(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120096
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】ロボット連携システム、ロボット連携方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 51/21 20220101AFI20230822BHJP
【FI】
H04L51/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023309
(22)【出願日】2022-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】000155469
【氏名又は名称】株式会社野村総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 寿夫
(72)【発明者】
【氏名】本柳 浩史
(72)【発明者】
【氏名】奥野 哲也
(72)【発明者】
【氏名】池田 達哉
(72)【発明者】
【氏名】豊島 一道
(57)【要約】
【課題】RPAロボットにより業務効率の一層の向上を図る。
【解決手段】執務ロボット10及び本番ロボット20の操作情報を記憶する記憶手段120,220と、操作情報に基づいて執務ロボット10に執務RPA端末11を操作させる第1制御手段130と、操作情報に基づいて本番ロボット20に本番RPA端末21を操作させる第2制御手段230と、を備え、第1制御手段130は、執務ロボット10に執務RPA端末11を操作させて、連携メッセージを送信させる送信制御手段131を備え、第2制御手段230は、本番ロボット20に本番RPA端末21を操作させて、連携メッセージを受信させる受信制御手段232と、本番ロボット20に本番RPA端末21を操作させて、受信した連携メッセージに基づいて所定の処理(例えば、スクリプトSの本番サーバ70でのリリース)を実行させる操作制御手段233と、を備えてある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の装置を操作させることが可能なソフトウェアロボットを複数備えたロボット連携システムにおいて、
前記ソフトウェアロボットの操作情報を記憶する記憶手段と、
前記操作情報に基づいて第1ソフトウェアロボットに第1装置を操作させる第1制御手段と、
前記操作情報に基づいて第2ソフトウェアロボットに第2装置を操作させる第2制御手段と、を備え、
前記第1制御手段は、
前記第1ソフトウェアロボットに前記第1装置を操作させて、所定のメッセージを送信させる送信制御手段を備え、
前記第2制御手段は、
前記第2ソフトウェアロボットに前記第2装置を操作させて、前記メッセージを受信させる受信制御手段と、
前記第2ソフトウェアロボットに前記第2装置を操作させて、前記メッセージに基づいて所定の処理を実行させる操作制御手段と、を備えた
ことを特徴とするロボット連携システム。
【請求項2】
前記第1装置に対応する第3装置と、前記第2装置に対応する第4装置とがオフライン状態に設けられ、
前記第1制御手段は、
前記第1ソフトウェアロボットに前記第1装置を操作させて、前記第3装置で実行可能な処理を実行させることが可能であり、
前記第2制御手段は、
前記第2ソフトウェアロボットに前記第2装置を操作させて、前記第4装置で実行可能な処理を実行させることが可能である
ことを特徴とする請求項1に記載のロボット連携システム。
【請求項3】
前記送信制御手段により送信されるメッセージを暗号化する暗号化手段と、
前記受信制御手段により受信した、前記暗号化されたメッセージを復号する復号手段と、を備え、
前記操作制御手段は、
前記第2ソフトウェアロボットに前記第2装置を操作させて、前記復号手段により復号されたメッセージに基づいて前記第2装置に所定の処理を実行させる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のロボット連携システム。
【請求項4】
前記送信制御手段は、
電子メールにより前記メッセージを送信させることが可能であり、
前記受信制御手段は、
電子メールにより前記メッセージを受信させることが可能である
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のロボット連携システム。
【請求項5】
前記ソフトウェアロボットの操作が表示手段に表示される操作画像に基づいて行われた場合、前記操作の開始から終了に至る操作画像を記憶する操作画像記憶手段を備えた
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のロボット連携システム。
【請求項6】
所定の装置を操作させることが可能なソフトウェアロボットを複数用いたロボット連携方法において、
前記ソフトウェアロボットの操作情報を記憶するステップと、
前記操作情報に基づいて第1ソフトウェアロボットに第1装置を操作させて所定のメッセージを送信するステップと、
前記操作情報に基づいて第2ソフトウェアロボットに第2装置を操作させて前記メッセージを受信するステップと、
前記操作情報に基づいて前記第2ソフトウェアロボットに前記第2装置を操作させて前記メッセージに基づいて所定の処理を実行させるステップと、を有する
ことを特徴とするロボット連携方法。
【請求項7】
所定の装置の操作させることが可能なソフトウェアロボットを複数備え、当該複数のソフトウェアロボットを連携させるコンピュータを、
前記ソフトウェアロボットの操作情報を記憶する記憶手段、
前記操作情報に基づいて第1ソフトウェアロボットに第1装置を操作させる第1制御手段、
前記操作情報に基づいて第2ソフトウェアロボットに第2装置を操作させる第2制御手段、として機能させ、
前記第1制御手段は、
前記第1ソフトウェアロボットに前記第1装置を操作させて、所定のメッセージを送信させる送信制御手段を備え、
前記第2制御手段は、
前記第2ソフトウェアロボットに前記第2装置を操作させて、前記メッセージを受信させる受信制御手段と、
前記第2ソフトウェアロボットに前記第2装置を操作させて、前記メッセージに基づいて所定の処理を実行させる操作制御手段と、を備えた
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置等において人間が行う操作を自動的に実行可能なロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)に関し、特に、複数のRPAロボットの動作を連携可能に構成したロボット連携システム、ロボット連携方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報処理装置において、人間が日常的に行っている操作を自動的に実行可能なRPAロボットが注目されている。
RPAロボットでは、例えば、画面操作を含む各種操作を実行させることができるため、特に、単純な操作や繰り返し操作を実行させることで効果的に業務効率を向上させることができる。
RPAロボットに関する技術として、特許文献1には、複数のソフトウェアロボットの作業を1つのソフトウェアロボットに実施させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている技術では、ソフトウェアライセンスを有効活用するために1つのソフトウェアロボットで複数の処理を実施させるようにしているが、ライセンス上のコスト的な課題がなければ、複数のソフトウェアロボットを用いた方が処理数や処理時間における業務効率上のメリットが大きいため、実際には費用対効果を考慮して複数のソフトウェアロボットを利用するかどうかが判断される。
このため、複数のソフトウェアロボットを利用する場合、単に個々のソフトウェアロボットにそれぞれ個別の操作を行わせるだけでは効果が薄く、改善策が求められていた。
【0005】
この問題の具体例について、
図9に示す従来システム1aを参照しながら説明する。
図9は、所定のプログラム(スクリプトS)の設計、開発、リリースを行う事業において、執務室に設置している情報処理装置(執務端末81)を操作して、取得したスクリプトSを本番端末室に設置されている本番端末91を操作して本番サーバ70にてリリース可能な従来システム1aの概略図である。
ここで、本番端末91は、執務室などの他の部屋と遮断された本番端末室に設置され、特定の者にしか本番端末室に入室できないように物理的なアクセス制限が施されている。
また、本番端末91は、乗っ取りやなりすましなどの不正から防ぐため認証情報(アカウントやパスワード)の入力が求められるほか、執務端末81や不特定の端末からは接続できないようにオフラインにしている。
つまり、本番システム900と執務システム800とは互いにオフラインの状態にある。
係る環境において、執務室にいる作業者が、開発を経たスクリプトSを本番サーバ70においてリリースする場合について説明する。
作業者は、執務端末81の操作によりタスク管理ツール500を介してスクリプトSを取得したものとする(1)。
作業者は、本番端末室への入室や専用USBメモリ(暗号化機能付き)の貸し出し等の許可を得るため、台帳の記載が求められる(2)。
台帳には、例えば、作業者の所属、氏名、作業内容等を記載する必要があり、記載後は、上長や管理部門の承認を得たうえで、貸し出された専用USBメモリにスクリプトSを格納しなければならない。
次に、作業者は、スクリプトSが格納されたUSBメモリを持って執務室から本番端末室に移動する必要がある(3)。再鑑者のチェックが必要な場合には、再鑑者の同行が必要となる。
作業者は、本番端末室に入室すると、本番端末91まで移動する(4)。
そして、作業者は、本番端末91の操作により認証情報を入力してアクセスゲートウェイ430による本番サーバ70に対するアクセス権限を取得した上で、対象の本番サーバ70にてスクリプトSをリリースする(5)。
なお、作業者は、スクリプトSが無事リリースされたことを確認すると、本番端末室から執務室に移動し(6)、執務端末81からタスク管理ツール500にアクセスして作業実績や作業完了連絡などの事後報告を行う必要がある(7)。
【0006】
このように、執務システム800と本番システム900とがオフラインの環境においてソフトウェアロボットを導入する場合、セキュリティの問題等から、執務用と本番用でソフトウェアロボットを分ける必要がある。
具体的には、執務端末81で行う操作(例えば、スクリプトSの開発・取得など)は執務用のソフトウェアロボットで行わせ、本番端末91で行う操作(例えば、本番サーバ70におけるリリースなど)は本番用のソフトウェアロボットで行わせる必要がある。
しかしながら、この場合、ある程度の業務効率化は可能だが、執務室と本番端末室との間の行き来や事後報告など、依然作業者が行うべき作業があり、改良の余地があった。
【0007】
本発明は、以上のような従来の技術が有する課題を解決するために提案されたものであり、複数のソフトウェアロボットの動作をメッセージの送受信に基づいて連携させるロボット連携システム、ロボット連携方法、及びプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のロボット連携システムは、所定の装置を操作させることが可能なソフトウェアロボットを複数備えたロボット連携システムにおいて、前記ソフトウェアロボットの操作情報を記憶する記憶手段と、前記操作情報に基づいて第1ソフトウェアロボットに第1装置を操作させる第1制御手段と、前記操作情報に基づいて第2ソフトウェアロボットに第2装置を操作させる第2制御手段と、を備え、前記第1制御手段は、前記第1ソフトウェアロボットに前記第1装置を操作させて、所定のメッセージを送信させる送信制御手段を備え、前記第2制御手段は、前記第2ソフトウェアロボットに前記第2装置を操作させて、前記メッセージを受信させる受信制御手段と、前記第2ソフトウェアロボットに前記第2装置を操作させて、前記メッセージに基づいて所定の処理を実行させる操作制御手段と、を備えた構成としてある。
【0009】
また、本発明は、上記のような本発明に係るロボット連携システムで実行されるロボット連携方法として構成することができる。
さらに、本発明は、上記のような本発明に係るロボット連携システム及びロボット連携方法で実行されるプログラムとして構成することもできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、情報処理装置の操作において、人的負荷をさらに減らし、業務効率を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明のロボット連携システムの概略図である。
【
図2】ロボット連携システムの機能ブロック図である。
【
図5】(a)は執務端末から電子メールで特定メッセージを送信する場合の説明図であり、(b)は執務端末からチャットで特定メッセージを送信する場合の説明図である。
【
図6】(a)は執務ロボットから本番ロボット宛に連携メッセージを送信する場合の説明図であり、(b)は本番ロボットから執務ロボット宛に連携メッセージを送信する場合の説明図である。
【
図7】ロボット連携システムの応用例に係る機能ブロック図である。
【
図8】(a)は暗号化ツールを示す図であり、(b)は暗号化ツールを用いて暗号化された暗号文を電子メールの本文に複写したことを示す図である。
【
図9】本発明のロボット連携方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るロボット連携システム1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
以下に示す本発明のロボット連携システム1は、プログラム(ソフトウェア)の命令によりコンピュータで実行される処理,手段,機能によって実現される。プログラムは、コンピュータの各構成要素に指令を送り、以下に示す本発明に係る所定の処理(本発明のソフトウェアロボットの操作を含む)や機能等を行わせることができる。すなわち、本発明における各処理や手段,機能は、プログラムとコンピュータとが協働した具体的手段によって実現される。
なお、プログラムの全部又は一部は、例えば、磁気ディスク,光ディスク,半導体メモリ,その他任意のコンピュータで読取り可能な記録媒体により提供され、記録媒体から読み出されたプログラムがコンピュータにインストールされて実行される。また、プログラムは、記録媒体を介さず、通信回線を通じて直接にコンピュータにロードし実行することもできる。
【0013】
図1は、本発明のロボット連携システム1の概略図である。
図2は、ロボット連携システム1の機能ブロック図である。
ロボット連携システム1は、情報処理装置の操作を実行させることが可能なソフトウェアロボット(RPAロボット)を複数備え、これら複数のソフトウェアロボットの動作を連携させるものである。
具体的には、
図1、2に示すように、執務RPA端末11を操作可能な執務ロボット10と、本番RPA端末21を操作可能な本番ロボット20とがあり、これら複数のソフトウェアロボットの動作を連携するようにしている。
ロボット連携システム1は、執務RPAシステム100と本番RPAシステム200の2つのシステムを基本構成として備えるほか、従来システム1aと併せて構成される(
図1)。
【0014】
従来システム1aは、執務室に設置されている執務端末81や、執務端末81から利用可能なタスク管理ツール500、メッセージツール300等を備えた執務システム800と、本番端末室に設置されている本番端末91や本番端末91からしかアクセスできない本番サーバ70などを備えた本番システム900とからなる。
執務システム800と本番システム900とはオフラインの状態であり、執務端末81と本番端末91とはオフラインの状態である。
つまり、執務端末81(第3装置)と本番端末91(第4装置)とは、互いにオフライン状態で設けられている。
タスク管理ツール500は、プログラムの設計、開発、リリースなどプロジェクトの開始から終了に至る進捗報告、管理を可能とするアプリケーションであり、執務端末81からオンラインで利用できるほか、執務RPA端末11の操作によりオンラインで利用できるようになっている。
電子メールやチャットなどのメッセージツール300は、執務端末81において利用できるほか、執務RPA端末11により利用できるようになっている。
メールサーバ310は、電子メールの送受信を仲介する装置である。
メールブリッジ(執務区画)320及びメールブリッジ(本番区画)330は、例えば、チャットとメールサーバとを中継したり、暗号化されたメッセージを復号する処理などを担う。
チャット監視ツール390は、執務端末81からのチャットの送信を監視しており、送信されたチャットをメールブリッジ(執務区画)320に受け渡す。
アクセスゲートウェイ430は、認証装置である。
アクセスゲートウェイ430は、具体的には、本番端末91や本番RPA端末21から入力された認証情報の正否を判定し、正の場合に認証が得られたとして、本番サーバ70に対するアクセス権限を与える。
【0015】
このほか、ファイル持込持出システム400は、執務室側と本番室側との間でファイルの移送をオンラインで実行可能とするシステムであり、ファイルサーバ(執務室)410とファイルサーバ(本番端末室)420とが接続された状態で構成される。
ファイル持込持出システム400において、ファイルサーバ(執務室)410には執務RPA端末11からアクセス可能であり、ファイルサーバ(本番端末室)420には本番RPA端末21からアクセス可能になっている。
執務RPA端末11は、執務RPA端末11に格納しているデータを、ファイル転送によりファイルサーバ(執務室)410に格納することができる。
ファイル持込持出システム400の機能により、ファイルサーバ(執務室)410に格納されたデータは、ファイルサーバ(本番端末室)420に移送される。
本番RPA端末21は、認証情報の入力に応じ、ファイルサーバ(執務室)410からファイルサーバ(本番端末室)420に移送されたデータを、当該ファイルサーバ(本番端末室)420からファイル転送により取得できるようになっている。
なお、説明の便宜上、
図2には、メールサーバ310、メールブリッジ(執務区画)320、メールブリッジ(本番区画)330、チャット監視ツール390の表記を省略している。これらの機能については、
図5等を参照しながら説明する。
【0016】
執務RPAシステム100は、執務システム800に対応するシステムであり、本番RPAシステム200は、本番システム900に対応するシステムである。
執務RPAシステム100は、執務RPA管理装置110と、執務端末81に対応する執務RPA端末11とを備える。
本番RPAシステム200は、本番RPA管理装置210と、本番端末91に対応する本番RPA端末21と、を備える。
なお、執務システム800や執務RPAシステム100の設置環境を「執務区画」と称し、本番システム900や本番RPAシステム200の設置環境を「本番区画」と称する。
【0017】
図3は、執務RPA管理装置110や本番RPA管理装置210のハードウェア構成図である。
図3に示すように、執務RPA管理装置110や本番RPA管理装置210は、CPU501、RAM502、ROM503、HDD/SSD504、入力装置505、表示装置(ディスプレイ)506、通信IF507等を含むハードウェアによって構成される。これらの構成要素はシステムバスで接続され、システムバスを介してデータのやり取りが行われる。CPU(Central Processing Unit)501は、中央処理装置とも呼ばれ、コンピュータの中心的な処理を行う部位であり、各装置の制御やデータの計算や加工を行う。RAM(Random Access Memory)502は、メモリ装置の一種で、データの消去や書き換えが可能なものである。ROM(Read Only Memory)503は、半導体などを用いたメモリ装置の一種で、データ書き込みは製造時1回のみで、利用時には記録されたデータの読み出しのみできるものである。HDD(Hard Disk Drive)/SSD(Solid State Drive)504は、磁性体の性質を利用し、情報を記録し読み出す補助記憶装置である。入力装置505は、ユーザがコンピュータに対して操作指示を行うため、あるいは、文字等を入力するために使用され、具体的には、キーボード、マウス等で構成される。表示装置506は、例えば液晶ディスプレイ等で構成される。本システムにおける各装置は、入力装置505及び表示装置506が一体となったタッチパネル機能を有する装置を備えていてもよい。また、他の端末や情報処理装置等との通信が可能となる通信機能(通信IF507)を備えることもできる。通信IF(Interface)は、所定の通信規格に従って他の装置と通信するための装置であり、例えばNIC(Network Interface Card)を含む。
執務RPA端末11及び本番RPA端末21は、
図3に示すハードウェア構成と同様のハードウェア構成を有する。
ただし、執務RPA端末11や本番RPA端末21の入力装置505は、ソフトウェアロボットがコンピュータに対して操作指示を行う。
このほか、ファイルサーバ410,420、アクセスゲートウェイ430、メールサーバ310、メールブリッジ(執務区画)320、メールブリッジ(本番区画)330、チャット監視ツール390についても、
図3に示すハードウェア構成と同様のハードウェア構成を有してもよい。
【0018】
図1~
図3に示すように、執務RPA管理装置110は、執務RPA端末11に対し、執務区画内LANを介してRPAサービスを提供するサーバである。
執務RPA端末11は、VDI(Virtual Desktop Infrastructure)環境に置かれたVDI端末であり、執務RPA管理装置110に格納されたRPAプログラムが執務ロボット10として機能することで、執務RPA端末11の各種操作を自動的に実行できるように構成されている。
本番RPA管理装置210は、本番RPA端末21に対し、本番区画内LANを介してRPAサービスを提供するサーバである。
本番RPA端末21は、VDI環境に置かれたVDI端末であり、本番RPA管理装置210に格納されたRPAプログラムが本番ロボット20として機能することで、本番RPA端末21の各種操作を自動的に実行できるように構成されている。
執務RPA端末11及び本番RPA端末21は、VDI端末でもよく、非VDI端末でもよい。
【0019】
図2に示すように、執務RPA管理装置110は、第1記憶手段120と、第1制御手段130と、を備え、本番RPA管理装置210は、第2記憶手段220と、第2制御手段230と、を備える。
【0020】
第1記憶手段120及び第2記憶手段220は、本発明の記憶手段であり、ソフトウェアロボットに操作させる操作内容を示す情報(操作情報)をHDD/SSD504などの記憶手段に記憶する。
本実施形態では、執務RPA管理装置110の第1記憶手段120において、執務ロボット10に操作させる操作情報(以下、「執務操作情報」ともいう)を予め登録(記憶)しておき、本番RPA管理装置210の第2記憶手段220において、本番ロボット20に操作させる操作情報(以下、「本番操作情報」ともいう)を予め登録(記憶)しておく。
【0021】
操作情報は、操作主体や操作内容を特定可能な情報により構成される。
「操作主体」は、操作を行わせるソフトウェアロボットを示す情報であり、具体的には、執務ロボット10や本番ロボット20の「ロボット名」が該当する。
「操作内容」は、「操作主体」に実行させる操作の内容を示す情報である。
例えば、執務ロボットbの操作により「特定Web情報の保存」をさせる場合、「ロボット名」は「執務ロボットb」が該当し、「操作内容」を示す情報には、特定Webにアクセス可能な情報や特定Webに表示されている情報を保存するための具体的な操作方法を示す情報が含まれる。
操作情報は、人間が「操作内容」を実際に操作することで自動的に登録することができる。
例えば、デスクトップに特定Webが表示されている状態で、マウスにより所定領域を指定することで、特定WebのURL、デスクトップにおける所定領域の位置情報等を取得し、操作手順(例えばURLにアクセス→所定領域にマウスを移動→右クリックで領域指定→コピー→所定場所に保存など)とともに操作情報として自動的に記憶する。
本実施形態において、ロボット名「執務ロボットb」と操作内容「特定Web情報の保存」とが対応付けられた操作情報は第1記憶手段120に記憶され、ロボット名「本番ロボットc」と操作内容「本番RPA端末の操作履歴の保存」とが対応付けられた操作情報が第2記憶手段220に記憶されているものとする。
【0022】
図4は、操作主体が複数にわたる処理に関する操作情報の一例を示す図表である。
具体的には、
図4は、執務ロボット10と本番ロボット20との連携により「リリース物件を本番サーバにてリリースする」処理に関する操作情報である。
この処理は、より具体的には、執務区画において「リリース物件(スクリプト)をファイルサーバ(執務室)に格納」する第1処理を行い、これにより、ファイル持込持出システム400の機能により、ファイルサーバ(執務室)410に格納されたデータは、ファイルサーバ(本番端末室)420に移送されることから、次に、本番区画において「ファイルサーバ(本番端末室)からリリース物件を取得し、アクセスゲートウェイでの認証を得た後、本番サーバにてリリース」する第2処理を行い、次に、執務区画において「タスク管理ツールにおいて、作業実績の記録を行い、作業完了連絡を実施」する第3処理を行うことで完了する。
この場合、
図4に示すように、操作主体である「ロボット名」ごとに、「引数」と、上記第1~第3処理を実行するための「操作内容」を示す情報と、を紐付けて記憶する。
引数「a1」に対応する操作内容は、第1処理を実行するための操作情報であり、引数「b1」に対応する操作内容は、第2処理を実行するための操作情報であり、引数「a2」に対応する操作内容は、第3処理を実行するための操作情報である。
なお、第1処理は、詳細には、執務RPA端末11において、タスク管理ツール500で管理されているリリース物件を取得するための各種情報や操作手順、取得したリリース物件をファイルサーバ(執務室)に格納するための各種情報や操作手順が含まれ、連携メッセージには、ロボット名・引数が含まれるところ、
図4において、これらの詳細情報は便宜上省略し要点のみ表記している。第2処理や第3処理についても同様である。
図4に示す操作情報のうち、引数「a1」及び引数「a2」に対応する操作情報(執務操作情報)は執務RPA管理装置110の第1記憶手段120に記憶し、引数「b1」に対応する操作情報(本番操作情報)は本番RPA管理装置210の第2記憶手段220に記憶する。
【0023】
第1制御手段130は、第1記憶手段120に記憶された操作情報(執務操作情報)に基づいて執務ロボット10(第1ソフトウェアロボット)に執務RPA端末11(第1装置)を操作させる。
第2制御手段230は、第2記憶手段220に記憶された操作情報(本番操作情報)に基づいて本番ロボット20(第2ソフトウェアロボット)に本番RPA端末21(第1装置)を操作させる。
執務RPA端末11は、執務端末81に対応する情報処理装置であり、執務端末81の処理の一部又は全部を担うことができる。
本番RPA端末21は、本番端末91に対応する情報処理装置であり、本番端末91の処理の一部又は全部を担うことができる。
このため、第1制御手段130は、執務ロボット10(第1ソフトウェアロボット)に執務RPA端末11(第1装置)を操作させて、執務端末81(第3装置)で実行可能な処理を実行させることを可能にしてある。
また、第2制御手段230は、本番ロボット20(第2ソフトウェアロボット)に本番RPA端末21(第2装置)を操作させて、本番端末91(第3装置)で実行可能な処理を実行させることを可能にしてある。
【0024】
第1制御手段130は、ロボット連携に係る構成として、送信制御手段131、受信制御手段132、及び、操作制御手段133を備える。
第2制御手段230は、ロボット連携に係る構成として、送信制御手段231、受信制御手段232、及び、操作制御手段233を備える。
送信制御手段131は、執務ロボット10(第1ソフトウェアロボット)に執務RPA端末11(第1装置)を操作させて所定のメッセージ(連携メッセージ)を本番ロボット20宛に送信する。
受信制御手段232は、本番ロボット20(第2ソフトウェアロボット)宛に送信されたメッセージ(連携メッセージ)を受信する。
この他、受信制御手段232は、本番ロボット20宛にメッセージが送信されたことを検知することができる。
送信制御手段231と受信制御手段132も同様の制御動作(連携メッセージの送受信)が可能である。例えば、送信制御手段231は、本番ロボット20に本番RPA端末21を操作させて連携メッセージを執務ロボット10宛に送信したり、受信制御手段132は、執務ロボット10宛に送信された連携メッセージを受信したり、送信されたことを検知することができる。
このような執務ロボット10と本番ロボット20との間の連携メッセージの送受信は、例えば電子メールにより行うことができる。
また、連携メッセージのほか、処理開始を指示するメッセージ(特定メッセージ)の送信を例えば電子メールやチャットにより行うことができる。
【0025】
このような特定メッセージや連携メッセージを電子メールやチャットを利用して送受信する仕組み等について、
図5及び
図6を参照しながら説明する。
図5(a)は、執務端末81が電子メールで特定メッセージを送信する場合の説明図である。
このうち、
図5(a)下段は、執務端末81が、執務ロボット10宛に電子メールで特定メッセージを送信した場合を示す。
例えば、「執務ロボットb」に「特定Web情報の保存」をさせる場合、
図5(a)下段に示すように、執務端末81から、ロボット名「執務ロボットb」が記載された特定メッセージを電子メールにより送信する。
執務ロボット10宛に送信された電子メールは、メールサーバ310に一旦格納された後、メールブリッジ(執務区画)320が受け取る。
メールブリッジ(執務区画)320は、執務RPA管理装置110のAPIをキックすることで電子メールが執務RPA管理装置110に受け渡される。
執務RPA管理装置110は、電子メールが受け渡されると、その特定メッセージに基づいて執務ロボット10を起動させる。
特定メッセージにはロボット名「執務ロボットb」が記載されているため、この情報をキーとして「執務ロボットb」が起動(キック)される。
そして、執務RPA管理装置110は、特定メッセージに基づいて、執務ロボットbに執務RPA端末11を操作させる。
第1記憶手段120は、ロボット名「執務ロボットb」と「特定Web情報の保存」を実行するための操作情報を対応付けて記憶していることから、執務ロボットbの操作により「特定Web情報の保存」を実行させることができる。
【0026】
図5(a)上段は、執務端末81が、本番ロボット20宛に電子メールで特定メッセージを送信した場合を示す。
例えば、「本番ロボットc」に「本番RPA端末の操作履歴の保存」をさせる場合、
図5(a)上段に示すように、執務端末81から、本番ロボットc宛に特定メッセージを電子メールにより送信する。
特定メッセージには、ロボット名「本番ロボットc」を記載する。
本番ロボット20宛に送信された電子メールは、メールサーバ310に一旦格納された後、メールブリッジ(本番区画)330が受け取る。
メールブリッジ(本番区画)330は、本番RPA管理装置210のAPIをキックすることで電子メールが本番RPA管理装置210に受け渡される。
本番RPA管理装置210は、電子メールを取得すると、その特定メッセージに基づいて本番ロボット20を起動させる。
特定メッセージにはロボット名「本番ロボットc」が記載されているため、この情報をキーとして「本番ロボットc」が起動(キック)される。
そして、本番RPA管理装置210は、特定メッセージに基づいて、本番ロボットcに本番RPA端末21を操作させる。
第2記憶手段220は、ロボット名「本番ロボットc」と「本番RPA端末の操作履歴の保存」を実行するための操作情報を対応付けて記憶していることから、本番ロボットcの操作により「本番RPA端末の操作履歴の保存」を実行させることができる。
このように、執務端末81から執務ロボット10宛に特定メッセージを電子メールで送信することで、その特定メッセージに基づいて執務ロボット10に執務RPA端末11を操作させることができ、また、執務端末81から本番ロボット20宛に特定メッセージを電子メールで送信することで、その特定メッセージに基づいて本番ロボット20に本番RPA端末21を操作させることができる。
【0027】
図5(b)は、執務端末81が、チャットで特定メッセージを送信する場合の説明図である。
このうち、
図5(b)下段は、執務端末81が、執務ロボット10宛にチャットで特定メッセージを送信した場合を示し、
図5(b)上段は、執務端末81が、本番ロボット20宛にチャットで特定メッセージを送信した場合を示す。
この場合、執務端末81からチャットツールにおいて特定グループにアクセスし、当該アクセスした状態でチャットで特定メッセージを送信する。
「グループ」は、予め登録されたメンバーのみがチャットできるツールであることから、「特定グループ」に予め登録された特定のメンバーのみがチャットで特定メッセージを送信することができる。
特定メッセージにはロボット名を記載する。
チャットの送信は、チャット監視ツール390において監視されている。
チャット監視ツール390は、チャットが送信されたことを検知すると、当該チャットをメールブリッジ(執務区画)320に受け渡す。
メールブリッジ(執務区画)320は、チャットが執務ロボット10宛か本番ロボット20宛かをロボット名に基づいて判定する。
判定の結果、チャットが執務ロボット10宛の場合、メールブリッジ(執務区画)320は、執務RPA管理装置110に当該チャットを受渡す。
これにより、執務RPA管理装置110は、受渡されたチャットの特定メッセージに基づいて所定の執務ロボット10を起動させ、当該執務ロボット10に執務RPA端末11を操作させることができる(
図5(b)下段参照)。
他方、判定の結果、チャットが本番ロボット20宛の場合、メールブリッジ(執務区画)320は、当該チャットをメールブリッジ(本番区画)330に受渡し、メールブリッジ(本番区画)330は、当該チャットの特定メッセージを本番RPA管理装置210に受け渡す。
これにより、本番RPA管理装置210は、受渡されたチャットの特定メッセージに基づいて所定の本番ロボット20を起動させ、当該本番ロボット20に本番RPA端末21を操作させることができる(
図5(b)上段参照)。
このように、執務端末81から執務ロボット10宛に特定メッセージをチャットで送信することで、その特定メッセージに基づいて執務ロボット10に執務RPA端末11を操作させることができ、また、執務端末81から本番ロボット20宛に特定メッセージをチャットで送信することで、その特定メッセージに基づいて本番ロボット20に本番RPA端末21を操作させることができる。
【0028】
連携メッセージに基づく執務ロボット10と本番ロボット20との連携動作について、
図6を参照しながら説明する。
一例として、執務ロボット10と本番ロボット20との連携により、「リリース物件を本番サーバにてリリースする」場合について説明する。
この場合、まず、作業者が執務端末81から執務ロボット10宛に特定メッセージを電子メール又はチャットにて送信する(
図5(a)及び(b)の各下段参照)。
特定メッセージには、ロボット名「執務ロボットa」及び引数「a1」を記載する。
執務RPA管理装置110は特定メッセージに基づき、執務ロボットaを起動し、当該執務ロボットaに引数「a1」に対応する操作を実行させる。
図4に示すように、引数「a1」には、「リリース物件をファイルサーバ(執務室)に格納し、その後、連携メッセージを本番ロボットに送信する」操作内容を示す情報が対応付けて記憶されている。
このため、執務ロボットaは、執務RPA端末11において「リリース物件をファイルサーバ(執務室)に格納し、その後、連携メッセージを本番ロボットに送信する」操作を実行する。
具体的には、執務ロボットaは、タスク管理ツール500を介して取得したリリース物件をファイルサーバ(執務室)410に格納する操作を行い、次に、ロボット名「本番ロボットb」と引数「b1」とを記載した連携メッセージを本番ロボットb宛に送信する操作などを行う。
【0029】
図6(a)は、執務ロボット10から本番ロボット20宛に電子メールで連携メッセージを送信する場合の説明図である。
図6(a)に示すように、執務ロボット10から本番ロボット20宛に電子メールで連携メッセージが送信されると、電子メールはメールサーバ310に一旦格納された後、メールブリッジ(本番区画)330に受け渡される。
メールブリッジ(本番区画)330は、本番RPA管理装置210のAPIをキックすることで電子メールが本番RPA管理装置210に受け渡される。
本番RPA管理装置210は、電子メールを取得すると、その連携メッセージに基づいて本番ロボット20を起動させる。
連携メッセージにはロボット名「本番ロボットb」が記載されているため、この情報をキーとして「本番ロボットb」が起動(キック)される。
また、連携メッセージには引数「b1」が記載されているため、この情報をキーとして操作情報(
図4)を参照し、本番ロボットbにより本番RPA端末21に引数「b1」に対応する操作を実行させる。
これにより、本番ロボットbは、本番RPA端末21において「ファイルサーバ(本番端末室)からリリース物件を取得し、本番サーバにてリリース物件をリリースし、その後、連携メッセージを執務ロボットに送信する」操作を実行する。
具体的には、本番ロボットbは、本番RPA端末21において、ファイルサーバ(本番端末室)420からリリース物件を取得する操作を行い、認証情報の入力によりアクセスゲートウェイ430での認証を得るための操作を行い、本番サーバ70にてリリース物件をリリースする操作などを行う。
これにより、「リリース物件を本番サーバにてリリースする」ことが実行される。
つまり、操作制御手段233は、本番ロボット20(第2ソフトウェアロボット)に本番RPA端末21(第2装置)を操作させて、受信した連携メッセージに基づいて所定の処理を実行させることができる。
また、本番ロボットbは、本番RPA端末21において、ロボット名「執務ロボットa」と引数「a2」とを記載することで、連携メッセージを作成する操作を行い、当該連携メッセージを電子メールで執務ロボット10宛に送信する操作などを行う。
【0030】
図6(b)は、本番ロボット20から執務ロボット10宛に電子メールで連携メッセージを送信する場合の説明図である。
図6(b)に示すように、本番ロボット20から執務ロボット10宛に電子メールで連携メッセージが送信されると、電子メールはメールサーバ310に一旦格納された後、メールブリッジ(執務区画)320に受け渡される。
メールブリッジ(執務区画)320は、執務RPA管理装置110のAPIをキックすることで電子メールが執務RPA管理装置110に受け渡される。
執務RPA管理装置110は、電子メールを取得すると、その連携メッセージに基づいて執務ロボット10を起動させる。
連携メッセージにはロボット名「執務ロボットa」が記載されているため、この情報をキーとして「執務ロボットa」が起動(キック)される。
また、連携メッセージには引数「a2」が記載されているため、この情報をキーとして操作情報(
図4)を参照し、執務ロボットaにより執務RPA端末11に引数「a2」に対応する操作を実行させる。
これにより、執務ロボットaは、執務RPA端末11において「タスク管理ツールにおいて、作業実績の記録と作業完了連絡を行う」操作を実行する。
つまり、操作制御手段133は、執務ロボット10(第1ソフトウェアロボット)に執務RPA端末11(第1装置)を操作させて、受信した連携メッセージに基づいて所定の処理を実行させることができる。
【0031】
以上のように、執務ロボット10と本番ロボット20とを、操作情報がパッケージ化された連携メッセージにより連携させ、これにより、オフライン状態の複数の区画に亘る操作や処理を一連に実行させることができる。
すなわち、本発明のロボット連携システム1においては、ソフトウェアロボット(執務ロボット10,本番ロボット20)の操作情報(ロボット名や引数に対応した操作内容を示す情報)を記憶する記憶手段120,220と、前記操作情報に基づいて第1ソフトウェアロボット(執務ロボット10)に第1装置(執務RPA端末11)を操作させる第1制御手段130と、前記操作情報に基づいて第2ソフトウェアロボット(本番ロボット20)に第2装置(本番RPA端末21)を操作させる第2制御手段230と、を備え、第1制御手段130は、第1ソフトウェアロボット(執務ロボット10)に第1装置(執務RPA端末11)を操作させて所定のメッセージ(ロボット名や引数が記載された連携メッセージ)を送信する送信制御手段131を備え、第2制御手段230は、第2ソフトウェアロボット(本番ロボット20)に第2装置(本番RPA端末21)を操作させて前記メッセージ(連携メッセージ)を受信する受信制御手段232と、第2ソフトウェアロボット(本番ロボット20)に第2装置(本番RPA端末21)を操作させて前記メッセージ(連携メッセージ)に基づいて所定の処理(連携メッセージに記載されているロボット名や引数に対応する操作内容。例えば、スクリプトのリリース)を実行させる操作制御手段233と、を備えている。
これにより、複数のソフトウェアロボットの動作をメッセージの送受信に基づいて連携させることができ、人的負荷をさらに軽減し、業務効率を一層向上させることができる。
【0032】
特に、第1装置(執務RPA端末11)に対応する第3装置(執務端末81)と、第2装置(本番RPA端末21)に対応する第4装置(本番端末91)とがオフライン状態に設けられ、第1制御手段130は、第1ソフトウェアロボット(執務ロボット10)に第1装置(執務RPA端末11)を操作させて、第3装置(執務端末81)で実行可能な処理を実行させることが可能であり、第2制御手段230は、第2ソフトウェアロボット(本番ロボット20)に第2装置(本番RPA端末21)を操作させて、第4装置(本番端末91)で実行可能な処理を実行させることが可能にしてある。
このため、執務システム800と本番システム900とがオフラインの環境においては、執務用と本番用でソフトウェアロボットを分ける必要があるところ、執務システム800における作業と、本番システム900における作業とを連動させたい場合には、執務ロボット10と本番ロボット20との動作を連携させることで、作業者は、執務室と本番端末室との間を行き来する必要がなく、事後処理も自動的に実行させることができる。
【0033】
なお、ロボット連携動作は「リリース物件を本番サーバにてリリースする」処理に限るものではなく、複数のソフトウェアロボットの連携が必要な様々な処理に適用することができる。
また、
図5に示す以外にも、例えば、本番端末91から本番ロボット20宛に特定メッセージを送信することで本番ロボット20に本番RPA端末21の操作を行わせたり、本番端末91から執務ロボット10宛に特定メッセージを送信することで執務ロボット10に執務RPA端末11の操作を行わせることもできる。
【0034】
(録画機能)
図7は、応用例のロボット連携システム1の機能ブロック図である。
図7に示すように、応用例のロボット連携システム1では、執務RPA管理装置110が操作画像記憶手段140を備え、本番RPA管理装置210が操作画像記憶手段240を備えている。
操作画像記憶手段140は、執務ロボット10(ソフトウェアロボット)の操作が表示手段(表示装置)に表示される操作画像に基づいて行われた場合、前記操作の開始から終了に至る操作画像を記憶する。
操作画像記憶手段240は、本番ロボット20(ソフトウェアロボット)の操作が表示手段(表示装置)に表示される操作画像に基づいて行われた場合、前記操作の開始から終了に至る操作画像を記憶する。
「表示手段(表示装置)」は、例えば、執務RPA端末11や本番RPA端末21であるパーソナルコンピュータのディスプレイ506が相当する。
「操作画像」は、パーソナルコンピュータのディスプレイ506に表示されるデスクトップ画面の画像である。
操作画像は、録画日時、処理名、操作主体、操作内容を示す情報に紐付けて記憶することが好ましい。
このため、エラーが発生した場合やパフォーマンスが低下した場合など、その原因追及のために操作履歴を確認したい場合に、容易に確認することができる。
【0035】
(暗号化/復号機能)
ロボット連携システム1は、特定メッセージや連携メッセージを暗号化して送信し、受信したこれらのメッセージを復号して取得することができる。
例えば、
図5(a)下段に示すように、執務端末81から執務ロボット10宛に電子メールで特定メッセージを送信する際に、当該特定メッセージを暗号化する。
ここで、執務端末81は、電子メールの本文(メッセージ)を公開鍵により暗号化が可能な暗号化プログラム(以下、暗号化ツールという)を格納しており、当該暗号化プログラムを執務端末81の操作により利用することができる。
このため、執務端末81は、電子メール(特定メッセージ)を暗号化して執務ロボット10宛に送信する。
【0036】
図8(a)は、執務端末81において表示された暗号化ツールの操作画面を示す図である。
同図において、上図枠は、平文を示しており、一例として、この平文にはロボット名「執務ロボットa」及び引数(parameter)「a1」が含まれている。
図8(a)の下図破線枠は、暗号化ボタンを押下することで平文が公開鍵により暗号化された暗号文を示している。
暗号化ツールは、暗号文を手動又は自動でメール本文に複写(コピー&ペースト)することができる。
図8(b)は、
図8(a)に示す暗号文がメール本文に複写(コピー&ペースト)されたことを示す図である。
「宛先」は、執務ロボット10において受信可能なメールアドレスであり、メール本文には「暗号化済みの本文」が記載される。
これにより、作業者は、「送信」ボタンを押下することで、特定メッセージ(暗号文)をメール本文とする電子メールを執務ロボット10宛に送信することができる。
執務RPA管理装置110は、執務ロボット10宛に送信された電子メールをメールブリッジ(執務区画)320を介して取得するところ、メールブリッジ(執務区画)320は、メール本文を秘密鍵により復号してから執務RPA管理装置110に電子メールを受け渡す(
図5(a)下段)。
【0037】
図5(a)上段に示すように、執務端末81から本番ロボット20に対し電子メールにより特定メッセージを送信する場合にも、当該特定メッセージを暗号化/復号することができる。
この場合、メールブリッジ(本番区画)330で特定メッセージの復号を行う。
【0038】
また、
図5(b)に示すように、執務端末81から執務ロボット10や本番ロボット20に対し、チャットにより特定メッセージを送信する場合にも、当該特定メッセージを暗号化/復号することができる。
この場合、チャットツールにて自動的に特定メッセージを暗号化する。
チャット監視ツール390は、チャットの送信を監視しており、送信されたチャットをメールブリッジ(執務区画)320に受け渡す。
メールブリッジ(執務区画)320は、特定メッセージが執務ロボット10宛であれば復号を行い、復号した特定メッセージを執務RPA管理装置110に受け渡す。
他方、メールブリッジ(執務区画)320は、特定メッセージが本番ロボット20宛であれば当該特定メッセージをメールブリッジ(本番区画)330に受渡し、メールブリッジ(本番区画)330が特定メッセージを復号して本番RPA管理装置210に受け渡す。
【0039】
図7に示すように、ロボット連携システム1は、執務RPA端末11が暗号化手段301を備え、メールブリッジ(本番区画)330が暗号/復号手段302を備える。
暗号化手段301は、送信制御手段131により送信されるメッセージ(連携メッセージ)を暗号化し、暗号/復号手段302は、受信した暗号化されたメッセージ(連携メッセージ)を秘密鍵により復号し、再暗号化する。
具体的には、
図6(a)に示すように、執務ロボット10が執務RPA端末11を操作して本番ロボット20に対して連携メッセージを送付する場合、執務ロボット10は、執務RPA端末11に備えられている暗号化ツール(暗号化手段301)で暗号化された連携メッセージをメールブリッジ(執務区画)320にHTTP(HyperText Transfer Protocol)にて送付する。
メールブリッジ(執務区画)320は、暗号/複合手段312が、受け付けた連携メッセージを復号化し、記載された内容を電子メールに変換し、当該電子メールを再度暗号化した上で、メールブリッジ(本番区画)330に送信する。
電子メールを受信したメールブリッジ(本番区画)330は、暗号/複合手段302が、電子メール(連携メッセージ)を復号化し、内容に応じて本番RPA管理装置210に連携メッセージを受け渡す。
これにより、本番RPA管理装置210は、本番ロボット20(第2ソフトウェアロボット)に、復号された連携メッセージに基づいて本番RPA端末21(第2装置)を操作させることができ、例えば、本番サーバ70においてスクリプトSをリリースすることができる。
【0040】
図7に示すように、ロボット連携システム1は、本番RPA端末21が暗号化手段311を備え、メールブリッジ(執務区画)320が暗号/復号手段312を備える。
暗号化手段311は、送信制御手段231により送信されるメッセージ(連携メッセージ)を暗号化し、暗号/復号手段312は、受信した暗号化されたメッセージ(連携メッセージ)を秘密鍵により復号し、再暗号化する。
具体的には、
図6(b)に示すように、本番ロボット20が本番RPA端末21を操作して執務ロボット10に対して連携メッセージを送付する場合、本番ロボット20は、本番RPA端末21に備えられている暗号化ツール(暗号化手段311)で暗号化された連携メッセージをメールブリッジ(本番区画)330にHTTPにて送付する。
メールブリッジ(本番区画)330は、暗号/複合手段302が、受け付けた連携メッセージを復号化し、記載された内容を電子メールに変換し、当該電子メールを再度暗号化した上で、メールブリッジ(執務区画)320に送信する。
電子メールを受信したメールブリッジ(執務区画)320は、暗号/複合手段312が、電子メール(連携メッセージ)を復号化し、内容に応じて執務RPA管理装置110に連携メッセージを受け渡す。
これにより、執務RPA管理装置110は、執務ロボット10に、復号された連携メッセージに基づいて執務RPA端末11を操作させることができ、例えば、タスク管理ツール500において作業実績を記録したり、作業完了連絡を行うことができる。
【0041】
このように、ロボット連携システム1においては、特定メッセージや連携メッセージを暗号化/復号して受け渡すことができるため、これらメッセージを、その送受信の過程で他者に傍受されたり改ざんされる不正を防止することができる。
【0042】
(ロボット連携方法)
ロボット連携方法について説明する。
図9は、ロボット連携方法を示すフローチャートである。
一例として、執務端末81において取得したスクリプトSを本番サーバ70にてリリースする場合について説明する。
執務操作情報は、予め執務RPA管理装置110において記憶され、本番操作情報は、予め本番RPA管理装置において記憶されているものとする。
【0043】
図9に示すように、作業者は、執務端末81によりタスク管理ツール500を介してリリース物件(スクリプトS)を取得する(S1)。
以降、タスク管理ツール500においてリリース物件に関する各種処理の進捗が管理される。
次に、作業者は、執務端末81を操作することで、リリース物件の本番区画への持込及びアクセスの申請を行う(S2)。
本番アクセス承認者(例えば上長)は、持込及びアクセスを承認する(S3)と、その結果が作業者の執務端末81に通知される。
【0044】
続いて、執務端末81は、作業者の操作により、又は、承認通知を受けたことを契機に、特定メッセージを執務ロボット10宛に送信してリリース指示を行う(S4)。
特定メッセージには、執務ロボット10のロボット名と引数(例えば「a1」)とが含まれる。
執務RPA管理装置110は、特定メッセージに記載されているロボット名に基づいて執務ロボット10を起動する(S5)。
次に、執務ロボット10は、特定メッセージに含まれる引数(例えば「a1」)に対応する操作情報(
図4)に基づき以下の操作を行う。
執務ロボット10は、リリース物件を本番端末室に移送するための操作を行う。
具体的には、執務ロボット10は、リリース物件(スクリプトS)をファイル持込持出システム400のファイルサーバ(執務室)410に格納する操作を行う(S6)。
ファイル持込持出システム400の機能により、ファイルサーバ(執務室)410に格納されたデータ(リリース物件)は、ファイルサーバ(本番端末室)420に移送される。
次に、執務ロボット10は、連携メッセージを送信する操作を行う(S7)。
連携メッセージには、本番ロボット20のロボット名と引数(例えば「b1」)とが含まれる。
これにより、操作主体が執務ロボット10から本番ロボット20にスイッチされる。
【0045】
本番ロボット20は、連携メッセージに含まれる引数(例えば「b1」)に対応する操作情報(
図4)に基づき以下の操作を行う。
本番ロボット20は、リリース物件を取得する操作を行う(S8)。
具体的には、本番ロボット20は、本番RPA端末21においてファイルサーバ(本番端末室)420からリリース物件(スクリプトS)を取得する操作を行う。
次に、本番ロボット20は、アクセスゲートウェイ430での認証を得るための操作を行う(S9)。
具体的には、本番ロボット20は、認証情報を入力する操作を行う。
次に、本番ロボット20は、本番サーバ70にてリリースを実施する操作を行う(S10)。
具体的には、本番ロボット20は、本番RPA端末21において、取得したリリース物件(スクリプトS)を本番サーバ70にてリリースする操作を行う。
次に、本番ロボット20は、連携メッセージを送信する操作を行う(S11)。
連携メッセージには、執務ロボット10のロボット名及び引数(例えば「a2」)とが含まれる。
これにより、操作主体が本番ロボット20から執務ロボット10にスイッチされる。
【0046】
執務ロボット10は、連携メッセージに含まれる引数(例えば「a2」)に対応する操作情報(
図4)に基づき以下の操作を行う。
執務ロボット10は、作業実績を記録する操作を行う(S12)。
具体的には、執務ロボット10は、タスク管理ツール500に作業実績を記録する操作を行う。
次に、執務ロボット10は、作業完了連絡を行う(S13)。
具体的には、執務ロボット10は、タスク管理ツール500において作業完了連絡の操作を行う。
これにより、タスク管理ツール500は、例えばチャットなどのメッセージツール300との連動により作業完了連絡を作業者に送信し、作業者は、執務端末81を介して当該作業完了連絡を受領する(S14)。
そして、作業者は、受領した作業完了連絡に基づいて作業結果の確認を行う(S15)。
【0047】
以上のように、本発明のロボット連携システム1、ロボット連携方法、プログラムによれば、複数のソフトウェアロボットの連携により、作業者は、執務室と本番室との間を行き来する必要がなくことなく、事後処理を含め、ほぼすべての操作をソフトウェアロボットに実行させることができる。
【0048】
これに対し、ソフトウェアロボットを用いない従来システム1aでは本発明のような効果を得ることはできなかった。
例えば、従来システム1aにおいて、作業者は、リリース物件(スクリプトS)を執務端末81においてUSBメモリに収め、当該USBメモリを持ったまま本番端末室まで移動し、本番端末91にUSBメモリを差し込み、アクセスゲートウェイ430の認証を得た後、リリースを実施する必要があった。
また、従来システム1aにおいて、作業者は、本番端末室でスクリプトSのリリースを終えた後に、執務室に移動し、作業実績や作業完了連絡などの事後報告を行う必要があった。
また、ソフトウェアロボットを単に用いたとしても、ある程度の業務効率化は可能だが、執務室と本番端末室との間の行き来や事後報告などは依然作業者が行う必要があった。
これに対し、本発明のロボット連携システム1では、リリース物件をUSBメモリに格納したり、本番端末室まで移動する必要はなく、自席の執務端末81から特定メッセージを送信するだけで、リリース物件を対象の本番サーバ70にてリリースすることができ、さらに、本番端末室と執務室との移動を伴うことなく事後報告までも自動的に実行させることができる。
このため、本発明のロボット連携システム1、ロボット連携方法、プログラムによれば、従来システム1aにおいて改善すべき課題を解決することができる。
【0049】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、執務RPA端末11は1台でも2台以上でもよく、執務ロボット10も1台でも2台以上でもよい。
また、本番RPA端末21は1台でも2台以上でもよく、本番ロボット20も1台でもよく2台以上でもよい。
執務システム800や本番システム900に限らず、2以上のシステムに対応するソフトウェアロボットを連携させるシステムであればよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、本番端末、本番サーバなど、所定のアクセス制限が施されている区画を有する事業、例えば、顧客のシステムを開発、リリース、運用、管理している事業において好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0051】
1:ロボット連携システム、1a:従来システム、10:執務ロボット、20:本番ロボット、11:執務RPA端末、21:本番RPA端末、100:執務RPAシステム、110:執務RPA管理装置、120:第1記憶手段、130:第1制御手段、131:送信制御手段、132:受信制御手段、133:操作制御手段、140:操作画像記憶手段、200:本番RPAシステム、210:本番RPA管理装置、220:第2記憶手段、230:第2制御手段、231:送信制御手段、232:受信制御手段、233:操作制御手段、240:操作画像記憶手段、300:メッセージツール、301,311:暗号化手段、302,312:暗号/復号手段、310:メールサーバ、320:メールブリッジ(執務区画)、330:メールブリッジ(本番区画)、400:ファイル持込持出システム、410:ファイルサーバ(執務室)、420:ファイルサーバ(本番端末室)、430:アクセスゲートウェイ、500:タスク管理ツール、501:CPU、502:RAM、503:ROM、504:HDD/SSD、505:入力装置、506:表示装置(ディスプレイ)、507:通信IF、70:本番サーバ、800:執務システム、81:執務端末、900:本番システム、91:本番端末、S:スクリプト