(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120039
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】電気融着装置
(51)【国際特許分類】
B29C 65/34 20060101AFI20230822BHJP
F16L 47/03 20060101ALN20230822BHJP
【FI】
B29C65/34
F16L47/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023211
(22)【出願日】2022-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】505142964
【氏名又は名称】株式会社クボタケミックス
(74)【代理人】
【識別番号】100090181
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 義人
(72)【発明者】
【氏名】檜物 友和
(72)【発明者】
【氏名】大室 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】小森 裕太
【テーマコード(参考)】
3H019
4F211
【Fターム(参考)】
3H019FA08
3H019GA02
4F211AA04
4F211AG08
4F211AH11
4F211AK09
4F211AP15
4F211AP18
4F211AR11
4F211TA01
4F211TC11
4F211TN08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】外部電源を用いることなく、単独で融着作業を完結できる電気融着装置を提供する。
【解決手段】電気融着装置の装置本体12は、筐体20を備える。この筐体内には、電気融着装置の動作を制御する制御部と、電気融着継手に対して電力を供給する蓄電池24とが設けられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気融着継手と樹脂管とを電気融着接合する電気融着装置であって、
筐体、
前記筐体内に設けられ、当該電気融着装置の動作を制御する制御部、および
前記筐体内に設けられ、前記電気融着継手に対して電力を供給する蓄電池を備える、電気融着装置。
【請求項2】
前記蓄電池は、前記筐体に対して着脱可能に設けられる、請求項1記載の電気融着装置。
【請求項3】
前記蓄電池は、他の機器に対して電力を供給可能に設けられる、請求項1または2記載の電気融着装置。
【請求項4】
前記筐体に設けられた表示部を備え、
前記制御部は、
前記蓄電池の電池残量を検出する残量検出部、および
前記残量検出部によって検出された電池残量を前記表示部に表示させる表示制御部を含む、請求項1から3のいずれかに記載の電気融着装置。
【請求項5】
前記筐体に設けられた表示部を備え、
前記制御部は、
前記蓄電池の電池残量を検出する残量検出部、
必要電力量を含む前記電気融着継手に関する情報を取得する継手情報取得部、
前記電池残量および前記必要電力量に基づいて融着可能な前記電気融着継手の数量を算出する数量算出部、および
前記数量算出部によって検出された数量を前記表示部に表示させる表示制御部を含む、請求項1から3のいずれかに記載の電気融着装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記蓄電池の電池残量を検出する残量検出部、
必要電力量を含む前記電気融着継手に関する情報を取得する継手情報取得部、
前記電池残量および前記必要電力量に基づいて前記電気融着継手を用いた融着動作が完了可能かどうかを判定する融着可否判定部、および
前記融着可否判定部によって前記電気融着継手を用いた融着動作が完了できないと判定されたとき、当該電気融着継手に対する通電の開始を規制する通電規制部を含む、請求項1から3のいずれかに記載の電気融着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電気融着装置に関し、特にたとえば、電気融着継手と樹脂管とを電気融着接合する電気融着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電気融着装置(融着制御装置)の一例が特許文献1に開示される。特許文献1の電気融着装置は、AC電力供給部から、AC・DC変換部、切換器、融着用電源を経て電気融着継手の電熱線への通常通電経路を備える。また、AC電力供給部からの給電が停止したことを瞬時に検出する瞬時停電検出部と、融着中に、瞬時停電検出部を監視して、AC電力供給部からの給電が停止したときに切換器に瞬時に内蔵電池または外部補助電源に電源を切り替えるよう指示する融着制御部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電気融着装置では、電気融着継手に電力を供給するための電源として、発電機または商用電源などの外部電源が用いられる。特許文献1の技術では、内蔵電池を備えるものの、この内蔵電池はあくまで補助的に用いられるものであり、発電機または商用電源などの外部電源の確保が必須である。発電機は、燃料として用いるガソリンの調達が必要である。また、高層ビル等の施工現場で発電機を用いる場合には、複数階に亘って電気融着装置と発電機とを個別に運搬する必要があるので、作業効率が悪い。また、施工現場によっては商用電源を使用できない、或いは商用電源の使用を控える方が好ましい場合もある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、電気融着装置を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、外部電源を用いることなく電気融着装置単独で融着作業を完結できる、電気融着装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、電気融着継手と樹脂管とを電気融着接合する電気融着装置であって、筐体、筐体内に設けられ、当該電気融着装置の動作を制御する制御部、および筐体内に設けられ、電気融着継手に対して電力を供給する蓄電池を備える、電気融着装置である。
【0008】
第1の発明では、電気融着装置は、筐体を備える。この筐体内には、電気融着装置の動作を制御する制御部、および電気融着継手に対して電力を供給する蓄電池が収容される。蓄電池としては、たとえば300wh~1200whの容量を有するものが用いられる。
【0009】
第1の発明によれば、電気融着装置が蓄電池を備えるので、外部電源を用いることなく電気融着装置単独で融着作業を完結できる。また、安定した電力供給が可能となるので、融着不良の発生を適切に防止できる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明に従属し、蓄電池は、筐体に対して着脱可能に設けられる。
【0011】
第2の発明によれば、仮に充電切れが生じたときでも、蓄電池を交換することで、充電待ち時間を生じさせることなく融着作業を連続して行うことができる。
【0012】
第3の発明は、第1または第2の発明に従属し、蓄電池は、他の機器に対して電力を供給可能に設けられる。
【0013】
第3の発明によれば、他の機器に対して電力を供給可能なポータブル電源として電気融着装置を用いることができる。
【0014】
第4の発明は、第1から第3のいずれかの発明に従属し、筐体に設けられた表示部を備え、制御部は、蓄電池の電池残量を検出する残量検出部、および残量検出部によって検出された電池残量を表示部に表示させる表示制御部を含む。
【0015】
第4の発明によれば、蓄電池の容量不足による融着不良の発生を未然に防ぐことができる。
【0016】
第5の発明は、第1から第3のいずれかの発明に従属し、筐体に設けられた表示部を備え、制御部は、蓄電池の電池残量を検出する残量検出部、必要電力量を含む電気融着継手に関する情報を取得する継手情報取得部、電池残量および必要電力量に基づいて融着可能な電気融着継手の数量を算出する数量算出部、および数量算出部によって検出された数量を表示部に表示させる表示制御部を含む。
【0017】
第5の発明によれば、蓄電池の容量不足による融着不良の発生を未然に防ぐことができる。
【0018】
第5の発明は、第1から第3のいずれかの発明に従属し、制御部は、蓄電池の電池残量を検出する残量検出部、必要電力量を含む電気融着継手に関する情報を取得する継手情報取得部、電池残量および必要電力量に基づいて電気融着継手を用いた融着動作が完了可能かどうかを判定する融着可否判定部、および融着可否判定部によって電気融着継手を用いた融着動作が完了できないと判定されたとき、当該電気融着継手に対する通電の開始を規制する通電規制部を含む。
【0019】
第6の発明によれば、蓄電池の容量不足による融着不良の発生を確実に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、電気融着装置が蓄電池を備えるので、外部電源を用いることなく電気融着装置単独で融着作業を完結できる。また、安定した電力供給が可能となるので、融着不良の発生を適切に防止できる。
【0021】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】この発明の一実施例である電気融着装置を用いて電気融着継手と樹脂管とを接続する様子を示す図である。
【
図2】電気融着装置の装置本体を概略的に示す正面図である。
【
図3】電気融着装置の装置本体を概略的に示す上面図である。
【
図4】電気融着装置の装置本体を概略的に示す右側面図である。
【
図5】開閉カバーを開けた状態の電気融着装置の装置本体を概略的に示す右側面図である。
【
図7】電気融着装置の電気的構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】RAMのメモリマップの一例を示す図である。
【
図9】電気融着装置において実行される通電制御処理の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1を参照して、この発明の一実施例である電気融着装置10(EFコントローラ)は、装置本体12、出力ケーブル14およびバーコードリーダ16等を備え、電気融着継手100(以下、単に「継手100」と言う。)に通電することで、継手100と樹脂管102とを電気融着接合させる。
【0024】
簡単に説明すると、継手100には、電熱線(図示せず)が埋設される。電熱線の両端部は、継手100の外側面から突出する電源接続端子110に接続されている。この電源接続端子110に対して、出力ケーブル14の先端部に設けられた接続コネクタ14aを接続することで、電気融着装置10の装置本体12から継手100の電熱線に対して通電可能な状態となる。そして、装置本体12から電熱線に通電(電力を供給)することによって、継手100および樹脂管102の接合面の樹脂が加熱溶融されて接合される。
【0025】
また、継手100には、バーコードが印刷されたカード(図示せず)が同梱されるものや、バーコードが印刷されたラベル112がその外側面に貼付されるものがある。バーコードが示す情報には、種類、口径(呼び径)、製造者、通電時間(標準時間および温度補正後の通電時間)、出力電圧および抵抗値などのその継手100に関する情報が含まれる。電気融着装置10は、バーコードリーダ16を用いてこのバーコード情報を読み取ることで、融着しようとする継手100の情報を取得することができる。
【0026】
なお、継手100としては、ソケットタイプ、エルボタイプ、レデューサタイプ、チーズタイプおよびサドルタイプ等の各種の電気融着継手を用いることができる。また、施工する配管の用途および口径などは特に限定されないが、電気融着装置10は、高層ビル等において水道配水用または消火用などに用いられる呼び径が20mm~50mmのポリエチレン製の樹脂管102と継手100との接合に好適に用いられる。
【0027】
図2~
図4に示すように、電気融着装置10の装置本体12は、直方体状の筐体20を備える。この筐体20内には、制御部22(
図5参照)および蓄電池24等が収容される。制御部22は、CPU50およびメモリ(RAM52およびHDD54)等を含む制御基板であり、電気融着装置10の動作を制御する。詳細は後述するように、制御部22(具体的にはCPU50)は、継手100に対する通電制御を実行し、通電制御部、残量検出部、継手情報取得部、数量算出部、融着可否判定部、通電規制部および表示制御部などとして機能する。
【0028】
蓄電池24は、電気融着装置10の各部位および継手100に対して電力を供給するための電源であり、筐体20の下部に設けられた収容部に収容(装着)される。
図5に示すように、この実施例では、筐体20の右壁に開閉カバー20aが開閉自在に設けられており、蓄電池24は、この開閉カバー20aを開くことで着脱することが可能である。すなわち、蓄電池24は、筐体20に対して着脱可能に設けられている。
【0029】
蓄電池24の種類および容量は、特に限定されないが、蓄電池24の大きさ(延いては電気融着装置10の持ち運び易さ)、および一度の充電で連続融着が可能な継手100の個数(延いては電気融着装置10の作業効率)などを考慮して、たとえば300wh~1200whの容量を有する蓄電池24を用いることが好ましい。
【0030】
このように電気融着装置10が蓄電池24を備えることで、外部電源を用いることなく、電気融着装置10単独で融着作業を完結することが可能となる。また、継手100に対して安定した電力供給が可能となる。さらに、蓄電池24を着脱可能としておくことで、仮に充電切れが生じたときでも、蓄電池24を交換すれば、充電待ち時間を生じさせることなく融着作業を連続して行うことが可能となる。
【0031】
図2~
図4に戻って、筐体20の前壁には、ユーザによる入力操作を受け付ける操作部26が設けられる。この操作部26には、タッチパネル付きのディスプレイ28(表示部)、電源ボタン30、非常停止ボタン32(リセットボタン)およびスタートボタン34等が含まれる。また、筐体20の前壁には、ブレーカ36およびUSB端子38なども適宜設けられる。
【0032】
筐体20の天壁には、出力ケーブル14が接続される第1接続端子40と、バーコードリーダ16のケーブルが接続される第2接続端子42とが設けられる。また、筐体20の天壁には、ACコンセント44(プラグ受け)が設けられる。このACコンセント44に電動工具などの他の機器が備えるプラグを接続することで、蓄電池24から他の機器に対して電力供給可能となる。すなわち、蓄電池24は、他の機器に対して電力を供給可能に設けられており、電気融着装置10は、他の機器に対して電力を供給可能なポータブル電源として用いることもできる。また、筐体20の右壁には、蓄電池24を着脱するための開閉カバー20aが設けられると共に、筐体20の内部空間を冷却するための排気ファン46が設けられる。
【0033】
また、
図2からよく分かるように、この実施例の電気融着装置10においては、蓄電池24の電池残量をディスプレイ28に表示する。この際、検出した電池残量をそのまま表示しても構わないが、少し余裕を見た値である許容値(たとえば検出残量の80%の値)を電池残量として表示することが好ましい。また、この実施例の電気融着装置10においては、検出した電池残量と、継手100の融着動作に必要な電力量である必要電力量(消費電力量)とに基づいて、融着可能な継手100の数量(個数)を算出する。そして、算出した継手100の数量をディスプレイ28に表示する。この数量の算出においても、検出した電池残量をそのまま用いても構わないが、少し余裕を見た値である許容値を用いることが好ましい。
【0034】
たとえば、検出された電池残量が500whである場合、その80%の値である400whを電池残量としてディスプレイ28に表示する。また、この電池残量のとき(許容値が400whであるとき)に、融着したい継手100の必要電力量が3.26whの場合、融着可能数量は122個(=400÷3.26)であることをディスプレイ28に表示する。ディスプレイ28に表示された電池残量または融着可能数量を参照して作業者が通電作業を行うことで、蓄電池24の容量不足による融着不良の発生を未然に防ぐことが可能になる。
【0035】
さらに、この実施例の電気融着装置10においては、検出した電池残量と継手100の必要電力量とに基づいて、継手100を用いた融着動作が完了可能かどうかを判定する。たとえば、継手100の必要電力量が検出した電池残量(好ましくは許容値)よりも大きいとき、融着動作が完了不可であると判定される。そして、融着動作が完了不可と判定された場合には、「バッテリーを充電して下さい」等の異常を示す表示(異常表示)をディスプレイ28に表示すると共に、継手100に対する通電の開始を規制する。すなわち、蓄電池24の電池残量が不足している場合には、スタートボタン34が押されても継手100に対する通電が開始されないようにされる。これにより、蓄電池24の容量不足による融着不良の発生を確実に防ぐことができる。
【0036】
また、電気融着装置10には、
図6に例示するような必要電力量テーブルが予め記憶される。たとえば、必要電力量テーブルには、継手100の種類および呼び径に対応付けて、その継手100の必要電力量が記憶される。この必要電力量テーブルを参照することで、バーコードリーダ16によって読み取られた或いは操作部26を用いて入力された継手100の種類および呼び径の情報に基づき、必要電力量を取得することができる。ただし、バーコードリーダ16によって読み取られたバーコード情報(通電時間、出力電圧および抵抗値)から必要電力量を算出するようにしてもよい。
【0037】
図7は、電気融着装置10の電気的構成の一例を示すブロック図である。
図7に示すように、電気融着装置10は、CPU50、RAM52およびHDD54等を含む制御部22を備える。CPU50には、RAM52およびHDD54の他、上述した出力ケーブル14、バーコードリーダ16、蓄電池24および操作部26などが接続される。また、図示は省略するが、CPU50には、排気ファン46、温度センサおよびRTC(時計回路)なども接続される。
【0038】
CPU50は、プロセッサとも呼ばれ、電気融着装置10の全体的な制御を司る。RAM52は、CPU50のワーキング領域およびバッファ領域として用いられる。HDD54は、CPU50が電気融着装置10の各部位の動作を制御するための制御プログラムおよび必要なデータ等を適宜記憶する。ただし、HDD54に代えて、またはHDD54とともに、SSD、フラッシュメモリ、EEPROMなどの他の不揮発性メモリが用いられてもよい。
【0039】
図8は、RAM52のメモリマップ200の一例を示す図である。
図8に示すように、RAM52は、プログラム記憶領域202およびデータ記憶領域204を含む。RAM52のプログラム記憶領域202には、電気融着装置10の制御プログラムが記憶される。たとえば、プログラム記憶領域202には、通電制御プログラム202a、電池残量検出プログラム202b、数量算出プログラム202cおよび表示プログラム202d等が記憶される。
【0040】
通電制御プログラム202aは、バーコードリーダ16等を用いて取得した継手100の情報に基づいて、継手100に対する通電を制御するためのプログラムである。この通電制御プログラム202aには、蓄電池24の電池残量が不足しているときに、継手100に対する通電の開始を規制する通電規制プログラムが含まれる。
【0041】
電池残量検出プログラム202bは、蓄電池24の電圧を計測して電池残量を検出するためのプログラムである。数量算出プログラム202cは、蓄電池24の電池残量と継手100の必要電力量とに基づいて、融着可能な継手100の数量を算出するためのプログラムである。この数量算出プログラム202cには、継手100を用いた融着動作が完了可能かどうかを判定する融着可否プログラムが含まれる。表示プログラム202dは、電池残量、融着可能数量および異常表示などの情報をディスプレイ28に表示させるためのプログラムである。
【0042】
なお、図示は省略するが、プログラム記憶領域202には、電気融着装置10の各種の機能を選択および実行するための他のプログラムなども記憶される。
【0043】
また、RAM52のデータ記憶領域204には、電池残量データ204a、継手データ204bおよび必要電力量テーブルデータ204c等が記憶される。
【0044】
電池残量データ204aは、蓄電池24の電池残量についてのデータである。継手データ204bは、種類、呼び径、通電時間、出力電圧および抵抗値などの継手100についてのデータである。必要電力量テーブルデータ204cは、
図6に示したような必要電力量テーブルについてのデータである。
【0045】
なお、図示は省略するが、データ記憶領域204には、制御プログラムの実行に必要なタイマ(カウンタ)およびレジスタが設けられたり、他のデータが記憶されたりする。
【0046】
上述のような電気融着装置10が実行する継手100に対する通電動作は、CPU50がRAM52に読み出した制御プログラムを実行することによって実現される。以下、
図9に示すフロー図を用いて、電気融着装置10における通電制御処理の一例について説明する。この通電制御処理は、作業者によって電源ボタン30がオンにされたときに開始される。
【0047】
図9に示すように、通電制御処理を開始すると、CPU50は、ステップS1において、蓄電池24の電池残量を検出する。たとえば、蓄電池24から入力される電圧情報に基づいて蓄電池24の電池残量を検出する。次のステップS3では、蓄電池24の電池残量をディスプレイ28に表示させる。
【0048】
続くステップS5では、融着しようとする継手100の情報を取得したかどうかを判断する。ここでは、バーコードリーダ16による読み取り或いは操作部26への入力操作によって継手100の情報(種類および呼び径など)が入力されたかどうかを判断する。ステップS5で“NO”であれば、継手100の情報が入力されるまで待ち、ステップS5で“YES”であれば、ステップS7に進む。ステップS7では、融着可能な継手100の数量を算出する。たとえば、必要電力量テーブルを参照して、継手100の種類および呼び径から必要電力量を取得し、取得した必要電力量と蓄電池24の電池残量とに基づいて融着可能な継手100の数量を算出する。
【0049】
次のステップS9では、融着可能な継手100の数量が1未満であるかどうかを判断する。すなわち、蓄電池24の電池残量が融着しようとする継手100の必要電力量よりも大きいかどうかで、継手100を用いた融着動作が完了可能かどうかを判定する。ステップS9で“YES”であれば、つまり算出した数量が1未満の場合(融着動作が完了不可の場合)には、ステップS11に進む。ステップS11では、「バッテリーを充電して下さい」等の異常表示をディスプレイ28に表示させると共に、継手100に対する通電の開始を規制(禁止)する。その後、この通電制御処理を終了する。
【0050】
一方、ステップS9で“NO”であれば、つまり数量が1以上の場合には、ステップS13に進む。ステップS13では、融着可能な継手100の数量をディスプレイ28に表示させる。続くステップS15では、スタートボタン34がオンにされたかどうかを判断する。ステップS15で“NO”であれば、スタートボタン34がオンにされるまで待ち、ステップS15で“YES”であれば、ステップS17に進む。
【0051】
ステップS17では、継手100に対する通電(電力の供給)を開始し、継手100と樹脂管102とを電気融着接合させる。続くステップS19では、継手100と樹脂管102との電気融着接合が終了したかどうか、つまり予め設定された通電時間が経過したかどうかを判断する。ステップS19で“NO”であれば、電気融着接合が終了するまで待ち、ステップS19で“YES”であれば、この通電制御処理を終了する。
【0052】
以上のように、この実施例によれば、電気融着装置10が蓄電池24を備えるので、外部電源を用いることなく電気融着装置10単独で融着作業を完結できる。また、安定した電力供給が可能となるので、融着不良の発生を適切に防止できる。
【0053】
また、この実施例によれば、ディスプレイ28に電池残量または融着可能数量を表示したり、電池残量が不足している場合には継手100に対する通電の開始を規制したりするので、蓄電池24の電池残量の不足による融着不良の発生を適切に防止できる。
【0054】
なお、上述の実施例では、筐体20に対して蓄電池24を着脱可能としたが、蓄電池24は必ずしも着脱可能である必要はない。また、蓄電池24は、筐体20から取り外して充電するだけでなく、筐体20内に収容したまま、商用電源等の外部電源からACケーブル等を介して充電可能とすることもできる。
【0055】
なお、上で挙げた寸法などの具体的数値および具体的形状などは、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0056】
10 …電気融着装置
12 …装置本体
14 …出力ケーブル
16 …バーコードリーダ
20 …筐体
22 …制御部
24 …蓄電池
26 …操作部
28 …ディスプレイ(表示部)
50 …CPU
100 …電気融着継手
102 …樹脂管