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特開2023-12014ケーブルのヨレ癖を補正するための器具
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  • 特開-ケーブルのヨレ癖を補正するための器具 図1
  • 特開-ケーブルのヨレ癖を補正するための器具 図2
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  • 特開-ケーブルのヨレ癖を補正するための器具 図4
  • 特開-ケーブルのヨレ癖を補正するための器具 図5
  • 特開-ケーブルのヨレ癖を補正するための器具 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012014
(43)【公開日】2023-01-25
(54)【発明の名称】ケーブルのヨレ癖を補正するための器具
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/06 20060101AFI20230118BHJP
【FI】
H02G1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115402
(22)【出願日】2021-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】302068483
【氏名又は名称】森田 妙子
(72)【発明者】
【氏名】森田茂男
【テーマコード(参考)】
5G352
【Fターム(参考)】
5G352CK06
(57)【要約】
【課題】USBケーブルをヨレ癖が付いたままで宅内配線すると、ケーブル同士が絡まったり、引っ掛かったり、誤って異なるケーブルを抜いたりする事故が発生しやすくなる。
【解決手段】ケーブルのヨレ癖を補正するために使用するシース1であり、前記シース1は複数のシース上11と1つのシース下12で構成され、前記シース上11と前記シース下12により前記シース1の内側には前記ケーブルを固定するため、断面が円形で前記シース1の長尺方向に直線状のケーブル溝4を有し、ヨレ癖が付いた前記ケーブルを前記シース下12に固定するため、前記シース下12には円形の前記ケーブル溝4の中心点を超える深さのケーブル溝下42を有する、ケーブルのヨレ癖補正用の器具1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルのヨレ癖を補正するために使用するシース1であり、前記シース1は複数のシース上11と1つのシース下12で構成され、前記シース上11と前記シース下12により前記シース1の内側には前記ケーブルを固定するため、断面が円形で前記シース1の長尺方向に直線状のケーブル溝4を有し、ヨレ癖が付いた前記ケーブルを前記シース下12に固定するため、前記シース下12には円形の前記ケーブル溝4の中心点を超える深さのケーブル溝下42を有する、ケーブルのヨレ癖補正用の器具1。
【請求項2】
前記シース1は、ケーブルを前記シース1にセットした状態で冷凍冷蔵庫に保管できるように、-20度Cまでの耐寒性を有する合成樹脂で形成される、請求項1に記載の器具1。
【請求項3】
前記シース1は3つのシース上11および1つのシース下12から構成され、前記3つのシース上11の長尺方向の長さは、それぞれ10cm、15cm、15cmである請求項1に記載の器具1。
【請求項4】
前記ケーブルはUSBケーブルであり、ケーブル溝4は略直径3mmであり、シース1の長尺方向の長さは10cmから50cmの間である、USBケーブル用の請求項1に記載の機器1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はUSBケーブルなどの合成樹脂で被覆されたケーブルのヨレ癖を補正するための器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
USBケーブルや電源ケーブル、イヤホンケーブル、イーサネットケーブルなどのケーブルは売られている状態では、箱やビニール袋に入れられ、ヨレ癖が付いた状態で購入することが通常である。ヨレ癖が付いたままで宅内配線すると、ケーブル同士が絡まったり、引っ掛かったりし、見た目も悪く、ケーブル同士の一対一の対応が取り難く、誤って異なるケーブルを抜いたりする事故が発生しやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭47-44093 ケーブルの癖を取る方法としては、ケーブルをニクロム線等で加熱する、お湯に浸ける、癖と逆方向に機械的に曲げる、などがある。引用文献1では、ニクロム線による加熱によりケーブルの癖を取る方法が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ケーブルを加熱したり、お湯に浸けたりすることは必要機器、操作が複雑となるだけでなく、温度調節が難しく、例えば代表的なケーブルの被覆素材である塩化ビニールの場合+70℃を超えると、ビニールとしての特性が維持できなくなり、92度付近で変形してしまい、さらに温度が上がると燃焼する可能性がある。また、機械的に曲げ、仕上げる(一直線にする)ことは実際には難しく、手でケーブルを補正しようとすると小さなヨレが多数できてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、加熱、加温、機械的な逆方向への曲げを必要とせずにケーブルのヨレ癖を取るものである。ケーブルのヨレ癖を補正するために使用するシース1であり、前記シース1は複数のシース上11と1つのシース下12で構成され、前記シース上11と前記シース下12により前記シース1の内側には前記ケーブルを固定するため、断面が円形で前記シース1の長尺方向に直線状のケーブル溝4を有し、ヨレ癖が付いた前記ケーブルを前記シース下12に固定するため、前記シース下12には円形の前記ケーブル溝4の中心点を超える深さのケーブル溝下42を有する、ケーブルのヨレ癖補正用の器具1。
【発明の効果】
【0006】
USBケーブルを本発明のシースにセットしてケーブルのヨレ癖を補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】USBケーブルをセットした本器具を正面からみた図である。複数のシース上11と1つのシース下12は図1の矢印の方向に開いて、USBケーブルを本シースにセットすることができる。
図2】本シースを開いた状態を示している。シース1はUSBケーブルを固定するための複数のシース上11と1つのシース下12から構成され、さらにシース上11およびシース下12が閉じた状態を固定維持するための固定具上21、固定具下22、ケーブルを押えるためのケーブル押え上31などから構成される。
図3】本シース1の左側のシース上11を閉じ、右側のシース上11を開いた状態を示している。矢印の方向にシース上11およびシース下12を押ええることでシース1を閉じることができる。シース上11を複数(図では2つ)有することで、長さの異なるケーブルを効率的に本シース1に収容することができる。
図4】本シース1のシース上11を開けた状態を横から見た状態を示している。シース下12はケーブルを直線状に固定するため、円形のケーブル溝4の下側半分を超える溝を形成する。シース上11は、ケーブルを(図の)上から押えてケーブルを固定するためのもので、ケーブルをキッチリ押えるため、固定具上21が設けられ、シース下12の固定具下22と嵌合する。ケーブル押え31、ケーブル押え32は、温度変化等があってもケーブルをシース内で把持する。
図5】本シース1を閉じた状態で横からみた状況を示している。シース上11が固定具2によりシース下12と連結され、円形のケーブル溝4が形成される。
図6】2本のUSBケーブルの形状を示している。上側のケーブルはヨレ癖が付いた状態を示しており、購入したケーブルはこのような形状であることが多い。下側のケーブルは一直線となっており理想的な形状を示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明のシース1にUSBケーブルをセットした状態を示している。USBケーブルのコネクタ部はシース1の外部に出され、ケーブルの線の部分のみがシース1内に固定される。シース1は複数のシース上11および1つのシース下12から構成され、固定具2によりシース1が閉じた状態で固定される。複数のシース上11を有することで、USBケーブルの長さに合わせて、必要となるシース上11を閉じればよい。シース1の両端に他のシースを連結してさらに長いUSBケーブルをセットできるようにしてもよい。シース同士の連結の方法として連結部分のネジ止め、固定具2と同様の機構による固定、連結部分のテープによる固定、一方のシース下12をオス、他方のシース下12をメス形状として連結するなど、公知の方法で固定する。USBケーブルは10cm、25cm、50cmなど複数の長さが存在し、その他中途な長さのものも存在する。これらに柔軟に対応するには、シース上11の数を3つとし各シース上11の長尺方向の長さを10cm、15cm、25cmとして、50cmの長さのシース下12に搭載すれば、USBケーブルの長さが、10cm、15cm、25cm、40cm、50cmのケーブルに対応でき、実質的には全ての10cmから50cmまでのUSBケーブルに対応できるので便利である。一方家庭用の冷蔵庫の冷凍室にシース1を収納する場合、全体の長さを抑えるためシース上11の数を3つとし、各シース上11の長尺方向の長さを10cm、15cm、15cmとして、長さ40cmのシース下12に搭載すれば、10cm、15cm、25cm、30cm、40cmのUSBケーブルに対応でき、実質的には10cmから40cmのUSBケーブルに対応できるため、便利である。本シース1はUSBケーブルをセットした状態で冷凍冷蔵庫に一定時間保管してもよく、その材質は家庭用冷凍冷蔵庫の冷凍の一般的温度である-20度Cに耐えうる合成樹脂により形成されうる。例えば耐熱耐寒性に優れたポリエチレンを使用する。冷凍庫の冷凍温度―20度Cを前提としているが、冷蔵庫の一般的温度である+4度C程度で本シースを一時保管して軽度のケーブルのヨレ癖を取ることとしてもよい。
【0009】
図2はシース1を開いた状態を示しており、複数のシース上11および1つのシース下12には、シース1に生成される断面が円形で長尺方向に直線状のケーブル溝4を構成するケーブル溝上41およびケーブル溝下42を有する。シース上11およびシース下12は図2の中央奥側で水平方向に夫々が蝶番形式で接続されており、シース上11とシース下12を閉じるときは、固定具2を使用して固定する形式で記載しているが、シース上11とシース下12は切り離した形式であってシース1を閉じるときにシース上11とシース下12の長辺側の両側から固定する形式であっても良い。シース下12にはケーブル溝下42が形成され、この溝はUSBケーブルの直径(代表的には3mm)にほぼ等しいか僅かに小さい幅で、ケーブルの半径(代表的には1.5mm)より大きい深さの溝で、断面が円の下半分より大きい深さを有する溝(図4のケーブル溝4参照)である。こうすることにより、ヨレ癖が付いたケーブルをシース上11が開いている状態でもこの溝に押し込み固定することができる。シース上11のケーブル溝上41は、シース1が閉じた状態で、ケーブルがシース内で固定され、シース上11からヨレ癖が付いたUSBケーブルに圧縮圧力が掛けられた状態を維持するもので、シース下12の溝の深さによっては、ケーブル溝上41は無くても良く、場合によっては突起となって上からケーブルを押えることとしてもよい。図2の左右にあるケーブル押え上31はシース1内でケーブルに遊びが出ないように温度変化が有っても引っ張り方向の圧力を維持し、ケーブルを把持するためのもので、ケーブル溝4がケーブルの太さに対して小さくケーブル溝4でケーブル把持力が得られる場合は、必須ではない。USBケーブルやその他一般家庭で使用されるケーブルの被膜は塩化ビニールであることが多く、熱膨張係数が比較的大きい。一方、耐熱耐寒耐性が大きいポリエチレンでは熱膨張係数が小さく、例えばシース1をポリエチレンで成型した場合、温度を下げた際にケーブル押え3により、ケーブルに引っ張り方向のテンションを掛け続けることができる。
【0010】
図3はシース1を左側のシース上11を閉じ、右側のシース上11を開いた状態にした状況を示している。USBケーブルの長さに応じて必要な数(位置)のシース上11を閉じることで、異なる長さのUSBケーブルを本器具に収容することができる。長いUSBケーブルを収容する場合は、図の矢印の方向に閉じることで、ケーブルをセットする。
【0011】
図4は本発明のシース1を横(ケーブル溝4の正面方向)から見た図である。ケーブル溝4はUSBケーブルの太さとほぼ等しく、代表的には直径3mmである。ケーブル溝4は、シース上11のケーブル溝41とシース下12のケーブル溝42により構成され、シース上11を閉じた状態で、図5に示すように円形のケーブル溝4を生成する。ケーブル押え3は、ケーブルの太さ(代表的には直径3mm)より若干小さく、シース1が閉じた状態でケーブルに遊びができないように固定するためのものである。ケーブル押え3はシース上11のケーブル押え31およびシース下12のケーブル押え32から成り、各シース上11の両端、シース下12の両端とシース上11のケーブル押え31に相対する位置に設けられる。ケーブル押え3は必ずしも全円周上に無くとも良く、突起状のケーブル押えが複個所に配置されても良い。固定具2(図では固定具21および固定具22)は、シース上11とシース下12を閉じた状態で固定するもので、固定できれば図の機構とは異なるものでも構わない。シース1を他のシースと連結して、より長いケーブルをシースに収容するようにしてもよい。連結方法としては、シース1同士をネジ等で連結したり、一方のシース下12をオス、他方のシース下12をメスとして連結するなど公知の方法でよい。なお、図4に示すようにケーブル溝4はシース上11と比べてシース下12側に深く溝が生成されている。これは、ヨレ癖が付いたケーブルをケーブル溝4にセットする際に、シース下12上のケーブル溝下42にケーブルを押し込むようにセットすることで、シース上11が開いている状態でもケーブルを固定できるようにするためである。
【0012】
図5はシース1を閉じた状態で横から見た状態を示している。図4の固定具21と固定具22を嵌合させて押えることで、固定具2が結合し、シース上11とシース下12が連結してケーブル溝4にセットされたケーブルを押えることができる。ケーブル押え3は温度変化でケーブルの収縮等が発生してもケーブルを把持する。
【0013】
図6は公知のUSBケーブルの状態を示している。市販されているUSBケーブルはほぼヨレ癖が付いており、図6の上の状態であることが多く、ケーブル同士の絡み、もつれの原因となり、誤ってコネクタを抜いてしまう原因ともなる。図6の下のように一直線であるUSBケーブルは理想的であるが通常市販品では見られない。
【産業上の利用可能性】
【0014】
USBケーブルは広く使用されており、一般家庭でもスマートフォンやパソコンで多数のケーブルを使用している。USBケーブルのヨレ癖に起因した不便や事故が考えられ、本発明によりこれらを解消することができる。本発明はUSBケーブルだけでなく、一般家庭で使用されるイーサネットケーブル、イヤホンケーブル、AC電源ケーブルなど、多種のケーブルに応用可能で、その太さ(直径)に応じて、本発明のシースを使い、冷凍冷蔵庫に一時保管するプロセスを経て、ヨレ癖を無くしたケーブルを得ることに適用できる。なお、本願においてシース上11やシース下12など、上下の用語を使用しているが、これば識別のため便宜的に付けたもので、使用上の上下を意味するものではない。また、ケーブル溝4は代表的なUSBケーブルの形状と同じ円形としたが、平型四角形のケーブルに合わせる、もしくは簡略化のため、ケーブル溝4を四角形としてもよい。例えば直径3mmの円形ケーブルを、一辺3mmの四角形のケーブル溝に固定すれば4点で支えることとなるが、ケーブルを一直線状に固定することは可能である。
【符号の説明】
【0015】
1 シース
11 シース上
12 シース下
2 固定具
21 固定具上
22 固定具下
3 ケーブル押え
31 ケーブル押え上
32 ケーブル押え下
4 ケーブル溝
41 ケーブル溝上
42 ケーブル溝下
図1
図2
図3
図4
図5
図6