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  • 特開-給湯システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120091
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】給湯システム
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/212 20220101AFI20230822BHJP
【FI】
F24H1/18 302M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023299
(22)【出願日】2022-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】加賀 則光
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA04
3L122AA12
3L122AA23
3L122AA33
3L122AA34
3L122AB22
3L122BA44
3L122BB03
3L122DA01
3L122DA33
3L122EA05
3L122FA02
(57)【要約】
【課題】出湯端末での出湯中に沸上動作が行われる場合、加熱熱源の断続作動が抑制され、出湯端末での出湯温度が安定する給湯システムを提供する。
【解決手段】本給湯システムは、加熱量を変更可能であって湯水を加熱する加熱熱源と、貯湯タンクと、加熱熱源と貯湯タンクとの間で湯水を循環させる加熱循環回路と、出湯端末に貯湯タンクからの湯水を供給する給湯往き流路と、加熱循環回路に設けられ、湯水を所定の熱源流量で加熱熱源に供給させるポンプと、貯湯タンク内の湯水を加熱熱源で加熱する沸上動作の制御を行う制御装置とを備える。前記制御装置は、出湯端末での出湯中に沸上動作が行われる場合には、沸上動作の終了条件を、加熱熱源を最小熱量で作動させても加熱熱源における出湯温度が出湯設定温度を超えることがある一定の関係を満足する場合とするように制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱量を変更可能であって、湯水を加熱する加熱熱源と、
加熱熱源で加熱された湯水を貯湯する貯湯タンクと、
加熱熱源と貯湯タンクとの間で湯水を循環させる加熱循環回路と、
出湯端末に貯湯タンクからの湯水を供給する給湯往き流路と、
加熱循環回路に設けられ、湯水を所定の熱源流量で加熱熱源に供給させるポンプと、
ポンプを作動させて貯湯タンク内の湯水を加熱熱源で加熱する沸上動作の制御を行う制御装置と、を備え、
前記制御装置は、出湯端末での出湯中に沸上動作が行われる場合には、沸上動作の終了条件を、加熱熱源を最小熱量で作動させても加熱熱源における出湯温度が出湯設定温度を超えることがある一定の関係を満足する場合とするように制御する構成とする、給湯システム。
【請求項2】
請求項1に記載の給湯システムにおいて、
加熱熱源における最小熱量、出湯設定温度および給水温度に基づいて決定され、加熱熱源が湯水の加熱を開始する流量を熱源開始水量としたとき、
前記一定の関係は、熱源流量が熱源開始水量以下となる関係である、給湯システム。
【請求項3】
請求項1に記載の給湯システムにおいて、
加熱熱源における最小熱量、出湯設定温度および給水温度に基づいて決定され、加熱熱源が湯水の加熱を停止する流量を熱源停止水量としたとき、
前記一定の関係は、熱源流量が熱源停止水量以下となる関係である、給湯システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の給湯システムにおいて、
前記沸上動作の終了条件は、さらに前記一定の関係を満足する状態が所定時間継続する場合とする、給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯タンク、加熱熱源等を備えてシャワーやカラン等の出湯端末に湯水を供給する給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給湯システムにおいて、複数のシャワーやカラン等の給湯栓(出湯端末)で同時に給湯利用されても十分な給湯量の湯水を供給可能とするため、加熱熱源と、加熱熱源で加熱された湯水を貯湯する貯湯タンクと、加熱熱源と貯湯タンクとの間で湯水を循環させる加熱循環回路と、出湯端末に貯湯タンクからの湯水を供給する給湯往き管と、貯湯タンクの湯水を加熱熱源に供給させるポンプと、貯湯タンク下部からの湯水の温度を検知するサーミスタとを備えた給湯システムが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-303808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の給湯システムでは、加熱熱源により貯湯タンク内の湯水を加熱する沸上動作を行う場合、貯湯タンク下部の湯水温度をサーミスタにより検知して、貯湯タンク下部の湯水温度が開始温度(特許文献1では45℃)に低下するとポンプを作動させて沸上動作を開始して貯湯タンク内の湯水を加熱し、貯湯タンク下部の湯水温度が終了温度(特許文献1では49℃)に上昇するとポンプを停止させて沸上動作を終了させていた。
【0005】
ところで、シャワー等の出湯端末で湯水が使用されると、貯湯タンク内に水を流入させて貯湯タンク内の湯水を出湯端末に供給させるため、貯湯タンクの湯水温度が低下しやすくなる。前記従来の給湯システムのように、貯湯タンク下部の湯水温度に基づいて沸上動作の制御を行うものでは、出湯端末での出湯中に沸上動作が行われる場合には、貯湯タンク内の湯水の温度変化が大きくなる。特に、出湯端末での使用流量よりも、沸上動作によって加熱熱源から貯湯タンクに流入する流量のほうが多い場合には、沸上動作の開始と終了を繰り返して沸上動作が断続的に行われやすくなるため、貯湯タンクから出湯端末に供給される湯水の温度の上昇と低下が繰り返され、出湯端末からの出湯温度が安定しなくなるという問題が生じる。
【0006】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、出湯端末での出湯中に沸上動作が行われる場合においては、加熱熱源の断続作動が抑制され、出湯端末での出湯温度が安定するようにさせることを可能とする、給湯システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る給湯システムは、
加熱量を変更可能であって、湯水を加熱する加熱熱源と、
加熱熱源で加熱された湯水を貯湯する貯湯タンクと、
加熱熱源と貯湯タンクとの間で湯水を循環させる加熱循環回路と、
出湯端末に貯湯タンクからの湯水を供給する給湯往き流路と、
加熱循環回路に設けられ、湯水を所定の熱源流量で加熱熱源に供給させるポンプと、
ポンプを作動させて貯湯タンク内の湯水を加熱熱源で加熱する沸上動作の制御を行う制御装置と、を備え、
前記制御装置は、出湯端末での出湯中に沸上動作が行われる場合には、沸上動作の終了条件を、加熱熱源を最小熱量で作動させても加熱熱源における出湯温度が出湯設定温度を超えることがある一定の関係を満足する場合とするように制御する構成とする。
【0008】
前記構成によれば、出湯端末で出湯中に加熱熱源による沸上動作が行われる場合には、加熱熱源で加熱した湯水の出湯温度が出湯設定温度を超えることがあるような場合以外は、沸上動作が継続される。すなわち、従来のような貯湯タンク下部の湯水の温度が高くなると沸上動作を終了させる場合と比べて、貯湯タンク下部の湯水の温度が高い状態でも沸上動作が終了しにくくなる。前記沸上動作の終了条件を前記一定の関係を満足する場合とすることで、加熱熱源の加熱量を最小熱量にして極力沸上動作を継続させることができる。従って、出湯端末での出湯中は、加熱熱源による沸上動作の終了と開始を繰り返して沸上動作が断続的に行われるような加熱熱源の断続作動を抑制できるため、出湯端末での出湯温度が安定するようになる。
【0009】
前記給湯システムにおいて、
加熱熱源における最小熱量、出湯設定温度および給水温度に基づいて決定され、加熱熱源が湯水の加熱を開始する流量を熱源開始水量としたとき、
前記一定の関係は、熱源流量が熱源開始水量以下となる関係とすることができる。
ここで、前記熱源開始水量は、例えば、加熱熱源がガス熱源機の場合、熱源点火水量(最小熱量でガスバーナを点火させるのに必要となる最低水量)となる。
【0010】
この構成によれば、沸上動作の終了条件を熱源流量が熱源開始水量以下となる関係を満足する場合とするため、加熱熱源の加熱量を最小熱量にして作動させても加熱後の湯水の出湯温度が出湯設定温度を超える付近となる場合以外は、加熱熱源による沸上動作が継続される。従って、貯湯タンク下部の湯水の温度が高い状態でも、加熱熱源の加熱量を最小熱量にして沸上動作を継続させることができる。よって、出湯端末での出湯中は、加熱熱源の断続作動を可能な限り抑制できるため、出湯端末での出湯温度の安定性を確保することができる。
【0011】
前記給湯システムにおいて、
加熱熱源における最小熱量、出湯設定温度および給水温度に基づいて決定され、加熱熱源が湯水の加熱を停止する流量を熱源停止水量としたとき、
前記一定の関係は、熱源流量が熱源停止水量以下となる関係とすることができる。
ここで、前記熱源停止水量は、例えば、加熱熱源がガス熱源機の場合、熱源消火水量(最小熱量でもバーナ燃焼を維持できず消火させるときの最低水量)となる。
【0012】
この構成によれば、沸上動作の終了条件を熱源流量が熱源停止水量以下となる関係を満足する場合とするため、加熱熱源の加熱量を最小熱量にして作動させても加熱後の湯水の出湯温度が出湯設定温度を超える、もしくは出湯設定温度を超える付近となるような場合以外は、加熱熱源による沸上動作が継続される。従って、貯湯タンク下部の湯水の温度が高い状態でも、加熱熱源の加熱量を最小熱量にして沸上動作を継続させることができる。よって、出湯端末での出湯中は、加熱熱源の断続作動を更に抑制できるため、出湯端末での出湯温度の安定性をより確保することができる。
【0013】
前記給湯システムにおいて、
前記沸上動作の終了条件は、さらに前記一定の関係を満足する状態が所定時間継続する場合とすることができる。
【0014】
これにより、前記一定の関係を満足する状態が所定時間継続する場合以外は、加熱熱源による沸上動作が継続されるため、加熱熱源での湯水の出湯温度が出湯設定温度を超えてしまうような場合が確定したといえるまで、沸上動作を継続させることができる。従って、出湯端末での出湯中は、加熱熱源の断続作動を更に抑制できるため、出湯端末での出湯温度の安定性をより確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係る給湯システムの一例を示す概略構成図である。
図2】出湯端末での出湯中における加熱熱源による沸上動作の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係る給湯システムを説明する。
図1に示した実施形態の給湯システムAは、例えば、理美容院などの商業施設に利用することができる給湯システムであり、給湯加圧タンクユニット1と熱源機ユニット500と制御装置Cとを備え、給湯加圧タンクユニット1から給湯栓となる複数のシャワーやカランなどの出湯端末400に多量の水や湯水を供給可能とするように構成されている。熱源機ユニット500は、加熱熱源である第1ガス熱源機501と第2ガス熱源機502とを有する。給湯加圧タンクユニット1は、一次給水を受水する給水タンク2と、第1及び第2ガス熱源機501,502で加熱された湯水を貯湯する貯湯タンク6とを備える。なお、本給湯システムAは、加熱熱源として1台または3台以上のガス熱源機を有してもよいし、ガス熱源機の代わりにヒートポンプや電気ヒータなどを用いてもよい。
【0017】
第1及び第2ガス熱源機501,502は、ガス給湯器であり、筐体内に熱交換器91及びガスバーナ92を有する。第1及び第2ガス熱源機501,502と貯湯タンク6とは、貯湯タンク6からの湯水や給水タンク2からの水を第1及び第2ガス熱源機501,502に送る加熱往き管40と、第1及び第2ガス熱源機501,502で加熱された湯水を貯湯タンク6に戻す加熱戻り管44とからなる加熱循環回路により接続されている。
【0018】
第1及び第2ガス熱源機501,502は、加熱往き管40(41,42)と熱交換器91との間に接続される入水配管に熱交換器91に入水される湯水の入水量(熱源流量)を検出する水量センサ(水量検出手段)93が設けられている。第1及び第2ガス熱源機501,502は、加熱戻り管44(45,46)と熱交換器91との間に接続される出湯配管に熱交換器91で加熱されて出湯される湯の出湯温度を検出する出湯温度センサ(出湯温度検出手段)94が設けられている。また、第1及び第2ガス熱源機501,502は、ガスバーナ92の加熱量(燃焼量)を最小から最大まで変更できるように構成されている。
【0019】
加熱往き管40は、一端が貯湯タンク6の下部に接続され、他端が第1ガス熱源機501と第2ガス熱源機502とに接続されるように中途で第1加熱往き管41と第2加熱往き管42とに分岐されている。加熱戻り管44は、一端が各ガス熱源機501,502に接続された第1加熱戻り管45と第2加熱戻り管46とが中途で合流し、他端が貯湯タンク6の上部に接続されている。また、加熱往き管40における第1及び第2加熱往き管41,42の分岐部より上流側で、給水管3との合流部より下流側には、加熱往き温度センサ50が介設されている。
【0020】
第1及び第2加熱往き管41,42にはそれぞれ、第1加熱循環ポンプ51及び第2加熱循環ポンプ52が介設され、第1及び第2加熱循環ポンプ51,52の下流側には、逆止弁53,54が介設されている。従って、第1及び第2加熱循環ポンプ51,52を作動させるとともに、第1及び第2ガス熱源機501,502を作動させることにより、第1及び第2ガス熱源機501,502で加熱された湯水が貯湯タンク6に貯湯される。第1及び第2加熱循環ポンプ51,52は給湯タンクユニット1に備える給湯制御装置C0に接続されており、給湯制御装置C0からの制御信号によりその作動及び停止や回転数が制御される。
【0021】
また、第1及び第2ガス熱源機501,502のそれぞれは、ガスバーナ92の燃焼制御等の熱源機動作を制御する熱源機制御装置C1,C2を備えている。熱源機制御装置C1,C2は、給湯制御装置C0と通信するように接続されており、給湯制御装置C0からの制御信号によっても第1及び第2ガス熱源機501,502の作動及び停止が制御される。加熱往き温度センサ50で検出される検出温度の検出信号は給湯制御装置C0に出力され、ガス熱源機501,502内に配設された水量センサ93、出湯温度センサ94等の各種センサで検出される検出値の検出信号は熱源機制御装置C1,C2に出力される。給湯制御装置C0は、熱源機制御装置C1,C2を介して、第1及び第2ガス熱源機501,502における各種センサの検出値を認識することができる。熱源機制御装置C1,C2は、出湯設定温度、給水温度、水量センサ93で検出する入水量(熱源流量)、出湯温度センサ94で検出する出湯温度に基づいてガスバーナ92の加熱量を最小熱量から最大熱量の間で制御する。なお、出湯設定温度は、貯湯タンク6に供給する湯の温度として、給湯制御装置C0からの制御信号により熱源機制御装置C1,C2に設定される。給水温度は、熱源機制御装置C1,C2において出湯温度、入水量、ガスバーナ92の加熱量から算出される給水温認識値であるが、加熱往き管40(41,42)と熱交換器91との間に接続される入水配管に入水温度センサ(入水温度検出手段)を設け、この入水温度センサの検出値としてもよく、加熱往き温度センサ50で検出される検出温度を給水温度としてもよい。
【0022】
貯湯タンク6の下部に接続された加熱往き管40には、給水管3との合流部より上流側に、貯湯タンク6から加熱往き管40に供給される湯水の温度を検出するタンク下温度センサ55と、バルブ56とが介設されている。タンク下温度センサ55で検出される検出温度の検出信号は、給湯制御装置C0に出力される。バルブ56は、手動で開閉可能なものだが、給湯制御装置C0からの制御信号により開閉制御される構成としてもよい。
【0023】
貯湯タンク6は、耐食性に優れた金属(例えば、ステンレス)製のタンクであり、図示しないが、外周が断熱材によって覆われている。本実施の形態の貯湯タンク6の容量は、例えば、50リッターである。貯湯タンク6の下部には、加熱往き管40と、出湯端末400からの湯水を戻す給湯戻り管72とが接続されており、貯湯タンク6の上部には、加熱戻り管44と、出湯端末400に繋がる給湯往き管71とが接続されている。貯湯タンク6の表面には、内部の湯水の温度を検出するため、サーミスタ等からなる第1貯湯温度センサ61、第2貯湯温度センサ62、及び第3貯湯温度センサ63が、上方から順に、所定の間隔をあけて取り付けられている。第1貯湯温度センサ61は、主に貯湯タンク6内の上層の湯水の温度を検出し、第2貯湯温度センサ62は、主に貯湯タンク6内の中間層の湯水の温度を検出し、第3貯湯温度センサ63は、主に貯湯タンク6内の下層の湯水の温度を検出する。また、給湯加圧タンクユニット1は、筐体の底部に、外気温を検出する外気温温度センサ80、給湯加圧タンクユニット1内の漏水を検出する漏水センサ81を有する。これらのセンサ61,62,63,80,81で検出される検出温度等の検出信号は、給湯制御装置C0に出力される。
【0024】
貯湯タンク6の上部に接続された加熱戻り管44には、貯湯タンク6内の空気を排気するための自動エア抜き弁57と、貯湯タンク6に流入する湯水の温度を検出する加熱戻り温度センサ58とが介設されている。加熱戻り温度センサ58で検出される検出温度の検出信号は、給湯制御装置C0に出力される。
【0025】
給水タンク2は、貯湯タンク6の上方に配設され、ガス熱源機501,502、貯湯タンク6、出湯端末400などに給水するための水を貯水している。本実施の形態の給水タンク2の容量は、例えば、70リッターである。給水タンク2の上部には、市水が流れてくる一次給水管10が接続され、給水タンク2の下部には、給水管3が接続されている。一次給水管10は、2本の第1一次給水管11と第2一次給水管12とに分岐して給水タンク2に接続されており、第1及び第2一次給水管11,12にはそれぞれ、上流側から順に、第1ガバナ13及び第2ガバナ14と第1給水電磁弁15及び第2給水電磁弁16とが介設されている。第1及び第2給水電磁弁15,16は給湯制御装置C0と接続されており、給湯制御装置C0からの制御信号により開閉制御される。このように、複数の一次給水管11,12を給水タンク2に接続することにより、圧力損失を低減して、短時間で給水タンク2に水を給水することができる。図示しないが、給水タンク2は、一部、大気開放されている。
【0026】
給水タンク2は、第1及び第2一次給水管11,12の接続口より下方で給水管3の接続口より上方の一側壁に開口を有する。この側壁の開口には、オーバーフロー管200が接続されている。給水タンク2の他の一側壁には、給水タンク2内の水位を検出するオーバーフローフロートセンサ22、Hiフロートセンサ23、Lowフロートセンサ24、及び低水位フロートセンサ25が、上方から順に、所定の間隔で配設されている。給水タンク2内には、一端がオーバーフロー管200に連通し、他端がオーバーフローフロートセンサ22と略同一の高さで、上方に開放する略U字状のトラップ管201が配設されている。このため、余分な水は、トラップ管201及びオーバーフロー管200を通って外部に排出される。トラップ管201には、水が溜まって下流側からの臭気や雑菌等が侵入しないように封水する。各フロートセンサ22,23,24,25で検出される水位の検出信号は、給湯制御装置C0に出力される。
【0027】
給水タンク2の下部に一端が接続された給水管3は、水が並列に流れるように、上流側で第1給水管31と第2給水管32とに分岐している。第1給水管31と第2給水管32との分岐部より上流側には、給水加圧ポンプ37が介設されている。給水加圧ポンプ37は給湯制御装置C0に接続されており、給湯制御装置C0からの制御信号によりその作動及び停止や回転数が制御される。
【0028】
第1給水管31には、上流側から順に、逆止弁33と、水圧を検出する圧力センサ35とが介設されており、第2給水管32には、上流側から順に、逆止弁34と、水の流量を検出する水量センサ36とが介設されている。並列の水路を設けることなく、圧力センサと水量センサとを単一の水路に介設することもできるが、水が並列に流れるように水路を形成して、各水路に圧力センサと水量センサとを介設することにより、圧力損失を低減することができる。なお、各水路で水の流量は異なるが、圧力損失が分かっていれば、水量センサ36で検出される水の流量から給水管3全体の水の流量を算出することができる。圧力センサ35で検出される検出圧力の検出信号や水量センサ36で検出される検出流量の検出信号は、給湯制御装置C0に出力される。
【0029】
第1給水管31と第2給水管32とは、圧力センサ35及び水量センサ36より下流側の合流部で合流しており、給水管3の他端は、貯湯タンク6の下部に接続された加熱往き管40との合流部に繋がっている。また、給水管3は、第1及び第2給水管31,32の合流部より下流側で、出湯端末400に接続される給水往き管38に分岐している。従って、本実施の形態では、給水加圧ポンプ37を作動させることにより、貯湯タンク6、ガス熱源機501,502や出湯端末400に水が供給され、第1及び第2給水管31,32や給水往き管38を含む給水管3が給水回路を構成する。給水往き管38は、出湯端末400のシャワーやカランの数などに応じて複数に分岐している。給水往き管38の分岐部より下流側の給水管3には、逆止弁39が介設されている。
【0030】
貯湯タンク6の下部に一端が接続された給湯戻り管72は、他端が出湯端末400で給湯往き管71と接続されている。給湯戻り管72には、即湯循環ポンプ73が介設され、即湯循環ポンプ73の下流側には、即湯戻り温度センサ74と、逆止弁75とが介設されている。従って、本実施の形態では、即湯循環ポンプ73を作動させることによって、貯湯タンク6と出湯端末400との間で湯水が循環され、貯湯タンク6と出湯端末400との間を接続する給湯往き管71及び給湯戻り管72が即湯循環回路を構成する。
【0031】
本実施形態の給湯システムAにおける主たる運転制御について概要すると、出湯端末400の湯栓が開栓されて、給水加圧ポンプ37の作動が開始されると、給水タンク2から給水管3及び加熱往き管40を介して貯湯タンク6に水が供給され、貯湯タンク6内の湯水が給湯往き管71を介して出湯端末400に供給されて出湯端末400での出湯が行われる。また、貯湯タンク6内への水の供給により湯水の温度が低下して、第3貯湯温度センサ63で検出される湯水の温度が貯湯運転開始温度以下になると、第1及び第2加熱循環ポンプ51,52の作動が開始される。第1及び第2加熱循環ポンプ51,52の作動により、貯湯タンク6の下部から加熱往き管40に湯水が供給され、給水タンク2からの水と貯湯タンク6からの湯水とが混合され、第1及び第2ガス熱源機501,502に供給されることで、第1及び第2ガス熱源機501,502による沸上動作が行われる。第1及び第2ガス熱源機501,502による沸上動作で所定の出湯温度に加熱された湯水は加熱戻り管44を介して貯湯タンク6に戻され、また、貯湯タンク6から給湯往き管71に湯水が送出されて給湯往き管71を介して出湯端末400に湯水が供給されて出湯端末400での出湯が行われる(出湯制御)。この出湯制御において、第1及び第2加熱循環ポンプ51,52の回転数は、一定回転数に制御され、第1及び第2加熱往き管41,42からは一定の流量の湯水が第1及び第2ガス熱源機501,502に供給される。なお、本発明では、第1及び第2加熱循環ポンプ51,52の回転数制御を行って、第1及び第2加熱往き管41,42から第1及び第2ガス熱源機501,502に供給される湯水の流量(熱源流量)を可変とすることができる。例えば、ポンプ始動時の負荷を低減させるため、加熱循環ポンプを低回転数で回転開始させ、定格の回転数まで徐々に回転数を上げるようにしたり、ガス熱源機501,502のガスバーナ92の加熱量変更を緩和させるため、加熱循環ポンプ51,52の回転数制御を行ってガス熱源機501,502への熱源流量を可変させる等してもよい。
なお、出湯端末400での出湯中に前記沸上動作が行われる場合の動作については、後に詳しく説明する。
【0032】
また、全ての出湯端末400が閉栓された状態で、第3貯湯温度センサ63で検出される湯水の温度が貯湯運転開始温度以下になると、第1及び第2加熱循環ポンプ51,52の作動が開始されて、貯湯タンク6内の湯水が加熱往き管40を介して第1及び第2ガス熱源機501,502に供給され、第1及び第2ガス熱源機501,502による沸上動作により所定の出湯温度に加熱された湯水が加熱戻り管44を介して貯湯タンク6に戻されることにより、貯湯タンク6内の湯水の温度が維持される(貯湯制御)。
【0033】
また、全ての出湯端末400が閉栓された状態で、所定の即湯運転開始時間が経過して給湯往き管71及び給湯戻り管72内に滞留する湯水の温度が低下した場合、即湯循環ポンプ73の作動が開始されることにより、貯湯タンク6内の湯水が貯湯タンク6と出湯端末400との間の給湯往き管71及び給湯戻り管72に送出される(即湯制御)。
【0034】
なお、第1及び第2加熱循環ポンプ51,52は、出湯端末400での湯水の使用量等に応じて、同時にまたは個別に作動され、それに応じて第1及び第2ガス熱源機501,502も、同時にまたは個別に作動される。
【0035】
給湯システムAは、給湯加圧タンクユニット1に設けられた給湯制御装置C0と、第1及び第2ガス熱源機501,502に設けられた熱源機制御装置C1,C2と、給湯システムの運転に関する操作をユーザが行うためのリモコンRとを備える。給湯制御装置C0と熱源機制御装置C1,C2とは、相互に通信可能に有線または無線により接続されており、給湯制御装置C0とリモコンRとは、相互に通信可能に有線または無線により接続されている。
【0036】
リモコンRは、ユーザによる図示しない操作スイッチの操作に応じて、給湯システムAの電源のオンオフ、貯湯タンク6内の湯水の貯湯設定温度(出湯制御や貯湯制御において第1及び第2ガス熱源機501,502から出湯される湯水の出湯設定温度)、水圧モードの設定などの運転操作情報を給湯制御装置C0に指示するように構成された端末装置である。リモコンRには、給湯システムAの各種情報を表示する表示器が備えられている。なお、リモコンRの代わりに、またはリモコンRとともに、給湯制御装置C0と通信可能に接続されたスマートホンやタブレット端末などの携帯端末を用いることができる。
【0037】
給湯制御装置C0及び熱源機制御装置C1,C2はそれぞれ、CPU、ROM、RAM、インターフェース回路等を含む1つ以上の電子回路ユニットにより構成される。メモリには、各種運転プログラムや運転プログラムを実行するための設定値などの各種データが格納されている。
【0038】
給湯制御装置C0には、既述した各種センサ(温度センサ50,55,58,61,62,63,74,80,81、圧力センサ35、水量センサ36、フロートセンサ22~25など)の検出信号が入力されるとともに、リモコンRから運転操作情報が入力される。また、熱源機制御装置C1,C2には、第1及び第2ガス熱源機501,502に設けられた各種センサ(水量センサ93、出湯温度センサ94など)からの検出信号が入力され、制御信号を給湯制御装置C0に出力する。そして、給湯制御装置C0は、ガス熱源機501,502、各種ポンプ37,51,52,73、給水電磁弁15,16などの作動制御を行うことで、給湯システム全体の運転制御を行う。従って、本実施の形態では、給湯制御装置C0及び熱源機制御装置C1,C2が、給湯システムAの制御装置Cを構成する。なお、熱源機制御装置C1,C2を設けることなく、1つの制御装置で給湯システム全体の運転制御を行ってもよいし、給湯制御装置C0が給湯システムAの制御装置Cを構成してもよい。
【0039】
次に、本発明の特徴的な構成を説明する。
ここで、従来の給湯システム(特許文献1)のように、貯湯タンク下部の湯水温度に基づいて加熱熱源による沸上動作の開始と終了とを制御するものでは、出湯端末での出湯中に沸上動作が行われた場合には、貯湯タンク内の湯水の温度変化が大きくなる。特に、出湯端末での使用流量よりも、沸上動作によって加熱熱源から貯湯タンクに流入する流量の方が多い場合には、沸上動作の開始と終了を繰り返して沸上動作が断続的に行われやすくなるため、貯湯タンクから出湯端末に供給される湯水の温度の上昇と低下が繰り返され、出湯端末からの出湯温度が安定しなくなる。また、加熱熱源の作動開始直後は、加熱熱源からの出湯温度が比較的安定しにくいため、貯湯タンクに供給される湯水の温度も安定しにくくなるから、沸上動作が断続的に行われると、出湯端末からの出湯温度が安定しなくなる。従って、出湯端末での出湯中に加熱熱源による沸上動作が行われる場合に、加熱熱源の断続作動が頻発して沸上動作が断続的に行われると、出湯端末からの出湯温度が安定しなくなってしまう。
本実施形態の給湯システムAでは、出湯端末400での出湯中に沸上動作が行われる場合には、加熱熱源(501,502)の断続作動を極力抑制させるように構成したものである。
すなわち、本実施形態の給湯システムAでは、制御装置Cは、出湯端末400での出湯中に第1及び第2ガス熱源機501,502による沸上動作が行われる場合には、沸上動作の終了条件を、第1及び第2ガス熱源機500,501を最小熱量で作動させても第1及び第2ガス熱源機500,501における出湯温度が出湯設定温度を超える一定の関係を満足する場合とするように制御することを特徴としている。
【0040】
前記一定の関係は、第1及び第2ガス熱源機500,501における最小熱量、出湯設定温度、給水温度および熱源流量qに基づいて決定され、熱源流量qが熱源点火水量Qs(熱源開始水量)以下となる関係である。ここで、熱源流量qは、沸上動作終了の判定時に作動しているガス熱源機(501,502)に流れる湯水の入水量であり、ガス熱源機(501,502)に搭載する水量センサ93によって検出される検出流量である。熱源点火水量Qsは、ガス熱源機(501,502)の最小熱量でガスバーナ92を点火させるのに必要となる最低水量(すなわち、ガス熱源機(501,502)が湯水の加熱を開始する水量)であり、次式により定められる。
熱源点火水量=最小熱量×n÷(出湯設定温度-給水温度) ・・・(式)
なお、前記式中、nは1.0超1.5以下のうち任意の数値であり、本実施形態では、1.1とする。
ここで、最小熱量は、ガス熱源機(501,502)の加熱能力における最小の加熱量(熱効率を含む加熱量が好ましい。)である。出湯設定温度は、ガス熱源機(501,502)から流出する湯の出湯温度が貯湯タンク6に供給される湯の貯湯設定温度となるようにガス熱源機(501,502)に設定された設定温度である。給水温度は、ガス熱源機(501,502)に流入される湯水の温度である。なお、この給水温度は、ガス熱源機(501,502)における熱源流量、加熱量(熱効率を含む加熱量が好ましい。)、出湯温度(出湯設定温度でもよい。)に基づいて、計算式:「出湯温度-(加熱量÷熱源流量)」から算出される給水温認識値であるが、ガス熱源機(501,502)の入水配管に給水温度検知手段を設け、この給水温度検知手段で検出する検出温度としてもよく、加熱往き温度センサ50で検出される検出温度としてもよい。
【0041】
以下に、出湯端末400での出湯中における貯湯タンク6内の湯水の沸上動作を説明する。
図2のフローチャートを参照して、リモコンRの電源がON状態で(ステップS0)、出湯端末400での出湯が行われているか否かを確認するため、制御装置Cは、出湯端末400での使用水量が所定水量AQ(例えば、0.1L/min)を超えているか否か判断する(ステップS1)。なお、出湯端末400での使用水量は、第2給水管32に設けた水量センサ36によって検出される検出流量である。出湯端末400での使用水量が所定水量AQを超えていない場合(ステップS1で「NO」)、出湯端末400での出湯が行われていないと確認でき、制御装置Cは、処理を貯湯制御運転に移行させる(ステップS10)。なお、貯湯制御運転では、例えば、第3貯湯温度センサ63の検出温度T3とタンク下温度センサ55の検出温度がそれぞれ所定の貯湯運転開始温度以下を所定時間継続する場合、加熱循環ポンプ(51,52)を1台または2台作動させて貯湯タンク6内の湯水をガス熱源機(501,502)で加熱して貯湯タンク6内の上部に戻す動作を行い、その後、タンク下温度センサ55の検出温度が所定の貯湯運転終了温度以上を所定時間継続するようになると加熱循環ポンプ(51,52)を作動停止して、貯湯制御運転を終了する。
【0042】
一方、出湯端末400での使用水量が所定水量AQを超えていた場合(ステップS1で「YES」)、出湯端末400で出湯中であると確認でき、制御装置Cは、第1及び第2加熱循環ポンプ51,52の2台とも停止中であると認識している場合(ステップS1-1で「YES」)、貯湯タンク6内の下層の湯水温度を示す第3貯湯温度センサ63の検出温度T3が所定温度A(例えば、55℃)未満の状態を所定時間t1(例えば、1秒)継続しているか否か判断する(ステップS2)。第3貯湯温度センサ63の検出温度T3が所定温度A未満の状態を所定時間t1継続している場合(ステップS2で「YES」)、貯湯タンク6内の下層の湯水温度が低下していると確認でき、制御装置Cは、1台の加熱循環ポンプ(第1加熱循環ポンプ51)を作動させる(ステップS3)。これにより、1台のガス熱源機(第1ガス熱源機501)による沸上動作が行われる。この場合、第1加熱往き管41および第1加熱戻り管45を介して、第1ガス熱源機501によって貯湯タンク6内の湯水が加熱されて貯湯タンク6内の上部に供給される。
【0043】
ステップS2で、第3貯湯温度センサ63の検出温度T3が所定温度A以上であるか、または所定温度A未満の状態を所定時間t1継続していない場合(ステップS2で「NO」)、貯湯タンク6内の下層の湯水温度は低下していないと確認でき、制御装置Cは、処理をステップS1へ戻して、出湯端末400での出湯の有無を監視する。なお、ステップS1-1で、制御装置Cは、第1及び第2加熱循環ポンプ51,52が2台とも停止中でないと認識している場合(ステップS1-1で「NO」)、処理をステップS3-1へ進める。
【0044】
ステップS3にて1台の第1ガス熱源機501による沸上動作が行われると、未作動の加熱循環ポンプ(50,51)が有る場合(ステップS3-1で「YES」)、次のステップS4で、さらに2台のガス熱源機501,502で沸上動作を行うか否かを判断する。すなわち、制御装置Cは、貯湯タンク6内の中間層の湯水温度を示す第2貯湯温度センサ62の検出温度T2が所定温度B(例えば、53℃)未満の状態を所定時間t2(例えば、5秒)継続しているか否か判断する(ステップS4)。第2貯湯温度センサ62の検出温度T2が所定温度B未満の状態を所定時間t2継続している場合(ステップS4で「YES」)、貯湯タンク6内の中間層以下まで湯水温度が低下していると確認でき、制御装置Cは、停止中の加熱循環ポンプ(第2加熱循環ポンプ52)を作動させる。これにより、第2ガス熱源機502が作動し、2台のガス熱源機501,502による沸上動作が行われる。この場合、第1及び第2加熱往き管41,42と第1及びび第2加熱戻り管45,46を介して、第1及び第2ガス熱源機501,502によって貯湯タンク6内の湯水が加熱されて貯湯タンク6内の上部に供給される。
【0045】
ステップS4で、第2貯湯温度センサ62の検出温度T2が所定温度B以上であるか、または所定温度B未満の状態を所定時間t2継続していない場合(ステップS4で「NO」)、貯湯タンク6内の湯水温度の低下は下層だけで中間層までは低下していないと確認でき、制御装置Cは、処理をステップS8へ進め、1台のガス熱源機(501)での沸上動作を継続させる。なお、ステップS3-1で、制御装置Cは、未作動の加熱循環ポンプが無いと認識している場合(ステップS3-1で「NO」)、処理をステップS6へ進める。
【0046】
ステップS5にて2台のガス熱源機501,502による沸上動作が行われた後、次のステップS6で、貯湯タンク6内の湯水温度の上昇に伴って、1台のガス熱源機による沸上動作に移行させるか否かを判断する。すなわち、制御装置Cは、貯湯タンク6内の下層の湯水温度を示す第3貯湯温度センサ63の検出温度T3が所定温度C(例えば、55℃)以上の状態を所定時間t3(例えば、5秒)継続しているか否か判断する(ステップS6)。第3貯湯温度センサ63の検出温度T3が所定温度C以上を所定時間t3継続するようになった場合(ステップS6で「YES」)、貯湯タンク6内の下層の湯水まで温度上昇が進んだと確認でき、制御装置Cは、最初に作動させた第1加熱循環ポンプ51を作動停止させて、第2加熱循環ポンプ52の1台だけ作動させるようにする(ステップS7)。これにより、第1ガス熱源機501による加熱が停止し、1台の第2ガス熱源機502だけで沸上動作が行われるようになる。この場合、第2加熱往き管42および第2加熱戻り管46を介して、第2ガス熱源機502によって貯湯タンク6内の湯水が加熱されて貯湯タンク6内の上部に供給される。
【0047】
ステップS6で、第3貯湯温度センサ63の検出温度T3が所定温度C未満であるか、または所定温度C以上の状態を所定時間t3継続していない場合(ステップS6で「NO」)、まだ貯湯タンク6内の下層の湯水まで温度上昇が進んでいないと確認でき、制御装置Cは、処理をステップS1へ戻して、出湯端末400での出湯の有無を監視する。なお、第1及び第2ガス熱源機501,502では、出湯温度センサ94で検出する出湯温度が出湯設定温度となるように熱源機制御装置C1,C2によってガスバーナ92の加熱量を変更するように制御しており、沸上動作の終盤ではガスバーナ92の加熱量を最小熱量に設定して湯水の加熱を行う。
【0048】
以上の処理動作で、1台のガス熱源機で沸上動作が行われた後、沸上動作の終了判定を行う。
沸上動作の終了判定は、所定の終了条件を満足するか否かによって判断する。すなわち、制御装置Cは、終了条件として、熱源流量qが熱源点火水量Qs以下の状態を所定時間t4(例えば、3秒)継続しているか否かを判断する(ステップS8)。熱源流量qが熱源点火水量Qs以下の状態を満足していないか、または熱源流量qが熱源点火水量Qs以下の状態を所定時間t4継続していない場合(ステップS8で「NO」)は処理をステップS1へ戻し、一方、熱源流量qが熱源点火水量Qs以下の状態を所定時間t4継続している場合(ステップS8で「YES」)は加熱循環ポンプ52を停止させる(ステップS9)。ステップS9により、第2ガス熱源機502の加熱が停止し、これにより、すべてのガス熱源機501,502が加熱停止して、出湯端末400での出湯中における沸上動作が終了する。
【0049】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、本実施形態では、制御装置Cは、出湯端末400での出湯中に沸上動作が行われる場合には、沸上動作の終了条件を、ガス熱源機(501,502)を最小熱量で作動させてもガス熱源機(501,502)における出湯温度が出湯設定温度を超えることがある一定の関係を満足する場合とするように制御する。すなわち、沸上動作の終了条件は、前記一定の関係として熱源流量qが熱源点火水量Qs以下の関係が所定時間t4継続することとする(ステップS8)。これにより、出湯端末400で出湯中にガス熱源機(501,502)による沸上動作が行われる場合には、ガス熱源機(501,502)で加熱した湯水の出湯温度が出湯設定温度を超える付近となる場合以外は、沸上動作が継続される。従って、従来のような貯湯タンク下部の湯水の温度が高くなると沸上動作を終了させる場合と比べて、貯湯タンク6下部の湯水の温度が高い状態でも沸上動作が終了しにくくなる。
【0050】
前記一定の関係における熱源点火水量Qsは、ガス熱源機(501,502)を最小熱量でガスバーナ92を点火させるのに必要となる最低水量であり、次式により定められる。
熱源点火水量Qs=最小熱量×1.1÷(出湯設定温度-給水温度) ・・・(式)
このように、前記一定の関係は、ガス熱源機(501,502)における最小熱量、出湯設定温度、給水温度および熱源流量qに基づいて決定されるため、ガス熱源機(501,502)の加熱量を最小にして極力沸上動作を継続させることができる。これにより、ガス熱源機(501,502)の加熱量を最小熱量にして作動させても加熱後の湯水の出湯温度が出湯設定温度を超える付近(より詳しくは、出湯設定温度未満であって出湯設定温度付近)となる場合以外は、ガス熱源機(501,502)による沸上動作が継続される。従って、貯湯タンク6下部の湯水の温度が高い状態でも、ガス熱源機(501,502)の加熱量を最小熱量にして沸上動作を継続させることができる。
【0051】
また、前記沸上動作の終了条件は、前記一定の関係を満足する状態が所定時間t4継続する場合とする。これにより、前記一定の関係を満足する状態が所定時間t4継続する場合以外は、ガス熱源機(501,502)による沸上動作が継続されるため、ガス熱源機(501,502)での湯水の出湯温度が出湯設定温度を超える付近となった場合が確定したといえるまで、沸上動作を継続させることができる。
【0052】
以上より、本実施形態の給湯システムAによれば、出湯端末400での出湯中は、ガス熱源機(501,502)による沸上動作の終了と開始を繰り返して沸上動作が断続的に行われるようなガス熱源機(501,502)の断続作動を抑制できるため、出湯端末400での出湯温度が安定するようになる。なお、本実施形態では、沸上動作の際、ガス熱源機(501,502)の作動台数が1台から2台(図2のステップS5)、2台から1台(図2のステップS7)のように、2台のガス熱源機(501,502)の間で断続的に作動するが、1台のガス熱源機(501又は502)が常に作動しているため、ガス熱源機からの出湯温度の変化はほとんど無く、出湯端末400での出湯温度に影響を与えることはない。
【0053】
(他の実施形態)
他の実施形態では、前記ステップS8の処理において、熱源点火水量Qsに代えて、熱源消火水量Qe(熱源停止水量)とする。ここで、熱源消火水量Qeは、ガス熱源機(501,502)がガスバーナ92の燃焼を最小熱量に低下させてもバーナ燃焼による加熱を維持できず消火させるときの最低水量(すなわち、ガス熱源機(501,502)が湯水の加熱を停止する水量)をいう。熱源消火水量Qeは、次式により定められる。
熱源消火水量Qe=最小熱量÷(出湯設定温度-給水温度) ・・・(式)
この場合でも、前記一定の関係は、ガス熱源機(501,502)における最小熱量、出湯設定温度、給水温度および熱源流量qに基づいて決定されるため、ガス熱源機(501,502)の加熱量を最小にして極力沸上動作を継続させることができる。
【0054】
この他の実施形態では、ガス熱源機(501,502)の加熱量を最小熱量にして作動させても加熱後の湯水の出湯温度が出湯設定温度を超える、もしくは出湯設定温度を超える付近(より詳しくは、出湯設定温度未満であって出湯設定温度付近)となるような場合以外は、ガス熱源機(501,502)による沸上動作が継続される。すなわち、ガス熱源機(501,502)が最小熱量となるまで作動させて沸上動作を継続させる。従って、貯湯タンク6下部の湯水の温度が高い状態でも、ガス熱源機(501,502)の加熱量を最小熱量にして沸上動作を継続させることができる。よって、出湯端末400での出湯中は、ガス熱源機(501,502)の断続作動を更に抑制できるため、出湯端末400での出湯温度の安定性をより確保することができる。なお、他の実施形態では、沸上動作の終了条件において、熱源消火水量Qeを用いてガス熱源機(501,502)が最小熱量となるまで作動させるため、所定時間t4の継続を終了条件から外して、熱源流量qが熱源消火水量Qe以下の状態となった場合を沸上動作の終了条件としてもよい。
【0055】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で様々な変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0056】
1 給湯加圧タンクユニット
2 給水タンク
3 給水往き管
6 貯湯タンク
40 加熱往き管
41 第1加熱往き管
42 第2加熱往き管
44 加熱戻り管
45 第1加熱戻り管
46 第2加熱戻り管
51 第1加熱循環ポンプ
52 第2加熱循環ポンプ
55 タンク下温度センサ
61 第1貯湯温度センサ
62 第2貯湯温度センサ
63 第3貯湯温度センサ
71 給湯往き管
72 給湯戻り管
91 熱交換器
92 ガスバーナ
93 水量センサ(水量検出手段)
94 出湯温度センサ(出湯温度検出手段)
400 出湯端末
500 熱源機ユニット
501 第1ガス熱源機(加熱熱源)
502 第2ガス熱源機(加熱熱源)
A 給湯システム
C 制御装置
C0 給湯制御装置
C1 熱源機制御装置
C2 熱源機制御装置
R リモコン
図1
図2