(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120135
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】巻線型パワーインダクター
(51)【国際特許分類】
H01F 17/04 20060101AFI20230822BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
H01F17/04 A
H01F27/29 F
H01F27/29 H
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022128907
(22)【出願日】2022-08-12
(31)【優先権主張番号】10-2022-0020673
(32)【優先日】2022-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】522322790
【氏名又は名称】エルエス・コミュニケーション・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ソル・シン
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070BA03
5E070CA11
5E070CA20
5E070EA06
5E070EB04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コアに巻かれたコイルの断線及び離脱を防止するために改善された巻線型パワーインダクターを提供する。
【解決手段】コア10と、コアに巻かれたコイル20を備えた巻線型パワーインダクター100において、コイル20は、断線とコアからの離脱を防止するために、少なくとも2本以上が縒られてなされたツイストコイルである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアと、前記コアに巻かれたコイルを備えた巻線型パワーインダクターにおいて、
前記コイルは、断線と前記コアから離脱を防止するために、少なくとも2本以上が縒られてなされたツイストコイルであることを特徴とする、巻線型パワーインダクター。
【請求項2】
前記コアは、
前記ツイストコイルが巻かれる胴体部と、
前記胴体部の下部に備えられ、前記胴体部の外部に突設されて、前記胴体部から引き出された前記ツイストコイルの両端部が巻かれてソルダリングが行われるようになった端子部と、を含み、
前記端子部には、前記ツイストコイルが少なくとも2回以上繰り返して巻かれた繰り返し巻取ツイストコイルが巻かれて固定されたことを特徴とする、請求項1に記載の巻線型パワーインダクター。
【請求項3】
前記端子部には、前記繰り返し巻取ツイストコイルが前記端子部に固定されるように巻取固定溝が形成されたことを特徴とする、請求項2に記載の巻線型パワーインダクター。
【請求項4】
前記巻取固定溝は、所定の深さに形成された引き込み溝が前記端子部の側面と底面とに延設されたことを特徴とする、請求項3に記載の巻線型パワーインダクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻線型パワーインダクターに係り、より詳細には、コアに巻かれたコイルの断線及び離脱を防止するために改善された巻線型パワーインダクターに関する。
【背景技術】
【0002】
各種の電子機器や部品の高性能化とスリム化との趨勢によって、ノート型パソコン、モバイル機器、LCDテレビやモニタ、コンピュータ(PC)などで小型化された電源供給装置が要求されている。
【0003】
そして、前記電源供給装置に装着される超小型のインダクターに対する需要も増加している。
【0004】
一般的に、インダクターは、抵抗コンデンサーなどと共に電気回路を成す最も重要な部品の1つであって、銅やアルミニウムなどを絶縁性材料で包んでネジ状に数回巻いたソレノイドまたは導線を複数回巻いたコイルで形成される最も基本的な回路部品かつ回路素子である。
【0005】
このようなインダクターは、サイズによって、チップインダクターと一般インダクターとに区分されるか、巻線形態によって、積層型インダクターと巻線型インダクターとに区分し、ターミナル形態によって、DipタイプとSMD(回路基板表面実装型)タイプとのパワーインダクターと、コアの形状によって、空芯コイル(コアがない)、トロイダル(指輪型コア)、バー(Bar)コイルなどと、コイルが外部にオープン(Open)されているノンシールド(Non-shield Open)タイプとシールドタイプ(電子Noise遮蔽になる)とに区分されている。
【0006】
図1には、前記インダクタータイプのうち、超小型の巻線型パワーインダクターの正面図が示されている。
【0007】
図1を参照すれば、従来の超小型の巻線型パワーインダクター10aは、コア1と、このコア1に巻かれたコイル(または、ワイヤ)2を含んで構成される。
【0008】
そして、前記コイル2の両端部は、コア1に形成された巻取溝1aに巻かれてソルダリング(soldering)されて固定される。
【0009】
ところで、前記のように構成された従来の超小型の巻線型パワーインダクター10aのコイル2は、その直径が0.1mm以下からなり、0.04~0.05mmのコイルが主に使われている。
【0010】
このように、前記コイル2の直径が過度に細くて、よく細線とも呼ぶ。
【0011】
これにより、コイル2をコア1に巻き取る工程またはソルダリングする工程でコイル2が過度に細くて、コイル2の断線が頻繁に発生した。
【0012】
特に、ソルダリングする工程でコイル2がコア1の端子部エッジ(E)に突き刺されて断線が頻繁に発生する。
【0013】
このような問題点によって、従来のパワーインダクター10aは、品質が低下するという問題点があった。
【0014】
また、従来の超小型の巻線型パワーインダクター10aのコイル2は、前記問題点によって、コイル2がコア1に巻かれる過程中にコイル2がコア1から離脱するという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】韓国登録特許第10-0779859号公報
【特許文献2】韓国登録実用新案第20-0298771号公報
【特許文献3】韓国登録実用新案第20-0238290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、前記問題点を解決するために創出されたものであって、コイルがコアから断線及び離脱されないようにした巻線型パワーインダクターを提供するところにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記目的を果たすための本発明の巻線型パワーインダクターは、コアと、前記コアに巻かれたコイルを備えた巻線型パワーインダクターにおいて、前記コイルは、断線と前記コアから離脱を防止するために、少なくとも2本以上が縒られてなされたツイストコイルであることをその特徴とする。
【0018】
本発明において、前記コアは、前記ツイストコイルが巻かれる胴体部;前記胴体部の下部に備えられ、前記胴体部の外部に突設されて、前記胴体部から引き出された前記ツイストコイルの両端部が巻かれてソルダリングが行われるようになった端子部;を含み、前記端子部には、前記ツイストコイルが少なくとも2回以上繰り返して巻かれた繰り返し巻取ツイストコイルが巻かれて固定される。
【0019】
本発明において、前記端子部には、前記繰り返し巻取ツイストコイルが前記端子部に固定されるように巻取固定溝が形成される。
【0020】
本発明において、前記巻取固定溝は、所定の深さに形成された引き込み溝が前記端子部の側面と底面とに延設される。
【発明の効果】
【0021】
本発明の実施形態によれば、コアに巻かれるコイルを2本以上縒って作ったツイストコイルを適用することにより、コイルの断線及び離脱を防止することができる。
【0022】
しかも、コアの端子部にツイストコイルを2回以上繰り返して巻いた繰り返し巻取ツイストコイルを巻いて固定することにより、端子部からコイルが断線及び離脱されないようにした。
【0023】
特に、ソルダリング時に発生した断線を防止可能になった。
【0024】
したがって、コアに巻かれるコイルの断線及び離脱が防止されるので、巻線型パワーインダクターの品質や性能を向上させうる。
【0025】
また、ツイストコイルは2本以上が縒れたものなので、ツイストコイルの巻かれ回数を減らせて、巻線型パワーインダクターの生産性を向上させうる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】従来の超小型の巻線型パワーインダクターの正面図である。
【
図2】本発明による巻線型パワーインダクターの全体構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して、本発明による望ましい実施形態を詳しく説明する。
【0028】
図2には、本発明による巻線型パワーインダクターの全体構成を示す斜視図が示されている。
【0029】
そして、
図3には、
図2の正面図が示されており、
図4には、
図2のコアの底面斜視図が示されている。
【0030】
図5には、
図2のコイルの詳細斜視図が示されている。
【0031】
図2ないし
図5を参照すれば、本発明による巻線型パワーインダクター100は、コア10と、このコア10に巻かれたコイルと、を含んで構成される。
【0032】
前記コイルは、
図5に示したように、少なくとも2本以上が縒られて(twisted)なされたツイストコイル20である。
【0033】
すなわち、前記ツイストコイル20は、2本以上のコイルが縒られてなされたものであって、1本のコイルは、0.1mm以下の直径からなる。
【0034】
したがって、前記ツイストコイル20の厚さは、少なくとも0.2mm前後の厚さになる。
【0035】
そして、前記コア10は、
図4に示したように、前記ツイストコイル20が巻かれる胴体部11と、この胴体部11の下部に備えられるが、胴体部11の外部に突設されて、胴体部11から引き出されたツイストコイル20の両端部が巻かれてソルダリングが行われるようになった端子部12と、を含んで構成される。
【0036】
この際、前記端子部12には、ツイストコイル20が少なくとも2回以上繰り返して巻かれた繰り返し巻取ツイストコイル25が巻かれて固定される。
【0037】
ところで、前記のように、ソルダリング時に、従来には断線が発生したが、本発明では、それを防止するために、コイルを少なくとも2回以上繰り返して巻かれた繰り返し巻取ツイストコイル25からなるようにして巻かれて固定されることにより、ソルダリング時に断線が防止される。
【0038】
また、
図4に示したように、前記端子部12には、前記繰り返し巻取ツイストコイル25が端子部12に固定されるように巻取固定溝12a、12bが形成される。
【0039】
このような巻取固定溝12a、12bは、
図4に示したように、所定の深さに形成された引き込み溝が端子部12の前後側面と底面とに延設される。
【0040】
前記したような構成を有する本発明による巻線型パワーインダクターの作用を説明すれば、次の通りである。
図2ないし
図5を再び参照すれば、本発明による巻線型パワーインダクター100は、まず、2本以上にコイルを縒ってツイストコイル20を製造する。
その後、前記ツイストコイル20をコア10の胴体部11に数回巻く。
引き続き、前記胴体部11にツイストコイル20の巻線が終了すれば、前記ツイストコイル20の両端部を端子部12の左右端部に形成された巻取固定溝12a、12bにそれぞれ巻く。
この際、前記ツイストコイル20を巻取固定溝12a、12bに2回以上繰り返して巻いた繰り返し巻取ツイストコイル25が巻かれるようにする。
引き続き、ソルダリングを実施して繰り返し巻取ツイストコイル25を巻取固定溝12a、12bに固定する。
【0041】
このように、ツイストコイル20をコア10に巻くことにより、コイルの断線を防止することができる。
【0042】
特に、前記端子部12の巻取固定溝12a、12bにツイストコイル20を2回以上繰り返して巻いた繰り返し巻取ツイストコイル25を巻き取ることにより、端子部12から繰り返し巻取ツイストコイル25が断線されないようにした。
【0043】
したがって、コア10に巻かれるコイルの断線が防止されるので、本発明による巻線型パワーインダクター100の品質や性能が向上する。
【0044】
そして、前記巻取固定溝12a、12bを端子部12の側面と底面とに延設させることにより、前記繰り返し巻取ツイストコイル25が巻かれる過程または固定された後にも、端子部12から離脱されない。
【0045】
また、前記ツイストコイル20は2本以上が縒れたものなので、ツイストコイル20を、特に、コア10の胴体部11に巻く時、巻かれ回数(または、巻数)を非常に減らしうる。
【0046】
したがって、巻線型パワーインダクター100の生産性を向上させうる。
【0047】
前述したように、本発明は、図面に示された一実施形態を参考にして説明されたが、これは、例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これより多様な変形及び均等な実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。
【0048】
したがって、本発明の真の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ決定されねばならない。
【符号の説明】
【0049】
10 コア
11 胴体部
12 端子部
12a、12b 巻取固定溝
20 ツイストコイル
25 繰り返し巻取ツイストコイル
100 パワーインダクター