(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120157
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】自動車の車体外装パネルの移動を制御するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
E05F 15/622 20150101AFI20230822BHJP
B60J 5/10 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
E05F15/622
B60J5/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023016533
(22)【出願日】2023-02-07
(31)【優先権主張番号】102022000002936
(32)【優先日】2022-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】519463178
【氏名又は名称】フェラーリ エッセ.ピー.アー.
【氏名又は名称原語表記】FERRARI S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Emilia Est, 1163, 41100 MODENA, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ステファノ ガラファッシ
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052CA06
2E052DA08
2E052DB08
2E052EA01
2E052EA09
2E052EB01
2E052EC01
2E052GA07
2E052GA10
2E052GB12
2E052GC07
2E052GD07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】単純で、信頼性があり、かつ再現可能な車体外装パネル全体についての、移動を制御するための方法及び装置を提供する。
【解決手段】自動車(1)のフード(3)又は車体外装パネルの移動制御方法は、フード(3)又は車体外装パネルの、現在の位置を示す第1の量に関する、第1の入力信号を取得するステップと、フード(3)又は車体外装パネルの移動についての目標速度に対応する、第1の基準信号を決定するステップと、決定された第1の基準信号の関数として、第1の制御信号を決定するステップと、取得された第1の入力信号の関数として、第1の制御信号を更新するステップと、それによって、アクチュエータ装置(5)を制御するための、第2の制御信号を取得するステップと、第2の制御信号を用いて、アクチュエータ装置(5)を制御するステップと、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車(1)のフード(3)又は車体外装パネルの移動を制御するための方法であって、前記自動車(1)は、
前記フード(3)又は前記車体外装パネルが前記自動車(1)の開口部を閉鎖する閉鎖位置と、前記フード(3)又は前記車体外装パネルが前記開口部を開放する開放位置との間で、前記フード(3)又は前記車体外装パネルを移動させるように制御可能なアクチュエータ装置(5)を備え、前記方法は、
a.前記フード(3)又は前記車体外装パネルの現在の位置を示す、第1の量に関する、第1の入力信号(S1)を取得するステップと、
b.前記フード(3)又は前記車体外装パネルの移動のための目標速度に対応する、第1の基準信号(S2)を決定するステップ(101、201)と、
c.決定された前記第1の基準信号(S2)の関数として、前記アクチュエータ装置(5)を制御するのに適した、第1の制御信号(S4、S4’)を決定するステップ(103、203)と、
を含み、更に、
d.取得された前記第1の入力信号(S1)の関数として、前記第1の制御信号(S4、S4’)を更新し(104、105、204)、それによって、前記アクチュエータ装置(5)を制御するのに適した、第2の制御信号(S6、S6’)を取得するステップと、
e.前記第2の制御信号(S6、S6’)を用いて、前記アクチュエータ装置(5)を制御するステップ(109、209)と、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記第1の基準信号(S2)が、取得された前記第1の入力信号(S1)の関数として、前記ステップbの間に決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップdが、
f.前記第2の制御信号(S6、S6’)が変更された特性を有するように、前記第1の制御信号(S4、S4’)の前記特性を変更するステップを含み、前記特性が、前記ステップeの間に前記アクチュエータ装置(5)によって放出される電力と正の相関がある、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2の制御信号(S6、S6’)が、パルス幅変調信号、すなわちPWM信号であり、前記特性が、前記第2の制御信号(S6、S6’)のデューティ比である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記移動が前記開放位置に向けられ、前記ステップfが、
前記フード(3)又は前記車体外装パネルが、前記閉鎖位置と、前記閉鎖位置と前記開放位置との間に介在する中間位置と、の間にあることを、前記第1の入力信号(S1)が示す場合に、前記特性の値を増加させるステップと、
前記フード(3)又は前記車体外装パネルが、前記中間位置と前記開口位置との間にあることを、前記第1の入力信号(S1)が示す場合に、前記特性の値を減少させるステップと、
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記フード(3)又は前記車体外装パネルが、前記閉鎖位置に近いことを前記第1の入力信号(S1)が示すにつれて、前記特性の前記値が増加され、かつ/又は、前記フード(3)又は前記車体外装パネルが、前記中間位置と前記開放位置との間に介在する、最大減少位置に近いことを、前記第1の入力信号(S1)が示すにつれて、前記特性の前記値が低減される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記移動が前記閉鎖位置に向けられ、前記ステップfが、
前記フード(3)又は前記車体外装パネルが、前記閉鎖位置と、前記閉鎖位置と前記開放位置との間に介在する中間位置と、の間にあることを、前記第1の入力信号(S1)が示す場合に、前記特性の値を減少させるステップと、
前記フード(3)又は前記車体外装パネルが、前記中間位置と前記開口位置との間にあることを、前記第1の入力信号(S1)が示す場合に、前記特性の前記値を増加させるステップと、
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記フード(3)又は前記車体外装パネルが、前記閉鎖位置と前記中間位置との間に介在する最大減少位置に近いことを、前記第1の入力信号(S1)が示すにつれて、前記特性の前記値が低減される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記中間位置が、前記フード(3)又は前記車体外装パネルの、前記閉鎖位置から前記開放位置への移動範囲の3分の1未満に位置し、前記閉鎖位置及び前記開放位置が、前記フード(3)又は前記車体外装パネルの、2つの終了位置をそれぞれ規定する、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の入力信号(S1)によって決まる乗算係数(K1)を、前記特性の値に乗算することによって、前記ステップfの間に前記特性が変更される、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
g.取得された前記第1の入力信号(S1)及び/又は前記第1の基準信号(S2)の関数として、前記フード(3)又は前記車体外装パネルの目標位置に対応する、第2の基準信号(S3)を決定するステップ(102、202)と、
h.前記第1の入力信号(S1)と前記第2の基準信号(S3)との差分に基づいて、位置誤差(E1)を計算するステップ(106、206)と、
を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項12】
前記ステップdが、
i.前記位置誤差(E1)に比例して、前記特性を変更するステップ(105)
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
i.前記位置誤差(E1)に比例して前記第1の基準信号(S2)を更新すること(210)によって、前記位置誤差(E1)に比例する修正目標速度に対応する、第3の基準信号(S8)を取得するステップ
を更に含み、
特に、前記修正目標速度が増加するにつれて、前記特性を設定することによって、前記第3の基準信号(S8)の関数として、前記ステップcの間に前記第1の制御信号(S4’)が決定される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
j.前記フード(3)又は前記車体外装パネルの前記移動の、現在の速度を示す第2の量に関する、第2の入力信号(S7)を決定するステップと、
k.前記第2の入力信号(S7)と前記第1の基準信号(S2)との差分に基づいて、速度誤差(E2)を計算するステップ(107)と、
を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項15】
前記ステップdが、
l.前記速度誤差(E2)、及び/又は、前記速度誤差(E2)の時間微分に比例して、前記特性を変更するステップ(105)
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記速度誤差(E2)、及び/又は、前記速度誤差(E2)の時間微分にも比例して、前記ステップiの間に、前記第1の基準信号(S2)が更新され、取得された第3の基準信号(S8)が、前記位置誤差(E1)、並びに、前記速度誤差(E2)及び前記速度誤差(E2)の前記時間微分の一方、又は両方に比例した、前記修正目標速度に対応する、請求項3に従属する場合の請求項14に記載の方法、あるいは、
m.前記速度誤差(E2)、及び/又は、前記速度誤差(E2)の時間微分に比例して、前記第1の基準信号(S2)を更新すること(210)によって、前記速度誤差(E2)、及び/又は、前記速度誤差(E2)の前記時間微分に比例する修正目標速度に対応する、第3の基準信号(S8)を取得するステップを更に含み、
特に、前記修正目標速度が増加するにつれて、前記特性を設定することによって、前記第3の基準信号(S8)の関数として、前記ステップcの間に前記第1の制御信号(S4’)が決定される、請求項13に従属する場合の請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記目標速度が増加するにつれて、前記特性を設定することによって、前記第1の制御信号(S4、S4’)が前記ステップcの間に決定される、請求項3に記載の方法。
【請求項18】
自動車(1)のフード(3)又は車体外装パネルの移動を制御するための装置(10)であって、請求項1に記載の方法を実行するように構成された、制御ユニット(ECU)を備える、装置。
【請求項19】
自動車(1)であって、
少なくとも1つの開口部を画定する本体(2)と、
前記開口部を閉鎖する閉鎖位置と前記開口部を開放する開放位置との間で、移動可能に前記本体(2)に結合された、フード(3)又は車体外装パネルと、
前記閉鎖位置と前記開放位置との間で、前記フード(3)又は前記車体外装パネルを移動させるように制御可能なアクチュエータ装置(5)と、
請求項18に記載の装置(10)と、
を備える、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のフード、又はより一般的には、例えばドアといった車体外装パネル全体についての、移動を制御するための方法及び装置に関する。
【0002】
[関連出願の相互参照]
本特許出願は、2022年2月17日に出願されたイタリア特許出願第102022000002936号の優先権を主張し、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
通常、自動車は、車体、並びに、例えばトランクを覆うように配置された、少なくとも1つのフードを備える。
【0004】
このフードは、典型的には、2つの終了位置、すなわち可動範囲の終了位置の間で、移動可能な方法で車体にヒンジ止めされており、これらの位置で、フードはトランクをそれぞれ閉鎖及び開放する。
【0005】
場合によっては、フードは、自動車の運転者が利用できる1つ又はそれ以上の制御装置によって作動される、アクチュエータ装置を介して、各終了位置の間で自動的に操作される。
【0006】
特に、このアクチュエータ装置は、電気式であることが好ましい。
【0007】
こうした場合、例えば予め確立された軌道に関して、フードの操作精度を改善する必要があると、一般に考えられている。
【0008】
より具体的には、例えば、室温、アクチュエータ装置に給電するためのバッテリ状態、自動車の姿勢、車体の幾何学的公差、フードの重量変動などで決定づけられる、自動車の特定の条件によって、フードの操作が影響を受けることを最小限にする必要があると考えられている。
【0009】
本発明の目的は、上記の必要性の少なくとも1つを、好ましくは単純で、信頼性があり、かつ再現可能な方法で満たすことである。
【発明の概要】
【0010】
この目的は、独立請求項に記載の方法及び装置によって達成される。
【0011】
各従属請求項は、本発明の特定の実施形態を明示するものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明をよりよく理解するために、非限定的な実施例として、添付の図面を参照し、以下にその実施形態の説明を行う。
【
図1】明確にするために部品を取り除いた、本発明による装置を備える自動車の側面図である。
【
図2】開放位置における自動車のフードを示す、
図1と同様の図である。
【
図4】本発明の一実施形態による方法の、各ステップを示すブロック図である。
【
図5】本発明の更なる実施形態による方法の、各ステップを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1において、参照番号1は、全体として自動車を示す。
【0014】
自動車1は、車体又はシャーシ2、及びフード3、具体的には、自動車1の特にトランクを覆うための後部フードを備える。
【0015】
明確にするために、前部及び後部という用語は、自動車1の通常の前進方向を基準とする。
【0016】
車体2は、少なくとも1つの開口部を画定し、それにより、特に自動車1の内部と外部との間の連通が可能となる。
【0017】
例えば、自動車1のトランクは、より一般的には、自動車1内部の区画であり、車体2によって画定される開口部を介して、外部と連通する。
【0018】
フード3は、フード3が開口部を閉鎖する閉鎖位置と、フード3が開口部を開放する、又は開口部を自動車1の外側から、及び外側に向かってアクセス可能にする開放位置との間で、移動可能に車体2に結合される。
【0019】
閉鎖位置及び開放位置とは、特に、2つのそれぞれの終了位置、又は可動範囲の終了位置を規定するものである。
【0020】
したがって、フード3は、閉鎖位置と開放位置との間に、可動範囲又は移動範囲を有する。
【0021】
より正確には、自動車1は、例えば公知のタイプのヒンジ装置4を備え、フード3は、ヒンジ装置4を介して、軸線Hを中心として回転可能に、具体的には、水平方向に、かつ自動車1の前進方向に直交して、車体2に結合される。
【0022】
したがって、フード3は、閉鎖位置と開放位置との間で、軸線Hの周りを回転することができる。
【0023】
フード3の道程又は運動は、特に閉鎖位置から開放位置への、又はその逆への回転である。
【0024】
自動車1は、フードを閉鎖位置と開放位置との間で移動させるように構成された、又はそのように制御することのできる、アクチュエータ装置5を更に備える。
【0025】
このアクチュエータ装置5は、電気式のものであることが好ましい。
【0026】
この特定の事例では、アクチュエータ装置5は、少なくとも1つのリニアアクチュエータ6、特に軸線Hに従ってフード3のそれぞれの端部に配置された、一対のリニアアクチュエータ6を備える。
【0027】
より具体的には、各リニアアクチュエータ6は、ケーシング7、ステム8、及び図示されていないモータ、正確には電気モータ、具体的には直流電気モータを備える。
【0028】
ケーシング7は、例えば公知のタイプの図示しない球面継手を介して、回転可能に車体2に結合される。したがって、ケーシング7の少なくとも一点を、車体2に対して固定することができる。
【0029】
ステム8は、ケーシング7に対して直線に確定された軸線Aに沿って移動可能に、ケーシング7に結合された端部を有する。
【0030】
更に、ステム8は、軸線Aに沿って前述したものとは反対側にあり、軸線Hに沿ってフード3の対応する端部に固定される、他方の端部を有する。
【0031】
モータは、軸線Aに沿ってステム8を移動させるように構成される、又はそのように制御することができる。
【0032】
特に、対応するリニアアクチュエータ6はまた、例えば、ねじ-ナット式の、図示されていない伝達装置を備える。この装置は、軸線Aに沿ってステム8が駆動されるように、モータの出力電力をステム8に伝達するように構成される、又は単に伝達する。
【0033】
ステム8の各位置は、開放位置と閉鎖位置との間にあるフード3の位置に、1対1の関係に従って対応する。より正確には、車体2及びフード3に対するリニアアクチュエータ6の配置によって決まる。
【0034】
自動車1は、フード3の移動を制御するための、装置10を備える。この装置10は、アクチュエータ装置5を介して、フード3の移動を制御する。この装置は、アクチュエータ装置5を備えることができる。この移動は、車体2に関連するものであると理解される。
【0035】
装置10は、アクチュエータ装置5を制御するように構成された、ECU制御ユニットを備える。
【0036】
より具体的には、このECU制御ユニットは、結果としてステム8を駆動するために、各リニアアクチュエータ6、及び、特にその対応するモータを制御するように構成される。
【0037】
ECU制御ユニットは、各ステム8に固定されたフード3の両端が同じ軌道を有するように、協調的かつ整合的にリニアアクチュエータ6を制御する。
【0038】
ECU制御ユニットは、フード3の現在位置を示す第1の量に関する、第1の入力信号S1を取得するように構成される。
【0039】
この第1の量は、フード3の現在位置、又は、それぞれ1対1の関係に従ってフード3に関連付けられた他の量、並びに、特に決定論的又は確率論的なオブザーバによって、フードの現在位置を推定又は計算することを可能にする量、とすることができる。
【0040】
例えば、第1の量は、対応する軸線Aに沿った、すなわち対応するケーシング7に対する、ステム8の1つの現在位置とすることができる。
【0041】
あるいは、第1の量は、例えば決定論的又は確率論的なオブザーバによって、軸線Aに沿ったステム8の位置を観測することのできる、モータの供給電流であってもよい。
【0042】
これ以降、言及されるすべての信号は、デジタル信号、すなわち、サンプリング時間を有するようにサンプリング処理された信号、とすることができる。これらの信号は、サンプリング時間に従って互いに分離した、複数のサンプリング時点のそれぞれに関連付けられた、複数の値を有する。
【0043】
以下の教示は、アナログ信号、すなわち、連続的に時間の経過に関連付けられた、無限値を有する信号にも適用することができる。そのため、言及されるすべての信号がデジタルであるこの実施例は、厳密に限定するものではなく、単に例示するものである。
【0044】
好ましくは、装置10は、ECU制御ユニットに結合された、トランスデューサT1を備える。トランスデューサT1は、第1の量を検出し、関連する信号S1を生成するように構成される。
【0045】
ECU制御ユニットは、トランスデューサT1から信号S1を取得する。
【0046】
この場合、トランスデューサT1は、トランスデューサT1が固定された、対応するケーシング7に対する、ステム8の1つの現在位置を検出する。
【0047】
例えば、トランスデューサT1は、ホール効果式の位置トランスデューサを備える。
【0048】
更に、ECU制御ユニットは、フード3の移動についての目標速度に関連又は対応する、第1の基準信号S2を決定、計算、又は生成するように構成される(
図4のブロック101)。
【0049】
具体的には、この目標速度は、時間に関連して、あるいは、各サンプリング時点又は各サンプル時間に関連して、より具体的には、フード3の移動をもたらすための、所定の時間間隔に関連して決定される。この時間間隔は、先験的に選択し、ECU制御ユニットに記憶することができる。あるいは、自動車1、又はその構成要素の任意の1つの動作条件に基づいて、ECU制御ユニットによって調整することができる。すなわち、ユーザによって任意に調整することができる。
【0050】
目標速度は、時間、又はサンプリング時間の関数とすることができる。例えば、目標速度は、速度プロファイル、特に台形速度プロファイルに相当する、経時的な動きを有する。
【0051】
この速度プロファイルは、先験的に選択し、制御ユニットに記憶することができる。あるいは、自動車1、又はその構成要素の任意の1つの動作条件に基づいて、ECU制御ユニットによって調整することができる。すなわち、ユーザによって任意に調整することができる。
【0052】
好ましくは、信号S2は、信号S1の関数として決定、又は生成される。
【0053】
言い換えれば、目標速度は、フード3の位置の関数として、制御ユニットによって決定される。
【0054】
このことは、速度プロファイルが、少なくとも信号S1、すなわちフード3の位置の関数として、調整可能であることを意味する。
【0055】
ECU制御ユニットは、経時的に、あるいは各サンプリング時点又は各サンプル時間について、信号S1によって経時的に、あるいはそのようなサンプリング時点又はサンプル時間について想定された値の関数として、信号S2を好都合に再計算又は再生成することができる。
【0056】
更に、場合によっては、ECU制御ユニットは、フード3の目標位置に関連又は対応する、第2の基準信号S3を決定、計算、又は生成するように構成される(
図4のブロック102)。
【0057】
この信号S3は、信号S1及び/又は信号S2の関数として、決定することができる。言い換えれば、目標位置は、フード3の位置及び/又は目標速度の関数として、制御ユニットによって決定される。信号S3は任意に決定することもできるため、これに限定されるものではない。
【0058】
特に、上述の段落における、信号S2及び/又は目標速度に関するそれぞれの教示は、別段の指定がない限り、信号S3及び目標位置に適用することができる。
【0059】
より具体的には、同じ段落において、別段の指定がない限り、信号S2及び目標速度という語句は、それぞれ信号S3及び目標位置という語句に置き換えることができる。
【0060】
したがって、目標位置は、時間、各サンプリング時点、又は時間間隔と関連付けることができる。
【0061】
更に、ECU制御ユニットは、経時的に、あるいは各サンプリング時点又はサンプル時間について、信号S3を好都合に再計算又は再生成することができる。
【0062】
目標位置は、位置プロファイルに対応する、経時的な傾向も有することができる。信号S3が信号S2の関数として決定される場合、目標速度は目標位置を経時的に微分するものであるため、位置プロファイルは、速度プロファイルに対応するものである。
【0063】
したがって、ECU制御ユニットは、例えば信号S1から抽出された初期条件の設定を用いて、信号S2の経時的な積分を実行することによって、信号S3を決定する、又は決定するように構成することができる。
【0064】
明らかに、積分という用語は、例えば前進オイラー法といった公知の方法に従って、連続的、又は離散的でもあり得る、すなわち数値的な積分演算を指すものである。
【0065】
あるいは、信号S3が信号S1の関数として、すなわち別の方法で決定される場合、ECU制御ユニットは、目標位置の経時的な微分値が目標速度に対応するように、信号S2を決定する。
【0066】
位置プロファイルは、先験的に選択し、制御ユニットに記憶することができる。あるいは、自動車1、又はその構成要素の任意の1つの動作条件に基づいて、ECU制御ユニットによって調整することができる。すなわち、ユーザによって任意に調整することができる。
【0067】
更に、
図4の実施形態では、ECU制御ユニットは、アクチュエータ装置5を制御するための、より正確にはリニアアクチュエータ6のモータを制御するための、第1の制御信号S4を決定又は生成するように構成される(ブロック103)。
【0068】
例えば、信号S4は、電流信号又は電圧信号とすることができる。知られているように、電気モータを制御するために、通常、電流信号及び電圧信号が使用される。
【0069】
アクチュエータ装置5が実際に信号S4で制御される場合、すなわち、アクチュエータ装置5が、入力において実際に信号S4を受信するのであれば、信号S4は、アクチュエータ装置5によって放出される電力と正に相関する、少なくとも1つの特性、又は特徴、又はパラメータを有する。
【0070】
言い換えれば、この放出電力は、前述した特性が大きくなるにつれて、大きくなるものである。
【0071】
例えば、この特性は、平均、周波数、係数、振幅、強度などであり得る。
【0072】
この場合、ECU制御ユニットは、頭字語PWMとしても知られるパルス幅変調技術に従って、アクチュエータ装置5を制御する。
【0073】
したがって、信号S4は、特にパルス幅変調信号、すなわちPWM信号である。ここでは、その特性はデューティ比である。
【0074】
一般に、上述した特性は、信号S4の決定に少なくとも寄与するものである。具体的には、この特性は信号S4を規定する。
【0075】
信号S4は、信号S2の関数として、ECU制御ユニットによって決定される。
【0076】
より具体的には、
図4の実施形態では、ECU制御ユニットは、信号S2に対応する目標速度が上昇するにつれて、この特性が上昇するように設定することによって、信号S4を決定する。
【0077】
このことは、各時点、あるいは、各サンプリング時点又は各サンプル時間に対して行われる。
【0078】
各時点又は各サンプリング時点について、そのような時点又はサンプリング時点における目標速度の値が大きくなるにつれて、この特性値は大きくなる。
【0079】
したがって、ECU制御ユニットは、この特性値と目標速度の値とを関連付ける。
【0080】
例えば、この特性値は、ECU制御ユニットに記憶されたテーブルや関数に従って、例えば補間を介して目標速度の値に関連付けられる。
【0081】
このテーブル又は関数は、例えば実験的に求めることができる。
【0082】
ECU制御ユニットは、信号S1の関数として信号S4を更新又は補正し、それによって、アクチュエータ装置5を制御するための、第2の制御信号S6を求めるように構成される。したがって、ECU制御部は、信号S6を用いて、実際にアクチュエータ装置5を制御するように構成される。
【0083】
言い換えれば、信号S4は、フード3の現在位置に基づいて補正される。
【0084】
補正後に得られた信号S6は、アクチュエータ装置5の入力において受信され、アクチュエータ装置5は、信号S6を放出電力に変換する。
【0085】
信号S4を更新又は補正することは、信号S4の上述した特性を変更、又は調整、又は更新、又は補正することを含む。したがって、信号S6は、上述した特性が変更、又は調整、又は更新、又は補正されたものである。
【0086】
明らかに、特性が本質的に変更されるのではなく、その値が変更される。したがって、修正された特性と、信号S6に応答してアクチュエータ装置5によって放出される電力との間には、正の相関が維持される。
【0087】
実際に、信号S6の特性は、信号S6を介したアクチュエータ装置5の制御に応じて、アクチュエータ装置5によって放出される電力と、正に相関している。
【0088】
実際、この特定の事例では、信号S6は依然としてPWM信号であり、信号S4の値に対して変更された値であったとしても、その特性は、依然としてデューティ比である。
【0089】
信号S4が生成されたのと同じサンプリング時点又はサンプル時間の範囲内で、更新又は補正が行われる。
【0090】
図4の実施形態では、ECU制御ユニットによって実行される更新又は補正は、特性を補正、又は変更、又は調整する、2つの後続ステップ(ブロック104、105)を含む。
【0091】
これらのステップにより、中間信号S5及び信号S6が、それぞれ取得される。例えば、以下で明らかになるように、これらのステップの順序を逆にすることもできる。
【0092】
ブロック104において、信号S4は、信号S1の関数として、ECU制御ユニットによって更新又は補正される。
【0093】
ここで、信号S4の特性を変更又は補正することによって、信号S5が取得される。
【0094】
具体的には、特性値に数学的演算を適用することによって、より具体的には、信号S1によって決まる係数K1を、特性値に乗算することによって、変更又は補正が行われる。
【0095】
明らかに、この数学的演算は、場合によって異なってもよく、例えば、加算又は除算などであってもよい。
【0096】
したがって、係数K1は、
図4の実施形態のような乗算係数の代わりに、加算係数又は除算係数であってもよい。
【0097】
係数K1は、信号S1の関数として、ECU制御ユニットによって決定される(ブロック104a)。
【0098】
このことは、各時点、あるいは、各サンプリング時点又は各サンプル時間に対して行われる。
【0099】
各時点又は各サンプリング時点について、そのような時点又はサンプリング時点における信号S1の関数として、係数K1の値が決定又は更新される。
【0100】
したがって、ECU制御ユニットは、係数K1の値を、信号S1、又はフード3の現在位置を示す第1の量の値と関連付ける。
【0101】
例えば、係数K1の値は、ECU制御ユニットに記憶されたテーブル又は関数に従って、例えば補間を介して、信号S1又は第1の量の値に関連付けられる。
【0102】
このテーブル又は関数は、例えば実験的に求めることができる。
【0103】
好都合には、信号S4の更新又は補正は、フード3の移動の方向、すなわち、その移動が閉鎖移動であるか、開放移動であるか、すなわち、その移動がそれぞれ、閉鎖位置に向けられているか、開放位置に向けられているかに基づいて、異なって行われる。
【0104】
特に、その移動が開放位置に向けられている場合に、信号S1が、閉鎖位置と、閉鎖位置と開放位置との間に介在する中間位置との間にフード3があることを示せば、更新又は補正は、特性値を増加させることを含む。
【0105】
より詳細には、フード3が閉鎖位置に近いことを信号S1が示すほど、特性値が増加される。言い換えれば、フード3が閉鎖位置から開放位置に移動するにつれて、特性値の増加量は徐々に小さくなる。
【0106】
この増加量の減少は、具体的には非線形である。
【0107】
この中間位置は、開放位置よりも閉鎖位置に近い。より詳細には、中間位置は、フード3の可動範囲又は移動範囲の3分の1未満に位置する。
【0108】
言い換えれば、中間位置は、閉鎖位置から開放位置へ向かう、フード3の移動範囲の3分の1未満に位置する。
【0109】
更に、それとは別に、更新又は補正は、信号S1が中間位置と開放位置との間にあるときに、特性値を減少させることを含む。
【0110】
より詳細には、フードが中間位置と開放位置との間に介在する、最大減少位置に近いことを信号S1が示すにつれて、特性値は減少する。
【0111】
最大減少位置とは、他の全ての位置に対して、最も特性が減少した位置である。
【0112】
したがって、フード3が中間位置から最大減少位置に移動するにつれて、その減少量は徐々に大きくなる。
【0113】
そして、フード3が最大減少位置から開放位置に移動するにつれて、その減少量は徐々に小さくなる。
【0114】
したがって、上述したことを考慮すると、フード3の移動が、閉鎖位置と中間位置との間で中間位置に向かうとき、係数K1は1よりも大きい。
【0115】
より正確には、係数K1は、フード3が中間位置に近づくにつれて減少する。このことは、係数K1が乗算係数ではなく、例えば加算係数である場合にも、当てはめることができる。
【0116】
明らかに、係数K1が除算係数又は減算係数である場合には、反対又は逆の事態が生じる。
【0117】
更に、フード3が中間位置にあるとき、係数K1は1に等しい。言い換えれば、中間位置において、特性値の増減が生じることはない。
【0118】
更に、フード3の移動が、中間位置と開放位置との間で開放位置に向かうとき、係数K1は1未満である。
【0119】
より正確には、係数K1は、最大減少位置において最小値を有する。すなわち、係数K1は、フード3が最大減少位置に近づくにつれて減少し、次いで、フード3が最大減少位置から離れて開放位置に近づくにつれて、再び増加する。
【0120】
このことは、係数K1が乗算係数ではなく、例えば加算係数である場合にも、当てはめることができる。明らかに、係数K1が除算又は減算係数である場合には、逆の事態が生じる。
【0121】
一方、移動が閉鎖位置に向けられる場合に、更新又は補正は、信号S1が、フード3が閉鎖位置と、閉鎖位置と開放位置との間に介在する更なる中間位置との間にあることを示すとき、特性値を減少させることを含む。
【0122】
この更なる中間位置は、前述した中間位置と同一であってもよく、あるいは、開放位置に対して閉鎖位置に近く、特にフード3の可動範囲又は移動範囲の3分の1未満に位置するという特徴を維持しつつ、異なるものであってもよい。
【0123】
特に、フード3が、閉鎖位置と更なる中間位置との間に介在する、更なる最大減少位置に近いことを信号S1が示すにつれて、特性値は減少する。
【0124】
更なる最大減少位置は、他のすべての位置に対して、特性が最も減少した位置である。
【0125】
したがって、フード3が閉鎖位置から更なる最大減少位置に移動するにつれて、その減少量は徐々に大きくなる。
【0126】
そして、フード3が更なる最大減少位置から更なる中間位置へ移動するにつれて、その減少量は徐々に小さくなる。
【0127】
更に、それとは別に、更新又は補正は、フードが更なる中間位置と開放位置との間にあることを、信号S1が示す場合に、特性値を増加させることを含む。
【0128】
より詳細には、フード3は、更なる中間位置と開放位置との間に介在する、少なくとも1つの最大増加位置を有し、この最大増加位置において、特性は最大に増加される。
【0129】
更により詳細には、フード3は、最大増加位置を含め、特性の増大が一定かつ最大となる位置の、連続した区間を有する。
【0130】
したがって、フード3の移動が閉鎖移動である場合に、フード3の移動が、閉鎖位置と更なる中間位置との間で閉鎖位置に向かうとき、係数K1は1未満である。
【0131】
より正確には、係数K1は、更なる最大減少位置において最小となる。すなわち、係数K1は、フード3が更なる最大減少位置に近づくにつれて減少し、次いで、フード3が更なる最大減少位置から離れて更なる中間位置に近づくにつれて、再び増加する。
【0132】
このことは、係数K1が乗算係数ではなく、例えば加算係数である場合にも、当てはめることができる。
【0133】
明らかに、係数K1が除算係数又は減算係数である場合には、反対又は逆の事態が生じる。
【0134】
更に、フード3が更なる中間位置にあるとき、係数K1は1に等しい。言い換えれば、更なる中間位置において、特性値の増減が生じることはない。
【0135】
更に、フード3の移動が、更なる中間位置と開放位置との間で開放位置に向かうとき、係数K1は1よりも大きい。
【0136】
より正確には、最大増加位置、又はその位置の連続した区画で、係数K1は最大となる。
【0137】
更に、ECU制御ユニットは、信号S1と信号S3との間の差分に基づいて、位置誤差E1を計算するように構成される(
図4のブロック106)。より正確には、位置誤差E1は、このような差分と一致するものである。
【0138】
好都合には、ECU制御ユニットは、フード3の移動の現在の速度を示す、第2の量に関する、第2の入力信号S7を決定するように構成することさえできる。現在の速度とは、より正確には、車体2に対する相対速度である。
【0139】
例えば、フード3の現在の速度はフード3の現在の位置の時間微分を表すため、例えば、信号S1に基づいて信号S7を決定することができる。
【0140】
同様に、第2の量は、第1の量の時間微分であり得る。
【0141】
具体的には、信号S7は、信号S1を数値的に時間微分することによって決定される。特に、時間微分の結果は、1つ又はそれ以上のローパスフィルタによって、フィルタリングされる。
【0142】
あるいは、装置10は、第2の量を検出し、関連する信号S7を生成するように構成された、図示されていないトランスデューサを備えることができる。
【0143】
このトランスデューサは、ECU制御ユニットが信号S7を取得できるように、ECU制御ユニットに結合することができる。
【0144】
例えば、第2の量は、軸線Aに沿ったステム8のうちの1つの線形速度、又はそれを示す量とすることができる。
【0145】
実際、フード3の現在の速度は、特に1対1の関係に従った、ステム8の線形速度の直接的な結果である。
【0146】
したがって、信号S7を決定することは、信号S7を取得することによって行われる。
【0147】
好ましくは、位置誤差E1を計算することの代わりに、又はそれに加えて、ECU制御ユニットは、信号S7と信号S2との間の差分に基づいて、速度誤差E2を計算するように構成される(
図4のブロック107)。より正確には、速度誤差E2は、このような差分と一致するものである。
【0148】
図4の実施形態では、信号S5は、信号S6を取得するために、ECU制御ユニットによって更新又は補正される。
【0149】
ここで、信号S6は、信号S4から変更された信号S5の特性を、変更又は補正したものである。
【0150】
信号S5の特性を変更又は補正することは、位置誤差E1に比例して、特性を変更又は補正することを含む。
【0151】
ここでも、特性を変更することは、その値を変更することを意味し、この場合、位置誤差E1に比例して行われることを重ねて強調しておく。ここでの、比例してという用語は、位置誤差E1に比例係数又は利得係数を掛けた関数として、値が変更されることを意味する。
【0152】
その代わりに又は加えて、信号S5の特性の変更又は補正は、速度誤差E2、及び/又は速度誤差E2の時間微分に比例して、特性を変更又は補正することを含むことができる。ここでの、比例してという用語は、前述した段落と同じ意味を維持するものである。
【0153】
図4の特定の実施例では、ECU制御ユニットは、位置誤差E1の関数、並びに、速度誤差E2の関数、及び/又はその時間微分の関数として、係数K2、特に乗算係数を決定するように構成される(
図4のブロック108)。
【0154】
特に、信号S5の特性を変更又は補正することは、特性値に数学的演算を適用することによって、より具体的には、特性値に係数K2を乗算することによって行われる(
図4のブロック105)。
【0155】
明らかに、この数学的演算は、場合によって異なってもよく、例えば、加算又は除算などであってもよい。したがって、係数K2は、
図4の実施形態のような乗算係数の代わりに、加算係数又は除算係数とすることもできる。
【0156】
係数K2は、位置誤差E1が増加するにつれて増加する。更に、それとは別に、係数K2は、速度誤差E2及び/又はその時間微分が増加するにつれて増加する。
【0157】
明らかに、このことは、係数K2が乗算係数又は加算係数であっても継続して当てはまる。係数K2が減算又は除算係数である場合には、係数K2は、位置誤差E1及び/又は速度誤差E2が増加するにつれて減少する。
【0158】
例えば、係数K2は、それぞれに対応する利得が乗算された、誤差E1、E2の線形結合を含むことができる。
【0159】
したがって、信号S6は、信号S5の特性に係数K2を乗算することによって取得される。
【0160】
図4において、ブロック109は、信号S6を受信するアクチュエータ装置5を表す。すなわち、ブロック109は、信号S6を用いてアクチュエータ装置5を制御するECU制御部に相当する。
【0161】
図5は、位置誤差E1及び速度誤差E2の別の用途のための、
図4のものとは異なる実施形態によるブロック図を示す。
【0162】
図5では、
図4のブロックと論理的に同様のブロックは、同じ参照番号を100増加させたものによって示されており、したがって、
図5のブロック201は、ブロック101などと論理的に同様のものである。簡潔にするために、
図5の論理的に同様のブロックについては、具体的な説明は行わない。しかし、異なる文脈に関して十分な考慮を行った上で、それらの動作は、
図4の対応するブロックから直接推測することができる。
【0163】
更に、同一の参照符号は、概念的に類似した要素を特定するものである。
【0164】
したがって、
図5については、
図4との違いを特徴づけるものについてのみ説明を行う。
【0165】
位置誤差E1及び/又は速度誤差E2は、
図4の信号S5を変更又は補正するために使用される代わりに、
図5では、信号S2を変更又は補正するために使用される。
【0166】
図4のブロック105は、
図5においてブロック210に置き換えられている。
【0167】
ブロック210によれば、信号S2を変更又は補正することは、位置誤差E1に比例して信号S2を変更又は補正することを含む。
【0168】
言い換えれば、信号S2の値は、位置誤差E1に比例係数又は利得係数を乗算した関数として変更される。
【0169】
その代わりに又は加えて、信号S2を変更又は補正することには、速度誤差E2及び/又は速度誤差E2の時間微分に比例して、信号S2を変更又は補正することを含むことができる。
【0170】
言い換えれば、信号S2の値は、速度誤差E2及び/又はその時間微分の関数として、それぞれに対応する比例係数又は利得係数を乗算することによって変更される。
【0171】
図5の特定の実施例では、ECU制御ユニットは、位置誤差E1の関数、並びに、速度誤差E2の関数、及び/又はその時間微分の関数として、係数K2’、特に加算係数を決定するように構成される(
図5のブロック211)。
【0172】
係数K2’は、位置誤差E1、及び/又は、速度誤差E2とその時間微分の一方又は両方に比例して決定される。
【0173】
具体的には、信号S2の変更又は補正は、信号S2の値に数学的演算を適用することによって、より具体的には、係数K2’の分だけ信号S2の値を加算することによって行われる(
図5のブロック210)。
【0174】
明らかに、この数学的演算は異なっていてもよく、例えば、積算又は除算などであってもよい。したがって、係数K2’は、
図5の実施形態のように加算係数である代わりに、乗算係数又は除算係数であってもよい。
【0175】
係数K2’は、位置誤差E1が増加するにつれて増加する。更に、それとは別に、係数K2’は、速度誤差E2及び/又はその時間微分が増加するにつれて増加する。明らかに、このことは、K2’が乗算係数又は可算係数であっても継続して当てはまる。係数K2’が減算係数又は除算係数である場合、係数K2’は、位置誤差E1及び/又は速度誤差E2が増加するにつれて減少する。
【0176】
例えば、係数K2’は、それぞれに対応する利得が乗算された、誤差E1、E2の線形結合を含むことができる。
【0177】
このようにして、ブロック210の結果は、位置誤差E1、及び/又は、速度誤差E2及びその時間微分の一方又は両方に比例した、修正目標速度に対応する、信号S8である。
【0178】
信号S8は、ブロック203の入力において受信され、それに従って、制御ユニットは、信号S8の関数として信号S4’を決定する。
【0179】
信号S4’は、概して信号S2の関数としてではなく、信号S8の関数として、より具体的に決定されることによってのみ、
図4の信号S4とは区別される。いずれにせよ、信号S3は信号S2の関数であるため、信号S4’は依然として信号S2の関数として決定される。
【0180】
特に、信号S4’は、修正目標速度が増加するにつれて、その特性が増加するように設定することによって、決定される。
【0181】
ECU制御ユニットは、信号S1の関数として信号S4’を更新し、それによって、アクチュエータ装置5を制御するための信号S6’を取得する(ブロック204)。
【0182】
特に、
図4の実施形態において、信号S4から信号S5が取得されるのと同様の方法で、信号S4’から信号S6’が取得される。
【0183】
したがって、
図5の実施形態では、ECU制御ユニットは、信号S6’を用いてアクチュエータ装置5を制御するように構成される(ブロック209)。
【0184】
したがって、ECU制御ユニットは、以下のステップを含む方法を実行する。
a.信号S1を取得するステップ。
b.信号S2を決定するステップ。
c.信号S2の関数として、信号S4を決定するステップ。
d.信号S4を信号S1の関数として更新することによって、信号S6を取得するステップ。
e.信号S6を用いてアクチュエータ装置5を制御するステップ。
【0185】
ステップa~eは、ブロック内で、具体的にはサンプリング時点又はサンプル時間ごとに、数回繰り返される。
【0186】
好ましくは、本方法はまた、以下のステップの、1つ、いくつか、又はすべてを含む。
g.第1の信号S1及び/又は信号S2の関数として、信号S3を決定するステップ。
h.信号S3と信号S1との差分に基づいて、位置誤差E1を計算するステップ。
j.信号S7を決定するステップ。
k.信号S2と信号S7との差分に基づいて、速度誤差E2を計算するステップ。
【0187】
好都合には、ステップdは、以下のステップの、1つ、いくつか、又はすべてを含むことができる。
f.信号S6が変更された特性を有するように、信号S4の特性を変更するステップ。
i.ステップcの間に、特に、修正目標速度が増加するにつれて特性が増加するように設定することによって、信号S8の関数として信号S4が決定されるように、信号S8を得るために、特性を位置誤差E1に比例して変更、又は信号S2を位置誤差E1に比例して変更するステップ。
l.速度誤差E2、及び/又は速度誤差E2の時間微分に比例して、その特性を変更するステップ、あるいは、
m.ステップcの間に、特に修正目標速度が増加するにつれて特性が増加するように設定することによって、信号S8の関数として信号S4が決定されるように、信号S8を得るために、速度誤差E2、及び/又は速度誤差E2の微分に比例して、信号S2を更新するステップ。
【0188】
場合によっては、ステップmの代わりに、やはり速度誤差E2、及び/又は速度誤差E2の微分に比例して、ステップiの間に信号S2が更新される。したがって、取得された信号S8は、位置誤差E1、並びに、速度誤差E2と速度誤差E2の時間微分の一方又は両方に比例した、修正目標速度に相当する。
【0189】
上記のことに基づいて、本発明による自動車1、装置10、及びその方法の利点は明らかである。
【0190】
特に、本出願人は、信号S4又は信号S4’を更新することにより、目標位置及び目標速度に対するフード3の移動精度を高められることを、実験的に立証した。
【0191】
実際に、移動を制御する精度を高めるのに特に適した、フィードバック信号を定義する信号S1に基づいて、この更新が行われる。
【0192】
実際には、パラメータK1は、信号S1の関数としてテーブル又は関数に従って決定され、これらのテーブル又は関数は、制御の精度を最適化するために、対象物を用いて実験的に決定されるものである。
【0193】
誤差E1、E2に比例して特性を補正するように、信号S5を更新することで、自動車1の環境条件又は動作条件に対する移動の独立性が高まる。誤差E2の時間微分に比例して特性を補正することで、制御が容易になる。
【0194】
より驚くべきことに、誤差E1、E2に比例して、信号S2を更新することからも、同様の効果が生じる。
【0195】
最後に、本発明による自動車1には、修正及び変形を加えることができ、いずれにせよ、特許請求の範囲によって定義される保護の範囲から逸脱しないことは明らかである。
【0196】
特に、図示され説明された構成要素の数は、異なっていてもよい。同様に、構成要素の形状は、説明及び図示されたものに対して、異なっていてもよい。
【0197】
更に、信号S4、S5、S6の間のいくつか、又はすべては、最大値に対して飽和状態にすることができる。
【0198】
比例してという用語は、正の相関を有するように、又は、増加するように、という用語に置き換えることができる。
【0199】
更に、誤差E1、E2、及び誤差E2の時間微分のそれぞれは、一般性を失うことなく、信号S5及び/又は信号S2を補正するために、単独で、かつ独立して使用することができる。
【0200】
最後に、第1、第2、第3などの数を表す形容詞は、明確にするために使用されているが、厳密に限定するものと見なされるべきではない。
【0201】
特許請求の範囲内に含まれる、更なる実施形態を得るために、
図4、
図5の実施形態を、互いに組み合わせることができる。
【0202】
最後に、フード3は、自動車1の開口部を閉鎖するための、別の車体外装パネル、例えばドア、ハッチ、又はルーフに置き換えることができる。
【外国語明細書】