(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012038
(43)【公開日】2023-01-25
(54)【発明の名称】マイクロナノバブル発生器
(51)【国際特許分類】
B01F 25/40 20220101AFI20230118BHJP
B01F 23/20 20220101ALI20230118BHJP
【FI】
B01F5/06
B01F3/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115438
(22)【出願日】2021-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】590006309
【氏名又は名称】株式会社水生活製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浅野 なお
(72)【発明者】
【氏名】太田 美穂
(72)【発明者】
【氏名】早川 徹
【テーマコード(参考)】
4G035
【Fターム(参考)】
4G035AB04
4G035AC26
4G035AE13
(57)【要約】
【課題】水中に多くのマイクロナノバブルを発生させることができるマイクロナノバブル発生器を提供する。
【解決手段】マイクロナノバブル発生器10は、管状の本体部1と、第一マイクロナノバブル発生部2と、を備える。本体部1は、内部に通水路1cを有する。水は、本体部1の第一端部1aから第二端部1bに向けて通水路1c内を流れる。第一マイクロナノバブル発生部2は、通水路1c内で且つ第一端部1aよりも第二端部1bの近くに位置する。水が第一マイクロナノバブル発生部2を通過すると、水中にマイクロナノバブルが発生する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一端部及び前記第一端部とは反対側の第二端部を有し、前記第一端部から前記第二端部に向けて水が流れる通水路を内部に備えた管状の本体部と、
前記通水路内で且つ前記第一端部よりも前記第二端部の近くに位置し、水中にマイクロナノバブルを発生させる第一マイクロナノバブル発生部と、
を備えるマイクロナノバブル発生器。
【請求項2】
前記第一マイクロナノバブル発生部は、十字形の開口部を有する、
請求項1に記載のマイクロナノバブル発生器。
【請求項3】
前記第一マイクロナノバブル発生部は、前記本体部と一体形成されている、
請求項1又は2に記載のマイクロナノバブル発生器。
【請求項4】
前記通水路内に位置し、水中にマイクロナノバブルを発生させる、前記第一マイクロナノバブル発生部とは別の第二マイクロナノバブル発生部をさらに備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載のマイクロナノバブル発生器。
【請求項5】
洗濯機に水が流入する経路の途中に配置される、
請求項1から4のいずれか1項に記載のマイクロナノバブル発生器。
【請求項6】
前記本体部の前記第二端部側に、前記本体部と分離されたユニオンナットをさらに備える、
請求項1から5のいずれか1項に記載のマイクロナノバブル発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中にマイクロナノバブルを発生させるマイクロナノバブル発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
直径が約1~100μmであるマイクロバブルや直径が約1μm未満であるナノバブル(以下、これらを併せて「マイクロナノバブル」と表記する。)を含む水は、汚れの洗浄力が高いことが知られている。特許文献1には、マイクロバブルを生成するマイクロバブル生成器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、水中に多くのマイクロナノバブルを発生させることができるマイクロナノバブル発生器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下に記載の態様の発明を提供する。
(項目1)
第一端部及び前記第一端部とは反対側の第二端部を有し、前記第一端部から前記第二端部に向けて水が流れる通水路を内部に備えた管状の本体部と、
前記通水路内で且つ前記第一端部よりも前記第二端部の近くに位置し、水中にマイクロナノバブルを発生させる第一マイクロナノバブル発生部と、
を備えるマイクロナノバブル発生器。
【0006】
(項目2)
前記第一マイクロナノバブル発生部は、十字形の開口部を有する、
項目1に記載のマイクロナノバブル発生器。
【0007】
(項目3)
前記第一マイクロナノバブル発生部は、前記本体部と一体形成されている、
項目1又は2に記載のマイクロナノバブル発生器。
【0008】
(項目4)
前記通水路内に位置し、水中にマイクロナノバブルを発生させる、前記第一マイクロナノバブル発生部とは別の第二マイクロナノバブル発生部をさらに備える、
項目1から3のいずれか1項に記載のマイクロナノバブル発生器。
【0009】
(項目5)
洗濯機に水が流入する経路の途中に配置される、
項目1から4のいずれか1項に記載のマイクロナノバブル発生器。
【0010】
(項目6)
前記本体部の前記第二端部側に、前記本体部と分離されたユニオンナットをさらに備える、
項目1から5のいずれか1項に記載のマイクロナノバブル発生器。
【発明の効果】
【0011】
本発明のマイクロナノバブル発生器では、第一マイクロナノバブル発生部は、水の入口である本体部の第一端部よりも、水の出口である本体部の第二端部の近くに位置している。そのため、第一マイクロナノバブル発生部と第二端部(出口)との距離が近くなり、第二端部に到達する前に消滅するマイクロナノバブルの数を減らすことができる。その結果、多くのマイクロナノバブルを含んだ水をマイクロナノバブル発生器から放出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】(a)マイクロナノバブル発生器の正面図、(b)マイクロナノバブル発生器の縦断面図である。
【
図2】第一マイクロナノバブル発生部の平面図である。
【
図3】比較例のマイクロナノバブル発生器の縦断面図である。
【
図4】(a)マイクロナノバブル発生器の変形例の正面図、(b)マイクロナノバブル発生器の変形例の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のマイクロナノバブル発生器10について、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
<1 マイクロナノバブル発生器の構成>
本発明のマイクロナノバブル発生器10は、水中にマイクロナノバブルを発生させるための装置である。マイクロナノバブル発生器10は、例えば、水栓と洗濯機とを接続する配管の途中に配置され、洗濯機にマイクロナノバブルを含む水を供給するために使用される。
【0015】
図1に示すように、マイクロナノバブル発生器10は、管状の本体部1と、第一マイクロナノバブル発生部2と、第二マイクロナノバブル発生部3と、を備える。水がマイクロナノバブル発生器10内を流れると(
図1(b)において、水が流れる方向を矢印にて示す。)、第一マイクロナノバブル発生部2、及び第二マイクロナノバブル発生部3によって、水中にマイクロナノバブルが発生する。
【0016】
本体部1は、第一端部1aと、第一端部1aとは反対側の第二端部1bと、を備える。水は、第一端部1aから第二端部1bに向けて、本体部1内に設けられた通水路1cを流れる。第一端部1aには、ネジなどの接続部1dが設けられている。第二端部1bには、ネジなどの接続部1eが設けられている。接続部1d、1eは、マイクロナノバブル発生器10を、ホースや洗濯機などに連結された給水用の継手に接続するための部分である。
【0017】
図1(b)に示すように、第一マイクロナノバブル発生部2は、本体部1の通水路1c内で且つ第一端部1aよりも第二端部1bの近くに位置している。すなわち、第一マイクロナノバブル発生部2から第二端部1bまでの距離は、第一マイクロナノバブル発生部2から第一端部1aまでの距離よりも小さい。
図2に示すように、第一マイクロナノバブル発生部2は、本体部1と一体形成されている。第一マイクロナノバブル発生部2は、マイクロナノバブルを発生させる開口部2aを有する。水が開口部2aを通過する際に、開口部2aの前後で圧力差が生じることにより、水中にマイクロナノバブルが発生する。開口部2aの形状は、
図2に示すような平面視で十字形であることが好ましい。
【0018】
図1(b)に示すように、第二マイクロナノバブル発生部3は、本体部1の通水路1c内で且つ第一マイクロナノバブル発生部2よりも第一端部1aの近くに位置している。第二マイクロナノバブル発生部3は、通水路1cの一部を縮径した部分である。水が第二マイクロナノバブル発生部3を通過する際に、第二マイクロナノバブル発生部3の前後で圧力差が生じることにより、水中にマイクロナノバブルが発生する。
【0019】
<2 実施例>
実施例として
図1に示すマイクロナノバブル発生器10、比較例として
図3に示すマイクロナノバブル発生器10’を用い、各マイクロナノバブル発生器10、10’から流出した水の中に含まれるマイクロナノバブルの個数を比較した。
【0020】
実施例のマイクロナノバブル発生器10の第一マイクロナノバブル発生部2には、
図2に示す形状の部材を用いた。
【0021】
図3に示すように、比較例のマイクロナノバブル発生器10’では、第一マイクロナノバブル発生部2’が、第二端部1b’よりも第一端部1a’の近くに位置している。なお、第一マイクロナノバブル発生部2’は、実施例と同じ
図2に示す形状の部材を用いた。また、比較例のマイクロナノバブル発生器10’の第二マイクロナノバブル発生部3’は、第一マイクロナノバブル発生部2’よりも第二端部1b’寄りで、且つ、第二端部1b’よりも第一端部1a’の近くに位置している。マイクロナノバブル発生器10’においても、水は、第一端部1a’から第二端部1b’に向けて、通水路1c’内を流れる。
【0022】
実施例のマイクロナノバブル発生器10では、水1mL当たり173,125個のマイクロナノバブルが発生していた。一方、比較例のマイクロナノバブル発生器10’では、水1mL当たり127,500個のマイクロナノバブルが発生していた。
【0023】
<3 特徴>
本発明のマイクロナノバブル発生器10では、第一マイクロナノバブル発生部2が、本体部1の第一端部1aよりも、水の出口である本体部1の第二端部1bの近くに位置しているため、第一マイクロナノバブル発生部2と第二端部1bとの距離が近くなる。これにより、第二端部1bに到達する前に消滅するマイクロナノバブルの数を減らすことができ、多くのマイクロナノバブルを含んだ水をマイクロナノバブル発生器10から放出することができる。
【0024】
第一マイクロナノバブル発生部2の開口部2aを十字形とすることにより、水中に多くのマイクロナノバブルを発生させることができる。
【0025】
第一マイクロナノバブル発生部2が本体部1と一体形成されていることにより、本体部1への第一マイクロナノバブル発生部2の組み付けが不要になる。
【0026】
第二マイクロナノバブル発生部3を備えることにより、水中に、さらに多くのマイクロナノバブルを発生させることができる。
【0027】
マイクロナノバブル発生器10を、洗濯機に水が流入する経路の途中に配置することにより、洗濯機内にマイクロナノバブルを含む水を供給することができる。これにより、洗濯物の汚れを効果的に洗浄することができる。
【0028】
<4 変形例>
上記実施形態は本発明の好ましい一具体例を示すものに過ぎない。本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本発明は例えば以下の変形例を採用することができる。以下の変形例は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わせ可能である。
【0029】
(1)第一マイクロナノバブル発生部2は、本体部1とは別部材から成り、かつ、本体部1に着脱可能であってもよい。第一マイクロナノバブル発生部2が本体部1に着脱可能であることにより、第一マイクロナノバブル発生部2が破損や劣化した際に、第一マイクロナノバブル発生部2を交換することができる。
【0030】
(2)第一マイクロナノバブル発生部2は、第二マイクロナノバブル発生部3と同じく、通水路1cの一部を縮径した部分であってもよい。
【0031】
(3)第二マイクロナノバブル発生部3は、必要に応じて設けられるものであり、第二マイクロナノバブル発生部3を設けない構成も可能である。
【0032】
(4)第二マイクロナノバブル発生部3は、本体部1とは別の部材として設けられていてもよい。この場合、第二マイクロナノバブル発生部3として、
図2に示す部材を採用することができる。
【0033】
(5)マイクロナノバブル発生器10は、
図4に示すように、本体部1の第二端部1b側にユニオンナット4をさらに備えていてもよい。ユニオンナット4は、例えばマイクロナノバブル発生器10を洗濯機の給水用のネジ式継手と接続するために設けられる。
図4に示す実施形態では、第二端部1bに接続部1eは設けられていない。ユニオンナット4は、本体部1と固定されておらず、分離されている。したがって、ユニオンナット4を回転させても、本体部1は回転しない。これにより、例えばユニオンナット4を洗濯機の継手に接続する際に、第一端部1a側にホースなどの配管が接続されていたとしても、配管がユニオンナット4と共回りすることはない。したがって、配管が例えば硬いホースの場合、ホースのねじれを防止できる。
【符号の説明】
【0034】
10 マイクロナノバブル発生器
1 本体部
1a 第一端部
1b 第二端部
1c 通水路
2 第一マイクロナノバブル発生部
3 第二マイクロナノバブル発生部
4 ユニオンナット