(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120032
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】クレーン用の位置検出装置
(51)【国際特許分類】
B66C 13/00 20060101AFI20230822BHJP
B66C 23/88 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
B66C13/00 D
B66C23/88 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023201
(22)【出願日】2022-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100145229
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 雅則
(74)【代理人】
【識別番号】100201352
【弁理士】
【氏名又は名称】豊田 朝子
(72)【発明者】
【氏名】オソシニスキ マレク
【テーマコード(参考)】
3F205
【Fターム(参考)】
3F205AA06
3F205CA03
3F205CB02
(57)【要約】
【課題】ブームの周辺の人または物体の位置を正確に検出することができるクレーン用の位置検出装置を提供する。
【解決手段】位置検出装置1は、ブームの右側面部に設けられると共に、ブームの延在方向に配列され、電波を受信する複数の右受信機21R-23Rと、ブームの左側面部に設けられると共に、ブームの延在方向に配列され、電波を受信する複数の左受信機21L-23Lと、複数の右受信機21R-23Rおよび複数の左受信機21L-23Lのそれぞれが受信した電波の受信強度とラフテレーンクレーン100の基準箇所に対する複数の右受信機21R-23Rと複数の左受信機21L-23Lのそれぞれの位置から、基準箇所に対する送信機10の位置を算出する位置算出器40と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブームを備えるクレーンに装備され、人または物体に取り付けられる送信機が発する電波を受信して前記送信機の位置を検出するクレーン用の位置検出装置であって、
前記ブームの右側面部に設けられると共に、前記ブームの延在方向に配列され、前記電波を受信する複数の第1アンテナ素子と、
前記ブームの左側面部に設けられると共に、前記ブームの延在方向に配列され、前記電波を受信する複数の第2アンテナ素子と、
前記複数の第1アンテナ素子および前記複数の第2アンテナ素子のそれぞれが受信した前記電波の受信強度と前記クレーンの基準箇所に対する前記複数の第1アンテナ素子と前記複数の第2アンテナ素子のそれぞれの位置から、前記基準箇所に対する前記送信機の位置を算出する位置算出器と、
を備えるクレーン用の位置検出装置。
【請求項2】
前記クレーンが備える車体または該車体が有するアウトリガーのいずれか一方に配置され、前記電波を受信する複数の第3アンテナ素子を備え、
前記位置算出器は、前記複数の第3アンテナ素子それぞれが受信した前記電波の受信強度と、前記基準箇所に対する前記複数の第3アンテナ素子それぞれの位置から、前記基準箇所に対する前記送信機の位置を算出する、
請求項1に記載のクレーン用の位置検出装置。
【請求項3】
前記ブームの下面部に設けられた、または、前記ブームが備えるブームヘッドに設けられ、前記電波を受信する第4アンテナ素子を備え、
前記位置算出器は、前記第4アンテナ素子が前記電波を受信し、かつ前記複数の第1アンテナ素子および前記複数の第2アンテナ素子が前記電波を受信している場合に、前記複数の第1アンテナ素子および前記複数の第2アンテナ素子が正常に動作していると判定して、前記基準箇所に対する前記送信機の位置を算出する、
請求項1または2に記載のクレーン用の位置検出装置。
【請求項4】
前記位置算出器が算出した前記基準箇所に対する前記送信機の位置を前記クレーンのオペレーターに報知する報知装置をさらに備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載のクレーン用の位置検出装置。
【請求項5】
前記複数の第1アンテナ素子を有する第1受信機と、
前記複数の第2アンテナ素子を有する第2受信機と、
をさらに備え、
前記電波には、前記送信機が取り付けられた人または物体を識別するための識別信号が載せられ、
前記第1受信機は、前記電波を前記複数の第1アンテナ素子が受信することにより、前記電波に載せられた前記識別信号を受信し、
前記第2受信機は、前記電波を前記複数の第2アンテナ素子が受信することにより、前記電波に載せられた前記識別信号を受信し、
前記位置算出器は、前記第1受信機または前記第2受信機が受信した前記識別信号に基づいて、前記送信機が取り付けられた前記人または前記物体を特定し、特定した前記人または前記物体の情報を前記報知装置に報知させる、
請求項4に記載のクレーン用の位置検出装置。
【請求項6】
前記基準箇所は、前記ブームが備えるブームヘッドの先端であり、
前記位置算出器は、前記ブームヘッドの先端に対する前記送信機の位置を算出する、
請求項1から5のいずれか1項に記載のクレーン用の位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクレーン用の位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
クレーン作業では、吊荷の位置を確認するため、吊荷監視カメラが用いられることがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、吊荷を撮像する吊荷監視カメラと、吊荷監視カメラが撮像した画像にフックの高さを示す網目状のガイド線を合成した合成画像を生成するコントローラと、上記合成画像を表示するディスプレイとを備える吊荷監視装置が開示されている。この吊荷監視装置では、ディスプレイに合成画像を表示することにより、その合成画像のガイド線からクレーンのオペレーターにフックの高さを直感的に認識させる。その結果、この吊荷監視装置は、クレーンの操作を容易にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
吊荷監視カメラでは、視野が十分に広くないものがある。その結果、吊荷監視カメラでは、ブーム周辺の人または物体の位置を確認できないことがある。
【0006】
また、吊荷監視カメラの視野が広い場合でも、視野が広い結果、人または物体が小さく写ってしまうことがある。その結果、人または物体の位置を正確に測ることが難しい。
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、ブームの周辺の人または物体の位置を正確に検出することができるクレーン用の位置検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明に係るクレーン用の位置検出装置は、
ブームを備えるクレーンに装備され、人または物体に取り付けられる送信機が発する電波を受信して前記送信機の位置を検出する位置検出装置であって、
前記ブームの右側面部に設けられると共に、前記ブームの延在方向に配列され、前記電波を受信する複数の第1アンテナ素子と、
前記ブームの左側面部に設けられると共に、前記ブームの延在方向に配列され、前記電波を受信する複数の第2アンテナ素子と、
前記複数の第1アンテナ素子および前記複数の第2アンテナ素子のそれぞれが受信した前記電波の受信強度と前記クレーンの基準箇所に対する前記複数の第1アンテナ素子と前記複数の第2アンテナ素子のそれぞれの位置から、前記基準箇所に対する前記送信機の位置を算出する位置算出器と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
前記クレーンが備える車体または該車体が有するアウトリガーのいずれか一方に配置され、前記電波を受信する複数の第3アンテナ素子を備え、
前記位置算出器は、前記複数の第3アンテナ素子それぞれが受信した前記電波の受信強度と、前記基準箇所に対する前記複数の第3アンテナ素子それぞれの位置から、前記基準箇所に対する前記送信機の位置を算出してもよい。
【0010】
前記ブームの下面部に設けられた、または、前記ブームが備えるブームヘッドに設けられ、前記電波を受信する第4アンテナ素子を備え、
前記位置算出器は、前記第4アンテナ素子が前記電波を受信し、かつ前記複数の第1アンテナ素子および前記複数の第2アンテナ素子が前記電波を受信している場合に、前記複数の第1アンテナ素子および前記複数の第2アンテナ素子が正常に動作していると判定して、前記基準箇所に対する前記送信機の位置を算出してもよい。
【0011】
前記位置算出器が算出した前記基準箇所に対する前記送信機の位置を前記クレーンのオペレーターに報知する報知装置をさらに備えてもよい。
【0012】
前記複数の第1アンテナ素子を有する第1受信機と、
前記複数の第2アンテナ素子を有する第2受信機と、
をさらに備え、
前記電波には、前記送信機が取り付けられた人または物体を識別するための識別信号が載せられ、
前記第1受信機は、前記電波を前記複数の第1アンテナ素子が受信することにより、前記電波に載せられた前記識別信号を受信し、
前記第2受信機は、前記電波を前記複数の第2アンテナ素子が受信することにより、前記電波に載せられた前記識別信号を受信し、
前記位置算出器は、前記第1受信機または前記第2受信機が受信した前記識別信号に基づいて、前記送信機が取り付けられた前記人または前記物体を特定し、特定した前記人または前記物体の情報を前記報知装置に報知させてもよい。
【0013】
前記基準箇所は、前記ブームが備えるブームヘッドの先端であり、
前記位置算出器は、前記ブームヘッドの先端に対する前記送信機の位置を算出してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の構成によれば、複数の第1アンテナ素子がブームの右側面部に設けられ、複数の第2アンテナ素子がブームの左側面部に設けられている。このため、クレーン用の位置検出装置は、ブームに対して右または左に送信機がある場合でも、ブームに電波が遮蔽されることなく、送信機の電波を受信して、送信機の位置を検出することができる。
【0015】
また、複数の第1アンテナ素子と複数の第2アンテナ素子がブームの延在方向に配列されている。このため、クレーン用の位置検出装置は、ブームの延在方向に送信機がある場合に、送信機の電波を受信して、送信機の位置を検出することができる。
【0016】
その結果、クレーン用の位置検出装置は、送信機が人または物体に取り付けられた場合に、ブームの周辺の、人または物体の位置を正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態に係るクレーン用の位置検出装置が取り付けられたラフテレーンクレーンの側面図である。
【
図2】実施の形態に係るクレーン用の位置検出装置のブロック図である。
【
図3】送信機と位置検出装置が備える右受信機、左受信機、下受信機、先端受信機および、参照受信機のブロック図である。
【
図4】位置検出装置が備える右受信機、左受信機、下受信機、先端受信機および、参照受信機の取り付け位置を示すラフテレーンクレーンの上面図である。
【
図5】位置検出装置が取り付けられた積載形トラッククレーンの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係るクレーン用の位置検出装置について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下、クレーン用の位置検出装置のことを単に、位置検出装置と呼ぶものとする。また、図中、同一又は同等の部分には同一の符号を付す。
【0019】
実施の形態に係る位置検出装置は、クレーンの操作を容易にするため、クレーンに対する対象物の位置を検出する装置である。以下、ラフテレーンクレーンに取り付けられた場合を例に、この位置検出装置の構成を説明する。まず、取り付け対象のラフテレーンクレーンの構成について説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係る位置検出装置1が取り付けられたラフテレーンクレーン100の側面図である。なお、
図1では、理解を容易にするため、位置検出装置1が備える構成のうち、一部の構成だけを示している。
【0021】
図1に示すように、ラフテレーンクレーン100は、走行機能を有する車両110に設けられた旋回体120と、旋回体120に設けられたブーム130と、ブーム130の先端部から垂下するワイヤロープ140に接続された、荷200を吊るためのフック150と、を備える。
【0022】
車両110は、フロント部とリア部のそれぞれに、図示しないジャッキシリンダによって、左右それぞれに張り出すアウトリガー111F、111Rを有する。車両110は、クレーン作業時に、それらアウトリガー111F、111Rを張り出して、アウトリガー111F、111Rの先端にあるフロートを接地させる。これにより、車両110は、クレーン作業時の安定性を高め、転倒を防ぐ。
【0023】
また、車両110の上部には、アウトリガー111F、111Rを張り出した状態で、クレーン作業をするため、旋回体120が設けられている。
【0024】
旋回体120は、旋回の中心軸線Aを上下方向に向けた状態で、車両110の上側部分に設けられている。そして、旋回体120は、旋回モータ121に駆動されることにより、中心軸線Aの周りに旋回する。また、旋回体120には、ブーム130が設けられている。旋回体120は、旋回モータ121によって旋回することにより、ブーム130を旋回させる。
【0025】
ブーム130は、基部にあるブームフットがフットピンにより留められることにより、旋回体120に取り付けられている。そして、ブーム130は、基部よりも先端側にある中間部分が、旋回体120に設けられた起伏シリンダ131により支持されている。ブーム130は、起伏シリンダ131が伸縮することにより、起伏する。
【0026】
また、ブーム130は、テレスコピック式に形成されている。そして、ブーム130の内部には伸縮シリンダ132が設けられている。ブーム130は、その伸縮シリンダ132が伸縮することにより、伸縮する。
【0027】
さらに、ブーム130の先端には、シーブ133を内蔵するブームヘッド134が設けられている。そのブームヘッド134では、シーブ133にワイヤロープ140が掛け回されている。そして、そのシーブ133から、ワイヤロープ140の一端部分が垂下している。そのワイヤロープ140の一端部分には、フック150が機械的に接続されている。ブームヘッド134は、このような構成により、フック150を吊り下げている。
【0028】
ワイヤロープ140の、上述した一端部分と反対側にある他端部分は、旋回体120に設けられたウインチドラム141に巻回されている。そのウインチドラム141が正回転または逆回転することにより、ワイヤロープ140は、巻き上げ、または巻き下げされる。上述したように、ワイヤロープ140の一端部分にはフック150が接続されている。その結果、フック150がワイヤロープ140の巻き上げまたは巻き下げによって上昇または下降する。
【0029】
ラフテレーンクレーン100では、周辺にある荷200をフック150で吊して運ぶため、オペレーターが、上述した旋回体120およびブーム130を操作して、ブームヘッド134を荷200の上に移動させる。また、その状態で、オペレーターがウインチドラム141を操作して、フック150を下降させる。
【0030】
このとき、ブームヘッド134を荷200の真上に正確に移動させるには、オペレーターが荷200の正確な位置を把握する必要がある。そこで、例えば、吊荷監視カメラが撮像した画像をオペレーターが見て、これにより、荷200の位置を把握することが行われている。
【0031】
しかしながら、吊荷監視カメラでは、視角が狭く、荷200が離れた位置にある場合に、荷200が撮像できないことがある。また、荷200が離れた位置にある場合に、撮像された荷200が画像内で小さく、その結果、荷200の位置が把握しにくいことがある。
【0032】
このような問題があることから、ブームヘッド134に対する荷200の方向、ブームヘッド134から荷200までの距離等の位置情報がオペレーターに提供されることが望ましい。また、ラフテレーンクレーン100周辺にある物体、例えば、建築物、建設機械との接触、干渉を防ぐために、オペレーターにこれらの物体の位置情報が提供されることが望ましい。さらに、安全性をより確保するため、ラフテレーンクレーン100の周辺にいる人の位置情報が提供されることが望ましい。
【0033】
そこで、ラフテレーンクレーン100には、周辺にいる人または物体の位置情報をオペレーターに提供するため、人または物体に取り付けられた送信機10の、車両110に対する位置を検出する位置検出装置1が設けられている。次に、
図2-
図4を参照して、位置検出装置1の構成について説明する。
【0034】
図2は、位置検出装置1のブロック図である。
図3は、送信機10と位置検出装置1が備える右受信機21R-23R、左受信機21L-23L、下受信機24、先端受信機25および、参照受信機31-34のブロック図である。
図4は、位置検出装置1が備える右受信機21R-23R、左受信機21L-23L、下受信機24、先端受信機25および、参照受信機31-34の取り付け位置を示すラフテレーンクレーン100の上面図である。
【0035】
なお、
図2では、理解を容易にするため、位置検出装置1の構成のほか、ラフテレーンクレーン100の一部の構成も示している。
【0036】
図2に示すように、位置検出装置1は、(1)送信機10が発信する電波を受信する右受信機21R-23R、左受信機21L-23L、下受信機24、先端受信機25および、参照受信機31-34と、(2)右受信機21R-23R、左受信機21L-23L、下受信機24、先端受信機25および、参照受信機31-34の受信データから送信機10の位置を算出する位置算出器40と、(3)位置算出器40が算出した送信機10の位置データを表示する表示装置45と、を備える。
【0037】
送信機10は、ラフテレーンクレーン100を用いたクレーン作業で、オペレーターが位置を把握すべき人または物体に取り付けられて、その位置を知らせる機器である。また、送信機10は、ビーコン、無線標識等とも呼ばれる機器である。
【0038】
詳細には、送信機10は、ブームヘッド134が接触、衝突することを防ぐ人または物体、例えば、建築現場にいる作業者、建築現場にあるショベルカー、ブルドーザー、トラック等の建設機械、または建築現場にある建築物等に取り付けられる。そして、送信機10は、その位置を位置検出装置1に知らせるため、電波を送信する。
【0039】
送信機10は、その電波を送信するため、
図3に示すように、通信モジュール11とアンテナ素子12を備える。
【0040】
通信モジュール11は、図示しないが、ベースバンド(Baseband)回路、無線周波数(RF:Radio Frequency)回路、変調回路等を有する。通信モジュール11では、ベースバンド回路が識別信号等を含む送信機信号からベースバンド信号を生成する。ここで、識別信号とは、送信機10が複数存在する場合に、どの送信機10が送信した信号であるかを識別するための信号のことである。一方、無線周波数回路は、搬送波を生成する。そして、変調回路は、ベースバンド回路が生成したベースバンド信号を、無線周波数回路が生成した搬送波に重畳する。通信モジュール11は、ベースバンド信号が重畳された搬送波をアンテナ素子12へ送る。
【0041】
アンテナ素子12は、ベースバンド信号が重畳された搬送波を電波に変換して、変換した電波を空間に放射する。これにより、アンテナ素子12は、変換した電波を上記の右受信機21R-23R、左受信機21L-23L、下受信機24、先端受信機25および、参照受信機31-34に送信する。
【0042】
これに対して、右受信機21R-23R、左受信機21L-23L、下受信機24、先端受信機25および、参照受信機31-34は、ラフテレーンクレーン100に取り付けられて、送信機10が送信した電波を受信する装置である。
【0043】
詳細には、右受信機21R-23Rと左受信機21L-23Lは、
図4に示すように、ブーム130の右側面部と左側面部に設けられている。これにより、右受信機21R-23Rと左受信機21L-23Lは、ブーム130の右側と左側から送信機10が送信する電波を受信する。
【0044】
このような位置に右受信機21R-23Rと左受信機21L-23Lが設けられているのは、右受信機21R-23Rと左受信機21L-23Lがブーム130の右側面部と左側面部のいずれか一方にだけ設けられた場合に、ブーム130の右側面部と左側面部のいずれか他方の側からの電波を、金属製のブーム130が電波を遮ってしまい、電波が受信されにくくなってしまうからである。さらに、右受信機21R-23Rと左受信機21L-23Lが左右方向に離れて設けられることにより、送信機10がブーム130に対して右または左にある場合に、送信機10が発する電波を右受信機21R-23Rと左受信機21L-23Lのいずれか一方が、より強い強度で受信する。その結果、それらの受信強度の違いから送信機10の左右方向の位置が検出されやすくなるからである。
【0045】
また、右受信機21R-23Rと左受信機21L-23Lは、ブーム130の延在方向に沿って配置されている。詳細には、右受信機21R-23Rは、ブーム130の先端から末端に向けて、右受信機21R、右受信機22R、右受信機23Rの順序で配置されている。また、ブーム130の延在方向に互いに離れて配置されている。さらに、左受信機21L-23Lそれぞれは、右受信機21R-23Rそれぞれの左側に配置されている。その結果、左受信機21L-23Lは、右受信機21R-23Rとブーム130の延在方向に同様の位置関係で配置されている。右受信機21R-23Rと左受信機21L-23Lは、後述するようにアンテナ素子210をそれぞれ備えるところ、上記のように配置されることにより、いわゆるアンテナアレイを形成している。その結果、右受信機21R-23Rと左受信機21L-23Lは、送信機10が発した電波を、ブーム130の延在方向の位置に応じた強度で受信する。その結果、それらの受信強度の違いから送信機10の、ブーム130の延在方向に対する位置を検出しやすくする。
【0046】
このように、右受信機21R-23Rと左受信機21L-23Lは、ブーム130の右側と左側から、また、ブーム130の先端側と末端側から、それぞれ送信機10の電波を受信する。そして、右受信機21R-23Rと左受信機21L-23Lは、送信機10の電波の強度を測定して、その強度を位置算出器40に送信する。これにより、右受信機21R-23Rと左受信機21L-23Lは、送信機10の位置を算出するためのデータを位置算出器40に提供する。また、右受信機21R-23Rと左受信機21L-23Lは、送信機10の電波を受信する。そして、その電波に含まれる信号を抽出して、得られた信号を位置算出器40に送信する。
【0047】
一方、下受信機24と先端受信機25は、右受信機21R-23Rと左受信機21L-23Lが電波を受信した場合に、その受信が正しいのか否かを判定する情報を得るために設けられている。
【0048】
詳細には、下受信機24と先端受信機25は、送信機10の電波を受信しやすいブーム130の下面部とブームヘッド134の先端部に配置されている。そして、下受信機24と先端受信機25は、送信機10の電波を受信して、受信した電波に含まれる信号を抽出し、さらに、抽出した信号を位置算出器40に送信する。位置算出器40は、右受信機21R-23Rと左受信機21L-23Lから信号が送られてきたときに、下受信機24または先端受信機25から同じ信号が送られると、右受信機21R-23Rと左受信機21L-23Lが正しい受信をしていると判定する。このように、下受信機24と先端受信機25は、右受信機21R-23Rと左受信機21L-23Lの受信が正しいか否かを判定するための情報を位置算出器40に提供する。
【0049】
また、参照受信機31-34は、右受信機21R-23Rと左受信機21L-23Lを用いた送信機10の位置検出を補助するため、設けられている。このため、参照受信機31-34は、右受信機21R-23Rと左受信機21L-23Lと同様に、送信機10の位置を算出するためのデータを位置算出器40に提供する。
【0050】
詳細には、参照受信機31と32は、アウトリガー111Fの右端と左端にそれぞれ設けられている。また、参照受信機33と34は、アウトリガー111Rの右端と左端にそれぞれ設けられている。すなわち、参照受信機31-34は、車両110の上面視四隅に設けられている。参照受信機31-34は、それぞれの位置で、送信機10の電波強度を測定して、その強度を位置算出器40に送信する。これにより、参照受信機31-34は、送信機10の位置を算出するためのデータを位置算出器40に提供する。
【0051】
図3に戻って、右受信機21R-23R、左受信機21L-23L、下受信機24、先端受信機25および、参照受信機31-34は、送信機10の電波を受信するため、アンテナ素子210と通信モジュール220をそれぞれ備える。
【0052】
アンテナ素子210は、送信機10が発する電波を受けて、その電波を電気信号に変換する。そして、アンテナ素子210は、変換した電気信号を通信モジュール220に送信する。
【0053】
通信モジュール220は、図示しないが復調回路、電圧整流回路等を有する。その図示しない復調回路は、アンテナ素子210から送信された電気信号から搬送波成分を取り除いて、ベースバンド信号を抽出する。通信モジュール220は、抽出したベースバンド信号を位置算出器40に送信する。
【0054】
また、通信モジュール220が備える、図示しない電圧整流回路は、アンテナ素子210から送信された電気信号の振幅の大きさを測る。そして、通信モジュール220は、測った振幅の大きさを受信電波の強度として、
図2に示す位置算出器40に送信する。
【0055】
位置算出器40は、右受信機21R-23R、左受信機21L-23L、下受信機24、先端受信機25および、参照受信機31-34それぞれが備える通信モジュール220から送信された信号を処理するためのCPU(Central Processing Unit)41、RAM(Random Access Memory)42および、ROM(Read-Only Memory)43と、各種データを格納する記憶装置44と、を備える。
【0056】
CPU41は、ラフテレーンクレーン100が備える旋回角度検出センサ161、ブーム角度検出センサ162、ブーム長さ検出センサ163および、アウトリガー張り出し検出センサ164に、図示しないバス(通信線)によって電気的に接続されている。
【0057】
ここで、旋回角度検出センサ161とは、
図1に示す旋回モータ122により旋回体120が旋回した角度を検出するセンサのことである。また、ブーム角度検出センサ162とは、起伏シリンダ131の伸縮により、ブーム130が起伏した角度を検出するセンサのことである。さらに、ブーム長さ検出センサ163とは、伸縮シリンダ132の伸縮によりブーム130が伸縮したときの、ブーム130の長さを検出するセンサのことである。アウトリガー張り出し検出センサ164とは、アウトリガー111F、111Rの張り出し長さを検出するセンサのことである。これらセンサは、検出した旋回体120の旋回角度、ブーム130の起伏角度、ブーム130の長さおよび、アウトリガー111F、111Rの張り出し長さの各データをCPU41に送信する。
【0058】
図2に戻って、CPU41がROM43に記憶された位置算出プログラムをRAM42に読み出して実行する。これにより、位置算出器40は、位置算出処理を行う。
【0059】
その位置算出処理では、位置算出器40は、右受信機21R-23R、左受信機21L-23Lおよび、参照受信機31-34それぞれから受信電波の強度のデータを受信する。また、位置算出器40は、右受信機21R-23R、左受信機21L-23Lおよび、参照受信機31-34それぞれから、それらが送信機10の電波から抽出したベースバンド信号を受信する。
【0060】
位置算出器40は、右受信機21R-23R、左受信機21L-23Lおよび、参照受信機31-34それぞれから受信電波の電波強度のデータとベースバンド信号を受信すると、右受信機21R-23R、左受信機21L-23Lおよび、参照受信機31-34の受信が正しいか否かを判定するため、下受信機24と先端受信機25から、下受信機24と先端受信機25が送信機10の電波から抽出したベースバンド信号を受信する。そして、位置算出器40は、右受信機21R-23R、左受信機21L-23Lおよび、参照受信機31-34それぞれから受信したベースバンド信号と、下受信機24と先端受信機25から受信したベースバンド信号とを照合する。
【0061】
位置算出器40は、ベースバンド信号が一致しない場合、右受信機21R-23R、左受信機21L-23Lおよび、参照受信機31-34の受信が正しくないと判定して送信機10の位置を算出しない。一方、位置算出器40は、ベースバンド信号が一致した場合、参照受信機31-34の受信が正しいと判定する。そして、位置算出器40は、右受信機21R-23R、左受信機21L-23Lおよび、参照受信機31-34それぞれから受信した電波強度のデータに基づき、送信機10の位置を算出する。
【0062】
送信機10の位置の算出を詳細に説明すると、位置算出器40は、まず記憶装置44から算出に必要な各種データを読み出す。具体的には、記憶装置44には、右受信機21R-23Rと左受信機21L-23Lのブーム130内での位置を示す座標データ、例えば、右受信機21R-23Rと左受信機21L-23Lのブームフットを原点とする座標データが格納されている。また、記憶装置44には、アウトリガー111F、111Rの張り出し長さに対応付けられた参照受信機31-34の車両110の基準箇所に対する位置を示す座標データが格納されている。さらに、記憶装置44には、ブームフットの、車両110の基準箇所に対する位置を示す座標データが格納されている。位置算出器40は、これら座標データを読み出す。
【0063】
ここで、車両110の基準箇所とは、ラフテレーンクレーン100の各部の位置を示す座標の原点とする基準となる箇所のことである。例えば、旋回体120の旋回中心のことである。
【0064】
また、位置算出器40は、旋回角度検出センサ161、ブーム角度検出センサ162、ブーム長さ検出センサ163および、アウトリガー張り出し検出センサ164から、旋回体120の旋回角度、ブーム130の起伏角度、ブーム130の長さおよび、アウトリガー111F、111Rの張り出し長さの各データを受信する。位置算出器40は、これらセンサの各データと、記憶装置44から読み出した上記の各座標データとから、右受信機21R-23R、左受信機21L-23Lおよび、参照受信機31-34それぞれの位置、例えば、旋回体120の旋回中心を原点とした場合の位置を算出する。
【0065】
位置算出器40は、算出した右受信機21R-23R、左受信機21L-23Lおよび、参照受信機31-34の位置と、上記の位置算出処理の最初の段階で受信した右受信機21R-23R、左受信機21L-23Lおよび、参照受信機31-34それぞれの受信電波の強度とから、車両110の基準箇所に対する送信機10の位置を算出する。
【0066】
このとき、位置算出器40は、右受信機21R-23R、左受信機21L-23Lおよび、参照受信機31-34それぞれから送信機10までの距離をフリス(Friis)の伝達公式を用いて算出する。また、位置算出器40は、算出した右受信機21R-23Rおよび左受信機21L-23Lのそれぞれから送信機10までの距離と、右受信機21R-23Rおよび左受信機21L-23Lのそれぞれの位置とを三角測量法に適用して、車両110の基準箇所に対する送信機10の位置を算出する。
【0067】
なお、以下、この算出した送信機10の位置のことを、右受信機21R-23Rおよび左受信機21L-23Lのデータから算出した送信機10の位置というものとする。
【0068】
位置算出器40が、右受信機21R-23R、左受信機21L-23Lおよび、参照受信機31-34それぞれから受信したベースバンド信号には、上述したように、どの送信機10であるかを示す識別信号が含まれている。位置算出器40は、右受信機21R-23Rおよび左受信機21L-23Lのデータから算出した送信機10の位置のデータを識別番号のデータと共に、表示装置45に出力する。
【0069】
さらに、位置算出器40は、上記で算出した参照受信機31-34それぞれから送信機10までの距離と、参照受信機31-34それぞれの位置とを三角測量法に適用して、車両110の基準箇所に対する送信機10の位置を算出する。
【0070】
なお、以下、この算出した送信機10の位置のことを、参照受信機31-34のデータから算出した送信機10の位置というものとする。
【0071】
位置算出器40は、上記の右受信機21R-23Rおよび左受信機21L-23Lのデータから算出した送信機10の位置と参照受信機31-34のデータから算出した送信機10の位置を比較し、所定の距離よりも大きく離れている場合には、算出された送信機10の位置の精度が低いと判定する。そして、位置算出器40は、送信機10の位置の精度が低いと判定した場合、算出した位置のデータの精度が低いおそれがある旨の信号を表示装置45に出力する。
【0072】
表示装置45は、液晶ディスプレイまたは、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイで構成されている。そして、表示装置45は、ラフテレーンクレーン100のキャビンに設置されている。表示装置45は、送信機10の位置のデータと識別番号のデータが位置算出器40から出力されると、それらデータを画面に表示する。これにより、ラフテレーンクレーン100のオペレーターに、送信機10が取り付けられた人または物体の位置を報知する。
【0073】
この報知では、識別信号とその識別信号が取り付けられる人または物体を特定する対象物情報、例えば、人または物体の名称等とが対応付けられたデータが予め記憶装置44に記憶され、位置算出器40がそのデータを読み出して、識別信号に対応する対象物情報を表示装置45に出力することが望ましい。その結果、表示装置45が、送信機10の位置と対象物情報を表示することが望ましい。すなわち、送信機10が取り付けられた人または物体を特定する対象物情報を送信機10の位置と共に表示装置45が表示することが望ましい。
【0074】
また、表示装置45は、位置算出器40が算出した位置のデータの精度が低いおそれがある旨の信号を出力した場合、送信機10の位置のデータの精度が低いことを画面に表示する。これにより、ラフテレーンクレーン100のオペレーターに注意を促す。
【0075】
以上のように、本発明の実施の形態1に係る位置検出装置1は、ブーム130に設けられ、送信機10の電波を受信する右受信機21R-23Rおよび左受信機21L-23Lと、右受信機21R-23Rおよび左受信機21L-23Lが受信した電波の強度から送信機10の位置を算出する位置算出器40とを備える。その結果、送信機10が人または物体に取り付けられた場合に、位置検出装置1は、ブーム130の周辺の人または物体の位置を正確に検出することができる。
【0076】
右受信機21R-23Rがブーム130の右側面部に設けられ、左受信機21L-23Lがブーム130の左側面部に設けられている。このため、位置検出装置1は、ブーム130に対して右または左に送信機10がある場合でも、ブーム130に電波が遮蔽されることがない。その結果、位置検出装置1は、送信機10の電波を受信して、送信機10の位置を検出することができる。
【0077】
また、右受信機21R-23Rと左受信機21L-23Lがブーム130の延在方向に配列されている。すなわち、右受信機21R-23Rと左受信機21L-23Lは、ブーム130の延在方向に配列されたアンテナアレイを形成している。このため、位置検出装置1は、ブーム130の延在方向に送信機10がある場合に、送信機10の電波を受信して、送信機10の位置を検出することができる。
【0078】
位置検出装置1は、送信機10が人または物体に取り付けられた場合に、ブーム130の周辺の人または物体の位置を正確に検出して、ラフテレーンクレーン100のオペレーターにその位置を報知する。このため、オペレーターは、ラフテレーンクレーン100をより正確に操作することができる。
【0079】
右受信機21R-23Rと左受信機21L-23Lが、送信機10の識別番号を含むベースバンド信号を受信し、位置算出器40は、その識別番号と送信機10の位置のデータを表示装置45に表示させる。このため、オペレーターは、検出された送信機10を識別することができる。
【0080】
なお、上記の実施の形態の右受信機21R-23Rは、特許請求の範囲でいうところの第1受信機に相当する構成であり、右受信機21R-23Rが備えるアンテナ素子210は、特許請求の範囲でいうところの第1アンテナ素子に相当する構成である。また、左受信機21L-23Lは、特許請求の範囲でいうところの第2受信機に相当する構成であり、左受信機21L-23Lが備えるアンテナ素子210は、特許請求の範囲でいうところの第2アンテナ素子に相当する構成である。さらに、参照受信機31-34が備えるアンテナ素子210は、特許請求の範囲でいうところの第3アンテナ素子に相当する構成である。下受信機24、先端受信機25それぞれが備えるアンテナ素子210は、特許請求の範囲でいうところの第4アンテナ素子に相当する構成である。また、車両110は、特許請求の範囲でいうところの車体に相当する構成である。
【0081】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば、上記の実施の形態では、ラフテレーンクレーン100に位置検出装置1が取り付けられているが、本発明はこれに限定されない。本発明では、位置検出装置1は、ブーム130を備えるクレーンに取り付けられるのであればよい。このため、位置検出装置1は、ラフテレーンクレーン100以外の、ブーム130を備えるクレーンに取り付けられてもよい。
【0082】
図5は、位置検出装置1が取り付けられた積載形トラッククレーン101の上面図である。
【0083】
図5に示すように、位置検出装置1は、積載形トラッククレーン101(カーゴクレーンともいう)に取り付けられてもよい。この場合、参照受信機31-34は、積載形トラッククレーン101が備えるキャビン112に配置されるとよい。例えば、参照受信機31-34それぞれは、キャビン112の右前方部、左前方部、右後方部および、左後方部それぞれに配置されるとよい。
【0084】
また、上記の実施の形態では、送信機10は、電波の送信をし、右受信機21R-23R、左受信機21L-23L、下受信機24、先端受信機25および、参照受信機31-34それぞれが電波の受信をする。しかし、本発明はこれに限定されない。本発明では、送信機10は、復調回路、電圧整流回路等の通信モジュール220と同じ構成をさらに備え、電波の送信だけでなく、電波の受信をしてもよい。また、右受信機21R-23R、左受信機21L-23L、下受信機24、先端受信機25および、参照受信機31-34それぞれは、ベースバンド回路、無線周波数回路、変調回路等の通信モジュール11と同じ構成をさらに備え、電波の受信だけでなく、電波の送信をしてもよい。その結果、右受信機21R-23R、左受信機21L-23L、下受信機24、先端受信機25および、参照受信機31-34それぞれが電波を発信し、送信機10が、右受信機21R-23R、左受信機21L-23L、下受信機24、先端受信機25および、参照受信機31-34それぞれの電波を受信してもよい。これにより、右受信機21R-23R、左受信機21L-23L、下受信機24、先端受信機25および、参照受信機31-34と送信機10の間で通信が行われてもよい。
【0085】
また、上記の実施の形態では、右受信機21R-23R、左受信機21L-23L、下受信機24、先端受信機25および、参照受信機31-34それぞれがアンテナ素子210と通信モジュール220を備える。しかし、本発明はこれに限定されない。本発明では、位置算出器40が、通信モジュール220を備え、その結果、右受信機21R-23R、左受信機21L-23L、下受信機24、先端受信機25および、参照受信機31-34それぞれが通信モジュール220を備えなくてもよい。換言すると、右受信機21R-23R、左受信機21L-23L、下受信機24、先端受信機25および、参照受信機31-34それぞれは、アンテナ素子210だけを備えていてもよい。この場合、単にアンテナ素子または、アンテナと呼ばれてもよい。
【0086】
上記の実施の形態では、右受信機21R-23Rと左受信機21L-23Lそれぞれが3つの受信機によって構成されている。しかし、本発明はこれに限定されない。右受信機21R-23Rの個数と左受信機21L-23Lの個数は、複数個であればよい。このような個数であれば、送信機10からの電波の強度を三角測量法に適用することにより、送信機10の位置を算出できるからである。上述した右受信機21R-23Rと左受信機21L-23Lが通信モジュール220を備えず、かつアンテナ素子210だけを備える場合、右受信機21R-23Rと左受信機21L-23Lそれぞれは、複数個、アンテナ素子210を有していればよい。
【0087】
なお、上記の実施の形態では、送信機10が1つ存在する例であったが、本発明では、送信機10は、少なくとも1つ存在していればよい。送信機10は、複数個存在してもよい。
【0088】
上記の実施の形態では、位置算出器40は、車両110の基準箇所に対する送信機10の位置を算出する。そして、その基準箇所として、旋回体120の旋回中心が例示されている。しかし、本発明はこれに限定されない。本発明では、車両110の基準箇所は、クレーンの基準箇所であればよい。例えば、基準箇所は、ブームヘッド134の先端であってもよいし、ブームヘッド134にあるシーブ133であってもよい。このような箇所は、荷200を吊り下げるフック150の基準となるからであり、このような箇所からの送信機10の位置がわかれば、ラフテレーンクレーン100、積載形トラッククレーン101の操作が容易となるからである。また、基準箇所は、キャビンであってもよい。
【0089】
上記の実施の形態では、送信機10の位置が表示装置45に表示され、その結果、オペレーターに送信機10の位置を知らせている。しかし、本発明はこれに限定されない。本発明では、表示装置45は、送信機10の位置をオペレーターに報知する報知装置であればよい。このため、表示装置45は、例えば、スピーカーであってもよい。この場合、スピーカーから、送信機10の位置が音声で報知されてもよい。
【符号の説明】
【0090】
1…位置検出装置、10…送信機、11…通信モジュール、12…アンテナ素子、21R-23R…右受信機、21L-23L…左受信機、24…下受信機、25…先端受信機、31-34…参照受信機、40…位置算出器、41…CPU、42…RAM、43…ROM、44…記憶装置、45…表示装置、100…ラフテレーンクレーン、101…積載形トラッククレーン、110…車両、111F、111R…アウトリガー、112…キャビン、120…旋回体、121…旋回モータ、130…ブーム、131…起伏シリンダ、132…伸縮シリンダ、133…シーブ、134…ブームヘッド、140…ワイヤロープ、141…ウインチドラム、150…フック、161…旋回角度検出センサ、162…ブーム角度検出センサ、163…ブーム長さ検出センサ、164…アウトリガー張り出し検出センサ、200…荷、210…アンテナ素子、220…通信モジュール、A…中心軸線