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特開2023-119801キーボード、スタンド、およびキーボード・スタンドセット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119801
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】キーボード、スタンド、およびキーボード・スタンドセット
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20230822BHJP
   G06F 3/023 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
G06F1/16 312K
G06F1/16 312E
G06F1/16 313F
G06F3/023 400
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022875
(22)【出願日】2022-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細貝 達哉
(72)【発明者】
【氏名】杉山 宗幹
【テーマコード(参考)】
5B020
【Fターム(参考)】
5B020CC06
5B020CC11
5B020KK14
(57)【要約】
【課題】着脱が容易であり、一体時に安定しているキーボード・スタンドセットを提供する。
【解決手段】キーボード12は、後側面12eから下面12fに開口する凹部16が後縁12dに沿って形成されており、凹部上面16aには磁石18が設けられている。スタンド14は、電子機器の背面に当接する枠体24と、枠体24の一部に対してトルクヒンジ32を介して接続され、枠体24の枠面に対して開いた状態で先端縁26aが載置面に当接するプレート26と、枠体24おける長辺枠24bに沿って接続されていて、電子機器の側面を支持可能な幅を有する帯部28と、帯部28における先端縁28bに沿って設けられた鉄材のバー30とを有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器に対して無線形式で入力を行うキーボードであって、
後側面から下面に亘って開口する凹部が後縁に沿って形成されており、
前記凹部における凹部上面には磁石が設けられている
ことを特徴とするキーボード。
【請求項2】
請求項1に記載のキーボードであって、
前記凹部上面は平面状である
ことを特徴とするキーボード。
【請求項3】
電子機器を起立状態に支持するスタンドであって、
前記電子機器の背面に当接する枠体と、
前記枠体の一部に対してトルクヒンジを介して接続され、前記枠体の枠面に対して開いた状態で一部が載置面に当接する脚部と、
前記枠体おける1つの縁に沿って接続されていて、前記電子機器の側面を支持可能な幅を有する可撓性の帯部と、
前記帯部における前記枠体との接続縁とは逆側の先端縁に沿って設けられたバーと、
を有し、
前記バーは磁石に対して吸着する材質である
ことを特徴とするスタンド。
【請求項4】
請求項3に記載のスタンドであって、
前記バーは鉄材である
ことを特徴とするスタンド。
【請求項5】
請求項3または4に記載のスタンドであって、
前記帯部は、厚み方向に弾性のある2枚の生地材が張り合わされて形成され、
前記生地材は、前記枠体および前記バーを覆うように連続している
ことを特徴とするスタンド。
【請求項6】
請求項3~5のいずれか1項に記載のスタンドであって、
前記バーは丸棒である
ことを特徴とするスタンド。
【請求項7】
請求項3~6のいずれか1項に記載のスタンドであって、
前記トルクヒンジは、前記枠体における前記帯部から遠い側の縁で前記脚部と接続されており、
前記脚部は、前記枠体の開口内に収まるときに該開口を塞ぐ矩形形状である
ことを特徴とするスタンド。
【請求項8】
請求項3~7のいずれか1項に記載のスタンドであって、
前記帯部の一面には滑り止め材が設けられている
ことを特徴とするスタンド。
【請求項9】
請求項3~8のいずれか1項に記載のスタンドであって、
前記電子機器には磁石が設けられており、
前記枠体には、前記電子機器の前記磁石と吸着可能な位置に磁石が設けられている
ことを特徴とするスタンド。
【請求項10】
電子機器に対して無線形式で入力を行うキーボード、および電子機器を起立状態に支持するスタンドとから構成されるキーボード・スタンドセットであって、
前記キーボードは、
後側面から下面に亘って開口する凹部が後縁に沿って形成されており、
前記凹部における凹部上面には磁石が設けられており、
前記スタンドは、
前記電子機器の背面に当接する枠体と、
前記枠体の一部に対してトルクヒンジを介して接続され、前記枠体の枠面に対して開いた状態で一部が載置面に当接する脚部と、
前記枠体おける1つの縁に沿って接続されていて、前記電子機器の側面を支持可能な幅を有する可撓性の帯部と、
前記帯部における前記枠体との接続縁とは逆側の先端縁に沿って設けられたバーと、
を有し、
前記バーは磁石に対して吸着する材質であり、
前記凹部は前記バーを挿入可能な幅と高さを有する
ことを特徴とするキーボード・スタンドセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に対して無線形式で入力を行うキーボード、電子機器を起立状態に支持するスタンド、およびキーボードとスタンドとからなるキーボード・スタンドセットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネル式のディスプレイを有し、物理的なキーボードを持たないタブレット型のパーソナルコンピュータなどの薄型の電子機器が普及している。薄型電子機器は持ち運びが容易で入力作業もタッチパネルによって行うことができるため操作が容易である。しかしながら、薄型電子機器は物理的なキーボードを持たないため、例えば長文の入力作業等に支障を生じる場合がある。
【0003】
そこで本出願人は特許文献1において、薄型電子機器を着脱可能であってタブレット型PCのスタンドとして機能するキーボード装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-87908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、薄型電子機器は動画の閲覧用として用いられることがある。動画の閲覧ではキーボードは不要であってスタンドだけがあればよい。そのため、動画の閲覧用途としてはキーボードとスタンドとは別体であることが望ましいが、長分入力用途としては一体的になっていることが望ましい。こうした背景からキーボードとスタンドとは着脱可能な構成にする要望があるが、着脱は容易である必要があり、さらに一体時には双方が安定して固定されることが望ましい。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、着脱が容易であり、一体時には安定しているキーボード、スタンド、およびこれらによって構成されるキーボード・スタンドセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の第1態様に係るキーボードは、電子機器に対して無線形式で入力を行うキーボードであって、後側面から下面に亘って開口する凹部が後縁に沿って形成されており、前記凹部における凹部上面には磁石が設けられている。
【0008】
前記凹部上面は平面状であってもよい。
【0009】
本発明の第2態様に係るスタンドは、電子機器を起立状態に支持するスタンドであって、前記電子機器の背面に当接する枠体と、前記枠体の一部に対してトルクヒンジを介して接続され、前記枠体の枠面に対して開いた状態で一部が載置面に当接する脚部と、前記枠体おける1つの縁に沿って接続されていて、前記電子機器の側面を支持可能な幅を有する可撓性の帯部と、前記帯部における前記枠体との接続縁とは逆側の先端縁に沿って設けられたバーと、を有し、前記バーは磁石に対して吸着する材質である。
【0010】
前記バーは鉄材であってもよい。
【0011】
前記帯部は、厚み方向に弾性のある2枚の生地材が張り合わされて形成され、前記生地材は、前記枠体および前記バーを覆うように連続していてもよい。
【0012】
前記バーは丸棒であってもよい。
【0013】
前記トルクヒンジは、前記枠体における前記帯部から遠い側の縁で前記脚部と接続されており、前記脚部は、前記枠体の開口内に収まるときに該開口を塞ぐ矩形形状であってもよい。
【0014】
前記帯部の一面には滑り止め材が設けられていてもよい。
【0015】
前記電子機器には磁石が設けられており、前記枠体には、前記電子機器の前記磁石と吸着可能な位置に磁石が設けられていてもよい。
【0016】
本発明の第3態様に係るキーボード・スタンドセットは、電子機器に対して無線形式で入力を行うキーボード、および電子機器を起立状態に支持するスタンドとから構成されるキーボード・スタンドセットであって、前記キーボードは、後側面から下面に亘って開口する凹部が後縁に沿って形成されており、前記凹部における凹部上面には磁石が設けられており、前記スタンドは、前記電子機器の背面に当接する枠体と、前記枠体の一部に対してトルクヒンジを介して接続され、前記枠体の枠面に対して開いた状態で一部が載置面に当接する脚部と、前記枠体おける1つの縁に沿って接続されていて、前記電子機器の側面を支持可能な幅を有する可撓性の帯部と、前記帯部における前記枠体との接続縁とは逆側の先端縁に沿って設けられたバーと、を有し、前記バーは磁石に対して吸着する材質であり、前記凹部は前記バーを挿入可能な幅と高さを有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の上記態様では、スタンドのバーをキーボードの凹部に挿入するだけで容易な装着が可能であり、一体時はバーと磁石との吸着作用により安定的に固定される。また、バーは磁石との吸着力は適度に制限されており、抜き取りが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明にかかる実施形態であるキーボード・スタンドセットを示す平面図である。
図2図2は、キーボードとスタンドとが切り離された状態のキーボード・スタンドセットの一部拡大平面図である。
図3図3は、キーボードおよびスタンドを下側から見た斜視図である。
図4図4は、キーボードおよびスタンドの各端部を上側から見た拡大斜視図である。
図5図5は、キーボードおよびスタンドの断面側面図である。
図6図6は、起立している状態のスタンドの斜視図である。
図7図7は、電子機器を縦置きにしてスタンドに立てかけた状態を示す模式斜視図である。
図8図8は、電子機器を横置きにしてスタンドに立てかけた状態を示す模式斜視図である。
図9図9は、キーボードを切り離したスタンドに電子機器を立てかけた状態を示す模式側面図である。
図10図10は、屈曲した電子機器にキーボードを載置した状態を示す模式側面図である。
図11図11は、折り畳んだ状態のキーボード・スタンドセットおよび電子機器の模式側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施形態にかかるキーボード・スタンドセット10、キーボード12およびスタンド14を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0020】
図1は、本発明にかかる実施形態であるキーボード・スタンドセット10を示す平面図である。図2は、キーボード12とスタンド14とが切り離された状態のキーボード・スタンドセット10の一部拡大平面図である。図3は、キーボード12およびスタンド14を下側から見た斜視図である。図4は、キーボード12およびスタンド14の各端部を上側から見た拡大斜視図である。図5は、キーボード12およびスタンド14の断面側面図である。キーボード・スタンドセット10は、キーボード12とスタンド14とから構成されている。
【0021】
まず、キーボード12について説明する。キーボード12は、電子機器に対して無線形式で入力を行う装置である。電子機器としては主に物理的なキーボードを持たない携帯型コンピュータが対象となり、例えばフォルダブルPC、タブレット式PC、およびスマートフォンなどの薄型電子機器が挙げられる。キーボード12と電子機器との間で行われる無線通信は、例えばブルートゥース(登録商標)やUSB式である。
【0022】
キーボード12は一般的なサイズの偏平な箱形状となっている。キーボード12の上面には、整列配置された複数のキー12a、タッチパッド12bおよびポインティングスティック12cが設けられている。タッチパッド12bはキー12aより前側に設けられている。ポインティングスティック12bは、ポインティングデバイスの一種であって傾動方向にカーソルを移動させる入力装置であり、複数のキー12aの略中央部分に設けられている。本願では、キーボード12の方向について、キー12a、タッチパッド12bおよびポインティングスティック12cが設けられている側を上、その反対の載置面側を下とする。また、使用時にユーザに近い側、つまりスペースキーやタッチパッド12bが設けられている側を前、その反対側を後とする。
【0023】
本実施の形態として図示しているキーボード12は、テンキーのないコンパクト式であるが、テンキーや独立配置のカーソルキーなどを有するフルサイズ式であってもよい。キーボード12はバッテリーを有している。キーボード12ではタッチパッド12bおよびポインティングスティック12cを省略してもよい。
【0024】
キーボード12は、後側面12eから下面12fに亘って開口する凹部16が後縁12dに沿って形成されている。凹部16は後縁12dのほぼ全長に亘って形成されている。凹部16を除く後側面12eは薄くなっている。凹部16は、後述するバー30を挿入可能な高さと長さになっている。凹部16は、側方から見て(図5参照)略矩形断面であり、凹部上面16aは平面状である。
【0025】
凹部上面16aには複数(図2図3に示す例では5つ)の磁石18が設けられている。磁石18は、凹部上面16aの両端近傍と中央部とを含む位置に設けられている。磁石18は凹部上面16aに設けられていることから、キー12aの配置レイアウトに影響がない。磁石18の下面は、凹部上面16aを形成する薄いカバー20で覆われているが、該凹部上面16aに露呈していてもよい。キーボード12の下面12fには、生地材22が貼られている。
【0026】
次に、スタンド14について説明する。図6は、起立している状態のスタンド14の斜視図である。スタンド14は電子機器を起立状態に支持するものである。
【0027】
図6に示すように、スタンド14は枠体24、プレート26、帯部28、およびバー30を有している。枠体24は電子機器の背面に当接する部分である。背面とは基本的にディスプレイ面と反対側の面である。枠体24の外周輪郭は、平面視でキーボード12とほぼ同じになっている。枠体24には複数の磁石34が分散した位置に埋め込まれている。後述する電子機器50の背面には磁石が設けられており、枠体24の磁石34は電子機器50の磁石と吸着可能な位置に設けられている。
【0028】
プレート26は、枠体24の一方の長辺枠24aに対して左右一対のトルクヒンジ32を介して接続されており、該トルクヒンジ32を基準として回動可能になっている。長辺枠24aは、枠体24における帯部28から遠い側の縁を形成している。プレート26は、枠体24の開口24d内に収まるとき(図1参照)に該開口24dをほぼ隙間なく塞ぐ矩形である。プレート26はトルクヒンジ32のトルク付与作用によって、枠体24に対して任意の角度に維持することができる。プレート26は、枠体24の枠面に対して開いた状態で、先端縁26aが載置面G(図9参照)に当接する脚部としての作用がある。先端縁26aはトルクヒンジ32と接続されている基端縁26bの反対側の縁である。プレート26は枠体24の枠面に対して一方にのみ開くようになっている。設計条件により、プレート26は矩形以外の形状であってもよい。脚部としてはプレート26以外にも、例えば仮想線で示すように縦枠24cに対して開閉する2枚の三角片36を用いてもよい。
【0029】
トルクヒンジ32は、プレート26に対してはブラケット32a(図1参照)によって接続され、枠体24に対してはブラケット32bによって接続されている。ブラケット32aは略矩形である。ブラケット32bは枠体24のコーナーに沿ったL字形状である。
【0030】
帯部28は、上記の長辺枠24aとは反対側の長辺枠24bの縁に沿って接続されている。帯部28は、長辺枠24bの全長とほぼ等しい長さであり、電子機器50(図7参照)の側面を支持可能な幅を有している。帯部28の一面には長尺方向に沿って複数筋の滑り止め材38が設けられている。滑り止め材38は、例えばラバーである。帯部28は、2枚の生地材が張り合わされて形成されている。帯部28は生地材で形成されていることから可撓性があり柔軟である。この生地材は、例えばスエード、フェルト、皮革などで厚み方向に多少の弾性を有している。上記の生地材22(図3参照)も同様である。
【0031】
バー30は帯部28における枠体24との接続縁28aとは逆の先端縁28bに沿って設けられている。バー30は磁石に対して吸着する材質であり、本実施の形態では鉄材(合金を含む)の丸棒である。鉄材の丸棒は、十分な強度を有するとともに低コストである。ただし、設計条件によりバー30は他の断面形状としてもよく、例えば凹部16に合う矩形としてもよい。バー30は帯部28よりやや長く、該帯部28から突出している箇所にはキャップ30aが被せられている。バー30は上記の凹部16に挿入される部分であり、該凹部16に挿入可能な太さと長さになっている。凹部16とバー30との長さはほぼ等しく、該バー30は凹部16の内部で長尺方向にずれることがない。
【0032】
帯部28を形成している生地材は、該帯部28だけでなく枠体24およびバー30を覆うように連続している(図5参照)。換言すれば、枠体24およびバー30は帯部28と同じ生地材によって覆われている。帯部28以外の箇所の生地材には符号40を付す。生地材40は、バー30を包むようにして折り返されている。
【0033】
スタンド14をキーボード12に装着する際には、図5の仮想線で示すように、バー30を凹部16に挿入すると該バー30が磁石18によって吸着されて固定される。これによりキーボード12とスタンド14とが組み合わされる。このように、スタンド14をキーボード12に装着する操作は容易である。また、凹部16は後方および下方に開口していることからバー30を挿入しやすい。キーボード12とスタンド14との間では電気的な接続が不要である。バー30は適度に長いため凹部16内で安定する。
【0034】
スタンド14をキーボード12から引っ張ると、バー30が磁石18との吸着力に抗して凹部16から抜ける。これにより、スタンド14はキーボード12から取り外される。このとき、バー30と磁石18との吸着力は以下の理由によって抑制されていることから、バー30は凹部16から抜き取りやすくなっている。
【0035】
まず第1に、バー30は磁石ではなくて鉄材であることから、磁石18との吸着力は適度に抑制されている。第2に、バー30は丸棒であり平面状の凹部上面16aとの接触面積が比較的小さいため、磁石18との吸着力はさらに抑制される。第3に、スタンド14を取り外すには図5における右方向に変位させることが多いが磁石18は凹部上面16aに設けられていることから、取り外し方向の延長線上にはなく、磁力による作用が制限される。第4に、バー30は生地材40で覆われていることから磁石18との間に多少の距離があって作用する磁力が制限されるとともに、生地材40が凹部上面16aに対して滑りやすくなっておりバー30を摺動させやすい。
【0036】
このように、バー30は凹部16から抜き取りやすくなっており、キーボード12からスタンド14を取り外す操作は容易である。バー30に対する磁石18の吸着力は適度に抑制されていることから、帯部28には過大な張力が加わることが無く、伸びたり損傷することがない。また、帯部28はスタンド14の長辺枠24bのほぼ全長に亘る長さがあり、しかもその全長に亘ってバー30が接続されていて力が均等に作用することから、局所的に応力が集中することがなく損傷しにくい。
【0037】
図7は、電子機器50を縦置きにしてスタンド14に立てかけた状態を示す模式斜視図である。図8は、電子機器50を横置きにしてスタンド14に立てかけた状態を示す模式斜視図である。図9は、キーボード12を切り離したスタンド14に電子機器50を立てかけた状態を示す模式側面図である。図10は、屈曲した電子機器50にキーボード12を載置した状態を示す模式側面図である。ここで例示する電子機器50は、いわゆるフォルダブルPCであるが、上記のとおりキーボード・スタンドセット10はタブレット式パソコンやスマートフォンなどの他の薄型電子機器にも適用可能である。
【0038】
電子機器50はフォルダブルPCであり、中央のヒンジ部52でつながった第1筐体54と第2筐体56とを備えており、第1筐体54から第2筐体56にかけてほぼ全面に折り畳み可能なディスプレイ58を備える。このディスプレイ58は、例えばタッチパネル式の有機EL(Electro Luminescence)である。電子機器50はディスプレイ58に表示されるソフトウェアキーボードによって入力が可能であるとともに、キーボード12からの入力も可能である。第1筐体54と第2筐体56とをヒンジ部52で折り畳むとディスプレイ58も折り折り畳まれる。電子機器50は、使用しない時には第1筐体54と第2筐体56とを完全に折り畳まれた積層形態(図11参照)とすることにより小型化される。
【0039】
図7に示すように、キーボード・スタンドセット10は電子機器50を縦に起立した状態で保持することができる。第1筐体54には枠体24の磁石34に対応する位置に磁石または鉄材などの吸着体が設けられている。この場合、スタンド14の枠体24は第1筐体54だけを支持しており、第2筐体56はスタンド14から突出していて重心がやや高い位置にあるが、スタンド14は第1筐体54を磁力により吸着しており、電子機器50は安定する。図8に示すように、キーボード・スタンドセット10は電子機器50を横に起立した状態で保持することができる。この場合、スタンド14と第1筐体54との間で磁力による吸着作用はないが、重心はある程度低い位置にあるため電子機器50は安定している。
【0040】
電子機器50は、下側の側面が帯部28に当接して滑り止め材38の作用によって滑ることなく安定する。また、電子機器50の下端部はキーボード12の後側面12e(図4参照)に当接するため前方にずれることがない。プレート26はトルクヒンジ32の作用により任意の角度に維持することができるため、ディスプレイ58が見やすいように枠体24の傾斜角度を調整することができる。枠体24の表面には生地材40が設けられていることから電子機器50の背面を傷つけることがない。
【0041】
キーボード12は無線式であることから電子機器50との有線接続は不要である。そのため、図9に示すように、キーボード12はスタンド14から取り外してある程度離れた箇所に置いてもキー入力などの操作が可能である。また、キーボード12を視界に入らない箇所に移せば電子機器50による動画の閲覧に好適である。キーボード12がスタンド14から取り外されていても、電子機器50は帯部28の滑り止め38の作用により前方にずれることがない。また、帯部28の先端に設けられたバー30はある程度の径があるため、電子機器50の下端部に当接してズレを防止する作用がある。
【0042】
キーボード・スタンドセット10によって電子機器50を支持しているときには、バー30は凹部16に嵌り込んでいてユーザから視認されない。また、帯部28、枠体24およびプレート26は電子機器50に隠れている。結局、キーボード・スタンドセット10に関してユーザから視認されるのはキーボード12だけであり、意匠的に好適である。
【0043】
図10に示すように、電子機器50は屈曲した状態で載置面Gに載置して使用することが可能である。この場合、キーボード12は電子機器50の2つの筐体のうち載置面Gに載置した一方(この場合、第1筐体54)の上面において使用することも可能である。この場合、スタンド14は用いなくてよい。キーボード12の下面12fには生地材22が貼られていることからディスプレイ58を傷つけることがない。
【0044】
図11は、折り畳んだ状態のキーボード・スタンドセット10および電子機器50の模式側面図である。図11に示すように、キーボード・スタンドセット10は可撓性のある帯部28を折り返すことにより、キーボード12とスタンド14とが対面するように折り畳むことができる。折り畳んだ状態のキーボード・スタンドセット10および電子機器50はほぼ同じ大きさであり、まとめて携行するのに好適である。プレート26は図11における下側には回動しない構成となっており、キー12aに無理な力がかかることがない。
【0045】
このように、本実施の形態に係るキーボード・スタンドセット10では、スタンド14のバー30をキーボード12の凹部16に挿入するだけで容易な装着が可能であり、一体時はバー30と磁石18との吸着作用により安定的に固定される。また、バー30は鉄材であることから磁石18との吸着力は適度に制限されており、抜き取りが容易である。
【0046】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0047】
10 キーボード・スタンドセット
12 キーボード
12d 後縁
12e 後側面
12f 下面
14 スタンド
16 凹部
16a 凹部上面
18 磁石
22,40 生地材
24 枠体
26 プレート
26a 先端縁
26b 基端縁
28 帯部
28a 接続縁
28b 先端縁
30 バー
32 トルクヒンジ
38 滑り止め材
50 電子機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-06-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器に対して無線形式で入力を行うキーボードであって、
後側面から下面に亘って開口する凹部が後縁に沿って形成されており、
前記凹部における凹部上面には磁石が設けられており、
前記凹部上面は平面状である
ことを特徴とするキーボード。
【請求項2】
電子機器を起立状態に支持するスタンドであって、
前記電子機器の背面に当接する枠体と、
前記枠体の一部に対してトルクヒンジを介して接続され、前記枠体の枠面に対して開いた状態で一部が載置面に当接する脚部と、
前記枠体おける1つの縁に沿って接続されていて、前記電子機器の側面を支持可能な幅を有する可撓性の帯部と、
前記帯部における前記枠体との接続縁とは逆側の先端縁に沿って設けられたバーと、
を有し、
前記バーは磁石に対して吸着する材質であり、
前記帯部は、厚み方向に弾性のある2枚の生地材が張り合わされて形成され、
前記生地材は、前記枠体および前記バーを覆うように連続している
ことを特徴とするスタンド。
【請求項3】
電子機器を起立状態に支持するスタンドであって、
前記電子機器の背面に当接する枠体と、
前記枠体の一部に対してトルクヒンジを介して接続され、前記枠体の枠面に対して一方にのみ開いて一部が載置面に当接する脚部と、
前記枠体おける1つの縁に沿って接続されていて、前記電子機器の側面を支持可能な幅を有する可撓性の帯部と、
前記帯部における前記枠体との接続縁とは逆側の先端縁に沿って設けられ、前記帯部より太いバーと、
を有し、
前記バーは磁石に対して吸着する材質であり、
前記帯部には、前記枠面を基準として前記脚部が開く方向と反対側の面に滑り止め材が設けられている
ことを特徴とするスタンド。
【請求項4】
請求項2または3に記載のスタンドであって、
前記バーは鉄材である
ことを特徴とするスタンド。
【請求項5】
請求項のいずれか1項に記載のスタンドであって、
前記バーは丸棒である
ことを特徴とするスタンド。
【請求項6】
請求項のいずれか1項に記載のスタンドであって、
前記トルクヒンジは、前記枠体における前記帯部から遠い側の縁で前記脚部と接続されており、
前記脚部は、前記枠体の開口内に収まるときに該開口を塞ぐ矩形形状である
ことを特徴とするスタンド。
【請求項7】
請求項のいずれか1項に記載のスタンドであって、
前記電子機器には磁石が設けられており、
前記枠体には、前記電子機器の前記磁石と吸着可能な位置に磁石が設けられている
ことを特徴とするスタンド。
【請求項8】
電子機器に対して無線形式で入力を行うキーボード、および電子機器を起立状態に支持するスタンドとから構成されるキーボード・スタンドセットであって、
前記キーボードは、
後側面から下面に亘って開口する凹部が後縁に沿って形成されており、
前記凹部における凹部上面には磁石が設けられており、
前記スタンドは、
前記電子機器の背面に当接する枠体と、
前記枠体の一部に対してトルクヒンジを介して接続され、前記枠体の枠面に対して一方にのみ開いて一部が載置面に当接する脚部と、
前記枠体おける1つの縁に沿って接続されていて、前記電子機器の側面を支持可能な幅を有する可撓性の帯部と、
前記帯部における前記枠体との接続縁とは逆側の先端縁に沿って設けられ、前記帯部より太いバーと、
を有し、
前記バーは磁石に対して吸着する材質であり、
前記帯部には、前記枠面を基準として前記脚部が開く方向と反対側の面に滑り止め材が設けられており、
前記凹部は前記バーを挿入可能な幅と高さを有する
ことを特徴とするキーボード・スタンドセット。
【請求項9】
電子機器に対して無線形式で入力を行うキーボード、および電子機器を起立状態に支持するスタンドとから構成されるキーボード・スタンドセットであって、
前記キーボードは、
後側面から下面に亘って開口する凹部が後縁に沿って形成されており、
前記凹部における凹部上面には磁石が設けられており、
前記凹部上面は平面状であり、
前記スタンドは、
前記電子機器の背面に当接する枠体と、
前記枠体の一部に対してトルクヒンジを介して接続され、前記枠体の枠面に対して開いた状態で一部が載置面に当接する脚部と、
前記枠体おける1つの縁に沿って接続されていて、前記電子機器の側面を支持可能な幅を有する可撓性の帯部と、
前記帯部における前記枠体との接続縁とは逆側の先端縁に沿って設けられたバーと、
を有し、
前記バーは磁石に対して吸着する材質の丸棒であり、
前記凹部は前記バーを挿入可能な幅と高さを有する
ことを特徴とするキーボード・スタンドセット。