出することも行われている。例えば、電線に電流計等の計器を接続することで電線の通電状態を検出する方法が挙げられる。
【0005】
しかしながら、電流計等の計器を電線に接続する作業は煩わしく、また、計器の数値を読み取ることが必要になる等、面倒である。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、電流計等の計器を用いることなく、電流が流れているか否かを簡単に検出することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る通電検出機構は、導体に電流が流れていることを検出する通電検出機構であって、前記電流により発生する磁束が通過することで発光する発光体又は変色する変色体を備えることを特徴とする。
【0008】
このような通電検出機構であれば、導体を流れる電流により発生する磁束が通過することで発光する発光体又は変色する変色体を備えているので、電流計等の計器を用いることなく、導体に電流が流れているか否かを簡単に検出することができる。したがって、電流検出機構の発光又は変色状態を例えば目視することにより、電線の通電状態を確認することができる。
【0009】
また、本発明に係る電線は、導体と、当該導体に電流が流れていることを検出する通電検出機構を備え、前記通電検出機構は前記電流により発生する磁束が通過することで発光する発光体又は変色する変色体を備えることが望ましい。
このような電線であれば、電流により発生する磁束が通過することで発光する発光体又は変色する変色体を有するので、計器を用いることなく導体に電流が流れているか否かを簡単に検出することができる。
【0010】
具体的には、前記通電検出機構が、前記導体の周囲に固定されていることが望ましい。
この構成であれば、導体と発光体又は変色体との相対位置が一定となり、電流の大小により生じる磁束の変化を的確に捉えることができる。その結果、電線の通電状態の変化を精度良く検出することができる。
【0011】
また、前記電線の具体的態様としては、前記導体の外周を被覆する絶縁体をさらに備え、前記通電検出機構は、前記絶縁体に設けられているものが好ましい。
この構成であれば、導体の外周が絶縁体で被覆されているので、導体に流れている電流の検出をより安全に確認することができる。ここで、通電検出機構を絶縁体の内部又は周囲に設けることが考えられる。
【0012】
通電検出機構を絶縁体の内部に設ける構成では、従来の電線構成と同一の構成にできるため、使い勝手が良いことが考えられるが、発光体の発光又は変色体の変色が視認しにくいという問題が起こりうる。そのため、前記通電検出機構は、前記絶縁体の周囲に設けられていることが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
このように構成した本発明によれば、電流計等の計器を用いることなく、電流が流れているか否かを簡単に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る電線の構成を模式的に示す斜視図である。
図2】同実施形態における電線の構成を模式的に示す断面図である。
図3】変形実施形態に係る電線の構成を模式的に示す斜視図である。
図4】変形実施形態に係る電線の構成を模式的に示す側面図である。
図5】変形実施形態に係る電線の構成を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の一実施形態に係る通電検出機構を備える電線について、図面を参照して説明する。なお、以下に示すいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0016】
本実施形態に係る電線100は、図1及び図2に示すように、電流が流れる導体1と、当該導体1を被覆する絶縁体2と、導体1に電流が流れていることを検出する通電検出機構3とを備え、当該通電検出機構3は当該絶縁体2に設けられている。
【0017】
導体1は、1本の金属からなる線条で構成されている。なお、導体1の材質としては、例えば銅又はアルミニウム等を挙げることができる。
【0018】
絶縁体2は、導体1を保護するものであり、導体1の外側周面を被覆する。なお、絶縁体2の材質としては、例えば、ポリ塩化ビニル又はフッ素樹脂等を挙げることができる。
【0019】
通電検出機構3は、導体1に電流が流れているか否かを検出するものである。本実施形態の通電検出機構3は、絶縁体2の内部に設けられている。
【0020】
また、通電検出機構3は、導体1に流れた電流により発生する磁束が通過することで発光する発光体31を備える。この発光体31は、例えば、通過する磁束に反応して発光するものであっても良いし、磁束が通過することで発生する誘導電流(誘導電圧)又はそれに伴う温度上昇に反応して発光するものであっても良い。更に、この発光体31は、通過する磁束量に応じて発光量が変化するものであってもよい。
【0021】
このような通電検出機構3を備える電線100であれば、導体1を流れる電流により発生する磁束が通過することで発光する発光体31を備えているので、電流計等の計器を用いることなく、導体1に電流が流れているか否かを簡単に検出することができる。したがって、通電検出機構3の発光状態を例えば目視することにより、電線100の通電状態を確認することができる。
【0022】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0023】
例えば、前記実施形態の電線100は、通電検出機構3を絶縁体2の内部に設けた構成であったが、図3及び図4に示すように、通電検出機構3を絶縁体2の外側周面に設けた構成としても良い。ここで、通電検出機構3は、絶縁体2の外側周面において周方向の一部又は全部に設けることが考えられる。
【0024】
また、通電検出機構3を絶縁体2の外側周面に設ける場合には、透光性を有する接着剤又はテープ等を用いて、通電検出機構3を絶縁体2に固定することが考えられる。また、通電検出機構3を、発光体31及び当該発光体31を保持する例えば透光性を有するシート基材からなるシート状のものとし、このシート状の通電検出機構3を絶縁体2の外側周面に固定してもよい。
【0025】
さらに、前記実施形態では、通電検出機構3を絶縁体2に設けた構成であったが、図5に示すように、通電検出機構3を導体1に設けた構成としても良い。ここで、通電検出機構3は、導体1の外側周面において周方向の一部又は全部に設けることが考えられる。
【0026】
また、通電検出機構3を導体1の外側周面に設ける場合には、透光性を有する接着剤又はテープ等を用いて、通電検出機構3を導体1に固定することが考えられる。また、通電検出機構3を、発光体31及び当該発光体31を保持する例えば透光性を有するシート基材からなるシート状のものとし、このシート状の通電検出機構3を導体1の外側周面に固定してもよい。
【0027】
その上、通電検出機構3は、導体及び絶縁体を有する電線とは別に設けられても良い。この場合、通電検出機構3は、導体に流れた電流により発生する磁束が通過する位置に設けられる。
【0028】
また、前記実施形態の通電検出機構3は、発光体31を備えるものであったが、磁束が通過することで変色する変色体を備えるものであってもよい。更に、この変色体は、通過する磁束量に応じて色の濃淡が変化するものであってもよい。
【0029】
加えて、前記実施形態の電線100を構成する導体1は、1本の線条で構成されているものであったが、複数の線条で構成されているものであってもよい。
【0030】
さらにその上、本発明の通電検出機構は、電線の通電を検出する他に、例えば、配電盤又は分電盤等の送配電設備の通電を検出するものであっても良いし、電気機械のモータ又は配線基板の通電を検出するものであっても良い。
【0031】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0032】
100・・・電線
1 ・・・導体
2 ・・・絶縁体
3 ・・・通電検出機構
31 ・・・発光体

図1
図2
図3
図4
図5