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特開2023-120015成形条件調整方法、コンピュータプログラム、成形条件調整装置及び射出成形機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120015
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】成形条件調整方法、コンピュータプログラム、成形条件調整装置及び射出成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/76 20060101AFI20230822BHJP
   B29C 45/77 20060101ALI20230822BHJP
   B29C 45/78 20060101ALI20230822BHJP
   B29C 45/80 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
B29C45/76
B29C45/77
B29C45/78
B29C45/80
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023176
(22)【出願日】2022-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】安孫子 優紀
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AM22
4F206AM32
4F206AP11
4F206AP12
4F206AP16
4F206AP20
4F206AR00
4F206AR014
4F206AR023
4F206AR024
4F206AR03
4F206AR033
4F206AR06
4F206AR061
4F206AR063
4F206AR064
4F206AR067
4F206AR07
4F206AR074
4F206AR082
4F206AR084
4F206AR092
4F206AR103
4F206AR11
4F206JA07
4F206JL03
4F206JL09
4F206JP14
4F206JP18
4F206JP30
4F206JQ90
(57)【要約】
【課題】調整すべき成形条件項目、調整範囲及び調整刻み幅を決定し、条件出しを自動的に実行することができる成形条件調整方法を提供する。
【解決手段】射出成形機の成形条件を調整する成形条件調整方法であって、金型の特徴を示す金型情報、樹脂の特性を示す樹脂情報、又は成形品の不良現象を示す不良情報を取得し、取得した金型情報、樹脂情報又は不良情報に基づいて、調整すべき成形条件の項目、調整範囲及び調整刻み幅を決定し、決定した調整すべき成形条件の項目、調整範囲及び調整刻み幅に基づいて、成形条件を変更しながら成形制御を実行する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形機の成形条件を調整する成形条件調整方法であって、
金型の特徴を示す金型情報、樹脂の特性を示す樹脂情報、又は成形品の不良現象を示す不良情報を取得し、
取得した前記金型情報、前記樹脂情報又は前記不良情報に基づいて、調整すべき成形条件の項目、調整範囲及び調整刻み幅を決定し、
決定した調整すべき成形条件の項目、調整範囲及び調整刻み幅に基づいて、成形条件を変更しながら成形制御を実行する
成形条件調整方法。
【請求項2】
前記金型情報、前記樹脂情報及び前記不良情報が入力された場合、成形条件である複数の項目の調整の要否、調整範囲及び調整刻み幅に係る情報を出力する学習モデルに、取得した前記金型情報、前記樹脂情報及び前記不良情報を入力することによって、調整すべき成形条件の項目、調整範囲及び調整刻み幅を決定する
請求項1に記載の成形条件調整方法。
【請求項3】
前記金型情報は金型の画像データを含み、前記樹脂情報は原料樹脂の融点又は粘度を示すデータを含み、前記不良情報は成形品のバリ、ヒケ、フローマーク、クラック、ウェルドライン、ボイド、シルバーストリーク又はショートの有無を示すデータを含む
請求項1又は請求項2に記載の成形条件調整方法。
【請求項4】
前記成形条件の項目は、射出速度、射出圧力、ヒータ温度、保圧圧力、保圧切替位置、射出開始位置、金型内樹脂温度、ノズル温度、ホッパ温度、型締力、射出加速度、射出ストローク、シリンダ先端樹脂圧、逆防リング着座状態、保圧切替速度、保圧完了位置、クッション位置、計量背圧、計量トルク、計量完了位置、スクリュ後退速度、サイクル時間、型閉時間、射出時間、保圧時間、計量時間、型開時間、冷却時間、スクリュ回転数、金型開閉速度、突き出し速度、又は突き出し回数を含む
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の成形条件調整方法。
【請求項5】
成形条件の変更の履歴を表示する
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の成形条件調整方法。
【請求項6】
射出成形機の成形条件を調整する処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
金型の特徴を示す金型情報、樹脂の特性を示す樹脂情報、又は成形品の不良現象を示す不良情報を取得し、
取得した前記金型情報、前記樹脂情報又は前記不良情報に基づいて、調整すべき成形条件の項目、調整範囲及び調整刻み幅を決定し、
決定した調整すべき成形条件の項目、調整範囲及び調整刻み幅に基づいて、成形条件を変更しながら成形制御を実行する
処理を前記コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項7】
射出成形機の成形条件を調整する成形条件調整装置であって、
金型の特徴を示す金型情報、樹脂の特性を示す樹脂情報、又は成形品の不良現象を示す不良情報を取得する取得部と、
取得した前記金型情報、前記樹脂情報又は前記不良情報に基づいて、調整すべき成形条件の項目、調整範囲及び調整刻み幅を決定する決定部と、
決定した調整すべき成形条件の項目、調整範囲及び調整刻み幅に基づいて、成形条件を変更しながら成形制御を実行する制御部と
を備える成形条件調整装置。
【請求項8】
請求項7に記載の成形条件調整装置を備える射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形条件調整方法、コンピュータプログラム、成形条件調整装置及び射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機に新造金型などを装着して射出成形作業を初めて行う場合には、まず条件出し作業を行って各種成形条件項目の設定値を調整し、成形条件を求める必要がある。成形条件項目には、例えば射出シリンダの温度、射出圧力、射出速度、保圧切替位置、スクリューバック位置などがある。これらの成形条件の調整は、オペレータの経験に基づいて行われており、適切な成形条件を得るためには、試行錯誤を繰り返す必要がある。
【0003】
特許文献1には、最も適した成形条件を取得するための成形データ収集方法が開示されている。特許文献1に係る成形データ収集方法は、まず粗成形条件を求める。次に粗成形条件から順次選択された成形条件項目毎にその成形条件値を予め設定された許容限度幅内で予め設定された刻み幅で順次増加または減少させて得られた複数の成形条件を作成する。次に作成した複数の成形条件に対して設定回数分または設定時間分の連続成形作業を自動的に行わせながら成形条件毎に成形データを収集する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09-216265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、金型の特徴、樹脂の特性、又は成形品の状態などを加味して、条件出しを自動で行う成形条件調整方法は開示されていない。
【0006】
本開示の目的は、調整すべき成形条件項目、調整範囲及び調整刻み幅を決定し、条件出しを自動的に実行することができる成形条件調整方法、コンピュータプログラム、成形条件調整装置及び射出成形機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本態様に係る成形条件調整方法は、射出成形機の成形条件を調整する成形条件調整方法であって、金型の特徴を示す金型情報、樹脂の特性を示す樹脂情報、又は成形品の不良現象を示す不良情報を取得し、取得した前記金型情報、前記樹脂情報又は前記不良情報に基づいて、調整すべき成形条件の項目、調整範囲及び調整刻み幅を決定し、決定した調整すべき成形条件の項目、調整範囲及び調整刻み幅に基づいて、成形条件を変更しながら成形制御を実行する。
【0008】
本態様に係るコンピュータプログラム(プログラム製品)は、射出成形機の成形条件を調整する処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、金型の特徴を示す金型情報、樹脂の特性を示す樹脂情報、又は成形品の不良現象を示す不良情報を取得し、取得した前記金型情報、前記樹脂情報又は前記不良情報に基づいて、調整すべき成形条件の項目、調整範囲及び調整刻み幅を決定し、決定した調整すべき成形条件の項目、調整範囲及び調整刻み幅に基づいて、成形条件を変更しながら成形制御を実行する処理を前記コンピュータに実行させる。
【0009】
本態様に係る成形条件調整装置は、射出成形機の成形条件を調整する成形条件調整装置であって、金型の特徴を示す金型情報、樹脂の特性を示す樹脂情報、又は成形品の不良現象を示す不良情報を取得する取得部と、取得した前記金型情報、前記樹脂情報又は前記不良情報に基づいて、調整すべき成形条件の項目、調整範囲及び調整刻み幅を決定する決定部と、決定した調整すべき成形条件の項目、調整範囲及び調整刻み幅に基づいて、成形条件を変更しながら成形制御を実行する制御部とを備える。
【0010】
本態様に係る射出成形機は、上記成形条件調整装置を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、調整すべき成形条件項目、調整範囲及び調整刻み幅を決定し、条件出しを自動的に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態1に係る射出成形機の構成例を説明する模式図である。
図2】実施形態1に係る成形条件調整装置の構成例を示すブロック図である。
図3】実施形態1に係る条件出し学習モデルを示す概念図である。
図4】実施形態1に係るプロセッサの処理手順を示すフローチャートである。
図5】実施形態1に係る成形条件調整画面の一例を示す模式図である。
図6】実施形態2に係る射出成形機の構成例を説明する模式図である。
図7】実施形態2に係る条件出し学習モデルを示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態に係る成形条件調整方法、コンピュータプログラム、成形条件調整装置及び射出成形機の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0014】
図1は、実施形態1に係る射出成形機1の構成例を示す模式図である。本実施形態1に係る射出成形機1は、金型21を型締めする型締装置2と、成形材料を可塑化して射出する射出装置3と、制御装置4とを備える。制御装置4は、本実施形態1に係る成形条件調整装置として機能する。
【0015】
型締装置2はベッド20上に固定された固定盤22と、ベッド20上をスライド可能に設けられた型締ハウジング23と、ベッド20上を同様にスライドする可動盤24とを備える。固定盤22と型締ハウジング23は複数本、例えば4本のタイバー25、25、…によって連結されている。可動盤24は、固定盤22と型締ハウジング23の間でスライド自在に構成されている。型締ハウジング23と可動盤24の間には型締機構26が設けられている。
【0016】
型締機構26は、例えばトグル機構から構成されている。なお、型締機構26は、直圧式の型締機構、つまり型締シリンダによって構成してもよい。固定盤22と可動盤24にはそれぞれ固定金型21aと、可動金型21bが設けられ、型締機構26を駆動すると金型21が型開閉されるようになっている。
【0017】
射出装置3は、基台30上に設けられている。射出装置3は、先端部にノズル31aを有する加熱シリンダ31と、当該加熱シリンダ31内に周方向と軸方向とに回転可能に配されたスクリュ32とを備える。スクリュ32は駆動機構33によって回転方向と軸方向とに駆動する。駆動機構33は、スクリュ32を回転方向に駆動する回転モータと、スクリュ32を軸方向に駆動するモータ等から構成されている。なお、図1に示す駆動機構33は、カバーにより覆われているため内部構成が図示されていない。
【0018】
加熱シリンダ31の後端部近傍には、成形材料が投入されるホッパ34が設けられている。また、射出成形機1は、射出装置3を前後方向(図1中左右方向)に移動させるノズルタッチ装置35を備える。ノズルタッチ装置35を駆動すると、射出装置3が前進して加熱シリンダ31のノズル31aが固定盤22の密着部にタッチするように構成されている。
【0019】
図2は実施形態1に係る制御装置4の構成例を示すブロック図である。制御装置4は、型締装置2及び射出装置3の動作を制御するコンピュータであり、ハードウェア構成としてプロセッサ(制御部)41、記憶部42、制御信号出力部43及び操作パネル40を備える。制御装置4は、射出成形機1の成形条件を調整する装置である。なお、制御装置4は、ネットワークに接続されたサーバ装置であっても良い。また、制御装置4は、複数台のコンピュータで構成し分散処理する構成でもよいし、1台のサーバ内に設けられた複数の仮想マシンによって実現されていてもよいし、クラウドサーバを用いて実現されていてもよい。
【0020】
プロセッサ41は、CPU(Central Processing Unit)、マルチコアCPU、GPU(Graphics Processing Unit)、GPGPU(General-purpose computing on graphics processing units)、TPU(Tensor Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、NPU(Neural Processing Unit)等の演算回路、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の内部記憶装置、I/O端子、計時部等を有する。プロセッサ41は、後述の記憶部42が記憶するコンピュータプログラム(プログラム製品)42aを実行することにより、本実施形態1に係る成形条件調整方法を実施する。なお、制御装置4の各機能部は、ソフトウェア的に実現しても良いし、一部又は全部をハードウェア的に実現しても良い。
【0021】
記憶部42は、ハードディスク、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。記憶部42は、成形条件調整処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム5を記憶している。また、記憶部42は、成形条件の条件出しを行うための条件出し学習モデル6を記憶する。条件出し学習モデル6の構成の詳細は後述する。更に、記憶部42は、成形条件調整方法による条件出しの過程で設定された成形条件の履歴を記憶する調整履歴DB7を備える。調整履歴DB7は、例えば、成形条件の項目と、当該項目の設定値と、当該設定値が設定された日時情報とを対応付けて記憶する。
【0022】
本実施形態1に係るコンピュータプログラム5は、記録媒体50にコンピュータ読み取り可能に記録されている態様でも良い。記憶部42は、読出装置によって記録媒体50から読み出されたコンピュータプログラム5を記憶する。記録媒体50はフラッシュメモリ等の半導体メモリである。また、記録媒体50はCD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、BD(Blu-ray(登録商標)Disc)等の光ディスクでも良い。更に、記録媒体50は、フレキシブルディスク、ハードディスク等の磁気ディスク、磁気光ディスク等であっても良い。
【0023】
更にまた、通信網に接続されている外部サーバから本実施形態1に係るコンピュータプログラム5をダウンロードし、記憶部42に記憶させても良い。
【0024】
制御信号出力部43は、成形条件に基づくプロセッサ41の制御に従って射出成形機1の動作を制御するための制御信号を射出成形機1へ出力する。
【0025】
操作パネル40は、射出成形機1の成形条件などを設定し、射出成形機1の動作を操作するためのインタフェースである。操作パネル40は、表示パネル40aと、操作部40bと、通信部40cとを備える。
【0026】
表示パネル40aは、液晶表示パネル、有機EL表示パネルなどの表示装置であり、プロセッサ41の制御に従って、射出成形機1の成形条件の設定を受け付けるための受付画面を表示したり、射出成形機1の状態、本実施形態1に係る成形条件調整方法の実施状況を表示したりする。
【0027】
操作部40bは、射出成形機1の成形条件を入力及び調整するための入力装置であり、操作ボタン、タッチパネルなどを有する。操作部40bは受け付けた成形件を示すデータをプロセッサ41に与える。
【0028】
通信部40cは、有線又は無線で外部装置と通信を行い、情報を取得する通信回路である。例えば、通信部40cは、USBなどの外部記憶媒体と通信を行い、データを取得することができる。通信部40cは、LANケーブルを介した有線通信又は無線通信にて外部コンピュータからデータを取得することができる。通信部40cは、射出成形機1に初期設定される成形条件、金型画像データ(金型情報)などを外部記憶媒体又は外部コンピュータから取得することができる。
【0029】
射出成形機1には、成形条件として、射出開始位置、金型内樹脂温度、ノズル温度、シリンダ温度(ヒータ温度)、ホッパ温度、型締力、射出速度、射出加速度、射出ピーク圧力(射出圧力)、射出ストローク等の成形条件を定める設定値が設定される。
【0030】
また射出成形機1には、成形条件として、シリンダ先端樹脂圧、逆防リング着座状態、保圧圧力、保圧切替速度、保圧切替位置、保圧完了位置、クッション位置、計量背圧、計量トルク等の成形条件を定める設定値が設定される。
【0031】
更に射出成形機1には、成形条件として、計量完了位置、スクリュ後退速度、サイクル時間、型閉時間、射出時間、保圧時間、計量時間、型開時間等の成形条件を定める設定値が設定される。更に射出成形機1には、成形条件として、冷却時間,スクリュ回転数,金型開閉速度,突き出し速度,突き出し回数が設定される。そして、これらの設定値が設定された射出成形機1は、当該設定値に従って動作する。
【0032】
図3は実施形態1に係る条件出し学習モデル6の構成を示す概念図である。条件出し学習モデル6は、金型画像データ、樹脂情報及び不良情報が入力された場合、成形条件である複数の項目の調整の必要度、調整範囲及び調整刻み幅に係る情報を出力する学習済みの機械学習モデルである。
【0033】
金型画像データは、溶融した原料樹脂が流れるランナー、ゲートなどの流路、成形品の形状に応じたキャビティ又はコアを撮像して得られる画像データである。
【0034】
樹脂情報は、射出成形機1に投入される原料樹脂の融点又は粘度を示すデータを含む。不良情報は、成形品のバリ、ヒケ、フローマーク、クラック、ウェルドライン、ボイド、シルバーストリーク、又はショートの有無を示すデータを含む。
【0035】
条件出しは、特定の項目の設定値を特定の刻み幅で変更しながらテストショットを繰り返すことにより行われる。調整範囲は、条件出しを行う際に最初に設定される初期値と、終了値とを含む。調整刻み幅は、テストショットを行う都度変更される設定値の変更量である。
【0036】
条件出し学習モデル6は、金型画像データが入力される第1入力層61a及び第1中間層62aと、樹脂情報及び不良情報が入力される第2入力層61b及び第2中間層62bと、出力層63とを備える。
【0037】
第1入力層61a及び第1中間層62aは、例えば、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional neural network)の入力層及び中間層と同様の構成である。第1入力層61aは、金型画像を構成する各画素の画素値が入力される複数のノードを有する。第1中間層62aは、第1入力層61aに入力された金型画像データの各画素の画素値を畳み込む畳み込み層と、畳み込み層で畳み込んだ画素値をマッピングするプーリング層とが交互に連結された構成を有する。第1中間層62aは、金型画像の画素情報を圧縮しながら当該金型画像の特徴量を抽出し、抽出した金型画像データの特徴量を第2中間層62bに出力する。
【0038】
第2入力層61bは、樹脂情報が入力されるノードと、不良情報が入力されるノードとを有する。第2中間層62bは、複数のノードを有する中間層を複数備え、入力側の中間層のノードは第2入力層61bのノードと、第1中間層62aの出力側のノードとに結合されている。第2中間層62bには、金型画像データの特徴量と、樹脂情報と、不良情報とが入力され、成形条件に調整に関連する情報が抽出される。
【0039】
出力層63は、成形条件に係る複数の項目に対応する複数のノードを有する。第1の項目に対応するノードには、当該項目に係る設定値の調整必要度を出力するノードと、当該設定値の調整範囲を出力するノードと、調整刻み幅を主力するノードとを含む。他の項目についても同様のノードを有する。調整必要度は、当該項目に係る設定値の調整が必要かどうかを示す確度であり、例えば0から1の間の数値である。なお、調整すべき成形条件の項目、調整範囲及び調整刻み幅を示す情報を得ることができれば、出力層63の構成は特に限定されるものでは無い。
【0040】
条件出し学習モデル6は、金型画像データ、樹脂情報及び不良情報と、かかる条件化において調整すべき成形条件の項目、調整範囲及び調整刻み幅とを含む訓練データを用いて機械学習させることにより生成することができる。例えば、プロセッサ41は、訓練データを用いた誤差逆伝播法、誤差勾配降下法等によって、条件出し学習モデル6の重み係数を最適化することにより、条件出し学習モデル6を機械学習させる。
【0041】
図4は実施形態1に係るプロセッサ41の処理手順を示すフローチャートである。プロセッサ41は、操作パネル40を介して成形条件の初期設定を受け付け、受け付けた成形条件に係る各種項目の設定値を設定する(ステップS111)。そして、プロセッサ41は、設定された成形条件に従って、射出成形機1の動作を制御する(ステップS112)。ステップS112で行われる射出成形は、本実施形態1に係る成形条件調整方法を実施するために必要な情報を得るためのテストショットである。具体的には、オペレータは、テストショットを実行して得られる成形品の状態を観察し、成形品の不良現象を確認する。
【0042】
次いで、プロセッサ41は、本実施形態1に係る成形条件調整方法を利用した自動条件出しモードが選択されているか否かを判定する(ステップS113)。オペレータは操作パネル40を用いて、本実施形態1に係る自動条件出しモードを利用して成形条件の条件出しを行うか否かを選択することができる。プロセッサ41は、オペレータによって設定された自動条件出しモードの利用の有無を記憶している。
【0043】
自動条件出しモードが選択されていないと判定した場合(ステップS113:NO)、プロセッサ41は、成形条件の手動調整処理を実行し(ステップS114)、処理を終える。具体的には、プロセッサ41は、オペレータによる成形条件の調整内容を操作パネル40にて受け付け、調整された成形条件を設定する。
【0044】
自動条件出しモードが選択されていると判定した場合(ステップS113:YES)、プロセッサ41は、操作パネル40を介して金型情報を取得する(ステップS115)。金型情報は、例えば、金型21を撮像して得られる金型画像データである。
【0045】
次いで、プロセッサ41は、操作パネル40を介して原料樹脂の融点又は粘度を示すデータを含む樹脂情報を取得する(ステップS116)。樹脂情報が成形条件に含まれている場合、ステップS111で初期設定された成形条件から樹脂情報を取得してもよい。また、樹脂の種類と、樹脂情報とを対応付けたテーブルを備え、プロセッサ41は、操作パネル40にて入力された樹脂の種類を示す情報をキーにして樹脂情報をテーブルから抽出するように構成してもよい。
【0046】
次いで、プロセッサ41は、操作パネル40を介して、成形品の不良情報を取得する(ステップS117)。具体的には、オペレータは、ステップS112のテストショットで得られた成形品の状態を確認し、成形品のバリ、ヒケ、フローマーク、クラック、ウェルドライン、ボイド、シルバーストリーク又はショートの有無などを示す不良情報を操作パネル40にて入力する。
【0047】
なお、ステップS115~ステップS117の処理を実行するプロセッサ41は、金型情報、樹脂情報及び不良現象を取得する取得部として機能する。
【0048】
次いで、プロセッサ41は、ステップS115~ステップS117の処理で取得した金型情報、樹脂情報及び不良情報を、条件出し学習モデル6に入力する。プロセッサ41は、条件出し学習モデル6から出力される複数の各項目の調整必要度に基づいて、調整すべき成形条件の項目を決定する(ステップS118)。例えば、プロセッサ41は、調整必要度が最も大きい項目を、調整すべき項目として決定する。なお、プロセッサ41は、調整必要度が所定の閾値以上の項目を、調整すべき項目として決定してもよい。プロセッサ41は、複数種類の項目を、調整すべき項目として決定してもよいが、本実施形態1では説明を簡単にするため、一つの項目を調整すべき項目として決定する。
【0049】
また、プロセッサ41は、ステップS118で決定した項目に対応するノードから出力される調整範囲を示すデータを参照し、設定値の調整範囲を決定する(ステップS119)。更に、プロセッサ41は、ステップS118で決定した項目に対応するノードから出力される刻み幅を示すデータを参照し、設定値の調整刻み幅を決定する(ステップS120)。
【0050】
なお、ステップS117~ステップS119の処理を実行するプロセッサ41は、取得した金型情報、樹脂情報又は不良情報に基づいて、調整すべき成形条件の項目、調整範囲及び調整刻み幅を決定する決定部として機能する。
【0051】
プロセッサ41は、ステップS118で決定した設定項目の設定値を、ステップS119及びステップS120で決定した調整範囲及び刻み幅を用いて調整し、調整値を調整履歴として記憶部42に記憶する(ステップS121)。具体的にはプロセッサ41は、調整が必要な設定項目の設定値を、調整範囲の初期値から終了値まで、ステップS120で決定した刻み幅で順次変更する処理を実行する。プロセッサ41は、調整された成形条件に従って、射出成形機1の動作を制御する(ステップS122)。
【0052】
ステップS122の処理を終えたプロセッサ41は、設定値が終了値に到達したか否かを判定する(ステップS123)。調整対象である項目の設定値が終了値に到達していないと判定した場合(ステップS123:NO)、プロセッサ41は処理をステップS121へ戻し、調整処理を繰り返し実行する。
【0053】
調整対象である項目の設定値が終了値に到達したと判定した場合(ステップS123:YES)、最適値を用いて成形した成形品の不良情報を取得し(ステップS124)、まだ不良があるか否かを判定する(ステップS125)。当該不良情報は、少なくとも成形品の良否を示すデータを含むものであれば足りる。オペレータは、ステップS121~ステップS123の処理で成形された複数の成形品の状態を確認し、最良の成形品の不良情報を操作パネル40に入力する。プロセッサ41は、操作パネル40を介して当該不良情報に基づいて、自動調整後も不良があるか否かを判定する。
【0054】
なお、プロセッサ41は、成形品を撮像して得られる成形品画像データを取得し、取得した成形品画像データに基づいて、成形品の良否を判定するように構成してもよい。成形品の良否は、ルールベースで判定してもよいし、予め機械学習により得られた学習モデルを用いて判定してもよい。
【0055】
ステップS125において、不良ありと判定された場合(ステップS125:YES)、プロセッサ41は処理をステップS117へ戻し、成形品調整の処理を継続する。不良なしと判定された場合(ステップS125:NO)、プロセッサ41は、成形条件調整処理を終える。
【0056】
図5は、実施形態1に係る成形条件調整画面8の一例を示す模式図である。プロセッサ41は、成形条件調整方法を実施する際、成形条件調整画面8を表示する。成形条件調整画面8は、設定値調整部81と、条件出しモード表示部82とを備える。
【0057】
設定値調整部81は、設定値表示部81aと、設定値入力部81bと、調整履歴表示部81cとを含む。プロセッサ41は、成形条件に係る一の項目と、当該一の項目の現在の設定値を設定値表示部81aに表示する。設定値入力部81bは、テンキー、「CRL」キー、「Enter」キーなどのソフトキーを含む。設定値入力部81bがオペレータによって操作され、設定値が入力された場合、プロセッサ41は、入力された設定値を、設定値表示部81aに表示している項目の設定値として記憶する。
【0058】
一方、プロセッサ41は、設定値の履歴を調整履歴DB7から成形条件の項目及び設定値を読み出し、読み出された項目及び設定値を調整履歴表示部81cに表示する。オペレータによってプルダウンボタンが操作された場合、プロセッサ41は、過去に設定された項目及び設定値の一覧を表示する。なお、プロセッサ41は、過去に設定された成形条件に係る複数の項目及び設定値を一覧表示するように構成してもよい。
【0059】
条件出しモード表示部82は、自動条件出しモード選択部82aと、初期値表示部82bと、終了値表示部82cと、刻み幅表示部82dとを含む。自動条件出しモード選択部82aは、例えばチェックボックスであり、オペレータは自動条件出しモード選択部82aを操作することによって、自動条件出しモードを利用するか否かを選択することができる。プロセッサ41は、自動条件出しモード選択部82aの操作を受け付け、自動条件出しモードの利用の有無を記憶する。
【0060】
自動条件出しモードの利用が選択された場合、プロセッサ41は、ステップS118で決定した項目を設定値表示部81aに表示する。また、プロセッサ41は、ステップS119で決定した調整範囲の初期値及び終了値を初期値表示部82b及び終了値表示部82cに表示する。同様に、プロセッサ41は、ステップS120で決定した刻み幅を刻み幅表示部82dに表示する。
【0061】
プロセッサ41は、ステップS121~ステップS123の処理により設定値を変更しながら射出成形制御を行う際、変更された設定値を都度、設定値表示部81aに表示する。
【0062】
成形条件調整画面8によれば、オペレータは、条件出しモード表示部82を操作することによって、本実施形態1に係る成形条件調整方法の実施を指示することができる。オペレータは、条件出しモード表示部82の表示を確認することによって、どのような調整範囲及び刻み幅で設定値が変更されているのかを知ることができる。オペレータは、設定値表示部81aの表示を確認することで、現在自動調整されている成形条件の項目及び設定値を知ることができる。
【0063】
上記のように構成された実施形態1に係る射出成形機1によれば、金型画像データ、樹脂情報及び不良情報に基づいて、調整すべき成形条件項目、調整範囲及び調整刻み幅を決定し、条件出しを自動的に実行することができる。
【0064】
具体的には、プロセッサ41は、金型画像データと、原料樹脂の融点及び粘度を示す樹脂情報と、成形品のバリ、ヒケ、フローマーク、クラック、ウェルドライン、ボイド、シルバーストリーク、又はショートの有無を示す不良情報とに基づいて、射出速度、射出圧力、ヒータ温度、保圧圧力、保圧切替位置、射出開始位置、金型内樹脂温度、ノズル温度、ホッパ温度、型締力、射出加速度、射出ストローク、シリンダ先端樹脂圧、逆防リング着座状態、保圧切替速度、保圧完了位置、クッション位置、計量背圧、計量トルク、計量完了位置、スクリュ後退速度、サイクル時間、型閉時間、射出時間、保圧時間、計量時間、型開時間、冷却時間、スクリュ回転数、金型開閉速度、突き出し速度、又は突き出し回数などの条件出しを自動で行うことができる。
【0065】
また、プロセッサ41及び調整履歴表示部81cは、自動条件出しモードによって設定された項目及び設定値の履歴を表示することができる。
【0066】
なお、本実施形態1では、ニューラルネットワークを用いた条件出し学習モデル6を説明したが、SVM(Support Vector Machine)、ベイジアンネットワーク等のその他の公知の機械学習モデルを用いて、条件出しの情報を決定してもよい。
【0067】
また、本実施形態1では、金型情報、樹脂情報及び不良情報を全て用いて、条件出しを行う例を説明したが、金型情報、樹脂情報及び不良情報のいずれかを用いて条件出しを行ってもよい。
【0068】
更に、本実施形態1では、教師あり学習によって学習した条件出し学習モデル6を説明したが、強化学習によって学習したモデルを用いて、条件出しの情報を決定してもよい。
【0069】
強化学習を用いる制御装置4の構成は以下の通りである。制御装置4のプロセッサ41は、機能部として、観測部、報酬算出部及びエージェントを備える。なお、制御装置4の各機能部は、ソフトウェア的に実現しても良いし、一部又は全部をハードウェア的に実現しても良い。
【0070】
観測部は、金型情報、樹脂情報及び不良情報を取得し、取得した情報を観測データとしてエージェント及び報酬算出部へ出力する。
【0071】
報酬算出部は、取得した観測データ、特に不良情報等に基づいて報酬データを算出し、算出して得た報酬データをエージェントへ出力する。報酬データは、例えば成形品の不良度が大きい場合、報酬の値が小さく又は負の値になる。また、報酬データは、不良の無い成形品が得られるまでの回数が小さい程、報酬の値が大きくなる。
【0072】
エージェントは、例えば、DQN、A3C、D4PG等の深層ニューラルネットワークを有する強化学習モデル、PlaNet、SLAC等のモデルベースの強化学習モデル等である。
【0073】
深層ニューラルネットワークを有する強化学習モデルの場合、エージェントは、DQN(Deep Q-Network)を備え、観測データが示す射出成形機1の状態sに基づいて、当該状態sに応じた行動aを決定する。状態sは、金型情報、樹脂情報及び不良情報を含む。
【0074】
DQNは、観測データ示す状態sが入力された場合、複数の行動aそれぞれの価値を出力するニューラルネットワークモデルである。複数の行動aは、調整対象の項目、調整範囲及び調整刻み幅である。価値の高い行動aは、適切な条件出し条件を表している。エージェントは、価値の高い行動aを選択し、選択された行動aにより射出成形機1は他の状態へ遷移する。状態遷移後、エージェントは、報酬算出部で算出された報酬を受け取り、収益、つまり報酬の累積が最大になるようにエージェントを学習させる。
【0075】
より具体的には、DQNは、入力層、中間層及び出力層を有する。入力層は、状態s、つまり観測データが入力される複数のノードを備える。出力層は、複数の行動aにそれぞれ対応し、入力された状態sにおける当該行動aの価値Q(s,a)を出力する複数のノードを備える。
【0076】
状態s、行動aと、当該行動により得られた報酬rに基づいて、下記式(1)で表される価値Qを教師データとして、DQNを特徴付ける各種重み係数を調整することにより、エージェントのDQNを強化学習させることができる。
Q(s,a)←Q(s,a)+α(r+γmaxQ(snext,anext)-Q(s,a))・・・(1)
但し、
s:状態
a:行動
α:学習係数
r:報酬
γ:割引率
maxQ(snext,anext):次に取り得る行動に対するQ値のうち最大値
【0077】
(実施形態2)
実施形態2に係る射出成形機1は、成形品の不良情報を自動的に取得し、成形条件の自動調整を行う点が実施形態1と異なる。射出成形機1のその他の構成は、実施形態1に係る射出成形機1と同様であるため、同様の箇所には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0078】
図6は、実施形態2に係る射出成形機1の構成例を説明する模式図である。実施形態2に係る射出成形機1は、成形品を撮像する撮像装置9を備える。撮像装置9は成形品を撮像して得た成形品画像データを制御装置4へ出力する。
【0079】
図7は、実施形態2に係る条件出し学習モデル6を示す概念図である。実施形態2に係る条件出し学習モデル6は、第1入力層61a及び第1中間層62aと、第2入力層61b及び第2中間層62bと、出力層63とに加え、成形品画像データが入力される第3入力層61c及び第3中間層62cを備える。
【0080】
第3入力層61c及び第3中間層62cは、例えば、畳み込みニューラルネットワークの入力層及び中間層と同様の構成である。第3入力層61cは、成形品画像を構成する各画素の画素値が入力される複数のノードを有する。第3中間層62cは、第3入力層61cに入力された成形品画像データの各画素の画素値を畳み込む畳み込み層と、畳み込み層で畳み込んだ画素値をマッピングするプーリング層とが交互に連結された構成を有する。第3中間層62cは、成形品画像の画素情報を圧縮しながら当該成形品画像の特徴量を抽出し、抽出した成形品画像データの特徴量を第2中間層62bに出力する。
【0081】
第2中間層62bは、複数のノードを有する中間層を複数備え、入力側の中間層のノードは第2入力層61bのノードと、第1中間層62aの出力側のノードと、第3中間層62cの出力側のノードとに結合されている。第2中間層62bには、金型画像データの特徴量と、樹脂情報と、成形品画像データの特徴量とが入力され、成形条件に調整に関連する情報が抽出される。成形品画像データの特徴量は、不良情報に相当する情報である。出力層63の構成は実施形態1と同様である。
【0082】
実施形態2に係るプロセッサ41は、ステップS117の処理において、撮像装置9から成形品画像データを取得する。そして、プロセッサ41は、ステップS118の処理において、取得した金型画像データ、樹脂情報及び成形品画像データを、条件出し学習モデル6に入力する。プロセッサ41は、条件出し学習モデル6から出力される複数の各項目の調整必要度に基づいて、調整すべき成形条件の項目を決定する。以下の処理は実施形態1と同様である。
【0083】
但し、ステップS124及びステップS125の処理は、条件出し学習モデル6を用いて行うことができる。具体的には、プロセッサ41は、ステップS122の処理で成形される成形品を撮像して得られる成形品画像データを取得する。そして、プロセッサ41は、金型画像データ、樹脂情報及び成形品画像データを条件出し学習モデル6に入力する。プロセッサ41は、条件出し学習モデル6から出力される調整必要度が所定値以上である場合、ステップS125で不良ありと判定し、調整必要度が所定値未満である場合、ステップS125で不良なしと判定すればよい。
【0084】
このように構成された実施形態2に係る射出成形機1によれば、金型画像データ及び樹脂情報を入力するのみで、成形条件の条件出しを自動的に実行することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 射出成形機
2 型締装置
3 射出装置
4 制御装置
5 コンピュータプログラム
50 記録媒体
6 条件出し学習モデル
7 操作履歴DB
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7