(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120289
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】ロック解除機構を備えるヘッドギア
(51)【国際特許分類】
A61M 16/06 20060101AFI20230822BHJP
A61M 16/00 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
A61M16/06 Z
A61M16/06 A
A61M16/00 305A
【審査請求】有
【請求項の数】28
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023097490
(22)【出願日】2023-06-14
(62)【分割の表示】P 2020548915の分割
【原出願日】2019-03-14
(31)【優先権主張番号】62/644,002
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504298349
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】マクラーレン マーク アーヴィンド
(72)【発明者】
【氏名】ハダート ブレット ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ハマー イェルーン
(72)【発明者】
【氏名】スライト マシュー ロバート ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】カペレヴィッチ ヴィタリー
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス デイヴィッド モンロイ
(72)【発明者】
【氏名】トムリンソン マーク リチャード
(57)【要約】 (修正有)
【課題】頭部係合部分を備える呼吸マスク用ヘッドギアのロック解除機構を提供する。
【解決手段】呼吸マスク及び頭部係合部分を備える呼吸マスクシステムが提供され、頭部係合部分は、解除可能機構を介して装着者の頭部と係合するように呼吸マスクに結合するように構成される。解除可能機構は、頭部係合部分に取り付けられた連結部材と、呼吸マスクに取り付けられ且つ連結部材を受け入れるように構成された解除部材であって、第1位置と第2位置との間で移動可能であるように構成された解除部材と、マスクの装着者が解除部材を第1位置に向かって移動させるのを可能にするように構成された制御部と、解除部材によって画定され且つ連結部材に摩擦力をかけるように構成された1つ又は複数の表面とを備えることができる。
【選択図】
図32
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸マスク用ヘッドギアであって、
フィラメントを備える少なくとも1本のストラップと、
前記フィラメントに関して係合形態及び解除形態を有する方向性ロックと、
前記ロックを前記解除形態で保持するように動作可能な解除部材と、
を備えるヘッドギア。
【請求項2】
前記解除部材に前記ロックを前記解除形態で保持させるように前記解除部材に作用するように構成されたアクチュエータをさらに備える、請求項1に記載のヘッドギア。
【請求項3】
前記アクチュエータが、前記解除部材に作用するように選択的に動作可能である、請求項2に記載のヘッドギア。
【請求項4】
前記アクチュエータが、可動バー又はボタン及びハンドルのうちの1つに結合されている、請求項3に記載のヘッドギア。
【請求項5】
前記アクチュエータが、使用者が前記使用者の顔面からマスクを引き離すときに前記解除部材に自動的に作用するように構成されている、請求項2に記載のヘッドギア。
【請求項6】
前記アクチュエータが、前記少なくとも1本のストラップに結合され且つ前記呼吸マスクに対して移動可能であるように構成されたアームを備える、請求項5に記載のヘッドギア。
【請求項7】
前記解除部材が、通常は、前記ロックをその解除形態で保持しないように付勢されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のヘッドギア。
【請求項8】
前記少なくとも1本のストラップが、第1ストラップ部分及び第2ストラップ部分を備え、前記フィラメントが、前記第1ストラップ部分及び前記第2ストラップ部分のうちの一方に取り付けられ、前記第1ストラップ部分及び前記第2ストラップ部分が、前記少なくとも1本のストラップの長さを変更するように互いに対して移動可能である、請求項1~7のいずれか一項に記載のヘッドギア。
【請求項9】
前記少なくとも1本のストラップが、前記ヘッドギアの頭部係合部分とマスク係合部分との間で延在している、請求項1~8のいずれか一項に記載のヘッドギア。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のヘッドギアを備えるマスクアセンブリであって、
フレームと、
ハウジング及びシールを備えるクッションモジュールと、
を備えるマスク
を備え、
前記マスクが、前記クッションモジュールを前記フレームに接続するように構成された接続構成を備え、前記接続構成が、前記クッションモジュール及び前記フレームのうちの一方に位置する少なくとも1つの突起と、前記クッションモジュール及び前記フレームのうちの他方に位置する少なくとも1つの凹部とを備え、前記少なくとも1つの突起が、前記クッションモジュールを前記フレームに固定するように前記少なくとも1つの突起と係合するように構成されている、マスクアセンブリ。
【請求項11】
前記クッションモジュールが、前記フレームのカラーを受け入れる開口部を画定する円筒状壁を備える、請求項10に記載のマスクアセンブリ。
【請求項12】
前記少なくとも1つの突起が、前記円筒状壁において円周方向に延在し、前記少なくとも1つの凹部が、前記カラーにおいて円周方向に延在している、請求項11に記載のマスクアセンブリ。
【請求項13】
前記円筒状壁が、前記ハウジングの外壁から前記クッションモジュールの呼吸チャンバ内に延在している、請求項11又は12に記載のマスクアセンブリ。
【請求項14】
前記クッションモジュール及び前記フレームのうちの一方によって画定された凹部と、前記クッションモジュール及び前記フレームのうちの他方によって画定された突起とを備える位置合わせ特徴部をさらに備え、前記突起が、前記フレームに対する前記クッションモジュールの回転方向の位置合わせを容易にするように前記凹部と係合するように構成されている、請求項11~13のいずれか一項に記載のマスクアセンブリ。
【請求項15】
前記ヘッドギアが、前記ヘッドギアを前記マスクに接続するように構成されたヨークを備える、請求項10~14のいずれか一項に記載のマスクアセンブリ。
【請求項16】
前記ヨークが、中心部分と、前記中心部分から延在する少なくとも1つのアームとを備え、前記少なくとも1つのアームが、前記ヘッドギアの少なくとも1本のストラップに接続するように構成されている、請求項15に記載のマスクアセンブリ。
【請求項17】
前記フレームがリップを備え、前記ヨークが、前記ヨークを前記フレームに固定するように前記リップと選択的に係合するように構成された少なくとも1つのフック状接続フィンガを備える、請求項16に記載のマスクアセンブリ。
【請求項18】
前記リップが、前記フレームの周辺部に沿って延在している、請求項17に記載のマスクアセンブリ。
【請求項19】
前記リップが、前記フレームの前面から延在している、請求項17又は18に記載のマスクアセンブリ。
【請求項20】
前記少なくとも1つのフック状接続フィンガが、前記少なくとも1つのアームと前記中心部分との接合部に隣接して位置している、請求項17~19のいずれか一項に記載のマスクアセンブリ。
【請求項21】
前記少なくとも1つのフック状接続フィンガに隣接して位置し、前記少なくとも1つのフック状接続フィンガのたわみを促進するように構成された凹部をさらに備える、請求項17~20のいずれか一項に記載のマスクアセンブリ。
【請求項22】
前記少なくとも1つのフック状接続フィンガに隣接して位置し、前記少なくとも1つのフック状接続フィンガのたわみを促進し、且つ/又は前記少なくとも1つのアーム及び前記少なくとも1つのフック状接続フィンガの移動を切り離すように構成された間隙をさらに備える、請求項20又は21に記載のマスクアセンブリ。
【請求項23】
前記間隙が、前記ヨークの後壁を完全に貫通して延在している、請求項22に記載のマスクアセンブリ。
【請求項24】
前記少なくとも1本のストラップが複数のストラップを含み、前記少なくとも1つのアームが複数のアームを含む、請求項16~23のいずれか一項に記載のマスクアセンブリ。
【請求項25】
前記ストラップの数が前記アームの数とは異なる、請求項24に記載のマスクアセンブリ。
【請求項26】
呼吸マスク用ヘッドギアであって、
フィラメントを備える少なくとも1本のストラップと、
ある方向における前記フィラメントの移動を、前記方向における最小の力が前記フィラメントに加えられるまで制限するように構成された方向性ロックと、
前記フィラメントを前記方向に移動させるために必要な前記最小の力を低減させるように動作可能である解除部材と、
を備えるヘッドギア。
【請求項27】
前記解除部材が、通常は、前記最小の力が低減する位置から離れるように付勢されている、請求項26に記載のヘッドギア。
【請求項28】
前記方向性ロックの前記最小の力が、約2ニュートン~8ニュートンである、請求項26又は27に記載のヘッドギア。
【請求項29】
前記方向性ロックの前記最小の力が、約4ニュートン~6ニュートンである、請求項26又は27に記載のヘッドギア。
【請求項30】
フィラメントを含まない少なくとも1本のストラップをさらに備える、請求項26~29のいずれか一項に記載のヘッドギア。
【請求項31】
前記解除部材を動作させるように構成されたアクチュエータをさらに備える、請求項26~30のいずれか一項に記載のヘッドギア。
【請求項32】
前記アクチュエータが、前記解除部材に作用するように選択的に動作可能である、請求項31に記載のヘッドギア。
【請求項33】
前記アクチュエータが、可動バー又はボタン及びハンドルのうちの1つに結合されている、請求項32に記載のヘッドギア。
【請求項34】
前記アクチュエータが、使用者が前記使用者の顔面からマスクを引き離すとき、前記解除部材に自動的に作用するように構成されている、請求項31に記載のヘッドギア。
【請求項35】
前記アクチュエータが、前記少なくとも1本のストラップに結合され且つ前記呼吸マスクに対して移動可能であるように構成されたアームを備える、請求項34に記載のヘッドギア。
【請求項36】
請求項1~9のいずれか一項に記載のヘッドギアを備えるマスクアセンブリであって、
フレームと、
ハウジング及びシールを備えるクッションモジュールと、
を備えるマスク
を備え、
前記マスクが、前記クッションモジュールを前記フレームに接続するように構成された接続構成を備え、前記接続構成が、前記クッションモジュール及び前記フレームのうちの一方に位置する少なくとも1つの突起と、前記クッションモジュール及び前記フレームのうちの他方に位置する少なくとも1つの凹部とを備え、前記少なくとも1つの突起が、前記クッションモジュールを前記フレームに固定するように前記少なくとも1つの凹部と係合するように構成されている、マスクアセンブリ。
【請求項37】
前記クッションモジュールが、前記フレームのカラーを受け入れる開口部を画定する円筒状壁を備える、請求項36に記載のマスクアセンブリ。
【請求項38】
前記少なくとも1つの突起が、前記円筒状壁において円周方向に延在し、前記少なくとも1つの凹部が、前記カラーにおいて円周方向に延在している、請求項37に記載のマスクアセンブリ。
【請求項39】
前記円筒状壁が、前記ハウジングの外壁から前記クッションモジュールの呼吸チャンバ内に延在している、請求項36又は37に記載のマスクアセンブリ。
【請求項40】
前記クッションモジュール及び前記フレームのうちの一方によって画定された凹部と、前記クッションモジュール及び前記フレームのうちの他方によって画定された突起とを備える位置合わせ特徴部をさらに備え、前記突起が、前記フレームに対する前記クッションモジュールの回転方向の位置合わせを容易にするように前記凹部と係合するように構成されている、請求項36~38のいずれか一項に記載のマスクアセンブリ。
【請求項41】
前記ヘッドギアが、前記ヘッドギアを前記マスクに接続するように構成されたヨークを備える、請求項36~40のいずれか一項に記載のマスクアセンブリ。
【請求項42】
前記ヨークが、中心部分と、前記中心部分から延在する少なくとも1つのアームとを備え、前記少なくとも1つのアームが、前記ヘッドギアの少なくとも1本のストラップに接続するように構成されている、請求項41に記載のマスクアセンブリ。
【請求項43】
前記フレームがリップを備え、前記ヨークが、前記ヨークを前記フレームに固定するように前記リップと選択的に係合するように構成された少なくとも1つのフック状接続フィンガを備える、請求項42に記載のマスクアセンブリ。
【請求項44】
前記リップが、前記フレームの周辺部に沿って延在している、請求項43に記載のマスクアセンブリ。
【請求項45】
前記リップが、前記フレームの前面から延在している、請求項43又は44に記載のマスクアセンブリ。
【請求項46】
前記少なくとも1つのフック状接続フィンガが、前記少なくとも1つのアームと前記中心部分との接合部に隣接して位置している、請求項43~45のいずれか一項に記載のマスクアセンブリ。
【請求項47】
前記少なくとも1つのフック状接続フィンガに隣接して位置し、前記少なくとも1つのフック状接続フィンガのたわみを促進するように構成された凹部をさらに備える、請求項43~46のいずれか一項に記載のマスクアセンブリ。
【請求項48】
前記少なくとも1つのフック状接続フィンガに隣接して位置し、前記少なくとも1つのフック状接続フィンガのたわみを促進し、且つ/又は前記少なくとも1つのアーム及び前記少なくとも1つのフック状接続フィンガの移動を切り離すように構成された間隙をさらに備える、請求項46又は47に記載のマスクアセンブリ。
【請求項49】
前記間隙が、前記ヨークの後壁を完全に貫通して延在している、請求項48に記載のマスクアセンブリ。
【請求項50】
前記少なくとも1本のストラップが複数のストラップを含み、前記少なくとも1つのアームが複数のアームを含む、請求項42~49のいずれか一項に記載のマスクアセンブリ。
【請求項51】
前記ストラップの数が前記アームの数とは異なる、請求項50に記載のマスクアセンブリ。
【請求項52】
クッションモジュールであって、ハウジングと、患者の顔面と封止するシールと、前記クッションモジュールへの入口開口部と、前記入口開口部の上方で前記ハウジングに位置する複数の排気孔とを備えるクッションモジュールと、
フレームであって、前記フレームを前記クッションモジュールに取り付けるために前記クッションモジュールの前記入口開口部と係合する少なくとも1つの突起を備え、呼吸ガスが送達される導管に接続する導管コネクタ部分を有し、前記導管コネクタ部分が、前記フレームが前記クッションモジュールに取り付けられると前記入口開口部の下方に延在する、フレームと、
前記フレームに取り付けられるように構成されたヨークであって、前記ヨークが前記フレームに取り付けられると前記クッションモジュールの前記入口開口部と実質的に整列する中心部分と、前記中心部分から横方向に延在するアームとを備えるヨークと、
を備えるマスクアセンブリ。
【請求項53】
前記ヨークの前記中心部分の全体が、前記ヨーク及び前記クッションモジュールが前記フレームに取り付けられたとき前記複数の排気孔の下方に位置する、請求項52に記載のマスクアセンブリ。
【請求項54】
前記ヨークの全体が、前記ヨーク及び前記クッションモジュールが前記フレームに取り付けられたとき前記複数の排気孔の最上高さの下方に位置する、請求項53に記載のマスクアセンブリ。
【請求項55】
前記フレームの最大幅が、前記ヨークの前記中心部分の最大幅より小さいか又はそれに等しい、請求項52に記載のマスクアセンブリ。
【請求項56】
前記フレームがリップを備え、前記ヨークが、前記ヨークを前記フレームに固定するように前記リップと選択的に係合するように構成された少なくとも1つのフック状接続フィンガを備える、請求項52に記載のマスクアセンブリ。
【請求項57】
前記リップが、前記フレームの周辺部に沿って延在している、請求項56に記載のマスクアセンブリ。
【請求項58】
前記リップが、前記フレームの前面から延在している、請求項56又は57に記載のマスクアセンブリ。
【請求項59】
前記少なくとも1つのフック状接続フィンガが、前記アームの各々と前記中心部分との接合部に隣接して位置するフック状接続フィンガを含む、請求項56~58のいずれか一項に記載のマスクアセンブリ。
【請求項60】
前記少なくとも1つのフック状接続フィンガに隣接して位置し、前記少なくとも1つのフック状接続フィンガのたわみを促進するように構成された凹部をさらに備える、請求項56~59のいずれか一項に記載のマスクアセンブリ。
【請求項61】
前記フック状接続フィンガの各々に隣接して位置し、関連するフック状接続フィンガのたわみを促進し、且つ/又は前記アームの各々と前記関連するフック状接続フィンガとの移動を切り離すように構成された間隙をさらに備える、請求項59又は60に記載のマスクアセンブリ。
【請求項62】
前記間隙が、前記ヨークの後壁を完全に貫通して延在している、請求項61に記載のマスクアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、呼吸療法システムに関する。特に、本開示は、呼吸療法で使用されるインタフェースアセンブリ及びその部分に関する。
【背景技術】
【0002】
装着者との間に実質的に気密シールを提供するマスクは、種々の分野で使用されている(たとえば、ガスマスク、ダイビングマスク、呼吸療法マスク)。これらのマスクのうちのいくつかは、マスクを装着者の顔面に固定するために、1本又は複数本のストラップを含むヘッドギアを使用する。
【0003】
呼吸マスクは、多くの呼吸器疾患又は症状のうちのいずれかを患っている人の気道に呼吸療法を提供するために使用される。こうした療法としては、限定されないが、持続気道陽圧(CPAP)療法及び非侵襲的換気(NIV)療法を挙げることができる。
【0004】
CPAP療法は、睡眠中に患者の気道が断続的に塞がり、ある期間患者が呼吸できなくなる症状である、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)を治療するために使用することができる。呼吸の停止、すなわち無呼吸により、患者は覚醒することになる。反復性の且つ頻繁な無呼吸により、患者は、十分且つ回復性の夜間の睡眠をめったにとれなくなる可能性がある。
【0005】
CPAP療法は、呼吸マスクを介して患者の気道に持続陽気圧の供給を送達することを伴う。持続陽圧は、患者の気道内で添え木として作用し、患者の呼吸及び睡眠が妨げられないように気道を開存位置で固定する。
【0006】
呼吸マスクは、典型的には、患者インタフェース及びヘッドギアを備え、患者インタフェースは、患者の鼻及び/又は口の中又はその周りに気密シールを形成するシール又はクッションを介して、患者の気道に持続陽気圧の供給を送達するように構成されている。呼吸マスクは、フルフェイス、鼻、直接鼻及び口マスクを含むさまざまなスタイルで入手可能であり、鼻及び/又は口との気密シールを形成する。シール又はクッションは、ヘッドギアによって患者の顔面の適所に保持される。気密シールを維持するため、ヘッドギアは、使用中に患者インタフェースが患者の顔面に対して安定した位置で保持されるように、患者インタフェースに支持を提供しなければならない。こうした呼吸マスクは、NIV及び他の療法を送達するためにも使用することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に記載するシステム、方法及び装置は、革新的な態様を有し、それらのうちのいずれも、不可欠であることはなく、又はそれらの望ましい属性を単独で担うものではない。ここで、請求項の範囲を限定することなく、有利な特徴のうちのいくつかについて概説する。
【0008】
いくつかの構成では、呼吸マスク用ヘッドギアは、フィラメントを備える少なくとも1本のストラップと、フィラメントに関して係合形態及び解除形態を有する方向性ロックと、ロックを解除形態で保持するように動作可能な解除部材とを備える。
【0009】
いくつかの構成では、ヘッドギアは、解除部材にロックを解除形態で保持させるように解除部材に作用するように構成されたアクチュエータをさらに備える。
【0010】
いくつかの構成では、アクチュエータは、解除部材に作用するように選択的に動作可能である。いくつかのこうした構成では、アクチュエータは、可動バー又はボタン又はハンドルのうちの1つに結合されている。
【0011】
いくつかの構成では、アクチュエータは、使用者が使用者の顔面からマスクを引き離すときに解除部材に自動的に作用するように構成されている。いくつかのこうした構成では、アクチュエータは、少なくとも1本のストラップに結合され且つ呼吸マスクに対して移動可能であるように構成されたアームを備える。
【0012】
いくつかの構成では、解除部材は、通常は、ロックをその解除形態で保持しないように付勢されている。
【0013】
いくつかの構成では、少なくとも1本のストラップは、第1ストラップ部分及び第2ストラップ部分を備え、フィラメントは、第1ストラップ部分及び第2ストラップ部分のうちの一方に取り付けられ、第1ストラップ部分及び第2ストラップ部分は、少なくとも1本のストラップの長さを変更するように互いに対して移動可能である。
【0014】
いくつかの構成では、少なくとも1本のストラップは、ヘッドギアの頭部係合部分とマスク係合部分との間で延在している。
【0015】
いくつかの構成では、呼吸マスク用ヘッドギアは、フィラメントを備える少なくとも1本のストラップと、ある方向におけるフィラメントの移動を、前記方向における最小の力がフィラメントに加えられるまで制限するように構成された方向性ロックと、フィラメントを前記方向に移動させるために必要な最小の力を低減させるように動作可能である解除部材とを備える。
【0016】
いくつかの構成では、解除部材は、通常は、最小の力が低減する位置から離れるように付勢されている。
【0017】
いくつかの構成では、方向性ロックの最小の力は、約2ニュートン~8ニュートンである。いくつかの構成では、最小の力が2ニュートン~8ニュートンである2つ以上の方向性ロックを結合して、4~16ニュートン又は16~32ニュートンの全体的な最小の力をもたらすことができる。
【0018】
いくつかの構成では、方向性ロックの最小の力は、約4ニュートン~6ニュートンである。いくつかの構成では、最小の力が4ニュートン~6ニュートンである2つ以上の方向性ロックを結合して、8~12ニュートン又は16~32ニュートンの全体的な最小の力をもたらすことができる。
【0019】
いくつかの構成では、ヘッドギアは、フィラメントを含まない少なくとも1本のストラップをさらに備える。
【0020】
いくつかの構成では、ヘッドギアは、解除部材を動作させるように構成されたアクチュエータをさらに備える。
【0021】
いくつかの構成では、アクチュエータは、解除部材に作用するように選択的に動作可能である。いくつかのこうした構成では、アクチュエータは、可動バー、ボタン又はハンドルのうちの1つに結合されている。
【0022】
いくつかの構成では、アクチュエータは、使用者が使用者の顔面からマスクを引き離すとき、解除部材に自動的に作用するように構成されている。いくつかのこうした構成では、アクチュエータは、少なくとも1本のストラップに結合され且つ呼吸マスクに対して移動可能であるように構成されたアームを備える。
【0023】
いくつかの構成では、マスクアセンブリは、上述したヘッドギアのうちの任意のものを備える。マスクアセンブリは、マスクをさらに備える。マスクは、フレームと、ハウジング及びシールを有するクッションモジュールとを備える。マスクは、クッションモジュールをフレームに接続するように構成された接続構成をさらに備える。接続構成は、クッションモジュール及びフレームのうちの一方に位置する少なくとも1つの突起と、クッションモジュール及びフレームのうちの他方に位置する少なくとも1つの凹部とを備える。少なくとも1つの突起は、クッションモジュールをフレームに固定するように少なくとも1つの凹部と係合するように構成されている。
【0024】
いくつかの構成では、クッションモジュールは、フレームのカラーを受け入れる開口部を画定する円筒状壁を備える。
【0025】
いくつかの構成では、少なくとも1つの突起は、円筒状壁において円周方向に延在し、少なくとも1つの凹部は、カラーにおいて円周方向に延在している。
【0026】
いくつかの構成では、円筒状壁は、ハウジングの外壁からクッションモジュールの呼吸チャンバ内に延在している。
【0027】
いくつかの構成では、位置合わせ特徴部は、クッションモジュール及びフレームのうちの一方によって画定された凹部と、クッションモジュール及びフレームのうちの他方によって画定された突起とを含む。突起は、フレームに対するクッションモジュールの回転方向の位置合わせを容易にするように凹部と係合するように構成されている。
【0028】
いくつかの構成では、ヘッドギアは、ヘッドギアをマスクに接続するように構成されたヨークを備える。
【0029】
いくつかの構成では、ヨークは、中心部分と、中心部分から延在する少なくとも1つのアームとを備える。少なくとも1つのアームは、ヘッドギアの少なくとも1本のストラップに接続するように構成されている。
【0030】
いくつかの構成では、フレームはリップを備え、ヨークは、ヨークをフレームに固定するようにリップと選択的に係合するように構成された少なくとも1つのフック状接続フィンガを備える。
【0031】
いくつかの構成では、リップは、フレームの周辺部に沿って延在している。
【0032】
いくつかの構成では、リップは、フレームの前面から延在している。
【0033】
いくつかの構成では、少なくとも1つのフック状接続フィンガは、少なくとも1つのアームと中心部分との接合部に隣接して位置している。
【0034】
いくつかの構成では、凹部が、少なくとも1つのフック状接続フィンガに隣接して位置し、少なくとも1つのフック状接続フィンガのたわみを促進するように構成されている。
【0035】
いくつかの構成では、間隙が、少なくとも1つのフック状接続フィンガに隣接して位置し、少なくとも1つのフック状接続フィンガのたわみを促進し、且つ/又は少なくとも1つのアーム及び少なくとも1つのフック状接続フィンガの移動を切り離すように構成されている。
【0036】
いくつかの構成では、間隙は、ヨークの後壁を完全に貫通して延在している。
【0037】
いくつかの構成では、少なくとも1本のストラップは複数のストラップを含み、少なくとも1つのアームは複数のアームを含む。
【0038】
いくつかの構成では、ストラップの数は、アームの数とは異なる。
【0039】
いくつかの構成では、マスクアセンブリは、クッションモジュールを含み、クッションモジュールは、ハウジングと、患者の顔面と封止するシールと、クッションモジュールへの入口開口部と、入口開口部の上方でハウジングに位置する複数の排気孔とを備える。マスクアセンブリはまた、フレームも含み、フレームは、フレームをクッションモジュールに取り付けるためにクッションモジュールの入口開口部と係合する少なくとも1つの突起を備える。フレームは、呼吸ガスが送達される導管に接続する導管コネクタ部分を有する。導管コネクタ部分は、フレームがクッションモジュールに取り付けられると入口開口部の下方に延在する。ヨークが、フレームに取り付けられるように構成されている。ヨークは、ヨークがフレームに取り付けられるとクッションモジュールの入口開口部と実質的に整列する中心部分と、中心部分から横方向に延在するアームとを備える。
【0040】
いくつかの構成では、ヨークの中心部分の全体は、ヨーク及びクッションモジュールがフレームに取り付けられたとき複数の排気孔の下方に位置する。
【0041】
いくつかの構成では、ヨークの全体は、ヨーク及びクッションモジュールがフレームに取り付けられたとき複数の排気孔の最上高さの下方に位置する。
【0042】
いくつかの構成では、フレームの最大幅は、ヨークの中心部分の最大幅より小さいか又はそれに等しい。
【0043】
いくつかの構成では、フレームはリップを備え、ヨークは、ヨークをフレームに固定するようにリップと選択的に係合するように構成された少なくとも1つのフック状接続フィンガを備える。
【0044】
いくつかの構成では、リップは、フレームの周辺部に沿って延在している。
【0045】
いくつかの構成では、リップは、フレームの前面から延在している。
【0046】
いくつかの構成では、少なくとも1つのフック状接続フィンガは、アームの各々と中心部分との接合部に隣接して位置するフック状接続フィンガを備える。
【0047】
いくつかの構成では、凹部が、少なくとも1つのフック状接続フィンガに隣接して位置し、少なくとも1つのフック状接続フィンガのたわみを促進するように構成されている。
【0048】
いくつかの構成では、間隙が、フック状接続フィンガの各々に隣接して位置し、関連するフック状接続フィンガのたわみを促進し、且つ/又はアームの各々と関連するフック状接続フィンガとの移動を切り離すように構成されている。
【0049】
いくつかの構成では、間隙は、ヨークの後壁を完全に貫通して延在している。
【0050】
図面を通して、参照番号を再使用して参照要素間の全体的な対応を示す場合がある。図面は、本明細書に記載する実施形態例を例示するために提供され、本開示の範囲を限定するようには意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】ヘッドギアアセンブリ、シールアセンブリ及びフレームアセンブリを含むマスクアセンブリの斜視図である。
【
図4】
図1のマスクアセンブリの背面斜視図である。
【
図5】ヘッドギアアセンブリのシールアセンブリ、フレームアセンブリ及び前部分の組立分解図である。
【
図6】ヘッドギアアセンブリの一形態の組立分解図である。
【
図7】組み立てられたフレーム、クッション及びヨークの実施形態例の正面図である。
【
図8】フレームから分離された
図7のヨークの部分斜視図である。
【
図9】
図7の線9-9に沿った組み立てられたフレーム及びヨークの断面図である。
【
図11】
図7の線11-11に沿った
図7の組み立てられたフレーム及びヨークの断面図である。
【
図12】
図7の線12-12に沿った
図7の組み立てられたフレーム及びヨークの断面図である。
【
図14】ヘッドギア調整機構の構成要素を示すヨークの代替実施形態の部分断面図である。
【
図15】ヨークの端部の上にエンドキャップを結合する方法を示す。
【
図16】
図15の組み立てられたエンドキャップ及びヨークの部分背面斜視図である。
【
図17】
図7のヨークのヨーク端部の端面図である。
【
図19】
図17の線19-19に沿ったヨーク端部に結合されたエンドキャップの断面図である。
【
図22】ヨーク後部の代替実施形態の正面図である。
【
図23】
図22のヨーク後部に結合されるように構成されたヨーク前部の代替実施形態の背面図である。
【
図25A】係止位置にある方向性ロックの断面図である。
【
図26】ヘッドギアアセンブリ、シールアセンブリ及びフレームアセンブリを含むマスクアセンブリの斜視図である。
【
図27】互いから分離された
図26のクッションモジュール、マスクフレーム及びヨークの斜視図である。
【
図28】クッションモジュール、マスクフレーム及びヨークの組立分解図である。
【
図29】
図26の組み立てられたクッションモジュール、マスクフレーム及びヨークの斜視図である。
【
図30】
図26の組み立てられたクッションモジュール、マスクフレーム及びヨークの正面図である。
【
図31】
図26の組み立てられたクッションモジュール、マスクフレーム及びヨークの側面図である。
【
図32】
図26の組み立てられたクッションモジュール、マスクフレーム及びヨークの部分断面図である。
【
図33】
図26の組み立てられたクッションモジュール、マスクフレーム及びヨークの部分断面図である。
【
図34】
図26の組み立てられたクッションモジュール、マスクフレーム及びヨークの部分断面図である。
【
図44】開放すなわち係止解除位置にある解除可能ロックの断面図である。
【
図45】閉鎖すなわち係止位置にある解除可能ロックの断面図である。
【
図47A】開放すなわち係止解除位置にある解除可能ロックの側面図である。
【
図47B】閉鎖すなわち係止位置にある解除可能ロックの側面図である。
【
図48A】
図44の解除可能ロックのワッシャを含むワッシャハウジングの側面図である。
【
図48B】
図44の解除可能ロックのワッシャハウジング及びワッシャの背面図である。
【
図51C】非解除可能ロックのワッシャの斜視図である。
【
図52】解除ハンドルを含む解除可能カップリングを備えた、装着者の頭部に締め付けられた、ヘッドギアアセンブリ、シールアセンブリ及びフレームアセンブリを含むマスクアセンブリの斜視図である。
【
図53】解除ハンドルを含む解除可能カップリングを備えた、ヘッドギアアセンブリのヨーク部分、シールアセンブリ及びフレームアセンブリを含むマスクアセンブリの斜視図である。
【
図54】
図53のクッションモジュール、マスクフレーム及びヨークの組立分解図である。
【
図55】
図53の組み立てられたクッションモジュール、マスクフレーム及びヨークの斜視図である。
【
図56】
図53の組み立てられたクッションモジュール、マスクフレーム及びヨークの斜視図である。
【
図57】
図53の組み立てられたクッションモジュール、マスクフレーム及びヨークの斜視図である。
【
図58A】
図53の組み立てられたクッションモジュール、マスクフレーム及びヨークの斜視図である。
【
図58B】
図53の組み立てられたクッションモジュール、マスクフレーム及びヨークの斜視図である。
【
図59】解除ハンドルを備えるヨークの正面図である。
【
図60A】解除ハンドルを利用するように構成されたヨークの側面図である。
【
図60B】解除ハンドルを利用するように構成されたヨークの背面図である。
【
図61】傾斜作用解除機構を含む解除可能カップリングを備えた、ヘッドギアアセンブリ、シールアセンブリ及びフレームアセンブリを含むマスクアセンブリの斜視図である。
【
図62】
図61のクッションモジュール、マスクフレーム及びヨークの斜視図である。
【
図63】
図61のクッションモジュール、マスクフレーム及びヨークの組立分解図である。
【
図64】
図61のクッションモジュール、マスクフレーム及びヨークの正面図である。
【
図65】
図61のクッションモジュール、マスクフレーム及びヨークの側面図である。
【
図66】傾斜作用機構が係合(開放)位置にある、
図61のクッションモジュール、マスクフレーム及びヨークの側面図である。
【
図67】傾斜作用機構が解除(閉鎖)位置にある、
図61のクッションモジュール、マスクフレーム及びヨークの側面図である。
【
図68】
図61に示すようなヨークの傾斜作用機構の斜視図である。
【
図69】係合(開放)位置にある傾斜作用機構のさまざまな構成要素の断面図である。
【
図70】傾斜作用機構が解除(閉鎖)位置にある、傾斜作用機構のさまざまな構成要素の断面図である。
【
図71】傾斜作用解除機構の解除アームの斜視図である。
【
図72】傾斜作用解除機構の解除アームの側面図である。
【
図73】傾斜作用解除機構の解除アームの上面図である。
【
図74】傾斜作用解除機構の解除アームの背面図である。
【
図75】ヘッドギアアセンブリのヨーク部分、クッションモジュール及びフレームを含むマスクアセンブリの一実施形態の斜視図である。
【
図76】組立分解状態にある
図75のマスクアセンブリの左前側の斜視図である。
【
図77】組立分解状態にある
図75のマスクアセンブリの右後側の斜視図である。
【
図78】ヨークをフレームに接続する第1接続構成の一部を示すヨークの背面図である。
【
図79】第1接続構成を示す
図75のマスクアセンブリの断面図である。
【
図80】第1接続構成を示す
図79の断面図の一部の拡大図である。
【
図81】第1接続構成を示す
図75のマスクアセンブリの別の断面図である。
【
図82A】第1接続構成を示す
図75のマスクアセンブリの断面図である。
【
図82B】クッションモジュールをフレームに接続する第2接続機構を示す
図75のマスクアセンブリの断面図である。
【
図83】第1接続構成とヨークをフレームに接続するための移動の方向とを示す、
図82Aの断面図の一部の拡大図である。
【
図84】クッションモジュールをフレームと位置合わせする位置合わせ特徴部を示す、
図75のマスクアセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
ここで、添付の図を参照して、システム、構成要素、並びに組立及び製造方法の実施形態について説明する。図を通して、同様の数字は同様の又は類似する要素を指す。以下、いくつかの実施形態、例及び例示を開示するが、当業者であれば、本明細書に記載する発明が、具体的に開示する実施形態、例及び例示の範囲を超え、本発明の他の使用並びに本発明の明らかな変更形態及び均等物を含むことができることが理解されよう。本明細書に提示する説明で使用する術語は、本発明のいくつかの具体的な実施形態の詳細な説明と併せて使用されているという理由のみで、いかなる限定的又は制限的な形態でも解釈されるようには意図されていない。さらに、本発明の実施形態は、いくつかの新規な特徴を含むことができ、いずれの単一の特徴もその望ましい属性を単独で担うものではなく、本明細書に記載する本発明を実施するために不可欠であることもない。
【0053】
以下の説明では、いくつかの術語は、単に参照の目的で使用される場合があり、したがって、限定的であるように意図されていない。たとえば、「上」及び「下」等の用語は、参照する図面における方向を指す。「水平」、「垂直」、「前」、「後」、「左」、「右」、「後部」及び「側部」等の用語は、患者インタフェースに関して、使用者の頭部が直立の向きにある状態で装着時の向きにあることが多い、考察されている構成要素又は要素について記載する本文及び関連する図面を参照することによって明らかとなる、一貫しているが任意の基準系における構成要素又は要素のいくつかの部分の向き及び/又は場所を述べるものである。さらに、「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、別個の構成要素について説明するために使用する場合がある。こうした術語は、具体的に上述した語句、それらの派生語及び同様に重要な語句を含む場合がある。
【0054】
別段文脈から明らかに必要でない限り、明細書及び特許請求の範囲を通して、「備える、含む(comprise、comprising)」等の語句は、排他的又は網羅的な意味とは対照的に包括的な意味で、すなわち、「限定されないが~を含む」という意味で解釈されるべきである。特に、「できる(can、could)」、「あり得る、可能性がある、場合がある(might、may)」、「たとえば」等、本明細書で使用する条件付きの文言は、別段具体的な定めのない限り、又は、使用されている文脈内で他の意味で理解されない限り、概して、いくつかの実施形態が、いくつかの特徴、要素及び/又は状態を含むが、他の実施形態は含まないことを示唆するように意図されている。したがって、こうした条件付きの文言は、概して、特徴、要素及び/又は状態が何らかの点で1つ若しくは複数の実施形態に必要であること、又は、1つ若しくは複数の実施形態が、著者の入力若しくは指示があってもなくても、これらの特徴、要素及び/又は状態が任意の特定の実施形態に含まれ又は任意の特定の実施形態で実施されるべきであるか否かを判断する論理を必然的に含むことを、示唆するようには意図されていない。
【0055】
「複数」という用語は、2つ以上の要素を指す。量、寸法、サイズ、配合、パラメータ、形状及び他の特徴の列挙は、「約」又は「およそ」という用語が、そうした量、寸法、サイズ、配合、パラメータ、形状又は他の特徴に先行しているかのように解釈されるべきである。「約」又は「およそ」という用語は、量、寸法、サイズ、配合、パラメータ、形状及び他の特徴は、正確である必要はなく、必要に応じて、許容可能な公差、変換係数、四捨五入、測定誤差等、及び当業者には既知である他の要素を反映して、近似され且つ/又はより大きいか若しくは小さいものであり得ることを意味する。量、寸法、サイズ、配合、パラメータ、形状及び他の特徴の列挙はまた、「実質的に」という用語が、そうした量、寸法、サイズ、配合、パラメータ、形状又は他の特徴に先行しているかのようにも解釈されるべきである。「実質的に」という用語は、列挙した特徴、パラメータ又は値が正確に達成される必要はなく、たとえば、公差、測定誤差、測定精度限界、及び当業者には既知である他の要素を含む偏差又は変動が、その特徴が提供するように意図された効果を排除しない量で発生する可能性があることを意味する。
【0056】
本明細書では、数値データを範囲形式で表現し又は提示している場合がある。こうした範囲形式は、単に便宜上及び簡潔にするために使用されており、したがって、範囲の上下限として明示的に列挙される数値を含むように柔軟に解釈されるだけでなく、その範囲内に包含される個々の数値又は部分範囲のすべてを、各数値及び部分範囲が明示的に列挙されているかのように含むようにも解釈されるべきであるということが理解されよう。例示として、「1~5」という数値範囲は、約1~約5の明示的に列挙された値のみを含むように解釈されるべきであるのではなく、示された範囲内の個々の値及び部分範囲も含むようにも解釈されるべきである。したがって、この数値範囲に含まれるのは、2、3及び4等の個々の値と、「1~3」、「2~4」及び「3~5」等の部分範囲とである。この同じ原理は、1つの数値のみを列挙する範囲(たとえば、「1より大きい」)に適用され、範囲の広さ又は記載されている特徴に関わらず適用されるべきである。
【0057】
便宜上、複数の項目を共通のリストに提示している場合がある。しかしながら、これらのリストは、リストの各要素が別個の且つ一意の要素として個々に識別されるかのように解釈されるべきである。したがって、こうしたリストのいかなる個々の要素も、別段の指示がなければ、共通のグループに提示されているということのみに基づいて、同じリストの他のあらゆる要素の事実上の均等物であるものとして解釈されるべきではない。さらに、「及び」及び「又は」という用語は、項目のリストとともに使用される場合、列挙された項目のうちの任意の1つ又は複数を単独で又は他の列挙された項目と組み合せて使用することができるという点で、広く解釈されるべきである。「別法として」という用語は、2つ以上の選択肢のうちの1つの選択を指し、別段文脈において明確な指示がない限り、一度に列挙された選択肢のみに又は列挙された選択肢のうちの1つのみに選択を限定するようには意図されていない。
【0058】
本明細書においていかなる従来技術に対する言及も、その従来技術が、世界のいかなる国においても努力傾注分野において共通の一般知識の一部を形成すると認めること又はいかなる形態のそうした示唆ではなく、且つ、そのようなものものとして解釈されるべきではない。
【0059】
上述した記載において、既知の均等物を有する完全体又は構成要素について言及している場合、それらの完全体は、個々に示されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0060】
本発明は、広義には、本出願の明細書において個々に又はまとまって言及されるか又は示される部品、要素及び特徴に、前記部品、要素又は特徴のうちの2つ以上の任意の又はすべての組合せで存すると言うことも可能である。
【0061】
本明細書に記載する現時点で好ましい実施形態に対するさまざまな変形形態及び変更形態が、当業者に明らかになるであろうことは留意すべきである。こうした変形形態及び変更形態は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、且つその付随する利点を低減させることなく作成することができる。たとえば、さまざまな構成要素は、必要に応じて位置を変えることができる。したがって、こうした変形形態及び変更形態は本発明の範囲内に含まれることが意図されている。さらに、本発明を実施するために、特徴、態様及び利点のすべてが必ずしも必要であるとは限らない。したがって、本発明の範囲は、続く特許請求の範囲によってのみ定義されるように意図されている。
【0062】
本開示は、呼吸インタフェースアセンブリ又は呼吸マスクアセンブリであって、インタフェースアセンブリの特定の使用者に適合するようなサイズである位置であり得る調整された(たとえば、自動調整された)位置においてインタフェースアセンブリを保持するように構成された、1つ又は複数の保持又はロック構成と、保持又はロック構成を解放し、インタフェースアセンブリが調整された位置から、対抗する力がほとんど若しくはまったくなく、又は、対抗する力が保持又はロック構成の保持又はロック力より小さく(たとえば、著しく小さく)、移動するのを可能にするように構成された、解放(たとえば、手動解放)構成とを組み込んだ、呼吸インタフェース又は呼吸マスクアセンブリに関する。
【0063】
図1~
図6は、患者に呼吸療法を送達するための呼吸インタフェースシステム又は呼吸マスクシステム100の一例を示す。マスクシステム100は、マスク102等のインタフェースを備えることができる。図示する構成では、マスク102は、本明細書においてさらに詳細に記載するように、シール又はシールモジュール及びフレームを備える。図示するマスクシステム100はまた、(本明細書では単に「ヘッドギア」と称する場合がある)ヘッドギアアセンブリ200も含む。マスク102及びヘッドギア200は、ヘッドギア200をマスク102に取り付ける接続システムを備えることができる。ヘッドギア200をマスク102に取り付けるために、さまざまな形態の接続システムを使用することができる。同様に、少なくとも1つの、場合によっては複数の異なるタイプのヘッドギアに、マスク102を結合することができる。
【0064】
マスク102は、シール104及びフレーム106を備えることができる。シール104は、患者の口及び/又は鼻の周囲及び/又は下を封止するように構成することができる。図示する構成では、シール104は、使用者の鼻にのみ呼吸ガスの流れを送達するように構成された鼻シールである。特に、図示するシール104は、使用者の鼻孔とシールを形成するように構成された一対の鼻ピローと、鼻ピローを包囲し、使用者の鼻の下側、使用者の鼻の側部及び使用者の上唇のうちの1つ又は複数と二次シールを形成するように構成されている二次封止部分とを含む。しかしながら、本開示の特徴は、たとえば且つ限定なしに、フルフェイスシール等、他のタイプのマスクシールを有する他のマスクシステムと実施することができる。フレーム106は、シール104を支持し、シール104をヘッドギア200に取り付けるように構成されている。フレーム106はまた、マスク102を介して患者に呼吸ガスの流れを送達するガス導管110に取り付けられるように構成されたガス入口108(
図5)も備えることができる。シール104は、取付フレーム又はクリップ122を含むことができ、取付フレーム又はクリップ122は、いくつかの構成では、第1部分122a及び第2部分122bを含むことができ、第1部分122a及び第2部分122bはそれらの間にシール104のリムを捕捉する。クリップ122は、スナップフィット、摩擦嵌合又は他の好適な構成等により、フレーム106に選択的に接続するように構成されている。フレーム106は、シール104の内部からガスを排気するように構成されている通気孔140を含むことができる。マスク102は、排気流を制御するように通気孔140を覆うベントインサート又はディフューザ152を含むことができてもよい。
【0065】
呼吸マスクシステム100のヘッドギア200は、マスク102を患者の顔面に保持するために使用される。ヘッドギア200は、典型的には、マスク102に取り付けられ、患者の顔面に封止接触してマスク102を保持するために、患者の頭部の後部の周囲に巻き付く。
【0066】
一形態では、ヘッドギアアセンブリ200は、本明細書においてより詳細に記載するように、マスク102に取り付けられるように構成されたヨーク又は収集部202を備えることができる。
【0067】
ヨーク202は、ヘッドギア200のストラップに取り付けられるように構成することができ、ストラップ及びヨーク202は、協働して、使用者の頭部を包囲する閉ループを形成する。図示する実施形態では、ヘッドギア200は、患者の頭部の後方に巻き付くように構成された後部ストラップ204と、患者の頭部の頂部の上に巻き付くように構成された上部ストラップ206と、使用中に使用者の頬に沿って延在するように構成された一対の前部ストラップ208(
図6)とを含む、ストラップのアセンブリを備える。一形態では、各前部ストラップ208は、ヘッドギアアセンブリ200の後部ストラップ204に、たとえば、後部ストラップ204の自由端207又は自由端207に結合されたコネクタに、後部コネクタ205によって取り付けられる。別の形態では、後部ストラップ204は、使用中に患者の頬に沿って延在する前部ストラップを形成する側部延長部を備える。
【0068】
一形態では、ヘッドギア200は、調整可能(たとえば、手動調整可能、自動調整可能)とすることができ、且つ/又は、ヘッドギア200が比較的低い量の抵抗で長さを低減させるのを可能にするとともに、ヘッドギア200の長さの増大に抵抗する、1つ又は複数のロック(たとえば、方向性ロック1800)を組み込むことができる。いくつかの構成では、インタフェースアセンブリ100を装着するためにヘッドギア200を長くすることができるように、方向性ロック1800の係止力を無効にすることができる。いくつかの形態では、ヨーク202は、自動調整可能なヘッドギアシステムで使用されるフィラメントのための収集部を形成することができる。この形態では、ヨーク202は、1つ又は複数の方向性ロック1800を組み込むことができ、それらの各々は、本明細書ではロックワッシャ又はワッシャと称することができる1つ又は複数のロック要素を備えることができる。ロックワッシャは、ヘッドギア200の伸長中はフィラメントと摩擦係合するが、ヘッドギア200の収縮中は比較的摩擦のない移動を可能にするように構成されている。いくつかの構成では、ヘッドギア200又はインタフェースアセンブリ100は、制御部又は他のアクチュエータが使用者によって操作されている間は低摩擦移動を可能にするように方向性ロック1800を解放し又は開放して保持し、制御部又はアクチュエータが作動していない場合は高摩擦抵抗を提供するように構成されている、解放機構又は構成を含む。
【0069】
方向性ロック1800は、ヨーク/収集部202の端部に組み込むことができ、ヨーク/収集部202の本体は、その本体内にフィラメントを受け入れるために十分中空であり得る。ヘッドギア200又はその任意の部分は、本出願人の米国特許出願公開第2016/0082217号明細書、2015年9月16日に出願された米国特許出願第14/856,193号明細書、及び国際公開第2016/043603号に開示された実施形態のうちの任意のものに従って構成することができ、上記出願の全体が参照により本明細書に援用される。
【0070】
図6を参照すると、各前部ストラップ208は、コネクタ209を取り付けることができる自由端を備えることができる。各コネクタ209は、ヨーク202に位置する相補的なストラップコネクタ203と係合することができる。好ましくは、ヨーク202は、実質的に長尺状であり、ヨーク202の各端部に又はその近くに位置するストラップコネクタ203を備える。
【0071】
前部ストラップ208とヨーク202との間の接続は、スナップフィット接続、ねじ及びねじ山型接続、又はフック状接続等、任意の好適な形態の接続であり得る。一形態では、
図6に示すように、各ストラップコネクタ203は、ヨーク202の各端部に位置するキャップ210を備える。各キャップ210は、ヨーク202をヘッドギアアセンブリ200の前部ストラップ208に取り付けるようにスナップフィット構成で前部ストラップ208のコネクタ209を受け入れるように構成された、アパーチャ又は凹部等の開口部を備えることができる。
【0072】
上述したように、ヨーク202は、マスク102のフレーム106に取り付けるようにも構成することができる。一形態では、フレーム106は、ヨーク202及びフレーム106が互いに取り付けられるときに、内部にヨーク202の少なくとも一部を受け入れるように構成された凹状領域を備えることができる。フレーム106とのヨーク202の取外し可能な接続を容易にするように、カバースリーブ又は前部分222を構成することができる。
【0073】
図7~
図9は、フレーム500に結合されたヨーク600及びクッション又はシール502の別の実施形態例を示す。ヨーク600、シール502及び/又はフレーム500は、別段後述する点を除き、ヨーク202、クッション若しくはシール104及び/又はフレーム106とそれぞれ同様であり得る。フレーム500は、使用時にヨーク600を受け入れるように構成されたヨークチャネル516を含む。ヨークチャネル516は、上壁522、後壁524及び下壁526によって形成又は画定されている。ヨーク600は、たとえば、ヨーク202と比較して、ヨーク600の上縁部と下縁部との間に増大した非対称性を有する。図示する実施形態では、ヨーク600の上縁部は下縁部より直線状である。非対称性は、有利に、フレーム500へのヨーク600の組付けのために正確な向き関して改善された視覚的キューを提供し、不正確な組立を抑制するのに役立つ。
【0074】
図8に示すように、ヨークチャネル516は、上壁522及び下壁526にコネクタ凹部528を含む。図示する実施形態では、コネクタ凹部528は、ヨークチャネル516の各横方向端部に、それに隣接して、又は近接して位置決めされている。コネクタ凹部528は、ヨークチャネル516の前縁部に又はそれに沿って(たとえば、上壁522及び下壁526の内部に面する面の前縁部に又はそれに沿って)保持リップ523を少なくとも部分的に画定又は形成している。ヨーク600は、ヨーク600の上面、下面及び/又は後面から後方に突出するコネクタ突起628を含む。図示する実施形態では、ヨーク600は、ヨーク600の中心の各側にコネクタ突起628を含む。図示する実施形態では、ヨーク600は、本明細書においてさらに詳細に記載するように、互いに結合されるヨーク前部602及びヨーク後部604を含み、コネクタ突起628は、ヨーク後部604に形成されている。コネクタ凹部528は、フレーム500及びヨーク600が互いに結合されてフレーム500とヨーク600との間にスナップフィット接続を形成するとき、コネクタ突起628を受け入れるように構成されている。フレーム500及びヨーク600が互いに結合されると、保持リップ523は、コネクタ突起628の前方でヨーク600と係合して、スナップフィット接続に寄与し、ヨーク600をヨークチャネル516内で保持する。図示する実施形態では、コネクタ突起628及びコネクタ凹部528は、正方形又は矩形の輪郭を有し、それにより、たとえば、
図9の矢印によって示す方向において、ヨーク600がヨークチャネル516から回転するのが抑制される。
【0075】
いくつかの実施形態では、ヨーク600は、たとえば、
図11に示すように、楕円形又は実質的に楕円形の断面を有する。この形状により、有利に、ヨーク600のサイズ又は体積が低減し、且つ/又は改善された審美的概観が提供される。本明細書でさらに詳細に考察するロックワッシャハウジング646は、ヨーク600の全体的に楕円形又は実質的に楕円形の断面を可能にし、且つ/又はそれに寄与するように、D字型、実質的にD字型、U字型、又はたとえば
図10B及び
図10Cに示すように、実質的にU字型の断面を有することができる。ワッシャハウジング646は、互いに対して反対の垂直向きに位置決めすることができる。言い換えれば、ワッシャハウジング646の一方、たとえば、
図10Cに示すような左ワッシャハウジング646は、上方に面するU字型として方向付けることができ、他方のワッシャハウジング646、たとえば
図10Cにおける右ワッシャハウジング646は、下方に面するU字型として方向付けることができる。この構成及び向きは、本明細書においてさらに詳細に考察するように、本明細書ではライントラック630、632と称することができる、自動調整可能なヘッドギアシステムで使用されるフィラメントの余分な部分に対する貯蔵部又は収集部が、左ワッシャハウジング646及び右ワッシャハウジング646の上方及び下方にそれぞれ延在するのに有利に役立つことができる。
図11に示すように、図示する実施形態では、ヨーク600又はヨーク600の中心部分は、ヨークチャネル516の深さと同じか若しくは同様であり、又はその深さに対応する深さDを有し、ヨーク600は、ヨークチャネル516から突出しないか又は実質的に突出しない。これにより、フレーム500及びヨーク600アセンブリの全体的なサイズが有利に低減する。
【0076】
図10A及び
図12に示すように、図示する実施形態では、ヨーク600の後面すなわち背面は、ヨーク600が段階的な深さを有するように、ヨーク600の中心部分の各側4端部すなわち横方向端部に後方段を含む。言い換えれば、ヨーク600がフレーム500に結合されるときにヨークチャネル516の横方向外側に位置決めされるヨーク600の横方向部分は、ヨーク600がフレーム500に結合されるときにヨークチャネル516内に位置決めされるヨーク600の中心部分の深さDより大きい深さを有する。これらの段は、ヨーク600の中心部分と横方向部分との遷移部にフレーム当接面605を形成又は画定する。ヨーク600がフレーム500に結合されると、フレーム当接面605の各々は、
図12に示すように、フレーム500の横方向縁部505のうちの1つに当接するか、又は隣接若しくは近接して位置決めされる。フレーム当接面605及び横方向縁部505は、組立中、ヨーク600をフレーム500と適切に位置合わせするのに役立つ。フレーム当接面605及び横方向縁部505はまた、又は別法として、ヨーク600とフレーム500とのより確実な接続を提供する。ヨーク600の中心部分の深さの低減により、フレーム500及びヨーク600アセンブリの全体的なサイズが有利に低減する。
【0077】
図9~
図11に示すように、図示する実施形態では、ヨーク600は、ヨーク前部602及びヨーク後部604を含む。ヨーク600はまた、ヨーク600の各横方向端部に1つ、(
図14に示すような)2つのエンドキャップ606も含むことができる。図示する実施形態では、ヨーク前部602及びヨーク後部604は、互いに結合される別個の構成要素として形成されている。
図9~
図11の実施形態では、ヨーク前部602とヨーク後部604との間の(
図11に示す)分割線603が、中心に置かれ又は概して中心に置かれる。これにより、製造の容易性を向上させることができる。
【0078】
ヨーク前部602及びヨーク後部604は、スナップフィットを介して互いに結合することができる。図示する実施形態では、ヨーク前部602は、ヨーク前部602の後面から後方に突出するヨーク締結具613を含む。図示する実施形態では、ヨーク締結具613は、ヨーク前部602に関して垂直及び/又は横方向において中心に又は概して中心に位置決めされ、横方向において長尺状である。ヨーク後部604は、ヨーク前部602及びヨーク後部604が互いに結合されるとスナップフィット接続を形成するようにヨーク締結具613を受け入れるようなサイズであり、形状であり、且つそのように位置決めされる、締結具アパーチャ615を含む。ヨーク締結具613及び締結具アパーチャ615を介するヨーク前部602とヨーク後部604との中心接続により、ヨーク前部602とヨーク後部604との接続に対してより高い剛性が提供され、且つ/又はヨーク前部602とヨーク後部604との間のねじれに対する支持が提供され、若しくはそうしたねじれが抑制される。いくつかの実施形態では、ヨーク前部602が代わりに締結具アパーチャ615を含み、ヨーク後部604がヨーク締結具613を含む。いくつかの実施形態では、締結具アパーチャ615は、締結具アパーチャ615の上縁部及び/又は下縁部に沿って(たとえば、横方向に沿って)延在し、上縁部及び/又は下縁部から締結具アパーチャ615内に突出する1つ又は複数の締結具隆起部617を含む。ヨーク締結具613は、スナップフィット接続を形成するように締結具隆起部617を受け入れるようなサイズであり、形状であり且つそのように位置決めされる、ヨーク締結具613の上面及び/又は下面に沿って(たとえば、横方向に沿って)延在する、(
図11に示す)1つ又は複数の対応する切欠き619を含む。いくつかの実施形態では、締結具アパーチャ615が1つ又は複数の切欠き619を含み、ヨーク締結具613が1つ又は複数の締結具隆起部617を含む。
【0079】
図22~
図24は、ヨーク後部604が締結具アパーチャ615の代わりに締結具凹部615’を含む、ヨーク600の変形を示す。締結具凹部615’は、ヨーク後部604の厚さ全体を通して延在していない。ヨーク前部602は、後方に延在するヨーク締結具613’を含む。締結具凹部615’は、ヨーク前部602及びヨーク後部604が互いに結合されると摩擦嵌合又は締り嵌め接続を形成するようにヨーク締結具613’を受け入れるようなサイズであり、形状であり且つそのように位置決めされている。いくつかのこうした実施形態では、締結具凹部615’は、締結具凹部615’の上面及び/若しくは下面又は縁部に1つ又は複数の締り嵌め隆起部617’を含む。図示する実施形態では、締り嵌め隆起部617’は、長尺状であり、締結具凹部615’の深さ全体に延在する。締り嵌め隆起部617’は、ヨーク前部602及びヨーク後部604を互いに結合するのに役立つように、締結具凹部615’とヨーク締結具613’との間に介在し、摩擦嵌合又は締り嵌めを生成するのに役立つ。この構成により、有利に、より容易な製造を可能にし、(ヨーク後部604にアパーチャのない)より整然とした仕上げを提供し、且つ/又は、(ヨーク600がその長さに沿って完全に封入されるのを可能にするアパーチャがないことに起因して)ライントラック630、632内に汚物又は他の残骸が侵入するのを抑制することができ、これは、自動ヘッドギア調整機構の機能を維持するのに役立つことができる。
【0080】
図9~
図11の実施形態では、ヨーク後部604は、ヨーク後部604から前方に突出し且つヨーク後部604の上面に隣接若しくは近接するヨーク後部604の長さに沿って延在する、上部位置合わせビード612a、及び/又は、ヨーク後部604から前方に突出し且つヨーク後部604の下面に隣接又は近接するヨーク後部604の長さにわたって延在する、下部位置合わせビード612bを含む。ヨーク前部602は、ヨーク前部602の上面に隣接又は近接するヨーク前部602の長さに沿って延在するヨーク前部602の後面における上部位置合わせ溝614a、及び/又は、ヨーク前部602の下面に隣接又は近接するヨーク前部602の長さにわたって延在するヨーク前部602の後面における下部位置合わせ溝614bを含む。上部位置合わせ溝614a及び/又は下部位置合わせ溝614bは、ヨーク前部602及びヨーク後部604が互いに結合されると、上部位置合わせビード612a及び/又は下部位置合わせビード612bをそれぞれ受け入れる。位置合わせビード612a、612b及び位置合わせ溝614a、614bは、ヨーク前部602及びヨーク後部604を正確に位置合わせするのに役立つ。位置合わせビード612a、612b及び位置合わせ溝614a、614bはまた、又は別法として、たとえばヨーク前部602とヨーク後部604との間のねじれに対して抵抗又は支持することができる。いくつかの実施形態では、位置合わせビード612a、612b及び位置合わせ溝614a、614bは、たとえば、摩擦嵌合又はスナップフィット接続の形態で、互いに確実に係合することができる。
【0081】
エンドキャップ606は、ヨーク前部602及びヨーク後部604の横方向端部を覆ってクリップ留めするか、又はそれを覆って若しくはその上にスナップフィットすることにより、ヨーク前部602及びヨーク後部604を合わせて固定するのに役立つことができる。エンドキャップ606はまた、ヘッドギア(たとえば、ヘッドギア200)の前部ストラップ(たとえば、前部ストラップ208)のヨーク600への接続も可能にすることができる。いくつかの実施形態では、各エンドキャップ606は、前部ストラップの編組部分の上にオーバーモールドされる。
【0082】
図15~
図21に示すように、ヨーク前部602及びヨーク後部604の横方向端部は、エンドキャップインサート618を含むか又はそれによって形成される。エンドキャップインサート618は、ヨーク前部602及びヨーク後部604の横方向端部とともに一体的に形成するか又は横方向端部に取り付けることができる。エンドキャップインサート618は、ヨーク600の横方向部分と比較して低減した寸法又は輪郭を有する。エンドキャップ606は、エンドキャップインサート618を受け入れる内部空洞609を有する。組立中、
図15に示すように、エンドキャップ606は、回転式又はヒンジ式にエンドキャップインサート618を覆って接続するか又はその上にスナップ留めすることができる。
【0083】
図20に示すように、各エンドキャップ606は、一方の側に(たとえば、図示する実施形態では後側に)保持孔605を含み、反対側に(たとえば、図示する実施形態では前側に)保持切欠き607を含む。他の実施形態では、保持孔605及び保持切欠き607の位置を逆にすることができる。図示する実施形態におけるエンドキャップ606の後部における保持孔605の位置決めにより、使用時、有利に保持孔605が隠され、それにより、改善された審美的外観が与えられる。保持切欠き607は、エンドキャップ空洞609からエンドキャップ606内に前方に延在している。エンドキャップインサート618は、前面及び後面のうちの一方に(たとえば、図示する実施形態では、エンドキャップインサート618のヨーク後部604部分から後方に延在する)第1保持特徴部616を含み、反対側に(たとえば、図示する実施形態では、エンドキャップインサート618のヨーク前部602部分から前方に延在する)第2保持特徴部617を含む。エンドキャップ606をヨーク600に、たとえばエンドキャップインサート618に取り付けるために、
図15に示すように、保持孔605は第1保持特徴部616と係合する。そして、第1保持特徴部616は、ヒンジ点又は枢支点として作用し、エンドキャップ606は、第2保持特徴部617及び保持切欠き607が、たとえば隆起部又はスナップフィット接合部において係合するまで、
図15において矢印によって示す方向において、エンドキャップインサート618の上で枢動する。ヒンジ式接続により、(
図18に示す)エンドキャップインサート618長Lが低減して、ヨーク600とエンドキャップ606との間に強力な接続部を提供することができる。したがって、エンドキャップ606は、より急勾配でテーパ状になることができる。エンドキャップインサート618、エンドキャップ606及び/又はヨーク600全体の長さが低減することにより、ヨーク600が患者の顔面と接触するか又は顔面に食い込むのを有利に低減させ又は最小限にすることができる。
【0084】
図示する実施形態では、第1保持特徴部616は、ヨーク後部604から後方に延在する楕円形又はスタジアム形状のポストであるか又はそうしたポストを含む。第1保持特徴部616は、第1保持特徴部616の外面又は最後面がヨーク後部604の後面と同一平面であるか又は実質的に同一平面であるように選択された長さ又は深さを有する。これにより、エンドキャップ606とエンドキャップインサート618との間の接触面積及び相互作用が増大し、保持力が増大する。したがって、エンドキャップ606とエンドキャップインサート618との間の接続部は、より大きい、ヨーク600の長さに沿ったねじり力、及び/又は接合部を中心とする回転力に抵抗することができる。
【0085】
図示する実施形態では、第2保持特徴部617は、ヨーク前部602から前方に延在する隆起タブであるか又はそうした隆起タブを含む。第2保持特徴部617は、第1保持特徴部616と比較して低減した長さ又は深さを有し、それにより、組立中、エンドキャップ606は第2保持特徴部617を通過することができる。図示する実施形態では、第2保持特徴部617は、1つの縁部、たとえば、図示する実施形態では(ヨーク600に対して)横方向の縁部に面取りした導入部617aを有し、これにより、エンドキャップ606を、第2保持特徴部617を覆って且つ/又はその上でより容易にヒンジ式に動かすか又は枢動させることができる。
【0086】
いくつかの実施形態では、エンドキャップ606は、自動ヘッドギア調整機構の編組要素、たとえば、「Directional Lock for Interface Headgear Arrangement」と題する、2016年5月31日に出願された米国仮特許出願第62/343,711号明細書及びPCT出願PCT/NZ2014/000074号明細書に示され且つ記載されているような編組要素の端部の上にオーバーモールドすることができ、上記出願の全体が参照により本明細書に援用される。コア要素又はフィラメント642は、編組要素内で延在することができる。エンドキャップ606は、編組要素、したがってヘッドギアをヨーク600に接続し、閉ループヘッドギアシステムをもたらすことができる。
【0087】
本明細書に記載するように、いくつかの実施形態では、ヨーク600は、自動調整可能な又は自己調整ヘッドギアシステムで使用される、フィラメント642等のコア要素に対する収集部又はライントラック630、632を形成することができる。いくつかの構成では、ヨーク600は、フィラメント642の各々に対して別個の空間(たとえば、ライントラック630、632)を提供することができる。
図10Cに示すように、ヨーク前部602は、上部ライントラック630及び下部ライントラック632を含む。ライントラックディバイダ634が、ヨーク前部602の後面又は内面から後方に突出している。ライントラックディバイダ634は、ヨーク前部602の長さの一部にわたって概して斜めに延在して、ヨーク600に対して相対的上方位置から相対的下方位置に遷移している。図示する実施形態では、ディバイダ壁635が、ワッシャハウジング646の各々と対向するライントラックとの間に延在している。ディバイダ壁635は、ワッシャハウジング646から対向するライントラックを分離し、それにより、フィラメント642の自由端は、後退中に対向するワッシャハウジング646内に挟まれるのが抑制される。図示する実施形態では、ヨーク600の上縁部及び下縁部が非対称であるため、ライントラック630、632は対称的に同じではない。
【0088】
図14は、ライントラック630、632が、エンドキャップ606内に延在しエンドキャップ606内で終端する、ヨーク600の変形を示す。したがって、ライントラック630、632の長さは、ヨーク前部602及びヨーク後部604の端部を越えて伸長している。これにより、ヨーク600内に蓄積することができるフィラメント642の長さが増大し、それによって、ヘッドギアのサイズの調整又は変動性の範囲が増大する。ヘッドギアアセンブリ200は、使用時に使用者の頭部の周囲に延在するヘッドギアループを画定する。フィラメント642は、マスクシステムの装着及び取外し中にヘッドギアループの全長が伸長するのを可能にするヘッドギア調整機構の一部を形成する。いくつかのこうした実施形態では、ライントラック630、632の各々の長さは、約5mmだけ増大すなわち伸長することができる。こうした実施形態では、したがって、ヘッドギアループの全長は、伸長状態では、約10mmだけ増大することができる。
【0089】
図25A~
図25Dは、ハウジング1810と、第1及び第2ロック要素(たとえば、ワッシャ1820、1822)と、コア部材又はフィラメント1830とを備える、方向性ロック1800の実施形態を示す。ハウジング1810は、第1チャンバ1840及び第2チャンバ1842を備え、そこでは、第1チャンバ1840及び第2チャンバ1842は、それぞれ第1ロックワッシャ1820及び第2ロックワッシャ1822を収容するように構成されている。ワッシャ1820は、摩擦からの摩耗に対して少なくとも幾分かの抵抗を提供する材料(たとえば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、アルミニウム、鋼)から作製することができる。図示する構成では、第1チャンバ1840及び第2チャンバ1842は、ハウジング1810の内壁1812によって分離されている。しかしながら、他の構成では、第1チャンバ1840及び第2チャンバ1842は、必ずしも物理的に別個の空間ではなく、たとえば、1つのチャンバの一部であり得る。ハウジング1810は2つの端壁1814を有し、それらは、内壁1812とともに、コア部材又はフィラメント1830が通過する長尺状コア開口部1860を有する。コア部材又はフィラメント1830は、長尺状糸、繊維、ひも、ワイヤ又はフィラメント、たとえば、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレンファイバ又は金属(たとえば、アルミニウム、銅、銀)ワイヤであり得る。有利には、摩擦、摩損及び広がり(splaying)に対する少なくとも幾分かの抵抗を提供する材料を選択することができる。矩形断面(たとえば、リボン、バンド又はベルト)、又は複数の糸、繊維、ひも、ワイヤ若しくはフィラメント(たとえば、ケーブル又は編組線若しくは撚線)を含む、他の形状又は幾何学的形状を使用することができる。これらのすべてをコア部材1830と称することができる。コア部材の1つ又は複数の材料は、実質的に非弾性であるように選択することができ、したがって、コア部材1830は、伸長ひずみの下で実質的に同じ長さであり続けることができる。コア開口部1860は、互いに実質的に位置合わせすることができる。図において右側に示す端壁1814のコア開口部1860は、内壁1812及び図の左側に示す端壁1814のコア開口部1860うちの一方又は両方より大きいものであり得る。これにより、ハウジング1810を通るコア部材1830の経路の操作又はかたよりが可能になる。第1チャンバ1840及び第2チャンバ1842は、各々、内壁1812と、端壁1814のうちの一方と、一対の側壁1816とによって境界が定められ、側壁1816は、ハウジング1810の端壁1814の間に延在している。第1チャンバ1840及び第2チャンバ1842は、ハウジング1810の頂部及び底部のうちの一方又は両方において開放しているように構成されている。
【0090】
第1チャンバ1840及び第2チャンバ1842の各々は、ハウジング1810の対向する側壁1816に位置合わせされる一対のワッシャリテーナ1850を有する。一対のワッシャリテーナ1850は、それぞれの第1チャンバ1840又は第2チャンバ1842内に第1ロックワッシャ1820又は第2ロックワッシャ1822の一方を枢支保持するように構成されている。ワッシャリテーナは、円形ブッシュ1852及び長尺状スロット1854を備え、円形ブッシュ1852は、入口が形成されるように、ハウジングの底部と交差している。この入口は、第1ロックワッシャ1820及び/又は第2ロックワッシャ1822がワッシャリテーナ1850内に受け入れられるのを可能にするように構成されている。スロット1854は、円形ブッシュ1852からハウジング1810の頂部に向かって半径方向に延在している。
【0091】
第1ワッシャ1820及び第2ワッシャ1822は、各々、円筒状シャフト1824と、それらのそれぞれのシャフト1824から延在するアーム1826とを備える。円筒状シャフト1824は、ハウジング1810と実質的に同じ幅Wであり、アーム1826は、第1チャンバ1840及び第2チャンバ1842内に嵌まるようにより幅が狭い。図示する構成では、アーム1826は、第1セクション1872及び第2セクション1874を備え、第1セクション1872は、円筒状シャフト1824から半径方向に又は垂直に延在し、第2セクション1874は、第1セクション1872の端部から鈍角で延在している。第1ワッシャ1820のアーム1826の第1セクション1872は、第2ワッシャ1822のアーム1826の第1セクション1872より短い。第1ワッシャ1820のアーム1826の第1セクション1872と第2セクション1874との間の角度は、第2ワッシャ1822の対応する角度より大きい。これらの角度は、第1ワッシャ1820及び第2ワッシャ1822のうちの一方又は両方の第2セクション1874が、ワッシャ1820、1822の1つの位置でハウジング1810の対応する壁(たとえば、それぞれ内壁1812及び端壁1814)に対して実質的に平坦に位置するように、選択することができる。アーム1826の第2セクション1874は、コア部材1830を受け入れるように構成された中心に位置する円形アパーチャ1876を備える。第1チャンバ1840及び第2チャンバ1842は、その中に収容されるワッシャのサイズに従ってサイズが異なり、すなわち、第1ワッシャ1820の方が第2ワッシャ1822より小さいため、第1チャンバ1840は第2チャンバ1842より小さい。
【0092】
第1ロックワッシャ1820及び第2ロックワッシャ1822の円筒状シャフト1824は、ワッシャリテーナ1850の円形ブッシュ1852の直径と実質的に同じ直径を有し、スナップフィット構成で円形ブッシュ1852によって受け入れられ且つ保持されるように構成されている。スナップフィット構成は、円形ブッシュ1852の入口が円筒状シャフト1824の直径より狭いことによって提供される。ワッシャリテーナ1850のスロット1854は、第1ロックワッシャ1820及び第2ロックワッシャ1822を入口に押し通してハウジング1810に組み付けることができる容易さを向上させるように、入口が開いて屈曲するのを可能にするように構成されている。第1ワッシャ1820及び第2ワッシャ1822は、ハウジング1810の第1チャンバ1840及び第2チャンバ1842内に組み付けられると、円筒状シャフト1824を通って伸びる中心軸を中心に前後に枢動することができる。
【0093】
コア部材1830は、ハウジング1810のコア開口部1860と第1ワッシャ1820及び第2ワッシャ1822のアパーチャ1876とを通過するように構成することができる。コア部材1830に張力を加えることにより、第1ロックワッシャ1820及び第2ロックワッシャ1822は、係止位置及び/又は開放位置の間で後方に且つ/又は前方に枢動する。
図25A及び
図25Bは、コア部材1830に対して(矢印によって示すように)図の左側に向かう方向に力が加えられる係止形態にある方向性ロックを示す。一実施形態では、この形態でコア部材1830に加えられる力により、第1ロックワッシャ1820及び第2ロックワッシャ1822が左回り方向に枢動し、方向性ロック1800を通るコア部材1830の経路が非直線状又は蛇行となり、且つ/又は、たとえば、コア部材1830と第1ロックワッシャ1820及び第2ロックワッシャ1822との間の接触面積の増大並びに接触圧の上昇により、コア部材1830の移動に抵抗するように増大する摩擦力が加えられる。
図25C及び
図25Dは、コア部材1830に対して(矢印によって示すように)図の右側に向かう方向に力が加えられる開放又は係止解除形態にある方向性ロックを示す。この形態では、第1ロックワッシャ1820及び第2ロックワッシャ1822は、円形アパーチャ1876及びコア開口部1860が実質的に直線上で位置合わせされるように右回り方向に枢動することができる。これにより、コア部材1830が方向性ロック1800を通って実質的に自由に引っ張られるように、平滑且つ低摩擦な経路及び/又は低下した接触圧が提供される。閉鎖位置と開放位置とでのコア部材1830にかけられる摩擦力の異なる量に基づき、方向性ロック1800を通してコア部材1830を移動させるために必要な力の量を変更することができる。
【0094】
方向性ロック1800の図示する実施形態は、第1ロックワッシャ1820及び第2ロックワッシャ1822を利用するが、より少ないか又は多いロックワッシャを使用することができる。ロックワッシャの数、コア部材1830のタイプ、長さ及び厚さ、並びにロックワッシャ1820の幾何学的形状は、閉鎖形態にある間に方向性ロック1800を無効にするために必要な力の量(「降伏力」)と、開放形態にある間にロックを開放するために必要な力の量(「開放力」)とを決定するために変更することができる、設計パラメータである。
【0095】
方向性ロック1800の動作のさらなる詳細については上述しており、内容全体が参照により本明細書に援用される本出願人の特許出願PCT/NZ2014/000074号明細書に記載されている。
【0096】
図26~
図43を参照して、呼吸マスクなどの呼吸インタフェースを装着者の頭部に固定する、且つインタフェースの好都合な取外しを容易にする、いくつかの構成についてさらに詳細に説明する。
図26~
図43において、呼吸インタフェースは、マスクをヘッドギアの後部分に接続する、使用者の頭部の各側の上部ヘッドギアストラップと下部ヘッドギアストラップとを有するフルフェイスマスクである。マスク、ヘッドギア、又はインタフェースアセンブリの他の部分に、インタフェースアセンブリの伸長を抑制又は阻止する傾向がある係止又は保持力を提供するとともに、係止又は保持力より小さい(たとえば、著しく小さい)抵抗に抗してインタフェースアセンブリの収縮を可能にするように構成されている、1つ又は複数の方向性ロックを組み込むことができる。好ましくは、方向性ロックは、インタフェースアセンブリの収縮に対してほとんど又は実質的にまったく抵抗を与えないように構成されている。図示する構成では、インタフェースアセンブリは、インタフェースアセンブリの伸長を容易にするように使用者が方向性ロックを手動で解放することができるようにする解放機構又は構成を組み込んでいる。図示する解放機構又は構成は、上部ヘッドギアストラップ及び下部ヘッドギアストラップを有するフルフェイスマスクに適用されているが、解放機構又は構成は、特に、
図1~
図24の鼻マスク及び2ストラップヘッドギア構成等、他のタイプのマスク及びヘッドギア構成とともに使用することができ、又はそうしたものと使用されるように変更することができる。
【0097】
図26~
図34は、クッションモジュール2020と、マスクフレーム2030と、図示する構成ではヨーク202を含むヘッドギア構成200とを備えることができる、マスクアセンブリを示す。
図28~
図34は、ストラップ208及びヘッドギア200の後部分204が省略されている、マスクアセンブリのさまざまな図を示す。ヨーク202は、1つ若しくは複数の上部ストラップ208及び/又は1つ若しくは複数の下部ストラップ208を介して、ヘッドギア200の後部分204に取り付けることができる。図示する構成では、ヘッドギア200は、マスクアセンブリの各側に上部ストラップ208及び下部ストラップ208を含む。有利には、上部ストラップ208及び/又は下部ストラップ208は、解除可能ロック2048a、2048b等、1つ又は複数の手動解放可能又は解除可能ロックを使用して、ヨーク202に結合することができる。ロック2048a、2048bの手動解放又は解除を可能にするために、1つ又は複数の解除可能ロック2048a、2048bにアクチュエータ又は解除要素2044を連結することができる。ヘッドギア200のストラップ208をヨーク202に接続するために、下部ヘッドギア取付ポスト2012a、2012b及び上部ヘッドギア取付ポスト2012c、2012dを含むヘッドギア取付ポストを設けることができる。ヨーク202、マスクフレーム2030及びクッションモジュール2020は、分解し再度組み立てることができる別個の構成要素であり得る。他の構成では、ヨーク202、マスクフレーム2030及びクッションモジュール2020の任意の組合せを互いに統合することができる。したがって、本明細書では、ヨーク202はヘッドギア200の一部を形成するものとして記載しているが、他の構成では、ヨーク202は、マスクフレーム2030又はクッションモジュール2020の一部と一体化するか又はそうした一部として形成することができる。
【0098】
概して、
図26~
図34のマスクアセンブリは、
図1~
図24のマスクアセンブリの構造と同様であるが、
図26~
図34のマスクアセンブリは、
図1~
図24の鼻マスクではなくフルフェイス形態で実施されることが異なる。
図26~
図34のマスクアセンブリは、クッションモジュール2020及びヨーク202と接続されるように構成されているフレーム2030を含む。フレーム2030は、クッションモジュール2020を介して使用者に呼吸ガスの流れを送達するガス導管(図示せず)に接続されるように構成されている。図示するフレーム2030は、呼吸ガスの流れをガス導管からクッションモジュール2020まで通すように構成された内部通路を画定する中心部分2032を有する。フレーム2030の中心部分2032及び/又は内部通路は、垂直方向に延在し、マスクアセンブリを正面から見た場合、クッションモジュール2020の中心部分2022の上に重なる。複数のアーム2034が、フレーム2030の中心部分2032から後方向に弧を描いて延び、クッションモジュール2020の形状におよそ追従する。図示する構成では、フレーム2030は4つのアーム2034を有し、それは、右上アーム、左上アーム、右下アーム及び左下アームを含む。上部アーム2034及び下部アーム2034は、前後方向に互いから離れるように広がることができる。図示する上部アーム2034は、前後方向において下部アーム2034から離れるように上方向に延在している。下部アーム2034は、概して又は実質的に水平の向きを有することができる。こうした構成は、クッションモジュール2020の通気孔2024に適応し、且つ/又は十分なシールを快適に達成するように望ましい方向にヘッドギアストラップ208を向けることができる。
【0099】
クッションモジュール2020は、比較的剛性のハウジング2021と比較的軟質のクッション又はシール104とを含むことができる。図示する構成では、ハウジング2021は、クッションモジュール2020の所望の形状を維持し、フレーム2030への接続を可能にし、クッションモジュール2020の呼吸チャンバの少なくとも一部を画定する。クッション又はシール104は、ハウジング2021に取外し可能に又は永久的に結合され、呼吸チャンバを封止するために使用者の顔面に対してシールをもたらすように構成されている。図示する構成では、ハウジング2021は、排気口2024も含み、排気口2024は、呼吸チャンバからの呼気の排出を可能にし、呼吸チャンバ内で陽圧を維持するように構成された漏れ制限経路を提供する。排気口2024は、入口開口部の上方に位置する。排気口は、ハウジング2021を貫通する複数の通気穴を含む。他の構成では、排気口2024は、たとえば、フレーム2030内等の他の場所に位置することができる。
【0100】
ヨーク202は、フレーム2030を介してクッションモジュール2020にヘッドギア200を結合することができるように、フレーム2030に取外し可能に結合されるように構成されている。ヨーク202は、正面から見た場合にフレーム2030の形状と同様の形状を有する。ヨーク202は、フレーム2030の中心部分2032の一部又は全体の上に重なる中心部分2202を含む。ヨーク202は、中心部分2202から後方向に弧を描いて延びる複数のアーム2204も含む。いくつかの構成では、ヨーク202のアーム2204の数は、フレーム2030のアーム2034の数に等しい。図示する構成では、ヨーク202は、フレーム2030の上部アーム2034及び下部アーム2034のそれぞれに対応する、左及び右上アーム2204及び左及び右下アーム2204を含む。いくつかの構成では、ヨーク202のアーム2204は、フレーム2030の対応するアーム2034より長く、したがって、フレーム2030の対応するアーム2034の端部を越えて後方向に延在している。ヨーク202のアーム2204は、アーム2204の端部がシール104に隣接して又はその後方に位置するように、クッションモジュール2020のハウジング2021を越えて延在することができる。
【0101】
フレーム2030は、アーム2034の前方面から外向きに延在し且つヨーク202のアーム2204に隣接する、1つ又は複数の壁又はリップ2036を含むことができる。壁2036は、スナップフィット構成等により、ヨーク202をフレーム2030に結合するように構成することができ、又は、1つ又は複数の軸を中心とするフレーム2030に対するヨーク202の回転を抑制又は阻止する役割を果たすことができる。図示する構成では、単一の壁2036が、中心部分2032及び上部アーム2034に沿って延在し、さらなる単一の壁2036が、フレーム2030の左側及び右側の各々において上部アーム2034及び下部アーム2034の各々の間に延在している。
【0102】
ヨーク202は、
図1~
図24に関して記載したヨーク202及び600と同様に互いに取外し可能に又は永久的に結合される、前部品2042及び後部品2046を備えることができる。ヨーク202は、方向性ロック2048a、2048bによって利用されるコア部材又はフィラメント(たとえば、フィラメント642、1830)の余分な部分を受け入れるように構成された内部空間を画定することができる。図示しないが、ヨーク202は、内部空間をフィラメントの各々に対して別個の部分に分割することができる。
【0103】
上述したように、
図26~
図34のマスクアセンブリのヨーク202又は他の部分は、1つ又は複数のアクチュエータ又は解除要素2044を含むか又は支持することができる。解除要素2044は、解除可能ロック2048a、2048b等、1つ又は複数の解除可能ロックを解放し、係止解除し、又は開放するように構成することができる。図示する構成では、解除要素2044の作動により、方向性ロックは、ヘッドギア200又はマスクアセンブリ全体の伸長に応じて係止位置まで移動するのが阻止される。したがって、解除要素2044は、方向性ロックの意図的な又は手動の動作停止を可能にする。言い換えれば、解除要素2044が作動している間、(たとえば、ヘッドギア200の伸長に応じて係止位置まで移動する)方向性ロックの通常の動作が、一時的に停止される。しかしながら、解除要素2044は、他のタイプのヘッドギア係止構成とともに使用されるように企図される。他のタイプのロックと使用される場合、解除要素2044は、ヘッドギア200又はマスクアセンブリ全体の伸長を容易にするために、作動時にロックを解放位置まで物理的に移動させるように構成することができる。解除要素2044の具体的な動作は、低減した労力でのヘッドギア200又はマスクアセンブリ全体の伸長を可能にする、ロックの手動の又は意図的な解放を可能にするという目的を達成するように利用される、具体的なロックに対して構成することができる。
【0104】
解除要素2044は、異なる形態又は形状(たとえば、ボタン、レバー又はハンドル)で提供し、ヨーク202又はマスクアセンブリの別の部分の異なる場所に設けることができる。有利には、一構成では、解除要素2044は、少なくとも部分的にヨーク202若しくはマスクの前側に、且つ/又は少なくともヨーク若しくはマスクの上側に位置し、それにより、マスクを握っている使用者は、マスクアセンブリの装着又は取外しの過程において(たとえば、解除要素2044をヨーク202に向かって押し込むか又ははさみつけることにより)解除要素2044に自然に又は直観的に力をかけることができる。
図33及び
図34は、それぞれ解放位置及び作動位置にある解除要素2044を示す。
【0105】
図示する構成では、解除要素2044は、ヨーク202の上縁部に沿って延在し且つそこから間隔を空けて配置されている長尺状ボタン又はバーの形態である。解除要素2044は、解除要素2044の横方向端部が中心部分の後方に位置決めされるようにヨーク202と同様に湾曲させることができる。こうした構成により、マスクアセンブリの中心及び側部からの解除要素2044へのアクセスを可能にするとともに、魅力的な外観を提供することができる。他の構成では、ヨーク202の下縁部に沿って解除要素2044を位置決めすることができる。
【0106】
使用者が、ヨーク202又はマスクを把持する過程において解除要素2044を作動させ、したがって、1つ又は複数の解除可能ロック(たとえば、解除可能ロック2048a、2048b)の解放を直観的にトリガすることができるように、解除要素2044がヨーク202に対して位置決めされる、他の構成が可能である。たとえば、一対の対向する解除要素2044を、使用者が、要素2044を互いに向かって(たとえば、図に示す向きに対して水平、垂直又は他の方向において)押し込むことができるように、位置決めすることができる。こうした構成では、各解除要素2044は、1つ又は複数の解除可能ロック(たとえば、2048、2048b)を動作させることができる。
【0107】
図示する構成では、解除要素2044は、解除要素2044の相対移動を制限又は誘導するように、ヨーク202に結合されている。特に、解除要素2044は第1ガイド要素2044aを含み、ヨーク202は第2ガイド要素2044bを含む(
図32)。第1ガイド要素2044aは、第2ガイド要素2044b内で摺動移動するように捕捉され、又はその逆も可能であって、解除要素2044のヨーク202に対して遷移する移動を少なくとも実質的に制限する。しかしながら、他の構成では、たとえば、回転移動等の他のタイプの移動が可能であり得る。図示する構成では、第1ガイド要素2044aは、長尺状の、平坦なプレート又はバーであり、第2ガイド要素2044bは、第1ガイド要素2044aの形状に対応する形状を有する部分的に又は完全に囲まれたスロットである。しかしながら、これらの構成は逆にすることができる。スロットは、ヨーク202によって、又はヨーク202に取り付けられた別個の構造体によって、画定することができる。図示する構成により、有利に、ヨーク202の上縁部に向かい且つそこから離れる解除要素2044の移動が可能になるが、解除要素2044の平滑な且つ/又は一貫した作動を可能にするように、他の方向における相対移動は、抑制され又は実質的に阻止される。
【0108】
いくつかの構成では、ばね又は他の弾性要素2045等の付勢要素を、たとえば、解除要素2044とヨーク202との間に含め、解除可能ロック2048a、2048bが係止されるか、又は係止若しくは係合位置まで移動するのが可能になる非作動位置に向かって又はそうした非作動位置まで、解除要素2044を付勢するように構成することができる。図示する構成では、解除要素2044の一部は、ヨーク202のアクセス開口部を通してスロット(第2ガイド要素2044b)から突出し、付勢要素2045の一端と係合する構造体を形成する(
図31)。ヨーク202は、付勢要素2045の他端と係合する構造体を含む。
【0109】
他の可能性もあるが特に、マスク又はインタフェースのタイプ、マスクに接続されたヘッドギアストラップの数、並びに所望の装着及び取外し手順等、種々の関連要素に基づいて、所与のマスクアセンブリで利用される解除可能ロックの数を変更することができる。図示する構成では、ヘッドギア200の下部ストラップ208の各々は、解除可能ロック2048a、2048bを特徴として有し、一方で、上部ストラップ208は、解除可能ロックを含まない。しかしながら、図示する構成では、上部ストラップ208は、
図1~
図25を参照して記載した方向性ロック1800と同様であるか又は同じ方法で作用する(後述するような)方向性ロックを含む。フルフェイスマスクでは、フルフェイスマスクの快適な装着又は取外しのために、ヘッドギアの下部ストラップはヘッドギアの上部ストラップより大きい広がりを必要とすることが多い。したがって、いくつかの構成では、下部ヘッドギアストラップのみに、手動で又は意図的に解除可能なロックを設けることができる。さらに、動作中の下部ストラップにおける張力は、上部ストラップにおける張力より大きい傾向がある。したがって、方向性ロック(又は他の自動ロック)を組み込む構成では、下部ストラップにおけるロックの係止力は、上部ストラップの係止力より大きい可能性がある。したがって、下部ストラップにおいて、上部ストラップのロックより高い係止力、したがって、伸長に対するより大きい抵抗を有する、ロックの手動又は意図的解放機構を設けることが、より有益である可能性がある。ストラップの一部(たとえば、下部ストラップ)のみに手動又は意図的解放機構を設けることにより、各ストラップに解除可能ロックが設けられる構成と比較して、システムの複雑性を低下させ全体的なコストを削減することができる。しかしながら、望ましい場合は、ストラップのうちの任意のもの又はヘッドギアの一部に、解除可能ロックを設けることができる。したがって、いくつかの構成では、上部ストラップ208を、その一方の側又は両側の解除可能ロックとともに取り付けることができる。さらに、いくつかの構成では、下部ストラップ208は、解除可能ロックなしに取り付けることができる。考察したように、いくつかの構成では、上部ストラップ及び下部ストラップ208のすべてを、解除可能ロックを用いて取り付けることができる。さらに、いくつかの構成では、装着及び取外し中にさまざまなヘッドギア部分の伸長を可能にするように、ヘッドギアの後部、頂部又は側部に解除可能ロックを設けることができる。
【0110】
1つ又は複数の解除可能ロック2048a、2048bは、直接、又は、解除要素2044からの動きを解除可能ロック2048a、2048bに伝達するように構成された作動構成を介して、解除要素2044に接続することができる。この作動構成は、本明細書では、連結部材2049と称することができる。いくつかの構成では、連結部材2049は、解除要素2044の移動によって引っ張られ、それにより、解除要素2044から1つ又は複数の解除可能ロック2048a、2048bに力を伝達することができる、実質的に非弾性のひも、ケーブル又はワイヤであり得る。いくつかの構成では、連結部材2049は、ボーデンケーブル、又はボーデンケーブルに類似する構成であるか又はそれを含むことができ、ボーデンケーブルは、ケーブルの一端における移動によりケーブルの他端において対応する移動がもたらされるように、内部ケーブル及びガイド部材又は固定ガイド経路を含む。いくつかの構成では、連結部材2049は、解除要素2044から解除可能ロック2048a、2048bに引張力を伝達し、戻り付勢要素を利用して連結部材2049を戻り方向に移動させる、引張のみの構成である。他の構成では、連結部材2049は、望ましい場合は押し力又は引張力を伝達することができる押引構成であり得る。図示する連結部材2049は、多くのボーデンケーブル構成に一般的な連続した外側ハウジングを含まないが、代わりに、中心ガイド2047a、中間ガイド2047b及び横方向ガイド2047(概して又はまとめて2047)等の1つ又は複数のガイド特徴部によって画定された固定長経路に沿って誘導される。ガイド2047は、解除要素2044と解除可能ロック2048a、2048bとの間の連結部材2049の経路を画定し又はそれを変更するように構成されている。図示する構成では、ガイド2047は、連結部材2049が通過するアイレットである。図示する構成では、単一の連結部材2049が、解除可能ロック2048a、2048bの両方に接続され且つそれらを作動させる。しかしながら、別の実施形態では、各解除可能ロック2048a、2048bを、専用の連結部材2049によって作動させることができ、又は、複数の解除可能ロックを制御するために単一の連結部材2049を複数の部分部材に分割することができる。本明細書ではケーブルを示すが、連結部材2049は、1つ又は複数のロッド、リンク機構等、任意の好適な構成であり得る。
【0111】
図44~
図46、
図47A~
図47C、
図48A及び
図48B並びに
図49を参照すると、解除可能ロック2048aの一例が詳細に示されている。解除可能ロック2048bは、解除可能ロック2048aと同じか又は同様の構成(たとえば、鏡像)のものであり得る。さらに、解除可能ロック2048aの基本的な構成要素及び動作は、上述した方向性ロック1800と同じか又は同様であり得るが、本明細書に記載するようなロックワッシャ1820の解除特徴及び形状という顕著な違いがある。解除可能ロック2048aは、1つ又は複数のワッシャ1820と、付勢ばね2051と、解除部材2053を受け入れるチャネル2052とを備えることができる。図示する構成では、チャネル2052はヨーク202によって画定されるが、他の構成では、チャネル2052は、ヨーク202とは別個であり且つヨーク202に組み付けられる構造体によって画定することができる。解除部材2053は、連結部材接続部2055において連結部材2049に取り付けられている。1つ又は複数のロック要素又はロックワッシャ1820は、ワッシャハウジング646内に受け入れることができる。図示する構成では、複数(たとえば、5つ)のロックワッシャ1820が設けられている。しかしながら、他の要素もあるが特にロック2048aの所望の係止力に基づき、実際の数を変更することができる。
【0112】
解除部材2053は、チャネル2052内で自由に摺動することができる。解除部材2053は、ロックワッシャ1820を解放又は係止解除位置まで移動させるか、又はロックワッシャ1820を解放又は係止解除位置で保持する(ロックワッシャ1820がそこから離れて移動するのを妨げる)ように、ロックワッシャ1820と選択的に係合するように移動可能である。上述したように、ロックワッシャ1820の解放又は係止解除位置では、関連するストラップ208の伸長方向におけるフィラメント(図示せず、たとえば、642、1830)の移動は、抵抗されず、又はロックワッシャ1820の係止位置と比較して著しく低減した抵抗で可能になる。解除部材2053は、(ロックワッシャ1820と係合するか又はロックワッシャ1820を妨げる)作動位置まで移動し、又は、連結部材2049を介して解除要素2044によって作動する。この位置は、解除機構又は解除可能ロック2048aの係止解除又は開放位置と称することができ、
図45及び
図47Bに示されている。付勢ばね2051又は別の好適な付勢構成が、解除部材2053を、ロックワッシャ1820が通常通りに自由に移動及び動作する(伸長方向における移動に応じて自由に係止位置まで移動する)非作動位置まで戻すように構成されている。この位置は、解除機構又は係合可能ロック2048aの係止、係合、動作可能又は通常位置と称することができ、
図44及び
図47Aに示されている。
【0113】
解除部材1830の非作動位置では、ワッシャ1820は、ストラップ208又はヘッドギア200の収縮移動及び伸長移動それぞれに応じて、係止解除位置と係止位置との間で移動することができる。
図25A~
図25Dを参照して考察したように、ワッシャ1820が移動又は枢動することが可能である場合、伸長方向におけるフィラメント又はコア部材1830の移動は、コア部材1830とワッシャ1820との間の摩擦によって制限(たとえば、抑制又は阻止)することができる。逆に、ワッシャ1820が係合解除位置で保持されている場合、コア部材1830とワッシャ1820との間の摩擦は低減し、伸長方向におけるコア部材1830の移動は、係止位置と比較してより容易になる。
【0114】
図48B及び
図49を参照すると、ワッシャ1820の各々は、1つ又は複数の突起1821a、1821bを備えることができる。これらの突起1821a、1821bは、ワッシャ1820を係止解除位置まで移動させるか、又はワッシャ1820が係止解除位置から離れて移動するのを妨げ、したがって、(後退方向とともに)伸長方向におけるコア部材1830の比較的自由な移動を可能にするように、解除部材2053と選択的に係合するように構成された、係合面を画定することができる。解除部材2053は、突起1821a、1821bと接触するように構成された適切な数のアクチュエータ2054a、2054bを含むことができる。図示する構成では、アクチュエータ2054a、2054bは、解除部材2053の本体部分から延在するタブ又はアームの形態である。図示する構成では、突起1821a、1821bは、ワッシャ1820の各側に位置し、解除部材2053の各側に同様に設けられている解除部材2053の対応するアクチュエータ2054a、2054bによって、ワッシャ1820の各側に均衡した力が加えられて、ワッシャ1820の平滑な枢動移動を提供し、引っ掛かり(binding)を低減させるか又は阻止する。
【0115】
図50は、1つの突起1821aのみを含む代替的なワッシャ1820を示す。
図50の構成では、単一の突起1821aが、引っ掛かりを低減させるか又は阻止するように、ハウジング1810が係合する枢動構造体に対して中心に位置している。しかしながら、いくつかの構成では、中心からずれた1つの突起1821又は複数の突起を採用することができ、たとえば、枢動構成等、他の方法又は構造体により、引っ掛かりに抵抗することができる。突起1821aに加えて又はその代わりに、複数の突起及び他の幾何学的形状を含む他の構成を使用することができる。
【0116】
図51A~
図51Cを参照すると、いくつかの態様では解除可能ロック2048a、2048bと同様であるロック2058が示されており、ロック2058は、ワッシャハウジング646にワッシャ1820を組み込んでいるが、解除可能機構は組み込んでいない。いくつかの構成では、ロック2058の基本的な構成要素及び動作は、本明細書に記載する点を除き、上述した方向性ロック1800と同じか又は同様であり得る。図示するロック2058は、複数のワッシャ1820を含む。特に、図示する構成では、ロック2058は3つのワッシャを含む。いくつかの構成では、ロック2058の各々は、解除可能ロック2048a、2048bの各々より少ない数のワッシャを含む。いくつかのこうした構成では、ヘッドギア200の各上部ストラップ208に1つ又は複数のロック2058が採用され、ヘッドギア200の各下部ストラップ208に1つ又は複数のロック2048a、2048bが採用される。係合可能ロック2048a、2048b及び非解除可能ロック2058の任意の所望の組合せを同じマスクアセンブリで使用することができることが理解されよう。
【0117】
図52~
図60Bを参照すると、いくつかの態様では
図26~
図51Cに示すマスクアセンブリと同様であり得るが、
図26~
図51Cの解除バー2044の代わりに解除ハンドル2050の形態の解除要素を含む、マスクアセンブリの別の実施形態が開示されている。したがって、本明細書では詳細に記載しない特徴は、本明細書に開示する対応する特徴と同じか又は同様であり得るか、又は、別の好適な構成であり得る。解除ハンドル2050は、ヨーク202に取り付けることができ、解除部材2053に直接又は間接的に接続することができ、それにより、ハンドル2050に対する引張により、解除部材2053に力が伝達される。図示する構成では、解除ハンドル2050は解除部材2053に直接接続されている。他の構成では、解除ハンドル2050は、解除部材2053と一体化することができ、又は、他の可能性もあるが特に、機械的利点を得るか、動きの方向若しくはタイプを変更するか、又は他の構造体との干渉を回避するように、介在構造体により解除部材2053に接続することができる。一実施形態では、解除ハンドル2050は、
図58Bに示すように、マスクの装着者が、ハンドルを把持して自身の顔面から引き離し、それにより、解除部材2053を作動位置まで移動させることができるように構成することができる。特に
図55及び
図56を参照すると、解除ハンドル2050は、中心部分の上面が凹状であるように、側方部分から中心又は前方部分まで下向きに湾曲することができる。こうした構成により、使用者が把持する解除ハンドル2050の直観的な部分が提供される。本明細書に開示するように、解除部材2053が作動位置にあるとき、ロック2048a、2048bがヘッドギア200の下部ストラップ208の伸長移動に著しく抵抗しないように、解除可能ロック2048a、2048bは解除される。使用者が解除ハンドル2050を解放すると、
図58Aに示すように、付勢ばね2051は、解除部材2053をその非作動位置に戻し、したがって、解除ハンドル2050もまた後退させることができる。こうした位置では、解除可能ロック2048a、2048bは、標準的に動作し、ヘッドギア200の下部ストラップ208の伸長移動を抑制又は阻止する。
【0118】
図61~
図70を参照すると、いくつかの態様において
図26~
図60Bを参照して本明細書に開示した他のマスクアセンブリと同様であり得るが、解除ハンドル2050又は解除可能バー2044の代わりに又はそれに加えてヨーク202に取り付けられた解除アーム2060を含む、別のマスクアセンブリが開示されている。したがって、本明細書では詳細に記載しない特徴は、本明細書に開示した対応する特徴と同じか又は同様であり得るか、又は別の好適な構成であり得る。図示するマスクアセンブリは、ヨーク202の一方の側に、ヘッドギア200の下部ストラップ208の一方及び解除可能ロック2048aの解除部材2053と相互作用するように構成された、1つの解除アーム2060を含む。いくつかの構成では、ヘッドギア200の対向する下部ストラップ208に(解除アーム2060の鏡像であり得る)別の解除アームを採用し、他方の下部解除ロック2048bと相互作用するように構成することができる。別法として、単一の解除アーム2060の移動に両ロック2048a、2048bを連結するように、連結部材又は他の動き伝達構成を構成することができる。他の構成では、ヘッドギア200の任意の又はすべてのストラップ208に解除アーム2060を採用することができる。
【0119】
解除アーム2060は、ヨーク202に対して移動可能である。いくつかの構成では、解除アーム2060は、ヨーク202に対して枢動するように構成されるか、又はヨーク202によって枢支されている。図示する構成では、ヨーク202は、解除アーム2060の相補的な特徴によって係合され、それに受け入れられ、又はその中に保持されるように構成された少なくとも1つの突起の形態のピボット2062を含む。突起は、図示するように円筒状であり得る。好ましくは、ヨーク202は、使用者から離れる方向に面する側と使用者の方に面する側との各々にピボット2062を含む。したがって、解除アーム2060は、ピボット2062によって画定される枢支軸の周囲で枢動し、回転し、又は旋回するように構成することができる。
【0120】
解除アーム2060は、解除部材2053を非作動位置から作動位置まで移動させるように、解除部材2053と直接又は間接的に接触するか又は他の方法で係合するように構成されている。特に、解除アーム2060が、図に示す向きに対して右回り方向においてピボット2062を中心に回転すると、解除アーム2060は、解除部材2053の係合部分2055aと接触し、解除アーム2060が十分な量回転した場合、解除部材2053を作動位置まで移動させる。したがって、解除アーム2060が、
図66及び
図69に示すような実質的に平面又は水平位置から、
図63、
図67及び
図70に示すような実質的に傾斜した又は上昇した位置まで移動すると、解除部材2053は、非作動位置から作動位置まで移動する。逆に、解除アーム2060が平坦又は水平位置まで戻ると、解除部材2053は、非作動位置まで戻ることができ、又は、解除アーム2060を右回り方向に回転させる傾向がある力が取り除かれると、付勢ばね2051(又は他の付勢要素)は、解除部材2053を作動位置から非作動位置まで移動させることができ、それにより、解除アーム2080は実質的平面位置に向かって又はその位置まで戻るように回転することができる。
【0121】
解除アーム2060は、使用者によって直接手動操作されるように構成することができるが、図示する構成では、解除アーム2060は、ヘッドギア200のストラップ208と係合し、ヨーク202、マスクフレーム2030又はクッション2020とヘッドギアストラップ208との間の相対移動の結果として作動するように構成されている。たとえば、マスクアセンブリを取り外すために、使用者は、ヨーク202、マスクフレーム2030又はクッション2020(便宜上、まとめて「マスク」と称する)を把持し、マスクの少なくとも底部を、使用者の顔面(たとえば、あご先)から離れるように上向きに且つ/又は外向きに回転させることができる。ヘッドギア200のストラップ208は、使用者との摩擦接触により、且つヘッドギアストラップ208に対する張力により、使用者の頭部の適所に留まる傾向がある。したがって、使用者が開始するマスクの移動により、上述したように、解除アーム2060がマスクに対して右回りに移動し、それが、解除部材2053を作動させる。その結果、解除可能ロック2048a、2048bの一方又は両方が解除され、ヘッドギア200の少なくとも下部ストラップ208は、低下した抵抗で又は抵抗がほとんどなく伸長することが可能になる。同様に、使用者が、自身の頭部にヘッドギアの後部分204を配置し、マスクが鼻を通過することができるように、顔面から離れるようにマスクの底部を回転させると、マスクに対する解除アーム2060の右回り移動がもたらされる。したがって、解除可能ロック2048a、2048bの一方又は両方が解除され、ヘッドギア200の少なくとも下部ストラップ208は、マスクアセンブリの装着中、低下した抵抗で又は抵抗がほとんどなく伸長することが可能になる。有利には、解除アーム2060にトルクをかける下部ストラップ208における張力を低減させるように、ピボット2062は、下部ヘッドギア取付ポスト2012a、2012bの下方に位置することができる。解除アーム2060の回転の範囲は、解除部材2053の直線状移動の範囲及び/又は解除アームとヨーク202との接触によって、制限することができる。別法として、解除アームの回転を制限するように、別個の突起又は任意の好適な機械的止め具を実施することができる。
【0122】
図71~
図74を参照すると、解除アーム2060は、ヘッドギア係合特徴部2084、ピボット接続部2083、止め具2086及び係合面2088を備えることができる。ヘッドギア係合特徴部2084は、解除アーム1060を、ヘッドギア200のストラップ208(たとえば、下部ストラップ)等のヘッドギア200の一部に結合するように構成されており、それにより、上述したように、解除アーム2060は、ヘッドギア200とヨーク202、マスクフレーム2030又はクッションモジュール2020との間の相対移動に応じて、ヨーク202又はマスクに対して移動するように構成されている。図示する構成では、ヘッドギア係合特徴部2084は、ヘッドギア200のストラップ208の実質的な部分又は全体を包囲するように構成されたループ又はカラーである。図示するヘッドギア係合特徴部2084は、ストラップ208のループ又はカラーの内部空間内への挿入を可能にする小さい開放部2085を有する。開放部2085は、係合特徴部2084に概してC字型の断面を与える。他の構成では、ループ又はカラーは、完全閉ループを形成することができる。たとえば、ヘッドギア200からの対応する嵌合部品又はコネクタを挿入することができる、フック、リム又は他のコネクタ(たとえば、スナップフィットコネクタ又は他のインターロックコネクタ)等、ヘッドギア200(又は、装着若しくは取外し中に相対移動するマスクの他の部分)に結合する他の好適な構成もまた使用することができる。
【0123】
いくつかの構成では、ヘッドギア位置決め特徴部2084は、ヘッドギアストラップ208と解除アーム2060との間に取外し可能な接続を提供する。他の構成では、ヘッドギア位置決め特徴部2084とヘッドギア200との接続は、たとえば、ヘッドギア位置決め特徴部2084及びヘッドギアストラップ208を(たとえば、シリコーンゴムを用いて)オーバーモールドすることによって、永久的にすることができる。
【0124】
ピボット接続部2083は、解除アーム2060が、ピボット2062によって画定された枢支軸を中心に回転するようにヨーク202と取外し可能に又は永久的に接続するのを可能にするように構成されている。図示する構成では、ピボット接続部2083は、ブリッジ部分によって接続された内側部分及び外側部分を有する。内側部分及び外側部分は、全体的なピボット接続部2083が非対称であるように異なる形状を有する。図示する構成では、内側部分は、ヨーク202の対応するピボット2062との確実な接続を提供するように構成されている。したがって、内側部分は、ピボット2062の周縁部のより大きい部分を包囲し、ピボット接続部2083及びヨーク202の意図されない分離を可能にする変形を抑制又は阻止するように、ピボット2062を受け入れる凹部を包囲するより多くの材料を有する。
【0125】
外側部分は、ヨーク202の対応するピボット2062を中心に枢動するように構成されており、選択的に係合部分2055aと接触し(
図69及び
図70)解除部材2053を移動させるように構成されている係合面2088を含む。したがって、図示する構成では、ピボット接続部2083の外側部分は、内側部分と比較して対応するピボット2062の周縁部のより小さい部分を包囲する。さらに、外側部分は、外側部分と比較してピボット2062を包囲するより少ない材料を有する。
【0126】
係合面2088は、ピボット2062を受け入れるように構成された凹部の上方に位置する。図示する構成では、係合面2088は、実質的に平面(側面から直線状)であり、係合面2088の下端部から上端部までの方向において解除部材2053から離れる方向に角度が付けられている。しかしながら、たとえば、ヨーク202に対する解除アーム2060の移動に応じて、解除部材2053の移動の所望の速度に応じて、係合面2088に対して他の好適な形状(たとえば、単一の湾曲、複数の湾曲)を採用することができる。
【0127】
図示する構成では、解除アーム2060は、ヨーク202に対する解除アーム2060の回転移動を制限する止め面又は止め具2086を含む。図示する止め具2086は、ピボット接続部2083のブリッジ部分により、特にブリッジ部分の前縁部により画定されている。ヨーク202に対して右回り方向に解除アーム2060が十分に回転すると、解除アーム2060の止め具2086はヨーク202(たとえば、ヨーク202の上面)と接触して、解除アーム2060の移動を制限する。こうした構成により、解除部材2053に過度の力が加えられるのが抑制又は阻止される。しかしながら、他の構成では、解除部材2053は、解除アーム2060の回転の停止点を画定するように構成することができ、したがって、予期される荷重に対処するように構成することができる。
【0128】
有利には、解除アーム2060は、解除アーム2060が延在する使用者の頭部の形状、及び/又は対応するストラップ208若しくはヘッドギア200の他の部分の所望の経路に対応する形状であり得る。図示する構成では、解除アーム2060の(たとえば、ヘッドギア位置決め特徴部2084を含む)後方部分は、(たとえば、ピボット接続部2083を含む)前方部分と比較して内向きにわずかに曲がり又は湾曲して、使用者の顔面の予期される曲率及び/又はヘッドギアストラップ208の所望の経路に追従する。
【0129】
図75~
図84は、上述した保持又はロック構成及び解放構成のうちの任意のものと使用されるのに好適であるマスクアセンブリ7500を示す。マスクアセンブリ7500は、先に開示したアセンブリに対して、ヨーク202及びクッションモジュール2020をフレーム2030に結合する代替構成を含む。したがって、明確にするために、保持又はロック構成及び解放構成のいくつかの特徴は省略する。しかしながら、マスクアセンブリ7500は、本明細書に開示する保持若しくはロック構成及び/又は解放構成のうちの任意のものを組み込むことができ、又は組み込むように変更することができる。別法として、先に開示したマスクアセンブリは、マスクアセンブリ7500に関して開示する結合構成のうちの任意のものを組み込むことができ、又は組み込むように変更することができる。さらに、多くの点で、ヨーク202、クッションモジュール2020及びフレーム2030は、先に記載した実施形態のうちの1つ又は複数と同じか又は同様である。したがって、以下詳細に記載しないマスクアセンブリ7500の特徴又は構成要素は、先に記載した対応する特徴又は構成要素と同じか又は同様であり得るか、又は別の好適な構成であり得る。
【0130】
図示する構成では、ヨーク202、クッションモジュール2020及びフレーム2030は、選択的に組み立て且つ分解することができる、別個の又は分離可能な構成要素である。ヨーク202、クッションモジュール2020及びマスクフレーム2030を容易に互いから分離し再度組み立てることができることにより、特に、使用者によるマスクのより容易な洗浄、構成要素の交換、並びにより容易な運搬及び保管のためにマスクを分解することができることを含む、さまざまな利点を提供することができる。
【0131】
図示するマスクアセンブリ7500は、マスクフレーム2030へのヨーク202の選択的接続を可能にする第1又はヨーク-フレーム接続構成を含む。特に、図示するマスクフレーム2030は、畝状部又はリップ7909を備え、このリップ7909は、フレーム2030の周辺部の少なくとも一部を包囲し、ヨーク202を取外し可能に取り付けるか又はクリップ留めすることができる特徴部又は構造体を提供する。図示する構成では、リップ7909は、少なくともフレーム2030の各側に設けられている。しかしながら、他の構成では、リップ7909は、完全閉ループ周辺部を画定することができる。別法として、複数の不連続の場所にリップ7909を設けることができる。すなわち、後述する、ヨーク202の係合特徴部に対応する場所にのみ、リップ7909を設けることができる。図示する構成では、リップ7909は、リップ7909の前方面がマスクフレーム2030の前壁の隣接部分と同一平面であるように、マスクフレーム2030の前壁の拡張部によって形成されている。リップ7909は、マスクフレーム2030と一体的に形成する(たとえば、マスクフレーム2030からの突出部として形成する)ことができ、又は、マスクフレーム2030に取り付けられる(たとえば、オーバーモールドされた構造体に機械的に結合されるか又はそうした構造体によって形成されている)別個の構造体であり得る。有利には、ヨーク202の回転又は枢動を抑制又は阻止し、マスクフレーム2030に対するヨーク202の単一の安定した向きを提供するように、マスクフレーム2030及び/又はリップ7909の幾何学的形状は非対称であり得る。
【0132】
特に
図76~
図78を参照すると、先行する実施形態の場合と同様に、図示するヨーク202は、第1若しくは前部品又は部分2042と第2若しくは後部品又は部分2046とを備える。前部品2042及び後部品2046は、互いに永久的に又は取外し可能に結合することができる。前部品2042及び後部品2046は協働して、方向性ロック(1800(
図25A~
図25D)、2048(
図26~
図34)及び2058(
図51A、
図51B))等、保持又はロック構成の構成要素を受け入れるように構成された1つ又は複数の内部空間を画定する。ヨーク202は、中心部分2202と、中心部分から後方に弧を描いて延びる複数のアーム(たとえば、4つのアーム2204)とを含む。アーム2204は、ヘッドギアのストラップに接続するように構成されている。いくつかの構成では、各アーム2204は、ストラップの数がアーム2204の数に等しいように、単一のヘッドギアストラップに接続することができる。しかしながら、他の構成では、ストラップの数がアーム2204の数より多いように、単一のアーム2204に複数のストラップを接続することができ、又は、ストラップの数がアーム2204の数より少ないように、複数のアーム2204に単一のストラップを接続することができる(たとえば、ストラップは、ヘッドギアの後部分から第1アームまで、第1アームから第2アームまで延在し、その後ヘッドギアの後部分に戻ることができる)。
【0133】
図示するフレーム2030は、呼吸ガスの流れをガス導管(図示せず)からクッションモジュール2020まで通すように構成された内部通路2031を画定している。フレーム2030及び/又は内部通路は、マスクアセンブリを正面から見た場合、垂直方向に延在し、クッションモジュール2020の中心部分の上に重なる。フレーム2030の上縁部は、クッションモジュール2020の入口開口部の比較的短い距離上方で終端し、クッションモジュール2020の通気孔2024に適応するように構成された下向きに湾曲するか又は凹状の上面を含むことができる。マスクフレーム2030は、ガス導管(図示せず)に接続されるように構成することができる。図示する構成では、導管コネクタ部分7512は、フレーム2030の下端部に永久的に又は取外し可能に結合され、ガス導管に直接又は間接的に結合されるように構成されている。導管コネクタ部分7512はまた、フレーム2030の内部通路内で窒息防止弁(anti-asphyxiation valve)(AAV)の弁部材も固定することができる。
【0134】
図78は、フレーム2030に面する、ヨーク202の後部品2046を示す。ヨーク202の後側は、第1又はヨーク-フレーム接続構成の一部を含む。特に、ヨーク202の後部品2046は、リップ7909等、フレーム2030の一部と係合するように構成されている、概して7612と称する1つ又は複数の接続特徴部を含む。図示する接続特徴部7612は、たわむことができるフィンガ又はアームの形態である。図示する構成では、ヨーク202は、ヨーク202の基礎部分又は中心部分2202の周縁部の周囲に間隔を空けて配置された4つの接続特徴部7612a、7612b、7612c、7612dを含む。接続特徴部7612a、7612b、7612c、7612dは、実質的に同様又は同一とすることができ、したがって、別段の指示がない限り、各接続部7612a、7612b、7612c、7612dに、特定の接続特徴部7612a、7612b、7612c、7612d又は全体として接続特徴部7612のいかなる説明も適用することができる。
【0135】
接続特徴部7612a、7612b、7612c、7612dの各々は、ヨーク202のアーム2204のうちの1つに関連付けられる。特に、接続特徴部7612a、7612b、7612c、7612dの各々は、アーム2204と中心部分2202との接合部で又はその近くで関連するアーム2204の基部に又はそれに隣接して位置する。こうした構成により、ヨーク202がフレーム2030に組み付けられたときに接続特徴部7612a、7612b、7612c、7612dが隠され、清潔な且つ魅力的な外観が提供される。他の構成では、接続特徴部7612の他の部材を設けることができる。たとえば、1つ、2つ、3つ、5つ、6つ又はそれより多くの接続特徴部7612を設けることができる。接続特徴部7612は、中心部分2202の周縁部に半径方向構成で配置することができる。接続特徴部7612a、7612b、7612c、7612dは、たとえば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン又はポリカーボネート等、弾性変形する材料からの作製の後部品2046と一体的であり得る。
【0136】
フィンガ又は接続特徴部7612a、7612b、7612c、7612dは、ヨーク202の後部品2046の後面から後方向に延在するフック状タブである。フィンガ又はタブ7612a、7612b、7612c、7612dは、ヨーク202の後部品2046に接続された(たとえば、後部品2046と一体的に形成された)第1端部と、フレーム2030のリップ7909と係合するように構成された、内向きに延在する折返し部、留め具又は突起7614を画定する第2端部とを有する。特に、各突起7614は、第2インターロック面として機能する、リップ7909の後方面と接触するように構成された、第1インターロック面を画定し、各突起7614及びリップ7909は、スナップフィット又はインターロック接続を画定する。突起7614の後方に面する面、又は組立方向に対する先行面は、面取りし、角度を付け、又は傾斜させることができ、それにより、フィンガ又は接続特徴部7612a、7612b、7612c、7612dは、フレーム2030のリップ7909との接触及びリップ7909に向かう移動によって外向きにたわむ。突起7614がリップ7909を通過して移動すると、フィンガ又は接続特徴部7612a、7612b、7612c、7612dは、弾性的に回復して、突起7614がリップ7909と係合するまで半径方向に移動することができる。代替構成では、フィンガ又は接続特徴部7612a、7612b、7612c、7612dがフレーム2030に位置し、リップ7909がヨーク202に位置するように、図示する構成を逆にすることができる。さらに、協働するインターロック面を提供する他のタイプの構造体を使用することができる。
【0137】
図83は、接続又は組立プロセス中にヨーク202及びフレーム2030に加えられる力の全体的な方向を示す。たとえば、実質的に矢印7916の方向においてヨーク202に第1力が加えられる可能性がある。第1力は、使用者の手がヨークをフレーム2030に向かって押すか又は引くことによって加えられる可能性がある。矢印7912によって示すように、実質的に第1力の反対方向において、第2力すなわち反力が加えられる。接続特徴部7612及びリップ7909は、互いに対して加圧され、一方又は両方が軽く変形するか又はたわみ(たとえば、弾性変形)、それにより接続特徴部7612がリップ7909を通過することが可能になる。接続特徴部7612のたわみの動きの経路は、矢印7920によって示すように、実質的に半径方向に外向きである。変形又はたわみは、図示する構成では、ヨーク202の対応するアーム2204によって画定される止め面7913によって制限することができる。有利には、こうした構成により、接続特徴部7612のたわみを弾性変形の範囲内に制限して、接続特徴部7612のたわみを制限しない構成と比較して、破損のリスクを低減させ、ヨーク202の有用寿命を延長することができる。止め面7913は、ヨーク202の後部品2046の後方壁を通って部分的に又は完全に延在することができる間隙7905によって、接続特徴部7612から分離することができる。間隙7905は、接続特徴部7612のたわみを促進し、且つ/又は接続特徴部7612と関連するアーム2204との移動を切り離すことができ、アーム2204の移動により、接続特徴部7612は移動せず、又は少なくとも、リップ7909からの接続特徴部7612の意図されない分離をもたらすのに十分な移動はもたらさない。接続特徴部7612がリップ7909を通過した後、接続特徴部7612の弾性の性質により、接続特徴部7612は、その弛緩位置に向かって又は弛緩位置まで弾性的に回復することができ、突起7614はリップ7909と係合して、ヨーク202をフレーム2030に固定する。
【0138】
特に
図78及び
図83を参照すると、ヨーク202の後部品2046は、フィンガ又は接続特徴部7612の各々に関連付けられた凹部7616を含むことができる。各凹部7616は、関連するフィンガ又は接続特徴部7612の第1端部に隣接して位置して、フィンガ又は接続特徴部7612のたわみを促進する。好ましくは、凹部7616は、フィンガ又は接続特徴部7612に隣接している。しかしながら、他の構成では、凹部7616は、必要なたわみ力が凹部7616を含まない設計より低いように、フィンガ又は接続特徴部7612に十分近接して位置する。代替構成では、単一の凹部が、フィンガ又は接続特徴部7612のうちの2つ以上若しくはすべてに関連付けられ、又は隣接して位置することができる。たとえば、単一の凹部が、中心部分2202の一方の側に沿って、且つその側においてフィンガ又は接続特徴部7612の各々に隣接して延在することができる。又は、単一の凹部が、中心部分2202を囲み、フィンガ又は接続特徴部7612のすべてに隣接して位置することができる。
【0139】
図示するマスクアセンブリ7500は、クッションモジュール2020のマスクフレーム2030への選択的接続を可能にする第2又はクッションモジュール-フレーム接続構成を含む。マスクフレーム2030は、クッションモジュール2020のハウジング7504の円筒状壁7524によって画定された対応する開口部7522と係合するように構成された、後方に延在する円筒状カラー7520を含む。円筒状壁7524は、ハウジング7504の外壁からクッションモジュール2020の呼吸チャンバに向かって又は呼吸チャンバ内に内向きに延在することができる。図示する構成では、カラー7520及び開口部7522は、円形又は実質的に円形の周辺部を画定する。しかしながら、他の構成では、カラー7520及び/又は開口部7522は、たとえば、卵形又は多角形等、非円形形状を有することができる。したがって、本明細書で用いる「円筒状」という用語は、別段の指示がない限り、任意の周辺部形状の押し出された閉ループを含むことができる。
【0140】
図示するマスクフレーム2030は、クッションモジュール2020の対応する突起7622を受け入れるように構成された1つ又は複数の凹部7620を含む。しかしながら、マスクフレーム2030が1つ又は複数の突起を含み、クッションモジュール2020が対応する凹部を含むように、この構成もまた逆にすることができる。図示するマスクフレーム2030は、一対の部分環状凹部7620を含み、それらは、円周方向に延在し、カラー7520の対向する側部に位置する。クッションモジュール2020は、スナップフィット式又はインターロック式に凹部7620と係合する、対応する一対の突起7622を含む。他の構成では、マスクフレーム2030及びクッションモジュール2020は、より少ない(たとえば、単一の)又はより多い凹部7620及び突起7622を含むことができる。凹部7620及び突起7622のインターロック接続により、クッションモジュール2020のマスクフレーム2030からの意図されない分離を抑制又は阻止する傾向がある保持力が提供される。さらに、凹部7620及び突起7622は、使用者に対し、クッションモジュール2020とマスクフレーム2030との接続が完了しているというフィードバック(たとえば、触覚又は可聴フィードバック)を提供することができ、且つ/又は、クッションモジュール2020とマスクフレーム2030との間の相対的な回転を抑制又は阻止することができる。
【0141】
いくつかの構成では、マスクアセンブリ7500は、クッションモジュール2020とマスクフレーム2030との適切な回転位置合わせを容易にする位置合わせ特徴部を含む。いくつかの構成では、位置合わせ特徴部もまた、クッションモジュール2020とマスクフレーム2030との相対的な回転を抑制又は阻止することができる。
図84を参照すると、図示するマスクフレーム2030のカラー7520は、クッションモジュール2020の対応する突起7528を受け入れるように構成された凹部7526を含む。しかしながら、突起がマスクフレーム2030に位置し、凹部がクッションモジュール2020に位置するように、この構成を逆にすることができる。
【0142】
図示する構成では、突起7528の側面は凹部7526の対応する側面と接触して、マスクフレーム2030に対するクッションモジュール2020の回転を制限する。突起7528の少なくとも側面によって画定された外側形状は、いかなる著しい相対的な回転移動も阻止されるように、凹部7526の少なくとも側面によって画定されたサイズ及び形状に実質的に対応する。しかしながら、他の構成では、幾分かの量の回転を可能にすることができるように、突起7528と凹部7526との間に間隙を設けることができる。図示する構成では、凹部7526及び突起7528は、各々、円周方向において概して台形形状を有し、又は、凹部7526が容易な組立のために突起7528のための導入部として作用するように、後部から前部の方向において幅がテーパ状である形状を有する。
【0143】
いくつかの構成では、突起7528の前方に面する面は、クッションモジュール2020がマスクフレーム2030に適切に組み付けられると、凹部7526の後方に面する面と接触する。こうした構成により、突起7528の前方に面する面と凹部7526の後方に面する面との接触により、接続が完了しているという指示又はフィードバック(たとえば、触覚又は可聴フィードバック)を使用者に提供することができる。さらに又は別法として、たとえば、円筒状壁7524の前方に面する周辺面等、クッションモジュール2020及びマスクフレーム2030の他の部分が、組立の完了時に接触することができる。
【0144】
本明細書に開示した各マスクアセンブリ又はその一部の特徴は、本明細書に開示した他のマスクアセンブリ又はその一部とともに利用することができる。たとえば、手動で又は意図的に解除可能なロック等を含む方向性ロックは、ヘッドギア部分の長さ若しくはマスクアセンブリの全体的な閉ループ(「円周方向」)の寸法の調整を可能にするように、任意のストラップ(たとえば、上部ストラップ又は下部ストラップ、片面ストラップ又は両面ストラップ)、又はヘッドギア構成の他の部分若しくはマスクアセンブリ全体の他の部分で利用することができる。開示した解放又は解除機構のうちの任意のものを、ヘッドギア又はマスクアセンブリ内の任意の開示した場所又は他の好適な場所において、方向性ロックのうちの任意のもの又は他の制御可能なロックタイプとともに採用することができる。さらに、いくつかの構成では、各方向性ロック(又は他のロック若しくは調整機構)が、2~6個のロック要素、又はロックワッシャを含むことができ、且つ/又は、約2~8ニュートンの係止力をかけることができる。他の構成では、各方向性ロック(又は他のロック若しくは調整機構)が、3~5個のロック要素又はロックワッシャを含むことができ、且つ/又は約4~6ニュートンの係止力をかけることができる。
【0145】
別段文脈から明らかに必要でない限り、明細書及び特許請求の範囲を通して、「備える、含む(comprise、comprising)」等の語句は、排他的又は網羅的な意味とは対照的に包括的な意味で、すなわち、「限定されないが~を含む」という意味で解釈されるべきである。特に、「できる(can、could)」、「あり得る、可能性がある、場合がある(might、may)」、「たとえば」等、本明細書で使用する条件付きの文言は、別段具体的な定めのない限り、又は、使用されている文脈内で他の意味で理解されない限り、概して、いくつかの実施形態が、いくつかの特徴、要素及び/又は状態を含むが、他の実施形態は含まないことを示唆するように意図されている。したがって、こうした条件付きの文言は、概して、特徴、要素及び/又は状態が何らかの点で1つ若しくは複数の実施形態に必要であること、又は、1つ若しくは複数の実施形態が、著者の入力若しくは指示があってもなくても、これらの特徴、要素及び/又は状態が任意の特定の実施形態に含まれ又は任意の特定の実施形態で実施されるべきであるか否かを判断する論理を必然的に含むことを、示唆するようには意図されていない。
【0146】
「複数」という用語は、2つ以上の要素を指す。量、寸法、サイズ、配合、パラメータ、形状及び他の特徴の列挙は、「約」又は「およそ」という用語が、そうした量、寸法、サイズ、配合、パラメータ、形状又は他の特徴に先行しているかのように解釈されるべきである。「約」又は「およそ」という用語は、量、寸法、サイズ、配合、パラメータ、形状及び他の特徴は、正確である必要はなく、必要に応じて、許容可能な公差、変換係数、四捨五入、測定誤差等、及び当業者には既知である他の要素を反映して、近似され且つ/又はより大きいか若しくは小さいものであり得ることを意味する。量、寸法、サイズ、配合、パラメータ、形状及び他の特徴の列挙はまた、「実質的に」という用語が、そうした量、寸法、サイズ、配合、パラメータ、形状又は他の特徴に先行しているかのようにも解釈されるべきである。「実質的に」という用語は、列挙した特徴、パラメータ又は値が正確に達成される必要はなく、たとえば、公差、測定誤差、測定精度限界、及び当業者には既知である他の要素を含む偏差又は変動が、その特徴が提供するように意図された効果を排除しない量で発生する可能性があることを意味する。
【0147】
本明細書では、数値データを範囲形式で表現し又は提示している場合がある。こうした範囲形式は、単に便宜上及び簡潔にするために使用されており、したがって、範囲の上下限として明示的に列挙される数値を含むように柔軟に解釈されるだけでなく、その範囲内に包含される個々の数値又は部分範囲のすべてを、各数値及び部分範囲が明示的に列挙されているかのように含むようにも解釈されるべきであるということが理解されよう。例示として、「1~5」という数値範囲は、約1~約5の明示的に列挙された値のみを含むように解釈されるべきであるのではなく、示された範囲内の個々の値及び部分範囲も含むようにも解釈されるべきである。したがって、この数値範囲に含まれるのは、2、3及び4等の個々の値と、「1~3」、「2~4」及び「3~5」等の部分範囲とである。この同じ原理は、1つの数値のみを列挙する範囲(たとえば、「1より大きい」)に適用され、範囲の広さ又は記載されている特徴に関わらず適用されるべきである。
【0148】
便宜上、複数の項目を共通のリストに提示している場合がある。しかしながら、これらのリストは、リストの各要素が別個の且つ一意の要素として個々に識別されるかのように解釈されるべきである。したがって、こうしたリストのいかなる個々の要素も、別段の指示がなければ、共通のグループに提示されているということのみに基づいて、同じリストの他のあらゆる要素の事実上の均等物であるものとして解釈されるべきではない。さらに、「及び」及び「又は」という用語は、項目のリストとともに使用される場合、列挙された項目のうちの任意の1つ又は複数を単独で又は他の列挙された項目と組み合せて使用することができるという点で、広く解釈されるべきである。「別法として」という用語は、2つ以上の選択肢のうちの1つの選択を指し、別段文脈において明確な指示がない限り、一度に列挙された選択肢のみに又は列挙された選択肢のうちの1つのみに選択を限定するようには意図されていない。
【0149】
本明細書においていかなる従来技術に対する言及も、その従来技術が、世界のいかなる国においても努力傾注分野において共通の一般知識の一部を形成すると認めること又はいかなる形態のそうした示唆ではなく、且つ、そのようなものものとして解釈されるべきではない。
【0150】
上述した記載において、既知の均等物を有する完全体又は構成要素について言及している場合、それらの完全体は、個々に示されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0151】
本発明は、広義には、本出願の明細書において個々に又はまとまって言及されるか又は示される部品、要素及び特徴に、前記部品、要素又は特徴のうちの2つ以上の任意の又はすべての組合せで存すると言うことも可能である。
【0152】
本明細書に記載した現時点で好ましい実施形態に対するさまざまな変形形態及び変更形態が、当業者に明らかになるであろうことは留意すべきである。こうした変形形態及び変更形態は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、且つその付随する利点を低減させることなく作成することができる。たとえば、さまざまな構成要素は、必要に応じて位置を変えることができる。したがって、こうした変形形態及び変更形態は本発明の範囲内に含まれることが意図されている。さらに、本発明を実施するために、特徴、態様及び利点のすべてが必ずしも必要であるとは限らない。したがって、本発明の範囲は、続く特許請求の範囲によってのみ定義されるように意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸マスク用ヘッドギアであって、
フィラメントを備える少なくとも1本のストラップと、
ある方向における前記フィラメントの移動を、前記方向における最小の力が前記フィラメントに加えられるまで制限するように構成された方向性ロックと、
前記フィラメントを前記方向に移動させるために必要な前記最小の力を低減させるように動作可能である解除部材と、
を備えるヘッドギア。
【請求項2】
前記解除部材が、通常は、前記最小の力が低減する位置から離れるように付勢されている、請求項1に記載のヘッドギア。
【請求項3】
前記方向性ロックの前記最小の力が、約2ニュートン~8ニュートンである、請求項1又は2に記載のヘッドギア。
【請求項4】
前記方向性ロックの前記最小の力が、約4ニュートン~6ニュートンである、請求項1又は2に記載のヘッドギア。
【請求項5】
フィラメントを含まない少なくとも1本のストラップをさらに備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のヘッドギア。
【請求項6】
前記解除部材を動作させるように構成されたアクチュエータをさらに備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のヘッドギア。
【請求項7】
前記アクチュエータが、前記解除部材に作用するように選択的に動作可能である、請求項6に記載のヘッドギア。
【請求項8】
前記アクチュエータが、可動バー又はボタン及びハンドルのうちの1つに結合されている、請求項7に記載のヘッドギア。
【請求項9】
前記アクチュエータが、使用者が前記使用者の顔面からマスクを引き離すとき、前記解除部材に自動的に作用するように構成されている、請求項6に記載のヘッドギア。
【請求項10】
前記アクチュエータが、前記少なくとも1本のストラップに結合され且つ前記呼吸マスクに対して移動可能であるように構成されたアームを備える、請求項9に記載のヘッドギア。
【請求項11】
前記少なくとも1本のストラップが、第1ストラップ部分及び第2ストラップ部分を備え、前記フィラメントが、前記第1ストラップ部分及び前記第2ストラップ部分のうちの一方に取り付けられ、前記第1ストラップ部分及び前記第2ストラップ部分が、前記少なくとも1本のストラップの長さを変更するように互いに対して移動可能である、請求項1~10のいずれか一項に記載のヘッドギア。
【請求項12】
前記少なくとも1本のストラップが、前記ヘッドギアの頭部係合部分とマスク係合部分との間で延在している、請求項1~11のいずれか一項に記載のヘッドギア。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のヘッドギアを備えるマスクアセンブリであって、
フレームと、
ハウジング及びシールを備えるクッションモジュールと、
を備えるマスク
を備え、
前記マスクが、前記クッションモジュールを前記フレームに接続するように構成された接続構成を備え、前記接続構成が、前記クッションモジュール及び前記フレームのうちの一方に位置する少なくとも1つの突起と、前記クッションモジュール及び前記フレームのうちの他方に位置する少なくとも1つの凹部とを備え、前記少なくとも1つの突起が、前記クッションモジュールを前記フレームに固定するように前記少なくとも1つの凹部と係合するように構成されている、マスクアセンブリ。
【請求項14】
前記クッションモジュールが、前記フレームのカラーを受け入れる開口部を画定する円筒状壁を備える、請求項13に記載のマスクアセンブリ。
【請求項15】
前記少なくとも1つの突起が、前記円筒状壁において円周方向に延在し、前記少なくとも1つの凹部が、前記カラーにおいて円周方向に延在している、請求項14に記載のマスクアセンブリ。
【請求項16】
前記円筒状壁が、前記ハウジングの外壁から前記クッションモジュールの呼吸チャンバ内に延在している、請求項14又は15に記載のマスクアセンブリ。
【請求項17】
前記クッションモジュール及び前記フレームのうちの一方によって画定された凹部と、前記クッションモジュール及び前記フレームのうちの他方によって画定された突起とを備える位置合わせ特徴部をさらに備え、前記突起が、前記フレームに対する前記クッションモジュールの回転方向の位置合わせを容易にするように前記凹部と係合するように構成されている、請求項13~16のいずれか一項に記載のマスクアセンブリ。
【請求項18】
前記ヘッドギアが、前記ヘッドギアを前記マスクに接続するように構成されたヨークを備える、請求項13~17のいずれか一項に記載のマスクアセンブリ。
【請求項19】
前記ヨークが、中心部分と、前記中心部分から延在する少なくとも1つのアームとを備え、前記少なくとも1つのアームが、前記ヘッドギアの少なくとも1本のストラップに接続するように構成されている、請求項18に記載のマスクアセンブリ。
【請求項20】
前記フレームがリップを備え、前記ヨークが、前記ヨークを前記フレームに固定するように前記リップと選択的に係合するように構成された少なくとも1つのフック状接続フィンガを備える、請求項19に記載のマスクアセンブリ。
【請求項21】
前記リップが、前記フレームの周辺部に沿って延在している、請求項20に記載のマスクアセンブリ。
【請求項22】
前記リップが、前記フレームの前面から延在している、請求項20又は21に記載のマスクアセンブリ。
【請求項23】
前記少なくとも1つのフック状接続フィンガが、前記少なくとも1つのアームと前記中心部分との接合部に隣接して位置している、請求項20~22のいずれか一項に記載のマスクアセンブリ。
【請求項24】
前記少なくとも1つのフック状接続フィンガに隣接して位置し、前記少なくとも1つのフック状接続フィンガのたわみを促進するように構成された凹部をさらに備える、請求項20~23のいずれか一項に記載のマスクアセンブリ。
【請求項25】
前記少なくとも1つのフック状接続フィンガに隣接して位置し、前記少なくとも1つのフック状接続フィンガのたわみを促進し、且つ/又は前記少なくとも1つのアーム及び前記少なくとも1つのフック状接続フィンガの移動を切り離すように構成された間隙をさらに備える、請求項23又は24に記載のマスクアセンブリ。
【請求項26】
前記間隙が、前記ヨークの後壁を完全に貫通して延在している、請求項25に記載のマスクアセンブリ。
【請求項27】
前記少なくとも1本のストラップが複数のストラップを含み、前記少なくとも1つのアームが複数のアームを含む、請求項19~26のいずれか一項に記載のマスクアセンブリ。
【請求項28】
前記ストラップの数が前記アームの数とは異なる、請求項27に記載のマスクアセンブリ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0106
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0106】
使用者が、ヨーク202又はマスクを把持する過程において解除要素2044を作動させ、したがって、1つ又は複数の解除可能ロック(たとえば、解除可能ロック2048a、2048b)の解放を直観的にトリガすることができるように、解除要素2044がヨーク202に対して位置決めされる、他の構成が可能である。たとえば、一対の対向する解除要素2044を、使用者が、要素2044を互いに向かって(たとえば、図に示す向きに対して水平、垂直又は他の方向において)押し込むことができるように、位置決めすることができる。こうした構成では、各解除要素2044は、1つ又は複数の解除可能ロック(たとえば、2048a、2048b)を動作させることができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0123
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0123】
いくつかの構成では、ヘッドギア係合特徴部2084は、ヘッドギアストラップ208と解除アーム2060との間に取外し可能な接続を提供する。他の構成では、ヘッドギア係合特徴部2084とヘッドギア200との接続は、たとえば、ヘッドギア係合特徴部2084及びヘッドギアストラップ208を(たとえば、シリコーンゴムを用いて)オーバーモールドすることによって、永久的にすることができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0125
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0125】
外側部分は、ヨーク202の対応するピボット2062を中心に枢動するように構成されており、選択的に係合部分2055aと接触し(
図69及び
図70)解除部材2053を移動させるように構成されている係合面2088を含む。したがって、図示する構成では、ピボット接続部2083の外側部分は、内側部分と比較して対応するピボット2062の周縁部のより小さい部分を包囲する。さらに、外側部分は、
内側部分と比較してピボット2062を包囲するより少ない材料を有する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0128
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0128】
有利には、解除アーム2060は、解除アーム2060が延在する使用者の頭部の形状、及び/又は対応するストラップ208若しくはヘッドギア200の他の部分の所望の経路に対応する形状であり得る。図示する構成では、解除アーム2060の(たとえば、ヘッドギア係合特徴部2084を含む)後方部分は、(たとえば、ピボット接続部2083を含む)前方部分と比較して内向きにわずかに曲がり又は湾曲して、使用者の顔面の予期される曲率及び/又はヘッドギアストラップ208の所望の経路に追従する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0135
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0135】
接続特徴部7612a、7612b、7612c、7612dの各々は、ヨーク202のアーム2204のうちの1つに関連付けられる。特に、接続特徴部7612a、7612b、7612c、7612dの各々は、アーム2204と中心部分2202との接合部で又はその近くで関連するアーム2204の基部に又はそれに隣接して位置する。こうした構成により、ヨーク202がフレーム2030に組み付けられたときに接続特徴部7612a、7612b、7612c、7612dが隠され、清潔な且つ魅力的な外観が提供される。他の構成では、接続特徴部7612の他の部材を設けることができる。たとえば、1つ、2つ、3つ、5つ、6つ又はそれより多くの接続特徴部7612を設けることができる。接続特徴部7612は、中心部分2202の周縁部に半径方向構成で配置することができる。接続特徴部7612a、7612b、7612c、7612dは、たとえば、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン又はポリカーボネート等、弾性変形する材料で作製した後部品2046と一体的であり得る。
【外国語明細書】