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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120024
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】ベルト伸び検知装置およびコンベヤ
(51)【国際特許分類】
   B65G 43/02 20060101AFI20230822BHJP
   B65G 23/44 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
B65G43/02 Z
B65G23/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023186
(22)【出願日】2022-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】398003957
【氏名又は名称】オークラサービス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000103426
【氏名又は名称】オークラ輸送機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】武田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】小野山 達夫
【テーマコード(参考)】
3F027
【Fターム(参考)】
3F027AA02
3F027DA24
3F027EA01
3F027FA04
(57)【要約】
【課題】ベルトの伸び具合を検知できるベルト伸び検知装置を提供する。
【解決手段】ベルト伸び検知装置50は、ベルト15が巻き掛けられる張力調整プーリ21と、張力調整プーリ21を支持する移動可能な移動部32と、ベルト15に張力を付与する方向に移動部32の移動を付勢する付勢部33とを含む自動張力調整機構30を備えるコンベヤ10に用いられる。ベルト伸び検知装置50は、移動部32に設けられる被測定部51と、移動部32の移動可能な方向に対向する固定部52に設けられ、被測定部51との間の距離を測定する距離測定器53と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトが巻き掛けられる張力調整プーリと、この張力調整プーリを支持する移動可能な移動部と、前記ベルトに張力を付与する方向に前記移動部の移動を付勢する付勢部とを含む自動張力調整機構を備えるコンベヤに用いられるベルト伸び検知装置であって、
前記移動部と前記移動部の移動可能な方向に対向する固定部とのいずれか一方に設けられる被測定部と、
前記移動部と前記固定部のいずれか他方に設けられ、前記被測定部との間の距離を測定する距離測定器と、
を備えることを特徴とするベルト伸び検知装置。
【請求項2】
前記距離測定器によって測定される距離から前記移動部の移動量を測定し、この移動量が所定の閾値以上になることで前記ベルトの伸びを検知するベルト伸び検知部を備える
ことを特徴とする請求項1記載のベルト伸び検知装置。
【請求項3】
前記距離測定器によって測定される距離の値が所定の閾値以上になることで前記ベルトの伸びを検知するベルト伸び検知部を備える
ことを特徴とする請求項1記載のベルト伸び検知装置。
【請求項4】
前記ベルト伸び検知部が前記ベルトの伸びを検知したことを表示する表示部を備える
ことを特徴とする請求項2または3記載のベルト伸び検知装置。
【請求項5】
ベルトと、
前記ベルトが巻き掛けられる張力調整プーリ、この張力調整プーリを支持する移動可能な移動部、および前記ベルトに張力を付与する方向に前記移動部を付勢する付勢部を含む自動張力調整機構と、
請求項1ないし4いずれか一記載のベルト伸び検知装置と、
を備えることを特徴とするコンベヤ。
【請求項6】
物品を搬送する複数の搬送ローラを備え、
前記ベルトは、複数の前記搬送ローラに接触して回転させる駆動ベルトである
ことを特徴とする請求項5記載のコンベヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトの伸び具合を検知するベルト伸び検知装置、およびこのベルト伸び検知装置を備えたコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1または2に記載されているように、搬送用のベルトを用いるコンベヤにおいて、ベルトの伸びを検知するベルト伸び検知装置が知られている。
【0003】
このベルト伸び検知装置では、所定の間隔で複数の荷受台が設けられたベルトを用い、ベルトを回転させるモータの回転量に対するセンサで検知する荷受台の位置関係が変化することにより、ベルトの伸びを検知している。また、予め所定の間隔でチップを埋め込んだベルトを用い、回転するベルトのチップをセンサで読み取ることにより、ベルトの伸びを検知している。
【0004】
また、ベルトの張り具合を自動調整する自動張力調整機構を備えるコンベヤでは、常に適正な張力がベルトに付与されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-111430号公報
【特許文献2】特開2017-43425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、ベルトの伸びを検知するのに荷受台付きまたはチップを埋め込んだ特定のベルトを用いる必要があり、この特定のベルトを用いなければベルトの伸びを検知できず、汎用性に問題がある。
【0007】
また、自動張力調整機構を備えるコンベヤでは、常に適正な張力がベルトに付与されるため、ベルトの張り具合からベルトの伸びを検知することはできなかった。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、ベルトの伸び具合を検知できるベルト伸び検知装置およびコンベヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のベルト伸び検知装置は、ベルトが巻き掛けられる張力調整プーリと、この張力調整プーリを支持する移動可能な移動部と、前記ベルトに張力を付与する方向に前記移動部の移動を付勢する付勢部とを含む自動張力調整機構を備えるコンベヤに用いられるベルト伸び検知装置であって、前記移動部と前記移動部の移動可能な方向に対向する固定部とのいずれか一方に設けられる被測定部と、前記移動部と前記固定部のいずれか他方に設けられ、前記被測定部との間の距離を測定する距離測定器と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明のベルト伸び検知装置によれば、ベルトの伸び具合を検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施の形態のコンベヤを示し、(a)は平面図、(b)は側面図である。
図2】同上コンベヤの自動張力調整機構およびベルト伸び検知装置を示す斜視図である。
図3】同上ベルト伸び検知装置の構成図である。
図4】本発明の第2の実施の形態のコンベヤを示す平面図である。
図5】同上コンベヤの自動張力調整機構およびベルト伸び検知装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の第1の実施の形態を、図1ないし図3を参照して説明する。
【0013】
図1(a)および(b)にコンベヤ10を示す。このコンベヤ10は、搬送物を搭載して所定の搬送方向に向けて搬送するベルト駆動ローラコンベヤである。
【0014】
コンベヤ10は、搬送方向に対して交差する幅方向に所定の間隔を空けて対向配置される一対のフレーム11を備えている。一対のフレーム11は、複数の横継ぎ部材12によって平行に連結され、複数の脚体13によって床面などに対して設置される。
【0015】
一対のフレーム11間には、複数の搬送ローラ14が搬送方向に対して所定の間隔で並列に配置されている。複数の搬送ローラ14は、搬送方向に向けて回転可能で、上面側が搬送物を搬送する搬送面として構成されている。
【0016】
一側のフレーム11側であって、複数の搬送ローラ14の軸方向一端側の下方に、複数の搬送ローラ14と接触して複数の搬送ローラ14を回転させる駆動ベルトであるベルト15が配置されている。ベルト15には、無端状の平ベルトが用いられている。
【0017】
ベルト15は、複数のベルト支持プーリに回転可能に巻き掛けられている。ベルト支持プーリには、一側のフレーム11の長手方向の両端に回転可能に配置され、ベルト15を上面側と下面側とに折り返す一対のエンドプーリ16と、2本ずつの搬送ローラ14間に対応して回転可能に配置され、ベルト15の上面側を搬送ローラ14の下面側に接触させる複数の押上プーリ17と、各エンドプーリ16の近傍でベルト15の下面側をエンドプーリ16に巻き付ける一対のスナブプーリ18と、ベルト15の下面側が巻き掛けられる駆動プーリ19と、各スナブプーリ18と駆動プーリ19との間でベルト15の下面側が巻き掛けられるベンドプーリ20およびテンションプーリである張力調整プーリ21と、が含まれている。そして、複数の押上プーリ17により押し上げられるベルト15の上面側が複数の搬送ローラ14の下面側に接触され、回動するベルト15から複数の搬送ローラ14に回転力が伝達され、複数の搬送ローラ14が搬送方向に回転される。
【0018】
一対のフレーム11の下部側には、駆動プーリ19、ベンドプーリ20および張力調整プーリ21などの側面を覆う一対の駆動カバー22が取り付けられている。図2に示すように、一対の駆動カバー22間に取付台23が取り付けられ、この取付台23上に駆動プーリ19を回転駆動する駆動部であるモータ24が設置されている。
【0019】
また、図2に示すように、コンベヤ10は、張力調整プーリ21を介してベルト15の張力を自動調整する自動張力調整機構30を備えている。この自動張力調整機構30は、張力調整プーリ21と、一側の駆動カバー22に取り付けられるガイド枠31と、張力調整プーリ21を回転可能に支持し、ガイド枠31に対してコンベヤ10の長手方向に沿って移動可能な移動部32と、張力調整プーリ21を介してベルト15に張力を付与する方向(図2の右方向)に向けて移動部32を付勢する付勢部33と、付勢部33を介してベルト15に付与する張力を調整する調整軸34と、を備えている。
【0020】
ガイド枠31は、中間部35から両側の側部36が平行に突出された断面略コ字形に形成され、一側の側部36が一側の駆動カバー22に取り付けられている。ガイド枠31の両側の側部36の対向する内側面には、移動部32をコンベヤ10の長手方向に沿って移動可能に支持する一対のスライドガイド37が取り付けられている。ガイド枠31の中間部35には、調整軸34が螺合する螺合部38が設けられている。
【0021】
移動部32は、中間部から両側の側部が平行に突出された断面略コ字形に形成され、両側の側部間に張力調整プーリ21を回転可能に支持するプーリ支持枠39によって構成されている。プーリ支持枠39の中間部には、両側の側部の突出方向とは反対側に向けて円筒部40が突出されている。そして、移動部32は、円筒部40がガイド枠31の中間部35の螺合部38に対向され、ガイド枠31の一対のスライドガイド37にコンベヤ10の長手方向に沿って移動可能に支持されている。
【0022】
付勢部33には、圧縮コイルばね41が用いられている。圧縮コイルばね41は、移動部32と調整軸34との間に圧縮状態に配置され、その反発力によって調整軸34に対して移動部32をベルト15に張力が付与される方向に向けて付勢する。圧縮コイルばね41は、一端側から内側に挿入される調整軸34に支持され、他端側がプーリ支持枠39の円筒部40の内側に挿入されてプーリ支持枠39の中間部に当接、または円筒部40の端面に当接される。
【0023】
調整軸34は、ガイド枠31の螺合部38に螺合されて貫通され、プーリ支持枠39の円筒部40と同軸に配置される。調整軸34の一端側には調整軸34を回動操作するための摘み部42が取り付けられ、他端側には圧縮コイルばね41の一端側が当接するカラー43が取り付けられている。調整軸34のカラー43よりも他端側は、圧縮コイルばね41の内側に挿入され、さらに円筒部40の内側まで挿入されている。
【0024】
そして、自動張力調整機構30は、調整軸34と移動部32との間に圧縮される圧縮コイルばね41の反発力によって移動部32をベルト15に張力を付与する方向に付勢する。調整軸34を回動操作することにより、圧縮コイルばね41の反発力によって移動部32をベルト15に張力を付与する方向に付勢する付勢力を調整し、ベルト15の張力を調整できる。ベルト15が伸びた場合でも、圧縮コイルばね41で付勢されている移動部32がベルト15に張力を付与する方向に移動し、ベルト15に常に所定の張力を付与する。
【0025】
また、図2および図3に示すように、コンベヤ10は、ベルト15の伸び具合を検知するベルト伸び検知装置50を備えている。ベルト伸び検知装置50は、移動部32に設けられた被測定部51と、移動部32の移動可能な方向に対向する固定部52に設けられ、被測定部51との間の距離を測定する距離測定器53と、この距離測定器53で測定される距離情報を取得して処理する処理ユニット54と、を備えている。
【0026】
被測定部51は、移動部32に取り付けられた断面略L字形のドグ55を有している。ドグ55は、ガイド枠31の他側の側部36の上方域を通じて他側の側部36の外面側から突出配置され、コンベヤ10の長手方向に沿って移動可能な移動部32と一体に移動する。なお、被測定部51は、ドグ55を用いず、移動部32の一部で構成されていてもよい。
【0027】
固定部52は、ドグ55に対向するガイド枠31の他側の側部36の外側面位置とすることができる。
【0028】
距離測定器53は、ドグ55に対向する固定部52であるガイド枠31の他側の側部36の外側面位置に取り付けられている。距離測定器53は、一面の測定面に投光部と受光部を有し、投光部の例えばレーザーダイオードからのレーザー光などの測定光Lを被測定部51であるドグ55に照射し、このドグ55で反射する測定光Lを受光部の例えばCMOSセンサなどの受光センサで受光し、例えば三角測距方式やタイムオブフライト方式などによりドグ55との間の距離を測定する。距離測定器53は、ケーブル56によって処理ユニット54に電気的に接続され、処理ユニット54から動作電力が供給され、測定された距離情報などの信号を処理ユニット54に送信可能とする。
【0029】
処理ユニット54は、処理部57と、表示部58と、操作部59と、を備えている。
【0030】
処理部57は、距離測定器53で測定された距離情報を取得して処理する。処理部57は、ベルト15の伸びを検知するベルト伸び検知部60の機能を有している。
【0031】
ベルト伸び検知部60は、距離測定器53によって測定される距離から移動部32の動作量である移動量を測定し、この移動量が予め設定された所定の閾値以上になることでベルト15の伸びを検知する。例えば、ベルト15の停止時に距離測定器53によって測定される距離の値とベルト15の回動時に距離測定器53によって測定される距離の値とから移動部32の移動量を測定し、この移動量が予め設定された所定の閾値以上になることでベルト15の伸びを検知してもよい。これは、ベルト15の停止時とベルト15の回動時との移動部32の移動量が、ベルト15の劣化していないときよりもベルト15の劣化が進んだときの方が増加することによるもので、移動量からベルト15の伸びを判断可能とする。また、例えば、コンベヤ10の設置後やベルト15の交換後に距離測定器53によって測定される初期時の距離の値を記憶し、この初期時の距離の値と現在の距離測定器53によって測定される距離の値とから移動部32の移動量を測定し、この移動量が予め設定された所定の閾値以上になることでベルト15の伸びを検知してもよい。この場合の移動量はベルト15の回動時の移動量が好ましい。そして、移動量の閾値は、ベルト15の種類や使用状況などに応じて操作部59で任意に設定できる。
【0032】
あるいは、ベルト伸び検知部60は、距離測定器53で測定された距離の最大値が予め設定された所定の閾値以上になることでベルト15の伸びを検知するようにしてもよい。距離の最大値の閾値は、ベルト15の種類や使用状況などに応じて操作部59で任意に設定できる。
【0033】
あるいは、ベルト伸び検知部60は、上述した移動量の閾値と距離の最大値の閾値との両方を設定し、いずれか一方でも閾値以上になることでベルト15の伸びを検知するようにしてもよい。
【0034】
表示部58は、距離測定器53で測定された距離の値や設定事項などの各種表示事項を表示する例えば液晶表示器や有機EL表示器などの表示器を備えていてもよい。さらに、表示部58は、ベルト伸び検知部60がベルト15の伸びを検知した際に表示する。このベルト15の伸びを検知した際の表示は、距離を表示する表示器で表示してもよいし、表示器とは別の例えば点灯表示部で表示してもよい。
【0035】
操作部59は、複数のボタンなどを有し、ベルト伸び検知部60でベルト15の伸びを検知するための閾値を含む各種の設定事項などを設定することができる。
【0036】
処理ユニット54は、距離測定器53とケーブル56で接続されているとともに、電源ユニットと電源ケーブルで接続され、電源ユニットから動作電力が供給されて動作する。処理ユニット54は、コンベヤ10に配置することができる。例えば一側の駆動カバー22やフレーム11などの外部から表示部58を視認可能および操作部59を操作可能な位置に配置することができる。
【0037】
次に、コンベヤ10の動作を説明する。
【0038】
モータ24の駆動によってベルト15が回動されると、このベルト15の回動によって複数の搬送ローラ14が回転され、複数の搬送ローラ14上に搭載される搬送物が搬送方向に向けて搬送される。
【0039】
ベルト15は、自動張力調整機構30によって常に所定の張力が付与されている。自動張力調整機構30では、調整軸34と移動部32との間で圧縮される圧縮コイルばね41の反発力によって移動部32がベルト15に張力を付与する方向に付勢されることにより、ベルト15に常に所定の張力が付与される。また、ベルト15の劣化などによりベルト15に伸びが生じた場合でも、圧縮コイルばね41の付勢で移動部32がベルト15に張力を付与する方向に移動されることにより、ベルト15に常に所定の張力が付与される。
【0040】
また、ベルト15の伸び具合は、ベルト伸び検知装置50によって検知できる。ベルト伸び検知装置50は、距離測定器53によって測定される距離から移動部32の動作量である移動量を測定し、この移動量が予め設定された所定の閾値以上になったか監視してもよい。例えば、ベルト15の停止時に距離測定器53によって測定される距離の値とベルト15の回動時に距離測定器53によって測定される距離の値とから移動部32の移動量を測定し、この移動量が所定の閾値以上になったか監視してもよいし、または、距離測定器53によって測定される初期時の距離の値と現在の距離測定器53によって測定される距離の値とから移動部32の移動量を測定し、この移動量が予め設定された所定の閾値以上になったか監視してもよい。あるいは、距離測定器53で測定される距離の最大値が所定の閾値以上になったか監視してもよい。あるいは、上述した移動量と距離の最大値のいずれか一方でも対応する閾値以上になったか監視してもよい。そして、測定された距離や移動量は、表示部58に表示され、確認可能とする。
【0041】
そして、ベルト15の劣化が進み、移動部32の移動量が増加して所定の閾値以上になることで、または距離測定器53で測定される距離の最大値が増加して所定の閾値以上になることで、ベルト伸び検知装置50はベルト15の伸びを検知する。
【0042】
ベルト伸び検知装置50は、ベルト15の伸びを検知したら、その旨を表示部58で表示し、ベルト15の交換を促してもよい。
【0043】
このように、ベルト伸び検知装置50では、自動張力調整機構30を利用して被測定部51および距離測定器53を設けることにより、ベルト15の伸び具合を検知できるため、ベルト15が寿命に達して破断する前にベルト15の交換が可能になる。
【0044】
しかも、ベルト伸び検知装置50は、被測定部51および距離測定器53を用いればよいため、簡単な構成でベルト15の伸びを検知でき、例えば、設置済みの既存のコンベヤ10に対して、後からベルト伸び検知装置50を追加してベルト15の伸びを検知することもできる。
【0045】
また、ベルト伸び検知部60は、距離測定器53によって測定される距離から移動部32の動作量である移動量を測定し、この移動量が予め設定された所定の閾値以上になることでベルト15の伸びを検知するか、あるいは、距離測定器53で測定された距離の最大値が予め設定された所定の閾値以上になることでベルト15の伸びを検知するため、ベルト15の伸びを確実に検知できる。
【0046】
ベルト伸び検知部60がベルト15の伸びを検知したことを表示部58で表示するため、ベルト15が伸びたことを報知し、ベルト15の交換を促すことができる。
【0047】
次に、図4および図5に第2の実施の形態を示す。なお、第1の実施の形態と同様の構成については同じ符号を用いてその説明を省略する。
【0048】
コンベヤ10は、カーブ用のベルト駆動ローラコンベヤである。
【0049】
コンベヤ10は、内径側と外径側とで同心の円弧状に湾曲された一対のフレーム11を備えている。一対のフレーム11は、複数の横継ぎ部材12によって連結され、複数の脚体によって床面などに対して設置される。
【0050】
一対のフレーム11間には、複数の搬送ローラ14が搬送方向に対して所定の間隔で並列に配置されている。複数の搬送ローラ14は、搬送方向に向けて回転可能で、上面側が搬送物を搬送する搬送面として構成されている。搬送ローラ14は、コンベヤ10の内径側に配置される一端側が小径で外径側に配置される他端側が大径となる円錐台形状に形成されている。なお、図4には、複数の搬送ローラ14のうちの一部は、図示を省略し、中心線のみを1点鎖線で示している。
【0051】
内径側のフレーム11側であって、複数の搬送ローラ14の軸方向一端側の下方に、複数の搬送ローラ14と接触して複数の搬送ローラ14を回転させる駆動ベルトであるベルト15が配置されている。ベルト15には、断面略V字形で無端状のVベルトが用いられている。
【0052】
ベルト15は、複数のベルト支持プーリに回転可能に巻き掛けられている。ベルト支持プーリには、内径側のフレーム11の長手方向の両端に回転可能に配置され、ベルト15を上面側と下面側とに折り返す一対のエンドプーリ16と、2本ずつの搬送ローラ14間に対応して回転可能に配置され、ベルト15の上面側を搬送ローラ14の下面側に接触させる複数の押上プーリ17と、ベルト15の下面側が巻き掛けられる駆動プーリ19および張力調整プーリ21と、が含まれている。駆動プーリ19と張力調整プーリ21は1つのプーリで兼用されている。そして、複数の押上プーリ17により押し上げられるベルト15の上面側が複数の搬送ローラ14の下面側に接触され、回動するベルト15から複数の搬送ローラ14に回転力が伝達されることにより、複数の搬送ローラ14が搬送方向に回転される。
【0053】
また、自動張力調整機構30は、コンベヤ10の両端間の中間部で一対のフレーム11間に架設された一対のガイド軸70と、一対のガイド軸70に軸方向つまりコンベヤ10の径方向にスライド移動可能に支持された移動部32と、この移動部32上に配置されて一体に移動する張力調整プーリ21と、この張力調整プーリ21を介してベルト15に張力を付与する方向(図5の左方向)に向けて移動部32を付勢する付勢部33と、を備えている。
【0054】
一対のガイド軸70は、一対のフレーム11の下側に取り付けられる取付部材71に平行に支持されている。
【0055】
移動部32は、一対のガイド軸70に沿って軸方向に移動可能とするスライド台72によって構成されている。スライド台72の下面側に駆動部であるモータ24が取り付けられ、このモータ24の駆動軸がスライド台72の上方に突出され、張力調整プーリ21と兼用された駆動プーリ19が取り付けられている。したがって、移動部32と一体にモータ24および駆動プーリ19が移動する。
【0056】
付勢部33には、引張コイルばね73が用いられている。引張コイルばね73は、移動部32と外径側のフレーム11(外径側の取付部材71を含む)との間に張設され、引張力によって外径側のフレーム11に対して移動部32をベルト15に張力が付与される方向(図5の左方向)に向けて付勢する。
【0057】
また、ベルト伸び検知装置50は、移動部32に設けられた被測定部51と、移動部32の移動可能な方向に対向する固定部52に設けられ、被測定部51との間の距離を測定する距離測定器53と、この距離測定器53で測定される距離情報を取得して処理する処理ユニット54(図3参照)と、を備えている。
【0058】
被測定部51は、移動部32に取り付けられた断面略L字形のドグ55を有している。ドグ55は、移動部32の側部に取り付けられ、移動部32と一体に移動する。
【0059】
固定部52は、ドグ55に対向する内径側のフレーム11とすることができる。
【0060】
距離測定器53は、ドグ55に対向する固定部52である内径側のフレーム11に取り付けられている。
【0061】
そして、モータ24の駆動によってベルト15が回動されると、このベルト15の回動によって複数の搬送ローラ14が回転され、複数の搬送ローラ14上に搭載される搬送物がコンベヤ10のカーブに沿って90°方向転換するように搬送される。
【0062】
ベルト15は、自動張力調整機構30によって常に所定の張力が付与されている。自動張力調整機構30では、移動部32と外径側のフレーム11との間に張設される引張コイルばね73の引張力によって移動部32がベルト15に張力を付与する方向に付勢されることにより、ベルト15に常に所定の張力が付与されている。また、ベルト15の劣化などによりベルト15が伸びた場合でも、引張コイルばね73で付勢されている移動部32がベルト15に張力を付与する方向に移動されることにより、ベルト15に常に所定の張力が付与される。
【0063】
また、ベルト15の伸び具合は、ベルト伸び検知装置50によって検知できる。ベルト伸び検知装置50は、距離測定器53によって測定される距離から移動部32の動作量である移動量を測定し、この移動量が予め設定された所定の閾値以上になったか監視してもよい。例えば、ベルト15の停止時に距離測定器53によって測定される距離の値とベルト15の回動時に距離測定器53によって測定される距離の値とから移動部32の移動量を測定し、この移動量が所定の閾値以上になったか監視してもよいし、または、距離測定器53によって測定される初期時の距離の値と現在の距離測定器53によって測定される距離の値とから移動部32の移動量を測定し、この移動量が予め設定された所定の閾値以上になったか監視してもよい。あるいは、距離測定器53で測定される距離の最大値が所定の閾値以上になったか監視してもよい。あるいは、上述した移動量と距離の最大値のいずれか一方でも対応する閾値以上になったか監視してもよい。そして、測定された距離や移動量は、表示部58に表示され、確認可能とする。
【0064】
そして、ベルト15の劣化が進み、移動部32の移動量が増加して所定の閾値以上になることで、または距離測定器53で測定される距離の最大値が増加して所定の閾値以上になることで、ベルト伸び検知装置50はベルト15の伸びを検知する。
【0065】
ベルト伸び検知装置50は、ベルト15の伸びを検知したら、その旨を表示部58で表示し、ベルト15の交換を促してもよい。
【0066】
このように、ベルト伸び検知装置50では、自動張力調整機構30を利用して被測定部51および距離測定器53を設けることにより、ベルト15の伸び具合を検知できるため、ベルト15が寿命に達して破断する前にベルト15の交換が可能になる。
【0067】
しかも、ベルト伸び検知装置50は、被測定部51および距離測定器53を用いればよいため、簡単な構成でベルト15の伸びを検知でき、例えば、設置済みの既存のコンベヤ10に対して、後からベルト伸び検知装置50を追加してベルト15の伸びを検知することもできる。
【0068】
また、ベルト伸び検知部60は、距離測定器53によって測定される距離から移動部32の動作量である移動量を測定し、この移動量が予め設定された所定の閾値以上になることでベルト15の伸びを検知するか、あるいは、距離測定器53で測定された距離の最大値が予め設定された所定の閾値以上になることでベルト15の伸びを検知するため、ベルト15の伸びを確実に検知できる。
【0069】
ベルト伸び検知部60がベルト15の伸びを検知したことを表示部58で表示するため、ベルト15の伸びたことを報知し、ベルト15の交換を促すことができる。
【0070】
なお、上述した各実施の形態では、被測定部51を移動部32に設け、距離測定器53を固定部52に設けたが、被測定部51を固定部52に設け、距離測定器53を移動部32に設けてもよい。
【0071】
また、上述した各実施の形態では、ベルト15の伸びる方向と距離測定器53で測定する距離が大きくなる方向とが対応していたが、ベルト15の伸びる方向と距離測定器53で測定する距離が小さくなる方向とが対応していてもよい。例えば、第2の実施の形態において、距離測定器53を外径側のフレーム11に取り付けてもよい。
【0072】
また、本実施の形態のベルト伸び検知装置50の構成は、搬送ベルト上に搬送物を搭載して搬送するベルトコンベヤにおいて、搬送ベルトの伸びを検知するのにも適用できる。
【0073】
以上、本発明の実施の形態およびその変形例について説明したが、種々の構成の組み合わせ、一部の省略、置き換えおよび変更も可能である。
【符号の説明】
【0074】
10 コンベヤ
14 搬送ローラ
15 ベルト
21 張力調整プーリ
30 自動張力調整機構
32 移動部
33 付勢部
50 ベルト伸び検知装置
51 被測定部
52 固定部
53 距離測定器
58 表示部
60 ベルト伸び検知部
図1
図2
図3
図4
図5