(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120082
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】ドレン処理装置
(51)【国際特許分類】
F02M 37/00 20060101AFI20230822BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20230822BHJP
F02M 26/35 20160101ALI20230822BHJP
【FI】
F02M37/00 331B
F01N3/08 B
F02M26/35 Z
F02M37/00 341
F02M37/00 341H
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023287
(22)【出願日】2022-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】303047034
【氏名又は名称】株式会社ジャパンエンジンコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】大場 啓道
【テーマコード(参考)】
3G062
3G091
【Fターム(参考)】
3G062AA01
3G091AA04
3G091AB04
3G091BA14
3G091CA17
(57)【要約】
【課題】舶用ディーゼルエンジンの燃料噴射系統から回収したアンモニア含有ドレンのアンモニア成分を有効利用することができるドレン処理装置を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様であるドレン処理装置は、舶用ディーゼルエンジンの燃焼室にアンモニア燃料および化石燃料を噴射するための燃料噴射系統と連通し、前記燃料噴射系統から排出されるアンモニア含有ドレンを回収する回収部と、回収された前記アンモニア含有ドレンに含まれるアンモニア成分を、前記アンモニア成分を利用して機能する1以上の機能部に供給する供給部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
舶用ディーゼルエンジンの燃焼室にアンモニア燃料および化石燃料を噴射するための燃料噴射系統と連通し、前記燃料噴射系統から排出されるアンモニア含有ドレンを回収する回収部と、
回収された前記アンモニア含有ドレンに含まれるアンモニア成分を、前記アンモニア成分を利用して機能する1以上の機能部に供給する供給部と、
を備えることを特徴とするドレン処理装置。
【請求項2】
前記回収部は、
前記アンモニア成分以外の気体成分または油成分と前記アンモニア燃料とが混ざった混合ドレンを流通させる少なくとも一つの回収管と、
前記燃料噴射系統から前記少なくとも一つの回収管を通じて前記混合ドレンを回収し、前記気体成分および前記油成分の少なくとも一つと前記アンモニア燃料とを含有する前記アンモニア含有ドレンを貯留する回収タンクと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のドレン処理装置。
【請求項3】
前記回収タンクは、貯留した前記アンモニア含有ドレンを、前記油成分と前記アンモニア燃料とを含有するアンモニア含有液と、前記気体成分と前記アンモニア燃料から気化したアンモニアガスとを含有するアンモニア含有ガスとに気液分離する気液分離器であり、
前記供給部は、
前記アンモニア含有液から、前記油成分を除去して前記アンモニア成分を抽出する抽出部と、
前記アンモニア含有ガスに水を加えて、前記気体成分と前記アンモニアガスとを分離するとともに、前記アンモニアガスの水溶液であって前記アンモニア成分を含むアンモニア水を生成するアンモニア水生成部と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載のドレン処理装置。
【請求項4】
前記1以上の機能部のうち1つは、排ガスに含まれる窒素酸化物と還元剤との還元反応によって前記窒素酸化物を除去する反応器と、前記排ガスと前記還元剤とを混合する混合器と、前記混合器に前記還元剤を供給する還元剤供給部と、を備える排ガス処理装置であり、
前記供給部は、前記抽出部によって抽出された前記アンモニア成分を前記混合器に供給する、
ことを特徴とする請求項3に記載のドレン処理装置。
【請求項5】
前記供給部は、前記アンモニア水生成部によって生成された前記アンモニア水を前記還元剤に追加する、
ことを特徴とする請求項4に記載のドレン処理装置。
【請求項6】
前記1以上の機能部のうち1つは、前記燃焼室に噴射された前記アンモニア燃料および前記化石燃料の混焼によるエネルギーを利用して駆動力を発生させる前記舶用ディーゼルエンジンの駆動系統であり、
前記供給部は、前記アンモニア水生成部によって生成された前記アンモニア水を前記燃焼室に噴射する、
ことを特徴とする請求項3または4に記載のドレン処理装置。
【請求項7】
前記少なくとも一つの回収管には、前記燃料噴射系統の燃料噴射弁から、前記化石燃料と前記アンモニア燃料とが混ざった第1混合ドレンを回収する第1回収管が含まれる、
ことを特徴とする請求項2~6のいずれか一つに記載のドレン処理装置。
【請求項8】
前記少なくとも一つの回収管には、前記燃料噴射系統の燃料噴射弁に前記アンモニア燃料を圧送するアンモニアポンプから、前記アンモニアポンプの潤滑油と前記アンモニア燃料とが混ざった第2混合ドレンを回収する第2回収管が含まれる、
ことを特徴とする請求項2~7のいずれか一つに記載のドレン処理装置。
【請求項9】
前記少なくとも一つの回収管には、前記燃料噴射系統の燃料噴射弁と前記燃料噴射弁に前記アンモニア燃料を圧送するアンモニアポンプとを連通する連通管から、前記連通管の内部をパージするパージガスと前記アンモニア燃料とが混ざった第3混合ドレンを回収する第3回収管が含まれる、
ことを特徴とする請求項2~8のいずれか一つに記載のドレン処理装置。
【請求項10】
前記アンモニア含有ドレンは、前記アンモニア成分を含むアンモニア水であり、
前記供給部は、前記1以上の機能部に前記アンモニア水を供給する、
ことを特徴とする請求項1に記載のドレン処理装置。
【請求項11】
前記燃料噴射系統は、
前記燃焼室に前記アンモニア燃料と前記化石燃料とを噴射する燃料噴射弁と、
前記燃料噴射弁に前記アンモニア燃料を圧送するアンモニアポンプと、
前記アンモニアポンプに供給する前記アンモニア燃料を貯留するアンモニア燃料タンクと、
前記燃料噴射弁と前記アンモニアポンプとを連通する第1内側管と、前記第1内側管を気密に覆う第1外側管と、前記アンモニアポンプと前記アンモニア燃料タンクとを連通する第2内側管と、前記第2内側管を気密に覆う第2外側管とを有する二重管と、
を備え、
前記回収部は、前記アンモニアポンプを気密に覆うとともに前記二重管と連通し、前記二重管から前記アンモニア水を回収する、
ことを特徴とする請求項10に記載のドレン処理装置。
【請求項12】
前記1以上の機能部のうち1つは、前記舶用ディーゼルエンジンから排出された排ガスの一部をスクラバ水で洗浄して前記舶用ディーゼルエンジンに戻すEGR装置の、洗浄に使用された酸性の前記スクラバ水を貯留して中和するコレクティングタンクであり、
前記供給部は、前記コレクティングタンクに前記アンモニア水を供給する、
ことを特徴とする請求項10または11に記載のドレン処理装置。
【請求項13】
前記1以上の機能部のうち1つは、前記燃焼室に噴射された前記アンモニア燃料および前記化石燃料の混焼によるエネルギーを利用して駆動力を発生させる前記舶用ディーゼルエンジンの駆動系統であり、
前記供給部は、前記燃焼室に前記アンモニア水を噴射する、
ことを特徴とする請求項10または11に記載のドレン処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舶用ディーゼルエンジンに適用されるドレン処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、船舶の分野においては、舶用ディーゼルエンジンから排出される温室効果ガス(GHG:Greenhouse Gas)の排出量を削減する手法の1つとして、アンモニア混焼技術がある。アンモニア混焼技術は、舶用燃料として採用されている従来の重油等の化石燃料と、燃焼しても二酸化炭素(GHGの1つ)が発生しないアンモニア燃料とを、舶用ディーゼルエンジンの燃焼室に噴射して一緒に燃焼させるものである。これにより、舶用ディーゼルエンジンからの排ガスに含まれる二酸化炭素の含有量(すなわち二酸化炭素の排出量)を削減することができる。
【0003】
このようなアンモニア混焼技術が採用された舶用ディーゼルエンジンにおいては、一般に、化石燃料およびアンモニア燃料を燃焼室に噴射する燃料噴射弁等から、アンモニア燃料を含有したドレン(以下、アンモニア含有ドレンという)が排出される。そして、排出されたアンモニア含有ドレンは、タンク等の容器内に回収される。例えば、特許文献1には、燃料噴射弁から排出されたアンモニア含有ドレン(燃料ドレン)を、配管を通じてタンク内に回収し、この回収したアンモニア含有ドレンから揮発して気体となったアンモニア成分(アンモニアガス)をボイラーによって焼却処理するドレンシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したように回収したアンモニア含有ドレンのアンモニア成分を焼却処理した場合、有害なアンモニアガスを外気に漏出させずに処理できるものの、アンモニア成分の焼却処理によって窒素酸化物(N2O等)が発生してしまう。また、窒素酸化物の発生量(船舶からの排出量)の増加を回避すべく、上記アンモニア成分の焼却処理を行わない場合、回収したアンモニア含有ドレンを、船舶内において密閉容器内に貯蔵し、最終的には陸揚げして処理しなければならず、当該アンモニア含有ドレンの処理に多大なコストが必要となる。
【0006】
近年、舶用ディーゼルエンジンにおいては、二酸化炭素の排出量を削減する要望が高まっており、これに伴い、上記回収したアンモニア含有ドレンのアンモニア成分を有効利用することが要望されている。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、舶用ディーゼルエンジンの燃料噴射系統から回収したアンモニア含有ドレンのアンモニア成分を有効利用することができるドレン処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るドレン処理装置は、舶用ディーゼルエンジンの燃焼室にアンモニア燃料および化石燃料を噴射するための燃料噴射系統と連通し、前記燃料噴射系統から排出されるアンモニア含有ドレンを回収する回収部と、回収された前記アンモニア含有ドレンに含まれるアンモニア成分を、前記アンモニア成分を利用して機能する1以上の機能部に供給する供給部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るドレン処理装置は、上記の発明において、前記回収部は、前記アンモニア成分以外の気体成分または油成分と前記アンモニア燃料とが混ざった混合ドレンを流通させる少なくとも一つの回収管と、前記燃料噴射系統から前記少なくとも一つの回収管を通じて前記混合ドレンを回収し、前記気体成分および前記油成分の少なくとも一つと前記アンモニア燃料とを含有する前記アンモニア含有ドレンを貯留する回収タンクと、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るドレン処理装置は、上記の発明において、前記回収タンクは、貯留した前記アンモニア含有ドレンを、前記油成分と前記アンモニア燃料とを含有するアンモニア含有液と、前記気体成分と前記アンモニア燃料から気化したアンモニアガスとを含有するアンモニア含有ガスとに気液分離する気液分離器であり、前記供給部は、前記アンモニア含有液から、前記油成分を除去して前記アンモニア成分を抽出する抽出部と、前記アンモニア含有ガスに水を加えて、前記気体成分と前記アンモニアガスとを分離するとともに、前記アンモニアガスの水溶液であって前記アンモニア成分を含むアンモニア水を生成するアンモニア水生成部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係るドレン処理装置は、上記の発明において、前記1以上の機能部のうち1つは、排ガスに含まれる窒素酸化物と還元剤との還元反応によって前記窒素酸化物を除去する反応器と、前記排ガスと前記還元剤とを混合する混合器と、前記混合器に前記還元剤を供給する還元剤供給部と、を備える排ガス処理装置であり、前記供給部は、前記抽出部によって抽出された前記アンモニア成分を前記混合器に供給する、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係るドレン処理装置は、上記の発明において、前記供給部は、前記アンモニア水生成部によって生成された前記アンモニア水を前記還元剤に追加する、ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るドレン処理装置は、上記の発明において、前記1以上の機能部のうち1つは、前記燃焼室に噴射された前記アンモニア燃料および前記化石燃料の混焼によるエネルギーを利用して駆動力を発生させる前記舶用ディーゼルエンジンの駆動系統であり、前記供給部は、前記アンモニア水生成部によって生成された前記アンモニア水を前記燃焼室に噴射する、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係るドレン処理装置は、上記の発明において、前記少なくとも一つの回収管には、前記燃料噴射系統の燃料噴射弁から、前記化石燃料と前記アンモニア燃料とが混ざった第1混合ドレンを回収する第1回収管が含まれる、ことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係るドレン処理装置は、上記の発明において、前記少なくとも一つの回収管には、前記燃料噴射系統の燃料噴射弁に前記アンモニア燃料を圧送するアンモニアポンプから、前記アンモニアポンプの潤滑油と前記アンモニア燃料とが混ざった第2混合ドレンを回収する第2回収管が含まれる、ことを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係るドレン処理装置は、上記の発明において、前記少なくとも一つの回収管には、前記燃料噴射系統の燃料噴射弁と前記燃料噴射弁に前記アンモニア燃料を圧送するアンモニアポンプとを連通する連通管から、前記連通管の内部をパージするパージガスと前記アンモニア燃料とが混ざった第3混合ドレンを回収する第3回収管が含まれる、ことを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係るドレン処理装置は、上記の発明において、前記アンモニア含有ドレンは、前記アンモニア成分を含むアンモニア水であり、前記供給部は、前記1以上の機能部に前記アンモニア水を供給する、ことを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係るドレン処理装置は、上記の発明において、前記燃料噴射系統は、前記燃焼室に前記アンモニア燃料と前記化石燃料とを噴射する燃料噴射弁と、前記燃料噴射弁に前記アンモニア燃料を圧送するアンモニアポンプと、前記アンモニアポンプに供給する前記アンモニア燃料を貯留するアンモニア燃料タンクと、前記燃料噴射弁と前記アンモニアポンプとを連通する第1内側管と、前記第1内側管を気密に覆う第1外側管と、前記アンモニアポンプと前記アンモニア燃料タンクとを連通する第2内側管と、前記第2内側管を気密に覆う第2外側管とを有する二重管と、を備え、前記回収部は、前記アンモニアポンプを気密に覆うとともに前記二重管と連通し、前記二重管から前記アンモニア水を回収する、ことを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係るドレン処理装置は、上記の発明において、前記1以上の機能部のうち1つは、前記舶用ディーゼルエンジンから排出された排ガスの一部をスクラバ水で洗浄して前記舶用ディーゼルエンジンに戻すEGR装置の、洗浄に使用された酸性の前記スクラバ水を貯留して中和するコレクティングタンクであり、前記供給部は、前記コレクティングタンクに前記アンモニア水を供給する、ことを特徴とする。
【0020】
また、本発明に係るドレン処理装置は、上記の発明において、前記1以上の機能部のうち1つは、前記燃焼室に噴射された前記アンモニア燃料および前記化石燃料の混焼によるエネルギーを利用して駆動力を発生させる前記舶用ディーゼルエンジンの駆動系統であり、前記供給部は、前記燃焼室に前記アンモニア水を噴射する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、舶用ディーゼルエンジンの燃料噴射系統から回収したアンモニア含有ドレンのアンモニア成分を有効利用することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態1に係るドレン処理装置の一構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態2に係るドレン処理装置の一構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態3に係るドレン処理装置の一構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態4に係るドレン処理装置の一構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、添付図面を参照して、本発明に係るドレン処理装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、各図面において、同一構成部分には同一符号が付されている。
【0024】
(実施形態1)
本発明の実施形態1に係るドレン処理装置について説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係るドレン処理装置の一構成例を示す図である。
図1には、本実施形態1に係るドレン処理装置20に加え、このドレン処理装置20が適用される舶用ディーゼルエンジン1と、この舶用ディーゼルエンジン1に適用される排ガス処理装置10とが図示されている。この排ガス処理装置10としては、例えば、選択式触媒還元(SCR:Selective Catalytic Reduction)の装置であるSCR装置等が挙げられる。以下では、舶用ディーゼルエンジン1および排ガス処理装置10について順次説明し、その後、ドレン処理装置20について説明する。
【0025】
(舶用ディーゼルエンジン)
舶用ディーゼルエンジン1は、プロペラ軸を介して船舶の推進用プロペラを駆動回転させる推進用の機関(主機)である。具体的には、舶用ディーゼルエンジン1は、ユニフロー掃排気式のクロスヘッド型ディーゼルエンジン等に例示される2ストロークディーゼルエンジンであり、特に、アンモニア燃料および化石燃料の混焼を行って駆動するアンモニア混焼エンジンである。なお、化石燃料は、ディーゼル燃料、留出油、残渣油等、原油から精製され得る燃料一般を意味する。例えば
図1に示すように、舶用ディーゼルエンジン1は、駆動系統2と燃料噴射系統3とを備える。
【0026】
駆動系統2は、燃料噴射系統3から噴射されたアンモニア燃料および化石燃料の混焼を行い、これによる燃焼エネルギーを利用して駆動力を発生させるものである。例えば
図1に示すように、駆動系統2は、シリンダ2aと、ピストン2bと、燃焼室2cと備える。シリンダ2aは、ピストン2bを収容する円筒状の構造体である。舶用ディーゼルエンジン1の燃焼室2cは、シリンダ2aとピストン2bとによってシリンダ2aの内部に区画される。ピストン2bは、燃焼室2cに面する状態でシリンダ2aの内部を往復運動し得るように構成される。特に図示しないが、ピストン2bの下部は、ピストン棒およびクロスヘッド等を介してクランクシャフトと連結されている。また、
図1に示すように、駆動系統2は、シリンダ2aの上部に排気弁2dを備える。排気弁2dは、燃焼室2cに通じるシリンダ2aの排気口(排気ポート)を開閉可能に閉止する弁であり、動弁装置(図示せず)によって開閉駆動する。
【0027】
なお、
図1には、1つの駆動系統2が図示されているが、舶用ディーゼルエンジン1は、1つの駆動系統2を備えるものであってもよいし、複数の駆動系統2を備えるものであってもよい。
【0028】
燃料噴射系統3は、舶用ディーゼルエンジン1の燃焼室2cにアンモニア燃料および化石燃料を噴射するための系統である。例えば
図1に示すように、燃料噴射系統3は、燃料噴射弁4と、燃料ポンプ5aと、アンモニアポンプ5bと、連通管6と、二重管7と、アンモニア燃料タンク8と、パージ部9とを備える。
【0029】
燃料噴射弁4は、
図1に示すように、燃焼室2c内に噴射口を向けた態様でシリンダ2aに設けられる。特に図示しないが、燃料噴射弁4は、当該噴射口に通じる燃料経路を内部に有する。連通管6は、燃料噴射弁4の燃料経路と燃料ポンプ5aとを連通する配管である。燃料ポンプ5aは、燃料タンク(図示せず)から配管を通じて化石燃料が供給され、供給された化石燃料を、連通管6を通じて燃料噴射弁4に圧送する。上記圧送された化石燃料は、燃料噴射弁4の燃料経路内に充填される。
【0030】
また、燃料噴射弁4とアンモニアポンプ5bとアンモニア燃料タンク8とは、二重管7を介して連通する。詳細には、
図1に示すように、二重管7は、燃料噴射弁4の燃料経路とアンモニアポンプ5bとを連通する第1内側管7aと、この第1内側管7aを気密に覆う第1外側管7bと、アンモニアポンプ5bとアンモニア燃料タンク8とを連通する第2内側管7cと、この第2内側管7cを気密に覆う第2外側管7dとを備えている。アンモニア燃料タンク8は、アンモニアポンプ5bに供給するアンモニア燃料としての液体アンモニアを貯留するタンクであり、例えば、船舶内であって舶用ディーゼルエンジン1の外部に配置される。アンモニア燃料タンク8は、二重管7の第2内側管7cを通じて、アンモニアポンプ5bにアンモニア燃料を供給する。例えば、第2内側管7cは、
図1に示すように、アンモニア燃料タンク8からアンモニアポンプ5bに向かって下る傾斜をなすように配管される。アンモニア燃料タンク8は、重力を利用して第2内側管7cからアンモニアポンプ5bにアンモニア燃料を供給する。アンモニアポンプ5bは、アンモニア燃料タンク8から供給されたアンモニア燃料を、二重管7の第1内側管7aを通じて燃料噴射弁4に圧送する。上記圧送されたアンモニア燃料は、燃料噴射弁4の燃料経路に充填された化石燃料中に注入される。
【0031】
上記のような二重管7において、第1外側管7bは、アンモニアポンプ5bから第1内側管7aを通じて燃料噴射弁4の燃料経路に圧送されるアンモニア燃料の液体成分および気体成分(以下、これらを纏めてアンモニア成分という)が二重管7の外部に漏出することを防止する。第2外側管7dは、アンモニア燃料タンク8から第2内側管7cを通じてアンモニアポンプ5bに供給されるアンモニア燃料のアンモニア成分が二重管7の外部に漏出することを防止する。
【0032】
ここで、燃料噴射弁4は、その燃料経路内に化石燃料とアンモニア燃料とを充填した状態において、燃料ポンプ5aから再び圧送された化石燃料の圧力により、当該燃料経路内の化石燃料とアンモニア燃料とを燃焼室2cに噴射する。この際、燃料噴射弁4は、例えば、化石燃料とアンモニア燃料とが交互に連続する層状に、これら化石燃料とアンモニア燃料とを噴射する。駆動系統2では、燃焼室2cに噴射された化石燃料とアンモニア燃料とが、シリンダ2aの掃気ポート(図示せず)から燃焼室2cに供給された燃焼用ガス(圧縮ガス)によって混焼する。ピストン2bは、これら化石燃料とアンモニア燃料との混焼によって発生した燃焼エネルギーにより、シリンダ2aの内部を往復運動する。これにより、駆動系統2は、駆動力を発生させる。排気弁2dは、シリンダ2aの排気口を開放して、燃焼室2cからシリンダ2aの外部に排ガスを排出する。排出された排ガスは、シリンダ2aから配管を通じて舶用ディーゼルエンジン1の排気マニホールド(図示せず)に一時貯留される。
【0033】
パージ部9は、舶用ディーゼルエンジン1が停止した場合において、二重管7の第1内側管7aの内部に残留するアンモニア燃料を除去するためのものである。例えば
図1に示すように、パージ部9は、パージガス導入部9aと、出口管9bと、開閉弁9cとを備える。パージガス導入部9aは、
図1に示すように、配管を通じて、第1内側管7aのうちアンモニアポンプ5bとの接続部近傍と連通するように構成される。パージガス導入部9aは、第1内側管7aの内部をパージ処理するためのパージガスを第1内側管7aに導入する。当該パージガスとしては、例えば、窒素ガス等が挙げられる。また、
図1に示すように、出口管9bは、第1内側管7aのうち燃料噴射弁4との接続部近傍と連通するように配管される。開閉弁9cは、この出口管9bの中途部に設けられる。
【0034】
ここで、舶用ディーゼルエンジン1がオペレータの操作に従って停止(通常停止)または危急停止した場合、パージ部9は、開閉弁9cを開状態にするとともに、パージガス導入部9aから第1内側管7aの内部にパージガスを導入する。第1内側管7aの内部に残留するアンモニア燃料は、この導入されたパージガスによって第1内側管7aから出口管9bへ押し出される。このようにして、当該アンモニア燃料は、第1内側管7aの内部から除去され、その後、パージガスとともに出口管9bを通じて燃料噴射系統3から排出される。
【0035】
なお、
図1には図示されていないが、舶用ディーゼルエンジン1は、二重管7の内部空間を換気するための換気系統を備えている。この換気系統は、第1内側管7aおよび第2内側管7cの少なくとも一つから漏洩したアンモニア燃料が気化したアンモニアガスを、換気によって舶外の空間に放出する。なお、この換気系統は、二重管7の内部空間を換気する際、この内部空間から吸引したアンモニアガスに水を噴射することにより、このアンモニアガスをアンモニア水に変化させ、これにより、アンモニアガスが二重管7の外部に漏れないようにしてもよい。また、このアンモニア水は、ドレン処理装置20によって回収されてもよいし、所定のタンクに貯留されてもよい。
【0036】
(排ガス処理装置)
排ガス処理装置10は、舶用ディーゼルエンジン1から排出される排ガス中の窒素酸化物(例えばNOxやN
2O等)を低減する装置であり、例えば
図1に示すように、反応器11と、混合器12と、還元剤供給部13と、排気管19とを備える。
【0037】
反応器11は、触媒層を有する触媒反応器等によって構成され、
図1に示すように、混合器12の後段に配置される。反応器11は、還元剤と混合された排ガスを混合器12から受け入れ、受け入れた排ガス中の窒素酸化物と還元剤との還元反応を触媒作用によって選択的に進行(促進)させる。これにより、反応器11は、当該排ガス中の窒素酸化物を除去(脱硝)して、当該窒素酸化物の排出量を低減する。なお、反応器11によって脱硝処理される窒素酸化物としては、例えば、化石燃料の燃焼によって発生するNOx、アンモニア燃料の燃焼によって発生するN
2O、後述のドレン処理装置20によって舶用ディーゼルエンジン1から回収されたアンモニア含有ドレンに含まれるアンモニア成分の燃焼によるN
2O等が挙げられる。また、反応器11の出側には、
図1に示すように、排気管19が接続されている。排気管19は、船舶の煙突(図示せず)に通じる配管であり、反応器11から送出された排ガス(窒素酸化物が低減された排ガス)を、煙突を介して船舶の外部に排出する。
【0038】
混合器12は、排ガスと還元剤とを混合するものである。詳細には、
図1に示すように、混合器12は、還元剤噴射部12aを内部に有する。また、混合器12には送出管12bと排気管101とが接続され、還元剤噴射部12aには供給管18が接続されている。混合器12は、排気管101を介して舶用ディーゼルエンジン1(例えば排気マニホールド等)と連通し、排気管101を通じて舶用ディーゼルエンジン1からの排ガスを受け入れる。還元剤噴射部12aは、供給管18を介して還元剤供給部13から供給された還元剤を当該排ガスに噴射し、これら還元剤と排ガスとを混合する。混合器12は、このように還元剤と混合した排ガスを、送出管12bを通じて反応器11に送出する。
【0039】
還元剤供給部13は、混合器12に還元剤を供給するものである。詳細には、
図1に示すように、還元剤供給部13は、還元剤タンク14と、還元剤ポンプ15と、供給管16~18とを備える。還元剤タンク14は、供給対象の還元剤を貯留するタンクである。この還元剤としては、例えば、尿素水等が挙げられる。供給管16~18は、
図1に示すように、合流弁34およびドージングユニット35を介して還元剤タンク14と混合器12の還元剤噴射部12aとを連通するように配管される。なお、合流弁34およびドージングユニット35については、後述する。還元剤ポンプ15は、例えば、供給管16の中途部に設けられ、供給管16~18等を介して還元剤タンク14からの還元剤を混合器12に圧送する。この還元剤ポンプ15の作用により、還元剤は、混合器12の内部において還元剤噴射部12aから噴射される。
【0040】
(ドレン処理装置)
ドレン処理装置20は、舶用ディーゼルエンジン1の燃料噴射系統3から排出されるアンモニア含有ドレンのアンモニア成分を1以上の機能部に利用させるための装置である。
図1に示すように、ドレン処理装置20は、アンモニア含有ドレンを回収する回収部21と、回収されたアンモニア含有ドレンのアンモニア成分を1以上の機能部に供給する供給部26とを備える。
【0041】
回収部21は、上述した舶用ディーゼルエンジン1の燃料噴射系統3と連通し、この燃料噴射系統3から排出されるアンモニア含有ドレンを回収するものである。詳細には、
図1に示すように、回収部21は、燃料噴射系統3からの混合ドレンを流通させる少なくとも一つの回収管と、当該少なくとも一つの回収管と連通する回収タンク25とを備える。本実施形態1において、当該少なくとも一つの回収管には、例えば、第1回収管22と、第2回収管23と、第3回収管24とが含まれる。なお、上記混合ドレンは、アンモニア成分以外の気体成分または油成分と上記アンモニア燃料とが混ざったドレンである。アンモニア成分以外の気体成分としては、例えば、上述したパージガス等が挙げられる。当該油成分としては、例えば、上述した化石燃料やアンモニアポンプ5bの潤滑油等が挙げられる。
【0042】
第1回収管22は、上記少なくとも一つの回収管の一例であり、燃料噴射系統3の燃料噴射弁4から排出されるアンモニア含有ドレンを回収するための配管である。詳細には、
図1に示すように、第1回収管22は、一端部が燃料噴射弁4に接続され且つ他端部が回収タンク25に接続され、これら燃料噴射弁4と回収タンク25とを連通する。第1回収管22は、燃料噴射弁4から第1混合ドレン201を回収し、回収した第1混合ドレン201を回収タンク25の内部へ流通させる。第1混合ドレン201は、燃料噴射弁4から排出される化石燃料とアンモニア燃料とが混ざったドレンである。
【0043】
第2回収管23は、上記少なくとも一つの回収管の一例であり、燃料噴射系統3のアンモニアポンプ5bから排出されるアンモニア含有ドレンを回収するための配管である。詳細には、
図1に示すように、第2回収管23は、一端部がアンモニアポンプ5bに接続され且つ他端部が回収タンク25に接続され、これらアンモニアポンプ5bと回収タンク25とを連通する。第2回収管23は、アンモニアポンプ5bから第2混合ドレン202を回収し、回収した第2混合ドレン202を回収タンク25の内部へ流通させる。第2混合ドレン202は、アンモニアポンプ5bから排出される潤滑油とアンモニア燃料とが混ざったドレンである。
【0044】
第3回収管24は、上記少なくとも一つの回収管の一例であり、燃料噴射系統3のパージ部9から排出されるアンモニア含有ドレンを回収するための配管である。詳細には、
図1に示すように、第3回収管24は、一端部がパージ部9の出口管9bに接続され且つ他端部が回収タンク25に接続され、これら出口管9bと回収タンク25とを連通する。この出口管9bは、上述したように、燃料噴射弁4とアンモニアポンプ5bとを連通する連通管である二重管7の第1内側管7aに通じている。すなわち、第3回収管24は、出口管9bを介して第1内側管7aと回収タンク25とを連通する。このような第3回収管24は、出口管9bを介して第1内側管7aから第3混合ドレン203を回収し、回収した第3混合ドレン203を回収タンク25の内部へ流通させる。第3混合ドレン203は、パージ部9によって第1内側管7aから排出されるアンモニア燃料とパージガスとが混ざったドレンである。
【0045】
回収タンク25、燃料噴射系統3から上記少なくとも一つの回収管を通じて混合ドレンを回収し、アンモニア成分以外の気体成分および油成分の少なくとも一つとアンモニア燃料とを含有するアンモニア含有ドレンを貯留する。詳細には、
図1に示すように、回収タンク25は、第1回収管22、第2回収管23および第3回収管24と連通し、これらの回収管から、第1混合ドレン201と第2混合ドレン202と第3混合ドレン203とを各々回収する。回収タンク25は、回収した第1混合ドレン201と第2混合ドレン202と第3混合ドレン203とを、燃料噴射系統3からのアンモニア含有ドレン200として貯留する。本実施形態1において、アンモニア含有ドレン200は、燃料噴射系統3から排出されたアンモニア燃料と化石燃料と潤滑油とパージガスとを含有している。
【0046】
また、回収タンク25は、気液分離器としての機能を有する。すなわち、回収タンク25は、貯留したアンモニア含有ドレン200をアンモニア含有液204とアンモニア含有ガス205とに気液分離する。アンモニア含有液204は、第1混合ドレン201中の化石燃料および第2混合ドレン202中の潤滑油の少なくとも一つである油成分と、回収したアンモニア燃料とを含有する液体成分である。アンモニア含有ガス205は、回収したアンモニア燃料から気化したアンモニアガスと、第3混合ドレン203中のパージガスとを含有する気体成分である。
【0047】
供給部26は、上述した回収部21によって回収されたアンモニア含有ドレン200に含まれるアンモニア成分を、当該アンモニア成分を利用して機能する1以上の機能部に供給するものである。本実施形態1において、当該1以上の機能部のうち1つは、上述した排ガス処理装置10である。すなわち、供給部26は、上記アンモニア含有ドレン200に含まれるアンモニア成分を排ガス処理装置10に供給する。このような供給部26は、
図1に示すように、アンモニア含有ドレン200から分離したアンモニア含有液204に含まれるアンモニア成分を排ガス処理装置10に供給するための酸化反応器27、供給管28およびポンプ29を備える。また、供給部26は、アンモニア含有ドレン200から分離したアンモニア含有ガス205に含まれるアンモニア成分を排ガス処理装置10に供給するためのアンモニア水生成部30、導入管31、供給管32、ポンプ33および合流弁34を備える。さらに、供給部26は、ドージングユニット35と、窒素酸化物センサ36と、制御部37とを備える。
【0048】
酸化反応器27は、アンモニア含有液204から、油成分を除去してアンモニア成分を抽出する抽出部の一例である。詳細には、
図1に示すように、酸化反応器27は、例えば酸化機能を有する触媒等によって構成され、舶用ディーゼルエンジン1と排ガス処理装置10の混合器12とを連通する排気管101の中途部に設けられる。より詳細には、排気管101は、その中途部において第1分岐管101aと第2分岐管101bとに分岐する配管である。第1分岐管101aは、その一端部が舶用ディーゼルエンジン1に接続され且つ他端部が混合器12に接続され、これら舶用ディーゼルエンジン1と混合器12とを連通する。第2分岐管101bは、排気管101の中途部において第1分岐管101aから分岐し、これら分岐管の分岐点よりも排気管101の下流側において第1分岐管101aと合流する。酸化反応器27は、このような排気管101の第2分岐管101bの中途部に設けられ、舶用ディーゼルエンジン1から排気管101に排出された排ガスの一部を、第2分岐管101bを通じて流入出し得るように構成されている。
【0049】
供給管28は、
図1に示すように、一端部が第2分岐管101bのうち酸化反応器27よりも上流側の中途部に接続され且つ他端部が回収タンク25におけるアンモニア含有液204の液面よりも下部に接続され、第2分岐管101bを介して回収タンク25と酸化反応器27とを連通する。ポンプ29は、供給管28の中途部(
図1では回収タンク25の近傍)に設けられる。供給管28は、ポンプ29の作用により、回収タンク25から酸化反応器27にアンモニア含有液204を送給する。
【0050】
ここで、酸化反応器27は、供給管28を通じて送給されたアンモニア含有液204を受け入れるとともに、第2分岐管101bを通じて舶用ディーゼルエンジン1からの排ガスを受け入れる。酸化反応器27は、送給されたアンモニア含有液204を酸化触媒層(図示せず)に接触させ、当該排ガスを熱源としてアンモニア含有液204を酸化反応によって燃焼させる。これにより、酸化反応器27では、アンモニア含有液204中の油成分およびアンモニア燃料のうち、油成分が、燃焼により、窒素酸化物(NOx等)を含む高温の排ガスに変化するとともに、アンモニア燃料の一部を酸化してアンモニア燃料由来の窒素酸化物(N2O等)に変化させる。当該アンモニア燃料由来の窒素酸化物は、上記NOxとともに上記高温の排ガスに含まれる。残りのアンモニア燃料は、未燃のアンモニア成分として抽出される。その後、酸化反応器27は、これら高温な排ガス(NOxおよびN2O等の窒素酸化物が含まれる)および未燃のアンモニア成分を含有する混合ガス206を、第2分岐管101bに送出して第1分岐管101a内の排ガスと合流させる。供給部26は、このように酸化反応器27によって抽出された未燃のアンモニア成分を、混合ガス206および高温な排ガスとともに、第1分岐管101aを通じて混合器12に供給する。当該未燃のアンモニア成分は、混合器12によって排ガスと混合される還元剤の一部として利用され、当該高温な排ガスは、還元剤噴射部12aから噴射された還元剤の気化や加水分解を促進するために利用される。
【0051】
アンモニア水生成部30は、アンモニア含有ガス205からアンモニア水を生成するものである。詳細には、
図1に示すように、アンモニア水生成部30は、回収タンク25からアンモニア水生成部30にアンモニア含有ガス205を導入するための導入管31と接続されている。導入管31は、一端部が回収タンク25におけるアンモニア含有液204の液面よりも上部に接続され且つ他端部がアンモニア水生成部30に接続され、回収タンク25とアンモニア水生成部30とを連通する。例えば、アンモニア水生成部30は、導入管31に通じる浸漬管30aを内部に有する。また、アンモニア水生成部30は、注水部(図示せず)から供給された水を予め貯留している。アンモニア水生成部30は、回収タンク25から導入管31を通じて浸漬管30aに導入されたアンモニア含有ガス205を水中に噴射して、アンモニア含有ガス205に水を加える。これにより、アンモニア水生成部30は、アンモニア含有ガス205をパージガスとアンモニアガスとに分離するとともに、当該アンモニアガスの水溶液であるアンモニア水207を生成する。アンモニア水207は、上記アンモニア含有ドレン200に由来するアンモニア成分を含むものである。アンモニア水生成部30は、アンモニア含有ガス205から分離したパージガスを外部に排出するとともに、生成したアンモニア水207を供給管32に送出する。
【0052】
なお、アンモニア水生成部30は、
図1に示す浸漬管30aを備えたものに限定されず、例えば、浸漬管30aに代えて噴水部を備えるものでもよい。この場合、アンモニア水生成部30は、導入管31を通じて導入されたアンモニア含有ガス205に当該噴水部から水を噴射して加え、これにより、上記のようにアンモニア含有ガス205からパージガスを分離するとともにアンモニア水207を生成する。
【0053】
供給管32は、
図1に示すように、一端部がアンモニア水生成部30におけるアンモニア水207の液面よりも下部に接続され且つ他端部が合流弁34に接続され、合流弁34を介してアンモニア水生成部30と排ガス処理装置10の還元剤供給部13(例えば供給管17)とを連通する。ポンプ33は、供給管32の中途部(
図1ではアンモニア水生成部30の近傍)に設けられる。供給管32は、ポンプ33の作用により、アンモニア水生成部30から還元剤供給部13にアンモニア水207を送給する。
【0054】
合流弁34は、還元剤タンク14からの還元剤とアンモニア水生成部30からのアンモニア水207とを合流させるための弁である。詳細には、合流弁34は、電磁弁等によって構成され、例えば
図1に示すように、排ガス処理装置10側の供給管16、17とドレン処理装置20側の供給管32とに接続される。合流弁34は、還元剤タンク14から供給管16を通じて流通する還元剤と、アンモニア水生成部30から供給管32を通じて流通するアンモニア水207とを所望の合流比率で合流させ、これら還元剤とアンモニア水207との合流体を供給管17に送出する。
【0055】
また、合流弁34は、供給管16側の弁開度と供給管32側の弁開度とを各々調整可能であり、これらの弁開度を調整することにより、還元剤とアンモニア水207との合流比率を調整することができる。例えば、この合流比率は、百分率で、還元剤:アンモニア水207=100:0~0:100の範囲で調整可能である。すなわち、合流弁34から供給管17、18を通じて混合器12に供給される還元剤は、還元剤タンク14からの還元剤と、アンモニア水生成部30からのアンモニア水207と、これら還元剤とアンモニア水207との合流体とのいずれかである。以下、混合器12に供給される還元剤(上記合流体を含む)と還元剤タンク14からの還元剤(アンモニア水207と合流していないもの)とを区別するために、還元剤タンク14からの還元剤を主還元剤と称する場合がある。
【0056】
ドージングユニット35は、還元剤供給部13から混合器12に供給される還元剤の流量を調整するものである。詳細には、
図1に示すように、ドージングユニット35は、排ガス処理装置10の供給管17、18の間に設けられる。ドージングユニット35は、合流弁34によって合流比率が調整された還元剤の流量を調整し、流量調整後の還元剤を、供給管18を通じて混合器12に供給する。
【0057】
窒素酸化物センサは、排ガス処理装置10による処理後の排ガスに含まれる窒素酸化物の含有量(排出量)を検出するものである。詳細には、
図1に示すように、窒素酸化物センサ36は、排ガス処理装置10の排気管19に設けられる。窒素酸化物センサ36は、排気管19の内部を流通する排ガス中の窒素酸化物の含有量を検出し、検出した窒素酸化物の含有量を示す信号を制御部37に送信する。
【0058】
制御部37は、排ガス処理装置10による処理後の排ガスに含まれる窒素酸化物の含有量に応じて、主還元剤とアンモニア水207との合流比率および還元剤の流量を制御する。詳細には、
図1に示すように、制御部37は、例えば排ガス処理装置10に設けられ、合流弁34、ドージングユニット35および窒素酸化物センサ36の各々と信号の送受信可能に接続される。制御部37は、窒素酸化物センサ36から信号を受信し、受信した信号をもとに、窒素酸化物センサ36によって検出された窒素酸化物の含有量を取得する。制御部37は、取得した窒素酸化物の含有量に応じて、合流弁34の弁開度およびドージングユニット35の動作を制御する。これにより、制御部37は、混合器12に供給される還元剤の合流比率および流量を制御する。例えば、制御部37は、窒素酸化物の含有量の増加に応じて、主還元剤のアンモニア水207に対する合流比率と還元剤の流量との少なくとも一つを増加させる。また、制御部37は、窒素酸化物の含有量の減少に応じて、主還元剤のアンモニア水207に対する合流比率と還元剤の流量との少なくとも一つを減少させる。
【0059】
ここで、供給部26は、上述した供給管32および合流弁34を介して、アンモニア水207を還元剤供給部13に供給し、これにより、還元剤供給部13から混合器12に供給される還元剤にアンモニア水207を追加する。この際、アンモニア水207は、還元剤の少なくとも一部として還元剤噴射部12aから混合器12内の排ガスに噴射され、上述した酸化反応器27からの未燃のアンモニア成分とともに当該排ガスと混合される。その後、混合器12から反応器11に送給された排ガス中の窒素酸化物は、上述したように反応器11によって脱硝される。本実施形態1では、このようにして、アンモニア水207中のアンモニア成分が、排ガス中の窒素酸化物の排出量を低減するための還元剤として利用される。
【0060】
以上、説明したように、本発明の実施形態1に係るドレン処理装置20では、舶用ディーゼルエンジン1の燃料噴射系統3から排出されるアンモニア含有ドレン200を回収部21によって回収し、回収されたアンモニア含有ドレン200に含まれるアンモニア成分を、当該アンモニア成分を利用して機能する1以上の機能部に対し、供給部26によって供給している。詳細には、燃料噴射系統3から排出されたアンモニア燃料と化石燃料と潤滑油とパージガスとが混ざったアンモニア含有ドレン200を回収タンク25内に回収して貯留し、貯留したアンモニア含有ドレン200を回収タンク25によってアンモニア含有液204とアンモニア含有ガス205とに気液分離し、アンモニア含有液204から酸化反応器27によって抽出したアンモニア成分と、アンモニア含有ガス205に水を加えて生成したアンモニア水207とを、上記1以上の機能部の1つである排ガス処理装置10に供給している。
【0061】
このため、アンモニア含有ガス205から分離したパージガス(窒素ガス等の無害なガス)を簡易に排出するとともに、アンモニア含有液204中のアンモニア成分とアンモニア含有ガス205中のアンモニア成分とを、焼却処理して船舶からの窒素酸化物の排出量を増加させることなく、排ガス処理装置10で排ガス中の窒素酸化物を脱硝するための還元剤として有効利用することができる。また、アンモニア含有ドレン200を陸揚げまで船舶内で貯蔵する必要が無く、さらには、アンモニア含有液204に含まれる油成分を、酸化反応器27によって窒素酸化物に変化させ、上記アンモニア成分を還元剤として有効利用する排ガス処理装置10によって効率よく処理することができる。したがって、アンモニア含有ドレン200の処理に要するコストを低減することができる。
【0062】
また、本発明の実施形態1に係るドレン処理装置20では、アンモニア含有ドレン200の気体成分(アンモニア含有ガス205)をもとに生成したアンモニア水207を、混合器12で排ガスと混合する還元剤として排ガス処理装置10に追加供給している。このため、排ガス処理装置10において本来使用している還元剤タンク14からの主還元剤の消費量を、上記アンモニア水207の追加供給量分、減らすことができ、これにより、主還元剤を節約することができる。
【0063】
また、本発明の実施形態1に係るドレン処理装置20では、アンモニア含有ドレン200の液体成分(アンモニア含有液204)から抽出したアンモニア成分を、排ガスとともに排ガス処理装置10の混合器12に供給している。このため、混合器12で排ガスと混合する還元剤中のアンモニア濃度を高めることができ、これにより、排ガス処理装置10の反応器11による排ガス中の窒素酸化物の脱硝効果を高めることができる。
【0064】
(実施形態2)
つぎに、本発明の実施形態2に係るドレン処理装置について説明する。
図2は、本発明の実施形態2に係るドレン処理装置の一構成例を示す図である。
図2には、本実施形態2に係るドレン処理装置20Aに加え、このドレン処理装置20Aが適用される舶用ディーゼルエンジン1と、この舶用ディーゼルエンジン1に適用される排ガス再循環(EGR:Exhaust Gas Recirculation)の装置であるEGR装置40とが図示されている。
【0065】
図2に示すように、ドレン処理装置20Aは、上述した実施形態1に係るドレン処理装置20の回収部21に代えて回収部21Aを備え、供給部26に代えて供給部26Aを備える。また、本実施形態2では、舶用ディーゼルエンジン1の排ガス中の窒素酸化物を低減するための装置として、上述した実施形態1における排ガス処理装置10に代えてEGR装置40が設けられている。その他の構成は実施形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。なお、
図2に示す舶用ディーゼルエンジン1では、説明の便宜上、二重管7の内部空間を換気するための換気系統60が図示され、上述したパージ部9の図示は省略されている。以下では、舶用ディーゼルエンジン1の換気系統60およびEGR装置40について順次説明し、その後、ドレン処理装置20Aについて説明する。
【0066】
(舶用ディーゼルエンジンの換気系統)
舶用ディーゼルエンジン1の換気系統60は、
図2に示すように、換気ファン61と、換気管62と、アンモニアセンサ63と、噴水部64と、制御部65とを備える。
【0067】
換気ファン61は、二重管7の内部空間の換気するために当該内部空間の気体を吸引するものである。
図2に示すように、換気ファン61は、換気管62の中途部に設けられている。換気管62は、
図2に示すように、二重管7における第2外側管7dの中途部、例えばアンモニア燃料タンク8の近傍部に配管される。換気管62は、二重管7の内部空間と連通し、換気ファン61によって吸引された気体(空気)を外部へ排出する。なお、二重管7の内部空間は、第1内側管7aの外周面と第1外側管7bの内周面との間の空間と、第2内側管7cの外周面と第2外側管7dの内周面との間の空間とを意味する。また、特に図示されていないが、二重管7には、換気ファン61による気体の吸引に伴い二重管7の内部空間に外気を送り込む換気口が設けられている。この換気口は、例えば逆止弁構造を有し、当該内部空間への外気の送り込みを可能とし、当該内部空間から外部への気体流出を禁止する。
【0068】
アンモニアセンサ63は、
図2に示すように、二重管7の第2外側管7dの中途部に設けられ、二重管7の内部空間に存在するアンモニアガスを検出する。詳細には、アンモニアセンサ63は、換気ファン61によって吸引される内部ガス210にアンモニア成分が含まれる場合、このアンモニア成分を検出する。なお、内部ガス210は、二重管7の内部空間内に存在する気体である。アンモニアセンサ63は、上記アンモニア成分の検出結果(アンモニア成分の有無)を示す信号を制御部65に送信する。
【0069】
噴水部64は、
図2に示すように、噴水ノズル64aを有し、噴水ノズル64aの噴射口を二重管7の内部空間に向けた態様で、換気管62とアンモニアセンサ63との間(すなわちアンモニアセンサ63よりもアンモニア燃料タンク8側の部位)に設けられる。噴水部64は、換気ファン61によって吸引される内部ガス210に対して、噴水ノズル64aから水を噴射する。これにより、噴水部64は、内部ガス210からアンモニア成分を除去するとともに、除去したアンモニア成分と水との混合によるアンモニア水を生成する。アンモニア成分を除去後の内部ガス210は、例えば空気であり、換気ファン61の作用により、二重管7の内部空間から換気管62を通じて外部に排出される。
【0070】
制御部65は、
図2に示すように、アンモニアセンサ63および噴水部64の各々と信号の送受信可能に接続される。制御部65は、アンモニアセンサ63から信号を受信し、受信した信号をもとに、内部ガス210にアンモニア成分が含まれているか否かを判断する。内部ガス210にアンモニア成分が含まれている場合、制御部65は、内部ガス210に向けて水を噴射するように噴水部64を制御する。内部ガス210にアンモニア成分が含まれていない場合、制御部65は、内部ガス210に対する水の噴射を停止するように噴水部64を制御する。
【0071】
(EGR装置)
EGR装置40は、舶用ディーゼルエンジン1から排出された排ガスの一部である再循環ガスをスクラバ水で洗浄して舶用ディーゼルエンジン1に戻し、これにより、排ガス中の窒素酸化物を低減する装置である。例えば
図2に示すように、EGR装置40は、スクラバ41と、デミスタ42と、EGRブロア43とを備える。また、EGR装置40は、コレクティングタンク44と、アルカリ液供給部45aと、清水供給部45bと、pH計46と、制御部47と、給水管48と、ポンプ49とを備える。
【0072】
スクラバ41は、舶用ディーゼルエンジン1から排出された排ガスの一部を、再循環ガスとして使用(再利用)するために洗浄するものである。
図2に示すように、スクラバ41の入口部には、入側循環管103が接続されている。入側循環管103は、舶用ディーゼルエンジン1に通じる排気管102の中途部と接続されている。舶用ディーゼルエンジン1からの排ガスの一部は、排気管102および入側循環管103を通じてスクラバ41に送給される。なお、残りの排ガスは、排気管102を通じて船舶の煙突から外部に排出される。スクラバ41は、洗浄対象の排ガスに対してスクラバ水を噴射するスクラバ水噴射部41aを備えている。スクラバ水噴射部41aは、スクラバ41の内部に向く噴射ノズルを有し、配管を通じてスクラバ水が供給されるように構成されている。スクラバ41は、入側循環管103を通じて送給された排ガス(再循環ガス)に対してスクラバ水噴射部41aからスクラバ水を噴射し、これにより、再循環ガスを洗浄する。
【0073】
デミスタ42は、
図2に示すように、中空矩形状の筐体であり、スクラバ41の出口部と接続されている。また、デミスタ42の下部(底部)には、コレクティングタンク44に通じる流出管42aが接続されている。このようなデミスタ42には、スクラバ41でスクラバ水の噴射によって洗浄された再循環ガスと、この再循環ガスの洗浄に使用されたスクラバ水とが流れ込む。デミスタ42は、洗浄後の再循環ガスと使用後のスクラバ水とを分離する。これらの再循環ガスおよびスクラバ水のうち、再循環ガスはデミスタ42のガス吐出口からEGRブロア43に送出され、スクラバ水はデミスタ42の下部から流出管42aを通じてコレクティングタンク44に回収される。
【0074】
EGRブロア43は、
図2に示すように、デミスタ42の上部に設けられる。また、EGRブロア43の出口部には、舶用ディーゼルエンジン1に通じる出側循環管104が接続されている。EGRブロア43は、デミスタ42から送出された再循環ガスを、出側循環管104を通じて舶用ディーゼルエンジン1に送給する。
【0075】
コレクティングタンク44は、例えば
図2に示すように、デミスタ42よりも下方に配置され、流出管42aを介してデミスタ42と連通している。コレクティングタンク44は、上記のように排ガスの洗浄に使用されたスクラバ水208を、デミスタ42から流出管42aを通じて回収し、回収したスクラバ水208を貯留する。なお、回収したスクラバ水208は、排ガスから洗浄によって除去した硫黄酸化物(SOx)等を含むため、酸性になっている。
【0076】
アルカリ液供給部45aは、
図2に示すように、配管を通じてコレクティングタンク44と連通し、ポンプ等(図示せず)の作用により、スクラバ水208を中和するためのアルカリ液をコレクティングタンク44に供給する。当該アルカリ液としては、例えば、水酸化ナトリウム等が挙げられる。コレクティングタンク44は、上記のように酸性のスクラバ水208を貯留し、アルカリ液供給部45a等から供給されたアルカリ液によってスクラバ水208を中和する。
【0077】
清水供給部45bは、
図2に示すように、配管を通じてコレクティングタンク44と連通し、ポンプ等(図示せず)の作用により、スクラバ水208を希釈または補充するための清水をコレクティングタンク44に供給する。当該清水としては、例えば、船外から積み込まれた清水、船内で造られた清水、舶用ディーゼルエンジン1から排出されるドレン水等が挙げられる。
【0078】
pH計46は、
図2に示すように、コレクティングタンク44に設けられ、スクラバ水208のpHを測定する。pH計46は、測定したスクラバ水208のpH(測定値)を示す信号を制御部47に送信する。
【0079】
制御部47は、pH計46から受信した信号をもとに、スクラバ水208のpHを取得し、取得したpHをもとに、アルカリ液供給部45aからコレクティングタンク44へのアルカリ液の供給量を制御する。また、制御部47は、コレクティングタンク44内におけるスクラバ水208の液面レベルをもとに、清水供給部45bからコレクティングタンク44への清水の供給量を制御する。
【0080】
給水管48およびポンプ49は、中和後のスクラバ水208をスクラバ41へ供給するためのものである。
図2に示すように、給水管48は、スクラバ41のスクラバ水噴射部41aとコレクティングタンク44とを連通するように配管される。ポンプ49は、給水管48の中途部に設けられている。給水管48は、ポンプ49の作用により、中和後のスクラバ水208をスクラバ水噴射部41aに供給する。このスクラバ水208は、スクラバ41による排ガスの洗浄に再利用される。
【0081】
水処理装置50は、
図2に示すように、給水管48の中途部に設けられ、給水管48を通じてスクラバ41に供給されるスクラバ水208から異物(例えば排ガス由来の煤塵)を除去する。水処理装置50は、異物を除去した後のスクラバ水208を給水管48に戻す。
【0082】
(ドレン処理装置)
ドレン処理装置20Aは、
図2に示すように、アンモニア含有ドレン200Aを回収する回収部21Aと、回収されたアンモニア含有ドレンのアンモニア成分を1以上の機能部に供給する供給部26Aとを備える。
【0083】
回収部21Aは、上述した舶用ディーゼルエンジン1の燃料噴射系統3と連通し、この燃料噴射系統3から排出されるアンモニア含有ドレン200Aを回収するものである。詳細には、
図2に示すように、回収部21Aは、中空構造体であり、アンモニアポンプ5bを気密に覆うとともに、二重管7と連通するように構成される。すなわち、回収部21Aは、二重管7の第1外側管7bおよび第2外側管7dと気密に接続され、第1内側管7aの外周面と第1外側管7bの内周面との間の内部空間と、第2内側管7cの外周面と第2外側管7dの内周面との間の内部空間と、を連通する有底空間を有し、この有底空間の内部にアンモニアポンプ5bを気密に覆っている。
【0084】
ここで、二重管7のうち第2外側管7dは、
図2に示すように、第2内側管7cとともにアンモニア燃料タンク8からアンモニアポンプ5bに向かって下る傾斜をなしている。また、上述した換気系統60の噴水部64によって二重管7の内部ガス210から分離されたアンモニア成分は、噴水部64から噴射された水に溶けてアンモニア水となる。このアンモニア水は、第2外側管7dの内周面に沿って流下し、回収部21Aの有底空間内に注がれる。回収部21Aは、このようなアンモニア水を、アンモニア含有ドレン200Aとして二重管7から回収する。回収部21Aは、その有底空間の底部に、上記回収したアンモニア含有ドレン200を貯留する。
【0085】
供給部26Aは、上述した回収部21Aによって回収されたアンモニア含有ドレン200Aに含まれるアンモニア成分を、当該アンモニア成分を利用して機能する1以上の機能部に供給するものである。本実施形態2において、当該1以上の機能部のうち1つは、上述したEGR装置40のコレクティングタンク44である。
図2に示すように、供給部26Aは、回収部21Aからコレクティングタンク44に向かって下る傾斜をなす配管によって構成され、回収部21Aとコレクティングタンク44とを連通する。供給部26Aは、重力を利用して、回収部21Aからコレクティングタンク44へアンモニア含有ドレン200Aを供給する。
【0086】
ここで、アンモニア含有ドレン200Aは、アンモニア燃料に由来するアンモニア成分を含むアンモニア水であるため、酸性のスクラバ水208を中和するアルカリ液として機能する。供給部26Aは、このようなアンモニア含有ドレン200Aを、上述したアルカリ液供給部45aからのアルカリ液とは別に、コレクティングタンク44へ追加供給する。コレクティングタンク44は、アルカリ液供給部45aからのアルカリ液と供給部26Aからのアンモニア含有ドレン200Aとを酸性のスクラバ水208に混ぜ合わせ、これにより、スクラバ水208を中和する。本実施形態2では、このようにして、アンモニア含有ドレン200Aのアンモニア成分が、酸性のスクラバ水208を中和するためのアルカリ成分として利用される。
【0087】
以上、説明したように、本発明の実施形態2に係るドレン処理装置20Aでは、舶用ディーゼルエンジン1の燃料噴射系統3から排出されるアンモニア含有ドレン200Aを回収部21Aによって回収し、回収されたアンモニア含有ドレン200Aに含まれるアンモニア成分を、当該アンモニア成分を利用して機能する1以上の機能部に対し、供給部26Aによって供給している。詳細には、燃料噴射系統3の二重管7の内部空間からアンモニア水であるアンモニア含有ドレン200Aを回収部21Aの有底空間内に回収して貯留し、貯留したアンモニア含有ドレン200Aを、供給部26Aにより、上記1以上の機能部の1つであるEGR装置40のコレクティングタンク44に供給している。
【0088】
このため、アンモニア含有ドレン200Aのアンモニア成分を、焼却処理して船舶からの窒素酸化物の排出量を増加させることなく、コレクティングタンク44内の酸性のスクラバ水208を中和するためのアルカリ成分(アルカリ液)として有効利用することができる。また、アンモニア含有ドレン200Aを陸揚げまで船舶内で貯蔵する必要が無く、したがって、アンモニア含有ドレン200Aの処理に要するコストを低減することができる。
【0089】
また、本発明の実施形態2に係るドレン処理装置20Aでは、本来、コレクティングタンク44にアルカリ液を供給しているアルカリ液供給部45aに加えて、供給部26Aからもアンモニア含有ドレン200A(アンモニア水)を追加供給している。このため、コレクティングタンク44におけるスクラバ水208の中和処理をアンモニア含有ドレン200Aの供給によって支援するとともに、アルカリ液供給部45aからのアルカリ液の消費量を、上記アンモニア含有ドレン200Aの追加供給量分、減らすことができ、これにより、当該アルカリ液を節約することができる。
【0090】
(実施形態3)
つぎに、本発明の実施形態3に係るドレン処理装置について説明する。
図3は、本発明の実施形態3に係るドレン処理装置の一構成例を示す図である。
図3には、本実施形態3に係るドレン処理装置20Bに加え、このドレン処理装置20Bが適用される舶用ディーゼルエンジン1と、この舶用ディーゼルエンジン1に適用される排ガス処理装置10とが図示されている。
図3に示すように、ドレン処理装置20Bは、上述した実施形態1に係るドレン処理装置20の供給部26に代えて供給部26Bを備える。また、本実施形態3において、排ガス処理装置10は、上述した実施形態1における供給管16、17に代えて供給管16Aを備え、ドージングユニット35に代えてドージングユニット35Aを備え、制御部37に代えて制御部37Aを備える。その他の構成は実施形態1と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0091】
(ドレン処理装置)
ドレン処理装置20Bは、アンモニア含有ドレン200の液体成分(アンモニア含有液204)に含まれるアンモニア成分を上述の実施形態1と同様に排ガス処理装置10に供給するとともに、アンモニア含有ドレン200の気体成分(アンモニア含有ガス205)に含まれるアンモニア成分を、舶用ディーゼルエンジン1の燃焼室2cに供給している。すなわち、本実施形態3において、アンモニア成分を利用して機能する1以上の機能部は、舶用ディーゼルエンジン1の駆動系統2および排ガス処理装置10の2つである。
【0092】
このようなドレン処理装置20Bの供給部26Bは、
図3に示すように、アンモニア含有液204に含まれるアンモニア成分を排ガス処理装置10に供給するための酸化反応器27、供給管28およびポンプ29を備える。これら酸化反応器27、供給管28およびポンプ29は、上述した実施形態1と同様である。また、供給部26Bは、
図3に示すように、アンモニア含有ガス205に含まれるアンモニア成分を舶用ディーゼルエンジン1の駆動系統2に供給するためのアンモニア水生成部30、導入管31、供給管32A-1、32A-2、ポンプ33、アンモニアポンプ33Aおよびアンモニア噴射弁70を備える。これらのうち、アンモニア水生成部30、導入管31およびポンプ33は、上述した実施形態1と同様である。
【0093】
供給管32A-1は、
図3に示すように、一端部がアンモニア水生成部30におけるアンモニア水207の液面よりも下部に接続され且つ他端部がアンモニア噴射弁70に接続された配管である。この供給管32A-1の中途部には、
図3に示すように、アンモニアポンプ33Aが設けられている。アンモニアポンプ33Aは、舶用ディーゼルエンジン1の燃料噴射系統3のアンモニアポンプ5bと同様に、流体の圧送機能を有する。供給管32A-1は、このアンモニアポンプ33Aを介してアンモニア水生成部30とアンモニア噴射弁70とを連通する。なお、この供給管32A-1の中途部のうち、アンモニアポンプ33Aよりもアンモニア水生成部30側には、実施形態1と同様にポンプ33が設けられている。供給管32A-1は、ポンプ33の作用により、アンモニア水生成部30からアンモニアポンプ33Aにアンモニア水207を供給する。アンモニアポンプ33Aは、この供給されたアンモニア水207の圧力を増やして、供給管32A-1の出口側(アンモニア噴射弁70側)に送出する。供給管32A-1は、このアンモニアポンプ33Aの作用により、アンモニア水207をアンモニア噴射弁70に圧送する。
【0094】
アンモニア噴射弁70は、
図3に示すように、舶用ディーゼルエンジン1の燃焼室2c内に噴射口を向けた態様で駆動系統2のシリンダ2aに設けられる。特に図示しないが、アンモニア噴射弁70は、当該噴射口に通じる内部経路を有する。供給部26Bは、アンモニア水生成部30から供給管32A-1等を通じてアンモニア噴射弁70に圧送されたアンモニア水207を、このアンモニア噴射弁70から燃焼室2cに噴射する。
【0095】
また、上述した供給管32A-1には、舶用ディーゼルエンジン1の燃料噴射系統3を介して燃焼室2cにアンモニア水207を供給するための供給管32A-2が設けられている。供給管32A-2は、
図3に示すように、一端部が供給管32A-1の中途部(例えばポンプ33とアンモニアポンプ33Aとの間の部位)に接続され且つ他端部が燃料噴射系統3のアンモニアポンプ5bに接続された配管である。なお、供給管32A-2は、このアンモニアポンプ5bに通じる二重管7の第2内側管7cに接続され、この第2内側管7cを介してアンモニアポンプ5bと連通していてもよい。供給管32A-2は、ポンプ33の作用により、アンモニア水生成部30からアンモニアポンプ5bにアンモニア水207を供給し、このアンモニアポンプ5bの作用により、アンモニア水207を燃料噴射弁4に圧送する。すなわち、供給部26Bは、アンモニア水生成部30から供給管32A-2等を通じてアンモニアポンプ5bに供給したアンモニア水207を、アンモニアポンプ5bの圧送機能を利用して燃料噴射弁4から燃焼室2cに噴射する。
【0096】
ここで、上記のようにアンモニア噴射弁70から燃焼室2cに噴射されたアンモニア水207は、燃料噴射弁4から燃焼室2cに噴射されたアンモニア水207、アンモニア燃料および化石燃料とともに、燃焼室2c内で燃焼(混焼)される。駆動系統2は、これによって発生した燃焼エネルギーを利用して駆動力を発生させる。本実施形態3では、このようにして、アンモニア水207中のアンモニア成分が、駆動系統2を駆動させるためのアンモニア燃料の一部として利用される。
【0097】
なお、本実施形態3の排ガス処理装置10の還元剤供給部13において、供給管16Aは、
図3に示すように、還元剤タンク14とドージングユニット35Aとを連通するように配管される。ドージングユニット35Aは、還元剤タンク14から混合器12に供給される還元剤の流量を調整する。制御部37Aは、ドージングユニット35Aを制御する。制御部37Aによるドージングユニット35Aの制御は、上述した実施形態1と同様である。
【0098】
以上、説明したように、本発明の実施形態3に係るドレン処理装置20Bでは、回収したアンモニア含有ドレン200の気体成分(アンモニア含有ガス205)をもとに生成したアンモニア水207を、アンモニア成分を利用して機能する1以上の機能部の1つである舶用ディーゼルエンジン1の駆動系統2の燃焼室2cに噴射し、その他を実施形態1と同様にしている。このため、上述した実施形態1と同様の作用効果を享受するとともに、燃料噴射弁4から燃焼室2cへのアンモニア燃料の噴射量を、燃焼室2cへのアンモニア水207の噴射量分、減らすことができ、これにより、当該アンモニア燃料の消費量を低減することができる。
【0099】
(実施形態4)
つぎに、本発明の実施形態4に係るドレン処理装置について説明する。
図4は、本発明の実施形態4に係るドレン処理装置の一構成例を示す図である。
図4には、本実施形態4に係るドレン処理装置20Cに加え、このドレン処理装置20Cが適用される舶用ディーゼルエンジン1と、この舶用ディーゼルエンジン1に適用されるEGR装置40とが図示されている。
図4に示すように、ドレン処理装置20Cは、上述した実施形態2に係るドレン処理装置20Aの供給部26Aに代えて供給部26Cを備える。その他の構成は実施形態2と同じであり、同一構成部分には同一符号を付している。
【0100】
(ドレン処理装置)
ドレン処理装置20Cは、燃料噴射系統3の二重管7から回収部21Aによって回収したアンモニア含有ドレン200A(アンモニア水)を、EGR装置40のコレクティングタンク44に供給する代わりに、上述の実施形態3と同様に舶用ディーゼルエンジン1の燃焼室2cに供給(噴射)している。すなわち、本実施形態4において、アンモニア成分を利用して機能する1以上の機能部の1つは、舶用ディーゼルエンジン1の駆動系統2である。
【0101】
このようなドレン処理装置20Cの供給部26Cは、
図4に示すように、供給管32B-1、32B-2と、ポンプ33と、アンモニアポンプ33Aと、アンモニア噴射弁70とを備える。これらのうち、ポンプ33、アンモニアポンプ33Aおよびアンモニア噴射弁70は、上述した実施形態3と同様である。
【0102】
供給管32B-1は、
図4に示すように、一端部が回収部21Aの底部に接続され且つ他端部がアンモニア噴射弁70に接続された配管である。この供給管32B-1の中途部には、
図4に示すように、アンモニアポンプ33Aが設けられ、アンモニアポンプ33Aを介して回収部21Aとアンモニア噴射弁70とを連通する。また、この供給管32B-1の中途部のうち、アンモニアポンプ33Aよりも回収部21A側には、
図4に示すように、ポンプ33が設けられている。供給管32B-1は、ポンプ33の作用により、回収部21Aからアンモニアポンプ33Aにアンモニア含有ドレン200A(すなわちアンモニア水)を供給し、アンモニアポンプ33Aによる増圧後のアンモニア含有ドレン200Aを、アンモニア噴射弁70に圧送する。供給部26Cは、回収部21Aから供給管32B-1等を通じてアンモニア噴射弁70に圧送されたアンモニア含有ドレン200Aを、このアンモニア噴射弁70から燃焼室2cに噴射する。
【0103】
また、上述した供給管32B-1には、舶用ディーゼルエンジン1の燃料噴射系統3を介して燃焼室2cにアンモニア含有ドレン200Aを供給するための供給管32B-2が設けられている。供給管32B-2は、
図4に示すように、一端部が供給管32B-1の中途部(例えばポンプ33とアンモニアポンプ33Aとの間の部位)に接続され且つ他端部が燃料噴射系統3のアンモニアポンプ5bに接続された配管である。なお、供給管32B-2は、このアンモニアポンプ5bに通じる二重管7の第2内側管7cに接続され、この第2内側管7cを介してアンモニアポンプ5bと連通していてもよい。供給管32B-2は、ポンプ33の作用により、回収部21Aからアンモニアポンプ5bにアンモニア含有ドレン200Aを供給し、このアンモニアポンプ5bの作用により、アンモニア含有ドレン200Aを燃料噴射弁4に圧送する。すなわち、供給部26Cは、回収部21Aから供給管32B-2等を通じてアンモニアポンプ5bに供給したアンモニア含有ドレン200Aを、アンモニアポンプ5bの圧送機能を利用して燃料噴射弁4から燃焼室2cに噴射する。
【0104】
上記のように燃焼室2cに噴射されたアンモニア含有ドレン200Aは、上述した実施形態3におけるアンモニア水207と同様に、駆動系統2を駆動させるためのアンモニア燃料の一部として利用される。
【0105】
以上、説明したように、本発明の実施形態4に係るドレン処理装置20Cでは、回収したアンモニア含有ドレン200A(アンモニア水)を、実施形態3と同様に、アンモニア成分を利用して機能する1以上の機能部の1つである舶用ディーゼルエンジン1の駆動系統2の燃焼室2cに噴射している。このため、EGR装置40が適用された舶用ディーゼルエンジン1においても、化石燃料、アンモニア燃料およびアンモニア含有ドレン200Aを燃焼室2cに噴射することができ、これにより、燃料噴射弁4から燃焼室2cへのアンモニア燃料の噴射量を、燃焼室2cへのアンモニア含有ドレン200Aの噴射量分、減らすことができる。この結果、当該アンモニア燃料の消費量を低減することができる。
【0106】
なお、上述した実施形態1、3では、アンモニア含有ガス205を加水によってパージガスとアンモニア水207とに分離する分離部と、アンモニア水207を貯留する貯留部とを一体化したアンモニア水生成部30を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、アンモニア水生成部30は、上記の分離部と貯留部とが別体で構成されているものであってもよい。
【0107】
また、上述した実施形態1、3では、アンモニア含有液204からアンモニア成分を抽出する抽出部の一例として酸化反応器27を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、当該抽出部は、フィルタ等によってアンモニア含有液204から油成分を除去することにより、アンモニア含有液204のアンモニア成分を抽出するものであってもよい。
【0108】
また、上述した実施形態1、3では、燃料噴射系統3から回収タンク25へ混合ドレンを流通させる少なくとも一つの回収管として、第1回収管22、第2回収管23および第3回収管24を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、上記少なくとも一つの回収管は、第1回収管22、第2回収管23または第3回収管24のいずれか一つであってもよいし、第1回収管22、第2回収管23および第3回収管24の中から選択される二つ以上であってもよい。
【0109】
また、上述した実施形態1、3では、船舶の主機である舶用ディーゼルエンジン1から排出された排ガス中の窒素酸化物を脱硝する排ガス処理装置10を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、排ガス処理装置10は、船舶の発電機等の補機から排出された排ガス中の窒素酸化物を脱硝するものであってもよい。この場合、ドレン処理装置20、20Bは、実施形態2、4に例示されるEGR装置40が適用された舶用ディーゼルエンジン1の燃料噴射系統3からアンモニア含有ドレンを回収し、回収したアンモニア含有ドレンのアンモニア成分を、排ガス処理装置10、EGR装置40および舶用ディーゼルエンジン1の駆動系統2の中から選択される2つ以上に供給してもよい。
【0110】
また、上述した実施形態2では、重力を利用して回収部21Aからコレクティングタンク44へアンモニア含有ドレン200Aを供給する供給部26Aを例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、供給部26Aは、回収部21Aとコレクティングタンク44とを連通する供給管と、この供給管を通じて回収部21Aからコレクティングタンク44へアンモニア含有ドレン200Aを圧送するポンプと、を備えるものであってもよい。
【0111】
また、上述した実施形態2、4では、舶用ディーゼルエンジン1の燃料噴射系統3の二重管7から回収したアンモニア含有ドレン200Aを、EGR装置40のコレクティングタンク44または舶用ディーゼルエンジン1の燃焼室2cのいずれか一方に供給していたが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、ドレン処理装置20A、20Cは、EGR装置40のコレクティングタンク44および舶用ディーゼルエンジン1の燃焼室2cの双方にアンモニア含有ドレン200Aを供給してもよい。
【0112】
上述した実施形態1~4では、アンモニア成分を利用して機能する1以上の機能部として、排ガス処理装置10、EGR装置40のコレクティングタンク44および舶用ディーゼルエンジン1の駆動系統2を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、上記1以上の機能部は、排ガス処理装置10であってもよいし、EGR装置40のコレクティングタンク44であってもよいし、舶用ディーゼルエンジン1の駆動系統2であってもよいし、これら以外の船内装置(発電機等の補機)であってもよいし、これらの中から選択される2つ以上であってもよい。
【0113】
また、上述した実施形態1~4により本発明が限定されるものではなく、上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。その他、上述した実施形態1~4に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0114】
1 舶用ディーゼルエンジン
2 駆動系統
2a シリンダ
2b ピストン
2c 燃焼室
2d 排気弁
3 燃料噴射系統
4 燃料噴射弁
5a 燃料ポンプ
5b アンモニアポンプ
6 連通管
7 二重管
7a 第1内側管
7b 第1外側管
7c 第2内側管
7d 第2外側管
8 アンモニア燃料タンク
9 パージ部
9a パージガス導入部
9b 出口管
9c 開閉弁
10 排ガス処理装置
11 反応器
12 混合器
12a 還元剤噴射部
12b 送出管
13 還元剤供給部
14 還元剤タンク
15 還元剤ポンプ
16、16A、17、18 供給管
19 排気管
20、20A、20B、20C ドレン処理装置
21、21A 回収部
22 第1回収管
23 第2回収管
24 第3回収管
25 回収タンク
26、26A、26B、26C 供給部
27 酸化反応器
28 供給管
29 ポンプ
30 アンモニア水生成部
30a 浸漬管
31 導入管
32、32A-1、32A-2、32B-1、32B-2 供給管
33 ポンプ
33A アンモニアポンプ
34 合流弁
35、35A ドージングユニット
36 窒素酸化物センサ
37、37A 制御部
40 EGR装置
41 スクラバ
41a スクラバ水噴射部
42 デミスタ
42a 流出管
43 EGRブロア
44 コレクティングタンク
45a アルカリ液供給部
45b 清水供給部
46 pH計
47 制御部
48 給水管
49 ポンプ
50 水処理装置
60 換気系統
61 換気ファン
62 換気管
63 アンモニアセンサ
64 噴水部
64a 噴水ノズル
65 制御部
70 アンモニア噴射弁
101、102 排気管
101a 第1分岐管
101b 第2分岐管
103 入側循環管
104 出側循環管
200、200A アンモニア含有ドレン
201 第1混合ドレン
202 第2混合ドレン
203 第3混合ドレン
204 アンモニア含有液
205 アンモニア含有ガス
206 混合ガス
207 アンモニア水
208 スクラバ水
210 内部ガス