(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120173
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】医用イメージングスキャナ、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01T 1/161 20060101AFI20230822BHJP
【FI】
G01T1/161 A
G01T1/161 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023023260
(22)【出願日】2023-02-17
(31)【優先権主張番号】17/674,063
(32)【優先日】2022-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VERILOG
2.Linux
3.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウエンユエン チー
(72)【発明者】
【氏名】イ チャン
(72)【発明者】
【氏名】エヴレン アズマ
(72)【発明者】
【氏名】リ ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ペン ペン
【テーマコード(参考)】
4C188
【Fターム(参考)】
4C188EE02
4C188FF07
4C188KK02
4C188KK24
4C188KK33
(57)【要約】
【課題】精度よく画像のボケを補正すること。
【解決手段】実施形態の医用イメージングスキャナは、受信部と、分類部と、生成部と、選択部と、適用部とを備える。受信部は、前記医用イメージングスキャナの画像視野と共に、被写体から放射された放射線を検出することによって生成されたリストモードデータであって、複数の検出イベントを含むリストモードデータを受信する。分類部は、前記複数の検出イベントの少なくとも1つの相互作用特性に基づいて前記リストモードデータに含まれている各検出イベントを分類する。生成部は、分類の結果に基づいてグループ化された検出イベントのペアを生成する。選択部は、前記検出イベントのペアのグループごとに、対応する相互作用特性固有補正カーネルを選択する。適用部は、前記対応する相互作用特性固有補正カーネルを、前記検出イベントのペアの各グループに関連付けられたデータであって前記リストモードデータに関連するデータに適用する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用イメージングスキャナであって、
前記医用イメージングスキャナの画像視野と共に、被写体から放射された放射線を検出することによって生成されたリストモードデータであって、複数の検出イベントを含むリストモードデータを受信する受信部と、
前記複数の検出イベントの少なくとも1つの相互作用特性に基づいて前記リストモードデータに含まれている各検出イベントを分類する分類部と、
分類の結果に基づいてグループ化された検出イベントのペアを生成する生成部と、
前記検出イベントのペアのグループごとに、対応する相互作用特性固有補正カーネルを選択する選択部と、
前記対応する相互作用特性固有補正カーネルを、前記検出イベントのペアの各グループに関連付けられたデータであって前記リストモードデータに関連するデータに適用する適用部と、
を備える、医用イメージングスキャナ。
【請求項2】
前記データは、前記リストモードデータに基づく画像データである、請求項1に記載の医用イメージングスキャナ。
【請求項3】
前記データは、前記リストモードデータに基づくサイノグラムデータである、請求項1に記載の医用イメージングスキャナ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの相互作用特性は、光子と相互作用した検出器結晶が複数ある場合を含む、請求項1に記載の医用イメージングスキャナ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの相互作用特性は、各検出イベントのエネルギー情報を含む、請求項1に記載の医用イメージングスキャナ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの相互作用特性は、更に、検出器結晶の位置情報を含む、請求項5に記載の医用イメージングスキャナ。
【請求項7】
前記データに対して前記対応する相互作用特性固有補正カーネルが適用された後に、当該データに基づいた画像を表示部に表示させる表示制御部を更に備える、請求項1に記載の医用イメージングスキャナ。
【請求項8】
前記適用部は、画像更新ごとに、前記データのサブセットに対して前記相互作用特性固有補正カーネルを使用するOSEM(ordered subset expectation maximization)法を用いて、前記対応する相互作用特性固有補正カーネルを前記データに適用する、請求項1に記載の医用イメージングスキャナ。
【請求項9】
前記選択部は、前記検出イベントのペアのグループごとに、前記対応する相互作用特性固有補正カーネルとして対応する相互作用特性固有点広がり関数補正カーネルを選択し、
前記適用部は、前記対応する相互作用特性固有点広がり関数補正カーネルを前記データに適用する、請求項1に記載の医用イメージングスキャナ。
【請求項10】
医用イメージングスキャナの画像視野と共に、被写体から放射された放射線を検出することによって生成されたリストモードデータであって、複数の検出イベントを含むリストモードデータを受信する受信ステップと、
前記複数の検出イベントの少なくとも1つの相互作用特性に基づいて前記リストモードデータに含まれている各検出イベントを分類する分類ステップと、
分類の結果に基づいてグループ化された検出イベントのペアを生成する生成ステップと、
前記検出イベントのペアのグループごとに、対応する相互作用特性固有補正カーネルを選択する選択ステップと、
前記対応する相互作用特性固有補正カーネルを、前記検出イベントのペアの各グループに関連付けられたデータであって前記リストモードデータに関連するデータに適用する適用ステップと、
を含む、方法。
【請求項11】
コンピュータに、
医用イメージングスキャナの画像視野と共に、被写体から放射された放射線を検出することによって生成されたリストモードデータであって、複数の検出イベントを含むリストモードデータを受信する処理と、
前記複数の検出イベントの少なくとも1つの相互作用特性に基づいて前記リストモードデータに含まれている各検出イベントを分類する処理と、
分類の結果に基づいてグループ化された検出イベントのペアを生成する処理と、
前記検出イベントのペアのグループごとに、対応する相互作用特性固有補正カーネルを選択する処理と、
前記対応する相互作用特性固有補正カーネルを、前記検出イベントのペアの各グループに関連付けられたデータであって前記リストモードデータに関連するデータに適用する処理と、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用イメージングスキャナ、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポジトロン放射断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)イメージングは、放射性医薬品を患者(被写体)に投与すること(例えば、経口摂取または吸入を通して)によって開始される。適時に、人体内の特定の場所に放射性医薬品が集中し、それにより、関心領域に蓄積する放射性医薬品の物理的特性および生体分子特性を利用する。投与から捕捉、捕捉から排出までの、実際の空間分布、蓄積の場所または領域の濃度、およびPETイメージングプロセスの動態は、全て、臨床的な重要性を持つ可能性がある要素である。
【0003】
PETイメージングプロセス中、医薬品に付着したポジトロン放射体は、同位元素の物理的性質に応じてポジトロンを放射する。放射されたポジトロンは、イメージング対象物または患者の電子と衝突し、それにより、ポジトロンおよび電子が消滅し、反対方向の511keVの2つのガンマ線が発生する。発生したガンマ線の検出用のいくつかのPET検出器リングを備えたPETスキャナは、典型的には、このいくつかのPET検出器リングを支持する円形ボアタイプハウジングを備える。2つの発生したガンマ線のそれぞれは、いくつかのPET検出器リングのPET検出器と相互作用し、信号が記録される。
【0004】
PETは、結晶サイズ効果、結晶間散乱、結晶伝播、ポジトロン飛程(ポジトロンレンジ)および光子非共線性を含む、いくつかの本質的な空間分解能を劣化させる要因を抱えている。これらの要因の大部分を個別に測定することは非常に困難である場合がある。これらの要因に対処し、分解能回復を行う一技法は、全体的に、点広がり関数(Point-Spread Function:PSF、点拡がり関数)を作成することである。PSFモデリングの精度は、画像品質にとって極めて重要なものである場合がある。
【0005】
PSFモデリングは、サイノグラム空間または画像空間で行われる場合がある。両方のケースにおいて、分解能の低下の程度が空間に大きく依存するので、カーネルは空間に応じて異なる。不適切なモデリングのケースでは、分解能の回復には限界がある場合がある。過剰なモデリングは、場合によりリングアーチファクトなどの画像のアーチファクトの原因となる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3576047号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、精度よく画像のボケを補正することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の医用イメージングスキャナは、受信部と、分類部と、生成部と、選択部と、適用部とを備える。受信部は、前記医用イメージングスキャナの画像視野と共に、被写体から放射された放射線を検出することによって生成されたリストモードデータであって、複数の検出イベントを含むリストモードデータを受信する。分類部は、前記複数の検出イベントの少なくとも1つの相互作用特性に基づいて前記リストモードデータに含まれている各検出イベントを分類する。生成部は、分類の結果に基づいてグループ化された検出イベントのペアを生成する。選択部は、前記検出イベントのペアのグループごとに、対応する相互作用特性固有補正カーネルを選択する。適用部は、前記対応する相互作用特性固有補正カーネルを、前記検出イベントのペアの各グループに関連付けられたデータであって前記リストモードデータに関連するデータに適用する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の例示的な実施形態による、シングル-シングルイベント、マルチ-マルチイベント、およびシングル-マルチイベントを示す図である。
【
図2】
図2は、本開示の例示的な実施形態による、イベント特性依存画像領域PSFモデリングの方法を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示の例示的な実施形態による、イベント特性依存サイノグラム領域PSFモデリングの方法を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示の例示的な実施形態による、イベントのグループ化の方法を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の例示的な実施形態による、光子と相互作用する検出器結晶の数に基づくイベントのグループ化の方法を示す図である。
【
図6】
図6は、本開示の例示的な実施形態による、マルチ分解能PSF再構成の方法を示す図である。
【
図7】
図7は、本開示の例示的な実施形態による、イベント特性依存PSFモデリングの方法を示す図である。
【
図8】
図8は、本開示の実施形態による、PETスキャナの斜視図である。
【
図9】
図9は、本開示の例示的実施形態による、PETスキャナおよび関連するハードウェアの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の詳細な説明を添付図面と共に考慮し、参照することによって、本開示がよりよく理解されるにつれて、本開示の完全な理解およびそれに付随する多くの利点が容易に得られるであろう。
【0011】
本明細書で使用する場合、用語「別の」は、少なくとも2つ目のもの、またはそれ以外のものであると定義する。本明細書で使用する場合、用語「含む」および/または「有する」は、「備える・含む・包括する」と同様であると定義する。本明細書全体における「一実施形態」、「ある特定の実施形態」、「実施形態」または「実装形態」、「例」、または類似の用語に対する言及は、実施形態に関連して記載されている特定の特性、構造、または特徴が、本開示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な箇所で出現する上記フレーズが、必ずしも同じ実施形態全てを指しているというわけではない。さらに、1つまたは複数の実施形態において任意の適切な方法で、特定の特性、構造、または特徴は限定されることなく、組み合わされる場合がある。
【0012】
ポジトロン放射断層撮影(PET)は、放射されたポジトロンと近くの電子との消滅から対向する511keVの光子が生じるという原理に基づくものである。従来のPETでは、同時計数電子機器を使用して、どの応答線(Line Of Response:LOR)に沿って消滅が起こったかを決定する。先に概説したように、消滅を局在化するために、従来の手法は、LORに沿った任意の所与のポイントで消滅が起こったという等しい尤度に頼っている。飛行時間(TOF)PETはさらに一歩進み、それぞれのPET検出器に到着した各光子の到着時間の差を測定することによって、LORに沿った消滅が起こったと考えられる位置を決定する。
【0013】
上述した分解能を劣化させる要因の中でも、結晶間散乱、および結晶伝播は、ポジトロン飛程(多数のトレーサに対する)および光子非共線性に比べてより影響が大きい。これらの両方のケースでは、異なるエネルギーレベルまたは異なる数の結晶相互作用を伴うイベントで、サイノグラムにおいて異なるレベルのボケが発生する。
【0014】
図1は、本開示の例示的な実施形態による、シングル-シングルイベント、マルチ-マルチイベント、およびシングル-マルチイベントを示す図である。
図1は、異なる相互作用でどのように異なるボケレベルが発生するかを示している。各図は、1つまたは複数の結晶と相互作用する(例えば、コンプトン散乱に起因する)シングルのペア(すなわち、同時計数イベントの2つの光子)を示している。
図1(a)は、511keVガンマ光子の両方がそれぞれ1個ずつの結晶と相互作用するシングル-シングルイベントを示している。
図1(b)は、511keVガンマ光子の両方が複数の結晶と相互作用するマルチ-マルチイベントを示している。
図1(c)は、1つの511keVガンマ光子が1つの結晶と相互作用し、もう1つの511keVガンマ光子が、複数の結晶と相互作用するシングル-マルチイベントを示している。後者の2つのケースでは、マルチ結晶相互作用(例えば、コンプトン散乱による)により、不正確な応答線が発生し、それにより、画像の品質が低下する可能性がある。PSFモデリング精度のさらなる改善のために、イベント特性依存PSFモデリングを利用することができる。サイノグラム領域および画像領域の両方の実装形態について本明細書で論じる。
【0015】
図2は、本開示の例示的な実施形態による、イベント特性依存画像領域PSFモデリングの方法800を示す図である。
図2は、画像におけるイベント特性依存PSFモデリングの方法800を示す図である。ステップ801で、点線源のリストモードデータ取得を行う。一実施形態では、ステップ801では、リストモードデータを収集する医用イメージングスキャナ(例えば、PETスキャナ)で、対象物(例えば、患者)をスキャニングする。
【0016】
ステップ803で、リストモードデータを使用してイベントのグループ化を行う。この例示的実施形態では、イベントのグループ化は、グループ1のペア805、グループ2のペア807から、グループPのペア809までの光子のペアのP個のグループを作成する。この際、Pは3以上である。当然のことながら、他の例でも任意の数のグループが作られてよい。イベントのグループ化は、ステップ801で取得したリストモードデータを、少なくとも1つの相互作用特性(例えば、結晶サイズ、結晶間散乱、結晶伝播、ポジトロンレンジ、光子非共線性)に基づいて、1つまたは複数のグループに分類する。ステップ803に関するさらなる詳細については、
図4および
図5を参照して後述する。
【0017】
ステップ811では、グループ1のペア805、グループ2のペア807から、グループPのペア809までに対して画像再構成を行い、それぞれ、グループ1の画像813、グループ2の画像815から、グループPの画像817までを生成する。フィルタ逆投影などの任意の画像再構成技法が使用されてよい。
【0018】
ステップ818では、グループ1の画像813、グループ2の画像815から、グループPの画像817までの全ての再構成点線源に、対応する画像領域PSFカーネルを適合し、それぞれ、画像領域PSFカーネルK1819、画像領域PSFカーネルK2821から、画像領域PSFカーネル823KPまでを生成する。
【0019】
PSFカーネルを取得後、それらは、グループ化された光子のペアの各グループに関連付けられたデータに適用されてよい。例えば、画像領域PSFカーネルK1819は、グループ1の画像813に適用されてよく、画像領域PSFカーネルK2821は、グループ2の画像813に適用されてよく、かつ画像領域PSFカーネルKP223は、グループPの画像817に適用されてよい。
【0020】
リストモード再構成では、リストモード期待値最大化(List-Mode Expectation Maximization:LMEM)再構成アルゴリズムが、統計的に独立したポアソン分散サイノグラムデータに対する尤度関数の表現によって導出される場合があり、この際、各サイノグラムビンの和が各イベントの和に変換される。1つのこのような構成は、Rahmimらによる「Statistical list-mode image reconstruction for the high resolution research tomograph.2004 (0031-9155/04/184239)(本明細書に引用される)」に記載されている。
【0021】
【0022】
通常の画像領域PSF再構成では、推定される画像は、下記の式(2)で示されるようなPSFカーネルによって畳み込まれ、次いで順投影される。逆投影は、PSFカーネルの逆行によって逆畳み込みが行われる。
【0023】
【0024】
イベント特性依存PSF再構成では、更新は、リストモードイベントをいくつかのグループに分割して、場合によってはグループごとに異なるPSFカーネルで行うことができる。再構成の間、PSFモデルは、グループごとに選択され、また最終的な再構成は、下記の式(3)によって示されているように、全てのグループに基づく。
【0025】
【0026】
図3は、本開示の例示的な実施形態による、イベント特性依存サイノグラム領域PSFモデリングの方法を示す図である。
図3は、サイノグラム領域におけるイベント特性依存PSFモデリングの方法900を示している。方法900は、方法800のステップ801および803が繰り返されて、グループ1のペア805、グループ2のペア807から、グループPのペア809までが生成されるという点で、方法800と類似する。次に、ステップ911では、画像再構成の実施の代わりに、各グループのペアがサイノグラムに再分配され、グループ1のサイノグラム913、グループ2のサイノグラム915から、グループPのサイノグラム917までが生成される。ステップ919では、グループ1のサイノグラム913、グループ2のサイノグラム915から、グループPのサイノグラム917までのそれぞれが、適合に使用されて、それぞれ、サイノグラム領域PSFカーネルK
1921、サイノグラム領域PSFカーネルK
2923から、サイノグラム領域PSFカーネルK
P925までが生成される。これらのカーネルのそれぞれは、それらの対応するサイノグラムグループに適用することができる。
【0027】
通常のサイノグラム領域PSFリストモード再構成では、更新は、下記の式(4)を用いて決定することができ、この際、サイノグラムは、PSFカーネルで畳み込みされる。逆投影の前に、PSFカーネルの逆行を伴う畳み込みが行われる。
【数4】
【0028】
マルチ分解能PSF再構成では、リストモードイベントは、いくつかのグループに分割することができ、各グループは、下記の式(5)と同様の式に従って、全てのグループの更新に基づいて、最終的な再構成でサイノグラム領域PSFモデリングに同じPSFカーネルモデリングを使用する。
【数5】
【0029】
図4は、本開示の例示的な実施形態による、イベントのグループ化の方法を示す図である。
図4は、ステップ803のイベントのグループ化を行う方法803aのステップを示す。方法803aの入力は、ステップ801からの点線源のリストモードデータ取得であり、方法803aの出力は、1つまたは複数のグループのペアである。
【0030】
ステップ401aは、1つまたは複数の相互作用特性に従ってリストモードデータ内のシングルを再分配し、シングルのセット1 403a、シングルのセット2 407a、シングルのセット3 407aなどを生成することである。任意の数のシングルを作成することができる。ここでいうシングルは、例えば、検出イベントに対応する。
【0031】
一実施形態において、相互作用特性は、光子が相互作用する結晶の数である。シングルのセットの量は、光子が相互作用する結晶の数の範囲に対応し得る。例えば、光子が1個から3個の結晶のいずれかと相互作用した場合、3つのシングルのセットが生成され得る。
【0032】
一実施形態において、相互作用特性は、リストモードデータ内の光子のイベントエネルギー(イベントのエネルギー情報)である。任意の数のシングルのセットを、セットごとに所定のエネルギー範囲内のイベントエネルギーを有する光子を含むように作成することができる。例えば、第1のシングルのセットは、500keVを超えるイベントエネルギーの光子を含むことができ、第2のセットは、401から500keVの間のイベントエネルギーの光子を含むことができ、第3のセットは、301から400keVの間のイベントエネルギーの光子を含むことができ、かつ第4のセットは、301keVを下回るイベントエネルギーの光子を含むことができる。
【0033】
なお、相互作用特性は、リストモードデータ内の光子のイベントエネルギー及び結晶の位置情報であってもよい。
【0034】
ステップ409aは、シングルのペアリングを行い、同時計数イベントを形成することである。グループは、シングルの可能なペアリングごとに形成される。例えば、
図4に示すように、グループ1のペア411a、グループ2のペア413a、グループ3のペア415a、グループ4のペア417a、グループ5のペア419a、およびグループ6のペア421aは、シングルのセット1 403a、シングルのセット2 405a、およびシングルのセット3 407aに基づいて作成される。すなわち、ステップ409のペアリングを介して、3つのシングルのセットの可能なペアリング組み合わせに基づいて、6つのグループ、すなわち(1)セット1のシングル403aとペアになったセット1のシングル403a、(2)セット2のシングル405aとペアになったセット1のシングル403a、(3)セット3のシングル407aとペアになったセット1のシングル403a、(4)セット2のシングル405aとペアになったセット2のシングル405a、(5)セット3のシングル407aとペアになったセット2のシングル405a、(6)セット3のシングル407aとペアになったセット3のシングル407a、が形成される。次に、これらのグループのそれぞれは、対応するPSFカーネルの生成に使用することができる。
【0035】
図5は、例示的な実施形態による、光子と相互作用する検出器結晶の数に基づいてイベントのグループ化を実施する方法803bのフロー図を示している。ステップ401bで、ステップ801で取得されるリストモードデータに含まれている各光子が、各光子が相互作用する検出器結晶の数に従って分類され得る。この例では、検出器結晶の数は、1個の結晶と相互作用するシングル405b、2個の結晶と相互作用するシングル405b、3個の結晶と相互作用するシングル407b、を含む。ステップ409bのペアリングは、シングル同士をペアにして6つの異なるグループの同時計数イベントペア、すなわち(1)1個の相互作用する結晶と2つのシングルとのペア411b、(2)1個の相互作用する結晶と1つのシングルと、2個の相互作用する結晶と1つのシングルとのペア413b、(3)1個の相互作用する結晶と1つのシングルと、3個の相互作用する結晶と1つのシングルとのペア415b、(4)2個の相互作用する結晶と2つのシングルのペア417b、(5)2個の相互作用する結晶と1つのシングルと、3個の相互作用する結晶と1つのシングルとのペア419b、および(6)3個の相互作用する結晶と2つのシングルとのペア421b、を生成する。これらの6つのグループのそれぞれは、対応するPSFカーネルの生成に使用することができる。
【0036】
図6は、マルチ分解能PSFサイノグラム再構成に関する方法600のフロー図を示す。方法600は、方法800/900に関して前述したステップ801、803および911を含む。
【0037】
【0038】
リストモードマルチ分解能PSFと同様に、式(7)で決定されたデータの総サイノグラムは、サイノグラムのいくつかのグループに分けられ、各グループは場合により異なるPSFカーネルを使用し、かつ最終的な再構成は、サイノグラムの全てのグループに基づく。
【0039】
画像モード再構成では、逐次サブセットが再構成時間を低減するために使用されてよい。収束速度は画像に依存し、さらに、従来の最尤推定期待値最大化(Maximum Likelihood Expectation Maximization:ML-EM)再構成は、約20~50の繰り返しを必要とする。繰り返し数を減らすためのこのような技法の1つは、[H.M.Hudson and R.S.Larkin,IEEE Trans Med Imaging,Vol.13], 1994による「Ordered Subsets Expectation Maximization (OSEM)」に記載されている(その内容は参照により本出願に援用される)。OSEMは、下記の式(8)の形式の画像更新ごとの全データセットのサブセットを使用し、この際、逆投影ステップにより、合計B個のサブセットのうちサブセットSbの投影のみが合計される。したがって、画像は、各サブ繰り返しの間に更新され、1回の完全な繰り返しにより、B個の画像の更新が行われる。この画像モード再構成または類似のOSEM法は、グループ化された光子のペアの各グループに関連付けられたグループデータに適用されてよい。
【0040】
【0041】
図7は、本開示の一実施形態による方法700のフロー図を示す。ステップ701は、リストモードデータを受信することである。これは、患者のPETスキャンなどの対象物のスキャンによってイメージングデータを取得するようなものである。リストモードデータは、各光子イベントのエネルギーおよび位置を含む場合がある。
【0042】
ステップ703は、リストモードデータ内の各光子を分類することである。分類は、光子の1つまたは複数の相互作用特性に基づいて行うことができる。相互作用特性の例としては、光子と相互作用する検出器結晶の数、および光子が検出器結晶と相互作用するエネルギーが挙げられる。
【0043】
ステップ705は、リストモードデータに含まれている各光子の分類の結果に基づいて光子の1つまたは複数のグループを生成することである。1つまたは複数のそれらの相互作用特性に基づく光子の様々な可能なペアリングの組み合わせにより、それぞれ、光子のグループを生成することができる。次に、これらのグループのそれぞれは、前述したように、PSFモデリングがサイノグラム領域で行われる場合、サイノグラムに再分配されるか、またはPSFモデリングが画像領域で行われる場合、画像再構成され得る。
【0044】
ステップ707は、1つまたは複数の点広がり関数補正カーネルを選択し、光子の1つまたは複数のグループのそれぞれに適用することである。一実施形態では、PSFモデリングがサイノグラム領域で行われる場合、これは、式(5)または式(6)を使用して行うことができる。一実施形態では、PSFモデリングが画像領域で行われる場合、これは、式(3)または(6)を使用して行うことができる。
【0045】
方法700の完了後、画像が生成可能である。一実施形態では、これは、データの補正後のグループを集計することと、画像再構成を行うこととを含む場合がある。さらに、画像は、ディスプレイに表示することができる。ディスプレイは、表示部の一例である。ステップ701、703、705および707は連続的に行われるが、各ステップのうちのステップは、連続および/または並行して行われてよい。例えば、ステップ705では、光子の各グループは、連続および/または並行して作成されてよい。別の例としては、PSFカーネルのそれぞれが、連続および/または並行して適用されてよい。
【0046】
一実施形態では、
図8および
図9に示すように、本開示の方法は、PETスキャナの範囲内で実装される場合があると理解できる。したがって、
図8および
図9は、矩形の検出器モジュールとしてそれぞれが構成される、いくつかのガンマ線検出器(Gamma-Ray Detector:GRD)8001、8002から8040(例えば、GRD1、GRD2からGRDN)を備えている、PETスキャナ8000を示す。PETスキャナ8000は、前述したような適応型軸方向画像視野(adaptive axial Field of View:aaFOV)PETスキャナであってよい。一実装形態によれば、ガントリ8060の周りの円形ボア8050を形成する各PET検出器リングは、例えば、40個のGRDを備える。別の実装形態では、48個以上のGRDがあり、より多くの数のGRDが使用されると、より大きな内径寸法のPETスキャナ8000が作られる。本開示におけるような、各PET検出器リングは、aaFOV PETスキャナの軸方向長を中心にして独立して並進可能である。各PET検出器リングの並進は、手動操作および/または電動操作によって行うことができる。GRDはガンマ線を(例えば、可視の、赤外のおよび紫外の波長での)シンチレーション光子に変換するためのシンチレータ結晶アレイを含み、それらシンチレーション光子は、光検出器によって検出される。各GRDは、ガンマ線を吸収して、シンチレーション光子を放射する個々の検出器結晶の2次元アレイを備える場合がある。シンチレーション光子は、GRDに配置される光電子増倍管(PhotoMultiplier Tube:PMT)の2次元アレイによっても検出することができる。ライトガイドが、検出器結晶アレイとPMTとの間に配置可能である。さらに、各GRDは、種々のサイズのいくつかのPMTを備え、そのそれぞれが、複数の検出器結晶からシンチレーション光子を受信するように配設される。各PMTは、シンチレーションイベントが発生したタイミングおよび検出イベントを起こすガンマ線のエネルギーを示すアナログ信号を作成できる。さらに、1つの検出器結晶から放射される光子は、2つ以上のPMTによって検出することができ、検出イベントに対応する検出器結晶は、各PMTで作成されるアナログ信号に基づいて、例えば、アンガー論理および結晶復号を使用して判断され得る。しかし、結晶と光検出器との間で1対1の対応関係がある場合、アンガー算術は、必ずしも必要とされるというわけではない。
【0047】
図9は、対象物OBJから放射されるガンマ線を検出するように配設されたGRD8001、8002から8040を有するPETスキャナシステムの概略図を示す。GRDは、各ガンマ線検出器に対応するタイミング、位置、およびエネルギーを測定することができる。一実装形態では、
図8および
図9に示され、本明細書に記載されるように、ガンマ線検出器は、PET検出器リング内に配設される。
図9の単一のPET検出器リングは、PETスキャナの軸方向長さに沿って任意の数のPET検出器リングを備えるように挿入される場合があることが理解できる。検出器結晶は、シンチレータ結晶とすることができ、そのシンチレータ結晶は、2次元アレイに配設された個々のシンチレータ素子を有し、該シンチレータ素子は、任意の既知のシンチレーション物質とすることができる。PMTは、各シンチレータ素子からの光が、複数のPMTによって検出されて、アンガー算術およびシンチレーションイベントの結晶復号を可能にするように、配置可能である。
【0048】
図9は、撮像される対象物OBJが台9160上に置かれ、GRD1 8001からGRDN8040のGRDモジュールが、対象物OBJおよび台9160の周りに周囲方向に配設される、PETスキャナ8000の構造の例を示す。GRDは、PET検出器リングを備える場合があり、またガントリ8060に固定して接続されている円筒形ボア8050に固定して接続される場合がある。ガントリ8060は、PETスキャナの多数の部品を収容する。PETスキャナのガントリ8060は、また、対象物OBJおよび台9160がそれを通って通過できる、円形ボア8050によって画定された開口を含み、また、消滅イベントにより対象物OBJから反対方向に放射されるガンマ線は、GRDにより検出可能であり、かつ、タイミング情報およびエネルギー情報は、ガンマ線ペアの同時計数を決定するために使用される場合がある。
【0049】
図9では、ガンマ線検出データを取得、記憶、処理、および分配するための回路およびハードウェアも示されている。これらの回路およびハードウェアは、プロセッサ9070、ネットワークコントローラ9074 303、メモリ9078、およびデータ取得システム(Data Acquisition System:DAS)9076、を備える。PET撮像装置はまた、GRDからの検出測定結果をDAS9076、プロセッサ9070、メモリ9078、およびネットワークコントローラ9074に送出するデータチャンネルを備える。DAS9076は、検出器からの検出データの取得、デジタル化、および送出を制御することができる。一実装形態では、DAS9076は、台9160の動きを制御する。プロセッサ9070は、PET検出器リング、検出データの再構成前処理、画像再構成、および画像データの再構成後処理を調整することを含む機能を実施する。
【0050】
一実施形態によれば、
図8および
図9のPETスキャナ8000のプロセッサ9070は、本明細書に記載する方法のいずれか、ならびにその変形形態を実施するように構成される場合がある。プロセッサ9070は、個別論理ゲート、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)、または他の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)として実装されることがあるCPUを含む場合がある。FPGAまたはCPLDの実装形態は、VHDL、Verilog、または任意のその他のハードウェア記述言語で符号化されてもよく、かつ、その符号は、FPGAまたはCPLD内部の電子メモリに直接記憶されるか、または別個の電子メモリとして記憶されてよい。さらに、メモリ9078は、ハードディスクドライブ、CD-ROMドライブ、DVDドライブ、FLASH(登録商標)ドライブ、RAM、ROMまたは当該技術分野において既知の任意のその他の電子記憶装置とすることができる。メモリ9078は、ROM、EPROM、EEPROMまたはFLASH(登録商標)メモリのような不揮発性のものであってもよい。メモリ9078は、静的または動的RAMなどの揮発性メモリとすることができ、電子メモリおよびFPGAまたはCPLDとメモリとの間の相互動作を管理するために、マイクロコントローラまたはマイクロプロセッサなどのプロセッサが設けられてもよい。
【0051】
あるいは、プロセッサ9070のCPUは、本明細書に記載の方法を実施するコンピュータ可読命令のセットを含むコンピュータプログラムを実行することができ、このプログラムは、上述の非一時的電子メモリおよび/またはハードディスクドライブ、CD、DVD、FLASH(登録商標)ドライブまたは任意のその他の既知の記憶媒体のいずれかに記憶される。さらに、このコンピュータ可読命令は、実用アプリケーション、バックグラウンドデーモン、またはオペレーティングシステムのコンポーネント、あるいはそれらの組み合わせとして提供されてもよく、米国のインテル社のXENON(登録商標)プロセッサ、または米国のAMD社のOPTERON(登録商標)プロセッサなどのプロセッサ、ならびに、Microsoft社のVISTA(登録商標)、UNIX(登録商標)、Solaris(登録商標)、LINUX、Apple社のMAC-OS(登録商標)および当業者に既知の他のオペレーティングシステムなどのオペレーティングシステムと連動して実行される。さらに、CPUは、命令を実施するために並行して協動する、複数のプロセッサとしてローカルで、または分散型のクラウド構成に実装される場合がある。
【0052】
一実装形態では、PETスキャナは、再構成画像などを表示するためのディスプレイなどを含む場合がある。ディスプレイは、LCDディスプレイ、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ、OLED、LEDまたは当該技術分野において既知の任意の他のディスプレイとすることができる。
【0053】
米国インテル社のインテルイーサーネット(登録商標)PROネットワークインターフェースカードなどのネットワークコントローラ9074が、PET撮像装置の種々の部品間をインターフェースすることができる。追加として、ネットワークコントローラ9074は、外部のネットワークともインターフェースすることができる。理解されるように、この外部ネットワークは、インターネットなどの公共ネットワーク、またはLANもしくはWANネットワークなどの私的ネットワーク、あるいはそれらの組み合わせとすることができ、かつ、PSTNまたはISDNサブネットワークを含むこともできる。この外部ネットワークは、イーサネットネットワークのような有線方式、またはGPRS、EDGE、3G、4Gおよび5G無線セルラーシステムを含むセルラーネットワークのような無線方式とすることもできる。無線ネットワークは、Wi-Fi、Bluetooth、または既知である通信の任意のその他の無線形態とすることができる。
【0054】
非常に多くの変更および変形形態が、上記の教示に照らし可能であることは明らかである。したがって、添付の特許請求の範囲の範囲内で、具体的に本明細書に記載されているのとは別の方法で、本発明が実践されてもよいことを理解されよう。
【0055】
上述した本開示の実施形態は、以下のように述べることもできる。ここで、例えば、本明細書に記載する方法のいずれか、ならびにその変形形態を実施するように構成されたプロセッサ9070は、機能的には、受信機能と、分類機能と、生成機能と、選択機能と、適用機能と、表示制御機能とを備える。受信機能は、受信部の一例である。分類機能は、分類部の一例である。生成機能は、生成部の一例である。選択機能は、選択部の一例である。適用機能は、適用部の一例である。表示制御機能は、表示制御部の一例である。
【0056】
(1)医用イメージングスキャナであって、限定はされないが、医用イメージングスキャナの画像視野と共に、被写体から放射された放射線を検出することによって生成されたリストモードデータであって、複数の検出イベントを含むリストモードデータを受信する受信部と、複数の検出イベントの少なくとも1つの相互作用特性に基づいてリストモードデータに含まれている各検出イベントを分類する分類部と、分類の結果に基づいてグループ化された検出イベントのペアを生成する生成部と、検出イベントのペアのグループごとに、対応する相互作用特性固有補正カーネルを選択する選択部と、対応する相互作用特性固有補正カーネルを、検出イベントのペアの各グループに関連付けられたデータであってリストモードデータに関連するデータに適用する適用部と、を備える、医用イメージングスキャナ。
【0057】
(2)データは、前記リストモードデータに基づく画像データである、(1)に記載の医用イメージングスキャナ。
【0058】
(3)データは、前記リストモードデータに基づくサイノグラムデータである、(1)から(2)のいずれか1つに記載の医用イメージングスキャナ。
【0059】
(4)少なくとも1つの相互作用特性は、光子と相互作用した検出器結晶が複数ある場合を含む、(1)から(3)のいずれか1つに記載の医用イメージングスキャナ。
【0060】
(5)少なくとも1つの相互作用特性は、各検出イベントのエネルギー情報を含む、(1)から(4)のいずれか1つに記載の医用イメージングスキャナ。
【0061】
(6)少なくとも1つの相互作用特性は、更に、検出器結晶の位置情報を含む、(5)に記載の医用イメージングスキャナ。
【0062】
(7)データに対して対応する相互作用特性固有補正カーネルが適用された後に、当該データに基づいた画像を表示部に表示させる表示制御部を更に備える、(1)から(4)のいずれか1つに記載の医用イメージングスキャナ。
【0063】
(8)適用部は、画像更新ごとに、前記全データセットのサブセットに対して前記相互作用特性固有補正カーネルを使用するOSEM(ordered subset expectation maximization)法を用いて、対応する相互作用特性固有補正カーネルをデータに適用する、(1)に記載の医用イメージングスキャナ。
【0064】
(9)選択部は、検出イベントのペアのグループごとに、対応する相互作用特性固有補正カーネルとして対応する相互作用特性固有点広がり関数補正カーネルを選択し、適用部は、対応する相互作用特性固有点広がり関数補正カーネルをデータに適用する、(1)に記載の医用イメージングスキャナ。
【0065】
(10)画像構成方法であって、限定はされないが、医用イメージングスキャナの画像視野と共に、被写体から放射された放射線を検出することによって生成されたリストモードデータであって、複数の検出イベントを含むリストモードデータを受信する受信ステップと、複数の検出イベントの少なくとも1つの相互作用特性に基づいてリストモードデータに含まれている各検出イベントを分類する分類ステップと、分類の結果に基づいてグループ化された検出イベントのペアを生成する生成ステップと、検出イベントのペアのグループごとに、対応する相互作用特性固有補正カーネルを選択する選択ステップと、対応する相互作用特性固有補正カーネルを、検出イベントのペアの各グループに関連付けられたデータであってリストモードデータに関連するデータに適用する適用ステップと、を含む、方法。
【0066】
(11)コンピュータに、医用イメージングスキャナの画像視野と共に、被写体から放射された放射線を検出することによって生成されたリストモードデータであって、複数の検出イベントを含むリストモードデータを受信する処理と、複数の検出イベントの少なくとも1つの相互作用特性に基づいてリストモードデータに含まれている各検出イベントを分類する処理と、分類の結果に基づいてグループ化された検出イベントのペアを生成する処理と、検出イベントのペアのグループごとに、対応する相互作用特性固有補正カーネルを選択する処理と、対応する相互作用特性固有補正カーネルを、検出イベントのペアの各グループに関連付けられたデータであってリストモードデータに関連するデータに適用する処理と、を実行させるためのプログラム。
【0067】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、精度よく画像のボケを補正することができる。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0069】
8000 PETスキャナ
9070 プロセッサ