(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120191
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】プラズマシステム用ナノ秒パルサRF絶縁
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20230822BHJP
【FI】
H05H1/46 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023083960
(22)【出願日】2023-05-22
(62)【分割の表示】P 2022538910の分割
【原出願日】2020-12-23
(31)【優先権主張番号】62/953,259
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520064676
【氏名又は名称】イーグル ハーバー テクノロジーズ,インク.
【氏名又は名称原語表記】EAGLE HARBOR TECHNOLOGIES,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】ジエンバ,ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,ケネス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】プラズマシステム用ナノ秒パルサRF絶縁に関し、従来の技術における課題を解決するためになされたものである。
【解決手段】本発明の実施形態はプラズマシステムを含む。プラズマシステムは、プラズマチャンバと、プラズマチャンバに入るバーストをRF周波数で駆動するように構成されたRFドライバと、プラズマチャンバに入るパルスを、RF周波数より低いパルス繰り返し周波数で駆動するように構成されたナノ秒パルサと、RFドライバとプラズマチャンバとの間に配置されたハイパスフィルタと、ナノ秒パルサとプラズマチャンバとの間に配置されたローパスフィルタと、を含む。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の壁とウェーハ支持物とを含むプラズマチャンバであって、前記プラズマチャンバ内でプラズマが生成されると、前記プラズマと前記複数の壁のうちの前記少なくとも1つの壁との間に壁-プラズマシースが形成され、前記プラズマと、前記ウェーハ支持物上に配置されたウェーハと、の間にウェーハ-プラズマシースが形成され、前記壁-プラズマシースのキャパシタンスは、前記ウェーハ-プラズマシースのキャパシタンスの少なくとも約10倍の大きさである、前記プラズマチャンバと、
前記プラズマチャンバに入るバーストをRF周波数で駆動するRFドライバと、
前記プラズマチャンバに入るパルスを、前記RF周波数より低いパルス繰り返し周波数で駆動するナノ秒パルサと、
前記RFドライバと前記プラズマチャンバとの間に配置された第1のフィルタと、
前記ナノ秒パルサと前記プラズマチャンバとの間に配置された第2のフィルタと、
を含むプラズマシステム。
【請求項2】
前記ウェーハ-プラズマシースのキャパシタンスは約1nFより小さい、請求項1に記載のプラズマシステム。
【請求項3】
前記RFドライバは、約1kVより高いピーク電圧で、且つ約1MHzより高い周波数でバーストを駆動する、請求項1に記載のプラズマシステム。
【請求項4】
前記ナノ秒パルサは、約1kVより高いピーク電圧で、且つ、前記RF発生器が発生させる前記バーストの周波数より低い周波数でパルスを駆動する、請求項1に記載のプラズマシステム。
【請求項5】
前記第1のフィルタはハイパスフィルタを含み、前記第2のフィルタはローパスフィルタを含む、請求項1に記載のプラズマシステム。
【請求項6】
前記第2のフィルタは、接地されたキャパシタを含む、請求項1に記載のプラズマシステム。
【請求項7】
前記キャパシタはキャパシタンスが約500pFより小さい、請求項6に記載のプラズマシステム。
【請求項8】
プラズマチャンバと、
前記プラズマチャンバと電気的に結合されて、前記プラズマチャンバに入るバーストをRF周波数で駆動するRFドライバと、
前記プラズマチャンバと電気的に結合されて、前記プラズマチャンバに入るパルスを、前記RF周波数より低いパルス繰り返し周波数で駆動するナノ秒パルサと、
前記RFドライバと前記プラズマチャンバとの間に配置されたキャパシタと、
前記ナノ秒パルサと前記プラズマチャンバとの間に配置されたインダクタと、
を含むプラズマシステム。
【請求項9】
前記キャパシタはキャパシタンスが約100pFより小さい、請求項8に記載のプラズマシステム。
【請求項10】
前記インダクタはインダクタンスが約10nHより小さい、請求項8に記載のプラズマシステム。
【請求項11】
前記インダクタは浮遊キャパシタンスが約5pFより小さい、請求項8に記載のプラズマシステム。
【請求項12】
前記プラズマチャンバは複数の壁とウェーハ支持物とを含み、前記プラズマチャンバ内でプラズマが生成されると、前記プラズマと前記複数の壁のうちの前記少なくとも1つの壁との間に壁-プラズマシースが形成され、前記プラズマと、前記ウェーハ支持物上に配置されたウェーハと、の間にウェーハ-プラズマシースが形成され、前記壁-プラズマシースのキャパシタンスは、前記ウェーハ-プラズマシースのキャパシタンスの少なくとも約10倍の大きさである、請求項8に記載のプラズマシステム。
【請求項13】
前記プラズマチャンバは複数の壁とウェーハ支持物とを含み、前記プラズマチャンバ内でプラズマが生成されると、前記プラズマと前記複数の壁のうちの前記少なくとも1つの壁との間に壁-プラズマシースが形成され、前記プラズマと、前記ウェーハ支持物上に配置されたウェーハと、の間にウェーハ-プラズマシースが形成され、前記壁-プラズマシースのキャパシタンスは、前記ウェーハ-プラズマシースのキャパシタンスの少なくとも約50倍の大きさである、請求項8に記載のプラズマシステム。
【請求項14】
プラズマチャンバと、
前記プラズマチャンバに入るパルスを、約200kHzより高いRF周波数と、1kVより高いピーク電圧と、で駆動するように構成されたRFドライバと、
前記プラズマチャンバと電気的に結合されたエネルギシンク回路と、
前記プラズマチャンバと前記RFドライバとの間に電気的に結合された整流ダイオードであって、前記RFドライバが発生させた波形を整流する前記整流ダイオードと、
直列に配置されたドループ制御インダクタ及びドループ制御抵抗であって、前記ドループ制御インダクタ及び前記ドループ制御抵抗の前記直列結合は前記整流ダイオードと並列に配置される、前記ドループ制御インダクタ及び前記ドループ制御抵抗と、
を含むプラズマシステム。
【請求項15】
前記エネルギシンク回路は抵抗出力段回路を含む、請求項14に記載のプラズマシステム。
【請求項16】
前記エネルギシンク回路はエネルギ回収回路を含む、請求項14に記載のプラズマシステム。
【請求項17】
前記ドループ制御インダクタはインダクタンスが約10mHより小さい、請求項14に記載のプラズマシステム。
【請求項18】
前記ドループ制御抵抗は約500Ωより小さい、請求項14に記載のプラズマシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマシステム用ナノ秒パルサRF絶縁に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造プロセスでは、半導体デバイスを製造する為に、様々なステージにおいてプラズマ処理を行う。このような半導体デバイスとして、プロセッサ、メモリ、集積回路、及び他のタイプの集積回路及びデバイスがあってよい。他の様々なプロセスでもプラズマ処理を利用する。プラズマ処理は、ガス混合物にRF(無線周波数)エネルギを導入してガス分子にエネルギを付与することによってガス混合物を励起することを含む。このガス混合物は、典型的には、プラズマチャンバと呼ばれる真空チャンバに収容され、RFエネルギは、典型的には、電極を通してプラズマチャンバに導入される。
【0003】
典型的なプラズマプロセスでは、RF発生器は無線周波数で電力を発生させ(無線周波数は、3kHz~300GHzの範囲内であると広く理解されている)、この電力は、RFケーブル及びRFネットワークを通してプラズマチャンバに送られる。RF発生器からプラズマチャンバへの効率的な電力伝送を実現する為に、中間回路を使用して、RF発生器の固定インピーダンスとプラズマチャンバの可変インピーダンスとのマッチングが行われる。そのような中間回路は、一般に、RFインピーダンスマッチングネットワーク、又はよりシンプルにマッチングネットワークと呼ばれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来の技術における課題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の幾つかの実施形態はプラズマシステムを含む。プラズマシステムは、プラズマチャンバと、プラズマチャンバに入るバーストをRF周波数で駆動するように構成されたRFドライバと、プラズマチャンバに入るパルスを、RF周波数より低いパルス繰り返し周波数で駆動するように構成されたナノ秒パルサと、RFドライバとプラズマチャンバとの間に配置されたハイパスフィルタと、ナノ秒パルサとプラズマチャンバとの間に配置されたローパスフィルタと、を含む。
【0006】
幾つかの実施形態では、ハイパスフィルタはキャパシタを含んでよい。幾つかの実施形態では、ローパスフィルタはインダクタを含んでよい。幾つかの実施形態では、RFドライバはナノ秒パルサを含んでよい。
【0007】
本発明の幾つかの実施形態はプラズマシステムを含む。プラズマシステムはプラズマチャンバを含み、プラズマチャンバは複数の壁とウェーハ支持物とを含んでよい。プラズマチャンバ内でプラズマが生成されると、プラズマと複数の壁のうちの少なくとも1つの壁との間に壁-プラズマシースが形成され、プラズマと、ウェーハ支持物上に配置されたウェーハと、の間にウェーハ-プラズマシースが形成される。壁-プラズマシースのキャパシタンスは、ウェーハ-プラズマシースのキャパシタンスの少なくとも約10倍の大きさである。RFドライバが、プラズマチャンバに入るバーストをRF周波数で駆動する。ナノ秒パルサが、プラズマチャンバに入るパルスを、RF周波数より低いパルス繰り返し周波数で駆動する。第1のフィルタが、RFドライバとプラズマチャンバとの間に配置されている。第2のフィルタが、ナノ秒パルサとプラズマチャンバとの間に配置されている。
【0008】
幾つかの実施形態では、ウェーハ-プラズマシースのキャパシタンスは約1nFより小さい。幾つかの実施形態では、RFドライバは、約1kVより高いピーク電圧で、且つ約1MHzより高い周波数でバーストを駆動する。幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサは、約1kVより高いピーク電圧で、且つ、RF発生器が発生させるバーストの周波数より低い周波数でパルスを駆動する。幾つかの実施形態では、第1のフィルタはハイパスフィルタを含み、第2のフィルタはローパスフィルタを含む。幾つかの実施形態では、第2のフィルタは、接地されたキャパシタを含む。幾つかの実施形態では、このキャパシタは、キャパシタンスが約500pFより小さい。
【0009】
本発明の幾つかの実施形態はプラズマシステムを含む。プラズマシステムは、プラズマチャンバと、プラズマチャンバと電気的に結合されて、プラズマチャンバに入るバーストをRF周波数で駆動するRFドライバと、プラズマチャンバと電気的に結合されて、プラズマチャンバに入るパルスを、RF周波数より低いパルス繰り返し周波数で駆動するナノ秒パルサと、RFドライバとプラズマチャンバとの間に配置されたキャパシタと、ナノ秒パルサとプラズマチャンバとの間に配置されたインダクタと、を含んでよい。
【0010】
幾つかの実施形態では、キャパシタはキャパシタンスが約100pFより小さい。幾つかの実施形態では、インダクタはインダクタンスが約10nHより小さい。幾つかの実施形態では、インダクタは浮遊キャパシタンスが約5pFより小さい。
【0011】
幾つかの実施形態では、プラズマチャンバは複数の壁とウェーハ支持物とを含み、プラズマチャンバ内でプラズマが生成されると、プラズマと複数の壁のうちの少なくとも1つの壁との間に壁-プラズマシースが形成され、プラズマと、ウェーハ支持物上に配置されたウェーハと、の間にウェーハ-プラズマシースが形成され、壁-プラズマシースのキャパシタンスは、ウェーハ-プラズマシースのキャパシタンスの少なくとも約10倍の大きさである。
【0012】
幾つかの実施形態では、プラズマチャンバは複数の壁とウェーハ支持物とを含み、プラズマチャンバ内でプラズマが生成されると、プラズマと複数の壁のうちの少なくとも1つの壁との間に壁-プラズマシースが形成され、プラズマと、ウェーハ支持物上に配置されたウェーハと、の間にウェーハ-プラズマシースが形成され、壁-プラズマシースのキャパシタンスは、ウェーハ-プラズマシースのキャパシタンスの少なくとも約50倍の大きさである。
【0013】
本発明の幾つかの実施形態はプラズマシステムを含む。プラズマシステムは、プラズマチャンバと、プラズマチャンバに入るパルスを、約200kHzより高いRF周波数と、1kVより高いピーク電圧と、で駆動するように構成されたRFドライバと、プラズマチャンバと電気的に結合されたエネルギシンク回路と、プラズマチャンバとRFドライバとの間に電気的に結合された整流ダイオードであって、RFドライバが発生させた波形を整流する整流ダイオードと、直列に配置されたドループ制御インダクタ及びドループ制御抵抗であって、ドループ制御インダクタ及びドループ制御抵抗の直列結合は整流ダイオードと並列に配置される、ドループ制御インダクタ及びドループ制御抵抗と、を含んでよい。
【0014】
幾つかの実施形態では、エネルギシンク回路は抵抗出力段回路を含む。幾つかの実施形態では、エネルギシンク回路はエネルギ回収回路を含む。幾つかの実施形態では、ドループ制御インダクタはインダクタンスが約10mHより小さい。幾つかの実施形態では、ドループ制御抵抗は約500Ωより小さい。
【0015】
これらの実施形態は、本開示を限定又は定義する為でなく、それらの理解を助ける実施例を提供する為に記載されている。「発明を実施するための形態」では更なる実施形態について論じており、そこではより詳細な説明を行っている。本明細書を精査することにより、或いは、提示されている1つ以上の実施形態を実施することにより、様々な実施形態のうちの1つ以上によって提供される利点がより深く理解されよう。
【0016】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、及び利点については、添付図面を参照しながら以下の「発明を実施するための形態」を読むことでよりよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1A】幾つかの実施形態によるナノ秒パルサからのパルスを示す。
【
図1B】幾つかの実施形態によるナノ秒パルサからのパルスのバーストを示す。
【
図2A】幾つかの実施形態によるRFドライバからのバーストを示す。
【
図2B】幾つかの実施形態によるRFドライバからの複数のバーストを示す。
【
図3】幾つかの実施形態によるプラズマシステムの概略図である。
【
図4】幾つかの実施形態によるプラズマシステムの概略図である。
【
図5】幾つかの実施形態によるプラズマシステムの概略図である。
【
図6】幾つかの実施形態によるプラズマシステムの概略図である。
【
図7】幾つかの実施形態による、フィルタリングされるRFドライバ及びナノ秒パルサの回路図の一例である。
【
図8】幾つかの実施形態による、フィルタリングされるRFドライバ及びナノ秒パルサの回路図の一例である。
【
図9】幾つかの実施形態による、フィルタリングされるRFドライバ及びナノ秒パルサの回路図の一例である。
【
図10】幾つかの実施形態による、フィルタリングされるRFドライバ及びナノ秒パルサの回路図の一例である。
【
図11】幾つかの実施形態による、フィルタリングされるRFドライバ及びナノ秒パルサの回路図の一例である。
【
図12】幾つかの実施形態による、フィルタリングされるRFドライバの回路図の一例である。
【
図15】幾つかの実施形態による、フィルタリングされるRFドライバの回路図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
プラズマシステムを開示する。プラズマシステムは、プラズマチャンバと、プラズマチャンバに入るRFバーストをRF周波数で駆動するように構成されたRFドライバと、プラズマチャンバに入るパルスを、RF周波数より低いパルス繰り返し周波数で駆動するように構成されたナノ秒パルサと、RFドライバとプラズマチャンバとの間に配置されたハイパスフィルタと、ナノ秒パルサとプラズマチャンバとの間に配置されたローパスフィルタと、を含む。
【0019】
図1Aは、ナノ秒パルサからのパルスの一例を示す。
図1Bは、ナノ秒パルサからのパルスのバーストを示す。バーストは、短時間フレーム内に複数のパルスを含んでよい。ナノ秒パルサからのバーストは、パルス繰り返し周波数が約10kHz、50kHz、100kHz、500kHz、1MHz等であってよい。
【0020】
図2Aは、幾つかの実施形態によるRFドライバからのバーストの一例を示す。
図2Bは、幾つかの実施形態によるRFドライバからの複数のバーストの一例を示す。各バーストは、200kHz及び800MHz(例えば、2MHz、13.56MHz、27MHz、60MHz、及び80MHz等)のRF周波数を有する正弦波バーストを含んでよい。幾つかの実施形態では、バースト繰り返し周波数(例えば、バーストの周波数)は、約10kHz、50Hz、100kHz、500kHz、1MHz等(例えば、400kHz等)であってよい。幾つかの実施形態では、RFドライバは、連続正弦波バーストを供給してよい。
【0021】
図3は、プラズマシステム300の概略図である。幾つかの実施形態では、プラズマシステム300はプラズマチャンバ110を含んでよく、プラズマチャンバ110は、幾つかの実施形態によれば、RFドライバ105及びナノ秒パルサ115を有する。RFドライバ105は、プラズマチャンバ110内にある電極120と結合されてよい。ナノ秒パルサ115は、プラズマチャンバ110の内側又は外側にある電極120と結合されてよい。幾つかの実施形態では、電極120は、静電チャックの一部であってよく、又は静電チャックと結合されてよい。
【0022】
幾つかの実施形態では、プラズマチャンバ110は真空ポンプを含んでよく、真空ポンプはプラズマチャンバ110内の真空状態を維持する。真空ポンプは、例えば、特殊なホース又はステンレス綱配管でプラズマチャンバ110に接続されてよい。真空ポンプは、手動制御されてよく、又は機械によって、機械のリレー又はパススループラグで自動制御されてよい。幾つかの実施形態では、プラズマチャンバ110は、半導体処理チャンバ(例えば、プラズマ蒸着システム、半導体組立システム、プラズマスパッタリングシステム等)の理想的又は実効的な回路で表されてよい。
【0023】
幾つかの実施形態では、プラズマチャンバ110は入力ガス源を含んでよく、入力ガス源は、RF電力が供給される前、供給された後、又は供給されているときにガス(又は入力ガスの混合物)をチャンバに導入してよい。ガス中のイオンがプラズマを発生させ、ガスは真空ポンプを通って排気される。
【0024】
幾つかの実施形態では、プラズマシステムは、プラズマ蒸着システム、プラズマエッチングシステム、又はプラズマスパッタリングシステムを含んでよい。幾つかの実施形態では、電極(又はチャック)とウェーハとの間のキャパシタンスが、約1000nF、500nF、200nF、100nF、50nF、10nF、5000pF、1000pF、100pF等より小さくてよい。
【0025】
RFドライバ105は、電極120に印加されるRF電力を発生させる任意のタイプの装置を含んでよい。RFドライバ105は、例えば、ナノ秒パルサ、ハーフブリッジ回路又はフルブリッジ回路で駆動される共振系、RF増幅器、非線形伝送線、RFプラズマ発生器等を含んでよい。幾つかの実施形態では、RFドライバ105は、マッチングネットワークを含んでよい。
【0026】
幾つかの実施形態では、RFドライバ105は、異なる複数のRF周波数(例えば、2MHz、13.56MHz、27MHz、60MHz、及び80MHz等)を有するRF電力信号を発生させることが可能な1つ以上のRFドライバを含んでよい。典型的なRF周波数は、例えば、200kHz~800MHzの周波数を含んでよい。幾つかの実施形態では、RFドライバ105は、プラズマチャンバ110内でプラズマを生成して維持することが可能である。RFドライバ105は、例えば、チャンバ内で様々なガス及び/又はイオンを励起してプラズマを生成する為に、電極120(及び/又はアンテナ180(後述))にRF信号を供給する。
【0027】
幾つかの実施形態では、RFドライバ105は、
図8に示したRFドライバ800、及び/又は
図9に示したRFドライバ900のいずれかの部分又は全ての部分を含んでよい。
【0028】
幾つかの実施形態では、RFドライバ105は、インピーダンスマッチング回路と結合されてよく、又はインピーダンスマッチング回路を含んでよく、インピーダンスマッチング回路は、RFドライバ105の出力インピーダンスを、50Ω同軸ケーブル又は任意のケーブルの業界標準の特性インピーダンスとマッチングさせることが可能である。
【0029】
ナノ秒パルサ115は、1つ以上のナノ秒パルサを含んでよい。幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサ115は、あらゆる目的の為に本開示に組み込まれている米国特許出願第14/542,487号、件名「高電圧ナノ秒パルサ(High Voltage Nanosecond Pulser)」に記載の任意の装置の全ての部分又は任意の部分、又はあらゆる目的の為に本開示に組み込まれている米国特許出願第14/635,991号、件名「直流的に絶縁された出力可変パルス発生器の開示(Galvanically Isolated Output Variable Pulse Generator Disclosure」に記載の任意の装置の全ての部分又は任意の部分、又はあらゆる目的の為に本開示に組み込まれている米国特許出願第14/798,154号、件名「パルス幅及びパルス繰り返し周波数が可変である高電圧ナノ秒パルサ(High Voltage Nanosecond Pulser With Variable Pulse Width and Pulse Repetition Frequency)」に記載の任意の装置の全ての部分又は任意の部分、又はあらゆる目的の為に本開示に組み込まれている米国特許出願第16/697,173号、件名「可変出力インピーダンスRF発生器(Variable Output Impedance RF Generator)」に記載の任意の装置の全ての部分又は任意の部分を含んでよい。
【0030】
ナノ秒パルサ115は、例えば、ナノ秒パルサ1100又はナノ秒パルサ1000を含んでよい。
【0031】
幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサ115は、振幅が約1~40kVのパルス電圧を発生させてよい。幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサ115は、最大約2,000kHzのパルス繰り返し周波数でスイッチングしてよい。幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサは、約400kHzのパルス繰り返し周波数でスイッチングしてよい。幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサ115は、パルス幅が約2000nsから約1nsにかけて変化する単発パルスを供給してよい。幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサ115は、約10kHzより高いパルス繰り返し周波数でスイッチングしてよい。幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサ115は、約400nsより短い、負荷での立ち上がり時間で動作することが可能である。
【0032】
幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサ115は、2kVより大きい電圧と、約400nsより短い、負荷での立ち上がり時間と、約10kHzより高いパルス繰り返し周波数とで、電源からパルスを発生させることが可能である。
【0033】
幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサ115は、1つ以上のソリッドステートスイッチ(例えば、IGBT、MOSFET、SiC MOSFET、SiC接合トランジスタ、FET、SiCスイッチ、GaNスイッチ、光伝導スイッチ等のソリッドステートスイッチ)、1つ以上のスナバ抵抗、1つ以上のスナバダイオード、1つ以上のスナバキャパシタ、及び/又は1つ以上のフリーホイールダイオードを含んでよい。これらの1つ以上のスイッチ及び/又は回路は、並列又は直列に並べられてよい。幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサ115を形成する為に、1つ以上のナノ秒パルサが、直列又は並列にグループにまとめられてよい。幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサ115を形成する為に、複数の高電圧スイッチが、直列又は並列にグループにまとめられてよい。
【0034】
幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサ115は、短い時間スケールで容量性負荷から電荷を除去する回路(例えば、抵抗出力段、シンク、又はエネルギ回収回路等)を含んでよい。幾つかの実施形態では、電荷除去回路は、負荷から電荷を消散することを、例えば、短い時間スケール(例えば、1ns、10ns、50ns、100ns、250n、500ns、1,000ns等の時間スケール)で行ってよい。
【0035】
幾つかの実施形態では、電極120に出力電圧を正バイアス又は負バイアスする為に、DCバイアス電源段が含まれてよい。幾つかの実施形態では、電荷除去回路又は他の回路要素からDCバイアス電圧を絶縁/分離する為に、キャパシタが使用されてよい。これは又、回路の1つの部分から別の部分への電位シフトを可能にできる。幾つかの適用例では、電位シフトは、ウェーハを定位置に保持する為に行われてよい。
【0036】
幾つかの実施形態では、RFドライバ105は、ナノ秒パルサ115が発生させるパルスのパルス繰り返し周波数より高いRF周波数でバーストを発生させてよい。
【0037】
幾つかの実施形態では、RFドライバ105と電極120との間にキャパシタ130が(例えば、直列に)配置されてよい。キャパシタ130は、例えば、ナノ秒パルサ115からの低周波信号をフィルタリングする為に使用されてよい。これらの低周波信号は、例えば、周波数(例えば、大部分のスペクトル成分)が約100kHz及び10MHz(例えば、約10MHz等)であってよい。キャパシタ130は、例えば、値が約1pF~1nFであってよく、例えば、約100pFより小さくてよい。
【0038】
幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサ115と電極120との間にインダクタ135が(例えば、直列に)配置されてよい。インダクタ135は、例えば、RFドライバ105からの高周波信号をフィルタリングする為に使用されてよい。これらの高周波信号は、例えば、周波数が約1MHz~200MHzであってよく、例えば、約1MHz~10MHzより高くてよい。インダクタ135は、例えば、値が約10nH~10μHであってよく、例えば、約1μHより大きくてよい。幾つかの実施形態では、インダクタ135は、両端の結合キャパシタンスが低くてよい。幾つかの実施形態では、結合キャパシタンスは1nFより小さくてよい。
【0039】
幾つかの実施形態では、キャパシタ130及びインダクタ135の一方又は両方が、RFドライバ105が発生させるパルスを、ナノ秒パルサ115が発生させるパルスから絶縁することが可能である。例えば、キャパシタ130は、ナノ秒パルサ115が発生させるパルスを、RFドライバ105が発生させるパルスから絶縁することが可能である。インダクタ135は、RFドライバ105が発生させるパルスを、ナノ秒パルサ115が発生させるパルスから絶縁することが可能である。
【0040】
図4は、プラズマシステム400の概略図である。幾つかの実施形態によれば、プラズマシステム400はプラズマチャンバ110を含み、プラズマチャンバ110は、RFドライバ105と、フィルタリングされるナノ秒パルサ115と、を有する。プラズマシステム400の一部は、
図3のプラズマシステム300と似ていてよい。この実施形態では、フィルタ140がキャパシタ130の代わりであってよく、且つ/又はフィルタ145がインダクタ135の代わりであってよい。これらのフィルタは、RFドライバを、NSPバイアス発生器が発生させるパルスから、そして、ナノ秒パルサを、RFドライバが発生させるRFから、交互に保護する。これを達成する為に多様なフィルタが使用されてよい。
【0041】
幾つかの実施形態では、RFドライバ105は、ナノ秒パルサ115が発生させる各バーストのパルス繰り返し周波数より高いRF周波数(fp)でバーストを発生させてよい。
【0042】
幾つかの実施形態では、RFドライバ105と電極120との間にフィルタ140が(例えば、直列に)配置されてよい。フィルタ140は、周波数が約1MHz~200MHz(例えば、約1MHz~10MHz等)である高周波パルスを通すハイパスフィルタであってよい。フィルタ140は、例えば、これらの高周波信号を通すことが可能な任意のタイプのフィルタを含んでよい。
【0043】
幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサ115と電極120との間にフィルタ145が(例えば、直列に)配置されてよい。フィルタ145は、周波数が約100kHz及び10MHz(例えば、約10MHz等)より低い低周波パルスを通すローパスフィルタであってよい。フィルタ145は、例えば、これらの低周波信号を通すことが可能な任意のタイプのフィルタを含んでよい。
【0044】
幾つかの実施形態では、フィルタ140及びフィルタ145の一方又は両方が、RFドライバ105が発生させるパルスを、ナノ秒パルサ115が発生させるパルスから絶縁することが可能である。例えば、フィルタ140は、ナノ秒パルサ115が発生させるパルスを、RFドライバ105が発生させるパルスから絶縁することが可能である。フィルタ145は、RFドライバ105が発生させるパルスを、ナノ秒パルサ115が発生させるパルスから絶縁することが可能である。
【0045】
図5は、プラズマシステム500の概略図である。プラズマシステム500はプラズマチャンバ110を含んでよく、プラズマチャンバ110は、幾つかの実施形態によれば、RFドライバ105及びナノ秒パルサ115を有する。
【0046】
RFドライバ105は、アンテナ180に印加されるRF電力を発生させる任意のタイプの装置を含んでよい。幾つかの実施形態では、RFドライバ105は、異なる複数のRF周波数(例えば、2MHz、13.56MHz、27MHz、及び60MHz等)を有するRF電力信号を発生させることが可能な1つ以上のRFドライバを含んでよい。
【0047】
幾つかの実施形態では、RFドライバ105は、インピーダンスマッチング回路と結合されてよく、又はインピーダンスマッチング回路を含んでよく、インピーダンスマッチング回路は、RFドライバ105の出力インピーダンス(典型的には50Ω)を、プラズマ負荷の可変インピーダンス(典型的にはずっと小さく、リアクタンス性であってよい)とマッチングさせることが可能である。
【0048】
幾つかの実施形態では、RFドライバ105は、1つ以上のナノ秒パルサを含んでよい。
【0049】
幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサ115は、
図1との関連で示される。幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサ1000が
図10に示され、又はナノ秒パルサ1100が
図11に示される。
【0050】
幾つかの実施形態では、RFドライバ105は、ナノ秒パルサ115が発生させるパルスのパルス繰り返し周波数より高いRF周波数でパルスを発生させてよい。
【0051】
幾つかの実施形態では、RFドライバ105とアンテナ180との間にキャパシタ150が(例えば、直列に)配置されてよい。キャパシタ150は、例えば、ナノ秒パルサ115からの低周波信号をフィルタリングする為に使用されてよい。これらの低周波信号は、例えば、周波数が約100kHz及び10MHz(例えば、約10MHz等)より低くてよい。キャパシタ150は、例えば、値が約1pF~1nFであってよく、例えば、約100pFより小さくてよい。
【0052】
幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサ115と電極120との間にインダクタ155が(例えば、直列に)配置されてよい。インダクタ135は、例えば、RFドライバ105からの高周波信号をフィルタリングする為に使用されてよい。これらの高周波信号は、例えば、周波数が約1MHz~200MHzより高くてよく、例えば、約1MHz~10MHzより高くてよい。インダクタ155は、例えば、値が約10nH~10μHより小さくてよく、例えば、約1μHより大きくてよい。幾つかの実施形態では、インダクタ155は、両端の結合キャパシタンスが低くてよい。
【0053】
幾つかの実施形態では、キャパシタ150及びインダクタ155の一方又は両方が、RFドライバ105が発生させるパルスを、ナノ秒パルサ115が発生させるパルスから絶縁することが可能である。例えば、キャパシタ150は、ナノ秒パルサ115が発生させるパルスを、RFドライバ105が発生させるパルスから絶縁することが可能である。インダクタ155は、RFドライバ105が発生させるパルスを、ナノ秒パルサ115が発生させるパルスから絶縁することが可能である。
【0054】
図6は、幾つかの実施形態による、RFドライバ105及びナノ秒パルサ115を有するプラズマシステム600の概略図である。RFドライバ105は、任意のタイプのRFドライバを含んでよい。プラズマシステム600の一部は、
図5のプラズマシステム500と似ていてよい。フィルタ140がキャパシタ150の代わりであってよく、且つ/又はフィルタ145が、
図5で使用されているインダクタ135の代わりであってよい。
【0055】
プラズマシステム600は、プラズマチャンバ725を含む。RFドライバ105及び/又はナノ秒パルサ115は、プラズマチャンバ725内でプラズマを駆動するバースト及び/又はパルスを発生させる。プラズマチャンバ725は、プラズマ及びプラズマチャンバの理想的且つ/又は実効的な回路表現である。
【0056】
幾つかの実施形態では、RFドライバ105は、ナノ秒パルサ115が発生させるパルスのパルス繰り返し周波数より高いRF周波数でバーストを発生させてよい。
【0057】
幾つかの実施形態では、RFドライバ105と電極120との間にフィルタ140が(例えば、直列に)配置されてよい。フィルタ140は、周波数が約1MHz~200MHzより高い、例えば、約1MHz~10MHzより高い高周波パルスを通すハイパスフィルタであってよい。フィルタ140は、例えば、これらの高周波信号を通すことが可能な任意のタイプのフィルタを含んでよい。
【0058】
幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサ115と電極120との間にフィルタ145が(例えば、直列に)配置されてよい。フィルタ145は、周波数が約100kHz及び10MHz(例えば、約10MHz等)より低い低周波パルスを通すローパスフィルタであってよい。フィルタ145は、例えば、これらの低周波信号を通すことが可能な任意のタイプのフィルタを含んでよい。
【0059】
幾つかの実施形態では、フィルタ140及びフィルタ145の一方又は両方が、RFドライバ105が発生させるパルスを、ナノ秒パルサ115が発生させるパルスから絶縁することが可能であり、且つ/又は、ナノ秒パルサ115が発生させるパルスを、RFドライバ105が発生させるパルスから絶縁することが可能である。例えば、フィルタ140は、ナノ秒パルサ115が発生させるパルスを、RFドライバ105が発生させるパルスから絶縁することが可能である。フィルタ145は、RFドライバ105が発生させるパルスを、ナノ秒パルサ115が発生させるパルスから絶縁することが可能である。
【0060】
図7は、幾つかの実施形態による、プラズマチャンバ725内でプラズマを駆動するRFドライバ105及びナノ秒パルサ115の回路図の一例700である。幾つかの実施形態では、RFドライバ105は、約60MHzの周波数で動作してよい。
【0061】
幾つかの実施形態では、インピーダンスフィルタ140は、ナノ秒パルサ720の出力からRFドライバ105を保護するハイパスフィルタとして働くことも可能である。例えば、キャパシタ720は、ナノ秒パルサ720の出力をフィルタリングしてよい。RFドライバ105は、例えば、1MHz、10MHz、100MHz、1,000MHz等より高い周波数で動作してよい。インピーダンスマッチングネットワークは、例えば、ハイパスフィルタとして働きうる任意のタイプのインピーダンスマッチングネットワークを含んでよい。幾つかの実施形態では、インピーダンスマッチングネットワークは又、ハイパスフィルタ(例えば、フィルタ140)として働くことも可能であり、直列キャパシタンスが10nF、1nF、100pF、10pF、1pFより低い場合にそのように働くことが可能である。
【0062】
プラズマチャンバ110は、実効的な(又は理想的な)プラズマチャンバ725内に示された幾つかの等価回路要素で表されてよい。
【0063】
幾つかの実施形態では、プラズマチャンバ725は、半導体処理チャンバ(例えば、プラズマ蒸着システム、半導体組立システム、プラズマスパッタリングシステム等)の理想的又は実効的な回路で表されてよい。キャパシタ730は、例えば、ウェーハが設置されてよいチャックのキャパシタンスを表してよい。チャックは、例えば、誘電体材料を含んでよい。例えば、キャパシタ730は、キャパシタンスが小さくてよい(例えば、約10pF、100pF、500pF、1nF、10nF、100nF等であってよい)。
【0064】
プラズマチャンバ内にプラズマシースが形成されてよく、これは、電子損失及びイオン損失をバランスさせる非中性領域を含んでよい。ウェーハシースキャパシタ740は、プラズマとウェーハ上面との間に形成されうるプラズマシースのキャパシタンスを表す。抵抗750は、例えば、プラズマ及びウェーハのシース抵抗を表してよい。インダクタ745は、例えば、プラズマとウェーハとの間のシースインダクタンスを表してよい。電流源760は、例えば、シースを通るイオン電流を表してよい。例えば、ウェーハシースキャパシタ740は、キャパシタンスが小さくてよい(例えば、約10pF、100pF、500pF、1nF、10nF、100nF等であってよい)。
【0065】
壁シースキャパシタ735は、プラズマと、プラズマチャンバの壁のうちの1つ以上の壁との間に形成されうる壁シースのキャパシタンスを表す。抵抗750は、例えば、処理チャンバ壁のプラズマとプラズマとの間の抵抗を表してよい。電流源755は、例えば、プラズマ中のイオン電流を表してよい。例えば、壁シースキャパシタンスC1(例えば、壁シースキャパシタ735のキャパシタンス)は、キャパシタンスが小さくてよい(例えば、約10pF、100pF、500pF、1nF、10nF、100nF等であってよい)。
【0066】
他の様々なプラズマシースが、チャンバ又は電極の一部とプラズマとの間で形成されてよい。
【0067】
シースキャパシタンスは、チャイルド-ラングミュア(Child-Langmuir)シースから推定することが可能である。チャイルド-ラングミュアシースは、次式から計算できる。
【数1】
但し、λ
Dはデバイ長であり、sはシース長であり、T
eは電子の温度であり、-V
0は境界上のバイアス電圧であり、α
eは、シースエッジにおける電子密度減少係数である。そしてシースキャパシタンスは次式から計算できる。
【数2】
但し、Aはシース境界の面積であり、ε
0は自由空間の誘電率である。
【0068】
幾つかの実施形態では、壁シースキャパシタンスC1(例えば、キャパシタ735のキャパシタンス)は、ウェーハシースキャパシタンスC3(例えば、キャパシタ740のキャパシタンス)より大きくてよい(C1>C3)。例えば、壁シースキャパシタンスC1をウェーハシースキャパシタンスC3で割った比は、10より大きくてよい(C1/C3>10)。別の例として、壁シースキャパシタンスC1は、ウェーハシースキャパシタンスC3の10倍であるべきである(C1>10×C3)。
【0069】
別の例として、壁シースキャパシタンスC1をシースキャパシタンスC3で割った比は、50より大きくてよい(C1/C3>50)。別の例として、壁シースキャパシタンスC1は、シースキャパシタンスC3の50倍であるべきである(C1>50×C3)。
【0070】
RFドライバ105は、プラズマチャンバ725内の電極に印加されるRF電力を発生させる任意のタイプの装置を含んでよい。RFドライバ105は、例えば、ナノ秒パルサ、ハーフブリッジ回路又はフルブリッジ回路で駆動される共振系、RF増幅器、非線形伝送線、RFプラズマ発生器等を含んでよい。
【0071】
幾つかの実施形態では、RFドライバ105は、異なる複数のRF周波数(例えば、2MHz、13.56MHz、27MHz、60MHz、及び80MHz等)を有するRF電力信号を発生させることが可能な1つ以上のRFドライバを含んでよい。典型的なRF周波数は、例えば、200kHz~800MHzの周波数を含んでよい。幾つかの実施形態では、RFドライバ105は、プラズマチャンバ725内でプラズマを生成して維持することが可能である。RFドライバ105は、例えば、チャンバ内で様々なガス及び/又はイオンを励起してプラズマを生成する為に、電極(及び/又はアンテナ(後述))にRF信号を供給してよい。
【0072】
幾つかの実施形態では、RFドライバ105は、マッチングネットワークと結合されてよく、又はマッチングネットワークを含んでよく、マッチングネットワークは、RFドライバ105の出力インピーダンス(典型的には50Ω)を、プラズマ負荷の可変インピーダンス(典型的にはずっと小さく、リアクタンス性であってよい)とマッチングさせることが可能である。
【0073】
ナノ秒パルサ720は、1つ以上のナノ秒パルサを含んでよい。幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサ720は、あらゆる目的の為に本開示に組み込まれている米国特許出願第14/542,487号、件名「高電圧ナノ秒パルサ(High Voltage Nanosecond Pulser)」に記載の任意の装置の全ての部分又は任意の部分、又はあらゆる目的の為に本開示に組み込まれている米国特許出願第14/635,991号、件名「直流的に絶縁された出力可変パルス発生器の開示(Galvanically Isolated Output Variable Pulse Generator Disclosure」に記載の任意の装置の全ての部分又は任意の部分、又はあらゆる目的の為に本開示に組み込まれている米国特許出願第14/798,154号、件名「パルス幅及びパルス繰り返し周波数が可変である高電圧ナノ秒パルサ(High Voltage Nanosecond Pulser With Variable Pulse Width and Pulse Repetition Frequency)」に記載の任意の装置の全ての部分又は任意の部分を含んでよい。
【0074】
幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサ720は、振幅が約1~40kVのパルス電圧を発生させてよい。幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサ720は、最大約2,000kHzのパルス繰り返し周波数でスイッチングしてよい。幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサは、約400kHzのパルス繰り返し周波数でスイッチングしてよい。幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサ720は、パルス幅が約2000nsから約1nsにかけて変化する単発パルスを供給してよい。幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサ720は、約10kHzより高いパルス繰り返し周波数でスイッチングしてよい。幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサ720は、約400nsより短い、負荷での立ち上がり時間で動作することが可能である。
【0075】
幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサ720は、2kVより大きい電圧と、約80nsより短い立ち上がり時間と、約10kHzより高いパルス繰り返し周波数とで、電源からパルスを発生させることが可能である。
【0076】
幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサ720は、1つ以上のソリッドステートスイッチ(例えば、IGBT、MOSFET、SiC MOSFET、SiC接合トランジスタ、FET、SiCスイッチ、GaNスイッチ、光伝導スイッチ等のソリッドステートスイッチ)、1つ以上のスナバ抵抗、1つ以上のスナバダイオード、1つ以上のスナバキャパシタ、及び/又は1つ以上のフリーホイールダイオードを含んでよい。これらの1つ以上のスイッチ及び/又は回路は、並列又は直列に並べられてよい。幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサ720を形成する為に、1つ以上のナノ秒パルサが、直列又は並列にグループにまとめられてよい。幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサ720を形成する為に、複数の高電圧スイッチが、直列又は並列にグループにまとめられてよい。
【0077】
幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサ720は、短い時間スケールで容量性負荷から電荷を除去する回路(例えば、抵抗出力段、シンク、又はエネルギ回収回路等)を含んでよい。幾つかの実施形態では、電荷除去回路は、負荷から電荷を消散することを、例えば、短い時間スケール(例えば、1ns、10ns、50ns、100ns、250n、500ns、1,000ns等の時間スケール)で行ってよい。
【0078】
図8は、幾つかの実施形態による、プラズマチャンバ725内でプラズマを駆動するRFドライバの一例800の回路図である。この例では、RFドライバ800は、RFドライバ105の一例である。RFドライバ800は、ナノ秒パルサ115及びフィルタ145と結合されてよい。
【0079】
この例では、RFドライバ800は、RF源805、共振回路810、半波整流器815、抵抗出力段820、及び/又はバイアス補償回路825を含んでよい。RF源805は、フルブリッジドライバ(又はハーフブリッジドライバ)であってよい。RF源805は、入力電圧源807を含んでよく、これはDC電圧源(例えば、容量性ソース、AC-DCコンバータ等)であってよい。幾つかの実施形態では、RF源805は、4つのスイッチ861、862、863、864を含んでよい。幾つかの実施形態では、RF源805は、複数のスイッチ861、862、863、及び864を直列又は並列に含んでよい。これらのスイッチ861、862、863、864は、例えば、任意のタイプのソリッドステートスイッチを含んでよく、例えば、IGBT、MOSFET、SiC MOSFET、SiC接合トランジスタ、FET、SiCスイッチ、GaNスイッチ、光伝導スイッチ等を含んでよい。これらのスイッチ861、862、863、及び864は、高い周波数でスイッチングされてよく、且つ/又は高電圧パルスを発生させてよい。これらの周波数は、例えば、約400kHz、0.5MHz、2.0MHz、4.0MHz、13.56MHz、27.12MHz、40.68MHz、50MHz等の周波数を含んでよい。
【0080】
スイッチ861、862、863、864の各スイッチは、それぞれのダイオード871、872、873、及び/又は874と並列に結合されてよく、インダクタ851、852、853、及び854で表された浮遊インダクタンスを含んでよい。幾つかの実施形態では、インダクタ851、852、853、及び854のインダクタンスは同一でありうる。幾つかの実施形態では、インダクタ851、852、853、及び854のインダクタンスは、約50nH、100nH、150nH、500nH、1,000nH等より小さいことがありうる。スイッチ(861、862、863、又は864))とそれぞれのダイオード(871、872、873、及び/又は874)との組み合わせは、それぞれのインダクタ(851、852、853、又は854)と直列に結合されてよい。インダクタ853及び854は接地されてよい。インダクタ851は、スイッチ864及び共振回路810につながっている。そしてインダクタ852は、スイッチ863、及び共振回路810の反対側につながっている。
【0081】
幾つかの実施形態では、RF源805は、共振回路810と結合されてよい。共振回路810は、共振インダクタ811及び/又は共振キャパシタ812が変圧器814と結合されていてよい。共振回路810は共振抵抗813を含んでよく、例えば、共振抵抗813は、RFドライバ805と、共振回路810、及び/又は共振回路810内の任意の部品(例えば、共振キャパシタ812、共振抵抗813、及び/又は共振インダクタ811等)との間の全てのリードの浮遊抵抗を含んでよい。幾つかの実施形態では、共振抵抗813は、電線、パターン、又は回路素子の浮遊抵抗だけを含んでよい。他の回路素子のインダクタンス及び/又はキャパシタンスが駆動周波数に影響する場合があるものの、駆動周波数は、共振インダクタ811及び/又は共振キャパシタ812の選択によってほぼ設定可能である。浮遊インダクタンス又は浮遊キャパシタンスを考慮して適切な駆動周波数を発生させる為には、更なる洗練及び/又はチューニングが必要になる場合がある。更に、変圧器814の両端の立ち上がり時間は、次式が成り立てば、共振インダクタ811(L)及び/又は共振キャパシタ812(C)を変化させることにより調節可能である。
【数3】
【0082】
幾つかの実施形態では、共振インダクタ811のインダクタンス値を大きくすることにより、立ち上がり時間を遅くする又は短くすることが可能である。これらの値は又、バーストエンベロープに影響を及ぼしうる。各バーストは、過渡状態パルス及び定常状態パルスを含んでよい。各バースト内の過渡パルスは、定常状態パルス中にフル電圧に達するまで、共振インダクタ811及び/又は系のQによって設定されてよい。
【0083】
RF源805内のスイッチが共振周波数(fresonant)でスイッチングされると、変圧器814における出力電圧が増幅される。幾つかの実施形態では、共振周波数は、約400kHz、0.5MHz、2.0MHz、4.0MHz、13.56MHz、27.12MHz、40.68MHz、50MHz等であってよい。
【0084】
幾つかの実施形態では、共振キャパシタは、変圧器814の浮遊キャパシタンス、及び/又は物理的キャパシタを含んでよい。幾つかの実施形態では、共振キャパシタは、キャパシタンスが約10μF、1μF、100nF、10nF等であってよい。幾つかの実施形態では、共振インダクタ811は、変圧器814の浮遊インダクタンス、及び/又は物理的インダクタを含んでよい。幾つかの実施形態では、共振インダクタ811は、インダクタンスが約50nH、100nH、150nH、500nH、1,000nH等であってよい。幾つかの実施形態では、共振抵抗813は、抵抗が約10Ω、25Ω、50Ω、100Ω、150Ω、500Ω等であってよい。
【0085】
幾つかの実施形態では、変圧器814は任意選択であってよい。幾つかの実施形態では、抵抗813、共振インダクタ811、及び/又は共振キャパシタ812のうちの1つ以上が、変圧器814の二次側に配置されてよい。
【0086】
幾つかの実施形態では、共振抵抗813は、物理的な回路内の電線、パターン、及び/又は変圧器巻線の浮遊抵抗を表してよい。幾つかの実施形態では、共振抵抗813は、抵抗が約10mΩ、50mΩ、100mΩ、200mΩ、500mΩ等であってよい。
【0087】
幾つかの実施形態では、変圧器814は、あらゆる目的の為に本文書に組み込まれている米国特許出願第15/365,094号、件名「高電圧変圧器(High Voltage Transformer)」で開示されているような変圧器を含んでよい。幾つかの実施形態では、共振回路810の出力電圧は、スイッチ861、862、863、及び/又は864のデューティサイクル(例えば、スイッチが「オン」の時間、即ちスイッチが導通している時間)を変更することによって変更可能である。例えば、デューティサイクルが長くなるほど出力電圧は高くなり、デューティサイクルが短くなるほど出力電圧は低くなる。幾つかの実施形態では、共振回路810の出力電圧は、RF源805におけるスイッチングのデューティサイクルを調節することにより変更又はチューニングが可能である。
【0088】
例えば、スイッチのデューティサイクルの調節は、スイッチ861を開閉する信号Sig1のデューティサイクルを変更すること、スイッチ862を開閉する信号Sig2のデューティサイクルを変更すること、スイッチ863を開閉する信号Sig3のデューティサイクルを変更すること、及びスイッチ864を開閉する信号Sig4のデューティサイクルを変更することによって可能である。例えば、スイッチ861、862、863、又は864のデューティサイクルを調節することにより、共振回路810の出力電圧、又は負荷における電圧をリアルタイムで制御することが可能である。
【0089】
幾つかの実施形態では、RF源805の各スイッチ861、862、863、又は864は、互いに独立にスイッチングされてよく、又は他のスイッチのうちの1つ以上のスイッチと連動してスイッチングされてよい。例えば、信号Sig1は、信号Sig3と同じ信号であってよい。別の例として、信号Sig2は、信号Sig4と同じ信号であってよい。別の例として、各信号は、互いに独立であってよく、各スイッチ861、862、863、又は864を互いに独立に又は別々に制御してよい。
【0090】
幾つかの実施形態では、共振回路810は、半波整流器815と結合されてよく、半波整流器815は整流ダイオード816を含んでよい。
【0091】
幾つかの実施形態では、半波整流器815は抵抗出力段820と結合されてよい。抵抗出力段820は、当該技術分野において知られている任意の抵抗出力段を含んでよい。例えば、抵抗出力段820は、あらゆる目的の為に完全な形で本開示に組み込まれている米国特許出願第16/178,538号、件名「高電圧抵抗出力段回路(HIGH VOLTAGE RESISTIVE OUTPUT STAGE CIRCUIT)」に記載の任意の抵抗出力段を含んでよい。
【0092】
例えば、抵抗出力段820は、インダクタ821、抵抗822、抵抗823、及びキャパシタ824を含んでよい。幾つかの実施形態では、インダクタ821は、インダクタンスが約5~25μHであってよい。幾つかの実施形態では、抵抗823は、抵抗が約50~250Ωであってよい。幾つかの実施形態では、抵抗822は、抵抗出力段820の浮遊抵抗を含んでよい。
【0093】
幾つかの実施形態では、抵抗823は、直列及び/又は並列に並んだ複数の抵抗を含んでよい。キャパシタ824は、抵抗823の浮遊キャパシタンスを表してよく、これは、直列及び/又は並列の抵抗の並びのキャパシタンスを含む。浮遊キャパシタ824のキャパシタンスは、例えば、500pF、250pF、100pF、50pF、10pF、1pF等より小さくてよい。浮遊キャパシタ824のキャパシタンスは、例えば、負荷キャパシタンスより小さい場合があり、例えば、キャパシタ735、キャパシタ730、及び/又はキャパシタ740等のキャパシタンスより小さい場合がある。
【0094】
幾つかの実施形態では、抵抗823は負荷(例えば、プラズマシースキャパシタンス)を放電してよい。幾つかの実施形態では、抵抗出力段820は、各パルス周期の間の平均電力で約1キロワット超を、且つ/又は各パルス周期におけるエネルギで1ジュール以下を放出するように構成されてよい。幾つかの実施形態では、抵抗出力段820の抵抗823の抵抗は200Ωより小さくてよい。幾つかの実施形態では、抵抗823は、直列又は並列に並んだ複数の抵抗を含んでよく、それらの結合キャパシタンス(例えば、キャパシタ824)は約200pFより小さい。
【0095】
幾つかの実施形態では、抵抗出力段820は、負荷上の電圧波形の形状を制御することに使用可能な回路素子の集合体を含んでよい。幾つかの実施形態では、抵抗出力段820は、受動素子のみ(例えば、抵抗、キャパシタ、インダクタ等)を含んでよい。幾つかの実施形態では、抵抗出力段820は、受動回路素子だけでなく能動回路素子(例えば、スイッチ)を含んでよい。幾つかの実施形態では、抵抗出力段820は、例えば、波形の電圧立ち上がり時間及び/又は波形の電圧立ち下がり時間を制御することに使用されてよい。
【0096】
幾つかの実施形態では、抵抗出力段820は、容量性負荷(例えば、ウェーハ及び/又はプラズマ)を放電してよい。例えば、これらの容量性負荷はキャパシタンスが小さくてよい(例えば、約10pF、100pF、500pF、1nF、10nF、100nF等であってよい)。
【0097】
幾つかの実施形態では、抵抗出力段は、パルスのパルス電圧が高く(例えば、1kV、10kV、20kV、50kV、100kV等より高い電圧であり)、且つ/又はパルスの周波数が高く(例えば、1kHz、10kHz、100kHz、200kHz、500kHz、1MHz等より高い周波数であり)、且つ/又はパルスの周波数が約400kHz、0.5MHz、2.0MHz、4.0MHz、13.56MHz、27.12MHz、40.68MHz、50 MHz等である回路で使用されてよい。
【0098】
幾つかの実施形態では、抵抗出力段は、高い平均電力、高いピーク電力、速い立ち上がり時間、及び/又は速い立ち下がり時間をハンドリングするように選択されてよい。例えば、平均電力定格は、約0.5kW、1.0kW、10kW、25kW等より大きくてよく、且つ/又は、ピーク電力定格は、約1kW、10kW、100kW、1MW等より大きくてよい。
【0099】
幾つかの実施形態では、抵抗出力段820は、受動部品の直列又は並列のネットワークを含んでよい。例えば、抵抗出力段820は、直列の抵抗、キャパシタ、及びインダクタを含んでよい。別の例として、抵抗出力段820は、キャパシタとインダクタの並列の組み合わせに抵抗が直列につながったものを含んでよい。例えば、インダクタ821は、整流器からの出力電圧があるときに抵抗出力段に有意のエネルギが注入されないようにするのに十分な大きさが選択されてよい。抵抗822及び抵抗823の値は、L/R時間で負荷中のしかるべきキャパシタがRF周波数より速く放電することが可能であるように選択されてよい。
【0100】
幾つかの実施形態では、抵抗出力段820は、バイアス補償回路825と結合されてよい。バイアス補償回路825は、当該技術分野において知られている任意のバイアス回路及び/又はバイアス補償回路を含んでよい。例えば、バイアス補償回路825は、あらゆる目的の為に完全な形で本開示に組み込まれている米国特許出願第16/523,840号、件名「ナノ秒パルサバイアス補償(NANOSECOND PULSER BIAS COMPENSATION)」に記載の任意のバイアス回路及び/又はバイアス補償回路を含んでよい。幾つかの実施形態では、抵抗出力段820及び/又はバイアス補償回路825は任意選択であってよい。
幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサは、抵抗出力段820に似た抵抗出力段を含んでよい。
【0101】
幾つかの実施形態では、バイアス補償回路825は、バイアスキャパシタ826、ブロッキングキャパシタ826、ブロッキングダイオード827、スイッチ828 (例えば、高電圧スイッチ)、オフセット供給電圧830、抵抗831、及び/又は抵抗829を含んでよい。幾つかの実施形態では、スイッチ828は、あらゆる目的の為に完全な形で本開示に組み込まれている米国特許出願第82/717,637号、件名「ナノ秒パルシング用高電圧スイッチ(HIGH VOLTAGE SWITCH FOR NANOSECOND PULSING)」、及び/又は米国特許出願第16/178,565号、件名「ナノ秒パルシング用高電圧スイッチ(HIGH VOLTAGE SWITCH FOR NANOSECOND PULSING)」に記載の高電圧スイッチを含む。
【0102】
幾つかの実施形態では、オフセット供給電圧830は、出力電圧を正バイアス又は負バイアスすることが可能なDC電圧源を含んでよい。幾つかの実施形態では、ブロッキングキャパシタ826は、オフセット供給電圧830を、抵抗出力段820及び/又は他の回路素子から絶縁/分離することが可能である。幾つかの実施形態では、バイアス補償回路825は、回路の1つの部分から別の部分への電力の電位シフトを可能にできる。幾つかの実施形態では、バイアス補償回路825は、チャンバ内で高電圧パルスがアクティブであるときにウェーハを定位置に保持することに使用されてよい。抵抗831は、DCバイアス電源をドライバから保護/絶縁することが可能である。
【0103】
幾つかの実施形態では、スイッチ828は、RFドライバ805がパルシングしている間は開いてよく、RFドライバ805がパルシングしていない間は閉じてよい。スイッチ828は、閉じている間は、例えば、ブロッキングダイオード827の両端で電流を短絡させることが可能である。この電流を短絡させることにより、ウェーハとチャックとの間のバイアスを2kVより小さくすることを可能にでき、これは許容範囲内でありうる。
【0104】
図9は、幾つかの実施形態による、プラズマチャンバ725内でプラズマを駆動するRFドライバ回路900の回路図である。この例では、RFドライバ900は、RFドライバ105の一例である。RFドライバ回路900は、ナノ秒パルサ115及びフィルタ145と結合されてよい。
【0105】
この例では、RFドライバ回路900は、RF源805、共振回路810、半波整流器815、エネルギ回収回路905、及び/又はバイアス補償回路825を含んでよい。RF源805は、フルブリッジドライバ(又はハーフブリッジドライバ)であってよい。
【0106】
RFドライバ900は、RFドライバ800と似ており、抵抗出力段820がエネルギ回収回路905に置き換えられている。抵抗出力段820及びエネルギ回収回路905は、エネルギシンク回路と呼ばれてよい。幾つかの実施形態では、エネルギ回収回路905及び/又はバイアス補償回路825は任意選択であってよい。
【0107】
この例では、エネルギ回収回路905は、変圧器814の二次側に配置されてよく、又は二次側と電気的に結合されてよい。エネルギ回収回路905は、例えば、変圧器814の二次側の両端にダイオード930(例えば、クロウバーダイオード)を含んでよい。エネルギ回収回路905は、例えば、(直列に並んだ)ダイオード915及びインダクタ910を含んでよく、これにより、電流が変圧器814の二次側から流れて電源806を充電することと、電流がプラズマチャンバ725に流れることと、を可能にできる。ダイオード915及びインダクタ910は、変圧器814の二次側に電気的に接続され、電源806と結合されてよい。幾つかの実施形態では、エネルギ回収回路905は、変圧器814の二次側と電気的に結合されたダイオード920及び/又はインダクタ925を含んでよい。インダクタ910は、浮遊インダクタンスを表してよく、且つ/又は変圧器814の浮遊インダクタンスを含んでよい。
【0108】
パルサ段1010がオンになると(パルシングを行うと)、電流がプラズマチャンバ725を充電する(例えば、キャパシタ735、キャパシタ730、又はキャパシタ740を充電する)ことが可能である。例えば、変圧器814の二次側の電圧が電源806の充電電圧より高くなると、幾らかの電流がインダクタ910を流れることが可能である。ナノ秒パルサがオフになると、電流がプラズマチャンバ725内のキャパシタからインダクタ910を通って流れて、インダクタ910の両端の電圧がゼロになるまで電源806を充電することが可能である。ダイオード930は、プラズマチャンバ725内のキャパシタが、プラズマチャンバ725又はバイアス補償回路825のインダクタンスとリンギングを起こすのを防ぐことが可能である。
【0109】
ダイオード915は、例えば、電源806からプラズマチャンバ725内のキャパシタへ電荷が流れるのを防ぐことが可能である。
【0110】
インダクタ910の値は、電流の立ち下がり時間を制御する為に選択されてよい。幾つかの実施形態では、インダクタ910は、インダクタンスの値が1~500μHであってよい。
幾つかの実施形態では、エネルギ回収回路905は、インダクタ910を通る電流の流れを制御する為に使用可能なスイッチを含んでよい。このスイッチは、例えば、インダクタ910と直列に配置されてよい。
【0111】
エネルギ回収回路905内のスイッチは、例えば、2018年11月1日に出願された米国特許出願第16/178,565号、件名「電力が絶縁されている高電圧スイッチ(HIGH VOLTAGE SWITCH WITH ISOLATED POWER)」(これは、2018年8月10日に出願された米国特許仮出願第62/717,637号の優先権を主張するものであり、これらは両方とも参照によって完全な形で組み込まれている)で開示されている高電圧スイッチのような高電圧スイッチを含んでよい。幾つかの実施形態では、RF源805は、RF源805内に示された様々な部品の代わりに又はそれらの部品に加えて高電圧スイッチを含んでよい。
【0112】
図10は、幾つかの実施形態による、プラズマチャンバ725内でプラズマを駆動するナノ秒パルサ1000の回路図である。この例では、ナノ秒パルサ1000は、ナノ秒パルサ115の一例である。ナノ秒パルサ1000は、RFドライバ105及びフィルタ140と結合されてよい。この例では、ナノ秒パルサ1000は、パルサ段1010、抵抗出力段820、及び/又はバイアス補償回路825を含んでよい。
【0113】
幾つかの実施形態では、ナノ秒パルサ1000(即ちパルサ段1010)は、電圧が1kV、10kV、20kV、50kV、100kV、1,000kV等より高く、立ち上がり時間が約1ns、10ns、50ns、100ns、250ns、500ns、1,000ns等より短く、立ち下がり時間が約1ns、10ns、50ns、100ns、250ns、500ns、1,000ns等より短く、周波数が約1kHz、10kHz、100kHz、200kHz、500kHz、1MHz等より高いパルスを負荷段に投入してよい。
【0114】
幾つかの実施形態では、パルサ段1010は、例えば、500V超であるか、ピーク電流が10アンペア超であるか、パルス幅が約10,000ns、1,000ns、100ns、10ns等より短いパルスを発生させることが可能な任意のデバイスを含んでよい。別の例として、パルサ段1010は、振幅が1kV、5kV、10kV、50kV、200kV等より大きいパルスを発生させてよい。別の例として、パルサ段1010は、立ち上がり時間又は立ち下がり時間が約5ns、50ns、又は300ns等より短いパルスを発生させてよい。
【0115】
幾つかの実施形態では、パルサ段1010は、複数の高電圧バーストを発生させてよい。各バーストは、例えば、立ち上がり時間が速く立ち下がり時間が速い複数の高電圧パルスを含んでよい。複数の高電圧バーストは、例えば、バースト繰り返し周波数が約10Hz~10kHzであってよい。より具体的には、例えば、複数の高電圧バーストのバースト繰り返し周波数が約10Hz、100Hz、250Hz、500Hz、1kHz、2.5kHz、5.0kHz、10kHz等であってよい。
【0116】
複数の高電圧バーストの各バーストにおいては、高電圧パルスのパルス繰り返し周波数が約1kHz、10kHz、100kHz、200kHz、500kHz、1MHz等であってよい。
【0117】
幾つかの実施形態では、バースト繰り返し周波数によって1つのバーストから次のバーストまでの時間が決まる。バイアス補償スイッチが動作する周波数。
【0118】
幾つかの実施形態では、パルサ段1010は、電圧源1020と結合された1つ以上のソリッドステートスイッチ1025(例えば、IGBT、MOSFET、SiC MOSFET、SiC接合トランジスタ、FET、SiCスイッチ、GaNスイッチ、光導電性スイッチ等のようなソリッドステートスイッチ)を含んでよい。幾つかの実施形態では、パルサ段1010は、1つ以上の源スナバ抵抗1030、1つ以上の源スナバダイオード1037、1つ以上の源スナバキャパシタ1035、又は1つ以上の源フリーホイールダイオード1040を含んでよい。1つ以上のスイッチ及び/又は回路が並列又は直列に配置されてよい。
【0119】
幾つかの実施形態では、パルサ段1010は、複数の高電圧パルスを、高い周波数、速い立ち上がり時間、速い立ち下がり時間、高い頻度等で発生させてよい。パルサ段1010は、1つ以上のナノ秒パルサを含んでよい。
【0120】
幾つかの実施形態では、パルサ段1010は、高電圧パルシング電源を含んでよい。
【0121】
パルサ段1010は、例えば、あらゆる目的の為に完全な形で本開示に組み込まれている米国特許出願第14/542,487号、件名「高電圧ナノ秒パルサ(High Voltage Nanosecond Pulser)」に記載の任意のパルサを含んでよい。パルサ段1010は、例えば、あらゆる目的の為に完全な形で本開示に組み込まれている米国特許第9,601,283号、件名「効率的なIGBTスイッチング(Efficient IGBT Switching)」に記載の任意のパルサを含んでよい。パルサ段1010は、例えば、あらゆる目的の為に完全な形で本開示に組み込まれている米国特許出願第15/365,094号、件名「高電圧変圧器(High Voltage Transformer)」に記載の任意のパルサを含んでよい。
【0122】
パルサ段1010は、例えば、高電圧スイッチを含んでよい。別の例として、パルサ段1010は、例えば、あらゆる目的の為に完全な形で本開示に組み込まれている、2018年11月1日に出願された米国特許出願第16/178,565号、件名「絶縁電源を有する高電圧スイッチ(High Voltage Switch with Isolated Power)」に記載の任意のスイッチを含んでよい。
【0123】
幾つかの実施形態では、パルサ段1010は変圧器814を含んでよい。変圧器814は、変圧器コア(例えば、トロイドコア又は非トロイドコア)と、1回以下の巻数で変圧器コアに巻かれた少なくとも1つの一次巻線と、複数回の巻数で変圧器コアに巻かれた二次巻線と、を含んでよい。
【0124】
幾つかの実施形態では、変圧器814は、変圧器コアに巻かれた1回巻き一次巻線及び複数回巻き二次巻線を含んでよい。1回巻き一次巻線は、例えば、1回以下の巻数で変圧器コアに巻かれた1つ以上の電線を含んでよい。1回巻き一次巻線は、例えば、個別の1回巻き一次巻線を2個、10個、20個、50個、100個、250個、1200個等より多く含んでよい。幾つかの実施形態では、一次巻線は導電性シートを含んでよい。
【0125】
複数回巻き二次巻線は、例えば、複数回の巻数で変圧器コアに巻かれた単線を含んでよい。複数回巻き二次巻線は、例えば、2回、10回、25回、50回、100回、250回、500回等より多い巻数で変圧器コアに巻かれてよい。幾つかの実施形態では、複数の複数回巻き二次巻線が変圧器コアに巻かれてよい。幾つかの実施形態では、二次巻線は導電性シートを含んでよい。
【0126】
幾つかの実施形態では、高電圧変圧器は、1,000ボルトを超える電圧を、150ナノ秒未満又は50ナノ秒未満又は5ナノ秒未満の速い立ち上がり時間で出力するように使用されてよい。
【0127】
幾つかの実施形態では、高電圧変圧器は、低インピーダンス及び/又は低キャパシタンスであってよい。例えば、高電圧変圧器は、一次側で測定される浮遊インダクタンスが100nH、50nH、30nH、20nH、10nH、2nH、100pHより小さく、且つ/又は、二次側で測定される浮遊キャパシタンスが100pF、30pF、10pF、1pFより小さい。
【0128】
変圧器814は、あらゆる目的の為に本文書に組み込まれている米国特許出願第15/365,094号、件名「高電圧変圧器(High Voltage Transformer)」に開示のような変圧器を含んでよい。
【0129】
図11は、幾つかの実施形態による、プラズマチャンバ725内でプラズマを駆動するナノ秒パルサ1100の回路図である。この例では、ナノ秒パルサ1000は、ナノ秒パルサ115の一例である。ナノ秒パルサ1100は、RFドライバ105及びフィルタ140と結合されてよい。この例では、ナノ秒パルサ1100は、パルサ段1010、エネルギ回収回路905、及び/又はバイアス補償回路825を含んでよい。他の様々な回路素子が含まれてよい。他の様々な回路素子が含まれてよい。
【0130】
ナノ秒パルサ1100は、ナノ秒パルサ1000と似ているが、抵抗出力段820がなく、エネルギ回収回路905を含む。幾つかの実施形態では、エネルギ回収回路905及び/又はバイアス補償回路825は任意選択であってよい。
【0131】
この例では、エネルギ回収回路905は、変圧器814の二次側に配置されてよく、又は二次側と電気的に結合されてよい。エネルギ回収回路905は、例えば、変圧器814の二次側の両端にダイオード930(例えば、クロウバーダイオード)を含んでよい。エネルギ回収回路905は、例えば、(直列に並んだ)ダイオード915及びインダクタ910を含んでよく、これにより、電流が変圧器814の二次側から流れて電源806を充電することと、電流がプラズマチャンバ725に流れることと、を可能にできる。ダイオード915及びインダクタ910は、変圧器814の二次側に電気的に接続され、電源806と結合されてよい。ダイオード915とインダクタ910は、任意の順序で配置されてよい。幾つかの実施形態では、エネルギ回収回路905は、変圧器814の二次側と電気的に結合されたダイオード920及び/又はインダクタ925を含んでよい。インダクタ910は、浮遊インダクタンスを表してよく、且つ/又は変圧器814の浮遊インダクタンスを含んでよい。
【0132】
RF源805がオンになると、電流がプラズマチャンバ725を充電する(例えば、キャパシタ735、キャパシタ730、又はキャパシタ740を充電する)ことが可能である。例えば、変圧器814の二次側の電圧が電源806の充電電圧より高くなると、幾らかの電流がインダクタ910を流れることが可能である。ナノ秒パルサがオフになると、電流がプラズマチャンバ725内のキャパシタからインダクタ910を通って流れて、インダクタ910の両端の電圧がゼロになるまで電源806を充電することが可能である。ダイオード930は、プラズマチャンバ725内のキャパシタンスが、プラズマチャンバ725又はバイアス補償回路825のインダクタンスとリンギングを起こすのを防ぐことが可能である。
【0133】
ダイオード915は、例えば、電源806からプラズマチャンバ725内のキャパシタへ電荷が流れるのを防ぐことが可能である。
【0134】
インダクタ910のインダクタンス値は、電流の立ち下がり時間を制御する為に選択されてよい。幾つかの実施形態では、インダクタ910は、インダクタンスの値が1~500μHであってよい。
【0135】
幾つかの実施形態では、エネルギ回収回路905は、インダクタ910を通る電流の流れを制御する為に使用可能なスイッチを含んでよい。このスイッチは、例えば、インダクタ910と直列に配置されてよい。
【0136】
エネルギ回収回路905内のスイッチは、例えば、2018年11月1日に出願された米国特許出願第16/178,565号、件名「電力が絶縁されている高電圧スイッチ(HIGH VOLTAGE SWITCH WITH ISOLATED POWER)」(これは、2018年8月10日に出願された米国特許仮出願第62/717,637号の優先権を主張するものであり、これらは両方とも参照によって完全な形で組み込まれている)で開示されている高電圧スイッチのような高電圧スイッチを含んでよい。
【0137】
図12は、幾つかの実施形態による、プラズマチャンバ725を駆動するRFドライバ回路1200の回路図である。RFドライバ回路1200は、RFドライバ800と似ている。変圧器814は除去されているが、変圧器は使用可能である。
【0138】
RF源805は、共振インダクタ811、共振キャパシタ812、及び/又は共振抵抗813の共振周波数で共振回路810を駆動することが可能である。
【0139】
整流ダイオード816は(ドループ制御インダクタ817及びドループ制御抵抗818を伴わずに)、RF源805及び共振回路810が発生させる正弦波形を、
図13の波形1310で示すように整流することが可能であり、
図13は、点1210において経時測定された電圧を示す。ウェーハ上での結果を波形1315で示しており、これは、点1215において経時測定された電圧を示す。RF源805及び共振回路810が発生させる電圧は、波形1305で示している。波形1315の平坦部分は、幾らかの負方向ドループを有する。ドループは、プラズマ中のイオン電流に起因する、波形の非平坦部分である。この例では、ドループは、波形1315の一部の、およそ8kVから5kVまでの傾斜として示された上方傾斜である。幾つかの実施形態では、波形1310のこの部分がほぼ一定の電圧にとどまることが有利でありうる。それは、これが、ウェーハ表面に収まるイオンエネルギと直接相関する為である。
【0140】
RF周波数、RF電圧、及びウェーハへのイオン電流に基づいてドループ制御インダクタ817及びドループ制御抵抗818を適切に選択することにより、波形1315中のドループを補償することが可能である。ドループ制御インダクタ817及びドループ制御抵抗818は、共振正弦波の負部分の一部が点1210に流れて、イオン電流が点1215に流れたことによるキャパシタ730の損失電荷に取って代わることを可能にできる。ドループ制御インダクタ817又はドループ制御抵抗818はドループ制御キャパシタで置き換えられてよく、又はドループ制御キャパシタが追加されてよい。ドループ制御抵抗818は、回路全体にわたる浮遊抵抗を包含するか含んでよい。ドループ制御インダクタ817及びドループ制御抵抗818の値は、共振周波数、(例えば、波形1305の)出力共振電圧振幅、及び/又は共振回路810のウェーハ表面のイオン電流の振幅に基づいて選択されてよい。
【0141】
幾つかの実施形態では、ドループ制御インダクタ817、ドループ制御抵抗818、及び/又はドループ制御キャパシタは、あらかじめ決められてよく、又はリアルタイムで制御されてよい。例えば、ドループ制御インダクタ817は可変インダクタを含んでよく、ドループ制御抵抗818は可変抵抗を含んでよく、且つ/又はドループ制御キャパシタは可変キャパシタを含んでよい。
【0142】
幾つかの実施形態では、ドループ制御抵抗818及び/又はドループ制御インダクタ817のいずれかの、所与の周波数及び電圧におけるインピーダンスは、キャパシタ730の放電率とつり合う為に必要なインピーダンス以下であってよい。
【0143】
図14の波形1415で示すように、ウェーハ上でのドループは、ドループ制御インダクタ817及びドループ制御抵抗818を含むことにより除去できる。ドループ制御インダクタ817及びドループ制御抵抗818は、電流が回路を通って戻ることによって、波形1410の一部に示すような負方向整流を引き起こすことを可能にでき、その部分は平坦であるべきであるが、そうでなければ下方傾斜している。幾つかの実施形態では、波形1410のこの部分がほぼ一定の電圧にとどまることが有利でありうる。それは、これが、ウェーハ表面に収まるイオンエネルギと直接相関する為である。
【0144】
幾つかの実施形態では、ドループ制御インダクタ817は、インダクタンスが約100mH、50mH、10mH、5mH等より小さくてよい。幾つかの実施形態では、ドループ制御インダクタ817は、インダクタンスが約0.1mH、0.5mH、1mH、5mH、10mH等より小さくてよい。
【0145】
幾つかの実施形態では、ドループ制御抵抗818は、抵抗又は浮遊抵抗が約10mΩ、50mΩ、100mΩ、250mΩ、500mΩ等より小さくてよい。幾つかの実施形態では、ドループ制御抵抗818は、抵抗又は浮遊抵抗が約10Ω、50Ω、100Ω、250Ω、500Ω等より小さくてよい。
【0146】
図15は、幾つかの実施形態による、プラズマチャンバ725を駆動するRFドライバ回路1500の回路図である。RFドライバ回路1500は、RFドライバ回路1200と似ており、抵抗出力段820がエネルギ回収回路905に置き換えられている。抵抗出力段820及びエネルギ回収回路905は、エネルギシンク回路と呼ばれてよい。ドループ制御インダクタ817及びドループ制御抵抗818は、回路内のあらゆるドループを補正することが可能である。
【0147】
特に断らない限り、「ほぼ(substantially)」という語は、言及された値の5~10%以内、又は製造公差以内であることを意味する。特に断らない限り、「約(about)」という語は、言及された値の5~10%以内、又は製造公差以内であることを意味する。
「又は(or)」という語は包含的である。
【0148】
本明細書では、特許請求対象の十分な理解が得られるように、多数の具体的詳細を説明している。しかしながら、当業者であれば理解されるように、それらの具体的詳細がなくても本特許請求対象を実施することは可能である。又、場合によっては、本特許請求対象が曖昧にならないように、当業者にはよく知られているであろう方法、装置、又はシステムについては詳細に説明していない。
【0149】
幾つかの部分が、コンピューティングシステムメモリ(例えば、コンピュータメモリ)に記憶されているデータビット又はバイナリデジタル信号に対する動作のアルゴリズム又はシンボリック表現として示されている。これらのアルゴリズム的な記述又は表現は、データ処理技術分野の当業者が自分の仕事の内容を他の当業者に伝える場合に用いられる手法の例である。アルゴリズムは、所望の結果につながる動作又は同様の処理の首尾一貫したシーケンスである。この文脈では、動作又は処理は、物理量の物理的マニピュレーションを伴う。典型的には、必ずではないが、そのような量は、記憶、転送、結合、比較、又は他のマニピュレーションが可能な電気信号又は磁気信号の形をとりうる。そのような信号を、主に共通使用の為に、ビット、データ、値、要素、シンボル、文字、項、数値、数字等として参照することが時には便利であることがわかっている。しかしながら、当然のこととして、これら及び同様の用語は全て、しかるべき物理量に関連付けられるべきものであり、便利なラベルに過ぎない。特に断らない限り、本明細書の議論の全体を通して、「処理(processing)」、「コンピューティング(computing)」、「計算(calculating)」、「判断(determining)」、識別(identifying)」等の用語を利用することは、コンピューティングプラットフォームのメモリ、レジスタ、又は他の情報格納装置、伝送装置、又はディスプレイ装置内で実際の電子的又は磁気的な量として表されたデータをマニピュレート又は変換する、コンピューティング装置(例えば、1つ以上のコンピュータ又は同様の電子コンピューティング装置)のアクション又はプロセスを参照するものであると理解されたい。
【0150】
本明細書に記載の1つ以上のシステムは、いかなる特定のハードウェアアーキテクチャ又はハードウェア構成にも限定されない。コンピューティング装置は、1つ以上の入力に対して条件付けられた結果を出力する任意の適切なコンポーネント構成を包含しうる。適切なコンピューティング装置は、汎用コンピューティング装置から、本発明対象の1つ以上の実施形態を実施する専用コンピューティング装置までのコンピューティングシステムをプログラム又は構成する記憶されたソフトウェアにアクセスする、多目的マイクロプロセッサベースのコンピュータシステムを含む。本明細書に含まれる教示を、コンピューティング装置をプログラム又は構成することに使用されるソフトウェアの形で実施する為に、任意の適切なプログラミング言語、スクリプト言語、又は他のタイプの言語、又は言語の組み合わせが使用されてよい。
【0151】
本明細書に開示の方法の実施形態は、そのようなコンピューティング装置の動作において実施されてよい。上記の実施例において示されたブロックの順序は変更されてよく、例えば、ブロックの順序を変更したり、ブロック同士を結合したり、且つ/又はブロックをサブブロックに分割したりしてよい。幾つかのブロック又はプロセスが並行して実施されてよい。
【0152】
本明細書での「ように適合された(adapted to)」又は「ように構成された(configured to)」の使用は、追加のタスク又はステップを実施するように適合又は構成された装置を排除しない、開放的且つ包含的な言い回しを意図している。更に、「基づく(based on)」の使用は、1つ以上の記載された条件又は値に「基づく(based on)」プロセス、ステップ、計算、又は他のアクションが、実際には、それらの記載された条件又は値を超える追加の条件又は値に基づいてよいという点で開放的且つ包含的であることを意図されている。本明細書に含まれる見出し、リスト、及び番号付けは、説明を容易にする為のものに過ぎず、限定の意図はない。
【0153】
本発明対象を、その特定の実施形態に関して詳細に説明してきたが、当然のことながら、当業者であれば、上述の内容を理解すれば、そのような実施形態の変更物、変形物、及び等価物を容易に生成可能である。従って、当然のことながら、本開示は、限定ではなく例示を目的として示されており、当業者であれば容易に明らかであろうように、本発明対象に対するそのような修正、変形、及び/又は追加を包含することを排除しない。
【手続補正書】
【提出日】2023-05-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の壁とウェーハ支持物とを含むプラズマチャンバであって、前記プラズマチャンバ内でプラズマが生成されると、前記プラズマと前記複数の壁のうちの前記少なくとも1つの壁との間に壁-プラズマシースが形成され、前記プラズマと、前記ウェーハ支持物上に配置されたウェーハと、の間にウェーハ-プラズマシースが形成される、前記プラズマチャンバと、
前記プラズマチャンバに入るRFバーストを約1Mhzより大きいRF周波数で駆動するRFドライバと、
前記プラズマチャンバに入るパルスを前記RF周波数よりも低いパルス繰り返し周波数と約1kVよりも高いピーク電圧で駆動するナノ秒パルサと、
前記RFドライバと前記プラズマチャンバとの間に配置され、前記RFバーストを前記プラズマチャンバに通過させるハイパスフィルタと、
前記ナノ秒パルサと前記プラズマチャンバとの間に配置され、1Mhz未満のパルス繰り返し周波数のパルスを前記チャンバに通過させるローパスフィルタと、
を含むプラズマシステム。
【請求項2】
前記ウェーハ-プラズマシースのキャパシタンスは、約1nFより小さい、請求項1に記載のプラズマシステム。
【請求項3】
前記壁-プラズマシースのキャパシタンスは、前記ウェーハ-プラズマシースのキャパシタンスの少なくとも約10倍である、請求項1に記載のプラズマシステム。
【請求項4】
前記ローパスフィルタは、接地されたキャパシタを含む、請求項1に記載のプラズマシステム。
【請求項5】
前記キャパシタは、キャパシタンスが約500pFより小さい、請求項4に記載のプラズマシステム。
【請求項6】
前記ハイパスフィルタは、インダクタンスが約10nHより小さいインダクタを含む、請求項1に記載のプラズマシステム。
【請求項7】
前記ハイパスフィルタは、浮遊キャパシタンスが約5pFより小さいインダクタを含む、請求項1に記載のプラズマシステム。
【請求項8】
プラズマチャンバと、
前記プラズマチャンバと電気的に結合されて、前記プラズマチャンバに入るRF波形をRF周波数で駆動するRFドライバと、
前記プラズマチャンバと電気的に結合されて、前記プラズマチャンバに入る高電圧パルスを、前記RF周波数より低いパルス繰り返し周波数で駆動するナノ秒パルサと、
前記変圧器と前記ナノ秒パルサとに電気的に結合されたエネルギ回収回路と、
前記RFドライバと前記プラズマチャンバとの間に配置されたキャパシタと、
前記ナノ秒パルサと前記プラズマチャンバとの間に配置されたインダクタと、
を含むプラズマシステム。
【請求項9】
前記キャパシタは、キャパシタンスが約100pFより小さい、請求項8に記載のプラズマシステム。
【請求項10】
前記インダクタは、インダクタンスが約10nHより小さい、請求項8に記載のプラズマシステム。
【請求項11】
前記インダクタは、浮遊キャパシタンスが約5pFより小さい、請求項8に記載のプラズマシステム。
【請求項12】
前記プラズマチャンバはカソードを含み、前記RFドライバは、少なくとも前記キャパシタを介して前記カソードと電気的に結合されており、前記ナノ秒パルサは、少なくとも前記インダクタを介して前記カソードと電気的に結合されている、請求項8に記載のプラズマシステム。
【請求項13】
前記プラズマチャンバはカソードとアンテナを含み、前記RFドライバは、少なくとも前記キャパシタを介して前記アンテナと電気的に結合されており、前記ナノ秒パルサは、少なくとも前記インダクタを介して前記カソードと電気的に結合されている、請求項8に記載のプラズマシステム。
【請求項14】
プラズマチャンバと、
フルブリッジ構成で配置された複数のスイッチと、
前記プラズマチャンバと電気的に結合された変圧器と、
前記複数のスイッチおよび前記変圧器と電気的に結合されたドループ制御回路と、
前記変圧器及び前記ナノ秒パルサと電気的に結合されたエネルギ回収回路と、
を含むプラズマシステム。
【請求項15】
前記エネルギ回収回路は、直列に配置されたダイオードとインダクタを備える、請求項14に記載のプラズマシステム。
【請求項16】
前記エネルギ回収回路は、前記インダクタを通る電流の流れを制御するスイッチを含む、請求項15に記載のプラズマシステム。
【請求項17】
前記ドループ制御回路は、インダクタンスが約10mHより小さいインダクタを含む、請求項14に記載のプラズマシステム。
【請求項18】
前記ドループ制御回路は、抵抗値が約500Ωより小さい抵抗を含む、請求項14に記載のプラズマシステム。
【請求項19】
前記ドループ制御回路は、インダクタおよび抵抗を含む、請求項14に記載のプラズマシステム。
【請求項20】
前記変圧器と前記プラズマチャンバとの間に配置された整流ダイオードをさらに含む、請求項14に記載のプラズマシステム。
【請求項21】
前記変圧器と前記プラズマチャンバとに電気的に結合されたバイアス補償回路をさらに含む、請求項14に記載のプラズマシステム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0153
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0153】
本発明対象を、その特定の実施形態に関して詳細に説明してきたが、当然のことながら、当業者であれば、上述の内容を理解すれば、そのような実施形態の変更物、変形物、及び等価物を容易に生成可能である。従って、当然のことながら、本開示は、限定ではなく例示を目的として示されており、当業者であれば容易に明らかであろうように、本発明対象に対するそのような修正、変形、及び/又は追加を包含することを排除しない。
〔付記1〕
複数の壁とウェーハ支持物とを含むプラズマチャンバであって、前記プラズマチャンバ内でプラズマが生成されると、前記プラズマと前記複数の壁のうちの前記少なくとも1つの壁との間に壁-プラズマシースが形成され、前記プラズマと、前記ウェーハ支持物上に配置されたウェーハと、の間にウェーハ-プラズマシースが形成され、前記壁-プラズマシースのキャパシタンスは、前記ウェーハ-プラズマシースのキャパシタンスの少なくとも約10倍の大きさである、前記プラズマチャンバと、
前記プラズマチャンバに入るバーストをRF周波数で駆動するRFドライバと、
前記プラズマチャンバに入るパルスを、前記RF周波数より低いパルス繰り返し周波数で駆動するナノ秒パルサと、
前記RFドライバと前記プラズマチャンバとの間に配置された第1のフィルタと、
前記ナノ秒パルサと前記プラズマチャンバとの間に配置された第2のフィルタと、
を含むプラズマシステム。
〔付記2〕
前記ウェーハ-プラズマシースのキャパシタンスは約1nFより小さい、付記1に記載のプラズマシステム。
〔付記3〕
前記RFドライバは、約1kVより高いピーク電圧で、且つ約1MHzより高い周波数でバーストを駆動する、付記1に記載のプラズマシステム。
〔付記4〕
前記ナノ秒パルサは、約1kVより高いピーク電圧で、且つ、前記RF発生器が発生させる前記バーストの周波数より低い周波数でパルスを駆動する、付記1に記載のプラズマシステム。
〔付記5〕
前記第1のフィルタはハイパスフィルタを含み、前記第2のフィルタはローパスフィルタを含む、付記1に記載のプラズマシステム。
〔付記6〕
前記第2のフィルタは、接地されたキャパシタを含む、付記1に記載のプラズマシステム。
〔付記7〕
前記キャパシタはキャパシタンスが約500pFより小さい、付記6に記載のプラズマシステム。
〔付記8〕
プラズマチャンバと、
前記プラズマチャンバと電気的に結合されて、前記プラズマチャンバに入るバーストをRF周波数で駆動するRFドライバと、
前記プラズマチャンバと電気的に結合されて、前記プラズマチャンバに入るパルスを、前記RF周波数より低いパルス繰り返し周波数で駆動するナノ秒パルサと、
前記RFドライバと前記プラズマチャンバとの間に配置されたキャパシタと、
前記ナノ秒パルサと前記プラズマチャンバとの間に配置されたインダクタと、
を含むプラズマシステム。
〔付記9〕
前記キャパシタはキャパシタンスが約100pFより小さい、付記8に記載のプラズマシステム。
〔付記10〕
前記インダクタはインダクタンスが約10nHより小さい、付記8に記載のプラズマシステム。
〔付記11〕
前記インダクタは浮遊キャパシタンスが約5pFより小さい、付記8に記載のプラズマシステム。
〔付記12〕
前記プラズマチャンバは複数の壁とウェーハ支持物とを含み、前記プラズマチャンバ内でプラズマが生成されると、前記プラズマと前記複数の壁のうちの前記少なくとも1つの壁との間に壁-プラズマシースが形成され、前記プラズマと、前記ウェーハ支持物上に配置されたウェーハと、の間にウェーハ-プラズマシースが形成され、前記壁-プラズマシースのキャパシタンスは、前記ウェーハ-プラズマシースのキャパシタンスの少なくとも約10倍の大きさである、付記8に記載のプラズマシステム。
〔付記13〕
前記プラズマチャンバは複数の壁とウェーハ支持物とを含み、前記プラズマチャンバ内でプラズマが生成されると、前記プラズマと前記複数の壁のうちの前記少なくとも1つの壁との間に壁-プラズマシースが形成され、前記プラズマと、前記ウェーハ支持物上に配置されたウェーハと、の間にウェーハ-プラズマシースが形成され、前記壁-プラズマシースのキャパシタンスは、前記ウェーハ-プラズマシースのキャパシタンスの少なくとも約50倍の大きさである、付記8に記載のプラズマシステム。
〔付記14〕
プラズマチャンバと、
前記プラズマチャンバに入るパルスを、約200kHzより高いRF周波数と、1kVより高いピーク電圧と、で駆動するように構成されたRFドライバと、
前記プラズマチャンバと電気的に結合されたエネルギシンク回路と、
前記プラズマチャンバと前記RFドライバとの間に電気的に結合された整流ダイオードであって、前記RFドライバが発生させた波形を整流する前記整流ダイオードと、
直列に配置されたドループ制御インダクタ及びドループ制御抵抗であって、前記ドループ制御インダクタ及び前記ドループ制御抵抗の前記直列結合は前記整流ダイオードと並列に配置される、前記ドループ制御インダクタ及び前記ドループ制御抵抗と、
を含むプラズマシステム。
〔付記15〕
前記エネルギシンク回路は抵抗出力段回路を含む、付記14に記載のプラズマシステム。
〔付記16〕
前記エネルギシンク回路はエネルギ回収回路を含む、付記14に記載のプラズマシステム。
〔付記17〕
前記ドループ制御インダクタはインダクタンスが約10mHより小さい、付記14に記載のプラズマシステム。
〔付記18〕
前記ドループ制御抵抗は約500Ωより小さい、付記14に記載のプラズマシステム。
【外国語明細書】