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  • 特開-接着剤組成物および時計 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023119930
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】接着剤組成物および時計
(51)【国際特許分類】
   C09J 163/02 20060101AFI20230822BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20230822BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20230822BHJP
   G04C 3/12 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
C09J163/02
C09J11/04
C09J11/06
G04C3/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023070
(22)【出願日】2022-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】船木 亮佑
(72)【発明者】
【氏名】赤尾 祐司
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040EC061
4J040HA306
4J040HC15
4J040HC23
4J040KA16
4J040KA42
4J040LA06
4J040MA01
(57)【要約】
【課題】音叉などの時計部品を固定する際に、耐振動衝撃性を発揮できる接着剤組成物を提供すること。
【解決手段】接着剤組成物は、25℃で液状のビスフェノール型エポキシ樹脂を含む主剤と、硬化剤と、フュームドシリカとを含み、前記主剤に下記式(A)で表される化合物をさらに含むか、または、前記硬化剤に7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドを含む。下記式(A)中、Rは、それぞれ独立に、炭素原子数3~12のアルキレン基を表す。
【化1】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
25℃で液状のビスフェノール型エポキシ樹脂を含む主剤と、
硬化剤と、
フュームドシリカとを含み、
前記主剤に下記式(A)で表される化合物をさらに含むか、または、前記硬化剤に7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドを含む、
接着剤組成物。
【化1】
(前記式(A)中、Rは、それぞれ独立に、炭素原子数3~12のアルキレン基を表す。)
【請求項2】
前記主剤に前記式(A)で表される化合物を含む場合には、
前記25℃で液状のビスフェノール型エポキシ樹脂および前記式(A)で表される化合物の合計100質量部中、前記25℃で液状のビスフェノール型エポキシ樹脂を10質量部以上99質量部以下の量で、前記式(A)で表される化合物を1質量部以上90質量部以下の量で含む、
請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項3】
前記硬化剤に7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドを含む場合には、
前記主剤100質量部に対して、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドを40質量部以上60質量部以下の量で含む、
請求項1または2に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
前記硬化剤に1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインをさらに含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
【請求項5】
前記硬化剤にイミダゾール系硬化剤をさらに含む、
請求項1~4のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
【請求項6】
前記硬化剤にアミンアダクト型潜在性硬化剤をさらに含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
【請求項7】
音叉と磁石枠とが、請求項1~6のいずれか1項に記載の接着剤組成物により固定されている、時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤組成物および時計に関する。
【背景技術】
【0002】
音叉時計は、電磁コイルが供えられた磁石枠と音叉とを有する(たとえば特許文献1)。なお、音叉時計では、電池により電磁コイルに電圧をかけると、音叉が振動し、これが運針の動力に変わる。また、2010年頃に、シチズン時計株式会社は、1960年代に市販されていたブローバ・コーポレーションのブローバアキュトロンの復刻版である、音叉時計を製造していた。この復刻版の音叉時計では、ムーブメントとしてY214が内蔵されており、磁石枠と音叉とは、ろう付けにより接着されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実全昭48-033365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の音叉時計では、磁石枠と音叉との接着部位における耐振動衝撃性に改善の余地がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、音叉時計において、磁石枠と音叉とを接着する際に、優れた耐振動衝撃性を発揮できる接着剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の接着剤組成物は、25℃で液状のビスフェノール型エポキシ樹脂を含む主剤と、硬化剤と、フュームドシリカとを含み、上記主剤に下記式(A)で表される化合物をさらに含むか、または、上記硬化剤に7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドを含む。下記式(A)中、Rは、それぞれ独立に、炭素原子数3~12のアルキレン基を表す。
【0007】
【化1】
【発明の効果】
【0008】
音叉などの時計部品を固定する際に、本発明の接着剤組成物を用いると、優れた耐振動衝撃性を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態の時計を説明するための図である。
図2図2は、実施形態の時計を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
【0011】
<実施形態1の接着剤組成物>
実施形態1の接着剤組成物は、25℃で液状のビスフェノール型エポキシ樹脂を含む主剤と、硬化剤と、フュームドシリカとを含む。また、主剤に下記式(A)で表される化合物をさらに含む。本明細書において、この化合物を化合物(A)ともいう。下記式(A)中、Rは、それぞれ独立に、炭素原子数3~12のアルキレン基を表す。
【0012】
【化2】
【0013】
また、硬化剤に具体的には1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントイン(CAS No.88122-32-1)を含む。なお、実施形態1の接着剤組成物は、25℃で、液体の主剤と固体の硬化剤とを含み、一液性の接着剤組成物である。
【0014】
音叉時計では、音叉は時計の動作時に振動する。このため、音叉と磁石枠とを固定する際は、硬化後に優れた耐振動衝撃性を発揮できる接着剤組成物を用いる必要がある。また、音叉と磁石枠とは強固に固定されている必要がある。実施形態1の接着剤組成物は、硬化した際に優れた耐振動衝撃性および優れた接着強度を発揮できるため、音叉と磁石枠との固定に好適に用いることができる。具体的には、化合物(A)における1,5-ヘキサジエン骨格(上記式(A)において点線で囲った部分)により、接着剤組成物が硬化して得られる硬化物が適度な柔軟性を示す。したがって、優れた耐振動衝撃性を発揮できる。また、上記ビスフェノール型エポキシ樹脂も含んでいることにより、音叉と磁石枠とを強固に固定できる。
【0015】
また、実施形態1の接着剤組成物は、上記主剤および硬化剤を含むため、硬化物を着色させず、透明に保つことができる。このため、時計の外側から、音叉と磁石枠との結合部位が視認可能なデザインである場合にも、好ましい外観が得られる利点がある。
【0016】
25℃で液状のビスフェノール型エポキシ樹脂としては、具体的には、25℃で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、25℃で液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂が好適に用いられる。上記ビスフェノールF型エポキシ樹脂は、粘度が低く、安定性も高いため好ましい。上記ビスフェノール型エポキシ樹脂は1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記ビスフェノール型エポキシ樹脂は、25℃での粘度が15P以上60P以下であることが好ましい。
【0017】
上記化合物(A)について、上記式(A)中、Rは、それぞれ独立に、炭素原子数3~12のアルキレン基を表す。このようなアルキレン基は、直鎖状であっても分岐状であってもよい。上記アルキレン基としては、テトラメチレン基(-(CH24-)、ヘキサメチレン基(-(CH26-)、オクタメチレン基(-(CH28-)、デカメチレン基(-(CH212-)が挙げられる。これらのうちで、ヘキサメチレン基が好適に用いられる。上記化合物(A)は1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
このように、実施形態1の接着剤組成物は、主剤として上記ビスフェノール型エポキシ樹脂と上記化合物(A)とを含む。ここで、主剤(上記ビスフェノール型エポキシ樹脂および上記化合物(A))の合計100質量部中、上記ビスフェノール型エポキシ樹脂を10質量部以上99質量部以下の量で、上記化合物(A)を1質量部以上90質量部以下の量で含むことが好ましい。また、上記ビスフェノール型エポキシ樹脂を40質量部以上60質量部以下の量で、上記化合物(A)を60質量部以上40質量部以下の量で含むことがより好ましい。上記ビスフェノール型エポキシ樹脂および上記化合物(A)が上記の量で含まれていると、接着剤組成物が硬化した際に、より優れた耐振動衝撃性と、より優れた接着強度とを発揮できる。
【0019】
また、1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインを用いると、厳しい高温下条件でなくても接着剤組成物を硬化できる利点がある。たとえば60℃以上90℃以下で接着剤組成物を硬化できる利点がある。
【0020】
1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインは、主剤100質量部(上記ビスフェノール型エポキシ樹脂および上記化合物(A)の合計100質量部)に対して、30質量部以上60質量部以下の量で含まれていることが好ましい。1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインがこの量で含まれていると、主剤を好適に硬化できる。
【0021】
また、上記フュームドシリカ(煙霧シリカ)を用いると、接着剤組成物が硬化した際に、微視的にも均一な硬化物が得られる。フュームドシリカによって、硬化時に、主剤と硬化剤との分離が抑えられるためである。すなわち、主剤が液体であり、硬化剤が固体である場合、加熱硬化中に比重の違いから、両者が分離し、微視的に硬化反応が不均一になり得る。これに対して、実施形態1の接着剤組成物では、フュームドシリカを混和させているため、実施形態1の接着剤組成物にチキソ性が生まれる。その結果、実施形態1の接着剤組成物中の液体成分(主剤)が加温により低粘度化しても、固形成分(硬化剤)が移動分離し難くなり、不均一硬化反応を防止できる。このように、実施形態1の接着剤組成物は、微視的にも均一に硬化するため、より優れた耐振動衝撃性と、より優れた接着強度とを発揮できる。
【0022】
フュームドシリカは、たとえばクロロシランなどのハロゲン化シランの火炎加水分解によって製造される。フュームドシリカは、表面に存在するOH基をジメチルジクロロシランなどの有機珪素化合物と反応させた疎水化フュームドシリカであってもよい。フュームドシリカは、平均一次粒子径が500nm以下であることが好ましい。なお、平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡写真より求められる。平均一次粒子径が上記範囲にあると、硬化時に、主剤と硬化剤との分離をより抑えられ、微視的にもより均一に硬化された硬化物が得られる。
【0023】
フュームドシリカは、接着剤組成物100質量部中に、0.01質量部以上10質量部以下の量で含まれていることが好ましい。すなわち、接着剤組成物100質量%中に、0.01質量%以上10質量%以下の量で含まれていることが好ましい。フュームドシリカがこの量で含まれていると、微視的にもより均一に硬化された硬化物が得られる。
【0024】
実施形態1の接着剤組成物は、上述した成分を適宜混合して調製できる。
【0025】
<実施形態2の接着剤組成物>
実施形態2の接着剤組成物は、25℃で液状のビスフェノール型エポキシ樹脂を含む主剤と、硬化剤と、フュームドシリカとを含む。また、硬化剤に7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジド(CAS No.79240-70-3)を含む。なお、実施形態2の接着剤組成物は、25℃で、液体の主剤と固体の硬化剤とを含み、一液性の接着剤組成物である。
【0026】
上述のように、音叉時計において、音叉と磁石枠とを固定する際は、硬化後に優れた耐振動衝撃性を発揮できる接着剤組成物を用いる必要がある。また、音叉と磁石枠とは強固に固定されている必要がある。実施形態2の接着剤組成物は、硬化した際に優れた耐振動衝撃性および優れた接着強度を発揮できるため、音叉と磁石枠との固定に好適に用いることができる。具体的には、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドにおける1,5-ヘキサジエン骨格(下記式において点線で囲った部分)により、接着剤組成物が硬化して得られる硬化物が適度な柔軟性を示す。したがって、優れた耐振動衝撃性を発揮できる。また、上記ビスフェノール型エポキシ樹脂も含んでいることにより、音叉と磁石枠とを強固に固定できる。
【0027】
【化3】
【0028】
また、実施形態2の接着剤組成物は、上記主剤および硬化剤を含むため、硬化物を着色させず、透明に保つことができる。このため、時計の外側から、音叉と磁石枠との結合部位が視認可能なデザインである場合にも、好ましい外観が得られる利点がある。
【0029】
実施形態2において、25℃で液状のビスフェノール型エポキシ樹脂の詳細については、好ましい範囲等も含め、実施形態1にて説明したものと同様である。
【0030】
また、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドを用いると、たとえば100℃以上120℃以下で接着剤組成物を硬化できる。
【0031】
7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドは、主剤(上記ビスフェノール型エポキシ樹脂)100質量部に対して、40質量部以上60質量部以下の量で含まれていることが好ましい。7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドがこの量で含まれていると、主剤を好適に硬化できる。
【0032】
また、実施形態2の接着剤組成物は、硬化剤に1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインをさらに含んでいてもよい。1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインは、上述のように、厳しい高温下条件でなくても接着剤組成物を硬化できる。7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドおよび1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインを併用すると、たとえば60℃以上90℃以下で接着剤組成物を硬化できるようになる。これは、以下の機構によると考えられる。上記温度下では、1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインが初めに溶け出し硬化反応が起こり、次に7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドも少量ずつ溶け出すことができ、硬化反応に寄与すると考えられる。また、1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインは、硬化物を着色させず、透明に保つことができる利点がある。
【0033】
7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドおよび1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインを併用する場合は、下記の量で含まれていることが好ましい。すなわち、主剤(上記ビスフェノール型エポキシ樹脂)100質量部に対して、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドおよび1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインは、合計で、40質量部以上60質量部以下の量で含まれていることが好ましい。両者がこの量で含まれていると、主剤を好適に硬化できる。
また、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドおよび1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインの合計100質量部中、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドは70質量部以上100質量部未満の量で、1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインは0質量部を超え30質量部以下の量で含まれていることが好ましい。
なお、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドおよび1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインを併用する場合、主剤(上記ビスフェノール型エポキシ樹脂)100質量部に対して、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジド単独で40質量部以上含まれていることがより好ましい。
【0034】
実施形態2において、フュームドシリカの詳細については、好ましい範囲、量等も含め、実施形態1にて説明したものと同様である。
【0035】
実施形態2の接着剤組成物は、上述した成分を適宜混合して調製できる。
【0036】
<実施形態3の接着剤組成物>
実施形態3の接着剤組成物は、25℃で液状のビスフェノール型エポキシ樹脂を含む主剤と、硬化剤と、フュームドシリカとを含む。また、主剤に上記式(A)で表される化合物(A)をさらに含む。さらに、硬化剤に7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドを含む。なお、実施形態3の接着剤組成物は、25℃で、液体の主剤と固体の硬化剤とを含み、一液性の接着剤組成物である。
【0037】
上述のように、音叉時計において、音叉と磁石枠とを固定する際は、硬化後に優れた耐振動衝撃性を発揮できる接着剤組成物を用いる必要がある。また、音叉と磁石枠とは強固に固定されている必要がある。実施形態3の接着剤組成物は、硬化した際に優れた耐振動衝撃性および優れた接着強度を発揮できるため、音叉と磁石枠との固定に好適に用いることができる。具体的には、化合物(A)および7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドにおける1,5-ヘキサジエン骨格により、接着剤組成物が硬化して得られる硬化物が適度な柔軟性を示す。したがって、優れた耐振動衝撃性を発揮できる。また、上記ビスフェノール型エポキシ樹脂も含んでいることにより、音叉と磁石枠とを強固に固定できる。
【0038】
また、実施形態3の接着剤組成物は、上記主剤および硬化剤を含むため、硬化物を着色させず、透明に保つことができる。このため、時計の外側から、音叉と磁石枠との結合部位が視認可能なデザインである場合にも、好ましい外観が得られる利点がある。
【0039】
実施形態3において、25℃で液状のビスフェノール型エポキシ樹脂および上記化合物(A)の詳細については、好ましい範囲、量等も含め、実施形態1にて説明したものと同様である。
【0040】
また、実施形態3において、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドの詳細については、好ましい範囲等も含め、実施形態2にて説明したものと同様である。なお、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドは、主剤100質量部(上記ビスフェノール型エポキシ樹脂および上記化合物(A)の合計100質量部)に対して、40質量部以上60質量部以下の量で含まれていることが好ましい。7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドがこの量で含まれていると、主剤を好適に硬化できる。
【0041】
また、実施形態3の接着剤組成物は、硬化剤に1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインをさらに含んでいてもよい。1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインは、上述のように、厳しい高温下条件でなくても接着剤組成物を硬化できる。7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドおよび1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインを併用すると、たとえば60℃以上90℃以下で接着剤組成物を硬化できるようになる。また、1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインは、硬化物を着色させず、透明に保つことができる利点がある。
【0042】
7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドおよび1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインを併用する場合は、下記の量で含まれていることが好ましい。すなわち、主剤100質量部(上記ビスフェノール型エポキシ樹脂および上記化合物(A)の合計100質量部)に対して、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドおよび1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインは、合計で、40質量部以上60質量部以下の量で含まれていることが好ましい。両者がこの量で含まれていると、主剤を好適に硬化できる。
また、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドおよび1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインの合計100質量部中、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドは70質量部以上100質量部未満の量で、1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインは0質量部を超え30質量部以下の量で含まれていることが好ましい。
なお、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドおよび1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインを併用する場合、主剤100質量部(上記ビスフェノール型エポキシ樹脂および上記化合物(A)の合計100質量部)に対して、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジド単独で40質量部以上含まれていることがより好ましい。
【0043】
実施形態3において、フュームドシリカの詳細については、好ましい範囲、量等も含め、実施形態1にて説明したものと同様である。
【0044】
実施形態3の接着剤組成物は、上述した成分を適宜混合して調製できる。
【0045】
上述した実施形態1~3の接着剤組成物について、実施形態3のように化合物(A)および7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドが含まれていることがより好ましい。すなわち、主剤および硬化剤の両方に1,5-ヘキサジエン骨格を有する化合物を含んでいることが好ましい。7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドのみを含んでいると、耐振動衝撃性および接着強度を高められるが、接着剤組成物の粘度が上昇し、取り扱い性が低下する場合がある。これに対して、化合物(A)も併用すると、接着剤組成物の粘度を小さくでき、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドによる粘度上昇分を相殺できる。さらに、化合物(A)も併用すると、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドによる効果よりは小さいものの、耐振動衝撃性および接着強度をより高められる。したがって、実施形態3のように化合物(A)および7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドが含まれていると、耐振動衝撃性と取り扱い性とのバランスの観点から好ましい。
【0046】
<その他の実施形態の接着剤組成物>
実施形態1~3の接着剤組成物において、硬化剤にイミダゾール系硬化剤をさらに含んでいてもよい。イミダゾール系硬化剤を用いると、硬化速度を大きくできる。また、イミダゾール系硬化剤は、硬化物を着色させず、透明に保つことができる。
【0047】
イミダゾール系硬化剤としては、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-イソブチル-2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾールなどが挙げられる。イミダゾール系硬化剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちで、融点および溶解性の観点から、2位に炭素原子数11~17のアルキル基を有するイミダゾールが好ましい。特に、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾールが好適に用いられる。
【0048】
実施形態1~3の接着剤組成物において、イミダゾール系硬化剤を用いるときは、硬化速度の観点から、基準成分100質量部に対して0.1質量部以上30質量部以下の量で含むことが好ましい。イミダゾール系硬化剤の量が多すぎると、接着強度が弱くなる場合がある。
【0049】
ここで、実施形態1の接着剤組成物では、基準成分は、1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインである。また、実施形態2、3の接着剤組成物では、1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインを含まないときは、基準成分は、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドである。また、実施形態2、3の接着剤組成物では、1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインを含むときは、基準成分は、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドおよび1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインである。すなわち、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドおよび1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインの合計量を基準とする。
【0050】
また、実施形態1~3の接着剤組成物において、硬化剤にアミンアダクト型潜在性硬化剤をさらに含んでいてもよい。アミンアダクト型潜在性硬化剤を用いると、硬化速度を大きくでき、また、接着強度を高められる。アミンアダクト型潜在性硬化剤とは、エポキシ樹脂とアミン化合物との反応生成物(いわゆる、エポキシ樹脂アミンアダクト)である。たとえば、単官能および多官能エポキシ樹脂のエポキシ基と、活性水素を1分子内に1個以上有し、かつ1級、2級、3級アミノ基の中から選ばれた置換基を少なくとも1分子内に1個以上有するアミン化合物とが、付加反応して得られる反応生成物である。アミンアダクト型潜在性硬化剤は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
実施形態1~3の接着剤組成物において、アミンアダクト型潜在性硬化剤を用いるときは、硬化速度および接着強度の観点から、基準成分100質量部に対して0.1質量部以上20質量部以下の量で含むことが好ましい。アミンアダクト型潜在性硬化剤の量が多すぎると、硬化物が着色する場合がある。ここで、基準成分については、イミダゾール系硬化剤の場合と同様である。
【0052】
なお、実施形態1~3の接着剤組成物においては、1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインを必須成分としてまたは任意成分として含んでいる。しかしながら、実施形態1~3の接着剤組成物において、1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインの代わりに、他の硬化剤を用いてもよい。他の硬化剤としては、25℃で固体であり、透明な硬化物を得られる硬化剤が好適に用いられる。
【0053】
さらに、実施形態1~3の接着剤組成物は、その他の成分として、UV吸収剤を含んでいてもよい。また、硬化物を部品の色に合わせたい場合は、着色剤を含んでいてもよい。
【0054】
さらに、実施形態1~3やその他の実施形態の接着剤組成物によれば、音叉と磁石枠以外であっても、耐振動衝撃性や接着強度が必要とされる時計部品同士を強固に固定できる。たとえば、上述した接着剤組成物は、ガラスとケースとの固定、文字板と時字との固定にも好適に用いられる。
【0055】
<実施形態の時計>
図1および図2は、実施形態の時計を説明するための図である。具体的には、実施形態の時計は音叉時計であり、音叉1と磁石枠2とを有する。音叉1と磁石枠2とは、上述した接着剤組成物により固定されている。この音叉時計では、電池により、磁石枠2内に備えられた電磁コイルに電圧をかけると、音叉1が振動し、これが運針の動力に変わる。このように、音叉1は時計の動作時に振動するため、音叉1と磁石枠2との接着部位は、硬化した際に優れた耐振動衝撃性を発揮できる接着剤組成物で接着されている必要がある。また、音叉1と磁石枠2とは強固に固定されている必要がある。したがって、上記音叉時計には、上述した接着剤組成物が好適に用いられる。すなわち、実施形態の時計は、耐振動衝撃性および耐久性に優れる。
【0056】
実施形態の時計の作製の際には、たとえば、接着部位を形成する音叉1の先端11に、上述した接着剤組成物を塗布する。次いで、上記接着剤組成物が1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインを含むときは、音叉1の先端11を磁石枠2に付け、60℃以上90℃以下で1時間以上8時間以下加熱し、接着剤組成物を硬化して、音叉1と磁石枠2とを接着させる。また、上記接着剤組成物が1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインを含まず7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドを含むときは、音叉1の先端11を磁石枠2に付け、100℃以上120℃以下で1時間以上8時間以下加熱し、接着剤組成物を硬化して、音叉1と磁石枠2とを接着させる。なお、実施形態の時計の作製において、その他の工程は、通常の方法により行うことができる。
【0057】
以上より、本発明は以下に関する。
〔1〕 25℃で液状のビスフェノール型エポキシ樹脂を含む主剤と、硬化剤と、フュームドシリカとを含み、上記主剤に下記式(A)で表される化合物をさらに含むか、または、上記硬化剤に7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドを含む、接着剤組成物。下記式(A)中、Rは、それぞれ独立に、炭素原子数3~12のアルキレン基を表す。
【0058】
【化4】
【0059】
〔2〕 上記主剤に上記式(A)で表される化合物を含む場合には、上記25℃で液状のビスフェノール型エポキシ樹脂および上記式(A)で表される化合物の合計100質量部中、上記25℃で液状のビスフェノール型エポキシ樹脂を10質量部以上99質量部以下の量で、上記式(A)で表される化合物を1質量部以上90質量部以下の量で含む、〔1〕に記載の接着剤組成物。
〔3〕 上記硬化剤に7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドを含む場合には、上記主剤100質量部に対して、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドを40質量部以上60質量部以下の量で含む、〔1〕または〔2〕に記載の接着剤組成物。
上記〔1〕~〔3〕の接着剤組成物によれば、音叉などの時計部品を固定する際に、耐振動衝撃性を発揮できる。
〔4〕 上記硬化剤に1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインをさらに含む、〔1〕~〔3〕のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインを用いることは、硬化温度の点で好ましく、また、硬化物を着色させず、透明に保つことができる利点がある。
〔5〕 上記硬化剤にイミダゾール系硬化剤をさらに含む、〔1〕~〔4〕のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
イミダゾール系硬化剤を用いることは、硬化速度の点で好ましい。
〔6〕 上記硬化剤にアミンアダクト型潜在性硬化剤をさらに含む、〔1〕~〔5〕のいずれか1つに記載の接着剤組成物。
アミンアダクト型潜在性硬化剤を用いることは、硬化速度および接着強度の点で好ましい。
〔7〕 音叉と磁石枠とが〔1〕~〔6〕のいずれか1つに記載の接着剤組成物により固定されている、時計。
上記〔7〕の時計は、耐振動衝撃性および耐久性に優れる。
【0060】
[実施例]
以下実施例に基づいて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例、比較例では、以下の主剤、硬化剤およびフュームドシリカを使用した。
主剤:
・液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂(製品名:jER(登録商標)807(25℃での粘度30P以上45P以下)、三菱ケミカル株式会社製)
・液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂(製品名:jER(登録商標)828(25℃での粘度120P以上150P以下)、三菱ケミカル株式会社製)
・8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)(製品名:IPU-22G、岡村製油株式会社製)
硬化剤:
・1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントイン(製品名:アミキュア(登録商標)VDHまたはVDH-J、味の素ファインテクノ株式会社製)
・7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジド(製品名:アミキュア(登録商標)UDHまたはUDH-J、味の素ファインテクノ株式会社製)
・2-ウンデシルイミダゾール(製品名:C11Z、四国化成工業株式会社製)
・2-ヘプタデシルイミダゾール(製品名:C17Z、四国化成工業株式会社製)
・エポキシ樹脂アミンアダクト(製品名:アミキュア(登録商標)PN-23J、味の素ファインテクノ株式会社製)
フュームドシリカ:
・フュームドシリカ(エボニック インダストリーズ社製、製品名:AEROSIL(登録商標)200)
【0061】
[実施例1-1-1]
室温(20℃)で、主剤として液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)と、硬化剤として1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインと、フュームドシリカとを配合し混合して接着剤組成物を得た。ここで、主剤の合計100質量部(液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂50質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)50質量部)に対して、硬化剤を40質量部となる量で用いた。また、接着剤組成物100質量部中、フュームドシリカを0.1質量部となる量で用いた。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0062】
[実施例1-1-2]
液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂50質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)50質量部の代わりに、液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂99質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)1質量部を用いた以外は、実施例1-1-1と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0063】
[実施例1-1-3]
液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂50質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)50質量部の代わりに、液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂80質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)20質量部を用いた以外は、実施例1-1-1と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0064】
[実施例1-1-4]
液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂50質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)50質量部の代わりに、液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂60質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)40質量部を用いた以外は、実施例1-1-1と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0065】
[実施例1-1-5]
液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂50質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)50質量部の代わりに、液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂40質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)60質量部を用いた以外は、実施例1-1-1と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0066】
[実施例1-1-6]
液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂50質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)50質量部の代わりに、液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂20質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)80質量部を用いた以外は、実施例1-1-1と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0067】
[実施例1-1-7]
液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂50質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)50質量部の代わりに、液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂10質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)90質量部を用いた以外は、実施例1-1-1と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0068】
[実施例1-1-8]
主剤の合計100質量部(液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂50質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)50質量部)に対して、硬化剤を30質量部となる量で用いた以外は、実施例1-1-1と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0069】
[実施例1-1-9]
主剤の合計100質量部(液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂50質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)50質量部)に対して、硬化剤を50質量部となる量で用いた以外は、実施例1-1-1と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0070】
[実施例1-1-10]
主剤の合計100質量部(液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂50質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)50質量部)に対して、硬化剤を60質量部となる量で用いた以外は、実施例1-1-1と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0071】
[実施例1-1-11]
室温(20℃)で、主剤として液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)と、硬化剤として1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインおよび2-ウンデシルイミダゾールと、フュームドシリカとを配合し混合して接着剤組成物を得た。ここで、主剤の合計100質量部(液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂50質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)50質量部)に対して、1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインを40質量部となる量で用いた。また、基準成分(1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントイン)100質量部に対して2-ウンデシルイミダゾールを1質量部となる量で用いた。さらに、接着剤組成物100質量部中、フュームドシリカを0.1質量部となる量で用いた。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0072】
[実施例1-1-12]
基準成分(1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントイン)100質量部に対して2-ウンデシルイミダゾールを0.1質量部となる量で用いた以外は、実施例1-1-11と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0073】
[実施例1-1-13]
基準成分(1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントイン)100質量部に対して2-ウンデシルイミダゾールを30質量部となる量で用いた以外は、実施例1-1-11と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0074】
[実施例1-1-14]
2-ウンデシルイミダゾールの代わりに2-ヘプタデシルイミダゾールを用いた以外は、実施例1-1-11と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0075】
[実施例1-1-15]
室温(20℃)で、主剤として液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)と、硬化剤として1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインおよびエポキシ樹脂アミンアダクトと、フュームドシリカとを配合し混合して接着剤組成物を得た。ここで、主剤の合計100質量部(液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂50質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)50質量部)に対して、1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインを40質量部となる量で用いた。また、基準成分(1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントイン)100質量部に対してエポキシ樹脂アミンアダクトを1質量部となる量で用いた。さらに、接着剤組成物100質量部中、フュームドシリカを0.1質量部となる量で用いた。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0076】
[実施例1-1-16]
基準成分(1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントイン)100質量部に対してエポキシ樹脂アミンアダクトを0.1質量部となる量で用いた以外は、実施例1-1-15と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0077】
[実施例1-1-17]
基準成分(1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントイン)100質量部に対してエポキシ樹脂アミンアダクトを20質量部となる量で用いた以外は、実施例1-1-15と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0078】
[実施例1-1-18]
接着剤組成物100質量部中、フュームドシリカを0.01質量部となる量で用いた以外は、実施例1-1-1と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0079】
[実施例1-1-19]
接着剤組成物100質量部中、フュームドシリカを10質量部となる量で用いた以外は、実施例1-1-1と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0080】
[実施例2-1-1]
室温(20℃)で、主剤として液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂と、硬化剤として7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドと、フュームドシリカとを配合し混合して接着剤組成物を得た。ここで、主剤100質量部に対して、硬化剤を50質量部となる量で用いた。また、接着剤組成物100質量部中、フュームドシリカを0.1質量部となる量で用いた。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0081】
[実施例2-1-2]
主剤100質量部に対して、硬化剤を40質量部となる量で用いた以外は、実施例2-1-1と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0082】
[実施例2-1-3]
主剤100質量部に対して、硬化剤を60質量部となる量で用いた以外は、実施例2-1-1と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0083】
[実施例2-1-4]
室温(20℃)で、主剤として液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂と、硬化剤として7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドおよび1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインと、フュームドシリカとを配合し混合して接着剤組成物を得た。ここで、主剤100質量部に対して、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドおよび1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインを合計で50質量部となる量で用いた。また、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドおよび1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインの合計100質量部中、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドを70質量部、1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインを30質量部となる量で用いた。さらに、接着剤組成物100質量部中、フュームドシリカを0.1質量部となる量で用いた。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0084】
[実施例2-1-5]
7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドおよび1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインの合計100質量部中、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドを90質量部、1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインを10質量部となる量で用いた以外は、実施例2-1-4と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0085】
[実施例2-1-6]
室温(20℃)で、主剤として液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂と、硬化剤として7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドおよび2-ウンデシルイミダゾールと、フュームドシリカとを配合し混合して接着剤組成物を得た。ここで、主剤100質量部に対して、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドを50質量部となる量で用いた。また、基準成分(7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジド)100質量部に対して2-ウンデシルイミダゾールを1質量部となる量で用いた。さらに、接着剤組成物100質量部中、フュームドシリカを0.1質量部となる量で用いた。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0086】
[実施例2-1-7]
基準成分(7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジド)100質量部に対して2-ウンデシルイミダゾールを0.1質量部となる量で用いた以外は、実施例2-1-6と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0087】
[実施例2-1-8]
基準成分(7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジド)100質量部に対して2-ウンデシルイミダゾールを30質量部となる量で用いた以外は、実施例2-1-6と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0088】
[実施例2-1-9]
2-ウンデシルイミダゾールの代わりに2-ヘプタデシルイミダゾールを用いた以外は、実施例2-1-6と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0089】
[実施例2-1-10]
室温(20℃)で、主剤として液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂と、硬化剤として7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドおよびエポキシ樹脂アミンアダクトと、フュームドシリカとを配合し混合して接着剤組成物を得た。ここで、主剤100質量部に対して、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドを50質量部となる量で用いた。また、基準成分(7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジド)100質量部に対してエポキシ樹脂アミンアダクトを1質量部となる量で用いた。さらに、接着剤組成物100質量部中、フュームドシリカを0.1質量部となる量で用いた。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0090】
[実施例2-1-11]
基準成分(7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジド)100質量部に対してエポキシ樹脂アミンアダクトを0.1質量部となる量で用いた以外は、実施例2-1-10と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0091】
[実施例2-1-12]
基準成分(7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジド)100質量部に対してエポキシ樹脂アミンアダクトを20質量部となる量で用いた以外は、実施例2-1-10と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0092】
[実施例2-1-13]
接着剤組成物100質量部中、フュームドシリカを0.01質量部となる量で用いた以外は、実施例2-1-1と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0093】
[実施例2-1-14]
接着剤組成物100質量部中、フュームドシリカを10質量部となる量で用いた以外は、実施例2-1-1と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0094】
[実施例3-1-1]
室温(20℃)で、主剤として液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)と、硬化剤として7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドと、フュームドシリカとを配合し混合して接着剤組成物を得た。ここで、主剤の合計100質量部(液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂50質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)50質量部)に対して、硬化剤を50質量部となる量で用いた。また、接着剤組成物100質量部中、フュームドシリカを0.1質量部となる量で用いた。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0095】
[実施例3-1-2]
液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂50質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)50質量部の代わりに、液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂99質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)1質量部を用いた以外は、実施例3-1-1と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0096】
[実施例3-1-3]
液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂50質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)50質量部の代わりに、液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂80質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)20質量部を用いた以外は、実施例3-1-1と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0097】
[実施例3-1-4]
液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂50質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)50質量部の代わりに、液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂60質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)40質量部を用いた以外は、実施例3-1-1と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0098】
[実施例3-1-5]
液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂50質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)50質量部の代わりに、液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂40質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)60質量部を用いた以外は、実施例3-1-1と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0099】
[実施例3-1-6]
液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂50質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)50質量部の代わりに、液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂20質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)80質量部を用いた以外は、実施例3-1-1と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0100】
[実施例3-1-7]
液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂50質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)50質量部の代わりに、液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂10質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)90質量部を用いた以外は、実施例3-1-1と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0101】
[実施例3-1-8]
主剤の合計100質量部(液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂50質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)50質量部)に対して、硬化剤を40質量部となる量で用いた以外は、実施例3-1-1と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0102】
[実施例3-1-9]
主剤の合計100質量部(液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂50質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)50質量部)に対して、硬化剤を60質量部となる量で用いた以外は、実施例3-1-1と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0103】
[実施例3-1-10]
室温(20℃)で、主剤として液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)と、硬化剤として7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドおよび1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインと、フュームドシリカとを配合し混合して接着剤組成物を得た。ここで、主剤の合計100質量部(液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂50質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)50質量部)に対して、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドおよび1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインを合計で50質量部となる量で用いた。また、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドおよび1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインの合計100質量部中、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドを70質量部、1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインを30質量部となる量で用いた。さらに、接着剤組成物100質量部中、フュームドシリカを0.1質量部となる量で用いた。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0104】
[実施例3-1-11]
7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドおよび1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインの合計100質量部中、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドを90質量部、1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインを10質量部となる量で用いた以外は、実施例3-1-10と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0105】
[実施例3-1-12]
室温(20℃)で、主剤として液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)と、硬化剤として7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドおよび2-ウンデシルイミダゾールと、フュームドシリカとを配合し混合して接着剤組成物を得た。ここで、主剤100質量部(液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂50質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)50質量部)に対して、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドを50質量部となる量で用いた。また、基準成分(7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジド)100質量部に対して2-ウンデシルイミダゾールを1質量部となる量で用いた。さらに、接着剤組成物100質量部中、フュームドシリカを0.1質量部となる量で用いた。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0106】
[実施例3-1-13]
基準成分(7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジド)100質量部に対して2-ウンデシルイミダゾールを0.1質量部となる量で用いた以外は、実施例3-1-12と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0107】
[実施例3-1-14]
基準成分(7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジド)100質量部に対して2-ウンデシルイミダゾールを30質量部となる量で用いた以外は、実施例3-1-12と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0108】
[実施例3-1-15]
2-ウンデシルイミダゾールの代わりに2-ヘプタデシルイミダゾールを用いた以外は、実施例3-1-12と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0109】
[実施例3-1-16]
室温(20℃)で、主剤として液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)と、硬化剤として7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドおよびエポキシ樹脂アミンアダクトと、フュームドシリカとを配合し混合して接着剤組成物を得た。ここで、主剤の合計100質量部(液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂50質量部および8,13-ジメチル-8,12-エイコサジエン二酸ビス(2,3-エポキシプロピル)50質量部)に対して、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジドを50質量部となる量で用いた。また、基準成分(7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジド)100質量部に対してエポキシ樹脂アミンアダクトを1質量部となる量で用いた。さらに、接着剤組成物100質量部中、フュームドシリカを0.1質量部となる量で用いた。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0110】
[実施例3-1-17]
基準成分(7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジド)100質量部に対してエポキシ樹脂アミンアダクトを0.1質量部となる量で用いた以外は、実施例3-1-16と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0111】
[実施例3-1-18]
基準成分(7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジド)100質量部に対してエポキシ樹脂アミンアダクトを20質量部となる量で用いた以外は、実施例3-1-16と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0112】
[実施例3-1-19]
接着剤組成物100質量部中、フュームドシリカを0.01質量部となる量で用いた以外は、実施例3-1-1と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0113】
[実施例3-1-20]
接着剤組成物100質量部中、フュームドシリカを10質量部となる量で用いた以外は、実施例3-1-1と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0114】
[実施例4-1-1]
主剤として液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂の代わりに、液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いた以外は、実施1-1-1と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0115】
[実施例4-1-2]
主剤として液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂の代わりに、液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いた以外は、実施2-1-1と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0116】
[実施例4-1-3]
主剤として液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂の代わりに、液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いた以外は、実施3-1-1と同様にして接着剤組成物を作製した。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0117】
[比較例1-1-1]
室温(20℃)で、主剤として液状のビスフェノールF型エポキシ樹脂と、硬化剤として1,3-ビス(ヒドラジノカルボノエチル)-5-イソプロピルヒダントインと、フュームドシリカとを配合し混合して接着剤組成物を得た。ここで、主剤の合計100質量部に対して、硬化剤を40質量部となる量で用いた。また、接着剤組成物100質量部中、フュームドシリカを0.1質量部となる量で用いた。なお、得られた接着剤組成物は、主剤中にその他の成分が均一に分散した一液性の接着剤組成物であった。
【0118】
[実施例1-2-1]
図2に示すように、接着部位を形成する音叉1の先端11に、実施例1-1-1で作製した接着剤組成物を塗布した。次いで、音叉1の先端11を磁石枠2に付け、90℃で1時間加熱し、接着剤組成物を硬化して、音叉1と磁石枠2とを接着させた(図1)。なお、磁石枠2には電磁コイルが供えられていた。また、音叉1と磁石枠2とを腕時計用のケースに入れて組み立てて、ヘッドを作製した。また、ヘッドは、ガラス側から音叉1と磁石枠2との結合部位が視認可能なデザインであった。
【0119】
[実施例1-2-2~1-2-19、2-2-4、2-2-5、3-2-10、3-2-11、4-2-1]
実施例1-1-1で作製した接着剤組成物の代わりに、実施例1-1-2~1-1-19、2-1-4、2-1-5、3-1-10、3-1-11、4-1-1で作製した接着剤組成物を用いた以外は、実施例1-2-1と同様にしてヘッドを作製した。
【0120】
[実施例2-2-1]
図2に示すように、接着部位を形成する音叉1の先端11に、実施例2-1-1で作製した接着剤組成物を塗布した。次いで、音叉1の先端11を磁石枠2に付け、100℃で1時間加熱し、接着剤組成物を硬化して、音叉1と磁石枠2とを接着させた(図1)。なお、磁石枠2には電磁コイルが供えられていた。また、音叉1と磁石枠2とを腕時計用のケースに入れて組み立てて、ヘッドを作製した。また、ヘッドは、ガラス側から音叉1と磁石枠2との結合部位が視認可能なデザインであった。
【0121】
[実施例2-2-2、2-2-3、2-2-6~2-2-14、3-2-1~3-2-9、3-2-12~3-2-20、4-2-2、4-2-3]
実施例2-1-1で作製した接着剤組成物の代わりに、実施例2-1-2、2-1-3、2-1-6~2-1-14、3-1-1~3-1-9、3-1-12~3-1-20、4-1-2、4-1-3で作製した接着剤組成物を用いた以外は、実施例2-2-1と同様にしてヘッドを作製した。
【0122】
[比較例1-2-1]
実施例1-1-1で作製した接着剤組成物の代わりに、比較例1-1-1で作製した接着剤組成物を用いた以外は、実施例1-2-1と同様にしてヘッドを作製した。
【0123】
<評価方法>
[耐振動衝撃性および接着性]
上記実施例、比較例では、具体的には、3個のヘッドを作製しておき、下記の試験(1)~(3)を行った。
試験(1)
上記実施例、比較例で作製したヘッド(1個目)について、ガラス側を床面に向け、床面に対して水平にして手で保持した。床面から、ヘッドのガラス表面までの高さは60cmであった。次いで、ヘッドから手を放し、この高さから床面まで落下させた。この落下操作をさらに49回行い、合計50回行った。なお、ヘッドの作製後速やかに、落下操作を行った。
ガラス側から、音叉1と磁石枠2との間で剥離が見られるか否かを調べた。剥離が見られた場合は、そこで落下操作を終了した。以下の基準で評価し、表1に評価結果をまとめて示す。
A:50回目の落下操作後も、音叉1と磁石枠2とは剥離していなかった。
B:30回目の落下操作後から50回目の落下操作後のいずれかで、音叉1と磁石枠2とが剥離していた。
C:20回目の落下操作後から29回目の落下操作後のいずれかで、音叉1と磁石枠2とが剥離していた。
D:1回目の落下操作後から19回目の落下操作後のいずれかで、音叉1と磁石枠2とが剥離していた。
【0124】
試験(2)
上記実施例、比較例で作製したヘッド(2個目)について、作製後から24時間、そのまま時計を作動させておいた。24時間後、このヘッドのガラス側を床面に向け、床面に対して水平にして手で保持した。床面から、ヘッドのガラス表面までの高さは60cmであった。次いで、ヘッドから手を放し、この高さから床面まで落下させた。この落下操作をさらに49回行い、合計50回行った。
ガラス側から、音叉1と磁石枠2との間で剥離が見られるか否かを調べた。剥離が見られた場合は、そこで落下操作を終了した。以下の基準で評価し、表1に評価結果をまとめて示す。
A:50回目の落下操作後も、音叉1と磁石枠2とは剥離していなかった。
B:30回目の落下操作後から50回目の落下操作後のいずれかで、音叉1と磁石枠2とが剥離していた。
C:20回目の落下操作後から29回目の落下操作後のいずれかで、音叉1と磁石枠2とが剥離していた。
D:1回目の落下操作後から19回目の落下操作後のいずれかで、音叉1と磁石枠2とが剥離していた。
【0125】
試験(3)
上記実施例、比較例で作製したヘッド(3個目)について、作製後から1週間、そのまま時計を作動させておいた。1週間後、このヘッドのガラス側を床面に向け、床面に対して水平にして手で保持した。床面から、ヘッドのガラス表面までの高さは60cmであった。次いで、ヘッドから手を放し、この高さから床面まで落下させた。この落下操作をさらに49回行い、合計50回行った。
ガラス側から、音叉1と磁石枠2との間で剥離が見られるか否かを調べた。剥離が見られた場合は、そこで落下操作を終了した。以下の基準で評価し、表1に評価結果をまとめて示す。
A:50回目の落下操作後も、音叉1と磁石枠2とは剥離していなかった。
B:30回目の落下操作後から50回目の落下操作後のいずれかで、音叉1と磁石枠2とが剥離していた。
C:20回目の落下操作後から29回目の落下操作後のいずれかで、音叉1と磁石枠2とが剥離していた。
D:1回目の落下操作後から19回目の落下操作後のいずれかで、音叉1と磁石枠2とが剥離していた。
なお、試験(1)~(3)それぞれにおいて、Aの場合は、高い耐振動衝撃性および高い接着性を有するといえる。また、Bの場合は、耐振動衝撃性および接着性のいずれかが、Aの場合よりも劣ることがわかる。Cの場合は、耐振動衝撃性および接着性のいずれかが、Bの場合よりも劣ることがわかる。Dの場合は、耐振動衝撃性および接着性のいずれかが、Cの場合よりも劣ることがわかる。
【0126】
[硬化速度]
上記実施例、比較例で作製した接着剤組成物を、ガラス板に載せ、90℃または100℃に加熱し、硬化するまでの時間を調べた。具体的には、加熱を開始してから5分後および60分後に、接着剤組成物に針先を押し付けた。針先を押し付けた際に、針先が接着剤組成物に侵入できた場合は硬化していないと判断し、侵入できなかった場合は硬化したと判断した。
なお、実施例1-1-1~1-1-19、2-1-4、2-1-5、3-1-10、3-1-11、4-1-1で作製した接着剤組成物は、90℃に加熱して調べた。また、実施例2-1-1~2-1-3、2-1-6~2-1-14、3-1-1~3-1-9、3-1-12~3-1-20、4-1-2、4-1-3で作製した接着剤組成物は、100℃に加熱して調べた。
A:加熱を開始してから5分後に、接着剤組成物が硬化していた。
B:加熱を開始してから5分後には、接着剤組成物が硬化していなかったが、加熱を開始してから60分後に、接着剤組成物が硬化していた。
C:加熱を開始してから60分後にも、接着剤組成物が硬化していなかった。
【0127】
耐振動衝撃性および接着性の評価結果と、硬化速度の評価結果とを、表1に示す。
【0128】
【表1】
【0129】
【表2】
【0130】
【表3】
【符号の説明】
【0131】
1 音叉
2 磁石枠
11 音叉の先端
図1
図2