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特開2023-120168半導体工場における待ち時間予測のための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120168
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】半導体工場における待ち時間予測のための方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20230822BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20230822BHJP
   G06Q 10/04 20230101ALI20230822BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20230822BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
H01L21/02 Z
G06Q10/04
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023022461
(22)【出願日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】22157196
(32)【優先日】2022-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】カイ シェルトホフ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒェル ヤヌス
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA32
3C100AA34
3C100BB13
3C100BB14
3C100EE06
5L049AA04
5L049CC03
(57)【要約】
【課題】製造における複数の製造動作を含むルートのための待ち時間予測を行うコンピュータ実装された方法(30)に関する。
【解決手段】本方法は、製造動作の分類されたリストであって、ロットを製造するためのルートを特徴付けるリストを受け取るステップ(S31)と、分類されたリストにおける各製造動作に対して、開始時点に応じた、動作測定された特徴量値に対する収集された特徴量値のデータベース(51)からのサンプリングによる、複数の特徴量に対する特徴量値のサンプリング(S32)と、サンプリングされた特徴量値に応じた、予期される待ち時間の予測(S33)と、を決定するステップと、各動作の予期される待ち時間を累積するステップ(S34)と、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造における複数の製造動作を含むルートのための待ち時間予測を行うコンピュータ実装された方法(30)であって、
製造動作の分類されたリストであって、ロットを製造するための前記ルートを特徴付けるリストを受け取るステップ(S31)と、
ロット製造開始時間の時点(t)を規定するステップと、
分類された前記リストにおける各製造動作に対して、
(1)前記開始時点に応じた、動作測定された特徴量値に対する収集された特徴量値のデータベース(51)からのサンプリングによる、複数の特徴量に対する特徴量値のサンプリング(S32)であって、前記特徴量は、前記ロットのプロパティ及び/又は状態、及び/又は、前記ロットを製造するための工場のプロパティ及び/又は状態を特徴付ける、サンプリング(S32)と、
(2)サンプリングされた特徴量値に応じた、予期される待ち時間の予測(S33)と、
を決定するステップと、
各動作の前記予期される待ち時間を累積するステップ(S34)と、
を含む方法。
【請求項2】
特徴量値の前記サンプリングを、前記データベース(51)からの収集された特徴量値のランダムなサンプリングによって実行し、又は、前記データベース(51)からの収集された特徴量値の平均によって前記特徴量値を決定することによって実行し、又は、前記データベース(51)からの収集された特徴量値のローリング平均によって前記特徴量値を決定することによって実行し、
前記データベース(51)の前記収集された特徴量値は、過去に実行された動作に対して収集されたものである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記予測される待ち時間を、トレーニングされた機械学習システム(52)によって予測し、
前記機械学習システム(51)は、入力として前記特徴量値を受け取り、前記予期される待ち時間を出力する、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
複数のトレーニングされた機械学習システムが存在し、
各機械学習システムを、複数の前記製造動作のうちの1つの製造動作に割り当て、各機械学習システムは、自身の入力特徴量に応じて、自身の割り当てられた製造動作に対して、前記予期される待ち時間を予測するようにトレーニングされている、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記製造動作は、半導体製造動作、特に拡散動作及びリソグラフィ動作である、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ロットは、電子装置、特に産業用若しくは車載用のコントローラ若しくはセンサ、ロジック装置又はパワー半導体装置である、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ルートの動作の前記分類されたリストを、前記ルートの履歴確率に基づいて決定する、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
前記予期される待ち時間の予測に加えて、サンプリングされた特徴量値に応じて、各前記動作の予期される処理時間も決定し、
予期される製造時間の累積も行い、
累積された前記予期される待ち時間と、累積された前記予期される処理時間とを合計することによって、サイクルタイムを計算する、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
累積された前記予期される待ち時間に応じて、前記ロットを製造するための前記工場の前記製造動作のための装置を制御し、又は、前記ロットの優先度をその待ち時間に応じて調整する、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
累積された前記予期される待ち時間に応じて、異なる製品構成シナリオに対して、異なるロットの最適な混合を予測する、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
高い製品構成/少量の半導体製造加工品における動作の待ち時間推定に適用される、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
コンピュータプログラムであって、当該コンピュータプログラムがプロセッサ(55)によって実行されるときに、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法のすべてのステップをコンピュータに実施させるために構成されているコンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラムが記憶されている機械可読記憶媒体(55)。
【請求項14】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法を実施するように構成されている装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製造における複数の製造動作を含むルートの待ち時間予測の方法及び製造における製造動作の予期される待ち時間予測のための機械学習システムをトレーニングする方法並びに上記の方法を実施するように構成されているコンピュータプログラム及び機械可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術
本発明の関連は、製造、より具体的には、製品ロットの製造処理がいつ終了するかの計画及び予測である。特に、1つのロットの製造に数週間から数ヶ月かかり得る半導体製造においては、所与のロットに対する製造完了の正確な予測が強く望まれている。完成の日付を正確に予測する必要があるにもかかわらず、産業界の現状は遅れている。一般には、現在の加工品(fab)の状況にかかわらず、このような予測のために平均サイクルタイムが使用される。より精巧な標準的な方法においては、規定された時間窓内のすべての処理ステップに対する平均滞在時間を使用し、それらを合計してサイクルタイムとする。
【0003】
他の従来技術による解決手段は、製造プロセスを離散事象シミュレーションにおいて取扱い範囲に入れることであり、これによってサイクルタイムを予測することができる。この方法は、理論的には可及的に正確ではあるが、いくつかの欠点を伴う。第1に、極めて複雑な製造プロセスが、細部まで理解され、デジタルでモデル化されなければならないので、このようなシミュレーションを構築し維持するためには、時間及び資本を要する。さらに、シミュレーションが利用可能な場合でも、複雑な計算問題であるので、その実行に長い時間がかかる。したがって、特に製造の操縦のために使用されるべき場合には、合理的な時間において、いくつかのシナリオだけしか実行することができない。
【0004】
サイクルタイムを予測するためのニューラルネットワーク又はデータマイニングモデルであり得る予測モデルによる、待ち時間予測に関するアプローチが存在する。
【0005】
Chen, T., Wang, Y.-C., Lin, Y.-C., Yang, K.-H.著、「Estimating job cycle time in semiconductor manufacturing with ANN approach equally dividing and post-classifying jobs」、Materials Science Forum、Vol.594、第469-474頁には、半導体加工品におけるサイクルタイム及び待ち時間を推定するための例示的なモデルが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Chen, T., Wang, Y.-C., Lin, Y.-C., Yang, K.-H.著、「Estimating job cycle time in semiconductor manufacturing with ANN approach equally dividing and post-classifying jobs」、Materials Science Forum、Vol.594、第469-474頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の利点
本発明の課題は、単純な(ローリング)平均予測よりも正確であるが、本格的なシミュレーションよりもメインテナンスが容易であり、より速く実行される解決手段を提供することである。
【0008】
本発明は、基本的に3つの利点を有する。第1に、これは平均推定量又はローリング平均推定量よりも正確である。動作データを用いて行った分析では、開発されたこの方法論が、平均サイクルタイムを同様に良好に予測しながら、二乗平均平方根誤差の点で、これらの推定量よりも3日間優れていることが示された。この作用は、ロットがそれらの平均サイクルタイムから逸脱する場合にさらに強くなる。したがって、実際のサイクルタイムと比較した推定の平均絶対偏差は、ロットが48日を上回るサイクルタイムを有する場合、この方法論によれば7日よりも正確になる。第2に、相互依存性をモデル化する必要がないため、これは離散事象シミュレーションよりも高速である。したがって、数時間ではなく数分以内での実行が可能になり、同等の時間でより多くのシナリオを調査することが可能になる。第3に、この方法論は、動作レベルで構築され、現在の製造データからの入力のみを使用し、動作ごとに1つの予測モデルのみを使用するので、メインテナンスが容易である。したがって、動作が変更された場合に、この動作のモデルのみが再トレーニングされればよく、残余は、元のままであってよいという意味において、これはモジュール式である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の開示
第1の態様においては、製造における複数の製造動作を含むルートの待ち時間推定の方法が提案される。この待ち時間を、先行する動作が完了してから次の動作が開始されるまでの経過時間として規定することができる。
【0010】
この方法は、製造動作の分類されたリストの受け取りから始まり、このリストは、ロット製造のためのルートを特徴付ける。その後、ロット製造開始時間の時点が規定される。
【0011】
次いで、分類されたリストにおける各製造動作に対して、予期される待ち時間を決定するためにループが実行される。このループは、複数の特徴量に対する特徴量値のサンプリングから始まり、これは、開始時点に応じた、動作測定された特徴量値に対して先行して収集された特徴量値のデータベースからのサンプリングによって行われる。これらの特徴量は、このロットのプロパティ及び/又は状態、及び/又は、このロットを製造するための工場のプロパティ及び/又は状態を特徴付ける。ループの第2のステップは、サンプリングされた特徴量値に応じた、予期される待ち時間の予測に関する。
【0012】
予期される待ち時間の予測は、複数の動作にわたって累積される。任意選択的に、累積された予期される待ち時間が、ルートの総待ち時間として出力される。
【0013】
有利には、他のロットのプロセスフローに関する情報は考慮されず、これによって、離散事象シミュレーションと比較して、計算時間が短縮される。
【0014】
特徴量値のサンプリングが、データベースからの収集された特徴量値のランダムなサンプリングによって実行され、又は、データベースからの収集された特徴量値の平均によって特徴量値を決定することによって実行され、又は、データベースからの収集された特徴量値のローリング平均によって特徴量値を決定することによって実行されることが提案され、ここでは、データベースの収集された特徴量値は、過去に実行された動作に対して収集されたものである。
【0015】
さらに、予測される待ち時間がトレーニングされた機械学習システムによって予測されることが提案され、ここでは、機械学習システムは、入力として特徴量値を受け取り、予期される待ち時間を出力する。
【0016】
さらに、複数のトレーニングされた機械学習システムが存在することが提案され、ここでは、各機械学習システムは、複数の製造動作のうちの1つの製造動作に割り当てられており、各機械学習システムは、自身の入力特徴量に応じて、自身の割り当てられた製造動作に対して、予期される待ち時間を予測するようにトレーニングされている。好適には、機械学習システムは、入力として、種々異なる特徴量セットを取り込む。これは、各機械学習システムの入力を、必要な特徴量のセットに能動的に低減することができることを意味する。
【0017】
さらに、ルートの動作の分類されたリストを、上記のルートの履歴確率に基づいて決定することが提案される。データベースは、以前に追跡された複数のルートと、対応して収集されたそれらの特徴量値と、追跡されたルートの待ち時間及び好適には追跡されたルートの動作の処理時間と、を含む。上記の追跡されたルートの確率分布に基づいて、履歴確率を決定することができ、これによって、上記のルートに対して実行される動作のセットを推定することができる。履歴確率は、データベース内の以前に測定されたデータに基づいて上記のルートを選択するために、ロットの確率を特徴付ける確率であるものとしてよい。
【0018】
さらに、予期される待ち時間に加えて、サンプリングされた特徴量値に応じて、各動作の予期される処理時間も決定されることが提案され、ここでは、予期される製造時間の累積も行われ、ここでは、好適には、累積された予期される待ち時間と、累積された予期される処理時間とを合計することによって、サイクルタイムが計算される。好適には、1つ又は複数のトレーニングされた機械学習システムが、予期される処理時間を付加的に出力するように構成されている。
【0019】
本発明の第2の態様においては、製造における製造動作の予期される待ち時間を予測するための機械学習システムをトレーニングする方法が提案される。
【0020】
この方法は、トレーニングデータの提供から始まり、ここでは、トレーニングデータは、ロットの複数の製造ルートを含み、ここでは、ルートの各製造動作に対して、特徴量値が収集され、ロットの対応する待ち時間が測定され、ここでは、これらの特徴量は、ロットのプロパティ及び/又は状態、及び/又は、ロットを製造するための工場のプロパティ及び/又は状態を特徴付ける。
【0021】
次いで、トレーニングデータの少なくとも第1の部分に対して、機械学習システムのトレーニングが実行される。機械学習システムのための公知のトレーニング方法を適用することができる。トレーニングは、機械学習モデルが、入力された特徴量に応じて、測定された待ち時間を出力するように適用される。付加的に、トレーニングデータがロットの収集された処理時間も含む場合に、予期される処理時間も出力するように機械学習システムをトレーニングするようにトレーニングを構成することができる。
【0022】
次いで、機械学習システムに対する入力として各特徴量を破棄し、上記の操作された入力によって待ち時間予測のための機械学習システムの相対的な性能低下を測定することによって、各特徴量に対する関連性が決定される。その後に続いて、特徴量の関連性にしたがって特徴量をランク付けすること、ランク付けされた特徴量を段階的に、ランク付けされた特徴量の最小セットについてテストすることが行われ、これは、出力される、予期される待ち時間の精度が低下しないという異論のもとで行われ、ここでは、この評価は、トレーニングデータ第3の部分に対して行われる。ここでの利点は、予測性能は、変化せずに、特徴量セットを大幅に低減することができることである。
【0023】
permutation feature importance(並べ替え特徴量重要度)アルゴリズムによって関連性を決定することが提案される。
【0024】
さらに、次いで、特徴量の最適なサブセットが、特徴量の決定された関連性に基づいてsequential backwards search(シーケンシャルバックワードサーチ)によって選択されることが提案される。
【0025】
さらに、機械学習システムのトレーニング後に、トレーニングされた機械学習システムがトレーニングデータの第2の部分に対して評価され、モデルの性能が所定の閾値未満である場合に、トレーニングステップが再び実行されることが提案される。
【0026】
さらに、機械学習システムのハイパーパラメータ最適化が、機械学習システムのトレーニングに使用されていないトレーニングデータの部分に対して実行されることが提案される。
【0027】
さらに、複数の異なる製造動作及び複数の異なる製品が存在することが提案され、ここでは、製造動作と製品との各組合せについて、機械学習システムがトレーニングされる。これは、製造動作又は製品の修正又は交換の場合に、このアプローチの容易なメインテナンスが提供されるという利点を有している。なぜなら、対応する機械学習システムだけが再トレーニングされればよいからである。
【0028】
さらに、本発明の第1の態様及び第2の態様の方法が、高い製品構成(Product Mix)/少量の半導体製造加工品における動作の待ち時間推定に適用されることが提案される。
【0029】
さらに、第1の態様及び第2の態様に対して、ロットが、電子装置、特に産業用若しくは車載用のコントローラ若しくはセンサ、ロジック装置又はパワー半導体装置であることが提案される。
【0030】
さらに、第1の態様及び第2の態様に対して、製造動作が、半導体製造動作、特に拡散動作及びリソグラフィ動作、又は、好適には製造動作のサブステップであることが提案される。
【0031】
さらに、第1の態様及び第2の態様に対して、累積された予期される待ち時間若しくは決定されたサイクルタイムに応じて、このロットを製造するための工場の製造動作のための装置を制御し、又は、このロットの優先度をその待ち時間に応じて調整することが提案される。利点は、工場の稼働率及び制御がより良好になることである。
【0032】
さらに、第1の態様及び第2の態様に対して、累積された予期される待ち時間若しくは決定されたサイクルタイムに応じて、種々異なるロットの最適な混合が決定され、又は、累積された予期される待ち時間若しくは決定されたサイクルタイムに応じて、このロットの製造が完了する時点が予測されることが提案される。工場のこのような制御によって、廃材等を最適化することができる。
【0033】
さらに、第1の態様及び第2の態様に対して、累積された予期される待ち時間若しくは決定されたサイクルタイムに応じて、複数のロットのうちの、最も短い若しくは最も長い待ち時間又はサイクルタイムを有するロットがさらに処理され、又は、このロットの総待ち時間を最短にするために、ルートの動作の順序の最適化が実行されることが提案される。
【0034】
本発明の実施形態について、以下の図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】特徴量の表を示す図である。
図2】ハイパーパラメータの表を示す図である。
図3】機械学習システムのトレーニングのためのフローチャートを示す図である。
図4】機械学習システムの適用のためのフローチャートを示す図である。
図5】機械学習システムのトレーニングシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
実施形態の説明
半導体製造業者は、マイクロチップの需要、機能、品質及び供給信頼性に関する顧客要求の増大に直面している。このように絶え間なく高まる市場の圧力によって、意思決定者が顧客との送達契約を締結するために、正確かつ精密な性能評価が必要となる。1つの重要な性能基準は待ち時間であり、これはサイクルタイムの最大割合を占めることが多く、その分散に最も寄与する。
【0037】
サイクルタイムを予測する多くの研究が存在するが、待ち時間を注目すべき変数として取り上げ、処理時間をどのように推定したいか(即ち、決定論的か又は確率論的か)を実務者が決定し得るようにしたい。
【0038】
半導体加工品における累積された総待ち時間を得るために、動作ごとに個別の予測を行い、ロットの製造サイクル全体にわたってそれらを合計することができる。
【0039】
しかし、待ち時間の予測は、潜在的に重要で、影響を及ぼす多数の特徴量を考慮しなければならないため、簡単なタスクではない。
【0040】
多種多様な特徴量を考慮する予測モデルは、計算量が多く、過剰適合する傾向があるが、対照的に、基本的なモデルは、価値のある予測を提供することができない。その結果、半導体製造業者は、待ち時間予測のための関連する特徴量セットを特定するタスクに直面する。
【0041】
さらに、半導体製造業者は、大量の製品に対する不安定な需要に直面している。その結果、半導体は、いわゆる(HMLV:多品種少量生産)半導体ウェーハ工場において製造される。
【0042】
HMLVウェーハ加工品においては、製品構成、利用可能な技術及び製造能力が、時間の経過とともに絶えず変化し、多数の動作が異種の工具セットにおいて同時に処理される。したがって、性能基準のための簡潔かつ軽量の予測モデルに対する要求が高まっている。この複雑な製造環境は、待ち時間と相関する多数の付加的な特徴量を暗示しているが、これまでのところ、これらの特徴量が予測の質にどのように寄与するのかは明確になっていない。
【0043】
製造実行システム(MES)においては機械が利用可能として示されているが、機械の劣化に起因してプロセスの質が保証されない場合がある。これは、リエントラントフロー、種々異なる層、限られた機械の能力及び複雑なプロセスフローに起因して待ち時間の予測が高度に複雑なプロセスである別の理由である。
【0044】
この問題に対処するために、半導体ウェーハ加工品、好適にはHMLV加工品における動作の待ち時間推定のためのフレームワークを提示し、重大な予測特徴量を決定し、待ち時間予測のための軽量なモデルを生成するための選択フレームワークを導入する。より正確には、先行する動作の完了時点でのロット及び動作ごとの単一の待ち時間を予測する方法を提案する。2つの製造エリア、即ち、リソグラフィ及び拡散からの実際の動作データによって、この方法を実証した。
【0045】
サイクルタイムが、半導体製造プロセスに対する最も関連する性能基準の1つであることがよく知られている。サイクルタイムは、タスクの開始から完了までの経過時間として規定可能であり、これは、搬送時間、待ち時間、処理時間及び付加的なステップのための時間から構成される。
【0046】
加工品の製造実行システム(MES)は、各機械のムーブインタイム及びムーブアウトタイム(即ち、各処理ステップの開始及び終了)を追跡する。先行するタスクが完了した後、ロットは次の処理ステップの工具群の共同待機室に入り、処理を待つ。なお、待機室は工具群と物理的に同一場所に設置されておらず、ロットの到着時に、どの機械がこのロットを処理するかは決定されていないことに留意されたい。その結果、待ち時間は、工具群間の搬送時間も含み得る。待機室のディスパッチストラテジはFIFO(先入れ先出し)ではなく、種々の要因に依存する。
【0047】
従来のアプローチにおいては、処理時間は所与の処理ステップに対して一定であると仮定されていた。しかし、我々の使用事例において、処理時間には多少の変動があることが判明した。それにもかかわらず、待ち時間の変動は、処理時間の変動を大きく上回る。したがって、このアプローチにおいては、過去の処理時間の性質を独立変数として使用しながら、待ち時間を分析及び予測することに焦点を当てる。他の実施形態においては、処理時間も予測可能である。
【0048】
我々のモデルの従属変数を、tにおいて工具群に到達した際の所与の工具群におけるロットごとの予期される待ち時間と規定する。
【0049】
提案したアプローチを、2つの部分において特徴付けることができる。第1に、我々は、我々のアプローチに対する特徴量セットを特定する。第2に、我々は、特徴量重要度計算方法論を提示し、ここでは、各問題範囲に対する特徴量のセット及び最良の性能を示すモデルが、各permutation feature importance (PFI)値で初期化されたsequential backwards searchに基づいて選択される。
【0050】
図1において、表は、我々のアプローチの特徴量セットを示している。特徴量セットは、多様なこのような特徴量を示しており、このような特徴量は、ワンホットエンコードされなければならない名義カテゴリ(nominal cat.)特徴量、又は、順序カテゴリ(ordinal cat.)特徴量、及び、特徴量の集合であることが多い連続(cont.)特徴量のいずれかである。リストに挙げた特徴量は、単なる例示である。
【0051】
以下においては、各特徴量について簡単に説明し、これは、その潜在的な重要度、及び、必要な場合には調整手法(adaptation mechanics)を含む。
【0052】
a.ロット優先度(P):各ロットには加工品エントリ時に優先度が割り当てられている。この優先度は、ロットの重要度及び緊急度を指し、これは、製造中のスケジューリングにとって特に重要であり、したがって、影響を及ぼす特徴量とみなされる。
【0053】
b.ワークインプログレス(WIP):WIPは、機械群において現在動作しているロットの数及び機械群の手前で現在待機しているロットの数として規定される。製造ロット及び非製造ロット、即ち、テスト及びメインテナンスの目的で使用されているロットが存在するため、すべてのジョブに対するWIPがそれぞれ、製造ロットタイプ(wip)及び非製造ロットタイプ(wip{np})に対して計算され得る。機械群において結果として得られる総WIPは、両方の特徴量の合計に等しいが、冗長な情報を回避するために特徴量として使用されない。付加的に、加工品全体のWIP(WIP)を考慮することができる。
【0054】
c.到着時間(qt):これは、そのレートで他のロットが到着又は出発するバッチ構築(一緒に処理されるべきロット群)動作に関連している。
【0055】
d.到着間時間(IA)及び出発間時間(ID):atをロットlの到着時間とし、dtをロットlの出発時間とする。IA及びIDは、同様の動作タイプの現在のロットと先行するロットとの到着/出発の間の時間として規定される。
【数1】
ロットの順序は、対応する到着タイムスタンプによって規定される。
バッチ動作の場合、どのような頻度で他のロットが到着するかが重要である。両方の特徴量に対して、最後の到着間時間(IApre1)及び最後の出発間時間(IDpre1)並びに最後の10個の値のローリング平均(IApre10;IDpre10)が特徴量として利用される。
【0056】
e.機械群のユーティライゼーション(u):機械群M(たとえば、すべてのリソグラフィ装置)内の各機械mに対して、規定された時間窓t=t-x乃至t、たとえば1時間において、利用可能な処理時間(ca(t│m))と占有されている時間(cu(t│m))とが存在する。それらを、次のように表すことができ、ここでは、Mは、oを処理し得る機械群である。
【数2】
【0057】
f.ユーティライゼーション(upreH)は、利用可能な処理時間に対する占有されている時間の割合である。
【数3】
装置のユーティライゼーションは、プロセスの実行に利用可能な能力を示している。装置のユーティライゼーションにおける最近の動向を示す、過去1時間のユーティライゼーション(upreH)と過去1日のユーティライゼーション(upreD)との両方が得られる。
【0058】
g.機械の可用性(a):可用性は、動作を実行することができる利用可能な機械の数によって規定される。好適には、機械群における機械状態の構成及び待ち時間に対するその結果に関する学習を可能にするために、各装置状態(「利用可能」、「修理」、「メインテナンス」、「セットアップ」及び「停止」)にある機械の数を特徴量として得る。
【0059】
h.処理時間(ptpreX)及び待ち時間(wtpreX):両方の値が同様の分布を共有していないという事実を確認するために、サイクルタイムを分割する。付加的に、製品と動作との同一の組合せの最後に終了した動作、先行する3個の最近終了した動作及び先行する10個の最近終了した動作の両方の値を示す。なぜなら、これは、両方の値における最近の傾向を示すために役立つ可能性があるからである。これらの特徴量は(直前の待ち時間及び処理時間を除いて)変化するので、wt及びptの最小(min)値及び最大(max)値、平均(μ)及び分散(σ)が特徴量として加えられる。
【0060】
i.加工品における製品構成(pmfab):複雑さを増す製品構成はより困難であり、したがって、計画の複雑さをさらに増大させる。複雑さの増大はディスパッチアルゴリズムの性能に影響を与えるため、これは製造計画のストレスレベルの指標として、全体的な加工品WIPと組み合わせて使用可能である。製品の複雑さは、製品の完成に必要な層の量によって測定可能である。したがって、到着時に加工品内のすべての製品を完成させるために必要な層のデシル(十分位数)と、動作を実行することができる装置のキューにおけるすべてのロットのデシルとによって製品構成が示される。
【0061】
j.工具ループの数(l):この特徴量は、動作が初めて実行されるか、又は、リワークステップとして繰り返されるかを示す。リワークステップは、予期せぬイベントであるため、緊急度を得ることがある、又は、計画者から特別な注意を引く可能性があるということが基礎となる仮定である。
【0062】
k.キューにおける製品構成(pmqueue):上記のpm_(fab)にかかわらず、同様の計算パターンを使用してこの特徴量を処理する。pmfabと同様に、pmqueueは、機械群の計画の複雑さを示す指標であり、キューの不均質性を示しているため、これは、シーケンス依存性の高い製造エリアにおいて関心の対象であり得る。したがって、これは、待ち時間推定に関連し得る。
【0063】
l.キューにおける異なる製品の数(nqueue):多種多様な製品によってセットアップ時間が長くなり、それゆえ待ち時間がより長くなるため、これはシーケンスに依存するセットアップ時間を有するエリアにおいて重要となり得る。
【0064】
m.WIPプロファイル(WIPdist):この特徴量は、t_0での加工品におけるすべてのロットの完成レベルの測定値である。これは、ロットの完成した層及び必要なすべての層の分数として計算され得る。現在のWIPのすべてのロットを同等に扱うのではなく、適用されるべき層の数によって各ロットを評価することができる。この特徴量を、すべてのロットの製造方法によって適用されるべき層の総数に関連した、完成した層のパーセンテージとして得ることができる。WIPプロファイルを、加工品全体及び機械群のキューにおけるロットのデシルとして導入する。完成に近い製品(即ち、WIPプロファイル値が高い製品)は、その完成が、主要な性能指標である加工品の出力に直接的に影響するため、ディスパッチアルゴリズムによって好まれる可能性が高い。
【0065】
n.完成レベル(complt0):この特徴量は、既に完成した層及び現在予測しているロットの層の総数の分数を示す。この特徴量によって、すべての並行するロットに対してだけでなく、予測されるべきロットに対しても、完成レベルの重要度を確認することができる。
【0066】
o.キューにおける同様の動作の量(qlsim):同様の動作は、(その製品とは無関係に)同様の動作タイプのものであり、したがって、複数の装置が複数のバッチを処理することができる場合、複数のバッチにおいて生じ得る。したがって、多くの同様の動作が、完全なバッチを作成するために実行を待機している場合には、ロットが優先され得る。
【0067】
p.tにおいてキューにおいて待機しているすべてのロットの待ち時間(wt(dist│t0)):入力特徴量の固定された形状を保つために、キューにおける待機ロットを待ち時間の複数のデシルにグループ化した。この特徴量は、キューに参加しているロットに関するさらなる情報を抽出するために使用される。
【0068】
q.tにおけるシフト(S):たとえば、早い時間:6:00~14:00、遅い時間:14:00~22:00及び夜間:22:00~6:00。付加的に、tにおける週末(w):週末に、ロットがキューに入る場合には1、それ以外の場合には0。祝祭日(h):加工品の所在地の国民的祝祭日中に、ロットがキューに入る場合には1、それ以外の場合には0。シフトと、週末と、祝祭日とで人的資源が異なると仮定する。
【0069】
r.先行する動作ID(oprev):我々の使用例においては、搬送時間が待ち時間に含まれているため、このカテゴリの特徴量が導入されている。これが、加工品内で搬送されるべき距離に対する推定量として機能し得ると仮定する。
【0070】
s.同様の動作による、製品が最後に出発してからの期間(dt):この特徴量は、動作が定期的に実行されるか、まれに実行されるか、又は、この動作が新しい動作であるかを示す。基礎となる仮定は、高利回り製品の製造効率はより高いということである。
【0071】
t.現在の動作の層(L)及び段階(Stcur):この特徴量は、加工品におけるロットの位置を示す。これらの特徴量は、製品が完成に近い場合、又は、資本集約的な段階若しくは層に面する場合に、製品が異なって扱われるので、関心の対象であり得る。
【0072】
u.完成に必要なステージの合計数(Sttotal):この特徴量は、特定のディスパッチ状況においては、より複雑な製品がより優先されるべきであると仮定して、各ロットがどの程度複雑であるかを示すものである。
【0073】
提案される特徴量選択プロセスは、本明細書において特徴量選択フレームワークと称される製品と動作との組合せごとに実行される3つのステップから構成されている。
【0074】
以降のアプローチは、permutation feature importance計算と、permutation feature importance値に基づくsequential backwards searchとの組合せから導出された。部品と動作との各組合せに対するデータセットは、ランダムな分割によってトレーニングセット(たとえば50%)、テストセット(25%)及び検証セット(25%)に分割される。このアプローチのセットアップフェーズにおいては、ランダムな分割を用いた結果と時間依存の分割を用いた結果とを比較した。これらの結果は、比較可能であるが、データセットには時間に沿って異なる値の範囲が含まれているため、ランダムな分割を使用して作業することとする。
【0075】
図3は、トレーニングプロシージャを概略的に示す図である。
【0076】
製品と動作との組合せごとに、第1にトレーニングデータセットを用いてランダムフォレスト分類器をトレーニングし(S21)、好適には、テストセットを使用してハイパーパラメータチューニングを実行する。このアプローチのセットアップフェーズにおいては、他のモデル技術(たとえば、多層パーセプトロン、リカレントニューラルネットワーク)も選択的に利用することができ、結果は、比較可能であることが示されている。
【0077】
モデルの入力は、特徴量値である。一実施形態においては、ランダムフォレストは、上記で説明された特徴量のすべての特徴量値を受け取る。他の実施形態においては、ランダムフォレストは、上記の複数の特徴量を受け取る。ランダムフォレストは、予期される待ち時間を特徴付ける値を予測するように構成されている。付加的に、ランダムフォレストは、対応する動作の製造時間を予測することもできる。
【0078】
我々は、先行して導入されたすべての特徴量を使用して、製品と動作との組合せごとに上記のモデルをいわゆるベースラインモデルとしてトレーニングした。第2に、このモデルが未観測データで評価されることを保証するために、検証セットでベースラインモデルの性能を評価する。好適には、十分な性能スコアを有するベースラインモデル(たとえば、この予測が、0乃至1のスケールでの目標値の変動をどの程度担保するかを示す決定係数)が特徴量選択に使用され、予測能力が低い他のモデルが、さらなる分析から消去されることに留意されたい。
【0079】
第3のステップにおいては、各モデルに対してPermutation Feature Importance(PFI)に基づく特徴量削減が実行される(S22)。Permutation Feature Importanceに関するさらなる情報については、Altmann, Andre等著、「Permutation importance: a corrected feature importance measure」、Bioinformatics 26.10 (2010): 第1340-1347頁を参照されたい。
【0080】
最適化されたハイパーパラメータを有するモデルは、好適には、特定された関連する特徴量のみによってトレーニングされる。最後に、検証セットに対して、対応するベースラインモデルに対して所与の部品と動作との組合せの最適化されたモデルの性能を評価することができる。
【0081】
以下においては、ベースラインモデルのトレーニングについて説明する。ハイパーパラメータの最適なセットは、グリッドサーチによって選択可能である。グリッドサーチの可能な境界を、図2の表において見ることができる。最適化されたハイパーパラメータを以下に記載するが、この方法の他のすべてのパラメータはデフォルト値のままであるべきである。
【0082】
ランダムフォレストは、さまざまなハイパーパラメータに沿って構築される。第1に、estimatorの数が、ランダムフォレスト内のディシジョンツリーの数を決定する。第2に、the max_depthが、各ディシジョンツリーの最大許容深さを決定する。第3に、the max_featuresが、最良の分割を探索するときに、考慮すべき特徴量の数を決定する。これが「auto」である場合、最大特徴量は、特徴量の総数である。これが「sqrt」である場合、特徴量の総数の平方根が選択される。
【0083】
ハイパーパラメータmin_samples_splitは、内部ノードを分割するために必要なサンプルの最小数を決定する。ハイパーパラメータmin_samples_leafは、リーフの構築に必要なサンプルの最小数を決定する。したがって、分割ポイントは、これが、他のブランチに対して、規定された量のトレーニングサンプルを残す場合にのみ、このツリーに実装されるべきであるとみなされる。ハイパーパラメータbootstrapは、ブートストラップサンプルが、このツリーの構築に使用されているか否かを規定する。
【0084】
最後に、ハイパーパラメータwarm_startは、先行する呼び出しの解が、フォレストを構築する際に再利用されるか、又は、完全に新しいフォレストが適合されるかを規定する。
【0085】
以下においては、ベースラインモデルの評価について説明する。回帰問題に直面しているため、モデルの性能を決定係数(R)に基づいて評価した。
【数4】
をn個の観測値の平均
【数5】
とし、fをランダムフォレストベースラインモデルの対応する予測とする。Rは、総平方和(SStot)における説明された平方和(SSres)の割合を1から引いたものと規定される。
【数6】
したがって、所与のモデルに対するRは、すべての推定値fが観測値yと等しい場合には1であり、すべての推定値が平均
【数7】
と等しい場合には0である。
【0086】
以下においては、permutation feature importanceアルゴリズムを実行し、これは次に、sequential backwards searchにおいて分類器として使用される。sequential backwards searchに関するさらなる情報については、Huang, Nantian, Guobo Lu, Dianguo Xu著、「A permutation importance-based feature selection method for short-term electricity load forecasting using random forest」、Energies 9.10 (2016): 767を参照されたい。
【0087】
上記のベースラインモデル及びその性能sから始めて、各特徴量jについて、データセットにおける値がランダムにK回並べ替えられ、結果として得られるモデル性能skjが計算される。性能基準skjとして、上記の決定係数Rを展開する。特徴量jの重要度iは、このシャッフルによる、結果として生じるモデル性能の低下として規定される。
【数8】
【0088】
PFIにおけるランダムな変動の影響を低減するために、このプロセスは、各モデルにおける各特徴量に対してK=1000回実行され得る。
【0089】
その後、所与の問題に対する最適な特徴量セットを特定するために(S23)、Huang等著、「A permutation importance-based feature selection method for short-term electricity load forecasting using random forest」、in Energies, Vol. 9, Nr. 10, 第767頁、2016によって提案されているようなsequential backwards searchを使用する。ここでは、PFIが分類器として使用される。
【0090】
図4は、図3に即した、トレーニングされたモデルの適用のフローチャート(30)を概略的に示す図である。
【0091】
この方法は、製造動作の分類されたリストの受け取り(S31)及びロット製造開始時間の時点(t)の規定から始まる。
【0092】
次いで、分類されたリストにおける各製造動作に対する待ち時間を決定するループを実行する。
【0093】
ループの第1のステップは、開始時点に応じた、動作測定された特徴量値に対する収集された特徴量値のデータベース(51)からのサンプリングによる、複数の特徴量に対する特徴量値のサンプリング(S32)である。ループの第2のステップは、サンプリングされた特徴量値に応じた、予期される待ち時間の予測(S33)を含む。
【0094】
最後に、各動作の予期される待ち時間が累積される(S34)。
【0095】
図5には、トレーニングシステム500の実施形態が示されている。トレーニングシステム500は、トレーニングデータベースから入力特徴量を提供する提供者システム51を含む。入力特徴量は、トレーニングされるべき機械学習システム52に供給され、機械学習システム52は、それらから予期される待ち時間を決定する。予期される待ち時間及び測定された待ち時間が評価器53に供給され、評価器53は、それらから機械学習システム52に対する急性ハイパーパラメータを決定し、これらはパラメータメモリPに伝送され、ここでこれらは現在のパラメータに取って代わる。評価器53は、図3による方法のステップS21を実行するように構成されている。
【0096】
トレーニング装置500によって実行されるプロシージャは、機械可読記憶媒体54に記憶されるコンピュータプログラムとして実装されるものとしてよく、プロセッサ55によって実行されるものとしてよい。他の実施形態においては、コンピュータプログラムは、トレーニングされた機械学習システム52を用いて図4の方法を実施するための命令を含み得る。
【0097】
用語「コンピュータ」は、所定の計算命令を処理するための任意の装置を包含する。これらの計算命令は、ソフトウェアの形態であるものとしてもよいし、ハードウェアの形態であるものとしてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの混合形態であるものとしてもよい。
【0098】
さらに、自明のとおり、これらのプロシージャは、上記のようにソフトウェアで完全に実装することができるだけでなく、これらのプロシージャは、ハードウェアでも、ソフトウェアとハードウェアとの混合形態でも実装可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-05-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造における複数の製造動作を含むルートのための待ち時間予測を行うコンピュータ実装された方法(30)であって、
製造動作の分類されたリストであって、ロットを製造するための前記ルートを特徴付けるリストを受け取るステップ(S31)と、
ロット製造開始時間の時点(t)を規定するステップと、
分類された前記リストにおける各製造動作に対して、
(1)前記開始時点に応じた、動作測定された特徴量値に対する収集された特徴量値のデータベース(51)からのサンプリングによる、複数の特徴量に対する特徴量値のサンプリング(S32)であって、前記特徴量は、前記ロットのプロパティ及び/又は状態、及び/又は、前記ロットを製造するための工場のプロパティ及び/又は状態を特徴付ける、サンプリング(S32)と、
(2)サンプリングされた特徴量値に応じた、予期される待ち時間の予測(S33)と、
を決定するステップと、
各動作の前記予期される待ち時間を累積するステップ(S34)と、
を含む方法。
【請求項2】
特徴量値の前記サンプリングを、前記データベース(51)からの収集された特徴量値のランダムなサンプリングによって実行し、又は、前記データベース(51)からの収集された特徴量値の平均によって前記特徴量値を決定することによって実行し、又は、前記データベース(51)からの収集された特徴量値のローリング平均によって前記特徴量値を決定することによって実行し、
前記データベース(51)の前記収集された特徴量値は、過去に実行された動作に対して収集されたものである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記予測される待ち時間を、トレーニングされた機械学習システム(52)によって予測し、
前記機械学習システム(52)は、入力として前記特徴量値を受け取り、前記予期される待ち時間を出力する、
請求項に記載の方法。
【請求項4】
複数のトレーニングされた機械学習システムが存在し、
各機械学習システムを、複数の前記製造動作のうちの1つの製造動作に割り当て、各機械学習システムは、自身の入力特徴量に応じて、自身の割り当てられた製造動作に対して、前記予期される待ち時間を予測するようにトレーニングされている、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記製造動作は、半導体製造動作、特に拡散動作及びリソグラフィ動作である、
請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記ロットは、電子装置、特に産業用若しくは車載用のコントローラ若しくはセンサ、ロジック装置又はパワー半導体装置である、
請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記ルートの動作の前記分類されたリストを、前記ルートの履歴確率に基づいて決定する、
請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記予期される待ち時間の予測に加えて、サンプリングされた特徴量値に応じて、各前記動作の予期される処理時間も決定し、
予期される製造時間の累積も行い、
累積された前記予期される待ち時間と、累積された前記予期される処理時間とを合計することによって、サイクルタイムを計算する、
請求項に記載の方法。
【請求項9】
累積された前記予期される待ち時間に応じて、前記ロットを製造するための前記工場の前記製造動作のための装置を制御し、又は、前記ロットの優先度をその待ち時間に応じて調整する、
請求項に記載の方法。
【請求項10】
累積された前記予期される待ち時間に応じて、異なる製品構成シナリオに対して、異なるロットの最適な混合を予測する、
請求項に記載の方法。
【請求項11】
高い製品構成/少量の半導体製造加工品における動作の待ち時間推定に適用される、
請求項に記載の方法。
【請求項12】
コンピュータプログラムであって、当該コンピュータプログラムがプロセッサ(55)によって実行されるときに、請求項に記載の方法のすべてのステップをコンピュータに実施させるために構成されているコンピュータプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のコンピュータプログラムが記憶されている機械可読記憶媒体(54)。
【請求項14】
請求項13に記載の機械可読記憶媒体(54)備えている装置。
【外国語明細書】