(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120326
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】縫合糸-組織界面において力の分布を増加させるための機器、装置、及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/04 20060101AFI20230822BHJP
A61B 17/94 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
A61B17/04
A61B17/94
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098709
(22)【出願日】2023-06-15
(62)【分割の表示】P 2021557973の分割
【原出願日】2020-06-10
(31)【優先権主張番号】62/860,108
(32)【優先日】2019-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】クリスタキス、ローラ イー.
(72)【発明者】
【氏名】スミス、ポール
(72)【発明者】
【氏名】ウェールズ、ライアン ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】ブレッチビール、スコット イー.
(72)【発明者】
【氏名】グレイ、ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】フルーリー、ショーン ピー.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】一般に、縫合糸-組織の界面で力の分布を増加させるための機器、装置、及び方法に関する。
【解決手段】組織縫合装置510は、配備装置535と、配備装置535から標的組織522に配備可能な複数の組織支持体540A、540Bとを含む。複数の組織支持体540A、540Bはそれぞれ、配備中に縫合糸521を受承するための中央開口部を含む。
【選択図】
図7H
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の遠位端に連結可能であり、かつ、複数の組織支持体を備える組織縫合装置を備え、前記複数の組織支持体はそれぞれ、標的組織に配置可能であり、前記複数の組織支持体のうちの1つ以上の組織支持体は、配備中に縫合糸を受承する、内視鏡とともに使用する為の組織縫合装置。
【請求項2】
配備装置をさらに備え、前記複数の組織支持体は配備前に前記配備装置内に含まれる、請求項1に記載の組織縫合装置。
【請求項3】
前記組織縫合装置は針をさらに備え、前記針は、前記複数の組織支持体のうちの組織支持体に係合してその組織支持体を配備する、請求項1又は2に記載の組織縫合装置。
【請求項4】
前記組織縫合装置の固定端から延びるカラーをさらに備え、前記カラーは、前記内視鏡のワーキングチャンネルに整合するカラー開口部を画定し、前記複数の組織支持体は、配備に先立ち前記カラーの外周囲に延びる、請求項1~3のいずれか一項に記載の組織縫合装置。
【請求項5】
前記複数の組織支持体を含むハウジングと、
前記ハウジングを横切って延びるカバーであって、前記縫合糸に取り付けられた前記針が前記複数の組織支持体へのアクセスすることを許容する開口部を含む、前記カバーと
を備える、請求項3又は4に記載の組織縫合装置。
【請求項6】
前記配備装置は、内部チャンネルと、前記内部チャンネル内の前記複数の組織支持体を付勢するための付勢装置とを備え、前記複数の組織支持体は、前記内部チャンネル内の端から端まで配置される、請求項2~5のいずれか一項に記載の組織縫合装置。
【請求項7】
前記配備装置は、中央チャンネルを画定するマンドレルを含み、前記複数の組織支持体はそれぞれ、前記マンドレルを中心として同心円状に配置される、請求項2~6のいずれか一項に記載の組織縫合装置。
【請求項8】
前記縫合糸は、
コアと、
シースとを備え、前記シースは、前記標的組織に隣接する部位で前記コアから径方向に展開するように動作可能である、請求項1~7のいずれか一項に記載の組織縫合装置。
【請求項9】
前記シースは複数の可撓性ストランドを含む、請求項8に記載の組織縫合装置。
【請求項10】
前記複数の組織支持体は可撓性ワッシャ、噴霧可能な接着剤、綿撒糸、及びばね式ワイヤーのうちの1つ以上を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組織縫合装置。
【請求項11】
配備装置と、
前記配備装置から標的組織に配備可能な複数の組織支持体であって、配備中に縫合糸を受承する中央開口部を含む、前記複数の組織支持体と
を含む組織縫合装置。
【請求項12】
内視鏡の遠位端に固定された固定端と、
前記固定端に対向する自由端とをさらに備え、前記配備装置は、前記固定端と前記自由端のいずれか一方に連結される、請求項11に記載の組織縫合装置。
【請求項13】
前記配備装置は前記固定端から延びるカラーを備え、前記カラーは、前記内視鏡のワーキングチャンネルに整合するカラー開口部を画定し、前記複数の組織支持体はそれぞれ、配備に先立ち前記カラーの外周囲に延びる、請求項11又は12に記載の組織縫合装置。
【請求項14】
前記配備装置は、
前記複数の組織支持体を囲むハウジングと、
前記ハウジングを横切って延びるカバーであって、前記縫合糸に取り付けられた針が前記複数の組織支持体にアクセスするための開口部を含む、前記カバーと
を備える、請求項11~13のいずれか一項に記載の組織縫合装置。
【請求項15】
前記ハウジングは、内部チャンネルと、前記内部チャンネル内で前記複数の組織支持体を付勢するための付勢装置とを備え、前記複数の組織支持体は、前記内部チャンネル内に端から端まで配置される、請求項14に記載の組織縫合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縫合装置に関する。より詳細には、縫合糸-組織界面において力の分布を増加させるための縫合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
縫合は、創傷の閉鎖、ステント又は他のインプラントの固定、胃の湾曲の短絡など、さまざまな内視鏡手術中に使用される。移植及び抽出のためのいくつかのタイプの縫合糸及び装置が開発されてきている。いくつかのアプローチでは、縫合は、一定の長さの縫合材料に取り付けられた鋭い縫合針を、縫合される組織の部分に繰り返し通すことによって実行される。そして、縫合材料の両自由端を結んで縫合手順を完了する。
【0003】
多くの内視鏡手術は、組織を引き寄せ、新しい構成で組織を保持する。しかしながら組織を再構成して拘束すると、組織と縫合糸の間に張力が発生する。現在の縫合及び縫合アプローチは、組織を保持するための適切にして一時的な解決策を提供する一方、時間の経過とともに、組織を所定の位置に保持するために必要な力が大きくなりすぎて平衡を維持できない。その結果、組織が弛緩すると縫合糸が組織を引き裂く可能性がある。上記考慮事項を念頭に置いて本発明の改善が有用であり得る。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、様々な実施形態において、一般に内視鏡による縫合手順の長期的な有効性を高めるために、組織-縫合糸界面で力を再分配するための装置、装置、及び方法に関する。
【0005】
1つ以上の実施形態において、内視鏡と共に使用するための組織縫合装置は、内視鏡の遠位端に連結可能な組織縫合装置を含み、組織縫合装置は、複数の組織支持体を含み、複数の組織支持体はそれぞれ、標的組織に配備可能であって、複数の組織支持体の1つ以上の組織支持体は配備中に縫合糸を受け取る。いくつかの実施形態では、組織縫合装置は、針をさらに含み、針は、複数の組織支持体のうちの組織支持体に係合して組織支持体を配備する。いくつかの実施形態では、組織縫合装置は、組織縫合装置の固定端から延びるカラーをさらに含み、カラーは、内視鏡のワーキングチャンネルに整合したカラー開口部を画定し、複数の組織支持体はそれぞれ、配備前のカラーの外周に延びる。いくつかの実施形態では、配備装置は、複数の組織支持体を含むハウジング、及びハウジングを横切って延びるカバーを含み、カバーは、縫合糸に取り付けられた針による複数の組織支持体へのアクセスを許容する開口部を含む。いくつかの実施形態では、配備装置は内部チャンネルと、内部チャンネル内の複数の組織支持体を付勢するための付勢装置とを含み、複数の組織支持体は、内部チャンネル内に端から端まで配置される。いくつかの実施形態では、配備装置は、中央チャンネルを画定するマンドレルを含み、複数の組織支持体はそれぞれ、マンドレルを中心として同心円状に配置される。いくつかの実施形態では、縫合糸は、コア及びシースを含み、シースは、標的組織に隣接する領域にコアから径方向に拡張するように動作可能である。いくつかの実施形態では、シースは複数の可撓性のストランドを含む。いくつかの実施形態では、複数の組織支持体は、可撓性ワッシャ、噴霧可能な接着剤、綿撒糸、及びばね式ワイヤのうちの1つ以上を含む。
【0006】
1つ以上の実施形態では、組織縫合装置は配備装置と、配備装置から標的組織に向かって配備可能な複数の組織支持体とを含む。複数の組織支持体は、配備中に縫合糸を受け入れるための中央開口部を含む。いくつかの実施形態では、組織縫合装置は、内視鏡の遠位端に固定された固定端及び固定端に対向する自由端をさらに含み、配備装置は、固定端及び自由端のうちの一方に連結される。いくつかの実施形態では、配備装置は、固定端から延びるカラーを含み、カラーは、内視鏡のワーキングチャンネルに整合したカラー開口部を画定し、複数の組織支持体はそれぞれ、配備に先立ちカラーの外周に延びる。いくつかの実施形態では、配備装置は、複数の組織支持体を囲むハウジング、及びハウジングを横切って延びるカバーを含み、カバーは、縫合糸に取り付けられた針による複数の組織支持体へのアクセスを許容する開口部を含む。いくつかの実施形態では、ハウジングは、内部チャンネルと、内部チャンネル内の複数の組織支持体を付勢するための付勢装置とを含み、複数の組織支持体は、内部チャンネル内に端から端まで配置される。
【0007】
1つ以上の実施形態では、方法は、針及び組織縫合装置の縫合糸を標的組織に通す工程を含み、組織縫合装置は、内視鏡の遠位端から延びる。この方法は、組織縫合装置から標的組織の第1の部分に沿った位置に第1の組織支持体を配備する工程と、組織縫合装置から標的組織の第2の部分に沿った位置に第2の組織支持体を配備する工程とをさらに含み、縫合糸を締めることにより、第1の組織支持体と第2の組織支持体は互いに接近する。いくつかの実施形態では、方法は、配備装置内に複数の組織支持体を収容する工程であって、第1の組織支持体が縫合腔内に露出される、前記配備装置内に複数の組織支持体を収容する工程と、針によって縫合腔内の第1の組織支持体に係合して第1の組織支持体を配備装置から外す工程と、縫合腔内に第2の組織支持体を露出させる工程と、針で縫合腔内の第2の組織支持体に係合して第2の組織支持体を配備装置から外す工程とをさらに備える。いくつかの実施形態では、この方法は、配備装置を横切って延びるカバーの開口部内を通過して複数の組織支持体にアクセスする工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、この方法は、付勢装置を使用して複数の組織支持体を縫合腔に向かって付勢する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、この方法は、プロングのセットを使用して組織縫合装置から第1の組織支持体を外す工程と、プロングのセットから縫合糸上に第1の組織支持体を外す工程と、プロングのセットを使用して組織縫合装置から第2の組織支持体を外す工程と、プロングのセットから前記縫合糸上に第2の組織支持体を外す工程を含む。
【0008】
上記概説した装置、装置、及び方法に関連して使用するために、及び、以下でより詳細に述べる実施形態及び本明細書の範囲内の実施形態より詳細に記載された実施形態に関して、上記概説した様々な1つ以上の特徴を、上記概説した別の要素に置換、交換、組み合わせ、又は代替することができる。
【0009】
本発明の非限定的な実施形態は概略的であり、縮尺通りに描かれることを意図されていない添付の図を参照して例として説明されている。図面では、図に示す各同一又はほぼ同一の構成要素は、通常、単一の数字で表されている。明確性のために、すべての構成要素がすべての図でラベル付けされているわけではなく、当業者が開示を理解できるようにするために図解が必要でない場合は、各実施形態のすべての構成要素が示されているわけでもない。さらに、明確性を目的として、一部の図には、「スライス」又は「近視」断面図の形式の断面図が含まれており、説明のために、「真の」断面図に表示される特定の背景線又は特徴は省略されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態にかかる組織縫合装置を示す側面図。
【
図2】本発明の実施形態にかかる
図1の組織縫合装置の例示的な配備装置を示す側断面図。
【
図3A】本発明の実施形態にかかる
図2の配備装置を覆う例示のカバーを示す正面図。
【
図3B】本発明の実施形態にかかる
図2の配備装置を覆う例示のカバーを示す正面図。
【
図4A】本発明の実施形態にかかる
図1の組織縫合装置の例示的な配備装置を示す端面図。
【
図4B】本発明の実施形態にかかる
図4Aの配備装置を使用するための工程を示す側断面図。
【
図4C】本発明の実施形態にかかる
図4Aの配備装置を使用するための工程を示す側面断面図。
【
図4D】本発明の実施形態にかかる
図4Aの配備装置を使用するための工程を示す側面断面図。
【
図4E】本発明の実施形態にかかる
図4Aの配備装置を使用するための工程を示す側面断面図。
【
図5】本発明の実施形態に係る配備装置の例を示す斜視図。
【
図6】本発明の実施形態にかかる
図5の配備装置を示す部分断面斜視図。
【
図7A】本発明の実施形態にかかる
図5~6の配備装置を使用するための工程を示す側面図。
【
図7B】本発明の実施形態にかかる
図5~6の配備装置を使用するための工程を示す側面図。
【
図7C】本発明の実施形態にかかる
図5~6の配備装置を使用するための工程を示す側面図。
【
図7D】本発明の実施形態にかかる
図5~6の配備装置を使用するための工程を示す側面図。
【
図7E】本発明の実施形態にかかる、
図5~6の配備装置を使用するための工程を示す側面図。
【
図7F】本発明の実施形態にかかる
図5~6の配備装置を使用するための工程を示す側面図。
【
図7G】本発明の実施形態にかかる
図5~6の配備装置を使用するための工程を示す側面図。
【
図7H】本発明の実施形態にかかる
図5~6の配備装置を使用するための工程を示す側面図。
【
図7I】本発明の実施形態にかかる
図5~6の配備装置を使用するための工程を示す側面図。
【
図8A】本発明の実施形態にかかる例示的な縫合糸の使用を示す斜視図。
【
図8B】本発明の実施形態にかかる例示的な縫合糸の使用を示す斜視図。
【
図8C】本発明の実施形態にかかる例示的な縫合糸の使用を示す斜視図。
【
図8D】本発明の実施形態にかかる例示的な縫合糸の使用を示す斜視図。
【
図9A】本発明の実施形態にかかる例示的な縫合糸の使用を示す斜視図。
【
図9B】本発明の実施形態にかかる例示的な縫合糸の使用を示す斜視図。
【
図9C】本発明の実施形態にかかる例示的な縫合糸の使用を示す斜視図。
【
図9D】本発明の実施形態にかかる例示的な縫合糸の使用を示す斜視図。
【
図10A】本発明の実施形態にかかる例示的な縫合糸を示す側面図。
【
図10C】本発明の実施形態にかかる縫合糸の後退後の
図10Aの縫合糸を示す側面図。
【
図11A】本発明の実施形態にかかる例示的な縫合糸の上面断面図。
【
図12A】本発明の実施形態にかかる組織の領域に塗布された噴霧可能な接着剤の使用を示す斜視図。
【
図12B】本発明の実施形態にかかる組織の領域に塗布された噴霧可能な接着剤の使用を示す斜視図。
【
図13A】本発明の実施形態にかかる組織の領域に塗布された接着剤の使用を示す斜視図。
【
図13B】本発明の実施形態にかかる組織の領域に塗布された接着剤の使用を示す斜視図。
【
図13C】本発明の実施形態にかかる組織の領域に塗布された接着剤の使用を示す斜視図。
【
図14A】本発明の実施形態にかかる管状組織支持体の使用を示す斜視図。
【
図14B】本発明の実施形態にかかる管状組織支持体の例示的な斜視図。
【
図14C】本発明の実施形態にかかる別の例示的な管状組織支持体の斜視図。
【
図15】本発明の実施形態にかかるばね式ワイヤの使用を示す斜視図。
【
図16】本発明の実施形態にかかる方法を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、本明細書に記載の具体的な実施形態に限定されない。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、添付の特許請求の範囲を超えて限定することを意図していない。別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味と同一の意味を有する。
【0012】
本明細書に記載の実施形態は、縫合糸-組織界面での力分布を増加させるための内視鏡組織縫合機器、装置及び方法を開示する。当業者であれば、本発明にかかるアプローチは、胃の領域を縫合することを参照して本明細書で説明されているが、このアプローチは別の胃腸経管の手術で利用され、経口的及び経肛門的に導入可能であることが理解できる。
【0013】
非限定的ではあるが、本発明のアプローチは、患者の胃腸管の部分的な円周状内視鏡的粘膜切除術(EMR)又は粘膜下組織剥離術(ESD)などの手術を実施することによって胃食道逆流症(GERD)を治療するのに有効であり得る。
【0014】
図1を参照して、本発明の実施形態にかかる組織縫合装置(以下、「装置」)100について説明する。図に示すように、装置100は、内視鏡114などのスコープの遠位端112から延びる組織縫合装置(以下、「装置」)110を含む。装置110は気管支鏡、十二指腸鏡、胃鏡、結腸鏡などの別の種類のスコープでも使用することができる。装置110は、内視鏡114に直接連結された固定端116と、固定端116に対向する自由端118とを有するヘッド、すなわちキャップ115を含む。いくつかの実施形態では、キャップ115は、機械的な留め具、接着剤、縫合糸、圧入、テープ、オーバーモールドなど、様々な技術を使用して内視鏡114に連結され得る。別の実施形態では、ディスペンサーキャップは、内視鏡に対して一体的に形成される。
【0015】
使用中、針120は、長手方向軸に沿って固定端116と自由端118との間を往復し、針120は、通過するごとに標的組織122を穿刺するための1つ以上の尖った先端を含む。いくつかの実施形態では、組織把持器124は、キャップ115のチャンネル126の中を通って搬送されて、標的組織122に係合し、固定端116と自由端118との間に配置された縫合腔130の中に標的組織122を配置する。
【0016】
装置110は、内部に複数の組織支持体(図示せず)を含む配備装置135を含む。以下でより詳細に説明するように、組織支持体は、針120が1回以上通過する間に縫合糸と標的組織122との間に追加される。いくつかの実施形態では、配備装置135は、固定端116にほぼ対向して配置された装置110の自由端118に連結される。
【0017】
ここで
図2を参照して、本発明の実施形態にかかる例示的な配備装置235を説明する。図に示すように、配備装置235は、配備装置235の内部に複数の組織支持体240を有するハウジング238を含むカートリッジである。ハウジング238は、内部チャンネル242と、内部チャンネル242を介して複数の組織支持体240を付勢するための付勢装置244(例えば、ばね)とを含む。いくつかの実施形態では、複数の組織支持体240は、一端から他端まで中実状をなし、可撓性を有する構成要素である。縫合中、針220は、縫合腔230に入り、複数の組織支持体240のうちの露出されている組織支持体240Aを穿刺する。露出された組織支持体240Aが配備装置235から引き離されて、針220に取り付けられると、付勢装置244は、複数の組織支持体240のうちの次の組織支持体を縫合腔230に入れ、針220の次の通過において係合させる。複数の組織支持体240のうちの1つ以上は、針220が組織を通過するたびに追加されるため、縫合糸と組織との間の界面は、手順が続くにつれてより強固になる。いくつかの実施形態では、配備装置235は、露出された組織支持体240Aの後方に配置された剛性プレート246を含み、針220がハウジング238内に延びるのを防止する。さらに、配備装置235は、突出248を含み、突出248は、露出された組織支持体240Aを縫合腔230内に整合された状態に維持する。
【0018】
ここで
図3A~3Bを参照して、本発明の実施形態にかかる様々な配備装置をより詳細に説明する。図に示すように、配備装置335は、ハウジング338内で互いに積み重ねられた複数の組織支持体340を含む。配備装置335は、ハウジング338を横切って延びるカバー350を含む。
図3Aの実施形態では、カバー350は、ハウジング338を横切って延びる1つ以上の膜351を含む。膜351は、針(図示せず)による複数の組織支持体340へのアクセスを可能にするためのスロット、すなわち開口部352を画定する。膜351は、複数の組織支持体340を配備装置335内の所定の位置に保持するために十分な耐久性を有するが、複数の組織支持体340の露出された組織支持体を針で配備装置335から引き抜くために十分な柔軟性を有する。
【0019】
図3Bの実施形態では、カバー350は、ハウジング338のフレーム356を横切って延びるスラット354などの複数の構成要素を含み、複数の組織支持体340を所定の位置に保持する。様々な例において、複数のスラット354は横方向、長手方向、及び/又は対角線方向に向けられ得る。図に示すように、複数のスラット354は、針が配備装置335に入って複数の組織支持体340のうちの露出された組織支持体を穿刺可能にする開口358を画定する。次に、露出された組織支持体は、折り畳まれ又は曲げられて開口部358内を通過して張引される。
【0020】
図4Aに示すように、配備装置435はハウジング438内にマンドレル460を含む。いくつかの実施形態では、マンドレル460は、内部に中央チャンネル461を有する管状の構成要素である。以下でより詳細に説明するように、中央チャンネル461は、針が配備装置435に進入して、複数の組織支持体440のうちの1つ以上を保持することを許容する。この実施形態では、複数の組織支持体440は、マンドレル460の外面462を中心として同心円状に配置された円筒形のワッシャである。さらに、複数の組織支持体440は、弾性的に拡張して配備装置435内のマンドレル460に適合する。配備後、複数の組織支持体440は、収縮又は圧縮して縫合糸の周りを効果的に閉鎖する。
【0021】
ここで
図4B~4Eを参照して、
図4Aの配備装置435の動作を示す断面図をより詳細に説明する。
図4Bに示すように、配備装置435は、マンドレル460の周りに配置された複数の組織支持体440(例えば、4つ)を含む。配備装置435は、針シャトルシステム464で動作させることができ、針シャトルシステム464は標的組織422を貫通して針420及び縫合糸421を前後にシャトルするように動作可能な内側管466及び外側管468などの2つ以上の入れ子になったハイポチューブを含む。いくつかの実施形態では、プロング470のセットが、内側管466から延びる。様々な例では、内側管466及び外側管468はともに又は独立して移動する。
【0022】
図4Cに示すように、針シャトルシステム464の内側管466は、針420上を遠位方向に進められ配備装置435と相互作用する。例えば内側管466の端部のプロング470は、複数の組織支持体440と並んで/隣接して適合するように変形可能である。いくつかの実施形態では、プロング470が配備装置435に入る深さは、操作者によってハンドル(図示せず)で制御できる。別の実施形態では、プロング470は配備装置435の近位端469に単に当接する。図示されていないが、配備装置435は、配備装置435の遠位端467に組み込まれたばねシステム(例えば、1つ以上のばね、又は他の付勢機構)を含み、プロング470との係合のために複数の組織支持体440を近位端469に向かって連続的又は選択的に押す。例えば、針が配備装置435に受承されると、最も近位の組織支持体440は、プロング470上に配備される。
【0023】
針シャトルシステム464が配備装置435から後退されると、例えば、
図4Dに示すように、複数の組織支持体440のうちの最も外側の組織支持体440Aは、マンドレル460から外される。いくつかの実施形態では、最も外側の組織支持体440Aは、内側管466が配備装置435からさらに離間する方向に移動する間、縫合糸421の周りに延びてプロング470上に留まる。最も外側の組織支持体440Aは収縮して、張力によってプロング470上に留まる。さらに、プロングは、1つ以上の湾曲した(例えば径方向外側に湾曲した)端部472を含み、最も外側の組織支持体440Aがプロング470から滑り落ちることを防止する。
【0024】
次に、
図4Eに示すように、針シャトルシステム464の外側管468が内側管466に対して遠位方向に進められて、最も外側の組織支持体440Aをプロング470から縫合糸421上に、例えば針420と標的組織422の間に遠位方向に押す。次に、外側管468の位置は、内側管466に対してリセットされるため、針シャトルシステム464は、別の針の通過のための準備ができる。いくつかの実施形態では、組織支持体は、縫合糸が通過する毎に追加されない。さらに、配備される組織支持体の数は手術の必要性、医師、及び/又は配備装置435の容量に依存することが理解できる。本明細書の実施形態は、この文脈に限定されない。
【0025】
ここで
図5~6を参照して、本発明の実施形態にかかる組織縫合装置(以下、「装置」)510について説明する。装置510は、内視鏡(図示せず)に連結可能な固定端516と、固定端516に対向する自由端518とを有するヘッド、すなわちキャップ515を含む。いくつかの実施形態では、キャップ515は内視鏡又は別の器具と一体的に形成される。使用中、針520及び縫合糸521は、長手方向軸に沿って固定端516と自由端518との間を前後に通過されて、縫合腔530内に配置された標的組織(図示せず)を穿刺する。
【0026】
装置510は、キャップ515の固定端516に連結された配備装置535を含む。この実施形態では、配備装置535は、カラー572の周りに延びる複数の組織支持体540A~540Bを含む。組み立て中、針520に連結された縫合糸521は、組織支持体540Aと組織支持体540Bとの間に通されて、最も遠位に配置された組織支持体540Aを針520と組織との間に配置可能にする。
【0027】
図に示すように、カラー572は、装置510を内視鏡の遠位端に固定する。別の実施形態では、カラー572は、内視鏡又は他の管状器具と一体的に形成される。非限定的ではあるが、複数の組織支持体540A~540Bはそれぞれ、カラー572の外周に配置されたワッシャ状の支持体である。カラー572は、内視鏡のワーキングチャンネルに整合するカラー開口部574を画定する。針520は、以下でより詳細に説明するように、縫合中にカラー開口部574を出入りする。カラー572上に配置されている間、複数の組織支持体540は、針520及び縫合糸521上に配備するために伸長されている。縫合糸521が装置510の近位ハンドルで張引されたとき、複数の組織支持体540はそれぞれ、別々に配備される。有利には、複数の組織支持体540A~540Bは、例えば、操作者が針520を標的組織に貫通させて所望の回数通過させた後であって縫合糸521が締められる前に、ともに張力が付与された標的組織の両側に配備される。
【0028】
いくつかの実施形態では、複数の組織支持体540は、追加の縫合糸(図示せず)を使用して配備される。例えば、追加の縫合糸は複数の組織支持体540A~540Bのうちの1つ以上に連結される。追加の縫合糸が固定端516に向かって張引されると、追加の縫合糸は、最も遠位に配置された組織支持体540Aをカラー572から離脱させる。いくつかの実施形態では、カラー572は、カラー572の側壁を貫通する開口(図示せず)を含み、開口は、追加の縫合糸がカラー572の中央の穴から出ることを可能にする。追加の縫合糸とともに、カラー572上に配置された複数の組織支持体540A~540Bを有することにより、針520は、操作者が必要とする回数だけ、通常通り前後にシャトルされる。
【0029】
ここで
図7A~7Hを参照して、本発明の実施形態にかかる装置510の動作をより詳細に説明する。
図7A~7Bでは、
図7C~7Dに示すように、針520及び縫合糸521は、標的組織522の第1の部分を貫通させられ、次に標的組織522の第2の部分を貫通させられる。
図7E~7Fに示すように、次に、針520は、配備装置535のカラー572の中を通過して内視鏡514のワーキングチャンネル575の中に引っ張られる。いくつかの実施形態では、縫合糸521は、最も遠位に配置された組織支持体540Aの周りにだけに延びる。配備中において、
図7Gに示すように、最も遠位に配置された組織支持体540Aが配備装置535から離脱されて、標的組織522の片側の所定の位置に配置される。次に、第2の組織支持体540Bが配備装置535から離脱されて、
図7Hに示すように、標的組織522の反対側の所定の位置に配置される。いくつかの実施形態では、内視鏡514(
図7F)は標的組織522から離間する方向に移動されて、針520を標的組織522の片側に接触させる一方、縫合糸521は張引されて第2の組織支持体540Bを縫合糸521上に配備する。最後に、
図7Iに示すように、縫合糸521は、例えば、締め付け装置578を使用して強く張引されて固定される。締め付け装置578は、縫合糸521を張引して針520を配備装置535に接近させることによって、標的組織522の両側の最も遠位に配置された組織支持体540Aと第2の組織支持体540Bとを互いに接近させることができる。
【0030】
ここで
図8A~8Dを参照して、本発明の実施形態にかかる縫合糸821を説明する。縫合糸821は、標的組織822を貫通するように動作可能な剛性又は半剛性の先端823を含む。剛性先端823は、複数の可撓性ストランド、すなわちフィラメント825に接続される。
図8Aに示すように、縫合糸821は、最初に矢印827で示す方向に標的組織822を通過する。この構成では、フィラメントは一般に直線的な長尺状である。
図8Bに示すように、縫合糸821はフィラメント825を囲む1つ以上の保持ワイヤ829を含む。保持ワイヤ829を使用して、例えば
図8Cに示す方向に縫合糸821を標的組織822に向かって引き戻すことができる。縫合糸821を標的組織822に向かって張引することにより、フィラメント825は径方向に延びて、標的組織822の表面831に対してマレコ(malecot)形態を形成する。
図8Dに示すように、フィラメント825と標的組織822との間の界面833は、一般にフィラメント825の拡張形態のために、より大きな面積を有する。したがって、力は界面833でよりよく分散され、標的組織822が裂ける可能性は低くなる。
【0031】
ここで
図9A~9Dを参照して、本発明の実施形態にかかる縫合糸921を説明する。縫合糸921は、ポリマー本体939に連結された剛性の先端923を含み、ポリマー本体939は、剛性又は可撓性である。
図9Aに示すように、縫合糸921は、矢印927で示す方向に標的組織922の界面933で最初に通過する。この構成では、ポリマー本体939は直線的な長尺状である。しかしながら、
図9Bに示すように、ポリマー本体939の外側材料943は水、生理食塩水、血液などの流体(図示せず)と接触すると、径方向に膨張してもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、ポリマー本体939の外側材料943は、ヒドロゲルである。「ヒドロゲル」という用語は、架橋された、水不溶性の、水を含有する材料を示す。好適な架橋性ポリマーには、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリエチレンオキシド、加水分解されたポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリエチレンアミン、アルギン酸、ペクチン酸、カルボキシメチルセルロース、ヒアルロン酸、ヘパリン、ヘパリン硫酸塩、キトサン、カルボキシメチルキトサン、キチン、プルラン、ジェラン、キサンタン、カルボキシメチルデンプン、カルボキシメチルデキストラン、コンドロイチン硫酸塩、カチオン性グアー、カチオン性デンプン、それらの塩及びそれらのエステルから選択されるポリマーの1つ又はポリマーの混合物を含むが、これに限定されない。ヒドロゲル生成物は、界面933において、改善された機械的特性、例えば改善された剛性、弾性率、降伏応力、強度を有する。
【0033】
図9Cに示すように、縫合糸921が後退されると、ポリマー本体939の外側材料943が束になり始める。
図9Dに示すように、縫合糸921を標的組織922に向かってさらに後退させると、外側材料943は標的組織922の表面931に沿って束として集まるようになる。外側材料943と標的組織922との間の界面933は、一般に外側材料943の膨張のためにより大きな面積を有する。したがって、力は界面933でよりよく分散され、標的組織922が裂ける可能性は低くなる。
【0034】
ここで
図10A~10Cを参照して、本発明の実施形態にかかる縫合糸1021を説明する。図に示すように、縫合糸1021は、シース1049に囲まれたコア1047を含む。シース1049の外側に延びるコア1047の一部は、縫合糸1021の先端1053に対応する。いくつかの実施形態では、シース1049は、コア1047から径方向に拡張できる。さらに、シース1049は、
図10Cに示すように、コア1047とは独立して移動してシースが膨張することを可能にすることができる。この実施形態では、シース1049は、コア1047が拡張して後退した際、膨らみ且つ座屈する連続した又はシート状のカバーであり、縫合糸1021が標的組織(図示せず)に出会う部位において中実のプラグ状の界面を形成する。いくつかの実施形態では、シース1049は、コア1047を中心として同心円状に配置される。
【0035】
図11A~11Bの実施形態では、縫合糸1121のシース1149は、複数の可撓性ストランドを含む。図に示すように、縫合糸1121のコア1147が後退されると、可撓性のストランドはふくらみ、拡張して表面積が増大したメッシュ状のネットワークを形成する。いくつかの実施形態では、シース1149は、コア1147を中心として同心円状に配置される。
【0036】
ここで
図12A~12Bを参照して、本発明の実施形態にかかる標的組織1222の領域に塗布された噴霧可能な接着剤128の使用についてより詳細に説明する。図に示すように、噴霧可能な接着剤1280は、内視鏡1214の中を通過して搬送される。噴霧可能な接着剤1280は、縫合糸1221及び針1220が標的組織1222を貫通する各界面1233で標的組織1222に塗布される。これにより、界面1233は、縫合糸1221の張引力下で裂ける可能性がより低くなる。
【0037】
使用中、医師は内視鏡手術を行ってもよい。医師は、ワーキングチャンネルを占有する装置(例えば、視覚化装置)を後退させて、針又はカテーテル1281を前進させる。この要素がワーキングチャンネルに到達すると、例えば、医療グレードのシリコーンベースのスプレー接着剤を備えた注射器(図示せず)がカテーテル1281の近位端に(例えば、ルアーコネクタを介して)連結される。注射器を作動させて、噴霧可能な接着剤1280を内視鏡1214の遠位端から排出させる。
図12Bに示すように、噴霧可能な接着剤が固まると、シンチ(cinch)1282及び針1220が接触する標的組織1222の表面が硬化して膨張を防止する為、シンチ1282及び/又は針1220が各界面1233で標的組織1222の穴を通過することが防止される。
【0038】
図13A~13Cの非限定的な実施形態では、硬化性接着剤1380(例えば、水分又はUV硬化性)を、縫合糸1321の各端部で標的組織1322に付与して、標的組織1322と縫合糸1321の間の界面1333に付与された力を分散させることができる。硬化前の硬化性接着剤1380の柔軟な性質により、硬化性接着剤1380は、内視鏡1314のワーキングチャンネル内を通過し易くするとともに標的組織1322に塗布し易くすることができる。さらに硬化性接着剤1380は、医師が、手術の要求性、創傷の位置、彼/彼女の好みなどに基づいて、硬化性接着剤1380の最終的な形状をよりよくカスタマイズすることを可能にし得る。例えば、
図13B~13Cに示すように、硬化性接着剤1380は、それぞれが中央開口部1387を有する1つ以上の円筒形ワッシャ1385の中に適合される。その結果、縫合糸1321(
図13C)は、中央開口部1387を通る。さらに、硬化性接着剤1380の使用はまた、例えば、縫合前又は縫合後の必要に応じて力の分布を改善するために、手術の様々な時点にいて追加的な接着剤を付与する自由を医師に与える。いくつかの実施形態では、
図13Cに示すように、針1320は、縫合後、硬化性接着剤1380の上に留まる。視認性を改善するために、代替的な実施形態では、硬化性接着剤1380は着色されてもよい。
【0039】
図14A~14Cの非限定的な実施形態では、1つ以上の管状の組織支持体(例えば、ワッシャ)1440を標的組織1422の両側で使用することができる。図に示すように、管状の組織支持体1440は、縫合糸1421が通されるスロット1489を含み、縫合糸421が標的組織1422に通された後、縫合糸1421に沿って任意の場所に管状の組織支持体1440を配置可能にする。いくつかの実施形態では、縫合糸1421が配置された後、縫合糸1421が締め付けられる前に、管状の組織支持体1440は、内視鏡によって搬送され、把持具又は同様の器具を使用して所定の位置に操作されて標的組織1422を保護する。
【0040】
ここで
図15を参照して、1つ以上の弾性要素、又はばね式ワイヤの形態の組織支持体を説明する。図に示すように、針1520及び縫合糸1521が標的組織1522を通過するとき、ワイヤ1590が内視鏡1514から縫合糸1521上に配備される。図に示す非限定的な実施形態では、ワイヤ1590は、内視鏡1514の搬送カテーテルに予め装填された、形状記憶を備えた金属製のばね式ワイヤである。ワイヤ1590が内視鏡1514の遠位先端を超えて前進されると、ワイヤ1590はカールし始める。ワイヤ1590は、カールし始めるにしたがってフック1592を形成し、フックは、シンチ1591と標的組織1522との間及び/又は針1520と標的組織1522との間において縫合糸1521に係合可能である。
【0041】
縫合糸1521がフック1592に捕捉されると、ワイヤ1590の残りの部分は、内視鏡1514から供給される。ワイヤ1590は、近位端が排出されるまでカールし続ける。ワイヤ1590を使用することにより、搬送中の薄型を可能にし、一旦配備されると、シンチ1591及び針1520が接触するための大きな固体表面積を可能にするため、引き抜きを防止する。非限定的な実施形態では、ワイヤ1590は鋼、ニチノール、又は高いばね定数を有する任意の他の材料で形成される。別の実施形態では、ワイヤ1590はまた、リボンの形態をとることができ、これにより、ワイヤ1590とシンチ1591及び針1520との間の接触表面積を増加させることができる。
【0042】
代替的には、ワイヤ1590は、ある方向に直線状であり、かつ、別の方向に湾曲する双安定ばねである。ワイヤ1590は、シンチ1591と針1520との間に配置されるまで前進される。適切に配置されると、バネは第2の方向にシフトされて、バネをコイル又はらせん状の方向に湾曲させる。
【0043】
ここで
図16を参照して、本発明の実施形態にかかる方法1600をより詳細に説明する。ブロック1601では、この方法は、組織縫合装置の針及び縫合糸を標的組織に通す工程を含み、組織縫合装置は、内視鏡の遠位端から延びる。いくつかの実施形態では、複数の組織支持体は、配備装置内に収容され、第1の組織支持体は、縫合腔内に露出される。いくつかの実施形態では、配備装置はカートリッジ又はカラーである。いくつかの実施形態では、カバーは、配備装置を横切って延び、カバーは、針による複数の組織支持体へのアクセスを可能にするための開口部を含む。いくつかの実施形態では、組織支持体は可撓性ワッシャ、接着剤、綿撒糸、及び弾性又はばね式ワイヤのうちの1つ以上を含む。
【0044】
ブロック1603では、方法1600は、標的組織の第1の部分に沿った位置に組織縫合装置から第1の組織支持体を配備する工程を含む。いくつかの実施形態では、第1の組織支持体は、第1の組織支持体を配備装置から外すために、縫合腔内で針により係合される。ブロック1605では、方法1605は、標的組織の第2の部分に沿った位置に組織縫合装置から第2の組織支持体を配備する工程を含み、縫合糸を引き締めると、第1の組織支持体と第2の組織支持体とは互いに接近する。
【0045】
例示的な方法1600は、一連の行為又は事象として説明されているが、本発明は、特に明記されない限り、そのような行為又は事象の例示された順序によって制限されない。例えば、いくつかの行為は、本発明に従って本明細書に図示及び/又は記載されたものとは別に、異なる順序で及び/又は同時に生じてもよい。さらに、本発明による方法論を実施するために、図示されたすべての行為又は事象が必要とされるわけではない。さらに、方法1600は、本明細書に図示及び説明されている構造の形成及び/又は処理に関連して、ならびに図示されていない他の構造に関連して実施されてもよい。
【0046】
いくつかの実施形態は、それらの派生語と共に「連結された(coupled)」及び「接続された(connected)」という表現を使用して説明されている。これらの用語は、相互に同義語であることを意図されていない。例えば、いくつかの実施形態は、2つ以上の要素が互いに直接物理的又は電気的に接触していることを示すために、「接続された(connected)」及び/又は「連結された(coupled)」という用語を使用して説明される。しかしながら、「結合された」という用語は、2つ以上の要素が互いに直接接触していないが、互いに協力又は相互作用していることを意味する場合もある。
【0047】
本明細書で使用される場合、単数形「a(ひとつ)」、「an(ひとつ)」、及び「the(その)」は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形も含むことを意図している。本明細書で使用される場合、「備える(comprises)」及び/又は「備えている(comprising)」又は「含む(includes)」及び/又は「含んでいる(including)」という用語は、記載された特徴、領域、工程要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ以上の他の特徴、領域、整数、工程、操作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除していない。
【0048】
さらに、「実質的」又は「ほぼ」という用語、ならびに「概して」又は「およそ」という用語は、いくつかの実施形態では交換可能に使用することができ、当業者が許容できる任意の相対的尺度を使用して説明することができる。たとえば、これらの用語は、参照パラメータとの比較として機能し、目的の機能を提供する偏差を示すことができる。限定的ではないが、参照パラメータからの偏差は、例えば、1%未満、3%未満、5%未満、10%未満、15%未満、20%未満等である。
【0049】
本明細書では、特定の実施形態が例示され及び説明されているが、同一目的を達成するために計算された任意の構成が、示された特定の実施形態の代わりになり得ることを理解されたい。本発明は、様々な実施形態の任意及び全ての適応物又は変形物を網羅することを意図している。上記説明は限定的なものではなく、例示的な方法で行われたものであることを理解されたい。上記の説明を検討すれば、当業者であれば、上記実施形態、及び本明細書に具体的に記載されていない他の実施形態の組み合わせを理解できる。したがって、様々な実施形態の範囲は、上記組成物、構造、及び方法が使用される任意の別の用途を含む。
【0050】
発明の主題は、構造的要素及び/又は方法論的行為に固有の言語で説明されてきたが、添付の特許請求の範囲で定義される主題は、必ずしも上記の特定の要素又は行為に限定されないことを理解されたい。むしろ上記特定の要素及び行為は、特許請求の範囲を実施する例示的な形態として開示されている。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の遠位端に連結可能であり、かつ、複数の組織支持体を備える組織縫合装置を備え、前記複数の組織支持体はそれぞれ、標的組織に配置可能であり、前記複数の組織支持体のうちの1つ以上の組織支持体は、配備中に縫合糸を受承する、内視鏡とともに使用する為の組織縫合装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
発明の主題は、構造的要素及び/又は方法論的行為に固有の言語で説明されてきたが、添付の特許請求の範囲で定義される主題は、必ずしも上記の特定の要素又は行為に限定されないことを理解されたい。むしろ上記特定の要素及び行為は、特許請求の範囲を実施する例示的な形態として開示されている。
本開示に含まれる技術的思想を以下に記載する。
(付記1)
内視鏡の遠位端に連結可能であり、かつ、複数の組織支持体を備える組織縫合装置を備え、前記複数の組織支持体はそれぞれ、標的組織に配置可能であり、前記複数の組織支持体のうちの1つ以上の組織支持体は、配備中に縫合糸を受承する、内視鏡とともに使用する為の組織縫合装置。
(付記2)
配備装置をさらに備え、前記複数の組織支持体は配備前に前記配備装置内に含まれる、付記1に記載の組織縫合装置。
(付記3)
前記組織縫合装置は針をさらに備え、前記針は、前記複数の組織支持体のうちの組織支持体に係合してその組織支持体を配備する、付記1又は2に記載の組織縫合装置。
(付記4)
前記組織縫合装置の固定端から延びるカラーをさらに備え、前記カラーは、前記内視鏡のワーキングチャンネルに整合するカラー開口部を画定し、前記複数の組織支持体は、配備に先立ち前記カラーの外周囲に延びる、付記1~3のいずれか一つに記載の組織縫合装置。
(付記5)
前記複数の組織支持体を含むハウジングと、
前記ハウジングを横切って延びるカバーであって、前記縫合糸に取り付けられた前記針が前記複数の組織支持体へのアクセスすることを許容する開口部を含む、前記カバーと
を備える、付記3又は4に記載の組織縫合装置。
(付記6)
前記配備装置は、内部チャンネルと、前記内部チャンネル内の前記複数の組織支持体を付勢するための付勢装置とを備え、前記複数の組織支持体は、前記内部チャンネル内の端から端まで配置される、付記2~5のいずれか一つに記載の組織縫合装置。
(付記7)
前記配備装置は、中央チャンネルを画定するマンドレルを含み、前記複数の組織支持体はそれぞれ、前記マンドレルを中心として同心円状に配置される、付記2~6のいずれか一つに記載の組織縫合装置。
(付記8)
前記縫合糸は、
コアと、
シースとを備え、前記シースは、前記標的組織に隣接する部位で前記コアから径方向に展開するように動作可能である、付記1~7のいずれか一つに記載の組織縫合装置。
(付記9)
前記シースは複数の可撓性ストランドを含む、付記8に記載の組織縫合装置。
(付記10)
前記複数の組織支持体は可撓性ワッシャ、噴霧可能な接着剤、綿撒糸、及びばね式ワイヤーのうちの1つ以上を含む、付記1~9のいずれか一つに記載の組織縫合装置。
(付記11)
配備装置と、
前記配備装置から標的組織に配備可能な複数の組織支持体であって、配備中に縫合糸を受承する中央開口部を含む、前記複数の組織支持体と
を含む組織縫合装置。
(付記12)
内視鏡の遠位端に固定された固定端と、
前記固定端に対向する自由端とをさらに備え、前記配備装置は、前記固定端と前記自由端のいずれか一方に連結される、付記11に記載の組織縫合装置。
(付記13)
前記配備装置は前記固定端から延びるカラーを備え、前記カラーは、前記内視鏡のワーキングチャンネルに整合するカラー開口部を画定し、前記複数の組織支持体はそれぞれ、配備に先立ち前記カラーの外周囲に延びる、付記11又は12に記載の組織縫合装置。
(付記14)
前記配備装置は、
前記複数の組織支持体を囲むハウジングと、
前記ハウジングを横切って延びるカバーであって、前記縫合糸に取り付けられた針が前記複数の組織支持体にアクセスするための開口部を含む、前記カバーと
を備える、付記11~13のいずれか一つに記載の組織縫合装置。
(付記15)
前記ハウジングは、内部チャンネルと、前記内部チャンネル内で前記複数の組織支持体を付勢するための付勢装置とを備え、前記複数の組織支持体は、前記内部チャンネル内に端から端まで配置される、付記14に記載の組織縫合装置。