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特開2023-120119トンネル工事用建設機械及びトンネル工法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120119
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】トンネル工事用建設機械及びトンネル工法
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/10 20060101AFI20230822BHJP
   E21F 5/02 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
E21D11/10 D
E21F5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022032168
(22)【出願日】2022-02-09
(71)【出願人】
【識別番号】311004393
【氏名又は名称】ニシオティーアンドエム株式会社
(72)【発明者】
【氏名】澤木 貴志
【テーマコード(参考)】
2D155
【Fターム(参考)】
2D155BA06
2D155DB02
2D155LA10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】従来、NATM工法によるトンネル工事において各作業時に発生する粉塵が問題となっており、大型設備を持ち込めない坑内での粉塵対策が課題となっている。特にコンクリート吹付作業中の作業員の粉塵曝露を防止する効果的な方法が無かった。
【解決手段】台車の前端部にテレスコープ構造となるようにロボットブームを取付け、前記ロボットブームの先端にロボットアームを取付け、前記ロボットアームに吹付ノズルを備えるとともに、前記台車に、台車と別の位置にある給水手段から水が供給される増圧ポンプを取付け、前記台車の前端部の別の位置に、テレスコープ構造となるようにエレクターブームを取付け、前記エレクターブームの先端にエレクターアームを取付け、前記エレクターアームに支保工キャッチャーを取付け、前記支保工キャッチャーに、増圧ポンプと水ホースで繋がれ、且つフォグノズルを取付けた給水管を備えた。
【選択図】図1(A)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
台車の前端部にテレスコープ構造となるようにロボットブームを取付け、前記ロボットブームの先端にロボットアームを取付け、前記ロボットアームに吹付ノズルを備えるとともに、前記台車に、台車と別の位置にある給水手段から水が供給される増圧ポンプを取付け、前記台車の前端部の別の位置に、テレスコープ構造となるようにエレクターブームを取付け、前記エレクターブームの先端にエレクターアームを取付け、前記エレクターアームに支保工キャッチャーを取付け、前記支保工キャッチャーに、増圧ポンプと水ホースで繋がれ、且つフォグノズルを取付けた給水管を備えたことを特徴とするトンネル工事用建設機械。
【請求項2】
エレクター装置に備えられたフォグノズルとコンクリート吹付ノズルを備えた台車があり、前記台車によってコンクリート吹付作業を行う第1の工程と、前記台車によって粉塵遮断のためのフォグを噴射する第2の工程を有し、前記台車が同じ位置で第2の工程をしながら第1の工程をするようにしたことを特徴とするトンネル工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート吹付作業時に発生する作業員の粉塵曝露を防止するトンネル工事用建設機械及びトンネル工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、NATM工法によるトンネル工事において各作業時に発生する粉塵が問題となっており、大型設備を持ち込めない坑内での粉塵対策が課題となっている。
【0003】
そのため特許文献1では、コンクリート吹付作業時の粉塵対策について、吹付コンクリートをトンネル壁面に吹付けた後、吹付機のブームに取付けられる第1ミスト散布装置で上方向に向かってミストを散布し、降下するミストに粉塵を吸着させ地面に落とし、次にトンネル上部壁面に取付けられた第2ミスト散布装置で、下方向に向かってミストを散布して粉塵を吸着させ地面に落とす方法と、吹付コンクリートにフライアッシュを混ぜ粉塵の低減をする技術が考案されている。
【0004】
また特許文献2及び3では、トンネル内にバルーンのような遮蔽物やその台車を設けることで、粉塵をトンネル切羽側から遮蔽物の空間に閉じ込める装置や、送気管からの送気量よりも排気管の排気量が多い状態にして坑口側から切羽側へ空気を流れさせることで切羽からバルーン台車までの空間を負圧とし排気管で汚染空気を集塵することで拡散を防止する工法など対策技術が考案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-214258
【特許文献2】特開2015-052266
【特許文献3】特開2012-202093
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1はコンクリートを吹付けた後にミストを散布するので、吹付作業中に発生する粉塵に対して作業員の曝露は防止できない。またミストを散布するノズルのある場所が吹付機のブームや風管の送風口前方のトンネル壁面となっていることで、ミスト散布の空間範囲が広く、坑内に行き渡るミスト散布濃度にばらつき生じ粉塵低減効果にも限界がある。
【0007】
また吹付機の上にある風管位置からと、吹付機本体ブームからミストが散布されることで、コンクリート吹付機が故障の原因となる水滴を被ることや、湿気が多くなるという課題が残る。また吹付作業時の作業員の作業環境についても課題が残っている。
【0008】
また特許文献2及び3については、バルーン台車で切羽側と坑口側を遮蔽して切羽で発生する粉塵を閉じ込めることができるが、遮蔽されることにより坑口側からは切羽側の視界が遮られる。このためコンクリート吹付の場合、作業員が目視にて吹付状況を確認しながら作業を行う必要があるので、切羽側に立ち入って作業することとなり依然粉塵に曝露される課題が残る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1によれば、台車の前端部にテレスコープ構造となるようにロボットブームを取付け、前記ロボットブームの先端にロボットアームを取付け、前記ロボットアームに吹付ノズルを備えるとともに、前記台車に、台車と別の位置にある給水手段から水が供給される増圧ポンプを取付け、前記台車の前端部の別の位置に、テレスコープ構造となるようにエレクターブームを取付け、前記エレクターブームの先端にエレクターアームを取付け、前記エレクターアームに支保工キャッチャーを取付け、前記支保工キャッチャーに、増圧ポンプと水ホースで繋がれ、且つフォグノズルを取付けた給水管を備えた。
【0010】
請求項2によれば、エレクター装置に備えられたフォグノズルとコンクリート吹付ノズルを備えた台車があり、前記台車によってコンクリート吹付作業を行う第1の工程と、前記台車によって粉塵遮断のためのフォグを噴射する第2の工程を有し、前記台車が同じ位置で第2の工程をしながら第1の工程をするようにした。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、コンクリート吹付作業時に、吹付する切羽側とコンクリート吹付機及び作業員のいる坑口側との間に、フォグノズルで噴射し給水管の形状で壁状となったフォグ(霧)にてトンネル断面を塞ぎ、吹付で発生する粉塵を切羽側に閉じ込めることができる。
【0012】
このためコンクリート吹付機が故障の原因となる吹付時に発生する粉塵に晒されることが大幅に減るばかりか、遮蔽しているのがフォグ(霧)により、作業員が坑口側からの切羽側の様子が見えるので、坑口側から操作でき粉塵に曝露されない。
【0013】
また噴射するフォグ(霧)はミストよりも粒子が細かいドライフォグで気化するのが速く、路盤及びコンクリート吹付機及び作業が水滴に浸ることや、湿気の充満を防ぐことができる。
【0014】
更に従来のエレクター付コンクリート吹付機の支保工の建込み機能と既存の外部給水手段を利用するので、コンクリート吹付機に軽微な装置を搭載するだけで用を成し、従来の考案に比べて設備が大幅に簡素化される。
【0015】
また1台のトンネル工事用建設機械で、コンクリート吹付作業と粉塵対策作業(フォグ噴射作業)ができることで、別の台車や装置の設置又は入替作業が必要無いので作業効率が高まる。また設備が占める容積が抑えられることで、狭い坑内での人や者との接触事故等のトラブルを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(A)本発明の実施の形態を示すトンネル工事用建設機械の平面図、(B)同側面図、(C)同要部の切羽側から見た正面図
図2】(A)給水管を把持する方法を示す要部の説明図、(B)同要部の説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係るトンネル用の建設機械は、支保工の建込作業、金網設置その他の付帯作業、コンクリート吹付作業、フォグ噴射作業をする装置を備えている。以下、図1に基づき本発明によるトンネル工事用建設機械の実施の形態を説明する。
【0018】
1は台車本体であって、移動車両装置である。台車本体1は切羽2側から見て右側の前端部にアウトリガー3と切羽2側から見て左側の前端部にアウトリガー(図示せず)があり、本実施の形態ではコンクリート吹付時とフォグ噴射時に車体を支持し安定性を保つため備えられている。
【0019】
次にフォグ噴射作業をする一対のエレクター装置について、切羽2から見た右側と左側の装置は左右対称で、同じ実施の形態となるための右側の装置のみを説明する。
【0020】
4はエレクターブームであって、台車本体1の切羽2側から見て右側の前端部に設けたブラケット5に取付けられており、ブラケット5を支点として油圧シリンダ6による上下縦の搖動動作と油圧シリンダ7による左右横の旋回動作をするようになっている。
【0021】
またエレクターブーム4は複数段のブームからなるテレスコープ構造の一部であり、エレクターブーム4の先端にエレクターブーム9が取付けられており、油圧シリンダ10によりエレクターブーム4とエレクターブーム9が伸縮動作する。
【0022】
またエレクターブーム9の先端にエレクターブーム11が取付けられており、エレクターブーム9の内部にある油圧シリンダ(図示せず)により、エレクターブーム9とエレクターブーム11は伸縮動作する。
【0023】
15は支保工キャッチャーであって、回動部12と回動部14を介してエレクターブーム11の先端に取付けられており、把持爪19と把持爪23と油圧シリンダ18を構成しており、支保工キャッチャー15は、回動部12は内部の油圧シリンダ(図示せず)がピン13を中心として上下縦の搖動動作と、回動部14は油圧シリンダ16によりピン82を中心として左右横の旋回動作をする。
【0024】
また支保工キャッチャー15は、油圧シリンダ18によりピン17を中心として旋回動作をする。
【0025】
把持爪19は、支保工キャッチャー15の支保工を把持する面の切羽2側から見て右端に取付けられ、伸縮片20と突起21と突起22を構成している。
【0026】
把持爪で23は、支保工キャッチャー15の支保工を把持する面の切羽2側から見て左端に取付けられ、伸縮片24と突起25と突起26を構成している。
【0027】
なお把持爪19および把持爪23両方の作用で一本の支保工を把持するが、それぞれ内部に油圧シリンダ(図示せず)が設けられ、この油圧シリンダ(図示せず)が駆動し、把持爪19は伸縮片20の動きで突起21と突起22の間隔が変化し、把持爪23は伸縮片24の動きで突起25と突起26の間隔が変化し、それぞれ間隔を狭めることでH形鋼76を把持することができる。
【0028】
次に金網設置その他の付帯作業をする一対のバスケット装置についても、切羽2側から見た右側と左側は左右対称の同じ装置となっており右側の装置のみ説明する。
【0029】
50はバスケットブームであって、台車本体1上に設けられたベース51からブラケット52を介して取付けられ、ブラケット52を支点として油圧シリンダ53の伸縮による上下縦の搖動動作と別の油圧シリンダ(図示せず)の伸縮により左右横の旋回動作をする。
【0030】
またバスケットブーム50は複数段のブームからなるテレスコープ構造の一部であり、バスケットブーム50の先端にバスケットブーム54が取付けられており、油圧シリンダ55によりバスケットブーム50とバスケットブーム54は伸縮動作するようになっており、バスケットブーム54とバスケットブーム56についても、バスケットブーム54の内部にある油圧シリンダ(図示せず)により伸縮動作する。
【0031】
57はバスケットであって、バスケットブーム56からブラケット58を介して取付けられている。
【0032】
またバスケット57は、油圧シリンダ59と油圧シリンダ60の動きが連動しており路盤8に対し水平動作をする。
【0033】
次にコンクリート吹付作業をするコンクリート吹付装置の実施の形態について説明する。
【0034】
27はロボットブームであって、台車本体1の切羽2側の前端部中央に設けたブラケット28に取付けられており、油圧シリンダ29によりブラケット28を支点として上下縦の搖動動作と、油圧シリンダ30により左右横の旋回動作をする。
【0035】
またロボットブーム27は複数段のブームからなるテレスコープ構造の一部であり、ロボットブーム27の先端にロボットブーム31が取付けられており油圧シリンダ32によりロボットブーム27とロボットブーム31が伸縮動作する。
【0036】
またロボットブーム31の先端にロボットブーム33が取付けられており、ロボットブーム31の内部にある油圧シリンダ(図示せず)によりロボットブーム31とロボットブーム33は伸縮動作する。
【0037】
34は回動部であって、ロボットブーム33の先端に取付けられており、油圧シリンダ36と同調する油圧シリンダ35により路盤8に対し水平動作をし、油圧シリンダ37により左右横の旋回動作をする。
【0038】
38はロボットアームであって、回動部34の先端に取付けられており、ピン39を軸に内部にある油圧シリンダ(図示せず)により上下縦の搖動動作をするようになっている。
【0039】
40はコンクリート圧送ポンプであって、台車本体1の最後部坑口83側に取付けられており、吹付コンクリート材の投入口となるものである。
【0040】
41はコンクリート配管であって、コンクリート圧送ポンプ40から台車本体1の側面を通り継手84まで配管されている。
【0041】
42はコンクリート吹付用のコンプレッサーであって、圧縮空気を送るためのコンクリート吹付用の空気ホース(図示せず)が取付けられており、空気ホース(図示せず)はY字管43を介してコンクリート配管41に繋がっている。
【0042】
44はコンクリートホースであって、継手84で繋がれており、途中でY字管48が取付けられている。
【0043】
45は急結剤圧送用のコンプレッサーであって、圧縮空気を送る急結剤圧送用の空気ホース(図示せず)が取付けられており、空気ホース(図示せず)は急結剤添加装置46に繋がっている。
【0044】
急結剤添加装置46には、急結剤ホース47が取付けられており、Y字管48まで配管されている。
【0045】
49は吹付ノズルであって、コンクリートホース44の先端に取付けられており、吹付用のコンクリート材の吐出口となるものである。
【0046】
以上、次にフォグ噴射作業をするための給水手段の実施の形態について説明する。
【0047】
61は水タンクであって、適宜トンネル内で使用される水であり、常時貯水されている。
【0048】
62は給水ポンプであって、水タンク61と水ホース63で繋がっている。
【0049】
64は配水管であって、トンネルの周壁部79に設置されていて、水ホース65で給水ポンプ62と繋がっており、先端に継手67で水ホース66が取付けられている。
【0050】
68は増圧ポンプであって、水ホース66が継手69にて接続されている。また増圧ポンプ68には水流が分岐するように水ホース(図示せず)とその先端にT字管(図示せず)が取り付けられ、水ホース70及び水ホース170が取付けられている。なお本発明のトンネル工法の実施の形態時以外は、水ホース66は取外されている。
【0051】
水ホース70は、切羽2側から見て右側のエレクター装置に備えるためにエレクターブーム4の長尺方向に沿って取り付けられ、水ホース170は、左側のエレクター装置に備えるためエレクターブーム104長尺方向に沿って取付けられている。
【0052】
71は給水管であって、給水管71の外径は48.6mmとし、切羽2からみたトンネル周壁79の右側の形状に沿う半アーチ型となっており、水ホース70の先端に継手72で接続されている。また図2(A)に示す通り支保工キャッチャー15が把持するための取手としてH形鋼76が、取付ブラケット77及び78を介して取付けられている。
【0053】
なお取付ブラケット77は図2(B)に示す通り、T型の鋼材であり、H形鋼76及び給水管71に溶接85にて取付けるが、別の取付方法でも構わない。取付ブラケット78も同じ実施の形態である。
【0054】
また給水管71は端部73及び74はふたで塞がれており、フォグノズル75が10cmピッチに半アーチ型の弧の内側に取付けられている。
【0055】
またフォグノズル75は、穴径を0.15~0.20mmとし、平均粒子径10~25μmのドライフォグを噴射できるものを使用する。
【0056】
またフォグノズル75は、フォグ(霧)の噴射の向きが、本発明のトンネル工法の実施の形態で、給水管71と給水管171でアーチが形成されるとき、端部173と端部174を結ぶ線とトンネル長尺方向のセンターラインと交差する点になるように取付ける。
【0057】
但しこれに限定されず、噴射したフォグ(霧)がトンネル断面を遮断するように覆われるのであれば適宜ノズルの向きやピッチを変えても構わない。
【0058】
また給水管71は、端部73がトンネル断面中心線上の天井頂点(最上部)或いは天井頂点付近に位置したとき、トンネル断面に平行となるようトンネル周壁79に沿って半アーチ型をし、端部74がスプリングラインに達する長さにする。
【0059】
171は給水管であって、切羽2から見たトンネル周壁79の左側のアール形状に沿う半アーチ型となっており、給水管71に対しトンネル長尺方向のセンターラインに対象となるように配置され、実施の形態は給水管71と同じである。
【0060】
なおエレクター装置は、支保工建込作業でも使用されることもあり、本発明のトンネル工法の実施の形態時以外は、給水管71は支保工キャッチャー15から取外され、水ホース70を取外し、給水管171は支保工キャッチャー115から取外され、水ホース170を取外し、作業時まで適宜所定の場所に移動させて置いてある。
【0061】
次に本発明のトンネル用建設機械によるトンネル工法の実施の形態について説明する。
【0062】
まず台車本体1を給水管71及び給水管171の積込み位置まで移動させ、支保工キャッチャー15及び115の把持面を上向きにして積込み態勢にする。又は積込み態勢にしたまま積込み位置まで移動する。
【0063】
次に揚重機(図示せず)で、給水管71を置き場(図示せず)から吊上げ、把持面が上向きとなった支保工キャッチャー15に、取手であるH形鋼76を把持させて給水管71を積込み、給水管71の継手72に水ホース70を繋ぐ。
【0064】
次に揚重機(図示せず)で、給水管171を置き場(図示せず)から吊上げ、把持面が上向きとなった支保工キャッチャー115に、取手であるH形鋼176を把持させて給水管171を積込み、給水管171の継手172に水ホースを繋ぐ。
【0065】
尚、給水管71を支保工キャッチャー15へ、また給水管171を支保工キャッチャー115への積込み作業は、適宜どちらが先でも構わない。また同時でもよい。
【0066】
次に増水ポンプ66の継手69に水ホース66を繋ぐ。
【0067】
次に台車本体1をコンクリート吹付する且つフォグ噴射する位置まで移動させる。このとき許容範囲内で、本発明のトンネル工法の実施の形態時に、なるべく給水管71及び給水管171が、台車本体1から離れる位置にする。
【0068】
次にアウトリガー3ともう片側のアウトリガー(図示せず)を下げ、台車本体1を支持し車体を安定させる。
【0069】
次にコンクリート圧送ポンプ40をコンクリート材料が投入できる態勢にし、トラックミキサー車(図示せず)を投入する位置に移動させる。
【0070】
次に給水管71を、エレクターブーム4の搖動及び旋回動作、エレクターブーム9及び11による伸縮動作、回動部12の搖動動作、回動部14の旋回動作、支保工キャッチャー15の旋回動作にて、切羽2から坑口に向かって1.0mから1.2m離れた位置に、給水管71の端部73がトンネル断面中心の頂点又は頂点付近に位置し、給水管71の長尺方向がトンネル断面の切羽2から見た右側に、トンネル断面と平行となるようにしてトンネルの周壁79に接する又は隙間が10cm以内になるように配置する。
【0071】
次に給水管171を、エレクターブーム104の搖動及び旋回動作、エレクターブーム109及び111による伸縮動作、回動部112の搖動動作、回動部114の旋回動作、支保工キャッチャー115の旋回動作にて、切羽2から坑口102に向かって1.0mから1.2m離れた位置に、給水管171の端部173がトンネル断面中心の頂点又は頂点付近に位置し、給水管171の長尺方向がトンネル断面の切羽2から見た左側に、トンネル断面と平行となるようにしてトンネルの周壁79に接する又は隙間が10cm以内なるように配置する。
【0072】
なお給水管71及び171の配置作業の順番はどちらが先でも構わない。また同時でもよい。
【0073】
この給水管71と給水管171の配置により、スプリングラインより上部のトンネル断面に平行にとなる給水管のアーチができる。このとき端部73と端部173は接しているが、20cm以内の隙間が生じていても構わない。
【0074】
次にロボットブーム27の搖動動作と旋回動作、ロボットブーム31及びロボットブーム33の伸縮動作、回動部34の水平動作と旋回動作、ロボットアーム38の搖動動作により、吹付ノズル49を、切羽2の吹付位置にまで移動させ吐出口を吹付の目的箇所に向ける。
【0075】
このとき吹付ノズル49先端の吐出口は、給水管71と給水管171で形成されたアーチより、切羽2側に位置している。
【0076】
次に水タンク61から水ホース63を介して給水ポンプ62に給水すると、次に給水ポンプ62から水ホース65を介して配水管64へ給水され、次に配水管64から水ホース66を介して増圧ポンプ68に給水され、次に増圧ポンプ68から水ホース(図示せず)及びT字管(図示せず)を介して分岐し水ホース70及び170に給水され、給水管71及び171が給水されると、フォグノズル75からフォグ(霧)が噴射される。
【0077】
またフォグ(霧)の噴射の向きが、給水管71と給水管171でアーチが形成されるとき、端部173と端部174を結ぶ線とトンネル長尺方向のセンターラインと交差する点になるように取り付けられているので、給水管71と171で形成されるアーチの下側(弧の内側)はトンネル断面を遮断する壁状のフォグ(霧)で覆われる。
【0078】
また給水管71と給水管171のトンネル壁面に壁に接する若しくは隙間が10cm以内になるように配置されることで、ほぼトンネル断面全体が壁状のフォグ(霧)で覆われる。
【0079】
次に事前にコンクリート材料の投入場所に配置したトラックミキサー車から吹付用コンクリート材をコンクリート圧送ポンプ40に投入する。
【0080】
次にコンクリート圧送ポンプ40による圧送により、コンクリート材料が、コンクリート配管41を通り、途中で吹付用コンプレッサー42からの圧縮空気がY字管43を介し合合流することで、更に圧送力を高めながらコンクリートホース44内を通りY字管48まで送られ、同時に急結剤圧送用コンプレッサー45から空気ホース(図示せず)で、急結剤添加装置46に圧縮空気を送り、急結剤が急結剤ホースを47通ってY字管48まで送られ、Y字管48で圧縮空気を含んだコンクリート材に急結剤が加わり、コンクリートホース44を通って吹付ノズル49から吐出される。
【0081】
尚、吹付けるときは吹付ノズル49を操作する作業員をアウトリガー付近に配置するが、給水管71と171で形成されるアーチの下側(弧の内側)の壁状のフォグ(霧)により、吹付されている切羽2側と作業員側との空間がトンネル断面と平行に遮断されている、
【0082】
このため切羽2側の吹付で発生する粉塵が、切羽2側の空間に閉じ込められ作業員が曝露されない。
【0083】
また散布するのがミストより粒子の細かいフォグ(霧)により、気化するのが早く、路盤8やトンネル工事用建設機械や作業員が水滴に浸ることを軽減できる。
【0084】
更に、台車本体1から装置の許容範囲まで、給水管71及び171を離した位置でのフォグ(霧)噴射により、トンネル用建設機械や作業員への湿気の影響を軽減できる。
【0085】
次にコンクリート吹付を終えるときは、まず吹付用コンクリート材の流れを止めるために、トラックミキサー車(図示せず)を停止させ投入場所から待機場所へ移動させる。
【0086】
次にコンクリート吹付用コンプレッサー42を停止させ圧縮空気を止める。また急結剤圧送用のコンプレッサー45と急結剤添加装置46も停止させ急結剤を送るのを止める。
【0087】
次にロボットブーム27の搖動動作と旋回動作、ロボットブーム31及びロボットブーム33の伸縮動作、回動部34の水平動作と旋回動作、ロボットアーム38の搖動動作により、吹付ノズル49を作業前の位置に戻す。
【0088】
次に増圧ポンプ68を停止させフォグノズル75からのフォグ(霧)噴射を止める。また水タンク61からの給水も止める。
【0089】
次に給水管71を、エレクターブーム4の搖動及び旋回動作、エレクターブーム9及び11の伸縮動作、回動部12の搖動動作、回動部14の旋回動作、支保工キャッチャー15の旋回動作にて、給水管71を積込むときの姿勢に戻す。
【0090】
次に給水管171を、エレクターブーム104の搖動及び旋回動作、エレクターブーム109及び111の伸縮動作、回動部112の搖動動作、回動部114の旋回動作、支保工キャッチャー115の旋回動作にて、給水管171を積込むときの姿勢に戻す。
【0091】
次にコンクリート圧送ポンプ40を作業前の位置に戻す。
【0092】
次に下ろしていたアウトリガー3ともう一方のアウトリガー(図示せず)を上げる。
【0093】
次に台車本体1を給水管の置き場(図示せず)まで移動させ、給水管71に接続している水ホース70を外し、また給水管171に接続している水ホース170を外し、また増圧ポンプ68に接続している水ホース66を外す。
【0094】
次に給水管71及び171を揚重機(図示せず)で所定の置き場(図示せず)に戻す。
【0095】
次に台車本体1を次回工程のための所定の待機場所へ移動させる。
【0096】
以上が本発明のトンネル工法の実施の形態であるが、フォグ噴射しながらコンクリート吹付するのであれば、適宜作業の順番を変えても構わない。
【符号の説明】
【0097】
1 台車本体
2 切羽
3 アウトリガー
4、104 エレクターブーム
5、105 ブラケット
6、106 油圧シリンダ
7、107 油圧シリンダ
8 路盤
9、109 エレクターブーム
10、110 油圧シリンダ
11、111 エレクターブーム
12、112 回動部
13、113 ピン
14、114 回動部
15、115 支保工キャッチャー
16、116 油圧シリンダ
17、117 ピン
18、118 油圧シリンダ
19、119 把持爪
20、120 伸縮片
21、121 突起
22、122 突起
23、123 把持爪
24、124 伸縮片
25、125 突起
26、126 突起
27 ロボットブーム
28 ブラケット
29 油圧シリンダ
30 油圧シリンダ
31 ロボットブーム
32 油圧シリンダ
33 ロボットブーム
34 回動部
35 油圧シリンダ
36 油圧シリンダ
37 油圧シリンダ
38 ロボットアーム
39 ピン
40 コンクリート圧送ポンプ
41 コンクリート配管
42 コンクリート吹付用のコンプレッサー
43 Y字管
44、144 コンクリートホース
45 急結剤圧送用コンプレッサー
46 急結剤添加装置
47 急結剤ホース
48 Y字管
49 吹付ノズル
50、150 バスケットブーム
51 ベース
52、152 ブラケット
53、153 油圧シリンダ
54、154 バスケットブーム
55、155 油圧シリンダ
56、156 バスケットブーム
57、157 バスケット
58、158 ブラケット
59、159 油圧シリンダ
60、160 油圧シリンダ
61 水タンク
62 給水ポンプ
63 水ホース
64 配水管
65 水ホース
66 水ホース
67 継手
68 増圧ポンプ
69 継手
70、170 水ホース
71、171 給水管
72、172 継手
73、173 端部
74、174 端部
75 フォグノズル
76、176 H形鋼
77、177 取付ブラケット
78、178 取付ブラケット
79 周壁
82、182 ピン
83 坑口
84 継手
85 溶接
図1(A)】
図1(B)】
図1(C)】
図2(A)】
図2(B)】