(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120233
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】電磁波シールドフィルム及びシールドプリント配線板
(51)【国際特許分類】
B32B 7/025 20190101AFI20230822BHJP
H05K 9/00 20060101ALI20230822BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
B32B7/025
H05K9/00 W
H05K1/02 P
H05K1/02 N
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092391
(22)【出願日】2023-06-05
(62)【分割の表示】P 2022540625の分割
【原出願日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2020158576
(32)【優先日】2020-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000108742
【氏名又は名称】タツタ電線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】柳 善治
(72)【発明者】
【氏名】田島 宏
(57)【要約】 (修正有)
【課題】薄型化可能であり、ピール強度が強く、導電性、シールド性、並びに、段差に対する耐屈曲性及び追従性が高い電磁波シールドフィルムを提供する。
【解決手段】導電性粒子21及び接着性樹脂組成物22を含む導電性接着剤層20を備えた電磁波シールドフィルム10であって、導電性粒子は、フレーク状導電性粒子21a及び球状導電性粒子21bを含み、球状導電性粒子の平均粒子径は1~10μmであり、フレーク状導電性粒子及び球状導電性粒子の含有量は77~80wt%であり、フレーク状導電性粒子と球状導電性粒子との重量比は6/4~8/2であり、導電性接着剤層の厚さは5~20μmであり、導電性粒子は銅及び/又は銀コート銅からなり、電磁波シールドフィルムを、150℃、2MPa、30minの条件で加熱加圧した後の球状導電性フィラーの平均アスペクト比は1~1.6であることを特徴とする電磁波シールドフィルム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性粒子及び接着性樹脂組成物を含む導電性接着剤層を備えた電磁波シールドフィルムであって、
前記導電性粒子は、フレーク状導電性粒子及び球状導電性粒子を含み、
前記球状導電性粒子の平均粒子径は1~10μmであり、
前記導電性接着剤層中の前記フレーク状導電性粒子及び前記球状導電性粒子の含有量は、77~80wt%であり、
前記フレーク状導電性粒子と前記球状導電性粒子との重量比は、[フレーク状導電性粒子]/[球状導電性粒子]=6/4~8/2であり、
前記導電性接着剤層の厚さは、5~20μmであり、
前記導電性粒子は、銅及び/又は銀コート銅からなり、
前記電磁波シールドフィルムを、150℃、2MPa、30minの条件で加熱加圧した後の前記導電性接着剤層の切断面において、前記球状導電性フィラーの平均アスペクト比は、1~1.6であることを特徴とする電磁波シールドフィルム。
【請求項2】
さらに、絶縁層を備える請求項1に記載の電磁波シールドフィルム。
【請求項3】
前記絶縁層と、前記導電性接着剤層との間に金属層を備える請求項2に記載の電磁波シールドフィルム。
【請求項4】
ベースフィルム、前記ベースフィルムの上に配置されたプリント回路及び前記プリント回路を覆うように配置されたカバーレイを備えるプリント配線板と、
導電性粒子及び接着性樹脂組成物を含む導電性接着剤層を備えた電磁波シールドフィルムとを含み、
前記導電性接着剤層が前記カバーレイと接触するように前記電磁波シールドフィルムが前記プリント配線板に配置されたシールドプリント配線板であって、
前記導電性粒子は、フレーク状導電性粒子及び球状導電性粒子を含み、
前記球状導電性粒子の平均粒子径は1~10μmであり、
前記導電性接着剤層中の前記フレーク状導電性粒子及び前記球状導電性粒子の含有量は、77~80wt%であり、
前記フレーク状導電性粒子と前記球状導電性粒子との重量比は、[フレーク状導電性粒子]/[球状導電性粒子]=6/4~8/2であり、
前記導電性接着剤層の厚さは、5~20μmであり、
前記導電性粒子は、銅及び/又は銀コート銅からなり、
前記導電性接着剤層の切断面において、前記球状導電性フィラーの平均アスペクト比は、1~1.6であることを特徴とするシールドプリント配線板。
【請求項5】
前記プリント回路はグランド回路を含み、
前記カバーレイには前記グランド回路を露出する開口部が形成されており、
前記導電性接着剤層は、前記開口部を埋めて、前記グランド回路と接触している請求項4に記載のシールドプリント配線板。
【請求項6】
前記導電性接着剤層の前記カバーレイと接触していない側には、絶縁層が配置されている請求項4又は5に記載のシールドプリント配線板。
【請求項7】
前記導電性接着剤層と前記絶縁層との間には金属層が配置されている請求項6に記載のシールドプリント配線板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁波シールドフィルム及びシールドプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルプリント配線板は、小型化、高機能化が急速に進む携帯電話等のモバイル機器や、ビデオカメラ、ノートパソコン等の電子機器において、複雑な機構の中に回路を組み込むために多用されている。さらに、その優れた可撓性を生かして、プリンタヘッドのような可動部と制御部との接続にも利用されている。これらの電子機器では、電磁波シールド対策が必須となっており、装置内で使用されるフレキシブルプリント配線板においても、電磁波シールド対策を施したフレキシブルプリント配線板(以下、「シールドプリント配線板」とも記載する)が用いられるようになってきた。
【0003】
モバイル機器には、多機能化(例えば、カメラ機能搭載やGPS機能搭載等)が求められており、多機能化を実現するために、プリント配線板の高密度化も行われている。特に、近年、通信周波数が10GHz程度に高くなる5G通信規格によるモバイル機器の高性能化に対応すべく、電磁波シールドフィルムの高シールド化が求められている。
プリント配線板を高密度に配置するにあたり、モバイル機器自体の巨大化には限度があるので、シールドプリント配線板の厚さを薄くするという方法が採られている。
また、シールドプリント配線板の厚さを薄くする場合、電磁波シールドフィルムを薄くするという方法が考えられる。
【0004】
しかし、電磁波シールドフィルムの厚さが薄い場合、段差があるプリント配線板に電磁波シールドフィルムを熱圧着した場合、段差部で電磁波シールドフィルムの導電性接着剤層が伸びてしまい、電気抵抗値が上昇したり、電磁波シールドフィルム自体が破損する場合がある。
【0005】
特許文献1には、このような問題を解決できる電磁波シールドフィルム(電磁波シールドシート)として、フレーク状導電性微粒子と、バインダー樹脂とを含む導電層、および絶縁層を備えた電磁波シールドシートであって、前記導電層の切断面における前記フレーク状導電性微粒子の平均アスペクト比が7~15であり、加熱圧着前の前記導電層の断面積を100としたときの導電性微粒子以外の成分が占める面積が55~80であり、前記電磁波シールドシートを150℃、2MPa、30分間の条件で加熱圧着前後の導電性微粒子以外の成分が占める面積の差が5~25であることを特徴とする電磁波シールドシートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の電磁波シールドフィルムを備えるシールドプリント配線板では、導電層と絶縁層との界面及び導電層とプリント配線板との界面にフレーク状導電性微粒子が位置することがあり、導電層と絶縁層との接着面や、導電層とプリント配線板との接触面が小さくなり、導電層のピール強度が低下することがあった。
そのため、使用時に電磁波シールドフィルムの絶縁層が剥がれたり、電磁波シールドフィルム自体がプリント配線板から剥がれてしまうという問題があった。
また、電磁波シールドフィルムを、段差を有するプリント配線板に配置する際に、電磁波シールドフィルムが段差により破断したり、段差にうまく追従せず浮いたりすることがあり、段差に対する耐屈曲性及び追従性について改良の余地があった。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされた発明であり、本発明の目的は、薄型化可能であり、ピール強度が強く、導電性、シールド性、並びに、段差に対する耐屈曲性及び追従性が高い電磁波シールドフィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電磁波シールドフィルムは、導電性粒子及び接着性樹脂組成物を含む導電性接着剤層を備えた電磁波シールドフィルムであって、上記導電性粒子は、フレーク状導電性粒子及び球状導電性粒子を含み、上記球状導電性粒子の平均粒子径は1~10μmであり、上記導電性接着剤層中の上記フレーク状導電性粒子及び上記球状導電性粒子の含有量は、70~80wt%であり、上記フレーク状導電性粒子と上記球状導電性粒子との重量比は、[フレーク状導電性粒子]/[球状導電性粒子]=6/4~8/2であり、上記導電性接着剤層の厚さは、5~20μmであることを特徴とする。
【0010】
本発明の電磁波シールドフィルムでは、導電性粒子は、フレーク状導電性粒子及び球状導電性粒子を含む。
フレーク状導電性粒子は充分な柔軟性を有するので、電磁波シールドフィルムが繰り返し折り曲げられた場合、フレーク状導電性粒子も追従して曲がることができ、フレーク状導電性粒子の位置がずれにくくなる。その結果、導電性粒子同士の接触を充分に保つことができ、電気抵抗値が上昇することを防止することができる。
また、球状導電性粒子が含まれると、導電性接着剤層の厚み方向におけるフレーク状導電性粒子同士の間に球状導電性粒子が挟み込まれ、フレーク状導電性粒子間に接着性樹脂組成物が多く存在する。そのため、導電性接着剤層の機械的強度が向上し、ピール強度が高くなる。
また、球状導電性粒子が、フレーク状導電性粒子同士の間に入り、フレーク状導電性粒子同士が球状導電性粒子を介して電気的に接続される。そのため、導電性接着剤層のシールド性が向上する。
【0011】
なお、本明細書において、「フレーク状導電性粒子」とは、上記電磁波シールドフィルムを、150℃、2MPa、30minの条件で加熱加圧した後の導電性接着剤層の切断面において、アスペクト比が18以上である導電性粒子のことを意味する。
また、本明細書において、「球状導電性粒子」とは、上記電磁波シールドフィルムを、150℃、2MPa、30minの条件で加熱加圧した後の導電性接着剤層の切断面において、アスペクト比が18未満である導電性粒子のことを意味する。
また、本明細書において、「導電性接着剤層の切断面における導電性粒子のアスペクト比」とは、上記電磁波シールドフィルムを、150℃、2MPa、30minの条件で加熱加圧した後の電磁波シールドフィルムを切断した断面のSEM画像から導き出した、導電性粒子のアスペクト比の平均値を意味する。具体的には、走査型電子顕微鏡(JSM-6510LA 日本電子株式会社製)を使用し、撮影倍率3000倍で撮影した画像データを、画像処理ソフト(SEM Control User Interface Ver3.10)を用いて、1画像あたり100個の導電性粒子の長軸と短軸を計測し、それぞれの導電性粒子の長軸÷短軸を算出し、上下限15%を除外した後の数値の平均値をアスペクト比とする。
【0012】
本発明の電磁波シールドフィルムでは、球状導電性粒子の平均粒子径は1~10μmである。
球状導電性粒子の平均粒子径が1μm未満であると、球状導電性粒子が立体的な障害になりにくく、フレーク状導電性粒子が導電性接着剤層の表面に露出しやすくなる。その結果、導電性接着剤層のピール強度が低下する。
球状導電性粒子の平均粒子径が10μmを超えると、導電性接着剤層の導電性が低下し、シールド性が低下する。
【0013】
なお、本明細書において、「導電性粒子の長さ」とは、電磁波シールドフィルムを切断した断面のSEM画像において、画像処理ソフト(SEM Control User Interface Ver3.10)を用いて算出した粒子の長軸の長さの値のことを意味する。
本発明の電磁波シールドフィルムでは、上記導電性接着剤層中の上記フレーク状導電性粒子及び上記球状導電性粒子の含有量は、70~80wt%である。
導電性接着剤層中のフレーク状導電性粒子及び球状導電性粒子の含有量が70wt%未満であると、導電性粒子が少ないので、フレーク状導電性粒子同士の間に球状導電性粒子が挟み込まれにくくなる。その結果、フレーク状導電性粒子同士が球状導電性粒子を介して電気的に接続されにくくなり、電磁波シールドフィルムのシールド性が低下する。
導電性接着剤層中のフレーク状導電性粒子及び球状導電性粒子の含有量が80wt%を超えると、相対的に接着性樹脂組成物の含有量が低下する。導電性接着剤層のピール強度は接着性樹脂組成物の含有量に依存しているので、導電性接着剤層のピール強度が低下する。
【0014】
本発明の電磁波シールドフィルムでは、フレーク状導電性粒子と球状導電性粒子との重量比は、[フレーク状導電性粒子]/[球状導電性粒子]=6/4~8/2である。
フレーク状導電性粒子と球状導電性粒子との重量比が、[フレーク状導電性粒子]/[球状導電性粒子]=6/4未満であると、球状導電性粒子の割合が多くなりすぎ、フレーク状導電性粒子の重なる面積が少なくなり、またフレーク状導電性粒子間に球状導電性粒子が多く存在することで、フレーク状導電性粒子間の間隔が大きくなり、導電性(シールド性)が低下する。さらに、屈曲させた際にも、導電性粒子間の接続を悪化させる。
フレーク状導電性粒子と球状導電性粒子との重量比が、[フレーク状導電性粒子]/[球状導電性粒子]=8/2を超えると、フレーク状導電性粒子の重なる面積が大きくなりシールド性能は向上するが、フレーク状導電性粒子の間隔が狭くなり、導電性接着剤層のピール強度が低下し、シールドプリント配線板から剥がれる原因となる。
【0015】
本発明の電磁波シールドフィルムでは、導電性接着剤層の厚さは、5~20μmである。
導電性接着剤層の厚さが5μm未満であると、高シールド性能を確保するため、導電性粒子の充填量が上がり、柔軟性及びピール強度を維持出来なくなる。
導電性接着剤層の厚さが20μmを超えると、高シールド化への設計が容易になるが電磁波シールドフィルムの薄型化ができない。
【0016】
本発明の電磁波シールドフィルムは、さらに絶縁層を備えていてもよい。
電磁波シールドフィルムが絶縁層を備えることにより、ハンドリングが向上する。また、導電性接着剤層と外部とを絶縁することができる。
【0017】
本発明の電磁波シールドフィルムは、上記絶縁層と、上記導電性接着剤層との間に金属層を備えていてもよい。
電磁波シールドフィルムが金属層を備えると、電磁波シールド効果が向上する。
【0018】
本発明のシールドプリント配線板は、ベースフィルム、上記ベースフィルムの上に配置されたプリント回路及び上記プリント回路を覆うように配置されたカバーレイを備えるプリント配線板と、導電性粒子及び接着性樹脂組成物を含む導電性接着剤層を備えた電磁波シールドフィルムとを含み、上記導電性接着剤層が上記カバーレイと接触するように上記電磁波シールドフィルムが上記プリント配線板に配置されたシールドプリント配線板であって、上記導電性粒子は、フレーク状導電性粒子及び球状導電性粒子を含み、上記球状導電性粒子の平均粒子径は1~10μmであり、上記導電性接着剤層中の上記フレーク状導電性粒子及び上記球状導電性粒子の含有量は、70~80wt%であり、上記フレーク状導電性粒子と上記球状導電性粒子との重量比は、[フレーク状導電性粒子]/[球状導電性粒子]=6/4~8/2であり、上記導電性接着剤層の厚さは、5~20μmであることを特徴とする。
【0019】
本発明のシールドプリント配線板では、導電性粒子は、フレーク状導電性粒子及び球状導電性粒子を含む。
フレーク状導電性粒子は充分な柔軟性を有するので、シールドプリント配線板が繰り返し折り曲げられた場合、フレーク状導電性粒子も追従して曲がることができ、フレーク状導電性粒子の位置がずれにくくなる。その結果、導電性粒子同士の接触を充分に保つことができ、電気抵抗値が上昇することを防止することができる。
また、球状導電性粒子が含まれると、導電性接着剤層の厚み方向におけるフレーク状導電性粒子同士の間に球状導電性粒子が挟み込まれ、フレーク状導電性粒子間に接着性樹脂組成物が多く存在する。そのため、導電性接着剤層の機械的強度が向上し、ピール強度が高くなる。
また、球状導電性粒子が、フレーク状導電性粒子同士の間に入り、フレーク状導電性粒子同士が球状導電性粒子を介して電気的に接続される。そのため、導電性接着剤層のシールド性が向上する。
【0020】
本発明のシールドプリント配線板では、球状導電性粒子の平均粒子径は1~10μmである。
球状導電性粒子の平均粒子径が1μm未満であると、球状導電性粒子が立体的な障害になりにくく、フレーク状導電性粒子が導電性接着剤層の表面に露出しやすくなる。その結果、導電性接着剤層のピール強度が低下する。
球状導電性粒子の平均粒子径が10μmを超えると、導電性接着剤層の導電性が低下し、シールド性が低下する。
【0021】
本発明のシールドプリント配線板では、上記導電性接着剤層中の上記フレーク状導電性粒子及び上記球状導電性粒子の含有量は、70~80wt%である。
導電性接着剤層中のフレーク状導電性粒子及び球状導電性粒子の含有量が70wt%未満であると、導電性粒子が少ないので、フレーク状導電性粒子同士の間に球状導電性粒子が挟み込まれにくくなる。その結果、フレーク状導電性粒子同士が球状導電性粒子を介して電気的に接続されにくくなりシールド性が低下する。
導電性接着剤層中のフレーク状導電性粒子及び球状導電性粒子の含有量が80wt%を超えると、相対的に接着性樹脂組成物の含有量が低下する。導電性接着剤層のピール強度は接着性樹脂組成物の含有量に依存しているので、導電性接着剤層のピール強度が低下する。
【0022】
本発明のシールドプリント配線板では、フレーク状導電性粒子と球状導電性粒子との重量比は、[フレーク状導電性粒子]/[球状導電性粒子]=6/4~8/2である。
フレーク状導電性粒子と球状導電性粒子との重量比が、[フレーク状導電性粒子]/[球状導電性粒子]=6/4未満であると、球状導電性粒子の割合が多くなりすぎ、電磁波シールドフィルムを屈曲させた際に、導電性粒子の位置がずれやすくなり、導電性接着剤層の導電性が低下する。その結果、導電性接着剤層のシールド性が低下する。
フレーク状導電性粒子と球状導電性粒子との重量比が、[フレーク状導電性粒子]/[球状導電性粒子]=8/2を超えると、フレーク状導電性粒子が、導電性接着剤層の表面に露出しやすくなり、導電性接着剤層のピール強度が低下する。
【0023】
本発明のシールドプリント配線板では、導電性接着剤層の厚さは、5~20μmであり、好ましくは8~15μmである。
導電性接着剤層の厚さが5μm未満であると、高シールド性能を確保するため、導電性粒子の充填量が上がり、柔軟性及びピール強度を維持出来なくなる。
導電性接着剤層の厚さが20μmを超えると、高シールド化への設計が容易になるが電磁波シールドフィルムの薄型化ができず、シールドプリント配線板が大きくなる。
【0024】
本発明のシールドプリント配線板では、上記プリント回路はグランド回路を含み、上記カバーレイには上記グランド回路を露出する開口部が形成されており、上記導電性接着剤層は、上記開口部を埋めて、上記グランド回路と接触していてもよい。
このような構成であると、導電性接着剤層とグランド回路とが電気的に接続されることになる。そのため、良好なグランド効果を得ることができる。
また、導電性接着剤層の構成が上記の構成であるため、このような開口部があったとしても導電性接着剤層は開口部の形状に追従して、開口部を埋めることができる。そのため、開口部に隙間が生じにくい。
【0025】
本発明のシールドプリント配線板では、上記導電性接着剤層の上記カバーレイと接触していない側には、絶縁層が配置されていてもよい。
このような絶縁層により、導電性接着剤層と外部とを絶縁することができる。
【0026】
本発明のシールドプリント配線板では、上記導電性接着剤層と上記絶縁層との間には金属層が配置されていることが好ましい。
このように金属層が配置されていると、電磁波シールド効果が向上する。
【発明の効果】
【0027】
本発明の電磁波シールドフィルムでは、導電性粒子が、フレーク状導電性粒子及び球状導電性粒子を含み、球状導電性粒子の平均粒子径、導電性接着剤層中の上記フレーク状導電性粒子及び上記球状導電性粒子の含有量、フレーク状導電性粒子と上記球状導電性粒子との重量比、並びに、導電性接着剤層の厚さが所定の値に限定されている。
そのため、本発明の電磁波シールドフィルムは、薄型化可能であり、ピール強度が強く、導電性、シールド性、並びに、段差に対する耐屈曲性及び追従性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る電磁波シールドフィルムの一例を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1実施形態に係る電磁波シールドフィルムを用いたシールドプリント配線板の製造方法のプリント配線板準備工程を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1実施形態に係る電磁波シールドフィルムを用いたシールドプリント配線板の製造方法の電磁波シールドフィルム貼付工程を模式的に示す断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1実施形態に係る電磁波シールドフィルムを用いたシールドプリント配線板の製造方法の加熱加圧工程を模式的に示す断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の第2実施形態に係る電磁波シールドフィルムの一例を模式的に示す断面図である。
【
図6】
図6は、実施例1に係る電磁波シールドフィルムの断面のSEM画像である。
【
図7A】
図7Aは、接続抵抗値測定試験の方法を模式的に示す側面断面図である。
【
図7B】
図7Bは、接続抵抗値測定試験の方法を模式的に示す側面断面図である。
【
図8】
図8は、KEC法で用いられるシステムの構成を模式的に示す模式図である。
【
図9A】
図9Aは、段差に対する耐屈曲性及び追従性の評価における接続抵抗値測定の方法を模式的に示す側面断面図である。
【
図9B】
図9Bは、段差に対する耐屈曲性及び追従性の評価における接続抵抗値測定の方法を模式的に示す側面断面図である。
【
図10A】
図10Aは、段差に対する耐屈曲性及び追従性の評価において、接続抵抗値測定用プリント配線板に圧着後の実施例1に係る電磁波シールドフィルムの段差を、上方からの平面視となるように撮影した写真である。
【
図10B】
図10Bは、段差に対する耐屈曲性及び追従性の評価において、接続抵抗値測定用プリント配線板に圧着後の実施例1に係る電磁波シールドフィルムの段差の断面の写真である。
【
図11】
図11は、段差に対する耐屈曲性及び追従性の評価において、接続抵抗値測定用プリント配線板に圧着後の比較例5に係る電磁波シールドフィルムの段差を、上方からの平面視となるように撮影した写真である。
【
図12A】
図12Aは、段差に対する耐屈曲性及び追従性の評価において、接続抵抗値測定用プリント配線板に圧着後の比較例6に係る電磁波シールドフィルムの段差を、上方からの平面視となるように撮影した写真である。
【
図12B】
図12Bは、段差に対する耐屈曲性及び追従性の評価において、接続抵抗値測定用プリント配線板に圧着後の比較例6に係る電磁波シールドフィルムの段差の断面の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の電磁波シールドフィルム及びシールドプリント配線板について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
【0030】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る電磁波シールドフィルムの一例を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、電磁波シールドフィルム10は、導電性粒子21及び接着性樹脂組成物22を含む導電性接着剤層20と、導電性接着剤層20の上に積層された絶縁層30と、導電性接着剤層20及び絶縁層30の間に配置された金属層40とからなる。
また、導電性粒子21は、フレーク状導電性粒子21a及び球状導電性粒子21bを含む。
【0031】
フレーク状導電性粒子21aは充分な柔軟性を有するので、電磁波シールドフィルム10が繰り返し折り曲げられた場合、フレーク状導電性粒子21aも追従して曲がることができ、フレーク状導電性粒子21aの位置がずれにくくなる。その結果、導電性粒子21同士の接触を充分に保つことができ、電気抵抗値が上昇することを防止することができる。
また、球状導電性粒子21bが含まれると、導電性接着剤層20の厚み方向におけるフレーク状導電性粒子21a同士の間に球状導電性粒子21bが挟み込まれ、フレーク状導電性粒子間に21a接着性樹脂組成物が多く存在する。そのため、導電性接着剤層20の機械的強度が向上し、ピール強度が高くなる。
また、球状導電性粒子21bが、フレーク状導電性粒子21a同士の間に入り、フレーク状導電性粒子21a同士が球状導電性粒子21bを介して電気的に接続される。そのため、導電性接着剤層20のシールド性が向上する。
【0032】
電磁波シールドフィルム10では、フレーク状導電性粒子21aの平均粒子径は、0.5~30μmであることが好ましく、1~10μmであることがより好ましい。
フレーク状導電性粒子21aの平均粒子径がこの範囲内であると、フレーク状導電性粒子21aが適度な大きさ及び強度になる。
そのため、導電性接着剤層の導電性及び耐屈曲性が向上する。従って、導電性接着剤層を薄くすることが可能になる。
すなわち、導電性接着剤層の導電性及び耐屈曲性を維持したまま、導電性接着剤層を薄くすることができる。
【0033】
電磁波シールドフィルム10では、電磁波シールドフィルム10を、150℃、2MPa、30minの条件で加熱加圧した後の導電性接着剤層20の切断面において、フレーク状導電性粒子21aの平均アスペクト比18~150であることが好ましく、20~100がより好ましく、20~50であることがさらに好ましい。
フレーク状導電性粒子21aの平均アスペクト比が18以上であると、フレーク状導電性粒子21aが充分な柔軟性を有するので、電磁波シールドフィルム10が繰り返し折り曲げられた場合、フレーク状導電性粒子21aも追従して曲がることができ、フレーク状導電性粒子21aの位置がずれにくくなり、フレーク状導電性粒子21aが破損しにくくなる。その結果、電気抵抗値が上昇することを防止することができる。また、シールドフィルムの密着性も向上する。
フレーク状導電性粒子21aの平均アスペクト比が150以下であると、導電性粒子数の観点から厚み方向への導通が発現しやすく、シールド性が良好となる点で好ましい。
【0034】
電磁波シールドフィルム10では、球状導電性粒子21bの平均粒子径は1~10μmである。
球状導電性粒子の平均粒子径が1μm未満であると、球状導電性粒子が立体的な障害になりにくく、フレーク状導電性粒子が導電性接着剤層の表面に露出しやすくなる。その結果、導電性接着剤層のピール強度が低下する。
球状導電性粒子の平均粒子径が10μmを超えると、導電性接着剤層の導電性が低下し、シールド性が低下する。
【0035】
また、導電性接着剤層20中のフレーク状導電性粒子21a及び球状導電性粒子21bの含有量は、70~80wt%である。
導電性接着剤層中のフレーク状導電性粒子及び球状導電性粒子の含有量が70wt%未満であると、導電性粒子が少ないので、フレーク状導電性粒子同士の間に球状導電性粒子が挟み込まれにくくなる。その結果、フレーク状導電性粒子同士が球状導電性粒子を介して電気的に接続されにくくなり、電磁波シールドフィルムのシールド性が低下する。
導電性接着剤層中のフレーク状導電性粒子及び球状導電性粒子の含有量が80wt%を超えると、相対的に接着性樹脂組成物の含有量が低下する。導電性接着剤層のピール強度は接着性樹脂組成物の含有量に依存しているので、導電性接着剤層のピール強度が低下する。
【0036】
また、フレーク状導電性粒子21aと球状導電性粒子21bとの重量比は、[フレーク状導電性粒子]/[球状導電性粒子]=6/4~8/2である。
フレーク状導電性粒子と球状導電性粒子との重量比が、[フレーク状導電性粒子]/[球状導電性粒子]=6/4未満であると、球状導電性粒子の割合が多くなりすぎ、電磁波シールドフィルムを屈曲させた際に、導電性粒子の位置がずれやすくなり、導電性接着剤層の導電性が低下する。その結果、導電性接着剤層のシールド性が低下する。
フレーク状導電性粒子と球状導電性粒子との重量比が、[フレーク状導電性粒子]/[球状導電性粒子]=8/2を超えると、フレーク状導電性粒子が、導電性接着剤層の表面に露出しやすくなり、導電性接着剤層のピール強度が低下する。
【0037】
フレーク状導電性粒子21a及び球状導電性粒子21bは、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、銅に銀めっきを施した銀コート銅等の金属からなることが望ましい。
フレーク状導電性粒子21a及び球状導電性粒子21bは同じ材料から構成されていてもよく、異なる材料から構成されていてもよい。
【0038】
球状導電性粒子21bの製造方法としては、ノズルから原料粒子を噴射してガス圧等を制御するアトマイズ法挙げられる。
ガス圧等を制御することにより、球状導電性粒子21bの形状を制御することができる。これにより真球状やいびつな球状の球状導電性粒子21bを製造することができる。
また、アトマイズ法により球状導電性粒子21bを製造すると、球状導電性粒子21bのアスペクト比を1に近づけることができる。
【0039】
接着性樹脂組成物22の材料としては、特に限定されないが、スチレン系樹脂組成物、酢酸ビニル系樹脂組成物、ポリエステル系樹脂組成物、ポリエチレン系樹脂組成物、ポリプロピレン系樹脂組成物、イミド系樹脂組成物、アミド系樹脂組成物、アクリル系樹脂組成物等の熱可塑性樹脂組成物や、フェノール系樹脂組成物、エポキシ系樹脂組成物、ウレタン系樹脂組成物、メラミン系樹脂組成物、アルキッド系樹脂組成物等の熱硬化性樹脂組成物等を用いることができる。
接着性樹脂組成物の材料はこれらの1種単独であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0040】
電磁波シールドフィルム10では、電磁波シールドフィルム10を、150℃、2MPa、30minの条件で加熱加圧した後の導電性接着剤層20の切断面において、切断面の全面積に対する接着性樹脂組成物22の面積の割合が60~95%であることが好ましい。
この面積の割合が60%未満であると、導電性粒子21の割合が相対的に多くなり、導電性粒子21が密集し、導電性接着剤層20の柔軟性が低下する。その結果、段差追従性が低下する。
この面積の割合が95%を超えると、導電性粒子21同士の接触箇所が少なくなり、導電性が低下する。その結果、シールド性が低下する。
【0041】
なお、本明細書において、「切断面の全面積に対する接着性樹脂組成物の面積の割合」とは、電磁波シールドフィルムを切断した断面のSEM画像から導き出された、接着性樹脂組成物の面積の割合を意味する。
具体的な算出方法は、以下の通りである。
導電性接着剤層の切断面について走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して観察する。
切断面を垂直方向からSEMで観察すると、接着性樹脂組成物と導電性粒子との間にコントラスト差が生まれ導電性粒子の形状を認識することができる。
電磁波シールドフィルムを切断した断面のSEM画像を画像解析ソフト「GIMP2.10.6」を用い、接着性樹脂組成物の部分と、導電性粒子の部分とを黒と白に2値化する。
その後、黒と白のピクセル数をカウントすることでピクセル数の割合から、接着性樹脂組成物の面積の割合を算出する。
【0042】
電磁波シールドフィルム10では、電磁波シールドフィルム10を、150℃、2MPa、30minの条件で加熱加圧した後の導電性接着剤層20の切断面において、フレーク状導電性粒子間距離は、1.5μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましく、4μm以上であることがさらに好ましい。また、9μm以下が好ましく、8μm以下がより好ましく、6μm以下であることがさらに好ましい。
フレーク状導電性粒子間距離が1.5μm以上であると、ピール強度が高くなる。
フレーク状導電性粒子間距離が9μm以下であると、シールド性が向上する。
【0043】
なお、フレーク状導電性粒子間距離は以下の方法で測定することができる。
導電性接着剤層の切断面について走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して観察する。
次に、1画像あたり10組の隣り合うフレーク状導電性粒子を選択する。次に、各隣り合うフレーク状導電性粒子の厚み方向における距離を計測する。その値を平均し、各隣り合うフレーク状導電性粒子の間の距離とする。
【0044】
電磁波シールドフィルム10では、導電性接着剤層20の厚さは、5~20μmであり、8~15μmであることがより好ましい。
導電性接着剤層の厚さが5μm未満であると、高シールド性能を確保するため、導電性粒子の充填量が上がり、柔軟性及びピール強度を維持出来なくなる。
導電性接着剤層の厚さが20μmを超えると、高シールド化への設計が容易になるが電磁波シールドフィルムの薄型化ができない。
【0045】
導電性接着剤層20は、さらに、難燃剤、難燃助剤、硬化促進剤、粘着性付与剤、酸化防止剤、顔料、染料、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング剤、充填材、粘度調節剤等を含んでいてもよい。
【0046】
図1に示すように、電磁波シールドフィルム10は、絶縁層30を備える。そのため、ハンドリングが向上する。また、導電性接着剤層20と外部とを絶縁することができる。
【0047】
電磁波シールドフィルム10の絶縁層30は充分な絶縁性を有し、導電性接着剤層20及び金属層40を保護できれば特に限定されないが、例えば、熱可塑性樹脂組成物、熱硬化性樹脂組成物、活性エネルギー線硬化性組成物等から構成されていることが望ましい。
上記熱可塑性樹脂組成物としては、特に限定されないが、スチレン系樹脂組成物、酢酸ビニル系樹脂組成物、ポリエステル系樹脂組成物、ポリエチレン系樹脂組成物、ポリプロピレン系樹脂組成物、イミド系樹脂組成物、アクリル系樹脂組成物等が挙げられる。
【0048】
上記熱硬化性樹脂組成物としては、特に限定されないが、フェノール系樹脂組成物、エポキシ系樹脂組成物、ウレタン系樹脂組成物、メラミン系樹脂組成物、アルキッド系樹脂組成物等が挙げられる。
【0049】
上記活性エネルギー線硬化性組成物としては、特に限定されないが、例えば、分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合性化合物等が挙げられる。
【0050】
絶縁層30は、1種単独の材料から構成されていてもよく、2種以上の材料から構成されていてもよい。
【0051】
絶縁層30には、必要に応じて、硬化促進剤、粘着性付与剤、酸化防止剤、顔料、染料、可塑剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング剤、充填材、難燃剤、粘度調節剤、ブロッキング防止剤等が含まれていてもよい。
【0052】
絶縁層30の厚さは、特に限定されず、必要に応じて適宜設定することができるが、1~15μmであることが望ましく、3~10μmであることがより望ましい。
【0053】
図1に示すように、電磁波シールドフィルム10は、金属層40を備える。そのため、電磁波シールド効果が向上する。
【0054】
金属層40は、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、スズ、パラジウム、クロム、チタン、亜鉛等の材料からなる層を含んでいてもよく、銅層を含むことが望ましい。
銅は、導電性及び経済性の観点から金属層40にとって好適な材料である。
なお、金属層40は、上記金属の合金からなる層を含んでいてもよい。
【0055】
金属層40の厚さとしては、0.01~10μmであることが望ましい。
金属層の厚さが0.01μm未満では、充分なシールド効果が得られにくい。
金属層の厚さが10μmを超えると屈曲しにくくなる。
【0056】
電磁波シールドフィルム10では、絶縁層30と金属層40との間にアンカーコート層が形成されていてもよい。
アンカーコート層の材料としては、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂をシェルとしアクリル樹脂をコアとするコア・シェル型複合樹脂、エポキシ樹脂、イミド樹脂、アミド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、ポリイソシアネートにフェノール等のブロック化剤を反応させて得られたブロックイソシアネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
【0057】
次に、本発明の第1実施形態に係る電磁波シールドフィルムを用いたシールドプリント配線板の製造方法について説明する。
図2は、本発明の第1実施形態に係る電磁波シールドフィルムを用いたシールドプリント配線板の製造方法のプリント配線板準備工程を模式的に示す断面図である。
図3は、本発明の第1実施形態に係る電磁波シールドフィルムを用いたシールドプリント配線板の製造方法の電磁波シールドフィルム貼付工程を模式的に示す断面図である。
図4は、本発明の第1実施形態に係る電磁波シールドフィルムを用いたシールドプリント配線板の製造方法の加熱加圧工程を模式的に示す断面図である。
【0058】
(1)プリント配線板準備工程
まず、
図2に示すように、ベースフィルム51、ベースフィルム51の上に配置されたプリント回路52及びプリント回路52を覆うように配置されたカバーレイ53を備えるプリント配線板50を準備する。
【0059】
なお、プリント配線板50では、プリント回路52はグランド回路52aを含み、カバーレイ53にはグランド回路52aを露出する開口部53aが形成されている。
【0060】
ベースフィルム51及びカバーレイ53の材料は、特に限定されないが、エンジニアリングプラスチックからなることが望ましい。このようなエンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、架橋ポリエチレン、ポリエステル、ポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリイミドアミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイドなどの樹脂が挙げられる。
また、これらのエンジニアリングプラスチックの内、難燃性が要求される場合には、ポリフェニレンサルファイドフィルムが望ましく、耐熱性が要求される場合にはポリイミドフィルムが望ましい。なお、ベースフィルム51の厚みは、10~40μmであることが望ましい。また、カバーレイ53の厚みは、10~30μmであることが望ましい。
【0061】
プリント回路52は、特に限定されないが、導電材料をエッチング処理すること等により形成することができる。
導電材料としては、銅、ニッケル、銀、金等が挙げられる。
【0062】
(2)電磁波シールドフィルム貼付工程
次に、
図3に示すように、電磁波シールドフィルム10を準備し、導電性接着剤層20がカバーレイ53に接するように電磁波シールドフィルム10をプリント配線板50に配置する。
【0063】
(3)加熱加圧工程
次に、
図4に示すように、加熱加圧を行い、電磁波シールドフィルム10を、プリント配線板50に貼付する。
加熱加圧の条件は、150~200℃、2~5MPa、1~10minが望ましい。
【0064】
加熱加圧工程により、導電性接着剤層20が、開口部53aを埋めることになる。
【0065】
以上の工程を経てシールドプリント配線板60を製造することができる。
【0066】
なお、シールドプリント配線板60は、本発明のシールドプリント配線板の一例でもある。
【0067】
シールドプリント配線板60では、電磁波シールドフィルム10の導電性接着剤層20に、フレーク状導電性粒子21a及び球状導電性粒子21bが含まれる。
フレーク状導電性粒子21aは充分な柔軟性を有するので、シールドプリント配線板60が繰り返し折り曲げられた場合、フレーク状導電性粒子21aも追従して曲がることができ、フレーク状導電性粒子21aの位置がずれにくくなる。その結果、導電性粒子21同士の接触を充分に保つことができ、電気抵抗値が上昇することを防止することができる。
また、球状導電性粒子21bが含まれると、導電性接着剤層20の厚み方向におけるフレーク状導電性粒子21a同士の間に球状導電性粒子21bが挟み込まれ、フレーク状導電性粒子21a間に接着性樹脂組成物が多く存在する。そのため、導電性接着剤層20の機械的強度が向上し、ピール強度が高くなる。
また、球状導電性粒子21bが、フレーク状導電性粒子21a同士の間に入り、フレーク状導電性粒子21a同士が球状導電性粒子21bを介して電気的に接続される。そのため、導電性接着剤層20のシールド性が向上する。
【0068】
シールドプリント配線板60では、球状導電性粒子21bの平均粒子径は1~10μmである。
球状導電性粒子の平均粒子径が1μm未満であると、球状導電性粒子が立体的な障害になりにくく、フレーク状導電性粒子が導電性接着剤層の表面に露出しやすくなる。その結果、導電性接着剤層のピール強度が低下する。
球状導電性粒子の平均粒子径が10μmを超えると、導電性接着剤層の導電性が低下し、シールド性が低下する。
【0069】
シールドプリント配線板60では、導電性接着剤層20中のフレーク状導電性粒子21a及び球状導電性粒子21bの含有量は、70~80wt%である。
導電性接着剤層中のフレーク状導電性粒子及び球状導電性粒子の含有量が70wt%未満であると、導電性粒子が少ないので、フレーク状導電性粒子同士の間に球状導電性粒子が挟み込まれにくくなる。その結果、フレーク状導電性粒子同士が球状導電性粒子を介して電気的に接続されにくくなり、電磁波シールドフィルムのシールド性が低下する。
導電性接着剤層中のフレーク状導電性粒子及び球状導電性粒子の含有量が80wt%を超えると、相対的に接着性樹脂組成物の含有量が低下する。導電性接着剤層のピール強度は接着性樹脂組成物の含有量に依存しているので、導電性接着剤層のピール強度が低下する。
【0070】
シールドプリント配線板60では、フレーク状導電性粒子21aと球状導電性粒子21bとの重量比は、[フレーク状導電性粒子]/[球状導電性粒子]=6/4~8/2である。
フレーク状導電性粒子と球状導電性粒子との重量比が、[フレーク状導電性粒子]/[球状導電性粒子]=6/4未満であると、球状導電性粒子の割合が多くなりすぎ、フレーク状導電性粒子の重なる面積が少なくなり、またフレーク状導電性粒子間に球状導電性粒子が多く存在することで、フレーク状導電性粒子間の間隔が大きくなり、導電性(シールド性)が低下する。さらに、屈曲させた際にも、導電性粒子間の接続を悪化させる。
フレーク状導電性粒子と球状導電性粒子との重量比が、[フレーク状導電性粒子]/[球状導電性粒子]=8/2を超えると、フレーク状導電性粒子の重なる面積が大きくなりシールド性能は向上するが、フレーク状導電性粒子の間隔が狭くなり、導電性接着剤層のピール強度が低下し、シールドプリント配線板から剥がれる原因となる。
【0071】
シールドプリント配線板60では、導電性接着剤層20の厚さは、5~20μmであり、8~15μmであることが好ましい。
導電性接着剤層の厚さが5μm未満であると、高シールド性能を確保するため、導電性粒子の充填量が上がり、柔軟性及びピール強度を維持出来なくなる。
導電性接着剤層の厚さが20μmを超えると、高シールド化への設計が容易になるが電磁波シールドフィルムの薄型化ができず、シールドプリント配線板が大きくなる。
【0072】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る電磁波シールドフィルムを説明する。
図5は、本発明の第2実施形態に係る電磁波シールドフィルムの一例を模式的に示す断面図である。
図5に示す、電磁波シールドフィルム110は、金属層40が配置されていない以外は、上記本発明の第1実施形態に係る電磁波シールドフィルム10と同じ構成である。
すなわち、電磁波シールドフィルム110は、フレーク状導電性粒子21a及び球状導電性粒子21bを含む導電性粒子21、接着性樹脂組成物22を含む導電性接着剤層20と、導電性接着剤層20の上に積層された絶縁層30とからなる。
【0073】
電磁波シールドフィルム110における、導電性接着剤層20、フレーク状導電性粒子21a及び球状導電性粒子21b、接着性樹脂組成物22及び絶縁層30の望ましい構成は、上記電磁波シールドフィルム110における導電性接着剤層20、フレーク状導電性粒子21a及び球状導電性粒子21b、接着性樹脂組成物22及び絶縁層30の望ましい構成と同じである。
【0074】
このような構成であったとしても、電磁波シールドフィルム110は、薄型化可能であり、ピール強度が強く、導電性、シールド性、並びに、段差に対する耐屈曲性及び追従性が高い。
【実施例0075】
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0076】
(実施例1)
転写フィルムにエポキシ樹脂を塗工し、電気オーブンを用い、100℃で2分間加熱し、厚さ5μmの絶縁層を作製した。
【0077】
次に、表1に記載のフレーク状導電性粒子及び球状導電性粒子、並びに、接着性樹脂組成物(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂:DIC社製「エピクロン N-655-EXP」)を準備し、表1に記載の配合量になるようにこれらを混合し、導電性樹脂組成物を作製した。なお、フレーク状導電性粒子粉及び球状導電性粒子の平均粒子径は、Microtrac社製のMT3300EXIIを用いてレーザー回折散乱式粒度分布測定法により測定した。
【0078】
次に、絶縁層の上に導電性樹脂組成物を塗布し、厚さ15μmの導電性接着剤層を形成し、実施例1に係る電磁波シールドフィルムを製造した。
【0079】
(実施例2~9)及び(比較例1~15)
フレーク状導電性粒子及び球状導電性粒子の種類、配合割合及び含有量、並びに、導電性接着剤層の厚さを、表1及び表2に示すようにしたこと以外は実施例1と同様にして実施例2~9及び比較例1~15に係る電磁波シールドフィルムを製造した。
【0080】
【0081】
【0082】
(加熱加圧試験)
厚さ25μmのポリイミド樹脂板を準備し、導電性接着剤層が当該ポリイミド樹脂板と接するように、各実施例及び各比較例に係る電磁波シールドフィルムを配置した。
次に、150℃、2MPa、30minの条件で加熱加圧し、各実施例及び各比較例に係る電磁波シールドフィルムをポリイミド樹脂板に貼付した。
【0083】
加熱加圧試験後の電磁波シールドフィルムを切断し、SEM画像を採り、画像処理ソフト(SEM Control User Interface Ver3.10)を用い、各導電性粒子の粒子径及びアスペクト比を測定した。結果を表1及び表2に示す。
【0084】
また、SEM画像より、フレーク状導電性粒子間距離を測定した。結果を表1及び表2に示す。
【0085】
実施例1に係る電磁波シールドフィルムの断面のSEM画像を代表例として示す。
図6は、実施例1に係る電磁波シールドフィルムの断面のSEM画像である。
【0086】
また、別途、上記の加熱加圧条件と同じ条件で、各実施例及び各比較例に係る電磁波シールドフィルムをポリイミド樹脂板に貼付し、その後、電磁波シールドフィルムをポリイミド樹脂板から剥離する際のピール強度を測定した。結果を表1及び表2に示す。
【0087】
(接続抵抗値測定試験)
各実施例及び各比較例に係る電磁波シールドフィルムを用いて以下の方法により、各実施例及び各比較例に係る電磁波シールドフィルムの電気抵抗値を測定した。測定結果を表1及び表2に示す。
図7A及び
図7Bは、接続抵抗値測定試験の方法を模式的に示す側面断面図である。
図7Aに示すように、ベースフィルム51の上に互いに接続されていない2つのプリント回路52が形成され、ベースフィルム51及びプリント回路52を覆う、カバーレイ53が形成された接続抵抗値測定用プリント配線板50Aを準備した。なお、カバーレイ53には、各プリント回路52の一部が露出するような、直径0.8mm、深さ(
図7A中、符号L
Aで示す距離)27.5μmの開口部53aが形成されている。
【0088】
次に、
図7Bに示すように、各実施例及び各比較例に係る電磁波シールドフィルム110の導電性接着剤層20が、カバーレイ53と接触するように電磁波シールドフィルム110を接続抵抗値測定用プリント配線板50Aに貼付し、プレス機で温度:170℃、時間30分、圧力3MPaの条件で圧着した。これにより、開口部53aに導電性接着剤層20が入り込み、導電性接着剤層20とプリント回路52とが接触し、プリント回路52同士が導電性接着剤層20を介して電気的に接続可能になる。
その後、プリント回路52間の電気抵抗値を抵抗器70で測定した。
【0089】
(シールド性の評価)
各実施例及び各比較例に係る電磁波シールドフィルムのシールド性について、一般社団法人KEC関西電子工業振興センターで開発された電磁波シールド効果測定装置を用いたKEC法により評価した。
図8は、KEC法で用いられるシステムの構成を模式的に示す模式図である。
KEC法で用いられるシステムは、電磁波シールド効果測定装置80と、スペクトラム・アナライザ91と、10dBの減衰を行うアッテネータ92と、3dBの減衰を行うアッテネータ93と、プリアンプ94とで構成される。
【0090】
図8に示すように、電磁波シールド効果測定装置80には、2つの測定治具83が対向して設けられている。この測定治具83の間に、各実施例及び各比較例に係る電磁波シールドフィルム(
図8中、符号110で示す)が挟持されるように設置する。測定治具83には、TEMセル(Transverse Electro Magnetic Cell)の寸法配分が取り入れられ、その伝送軸方向に垂直な面内で左右対称に分割した構造になっている。但し、電磁波シールドフィルム110の挿入によって短絡回路が形成されることを防止するために、平板状の中心導体84は各測定治具83との間に隙間を設けて配置されている。
【0091】
KEC法では、先ず、スペクトラム・アナライザ91から出力した信号を、アッテネータ92を介して送信側の測定治具83に入力する。そして、受信側の測定治具83で受けてアッテネータ93を介した信号をプリアンプ94で増幅してから、スペクトラム・アナライザ91により信号レベルを測定する。なお、スペクトラム・アナライザ91は、電磁波シールドフィルム110を電磁波シールド効果測定装置80に設置していない状態を基準として、電磁波シールドフィルム110を電磁波シールド効果測定装置80に設置した場合の減衰量を出力する。
【0092】
このような装置を用い、温度25℃、相対湿度30~50%の条件で、各実施例及び各比較例に係る電磁波シールドフィルムを15cm四方に裁断し、200MHzにおけるシールド性の測定を行った。測定結果を表1及び表2に示す。
【0093】
(段差に対する耐屈曲性及び追従性の評価)
各実施例及び各比較例に係る電磁波シールドフィルムを用いて以下の方法により、各実施例及び各比較例に係る電磁波シールドフィルムの段差に対する耐屈曲性及び追従性を測定した。
図9A及び
図9Bは、段差に対する耐屈曲性及び追従性の評価における接続抵抗値測定の方法を模式的に示す側面断面図である。
まず、
図9Aに示す接続抵抗値測定用プリント配線板150を準備した。
接続抵抗値測定用プリント配線板150は、プリント配線板部151と、プリント配線板部151の上に形成された段差形成部152から構成される。
プリント配線板部151は、ベースフィルム151a、ベースフィルム151aの上に積層された下方銅層151b及び下方銅層151bの上に形成されたカバーレイ151cからなる。
下方銅層151bは、下方電磁波シールドフィルム配置部171a及び下方端子接続部171bを有し、カバーレイ151cには、これらを露出する第1溝部151c
1及び第2溝部151c
2が形成されている。
つまり、下方電磁波シールドフィルム配置部171aは第1溝部151c
1により露出され、下方端子接続部171bは、第2溝部151c
2により露出される。
なお、下方端子接続部171bには、ニッケル-金めっきが施されている。
段差形成部152は、接着剤層152dと、接着剤層152dの上に形成された段差部形成用絶縁層152aと、段差部形成用絶縁層152aの上に形成された上方銅層152bとからなる。
段差形成部152は、接着剤層152dを介してプリント配線板部151の上に配置され、段差160を形成している。また、上方銅層152bには、ニッケル-金めっきが施されている。
上方銅層152bは、上方電磁波シールドフィルム配置部172a及び上方端子接続部172bを有し、これらを露出するように上方銅層152bの上にレジスト153が形成されている。
【0094】
接続抵抗値測定用プリント配線板150における段差の高さ(
図9A中、符号L
Bで示す距離)は288μmであった。
【0095】
次に、
図9Bに示すように、各実施例及び各比較例に係る電磁波シールドフィルム110の導電性接着剤層20が、段差160側になるように、電磁波シールドフィルム110を接続抵抗値測定用プリント配線板150に貼付し、プレス機で温度:170℃、時間30分、圧力3MPaの条件で圧着した。
これにより、導電性接着剤層20と下方電磁波シールドフィルム配置部171aとが接触し、導電性接着剤層20と上方電磁波シールドフィルム配置部172aとが接触する。その結果、下方銅層151bと上方銅層152bとが導電性接着剤層20を介して電気的に接続可能になる。
その後、下方端子接続部171b及び上方端子接続部172bに端子を接続し、電気抵抗値を抵抗器170で測定した。測定結果を表1及び表2に示す。
【0096】
その後、段差160における各電磁波シールドフィルムの外観を観察し評価した。
評価基準は以下の通りである。結果を表1及び表2に示す。
〇:破断及び浮きが生じていない。
×:破断及び/又は浮きが生じている。
なお、「破断」とは、段差160により、電磁波シールドフィルムの少なくとも一部が断裂している状態を意味する。
また、「浮き」とは、接続抵抗値測定用プリント配線板150に配置された電磁波シールドフィルムの上方から平面視した際に、段差160により形成される電磁波シールドフィルム斜面の幅が100μmを超える状態を意味する。「浮き」は、電磁波シールドフィルムと、接続抵抗値測定用プリント配線板150との間にボイドが生じることにより起こる現象である。
【0097】
上記の外観の評価として、実施例1、比較例5及び比較例6に係る電磁波シールドフィルムを用いた場合の写真を例示する。
図10Aは、段差に対する耐屈曲性及び追従性の評価において、接続抵抗値測定用プリント配線板に圧着後の実施例1に係る電磁波シールドフィルムの段差を、上方からの平面視となるように撮影した写真である。
図10Bは、段差に対する耐屈曲性及び追従性の評価において、接続抵抗値測定用プリント配線板に圧着後の実施例1に係る電磁波シールドフィルムの段差の断面の写真である。
図11は、段差に対する耐屈曲性及び追従性の評価において、接続抵抗値測定用プリント配線板に圧着後の比較例5に係る電磁波シールドフィルムの段差を、上方からの平面視となるように撮影した写真である。
図12Aは、段差に対する耐屈曲性及び追従性の評価において、接続抵抗値測定用プリント配線板に圧着後の比較例6に係る電磁波シールドフィルムの段差を、上方からの平面視となるように撮影した写真である。
図12Bは、段差に対する耐屈曲性及び追従性の評価において、接続抵抗値測定用プリント配線板に圧着後の比較例6に係る電磁波シールドフィルムの段差の断面の写真である。
【0098】
図11に示すように、上記外観の観察において、比較例5に係る電磁波シールドフィルムには「破断」が生じていた。
図12A及び
図12Bに示すように、上記外観の観察において、比較例6に係る電磁波シールドフィルムには「浮き」が生じていた。
【0099】
表1及び表2に示すように本発明の実施例に係る電磁波シールドフィルムは、薄型化可能であり、ピール強度が強く、導電性、シールド性、並びに、段差に対する耐屈曲性及び追従性に優れていることが判明した。