(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120056
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】プログラム、表示位置決定方法、及び自動取引装置
(51)【国際特許分類】
G07D 13/00 20060101AFI20230822BHJP
G06V 30/14 20220101ALI20230822BHJP
G06T 7/12 20170101ALI20230822BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
G07D13/00
G06K9/20 340A
G06K9/20 320J
G06T7/12
H04N5/222 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023236
(22)【出願日】2022-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】関 建二郎
(72)【発明者】
【氏名】奥山 浩司
(72)【発明者】
【氏名】加藤 智也
(72)【発明者】
【氏名】柿本 涼
【テーマコード(参考)】
3E141
5B029
5C122
5L096
【Fターム(参考)】
3E141AA06
3E141BA07
3E141CA20
3E141DA06
3E141FH05
5B029BB02
5B029CC25
5C122DA28
5C122EA15
5C122FA11
5C122FH10
5C122FK19
5C122FK28
5C122FK37
5C122HA88
5C122HB01
5C122HB05
5L096BA08
5L096DA04
5L096FA02
5L096FA06
5L096FA66
(57)【要約】 (修正有)
【課題】表示部の表示面に媒体が載置されて読み取りが行われる場合に、表示面に天井灯等の外光が白く映り込んでいる場合であっても媒体の読み取りを可能にするプログラム、表示位置決定方法及び自動取引装置を提供する。
【解決手段】自動取引装置のプログラムは、読取対象媒体を載置する領域を指定する媒体載置領域を表示する表示部10を、読取対象媒体の読み取りに使用される撮像部20に撮像させ、撮像部20により撮像された画像に表された外光映り込み領域の輪郭を検出し、画像における検出された外光映り込み領域の輪郭の位置に基づいて、表示部10に表示させる媒体載置領域の位置を決定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取対象媒体を載置する領域を指定する媒体載置領域を表示する表示部を、前記読取対象媒体の読み取りに使用される撮像部に撮像させ、
前記撮像部により撮像された画像に表された外光映り込み領域の輪郭を検出し、
前記画像における前記外光映り込み領域の輪郭の位置に基づいて、前記表示部に表示させる前記媒体載置領域の位置を決定する、
処理をプロセッサに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項2】
前記検出では、前記画像の読取可能範囲内に表された外光映り込み領域の輪郭を検出する、
ことを特徴とする請求項1記載のプログラム。
【請求項3】
前記決定では、前記画像上に配置し得る、前記媒体載置領域に対応する領域である対応領域の各位置において、前記対応領域の輪郭と前記外光映り込み領域の輪郭との間の最短距離に基づいて評価値を算出し、前記評価値が最大となる前記対応領域の位置に対応する前記表示部の表示位置を、前記表示部に表示させる前記媒体載置領域の位置として決定する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載のプログラム。
【請求項4】
前記画像の読取可能範囲内に前記対応領域の輪郭が含まれない場合の前記評価値を0とする、
ことを特徴とする請求項3記載のプログラム。
【請求項5】
前記対応領域の輪郭と前記外光映り込み領域の輪郭とが重なる場合の前記最短距離を0とする、
ことを特徴とする請求項4記載のプログラム。
【請求項6】
前記画像における前記外光映り込み領域の輪郭が1つである場合の前記評価値を、前記対応領域の輪郭と前記外光映り込み領域の輪郭との間の最短距離とする、
ことを特徴とする請求項5記載のプログラム。
【請求項7】
前記画像における前記外光映り込み領域の輪郭が複数であって且つ前記対応領域の輪郭と複数の前記外光映り込み領域の輪郭の各々との間の最短距離の少なくとも1つが0である場合の前記評価値を0とする、
ことを特徴とする請求項5記載のプログラム。
【請求項8】
前記画像における前記外光映り込み領域の輪郭が複数であって且つ前記対応領域の輪郭と複数の前記外光映り込み領域の輪郭の各々との間の最短距離の全てが0より大きい場合の前記評価値を、前記最短距離の中の最小値とする、
ことを特徴とする請求項5記載のプログラム。
【請求項9】
読取対象媒体を載置する領域を指定する媒体載置領域を表示する表示部を、前記読取対象媒体の読み取りに使用される撮像部に撮像させ、
前記撮像部により撮像された画像に表された外光映り込み領域の輪郭を検出し、
前記画像における前記外光映り込み領域の輪郭の位置に基づいて、前記表示部に表示させる前記媒体載置領域の位置を決定する、
ことを自動取引装置が行うことを特徴とする表示位置決定方法。
【請求項10】
読取対象媒体を載置する領域を指定する媒体載置領域を表示する表示部と、
前記読取対象媒体の読み取りに使用される撮像部と、
前記撮像部により前記表示部が撮像された画像に表された外光映り込み領域の輪郭を検出する検出部と、
前記画像における前記外光映り込み領域の輪郭の位置に基づいて、前記表示部に表示させる前記媒体載置領域の位置を決定する決定部と、
を備えることを特徴とする自動取引装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、表示位置決定方法、及び自動取引装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ATM(Automatic Teller Machine)等の自動取引装置は、帳票等の媒体を読み取る手段を備えている(例えば、特許文献1~4参照)。
【0003】
媒体を読み取る手段としてOCR(Optical Character Recognition)ユニットを備えた自動取引装置では、例えば、所定位置に載置された媒体をカメラで撮像して媒体の読み取りを行う。この場合、OCRユニットでは、カメラで撮像した画像に対するイメージ処理により、その画像に表された媒体の領域を検出し、その領域における読取対象文字の領域を特定し、その領域における読取対象文字の認識が行われる。ここで、媒体の領域の検出は、媒体の輪郭を検出することで行われる。媒体の輪郭の検出は、画像に表された媒体と背景とのコントラストと、予め規定されている媒体の形状及びサイズとに基づいて行われる。検出した媒体の領域における読取対象文字の領域の特定は、予め規定されている媒体のレイアウト(フォーマット)に基づいて行われる。
【0004】
各種取引画面が表示される表示部の表示面に媒体が載置されて読み取りが行われる自動取引装置では、表示部に表示される画面の光がカメラに入射しないように、表示部の表示面に偏向フィルタが設けられている。これにより、表示部の表示面に載置された媒体をカメラで撮像したときに、黒背景の画像を実現することができ、白地の媒体とのコントラストを確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-27352号公報
【特許文献2】特開2019-105991号公報
【特許文献3】特開2012-9080号公報
【特許文献4】特開2007-164367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自動取引装置の設置環境によっては、表示部の表示面に天井灯等の外光が白く映り込んでしまう場合がある。このような場合に、表示部の表示面に媒体が載置されて読み取りが行われると、カメラで撮像した画像に、その外光映り込みも表されてしまい、例えば、その外光映り込みが、画像に表された媒体の輪郭部分と重なってしまうと、画像に表された媒体と背景とのコントラストを確保することができず、媒体の輪郭を検出することができない。その結果、媒体の読み取りができない。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑み、表示部の表示面に媒体が載置されて読み取りが行われる場合に、表示面に天井灯等の外光が白く映り込んでいる場合であっても媒体の読み取りを可能にするプログラム、表示位置決定方法、及び自動取引装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
プログラムの一観点は、読取対象媒体を載置する領域を指定する媒体載置領域を表示する表示部を、前記読取対象媒体の読み取りに使用される撮像部に撮像させ、前記撮像部により撮像された画像に表された外光映り込み領域の輪郭を検出し、前記画像における前記外光映り込み領域の輪郭の位置に基づいて、前記表示部に表示させる前記媒体載置領域の位置を決定する、処理をプロセッサに実行させるプログラムである。
【0009】
方法の一観点は、読取対象媒体を載置する領域を指定する媒体載置領域を表示する表示部を、前記読取対象媒体の読み取りに使用される撮像部に撮像させ、前記撮像部により撮像された画像に表された外光映り込み領域の輪郭を検出し、前記画像における前記外光映り込み領域の輪郭の位置に基づいて、前記表示部に表示させる前記媒体載置領域の位置を決定する、ことを自動取引装置が行う表示位置決定方法である。
【0010】
装置の一観点は、読取対象媒体を載置する領域を指定する媒体載置領域を表示する表示部と、前記読取対象媒体の読み取りに使用される撮像部と、前記撮像部により前記表示部が撮像された画像に表された外光映り込み領域の輪郭を検出する検出部と、前記画像における前記外光映り込み領域の輪郭の位置に基づいて、前記表示部に表示させる前記媒体載置領域の位置を決定する決定部と、を備える自動取引装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、表示部の表示面に媒体が載置されて読み取りが行われる場合に、表示面に天井灯等の外光が白く映り込んでいる場合であっても媒体の読み取りが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施の形態に係る自動取引装置の機能構成を例示する図である。
【
図2】一実施の形態に係る自動取引装置の外観構成を例示する斜視図である。
【
図3】OCRカメラユニットの撮像範囲を例示する図である。
【
図4】一実施の形態に係る自動取引装置のハードウェア構成を例示する図である。
【
図5】表示位置決定処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図6】決定処理で使用されるパラメータを説明する図である。
【
図7】決定処理の流れを例示するフローチャートである。
【
図8】表示入力ユニットの表示面の一箇所に外光映り込みがある場合の表示位置決定処理後の媒体載置例を、従来の媒体載置例と比較して示す図である。
【
図9】表示入力ユニットの表示面の複数箇所に外光映り込みがある場合の表示位置決定処理後の媒体載置例を、従来の媒体載置例と比較して示す図である。
【
図10】媒体読取処理の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1は、一実施の形態に係る自動取引装置の機能構成を例示する図である。
図1に例示した機能構成は、自動取引装置が備える表示位置決定機能に係る構成を示しており、自動取引装置が備える他の機能に係る構成については図示を省略している。表示位置決定機能は、表示部に表示させる媒体載置領域の位置を決定する機能である。媒体載置領域は、読取対象媒体を載置する領域を指定する領域である。読取対象媒体は、例えば、払込書や振込用紙等の帳票である。自動取引装置は、例えばATMであり、銀行等の金融機関に設置される。
【0014】
図1に例示したように、自動取引装置1は、表示部10、撮像部20、検出部30、及び決定部40を備える。
【0015】
表示部10は、読取対象媒体を載置する領域を指定する媒体載置領域を表示する。撮像部20は、読取対象媒体の読み取りに使用される。検出部30は、撮像部20により表示部10が撮像された画像に表された外光映り込み領域の輪郭を検出する。決定部40は、撮像部20により表示部10が撮像された画像における、検出部30により検出された外光映り込み領域の輪郭の位置に基づいて、表示部10に表示させる媒体載置領域の位置を決定する。
【0016】
検出部30は、撮像部20により表示部10が撮像された画像の読取可能範囲内に表された外光映り込み領域の輪郭を検出してもよい。
【0017】
決定部40は、撮像部20により表示部10が撮像された画像上に配置し得る、媒体載置領域に対応する領域である対応領域の各位置において、対応領域の輪郭と外光映り込み領域の輪郭との間の最短距離に基づいて評価値を算出し、評価値が最大となる対応領域の位置に対応する表示部10の表示位置を、表示部10に表示させる媒体載置領域の位置として決定してもよい。
【0018】
この場合、撮像部20により表示部10が撮像された画像の読取可能範囲内に対応領域の輪郭が含まれない場合の評価値を0としてもよい。また、対応領域の輪郭と外光映り込み領域の輪郭とが重なる場合の最短距離を0としてもよい。
【0019】
また、検出部30により検出された外光映り込み領域の輪郭が1つである場合の評価値を、対応領域の輪郭と外光映り込み領域の輪郭との間の最短距離としてもよい。
【0020】
また、検出部30により検出された外光映り込み領域の輪郭が複数であって且つ対応領域の輪郭と複数の外光映り込み領域の輪郭の各々との間の最短距離の少なくとも1つが0である場合の評価値を0としてもよい。
【0021】
また、検出部30により検出された外光映り込み領域の輪郭が複数であって且つ対応領域の輪郭と複数の外光映り込み領域の輪郭の各々との間の最短距離の全てが0より大きい場合の評価値を、その最短距離の中の最小値としてもよい。
【0022】
このような自動取引装置1によれば、表示部10の表示面に読取対象媒体が載置されて読み取りが行われる場合に、表示面に天井灯等の外光が白く映り込んでいる場合であっても、媒体の輪郭部分と外光の映り込みとが重ならないようにさせることができるので、媒体の読み取りが可能になる。以下、このような自動取引装置1についてより具体的に説明する。
【0023】
図2は、一実施の形態に係る自動取引装置の外観構成を例示する斜視図である。
図3は、OCRカメラユニットの撮像範囲を例示する図である。
【0024】
図2に例示したように、自動取引装置1は、OCRカメラユニット101、通帳挿入排出部102、カード挿入排出部103、硬貨入出金部104、紙幣入出金部105、及び表示入力ユニット106を備える。
【0025】
OCRカメラユニット101は、表示入力ユニット106に表示された媒体載置領域に載置された媒体を撮像する。OCRカメラユニット101の撮像範囲(画角)は、
図3に例示した撮像範囲101aとなり、少なくとも、表示入力ユニット106に表示され得る媒体載置領域201を含む範囲となる。なお、媒体載置領域201の形状及びサイズは、媒体の形状及びサイズと同一又は略同一である。
【0026】
通帳挿入排出部102は、通帳の受け付け及び返却を行う。カード挿入排出部103は、取引に使用されるカード(キャッシュカード等)の受け付け及び返却を行う。また、カード挿入排出部103は、取引明細が印刷されたレシートの排出も行う。硬貨入出金部104は、入金硬貨の受け付け及び出金硬貨の排出を行う。紙幣入出金部105は、入金紙幣の受け付け及び出金紙幣の排出を行う。
【0027】
表示入力ユニット106は、各種取引画面(媒体読取画面を含む)の表示や、顧客からの操作入力の受け付けを行う。
【0028】
図4は、一実施の形態に係る自動取引装置のハードウェア構成を例示する図である。
図4に例示したように、自動取引装置1は、制御ユニット121、表示入力ユニット106、OCRカメラユニット101、カード処理ユニット122、通帳処理ユニット123、硬貨処理ユニット124、紙幣処理ユニット125、及び電源ユニット(電源盤)126を備える。
【0029】
制御ユニット121は、プロセッサ131、RAM(Random Access Memory)132、通信インタフェース133、グラフィック処理ユニット134、外部記憶装置135、及び入出力インタフェース136を備え、これらはバス137で相互に接続されている。また、制御ユニット121は、バス137に接続されるFPGA(Field Programmable Gate Array)138や図示しないASIC(Application Specific Integrated Circuit)を更に備えてもよい。この場合は、制御ユニット121の機能の一部をFPGA138やASICが担うようにしてもよい。
【0030】
プロセッサ131は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ131は、OS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラム等の各種のプログラムを実行することにより自動取引装置1の全体動作を制御する。例えば、プロセッサ131は、表示入力ユニット106をOCRカメラユニット101に撮像させ、OCRカメラユニット101により撮像された画像に表された外光映り込み領域の輪郭を検出し、その画像における検出した外光映り込み領域の輪郭の位置に基づいて、表示入力ユニット106に表示させる媒体載置領域201の位置を決定する、といった表示位置決定機能に係る動作を制御する。RAM132は、プロセッサ131により実行されるプログラムの一部が一時的に格納されたり、プロセッサ131の作業用記憶領域として使用されたりする。
【0031】
通信インタフェース133は、図示しないネットワークに接続され、当該ネットワークを介して例えば図示しないホストコンピュータと通信を行う。
【0032】
グラフィック処理ユニット134は、表示入力ユニット106の表示装置106aと接続されており、プロセッサ131からの制御信号に従って、各種取引画面を表示装置106aに表示させる。
【0033】
外部記憶装置135は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)である。外部記憶装置135は、プロセッサ131により実行される各種のプログラムや、プログラムの実行に必要な各種データ等が記憶される。
【0034】
入出力インタフェース136は、表示入力ユニット106のタッチパネル106b、OCRカメラユニット101、カード処理ユニット122、通帳処理ユニット123、硬貨処理ユニット124、及び紙幣処理ユニット125と接続されている。また、図示はしないが、可搬型記録媒体への情報の書き込みや可搬型記録媒体からの情報の読み出しが可能な可搬型記録媒体インタフェースを自動取引装置1が更に備えて、入出力インタフェース136が、可搬型記録媒体インタフェースと更に接続されてもよい。
【0035】
入出力インタフェース136は、プロセッサ131からの制御信号を、タッチパネル106b、OCRカメラユニット101、カード処理ユニット122、通帳処理ユニット123、硬貨処理ユニット124、及び紙幣処理ユニット125に通知する。また、入出力インタフェース136は、タッチパネル106b、OCRカメラユニット101、カード処理ユニット122、通帳処理ユニット123、硬貨処理ユニット124、及び紙幣処理ユニット125からの信号(データ、情報)をプロセッサ131に通知する。
【0036】
表示入力ユニット106は、表示装置106aと当該表示装置106a上に配置されたタッチパネル106bとを備える。表示装置106aは、例えばLCD(Liquid Crystal Display)である。また、表示装置106aの表示面には、表示装置106aに表示される画面の光がOCRカメラユニット101に入射しないように、偏向フィルタが設けられている。これにより、表示入力ユニット106(表示装置106a)に表示された媒体載置領域201に載置された媒体がOCRカメラユニット101により撮像された画像において、黒背景を実現することができ、白地の媒体とのコントラストを確保することができる。タッチパネル106bは、当該タッチパネル106bに対する操作入力を検出し、その検出結果をプロセッサ131に通知する。
【0037】
OCRカメラユニット101は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサを含んで構成される。
【0038】
カード処理ユニット122は、カードをカード挿入排出部103から挿入、排出する。また、挿入されたカードが有する磁気ストライプやIC(Integrated Circuit)チップに対する情報(データ)の読み出し及び書き込みを行う。また、カード処理ユニット122は、取引明細をレシートに印刷してカード挿入排出部103から排出すること等も行う。
【0039】
通帳処理ユニット123は、通帳を通帳挿入排出部102から挿入、排出する。また、挿入された通帳が有する磁気ストライプに記録された情報(データ)の読み出しや、通帳記入等を行う。
【0040】
硬貨処理ユニット124は、硬貨を硬貨入出金部104から入出金する。また、入金硬貨の計数、鑑別や、出金硬貨の計数等を行う。
【0041】
紙幣処理ユニット125は、紙幣を紙幣入出金部105から入出金する。また、入金紙幣の計数、鑑別や、出金紙幣の計数等を行う。
【0042】
電源ユニット126は、自動取引装置1の各部に電力を供給する。
【0043】
なお、
図4に例示した自動取引装置1において、表示入力ユニット106(表示装置106a)は、表示部10の一例である。OCRカメラユニット101は、撮像部20の一例である。プロセッサ131は、検出部30及び決定部40の一例である。
【0044】
次に、
図5~
図7を用いて、自動取引装置1が行う表示位置決定機能に係る処理(以下、「表示位置決定処理」という)について説明する。なお、この表示位置決定処理は、例えば自動取引装置1の設置時や起動時(電源ON時)等に、プロセッサ131が上述のプログラムを実行することにより行われる処理である。
【0045】
図5は、表示位置決定処理の流れを例示するフローチャートである。
図5に例示したように、自動取引装置1は、表示位置決定処理を開始すると、まず、媒体が載置されていない状態の表示入力ユニット106をOCRカメラユニット101で撮像して画像301を取得する(ステップ(以下単に「S」という)101)。ここでは、表示入力ユニット106の表示面に天井灯等の外光が映り込んでいたために、取得された画像301には、その外光映り込み(例えば外光映り込み302)が表されていたとする。
【0046】
次に、自動取引装置1は、画像301に対してグレースケール変換の画像処理を行い、グレースケール画像303を取得する(S102)。
【0047】
次に、自動取引装置1は、グレースケール画像303に対して二値化の画像処理を行い、二値化画像304を取得する(S103)。このときの二値化の画像処理では、二値化閾値を周辺画素の画素値に基づいて決定するようにしてもよい。
【0048】
次に、自動取引装置1は、二値化画像304のOCR可能範囲(読取可能範囲)305内に表されている外光映り込み領域(例えば外光映り込み領域306)の輪郭を検出する(S104)。ここで、OCR可能範囲305は、OCRカメラユニット101の性能(解像度、画角、ピントが合う範囲等)に基づいて予め規定されている。また、外光映り込み領域の輪郭の検出は、二値化画像304のOCR可能範囲305内に対し、ラベリングによりオブジェクトの閉じた輪郭を検出することにより行われる。ラベリングの手法としては、例えば、「Satoshi Suzuki and others. Topological structural analysis of digitized binary images by border following. Computer Vision, Graphics, and Image Processing, 30(1):32-46, 1985.」(以下「文献A」という)に記載のアルゴリズム等を用いることができる。なお、S104では、二値化画像304のOCR可能範囲305内に表されている外光映り込み領域の輪郭を検出するようにしたが、OCR可能範囲305内に限らず、二値化画像304に表されている外光映り込み領域の輪郭を検出するようにしてもよい。
【0049】
次に、自動取引装置1は、二値化画像304上に配置し得る、媒体載置領域201に対応する領域である対応領域307の各位置において、対応領域307の輪郭と外光映り込み領域(例えば外光映り込み領域306)の輪郭との間の最短距離に基づいて評価値を算出し、その評価値が最大となる対応領域307の位置に対応する表示入力ユニット106の表示位置を、表示入力ユニット106に表示させる媒体載置領域201の位置として決定する(S105)。なお、OCRカメラユニット101の撮像範囲は決まっていることから、それに基づいて、二値化画像304上の位置から、対応する表示入力ユニット106の表示位置を求めることができる。S105が終了すると、自動取引装置1は、
図5に例示した表示位置決定処理を終了する。
【0050】
ここで、S105の処理(以下、「決定処理」という)について、
図6及び
図7を用いて、より具体的に説明する。
図6は、決定処理で使用されるパラメータを説明する図である。
図7は、決定処理の流れを例示するフローチャートである。
【0051】
まず、
図6を用いて、決定処理で使用されるパラメータについて説明する。決定処理では、
図6に示したように、二値化画像304の左上の頂点を原点(0,0)とし、二値化画像304の幅方向をX方向、高さ方向をY方向とする。二値化画像304の幅をwドット、高さをhドットとする。OCR可能範囲305をO(0)と表すものとする。また、外光映り込み領域の輪郭がN(Nは1以上の整数)個検出されていたものとし、N個の外光映り込み領域の輪郭をO(n)(n=1,2,・・・,N)と表すものとする。
図6では、外光映り込み領域の輪郭が2個(O(1)、O(2))検出されている場合を示している。また、二値化画像304上に配置し得る、媒体載置領域201に対応する領域である対応領域307をA(x,y)と表すものとする。A(x,y)における(x,y)は、対応領域307の左上の頂点の位置を表し、対応領域307の位置を表すものでもあるとする。また、対応領域307の輪郭と外光映り込み領域の輪郭との間の最短距離が許容される距離であるか否か(媒体の輪郭と外光映り込みとの重なり回避の可否に対応)を判定する際の閾値をDと表すものとする。また、二値化画像304上に配置し得る対応領域307の各位置における評価値をR(x,y)と表すものとする。これらを前提に、
図7を用いて、決定処理について具体的に説明する。
【0052】
図7に例示したように、自動取引装置1は、決定処理を開始すると、まず、x=1~w(x=1,2,・・・,w)までのループ処理Aを行う(S201~S212)。
【0053】
各xについてのループ処理Aでは、自動取引装置1は、y=1~h(y=1,2,・・・,h)までのループ処理Bを行う(S202~S211)。
【0054】
各yについてのループ処理Bでは、自動取引装置1は、R(x,y)=0とし(S203)、A(x,y)がO(0)に含まれる(包含される)か否かを判定する(S204)。
【0055】
S204の判定結果がNOの場合、自動取引装置1は、R(x,y)=0とし(S205)、このときのyについてのループ処理Bを終了する。
【0056】
一方、S204の判定結果がYESの場合、自動取引装置1は、n=1~N(n=1,2,・・・,N)までのループ処理Cを行う(S206~S210)。
【0057】
各nについてのループ処理Cでは、自動取引装置1は、A(x,y)の輪郭とO(n)との間の最短距離をdとして算出する(S207)。この算出では、A(x,y)の輪郭とO(n)とが重なる場合の最短距離を0(d=0)とする。また、A(x,y)の輪郭とO(n)とが離れている場合や、A(x,y)の輪郭内にO(n)が含まれる場合には、d>0となる。
【0058】
次に、自動取引装置1は、d>0であるか否かを判定する(S208)。S208の判定結果がNOの場合、自動取引装置1は、このときのnの値によらずループ処理Cを終了してR(x,y)=0とし(S205)、このときのyについてのループ処理Bを終了する。
【0059】
一方、S208の判定結果がYESの場合、自動取引装置1は、R(x,y)=0である場合は、dをR(x,y)に代入し、R(x,y)=0でない場合は、dとR(x,y)のうちの小さい方をR(x,y)に代入する(S209)。
【0060】
このようにして、S201~S212の処理が終了すると、自動取引装置1は、そのS201~S212の処理で得られたR(x,y)の最大値をRmaxとして取得し、そのR(x,y)の最大値が得られたときのA(x,y)の位置をAmaxとして取得する(S213)。
【0061】
次に、自動取引装置1は、Rmax>Dであるか否かを判定する(S214)。S214の判定結果がYESの場合、自動取引装置1は、Amaxに対応する表示入力ユニット106の表示位置を、表示入力ユニット106に表示させる媒体載置領域201の位置として決定する(S215)。
【0062】
一方、S214の判定結果がNOの場合、自動取引装置1は、媒体の輪郭と外光映り込との重なり回避は不可と判定する(S216)。この場合、自動取引装置1は、その判定結果を行員に通知するようにしてもよい。通知方法は、例えば、表示入力ユニット106への判定結果の表示でもよいし、行員端末への判定結果の通知でもよい。このような通知により、行員は自動取引装置1の設置位置の見直し等を実施することができる。
【0063】
S215又はS216が終了すると、自動取引装置1は、
図7に例示した決定処理を終了する。
【0064】
このようにしてS215で決定された位置に媒体載置領域201を表示させることで、その媒体載置領域201に載置された媒体の輪郭と外光映り込みとの重なりを回避することができる。ここで、
図8及び
図9を用いて、表示位置決定処理後の媒体載置例について、従来の媒体載置例と比較して説明する。なお、
図8及び
図9では、説明の便宜のため、表示入力ユニット106の表示面を黒色で示す。また、媒体に印刷されている文字や線等の図示を省略する。
【0065】
図8は、表示入力ユニットの表示面の一箇所に外光映り込みがある場合の表示位置決定処理後の媒体載置例を、従来の媒体載置例と比較して示す図である。
図8に示したように、表示入力ユニット106の表示面106cの一箇所に外光映り込み311がある場合、従来では、媒体載置領域201の表示位置が固定されていたために、媒体載置領域201を含む媒体読取画面312が表示入力ユニット106に表示され、その媒体載置領域201に媒体313が載置されたときに、媒体313の輪郭と外光映り込み311とが重なってしまう場合があった。この場合は、媒体313の輪郭を検出することができないため、媒体313の読み取りができなかった。これに対し、本実施形態では、表示位置決定処理によって、媒体載置領域201の表示位置が、OCR可能範囲305内であって、載置された媒体313の輪郭と外光映り込み311とが重ならない位置とされるため、媒体載置領域201を含む媒体読取画面312が表示入力ユニット106に表示され、その媒体載置領域201に媒体313が載置されたたときに、媒体313の輪郭と外光映り込み311とが重なることはない。そのため、媒体313の輪郭を検出することができ、媒体313の読み取りが可能になる。
【0066】
図9は、表示入力ユニットの表示面の複数箇所に外光映り込みがある場合の表示位置決定処理後の媒体載置例を、従来の媒体載置例と比較して示す図である。
図9に示したように、表示入力ユニット106の表示面106cの複数箇所(この例では二箇所)に外光映り込み321(321a、321b)がある場合、従来では、媒体載置領域201の表示位置が固定されていたために、媒体載置領域201を含む媒体読取画面312が表示入力ユニット106に表示され、その媒体載置領域201に媒体313が載置されたときに、媒体313の輪郭と外光映り込み321とが重なってしまう場合があった。この場合は、媒体313の輪郭を検出することができないため、媒体313の読み取りができなかった。これに対し、本実施形態では、表示位置決定処理によって、媒体載置領域201の表示位置が、OCR可能範囲305内であって、載置された媒体313の輪郭と外光映り込み321とが重ならない位置とされるため、媒体載置領域201を含む媒体読取画面312が表示入力ユニット106に表示され、その媒体載置領域201に媒体313が載置されたときに、媒体313の輪郭と外光映り込み321とが重なることはない。
図9の例では、二箇所の外光映り込みのうちの一方の外光映り込み321aが媒体載置領域201内に包含され、他方の外光映り込み領域321bが媒体載置領域201の外側の離れた位置になるように、媒体載置領域201が表示されている。そのため、その媒体載置領域201に載置された媒体313の輪郭を検出することができ、媒体313の読み取りが可能になる。
【0067】
ここで、上述の表示位置決定処理後、表示入力ユニット106に表示された媒体載置領域201に媒体が載置された状態で自動取引装置1が行う媒体読取処理について、
図10を用いて説明する。この媒体読取処理は、プロセッサ131が上述のプログラムを実行することにより行われる処理である。なお、
図10では、説明の便宜のため、画像に表された媒体に印刷されていた文字や線等の図示を省略する。また、検出された輪郭や多角形近似された輪郭を模式的に示す。
【0068】
図10は、媒体読取処理の流れを例示するフローチャートである。
図10に例示したように、自動取引装置1は、媒体読取処理を開始すると、まず、OCRカメラユニット101で撮像して画像331を取得する(S301)。ここでは、表示入力ユニット106の表示面に天井灯等の外光が映り込んでいるものの、上述の表示位置決定処理によって決定された位置に表示された媒体載置領域201に載置された媒体の輪郭は、その外光映り込みと重なることはないため、画像331に表された媒体332の輪郭と外光映り込み(例えば外光映り込み333)とが重なることはない。
【0069】
次に、自動取引装置1は、画像331に対してグレースケール変換の画像処理を行い、グレースケール画像334を取得する(S302)。
【0070】
次に、自動取引装置1は、グレースケール画像334に対して二値化の画像処理を行い、二値化画像335を取得する(S303)。この二値化の画像処理では、二値化閾値を周辺画素の画素値に基づいて決定するようにしてもよい。
【0071】
次に、自動取引装置1は、二値化画像335において輪郭を検出する(S304)。この輪郭の検出は、ラベリングによりオブジェクトの閉じた輪郭を検出することにより行われる。ラベリングの手法としては、例えば、上述の文献Aに記載のアルゴリズム等を用いることができる。S304の処理により、二値化画像335に表された媒体336の輪郭336aや外光映り込み領域の輪郭(例えば外光映り込み領域337の輪郭337a)等が検出される。
【0072】
次に、自動取引装置1は、S304で検出された輪郭を多角形に近似する多角形近似を行う(S305)。多角形近似の手法としては、Douglas―Peuckerのアルゴリズム等を用いることができる。S305の処理により、輪郭336aが多角形近似された輪郭336bや、例えば輪郭337aが多角形近似された輪郭337b等が得られる。
【0073】
次に、自動取引装置1は、S305で多角形近似された輪郭の中から媒体336の輪郭を特定する(S306)。この特定は、予め規定されている読取対象媒体の形状及びサイズに基づいて行うことができる。ここでは、輪郭336bが、媒体336の輪郭として特定される。
【0074】
次に、自動取引装置1は、S306で特定された媒体336の輪郭336bの形状(台形形状)が、実際の媒体の相似形状(矩形形状)になるように、二値化画像335に対して台形変換の画像処理を行う(S307)。
【0075】
次に、自動取引装置1は、S307で台形変換された二値化画像に表されている媒体338の領域における読取対象文字領域の部分画像339を切り出す(S308)。このときの部分画像339の切り出しは、予め規定されている読取対象媒体のレイアウト(フォーマット)に基づいて行うことができる。
【0076】
次に、自動取引装置1は、S308で切り出された読取対象文字領域の部分画像339に対して文字認識を行い(S309)、
図10に例示した媒体読取処理を終了する。
【0077】
以上に説明した自動取引装置1によれば、表示入力ユニット106の表示面に読取対象媒体が載置されて読み取りが行われる場合に、表示面に天井灯等の外光が白く映り込んでいる場合であっても、媒体の輪郭部分と外光の映り込みとが重ならないようにさせることができるので、媒体の読み取りが可能になる。
【0078】
なお、表示入力ユニット106に表示される媒体載置領域201内にメッセージやイラスト等を表示するようにしてもよい。この場合、そのメッセージやイラスト等によって、媒体載置領域201に載置する媒体の向きを顧客に指定するようにしてもよい。
【0079】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良・変更が可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 自動取引装置
10 表示部
20 撮像部
30 検出部
40 決定部
101 OCRカメラユニット
101a 撮像範囲
102 通帳挿入排出部
103 カード挿入排出部
104 硬貨入出金部
105 紙幣入出金部
106 表示入力ユニット
106a 表示装置
106b タッチパネル
106c 表示面
121 制御ユニット
122 カード処理ユニット
123 通帳処理ユニット
124 硬貨処理ユニット
125 紙幣処理ユニット
126 電源ユニット
131 プロセッサ
132 RAM
133 通信インタフェース
134 グラフィック処理ユニット
135 外部記憶装置
136 入出力インタフェース
137 バス
138 FPGA
201 媒体載置領域
301 画像
302 外光映り込み
303 グレースケール画像
304 二値化画像
305 OCR可能範囲
306 外光映り込み領域
307 対応領域
311 外光映り込み
312 媒体読取画面
313 媒体
321、321a、321b 外光映り込み
331 画像
332 媒体
333 外光映り込み
334 グレースケール画像
335 二値化画像
336 媒体
336a、336b 輪郭
337 外光映り込み領域
337a、337b 輪郭
338 媒体
339 部分画像