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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119864
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】監視装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/20 20060101AFI20230822BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20230822BHJP
   F28D 15/02 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
G06F1/20 E
G06F1/20 A
G06F1/20 B
H05K7/20 W
F28D15/02 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022022968
(22)【出願日】2022-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】原 伸英
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322AA11
5E322AB10
5E322DA01
5E322DB12
(57)【要約】
【課題】冷却装置における熱媒体の状態を安定化させることができる監視装置を提供する。
【解決手段】電子機器から熱を除去する第一冷媒を、閉空間とされた内部に収容する冷媒槽と、第一冷媒と熱交換した第二冷媒を、冷媒槽の外部で空気を用いて冷却するドライクーラと、第二冷媒ラインを通じて、冷媒槽とドライクーラとの間で第二冷媒を循環させる循環ポンプと、を備える冷却装置の異常を監視する監視装置であって、ドライクーラにおける熱交換器に流入する第二冷媒の温度及び熱交換器から流出した第二冷媒の温度と、熱交換器に流入する空気の温度及び熱交換器から流出した空気の温度と、のうち一組以上を取得する取得部と、外気温及び電子機器の負荷に対応した最適温度と、取得部が取得した各温度とを比較することで、ドライクーラと循環ポンプとのうち一つ以上に異常があるか否かを判定する判定部と、を有する監視装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器から熱を除去する第一冷媒を、閉空間とされた内部に収容する冷媒槽と、
前記第一冷媒と熱交換した第二冷媒を、前記冷媒槽の外部で空気を用いて冷却するドライクーラと、
第二冷媒ラインを通じて、前記冷媒槽と前記ドライクーラとの間で前記第二冷媒を循環させる循環ポンプと、
を備える冷却装置の異常を監視する監視装置であって、
前記ドライクーラにおける熱交換器に流入する前記第二冷媒の温度及び前記熱交換器から流出した前記第二冷媒の温度と、前記熱交換器に流入する前記空気の温度及び前記熱交換器から流出した前記空気の温度と、のうち一組以上を取得する取得部と、
外気温及び前記電子機器の負荷に対応した最適温度と、前記取得部が取得した各前記温度とを比較することで、前記ドライクーラと前記循環ポンプとのうち一つ以上に異常があるか否かを判定する判定部と、
を有する監視装置。
【請求項2】
前記判定部は、
前記熱交換器に流入する前記第二冷媒の温度及び前記熱交換器から流出した前記第二冷媒の温度のそれぞれが前記最適温度よりも高い場合に、前記循環ポンプに異常があると判定し、
前記熱交換器から流出した前記第二冷媒の温度が前記最適温度よりも高い場合に、前記ドライクーラに異常があると判定する請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記冷却装置は、
前記冷媒槽とは独立して前記第一冷媒を収容する純化装置と、
駆動されることで前記冷媒槽内の前記第一冷媒と前記純化装置内の前記第一冷媒とを冷媒純化ラインを通じて入れ替え可能な純化ポンプと、
を更に備え、
前記取得部は、前記冷媒槽内の前記第一冷媒の導電率を更に取得し、
前記取得部が取得した前記導電率に基づいて、前記純化ポンプを駆動する冷媒純化部を更に有する請求項1又は2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記冷媒槽内の前記第一冷媒の液位を更に取得し、
前記判定部は、前記取得部が取得した前記液位に基づいて、前記冷媒槽から前記第一冷媒が漏洩しているか否かを更に判定する請求項1から3の何れか一項に記載の監視装置。
【請求項5】
前記冷却装置は、
前記冷媒槽とは独立して前記第一冷媒を収容する別置きタンクと、
駆動されることで前記別置きタンクから前記冷媒槽へ冷媒補充ラインを通じて前記第一冷媒を供給可能な補充ポンプと、
を更に備え、
前記判定部が前記冷媒槽から前記第一冷媒が漏洩していると判定した場合に、前記補充ポンプを駆動する冷媒補充部を更に有する請求項4に記載の監視装置。
【請求項6】
電子機器から熱を除去する第一冷媒を、閉空間とされた内部に収容する冷媒槽と、
前記第一冷媒と熱交換した第二冷媒を、前記冷媒槽の外部で空気を用いて冷却するドライクーラと、
前記冷媒槽とは独立して前記第一冷媒を収容する別置きタンクと、
駆動されることで前記別置きタンクから前記冷媒槽へ冷媒補充ラインを通じて前記第一冷媒を供給可能な補充ポンプと、
を備える冷却装置の異常を監視する監視装置であって、
前記冷媒槽内の前記第一冷媒の液位を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記液位に基づいて、前記冷媒槽から前記第一冷媒が漏洩しているか否かを判定する判定部と、
前記判定部が前記冷媒槽から前記第一冷媒が漏洩していると判定した場合に、前記補充ポンプを駆動する冷媒補充部と、
を有する監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、サーバを冷却する一次冷媒を二次冷媒によって冷却し、当該二次冷媒を外気と熱交換して冷却する冷却システムが開示されている。データセンタ等におけるサーバを冷却する熱媒体が示す温度や液位等(熱媒体の状態)は、冷却効率を確保する観点から制御装置等によって管理される必要がある。
【0003】
例えば特許文献2には、液位センサによる測定結果に基づいて冷媒の減少を予測し、冷媒貯留装置からポンプサイクルへ冷媒を自動で供給する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-136335号公報
【特許文献2】特許第6817787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
サーバを冷却する冷却装置の分野では、熱媒体の状態を安定化させる技術が要求される。
【0006】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、冷却装置における熱媒体の状態を安定化させることができる監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係る監視装置は、電子機器から熱を除去する第一冷媒を、閉空間とされた内部に収容する冷媒槽と、前記第一冷媒と熱交換した第二冷媒を、前記冷媒槽の外部で空気を用いて冷却するドライクーラと、第二冷媒ラインを通じて、前記冷媒槽と前記ドライクーラとの間で前記第二冷媒を循環させる循環ポンプと、を備える冷却装置の異常を監視する監視装置であって、前記ドライクーラにおける熱交換器に流入する前記第二冷媒の温度及び前記熱交換器から流出した前記第二冷媒の温度と、前記熱交換器に流入する前記空気の温度及び前記熱交換器から流出した前記空気の温度と、のうち一組以上を取得する取得部と、外気温及び前記電子機器の負荷に対応した最適温度と、前記取得部が取得した各前記温度とを比較することで、前記ドライクーラと前記循環ポンプとのうち一つ以上に異常があるか否かを判定する判定部と、を有する。
【0008】
本開示に係る監視装置は、電子機器から熱を除去する第一冷媒を、閉空間とされた内部に収容する冷媒槽と、前記第一冷媒と熱交換した第二冷媒を、前記冷媒槽の外部で空気を用いて冷却するドライクーラと、前記冷媒槽とは独立して前記第一冷媒を収容する別置きタンクと、駆動されることで前記別置きタンクから前記冷媒槽へ冷媒補充ラインを通じて前記第一冷媒を供給可能な補充ポンプと、を備える冷却装置の異常を監視する監視装置であって、前記冷媒槽内の前記第一冷媒の液位を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記液位に基づいて、前記冷媒槽から前記第一冷媒が漏洩しているか否かを判定する判定部と、前記判定部が前記冷媒槽から前記第一冷媒が漏洩していると判定した場合に、前記補充ポンプを駆動する冷媒補充部と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、冷却装置における熱媒体の状態を安定化させることができる監視装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の第一実施形態に係る冷却システムの構成を示す図である。
図2】本開示の第一実施形態に係る監視装置の機能ブロック図である。
図3】本開示の第一実施形態に係る予測値テーブルを示す図である。
図4】本開示の第一実施形態に係る監視装置の動作を示すフローチャートである。
図5】本開示の第一実施形態に係る利用者の動作を示すフローチャートである。
図6】本開示の第二実施形態に係る冷却システムの構成を示す図である。
図7】本開示の第二実施形態に係る監視装置の機能ブロック図である。
図8】本開示の第二実施形態に係る監視装置の動作を示すフローチャートである。
図9】本開示の実施形態に係るコンピュータの構成を示すハードウェア構成図である。
図10】本開示のその他の実施形態に係る監視装置の動作を示すフローチャートである。
図11】本開示のその他の実施形態に係る利用者の動作及び監視装置の動作を示すフローチャートである。
図12】本開示のその他の実施形態に係る利用者の動作及び監視装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態に係る冷却システムを図面に基づき説明する。
【0012】
<第一実施形態>
(冷却システム)
本実施形態における冷却システムは、データセンタ等の施設内でサーバ等の電子機器を冷却するためのシステムである。図1に示すように、本実施形態における冷却システム1は、サーバ10(電子機器)と、冷却装置20と、各種センサ40と、監視装置30と、を備えている。
【0013】
(サーバ)
サーバ10は、冷却システム1外部の装置から有線等で接続され、外部から送信される大容量データを演算処理する情報処理装置である。具体的には、サーバ10は、外部のインターネット利用者の要求(リクエスト)を示すデータ信号を外部の装置から受信するとともに、この要求に対応した応答を示すデータ信号をインターネット利用者へ返す。サーバ10は、大容量データを演算処理することで発熱し、高温になる。
【0014】
(冷却装置)
冷却装置20は、熱媒体としての第一冷媒R1、第二冷媒R2、及び空気Aを互いに熱交換させることで、サーバ10を冷却するための第一冷媒R1を冷却する液浸冷却装置である。第一冷媒R1には、例えば40℃~60℃の範囲に沸点がある特殊冷媒等が採用される。第二冷媒R2には、例えば水(HO)が採用される。したがって、本実施形態における第二冷媒R2は、液体状態である。本実施形態における冷却装置20は、冷媒槽200と、ドライクーラ210と、第二冷媒ライン220と、循環ポンプ230と、を有している。
【0015】
(冷媒槽)
冷媒槽200は、閉空間とされた内部に第一冷媒R1を収容するとともに第一冷媒R1と第二冷媒R2とを熱交換させる。冷媒槽200は、液体状態の一次冷媒を内部に貯留する冷媒槽本体201と、該冷媒槽本体201に収容され、冷媒槽本体201内における液体状態の一次冷媒よりも上方側Dvuに配置された凝縮器202とによって構成されている。
【0016】
以下では、説明の便宜上、重力が働く方向に一致する上下方向(図1における上下方向)を単に「上下方向Dv」と称する。また、上下方向Dvにおける上方側(図1における上側)を単に「上方側Dvu」と称する。また、上方側Dvuとは反対の側(図1における下側)を単に「下方側Dvd」と称する。また、重力に直交する水平方向を単に「水平方向Dh」と称する。
【0017】
冷媒槽本体201は、地面や架台等に固定された第一槽201aと、該第一槽201aに上方側Dvuから一体に接続された第二槽201bと、によって構成されている。本実施形態における第一槽201a及び第二槽201bは、直方体形状を成しており、金属等によって形成されている。第二槽201bは、第一槽201aよりも水平方向Dhにおける寸法が大きくなるように形成されている。冷媒槽本体201に貯留された第一冷媒R1の液面は、第一槽201aよりも上方側Dvuの第二槽201b内に位置している。即ち、第一槽201a内は、第一冷媒R1によって満たされている。
【0018】
ここで、サーバ10は、冷媒槽本体201内における液体状態の第一冷媒R1に浸漬されている。サーバ10は、第一槽201a内に配置されている。サーバ10は、発熱することによって第一冷媒R1を蒸発させる。この蒸発作用によって気化熱が発生し、サーバ10の熱は第一冷媒R1に奪われる。つまり、冷媒槽200は、沸騰潜熱冷却によってサーバ10を冷却している。本実施形態における冷却システム1が平常に稼働している場合、冷媒槽本体201内の第一冷媒R1の温度は、例えば、40℃から60℃の範囲に維持される。サーバ10の近傍で気体状態(気泡)となった第一冷媒R1は、上方側Dvuに移動し、第二槽201b内の雰囲気に合流する。なお、サーバ10は、浸水しないように外殻を成す機器の外表面が防水加工等によって保護されている。
【0019】
凝縮器202は、第二槽201b内に配置されている。具体的には、凝縮器202は、第一冷媒R1の液位よりも上方側Dvuの第二槽201bの内壁に固定されている。凝縮器202は、複数の金属管が互いに接続されることによって構成されている。凝縮器202は、外部から第二冷媒R2を導入可能な凝縮器入口部202aと、複数の金属管内を流通した第二冷媒R2を外部へ排出可能な凝縮器出口部202bとを有している。凝縮器出口部202bは、凝縮器入口部202aよりも上方側Dvuに配置されている。
【0020】
ここで、凝縮器202内部(複数の金属管それぞれの内部)は、冷媒槽本体201内部と気密に隔離されている。凝縮器入口部202aを通じて外部から凝縮器202内に流入した第二冷媒R2は、凝縮器202内で管壁を介して気体状態の第一冷媒R1と熱交換する。熱交換を終えた第二冷媒R2は、凝縮器出口部202bを通じて外部へ流出する。つまり、第二槽201b内では、第一冷媒R1は、第二冷媒R2によって冷やされ、第二冷媒R2は第一冷媒R1によって温められる。第二冷媒R2によって冷やされた気体状態の第一冷媒R1は、凝縮して液体となり、下方側Dvdに移動し(落下し)、貯留されている液体状態の第一冷媒R1に合流する。一方、第一冷媒R1によって温められた第二冷媒R2は、凝縮器202内を上方側Dvuへ移動し、凝縮器出口部202bを通じて外部へ流出する。なお、本実施形態における冷却システム1が平常に稼働している場合、冷媒槽本体201内雰囲気の圧力は、例えば、100PaA~500kPaAの範囲に維持される。
【0021】
(ドライクーラ)
ドライクーラ210は、空気Aを用いて第一冷媒R1と熱交換した第二冷媒R2を冷却する装置である。つまり、ドライクーラ210は、第二冷媒R2と空気Aとを熱交換させる。ドライクーラ210は、冷媒槽200から水平方向Dhに離間して配置されている。ドライクーラ210は、ケーシング211と、ファン212と、熱交換器213と、を有している。
【0022】
ケーシング211は、地面や架台等に固定されている。ケーシング211は、上下方向Dvに延びる円筒状を成している。ケーシング211における下方側Dvdの端部には、外部から空気Aを導入可能な吸気口211aが形成されており、ケーシング211における上方側Dvuの端部には、導入された空気Aを上方側Dvuに向かって排出可能な排気口211bが形成されている。吸気口211aを通じてケーシング211内に流入した空気Aは、ケーシング211内を上方側Dvuに向かって流れた後、排気口211bを通じてケーシング211の上方側Dvuに排出される。
【0023】
ファン212は、ケーシング211内に配置されている送風機である。ファン212は、駆動されることによって外部から吸気口211aを通じてケーシング211内に空気Aを取り込むとともに、取り込んだ空気Aをケーシング211内で上方側Dvuに向かって圧送する。ファン212は、複数の羽根212aと、この複数の羽根212aを支持する軸部212bと、軸部212bに接続されたファンモータ212cとによって構成されている。ファンモータ212cが回転することによって、軸部212bが回転し、軸部212bに接続された羽根212aがケーシング211内で回転される。
【0024】
熱交換器213は、ケーシング211内に配置されている。具体的には、熱交換器213は、ファン212よりも上方側Dvuのケーシング211の内壁に固定されている。熱交換器213は、上下方向Dvに延びる複数の金属管が水平方向Dhで並んで配置されることによって構成されている。凝縮器202は、外部から第二冷媒R2を、複数の金属管のうち一部の金属管内へ導入可能な熱交換器入口部213aと、この一部の金属管内を流通した第二冷媒R2を外部へ排出可能な熱交換器出口部213bとを有している。熱交換器出口部213bは、熱交換器入口部213aよりも下方側Dvdに配置されている。本実施形態では、説明の便宜上、第二冷媒R2が流れる上記一部の金属管内を「冷媒通路」と称する。
【0025】
冷媒通路は、ケーシング211内部とは気密に隔離されている。熱交換器入口部213aを通じて外部から冷媒通路内に流入した第二冷媒R2は、冷媒通路内における管壁を介してケーシング211内を上方側Dvuへ向かう空気Aと熱交換する。熱交換を終えた第二冷媒R2は、熱交換器出口部213bを通じて冷媒通路から外部へ流出する。つまり、第二冷媒R2は、空気Aによって冷やされ、空気Aは第二冷媒R2によって温められる。空気Aによって冷やされた第二冷媒R2は、下方側Dvdに流れるとともに、熱交換器出口部213bを通じて外部へ流出する。一方、第二冷媒R2によって温められた空気Aは、上方側Dvuへ移動し、排気口211bを通じて外部へ排出される。本実施形態における冷却システム1が平常に稼働している場合、ケーシング211内に導入される熱交換前の空気Aの温度は、例えば0℃~40℃の範囲に維持され、ケーシング211から排出される熱交換後の空気Aの温度は、例えば35℃~55℃の範囲に維持される。
【0026】
(第二冷媒ライン)
第二冷媒ライン220は、第二冷媒R2を冷媒槽200とドライクーラ210との間で往来させる管である。第二冷媒ライン220は、冷媒槽200で熱交換を終えた第二冷媒R2が冷媒槽200側からドライクーラ210側に向かって流れる高温ライン221と、ドライクーラ210で熱交換を終えた第二冷媒R2がドライクーラ210側から冷媒槽200側に向かって流れる低温ライン222とによって構成されている。つまり、高温ライン221中を流れる第二冷媒R2の温度は、低温ライン222中を流れる第二冷媒R2の温度よりも高い。これら高温ライン221と低温ライン222とは、金属等によって形成されている。
【0027】
本実施形態における冷却システム1が平常に稼働している場合、高温ライン221中を流れる第二冷媒R2の温度は、例えば35℃~55℃の範囲に維持され、低温ライン222中を流れる第二冷媒R2の温度は、例えば30℃~50℃の範囲に維持される。
【0028】
高温ライン221は、冷媒槽200における凝縮器202の凝縮器出口部202bと、ドライクーラ210における熱交換器213の熱交換器入口部213aとを接続している。低温ライン222は、ドライクーラ210における熱交換器213の熱交換器出口部213bと、冷媒槽200における凝縮器202の凝縮器入口部202aとを接続している。本実施形態では、冷媒槽200の凝縮器202、ドライクーラ210の熱交換器213、及び第二冷媒R2によって第二冷媒R2の流路であるクローズドループが形成されている。
【0029】
(循環ポンプ)
循環ポンプ230は、第二冷媒ライン220を通じて、冷媒槽200とドライクーラ210との間で第二冷媒R2を循環させるポンプである。循環ポンプ230は、第二冷媒ライン220における低温ライン222の中途に配置されている。循環ポンプ230は、駆動されることで低温ライン222内の第二冷媒R2をドライクーラ210側から冷媒槽200側に向かって圧送する。
【0030】
循環ポンプ230は、複数のインペラ(図示省略)を有するポンプ本体230aと、ポンプ本体230aに接続されたポンプモータ230bとによって構成されている。ポンプモータ230bが回転することによって、ポンプ本体230aにおけるインペラが回転される。これによって、第二冷媒R2は、低温ライン222、凝縮器202、高温ライン221、熱交換器213、低温ライン222の順に循環する。
【0031】
(各種センサ)
各種センサ40は、冷却装置20周辺の環境状態や、冷却装置20が有する各種機器の状態を計測する。本実施形態における各種センサ40は、外気温センサ41と、負荷センサ10aと、導電率センサ200aと、第一冷媒温度センサ200bと、第一液位センサ200cと、内圧センサ200dと、冷媒入口温度センサ210aと、冷媒出口温度センサ210bと、空気入口温度センサ210cと、空気出口温度センサ210dと、第二液位センサ210eと、第一電流センサ212sと、第二電流センサ230sと、によって構成されている。
【0032】
外気温センサ41は、外気の温度を計測する温度センサである。外気温センサ41は、冷却システム1がサーバ10室に導入されている場合は、このサーバ10室内の空気Aの温度を測定する。外気温センサ41は、計測した外気温を冷却装置20外部の監視装置30へ所定のタイミング(時間間隔)で送信する。外気温センサ41は、例えば、ドライクーラ210の近傍に配置されている。
【0033】
負荷センサ10aは、サーバ10にかかる負荷を計測するセンサである。具体的には、負荷センサ10aは、サーバ10に入力される電流値(A)及び電圧値(V)を計測することで求められる消費電力(kW)をサーバ10にかかる負荷(以下、サーバ10負荷と称する)として計測する。負荷センサ10aは、計測したサーバ10負荷を示す信号を監視装置30へ所定のタイミングで送信する。負荷センサ10aは、例えば、第一槽201a内における第一冷媒R1中のサーバ10の近傍に配置されている。したがって、負荷センサ10aは、第一冷媒R1に浸漬されている。
【0034】
導電率センサ200aは、冷媒槽本体201内における液体状態の第一冷媒R1の導電率を計測するセンサである。導電率センサ200aは、正極端子及び負極端子を有しており、これらの間にかかる抵抗値の大きさに基づいて導電率を取得する。導電率センサ200aは、計測した導電率を示す信号を監視装置30へ所定のタイミングで送信する。導電率センサ200aは、例えば、第一槽201a内における第一冷媒R1中に配置されている。したがって、導電率センサ200aは、第一冷媒R1に浸漬されている。
【0035】
第一冷媒温度センサ200bは、冷媒槽本体201内における液体状態の第一冷媒R1の温度を計測する温度センサである。第一冷媒温度センサ200bは、例えば、熱電対等のプローブを有しており、このプローブが冷媒槽本体201内部の第一冷媒R1に浸漬されることで第一冷媒R1の温度を計測する。第一冷媒温度センサ200bは、計測した第一冷媒R1の温度を示す信号を監視装置30へ所定のタイミングで送信する。第一冷媒温度センサ200bは、例えば、冷媒槽本体201内に配置されている。
【0036】
第一液位センサ200cは、冷媒槽本体201内における液体状態の第一冷媒R1の液位(液面の高さ)を計測するレベルセンサである。第一液位センサ200cは、計測した第一冷媒R1の液位を示す信号を監視装置30へ所定のタイミングで送信する。第一液位センサ200cは、例えば、第二槽201b内に配置されている。
【0037】
内圧センサ200dは、冷媒槽本体201内における気圧を計測する気圧センサである。内圧センサ200dは、計測した気圧を示す信号を監視装置30へ所定のタイミングで送信する。内圧センサ200dは、例えば、第一槽201a内における第一冷媒R1が貯留されていない空間に配置されている。
【0038】
冷媒入口温度センサ210aは、第二冷媒ライン220における高温ライン221内を冷媒槽200側からドライクーラ210側に向かって流れる第二冷媒R2の温度を計測する温度センサである。つまり、冷媒入口温度センサ210aは、凝縮器202で熱交換を終えた第二冷媒R2の温度を計測する。冷媒入口温度センサ210aは、例えば、熱電対等のプローブを有しており、このプローブが高温ライン221内を流れる第二冷媒R2に接触することで高温ライン221中の第二冷媒R2の温度を計測する。冷媒入口温度センサ210aは、計測した第二冷媒R2の温度を示す信号を監視装置30へ所定のタイミングで送信する。冷媒入口温度センサ210aは、例えば、高温ライン221内における熱交換器入口部213a近傍に配置されている。
【0039】
冷媒出口温度センサ210bは、第二冷媒ライン220における低温ライン222内をドライクーラ210側から冷媒槽200側に向かって流れる第二冷媒R2の温度を計測する温度センサである。つまり、冷媒入口温度センサ210aは、凝縮器202で熱交換する前の第二冷媒R2の温度を計測する。冷媒出口温度センサ210bは、例えば、熱電対等のプローブを有しており、このプローブが低温ライン222内を流れる第二冷媒R2に接触することで低温ライン222中の第二冷媒R2の温度を計測する。冷媒出口温度センサ210bは、計測した第二冷媒R2の温度を示す信号を監視装置30へ所定のタイミングで送信する。冷媒出口温度センサ210bは、例えば、循環ポンプ230よりもドライクーラ210側の低温ライン222内における熱交換器出口部213b近傍に配置されている。
【0040】
空気入口温度センサ210cは、ドライクーラ210のケーシング211内を上方側Dvuに向かって流れる空気Aの温度を計測する温度センサである。空気入口温度センサ210cは、熱交換器213に流入する前(熱交換前)の空気Aの温度を測定する。空気入口温度センサ210cは、例えば、熱電対等のプローブを有しており、このプローブがケーシング211内を流れる空気Aに接触することでケーシング211中の空気Aの温度を計測する。空気入口温度センサ210cは、計測した熱交換前の空気Aの温度を示す信号を監視装置30へ所定のタイミングで送信する。空気入口温度センサ210cは、例えば、ケーシング211内におけるファン212よりも上方側Dvuかつ熱交換器213よりも下方側Dvdに配置されている。
【0041】
空気出口温度センサ210dは、ドライクーラ210のケーシング211内を上方側Dvuに向かって流れる空気Aの温度を計測する温度センサである。空気出口温度センサ210dは、熱交換器213から流出した(熱交換後)の空気Aの温度を測定する。空気出口温度センサ210dは、例えば、熱電対等のプローブを有しており、このプローブがケーシング211内を流れる空気Aに接触することでケーシング211中の空気Aの温度を計測する。空気出口温度センサ210dは、計測した熱交換後の空気Aの温度を示す信号を監視装置30へ所定のタイミングで送信する。空気出口温度センサ210dは、例えば、ケーシング211内における熱交換器213よりも上方側Dvuに配置されている。
【0042】
第二液位センサ210eは、熱交換器213内における第二冷媒R2の液位(液面の高さ)を計測するレベルセンサである。第二液位センサ210eは、計測した第二冷媒R2の液位を示す信号を監視装置30へ所定のタイミングで送信する。第二液位センサ210eは、例えば、熱交換器213内の冷媒通路に配置されている。
【0043】
第一電流センサ212sは、ファン212におけるファンモータ212cを流れる電流の大きさ(電流値)を測定する電流センサである。第一電流センサ212sは、計測した電流値を示す信号を監視装置30へ所定のタイミングで送信する。第一電流センサ212sは、ファンモータ212cに電気的に接続されている。
【0044】
第二電流センサ230sは、循環ポンプ230におけるポンプモータ230bを流れる電流の大きさ(電流値)を測定する電流センサである。第二電流センサ230sは、計測した電流値を示す信号を監視装置30へ所定のタイミングで送信する。第二電流センサ230sは、ポンプモータ230bに電気的に接続されている。
【0045】
(監視装置)
監視装置30は、上記の各種センサ40が計測したデータを取得するとともに、取得したデータに基づいて機器に異常が生じているか否かを判定する装置である。監視装置30は、上記の各種センサ40に有線又は無線で接続されている。図2に示すように、監視装置30は、取得部300と、判定部310と、警告部320と、記憶部330とを有している。
【0046】
(取得部)
取得部300は、上記の各種センサ40が計測した信号を受信するとともに、受信した冷却装置20周辺の環境状態データ、及び冷却装置20が有する各種機器の状態データを同一のタイミングで取得する。
【0047】
(外気温センサからの取得)
取得部300は、外気温センサ41から送信される信号を受信することで、当該信号が示す室内の空気Aの温度のデータを取得する。取得部300は、取得した室内の空気Aの温度のデータを判定部310へ送る。
【0048】
(負荷センサからの取得)
取得部300は、負荷センサ10aから送信される信号を受信することで、当該信号が示すサーバ10負荷のデータを取得する。取得部300は、取得したサーバ10負荷のデータを判定部310へ送る。
【0049】
(導電率センサからの取得)
取得部300は、導電率センサ200aから送信される信号を受信することで、当該信号が示す冷媒槽本体201内における液体状態の第一冷媒R1の導電率のデータを取得する。取得部300は、取得した第一冷媒R1の導電率のデータを判定部310へ送る。
【0050】
(第一冷媒温度センサからの取得)
取得部300は、第一冷媒温度センサ200bから送信される信号を受信することで、当該信号が示す冷媒槽本体201内における液体状態の第一冷媒R1の温度のデータを取得する。取得部300は、取得した第一冷媒R1の温度のデータを判定部310へ送る。
【0051】
(第一液位センサからの取得)
取得部300は、第一液位センサ200cから送信される信号を受信することで、当該信号が示す冷媒槽本体201内における液体状態の第一冷媒R1の液位のデータを取得する。取得部300は、取得した第一冷媒R1の液位のデータを判定部310へ送る。
【0052】
(内圧センサからの取得)
取得部300は、内圧センサ200dから送信される信号を受信することで、当該信号が示す冷媒槽本体201内における気圧のデータを取得する。取得部300は、取得した冷媒槽本体201内における気圧のデータを判定部310へ送る。
【0053】
(冷媒入口温度センサからの取得)
取得部300は、冷媒入口温度センサ210aから送信される信号を受信することで、当該信号が示す高温ライン221内を冷媒槽200側からドライクーラ210側に向かって流れる第二冷媒R2の温度のデータを取得する。取得部300は、取得した高温ライン221内を流れる第二冷媒R2の温度を判定部310へ送る。
【0054】
(冷媒出口温度センサからの取得)
取得部300は、冷媒出口温度センサ210bから送信される信号を受信することで、当該信号が示す低温ライン222内をドライクーラ210側から冷媒槽200側に向かって流れる第二冷媒R2の温度のデータを取得する。取得部300は、取得した低温ライン222内を流れる第二冷媒R2の温度のデータを判定部310へ送る。
【0055】
(空気入口温度センサからの取得)
取得部300は、空気入口温度センサ210cから送信される信号を受信することで、当該信号が示すドライクーラ210内の熱交換前の空気Aの温度のデータを取得する。取得部300は、取得した熱交換前の空気Aの温度のデータを判定部310へ送る。
【0056】
(空気出口温度センサからの取得)
取得部300は、空気出口温度センサ210dから送信される信号を受信することで、当該信号が示すドライクーラ210内の熱交換後の空気Aの温度のデータを取得する。取得部300は、取得した熱交換後の空気Aの温度のデータを判定部310へ送る。
【0057】
(第二液位センサからの取得)
取得部300は、第二液位センサ210eから送信される信号を受信することで、当該信号が示す熱交換器213内における第二冷媒R2の液位のデータを取得する。取得部300は、取得した第二冷媒R2の液位のデータを判定部310へ送る。
【0058】
(第一電流センサからの取得)
取得部300は、第一電流センサ212sから送信される信号を受信することで、当該信号が示すファンモータ212cに流れる電流の大きさのデータを取得する。取得部300は、取得したファンモータ212cに流れる電流の大きさのデータを判定部310へ送る。
【0059】
(第二電流センサからの取得)
取得部300は、第二電流センサ230sから送信される信号を受信することで、当該信号が示すポンプモータ230bに流れる電流の大きさのデータを取得する。取得部300は、取得したポンプモータ230bに流れる電流の大きさのデータを判定部310へ送る。
【0060】
(判定部)
判定部310は、取得部300から受け付けた冷却装置20周辺の環境状態データ及び冷却装置20が有する各種機器の状態データと、記憶部330が予め記憶している所定の各種値とに基づいて判定処理をする。本実施形態では、外気温センサ41、負荷センサ10a、冷媒入口温度センサ210a、冷媒出口温度センサ210b、空気入口温度センサ210c、及び空気出口温度センサ210dから受け付けた各種データと、記憶部330が予め記憶している予測値テーブルに含まれる最適温度とを比較する場合を判定部310による判定処理の一例として説明する。
【0061】
ここで、記憶部330が記憶している予測値テーブルについて説明する。図3に示すように、予測値テーブルは、外気温と、複数のサーバ10負荷と、これら外気温及び各サーバ10負荷のそれぞれに対応した冷媒入口温度、冷媒出口温度、空気入口温度、及び空気出口温度との組合せを外気温の値毎に複数有している。
【0062】
これら冷媒入口温度、冷媒出口温度、空気入口温度、及び空気出口温度は、従来の実績等に基づいて得られた関数等の対応関係情報に、外気温及びサーバ10負荷を入力することで求められる運転条件でファンモータ212c及びポンプモータ230bが駆動された場合に示される温度である。運転条件の一例としては、例えば回転数(rpm)等が挙げられる。以下、説明の便宜上、外気温及びサーバ10負荷のそれぞれに対応した冷媒入口温度、冷媒出口温度、空気入口温度、及び空気出口温度を総称して「最適温度」と称する。
【0063】
判定部310は、外気温、サーバ10負荷、高温ライン221内の第二冷媒R2の温度、低温ライン222内の第二冷媒R2の温度、ドライクーラ210内の熱交換前の空気Aの温度、及びドライクーラ210内の熱交換後の空気Aの温度を取得部300から受け付ける。判定部310は、これらの温度を受け付けた場合、これらの温度と、外気温及びサーバ10負荷に対応する最適温度とを比較し、各種機器に異常があるか否かを判定する。
【0064】
具体的には、判定部310は、高温ライン221内の第二冷媒R2の温度と、予測値テーブルにおける冷媒入口温度とを比較する。また、判定部310は、低温ライン222内の第二冷媒R2の温度と、予測値テーブルにおける冷媒出口温度とを比較する。また、判定部310は、ドライクーラ210内の熱交換前の空気Aの温度と、予測値テーブルにおける空気入口温度とを比較する。また、判定部310は、ドライクーラ210内の熱交換後の空気Aの温度と、予測値テーブルにおける空気出口温度とを比較する。
【0065】
判定部310は、高温ライン221内の第二冷媒R2の温度及び低温ライン222内の第二冷媒R2の温度が最適温度よりも高い場合、「循環ポンプ230に異常がある」と判定する。一方、判定部310は、判定部310は、高温ライン221内の第二冷媒R2の温度及び低温ライン222内の第二冷媒R2の温度が最適温度以下である場合、「循環ポンプ230に異常がない」と判定する。
【0066】
また、判定部310は、ドライクーラ210内の熱交換後の空気Aの温度が最適温度よりも高い場合、「ファン212に異常がある」と判定する。一方、判定部310は、ドライクーラ210内の熱交換後の空気Aの温度が最適温度以下である場合、「ファン212に異常がない」と判定する。
【0067】
(警告部)
警告部320は、判定部310が「循環ポンプ230に異常がある」と判定した場合に、監視装置30の利用者が利用している機器状態を表示するための出力用インターフェース(図示省略)へ循環ポンプ230に異常がある旨を示す信号を送信する。即ち、警告部320は、循環ポンプ230の異常を示すアラームを出力用インターフェースへ発信する。また、警告部320は、判定部310が「ファン212に異常がある」と判定した場合に、上記の出力用インターフェースへファン212に異常がある旨を示す信号を送信する。即ち、警告部320は、ファン212の異常を示すアラームを出力用インターフェースへ発信する。
【0068】
出力用インターフェースには、例えば、冷却装置20の外部に配置されたスマートホンやタブレット、モニタ等の端末機器を例示することができる。出力用インターフェースは、循環ポンプ230の異常に異常がある旨を示す信号を警告部320から受信した場合、警告を示す情報であるアラームを利用者に対して表示する。なお、出力用インターフェースはスピーカ等であってもよい。
【0069】
ここで、本実施形態における利用者は、例えば、メンテナンス員とスーパーバイザとに分けることができる。これらメンテナンス員とスーパーバイザとは、それぞれ上記の出力用インターフェースを利用している。
【0070】
メンテナンス員は、警告部320から送信されたアラームを出力用インターフェースで確認した場合、アラームが示す異常がある機器を修理する。一方、スーパーバイザは、警告部320から送信された警告を出力用インターフェースで確認した場合、警告が示す異常がある機器の異常モードを確認し、例えば、異常モードに応じた機器に対する具体的なオペレーションをメンテナンス員に指示(指導)する。
【0071】
(監視装置の動作)
続いて、本実施形態における監視装置30の動作の一例について図4を参照して説明する。
【0072】
取得部300は、冷却装置20周辺の環境状態データ、及び冷却装置20が有する各種機器の状態データを取得する(ステップS1)。具体的には、取得部300は、外気温と、サーバ10負荷と、高温ライン221内の第二冷媒R2の温度、低温ライン222内の第二冷媒R2の温度、ドライクーラ210内の熱交換前の空気Aの温度、及びドライクーラ210内の熱交換後の空気Aの温度を取得する。
【0073】
次に、判定部310は、各種機器に異常があるか否かを判定する(ステップS2)。具体的には、判定部310は、取得部300が取得した温度と、取得部300が取得した外気温及びサーバ10負荷のそれぞれに対応する最適温度とを比較し、各種機器に異常があるか否かを判定する。
【0074】
各種機器に異常がないと判定部310が判定した場合(ステップS2:NO)、つまり、判定部310が「循環ポンプ230に異常がない」かつ「ファン212に異常がない」と判定した場合、監視装置30は処理を終了する。一方、各種機器に異常があると判定部310が判定した場合(ステップS2:YES)、つまり、判定部310が「循環ポンプ230に異常がある」及び「ファン212に異常がある」のうち一つ以上を判定した場合、警告部320は、利用者が利用している出力用インターフェースへアラームを発信する(ステップS3)。
【0075】
以上説明したステップS1からステップS3の処理は、冷却システム1の運転段階で繰り返し実行される。
【0076】
(利用者の動作)
続いて、本実施形態における利用者の動作の一例について図5を参照して説明する。
【0077】
利用者であるメンテナンス員及びスーパーバイザは、監視装置30における警告部320がアラームを発信した場合に、出力用インターフェースを通じてアラームを確認する(ステップS4)。次に、スーパーバイザは、異常モードに応じた機器に対するオペレーションをメンテナンス員に指示する(ステップS5)。メンテナンス員は、スーパーバイザから指示を受けた後に、異常が生じている機器を修理する(ステップS6)。
【0078】
以上説明したステップS4からステップS6の処理は、冷却システム1の運転段階で繰り返し実行される。
【0079】
(作用効果)
上述の監視装置30によれば、熱交換前後の第二冷媒R2の実温度、及び熱交換前後の空気Aの実温度のそれぞれが最適温度と比較される。これにより、ファン212及び循環ポンプ230それぞれの異常の有無の判定に対してドライクーラ210内における熱媒体の実際の熱交換効率を反映させることができる。したがって、例えば、冷却装置20における熱媒体の熱交換前後の実温度を機器の異常の有無の判定に用いない場合と比較して、冷却装置20全体の熱交換性能の低下を早期に把握するとともに、ファン212及び循環ポンプ230をより適切なタイミングでメンテナンスすることができる。その結果、冷却システム1稼働中における熱媒体の状態をより安定化させることができる。
【0080】
また、上述の監視装置30の判定部310は、熱交換器213に流入する第二冷媒R2の温度及び熱交換器213から流出した第二冷媒R2の温度のそれぞれが最適温度よりも高い場合に、循環ポンプ230に異常があると判定する。これにより、循環ポンプ230の異常を早期に検知して修理等の対応をすることができる。したがって、冷却システム1稼働中における第二冷媒R2の状態をより安定化させることができる。
【0081】
また、上述の監視装置30の判定部310は、熱交換器213から流出した第二冷媒R2の温度が最適温度よりも高い場合に、ファン212に異常があると判定する。これにより、ファン212の異常を早期に検知して修理などの対応をすることができる。したがって、冷却システム1稼働中における第二冷媒R2の状態をより安定化させることができる。
【0082】
<第二実施形態>
次に、本開示の第二実施形態に係る冷却システム1の監視装置30の構成について説明する。第二実施形態では、第一実施形態に対して冷却装置20の構成が異なっており、監視装置30の各処理部の機能及び動作の一部が異なっている。第一実施形態と同一部分には同一符号を付して説明するとともに、重複する説明を省略する。
【0083】
(冷却装置)
図6に示すように、本実施形態における冷却装置20は、冷媒槽200と、ドライクーラ210と、第二冷媒ライン220と、循環ポンプ230と、純化装置240と、冷媒純化ライン250と、純化ポンプ260と、別置きタンク270と、冷媒補充ライン280と、補充ポンプ290と、を有している。冷媒槽200、ドライクーラ210、第二冷媒ライン220、及び循環ポンプ230は、第一実施形態と同様の構成を成している。
【0084】
(純化装置)
純化装置240は、冷媒槽200とは独立した状態で液体状態の第一冷媒R1を収容している。純化装置240には、外部から第一冷媒R1が供給される。純化装置240は、電磁力等を用いて、この供給された第一冷媒R1から不純物を回収し、不純物が取り除かれた第一冷媒R1を外部へ供給する。純化装置240は、冷媒槽200から水平方向Dhに離間して配置されている。
【0085】
(冷媒純化ライン)
冷媒純化ライン250は、第一冷媒R1を冷媒槽200と純化装置240との間で往来させることができる管である。冷媒純化ライン250は、冷媒槽本体201内における液体状態の第一冷媒R1が冷媒槽200側から純化装置240側に向かって流れる第一純化ライン250aと、純化装置240内の第一冷媒R1が純化装置240側から冷媒槽200側に向かって流れる第二ラインとによって構成されている。
【0086】
第一純化ライン250aは、冷媒槽本体201の第一槽201aにおける下方側Dvdの部分と、純化装置240における上方側Dvuの部分とを接続している。第二純化ライン250bは、純化装置240における下方側Dvdの部分と、冷媒槽本体201における第二槽201bとを接続している。したがって、第二純化ライン250b中を流れる第一冷媒R1は、第一純化ライン250a中を流れる第一冷媒R1よりも純度が高い。即ち、第二純化ライン250b中を流れる第一冷媒R1には、第一純化ライン250a中を流れる第一冷媒R1よりも不純物が含まれていない。これら第一純化ライン250aと第二純化ライン250bとは、金属等によって形成されている。
【0087】
(純化ポンプ)
純化ポンプ260は、冷媒純化ライン250を通じて、冷媒槽200と純化装置240との間で第一冷媒R1を循環させるポンプである。本実施形態における純化ポンプ260は、例えば、第一純化ライン250aの中途に配置されている第一ポンプ260aと、第二純化ライン250bの中途に設けられている第二ポンプ260bとによって構成されている。
【0088】
第一ポンプ260aは、駆動されることで第一純化ライン250a内の第一冷媒R1を冷媒槽200側から純化装置240側に向かって圧送する。第二ポンプ260bは、駆動されることで第二純化ライン250b内の第一冷媒R1を純化装置240側から冷媒槽200側に向かって圧送する。これによって、冷媒槽本体201内における液体状態の第一冷媒R1は、第一槽201a、第一純化ライン250a、純化装置240、第二純化ライン250b、第二槽201bの順に循環する。
【0089】
したがって、純化ポンプ260が駆動されることで、冷媒槽本体201内における第一冷媒R1から不純物が取り除かれる。即ち、純化ポンプ260が駆動されることで、冷媒槽本体201内における第一冷媒R1が純化される。
【0090】
本実施形態における第一ポンプ260a及び第二ポンプ260bの始動や停止、定格回転数(第一純化ライン250a及び第二純化ライン250b内を流れる第一冷媒R1の流量)は、監視装置30によって制御されている。具体的には、第一ポンプ260a及び第二ポンプ260bは、始動の指示を示す信号又は停止の指示を示す信号や、出力回転数を示す信号を監視装置30から有線または無線通信を介して受信する。
【0091】
つまり、第一ポンプ260a及び第二ポンプ260bは、当該信号が示す回転数に基づいて回転し、冷媒槽200と純化装置240との間で第一冷媒R1を圧送する。また、第一ポンプ260a及び第二ポンプ260bは、自身の出力回転数を示す信号を監視装置30に有線または無線通信を介して所定のタイミングで送信する。
【0092】
(別置きタンク)
別置きタンク270は、冷媒槽200及び純化装置240のそれぞれとは独立した状態で液体状態の第一冷媒R1を収容しているタンクである。別置きタンク270は、冷媒槽200及び純化装置240から水平方向Dhに離間して配置されている。
【0093】
(冷媒補充ライン)
冷媒補充ライン280は、別置きタンク270に収容されている第一冷媒R1を冷媒槽200へ供給可能な管である。本実施形態における冷媒補充ライン280は、例えば、別置きタンク270における下方側Dvdの部分と、冷媒槽本体201の第二槽201bとを接続している。冷媒補充ライン280は、金属等によって形成されている。
【0094】
(補充ポンプ)
補充ポンプ290は、冷媒補充ライン280を通じて、別置きタンク270から冷媒槽200へ第一冷媒R1を供給可能なポンプである。補充ポンプ290は、駆動されることで冷媒補充ライン280内の第一冷媒R1を別置きタンク270側から冷媒槽200側に向かって圧送する。したがって、補充ポンプ290が駆動されることで、冷媒槽本体201内における第一冷媒R1に別置きタンク270内の第一冷媒R1が補充される。
【0095】
本実施形態における補充ポンプ290の始動や停止、定格回転数(冷媒補充ライン280内を流れる第一冷媒R1の流量)は、監視装置30によって制御されている。具体的には、補充ポンプ290は、始動の指示を示す信号又は停止の指示を示す信号や、出力回転数を示す信号を監視装置30から有線または無線通信を介して受信する。
【0096】
(監視装置)
図7に示すように、監視装置30は、取得部300と、判定部310と、警告部320と、冷媒純化部340と、冷媒補充部350と、記憶部330とを有している。取得部300は、第一実施形態と同様の構成を成している。
【0097】
(判定部)
判定部310は、取得部300から受け付けた冷却装置20周辺の環境状態データ及び冷却装置20が有する各種機器の状態データと、記憶部330が予め記憶している所定の各種値とに基づいて判定処理をする。本実施形態では、導電率センサ200a、及び第一液位センサ200cから受け付けた各種データと、記憶部330が予め記憶している所定の閾値とを比較する場合を判定部310による判定処理の一例として説明する。
【0098】
判定部310は、冷媒槽本体201内における液体状態の第一冷媒R1の導電率、及びこの第一冷媒R1の冷媒槽本体201内での液位を取得部300から受け付ける。判定部310は、これらを受け付けた場合、これらと、記憶部330が記憶している所定の閾値とを比較し、冷媒槽200内の第一冷媒R1及び冷媒槽本体201に異常があるか否かを判定する。
【0099】
具体的には、判定部310は、冷媒槽本体201内の第一冷媒R1の導電率と、記憶部330が記憶している導電率を示す第一閾値とを比較する。判定部310は、第一冷媒R1の導電率が当該第一閾値よりも高い場合、「冷媒槽本体201内の第一冷媒R1に異常がある」と判定する。一方、判定部310は、第一冷媒R1の導電率が当該第一閾値以下である場合、「冷媒槽本体201内の第一冷媒R1に異常がない」と判定する。
【0100】
また、判定部310は、冷媒槽本体201内における第一冷媒R1の液位と、記憶部330が記憶している第一冷媒R1の液位を示す第二閾値とを比較する。判定部310は、第一冷媒R1の液位が当該第二閾値よりも低い場合、「冷媒槽200から第一冷媒R1が漏洩している」と判定する。一方、判定部310は、第一冷媒R1の液位が当該第二閾値以上である場合、「冷媒槽200から第一冷媒R1が漏洩していない」と判定する。
【0101】
(警告部)
警告部320は、判定部310が「冷媒槽本体201内の第一冷媒R1に異常がある」と判定した場合に、出力用インターフェースへ第一冷媒R1に異常がある旨を示す信号を送信する。即ち、警告部320は、第一冷媒R1の異常を示すアラームを利用者が利用する出力用インターフェースへ発信する。
【0102】
(冷媒純化部)
冷媒純化部340は、判定部310が「冷媒槽本体201内の第一冷媒R1に異常がある」と判定した場合に、純化ポンプ260を駆動する。具体的には、冷媒純化部340は、始動の指示を示す信号を純化ポンプ260に送信することで、純化ポンプ260を駆動する。ここで、判定部310は、冷媒純化部340が純化ポンプ260を駆動した場合に、「冷媒純化中である」と判定する。また、判定部310は、冷媒純化部340が純化ポンプ260を駆動していない場合には、「冷媒純化中でない」と判定する。
【0103】
(冷媒補充部)
冷媒補充部350は、判定部310が「冷媒純化中である」、かつ「冷媒槽200から第一冷媒R1が漏洩している」と判定した場合、補充ポンプ290を駆動する。具体的には、冷媒補充部350は、始動の指示を示す信号を補充ポンプ290に送信することで、補充ポンプ290を駆動する。
【0104】
(監視装置の動作)
続いて、本実施形態における監視装置30の動作の一例について図8を参照して説明する。
【0105】
取得部300は、冷却装置20周辺の環境状態データ、及び冷却装置20が有する各種機器の状態データを取得する(ステップS10)。具体的には、取得部300は、冷媒槽本体201内における液体状態の第一冷媒R1の導電率、及びこの第一冷媒R1の冷媒槽本体201内での液位を取得する。
【0106】
次に、判定部310は、機器に異常があるか否かを判定する(ステップS11)。具体的には、判定部310は、冷媒槽本体201内の第一冷媒R1の導電率と、記憶部330が記憶している導電率を示す第一閾値とを比較し、冷媒槽本体201内の第一冷媒R1に異常があるか否かを判定する。
【0107】
機器に異常がないと判定部310が判定した場合(ステップS11:NO)、つまり、判定部310が「冷媒槽本体201内の第一冷媒R1に異常がない」と判定した場合、監視装置30は処理を終了する。一方、機器に異常があると判定部310が判定した場合(ステップS11:YES)、つまり、判定部310が「冷媒槽本体201内の第一冷媒R1に異常がある」と判定した場合、警告部320は、利用者が利用している出力用インターフェースへアラームを発信する(ステップS12)。
【0108】
次に、冷媒純化部340は、純化ポンプ260を駆動する(ステップS13)。次に、取得部300は、冷却装置20が有する機器の状態データを取得する(ステップS14)。具体的には、取得部300は、冷媒槽本体201内での液体状態の第一冷媒R1の液位を取得する。
【0109】
次に、判定部310は、冷媒純化中の状態であって、かつ機器に異常があるか否かを判定する(ステップS15)。具体的には、判定部310は、冷媒純化中の状態である場合に、冷媒槽本体201内での液体状態の第一冷媒R1の液位と、記憶部330が記憶している第一冷媒R1の液位を示す第二閾値とを比較し、冷媒槽本体201から第一冷媒R1が漏洩しているか否かを判定する。
【0110】
「冷媒純化中でない」と判定部310が判定した場合、又は、「冷媒純化中である」かつ「冷媒槽200から第一冷媒R1が漏洩していない」と判定部310が判定した場合(ステップS15:NO)、監視装置30は処理を終了する。一方、「冷媒純化中である」かつ「冷媒槽200から冷媒が漏洩している」と判定部310が判定した場合(ステップS15:YES)、冷媒補充部350は、補充ポンプ290を駆動する(ステップS16)。
【0111】
以上説明したステップS10からステップS16の処理は、冷却システム1の運転段階で繰り返し実行される。
【0112】
(作用効果)
上述の監視装置30によれば、冷媒槽200内の第一冷媒R1の導電率に基づいて、純化ポンプ260を駆動し、冷媒槽200内の第一冷媒R1を純化する。即ち、第一冷媒R1中の夾雑物が除去される。これにより、第一冷媒R1中の夾雑物の影響を受けてサーバ10から漏電してしまうことを抑制することができる。したがって、冷却システム1稼働中における冷媒槽200中の第一冷媒R1の状態をより安定化させることができる。また、冷媒槽200内の第一冷媒R1の導電率が高くなった場合でも、冷却装置20の運転を停止する必要がない。
【0113】
また、上述の監視装置30の判定部310は、冷媒槽本体201内における第一冷媒R1の液位と第二閾値とを比較し、当該液位が第二閾値よりも低い場合に冷媒槽200から第一冷媒R1が漏洩していると判定する。これにより、冷媒槽200の異常を早期に検知して修理等の対応をすることができる。
【0114】
また、上述の監視装置30は、第一冷媒R1の液位が第二閾値よりも低い場合に、補充ポンプ290を駆動し、冷媒槽200中に第一冷媒R1を補充する。これにより、サーバ10と第一冷媒R1との間における熱交換効率、及び第一冷媒R1と第二冷媒R2との間における熱交換効率が低下することを抑制することができる。その結果、冷却システム1稼働中における熱媒体の状態をより安定化させることができる。また、冷媒槽200内の第一冷媒R1の液位が低くなった場合でも、冷却装置20の運転を停止する必要がない。
【0115】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成は各実施形態の構成に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内での構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
【0116】
なお、図9は、本実施形態に係るコンピュータ1100の構成を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1100は、プロセッサ1110、メインメモリ1120、ストレージ1130、インターフェース1140を備える。
【0117】
上述の監視装置30は、コンピュータ1100に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ1130に記憶されている。プロセッサ1110は、プログラムをストレージ1130から読み出してメインメモリ1120に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ1110は、プログラムに従って、上述した記憶部330に対応する記憶領域をメインメモリ1120に確保する。
【0118】
プログラムは、コンピュータ1100に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージ1130に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、又は他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。
【0119】
また、コンピュータ1100は、上記構成に加えて、又は上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ1110によって実現される機能の一部又は全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0120】
ストレージ1130の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ1130は、コンピュータ1100のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース1140又は通信回線を介してコンピュータ1100に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ1100に配信される場合、配信を受けたコンピュータ1100が当該プログラムをメインメモリ1120に展開し、上記処理を実行してもよい。上記実施形態では、ストレージ1130は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0121】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、当該プログラムは、前述した機能をストレージ1130に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0122】
また、上記実施形態では、循環ポンプ230が第二冷媒ライン220における低温ライン222の中途に配置されている構成を説明したが、この構成に限定されることはない。循環ポンプ230は、第二冷媒ライン220における高温ライン221の中途に配置されてもよい。
【0123】
また、上記実施形態では、記憶部330が予測値テーブル、第一閾値、及び第二閾値を記憶している場合を説明したが、これに限定されることはない。記憶部330が記憶している構成に替えて、判定部310が予測値テーブル、第一閾値、及び第二閾値を記憶してもよい。
【0124】
また、第一実施形態では、判定部310が循環ポンプ230に異常があるか否か、及びファン212に異常があるか否かを判定する場合を説明したが、これに限定されることはなく、判定部310は一方のみに異常があるか否かを判定してもよい。
【0125】
また、第二実施形態では、「冷媒純化中である」、かつ「冷媒槽200から第一冷媒R1が漏洩している」と判定部310が判定した場合に、冷媒補充部350が補充ポンプ290を駆動しているが、これに限定されることはない。例えば、冷媒補充部350は、判定部310が「冷媒槽200から第一冷媒R1が漏洩している」と判定した場合に補充ポンプ290を駆動してもよい。この際、監視装置30は、冷媒純化部340を有していなくてもよい。以下、この場合の監視装置30の動作の変形例について図10を参照して説明する。
【0126】
取得部300は、冷却装置20周辺の環境状態データ、及び冷却装置20が有する各種機器の状態データを取得する(ステップS20)。具体的には、取得部300は、冷媒槽本体201内での液体状態の第一冷媒R1の液位を取得する。次に、判定部310は、機器に異常があるか否かを判定する(ステップS21)。具体的には、判定部310は、冷媒槽本体201内での液体状態の第一冷媒R1の液位と、記憶部330が記憶している第一冷媒R1の液位を示す第二閾値とを比較し、冷媒槽本体201から第一冷媒R1が漏洩しているか否かを判定する。
【0127】
「冷媒槽200から第一冷媒R1が漏洩していない」と判定部310が判定した場合(ステップS21:NO)、監視装置30は処理を終了する。一方、「冷媒槽200から冷媒が漏洩している」と判定部310が判定した場合(ステップS21:YES)、警告部320は、利用者が利用している出力用インターフェースへアラームを発信する(ステップS22)。次に、冷媒補充部350は、補充ポンプ290を駆動する(ステップS23)。以上説明したステップS20からステップS23の処理は、冷却システム1の運転段階で繰り返し実行される。
【0128】
また、監視装置30の判定部310は、取得部300が取得したファンモータ212cを流れる電流値及びポンプモータ230bを流れる電流値と、記憶部330が予め記憶している所定の電流値を示す閾値とを比較することでファン212及び循環ポンプ230のうち少なくとも一方に異常があるか否かを判定してもよい。具体的には、判定部310は、ファンモータ212cを流れる電流が上記閾値よりも大きい場合に、例えば、「ファン212の羽根212aに異常がある」と判定する。また、判定部310は、ポンプモータ230bを流れる電流が上記閾値よりも大きい場合に、例えば、「循環ポンプ230のインペラに異常がある」と判定する。この際、判定部310は、監視装置30の動作中におけるステップS2で上記判定処理を行えばよい。
【0129】
また、判定部310における冷媒槽200から第一冷媒R1が漏洩しているか否かの判定については、内圧センサ200dから取得部300が取得した冷媒槽本体201内における気圧のデータを用いてもよい。例えば、判定部310は、第一冷媒R1の液位が第二閾値以下であって、かつ冷媒槽本体201内における気圧が、記憶部330が記憶している第三閾値以下である場合に、「冷媒槽200から第一冷媒R1が漏洩している」と判定してもよい。即ち、冷媒槽本体201内における液体状態の第一冷媒R1の液位が低下しているにも関わらず冷媒槽本体201内における気圧が上昇していない等の傾向が確認できた場合に、冷媒槽200から第一冷媒R1が漏洩していると判定する処理を採用してもよい。
【0130】
また、メンテナンス員が機器の修理を終えた後に、メンテナンス員及びスーパーバイザのうち少なくとも一方が、例えば、機器の故障時における取得部300が取得した冷却装置20周辺の環境状態データと、冷却装置20が有する各種機器の状態データと、故障のモードとを監視装置30における記憶部330に記録する(記憶させる)ことでデータベース化してもよい。なお、利用者は、入力用インターフェース等を介してこれらを上位装置等に記録してデータベース化してもよい。
【0131】
以下、これら冷却装置20周辺の環境状態データ、冷却装置20が有する各種機器の状態データ、及び故障のモードの組み合わせを故障記録と称する。監視装置30の判定部310は、データベース化された故障記録を入出力サンプルとして用いて、例えば、機械学習(教師あり学習)等を用いたAIによって各種機器に異常があるか否かの判定を行う処理を採用してもよい。この際、監視装置30における取得部300は、当該故障記録を記憶部330で記憶された故障記録のデータベースから取得する。以下、図11及び図12を参照して上記実施形態で説明した利用者の動作及び監視装置30の動作の変形例を説明する。
【0132】
(利用者の動作)
利用者であるメンテナンス員及びスーパーバイザは、監視装置30における警告部320がアラームを発信した場合に、出力用インターフェースを通じてアラームを確認する(ステップS4)。次に、スーパーバイザは、異常モードに応じた機器に対するオペレーションをメンテナンス員に指示する(ステップS5)。メンテナンス員は、スーパーバイザから指示を受けた場合に、機器を修理する(ステップS6)。次に、メンテナンス員及びスーパーバイザのうち少なくとも一方は、故障記録をデータベース化する(ステップS7)。以上説明したステップS4からステップS7の処理は、冷却システム1の運転段階で繰り返し実行される。
【0133】
(第一実施形態の変形例における監視装置の動作)
図11に示すように、取得部300は、冷却装置20周辺の環境状態データ、冷却装置20が有する各種機器の状態データ、及び故障記録を取得する(ステップS1)。次に、判定部310は、各種機器に異常があるか否かを判定する(ステップS2)。各種機器に異常がないと判定部310が判定した場合(ステップS2:NO)、監視装置30は処理を終了する。一方、各種機器に異常があると判定部310が判定した場合(ステップS2:YES)、警告部320は、利用者が利用している出力用インターフェースへアラームを発信する(ステップS3)。以上説明したステップS1からステップS3の処理は、冷却システム1の運転段階で繰り返し実行される。
【0134】
(第二実施形態の変形例における監視装置の動作)
図12に示すように、取得部300は、冷却装置20周辺の環境状態データ、冷却装置20が有する各種機器の状態データ、及び故障記録を取得する(ステップS10)。次に、判定部310は、機器に異常があるか否かを判定する(ステップS11)。機器に異常がないと判定部310が判定した場合(ステップS11:NO)、監視装置30は処理を終了する。一方、機器に異常があると判定部310が判定した場合(ステップS11:YES)、警告部320は、利用者が利用している出力用インターフェースへアラームを発信する(ステップS12)。
【0135】
次に、冷媒純化部340は、純化ポンプ260を駆動する(ステップS13)。次に、取得部300は、冷却装置20が有する機器の状態データを取得する(ステップS14)。次に、判定部310は、冷媒純化中の状態であって、かつ機器に異常があるか否かを判定する(ステップS15)。「冷媒純化中でない」と判定部310が判定した場合、又は、「冷媒純化中である」かつ「冷媒槽200から第一冷媒R1が漏洩していない」と判定部310が判定した場合(ステップS15:NO)、監視装置30は処理を終了する。一方、「冷媒純化中である」かつ「冷媒槽200から冷媒が漏洩している」と判定部310が判定した場合(ステップS15:YES)、冷媒補充部350は、補充ポンプ290を駆動する(ステップS16)。以上説明したステップS10からステップS16の処理は、冷却システム1の運転段階で繰り返し実行される。
【0136】
また、各実施形態で説明される冷却システム1の構成は、それぞれ独立した構成に留まることはなく、各実施形態に記載の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0137】
<付記>
各実施形態に記載の監視装置は、例えば以下のように把握される。
【0138】
(1)第1の態様に係る監視装置30は、電子機器から熱を除去する第一冷媒R1を、閉空間とされた内部に収容する冷媒槽200と、前記第一冷媒R1と熱交換した第二冷媒R2を、前記冷媒槽200の外部で空気Aを用いて冷却するドライクーラ210と、第二冷媒ライン220を通じて、前記冷媒槽200と前記ドライクーラ210との間で前記第二冷媒R2を循環させる循環ポンプ230と、を備える冷却装置20の異常を監視する監視装置30であって、前記ドライクーラ210における熱交換器213に流入する前記第二冷媒R2の温度及び前記熱交換器213から流出した前記第二冷媒R2の温度と、前記熱交換器213に流入する前記空気Aの温度及び前記熱交換器213から流出した前記空気Aの温度と、のうち一組以上を取得する取得部300と、外気温及び前記電子機器の負荷に対応した最適温度と、前記取得部300が取得した各前記温度とを比較することで、前記ドライクーラ210と前記循環ポンプ230とのうち一つ以上に異常があるか否かを判定する判定部310と、を有する。
【0139】
これにより、熱交換前後の第二冷媒R2の実温度と、熱交換前後の空気Aの実温度とのうち一組以上が最適温度と比較されるため、熱媒体を扱うドライクーラ210及び循環ポンプ230における異常の有無の判定に実際の熱交換効率を反映させることができる。したがって、例えば、冷却装置20における熱媒体の熱交換前後の実温度を異常の有無の判定に用いない場合と比較して、冷却装置20全体の熱交換性能の低下を早期に把握するとともに、機器をより適切なタイミングでメンテナンスすることができる。
【0140】
(2)第2の態様に係る監視装置30は、(1)の監視装置30であって、前記判定部310は、前記熱交換器213に流入する前記第二冷媒R2の温度及び前記熱交換器213から流出した前記第二冷媒R2の温度のそれぞれが前記最適温度よりも高い場合に、前記循環ポンプ230に異常があると判定し、前記熱交換器213から流出した前記第二冷媒R2の温度が前記最適温度よりも高い場合に、前記ドライクーラ210に異常があると判定してもよい。
【0141】
これにより、機器の異常を早期に検知して修理等の対応をすることができる。
【0142】
(3)第3の態様に係る監視装置30は、(1)又は(2)の監視装置30であって、前記冷却装置20は、前記冷媒槽200とは独立して前記第一冷媒R1を収容する純化装置240と、駆動されることで前記冷媒槽200内の前記第一冷媒R1と前記純化装置240内の前記第一冷媒R1とを冷媒純化ライン250を通じて入れ替え可能な純化ポンプ260と、を更に備え、前記取得部300は、前記冷媒槽200内の前記第一冷媒R1の導電率を更に取得し、前記取得部300が取得した前記導電率に基づいて、前記純化ポンプ260を駆動する冷媒純化部340を更に有してもよい。
【0143】
これにより、冷媒槽200内における第一冷媒R1中の夾雑物の影響を受けてサーバ10から漏電してしまうことを抑制することができる。また、冷却装置20を停止させる必要がない。
【0144】
(4)第4の態様に係る監視装置30は、(1)から(3)の何れかの監視装置30であって、前記取得部300は、前記冷媒槽200内の前記第一冷媒R1の液位を更に取得し、前記判定部310は、前記取得部300が取得した前記液位に基づいて、前記冷媒槽200から前記第一冷媒R1が漏洩しているか否かを更に判定してもよい。
【0145】
これにより、冷媒槽200の異常を早期に検知して修理等の対応をすることができる。
【0146】
(5)第5の態様に係る監視装置30は、(4)の監視装置30であって、前記冷却装置20は、前記冷媒槽200とは独立して前記第一冷媒R1を収容する別置きタンク270と、駆動されることで前記別置きタンク270から前記冷媒槽200へ冷媒補充ライン280を通じて前記第一冷媒R1を供給可能な補充ポンプ290と、を更に備え、前記判定部310が前記冷媒槽200から前記第一冷媒R1が漏洩していると判定した場合に、前記補充ポンプ290を駆動する冷媒補充部350を更に有してもよい。
【0147】
これにより、サーバ10と第一冷媒R1との間における熱交換効率、及び第一冷媒R1と第二冷媒R2との間における熱交換効率が低下することを抑制することができる。また、冷却装置20を停止させる必要がない。
【0148】
(6)第6の態様に係る監視装置30は、電子機器から熱を除去する第一冷媒R1を、閉空間とされた内部に収容する冷媒槽200と、前記第一冷媒R1と熱交換した第二冷媒R2を、前記冷媒槽200の外部で空気Aを用いて冷却するドライクーラ210と、前記冷媒槽200とは独立して前記第一冷媒R1を収容する別置きタンク270と、駆動されることで前記別置きタンク270から前記冷媒槽200へ冷媒補充ライン280を通じて前記第一冷媒R1を供給可能な補充ポンプ290と、を備える冷却装置20の異常を監視する監視装置30であって、前記冷媒槽200内の前記第一冷媒R1の液位を取得する取得部300と、前記取得部300が取得した前記液位に基づいて、前記冷媒槽200から前記第一冷媒R1が漏洩しているか否かを判定する判定部310と、前記判定部310が前記冷媒槽200から前記第一冷媒R1が漏洩していると判定した場合に、前記補充ポンプ290を駆動する冷媒補充部350と、を有する。
【0149】
これにより、第一冷媒R1が冷媒槽200から漏洩している場合に、補充ポンプ290が駆動され、冷媒槽200中に第一冷媒R1を補充されるため、サーバ10と第一冷媒R1との間における熱交換効率、及び第一冷媒R1と第二冷媒R2との間における熱交換効率が低下することを抑制することができる。また、第一冷媒R1が冷媒槽200から漏洩している場合であっても、冷却装置20の運転を停止する必要がない。
【符号の説明】
【0150】
1…冷却システム 10…サーバ 10a…負荷センサ 20…冷却装置 30…監視装置 40…各種センサ 41…外気温センサ 200…冷媒槽 200a…導電率センサ 200b…第一冷媒温度センサ 200c…第一液位センサ 200d…内圧センサ 201…冷媒槽本体 201a…第一槽 201b…第二槽 202…凝縮器 202a…凝縮器入口部 202b…凝縮器出口部 210…ドライクーラ 210a…冷媒入口温度センサ 210b…冷媒出口温度センサ 210c…空気入口温度センサ 210d…空気出口温度センサ 210e…第二液位センサ 211…ケーシング 211a…吸気口 211b…排気口 212…ファン 212a…羽根 212b…軸部 212c…ファンモータ 212s…第一電流センサ 213…熱交換器 213a…熱交換器入口部 213b…熱交換器出口部 220…第二冷媒ライン 221…高温ライン 222…低温ライン 230…循環ポンプ 230a…ポンプ本体 230b…ポンプモータ 230s…第二電流センサ 240…純化装置 250…冷媒純化ライン 250a…第一純化ライン 250b…第二純化ライン 260…純化ポンプ 260a…第一ポンプ 260b…第二ポンプ 270…別置きタンク 280…冷媒補充ライン 290…補充ポンプ 300…取得部 310…判定部 320…警告部 330…記憶部 340…冷媒純化部 350…冷媒補充部 1100…コンピュータ 1110…プロセッサ 1120…メインメモリ 1130…ストレージ 1140…インターフェース A…空気 Dv…上下方向 Dvd…下方側 Dvu…上方側 Dh…水平方向 R1…第一冷媒 R2…第二冷媒
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12