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特開2023-120272水性電気化学エネルギー貯蔵デバイスのための電極及び電解質
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120272
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】水性電気化学エネルギー貯蔵デバイスのための電極及び電解質
(51)【国際特許分類】
   H01G 11/02 20130101AFI20230822BHJP
   H01G 11/36 20130101ALI20230822BHJP
   H01G 11/86 20130101ALI20230822BHJP
   H01G 11/46 20130101ALI20230822BHJP
【FI】
H01G11/02
H01G11/36
H01G11/86
H01G11/46
【審査請求】有
【請求項の数】29
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023096735
(22)【出願日】2023-06-13
(62)【分割の表示】P 2019568633の分割
【原出願日】2018-06-11
(31)【優先権主張番号】62/519,225
(32)【優先日】2017-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(71)【出願人】
【識別番号】518294029
【氏名又は名称】ナノテック エナジー,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100141265
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 有紀
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ジ・ユン
(72)【発明者】
【氏名】エル-カディ,マハー・エフ
(72)【発明者】
【氏名】カナー,リチャード・ビー
(72)【発明者】
【氏名】カバノー,ジャック
(57)【要約】      (修正有)
【課題】水性のエネルギー貯蔵デバイスであり、大きな比キャパシタンスを有していて著しく大きな電圧で動作する対称スーパーキャパシタ、磁鉄鉱ナノ粒子を含む炭素系電極及び酸化還元電解質を含む高エネルギー貯蔵デバイスを製造するためのプロセス、方法及びプロトコルを提供する。
【解決手段】スーパーキャパシタなどの高エネルギー貯蔵デバイスにおいて使用し得る、高エネルギー密度のファラデー材料を有した炭素系電極と、酸化還元(レドックス)電解質と、を含むエネルギー貯蔵デバイスであって、炭素系電極は、高エネルギー密度の磁鉄鉱ナノ粒子を含み、酸化還元電解質は、フェリシアニド/フェロシアニド酸化還元ペアを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)2つ以上の電極であって、少なくとも1つの電極は、ファラデーナノ粒子と炭素質材料を含む活物質を含む、2つ以上の電極と、
b)酸化還元(レドックス)活性電解質と、
を含む、エネルギー貯蔵デバイスであって、
前記ナノ粒子は前記活物質に包まれるか結合しており、
前記ナノ粒子は磁鉄鉱(Fe)、酸化鉄(Fe)、酸化コバルト(Co)、水酸化ニッケル(Ni(OH))、酸化銅(CuO)、三酸化モリブデン(MoO)、五酸化バナジウム(V)、又は、これらの任意の組合せを含み、
前記酸化還元活性電解質は、酸化還元反応を受けることができる、上記エネルギー貯蔵デバイス。
【請求項2】
前記炭素質材料は、相互接続された波状炭素系ネットワークを含む、請求項1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項3】
前記炭素質材料は、レーザスクライブされたグラフェンを含む、請求項1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項4】
前記ナノ粒子は、磁鉄鉱(Fe)を含む、請求項1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項5】
前記酸化還元活性電解質は、フッ素、マンガン、塩素、クロム、酸素、銀、鉄、ヨウ素、銅、スズ、キノン、臭素、ヨウ素、バナジウム、又は、これらの組合せを含む、請求項1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項6】
前記酸化還元活性電解質は、フェロシアン化カリウム、ヒドロキノン、硫酸バナジル、p-フェニレンジアミン、p-フェニレンジイミン、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化銅、ヒドロキノン、硫酸銅、二臭化ヘプチルビオロゲン、臭化メチルビオロゲン、又は、これらの任意の組合せを含む、請求項1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項7】
前記酸化還元活性電解質は、第二鉄カチオンを含む、請求項1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項8】
前記酸化還元活性電解質は、Fe(CN) 3-/Fe(CN) 4-を含む、請求項1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項9】
前記酸化還元活性電解質は、水溶液を含む、請求項1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項10】
前記水溶液は、硫酸イオンを含む、請求項9に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項11】
前記水溶液は、ナトリウムイオンを含む、請求項9に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項12】
前記水溶液は、NaSOを含む、請求項9に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項13】
前記酸化還元活性電解質は、Fe(CN) 3-/Fe(CN) 4-とNaSOとを含む、請求項1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項14】
前記炭素質材料は、レーザスクライブされたグラフェンを含み、
前記ファラデー材料は、磁鉄鉱(Fe)を含み、
前記酸化還元活性電解質は、Fe(CN) 3-/Fe(CN) 4-とNaSOとを含む、請求項1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項15】
前記少なくとも1つの電極は、約20%~約80%という磁鉄鉱(Fe)含有量を有している、請求項1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項16】
前記少なくとも1つの電極は、磁気モーメントを保有している、請求項1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項17】
前記エネルギー貯蔵デバイスは、約0.9V~約3Vという動作電圧を有している、請求項1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項18】
前記エネルギー貯蔵デバイスは、約150F/g~約1,400F/gという比キャパシタンスを有している、請求項1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項19】
前記エネルギー貯蔵デバイスは、約45Wh/kg~約250Wh/kgというエネルギー密度を有している、請求項1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項20】
前記エネルギー貯蔵デバイスは、約45W/kg~約180W/kgという電力密度を有している、請求項1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項21】
前記エネルギー貯蔵デバイスは、バッテリ、キャパシタ、スーパーキャパシタ、及び/又は、マイクロスーパーキャパシタである、請求項1に記載のエネルギー貯蔵デバイス。
【請求項22】
炭素質材料を含む活物質と、
前記活物質に包まれるか結合しているファラデーナノ粒子と、
を含む電極であって、
前記ナノ粒子は磁鉄鉱(Fe)、酸化鉄(Fe)、酸化コバルト(Co)、水酸化ニッケル(Ni(OH))、酸化銅(CuO)、三酸化モリブデン(MoO)、五酸化バナジウム(V)、又は、これらの任意の組合せを含み、
前記電極は、酸化還元(レドックス)活性電解質と接触した際に酸化還元反応を受けることができるように構成されている、上記電極。
【請求項23】
前記炭素質材料は、相互接続された波状炭素系ネットワーク、レーザスクライブされたグラフェン、又は、これらの任意の組合せを含む、請求項22に記載の電極。
【請求項24】
前記炭素質材料は、レーザスクライブされたグラフェンを含み、
前記金属ナノ粒子は、磁鉄鉱(Fe)を含む、請求項22に記載の電極。
【請求項25】
前記電極は、約40%~約85%という磁鉄鉱(Fe)含有量を有している、請求項22に記載の電極。
【請求項26】
電極を製造するための方法であって、
a)炭素系酸化物及び金属塩を含む溶液を超音波処理することと、
b)前記炭素系酸化物及び前記金属塩を含む前記溶液を基板上に配置することと、
c)前記基板を乾燥させることによって、前記炭素系酸化物及び前記金属塩を含む乾燥膜を作製することと、
d)前記乾燥膜の一部を光に曝すことによって、前記炭素系酸化物を還元しかつ前記金属塩を酸化し、炭素質材料と、活物質に包まれるか結合しているファラデーナノ粒子とを形成することと、を含み、
前記ナノ粒子は磁鉄鉱(Fe)、酸化鉄(Fe)、酸化コバルト(Co)、水酸化ニッケル(Ni(OH))、酸化銅(CuO)、三酸化モリブデン(MoO)、五酸化バナジウム(V)、又は、これらの任意の組合せを含み、
前記電極は、酸化還元(レドックス)活性電解質と接触した際に酸化還元反応を受けることができるように構成されている、方法。
【請求項27】
前記炭素系酸化物は、酸化グラフェンを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記金属塩は、鉄(Fe)を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記金属塩は、塩化鉄(FeCl)を含む、請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願]
本出願は、2017年6月14日付けで提出された米国仮特許出願シリアル番号第62/519,225号に基づく優先権を享受するものであり、この文献の開示内容は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
非常に迅速にかつ非常に効率的にエネルギーを貯蔵したり放出したりし得るエネルギー貯蔵デバイスが要望されている。スーパーキャパシタなどのいくつかのエネルギー貯蔵デバイスは、非水性電解質(典型的には、アセトニトリル)を含浸させた活性炭電極を特徴とするとともに、2.2V~2.7Vという電圧で動作する。残念ながら、活性炭は、有機電解質中では小さな比キャパシタンスを有し得るものであり、このため、エネルギー貯蔵デバイスのエネルギー密度を、深刻なまでに制限してしまう。加えて、有機溶媒は、多くの場合、可燃性であり、安全面及び環境面において懸念をもたらす。これに対し、水性電解質は、より安全でありかつより安価であり、より大きなイオン伝導率を有していて、より大きなキャパシタンスを有した電極を期待できる。バッテリ、スーパーキャパシタ、及びマイクロスーパーキャパシタなどのエネルギー貯蔵デバイスに関して、高性能で水性のものが要望される。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、水性のエネルギー貯蔵デバイスを提供する。いくつかの実施形態においては、水性エネルギー貯蔵デバイスは、大きな比キャパシタンスを有していて著しく大きな電圧で動作する対称スーパーキャパシタを含む。いくつかの実施形態においては、スーパーキャパシタの電極及び電解質は、電極のキャパシタンスを改良するに留まらず、スーパーキャパシタの電圧及びサイクル安定性までも改良するように、相乗的に動作する。
【0004】
いくつかの実施形態においては、水性エネルギー貯蔵デバイスは、マイクロスーパーキャパシタを含む。電子機器の小型化に関して大きな潜在能力を有したマイクロスーパーキャパシタの製造方法もまた開示される。
【0005】
本開示は、電極材料の合理的な設計を通して、高性能で水性の、バッテリ、スーパーキャパシタ、及びマイクロスーパーキャパシタなどのエネルギーデバイスを設計及び製造するための効果的な戦略を提供する。いくつかの実施形態においては、本明細書において開示される電極は、高エネルギー密度の磁鉄鉱ナノ粒子が三次元形態のグラフェンとハイブリッド化し得るように、そしてこれにより、エネルギー貯蔵にとって理想的であるような、大きな表面積と大きな電子伝導性とを有した電極であるとともに高エネルギー密度のファラデー材料を大きな含有量で有した電極をもたらし得るように、注意深く設計された。いくつかの実施形態においては、ハイブリッド電極は、機能的な酸化還元(レドックス)電解質と組み合わされることにより、著しく大きなエネルギー密度を有した酸化還元スーパーキャパシタを作り出した。本開示は、エネルギー貯蔵デバイスの電圧ウィンドウ及び電荷蓄積能力を増大させるための、正電極及び負電極の設計、及び、酸化還元電解質の利用を提供する。
【0006】
本明細書において提供される一態様は、2つ以上の電極と、酸化還元活性電解質と、を含むエネルギー貯蔵デバイスであって、2つ以上の電極のうちの少なくとも1つの電極は、炭素質材料と、ファラデー材料あるいはキャパシタ的材料あるいは擬似キャパシタ的材料と、を含む。いくつかの実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、バッテリ、スーパーキャパシタ、及び/又は、マイクロスーパーキャパシタである。
【0007】
いくつかの実施形態においては、炭素質材料は、相互接続された波状炭素系ネットワークを含む。いくつかの実施形態においては、炭素質材料は、レーザスクライブされたグラフェン(laser-scribed graphene、LSG)を含む。
【0008】
いくつかの実施形態においては、ファラデー材料、キャパシタ的材料又は擬似キャパシタ的材料は、金属ナノ粒子を含む。いくつかの実施形態においては、金属ナノ粒子は、金属酸化物粒子を含む。いくつかの実施形態においては、金属酸化物粒子は、磁鉄鉱(Fe)、酸化鉄(Fe)、二酸化マンガン(MnO)、二酸化ルテニウム(RuO)、酸化コバルト(Co)、水酸化ニッケル(Ni(OH))、酸化ニッケル(NiO)、酸化銅(CuO)、三酸化モリブデン(MoO)、五酸化バナジウム(V)、又は、これらの任意の組合せを含む。いくつかの実施形態においては、金属酸化物粒子は、磁鉄鉱を含む。
【0009】
いくつかの実施形態においては、酸化還元活性電解質は、フッ素、マンガン、塩素、クロム、酸素、銀、鉄、ヨウ素、銅、スズ、キノン、臭素、ヨウ素、バナジウム、又は、これらの組合せを含む。いくつかの実施形態においては、酸化還元活性電解質は、フェロシアン化カリウム、ヒドロキノン、硫酸バナジル、p-フェニレンジアミン、p-フェニレンジイミン、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化銅、ヒドロキノン、硫酸銅、二臭化ヘプチルビオロゲン、臭化メチルビオロゲン、又は、これらの任意の組合せを含む。いくつかの実施形態においては、酸化還元活性電解質は、第二鉄カチオンを含む。いくつかの実施形態においては、酸化還元活性電解質は、Fe(CN) 3-/Fe(CN) 4-を含む。いくつかの実施形態においては、酸化還元活性電解質は、水溶液を含む。いくつかの実施形態においては、水溶液は、硫酸イオンを含む。いくつかの実施形態においては、水溶液は、ナトリウムイオンを含む。いくつかの実施形態においては、水溶液は、NaSOを含む。いくつかの実施形態においては、酸化還元活性電解質は、Fe(CN) 3-/Fe(CN) 4-とNaSOとを含む。
【0010】
いくつかの実施形態においては、炭素質材料は、LSGを含み、ファラデー材料、キャパシタ的材料又は擬似キャパシタ的材料は、磁鉄鉱を含み、そして、酸化還元活性電解質は、Fe(CN) 3-/Fe(CN) 4-とNaSOとを含む。
【0011】
いくつかの実施形態においては、少なくとも1つの電極は、約20%~約80%という磁鉄鉱含有量を有している。いくつかの実施形態においては、少なくとも1つの電極は、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、又は、少なくとも約70%という磁鉄鉱含有量を有している。いくつかの実施形態においては、少なくとも1つの電極は、最大で約25%、最大で約30%、最大で約35%、最大で約40%、最大で約45%、最大で約50%、最大で約55%、最大で約60%、最大で約70%、又は、最大で約80%という磁鉄鉱含有量を有している。いくつかの実施形態においては、少なくとも1つの電極は、約20%~約25%、約20%~約30%、約20%~約35%、約20%~約40%、約20%~約45%、約20%~約50%、約20%~約55%、約20%~約60%、約20%~約70%、約20%~約80%、約25%~約30%、約25%~約35%、約25%~約40%、約25%~約45%、約25%~約50%、約25%~約55%、約25%~約60%、約25%~約70%、約25%~約80%、約30%~約35%、約30%~約40%、約30%~約45%、約30%~約50%、約30%~約55%、約30%~約60%、約30%~約70%、約30%~約80%、約35%~約40%、約35%~約45%、約35%~約50%、約35%~約55%、約35%~約60%、約35%~約70%、約35%~約80%、約40%~約45%、約40%~約50%、約40%~約55%、約40%~約60%、約40%~約70%、約40%~約80%、約45%~約50%、約45%~約55%、約45%~約60%、約45%~約70%、約45%~約80%、約50%~約55%、約50%~約60%、約50%~約70%、約50%~約80%、約55%~約60%、約55%~約70%、約55%~約80%、約60%~約70%、約60%~約80%、又は、約70%~約80%という磁鉄鉱含有量を有している。いくつかの実施形態においては、少なくとも1つの電極は、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約70%、又は、約80%という磁鉄鉱含有量を有している。
【0012】
いくつかの実施形態においては、少なくとも1つの電極は、磁気モーメントを保有している。
【0013】
いくつかの実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、約0.9V~約3Vという動作電圧を有している。いくつかの実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、少なくとも約0.9V、少なくとも約1V、少なくとも約1.25V、少なくとも約1.5V、少なくとも約1.75V、少なくとも約2V、少なくとも約2.25V、少なくとも約2.5V、少なくとも約2.75V、あるいは、少なくとも約3V、という動作電圧を有している。いくつかの実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、最大で約0.9V、最大で約1V、最大で約1.25V、最大で約1.5V、最大で約1.75V、最大で約2V、最大で約2.25V、最大で約2.5V、最大で約2.75V、又は、最大で約3Vという動作電圧を有している。いくつかの実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、約0.9V~約1V、約0.9V~約1.25V、約0.9V~約1.5V、約0.9V~約1.75V、約0.9V~約2V、約0.9V~約2.25V、約0.9V~約2.5V、約0.9V~約2.75V、約0.9V~約3V、約1V~約1.25V、約1V~約1.5V、約1V~約1.75V、約1V~約2V、約1V~約2.25V、約1V~約2.5V、約1V~約2.75V、約1V~約3V、約1.25V~約1.5V、約1.25V~約1.75V、約1.25V~約2V、約1.25V~約2.25V、約1.25V~約2.5V、約1.25V~約2.75V、約1.25V~約3V、約1.5V~約1.75V、約1.5V~約2V、約1.5V~約2.25V、約1.5V~約2.5V、約1.5V~約2.75V、約1.5V~約3V、約1.75V~約2V、約1.75V~約2.25V、約1.75V~約2.5V、約1.75V~約2.75V、約1.75V~約3V、約2V~約2.25V、約2V~約2.5V、約2V~約2.75V、約2V~約3V、約2.25V~約2.5V、約2.25V~約2.75V、約2.25V~約3V、約2.5V~約2.75V、約2.5V~約3V、又は、約2.75V~約3Vという動作電圧を有している。エネルギー貯蔵デバイスは、約0.9V、約1V、約1.25V、約1.5V、約1.75V、約2V、約2.25V、約2.5V、約2.75V、又は、約3Vという動作電圧を有している。
【0014】
いくつかの実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、約150ファラッド/グラム(F/g)~約1,400F/gという比キャパシタンスを有している。いくつかの実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、少なくとも約150F/gという比キャパシタンスを有している。いくつかの実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、最大で約1,400F/gという比キャパシタンスを有している。いくつかの実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、約150F/g~約200F/g、約150F/g~約300F/g、約150F/g~約400F/g、約150F/g~約500F/g、約150F/g~約600F/g、約150F/g~約800F/g、約150F/g~約1,000F/g、約150F/g~約1,200F/g、約150F/g~約1,400F/g、約200F/g~約300F/g、約200F/g~約400F/g、約200F/g~約500F/g、約200F/g~約600F/g、約200F/g~約800F/g、約200F/g~約1,000F/g、約200F/g~約1,200F/g、約200F/g~約1,400F/g、約300F/g~約400F/g、約300F/g~約500F/g、約300F/g~約600F/g、約300F/g~約800F/g、約300F/g~約1,000F/g、約300F/g~約1,200F/g、約300F/g~約1,400F/g、約400F/g~約500F/g、約400F/g~約600F/g、約400F/g~約800F/g、約400F/g~約1,000F/g、約400F/g~約1,200F/g、約400F/g~約1,400F/g、約500F/g~約600F/g、約500F/g~約800F/g、約500F/g~約1,000F/g、約500F/g~約1,200F/g、約500F/g~約1,400F/g、約600F/g~約800F/g、約600F/g~約1,000F/g、約600F/g~約1,200F/g、約600F/g~約1,400F/g、約800F/g~約1,000F/g、約800F/g~約1,200F/g、約800F/g~約1,400F/g、約1,000F/g~約1,200F/g、約1,000F/g~約1,400F/g、あるいは、約1,200F/g~約1,400F/g、という比キャパシタンスを有している。いくつかの実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、約150F/g、約200F/g、約300F/g、約400F/g、約500F/g、約600F/g、約800F/g、約1,000F/g、約1,200F/g、又は、約1,400F/gという比キャパシタンスを有している。
【0015】
いくつかの実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、約45ワット時/キログラム(Wh/kg)~約250Wh/kgというエネルギー密度を有している。いくつかの実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、少なくとも約45Wh/kg、少なくとも約50Wh/kg、少なくとも約75Wh/kg、少なくとも約100Wh/kg、少なくとも約125Wh/kg、少なくとも約150Wh/kg、少なくとも約175Wh/kg、少なくとも約200Wh/kg、少なくとも約225Wh/kg、又は、少なくとも約250Wh/kgというエネルギー密度を有している。いくつかの実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、最大で約45Wh/kg、最大で約50Wh/kg、最大で約75Wh/kg、最大で約100Wh/kg、最大で約125Wh/kg、最大で約150Wh/kg、最大で約175Wh/kg、最大で約200Wh/kg、最大で約225Wh/kg、又は、最大で約250Wh/kgというエネルギー密度を有している。いくつかの実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、約45Wh/kg~約50Wh/kg、約45Wh/kg~約75Wh/kg、約45Wh/kg~約100Wh/kg、約45Wh/kg~約125Wh/kg、約45Wh/kg~約150Wh/kg、約45Wh/kg~約175Wh/kg、約45Wh/kg~約200Wh/kg、約45Wh/kg~約225Wh/kg、約45Wh/kg~約250Wh/kg、約50Wh/kg~約75Wh/kg、約50Wh/kg~約100Wh/kg、約50Wh/kg~約125Wh/kg、約50Wh/kg~約150Wh/kg、約50Wh/kg~約175Wh/kg、約50Wh/kg~約200Wh/kg、約50Wh/kg~約225Wh/kg、約50Wh/kg~約250Wh/kg、約75Wh/kg~約100Wh/kg、約75Wh/kg~約125Wh/kg、約75Wh/kg~約150Wh/kg、約75Wh/kg~約175Wh/kg、約75Wh/kg~約200Wh/kg、約75Wh/kg~約225Wh/kg、約75Wh/kg~約250Wh/kg、約100Wh/kg~約125Wh/kg、約100Wh/kg~約150Wh/kg、約100Wh/kg~約175Wh/kg、約100Wh/kg~約200Wh/kg、約100Wh/kg~約225Wh/kg、約100Wh/kg~約250Wh/kg、約125Wh/kg~約150Wh/kg、約125Wh/kg~約175Wh/kg、約125Wh/kg~約200Wh/kg、約125Wh/kg~約225Wh/kg、約125Wh/kg~約250Wh/kg、約150Wh/kg~約175Wh/kg、約150Wh/kg~約200Wh/kg、約150Wh/kg~約225Wh/kg、約150Wh/kg~約250Wh/kg、約175Wh/kg~約200Wh/kg、約175Wh/kg~約225Wh/kg、約175Wh/kg~約250Wh/kg、約200Wh/kg~約225Wh/kg、約200Wh/kg~約250Wh/kg、又は、約225Wh/kg~約250Wh/kgというエネルギー密度を有している。いくつかの実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、約45Wh/kg、約50Wh/kg、約75Wh/kg、約100Wh/kg、約125Wh/kg、約150Wh/kg、約175Wh/kg、約200Wh/kg、約225Wh/kg、又は、約250Wh/kgというエネルギー密度を有している。
【0016】
いくつかの実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、約45ワット/キログラム(W/kg)~約200W/kgという電力密度を有している。いくつかの実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、少なくとも約45W/kg、少なくとも約50W/kg、少なくとも約75W/kg、少なくとも約100W/kg、少なくとも約125W/kg、少なくとも約150W/kg、約175W/kg、又は、約200W/kgという電力密度を有している。いくつかの実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、最大で約45W/kg、最大で約50W/kg、最大で約75W/kg、最大で約100W/kg、最大で約125W/kg、最大で約150W/kg、最大で約175W/kg、又は、最大で約200W/kgという電力密度を有している。いくつかの実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、約45W/kg~約50W/kg、約45W/kg~約75W/kg、約45W/kg~約100W/kg、約45W/kg~約125W/kg、約45W/kg~約150W/kg、約45W/kg~約175W/kg、約45W/kg~約200W/kg、約50W/kg~約75W/kg、約50W/kg~約100W/kg、約50W/kg~約125W/kg、約50W/kg~約150W/kg、約50W/kg~約175W/kg、約50W/kg~約200W/kg、約75W/kg~約100W/kg、約75W/kg~約125W/kg、約75W/kg~約150W/kg、約75W/kg~約175W/kg、約75W/kg~約200W/kg、約100W/kg~約125W/kg、約100W/kg~約150W/kg、約100W/kg~約175W/kg、約100W/kg~約200W/kg、約125W/kg~約150W/kg、約125W/kg~約175W/kg、約125W/kg~約200W/kg、約150W/kg~約175W/kg、約150W/kg~約200W/kg、又は、約175W/kg~約200W/kgという電力密度を有している。いくつかの実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、約45W/kg、約50W/kg、約75W/kg、約100W/kg、約125W/kg、約150W/kg、約175W/kg、又は、約200W/kgという電力密度を有している。いくつかの実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、約93Wh/kgという電力密度を有している。
【0017】
いくつかの実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、8ミリアンペア/平方センチメートル(mAcm-2)において、約1489Fg-1(570mFcm-2)という比キャパシタンスを有している。いくつかの実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、20mVs-1という走査速度において、約25.6ファラッド/立方センチメートル(Fcm-3;716Fg-1電極)という比キャパシタンスを有している。いくつかの実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、300mVs-1という大きな走査速度において、約19.2Fcm-3(535Fg-1電極)という比キャパシタンスを有している。
【0018】
いくつかの実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、LSG及び磁鉄鉱を含む少なくとも1つの電極を含む。さらなる実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、20mV/sという走査速度において、約114F/g、約87.2mF/cm、及び/又は、約12.0F/cmという比キャパシタンスを有している。さらなる実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、20mV/sという走査速度において、約72.5Wh/kg、及び/又は、約0.00765Wh/cmというエネルギー密度を有している。さらなる実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、300mV/sという走査速度において、39.6キロワット/キログラム(kW/kg)、及び/又は、4.18W/cmという電力密度を有している。
【0019】
いくつかの実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、LSG及び磁鉄鉱を含む少なくとも1つの電極と、酸化還元活性電解質と、を含む。さらなる実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、20mV/sという走査速度において、約178.9F/g、約186.1mF/cm、及び/又は、約25.6F/cmという比キャパシタンスを有している。さらなる実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、20mV/sという走査速度において、約121.5Wh/kg、及び/又は、約0.0174Wh/cmというエネルギー密度を有している。さらなる実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、300mV/sという走査速度において、55.9kW/kg、及び/又は、8.03W/cmという電力密度を有している。
【0020】
いくつかの実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、LSG及び磁鉄鉱を含む少なくとも1つの電極と、酸化還元活性電解質と、を含む。さらなる実施形態において、エネルギー貯蔵デバイスは、20mV/sという走査速度において、約178.9F/g、約186.1mF/cm、及び/又は、約25.6F/cmという比キャパシタンスを有している。さらなる実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、20mV/sという走査速度において、約121.5Wh/kg、及び/又は、約0.0174Wh/cmというエネルギー密度を有している。さらなる実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、300mV/sという走査速度において、55.9kW/kg、及び/又は、8.03W/cmという電力密度を有している。
【0021】
いくつかの実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、LSG及び磁鉄鉱を含む少なくとも1つの電極と、酸化還元活性電解質と、を含む。さらなる実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、20mV/sという走査速度において、約178.9F/g、約186.1mF/cm、及び/又は、約25.6F/cmという比キャパシタンスを有している。さらなる実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、20mV/sという走査速度において、約121.5Wh/kg、及び/又は、約0.0174Wh/cmというエネルギー密度を有している。さらなる実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、300mV/sという走査速度において、55.9kW/kg、及び/又は、8.03W/cmという電力密度を有している。
【0022】
一態様においては、本開示は、炭素質材料と金属ナノ粒子とを含む電極を、本明細書において提供する。いくつかの実施形態においては、炭素質材料は、相互接続された波状炭素系ネットワーク、LSG、セルラー(cellular)グラフェン膜、多孔性のグラフェンフレームワーク、三次元グラフェンフレームワーク、溶媒和グラフェンフレームワーク、又は、これらの任意の組合せを含む。
【0023】
いくつかの実施形態においては、炭素質材料は、LSGを含み、金属ナノ粒子は、磁鉄鉱を含む。
【0024】
いくつかの実施形態においては、金属ナノ粒子は、磁鉄鉱(Fe)、酸化鉄(Fe)、二酸化マンガン(MnO)、二酸化ルテニウム(RuO)、酸化コバルト(Co)、水酸化ニッケル(Ni(OH))、酸化ニッケル(NiO)、酸化銅(CuO)、三酸化モリブデン(MoO)、五酸化バナジウム(V)、又は、これらの任意の組合せを含む。いくつかの実施形態においては、電極は、LSG及び磁鉄鉱を含む。
【0025】
いくつかの実施形態においては、電極は、約40%~約85%という磁鉄鉱含有量を有している。いくつかの実施形態においては、電極は、少なくとも40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、又は、少なくとも約85%という磁鉄鉱含有量を有している。いくつかの実施形態においては、電極は、最大で40%、最大で約45%、最大で約50%、最大で約55%、最大で約60%、最大で約65%、最大で約70%、最大で約75%、最大で約80%、又は、最大で約85%という磁鉄鉱含有量を有している。いくつかの実施形態においては、電極は、約40%~約45%、約40%~約50%、約40%~約55%、約40%~約60%、約40%~約65%、約40%~約70%、約40%~約75%、約40%~約80%、約40%~約85%、約45%~約50%、約45%~約55%、約45%~約60%、約45%~約65%、約45%~約70%、約45%~約75%、約45%~約80%、約45%~約85%、約50%~約55%、約50%~約60%、約50%~約65%、約50%~約70%、約50%~約75%、約50%~約80%、約50%~約85%、約55%~約60%、約55%~約65%、約55%~約70%、約55%~約75%、約55%~約80%、約55%~約85%、約60%~約65%、約60%~約70%、約60%~約75%、約60%~約80%、約60%~約85%、約65%~約70%、約65%~約75%、約65%~約80%、約65%~約85%、約70%~約75%、約70%~約80%、約70%~約85%、約75%~約80%、約75%~約85%、又は、約80%~約85%という磁鉄鉱含有量を有している。いくつかの実施形態においては、電極は、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、又は、約85%という磁鉄鉱含有量を有している。
【0026】
いくつかの実施形態においては、電極は、約20ミリボルト/秒(mVs-1)という走査速度において、約264ミリファラッド/平方センチメートル(mFcm-2;約691ファラッド/グラム[Fg-1])という、負電圧ウィンドウ内での面積あたりの比キャパシタンスを有している。いくつかの実施形態においては、電極は、約20mVs-1という走査速度において、約137mFcm-2(約357Fg-1)という、正電圧ウィンドウ内での面積あたりの比キャパシタンスを有している。
【0027】
負電圧ウィンドウ内におけるLSG/Fe電極の面積あたりの比キャパシタンスは、約20mVs-1という走査速度において、約264mFcm-2(約691Fg-1)であり、正電圧ウィンドウ内におけるLSG/Fe電極の面積あたりの比キャパシタンスは、約20mVs-1という走査速度において、約137mFcm-2(約357Fg-1)である。
【0028】
本明細書において提供される他の態様は、電極を製造するための方法であり、この方法は、炭素系酸化物及び金属塩を含む溶液を超音波処理することと、炭素系酸化物及び金属塩を含む溶液を基板上に配置することと、基板を乾燥させることによって、炭素系酸化物及び金属塩を含む乾燥膜を作製することと、乾燥膜の一部を光に曝すことによって、炭素系酸化物を還元しかつ金属塩を酸化することと、を含む。いくつかの実施形態においては、炭素系酸化物は、酸化グラフェンである。いくつかの実施形態においては、金属塩は、鉄(Fe)を含む。いくつかの実施形態においては、金属塩は、塩化鉄(FeCl)を含む。
【0029】
いくつかの実施形態においては、炭素系酸化物は、酸化グラフェンである。いくつかの実施形態においては、酸化グラフェンの濃度は、約1グラム/リットル(g/L)~約5g/Lである。いくつかの実施形態においては、酸化グラフェンの濃度は、少なくとも約1g/Lである。いくつかの実施形態においては、酸化グラフェンの濃度は、最大で約5g/Lである。いくつかの実施形態においては、酸化グラフェンの濃度は、約1g/L~
約1.5g/L、約1g/L~約2g/L、約1g/L~約2.5g/L、約1g/L~約3g/L、約1g/L~約3.5g/L、約1g/L~約4g/L、約1g/L~約4.5g/L、約1g/L~約5g/L、約1.5g/L~約2g/L、約1.5g/L~約2.5g/L、約1.5g/L~約3g/L、約1.5g/L~約3.5g/L、約1.5g/L~約4g/L、約1.5g/L~約4.5g/L、約1.5g/L~約5g/L、約2g/L~約2.5g/L、約2g/L~約3g/L、約2g/L~約3.5g/L、約2g/L~約4g/L、約2g/L~約4.5g/L、約2g/L~約5g/L、約2.5g/L~約3g/L、約2.5g/L~約3.5g/L、約2.5g/L~約4g/L、約2.5g/L~約4.5g/L、約2.5g/L~約5g/L、約3g/L~約3.5g/L、約3g/L~約4g/L、約3g/L~約4.5g/L、約3g/L~約5g/L、約3.5g/L~約4g/L、約3.5g/L~約4.5g/L、約3.5g/L~約5g/L、約4g/L~約4.5g/L、約4g/L~約5g/L、又は、約4.5g/L~約5g/Lである。
【0030】
いくつかの実施形態においては、金属塩は、鉄(Fe)を含む。いくつかの実施形態においては、金属塩は、塩化鉄、硫酸アンモニウム鉄(II)六水和物、ジクロロテトラキス(ピリジン)鉄、臭化鉄(II)、塩化鉄(II)、塩化鉄(II)四水和物、フッ化鉄(II)、モリブデン酸鉄(II)、シュウ酸鉄(II)二水和物、過塩素酸鉄(II)水和物、硫酸鉄(II)水和物、四フッ化ホウ酸鉄(II)六水和物、臭化鉄(III)、フッ化鉄(III)、硝酸鉄(III)九水和物、シュウ酸鉄(III)六水和物、リン酸鉄(III)四水和物、ピロリン酸鉄(III)可溶性結晶、硫酸鉄(III)水和物、ヘキサシアノ鉄(II)酸カリウム三水和物、又はは、これらの任意の組合せを含む。いくつかの実施形態においては、金属塩は、塩化鉄(FeCl)を含む。
【0031】
いくつかの実施形態においては、基板は、金によってスパッタリングされたポリイミドを含む。いくつかの実施形態においては、基板は、アルミニウム、ニッケル、銅、白金、鋼、又はは、これらの組合せを含む。いくつかの実施形態においては、基板は、炭素基板を含む。いくつかの実施形態においては、基板は、グラファイトである。
【0032】
いくつかの実施形態においては、基板の乾燥は、約20℃~約100℃という温度で起こる。いくつかの実施形態においては、基板の乾燥は、少なくとも約20℃という温度で起こる。いくつかの実施形態においては、基板の乾燥は、最大で約100℃という温度で起こる。いくつかの実施形態においては、基板の乾燥は、約20℃~約30℃、約20℃~約40℃、約20℃~約50℃、約20℃~約60℃、約20℃~約70℃、約20℃~約80℃、約20℃~約90℃、約20℃~約100℃、約30℃~約40℃、約30℃~約50℃、約30℃~約60℃、約30℃~約70℃、約30℃~約80℃、約30℃~約90℃、約30℃~約100℃、約40℃~約50℃、約40℃~約60℃、約40℃~約70℃、約40℃~約80℃、約40℃~約90℃、約40℃~約100℃、約50℃~約60℃、約50℃~約70℃、約50℃~約80℃、約50℃~約90℃、約50℃~約100℃、約60℃~約70℃、約60℃~約80℃、約60℃~約90℃、約60℃~約100℃、約70℃~約80℃、約70℃~約90℃、約70℃~約100℃、約80℃~約90℃、約80℃~約100℃、又は、約90℃~約100℃という温度で起こる。
【0033】
いくつかの実施形態においては、光は、約0.01マイクロメートル(μm)~約100μmという波長を有している。いくつかの実施形態においては、光は、少なくとも約0.01μmという波長を有している。いくつかの実施形態においては、光は、最大で約100μmという波長を有している。いくつかの実施形態においては、光は、約0.01μm~約0.05μm、約0.01μm~約0.1μm、約0.01μm~約0.5μm、約0.01μm~約1μm、約0.01μm~約10μm、約0.01μm~約50μm、約0.01μm~約100μm、約0.05μm~約0.1μm、約0.05μm~約0.5μm、約0.05μm~約1μm、約0.05μm~約10μm、約0.05μm~約50μm、約0.05μm~約100μm、約0.1μm~約0.5μm、約0.1μm~約1μm、約0.1μm~約10μm、約0.1μm~約50μm、約0.1μm~約100μm、約0.5μm~約1μm、約0.5μm~約10μm、約0.5μm~約50μm、約0.5μm~約100μm、約1μm~約10μm、約1μm~約50μm、約1μm~約100μm、約10μm~約50μm、約10μm~約100μm、又は、約50μm~約100μmという波長を有している。
【0034】
いくつかの実施形態においては、光は、レーザから放出される。さらなる実施形態においては、レーザは、7ワット(W)の炭酸ガス(CO)レーザである。
【0035】
いくつかの実施形態においては、製造方法は、乾燥膜を脱イオン水で洗浄することをさらに含む。
【0036】
いくつかの実施形態においては、エネルギー貯蔵デバイスは、バッテリ、スーパーキャパシタ、及び/又は、マイクロスーパーキャパシタである。
【0037】
他の態様においては、本開示は、本明細書に記載の電極の製造方法を使用して、微細構造電極を製造するための方法を提供する。いくつかの実施形態においては、微細構造電極を製造するための方法は、炭素系酸化物及び金属塩を含む溶液を超音波処理することと、炭素系酸化物及び金属塩を含む溶液を基板上に配置することと、基板を乾燥させることによって、炭素系酸化物及び金属塩を含む乾燥膜を作製することと、乾燥膜の一部を光に曝すことによって、炭素系酸化物を還元しかつ金属塩を酸化することと、乾燥膜を脱イオン水で洗浄することと、乾燥膜を有した基板を光によってパターニングすることと、を含む。
【0038】
いくつかの実施形態においては、パターニングは、6個のものが交互嵌合してなる1つの電極パターンを作製することを含む。いくつかの実施形態においては、パターニングは、レーザから放出された光を使用することを含む。いくつかの実施形態においては、レーザは、24WのCOレーザである。
【0039】
本開示の様々な特徴点は、添付の特許請求の範囲に、詳細に記載されている。本開示の様々な特徴点及び利点のより良い理解は、本開示の原理が利用される例示的な実施形態を記載した以下の詳細な説明を参照することにより、また、添付図面又は図(本明細書においては、また、「図」(“FIG.”及び“FIGs.”)とも称す)を参照することにより、得
られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は、いくつかの実施形態による、レーザスクライブされたグラフェン(LSG)/Feナノ複合体電極のための例示的な方法の概略的な図を示す。
図2-1】図2Aは、いくつかの実施形態による、酸化グラフェン(graphene oxide、GO)の脱酸素化に関する熱重量分析(TGA)測定及び示差熱分析(DTA)測定を示す。 図2Bは、FeClからの酸化鉄の形成に関するTGA測定及びDTA測定を示す。
図2-2】図2Cは、自発的で同時的な、GOから還元型GO(reduced GO、r-GO)への還元とFeClから酸化鉄への酸化とに関する、TGA測定及びDTA測定を示す。
図3-1】図3Aは、いくつかの実施形態による、LSG上で成長させた例示的なFeナノ粒子に関する走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す。 図3Bは、いくつかの実施形態による、例示的なLSG/Feナノ複合体に関する高倍率SEM画像を示す。 図3Cは、いくつかの実施形態による、図3Bの例示的なLSG/Feナノ複合体に関する横断電磁(TEM)画像を示す。 図3Dは、いくつかの実施形態による、LSG複合体内の例示的なFeに関する制限視野電子回折パターンの高解像度TEM画像を示す。
図3-2】図3Eは、いくつかの実施形態による、図3Bの例示的なLSG/Feナノ複合体に関するX線回折パターンを示す。 図3Fは、いくつかの実施形態による、外部磁場が無い場合と有る場合とについて、水溶液中に分散させた例示的なLSG/Feナノ複合体に関する写真を示す。
図4図4Aは、いくつかの実施形態による、プラスチック基板上の例示的なLSG/Fe膜に関する断面SEM画像を示す。 図4Bは、いくつかの実施形態による、例示的なFe電極のd間隔に関する例示的な高解像度TEM画像を示す。
図5図5は、いくつかの実施形態による、例示的なLSG/Feナノ複合体に関するTGAを示す。
図6図6Aは、いくつかの実施形態による、50ミリボルト/秒(mVs-1)での、例示的なLSGスーパーキャパシタに関しての、及び、例示的なLSG/Feスーパーキャパシタに関しての、サイクリックボルタンメトリー(cyclic voltammetry、CV)曲線を示す。 図6Bは、いくつかの実施形態による、70mVs-1での、図6Aの例示的なLSGスーパーキャパシタ及びLSG/Feスーパーキャパシタに関しての、CV曲線を示す。
図7-1】図7Aは、10mVs-1、20mVs-1、30mVs-1、50mVs-1、70mVs-1、及び100mVs-1という様々な走査速度での、1.0MのNaSO中での例示的な3つのLSG/Fe電極を備えたデバイスに関しての、負の電圧ウィンドウ(Ag/AgClに対して、0V~-1.0V)におけるCV曲線を示す。 図7Bは、10mVs-1、20mVs-1、30mVs-1、50mVs-1、70mVs-1、及び100mVs-1という様々な走査速度での、図7Aのデバイスに関しての、正の電圧ウィンドウ(Ag/AgClに対して、0V~0.8V)における同様のCV曲線を示す。
図7-2】図7Cは、様々な電流密度での、例示的なLSG/Fe電極に関しての、負の電圧ウィンドウ(Ag/AgClに対して、0V~-1.0V)における充放電(charge discharge、CC)曲線を示す。 図7Dは、様々な電流密度での、例示的なLSG/Fe電極に関しての、正の電圧ウィンドウ(Ag/AgClに対して、0V~0.8V)における同様のCC曲線を示す。
図8-1】図8Aは、いくつかの実施形態による、酸化還元添加剤の非存在下において及び酸化還元添加剤の存在下において、1.0MのNaSO電解質を使用した例示的なLSG/Feスーパーキャパシタを示す。 図8Bは、いくつかの実施形態による、50mVs-1という走査速度での、酸化還元添加剤の様々な濃度における、図8Aの例示的なLSG/Feスーパーキャパシタに関するCV曲線を示す。
図8-2】図8Cは、いくつかの実施形態による、8mAcm-2という電流密度での、酸化還元添加剤の様々な濃度における、図8Aの例示的なLSG/Feスーパーキャパシタに関するCC曲線を示す。 図8Dは、いくつかの実施形態による、3電極構成において測定された、酸化還元添加剤の様々な濃度での、1.0MのNaSO中の例示的なLSG/Fe電極に関しての、活物質の面積あたりの比キャパシタンス及び質量あたりの比キャパシタンスと、電流密度と、の関係を示す。
図8-3】図8Eは、いくつかの実施形態による、様々な電位領域で試験されたLSG/Fe電極に関しての、20mVs-1でのCV曲線を示す。 図8Fは、酸化還元添加剤の非存在下において、及び、0.025Mの酸化還元添加剤の存在下において、負電極及び正電極に関して、10mVs-1という走査速度での、面積キャパシタンス及び電荷を示す。
図8-4】図8Gは、いくつかの実施形態による、50mVs-1という走査速度での、LSG/Fe電極を含む例示的な対称スーパーキャパシタに関するCV曲線を示す。 図8Hは、いくつかの実施形態による、12mAcm-2という電流密度での、LSG/Fe電極を含む例示的な対称スーパーキャパシタに関するCC曲線を示す。
図8-5】図8Iは、いくつかの実施形態による、酸化還元添加剤の非存在下において、及び、0.025Mの酸化還元添加剤の存在下において、印加した電流密度の関数として、LSG/Fe電極を含む例示的な対称スーパーキャパシタに関する、面積キャパシタンス及びスタックキャパシタンスを示す。
図9図9Aは、いくつかの実施形態による、1.0Vから1.8Vへと増加する電圧ウィンドウにおける、図6Aの例示的なLSGスーパーキャパシタ及びLSG/Feスーパーキャパシタに関しての、4ミリアンペア/平方センチメートル(mAcm-2)という電流密度における定電流CC曲線を示す。 図9Bは、いくつかの実施形態による、100mVs-1での、例示的なLSGに関しての及び例示的なLSG/Feスーパーキャパシタに関しての、CV曲線を示す。
図10図10Aは、100mVs-1という走査速度での、1.0MのNaSO水性電解質を使用した場合の、1.8Vまで測定された例示的な対称LSGスーパーキャパシタに関するCV曲線を示す。 図10Bは、100mVs-1という走査速度での、1.0MのNaSO水性電解質を使用した場合の、1.8Vまで測定された例示的なFeスーパーキャパシタに関するCV曲線を示す。
図11図11Aは、いくつかの実施形態による、10mVs-1、20mVs-1、30mVs-1、50mVs-1、70mVs-1、及び100mVs-1という走査速度での、例示的なLSG/Feスーパーキャパシタに関するCV曲線を示す。 図11Bは、いくつかの実施形態による、1.8Vという最大電圧における、200mVs-1、300mVs-1、500mVs-1、700mVs-1、及び1000mVs-1という走査速度での、例示的なLSG/Feスーパーキャパシタに関するCV曲線を示す。
図12-1】図12Aは、1.5Vs-1、2.0Vs-1、5.0Vs-1、7.0Vs-1、及び10Vs-1という走査速度での、例示的な対称LSG/Feスーパーキャパシタに関するCV曲線を示す。 図12Bは、4mAcm-2、8mAcm-2、12mAcm-2、16mAcm-2、及び20mAcm-2という電流密度での、図12Aの例示的な対称LSG/Feスーパーキャパシタに関するCC曲線を示す。
図12-2】図12Cは、40mAcm-2、60mAcm-2、80mAcm-2、100mAcm-2、及び120mAcm-2という電流密度での、図12Aの例示的な対称LSG/Feスーパーキャパシタに関するCC曲線を示す。 図12Dは、160mAcm-2、240mAcm-2、320mAcm-2、及び400mAcm-2という電流密度での、図12Aの例示的な対称LSG/Feスーパーキャパシタに関するCC曲線を示す。
図12-3】図12Eは、例示的な対称LSG/Feスーパーキャパシタ内における例示的な電極の活物質の質量あたりの比キャパシタンスと、電流密度と、の関係を示す。 図12Fは、例示的な対称LSG/Feスーパーキャパシタ内における例示的な電極の活物質の質量あたりの比キャパシタンスと、走査速度と、の関係を示す。
図13-1】図13Aは、いくつかの実施形態による、1MHz~0.01Hzという周波数範囲にわたっての、例示的なLSG/Fe対称スーパーキャパシタの拡大された高周波領域に対しての、ナイキストプロットを示す。 図13Bは、いくつかの実施形態による、1MHz~0.01Hzという周波数範囲にわたっての、例示的なLSG/Fe対称スーパーキャパシタに関するボード線図を示す。
図13-2】図13Cは、いくつかの実施形態による、様々な曲げ半径での、及び、100mVs-1という走査速度での、例示的な可撓性のLSG/Feフルセルに関するCV曲線を示す。
図14図14は、いくつかの実施形態による、1.0MのNaSO電解質を使用した場合の、及び、1.0MのNaSO+0.005Mの[Fe(CN) 3-/Fe(CN) 4-]酸化還元活性電解質を使用した場合の、LSG/Fe電極に関する例示的なCV曲線を示す。
図15図15は、いくつかの実施形態による、1.0MのNaSO電解質中で様々な濃度の[Fe(CN) 3-/Fe(CN) 4-]酸化還元活性電解質を使用した場合の、例示的なLSG/Fe電極の電気化学インピーダンススペクトルのナイキストプロットを示す。
図16-1】図16Aは、いくつかの実施形態による、12mAcm-2での、1.0MのNaSO電解質中で様々な濃度の[Fe(CN) 3-/Fe(CN) 4-]酸化還元活性電解質を使用した場合の、例示的な対称LSG/Feスーパーキャパシタに関するCC曲線を示す。 図16Bは、いくつかの実施形態による、50mVs-1での、様々な濃度の[Fe(CN) 3-/Fe(CN) 4-]酸化還元活性電解質を使用した場合の、例示的な対称LSG/Feスーパーキャパシタに関するCV曲線を示す。
図16-2】図16Cは、いくつかの実施形態による、CC結果に基づく、酸化還元活性電解質に関する列挙された様々な濃度での、面積キャパシタンス及びクーロン効率を示す。
図17-1】図17Aは、いくつかの実施形態による、20~100mVs-1という様々な走査速度での、0.025Mの酸化還元活性電解質(redox-active electrolyte、RE)を使用した場合の、例示的な対称LSG/Feスーパーキャパシタに関するCV曲線を示す。 図17Bは、いくつかの実施形態による、200~1000mVs-1という様々な走査速度での、0.025MのREを使用した場合の、例示的な対称LSG/Feスーパーキャパシタに関するCV曲線を示す。
図17-2】図17Cは、いくつかの実施形態による、12mAcm-2、20mAcm-2、及び32mAcm-2という電流密度での、0.025MのREを使用した場合の、例示的な対称LSG/Feスーパーキャパシタに関するCC曲線を示す。 図17Dは、いくつかの実施形態による、40mAcm-2、48mAcm-2、60mAcm-2、及び80mAcm-2という電流密度での、0.025MのREを使用した場合の、例示的な対称LSG/Feスーパーキャパシタに関するCC曲線を示す。
図18図18Aは、いくつかの実施形態による、[Fe(CN) 3-/Fe(CN) 4-]酸化還元活性電解質を使用した場合の、例示的なLSG/Feスーパーキャパシタに関する自己放電曲線を示す。 図18Bは、いくつかの実施形態による、[Fe(CN) 3-/Fe(CN) 4-]酸化還元活性電解質を使用した場合の、例示的なLSG/Feスーパーキャパシタに関する漏れ電流測定を示す。
図19-1】図19Aは、いくつかの実施形態による、レーザ照射によってLSG/Feハイブリッドマイクロスーパーキャパシタを形成するための微細加工プロセスに関する例示的かつ概略的な図を示す。 図19Bは、いくつかの実施形態による、交互嵌合パターンを有した例示的なマイクロスーパーキャパシタに関する写真を示す。
図19-2】図19Cは、いくつかの実施形態による、100mVs-1という走査速度での、例示的な対称LSG/Feマイクロスーパーキャパシタに関するCV曲線を示す。
図20-1】図20Aは、いくつかの実施形態による、4.8mAcm-2という電流密度での、酸化還元電解質を使用した場合と使用しなかった場合とに関して、例示的なLSG/Feマイクロスーパーキャパシタに関するCC曲線を示す。 図20Bは、いくつかの実施形態による、1.0MのNaSO及び0.025MのRE電解質を使用した場合の、例示的なLSG/Feマイクロスーパーキャパシタに関しての、様々な電流密度でのCC曲線を示す。
図20-2】図20Cは、いくつかの実施形態による、1.0MのNaSO及び0.025MのRE電解質を使用した場合の、例示的なLSG/Feマイクロスーパーキャパシタに関しての、様々な走査速度でのCV曲線を示す。
図21-1】図21Aは、いくつかの実施形態による、単一ステップで作製された、直列接続された2つのセルを有した例示的なマイクロスーパーキャパシタモジュールに関する写真を示す。
図21-2】図21Bは、いくつかの実施形態による、例示的なLSG/Feハイブリッドマイクロスーパーキャパシタに関するCV曲線を示す。 図21Cは、いくつかの実施形態による、直列接続された2つの例示的なマイクロスーパーキャパシタに関するCC曲線を示す。
図22-1】図22Aは、いくつかの実施形態による、例示的な対称LSG/Feスーパーキャパシタに関し、酸化還元添加剤を使用しなかった場合(supercapacitor、SC)と、酸化還元添加剤を使用した場合(supercapacitor with a redox additive、SC-RE)と、に関する、電位範囲及び比キャパシタンスを示す。 図22Bは、いくつかの実施形態による、例示的な、SCと、SC-REと、マイクロスーパーキャパシタ(micro-supercapacitor、MSC-RE)と、に関しての、重量エネルギー密度と電力密度とのラゴンプロットを示す。
図22-2】図22Cは、いくつかの実施形態による例示的なスーパーキャパシタの体積エネルギー密度及び電力密度を、例示的な市販のエネルギー貯蔵デバイスと比較するための、ラゴンプロットを示す。 図22Dは、いくつかの実施形態による、1.0Vという電圧ウィンドウ及び1.8Vという電圧ウィンドウにおける、酸化還元添加剤を使用した場合及び使用しなかった場合の、例示的なLSG/Feスーパーキャパシタに関するサイクル安定性を示す。
図22-3】図22Eは、いくつかの実施形態による、直列接続された2つの例示的なタンデム型の対称LSG/Feスーパーキャパシタが、様々な色の発光ダイオードに対して電力を供給できることを実証する写真を示す。
図23図23Aは、いくつかの実施形態による、例示的なサンドイッチ型スーパーキャパシタに関する例示的かつ概略的な断面図を示す。 図23Bは、いくつかの実施形態による、交互嵌合型のマイクロスーパーキャパシタに関する例示的かつ概略的な断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本明細書においては、高エネルギー密度のファラデー材料を含む電極と、高性能なエネルギー貯蔵デバイスとを設計して製造するための、方法、デバイス、及び装置が提供される。
【0042】
図1は、いくつかの実施形態による、レーザスクライブされたグラフェン(LSG)/Feナノ複合体電極のための例示的な方法に関する概略的な図を示している。図示のように、例示的な方法は、酸化グラフェン(GO)/FeCl膜101をレーザ102に対して曝すことによって、Feナノ粒子によって包まれたLSGからなる電極103を作製することを含む。いくつかの実施形態においては、レーザは、7WのCOレーザである。この光熱プロセスは、極めて高速なものであり、様々な形状及び様々な容積の電極を生成し得るように調整することができる。
【0043】
酸化グラフェンは、水中へのGO分散液に対して粉末状のFeCl・6HOを徐々に添加していくという改良ハマー法を使用して、グラファイトフレークから合成することができる。いくつかの実施形態においては、FeCl・6HO粉末は、連続的な攪拌下において、水中へのGO分散液に対して添加される。いくつかの実施形態は、超音波処理をさらに含む。いくつかの実施形態においては、超音波処理は、約30分間にわたって行われる。
【0044】
いくつかの実施形態においては、次に、溶液は、シート上にドロップキャストされる。シートは、金によってスパッタリングされたポリイミドシートを含んでもよい。場合によっては、溶液によって覆われたシートは、乾燥され、さらに、レーザに対して曝される。これにより、LSG/Fe膜を合成することができる。いくつかの実施形態においては、溶液によって覆われたシートは、約12時間にわたって乾燥される。いくつかの実施形態においては、溶液によって覆われたシートは、周囲条件下で乾燥される。いくつかの実施形態においては、レーザは、7WのCOレーザを含む。本明細書における方法において使用可能な例示的な7WのCOレーザは、フルスペクトラムレーザHシリーズである。次に、LSG/Fe膜を、脱イオン水によって洗浄することができ、これにより、スーパーキャパシタの電極として、直接的に使用することができる。次に、電極と、活物質(LSG/Fe)と、集電体とをパターニングすることができ、これにより、交互嵌合型の電極を形成することができる。パターニングは、24WのCOレーザを使用して行うことができる。本明細書における方法のための例示的な24WのCOパターニングレーザは、フルスペクトラムレーザHシリーズのレーザである。
【0045】
得られたLSG/Feは、[Fe(CN) 3-/Fe(CN) 4-]酸化還元ペアを含有する酸化還元活性電解質と組み合わせて使用することができる。これにより、電極側(擬似キャパシタ的Feナノ粒子)における可逆的酸化還元反応と、電解質側(酸化還元添加剤)における可逆的酸化還元反応との双方を通して電荷を蓄積し得るように構成されたスーパーキャパシタデバイスを形成することができる。
【0046】
LSG/Fe 合成時の化学反応
図2Aは、いくつかの実施形態による、GOの脱酸素化に関しての熱重量分析(TGA)測定及び示差熱分析(DTA)測定を示している。図2Bは、FeClからの酸化鉄の形成に関してのTGA測定及びDTA測定を示している。図2Cは、自発的で同時的な、GOから還元型GO(r-GO)への還元とFeClから酸化鉄への酸化とに関してのTGA測定及びDTA測定を示している。
【0047】
図2Aによれば、約210℃でのGOの熱的脱酸素化は、約-1043ジュール/グラム(Jg-1)という大きな発熱ピークを呈しており、それにより、約550℃においては、グラファイトカーボンが酸化されて、COが生成される。GOの脱酸素化によって放出されるエネルギーは、FeClの酸化反応を促進するためのその場での動力源として機能する。図2Bによれば、FeClから酸化鉄への酸化反応を促進するのに必要な熱は、約269.6Jg-1であり、これは、GOの還元時に放出される熱の約4分の1に過ぎない。図2Cによれば、GO/FeCl混合物は、約205℃で約-471.6Jg-1という発熱ピークを示し、これにより、GOからr-GOへのその場での還元及びFeClから酸化鉄への酸化という酸化還元反応の自発性が確認される。よって、GO/FeCl混合物の反応を開始するためには、約100℃における吸熱ピークで指し示すような、7WのCOレーザに相当する約50.9Jg-1という、ごくわずかの熱量しか必要とされない。すべての測定は、空気中で行われた。
【0048】
LSG/Fe ナノ複合体の物理的特性評価
図3Aは、いくつかの実施形態による、LSG上で成長させた例示的なFeナノ粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示している。図示のように、電極の3次元(3D)トポグラフィは、電荷を蓄積するための大きな内部表面積を提供するマクロ多孔質ネットワークを形成している。この3D構造は、また、LSGネットワークに関するナノスペーサとして機能する酸化鉄ナノ粒子によっても支持されていて、電解質イオンが電極の電気活性表面全体と相互作用するための充分なスペースを提供し、これにより、より効率的な電荷蓄積が可能とされる。
【0049】
図3Bは、いくつかの実施形態による、例示的なLSG/Feに関する高倍率SEM画像を示している。図示のように、酸化鉄ナノ粒子は、導電性のLSGフレームワーク内において良好に分散しており、それにより、グラフェンは、各酸化鉄ナノ粒子同士の間において非常に強い(すなわち、密接な)結合を形成している。この強い結合は、酸化鉄ナノ粒子の凝集と、グラフェン層の再積層とを防止し、これにより、サイクルプロセス時における電子輸送と安定性とを増強することができる。
【0050】
図3Cは、いくつかの実施形態による、例示的なLSG/Feナノ複合体に関する横断電磁(TEM)画像を示している。図示のように、例示的なレーザ合成したLSG/Feナノ複合体は、LSGに対して固く結合した酸化鉄ナノ粒子の均一な分散を呈している。図3C内の挿入図は、例示的なLSG/Feナノ複合体の<311>結晶化度、及び約0.25nmというd間隔をさらに示している。この独自の構造は、導電性のLSGネットワーク全体にわたって、Feナノ粒子から酸化還元キャパシタンスを獲得するための効率的な経路を提供する。
【0051】
図3Dは、いくつかの実施形態による、LSG複合体内の例示的なFeに関する制限視野電子回折パターンの高解像度TEM画像を示している。図3D内の挿入図は、ピークのd間隔が、回折リングの位置から計算されることを示している。これらの計算されたピークは、表1に示すFeに関する参照データとよく一致している。
【表1】
【0052】
図3Eは、いくつかの実施形態による、例示的なLSG/Feナノ複合体に関するX線回折パターンを示している。図示のように、例示的なLSG/Feナノ複合体のX線回折パターンの回折ピークは、Fe(JCPDS019-0629による)に対して完全にインデックス対応しており、これにより、酸化鉄ナノ粒子が実際にFeであることを確認することができる。LSGは、約25°で弱くて幅が広いピークを呈し、また、未変換のGOのピークは、約11°で現れる。このことから、例示的なLSG/Feナノ複合体が、主に、LSG及びFeから構成されていることが示される。
【0053】
図3Fは、いくつかの実施形態による、外部磁場が無い場合と有る場合とについて、水溶液中に分散させた例示的なLSG/Feナノ複合体に関する写真を示している。水溶液中に分散させたLSG/Feナノ粒子の磁性は、最初に磁石を適用した時点と、磁力を約5分間にわたって作用させた時点と、そして、磁力を約1時間にわたって作用させた時点とにおいて示されている。図示のように、水溶液中のLSG/Feナノ粒子は、優れた磁気特性を保有していて、指向的な移動を呈しており、磁気による分離が可能である。
【0054】
図4Aは、いくつかの実施形態による、プラスチック基板上の例示的なLSG/Fe
膜に関する断面SEM画像を示している。図示のように、LSG/Fe膜の厚さは、約18.4μmである。
【0055】
図4Bは、いくつかの実施形態による、例示的なFeのd間隔に関する例示的な高解像度TEM画像を示している。この画像は、LSGシートの各々が、6nm~10nmサイズのFeナノ粒子によって包まれていることを示しており、図3CによるFe結晶の<311>面を確認することができる。
【0056】
図5は、いくつかの実施形態による、例示的なLSG/Feナノ複合体に関するTGAを示している。図示のように、電極のFe含有量は、約41重量パーセントである。
【0057】
1.0MのNa SO 電解質中におけるLSG/Fe 電極及び対称LSG/Fe スーパーキャパシタ
図6Aは、いくつかの実施形態による、LSG電極に関する及びLSG/Fe電極に関する例示的な3電極構成に関しての50ミリボルト/秒(mVs-1)でのサイクリックボルタンメトリー(CV)曲線を示している。図6Bは、いくつかの実施形態による、LSG電極に関する及びLSG/Fe電極に関する例示的な3電極構成に関しての70mVs-1でのCV曲線を示している。
【0058】
約50mVs-1及び約70mVs-1という走査速度で1.0MのNaSO電解質を使用した場合の3電極セル及び2電極対称スーパーキャパシタパウチセルについての負電圧ウィンドウ及び正電圧ウィンドウでの試験は、矩形形状を呈している。図中において、裸のLSGのキャパシタンスと比較した場合のキャパシタンスの著しい増加は、酸化鉄が可逆的な酸化還元反応を通して電荷蓄積に寄与していることを指摘している。さらに、CV曲線がなす矩形形状は、Feが、インターカレーションファラデー反応によってではなく、主に吸着による擬似キャパシタンスによって、電荷を蓄積することを指摘している。この電荷蓄積は、Feナノ粒子が著しく小さな粒子サイズ(約6nm)のものであって、表面に対しての酸化還元反応が制限されていることに起因し得る。酸化鉄ナノ粒子のところでのファラデープロセス時には、大きな導電性のマクロ多孔質LSGフレームワークに対して結合した電子は、電力密度を低下させることなく、エネルギー密度を高めることができる。さらに、1.0MのNaSO電解質を使用した場合のLSG/Fe電極の正電圧ウィンドウ及び負電圧ウィンドウは、陰極電流又は陽極電流の大幅な増加を引き起こすことなく、理想的なCV形状を呈している。このことは、陰極上においてHが生成されることがなく、かつ、陽極上においてOが生成されることもないことを意味している。よって、ナトリウムカチオン及び硫酸アニオンの強い溶媒和エネルギーのために、電解質分解電圧は、約1.23Vという熱力学的値と比較して、より大きなものとなる。さらに、ナトリウムカチオン及び硫酸アニオンの強い溶媒和エネルギーは、溶媒和シェル内における強い結合をもたらすとともに、約1.8Vまでは水の分解を防止する。この電位範囲においては、エネルギーは、水の分解を引き起こすことに代えて、溶媒和シェル内の結合を破壊するために消費される。
【0059】
図7Aは、10mVs-1、20mVs-1、30mVs-1、50mVs-1、70mVs-1、及び100mVs-1という様々な走査速度での1.0MのNaSO中での例示的な3つのLSG/Fe電極を備えたデバイスに関しての負の電圧ウィンドウ(Ag/AgClに対して、0V~-1.0V)におけるCV曲線を示している。図7Bは、10mVs-1、20mVs-1、30mVs-1、50mVs-1、70mVs-1、及び100mVs-1という様々な走査速度での図7Aのデバイスに関しての正の電圧ウィンドウ(Ag/AgClに対して、0V~0.8V)における同様のCV曲線を示している。図7Cは、様々な電流密度での例示的なLSG/Fe電極に関して
の負の電圧ウィンドウ(Ag/AgClに対して、0V~-1.0V)における充放電(CC)曲線を示している。図7Dは、様々な電流密度での例示的なLSG/Fe電極に関しての正の電圧ウィンドウ(Ag/AgClに対して、0V~0.8V)における同様のCC曲線を示している。図示のように、CVは、約100mVs-1まで増大する走査速度においては、矩形形状を維持するとともに、様々な電流密度でのCC曲線においては、理想的な三角形形状が観測されている。このことは、正の電圧ウィンドウ(Ag/AgClに対して、0V~約0.8V)と負の電圧ウィンドウ(Ag/AgClに対して、0V~約-1.0V)との双方における、電極の高速性能を指摘している。約20mVs-1という走査速度においては、負の電圧ウィンドウにおける例示的なLSG/Fe電極の面積あたりの比キャパシタンスは、約264mFcm-2(約691Fg-1)であり、正の電圧ウィンドウにおける例示的なLSG/Fe電極の面積あたりの比キャパシタンスは、約137mFcm-2(約357Fg-1)である。
【0060】
いくつかの実施形態においては、2つの電極は、同じ化学組成(3D多孔質グラフェンフレームワーク上におけるFeナノ粒子)を有し、それにより、いくつかの要素は、電極の極性に応じて、他の要素よりも多くの電荷を蓄積する。より詳細には、負電極のキャパシタンスが、主に、Feナノ粒子に起因し得るのに対し、グラフェンが、正電極における電荷蓄積を支配し得る。負電極においては、導電性のLSGネットワークが、3D集電体として機能することができ、これにより、電荷の蓄積及び電荷の送達のための、電子「スーパーハイウェイ」を提供することができる。これに対し、ナノ構造のFeは、短いイオン拡散経路によって、高速で可逆的なファラデー反応を可能にする。電極の3D多孔質構造は、Feのキャパシタ的な特性を最大限に活用することを可能とし、負電極の著しく大きなキャパシタンスを呈する。
【0061】
図8A図8Iにより、正電極及び負電極の電荷は、酸化還元活性電解質の使用を通して、等しい電荷を蓄積し得るように平衡化されることができる。
【0062】
約1.0MのNaSOを含む水性電解質中の対称3電極LSG/Feスーパーキャパシタの動作電圧は、動作電圧ウィンドウの結果に基づいて、約1.8Vであると予想される。約0.8Vから約1.8Vへと、約0.2Vという電圧インターバルにおける、イオン多孔質セパレータによって隔離された2つの同一のLSG/Fe電極を備えた例示的な対称LSG/Feスーパーキャパシタに関し、図6Bは、約70mVs-1という走査速度でのCV曲線を示しており、図9Aは、約4mAcm-2という電流密度でのCC曲線を示している。図示のように、アノード電流のいかなる大幅な増加も引き起こすことなく、1.8Vにおける矩形のCV形状は、セルの理想的なキャパシタ的振る舞いを呈しているとともに、水素又は酸素を発生させ得る水性電解質の分解が起こっていないことを示している。
【0063】
加えて、図9Aによれば、理想的な三角形形状のCC曲線は、非常に小さなIR降下を呈しているとともに、約1.8Vまでの電圧において大きなキャパシタンスを呈しており、そしてそれにより、電解質が安定していて分解していないことを示している。図9Bは、約100mVs-1という走査速度での例示的な裸のLSG対称スーパーキャパシタと、例示的なLSG/Fe対称スーパーキャパシタとの間の性能比較を示しており、この場合、約1.8Vという大きな動作電圧であってさえ、LSG/Feスーパーキャパシタの比キャパシタンスは、裸のLSGの比キャパシタンスと比較して、約10倍である。よって、例示的な対称LSG/Feスーパーキャパシタにおいては、1.8Vという動作電圧ウィンドウを得ることができる。
【0064】
対照的に、図10A及び図10Bにおいては、100mVs-1という電流密度でのかつ約1.8Vでの、例示的な裸のLSG対称スーパーキャパシタに関しての、及び、例示
的な未処理の酸化鉄対称スーパーキャパシタに関してのCV曲線が図示されている。この場合、双方の例示的なスーパーキャパシタは、明らかに、約1.2Vよりも大きな電圧において、水性電解質の分解を起こしている。約1.0MのNaSOを含む水性電解質内における対称3電極LSG/Feスーパーキャパシタの性能と比較することにより、LSG/Fe電極の特殊なアーキテクチャ形態と約1.0MのNaSO電解質との組合せに起因して、拡張された動作電圧とキャパシタンスとが顕著に改良されることが、指摘される。
【0065】
本明細書におけるLSG/Feスーパーキャパシタは、電極組成及び搭載質量に基づき、対称スーパーキャパシタとして分類され得るものではあるけれども、その組成は、非対称デバイスのように機能することができ、その場合、正電極及び負電極内に蓄積される電荷の大部分は、それぞれグラフェン及びFeに由来する。よって、非対称な電荷蓄積メカニズムは、水性スーパーキャパシタの電圧ウィンドウを約1.8Vへと増加させる。
【0066】
図11A及び図11Bは、約10mVs-1~約1000mVs-1という様々な走査速度の下での約1.8Vという電位ウィンドウにおける例示的なLSG/Feスーパーキャパシタに関するCV形状を示している。図中におけるCV曲線の矩形形状は、約1000mVs-1という非常に大きな走査速度においても維持されている。さらに、図12Aにおいては、約10,000mVs-1でおいてさえ、例示的なLSG/Feスーパーキャパシタに関するCV曲線の矩形性が確認される。よって、例示的なLSG/Fe対称スーパーキャパシタは、約1.8Vにおいて、高速性能を有した理想的なキャパシタンスを呈している。
【0067】
図12B図12Dは、約4mAcm-2~約400mAcm-2という様々な電流密度の下での例示的なLSG/Feスーパーキャパシタに関するCC曲線を示している。これにより、理想的な三角形の曲線形状によって、例示的なLSG/Feスーパーキャパシタが高性能であることを示している。例示的な2電極LSG/Feスーパーキャパシタの比キャパシタンスが、放電曲線を通して、電極ごとに約460Fg-1(約176mFcm-2)として測定された。
【0068】
図12Eに示すように、例示的なLSG/Feスーパーキャパシタは、約1100Ag-1という著しく大きな電流密度において約300Fg-1を示すことができる。電極ごとの比キャパシタンス、デバイスに関する面積キャパシタンス、及び様々な電流密度の下でのスーパーキャパシタ(集電体及びセパレータを含む)に関する全スタックキャパシタンスは、図12E及び図12Fからのデータに基づいて計算することができる。したがって、例示的なLSG/Feスーパーキャパシタは、電極内での高速イオン拡散及び高速電子拡散を可能とするLSG/Feの特殊な3Dアーキテクチャ形態を通して、優秀な高速性能を呈する。加えて、LSGの高導電性及び多孔質構造は、図13Aのナイキストプロットによる非常に小さな等価直列抵抗を表す0.35Ωcmというx切片によって確認されるように、酸化還元反応時には酸化鉄ナノ粒子に対しての効率的な電荷移動メカニズムを提供する。さらに、図13Aによる、半円の欠如、及び、低周波数での鉛直方向の立ち上がりラインは、電荷移動抵抗が無いこと、電極に対しての高速イオン拡散、及び、酸化還元反応時の高速電子移動を指摘している。
【0069】
さらに、図13Bにおける例示的なLSG/Feスーパーキャパシタに関するボード線図は、理想的なキャパシタにおける約-90°に近い約-82°という最大位相角度を呈しているとともに、約0.14秒という周波数応答時間(約-45°という位相角度における特性周波数f=7Hzの逆数)は、多くの従来の活性炭電気化学キャパシタと比較して、はるかに速い応答時間を示している。この高速の周波数応答は、例示的なLSG/Fe電極に関しての、LSGとFeナノ粒子と間の強力な相互作用を可能としかつマクロ多孔質LSGに対してのイオンのアクセス性の向上を可能としかつファラデー反応時の酸化鉄への高速電荷移動を可能とする優秀な3Dアーキテクチャ及び相互接続構造に、起因し得るものである。
【0070】
本明細書においては、2つのLSG/Fe電極とポリビニルアルコール(PVA)-NaSOゲル電解質とを含む、可撓性の大きな固体スーパーキャパシタが提供される。図13Cは、約100mVs-1での例示的な可撓性のLSG/Fe-PVA-NaSOスーパーキャパシタに関するCV曲線を示しており、約14mm、約7mm、及び約2.5mmという曲げ半径の下では、曲線はフラットである。図示のように、例示的なLSG/Fe-PVA-NaSOスーパーキャパシタに関してのフラットなCV曲線と、曲がりの大きなCV曲線(2.5mmという曲げ半径)との間には、無視できる程度の違いしか存在しない。よって、3D相互接続LSGフレームワーク内の大きな多孔質空間が、電極の変形を受容することのために、機械的な曲げは、ゲル電解質とLSG/Fe電極との間のイオン拡散及び電子拡散に対して、ほとんど影響を与えない。
【0071】
図13Cの挿入図は、発光ダイオードをオンにする例示的な曲げられた可撓性スーパーキャパシタを図示しており、これは、過酷な機械的ストレスの下であってさえも、優秀なキャパシタ性能を指摘している。
【0072】
電極の電気化学的性質
擬似キャパシタの研究は、通常、金属酸化物又は導電性ポリマーなどの電極材料を介した可逆的な酸化還元反応を改良することに焦点を合わせるけれども、固体電極材料に関するそのような依存は、擬似キャパシタンスの改良を制限してしまう可能性がある。よって、キャパシタンスは、酸化還元活性電解質(RE)とLSG/Feとを組み合わせて利用することによって、また、フェリシアニド/フェロシアニドRE電極を利用することによって、改良することができる。
【0073】
本明細書においては、非対称キャパシタ機構が提供され、その場合、正電極及び負電極は、同じ化学組成及び同じ搭載質量のものから形成され、電荷は、酸化還元電解質と平衡し、これにより、固体電極からの擬似キャパシタンスと、液体電解質からのファラデー反応と、を効果的に利用することができる。よって、負電極内のキャパシタンスは、電極(LSG/Fe)上の活物質に由来し、それにより、固体正電極は、電荷の蓄積に寄与し、電解質は、酸化還元を通してキャパシタンスを提供する。
【0074】
固体LSG/Fe電極からは、酸化鉄粒子は、以下の式に従って、可逆的な電荷移動プロセスを通して擬似キャパシタ的特性を呈する。
【数1】
【0075】
酸化ピークは、0.4Vにおいて現れ、還元ピークは、0.28Vにおいて現れる(図14における曲線Aを参照)。充電プロセスは、Fe2+からFe3+への酸化プロセスを伴い、他方、放電プロセスは、Fe3+からFe2+への還元プロセスを含む。
【0076】
RE側からは、酸化及び還元は、以下の式に示すファラデー反応に起因する。
【数2】
【0077】
各電極のキャパシタンス(3電極デバイスで測定された)は、以下の式を使用して、様々な電流密度でのCC曲線から計算された。
【数3】
【0078】
質量は、LSG/Fe活物質の質量を参照し、時間とU電圧とは、放電曲線から得られた。
【0079】
フルデバイスの比キャパシタンス、エネルギー密度、及び、電力密度も、また、CVプロファイルと定電流CC曲線との双方に基づいて計算された。
【0080】
CV技術に関しては、キャパシタは、以下の式を使用して、電位に対しての放電電流のプロットを積分することによって、計算された。
【数4】
ここで、iは、電流(A)であり、Vは、電位であり、νは、走査速度(V/s)であり、Uは、動作電位ウィンドウである。質量は、活物質(LSG/Feからなる2つの電極、及び、0.025Mの酸化還元添加剤)の質量を参照する。
【数5】
【0081】
体積は、パッケージを含めることなく、デバイス全体(集電体、活物質、電解質、及びセパレータ)に基づいて計算される。
【0082】
電極の比キャパシタンスは、フルセルから計算された。
【数6】
【0083】
デバイスの比エネルギー密度は、CCからの放電曲線を通して計算された。
【数7】
【数8】
【数9】
【0084】
デバイスの比電力密度は、次のようにして計算された。
【数10】
【数11】
【0085】
[Fe(CN) 3- /Fe(CN) 4- ]酸化還元活性電解質中におけるLSG/Fe 電極及び対称スーパーキャパシタの電気化学的性能
図14は、0.005MのRE[Fe(CN) 3-/Fe(CN) 4-]を使用した場合について、また、使用しない場合について、1.0MのNaSO電解質を使用しつつ高い比率(約82%)でFeを含有するときに、約5mVs-1での例示的な3つのLSG/Fe電極を備えたデバイスに関しての約5mVs-1での、0~約0.8Vという電位範囲にわたってのCV曲線を示している。図示のように、[Fe(CN) 3-/Fe(CN) 4-]電解質からなる酸化還元ペアは、キャパシタンスに対して寄与し、約1.8Vにおいてサイクル寿命を安定化させる。
【0086】
図14においては、0Mの場合のCVは、約0.22V及び約0.4Vのところに、2つの独立した酸化ピークを示している。0.4Vにおける幅広い酸化ピークは、0.005Mの酸化ピークと重なっている。このことは、この酸化ピークが、例示的なLSG/Fe電極からのものであることを指摘している。そして、0.22Vにおけるピークは、REからのものである。
【0087】
図示のように、例示的なLSG/Fe電極及びREに関する酸化還元反応は、図8Aに図示されたメカニズムでもって、独立的にかつ同時的に起こる。これとともに、電極材料と電解質材料との双方は、充電時には酸化され、電極と電解質との双方は、放電時には、同時的に還元される。
【0088】
図8B及び図8Cは、50mVs-1という走査速度での、また、8mAcm-2という電流密度での、1.0MのNaSO電解質中における様々な濃度の[Fe(CN) 3-/Fe(CN) 4-]を使用した場合の例示的なLSG/Fe3電極スーパーキャパシタに関するCV曲線を示している。非常に鋭い可逆的な酸化還元ピークが、図8Bにおいて見られる。このことは、[Fe(CN) 3-/Fe(CN) 4-]イオンが、非常に電気化学的に活性であることを指摘している。その上、図8Bは、約1.0MのNaSO中における、0Mも含めて、様々なREイオン濃度でのCV曲線を示している。REイオン濃度が、約0.025Mから約0.100Mへと増加するにつれて、特徴的な酸化還元ピークが増大するとともに、REイオンの寄与によるキャパシタンスが増大する。これにより、より多くのREイオンが、ファラデーキャパシタンスに対して、及び、電極へのシャトル電子に対して、寄与する。これにより、LSG/Fe電極の高い活性が促進される。
【0089】
図8Cは、約8mAcm-2という電流密度での、電解質内における酸化還元添加剤の様々な濃度における例示的なLSG/Fe電極に関するCC曲線を示している。図8Dは、図8DのCC曲線における放電時間に基づいて、様々な電流密度における例示的な電極の比キャパシタンスを示している。例示的なLSG/Fe電極と0.1MのREとを備えたデバイスは、約8mAcm-2において、約1489Fg-1(約570mFcm-2)という著しく大きな比キャパシタンスを呈する。これは、未処理の1.0
MのNaSO電解質のキャパシタンスよりも、約4倍大きなものである。この顕著な大きさのキャパシタンスは、REと結合した固体酸化鉄ナノ粒子であるとともに例示的なLSG/Fe電極どうしの間の電子移動を促進する固体酸化鉄ナノ粒子のところにおける、ファラデープロセスに起因することができる。図15に示すように、ナイキストプロットにより、さらに、例示的なLSG/Fe電極及び[Fe(CN) 3-/Fe(CN) 4-]酸化還元活性電解質の大きな導電性が確認される。これにより、酸化還元イオン濃度が増加するにつれて、ナイキストプロットにおける切片の値が減少していき、電極と電解質との界面における小さな電荷移動抵抗が観測される。
【0090】
2電極デバイス及び3電極デバイスは、セパレータを有した同じREにおいて安定であると予想されるけれども、2電極デバイスは、REが高濃度である場合には、非常に異なる性能を呈する。なぜなら、フルスーパーキャパシタの場合には、正電極と負電極との間の電荷平衡が、満足のいくキャパシタ性能を得るために重要であって、Q=Qという関係式に従う必要があるからである。図8Eは、LSG/Fe電極を含む例示的な対称3電極スーパーキャパシタに関しての、正ウィンドウと負ウィンドウとの双方(約0~約-1V、及び、約-0.2~約0.8V)における、RE無しの場合と0.025MのREを使用した場合とについての、約20mVs-1でのCV曲線を示している。図示のように、REに関する様々な濃度での、負の電圧ウィンドウと正の電圧ウィンドウとの双方に関する電荷値あたりにつき、図8Fによる最適のRE濃度は、対称LSG/Feスーパーキャパシタに関して、約0.025Mである。よって、REイオン濃度の増加は、例示的なデバイスの正電極のキャパシタンスをわずかに増大させるけれども、負電極に対しては、無視できる程度の影響しか有していない可能性がある。したがって、電解質中のRE濃度の増加は、2電極デバイスのキャパシタンスの増加とは相関しない可能性がある。なぜなら、高濃度の下では、正電荷と負電荷とのバランスが取れず、正電荷の一部が、図16Aによれば、負電極と正電極との間において電荷を蓄積することに代えて、電解質の分解のために使用されるからである。よって、例示的な2電極デバイスは、REが高濃度である場合には、小さなクーロン効率を呈し得る。しかしながら、2電極デバイス内の電解質濃度が約0.025Mである場合には、電解質を分解させることがなく、キャパシタンスが増加する。例示的な2電極デバイスに関し、列挙された様々なRE濃度について、図16Bは、50mVs-1でのCV曲線を示しており、図16Cは、面積キャパシタンス及びクーロン効率を示している。
【0091】
図8G及び図8Hは、約0.025MのREの添加の前後に関し、例示的な2電極セルのCV曲線及びCC曲線について、例示的なデバイスの理想的な振る舞いを示している。図8Gにおいては、REを使用した場合のCV曲線は、曲線の下方の面積が通常の電解質と比較して2倍に増加することを示しており、また、REの特徴的な酸化還元ピーク(約1.1V、及び、約0.9V)も示している。図8Hによれば、CC曲線の形状も、また、通常の電解質と比較して放電時間が2倍になっていることと関連して、CV曲線に現れている約1.1V及び約0.9Vにおける酸化還元ピークに従っている。図17A図17Dに示すように、例示的なデバイスは、大きな走査速度(例えば、約1000mVs-1)においてさえ、また、大きな電流密度(例えば、約80mAcm-2)においてさえ、非常に明確な酸化還元ピークを呈する。これらの結果は、LSG/Fe電極の独自の特性に基づき、RE電解質が非常に高速の電子移動を経験することを意味している。図8Iは、印加された電流密度の関数としてプロットされた、面積キャパシタンス及びスタックキャパシタンスを示している。スタックキャパシタンスは、集電体、活物質、電解質、及びセパレータの体積に基づいて計算された。図8Iによれば、0.025MのREを使用した場合の最大スタックキャパシタンスは、20mVs-1という走査速度において約25.6Fcm-3(約716Fg-1電極)に到達し、300mVs-1という大きな走査速度において、なおも、19.2Fcm-3(535Fg-1電極)を維持した。さらに、0.025MのREを使用した場合の例示的なデバイスのスタックキャパシタンスは、裸の1.0MのNaSO電解質のスタックキャパシタンスと比較して約2倍である。この優秀なキャパシタ的振る舞いは、固体電極とREとの双方が相乗的に作用して電荷をより効率的に蓄積するというハイブリッドLSG/Fe電極に起因し得る。
【0092】
放電測定及び漏れ測定
スーパーキャパシタに関する主要な設計上の考慮事項の1つは、自己放電速度である。すなわち、開放回路条件下においてセルが如何に速く電荷を失うかである。酸化還元電解質に関する2つの異なる濃度でもって2時間にわたって約1.8Vまで例示的なデバイスを充電した後に得られた自己放電曲線が、図18A及び図18Bに図示されている。図18A及び図18Bは、酸化還元電解質の濃度が大きいほど、自己放電速度がより速くなることを指摘している。より詳細には、0.025MのREを使用した例示的なデバイスは、約120時間で1/2Vmax(約0.9V)へと自己放電するのに対し、0.05MのREを使用したものは、約40時間で約0.9Vへと自己放電する。これは、2時間で最大充電電圧の半分にまで自己放電する(すなわち、t1/2max=2時間)市販のキャパシタよりも優秀である。言い換えれば、本開示における例示的なデバイスの漏れ電流の値は、約0.00368mAであり、これは、約12時間にわたって電圧を保持した後に、約1.8Vを維持するために必要とされる値である。この優秀な自己放電性能は、本明細書において説明したLSG/Feスーパーキャパシタの有望性を示している。
【0093】
LSG/Fe 交互嵌合マイクロスーパーキャパシタの直接的な製造
小型の携帯用電子機器における最近の傾向により、電子回路内へと容易に組み込み得る小型エネルギー貯蔵デバイスの需要が高まってきている。いくつもの複雑なステップを必要とする旧来の技術とは異なり、本明細書において説明するレーザ技術を使用すれば、図19Aに示すように、マイクロスーパーキャパシタを、数分間以内に、任意の形状及び任意のサイズへと、直接的にパターニングすることができる。
【0094】
例示的なLSG/Fe電極膜は、7WのCOレーザの下で製造される。これにより、出発材料(FeCl+GO)がLSG/Fe電極へと変更される。その後、24WのCOレーザを使用することにより、交互嵌合フィンガーパターン電極を形成することができる。高出力レーザの下では、すべての活物質及び集電体が、エッチング除去され、セパレータとして機能する。図19Bは、3つの正のマイクロ電極と3つの負のマイクロ電極とを備えたマイクロスーパーキャパシタを示している。図示のように、パターンは、正及び負のマイクロ電極同士の間において何らのオーバーラップも短絡も起こすことなく、明確に規定されている。このレーザ技術は、単純な単一ステップでもってマイクロスーパーキャパシタを製造することを可能とし、これにより、エネルギーモジュール用に、互いに直列に接続された及び互いに並列に接続された複数のセルの製造を可能とする。本明細書における方法によって製造されたマイクロスーパーキャパシタモジュールは、簡単な方法で作製し得るとともに、何らの追加的な処理を行う必要なく、電子回路内へとオンチップ集積化するに際して好適である。
【0095】
1.0MのNaSO電解質を使用した例示的なマイクロスーパーキャパシタは、図19Cに示すように、約100mVs-1という条件下で約1.8Vにおいて動作した場合であってさえ、理想的な矩形形状のCVを呈している。明確な酸化還元ピークは、約0.025MのREを添加したときに観測され、また、図20Aにより、例示的なデバイスのCC曲線においても顕著である。さらに、例示的なデバイスは、図20A及び図20BにおけるCC曲線並びに図20CにおけるCV曲線によれば、0.025MのREを使用した場合に、2.1倍のキャパシタンスを呈するとともに、高速で可逆的な充放電特性を呈し、さらに、可変的な電流密度を呈する。
【0096】
図21Aは、直列接続された2つのセルを有した例示的なタンデムモデルに関する写真を示している。このタンデムモデルの電気化学的性能は、図21B及び図21Cに示されている。単一セルの場合に約1.8Vであるのに対して、モジュールの電圧は、約3.6Vである。図21Cに示すように、例示的なタンデムデバイスに関するCC曲線も、非常に小さな電圧降下を呈している。これにより、これらのマイクロスーパーキャパシタを直列に接続したときには小さな内部抵抗を有した優秀な性能を示すことが指摘される。これにより、実際の応用に対してのマイクロスーパーキャパシタモジュールの実現可能性が確認される。
【0097】
LSG/Fe ベースのスーパーキャパシタとLSG/Fe ベースのマイクロスーパーキャパシタとの性能比較
以下の表2は、2つの電極活物質(LSG/Fe)と約0.025MのREとによって正規化した場合に、1.0MのNaSOを使用した例示的な対称LSG/Feスーパーキャパシタと、約1.0MのNaSO中において約0.025Mの[Fe(CN) 3-/Fe(CN) 4-]を使用したLSG/Feスーパーキャパシタと、約1.0MのNaSO中において約0.025Mの[Fe(CN) 3-/Fe(CN) 4-]を使用したLSG/Feマイクロスーパーキャパシタとに関しての、比キャパシタンス、エネルギー密度、及び電力密度の概要を示している。体積は、パッケージを含めることなく、デバイス全体(集電体、活物質、電解質、及びセパレータ)に基づいて計算される。
【表2】
【0098】
報告されているスーパーキャパシタと比較した場合のLSG/Fe ベースのスーパーキャパシタの性能
図22Aによれば、本明細書において提供される例示的なLSG/Fe対称スーパーキャパシタは、水性電解質中において約1.8Vで動作する現在利用可能な唯一の酸化鉄スーパーキャパシタである。例示的なLSG/Feスーパーキャパシタ-酸化還元電解質(SC-RE)デバイスは、約716Fg-1という比キャパシタンスを示すことができ、これは、従来の1.0MのNaSO電解質LSG/Feスーパーキャパシタセルデバイスと比較して、約1.5倍大きなものである。よって、本明細書における、酸化還元活性電解質を使用したLSG/Fe電極は、劇的に改良された動作電圧及びキャパシタンスを提供する。
【0099】
例示的なLSG/Fe電気化学キャパシタをなす各デバイスにおける活物質の総質量に基づく、エネルギー密度と電力密度との間の関係を記述するラゴンプロットが、図22Bに提示されている。図示のように、例示的なSC-REデバイスは、約121Whkg-1というエネルギー密度を示すことができる。さらに、約55.9kWkg-1
いう非常に大きな電力密度であってさえ、SC-REは、約93.2Whkg-1というエネルギー密度を呈している。このスーパーキャパシタの最大電力密度は、約201kWkg-1であり、これは、これまでに公開されている酸化鉄ハイブリッドスーパーキャパシタよりも2桁大きな値である。フェロシアニド酸化還元メディエータの質量は、すべての計算に含まれた。
【0100】
図22Cは、活物質と集電体とセパレータと電解質とを含むフルデバイスの体積に基づくラゴンプロットを示しており、LSG/Feスーパーキャパシタを、市販のリチウム薄膜バッテリ、炭素ベースのスーパーキャパシタ、アルミニウム電解キャパシタ、従来的なサンドイッチ型スーパーキャパシタ、及び、交互嵌合型マイクロスーパーキャパシタと比較している。本明細書における例示的なSC-REのエネルギー密度は、約17.4mWhcm-3であり、これは、任意の市販の活性炭電気化学キャパシタよりも約15倍大きく、リチウム薄膜バッテリよりも約1.5倍大きい。さらに、本明細書における例示的なSC-REは、約63Wcm-3という電力密度を提供し得るように構成されており、これは、リチウム薄膜バッテリよりも10,000倍速いものである。したがって、酸化還元電解質と組み合わせたLSG/Feデバイスは、将来のエネルギー貯蔵デバイスの優秀な候補となり得る。
【0101】
長いサイクル寿命は、実用的なエネルギー貯蔵デバイスにとっての他の重要な特性である。酸化還元電解質とLSG/Feとの組合せは、キャパシタンスを増大させるだけでなく、大きな動作電圧でのデバイスのサイクル寿命も安定させる。図22Dは、酸化還元電解質を使用した場合及び使用しなかった場合の例示的な対称LSG/Feスーパーキャパシタに関しての、約5,000サイクルにわたって約12mAcm-2という電流密度で充放電した際のサイクル性能を示している。例示的な対称LSG/Feスーパーキャパシタは、1.0MのNaSO水性電解質中において約1.8Vで動作し得るけれども、電解質の分解によってガス(H又はO)が発生してこのガスが集電体から活物質を分離させるために、約1Vの場合の方がより大きなサイクル寿命を呈する。約0.025MのREを約1.0MのNaSO中に添加することにより、サイクル寿命が、約5,000サイクルで約90%というキャパシタンス維持率へと改良される。SC-REデバイスにおいては、フェロシアニド酸化還元メディエータが、充放電時に主要な役割を果たすことができる。
【0102】
酸化還元メディエータが無い場合には、正電極及び負電極は、電荷バランスを取ることができない可能性がある。このことは、負電極が、正電極と比較して、サイクル安定性において、より劣化を受けやすい可能性があり、これにより、スーパーキャパシタのサイクル安定性を低下させ得ることを意味している。しかしながら、酸化還元メディエータが電解質に添加された後には、正電極と負電極とのバランスが取れ、より良好なサイクル寿命が期待される。
【0103】
スーパーキャパシタは、用途のための充分な動作電圧をモジュールに対して供給し得るよう、直列でパッケージングされることが多い。図22Eは、直列接続された例示的な2つのLSG/Fe電極スーパーキャパシタが、約3.6Vで約3分間にわたって充電されたときには、約1時間にわたって、様々な色の複数のLEDを、すなわち、5mm、2.6V、20mAの緑色のLEDと、5mm、3.4V、20mAの青色のLEDと、5mm、1.9V、20mAの赤色のLEDと、5mm、3.6V、20mAの白色のLEDとを、明るく点灯できることを示している。これらの結果は、実用的な用途に対してのLSG/Feスーパーキャパシタの潜在能力を実証している。
【0104】
スーパーキャパシタ及びマイクロスーパーキャパシタの実効的な厚さ
図23A及び図23Bは、例示的なLSG/Feサンドイッチ型スーパーキャパ
シタ、及び、交互嵌合型のマイクロスーパーキャパシタに関しての概略的な断面図を提供している。図示のように、サンドイッチ型デバイスの実効的な厚さは、約72.6μmであり、これに対し、平面デバイスに関しては、約23.8μmに過ぎない。
【0105】
本開示の好ましい実施形態について、本明細書において図示して説明したけれども、当業者には、そのような実施形態が例示として提供されているに過ぎないことは自明であろう。ここで、当業者であれば、本開示から逸脱することなく、様々な変形、様々な変更、及び様々な置換を想起するであろう。本開示を実施するに際して、本明細書において説明した本開示の実施形態に対する様々な代替物を使用し得ることは、理解されるべきである。以下の特許請求の範囲が、本開示の範囲を規定することが意図されているとともに、それらの特許請求の範囲内の方法及び構造並びにそれらの均等物が、本開示の範囲によってカバーされることが意図されている。
【実施例0106】
実施例1:LSG/Fe 電極の合成
例示的な合成/製造方法においては、GOを、修正ハマー法を使用して、グラファイトフレークから合成した。粉末状の約100mgのFeCl・6HOを連続的に攪拌しながら、約20mLのGO分散水(約2mgml-1)に対して、徐々に添加した。続いて、約30分間にわたって超音波処理を行った。一様な溶液を、金によってスパッタリングされたポリイミドシート上へとドロップキャストし、周囲条件下において約12時間にわたって乾燥させた。乾燥した膜を、7WのCOレーザ(フルスペクトラムレーザHシリーズ)に対して曝し、これにより、LSG/Fe膜を合成した。レーザに対して曝した後には、LSG/Fe膜を脱イオン水によって洗浄し、スーパーキャパシタの電極として直接的に使用した。微細構造の電極を作製するに際しては、活物質(LSG/Fe)及び集電体を、24WのCOレーザ(フルスペクトラムレーザHシリーズ)を使用して、6個のものが交互嵌合してなる1つの電極パターンを切り出した。
【0107】
実施例2:LSG/Fe 電極の合成
LSG/Fe電極を、その場での、GOの還元とFeClの酸化とにより、製造した。GOスラリー及びFeCl粒子を水中へと充分に分散させた。静電効果により、Fe3+は、GOの親水性酸素官能基の負に帯電した部分上へと吸収された。約30分間にわたっての超音波処理の後に、GOによって包まれたFe3+カチオン粒子が得られた。COレーザエッチングを行った後に、混合サンプルに関し、Fe3+(FeCl)からFeへの酸化と、GOからLSGへの還元とを同時的に行い、これにより、LSGによって包まれたFeを正常に合成した。
【0108】
実施例2:LSG/Fe スーパーキャパシタ及びマイクロスーパーキャパシタの製造
電極を、銅テープに対して、及び、集電体として金によってスパッタリングされたポリイミドに対して、接続することによって延長した。これらの延長電極を、電気化学的特性評価のために、Biologic VMP3ワークステーションに対して接続した。ポリイミドテープを使用して、銅テープを電解質に対しての曝露から絶縁した。対称LSG/Feスーパーキャパシタを、ポリプロピレンなどのイオン多孔性メンブランによって隔離された2個のLSG/Fe電極から構築した。次に、電解質を添加し、その後、ポリイミドテープを使用して、これらの2つの電極とセパレータとを組み立てた。加えて、電極とワークステーションとの間の接続を改良するために、対称マイクロスーパーキャパシタ電極を、エッジに沿って銅テープによって延長した。ポリイミドテープを使用して銅テープを被覆し、これにより、マイクロスーパーキャパシタの領域を規定した。電解質をマイクロスーパーキャパシタの活性領域上にコーティングした。
【0109】
実施例3:全固体状態のスーパーキャパシタの組立
ゲル電解質を、脱イオン水(約10mL)内において、等量のNaSO(例えば、約1g)及びポリビニルアルコール(例えば、約1g)に混合することにより、そしてその後、約80℃で約1時間にわたって攪拌することにより調製した。得られたゲル電解質を電極に対して適用し、そして、約60分間にわたって放置した。これにより、電極表面の完全な湿潤を確保した。電解質が充填された2つの電極を組み立てて、完全に固化するまで、室温で約12時間にわたって乾燥させた。
【0110】
実施例4:材料の特性評価及び電気化学的測定
LSG/Feの走査型電子顕微鏡による特性評価を、Nova 600 SEM/FIBデバイスを使用して実施した。活物質の質量を、Mettler Toledo
MX5微量天秤によって測定し、これにより、約382.4マイクログラム/平方センチメートル(μgcm-2)であることが判明した。LSG/Feハイブリッドキャパシタの実効的な厚さは、活物質と基板(約23.8μm)とセパレータ(約25μm)とを含めて、約72.6μmであった。TEM画像、及び、制限視野電子回折パターンを、約200kVで動作するTecnai G2TF20 TEM(FEI Inc.)上において収集した。高分解能TEM、及び、制限視野電子回折データを、EMMENU4及びImageJソフトウェアを使用して分析した。熱重量分析及びDTAを、空気中において、約10℃min-1という加熱速度でもって、Perkin Elmer Diamond Pyris TGA上において実行した。X線回折スペクトルを、約0.154nmという波長を有したCuのKα放射線を使用して、Panalytical X‘Pert ProX線粉末回折計上において記録した。LSG/Fe電極の電気化学的性能を、様々な電解質を使用しつつ、CV測定、定電流CC測定、及び電気化学インピーダンス分光法(EIS)測定によって特性評価した。LSG/Fe電極の試験を、対向電極としての白金プレート(Aldrich)及び参照電極としてのAg/AgClを使用した3電極セルを使用して実行した。LSG/Fe対称スーパーキャパシタ及びマイクロスーパーキャパシタ(2電極セル)を、CV実験、CC実験、及びEIS実験を使用して特性評価した。EIS測定を、1MHz~10mHzという周波数範囲にわたって10mVという振幅の正弦波信号を使用して、開放回路電位において行った。すべての電気化学データを、10-A電流ブースタ(VMP3b-10、USA Science Instrument)を備えたBiologic VMP3電気化学ワークステーションを使用して収集した。
【0111】
[用語及び定義]
特段に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語は、本明細書において説明されるデバイスが属する技術分野における当業者によって一般的に理解される意味と、同じ意味を有している。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される際には、「1つの」(a, an)及び「その」(the)という単数形は、文脈からそうでないことが明確に示されない限り、複数形の参照を含んでいる。本明細書における「又は」(or)へのすべての参照は、特段に言及しない限り、「及び/又は」(and/or)を包含することが意図されている。
【0112】
本明細書において使用される際には、特段に規定しない限り、「約」(about)又は「
およそ」(approximately)という用語は、当業者によって決定される特定の値に関する
許容誤差であるとともに、その値に関しての測定方法又は決定方法に部分的に依存するような許容誤差を意味する。ある種の実施形態においては、「約」又は「およそ」という用語は、与えられた値又は与えられた範囲の、30%以内、25%以内、20%以内、15%以内、10%以内、9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、1%以内、0.5%以内、0.1%以内、又は、0.05%以内を意味する。ある種の実施形態においては、「約」又は「およそ」という用語は、比率に関して使用された場合には、与えられた比率又は与えられた比率範囲の、30%以内、25%以内、20%以内、15%以内、10%以内、9%以内、8%以内、7%以内、6%以内、5%以内、4%以内、3%以内、2%以内、1%以内、0.5%以内、0.1%以内、又は、0.05%以内を意味する。
図1
図2-1】
図2-2】
図3-1】
図3-2】
図4
図5
図6
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図7-2】
図8-1】
図8-2】
図8-3】
図8-4】
図8-5】
図9
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図11
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図12-2】
図12-3】
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図13-2】
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図15
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図16-2】
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図18
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図20-2】
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図22-3】
図23