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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120136
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】美容マスク
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20230822BHJP
【FI】
A61N1/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022134548
(22)【出願日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】P 2022023161
(32)【優先日】2022-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000114628
【氏名又は名称】ヤーマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】清宮 正雄
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053JJ02
4C053JJ21
(57)【要約】
【課題】使用者によらず、電極部の肌面に対するフィット感が低下し難く、意匠性の高い美容マスクを提供すること。
【解決手段】本発明の一態様によれば、使用者の目元近傍に装着して使用される美容マスクが提供される。この美容マスクは、マスク本体と、電極部と、電源部と、制御部とを備える。電極部は、マスク本体の使用者の肌面側に設けられ、肌面に電気的刺激を与えるように構成される。電源部は、電極部へ電力を供給するように構成される。制御部は、電源部から電極部へ供給する電力を制御するように構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の目元近傍に装着して使用される美容マスクであって、
マスク本体と、電極部と、電源部と、制御部とを備え、
前記電極部は、前記マスク本体の前記使用者の肌面側に設けられ、前記肌面に電気的刺激を与えるように構成され、
前記電源部は、前記電極部へ電力を供給するように構成され、
前記制御部は、前記電源部から前記電極部へ供給する前記電力を制御するように構成されている、美容マスク。
【請求項2】
請求項1に記載の美容マスクにおいて、
前記マスク本体は、前記使用者の鼻根部に直接または間接的に当接させる硬質の当接部と
前記当接部の左右両側に延設され、前記使用者に装着するための前記当接部より軟質の装着体とを有している、美容マスク。
【請求項3】
請求項2に記載の美容マスクにおいて、
さらに、前記制御部と前記電極部とを電気的に接続する導電部を有し、
前記導電部は、前記装着体の前記当接部との接続部のうちの少なくとも1つを通過するように設けられている、美容マスク。
【請求項4】
請求項3に記載の美容マスクにおいて、
前記導電部は、前記マスク本体の内部に配置されている、美容マスク。
【請求項5】
請求項3に記載の美容マスクにおいて、
前記導電部の前記電極部側の端部は、前記電極部に埋設されている、美容マスク。
【請求項6】
請求項3に記載の美容マスクにおいて、
さらに、前記接続部に設けられ、前記接続部の曲げ変形を抑制する補強部を有する、美容マスク。
【請求項7】
請求項3に記載の美容マスクにおいて、
さらに、前記接続部に設けられ、前記接続部を液密に封止する封止部を有する、美容マスク。
【請求項8】
請求項7に記載の美容マスクにおいて、
前記導電部は、前記補強部を貫通して配置されている、美容マスク。
【請求項9】
請求項7に記載の美容マスクにおいて、
さらに、前記補強部と前記当接部とを固定する固定部を有し、
前記固定部は、前記導電部の少なくとも一部を構成している、美容マスク。
【請求項10】
請求項2に記載の美容マスクにおいて、
前記電源部および前記制御部は、前記当接部に設けられている、美容マスク。
【請求項11】
請求項10に記載の美容マスクにおいて、
前記制御部は、少なくとも1つの回路基板を備え、
前記回路基板は、前記当接部の縁部に沿って屈曲または湾曲した曲げ部を有する、美容マスク。
【請求項12】
請求項11に記載の美容マスクにおいて、
前記曲げ部には、前記制御部と前記電極部とを電気的に接続する導電部の一部を構成する端子、および前記電源部を充電するために充電器が接続される充電端子部の一部を構成する端子の少なくとも一方が設けられている、美容マスク。
【請求項13】
請求項11に記載の美容マスクにおいて、
前記少なくとも1つの回路基板は、2つの前記回路基板を含み、
前記当接部は、その左右方向の中央に前記電源部を配置し、前記電源部の左右両側のそれぞれに前記回路基板を配置し、
前記制御部は、さらに、前記2つの回路基板を接続する可撓性配線基板を備える、美容マスク。
【請求項14】
請求項11に記載の美容マスクにおいて、
前記制御部は、さらに、前記回路基板に設けられ、前記電力の供給量または供給パターンの少なくとも1つを変更する操作ボタンおよび/またはセンサを備える、美容マスク。
【請求項15】
請求項2に記載の美容マスクにおいて、
さらに、前記当接部に対して着脱自在に装着されるカバー部を有する、美容マスク。
【請求項16】
請求項15に記載の美容マスクにおいて、
さらに、前記当接部および前記カバー部の少なくとも一部を覆うように設けられ、前記当接部より軟質の被覆部を有する、美容マスク。
【請求項17】
請求項16に記載の美容マスクにおいて、
前記被覆部は、前記装着体と一体的に形成されている、美容マスク。
【請求項18】
請求項15に記載の美容マスクにおいて、
前記電源部および前記制御部は、前記当接部の前記肌面と反対側に設けられ、
前記カバー部は、前記電源部および前記制御部を密閉または封止するように、前記当接部に装着される、美容マスク。
【請求項19】
請求項1に記載の美容マスクにおいて、
前記制御部は、前記電源部から前記電極部へ供給する前記電力の波形を制御する、美容マスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美容マスクに関する。
【背景技術】
【0002】
顔の肌面(特に、目の周辺の肌面)に通電するための肌電極を有するマスクと、肌電極に電力を供給する電子コントローラ(以下、「ECU」)とを有する美容マスクが提案されている(特許文献1参照)。かかる美容マスクを使用することにより、肌質の改善やリラクゼーションを図ることができる。
しかしながら、従来の美容マスクでは、電子部品の機能およびサイズの制約上、硬質部品であるECUのサイズが大きくなり、肌電極の肌面へのフィット感が低下する場合がある。また、特許文献1に記載の美容マスクでは、左右で独立したECUを(肌電極を一体化(ユニット化)したECUを一対で)配置するため、操作部や充電端子等を2ヶ所に設ける必要があり、全体として大きくなり易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2019-133328号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明では上記事情に鑑み、使用者によらず、電極部の肌面に対するフィット感が低下し難く、意匠性の高い美容マスクを提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、使用者の目元近傍に装着して使用される美容マスクが提供される。この美容マスクは、マスク本体と、電極部と、電源部と、制御部とを備える。電極部は、マスク本体の使用者の肌面側に設けられ、肌面に電気的刺激を与えるように構成される。電源部は、電極部へ電力を供給するように構成される。制御部は、電源部から電極部へ供給する電力を制御するように構成されている。
【0006】
かかる態様によれば、使用者によらず、電極部の肌面に対するフィット感が低下し難く、意匠性の高い美容マスクを提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の美容マスクの第1実施形態を示す斜視図である。
図2図1に示す美容マスクにおいて、カバー部を取り外した状態を示す斜視図である。
図3図1に示す美容マスクを斜め下方から見た図である。
図4図2に示す美容マスクを上方から見た図である。
図5】当接部と装着体との接続部、電極部および導電部の構成を示す斜視図である。
図6図5の縦断面図である。
図7】付勢部の構成を示す縦断面図である。
図8】本発明の美容マスクの第2実施形態を示す斜視図である。
図9図8に示す美容マスクの背面図である。
図10】電極部と電源部および制御部との関係を示す正面図である。
図11】制御部の構成を示す斜視図である。
図12】当接部と装着体との接続部付近の構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0009】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュ-タが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサ-バからダウンロ-ド可能に提供されてもよいし、外部のコンピュ-タで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピュ-ティング)するように提供されてもよい。
【0010】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハ-ドウェア資源と、これらのハ-ドウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0または1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、または量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0011】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、およびメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィ-ルドプログラマブルゲ-トアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0012】
<第1実施形態>
まず、本発明の美容マスクの第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の美容マスクの第1実施形態を示す斜視図である。図2は、図1に示す美容マスクにおいて、カバー部を取り外した状態を示す斜視図である。図3は、図1に示す美容マスクを斜め下方から見た図である。図4は、図2に示す美容マスクを上方から見た図である。図5は、当接部と装着体との接続部、電極部および導電部の構成を示す斜視図である。図6は、図5の縦断面図である。図7は、付勢部の構成を示す縦断面図である。
【0013】
なお、以下の説明では、図1および図2中の紙面左手前側を「表」または「前」と、図1および図2中の紙面右奥側を「裏」または「後」とも記載する。また、図3中の紙面左奥側を「表」または「前」と、図3中の紙面右手前側を「裏」または「後」とも記載する。図4中の上側を「表」または「前」と、図3中の下側を「裏」または「後」とも記載する。さらに、図5および図6中の紙面手前側を「表」または「前」と、図5および図6中の紙面奥側を「裏」または「後」とも記載する。また、図7中の左側を「表」または「前」と、図7中の右側を「裏」または「後」とも記載する。
【0014】
図1等に示す美容マスク1は、使用者の目元近傍に装着して使用される。この美容マスク1は、両目に対応する部位にそれぞれ開口した左目孔部20Lおよび右目孔部20Rを有している。
美容マスク1は、マスク本体2と、マスク本体2に設けられた肌電極(電極部)4、バッテリ(電源部)5および制御部6とを備えている。
マスク本体2は、使用者の鼻根部に直接または間接的に当接させる硬質の当接部21と、当接部21の左右両側に延設され、使用者に装着するための当接部21より軟質の装着体22とを有している。本実施形態では、装着体22は、使用者の後頭部に巻回して装着するように構成されているが、かかる構成に限定されない。例えば、装着体22は、耳に掛ける形態でもよく、使用者が仰向けに寝転んだ状態で美容マスク1を装着した場合に、目の周辺に密着する形態でもよい。
【0015】
当接部21は、π字状をなす板状の硬質部材で構成されている。当接部21の構成材料(硬質材料)としては、例えば、ABS樹脂、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイドのような樹脂材料、アルミニウムまたはアルミニウム合金のような金属材料等が挙げられる。
本実施形態では、当接部21の設置面211(使用者の肌面と反対側)には、バッテリ5および制御部6が設けられている。この場合、当接部21は、バッテリ5および制御部6を支持する支持部を構成している。具体的には、設置面211を有する支持板21aと、支持板21aの縁部に沿って立設した壁部21bとで構成されている。かかる構成により、当接部21の機械的強度を向上させたり、バッテリ5および制御部6を格納する空間を確保することもできる。また、壁部21bは、後述するように補強部8との固定に使用される。
なお、制御部6は、当接部21の設置面211(肌面と反対側)に設けずに、当接部21の裏面(肌面側)に設けるようにしてもよい。
【0016】
また、バッテリ5も、当接部21の設置面211(肌面と反対側)に設けることなく、当接部21の裏面(肌面側)に設けるようにしてもよい。
さらに、バッテリ5および制御部6は、例えば、当接部21または当接部21の近傍にヒータを配置する場合、当接部21にも設けることなく、装着体22の当接部21と反対側の端部付近に設けるようにしてもよい。
当接部21の前面側(使用者の肌面と反対側)には、バッテリ5および制御部6を密閉または封止するように、カバー部3が装着されている。カバー部3には、図1および図2に示すように、後述する操作ボタン63が挿通される貫通孔31が形成されている。さらに、バッテリ5が充電池で構成される場合、充電ケーブルの端子を挿通可能な貫通孔も形成されていてもよい。
【0017】
なお、カバー部3は、当接部21に対して着脱自在に装着されても、当接部21に対して固定的に装着されてもよい。カバー部3を当接部21に対して着脱自在に構成することにより、美容マスク1のメンテナンス性を高めることができる。
かかるカバー部3は、当接部21と同様に硬質であってもよく、当接部21より軟質であってもよい。後者の場合、カバー部3は、後述する装着体22で挙げるのと同様の弾性材料で構成することができる。かかる構成により、カバー部3と装着体22との質感を同じにすることができるため、美容マスク1を前面(正面)側から見た際に、その外観に連続的な優れた意匠性を付与することができる。
【0018】
各装着体22は、前方側で二股に分岐しており、分岐した各端部が当接部21の対応する端部に接続されている。かかる構成により、目孔部20L、20Rは、当接部21と装着体22とにより画成されている。
また、2つの装着体22の後端部には、これらを互いに固定する固定部(図示せず)が設けられている。固定部は、例えば、面ファスナ、スナップボタン、フック等で構成することができる。
【0019】
本実施形態では、2つの装着体22は、左右でほぼ等しい長さに設定されているが、左右で異なる長さに設定されていてもよい。
装着体22の構成材料(弾性材料)としては、例えば、シリコーンゴム(Si)、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロブレンゴム(CR)、アクリロニトリルゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、ウレタンゴム(U)のようなゴム材料、軟質の樹脂材料、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。なお、装着体22の形態としては、例えば、シート体、布帛(織布、不織布)等が挙げられる。
【0020】
本実施形態の美容マスク1には、当接部21の裏面側(肌面側)を覆うように、当接部21より軟質の被覆部23が設けられている。かかる被覆部23を設けることにより、硬質の当接部21が使用者の顔に直接接触しないので、美容マスク1の使用感の向上に寄与することができる。かかる当接部21の構成材料としては、上記の弾性材料が好適である。なお、被覆部23は、当接部21の一部(例えば、当接部21の裏面下側の部分)を覆うように設けられてもよい。また、被覆部23は、カバー部3の前面側の少なくとも一部を覆うように設けられてもよい。すなわち、被覆部23は、当接部21およびカバー部3の少なくとも一部を覆うように設けられることが好ましい。
また、本実施形態では、この被覆部23は、使用者の鼻根部に直接当接させる鼻あて部231を備えている。これにより、美容マスク1の使用感をより向上することができるとともに、鼻根部において美容マスク1を上下にズレ難くすることもできる。なお、鼻あて部は、被覆部23に代えて、当接部21または装着体22に形成するようにしてもよい。
【0021】
被覆部23は、装着体22と一体的に形成されていることが好ましい。かかる構成により、美容マスク1の裏面側に段差が形成され難くなり、美容マスク1の肌面への密着性や使用感をより向上させることができる。
美容マスク1を顔に装着する際には、装着体22を引っ張った状態で、それらの端部同士を固定部において固定する。このとき、装着体22の当接部21との接続部において、装着体22と当接部21とが離間したり、装着体22が当接部21に対して折れ曲がったりし易くなる。
【0022】
そこで、本実施形態の美容マスク1では、接続部に設けられ、接続部の曲げ変形を抑制する補強部8を設けている。かかる補強部8を設けることにより、装着体22を強く引っ張っても、装着体22と当接部21との離間や、装着体22の当接部21に対する折れ曲がりを好適に防止することができる。
この補強部8の外面には、図5に示すように、周方向に沿って形成された複数の溝81を一組として、軸方向に沿って複数組が設けられている。かかる構成により、補強部8と装着体22との接触面積を増大させ、補強部8の装着体22からの離脱を好適に防止することができる。
なお、離脱防止効果をより向上させる観点からは、装着体22は、好ましくは補強部8をインサート成形することにより作製される。
【0023】
補強部8は、美容マスク1の構成(特に、後述する導電部9の構成)に応じて、絶縁性であっても、導電性であってもよい。この点については、後に説明する。
補強部8が絶縁性である場合、その構成材料(絶縁材料)としては、当接部21で挙げたのと同様の樹脂材料の他、各種セラミックス材料が挙げられる。
一方、補強部8が導電性である場合、その構成材料(導電材料)としては、金属単体、金属単体を含む合金のような各種金属材料が挙げられる。
また、当接部21の壁部21bの面積(図5中、点線で囲まれる領域の面積)は、補強部8の当接部21側の端面の面積(凹部82が形成された端面の外縁で囲まれる領域の面積)より大きく設定されている。これにより、接続部におけるシール機能を高めることができる。
【0024】
各装着体22の裏面(使用者の肌面側)には、肌電極(電極部)4が設けられている。肌電極4は、使用者が美容マスク1を装着することにより、使用者の肌面に接触して電気的刺激を与えるように構成されている。本実施形態では、肌電極4は、目元下方からこめかみに至る肌面の領域に接触し得るように幅広の円弧形状(換言すれば、湾曲した楕円形状)をなしている。これにより、肌電極4は、側頭筋および眼輪筋に対応して電気的刺激を与えることができるようになっている。
この肌電極4は、例えば、湾曲変形可能な薄板を、導電ゴム製の被膜で被覆して構成することができる。その他、肌電極4は、単なる金属板、導電メッキ処理が施された樹脂製の薄板、導電ゴム製の薄板、導電インクが印刷された樹脂製のフィルム、導電繊維の編組体等が挙げられる。
なお、肌電極4は、当接部21の裏面側に設けるようにしてもよく、美容マスク1の使用目的(例えば、マッサージしたい筋肉の位置)に応じて、マスク本体2の裏面(または裏面側)の任意の位置に配置することができる。特に、本実施形態では、バッテリ5および制御部6をコンパクトに鼻根部に対応する当接部21に集中して配置するので、肌電極4の形状や配置を自由に設計することができるというメリットがある。
【0025】
装着体22は、図7に示すように、その内部(肌電極4の肌面と反対側)に設けられた付勢部24を有する。この付勢部24は、美容マスク1を使用者に装着した状態で、肌電極4を肌面側に付勢するように構成されている。
付勢部24は、装着体22の内部の肌電極4と対応する位置に、密閉空間241を形成し、この密閉空間241内に液体、気体、バネ、反発磁石、発泡体のような付勢用媒体を収納する構成が挙げられる。かかる付勢部24を設けることにより、肌電極4の肌面への密着性をより向上することができる。なお、付勢用媒体として、液体または気体を使用する場合、密閉空間241内の充填量を、装着体22(美容マスク1)の外部から調整可能に構成することが好ましい。
また、肌電極4を当接部21にも設ける場合には、付勢部24と同様の構成を採用することができる。
【0026】
本実施形態では、図2および図3に示すように、制御部6は、2つのプリント回路基板(PCB)61L、61Rを備えている。そして、バッテリ5は、当接部21の左右方向の中央に配置され、2つのプリント回路基板61L、61Rは、バッテリ5の左右両側に配置されている。
かかる構成によれば、硬質部品であるバッテリ5およびプリント回路基板61L、61Rを、顔の中心部(正中に沿った部分およびその周辺)に位置する硬質の当接部21に搭載する。したがって、バッテリ5およびプリント回路基板61L、61Rを肌電極4と個別に(ユニット化することなく)設けるので、肌電極4の近傍に硬質部品が配置されない。このため、装着体22を引っ張った状態で美容マスク1を装着すれば、使用者によらず、肌電極4を肌面の形状に沿って密着させ得る。よって、肌電極4の肌面に対するフィット感が低下し難い。また、装着体22に硬質部品が存在しないため、硬質部品の外形形状に追従した装着体22の変形も防止し得るので、美容マスク1の高い意匠性を好適に維持することもできる。
【0027】
また、当接部21は、図2および図4に示すように、バッテリ5および2つのプリント回路基板61L、61Rを設置する設置面(表面)211を備えている。そして、2つのプリント回路基板61L、61Rは、それぞれバッテリ5側の端部611と設置面211との離間距離が、バッテリ5と反対側の端部612と設置面211との離間距離より大きくなるように傾斜して配置されている。かかる構成により、当接部21の左右方向のサイズを大きくすることなく、2つのプリント回路基板61L、61Rを設置することができる。すなわち、美容マスク1の左右方向への大型化を防止して、高い意匠性をより好適に維持することができる。
バッテリ5は、肌電極4へ電力を供給するように構成されている。このバッテリ5には、例えば、乾電池、太陽電池、燃料電池、リチウムイオン二次電池、全固体電池、リチウムポリマ-電池等を使用することができる。
【0028】
制御部6は、バッテリ5から肌電極4へ供給する電力を制御するように構成されている。ここで、電力の制御とは、電圧値、電流値、波形、周波数、パルス幅、通電方向、通電箇所、通電時間および通電順序のうちの少なくとも1つを設定することを言う。特に、制御部6は、バッテリ5から肌電極4へ供給する電力の波形を制御することが好ましい。
具体的には、制御部6の制御により、バッテリ5からの電力を所定の周波数の電流として肌電極4に供給して、EMS(Electrical Muscle Stimulation)と呼ばれる電気的筋肉刺激を生じさせる。EMSでは、数Hz~数kHzの周波数で電気刺激を使用者の肌面に付与することで、筋収縮を生じさせて筋肉運動をさせたり、緊張をほぐす作用があることが広く知られている。
本実施形態では、肌電極4の形状により、側頭筋のリリース効果、眼輪筋のトレーニング効果を合わせて得ることができる。したがって、美容マスク1によれば、目の下のたるみなどの目元周りの美容効果が格段に向上する。
その他、肌電極4は、イオン導入、マイクロカレント供給、加熱(加温)、高周波(RF)付与等の用途に使用することもできる。
【0029】
また、制御部6は、図2に示すように、バッテリ5を跨いで、2つのプリント回路基板61L、61Rを接続する可撓性配線基板(FPC)62を備えている。2つのプリント回路基板61L、61Rの接続に可撓性配線基板62を使用することにより、可撓性配線基板62をカバー部3の内側に折り畳んで収納することができ、よって、カバー部3のデッドスペースを有効利用することができる。
さらに、制御部6は、可撓性配線基板62に設けられた2つの操作ボタン63を備えている。これらの操作ボタン63は、電力の供給量または供給パターン(モード)の少なくとも1つを変更可能とされている。なお、電力の供給量の変更には、電力供給(電源)のオン/オフも含む。
【0030】
2つの操作ボタン63は、図1に示すように、カバー部3の貫通孔31に挿通され、美容マスク1の外部に露出する。可撓性配線基板62は、上述のように折り畳み可能なことから、可撓性配線基板62に操作ボタン63を配置することにより、操作ボタン63のカバー部3からの露出パターンの選択の幅を拡大することができる。
なお、操作ボタン63に代えて、または操作ボタン63とともに、操作ボタン63と同様の機能を発揮するセンサを設けるようにしてもよい。かかるセンサには、例えば、指の近接を検出可能な静電容量センサ等を採用することができる。
【0031】
制御部6と肌電極4とは、導電部9を介して電気的に接続されている。本実施形態では、導電部9は、装着体22の当接部21との4つの接続部のうちの左右上側の2つの接続部を通過するように設けられている。また、導電部9は、マスク本体2の内部に配置されている。かかる構成により、美容マスク1の意匠性が低下するのを防止することができる。
補強部8の内部には、図6に示すように、ナット91およびポゴピン93がインサート成形されている。そして、当接部21の壁部21bを貫通したネジ92がナット91に螺合している。これにより、補強部8は、当接部21(壁部21b)に強固に固定されている。すなわち、本実施形態では、ナット91およびネジ92が補強部8と当接部21とを固定する固定部を構成している。
【0032】
また、図5および図6に示すように、補強部8の右側端面には、左側に凹没する一対の凹部82が形成されている。一方、当接部21の壁部21bから左側に向かって突出する一対の凸部212が形成されている。補強部8と当接部21(壁部21b)とを固定した状態で、凹部82に凸部212が挿入される。この状態で、補強部8の当接部21(壁部21b)に対するネジ92を中心とした回転が規制される。これにより、補強部8の当接部21に対する固定力をより高めることができる。
【0033】
さらに、接続部において、ナット91と当接部21の壁部との間には、シールワッシャ(封止部)Sが設けられている。このシールワッシャSは、補強部8(装着体22)と当接部21との間(すなわち、接続部)を液密に封止することができる。シールワッシャSの構成材料としては、装着体22で挙げたのと同様の弾性材料を使用することができる。
美容マスク1は、化粧液等との同時使用(併用)等、水分の多い環境で使用されることが多いが、シールワッシャSを設けることにより、美容マスク1の内部への水分の侵入、故障等を防止することができる。
【0034】
ポゴピン93のネジ92と反対側の端部には、ケーブル94が電気的に接続されている。また、このケーブル94のポゴピン93と反対側の端部には、電気接続部95が電気的に接続されている。電気接続部95は、肌電極4に直接接触している。また、ネジ92は、プリント回路基板61L、61Rの配線に電気的に接続されている。
なお、装着体22が湾曲しているため、図6の断面では、ケーブル94の一部は、装着体22に埋没しており、ケーブル94が分断されているように示されているが、実際は図5に示すように連続している。
さらに、図6では、肌電極4は、装着体22より裏側(紙面奥側)に配置されるため、本来、点線で示すべきであるが実線で示すとともに、装着体22の断面を示すハッチングの記載も省略してある。
【0035】
また、本実施形態では、ナット91およびネジ92が、金属単体、金属単体を含む合金のような各種金属材料(導電性材料)で構成されている。
以上のような構成において、ナット91、ネジ92、ポゴピン93、ケーブル94および電気接続部95により、導電部9が構成されている。したがって、導電部9は、図6に示すように、補強部8を貫通して配置されている。このように、本来、補強部8と当接部21との固定に使用するネジ92およびナット91(固定部)を導電部9の一部として使用することにより、固定機構と導電機構とを共通にすることができるため、部品点数の削減に寄与する。また、導電部9が補強部8で補強されるため、断線のような接続不良の発生を防止または抑制することができる。なお、ネジ92およびナット91により導電部9の全体を構成するようにしてもよい。
【0036】
特に、本実施形態では、ポゴピン93を使用する。ポゴピン93の内部には、スプリングが設けられ、プランジャを補強部8側に付勢している。このため、ポゴピン93のプランジャをスプリング側に押し込む程度にまで、ネジ92を締め付けることにより、ネジ92とポゴピン93との確実な電気的な接続が可能となる。
なお、必要に応じて、ポゴピン93に代えて、例えば、導電性のピンを使用してもよい。
本実施形態のように、1系統の導電部9を補強部8に配置する場合、補強部8は絶縁性であっても、導電性であってもよい。これに対して、2系統以上の導電部9を1つの補強部8に配置する場合、導電部9が互いに短絡しないように、補強部8は絶縁性とされる。
2系統以上の導電部9を1つの補強部8に配置する構成は、肌電極4を左右1つずつでなく、左右の少なくとも片側に2つ以上配置する場合に有効に使用される。
図示の構成では、補強部8は、当接部21から分離された個別の部材で構成されているが、当接部21と一体的に形成された単一の部材で構成されていてもよい。
【0037】
上述したプリント回路基板61L、61Rには、それぞれ演算素子と、記憶素子とが実装されている。
演算素子は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等で構成される。演算素子は、記憶素子に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、美容マスク1に係る種々の機能を実現する。すなわち、記憶素子に記憶されているソフトウェアによる情報処理が演算素子によって具体的に実現される。
なお、演算素子は、単一であることに限定されず、機能ごとに複数の演算素子を設けるようにしてもよい。また、それらの組合せであってもよい。
【0038】
記憶素子は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、演算素子によって実行される美容マスク1に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステ-トドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレ-ジデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施することができる。
また、記憶素子は、演算素子によって実行される美容マスク1に係る種々のプログラムや変数等を記憶している。
【0039】
<第2実施形態>
次に、本発明の美容マスクの第2実施形態について説明する。
以下、第2実施形態の美容マスク1について、上記第1実施形態の美容マスク1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図8は、本発明の美容マスクの第2実施形態を示す斜視図である。図9は、図8に示す美容マスクの背面図である。図10は、電極部と電源部および制御部との関係を示す正面図である。図11は、制御部の構成を示す斜視図である。図12は、当接部と装着体との接続部付近の構成を示す分解斜視図である。
【0040】
なお、以下の説明では、図8および図11中の紙面左手前側を「表」または「前」と、図8および図11中の紙面右奥側を「裏」または「後」とも記載する。また、図9中の紙面奥側を「表」または「前」と、図9中の紙面手前側を「裏」または「後」とも記載する。図10中の紙面手前側を「表」または「前」と、図10中の紙面奥側を「裏」または「後」とも記載する。
【0041】
第2実施形態では、当接部21の前面右側に、2つの操作ボタン63と、これらの間に発光素子64とが設けられている。発光素子64には、例えば、LED素子、有機EL素子等を使用することができる。
また、当接部21の上面中央には、充電端子部7が設けられている。充電端子部7は、図8および図10に示すように、2つの充電端子71と、各充電端子71の端部に螺合して、電気的に接続されるネジ72と、リング状の端子73とを有している。
【0042】
さらに、当接部21と各装着体22との境界部および各装着体22の裏面(使用者の肌面側)には、第1の肌電極41、第2の肌電極42および第3の肌電極43が設けられている。
使用者が美容マスク1を装着した際に、第1の肌電極41は、目尻上側付近の肌面の領域に、第2の肌電極42は、こめかみから頬骨付近の肌面の領域に、第3の肌電極43は、目の下側の肌面の領域に、それぞれ接触するように配置されている。かかる配置によって、第1の肌電極41、第2の肌電極42および第3の肌電極43は、側頭筋および眼輪筋に対応して電気的刺激を与えることができるようになっている。
【0043】
本実施形態では、第1の肌電極41と第2の肌電極42との間、および第3の肌電極43と第2の肌電極42との間で通電するように構成されている。これにより、眼球の上下に位置する第1の肌電極41と第3の肌電極43との間で通電しないため、眼球に対するリスクを回避しつつ、目の外周部のみの通電により筋収縮を完結させることができる。
また、第1の肌電極41と第2の肌電極42との離間距離、および第3の肌電極43と第2の肌電極42との離間距離を適切に(すなわち、狭くなり過ぎないように)設定している。かかる構成により、第1の肌電極41と第2の肌電極42との間での電流の集中、および第3の肌電極43と第2の肌電極42との間での電流の集中を好適に防止または抑制して、痛みの発生を緩和することができる。
【0044】
さらに、第1の肌電極41および第3の肌電極43は、それぞれ顔の中心線側(正中線側)の厚さよりも第2の肌電極42側の厚さを連続的に大きくなるように設計されている。かかる構成により、第1の肌電極41の第2の肌電極42との近接部分、および第3の肌電極43の第2の肌電極42との近接部分が、より確実に肌面に接触することができる。これにより、目の周辺の筋肉により確実に電気的刺激を与えることができる。
第1の肌電極41、第2の肌電極42および第3の肌電極43のそれぞれにおいて、導電部9の一部をインサート成形することで、その柔軟性が低下または消失している箇所では、その厚さを小さく設定することが好ましい。かかる構成により、使用者が美容マスク1を装着した際に、肌電極41、42、43が肌面へ食い込むことを低減することができる。
第1の肌電極41、第2の肌電極42および第3の肌電極43の肌面への当たりを緩和する観点からは、それらの角部にR付けすることも好ましい。
【0045】
当接部21は、T字状をなす支持板21aと、支持板21aの縁部に沿って立設された壁部21bとで構成されている。支持板21a(設置面211)は、額の形状に対応して湾曲凸状をなしている。
そして、設置面211の湾曲形状に沿って、プリント回路基板61L、61Rが配置されている。プリント回路基板61Lには、操作ボタン63の接点部631と、発光素子64の光漏れ防止部641とが実装されている。
また、プリント回路基板61Lとプリント回路基板61Rとは、可撓性配線基板62で接続されている。そして、可撓性配線基板62には、バッテリ(電源部)5が装着されている。
なお、プリント回路基板61Lおよびプリント回路基板61Rと、可撓性配線基板62とは一体的に形成されていてもよい。また、プリント回路基板61Lおよびプリント回路基板61Rは、それぞれ、その長手方向(図中、左右方向)の途中に、屈曲または湾曲した部分を有していてもよい。
【0046】
図10および図11に示すように、プリント回路基板61L、61Rおよび可撓性配線基板62は、壁部21b(当接部21の縁部)に沿って屈曲した曲げ部65を有している。なお、曲げ部65は、プリント回路基板61L、61Rおよび可撓性配線基板62を湾曲させることにより形成してもよい。
左右の曲げ部65および下側の曲げ部65には、それぞれネジ92aが挿通される貫通孔961が形成されている。また、プリント回路基板61L、61Rの可撓性配線基板62と反対側の端部には、それぞれネジ92bが挿通される貫通孔971が形成されている。
さらに、上側の曲げ部65には、ネジ72が挿通される貫通孔962が形成されている。
【0047】
そして、左右の曲げ部65および下側の曲げ部65には、貫通孔961に対応してリング状の端子96が設けられ、プリント回路基板61L、61Rの貫通孔971に対応してリング状の端子97が設けられている。これらの端子96、97は、プリント回路基板61L、61Rまたは可撓性配線基板62(すなわち、制御部6)の配線に電気的に接続されている。
また、上側の曲げ部65の貫通孔962に対応してリング状の端子73が設けられている。この端子73も、端子96、97と同様に、制御部6の配線に電気的に接続されている。
【0048】
ネジ92aは、図10および図12に示すように、端子96、曲げ部65の貫通孔961および壁部21bの貫通孔213に挿通され、補強部8のネジ穴83に螺合されている。補強部8には、図10に示すように、第2の肌電極42または第3の肌電極43に電気的に接続された帯状の配線98がネジ99により固定されている。
そして、ネジ92aを補強部8のネジ穴83に螺合させた固定状態で、補強部8の内部で、ネジ92aとネジ99とが電気的に接続されるように構成されている。また、この固定状態では、ネジ92aの頭部が端子96と圧接している。なお、補強部8自体を導電材料で構成するようにしてもよい。
かかる構成により、制御部6と第2の肌電極42および第3の肌電極43とが電気的に接続される。すなわち、端子96は、制御部6と電極部(第2の肌電極42および第3の肌電極43)とを電気的に接続する導電部9の一部を構成している。なお、端子96の形状は、リンク状に限らず、例えば、矩形状、渦巻状、帯状、櫛歯状等であってもよい。
【0049】
また、ネジ92bが端子97、プリント回路基板61L、61Rの貫通孔971および支持板21aの貫通孔(図示せず。)に挿通され、第1の肌電極41のネジ穴(図示せず。)に螺合されている。これにより、ネジ92bと第1の肌電極41とが電気的に接続される。また、この状態では、ネジ92bの頭部が端子97と圧接している。
かかる構成により、制御部6と第1の肌電極41とが電気的に接続される。すなわち、端子97は、制御部6と電極部(第1の肌電極41)とを電気的に接続する導電部9の一部を構成している。なお、端子97の形状は、リンク状に限らず、例えば、矩形状、渦巻状、帯状、櫛歯状等であってもよい。
【0050】
さらに、ネジ72が端子73、曲げ部65の貫通孔962および壁部21bの貫通孔(図示せず。)に挿通され、充電端子71のネジ穴(図示せず。)に螺合されている。これにより、ネジ72と充電端子71とが電気的に接続される。また、この状態では、ネジ72の頭部が端子73と圧接している。
かかる構成により、制御部6と充電端子71とが電気的に接続される。すなわち、端子73は、バッテリ(電源部)5を充電するために充電器(図示せず。)が接続される充電端子部7の一部を構成している。なお、端子73の形状は、リンク状に限らず、例えば、矩形状、渦巻状、帯状、櫛歯状等であってもよい。
【0051】
なお、配線98(導電部9)は、その第2の肌電極42側または第3の肌電極43側の端部が、第2の肌電極42または第3の肌電極43に埋設されていることが好ましい。この場合、マスク本体2を引っ張る等して変形させたとしても、導電部9と第2の肌電極42または第3の肌電極43との電気的な接続が遮断(切断)されることを好適に防止することができる。
かかる構成は、第2の肌電極42または第3の肌電極43を成形する際に、配線98をインサート成形することにより、容易かつ確実に得られる。
また、配線98自体も帯状で柔軟性(可撓性)を有することにより、マスク本体2を曲げたり、引っ張る等して変形させたとしても、断線等し難く、マスク本体2の柔軟性も確保することができる。
【0052】
図12に示すように、当接部21の壁部21bの凸部212は、補強部8の凹部82に挿入され、壁部21bと補強部8との位置決めがなされる。
また、当接部21の壁部21bと補強部8との間には、シールワッシャ(封止部)Sが設けられている。これにより、美容マスク1の内部への水分の侵入、故障等を防止することができる。なお、シールワッシャSは、マスク本体2(例えば、装着体22、補強部8等)と一体的に形成してもよく、マスク本体2とは別体として形成してもよい。
【0053】
次に、第1の肌電極41、第2の肌電極42および第3の肌電極43への通電方法の一例について説明する。
I:第1の肌電極41と第2の肌電極42との間、および第3の肌電極43と第2の肌電極42との間に、低周波電流(50~200Hz程度)と中周波電流(1kHz程度)とを交互に通電する。かかる低周波電流は、前頭筋、側頭筋等の硬直している筋肉を解すのに効果的であり、中周波電流と交互に通電することによりその効果がより高まる。
II:第3の肌電極43と第2の肌電極42との間に、低周波電流(数~50Hz程度)を通電する。かかる低周波電流は、眼輪筋、皺眉筋等を鍛えることができ、目元のリフトアップに効果的である。
【0054】
以上説明したような構成によれば、使用者によらず、肌電極4、41,41、43の肌面に対するフィット感が低下し難く、意匠性の高い美容マスク1を提供することができる。
さらに、次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0055】
(1)使用者の目元近傍に装着して使用される美容マスクであって、マスク本体と、電極部と、電源部と、制御部とを備え、前記電極部は、前記マスク本体の前記使用者の肌面側に設けられ、前記肌面に電気的刺激を与えるように構成され、前記電源部は、前記電極部へ電力を供給するように構成され、前記制御部は、前記電源部から前記電極部へ供給する前記電力を制御するように構成されている、美容マスク。
【0056】
(2)上記(1)に記載の美容マスクにおいて、前記マスク本体は、前記使用者の鼻根部に直接または間接的に当接させる硬質の当接部と前記当接部の左右両側に延設され、前記使用者に装着するための前記当接部より軟質の装着体とを有している、美容マスク。
【0057】
(3)上記(2)に記載の美容マスクにおいて、さらに、前記制御部と前記電極部とを電気的に接続する導電部を有し、前記導電部は、前記装着体の前記当接部との接続部のうちの少なくとも1つを通過するように設けられている、美容マスク。
【0058】
(4)上記(3)に記載の美容マスクにおいて、前記導電部は、前記マスク本体の内部に配置されている、美容マスク。
【0059】
(5)上記(3)または(4)に記載の美容マスクにおいて、前記導電部の前記電極部側の端部は、前記電極部に埋設されている、美容マスク。
【0060】
(6)上記(3)~(5)のいずれか1つに記載の美容マスクにおいて、さらに、前記接続部に設けられ、前記接続部の曲げ変形を抑制する補強部を有する、美容マスク。
【0061】
(7)上記(3)~(6)のいずれか1つに記載の美容マスクにおいて、さらに、前記接続部に設けられ、前記接続部を液密に封止する封止部を有する、美容マスク。
【0062】
(8)上記(7)に記載の美容マスクにおいて、前記導電部は、前記補強部を貫通して配置されている、美容マスク。
【0063】
(9)上記(7)または(8)に記載の美容マスクにおいて、さらに、前記補強部と前記当接部とを固定する固定部を有し、前記固定部は、前記導電部の少なくとも一部を構成している、美容マスク。
【0064】
(10)上記(2)~(9)のいずれか1つに記載の美容マスクにおいて、前記電源部および前記制御部は、前記当接部に設けられている、美容マスク。
【0065】
(11)上記(10)に記載の美容マスクにおいて、前記制御部は、少なくとも1つの回路基板を備え、前記回路基板は、前記当接部の縁部に沿って屈曲または湾曲した曲げ部を有する、美容マスク。
【0066】
(12)上記(11)に記載の美容マスクにおいて、前記曲げ部には、前記制御部と前記電極部とを電気的に接続する導電部の一部を構成する端子、および前記電源部を充電するために充電器が接続される充電端子部の一部を構成する端子の少なくとも一方が設けられている、美容マスク。
【0067】
(13)上記(11)または(12)に記載の美容マスクにおいて、前記少なくとも1つの回路基板は、2つの前記回路基板を含み、前記当接部は、その左右方向の中央に前記電源部を配置し、前記電源部の左右両側のそれぞれに前記回路基板を配置し、前記制御部は、さらに、前記2つの回路基板を接続する可撓性配線基板を備える、美容マスク。
【0068】
(14)上記(11)~(13)のいずれか1つに記載の美容マスクにおいて、前記制御部は、さらに、前記回路基板に設けられ、前記電力の供給量または供給パターンの少なくとも1つを変更する操作ボタンおよび/またはセンサを備える、美容マスク。
【0069】
(15)上記(2)~(14)のいずれか1つに記載の美容マスクにおいて、さらに、前記当接部に対して着脱自在に装着されるカバー部を有する、美容マスク。
【0070】
(16)上記(15)に記載の美容マスクにおいて、さらに、前記当接部および前記カバー部の少なくとも一部を覆うように設けられ、前記当接部より軟質の被覆部を有する、美容マスク。
【0071】
(17)上記(16)に記載の美容マスクにおいて、前記被覆部は、前記装着体と一体的に形成されている、美容マスク。
【0072】
(18)上記(15)~(17)のいずれか1つに記載の美容マスクにおいて、前記電源部および前記制御部は、前記当接部の前記肌面と反対側に設けられ、前記カバー部は、前記電源部および前記制御部を密閉または封止するように、前記当接部に装着される、美容マスク。
【0073】
(19)上記(1)~(18)のいずれか1つに記載の美容マスクにおいて、前記制御部は、前記電源部から前記電極部へ供給する前記電力の波形を制御する、美容マスク。
もちろん、この限りではない。
【0074】
前記美容マスクにおいて、前記当接部は、前記電源部および前記2つの回路基板を設置する設置面を備え、前記2つの回路基板は、それぞれ前記電源部側の端部と前記設置面との離間距離が、前記電源部と反対側の端部と前記設置面との離間距離より大きくなるように傾斜して配置されていることも好ましい。
前記美容マスクにおいて、前記制御部は、さらに、前記電源部を跨いで、前記2つの回路基板を接続する可撓性配線基板を備えることも好ましい。
【0075】
既述のとおり、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を何ら限定するものではない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0076】
例えば、本発明の美容マスクは、目孔部20L、20Rが開口(開放)することなく、封止膜で塞がれていてもよい。この場合、使用者の目に対応する部分には、凹部(窪んだ部分)が形成される。また、この場合、使用者は、美容マスクを装着した状態で、封止膜を介して外部を全く視認できない状態としてもよく、封止膜に細径の貫通孔を形成し、封止膜を介して外部を視認できる状態としてもよい。
また、本発明の美容マスクは、目孔部20L、20Rを有さず、使用者の頬および口元を覆うような形状をなしていてもよく、使用者の額およびこめかみを覆うような形状をなしていてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 :美容マスク
2 :マスク本体
20L :左目孔部
20R :右目孔部
21 :当接部
21a :支持板
21b :壁部
211 :設置面
212 :凸部
213 :貫通孔
22 :装着体
23 :被覆部
231 :鼻あて部
24 :付勢部
241 :密閉空間
3 :カバー部
31 :貫通孔
4 :肌電極(電極部)
41 :第1の肌電極
42 :第2の肌電極
43 :第3の肌電極
5 :バッテリ(電源部)
6 :制御部
61L :プリント回路基板
61R :プリント回路基板
611 :端部
612 :端部
62 :可撓性配線基板
63 :操作ボタン
631 :接点部
64 :発光素子
641 :光漏れ防止部
65 :曲げ部
7 :充電端子部
71 :充電端子
72 :ネジ
73 :端子
8 :補強部
81 :溝
82 :凹部
83 :ネジ穴
9 :導電部
91 :ナット
92 :ネジ
92a :ネジ
92b :ネジ
93 :ポゴピン
94 :ケーブル
95 :電気接続部
96 :端子
961 :貫通孔
962 :貫通孔
97 :端子
971 :貫通孔
98 :配線
99 :ネジ
S :シールワッシャ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12