(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120394
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】毛髪化粧料及びそれを用いた毛髪処理方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/894 20060101AFI20230822BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20230822BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20230822BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20230822BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20230822BHJP
【FI】
A61K8/894
A61K8/34
A61K8/41
A61Q5/00
A61Q5/12
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103839
(22)【出願日】2023-06-26
(62)【分割の表示】P 2018206972の分割
【原出願日】2018-11-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100149294
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 直人
(74)【代理人】
【識別番号】100137512
【弁理士】
【氏名又は名称】奥原 康司
(72)【発明者】
【氏名】鐺 桃香
(72)【発明者】
【氏名】倉島 巧
(72)【発明者】
【氏名】吉羽 崚
(57)【要約】 (修正有)
【課題】エタノール等の低級アルコールと水を含有し、ミスト状に噴霧して使用される水系毛髪化粧料において、毛髪に所望形状、なめらかさ及び撥水性を付与し、その効果持続性に優れる毛髪化粧料を提供する。
【解決手段】(A)主鎖にポリシロキサン構造及びポリオキシアルキレン構造を含み、トリアルコキシシラン基又はシラノール基を有する側鎖を持つコポリマー;(B)カチオン性界面活性剤;(C)低級アルコール;及び(D)水を含むことを特徴とする毛髪化粧料及びそれを用いた毛髪処理方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)主鎖にポリシロキサン構造及びポリオキシアルキレン構造を含み、トリアルコキシシラン基又はシラノール基を有する側鎖を持つコポリマー;
(B)カチオン性界面活性剤;
(C)低級アルコール;及び
(D)水
を含むことを特徴とする毛髪化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は毛髪化粧料に関する。より詳しくは、ミスト状に噴霧して使用される毛髪化粧料であって、毛髪に所望形状、なめらかさ、撥水性等を付与するとともに当該効果を長期間にわたって持続させることができ、なおかつ安定性及び使用性に優れた毛髪化粧料及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シャンプーやリンス等の洗髪用化粧料、ヘアスタイリング剤やヘアトリートメント等の毛髪仕上げ用化粧料にはシリコーン等の各種ヘアケア成分が配合されている。これらのヘアケア成分は、毛髪のダメージ部分に吸着して修復し、毛髪を被覆して櫛通りを改善する。
【0003】
しかし、従来の毛髪化粧料にヘアケア成分として配合されていたポリマーでは、使用直後は毛髪の櫛通りなどを修復できても、洗髪によって洗い流され易く、効果を長時間持続させる点あるいは使用感触の点で不十分なものが多かった。
【0004】
例えば、特許文献1及び特許文献2には、(a)特定構造のブロックポリマーと(b)水および/または低級アルコール溶媒と、(c)増粘剤と、(d)シリコーンを配合した毛髪化粧料が開示され、毛髪への塗布直後のストレート効果に優れ、かつ、安定性、使用性に優れるとされている。しかし、当該毛髪化粧料に配合されるブロックポリマーは主鎖がポリビニル構造の樹脂であり、硬くごわついた感触、ギシギシした感触、及びべたつきに改善点がある。また、当該ブロックポリマーは洗い流されやすい傾向があるため、毛髪ストレート効果の持続性が不十分という問題があった。
【0005】
特許文献3には、(A)ジメチコノール、(B)ブロック共重合型のポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・アルキレン・メチルポリシロキサン共重合体、(C)揮発性シリコーン、(D)植物油を配合した非水型毛髪化粧料が開示されている。この毛髪化粧料は、透明性に優れ、かつ毛髪をストレートにするとともにストレート持続性に優れ、また、アイロンの熱から毛髪を保護し、自然な光沢としなやかさに優れるとされている。しかしながら、この非水型毛髪化粧料は、配合された油分により重量感を生じるという欠点があり、洗い流されやすく、毛髪のストレート効果の持続性も不十分であった。
【0006】
特許文献4には、末端にアルコキシ-(アミノメチル)-シリル基を有するシリコーンポリマーを配合した組成物を使用するヘアトリートメント方法が記載されている。ここで使用されるシリコーンポリマーは、毛髪の形状を長く維持するとともに良好な美容的性質を発揮するとされている。しかしながら、このヘアトリートメントに使用する組成物は非水系であって、水の配合量は5%未満に制限されており、5%以上の水が存在すると所望の効果が得られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許6032725号公報
【特許文献2】特許6292706号公報
【特許文献3】特開2007-51078号公報
【特許文献4】特表2016-525534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
よって本発明における課題は、ミスト状に噴霧して使用できる水系の毛髪化粧料であって、当該化粧料を毛髪に塗布した後に適宜加熱処理をすることによって、ダメージを受けた毛髪の疎水性や櫛通り、なめらかさを回復させることができ、その効果を長期間保持することのできる効果持続性に優れる毛髪化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、主鎖にポリシロキサン構造及びポリオキシアルキレン構造を含み、トリアルコキシシラン基又はシラノール基を有する側鎖を持つコポリマーを用い、それをカチオン性界面活性剤と組み合わせて配合することで、効果持続性に優れ、高い撥水効果と滑らかな使用性を発揮する毛髪化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、
(A)主鎖にポリシロキサン構造及びポリオキシアルキレン構造を含み、トリアルコキシシラン基又はシラノール基を有する側鎖を持つコポリマー;
(B)カチオン性界面活性剤;
(C)低級アルコール;及び
(D)水
を含むことを特徴とする毛髪化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る毛髪化粧料は、主鎖にポリシロキサン構造及びポリオキシアルキレン構造を含み、トリアルコキシシラン基又はシラノール基を有する側鎖を持つコポリマーを用い、それをカチオン性界面活性剤と組み合わせて配合した水系毛髪化粧料としたことにより、ミスト状に噴霧して使用することができ、毛髪表面に疎水性(撥水性)を付与し、速乾性でさらさらした感触にし、毛髪をまとまりやすくし、耐熱性、耐薬品性及び耐汚染物質(花粉など)を向上させるとともに使用性に優れ、これらの効果を長期間持続させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の毛髪化粧料に配合される各成分について詳述する。
(A)主鎖にポリシロキサン構造及びポリオキシアルキレン構造を含み、トリアルコキシシラン基又はシラノール基を有する側鎖を持つコポリマー
本発明の毛髪化粧料に配合されるポリマー成分(A成分)は、ポリマーの主鎖にポリシロキサン構造及びポリオキシアルキレン構造を含み、かつトリアルコキシシラン基又はシラノール基を有する側鎖を持つコポリマー(以下「架橋型シリコーンPOAコポリマー」と略称する)である。
【0013】
前記架橋型シリコーンPOAコポリマーは、主鎖に存在するポリオキシアルキレン構造の親水性に基づいて毛髪への吸着性に優れ、主鎖に存在するポリシロキサン構造が毛髪表面に疎水性(撥水性)を付与し、側鎖に存在するアルコキシシラン基又はシラノール基が比較的低温で架橋して皮膜を強固にするため、効果の持続性に優れる。
【0014】
本発明の架橋型シリコーンPOAコポリマーの主鎖を構成するポリシロキサン構造は、ポリジアルキルシロキサン、好ましくはポリジメチルシロキサンからなり、前記アルキル基(好ましくはメチル基)の一部がフェニル基で置換されていてもよい。
【0015】
本発明の架橋型シリコーンPOAコポリマーの主鎖を構成するポリオキシアルキレン構造は、繰り返し単位として、オキシエチレン基(EO)、オキシプロピレン基(PO)、及びオキシブチレン基(BO)からなる群から選択される少なくとも1つを含むものが好ましい。
【0016】
本発明における架橋型シリコーンPOAコポリマーは、有機基からなる側鎖を更に有するのが好ましい。側鎖となる有機基としては、アミノ基、水酸基、カルボキシル基等で任意に置換されていてもよい炭化水素基(好ましくはアルキル基、例えば、炭素数1~30程度の直鎖状または分岐状のアルキル基、あるいはフェニル基など)が例示される。炭化水素基はアミノ基を有するのが好ましく、当該アミノ基の水素原子はアルキル基等で更に置換されていてもよい。
【0017】
本発明の架橋型シリコーンPOAコポリマーは、その主鎖に窒素原子を更に含むのが好ましく、前記の側鎖が当該窒素原子に結合しているのが好ましい。
【0018】
架橋型シリコーンPOAコポリマーの更に具体的な例としては、ポリシリコーン-29(INCI名)が挙げられる。ポリシリコーン-29は、末端にグリシドプロピル基を有するジメチルシロキサン重合体とPEG-13ジグリシジルエーテル、ジエチルアミノプロピルアミン及びアミノプロピルトリイソプロポキシシランとの反応によって得られる複合シリコーン化合物と定義される。
【0019】
本発明における架橋型シリコーンPOAコポリマーとしては市販品を用いてもよい。例えば、Momentive Performance Materials社から「Silsoft CLX-E」という商品名で販売されているヘアコンディショニング剤に含まれるコポリマーが特に好ましく用いられる。このコポリマーは「ポリシリコーン-29」に属する化合物である。当該コポリマーは、主鎖にポリシロキサン構造とポリオキシアルキレン構造と窒素原子を含み、トリアルコキシシラン基を有する側鎖及び有機基からなる側鎖を持ち、ポリシロキサン構造がポリジメチルシロキサン、ポリオキシアルキレン構造がポリオキシエチレン及びポリオキシイソプロピレンを含み、側鎖が主鎖の窒素原子に結合した構造を有する。「Silsoft CLX-E」は、前記コポリマーとジプロピレングリコールと水を含む商品である。
【0020】
本発明の毛髪化粧料における架橋型シリコーンPOAコポリマー(A成分)の配合量は、0.05~5.0質量%の範囲とするのが好ましく、より好ましくは0.1~4.0質量%、さらに好ましくは0.1~3.0質量%である。架橋型シリコーンPOAコポリマーの配合量が0.05質量%未満であると意図した効果が得られず、5.0質量%を超えて配合すると使用性が低下する場合がある。
【0021】
(B)カチオン性界面活性剤
本発明の毛髪化粧料に配合されるカチオン性界面活性剤(B成分)としては、化粧料に配合可能なものであれば特に限定されない。中でも、下記一般式(I)で表される第四級アンモニウム塩が好ましい。
【0022】
【化1】
[式中、R
1は炭素数6~35の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、R
2、R
3及びR
4は同一又は異なって、水素原子、炭素数1~3の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、Xはハロゲンイオン又は有機アニオンである。]
【0023】
より具体的には、炭素原子数6~35の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基であるR1は、例えば、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基、ヘントリアコンチル基、ドトリアコンチル基、トリトリアコンチル基、テトラトリアコンチル基、ペンタトリアコンチル基、ミリストレイル基、パルミトレイル基、オレイル基、リノイル基、リノレイル基、リシノレイル基、イソステアリル基等が挙げられる。R2、R3及びR4は、上述のように、同一又は異なって水素原子又は炭素原子数1~3の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基である。また、Xは、塩素、ヨウ素、臭素等のハロゲンイオン、又は、メトサルフェート、エトサルフェート、メトホスフェート、エトホスフェート等の有機アニオンが挙げられる。
【0024】
本発明において特に好適なカチオン性界面活性剤としては、R1の炭素原子数が22でR2、R3及びR4が共にメチル基でありXが塩素であるベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド(=ベヘントリモニウムクロリド)、R1の炭素原子数が18でR2、R3及びR4が共にメチル基でありXが塩素であるステアリルトリメチルアンモニウムクロライド(=ステアルトリモニウムクロリド)、R1の炭素原子数が16でR2、R3及びR4が共にメチル基でありXが塩素であるセチルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0025】
本発明にかかる毛髪化粧料には、上記カチオン性界面活性剤を1種または2種以上組み合わせて配合することが可能である。
【0026】
本発明の毛髪化粧料における(B)カチオン性界面活性剤の配合量は、化粧料全量に対して、0.01~1.0質量%とするのが好ましく、より好ましくは0.03~0.5質量%、さらに好ましくは0.05~0.5質量%である。配合量が0.01質量%未満であると製剤の安定性が低下し、1.0質量%を超えて配合すると使用感触が悪くなる場合がある。
【0027】
本発明の毛髪化粧料にあっては、(A)架橋型シリコーンPOAコポリマーの配合量と、(B)カチオン性界面活性剤の配合量との比率[(A)/(B)]を0.5以上とするのが好ましく、0.8以上とするのが更に好ましい。この比率が0.5未満であると、十分な効果が得られない場合がある。
配合量比率[(A)/(B)]の上限値は特に限定されないが、通常は500以下、好ましくは300以下である。
【0028】
(C)低級アルコール
本発明において用いられる低級アルコールは、一般的には炭素数5以下のアルコールであって、化粧料等に使用できるものであれば特に限定されない。例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール等が挙げられる。中でもエタノールが好適に用いられる。本発明の毛髪化粧料には、低級アルコールを1種または2種以上を組合せて配合することができる。
【0029】
本発明の毛髪化粧料における(C)低級アルコールの配合量は、化粧料の全質量に対して、好ましくは10~60質量%であり、より好ましくは20~50質量%である。低級アルコールの配合量が10質量%未満であると安定性が低下する傾向がある。また、60質量%以上であると、毛髪への広がりが悪くなることにより、毛髪のなめらかさが不足する。
【0030】
(D)水
本発明の毛髪化粧料は、ミスト状に噴霧して使用できる低粘度の水系化粧料である。本明細書における「水系化粧料」とは、化粧料全量に対して40質量%以上、好ましくは50質量%以上の水を含有する化粧料とする。
【0031】
本発明の毛髪化粧料には、前記の必須成分(A)~(D)に加えて、通常化粧品や医薬品等に用いられる他の成分を、本発明の効果を損なわない範囲内で任意に添加することができる。このような成分として、例えば、保湿剤、油分、粉末成分、天然高分子、合成高分子、増粘剤、紫外線吸収剤、界面活性剤(カチオン性以外)、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料等が挙げられる。
【0032】
本発明の毛髪化粧料のpHは、特に限定されないが、5~8とするのが好ましく、特に、pHを5~7の範囲に調整することにより、毛髪表面の疎水(撥水)化効果が更に向上する。
【0033】
本発明の毛髪化粧料は水系化粧料であるが、その形態は水中油型乳化物でも溶液(可溶化)形態でもよい。本発明の化粧料は、従来から汎用されている製造方法を用いて製造することができ、ミスト状、スプレー状に噴霧するための容器に収容して提供するのに適している。
【0034】
本発明の毛髪化粧料は、毛髪に適用して洗い流す「リンスオフ」タイプの化粧料としても、毛髪に適用してから洗い流さない「リーブオン」タイプの化粧料としても使用できる。
【0035】
加熱処理温度は、40℃以上230℃以下、好ましくは、60℃以上180℃以下、さらに好ましくは80℃以上150℃以下である。40℃未満では効果の持続効果が不十分になる。230℃を超えると、熱によって毛髪を傷めてしまう場合がある。
【実施例0036】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明は実施例により限定されるものではない。なお、配合量は特記しない限り質量%で示す。
【0037】
まず、下記の表1及び表2に示す処方で各例の毛髪化粧料を常法にて調製した。
各例の化粧料の安定性を下記の基準で評価し、析出が見られた化粧料はその後の評価を実施しなかった。
【0038】
安定性が確認された各例の毛髪化粧料(1.0g)を、15cm(0.5g)のダメージ毛髪ストランドに適用し、ヘアアイロンを用いて150℃で加熱処理した。
各例の毛髪化粧料で前記処理をした毛髪ストランドについて、使用性及び撥水性(接触角)を下記の方法/基準で評価した。
さらに、各毛髪ストランドを、コンディショニング成分無配合の10%SLES溶液シャンプーを用いて5回洗浄した。当該シャンプーで1回洗浄した後、及び5回洗浄した後の撥水性(接触角)を測定した。
【0039】
評価方法及び評価基準
<安定性>
調整した化粧料を室温で7日間放置し、析出の有無を目視で観察した。
A:安定(析出が観察されなかった)
D:不安定(析出が観察された)
【0040】
<使用性(毛髪のさらさら感)>
各例の毛髪化粧料で処理した毛髪ストランドを、訓練した研究員が手で触り、下記の評価基準で判定した。
(評価基準)
A:毛髪が非常にさらさらした感触である。
B:毛髪がさらさらした感触である。
C:毛髪にさらさらした感触とごわつきやべたつきを感じる。
D:毛髪にさらさらした感触がない。
【0041】
<効果持続性>
前記の使用性(さらさら感)の評価を、毛髪処理の1日後、5日後に実施し、以下の基準で評価した。
A:5日後の測定でも評価結果が下がらなかった。
B:1日後の測定では評価結果は下がらなかったが、5日後の測定では評価結果が低下した。
D:1日後の測定で評価結果が低下した。
ここで、「評価結果が低下する」とは、A評価がB評価に、B評価がC評価に下がる等を意味する。
【0042】
<撥水性(接触角)>
毛髪ストランドの表面に2μlの水を滴下し、水滴をマイクロスコープで撮影した。撮影した画像から、毛髪上の水滴の左右の角度を測定し、それらの平均値を1回の測定値とした。同じ測定を3回繰り返し、その平均値を接触角の値とした。
【0043】
【0044】
【0045】
表1に示すように、(A)架橋型シリコーンPOAコポリマー、(B)カチオン性界面活性剤を組み合わせて、(C)低級アルコール及び(D)水を含むミスト状化粧料に配合した実施例1~5の毛髪化粧料では、毛髪にさらさらした感触を付与する効果に優れ、その効果が長期間持続された。また、シャンプーで5回洗浄した後でも、接触角(撥水性)が良好に維持されていた。
【0046】
一方、表2に示した結果では、(A)架橋型シリコーンPOAコポリマーを配合しない比較例1では、使用性(さらさら感)の撥水性も持続せず、1回の洗浄により未処理の毛髪(比較例4)と同等になった。また、(B)カチオン性界面活性剤又は(C)低級アルコールを配合しない比較例2及び3では安定な製剤を調製することができなかった。
【0047】
以下に、本発明の毛髪化粧料の別の処方例を挙げる。
【0048】
<処方例1>
(配合成分) (質量%)
(1)精製水 残余
(2)EDTA2Na2H20 0.01
(3)塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.125
(4)エタノール 25
(5)ジプロピレングリコール 適量
(6)架橋型シリコーンPOAコポリマー(*1) 0.25~1.55
(7)ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン-
2-デシルテトラデシルエーテル(24EO)(13PO) 適量
(8)香料 適量
合計 100
*1:ポリシリコーン-29
【0049】
本発明は、以下の態様を包含する。
[第1項]
(A)主鎖にポリシロキサン構造及びポリオキシアルキレン構造を含み、トリアルコキシシラン基又はシラノール基を有する側鎖を持つコポリマー;
(B)カチオン性界面活性剤;
(C)低級アルコール;及び
(D)水
を含むことを特徴とする毛髪化粧料。
[第2項]
(A)主鎖にポリシロキサン構造及びポリオキシアルキレン構造を含み、トリアルコキシシラン基又はシラノール基を有する側鎖を持つコポリマーの配合量が0.05~5.0質量%である、第1項に記載の毛髪化粧料。
[第3項]
(B)カチオン性界面活性剤の配合量が0.01~1.0質量%である、第1項又は第2項に記載の毛髪化粧料。
[第4項]
(A)主鎖にポリシロキサン構造及びポリオキシアルキレン構造を含み、トリアルコキシシラン基又はシラノール基を有する側鎖を持つコポリマーの配合量と、(B)カチオン性界面活性剤の配合量との比率[(A)/(B)]が0.5以上である、第1項から第3項のいずれか一項に記載の毛髪化粧料。
[第5項]
(A)主鎖にポリシロキサン構造及びポリオキシアルキレン構造を含み、トリアルコキシシラン基又はシラノール基を有する側鎖を持つコポリマーを構成するポリシロキサン構造がポリジメチルシロキサンからなり、前記メチル基の一部がフェニル基で置換されていてもよいものである、第1項から第4項のいずれか一項に記載の毛髪化粧料。
[第6項]
(A)主鎖にポリシロキサン構造及びポリオキシアルキレン構造を含み、トリアルコキシシラン基又はシラノール基を有する側鎖を持つコポリマーを構成するポリオキシアルキレン構造が、繰り返し単位として、オキシエチレン基(EO)、オキシプロピレン基(PO)、及びオキシブチレン基(BO)からなる群から選択される少なくとも1つを含むものである、第1項から第5項のいずれか一項に記載の毛髪化粧料。
[第7項]
(A)主鎖にポリシロキサン構造及びポリオキシアルキレン構造を含み、トリアルコキシシラン基又はシラノール基を有する側鎖を持つコポリマーが、アミノ基を有する有機基からなる側鎖を更に有する、第1項から第6項のいずれか一項に記載の毛髪化粧料。
[第8項]
前記毛髪化粧料がミスト状に噴霧して用いられる、第1項から第7項のいずれか一項に記載の毛髪化粧料。
[第9項]
第1項から第8項のいずれか一項に記載の毛髪化粧料を毛髪に適用し、40℃以上230℃以下で加熱処理を行うことを含む、毛髪処理方法。