(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120046
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】基板押圧装置および基板押圧方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/34 20060101AFI20230822BHJP
B23K 1/20 20060101ALI20230822BHJP
B23K 3/00 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
H05K3/34 509
B23K1/20 Z
B23K3/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023225
(22)【出願日】2022-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】萬谷 正幸
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】境 忠彦
【テーマコード(参考)】
5E319
【Fターム(参考)】
5E319AA03
5E319BB05
5E319CC33
5E319CD22
5E319CD29
5E319CD36
5E319GG15
(57)【要約】
【課題】半田プリコートに電子部品を容易に搭載可能とする。
【解決手段】開示される基板押圧装置400は、第1主面1aおよびその反対側の第2主面1bを有しかつ第1主面1aに半田プリコート3が形成された基板1の第2主面1bを下方から支持する支持面405Tを有するバックアップ部405と、基板1の側面に当接するクランプ面407Sを有し、バックアップ部405に支持された基板1をクランプ面407Sで挟んでクランプする一対のサイドクランパ407と、サイドクランパ407によってクランプされた基板1を第1主面1a側から押圧することで半田プリコート3の頂部を押し潰すローラ432と、を備える。第1主面1aの法線方向から見て、ローラ432の回転軸Aは、クランプ面407Sが延びる方向と交差している。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面およびその反対側の第2主面を有しかつ前記第1主面に半田プリコートが形成された基板の前記第2主面を下方から支持する支持面を有するバックアップ部と、
前記基板の側面に当接するクランプ面を有し、前記バックアップ部に支持された前記基板を前記クランプ面で挟んでクランプする一対のサイドクランパと、
前記サイドクランパによってクランプされた前記基板を前記第1主面側から押圧することで前記半田プリコートの頂部を押し潰すローラと、
を備え、
前記第1主面の法線方向から見て、前記ローラの回転軸は、前記クランプ面が延びる方向と交差している、基板押圧装置。
【請求項2】
前記第1主面の法線方向から見て、前記ローラの前記回転軸と前記クランプ面が延びる方向とのなす角度は、1°以上、10°以下である、請求項1に記載の基板押圧装置。
【請求項3】
前記ローラと前記一対のサイドクランパとを水平面内で相対的に回転させることで、前記第1主面の法線方向から見て、前記ローラの前記回転軸と前記クランプ面が延びる方向とを交差させる角度調整部をさらに備える、請求項1または2に記載の基板押圧装置。
【請求項4】
前記ローラは、前記第1主面の法線方向から見て、前記クランプ面が延びる方向と交差する方向に転動する、請求項1~3のいずれか1項に記載の基板押圧装置。
【請求項5】
前記ローラは、前記第1主面の法線方向から見て、前記クランプ面に直交する方向に転動する、請求項4に記載の基板押圧装置。
【請求項6】
前記ローラにより前記頂部が押し潰された前記半田プリコートにフラックスを塗布するフラックス塗布部をさらに備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の基板押圧装置。
【請求項7】
第1主面およびその反対側の第2主面を有しかつ前記第1主面に半田プリコートが形成された基板を準備する準備工程と、
前記基板の前記第2主面をバックアップ部の支持面で支持する支持工程と、
前記基板の側面に一対のサイドクランパのクランプ面を押し当てて前記基板をクランプするクランプ工程と、
前記支持およびクランプされた前記基板をローラにより前記第1主面側から押圧することで前記半田プリコートの頂部を押し潰す押圧工程と、
を備え、
前記押圧工程において、前記第1主面の法線方向から見て、前記ローラの回転軸を前記クランプ面が延びる方向と交差させた状態で、前記ローラにより前記半田プリコートの前記頂部を押し潰す、基板押圧方法。
【請求項8】
前記押圧工程において、前記第1主面の法線方向から見て、前記ローラの前記回転軸と前記クランプ面が延びる方向とのなす角度を、1°以上、10°以下にする、請求項7に記載の基板押圧方法。
【請求項9】
前記押圧工程において、前記ローラを、前記第1主面の法線方向から見て、前記クランプ面が延びる方向と交差する方向に転動させる、請求項7または8に記載の基板押圧方法。
【請求項10】
前記押圧工程において、前記ローラを、前記第1主面の法線方向から見て、前記クランプ面に直交する方向に転動させる、請求項9に記載の基板押圧方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板押圧装置および基板押圧方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半田プリコートがランドに形成された基板(以下、半田プリコート基板ともいう。)にフラックスを塗布するフラックス塗布装置が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1のフラックス塗布装置は、スクリーン印刷法により、半田プリコート基板の半田プリコートにフラックスを塗布する。フラックスが塗布された半田プリコートには、電子部品が搭載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、半田プリコートの表面は、半田の表面張力により曲面形状になっている。そのような曲面形状の半田プリコートに電子部品を搭載しようとすると、電子部品が半田プリコートから滑り落ちてしまうおそれがある。このような状況において、本開示は、半田プリコートに電子部品を容易に搭載可能とすることを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る一局面は、基板押圧装置に関する。当該基板押圧装置は、第1主面およびその反対側の第2主面を有しかつ前記第1主面に半田プリコートが形成された基板の前記第2主面を下方から支持する支持面を有するバックアップ部と、前記基板の側面に当接するクランプ面を有し、前記バックアップ部に支持された前記基板を前記クランプ面で挟んでクランプする一対のサイドクランパと、前記サイドクランパによってクランプされた前記基板を前記第1主面側から押圧することで前記半田プリコートの頂部を押し潰すローラと、を備え、前記第1主面の法線方向から見て、前記ローラの回転軸は、前記クランプ面が延びる方向と交差している。
【0006】
本開示に係る別の一局面は、基板押圧方法に関する。当該基板押圧方法は、第1主面およびその反対側の第2主面を有しかつ前記第1主面に半田プリコートが形成された基板を準備する準備工程と、前記基板の前記第2主面をバックアップ部の支持面で支持する支持工程と、前記基板の側面に一対のサイドクランパのクランプ面を押し当てて前記基板をクランプするクランプ工程と、前記支持およびクランプされた前記基板をローラにより前記第1主面側から押圧することで前記半田プリコートの頂部を押し潰す押圧工程と、を備え、前記押圧工程において、前記第1主面の法線方向から見て、前記ローラの回転軸を前記クランプ面が延びる方向と交差させた状態で、前記ローラにより前記半田プリコートの前記頂部を押し潰す。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、半田プリコートに電子部品を容易に搭載可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1の実装基板製造装置の構成を模式的に示す正面図である。
【
図2】実施形態1のフラックス塗布装置(基板押圧装置)の構成を模式的に示す正面図である。
【
図3】実施形態1のフラックス塗布装置(基板押圧装置)の構成を模式的に示す側面図である。
【
図4】ローラおよび一対のサイドクランパの向きの一例について説明するための平面図である。
【
図5】ローラおよび一対のサイドクランパの向きの別の一例について説明するための平面図である。
【
図6A】支持工程とクランプ工程について説明するための図である。
【
図6B】押圧工程について説明するための図である。
【
図6C】基板配置工程とフラックス配置工程について説明するための図である。
【
図7】実施形態1の押圧工程、基板配置工程、およびフラックス配置工程について説明するための図である。
【
図8】実施形態2のフラックス塗布装置(基板押圧装置)の構成を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示に係る基板押圧装置および基板押圧方法の実施形態について例を挙げて以下に説明する。しかしながら、本開示は以下に説明する例に限定されない。以下の説明では、具体的な数値や材料を例示する場合があるが、本開示の効果が得られる限り、他の数値や材料を適用してもよい。
【0010】
(基板押圧装置)
本開示に係る基板押圧装置は、バックアップ部と、一対のサイドクランパと、ローラとを備える。
【0011】
バックアップ部は、第1主面およびその反対側の第2主面を有する基板の第2主面を下方から支持する支持面を有する。基板の第1主面には、半田プリコートが形成されている。半田プリコートは、クリーム半田に含まれる半田粒子を溶融および固化させることで形成されてもよい。半田プリコートは、基板の第1主面に設けられたランド上に形成されてもよい。バックアップ部は、第2主面が下を向いた状態の基板を、支持面により下方から支持してもよい。バックアップ部は、例えば、基板の第2主面を一の支持面で受けて支持するブロック状部材であってもよいし、基板の第2主面を複数の支持面で受けて支持する複数のピン状部材であってもよい。
【0012】
一対のサイドクランパは、基板の側面に当接するクランプ面を有し、バックアップ部に支持された基板を当該クランプ面で挟んでクランプする。側面は、第1主面と第2主面とを接続する領域であってもよい。各サイドクランパのクランプ面は、基板の搬送方向に沿って延びていてもよい。一対のサイドクランパは、第1主面が上を向いた状態の基板を、クランプ面で側方から挟むようにしてクランプしてもよい。
【0013】
ローラは、サイドクランパによってクランプされた基板を第1主面側から押圧することで半田プリコートの頂部を押し潰す。ローラは、第1主面が上を向いた状態の基板を、上方から押圧することで半田プリコートの頂部を押し潰してもよい。ローラは、半田プリコートの頂部を押し潰す際、自身の回転軸回りに回転しながら基板の第1主面上を転動してもよい。
【0014】
ローラで半田プリコートの頂部が押し潰されることにより、半田プリコートへの電子部品の搭載が容易になる。すなわち、半田プリコートの頂部が、ローラで押し潰されることで平坦化され、その上に搭載される電子部品が滑り落ちにくくなる。
【0015】
また、バックアップ部は、基板の側面から当該基板の中央側に離れた位置で第2主面に当接して当該基板を支持する。そのため、バックアップ部は、第1主面の法線方向から見て(例えば、上方から見て)、各サイドクランパのクランプ面から離れて位置している。本願発明者は、このクランプ面と平行に延びるローラによって半田プリコートの頂部を押し潰そうとすると、第1主面の法線方向から見て当該ローラが、クランプ面とバックアップ部との間の隙間を通過する際に基板が持ち上がってサイドクランパから外れてしまう問題が生じることを見出した。この問題は、基板のうち当該隙間に対応する部分にローラの押圧力が集中することに起因して生じる。
【0016】
これに対し、本開示の基板押圧装置では、第1主面の法線方向から見て(例えば、上方から見て)、ローラの回転軸が、上記クランプ面が延びる方向と交差している。換言すると、本開示のローラは、当該クランプ面が延びる方向と交差して延びる形状を有する。この構成によると、第1主面の法線方向から見てローラが上記隙間を通過する際、基板のうち当該隙間に対応する部分へのローラの押圧力の集中が緩和され、サイドクランパから基板が外れにくくなる。
【0017】
第1主面の法線方向から見て、ローラの回転軸とクランプ面が延びる方向とのなす角度は、1°以上、10°以下であってもよい。当該角度を1°以上とすることで、基板の持ち上がりを十分に抑止することができる。また、当該角度を10°以下とすることで、例えば一対のサイドクランパの対向方向に沿ってローラを転動させる際、当該転動をスムーズに行うことができる。当該角度は、3°以上、8°以下であってもよい。一対のサイドクランパは、長方形状の基板の側面のうち長辺となる側面に当接して当該基板をクランプしてもよい。この場合、当該角度を10°以下とすることで、基板の側面のうち短辺となる測面に沿ってローラを転動させることが可能となり、半田プリコートの押し潰しに要する時間を短くすることができる。
【0018】
基板押圧装置は、ローラと一対のサイドクランパとを水平面内で相対的に回転させることで、第1主面の法線方向から見て、ローラの回転軸とクランプ面が延びる方向とを交差させる角度調整部をさらに備えてもよい。この構成によると、各種基板の寸法などに応じて当該角度を最適化することができる。角度調整部は、ローラおよび一対のサイドクランパの両方を水平面内で回転させてもよい。あるいは、角度調整部は、ローラのみを水平面内で回転させてもよいし、一対のサイドクランパのみを水平面内で回転させてもよい。角度調整部は、そのような回転動作により、ローラの回転軸とクランプ面が延びる方向とのなす角度を1°以上、10°以下の範囲で調節してもよい。
【0019】
ローラは、第1主面の法線方向から見て、クランプ面が延びる方向と交差する方向に転動してもよい。換言すると、ローラは、第1主面の法線方向から見て、基板の側面(クランプ面が当接する側面)が延びる方向と交差する方向に転動してもよい。この場合、ローラの転動方向は、ローラの回転軸に対して直交していてもよい。
【0020】
ローラは、第1主面の法線方向から見て、クランプ面に直交する方向に転動してもよい。この場合、第1主面の法線方向から見て、ローラの回転軸が延びる方向は、ローラの転動方向に対して交差していなければならない。この角度は、例えば、80°以上、89°以下であってもよい。
【0021】
基板押圧装置は、ローラにより頂部が押し潰された半田プリコートにフラックスを塗布するフラックス塗布部をさらに備えてもよい。この場合、基板押圧装置は、フラックス塗布機能を備えた基板押圧装置であるとも言えるし、基板押圧機能を備えたフラックス塗布装置であるとも言える。なお、基板押圧装置は、フラックス塗布部を備えておらず、独立したフラックス塗布装置の上流に設けられてもよい。
【0022】
(基板押圧方法)
本開示に係る基板押圧方法は、準備工程と、支持工程と、クランプ工程と、押圧工程とを備える。
【0023】
準備工程では、第1主面およびその反対側の第2主面を有する基板を準備する。基板の第1主面には、半田プリコートが形成されている。基板は、側面をさらに有する。側面は、第1主面と第2主面とを接続する領域であってもよい。
【0024】
支持工程では、基板の第2主面をバックアップ部の支持面で支持する。支持工程では、第2主面が下を向いた状態の基板を、バックアップ部の支持面で下方から支持してもよい。
【0025】
クランプ工程では、基板の側面に一対のサイドクランパのクランプ面を押し当てて基板をクランプする。各サイドクランパのクランプ面は、基板の搬送方向に沿って延びていてもよい。
【0026】
押圧工程では、支持された基板をローラにより第1主面側から押圧することで半田プリコートの頂部を押し潰す。頂部が押し潰された半田プリコートには、電子部品を容易に搭載することができる。
【0027】
第1主面の法線方向から見て(例えば、上方から見て)、各サイドクランパのクランプ面とバックアップ部の支持面との間には隙間が存在する。この隙間が存在するために、押圧工程で基板が持ち上がるおそれがあることは上述のとおりである。
【0028】
本開示の基板押圧方法では、押圧工程において、第1主面の法線方向から見て(例えば、上方から見て)、ローラの回転軸をクランプ面が延びる方向と交差させた状態で、ローラにより半田プリコートの頂部を押し潰す。これにより、上述と同様、ローラによって基板が持ち上げられるのを抑止することができる。
【0029】
押圧工程において、第1主面の法線方向から見て、ローラの回転軸とクランプ面が延びる方向とのなす角度を、1°以上、10°以下にしてもよい。当該角度を1°以上とすることで、基板の持ち上がりを十分に抑止することができる。また、当該角度を10°以下とすることで、例えば一対のサイドクランパの対向方向に沿ってローラを転動させる際、当該転動をスムーズに行うことができる。当該角度を、3°以上、8°以下にしてもよい。
【0030】
押圧工程において、ローラを、第1主面の法線方向から見て、クランプ面が延びる方向と交差する方向に転動させてもよい。換言すると、ローラを、基板の側面(クランプ面が当接する側面)が延びる方向と交差する方向に転動させてもよい。この場合、ローラの転動方向は、ローラの回転軸に対して直交していてもよい。
【0031】
押圧工程において、ローラを、第1主面の法線方向から見て、クランプ面に直交する方向に転動させてもよい。この場合、第1主面の法線方向から見て、ローラの回転軸が延びる方向は、ローラの転動方向に対して交差していなければならない。この角度を、例えば、80°以上、89°以下にしてもよい。
【0032】
以上のように、本開示によれば、半田プリコートの頂部を押し潰すことにより、当該半田プリコートに電子部品を容易に搭載することができる。さらに、本開示によれば、半田プリコートをローラで押し潰す際に基板が持ち上がってサイドクランパから外れるのを抑止することができる。
【0033】
以下では、本開示に係る基板押圧装置および基板押圧方法の一例について、図面を参照して具体的に説明する。以下で説明する一例の基板押圧装置および基板押圧方法の構成要素および工程には、上述した構成要素および工程を適用できる。以下で説明する一例の基板押圧装置および基板押圧方法の構成要素および工程は、上述した記載に基づいて変更できる。また、以下で説明する事項を、上記の実施形態に適用してもよい。以下で説明する一例の基板押圧装置および基板押圧方法の構成要素および工程のうち、本開示に係る基板押圧装置および基板押圧方法に必須ではない構成要素および工程は省略してもよい。なお、以下で示す図は模式的なものであり、実際の部材の形状や数を正確に反映するものではない。
【0034】
《実施形態1》
本開示の実施形態1について説明する。本実施形態の実装基板製造装置10(以下、単に製造装置10ともいう。)は、複数の電子部品が実装された実装基板を製造するための装置である。
【0035】
(実装基板製造装置)
図1に示すように、製造装置10は、基板搬送ライン11と、情報処理装置20と、ローダ50と、半田プリコート形成装置90と、半田プリコート検査装置300と、フラックス塗布装置400と、電子部品搭載装置501,502と、搭載状態検査装置600と、リフロー装置700と、基板検査装置800と、アンローダ900とを備える。ローダ50からアンローダ900までの構成要素は、この記載順に上流側から下流側に配置されている。本開示に特有の構成以外の構成には、公知の構成を適用してもよい。以下では、電子部品搭載装置501,502をまとめて、電子部品搭載装置500ということがある。
【0036】
(基板搬送ライン)
基板搬送ライン11は、半田プリコート形成装置90から基板検査装置800にわたって基板1(
図2を参照)を搬送する。基板搬送ライン11は、連続した1つのコンベアであってもよく、または複数のコンベアを直列に並べて構成されてもよい。基板搬送ライン11には、公知のベルト、チェーン、ローラ、移載装置などを使用したコンベアを用いることができる。
【0037】
(情報処理装置)
情報処理装置20は、製造装置10に含まれる他の要素(半田プリコート形成装置90、半田プリコート検査装置300、フラックス塗布装置400、電子部品搭載装置500、リフロー装置700など)に、有線または無線のローカルエリアネットワーク20Nによって通信可能に接続されている。情報処理装置20は、これらの装置との間でデータをやり取りする。それによって、情報処理装置20は、製造装置10で行われる工程を管理する。
【0038】
情報処理装置20は、演算処理装置と記憶装置を有する。演算処理装置は、CPU(中央演算処理装置)などによって構成される。記憶装置は、1つ以上のRAM(ランダムアクセスメモリ)やハードディスクなどによって構成される。これらは、別の回路やLSI(大規模集積回路)で構成されてもよく、または一体に構成されてもよい。記憶装置には、製造装置10の各装置に必要なプログラムやそれに必要なデータが格納されている。
【0039】
(ローダおよびアンローダ)
ローダ50は、ラック(図示せず)に収納された基板を半田プリコート形成装置90へ供給する。アンローダ900は、完成した実装基板をラックに回収する。半田プリコート形成装置90から基板検査装置800までの各装置は、基板を搬送するコンベア(基板搬送ライン11)を含む。各コンベアは、上流側(ローダ50側)の装置から基板を受け取って下流側(アンローダ900側)の装置へ受け渡すことができるように配置される。
【0040】
(半田プリコート形成装置)
半田プリコート形成装置90は、基板1の第1主面1aに設けられたランド2(
図7を参照)に半田プリコート3(
図7を参照)を形成する装置である。半田プリコート形成装置90は、半田ペースト供給部100と、加熱部210と、冷却部220とを有する。これらの内部には、基板搬送ライン11の一部が配置される。
【0041】
半田ペースト供給部100は、例えばスクリーン印刷法によって、基板1のランド2に半田ペーストを供給する。加熱部210は、ランド2に供給された半田ペーストを加熱して、半田ペーストに含まれる半田粒子を溶融する。冷却部220は、溶融した半田粒子を冷却して固化する。これらにより、基板1のランド2に半田プリコート3が形成される。ここで、当該半田プリコート3の表面には、フラックス成分の残渣が伴う。この残渣は、フラックスに含まれる熱可塑性樹脂が加熱により液状となって半田プリコート3の表面に広がり、その後の冷却によって膜状に固化したものである。半田プリコート3が形成された基板1は、基板搬送ライン11によって半田プリコート検査装置300へ搬送される。
【0042】
(半田プリコート検査装置)
半田プリコート検査装置300は、半田プリコート3が適正に形成されているかどうかを検査する装置である。半田プリコート検査装置300は、例えば、半田プリコート3の厚さを検出し、検出した厚さに基づいて半田プリコート3が適正に形成されているかどうかを判定してもよい。半田プリコート3が適正に形成されていると判定された基板1は、基板搬送ライン11によってフラックス塗布装置400へ搬送される。
【0043】
(フラックス塗布装置)
フラックス塗布装置400は、リフローによる半田付けのためのフラックスを、半田プリコート3上に塗布する装置である。フラックスの塗布方法に特に限定はない。例えば、フラックスは、マスクとスキージを用いるスクリーン印刷法により、ノズルからフラックスを吐出するディスペンサにより、またはフラックスを噴霧する噴霧器により、半田プリコート3上に塗布されてもよい。フラックス塗布装置400は、基板押圧装置の一例である。フラックス塗布装置400の構成について、詳しくは後述する。フラックスが塗布された基板1は、基板搬送ライン11によって電子部品搭載装置500へ搬送される。
【0044】
(電子部品搭載装置)
電子部品搭載装置500は、フラックスで覆われた半田プリコート3に電子部品(図示せず)を搭載する装置である。電子部品搭載装置500は、例えば、電子部品を吸着する吸着ノズル(図示せず)を用いて半田プリコート3に電子部品を搭載してもよい。電子部品の搭載が完了した基板1は、基板搬送ライン11によって搭載状態検査装置600へ搬送される。
【0045】
(搭載状態検査装置)
搭載状態検査装置600は、電子部品の搭載状態を検査する装置である。搭載状態検査装置600は、例えば、カメラや三次元計測機などの光学的な計測装置を用いて、電子部品の搭載位置、姿勢、有無などの搭載状態を認識し、それらが所定の基準を満たすかどうかを判定してもよい。検査が完了した基板1は、基板搬送ライン11によってリフロー装置700へ搬送される。
【0046】
(リフロー装置)
リフロー装置700は、電子部品が搭載された基板1を加熱して半田プリコート3を溶融し、電子部品をランド2(
図7を参照)に半田付けする。これにより、電子部品が実装された実装基板が製造される。電子部品の半田付けが完了した基板1(実装基板)は、基板搬送ライン11によって基板検査装置800へ搬送される。
【0047】
(基板検査装置)
基板検査装置800は、実装基板の良否を検査する装置である。基板検査装置800での検査が終了した基板1(実装基板)は、基板搬送ライン11によってアンローダ900へ搬送される。アンローダ900は、完成した実装基板をラックに回収する。
【0048】
(フラックス塗布装置の詳細)
次に、フラックス塗布装置400について、
図2~
図4を参照して詳しく説明する。なお、以下の説明では、基板1の搬送方向をX方向とし、鉛直方向をZ方向とし、これらに直交する方向をY方向とする。また、各方向に沿って延びる軸をそれぞれX軸、Y軸、およびZ軸とする。
【0049】
図2および
図3において、基台401のX方向の両側端部には、それぞれ支持フレーム411が立設されている。これら一対の支持フレーム411の間に、フラックス塗布装置400の構成要素が配置される。
【0050】
一対の支持フレーム411の間の基台401の上面には、印刷ステージ移動機構403と、これによって移動する印刷ステージ402とが設けられる。印刷ステージ移動機構403は、印刷ステージテーブル403xyθの上に印刷ステージ昇降機構403zを積層した構造を有する。印刷ステージテーブル403xyθが駆動すると、印刷ステージ402がX軸およびY軸に沿って水平移動し、かつZ軸回りに回転移動する。印刷ステージ昇降機構403zが駆動すると、印刷ステージ402が昇降する。印刷ステージ402は、上流側から搬入される基板1を保持して、印刷用のパターン孔(
図7を参照)が形成されたマスクプレート422に対して位置合わせする機能を有する。
【0051】
印刷ステージ402は、印刷ステージ昇降機構403zに結合された昇降テーブル404を備える。昇降テーブル404の上面の両端には支持部材404aが立設されている。
図3に示すように、支持部材404aの上端部には、X方向に延びる基板ガイド404bが結合されている。基板ガイド404bの内側面には、基板1を搬送する搬送ベルトで構成された印刷ステージコンベア406bが設けられる。基板ガイド404bは、印刷ステージコンベア406bで搬送される基板1の側面に当接しながらこれを案内する。
【0052】
印刷ステージコンベア406bは、上流側および下流側の支持フレーム411にそれぞれ設けられた開口部を貫通して設けられた搬入コンベア406aおよび搬出コンベア406cと連結可能となっている。搬入コンベア406aによって搬入された基板1は、印刷ステージコンベア406bに受け渡されて印刷ステージ402によって保持される。印刷ステージ402においてスクリーン印刷が終了した後の基板1は、印刷ステージコンベア406bから搬出コンベア406cに受け渡されて搬出される。印刷ステージコンベア406b、搬入コンベア406a、および搬出コンベア406cは、それぞれ基板搬送ライン11の一部を構成する。
【0053】
昇降テーブル404の上面には、バックアップ昇降機構405aと、これによって昇降駆動されるバックアップ部405が設けられる。バックアップ部405は、その上面が支持面405Tとなっている。印刷ステージコンベア406bに基板1が搬入された状態で、バックアップ昇降機構405aを駆動することにより、バックアップ部405は、上昇して印刷ステージコンベア406bによって搬送された基板1の下面(
図7に示す第2主面1b)を支持面405Tで上方へ持ち上げて支持する。
【0054】
一対の基板ガイド404bの上面には、それぞれ基板1の側面を把持する一対のサイドクランパ407が設けられる。一対のサイドクランパ407は、対向する側面がクランプ面407Sとなっている。一対のサイドクランパ407は、サイドクランパ駆動機構(図示せず)によって相互に開閉自在となっており、クランプ面407Sを基板1の側面に押し当てて当該基板1をクランプする。バックアップ部405が基板1の下面を支持した状態で、サイドクランパ407に閉動作を行わせることにより、印刷ステージ402において基板1の両側面がサイドクランパ407に挟まれる。これにより、基板1がクランプされる。
【0055】
このようにして印刷ステージ402に保持された基板1とマスクプレート422とを位置合わせするには、基板1を保持する印刷ステージ402をマスクプレート422に対して相対的に移動させて位置合わせするアライメント動作を行う。すなわち、印刷ステージ402を水平移動させる印刷ステージテーブル403xyθは、基板1とマスクプレート422とを位置合わせするために印刷ステージ402とマスクプレート422とを相対的に移動させるアライメント機構として機能する。
【0056】
一対の支持フレーム411の上端には、印刷ヘッド413を支持する印刷ヘッド支持ビーム412が、直動ガイド機構412aを介してY軸に沿って移動可能に設けられる。印刷ヘッド支持ビーム412の一端部は、
図3に示す構成の印刷ヘッド移動機構414を介して一方の支持フレーム411に結合されている。印刷ヘッド移動機構414は、印刷ヘッドモータ414aによって回転駆動される送りねじ414bが螺合するナット部414cを、印刷ヘッド支持ビーム412に結合した構成となっている。印刷ヘッドモータ414aを正逆駆動することで、印刷ヘッド支持ビーム412によって支持された印刷ヘッド413は、Y軸に沿って往復移動(スキージング動作)する。
【0057】
図3に示すように、印刷ヘッド413は印刷ヘッド支持ビーム412から下方に延出して設けられた後スキージ413bおよび前スキージ413cを備える。印刷ヘッド支持ビーム412の上面に設けられたスキージ駆動部413aを駆動することで、スキージング動作の方向に応じて後スキージ413bと前スキージ413cのいずれかが下降してマスクプレート422に着地する。具体的に、後スキージ413bは、
図3の左方向(第1方向)にスキージング動作を行う際にマスクプレート422に着地する。一方、前スキージ413cは、
図3の右方向(第2方向)にスキージング動作を行う際にマスクプレート422に着地する。後スキージ413bおよび前スキージ413cは、それぞれフラックス塗布部の一例である。
【0058】
マスクプレート422には、基板1における印刷パターンに対応して、所定の開口であるパターン孔422aが形成されている。フラックス塗布装置400におけるスクリーン印刷では、まずマスクプレート422の上面に印刷用のフラックスF(
図6Aなどを参照)を供給する。そして、基板1を印刷ステージ402によって保持し、マスクプレート422の下面に基板1を当接させた状態で、マスクプレート422の上面で後スキージ413bと前スキージ413cのいずれかを使用したスキージング動作を行わせる。これにより、基板1には、パターン孔422aを介してフラックスFが所定の印刷パターンで印刷される。
【0059】
印刷ステージ402の上面とマスクプレート422の下面との間には、カメラ移動機構416が設けられている。カメラ移動機構416は、第1カメラ418および第2カメラ419が取り付けられたカメラ取付ベース417を、X軸およびY軸に沿って移動させる。カメラ移動機構416は、カメラ取付ベース417をカメラX軸ビーム415に沿ってX軸に沿って移動させるカメラX軸移動機構416Xと、カメラX軸ビーム415をY軸に沿って移動させるカメラY軸移動機構416Yとから構成される。カメラX軸ビーム415の移動は、支持フレーム411の内側面に配置された直動ガイド機構415gによってガイドされる。
【0060】
カメラX軸移動機構416Xは、
図2に示すカメラX軸モータ415aおよび送りねじ415bと、
図3に示すナット部415dとから構成される。カメラX軸モータ415aを駆動することで、ナット部415dに結合されたカメラ取付ベース417がX軸に沿って移動する。カメラY軸移動機構416Yは、
図3に示すように、カメラY軸モータ416a、送りねじ416b、およびカメラX軸ビーム415に結合されたナット部416cより構成される。カメラY軸モータ416aを駆動することで、ナット部416cに結合されたカメラX軸ビーム415がY軸に沿って移動する。これにより、第1カメラ418は、印刷ステージ402に保持された基板1の上方を水平移動し、第2カメラ419は、マスクプレート422の下方を水平移動する。
【0061】
ここで、第1カメラ418と第2カメラ419の機能を説明する。第1カメラ418は撮像方向を下方に向けて配置されていて、印刷ステージ402に保持された基板1を撮像する。この撮像結果を認識処理することにより、基板1の位置や基板1における印刷対象のランド2の位置が検出される。第2カメラ419は撮像方向を上方に向けて配置されていて、マスクプレート422に形成されたマスク認識マーク(図示せず)を撮像する。この撮像結果を認識処理することにより、マスクプレート422におけるマスク中心やパターン孔422aの位置が認識される。
【0062】
カメラX軸ビーム415の側面には、ローラ機構430が固定されている。ローラ機構430は、互いに連結された加圧シリンダ431とローラ432を有する。加圧シリンダ431は、カメラX軸ビーム415に固定され、ローラ432に対して下向きの力を付与する。ローラ432は、回転軸A回りに回転可能になっている(
図4を参照)。ローラ432を含むローラ機構430は、カメラX軸ビーム415の水平移動に伴って、Y軸に沿って水平移動する。ローラ機構430は、水平移動しながら加圧シリンダ431によりローラ432を基板1に押し付けることで、基板1の半田プリコート3の頂部を押し潰す機能を有する。つまり、ローラ432は、基板1を第1主面1a側から押圧しながら転動することで半田プリコート3の頂部を押し潰す。また、本実施形態では、カメラY軸移動機構416Yは、ローラ432を印刷ステージ402に保持された基板1に対して相対的に水平移動させる水平移動機構として機能する。
【0063】
図4に示すように、印刷ステージ402を第1主面1aの法線方向(
図4における紙面直交方向)から見ると、各サイドクランパ407のクランプ面407Sとバックアップ部405の支持面405Tとの間には、クランプ面407Sに沿って延びる(
図4で左右方向に延びる)隙間Gが存在する。この隙間Gは、上記印刷ステージコンベア406bが存在するために、各サイドクランパ407のクランプ面407Sとバックアップ部405の支持面405Tとの間に不可避的に存在する。第1主面1aの法線方向から見て、ローラ432の回転軸Aは、クランプ面407Sが延びる方向(この例では、X方向)と交差している。
【0064】
図4に示すように、第1主面1aの法線方向から見て、ローラ432の回転軸Aとクランプ面407Sが延びる方向は、角度Qで交差している。角度Qは、1°以上、10°以下の範囲で調節される。角度Qは、カメラX軸ビーム415に対するローラ機構430の固定角度、もしくは加圧シリンダ431に対するローラ432の固定角度を変えることで調節される。
【0065】
図4では、ローラ432の移動軌跡を段階的に破線で示してある。鎖線矢印Mは、カメラY軸移動機構(水平移動機構)416Yによるローラ432の移動方向を示している。この例では、ローラ432は、鎖線矢印Mの方向、すなわちクランプ面407Sが延びる方向(X方向)と直交する方向(Y方向)に転動する。このとき、ローラ432の回転軸Aとクランプ面407Sが延びる方向とは角度Qで交差しているので、ローラ432は、隙間Gを通過する際にその一部しか隙間Gと重ならないようになっている。換言すると、ローラ432が隙間Gを通過する際、平面視で、ローラ432の一部が必ずサイドクランパ407またはバックアップ部405の支持面405Tと重なるようになっている。これにより、ローラ432が隙間Gを通過する際の押圧力を分散させ、基板1のうち隙間Gに位置する部分に押圧力が集中しないようにしている。
【0066】
なお、
図5に示すように、ローラ432の転動方向(鎖線矢印Mの方向)とローラ432の回転軸Aとは、互いに直交してもよい。この場合、回転軸AはX方向と平行になるが、ローラ432で半田プリコート3の頂部を押し潰す作業を開始する前に、クランプ面407Sの延びる方向(すなわち、隙間Gの延びる方向)はX方向と交差するように調整される。この向きの調整は、印刷ステージテーブル403xyθで印刷ステージ402をZ軸回りに水平回転させて行う。このように、印刷ステージテーブル403xyθによって、ローラ432の回転軸Aとクランプ面407Sが延びる方向とが交差する角度Qを調整することができる。印刷ステージテーブル403xyθは、ローラ432の回転軸Aとクランプ面407Sが延びる方向とのなす角度Qを調節する角度調整部として機能する。
図5の例は、ローラ432の回転軸Aがローラ432の転動方向と直交しているので、基板1を押圧する際のローラ432を、
図4の例よりもスムーズに転動させることができるという利点がある。
【0067】
(実装基板製造方法)
次に、本実施形態の実装基板製造方法について、図面を適宜参照して説明する。実装基板製造方法は、準備工程と、支持工程と、クランプ工程と、押圧工程と、基板配置工程と、フラックス配置工程と、部品搭載工程と、リフロー工程とを備える。準備工程、支持工程、クランプ工程、および押圧工程は、基板押圧方法の少なくとも一部を構成する。
【0068】
準備工程は、ペースト配置工程および溶融固化工程を含む。ペースト配置工程は、半田ペースト供給部100において実行される。ペースト配置工程では、基板1のランド2に、例えばスクリーン印刷法により、半田ペーストが配置される。
【0069】
溶融固化工程は、加熱部210および冷却部220で実行される。溶融固化工程では、加熱部210により半田ペーストを加熱して溶融させた後、溶融した半田ペーストを冷却部220により冷却して固化させ、それによりランド2上に半田プリコート3を形成する。ペースト配置工程および溶融固化工程を通じて、第1主面1aに半田プリコート3が形成された基板1が準備される。
【0070】
支持工程、クランプ工程、押圧工程、基板配置工程、およびフラックス配置工程は、フラックス塗布装置400で実行される。支持工程およびクランプ工程では、バックアップ部405および一対のサイドクランパ407によって基板1を保持する。支持工程およびクランプ工程では、
図6Aに示すように、印刷ステージ402においてバックアップ昇降機構405aを駆動してバックアップ部405を上昇させる(矢印a)。これにより、基板1は、印刷ステージコンベア406bから持ち上げられると共にサイドクランパ407の上面と同じ高さまで上昇する。その後、サイドクランパ駆動機構(図示せず)を駆動して一対のサイドクランパ407に閉動作を行わせる。これにより、基板1は、その第1主面1a(この例では、上面)がサイドクランパ407の上面と実質的に面一になった状態で、バックアップ部405の支持面405Tによって第2主面1b(この例では、下面)を下方から支持されると共に一対のサイドクランパ407のクランプ面407Sによって側面をクランプされる。このとき、第1主面1aの法線方向から見て、各サイドクランパ407のクランプ面407Sとバックアップ部405の支持面405Tとの間には、基板1の側面に沿って延びる隙間Gが存在する(
図4を参照)。
【0071】
押圧工程では、支持およびクランプされた基板1をローラ432により第1主面1a側(この例では、上側)から押圧することで半田プリコート3の頂部を押し潰す。このとき、第1主面1aの法線方向から見て、ローラ432の回転軸Aをクランプ面407Sが延びる方向と交差させた状態で、ローラ432により半田プリコート3の頂部を押し潰す。押圧工程では、第1主面1aの法線方向から見て、ローラ432の回転軸Aとクランプ面407Sが延びる方向とのなす角度Qを、1°以上、10°以下にする。
【0072】
押圧工程では、
図6Bに示すように、印刷ステージ昇降機構403zを駆動して印刷ステージ402を上昇させた後(矢印b)、加圧シリンダ431でローラ432に下向きの力を付与した状態で、当該ローラ432をY軸に沿って動かしながら基板1に押し付ける(矢印c)。これにより、
図7に示すように、基板1の半田プリコート3の頂部が平坦状に押し潰される。このとき、半田プリコート3の頂部において膜状で存在する残渣に亀裂が生じる等して残渣が破壊される。これにより、亀裂から半田の少なくとも一部が露出する。
【0073】
基板配置工程では、マスクプレート422の下面に基板1を当接させる。基板配置工程では、
図6Cに示すように、ローラ機構430を退避させた後(矢印d)、印刷ステージ402を上昇させて、バックアップ部405およびサイドクランパ407によって支持された状態の基板1を、マスクプレート422の下面に当接させる(矢印e)。このとき、マスクプレート422の上面にはフラックスFが供給された状態にあり、スキージング動作を行う前スキージ413cが印刷準備位置にある。
【0074】
フラックス配置工程では、押し潰された半田プリコート3に、後スキージ413bまたは前スキージ413cで、マスクプレート422を介してフラックスFを塗布する。フラックス配置工程では、
図6Cに示すように、マスクプレート422の上面で印刷ヘッド413をY軸に沿って移動させて(矢印f)、この例では前スキージ413cをマスクプレート422に対して摺動させながらフラックスFをパターン孔422aに充填するスキージング動作が実行される。これにより、
図7に示すように、マスクプレート422のパターン孔422aを介して、基板1の半田プリコート3にフラックスFが塗布される。
【0075】
フラックス配置工程は、押圧工程の実行後30秒以内に実行することが好ましく、押圧工程の実行後10秒以内に実行することがさらに好ましい。換言すると、押圧工程の終了時刻からフラックス配置工程の開始時刻までの時間は、30秒以内であることが好ましく、10秒以内であることがさらに好ましい。
【0076】
部品搭載工程は、電子部品搭載装置500において実行される。部品搭載工程では、電子部品の端子を半田プリコート3に位置合わせした状態で、当該電子部品を基板1に搭載する。本実施形態の実装部品製造方法によると、この電子部品の搭載を容易に行うことができる。半田プリコート3の頂部が平坦状であるために電子部品を載せやすいことに加えて、フラックスFの粘性により電子部品が半田プリコート3上に保持されやすくなるためである。
【0077】
リフロー工程は、リフロー装置700において実行される。リフロー工程では、電子部品が搭載された基板1を加熱して、半田プリコート3を溶融させて当該電子部品の端子をランド2に半田付けする。
【0078】
《実施形態2》
本開示の実施形態2について説明する。本実施形態の実装基板製造装置10は、フラックス塗布装置400の構成が、ローラ機構430が固定式である点で上記実施形態1と異なる。以下、上記実施形態1と異なる点について主に説明する。なお、上記実施形態1で使用した符号と同一符号で説明している箇所や
図8の部材については、上記実施形態1とどうようであるので説明を省略する。
【0079】
図8に示すように、ローラ機構433は、ローラ432と、加圧ユニット434とを備える。加圧ユニット434は、フラックス塗布装置400内で固定された梁408に固定されている。このため、本実施形態では、ローラ432がY軸に沿って移動しない。加圧ユニット434は、ローラ432を基板1に対して加圧する機能の他、ローラ432をZ軸回りに水平回転させて回転軸Aの向きを変更する機能を有する。すなわち、加圧ユニット434は、ローラ432の回転軸Aとクランプ面407Sが延びる方向とのなす角度Qを調節する角度調整部として機能する。
【0080】
押圧工程では、印刷ステージ402が、印刷ステージ移動機構403によって
図8に示す印刷位置から押圧位置(図示せず)へ移動する。押圧位置は、印刷ステージ402がローラ機構433の下方に存在する位置である。押圧工程では、押圧位置において印刷ステージ402をY軸に沿って移動させると共にローラ432を基板1に押し付けることで、基板1の半田プリコート3の頂部を押し潰す。このとき、半田プリコート3の頂部において表面の残渣が破壊され、その内側の半田の少なくとも一部が露出する。本実施形態では、印刷ステージ移動機構403は、印刷ステージ402に保持された基板1に対してローラ432を相対的に水平移動させる水平移動機構として機能する。
【0081】
実施形態1,2の基板押圧装置は以上であるが、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更を加えて実施してもよい。実施形態1では、カメラY軸移動機構416Yがローラ432を印刷ステージ402に保持された基板1に対して相対的に水平移動させる水平移動機構であるとして説明したが、実施形態2と同様に、印刷ステージ移動機構403が、印刷ステージ402に保持された基板1に対してローラ432を相対的に水平移動させる水平移動機構であってもよい。また、実施形態1,2の基板押圧装置は、フラックス塗布装置400として実施する場合を例に説明しているが、これに限らず、基板押圧機能を有する専用装置として実施してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本開示は、基板押圧装置および基板押圧方法に利用できる。
【符号の説明】
【0083】
1:基板
1a:第1主面
1b:第2主面
2:ランド
3:半田プリコート
10:実装基板製造装置
11:基板搬送ライン
20:情報処理装置
20N:ローカルエリアネットワーク
50:ローダ
90:半田プリコート形成装置
300:半田プリコート検査装置
400:フラックス塗布装置(基板押圧装置)
402:印刷ステージ
403:印刷ステージ移動機構
403xyθ:印刷ステージテーブル(角度調整部)
405:バックアップ部
405T:支持面
406b:印刷ステージコンベア
407:サイドクランパ
407S:クランプ面
413:印刷ヘッド
414:印刷ヘッド移動機構
415:カメラX軸ビーム
416:カメラ移動機構
416Y:カメラY軸移動機構
417:カメラ取付ベース
418:第1カメラ
419:第2カメラ
422:マスクプレート
430,433:ローラ機構
431:加圧シリンダ
432:ローラ
434:加圧ユニット(角度調整部)
500:電子部品搭載装置
501:電子部品搭載装置
502:電子部品搭載装置
600:搭載状態検査装置
700:リフロー装置
800:基板検査装置
900:アンローダ
A:回転軸
F:フラックス
G:隙間
Q:回転軸とクランプ面の延びる方向とのなす角度