(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120398
(43)【公開日】2023-08-29
(54)【発明の名称】電池セルアッセンブリを製造する方法、電池セルアッセンブリおよび電池セル
(51)【国際特許分類】
H01M 50/434 20210101AFI20230822BHJP
H01M 50/443 20210101ALI20230822BHJP
H01M 50/403 20210101ALI20230822BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20230822BHJP
H01M 50/44 20210101ALI20230822BHJP
H01M 50/489 20210101ALI20230822BHJP
H01M 50/449 20210101ALI20230822BHJP
H01M 50/414 20210101ALI20230822BHJP
H01M 50/446 20210101ALI20230822BHJP
H01M 50/491 20210101ALI20230822BHJP
【FI】
H01M50/434
H01M50/443 M
H01M50/403 D
H01M4/139
H01M50/44
H01M50/489
H01M50/403 A
H01M50/449
H01M50/414
H01M50/446
H01M50/491
【審査請求】有
【請求項の数】41
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023103946
(22)【出願日】2023-06-26
(62)【分割の表示】P 2020533774の分割
【原出願日】2018-12-18
(31)【優先権主張番号】62/609,796
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513198814
【氏名又は名称】シラ ナノテクノロジーズ インク
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】グレブ ユーシン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ルードブッシュ
(72)【発明者】
【氏名】カイル クリンスキー
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電極が電気的に分離されてイオン結合される、改良されたセパレータ膜および改良された電気化学エネルギー貯蔵デバイス、並びに改良された製造プロセスを提供する。
【解決手段】第1の電極、第2の電極およびセパレータを含む電池セルアッセンブリを製造する方法であって、(A1)金属酸化物、金属水酸化物または金属オキシ水酸化物の繊維および溶媒組成物を含む分散体を用意し、(A2)第1の電極のロール上に直接分散体をコーティングして、第1の電極上にセパレータの第1の層を形成し、(A3)第2の電極を設け、(A4)第1の電極と第2の電極との間にセパレータを介在させて第1の電極および第2の電極を組み立て、セパレータの厚さが、0.5μm~10μmの範囲であり、金属酸化物、金属水酸化物、または金属オキシ水酸化物の繊維は、3nm~2μmの範囲の直径および20~100,000の範囲のアスペクト比によって特徴付けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極、第2の電極およびセパレータを含む電池セルアッセンブリを製造する方法であって、
(A1)金属酸化物、金属水酸化物または金属オキシ水酸化物の繊維および溶媒組成物を含む分散体を用意し、
(A2)前記第1の電極のロール上に直接前記分散体をコーティングして、前記第1の電極上に前記セパレータの第1の層を形成し、
(A3)前記第2の電極を設け、
(A4)前記第1の電極と前記第2の電極との間に前記セパレータを介在させて前記第1の電極および前記第2の電極を組み立て、
前記セパレータの厚さが、0.5μm~10μmの範囲であり、
前記金属酸化物、前記金属水酸化物、または前記金属オキシ水酸化物の繊維は、3nm~2μmの範囲の直径および20~100,000の範囲のアスペクト比によって特徴付けられる方法。
【請求項2】
少なくとも前記第1の層を40℃~200℃の温度範囲で熱処理する工程を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記(A3)は、前記第2の電極のロール上に直接前記分散体をコーティングして前記セパレータの第2の層を形成する工程を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記セパレータは、スタンドアロンのセパレータ層を含まない請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属酸化物、前記金属水酸化物、または前記金属オキシ水酸化物の繊維は、2原子%~40原子%のアルミニウム(Al)を含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記セパレータは、0.1重量%~50重量%の範囲の高分子を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記高分子は、70℃~120℃の範囲で溶融する熱可塑性物質を含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記高分子は、高分子バインダーを含む請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記金属酸化物、前記金属水酸化物、または前記金属オキシ水酸化物の繊維の少なくとも一部は焼結または化学結合によって互いに結合されている請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記セパレータの気孔率は、25体積%~80体積%の範囲である請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記金属酸化物、前記金属水酸化物、または前記金属オキシ水酸化物の繊維間の全細孔容積は0.1cm3/g~1cm3/gの範囲である請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の電極はアノード電極であり、
前記アノード電極は、3重量%~70重量%のシリコン(Si)を含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記溶媒組成物は、水、アルコール、グリコール、グリコールエーテル、エーテル、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、メチルエチルケトン(MEK)、ヘキサメチルホス-フォラミド、シクロペンタノン、アセトニトリル、テトラメチレンスルホキシド、およびε-カプロラクトンを1または複数含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記分散体の前記コーティングは、スプレーコーティング、スロットダイコーティング、グラビアコーティング、浸漬コーティング、ローラーコーティング、および/またはナイフエッジコーティングにより実施される請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記セパレータは、0.1mm~3cmの範囲の最小曲げ半径を示す請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記セパレータは、1MPa~1,000MPaの範囲の引張強さを示す請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記セパレータは、10nm~1μmの範囲の細孔排除サイズを示す請求項1に記載の方法。
【請求項18】
機能性表面コーティングを前記金属酸化物、前記金属水酸化物、または前記金属オキシ水酸化物の繊維上に堆積させ、表面層厚さを0.3nm~30nmの範囲にし、前記機能性表面コーティングは、高分子、炭素、誘電体、および/または異なるセラミック材料を含む請求項1に記載の方法。
【請求項19】
アルコキシド前駆体繊維の変換によって前記金属酸化物、前記金属水酸化物、または前記金属オキシ水酸化物の繊維を製造する工程を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記金属酸化物、前記金属水酸化物、または前記金属オキシ水酸化物の繊維は、(1)第1の直径の下位範囲内にある第1の平均直径、および第1の平均アスペクト比を有する前記金属酸化物、前記金属水酸化物、または前記金属オキシ水酸化物の繊維の第1のセット、および(2)第2の直径の下位範囲にある第2の平均直径および第2の平均アスペクト比を有する前記金属酸化物、前記金属水酸化物、または前記金属オキシ水酸化物の繊維の第2のセットを含む請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の直径下位範囲は、5nm~8nmであり、
前記第2の直径下位範囲は40nm~60nmである請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の平均アスペクト比は1,000であり、
前記第2の平均アスペクト比は150~250である請求項20に記載の方法。
【請求項23】
第1の電極、
第2の電極、および
前記第1の電極と前記第2の電極との間に介在するセパレータ
を備え、
前記セパレータは、金属酸化物、金属水酸化物または金属オキシ水酸化物の繊維を含む第1の層を備え、前記第1の層は前記第1の電極上に直接堆積され、
前記セパレータの厚さは、0.5μm~10μmの範囲であり、
前記金属酸化物、前記金属水酸化物、または前記金属オキシ水酸化物の繊維は、3nm~2μmの範囲の直径および20~100,000の範囲のアスペクト比によって特徴付けられる電池セルアッセンブリ。
【請求項24】
前記セパレータは、金属酸化物、金属水酸化物または金属オキシ水酸化物の繊維を含む第2の層を備え、前記第2の層は前記第1の層上に堆積される請求項23に記載の電池セルアッセンブリ。
【請求項25】
前記セパレータは、スタンドアロンのセパレータ層を含まない請求項23に記載の電池セルアッセンブリ。
【請求項26】
前記金属酸化物、前記金属水酸化物、または前記金属オキシ水酸化物の繊維は、2原子%~40原子%のアルミニウム(Al)を含む請求項23に記載の電池セルアッセンブリ。
【請求項27】
前記セパレータは、0.1重量%~50重量%の範囲の高分子を更に含む請求項23に記載の電池セルアッセンブリ。
【請求項28】
前記高分子は、70℃~120℃の範囲に融点を有する熱可塑性物質を含む請求項27に記載の電池セルアッセンブリ。
【請求項29】
前記高分子は、高分子バインダーを含む請求項27に記載の電池セルアッセンブリ。
【請求項30】
前記金属酸化物、前記金属水酸化物、または前記金属オキシ水酸化物の繊維の少なくとも一部は焼結または化学結合によって互いに結合されている請求項23に記載の電池セルアッセンブリ。
【請求項31】
前記セパレータの気孔率は、25体積%~80体積%の範囲である請求項23に記載の電池セルアッセンブリ。
【請求項32】
前記金属酸化物の繊維間の全細孔容積は0.1cm3/g~1cm3/gの範囲にある請求項23に記載の電池セルアッセンブリ。
【請求項33】
前記第1の電極はアノード電極であり、
前記アノード電極は、3重量%~70重量%のシリコン(Si)を含む請求項23に記載の電池セルアッセンブリ。
【請求項34】
前記セパレータは、0.1mm~3cmの範囲の最小曲げ半径を示す請求項23に記載の電池セルアッセンブリ。
【請求項35】
前記セパレータは、1MPa~1,000MPaの範囲の引張強さを示す請求項23に記載の電池セルアッセンブリ。
【請求項36】
前記セパレータは、10nm~1μmの範囲の細孔排除サイズを示す請求項23に記載の電池セルアッセンブリ。
【請求項37】
前記金属酸化物、前記金属水酸化物、または前記金属オキシ水酸化物の繊維は、0.3nm~30nmの範囲の表面層厚さを示す機能性表面コーティングを備え、前記機能性表面コーティングは、高分子、炭素、誘電体、および/またはセラミック材料を含む請求項23に記載の電池セルアッセンブリ。
【請求項38】
前記金属酸化物、前記金属水酸化物、または前記金属オキシ水酸化物の繊維は、(1)第1の直径の下位範囲内にある第1の平均直径および第1の平均アスペクト比を有する前記金属酸化物、前記金属水酸化物、または前記金属オキシ水酸化物の繊維の第1のセット、および(2)第2の直径の下位範囲内にある第2の平均直径および第2の平均アスペクト比を有する前記金属酸化物、前記金属水酸化物、または前記金属オキシ水酸化物の繊維の第2のセットを含む請求項23に記載の電池セルアッセンブリ。
【請求項39】
前記第1の直径下位範囲は、5nm~8nmであり、
前記第2の直径下位範囲は40nm~60nmである請求項38に記載の電池セルアッセンブリ。
【請求項40】
前記第1の平均アスペクト比は1,000であり、
前記第2の平均アスペクト比は150~250である請求項38に記載の電池セルアッセンブリ。
【請求項41】
請求項23に記載の電池セルアッセンブリ;および
電解質、
を備え、前記電解質は、前記電池セルアッセンブリの前記セパレータに浸透されている電池セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
米国特許法第119条に基づく優先権の主張
本特許出願は、参照によりその全文が本明細書に明示的に組み込まれる、2017年12月22日出願の、表題「Reliable Energy Storage Devices with Flexible Ceramic Layer Separating Electrodes」の米国特許仮出願第62/609796号の利益を主張する。
【0002】
本開示の実施形態は、一般に、セラミックを含むセパレータ層を備えたセパレータの設計および二次加工ならびに電気化学エネルギー貯蔵デバイスおよび他の用途におけるそれらの使用と、セラミックを含むセパレータ層を備えたセパレータを含む改良されたエネルギー貯蔵デバイスの設計および二次加工に関する。
【背景技術】
【0003】
高度な再充電可能な電池および電気化学キャパシタは、一部にはその比較的高いエネルギー密度、比較的高い比エネルギー、軽量、および長寿命の可能性のために、幅広い家電製品、電気自動車、グリッドストレージ、およびその他の重要な用途に適している。しかし、これらの電気化学エネルギー貯蔵デバイスの商業的普及の増加にもかかわらず、特に、低排出またはゼロ排出のハイブリッド電気自動車または完全電気自動車、家電製品、エネルギー効率の良い貨物船および機関車、航空宇宙用途、および送電網における潜在的用途について、さらなる開発が必要である。特に、安全性、エネルギー密度、比エネルギー、出力密度、比出力、サイクル安定性およびカレンダー寿命のさらなる改善が、様々な電気化学キャパシタおよび再充電可能な電池、例えば再充電可能な金属および金属イオン電池(再充電可能なLiおよびLiイオン電池、再充電可能なNaおよびNaイオン電池、再充電可能なMgおよびMgイオン電池、再充電可能なKおよびKイオン電池など)、再充電可能なアルカリ電池、再充電可能な金属水素電池、再充電可能な鉛電池、その他の再充電可能な水性電池、二重層キャパシタ、ハイブリッドスーパーキャパシタおよびその他のデバイスに求められている。さらに、エネルギー密度、比エネルギー、出力密度、比出力、およびカレンダー寿命の改善は、様々な一次電池だけでなく、低温(例えば、-20℃以下)または高温(例えば、60℃超)で動作する一次電池および再充電可能な電池(例えば、掘削用途または特殊な用途で使用される電池、例えば熱電池など)に求められている。
【0004】
これらの一次および再充電可能な電気化学エネルギー貯蔵デバイス、例えばリチウムイオン(Liイオン)電池、様々な水性電池および電気化学キャパシタなどの多くのセパレータ膜は、一般に多孔質高分子材料から製造されている。これらの膜は、セル内のアノードとカソードを電気的に絶縁して、自己放電を防止すると同時に、これらの電極間の電解質イオンの輸送を可能にする必要がある。このような膜の二次加工で使用される高分子材料の既知の例には、オレフィン類(例えばポリプロピレンまたはポリエチレンなど)、セルロース、アラミド、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレンなどが含まれる。所定の膜用途用の高分子の選択は、両方の電極(アノードおよびカソード)と接触する電気化学的および化学的安定性ならびにデバイスの二次加工および動作中の電解質、選択した電解質による濡れ性、価格の妥当性、気孔率および細孔屈曲度、機械的性質、熱的特性およびその他の要因に依存する場合がある。エネルギー貯蔵デバイス内のそのようなセパレータ膜の典型的な厚さは、わずか6ミクロンから50ミクロンほどの範囲である。実質的に薄い高分子膜ほど使用が安全でなくなるが、実質的に厚い膜ほど、通常、エネルギー貯蔵デバイスのエネルギー密度と比エネルギーおよび出力密度と比出力を望ましくないレベルに低下させる。このような高分子膜の典型的な気孔率は約30%~約50%の範囲であり、特定の従来のLiイオン電池で使用されるセパレータ膜の場合、最も典型的な値は約40%である。高分子系のセパレータ膜は大量生産が可能であり、薄くて柔軟性があるが、それらは、複数の制限、例えば、数ある中でも、熱安定性の制限、強度と靭性の制限(特に十分に薄く製造された場合)、デンドライト貫通に対する不十分な耐性、一部の電解質による濡れ性の低下、電解質の透過性の制限などに悩まされている。そのような制限は、エネルギー貯蔵デバイスがその限界に達したとき、例えば、そのようなデバイスが、数ある中でも、より高速な充電、高温および高ストレス下でのより良好な安定性、より長いサイクル安定性、およびより長いカレンダー寿命を必要とする場合などに特に問題になる。
【0005】
したがって、電極が電気的に分離されてイオン結合される、改良されたセパレータ膜および改良された電気化学エネルギー貯蔵デバイスがなお必要とされている。さらに、改良された材料および改良された製造プロセスもなお必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に開示される実施形態は、改善された電池、構成要素、ならびにその他の関連する材料および製造プロセスを提供することにより、上記の必要性に対処する。
【0007】
一例として、セパレータは、セラミックを含むセパレータ層とともに配置される。セラミックを含むセパレータ層は、約3nm~約2ミクロンの範囲の直径、約20~約100,000の範囲のアスペクト比、および約0.01cm3/g~約1cm3/gの範囲の多孔質金属酸化物繊維間の全開孔容積をもつ多孔質金属酸化物繊維を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本明細書に記載される構成要素、材料、方法、および他の技術、またはそれらの組合せが、様々な実施形態に従って適用され得る電池の例(例えば、LiイオンまたはNaイオン等)を示す図である。
【
図2】Al
2O
3ナノ繊維から製造されたセラミックセパレータの例を示す図である。
【
図3】小さいAl
2O
3繊維から製造されたセラミックセパレータの様々な態様を示す断面走査電子顕微鏡(SEM)画像を示す図である。
【
図4】銅箔集電体上のSi系Liイオン電池アノードの一部に直接堆積させた小さいAl
2O
3繊維のセパレータ層コーティングの例を示す図である。セパレータコーティングは、小さいAl
2O
3繊維の分散液から堆積させた。
【
図5】高電圧LCOのカソードおよびSiアノードに直接コーティングされた(2種類の厚さの)小さいAl
2O
3繊維セパレータ層(thickS SAnodeとthinS SAnode)のいずれかで構築されたSi系Liイオン電池アノードと、通常の市販の高分子(PP)セパレータを使用して製造された同様の(コントロール)セル(コントロール4およびコントロール5)を備えた4つのフルセルの性能を示す図である。すべてのセルは、同一のアノードとカソードで構築されている。容量(mAh/g)は、アノードコーティングの重量で正規化されている。中間サイクルヒステリシス(V)は、セルがC/2レートで循環した場合に記録される。
【
図6】本開示の実施形態に従って製造された小さい酸化物繊維を含むセパレータ膜を例示する図である。
【
図7A】本開示の実施形態に従って製造された小さい酸化物繊維を含むセパレータ膜を例示する図である。
【
図7B】本開示の実施形態に従って製造された小さい酸化物繊維を含むセパレータ膜を例示する図である。
【
図8A】本開示の実施形態に従って製造された数種類の小さい繊維を含む膜のいくつかの概略図の例を示す図である。
【
図8B】本開示の実施形態に従って製造された数種類の小さい繊維を含む膜のいくつかの概略図の例を例示する図である。
【
図8C】本開示の実施形態に従って製造された数種類の小さい繊維を含む膜のいくつかの概略図の例を示す図である。
【
図8D】本開示の実施形態に従って製造された数種類の小さい繊維を含む膜のいくつかの概略図の例を示す図である。
【
図8E】本開示の実施形態に従って製造された数種類の小さい繊維を含む膜のいくつかの概略図の例を示す図である。
【
図8F】本開示の実施形態に従って製造された数種類の小さい繊維を含む膜のいくつかの概略図の例を示す図である。
【
図8G】本開示の実施形態に従って製造された数種類の小さい繊維を含む膜のいくつかの概略図の例を示す図である。
【
図8H】本開示の実施形態に従って製造された数種類の小さい繊維を含む膜のいくつかの概略図の例を示す図である。
【
図8I】本開示の実施形態に従って製造された数種類の小さい繊維を含む膜のいくつかの概略図の例を示す図である。
【
図8J】本開示の実施形態に従って製造された数種類の小さい繊維を含む膜のいくつかの概略図の例を示す図である。
【
図9】本開示の一実施形態によるセパレータ層コーティングで使用され得るセラミックプレートレットの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付の図面は、本開示の実施形態の説明を補助するために提示されており、実施形態の例示のためだけに提供されるものであって、それらを限定するものではない。文脈によって特に明記または暗示されていない限り、図面中の異なるハッチング、シェーディング、および/または塗りつぶしパターンは、異なる成分、要素、特徴等の対比を描くことのみを意図するものであり、用いる特定のパターンについて本開示の外部で定義され得る特定の材料、色、またはその他の特性の使用を伝えることを意図しない。
【0010】
本発明の態様は、本発明の特定の実施形態を対象とする以下の説明および関連する図面に開示されている。用語「本発明の実施形態」は、本発明のすべての実施形態が、考察される特徴、利点、プロセス、または動作モードを含むことを必要とせず、代替実施形態は、本発明の要旨から逸脱することなく考案され得る。さらに、本発明の周知の要素は、他のより関連する詳細を不明瞭にしないように、詳細に説明されないか、または省略され得る。さらに、「少なくとも部分的に」という用語法は、「部分的に、実質的に、または完全に」としての解釈が意図される。
【0011】
本発明の任意の実施形態に関して本明細書に記載される任意の数値範囲は、関連する数値範囲の上限および下限を定義するだけでなく、その範囲内の各離散値を、上限または下限を特徴付ける精度のレベルに一致する単位または増分で暗黙的に開示することも目的としている。例えば、7nmから20nmまでの距離の数値範囲(すなわち、単位または増分が1の精度レベル)は、あたかも介在する8から19までの数字が1単位または増分で明示的に開示されたかのように、[7、8、9、10、…、19、20]のセットを(単位nmで)包含する。別の例では、30.92%から47.44%までのパーセントの数値範囲(すなわち、100分の1の単位または増分の精度レベル)は、あたかも介在する30.92~47.44の間の数字が100分の1の単位または増分で明示的に開示されたかのように、[30.92、30.93、30.94、…、47.43、47.44]のセットを(%で)包含する。したがって、開示されている数値範囲に含まれる任意の数は、あたかもそれらの介在数が明示的に開示されたかのように解釈されることを目的としており、そのような介在数はそれによってより広い範囲の中に入る部分範囲のそれ自身の上限および/または下限を構成し得る。それにより、各下位範囲(例えば、より広い範囲からの少なくとも1つの介在数を上限および/または下限として含む各範囲)は、より広い範囲の明示的な開示により暗黙的に開示されると解釈されることを意図する。
【0012】
以下の1または複数の実施形態の説明は、小さな(ナノ)ワイヤ、ウィスカ、(ナノ)ファイバー、(ナノ)リボン、その他の細長い粒子ならびにフレーク(代わりに「プレートレット」と呼ばれることもある)、(ナノ)シート、様々な多孔質の細長い粒子または多孔質の平面粒子を含むその他の平面形状の粒子を含むアルミニウム-(Al-)または酸素-(O-)の状況において、特定の例を説明する場合があるが、様々な態様がその他の組成物(例えばその他の金属酸化物ならびに金属オキシフッ化物、金属フッ化物、金属オキシ窒化物、金属オキシ水酸化物(例えば、粘土およびその他のオキシ水酸化物)、金属窒化物、金属酸窒化物、金属炭化物、金属酸炭化物、および金属組成物を含むその他の様々なセラミックの細長い粒子など)に適用可能であり得ることが理解されよう。そのような組成物に適した金属(または半金属)原子の例としては、(限定されるものではないが)、(特定の用途に応じて)以下の少なくとも1つまたはそれらの組合せ、いくつか挙げると、Al、Si、Ti、Li、Cu、Fe、Mg、Na、K、Cs、Ba、Be、C、Zn、Cr、Zr、Y、La、Ce、Sm、Mo、Nb、Ta、W、Ag、Ag、Ptを挙げることができる。
【0013】
以下の1または複数の実施形態の説明は、小さな(ナノ)ワイヤ、ウィスカ、(ナノ)ファイバー、(ナノ)リボン、その他の細長い粒子ならびにフレーク、(ナノ)シート、組成物中に単一の金属(例えば、アルミニウム)を含む様々な多孔質の細長い粒子または多孔質の平面粒子をはじめとする、その他の平面形状の粒子の状況において、特定の例を説明する場合があるが、様々な態様が、2、3またはそれ以上の金属を含む組成物に適用可能であり得ることが理解されよう。
【0014】
以下の1または複数の実施形態の説明は、特定の種類の粒子(例えば、(ナノ)繊維またはフレーク)の状況で特定の例を説明することがあるが、様々な態様が、異なる形状の粒子を含む組成物(例えば、繊維状粒子とフレーク状粒子の組合せ)に適用可能であり得、異なる組成物、微細構造またはサイズを示し得ることが理解されよう。
【0015】
以下の1または複数の実施形態の説明は、純粋な金属酸化物の状況で特定の例を説明することがあるが、様々な態様が、酸化物と、酸化物の隣接種、例えば多くの中でも、水酸化物(水素原子が酸素原子に結合している)、亜酸化物(酸素原子が酸素原子に結合している)、カルボン酸塩(金属原子が炭酸基に結合している)、水素化物(金属原子が水素に結合している)、窒化物(金属原子が窒素に結合している)、フッ化物(金属原子がフッ素に結合している)などの一部分の両方を含み得る組成物に適用可能であり得ることが理解されよう。したがって、そのような組成物中の金属原子の配位数は、純粋な酸化物の配位数とは異なる場合がある。
【0016】
以下の1または複数の実施形態の説明は、純粋なアルコキシドの状況で特定の例を説明することがあるが、様々な態様が、アルコキシドと、アルコキシドの隣接種、例えば、多くの中でも、水酸化物(オキソ基に結合した水素を含む)、亜酸化物(オキソ基に結合した酸素を含む)、カルボン酸塩(炭酸基に結合したオキソ基)、窒化物(窒素に結合したオキソ基)などの一部分の両方を含み得る組成物に適用可能であり得ることが理解されよう。したがって、そのような組成物中の金属原子の配位数は、純粋なアルコキシドの配位数とは異なる場合があり、アルコール基(-ROH)と金属原子の比率は、純粋なアルコキシドの比率とは異なる場合がある。例えば、アルミニウムエトキシド組成物の場合、アルミニウム(Al)原子は(純粋なAl(EtOH)3に予想されるように)6配位でない可能性があるが、例えば、6配位、5配位、および4配位Alを含み得る。同様に、エトキシ基(-EtOH)とAl原子のモル比は(純粋なAl(EtOH)3に予想される)3ではない可能性があり、例えば、高くて10程度から低くて0.1程度まで変動する可能性がある。
【0017】
本説明の1または複数の実施形態の文脈において、用語「バルク」(「バルクの小さい繊維」、「バルクの小粒子」、「バルクの小さいフレーク」等)は、粒子(例えば小さい繊維、小さいフレークおよびその他の小粒子等)が化学的、静電気的、および/または物理的な機構によって互いにくっついて大きな凝集塊(そのような凝集塊の平均寸法は約1pm~約10cmの範囲である)を形成しているサンプルを指す。
【0018】
本説明の1または複数の実施形態の文脈において、用語「アスペクト比」は、材料または粒子の最長寸法と最短寸法の比を指す。
【0019】
本説明の1または複数の実施形態の文脈において、用語「分散体」とは、1または複数の固体と1または複数の液体の混合物であるが、1または複数の固体と1または複数の液体の両方の流体特性を変化させる方法で、1または複数の固体が1または複数の液体と相互作用する混合物を指す。例えば、様々な形状およびサイズの固体(ナノ)粒子を液体に分散させると、液体の粘度は増加し、粒子のブラウン運動が増加する。用語「分散体」はさらに、様々な形状およびサイズの固体(ナノ)粒子が液体(溶媒)に懸濁されているときの状態を指すことがある。用語「安定した分散体」とは、粒子(例えば繊維、フレーク、ナノ粒子または様々な他の形状およびサイズの粒子)が、所定の加工段階(例えば、分散体を基板上でフィルムにキャストすること等)に十分な時間スケールの間懸濁されたままである状態を指す。
【0020】
以下の1または複数の実施形態の説明はまた、1または複数の金属の特定の酸化物の形成および適用の状況で特定の例を説明することもあるが、本開示の様々な態様が、他のセラミック材料(必ずしも酸化物である必要はない)ならびに様々なセラミック-セラミック、セラミック-ガラス、セラミック-金属、セラミック-炭素、セラミック-高分子、ガラス-高分子、ガラス-セラミック-高分子、高分子-高分子およびその他の複合材料の形成に適用可能であり得ることが理解されよう。
【0021】
以下の1または複数の実施形態の説明はまた、電気化学エネルギー保存またはエネルギー変換デバイス用の多孔質膜の形成および適用の状況で特定の例を説明することもあるが、本開示の様々な態様(特に、膜の形成など)が、広範囲の他の用途、例えば、特に、様々な複合材料、生物医学および医療用途、センサー(湿度センサーを含むがこれに限定されない)、空気膜および液膜の精製(限定されるものではないが、小粒子からの様々なガスまたは液体(例えば、HEPA濾過など)、細菌、細菌の胞子、ウイルス、有害な有機物などの濾過または精製を含む)、構造材料およびデバイス、光学デバイス、電気的または熱的絶縁などに適用可能であり得ることが理解されよう。
【0022】
単純化および例示目的のために、適したサイズ、形状、アスペクト比、密度、気孔率、結晶構造、および形態をもつすべての細長い粒子(例えば高密度で多孔質のナノ繊維および繊維、ナノワイヤ、ウィスカ、ナノチューブ、ナノリボン等)は、一般に本明細書において「小さい繊維」と呼ばれる場合がある。1または複数の本開示の実施形態では、(様々な組成物の)個々の小さい繊維の適した直径(または幅)は、約2nm~約1ミクロンの範囲であり得、(様々な組成物の)個々の小さい繊維の適した長さは、約50.0nm~約500.0mmの範囲であり得る。1または複数の本開示の実施形態では、(様々な組成の)個々の小さい繊維の適したアスペクト比(幅対長さ)は、約1:4~約1:1,000,000の範囲であり得る。
【0023】
単純化および例示目的のために、適したサイズ、形状、アスペクト比、密度、気孔率、結晶構造、および形態をもつすべての平面粒子は、一般に、本明細書において「小さいフレーク」と呼ばれる。1または複数の本開示の実施形態では、様々な組成の)個々の小さいフレークの適した厚さは、約0.3nm~約0.6ミクロンの範囲であり得、個々の小さいフレークの適した平均幅は、約50nm~約5mmの範囲であり得る。1または複数の本開示の実施形態では、(様々な組成の)個々の小さいフレークの適したアスペクト比(幅対長さ)は、約1:4~約1:1,000,000の範囲であり得る。
【0024】
単純化および例示目的のために、体積が約0.2ミクロン3未満のすべての粒子は、一般に本明細書において「ナノ粒子」と呼ばれ得る。
【0025】
用途にもよるが、一例では、小さい繊維、小さいフレークおよびナノ粒子の適した真密度(密閉気孔率を考慮)は、本説明の1または複数の実施形態の状況において、約0.3から約4g/cm3まで(例えば、その組成にAl金属のみを含む粒子の場合)そして約6g/cm3まで(例えば、その組成にAl以外の金属を含む粒子の場合)の範囲であり得る。用途および加工条件にもよるが、一例では、個々の小さい繊維、小さいフレークおよびナノ粒子の間で適した細孔容積(例えば、全開口細孔容積)(例えば、繊維/フレーク/ナノ粒子自体の細孔空間、例えば表面細孔などに加えて、セラミックを含むセパレータ層に配置された場合の繊維/フレーク/ナノ粒子間の介在する開口細孔空間を含む)は、約0~約5cm3/g(例えば、一部の設計では、約0.01cm3/g~約1cm3/g)の範囲であり得る。用途および加工条件にもよるが、一例では、微細構造は、アモルファスからナノ結晶、ナノ結晶から多結晶、多結晶から単結晶、単結晶からそれらの混合物、それらの混合物からその他の種類までの範囲であり得る。用途および加工条件にもよるが、一例では、小さい繊維および小さいフレークの適した表面粗さは、約0~約100nmの範囲であり得る。
【0026】
Liイオン、Naイオンおよびその他の再充電可能な電池および一次電池、ならびに電気化学キャパシタ(例えば、二重層キャパシタ、疑似キャパシタまたはハイブリッドデバイス)で使用される特定の従来の高分子セパレータ膜と、選択された種類の燃料電池は、機械的強度が制限され、熱安定性が低いため、このような高分子セパレータ膜が故障すると、熱暴走およびセルの爆発を引き起こし得る。高分子セパレータ膜の厚さを減らすことは、一部の用途でこれらのエネルギー貯蔵デバイスのエネルギーおよび出力密度を高めるのに有利であるが、高分子セパレータ膜の厚さの減少は、セルの動作中にセパレータが故障する可能性が容認しがたいほど高くなるため、セルの動作が安全でなくなるレベルまで機械的性質を低下させる可能性があるため、慣習的に実現不可能である。特定の従来の高分子セパレータ膜は、電解質による濡れ性の制限と電解質イオンによる透過性の制限にさらに見舞われる可能性があり、それにより電気化学エネルギー貯蔵デバイスの充電率および出力特性が制限される可能性がある。
【0027】
セラミック材料は、高分子と比較して、良好な強度、良好な濡れ性、および良好な熱特性を示すことが公知であるが、一般に、セパレータ膜として使用するには脆すぎる。しかし、セラミック材料が様々な繊維(特に小さい繊維)に加工されると、繊維状のセラミック材料は、1または複数の実施形態に従ってセパレータ膜として使用されるのに十分に柔軟になり得る。その上、一部の設計では、セラミック繊維の直径を小さくすると、繊維の比強度および靭性、およびその他の機械的性質が増加する場合がある(繊維の質量または断面積で正規化した場合)。したがって、小さいセラミック繊維(およびその他の材料)から柔軟で強力で熱的に安定したセラミックセパレータを形成することにより、従来の高分子セパレータの1または複数の制限を克服することができる。しかし、高性能セラミックセパレータの経済的な形成は困難である。1または複数の本開示の実施形態は、Liイオン、Naイオン、Kイオン、Caイオン、Znイオン、Cuイオン、Mgイオン、に基づく金属イオン電池およびその他の再充電可能な電池および一次電池(熱電池を含む)および電気化学キャパシタ(二重層キャパシタを含む)用の、セラミックを含む(または純粋なセラミックの)セパレータ層(例えば、電極から独立したスタンドアロンのセパレータ膜、または電極および/またはセパレータ膜に直接コーティングされたセパレータコーティング)セラミックを含む(または純粋なセラミック)の適した二次加工方法、適した形態および適した組成物を対象とする。
【0028】
金属イオン電池(Liイオン電池など)の幅広い採用および人気に起因して、簡潔および便宜のために、以下の説明はLiおよびLiイオン電池の状況において特定の例を説明する場合がある。しかし、以下に記載される様々な実施形態がその他の金属イオン電池タイプに適用され得ることは容易に理解されるであろう。
【0029】
一部の設計では、セラミック繊維(小さいセラミック繊維を含む)を含むセパレータ膜(またはセパレータ膜層)が約0.02cm3/g~約6.00cm3/g(最も一般的には約0.2~約1.5cm3/g)の範囲の細孔容積を示すことが有利であり得る。例えば、細孔容積が小さすぎると十分な透過性が得られない可能性があるが、細孔容積が大きすぎると膜の機械的強度を一部の用途(例えば、Liイオンおよびその他の再充電可能な電池)には望ましいレベルを下回るまで低下させる可能性がある。
【0030】
図1は、本明細書に記載される構成要素、材料、方法、および他の技術、またはそれらの組合せが、様々な実施形態に従って適用され得る金属イオン(例えば、Liイオン)電池の例を示す。ここでは円筒型電池が例示のために示されているが、角形電池またはパウチ型(ラミネート型)電池、またはフレキシブル電池またはコイン型電池をはじめとする、その他の種類の配置も必要に応じて使用されてよい。電池100の例には、負のアノード102、正のカソード103、アノード102とカソード103の間に介在するセパレータ104、セパレータ104に含浸する電解質(図示せず)、電池ケース105、および電池ケース105を封止する封止部材106が含まれる。
【0031】
液体電解質と固体電解質の両方を、本明細書に記載される設計の一部または全部に使用することができる。一例では、この種類のLi系またはNa系電池の特定の電解質は、単一のLiまたはNa塩(例えばLiイオン電池の場合はLiPF6、Naイオン電池の場合はNaPF6またはNaClO4塩)を有機溶媒の混合物(例えば炭酸塩の混合物)中に含む場合がある。その他の一般的な有機溶媒には、ニトリル、エステル、スルホン、スルホキシド、リン系溶媒、シリコン系溶媒、エーテルなどが含まれる。そのような溶媒は修飾(例えば、スルホン化またはフッ素化)されてもよい。電解質は、イオン液体(一部の設計では、中性イオン液体;その他の設計では、酸性および塩基性イオン液体)も含んでよい。一部の設計では、適した電解質は、溶融塩を含むか、またはそれに基づくことができる(一部の設計では、そのような電解質は、電極および/またはセラミック系セパレータ膜またはコーティングに溶融含浸させることができる)。一部の設計では、適した電解質には、セラミック膜(または層)の融点より低い融点を示し、溶融含浸温度の膜材料に対する溶解度が低い(例えば、1または複数の膜材料の約0~5体積%の溶解度)、固体状態のガラスまたはセラミック電解質が含まれ得る。一部の設計では、固体状態の電解質は、溶媒に溶解し、セラミックセパレータに含浸させ、焼成によって(例えば、一般的なゾルゲル加工技術を使用することにより)形成され得る。
【0032】
電解質は、様々な塩の混合物も含むことができる(例えば、いくつかのLi塩の混合物または再充電可能なLiおよびLiイオン電池用のLi塩と非Li塩の混合物)。
【0033】
例えば、Liイオン電池の電解質で使用される一般的な塩は、LiPF6であるが、あまり一般的でない塩には、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF4)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、リチウムビス(オキサラート)ボラート(LiB(C2O4)2、リチウムジフルオロ(オキサラート)ボラート(LiBF2(C2O4))、様々なリチウムイミド(例えばSO2FN-(Li+)SO2F、CF3SO2N-(Li+)SO2CF3、CF3CF2SO2N-(Li+)SO2CF3、CF3CF2SO2N-(Li+)SO2CF2CF3、CF3SO2N-(Li+)SO2CF2OCF3、CF3OCF2SO2N-(Li+)SO2CF2OCF3、C6F5SO2N-(Li+)SO2CF3、C6F5SO2N-(Li+)SO2C6F5またはCF3SO2N-(Li+)SO2PhCF3など)などが含まれる。Naイオン、Mgイオン、Kイオン、Caイオン、Cuイオン、Znイオンおよびその他の金属イオン電池用の電解質は、これらの電池が開発の初期段階にあるため、多くの場合、より珍しいことがある。例えば、そのような珍しい電解質は、異なる塩および溶媒を含むことがある(場合によっては、イオン液体または溶融塩が特定の用途用の有機溶媒を置き換えることがある)。
【0034】
Liイオン電池で利用される従来の電極は、(i)活物質、導電性添加剤、バインダー溶液と、場合によっては、界面活性剤またはその他の機能性添加剤を含むスラリーの形成;(ii)スラリーを金属箔(例えば、ほとんどのアノードの場合はCu箔、ほとんどのカソードの場合はAl箔)にキャストすること;および(iii)キャストした電極を乾燥させて、溶媒を完全に蒸発させることによって製造され得る。
【0035】
Liイオン電池で利用される従来のカソード材料は、電池の充電または放電中に金属イオンがそのような材料の隙間の位置に挿入されてその位置を占拠する、インターカレーション型であり得る。そのようなカソードは、電極に使用されたときに非常に小さな体積変化を経験する。そのような従来のカソード材料はまた、一般に高密度(例えば、活物質レベルで3.8~6g/cm3)を示し、スラリーでの混合が比較的容易である。しかし、そのようなカソードは、比較的小さい重量容量および体積容量を示す(例えば、それぞれ約220mAh/g未満および約800mAh/cm3未満)。
【0036】
再充電可能なLiイオンまたはLi電池用の変換型カソード材料は、インターカレーション型カソード材料と比較して、より高いエネルギー密度、より高い比エネルギー、またはより高い比容量または体積容量を提供し得る。例えば、フッ化物系カソードは、場合によっては300mAh/gを上回る(電極レベルで1200mAh/cm3を超える)その非常に高い用量のために、卓越した技術的可能性を提供し得る。例えば、Liを含まない状態では、FeF3は、712mAh/gの理論比容量を提供し;FeF2は、571mAh/gの理論比容量を提供し;MnF3は、719mAh/gの理論比容量を提供し;CuF2は、528mAh/gの理論比容量を提供し;NiF2は、554mAh/gの理論比容量を提供し;PbF2は、219mAh/gの理論比容量を提供し;BiF3は、302mAh/gの理論比容量を提供し;BiF5は、441mAh/gの理論比容量を提供し;SnF2は、342mAh/gの理論比容量を提供し;SnF4は、551mAh/gの理論比容量を提供し;SbF3は、450mAh/gの理論比容量を提供し;SbF5は、618mAh/gの理論比容量を提供し;CdF2は、356mAh/gの理論比容量を提供し;ZnF2は、519mAh/gの理論比容量を提供する。フッ化物の混合物(例えば、合金の形態)は、混合物の法則に従って近似的に計算された理論容量を提供し得る。混合金属フッ化物の使用は、時には有利である可能性がある(例えば、より高いレート、より低い抵抗、より高い実用的容量、またはより長い安定性を提供する可能性がある)。完全にリチウム化された状態では、金属フッ化物は、金属とLiFクラスター(またはナノ粒子)の混合物を含む複合材料に変わる。変換型金属フッ化物カソードの全体的な可逆反応の例には、CuF2系カソードの場合は2Li+CuF2⇔2LiF+Cu、またはFeF3系のカソードの場合は3Li+FeF3⇔3LiF+Feが含まれ得る)。金属フッ化物系カソードは、Liを含まない状態、または部分的にリチウム化された状態、または完全にリチウム化された状態の両方で調製され得ることが理解されよう。有望な変換型のカソード(または、場合によってはアノード)材料の別の例は、硫黄(S)(Liを含まない状態)または硫化リチウム(Li2S、完全にリチウム化された状態)である。サイクル中の活物質の溶解を低減するため、導電率を改善するため、またはS/Li2S電極の機械的安定性を改善するために、多孔質S、Li2S、多孔質S-C複合材料、Li2S-C複合材料、多孔質S-高分子複合材料、またはSもしくはLi2S、またはその両方を含むその他の複合材料の形成を利用することができる。
【0037】
残念ながら、Liイオン電池で使用される多くの変換型のカソードは、従来のセル設計における様々な性能制限に悩まされている。例えば、そのような電極は、サイクル中に体積が変化し、セパレータ内部に応力が発生する可能性があり、特にセパレータが高分子でできている場合には最終的に故障する可能性がある(これはセルが高温で動作する場合はさらに問題になる)。したがって、より堅牢なセラミックセパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)の使用が、変換型カソードを含むセルにおいて特に有利であり得る。別の例では、そのようなカソードは、イオンの溶出を始め、イオンはセパレータを通過してアノードに移動し、そこで固体電解質相間界面(SEI)層に損傷を引き起こし得る。これは容量の低下と抵抗の増加を引き起こす可能性がある。高分子セパレータは一般にそのようなイオンを捕捉できず、それによってセルを故障させる。セラミックセパレータの極の性質はそのようなイオンの吸着を引き起こし、それによりセルの安定性を向上させ得るため、セラミックセパレータの使用は有利であり得る。さらに別の例では、変換型カソードの一部が溶解すると、電極-高分子セパレータ界面で溶解生成物(Sを含むカソードの場合はポリスルフィドなど)の再沈殿が誘導され、イオン輸送がブロックされることがある。対照的に、セラミックセパレータは、最も溶解性の高い種(例えば、Sを含むカソードの場合はより長い鎖のポリスルフィドなど)の一部の形成を減らすか、またはそれらを内部表面に吸着させるか、またはそれらを溶解度の低い種に分解することがある。この点に関して、高い比表面積および高い気孔率(例えば、約20.0体積%~約95.0体積%の範囲内、一部の設計では約30.0体積%~約85.0体積%の範囲内)をもつセラミックセパレータの使用は、特に有利であり得る。さらに別の例では、変換型の活物質は、高分子セパレータが故障し得る高温(例えば、約30℃~約300℃の間;例えば、充放電速度を改善するためなど)でのセルの動作を必要とすることがある。対照的に、セラミックセパレータは、そのような高温で効果的に動作し得る。
【0038】
Liイオン電池で利用される従来のアノード材料も、電池の充電または放電中に金属イオンがそのような材料の隙間の位置に挿入されてその位置を占拠する、インターカレーション型であり得る。そのようなアノードは、電極に使用されたときに非常に小さな体積変化を経験する。しかし、そのようなアノードは比較的小さい重量容量および体積容量を示す(例えば、グラファイト系またはカーボン系のアノードの場合には370mAh/g未満の再充電可能な比容量および600mAh/cm3未満の再充電可能な体積容量)。Liイオン電池で使用する合金化型(alloying-type)アノード材料は、インターカレーション型アノードと比較して、より高い重量容量および体積容量を提供する。例えば、シリコン(Si)は、インターカレーション型グラファイト(またはグラファイトのような)アノードと比較して、約10倍高い重量容量および約3倍高い体積容量を提供する。したがって、一部の設計では、約2重量%~約80重量%のSiをその組成に含むアノードを利用することが有利であり得る(例えば、一部の設計では、約3重量%~約70重量%の範囲のSiを含むアノードが使用され得る)。Siを含むアノード(様々なSiを含む複合材料およびナノ複合材料を含む)に加えて、合金化型活物質を含むアノードの他の一般的な例としては、限定されるものではないが、ゲルマニウム、アンチモン、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ガリウム、ヒ素、リン、銀、カドミウム、インジウム、スズ、鉛、ビスマス、それらの合金などを含むものが挙げられる。合金化型活物質を含むアノードに加えて、その他の興味深い種類の高容量アノードは、金属酸化物(酸化ケイ素、酸化リチウム等を含む)、金属窒化物、金属リン化物(リン化リチウムを含む)、金属水素化物などの変換型アノード材料を含み得る。
【0039】
残念ながら、Liイオン電池で使用される多くの合金化型または変換型のアノードは、従来のセル設計における様々な性能制限に悩まされている。例えば、そのようなアノードは、サイクル中に体積が変化し、セパレータ内部に応力が発生する可能性があり、特にセパレータが高分子でできている場合には最終的に故障する可能性がある(これはセルが高温で動作する場合はさらに問題になる)。本明細書に記載される、より堅牢なセラミック(またはセラミックを含む)セパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)の使用は、合金化型または変換型アノードを含むセルにおいて特に有利であり得る。一部の設計では、合金化型または変換型アノードは、(グラファイトと比較して)薄いため、セルがより高い充電電流に故障なく耐えることを可能にするので、高速な充電を実現するように設計されたLiイオン電池で使用される。残念ながら、従来の高分子膜は、急速充電に実質的に抵抗し、セルに望ましくない高い電圧降下を誘導し、アノードまたはカソードの電位が安全限界を超える可能性がある。一部の設計では、本明細書に記載されるセラミック(またはセラミックを含む)セパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)を高分子膜の代わりに使用することにより、より速いイオン輸送(例えば、より小さい電圧降下)を可能にし得、したがってそのようなセル(特に、高容量の合金化型または変換型アノード材料を含むセルをはじめとする、放電状態(またはその全容量の約0~10%)から約30~40分未満でその全容量の約80~90%まで充電するように設計されたセル)での使用に特に有利であり得る。一部の設計では、高い(例えば、約40~90%の)内部気孔率をもつ、薄い(例えば、約0.5ミクロン~約10ミクロンの)セラミックセパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)の使用は、高速充電セル(放電状態(またはその全容量の約0%)から約30~40分未満で(さらには20分未満で)その全容量の約80%まで充電するように設計されたかまたは充電可能なセル)に有利である。
【0040】
一部の設計では、合金化型または変換型アノード(および/または変換型カソード)は、可能な限り最高の比エネルギーまたは高いエネルギー密度を達成するように設計されたLiイオン電池で使用される。残念ながら、従来の高分子膜は一般にやや厚く(例えば、より薄い高分子膜は安全でなくなる可能性があるため)、達成可能なエネルギー貯蔵特性を制限する可能性がある。一部の設計では、薄い(例えば、約0.5ミクロン~約10ミクロン)が安全なセラミックセパレータ層(例えば、本明細書に記載されるスタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)を高分子膜の代わりに使用することにより、より高いエネルギー貯蔵特性が得られる可能性があり、したがって、そのような高い比エネルギーまたは高いエネルギー密度のセルでの使用に特に有利である可能性がある。一部の設計では、セパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)の使用は、比エネルギーが約270Wh/kgを超えるセル(例えば、比エネルギーが約350~400Wh/kgを超えるセルの場合はなおさらである)、またはエネルギー密度が約650Wh/Lを超えるセル(例えば、エネルギー密度が約750~850Wh/Lを超えるセルの場合はなおさらである)で特に有利である。エネルギー密度の高いセルは、一部の設計で自己放電イベント中に、より多くのエネルギーを内部に放出する可能性があるため、熱的および機械的に、より安定したセラミックセパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)の使用も、改善された安全性の観点から有利であり得る。
【0041】
全体的に、高出力、高速充電、または高エネルギーセル(変換型もしくは合金化型アノードまたは変換型カソードを含むセルを含む)は、一部の設計において、構造にセラミックセパレータ膜(またはセラミックセパレータ層)が使用されている場合にメリットがある。
【0042】
さらに、一部の設計では、高温で動作する(例えば、その動作(充電または放電)時間の少なくとも一部(例えば、約0.1%~約100%)を約70℃~約500℃の温度で動作する)1または複数の特殊なセルは、本明細書に記載されるように、薄く(そして、場合によっては柔軟で)、熱安定性のより高い多孔質セラミック(またはセラミックを含む)セパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)、特に小さいセラミック繊維または小さいセラミックフレークを含むものを含むことから利益を得ることができる。
【0043】
一部の設計では、エネルギー貯蔵デバイス(例えば、多くの中でも、LiイオンおよびNaイオン電池、高温電池、一次電池、電気化学キャパシタなど)に適した、電気的に分離されたセラミックセパレータ膜は、適したサイズおよびアスペクト比の小さい繊維から製造され得る。一部の設計では、小さいセラミックフレークが、小さいセラミック繊維の代わりに、またはそれに加えて使用されてよい(例えば、フレークは、ランダムに配置された繊維の場合に、繊維と他の繊維との接触よりも大きい繊維との接触面積を示す可能性があり、それにより、より強力な結合が可能になる場合があるので、電極間により堅牢な電気的分離を提供するため、またはセパレータの機械的性質を向上させるため)。一部の設計では、ナノ粒子が、小さいセラミックフレークおよび/または小さいセラミック繊維に加えて使用されてもよい。一部の設計では、フレークがセパレータ層の平面に平行に方向付けられている場合、フレークの存在によりセパレータの細孔の蛇行が増加し、その結果、所定の厚さのセパレータのイオン輸送速度が遅くなることに注意されたい。これが、フレーク形状の粒子が最終の層組成の約90.0重量%を超えず(一部の設計では、好ましくは50.0重量%以下)、セパレータ層の全体積の約40.0%を超えない(一部の設計では、好ましくは約20.0体積%未満)ことが有利である理由の1つである。一部の設計では、より小さいサイズのフレーク(例えば、約10nm~約10ミクロンの範囲の横寸法を有するもの)を使用することが同様に有利であり得る。全体的に、フレーク形状の粒子の使用は、歪みおよび応力が加わったセパレータ層が、セル動作中の破砕および/または内部短絡の形成を防ぐ能力の点で非常に有利であり得るが、当分野の人にとっては少々直感に反している。一部の設計では、小さいセラミックフレークがイオン輸送を向上させるための細孔(または溝)を含むことは有利であり得る。一部の設計では、そのような細孔は、フレークの平坦な領域に対して略垂直に配向され得る。一部の設計では、細孔の特徴的な寸法(例えば、スリット形状の細孔の場合の幅、または円柱状の細孔の場合の直径)は、約0.5nm~約500nmの範囲であり得る。一部の設計では、小さな細孔(例えば、第1の特徴的な寸法の閾値未満)は十分に速いイオン輸送を提供しない可能性があるが、大きな細孔(例えば、第1の特徴的な寸法の閾値または第1の特徴的な寸法の閾値よりも高い第2の特徴的な寸法の閾値を上回る)は、セル内のアノードとカソード間の十分な電気的分離を提供しない可能性がある。一部の設計では、小さいセラミック繊維が細孔(例えば、開口細孔または表面細孔)を含むことは有利であり得る。
【0044】
一部の設計では、優れた機械的性質、優れた輸送特性、および優れた信頼性の高い分離の組合せを実現するために、膜内で異なるサイズの小さい繊維を組み合わせる(例えば、小さい繊維の平均径が約10~100倍異なる、または小さい繊維の長さが約10~1000,000倍異なる、種々のサブセットを有する)ことが有利であり得る。一部の設計では、小さい繊維は、膜の機械的性質と輸送特性の良好な組合せを達成するために、より大きな繊維(例えば、直径が約1ミクロンより大きい、または長さが約100ミクロンより大きい繊維)と組み合わせることができる。一部の設計では、約10重量%~約100重量%の、直径が約10nm~約200nmの範囲のセラミック繊維を利用することが有利であり得る。一部の設計では、約20重量%~約100重量%の、直径が約20nm~約200nmの範囲のセラミック繊維を利用することが有利であり得る。一部の設計では、約10重量%~約100重量%の、長さが約1ミクロン~約500ミクロンの範囲のセラミック繊維を利用することが有利であり得る。一部の設計では、約20重量%~約100重量%の、長さが約2ミクロン~約200ミクロンの範囲のセラミック繊維を利用することが有利であり得る。一部の設計では、上記の繊維サイズの望ましい変化はまた、繊維の最も薄い10%の平均径と最も厚い2%の平均径を比較する場合、または繊維の最も短い10%の平均長と最も長い2%の平均長を比較する場合に、計算され得る。
【0045】
一部の設計では、優れた機械的性質、優れた輸送特性、および優れた信頼性の高い分離の組合せを実現するために、膜内で異なるサイズの小さいフレーク(例えば、厚さが約3~30倍異なる、または小さいフレークの横寸法が約3~300倍異なる小さいフレークを有する)を組み合わせることが有利であり得る。一部の設計では、膜の機械的性質と輸送特性の良好な組合せを達成するために、小さいフレークは大きなフレークと組み合わされてよい。一部の設計では、多孔質フレークは、(例えば、同様の理由で)非多孔質フレークと組み合わせることができる。一部の設計では、最も好ましい性能特性(機械的性質およびイオン輸送速度)を達成するために、セパレータ層において異なるサイズ(または異なる組成物、気孔率または表面化学)の1つまたは2つまたはそれ以上の種類のフレークと、異なるサイズ(または異なる組成物、気孔率または表面化学)の1つまたは2つまたはそれ以上の種類の繊維を組み合わせることは有利であり得る。
【0046】
一部の設計では、セラミックセパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)の形成のための酸化物(例えば、他の組成の中でも、酸化アルミニウムまたは酸化リチウムアルミニウム、酸化マグネシウム、酸化マグネシウムアルミニウム、酸化リチウムマグネシウムアルミニウム、酸化ジルコニウムからなる)小さい繊維または小さいフレークの使用は、有機、高分子、イオン液体または溶融塩(または溶融含浸固体)電解質を含むNaイオンまたはLiイオン電池(ならびにその他の種類の電池および電気化学キャパシタ)の場合に特に有利であり得る。一部の設計では、セラミックセパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)において、アスペクト比が約1から約2~4)の範囲の「規則正しい」酸化物粒子よりも、アスペクト比が約4~10から約1,000,000の範囲の酸化物繊維(特に小さい繊維)を使用することの利点には、高い繊維柔軟性、高い繊維強度、高い繊維靭性、繊維のランダム充填時に非常に高い多孔度を達成する能力(例えば、約70%以上、これは高い透過性に重要であり得る)、(アスペクト比の低い粒子間の相互作用と比較して)繊維間で可能な(例えば、より大きな面積の結合または絡み合いを介する)より強い相互作用、電極の厚さが変化した場合の強化された堅牢性(またはクラック形成もしくは伝播に対する抵抗)、電極の面積がいくらか拡大した場合の(例えば、約0.1~20%以内)強化された堅牢性(またはクラック形成もしくは伝播に対する抵抗)、より小さな孔径を達成する能力(例えば、これは、潜在的なLiデンドライト貫通またはアノードとカソードの電気接触時の内部短絡の防止に重要であり得る)ならびに表面粗さが低く欠陥の割合が低い、薄い多孔質セパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)を調製する能力が含まれ得る。一部の設計では、高密度の小さいセラミック繊維よりも多孔質の小さいセラミック繊維(例えば、約0.05体積%から最大約90体積%、好ましくは約5体積%~約40体積%の気孔率)(および高密度の小さいフレークよりも多孔質の小さいフレーク)を使用することの利点は、同じ粒子充填密度に対して、気孔率がより高い(したがって浸透性がより高い)ことである。その上、多孔質の小さい繊維(および場合によっては小さいフレーク)は、表面粗さが高く密度が低いために通常のワイヤに比べてあまり密に詰まっていないことがあり、このことによりセパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)の浸透はさらに増加する。さらに、多孔質セラミック繊維またはフレークは(電解質で充填された場合でも)、高密度(例えば、実質的に非孔質)セラミック繊維またはフレークよりも軽く、このことはセル重量エネルギー密度を増加させるという点で有利である。その上、多孔質セラミック繊維またはフレークは、より大きい表面積を提供することがあり(例えば、副反応生成物を中和する必要がある場合)、機能性(ナノ)粒子またはコーティングで充填されることがある。大きいセラミック繊維(および大きいセラミックフレーク)(例えば、直径が約1ミクロン~約20ミクロンの繊維または平均厚さが約0.6ミクロン~約3ミクロンのフレーク)よりも小さいセラミック繊維(および小さいセラミックフレーク)(例えば、直径が約2nm~約1ミクロン、長さが約50nm~約5mmの繊維、または平均厚さが約0.3nm~約0.6ミクロン、平均幅が約50nm~約5mmのフレーク)を使用することの利点は、特に、小さいセラミック繊維のほうが強度が高く、靭性が高く、柔軟性が高く(例えば、これらの各々が電池サイクル中の機械的安定性の改良に重要である)、セパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)で達成可能な表面平滑性のレベルが高く(例えば、応力の集中の減少と、それにより電池サイクル中の機械的安定性の改良のために重要である)、孔径が小さく(したがって偶発的な内部短絡または小粒子による浸透からより堅牢に保護し)、膜厚が小さい(したがってイオン輸送がより速く、セルレベルのエネルギー密度がより高い)ことである。
【0047】
一部の設計では、セパレータ膜層内の個々の小さなセラミック(例えば、酸化物)繊維(またはフレーク)が、約50MPa~約50GPaの範囲の(例えば、約100MPa~約50GPaの範囲の)平均引張強さを示すことは(例えば、他の利点の中でも、セルの安定性の改良またはセルの組み立て歩留まりの向上に)有利であり得る。一部の設計では、約0.5GPa~約50GPa。
【0048】
一部の設計では、そのようなセラミックを含むセパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)が、約0.1~50重量%の高分子、または約0.01~50重量%の様々な形状および寸法の別の種類のセラミック粒子(以下、「二次」セラミック粒子と呼ぶ)、または両方をさらに含むことは(例えば、機械的性質を向上させるため、または過熱時にセルをシャットダウンするため、またはアノードの接着性の改良または電気化学的安定性の改良のため等に)有利であり得る。一部の設計では、高分子組成物または二次セラミック粒子組成物は、そのようなセパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)内の別個の離れた層内に配置され得る。一部の設計では、セラミック系セパレータ層はスタンドアロンの膜として調製され得るが、他の設計では、セラミック系セパレータ層は、少なくとも1つの電極の(例えば、アノードまたはカソードまたは両方の)コーティングとして実現することができ、あるいは最適な性能(例えば、最も優れた信頼性)のために、膜とコーティングの両方として使用することができる。一部の設計では、セラミック系セパレータ層は、高分子セパレータ膜(例えば、アラミドセパレータ膜)の片面または両面のコーティングとして実現され得る。一部の設計では、望ましい性能特性を実現するために、1つの電極を1つの種類のセパレータ層(例えば、高分子セパレータ層、あるいは1つの種類/組成のセラミック材料または1つのサイズ分布またはアスペクト比分布のセラミック材料または1つの形状のセラミック材料を含むセパレータ層、あるいは1種類の高分子と1種類のセラミック材料の混合物または結合もしくは多孔質粒子をはじめとするセラミック材料の混合物を含むセパレータ層等)でコーティングし、もう1つの電極は別の種類のセパレータ層(例えば、もう1つの種類/組成のセラミック材料またはセラミック材料の混合物またはもう1つのサイズ分布またはアスペクト比分布のセラミック材料またはもう1つの形状のセラミック材料を含むセパレータ層、あるいは異なる高分子/セラミック混合物を含むセパレータ層等)でコーティングしてもよい。例えば、一部の設計では、性能の改善は、電極内の粒子の異なるサイズに基づいて、またはアノードとカソードの電気化学的安定性の異なる要件に基づいて、または異なる層の機械的特性を一致または制御してセルの故障を引き起こす可能性のあるクラックまたは欠陥の形成を低減または防止するという利点に基づいて、電極上の異なる副反応の抑制に基づいて、および/または他の理由に基づいて達成され得る。
【0049】
一部の設計では、電極をさらに水平にし、平らにするために、電極を高分子、セラミックまたは(様々な形状およびサイズの)ハイブリッド高分子/セラミックナノ粒子でコーティングすることができる。一部の設計では、そのようなコーティングは、小さいセラミック(例えば、酸化物)繊維または小さいセラミックフレークを含む層によるさらなるコーティングの前に堆積させてよい。例示的な例として、セルフレベリング分散体(例えば、目標平均厚さが約3pm)を、既知厚さが約80pm(片面)、最大粒子(または凝集塊)サイズが約10pmの電極にコーティングして、厚さの変動が+/-約1pm未満の電極を実現することができる。一部の設計では、湿潤厚さを調整して、表面の欠陥が必ずセパレータ層コーティングで実質的に覆われる(バフアウトされる(buffed out))ようにしてもよい。
【0050】
特定の用途および膜の組成に応じて、一部の設計では、セパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)での適した気孔率は、約5体積%から最大約99.9体積%(より好ましくは、約20.0体積%~約85.0体積%)の範囲であってよく、高い気孔率ほど、より厚いセパレータ膜に、または、より高速のイオン輸送を必要とする用途に望まれる場合がある。
【0051】
一部の設計では、多孔質で柔軟なセラミックセパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)は、その少なくとも一部が互いに結合している(例えば、局所的に焼結した、あるいは化学(一次)結合によって、またはセラミックもしくは高分子またはハイブリッドセラミック/高分子結合層)を使用することによって局所的に互いに結合している、かつ/または他の種類の粒子(例えば、アスペクト比の低いフレークまたは粒子)に結合している小さい繊維を含み得る。一部の設計では、そのような結合には、化学結合に加えて、または化学結合の代わりに、二次結合(例えば、水素結合またはファンデルワールス結合)が含まれ得る。個々の水素結合またはファンデルワールス結合は、個々の化学結合よりも著しく弱い(より低い結合エネルギーを示す)が、これらは、(壊れた後に)新しい二次結合を修復および改善することが可能であるという大きな利点を提供する。対照的に、壊れた化学結合は、多くの場合、修復不能であるかまたは修復が困難である。水素結合と高密度の二次結合が関与する繊維(または異なる形状のフレークまたは粒子)間の接触面積が大きいことにより、一部の設計では、個々の二次結合の強度が低いことを補う場合があり、結果として、隣接する粒子(例えば、繊維、フレーク等)間に非常に強い全体的な結合が形成される可能性がある。一部の設計では、多孔質で柔軟なセラミックセパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)は、その少なくとも一部が互いに結合している(例えば、局所的に焼結した、あるいは化学結合によって、またはセラミックもしくは高分子またはハイブリッドセラミック/高分子結合層)を使用することによって局所的に互いに結合している、かつ/または他の種類の粒子(例えば、アスペクト比の低い繊維または粒子)に結合している小さいフレークを含むことができる。一部の設計では、そのような結合には、化学結合に加えて、または化学結合の代わりに、水素結合またはファンデルワールス結合が含まれ得る。一部の設計では、多孔質で柔軟なセラミックセパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)は、その少なくとも一部が互いに結合している(例えば、局所的に焼結した、あるいは化学結合によって、またはセラミックもしくは高分子またはハイブリッドセラミック/高分子結合層を使用することによって局所的に互いに結合している)小さいフレークまたは小さい繊維の両方を含むことができる。一部の設計では、そのような結合には、化学結合に加えて、または化学結合の代わりに、水素結合またはファンデルワールス結合が含まれ得る。一部の設計では、多孔質で柔軟なセラミックセパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)は、異なるサイズの繊維またはフレークを含むことができる。一部の設計では、結合領域(個々の繊維もしくはフレーク間または異なる形状の粒子間)の平均結合強度(例えば、平均引張強さ)が、個々の小さい繊維(または小さいフレーク)の平均強度(例えば、平均引張強さ)の約0.01%~約100.0%超(例えば、約1%~約100%超)の範囲であることが有利であり得る。より高い結合強度は、膜の高い強度を達成するために一般に有利である。一部の設計では、一部の小さい繊維(または小さいフレーク)は、他の(例えば、さらに小さい)繊維(またはフレーク)と組み合わせて使用され得るが、望ましい機械的特性を達成するために、実質的により大きい直径もしくは厚さ(例えば、3~50倍)または実質的により大きい長さ(例えば、3~1,000倍)または実質的により大きいアスペクト比(例えば、3~1,000倍)または実質的に異なる(例えば、3~1,000倍)弾性(最大歪)もしくは剛性(弾性率)または実質的に異なる(例えば、約2~約1,000倍)曲げ半径を示す繊維と組み合わせて使用され得る。一部の設計では、セパレータ膜層強度が(例えば、引張試験および圧縮試験の両方において)、約1.0MPa~約2,000.0MPa(一部の設計では、約10.0MPa~約500.0MPa)の範囲であることは有利であり得る。強度が高いほど、層の厚さ、ならびに組み立て時のセル製造の欠陥を減らすのに役立ち得る。さらに、強度が高いほど、動作中のセルの堅牢性が向上し得る。個々の繊維(例えば、小さい繊維)間の結合が良好であることは、そのような強度値を達成するのに役立ち得る。
【0052】
一部の設計では、小さい繊維(または小さいフレーク)は、膜の特性または製造可能性を改善するために、大きい繊維(例えば、直径が約1ミクロンよりも大きく、約10ミクロンよりも小さい繊維)または大きいフレーク(例えば、平均厚さが約0.6ミクロンを超え、約3ミクロン未満のフレーク)と組み合わせて使用され得る。一部の設計では、少なくとも一部の小さい繊維(または小さいフレーク)は大きい繊維(または大きいフレーク)に結合している。そのような配置は、一部の設計において機械的安定性の向上を可能にし得る。一部の設計では、繊維が絡まっていてもよい。一部の設計では、少なくとも一部分の繊維(例えば、約0.1~100%)のアスペクト比は100を超えることがある。一部の設計では、少なくとも一部の繊維(例えば、約0.1~100%)の長さは、活性電極粒子の1以上の平均線寸法(例えば、平均径)を超えることがある。一部の設計では、少なくとも一部の繊維(例えば、約0.1~100%)の長さは、活性電極粒子の1以上の平均線寸法(例えば、平均径)を約2~約20,000倍上回っていてもよい。
【0053】
一部の設計では、十分に低い曲げ半径を有する、多孔質で柔軟なセラミックセパレータ層(例えば、小さい繊維を含むスタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)を製造および利用することが有利であり得る。このようなパラメータは、膜の機械的性質(例えば、繊維間の結合面積および結合強度、平均繊維長等)、気孔率、繊維の絡み合いのレベル、膜の厚さに依存する場合があり、特定の要件は、セパレータがスタンドアロンであれ、電極もしくは別の膜の上のコーティングの形態であれ、セルの組み立て手法、セルのサイズおよび形状(例えば、円筒型セルとパウチ型セル)および/またはその他のパラメータに依存する場合がある。一部の設計では、最小曲げ半径が約0.005cm~約20cm(一部の設計では、約0.1mm~約3cm、他の設計では、約0.2cm~約2cm)の範囲のセパレータ層を達成し、活用することが好ましい。
【0054】
電池セルの典型的な計算ユニットは、一般に、アノード集電体箔の半分、アノードコーティングの片面、セパレータ層、カソードコーティングの片面、およびカソード集電体箔の半分の単位面積を含む。一部の設計では、一方の電極(または両方の電極)またはセパレータ膜の一方(または両方)の表面のいずれかに(コーティングとして)堆積した、多孔質で柔軟なセラミックセパレータ層は、互いに強く結合されていないか、または強い化学結合を用いてより大きい繊維またはフレークに強く結合されていない小さい繊維または小さいフレークを含み得る。代わりに、一部の設計では、小さい繊維または小さいフレークは、静電力またはファンデルワールス力または水素結合を使用して、あるいは少量(例えば、約0.01~30重量%)の高分子バインダーを使用することによって、互いに結合されるか、あるいはより大きい繊維またはフレークに結合され得る。一部の設計では、電極がサイクル中に横寸法(lateral dimension)に大きくなる場合、そのような1または複数の層内の小さい繊維またはフレークは、セルの故障を引き起こし得るクラックまたはその他の望ましくない欠陥を形成することなく、互いに対して有利に移動することができる。一部の設計では、電池セルの計算ユニットで2またはそれ以上のセパレータコーティングを使用すること(例えば、1つがカソード上で1つがアノード上、または1つがセパレータ上でもう1つがカソード上、または1つがカソード上、1つがアノード上、そして3番目がセパレータ上、等)は、内部短絡の形成の確率を低下させ、高品質セルの歩留まりを向上させ、セルの堅牢性を向上させるという点で有利であり得る。
【0055】
一部の設計では、小さいセラミック(例えば、酸化物)繊維または小さいフレークを含むスタンドアロンの分離コーティング層が約3.0ミクロン~約60.0ミクロン(一部の設計では、約5.0ミクロン~約15.0ミクロン)の範囲の厚さを示すことは有利であり得る。例えば、膜の厚さが大きすぎると、電池のエネルギーおよび出力密度が望ましくない低レベルにまで低下する可能性があり、一方、膜の厚さが小さすぎると、取り扱いが困難になり、高いセル生産歩留まりを達成し、セルの動作中の欠陥(例えば、内部短絡の形成等)を防止することができる。
【0056】
前述のように、一部の設計では、電極の少なくとも一方(または両方)がセパレータ層でコーティングされていてもよい。一部の設計では、セルで使用される追加のスタンドアロンのセパレータ膜はない場合がある。一部の設計では、そのようなセパレータ層の二次加工プロセスは、小さいセラミック(例えば、酸化物)繊維(またはフレークまたはその他の適した粒子)の安定した分散体の形成を必要とする場合がある。従来のセル構築では、高分子セパレータのスタンドアロンシートは二次加工され、大きなロールでセル製造施設に販売される。これらのシートは、所望のセル構造のフォームファクターに分割されるか、または多層セルに巻かれるシートとして保持される。一部の設計では、小さいセラミック(例えば、酸化物)繊維(またはフレークまたはその他の適した粒子)のコーティング可能な分散体は、電極がまだロール上にある間に(例えば、ロール・ツー・ロールプロセスを使用することにより)電極の表面に直接コーティングすることが可能であり得る。一部の設計では、適したセパレータコーティング層の形成により、セル内の不活性物質の体積分率を低減することを可能にすることができ(例えば、そのような層はスタンドアロンのセパレータよりも薄く構成され得るため;例えば、有利には、厚さが約0.5ミクロン~約5.0ミクロンである)、さらにセル構築を単純化し、セルの二次加工コストを低減することができる。一部の設計では、様々な極性溶媒が、小さいセラミック(例えば、酸化物)繊維(またはフレークまたはその他の適した粒子)の適した分散体の形成に効果的に活用され得る。そのような溶媒の適した例としては、限定されるものではないが、水、様々なアルコール(エタノール、メタノール、アセトン、プロパノール、その他多数)、様々なグリコール、様々なグリコールエーテル、様々なエーテル、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、メチルエチルケトン(MEK)、ヘキサメチルホス-フォラミド、シクロペンタノン、アセトニトリル、テトラメチレンスルホキシド、e-カプロラクトンその他多数(高分子の用途、利用可能な設備、コスト、およびその他の要因による)が挙げられる。一部の設計では、小さいセラミック(例えば、酸化物)繊維(またはフレークまたはその他の適した粒子)の分散体(コロイド)の適した粘度は、約1~約10,000cpの範囲であってよく(例えば、使用されるコーティング方法による)、固形分および/または添加剤の重量%を調整することにより調整することができる。一部の設計では、(セパレータ膜の巻かれたロールの加工を可能にするために確立された)従来のスタンドアロンのセパレータに確立された高い引張強さ要件は、大幅に縮小されるか、完全に排除される場合さえある。一部の設計では、適した分散体は、高分子バインダーまたは界面活性剤あるいは両方も含み得る。例えば、そのような高分子は、小さい繊維(または小さいフレークまたは小粒子)のより均一な分散を生成し、より良好な機械的性質を達成するのに役立ち得る。一部の設計では、可塑剤を高分子と併せて使用して、セパレータのコーティング特性を向上させることができる。一部の設計では、最終のコーティング層中の高分子バインダーの適した割合は、約0~約50重量%(例えば、約0.5重量%~約50重量%)の範囲であり得る。一部の設計では、最終のコーティングセパレータ層の適した気孔率は、約10体積%~約90体積%(例えば、より好ましくは、約25体積%~約80体積%)の範囲であり得る。一部の設計では、そのようなコーティングセパレータ層は、事前に計量されたコーティング手段(例えば、スプレーコーティングまたはスロットダイ(またはグラビア)コーティング法など)または自己計量されたコーティング手段(例えば、特に、浸漬コーティング、ローラーコーティング、ナイフエッジコーティング)を使用して堆積させることができる。一部の設計では、コーティング層は、有利には、無溶媒(solvent-free)(無溶媒(solvent-less))法を使用して堆積され得る。そのような適したコーティングの例には、限定されるものではないが、いくつか挙げると、磁気支援インパクションコーティング(magnetic assisted impaction coating)、超臨界流体スプレーコーティング、静電コーティング、乾燥粉末コーティング、光硬化性コーティングが含まれ得る。一部の設計では、最終のセルの組み立ての前にコーティング層を熱処理することは有利であり得る。適した熱処理温度は、コーティングの組成および電池の化学的性質に応じて、約40~約200℃の範囲であり得る。このような処理により、コーティングの接着性および機械的性質が向上するか、望ましくない混入物質の除去に役立つか、またはコーティング中で高分子成分(存在する場合)が有利に再分配される可能性がある。一部の設計では、セパレータコーティングを堆積させた後に、電極を圧延(calendar)しないことが有利であり得る(例えば、望ましくない欠陥の形成を防止するため、またはその他の性能、安定性、または費用便益のため)。
【0057】
本願に開示されるような、コーティングセパレータ層の調製のための小さい繊維(または小さいフレーク)を含む懸濁液組成物も、スタンドアロンの膜の調製に効果的に使用され得ることに留意されたい。同様に、同一または類似の方法も、コーティングセパレータ層の調製のために本明細書に記載されるようなスタンドアロンの膜の調製に使用され得る。
【0058】
一部の用途では(例えば、一部の空気濾過または一部の液体濾過では、または、エネルギー貯蔵(例えば、Liイオン電池)またはエネルギー変換(例えば、燃料電池)用途で使用される一部の膜では)、本明細書に記載される分離層は、別のスタンドアロンのまたは支持された膜(例えば、より大きい細孔を有する膜またはより良好な機械的性質を示し得る膜)の上に堆積され得る。前述のように、一部の設計では、スタンドアロンの電池セパレータ膜の少なくとも一方の面も同様に小さいセラミック(例えば、酸化物)繊維(またはフレークまたはその他の適した粒子)でコーティングされ得る。そのようなセパレータコーティングは、高分子を含んでもよく、セルの安全性を高めるために少なくとも1つの電極のコーティングと組み合わせて使用されてもよい。一部の設計では、ロール・ツー・ロール塗布システムをセパレータ膜コーティングに利用してもよい。
【0059】
一部の設計では、スロットダイコーティングは、小さいセラミック(例えば、酸化物)繊維およびその他の適した粒子またはそれらの混合物の適した分散体から(例えば、一方または両方の電極の表面に)セパレータ層コーティングを形成するために特に有利に使用され得る。一部の設計では、この分配プロセスは、電極表面に欠陥がある状況で特に有益であり得る。例えば、電極の表面にかなりの厚さのばらつきがあることがわかっている場合(例えば、+/-約1pmまたは+/-約3pm)、その不確かさがセパレータの目標厚さに追加されることがある。このようにして、電極の谷は埋められ、電極の山はセパレータ層の追加のバッファを有し得る。さらに、小さい繊維は、電極コーティングの不確かさと同程度の長さ寸法を有する可能性があるため、一部の設計では、そのような繊維のコーティングを、セパレータの所望の厚さにコーティング層の不確かさの2倍を加えた厚さで分配することが、一般に、あらゆるピークをカバーするのに十分であろう。
【0060】
上記のように、一部の設計では、エネルギー貯蔵用途のセラミック系セパレータ層セパレータ層(separator layers separator layer)(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)は、デバイスで使用する場合には、液体または(動作温度の)固体の電解質で含浸させて、優れた強度、耐破壊性、傑出した熱安定性、低い熱膨張係数、比較的高い誘電率、低いコスト、薄い形状(例えば、一部の設計では約0.1~0.5ミクロンまで)でのスケーラブルな製造可能性、幅広い材料に対する良好な濡れ性、低定電位(例えば、酸化アルミニウムの場合にはLi/Li+に対して約0V程度)での還元に対する安定性および高電位(例えば、Li/Li+に対して約10V程度)での酸化に対する安定性、デンドライトの成長に対する抵抗および/または開示された膜のその他の有益な特性を得ることができ、これらの有益な特性は、限定されるものではないが、いくつか挙げると、様々な金属イオン(例えば、Liイオン、Naイオン、Mgイオン等)に基づくエネルギー貯蔵デバイス(例えば、LiおよびLiイオン電池、NaおよびNaイオン電池、MgおよびMgイオン電池をはじめとする電池、電気化学キャパシタ、ハイブリッドデバイス等)をはじめとする幅広いエネルギー貯蔵用途において、セラミック系セパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)を特に魅力的なものにする。
【0061】
一部の設計では、小さいセラミック(例えば、酸化物)繊維(またはフレーク)の表面に別の材料の層を堆積させることが有利であり得る。これは、機械的性質の望ましい変更、誘電特性の変更、界面特性(例えば界面エネルギー、強度、濡れ角、トライボロジー特性等)の変更、光学特性の変更、望ましくない副反応からの保護、および/またはその他の理由のためであり得る。一部の設計では、その他の材料のための適した表面層の厚さは、サブモノレイヤー(例えば、平均厚さが約0.01~0.2nmの範囲の不連続な単層)と同程度の薄さから約1.00pm(1ミクロン)と同程度の厚さまで様々である。一例では、約0.3nm~約30nmの範囲の平均層の厚さは、多くの用途に好ましい場合がある。
【0062】
用途にもよるが、小さいセラミック繊維(またはフレーク)の表面層は、高分子、炭素、誘電体、またはセラミック材料であり得る。適したセラミック表面層の例としては、限定されるものではないが、様々な酸化物、様々なカルゴゲナイド(例えば、硫化物)およびオキシカルゴゲナイド、様々なハロゲン化物(例えば、フッ化物)およびオキシハロゲン化物、様々な窒化物およびオキシ窒化物、様々な炭化物およびオキシ炭化物、様々なホウ化物、それらの混合物などが挙げられる。一部の用途では、小さいセラミック繊維(またはフレーク)の表面層はまた、複合表面層コーティングを形成するのに有利であり得る。一部の用途では、小さいセラミック繊維(またはフレーク)の表面層はまた、多孔質コーティング層を形成するのに有利であり得る。一部の設計では、コーティング層の細孔は、別の機能性材料で充填されていてよい。一部の用途では、コーティング層は、多孔質酸化物繊維内に閉じた細孔を残すことがある。一部の用途では、これらの閉じた細孔は、別の機能性材料で充填する(予め充填する)ことができる。一部の用途では、細孔は開口していてもよい。一部の用途では、コーティング層は、1または複数の閉じたおよび充填された(予め充填された)細孔を、1または複数の開口細孔(または表面細孔)とともに含み得る。
【0063】
一部の用途では、小さいセラミック繊維(またはフレーク)上の表面コーティングとして2つ以上の層の材料を配置することが有利な場合がある。これらの層は、組成物、密度、気孔率、表面化学、機械的特性もしくは光学特性、および/またはその他の実質的な違いの点で異なる場合がある。例えば、コーティングの内層は、より小さな細孔を有し得るが、コーティングの外層には細孔がないことがあり、したがって、小さい繊維またはフレーク内に閉じた細孔を形成し得る。そのような細孔は、有利にはデバイス(例えば、Liイオン電池)の動作中に膜から拡散することのできる別の有用な材料で充填されてよい(例えば、電解質添加剤)。
【0064】
一部の設計では、異なる方法が表面層の形成に適していることもある。これらには、限定されるものではないが、気体または液体環境で行われる変換反応と堆積反応およびそれらの組合せが含まれる。気相中の適した堆積方法の例としては、限定されるものではないが、様々な種類の化学気相堆積(CVD)(プラズマ増強堆積を含む)、原子層堆積(ALD)、物理的蒸着(PVD、例えばスパッタリング、パルスレーザー蒸着、熱蒸発等)、およびそれらの様々な組合せが挙げられる。CVDおよびALDは、よりコンフォーマルでより均一な(さらに比較的経済的な)堆積を必要とする一部の用途で好ましい場合がある。適した液相堆積の例としては、限定されるものではないが、電着、めっき、電気泳動堆積、レイヤー・バイ・レイヤー堆積、ゾルゲル、化学溶液堆積または化学浴堆積(CSDまたはCBD)、などが挙げられる。
【0065】
一部の設計では、一部の合成技法が、セパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)組成物に適したセラミック小径繊維(または小さいフレーク)の形成に特に有利である。
【0066】
一部の設計では、小径セラミック繊維およびフレークの合成のための技法には、触媒支援化学気相堆積(CVD)、円筒状の鋳型に基づく合成、水熱合成、電界紡糸、プレートレットからの小さいロールの形成などが含まれる。一部の用途では、そのような技法は、高価格および低収量に悩まされることがある(特に、CVD、電界紡糸、および高圧での水熱合成の場合)。その上、そのような技法によって製造された小さい繊維および小さいフレークは、セパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)組成物に組み込むことが困難または高価(または安全でない)である可能性がある。
【0067】
対照的に、本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、特定の技法によって製造された小さいセラミック繊維(および/または小さいセラミックフレーク)は、適したセラミックセパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)組成物を形成する際の使用に特に有利であり得る。さらに、一部の設計では、異なる技法を介して製造された小さなセラミック繊維(またはフレーク)を組み込むことが有利であり得る。
【0068】
小さいセラミック繊維(またはフレーク)を形成するための1つの模範的な技術は、1または複数の溶融金属または1または複数の金属合金の制御された酸化によるものである。一例では、小さな金属酸化物繊維は、液体アルミニウムまたはアルミニウム合金、または液体マグネシウムまたはマグネシウム合金の制御された酸化によって(一部の設計では、これらのアルミニウムまたはマグネシウム合金に特定の添加剤、例えば、特に、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、セレン、硫黄、ケイ素、ゲルマニウム、テルル、セリウム、プラセオジム、ネオジム、セリウム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、ガリウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウムなどを使用することによって)生成され得る。この技法によって生成された小さいセラミック繊維は、約3nm~約20nmの範囲の直径および非常に高いアスペクト比(例えば、約50~約500,000の範囲内)を示すことがあり、約0.01cm3/g~約1cm3/gの範囲の小さいセラミック繊維間の全開孔容積(例えば、セラミックを含むセパレータ層に配置された場合に、表面細孔などの個々の繊維の開口細孔容積、ならびに繊維の中に挟まれた任意の介在する細孔空間を含む)をさらに含むことがある。一部の合成設計では、そのような技法によって生成されたセラミック(例えば、酸化物)繊維の長さは約1cmを上回ることがあり、一部の例では約10cmを上回ることさえある(一部の特殊な例では、長さは約100cmをも超えることがある)。さらに、一部の設計では、そのような小さいセラミック繊維(例えば、酸化アルミニウム繊維)は、全体の体積が1cm3または約1000cm3または(一部の例では)約1000,000cm3を超えることもあるバルクで(大きいブロックまたは集合体として)製造され得る。したがって、一部の設計では、弱く結合した小さい繊維のこれらのバルク片は、適したセパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)を生成するためにばらばらにされて加工される場合がある。一部の設計では、小さいセラミック(例えば、酸化物)繊維は、適した温度で1または複数の適した組成の1または複数の固体金属合金の制御された酸化によって生成されてもよい(例えば、パッシベーション酸化層が形成されず、材料が繊維形状に変換することが酸化プロセス中のエネルギー的に好ましい場合)。小さいセラミック繊維(またはフレーク)の形成のための別の模範的な技法は、小さい有機金属繊維(例えば、金属アルコキシド繊維、例えば、特に、アルミニウムエトキシドまたはリチウム-アルミニウム-エトキシドまたはアルミニウム-マグネシウムエトキシドまたはアルミニウム-マグネシウム-リチウムエトキシドなど)の中間体形成と、それに続くそれらの小さいセラミック(例えば、酸化物)繊維への変換を含み得る。そのような小さい有機金属繊維の中間体形成は、制御された気孔率および結晶化度をもつ多孔質の小さいセラミック(例えば、酸化物)繊維の二次加工に効果的に使用され得る(そのような繊維は、例えば、X線アモルファスに作成され得るか、または制御されたサイズの結晶粒をもつ多結晶として生成され得る。)一部の設計では、アモルファス(または平均粒度が約20.0nm未満の範囲内、例えば約0.5nm~約20.0nmの間の多結晶)の小さい繊維の形成および(膜での)使用は、特に魅力的であり得る(例えば、これらのアモルファスまたはナノ結晶性繊維は、あまり脆くなく、より高い強度またはその他の有益な特性を示し得る)。例示的な例では、そのような技法は(i)1または複数の適した組成の1または複数の適したバイメタル合金(例えば、Al-Li、Mg-Li、Al-Mg-Li等)(例えば、Liの含量が約4原子%~約50原子%の範囲の、リチウムを含む金属合金)を形成すること、(ii)より反応性の高い金属(例えば、Al-LiまたはMg-LiまたはAl-Mg-Li合金からLi)を優先的に溶解し、同時に反応性の低い1または複数の金属(例えば、AlまたはMgまたは複合金属アルコキシド、例えばエトキシド、イソプロポキシド、メトキシドおよびその他の関連化合物など)の小さい有機金属繊維を形成すると同時に、反応性の低い金属の不動態化を防ぐために、そのような1または複数のバイメタル合金を1または複数の適した溶媒(例えば、エタノール、イソプロパノールなどの適したアルコール)に曝露すること、(iii)小さい有機金属繊維を、酸素を含む環境(例えば、乾燥空気)にさらして、小さな有機金属を、多孔質であり得る小さな酸化物繊維(例えば、酸化アルミニウム(例えば、Al2O3)または酸化マグネシウム(例えば、MgO)または複合アルミニウム-マグネシウム酸化物または複合アルミニウム-リチウム酸化物またはアルミニウム-マグネシウム-リチウム酸化物またはその他の酸化物等)に変換することを含み得る。一部の手法では、小さいアルコキシド(例えば、エトキシド)繊維は、高温(例えば、50~200℃)でアルコール(例えば、エタノール)中の溶液成長を介して、アルコキシド(例えば、エトキシド)粉末から形成されてもよい。一部の設計および用途(例えば、Liイオン電池のセパレータで使用される場合)では、小さい酸化物(またはオキシ水酸化物またはオキシフッ化物またはオキシ窒化物または、より一般には、酸素含有)繊維または小さい酸化物(またはオキシ水酸化物またはオキシフッ化物またはオキシ窒化物または、より一般的には、酸素含有)フレークは、約2.0原子%~約50.0原子%のアルミニウム(Al)原子(例えば、一部の設計では、約2.0原子%~約40.0原子%のアルミニウム(Al)原子)を含むことが有利であり得る。一部の設計および用途(例えば、一部のフィルターおよび特定の電池タイプでは、小さい酸化物(または、より一般的には、酸素含有)繊維または小さい酸化物(または、より一般的には、酸素含有)フレークは、約0.1原子%~約35.0原子%のシリコン(Si)原子を含むことが有利であり得る。
【0069】
一部の合成手法では、製造された小さい有機金属繊維は、凝集塊(群れ)を形成することがあり、それは、(異なる温度での気化点や蒸気圧をはじめとする、特定の化学的性質および溶媒の特性に応じて)約室温から約200℃の範囲の温度の溶媒(例えば、アルコール、例えばエタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノールなど)中での熱処理により、少なくとも部分的に個々の繊維またはより小さな群れに分離(剥離)され得る。一部の設計では、製造された小さい酸化物繊維は、かなりの量の残留リチウム(例えば、約0.01~20原子%)を含み得、これにより、その他の適した組成の中でもリチウム-アルミニウム酸化物またはリチウムマグネシウム酸化物またはリチウムアルミニウムマグネシウム酸化物が形成される。Liイオン電池の一部の設計では、そのようなLiの存在は、セルの安定性に有利であり得る。一部の合成設計では、所望のpH(例えば、塩基性)の水または水溶液を1または複数の溶媒の代わりに使用して金属水酸化物、金属または金属酸化物繊維を形成することができる。一部の合成設計では、有機金属繊維は、酸化物(またはその他のセラミック)繊維への変換の前に、水酸化物繊維に少なくとも部分的に変換されてよい。一部の設計では、上記の合成プロセスを介して製造された小さいセラミック繊維は、約20nm~約2,000nm(合成条件に依存する)の範囲の平均径と高いアスペクト比(例えば、一例では約20~約100,000、別の例では約50~約100,000)を示し得る。一部の合成設計では、上記の合成プロセスを介して製造されたセラミック(例えば、酸化物)繊維の長さは、約10ミクロンを超えることがある。一部の合成設計では、上記の合成プロセスを介して製造された小さいセラミック(例えば、酸化物)繊維の長さは、約1mmを超えることがある。一部の設計では、小さいセラミック(例えば、酸化物)繊維は、溶媒から分離して乾燥させると、大きい凝集体またはブロック(バルク片)を形成することができる。
【0070】
小さい有機金属(前駆体)繊維(例えば、アルコキシド前駆体繊維)の中間体形成を同様に伴う、小さいセラミック繊維(またはフレーク)の形成のためのもう一つの好ましい模範的な技法は、有機金属(前駆体)繊維のブロー紡糸(例えば、溶融紡糸または溶液紡糸)と、その後の制御された気体環境(例えば、乾燥空気または酸素含有環境)での熱処理による、それらの酸化物(またはその他のセラミック)繊維(多孔質繊維を含む)への変換に基づく。一部の設計では、プロセッサ(processor)から酸化物(またはその他のセラミック)繊維への変換は、プロセスが高温で適切な(例えば、酸素含有)気体環境で行われる場合に、ブロー紡糸中に行われることがある。一部の設計では、火炎熱分解が効果的に利用され得る。一部の設計では、高分子および/または他の材料をブロー紡糸前駆体溶液に添加して、その粘度、(ナノ)繊維形態、および最終製品(小さい繊維)の気孔率を制御することができる。一部の設計では、高分子は、最終製品(小さい繊維)で燃焼または酸化されるか、あるいは他の方法で(少なくとも部分的に)除去され得る。
【0071】
一部の設計では、上記の合成プロセスを介して(またはその他の適した合成プロセスによって)製造された小さいセラミック(例えば、酸化物)繊維(または小さいまたは大きいフレーク)の分散体は、小さいセラミック繊維(または小さいまたは大きいフレーク)の1または複数のブロック(または1または複数の束または1または複数の凝集体)を取り、溶媒(例えばアルコールまたは水など)を加えた後、物理的な撹拌(例えば、ミリング、音波処理、超音波処理、様々なその他の混合技法など)を使用して束を壊し、個々の小さいセラミック繊維またはフレーク(または約10~20未満の繊維またはフレークの小さい束)を溶媒に自由に浮遊させることによって形成され得る。一部の設計では、高温(例えば、約50~200℃)に加熱し、高圧(例えば、約1~1000atm.)にさらすことにより、束を壊して個々の小さいセラミック繊維またはフレークを抽出することができる。一部の設計では、界面活性剤を添加して、より良好な(例えば、より安定した、または個々の繊維またはフレークのより大きな部分を含む)懸濁液を実現することができる。
【0072】
一部の設計では、製造されたままの小さいセラミック(例えば、酸化アルミニウムまたは酸化マグネシウムまたはその他の適した酸化物などの酸化物)繊維(またはフレーク)のブロック(バルク片)は、材料の原子構造を繊維(またはフレーク)に形成する化学結合よりも実質的に弱い方法で、物理的または化学的に互いに結合され得る。個々の繊維またはフレーク間のそのような弱い結合は、個々の繊維またはフレークをあまり破損せずに(または少なくとも過度に破損せずに)、適切な形態の機械加工を使用して切断され得る。適した機械加工の例としては、限定されるものではないが:ボールミリング(高衝撃または高エネルギーボールミリングを含む)、シェーカーミリング、遊星ミリング、ローラーミリング、撹拌機ビーズミル、音波処理および超音波処理が挙げられる。一部の例では、製造されたままの個々のセラミック繊維(またはフレーク)の長さは、安定した懸濁液を形成し、かつ/あるいはセパレータ膜またはセパレータコーティング層で使用されるには長すぎる場合がある。個々のセラミック繊維(またはフレーク)の最適な長さは、特定の用途、特定の溶媒および設計されたセパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)の特定の特徴またはその他の要素に依存するが、上記の合成プロセスに従って製造した場合、最大の小さい繊維長(または最大の小さいフレークの直径)が500ミクロンを超えることはめったにない。一部の設計において、小さいセラミック(例えば、酸化アルミニウムまたは酸化マグネシウムまたはその他の適した酸化物などの酸化物)繊維(特に金属または合金溶融体の酸化によって製造された粒子をもつ)またはフレーク(特に厚さが約50nm未満のフレーク)の安定した分散体の形成に適した条件は以下に説明される。
【0073】
図2は、スタンドアロンのAl
2O
3ナノ繊維セパレータ膜201の画像の例を示す。この例の膜は、基板上にAl
2O
3ナノ繊維分散体をコーティングし、コーティングを乾燥させて基板から除去することによって調製された。Al
2O
3ナノ繊維分散体は、適した湿式ミリング条件によって、製造されたままのAl
2O
3ナノ繊維のブロック(バルク片)から調製された。
【0074】
図3は、アルミニウム合金溶融体の酸化によって製造されたAl
2O
3ナノ繊維から作製されたセパレータ膜301の走査電子顕微鏡(SEM)による断面顕微鏡写真の例を示す。この例の膜は、Al
2O
3ナノ繊維分散体方調製され、Al
2O
3ナノ繊維分散体は、適した湿式ミリング(液体媒体中のミリング)条件によって、製造されたままのAl
2O
3ナノ繊維のブロック(バルク片)から調製された。
【0075】
一部の設計では、ミリング条件(例えば速度、媒質のサイズまたは直径、媒質の質量、容器の形状、ミリングの種類など)が、分散特性(例えば小さい繊維またはその小さな束の最終アスペクト比および最終サイズ分布など)に影響を及ぼすことがある。
【0076】
一部のプロセス設計では、ローラーミルを使用して、小さい繊維(またはフレーク)のバルクを分散させ、10,000を超える最終繊維(またはフレーク)のアスペクト比を達成することができる。一部の例では、ローラーミルを使用して、小さい繊維(またはフレーク)のバルクを分散させ、約5,000を超える最終アスペクト比を達成することができる。一部の例では、ローラーミルを使用して、小さい繊維(またはフレーク)のバルクを分散させ、約1,000を超える最終アスペクト比を達成することができる。
【0077】
一部のプロセス設計では、小さい繊維(またはフレーク)のバルクは、ミリング媒体および溶媒とともに、(例えば、円筒形の)容器に入れることができる。ミリング媒体の品質、溶媒、ミリング条件の様々な例を以下に記載する。一部の例では(特に金属または合金溶融体の酸化によって製造された粒子に関して)、ミリング媒体の直径は、約0.01cm~約0.1cmの間で選択され得る。一部の例では、ミリング媒体の直径は、約0.1cm~約1cmの間で選択され得る。一部の例では、ミリング媒体の直径は、約1cm~約5cmの間で選択され得る。一部の設計では、異なるサイズ(例えば、直径)および/または組成のミリング媒体を組み合わせて、最も望ましい分散体を実現することができる。一部の設計では、ミリング媒体の最適なサイズ(例えば、直径)は、繊維(またはフレーク)の寸法および特性、機械的撹拌の速度、容器のサイズ、ミリング媒体の密度、および/またはその他の条件に依存し得る。例えば、ミリング媒体の直径が小さすぎると(例えば、約0.01cm未満)、アスペクト比の分布の広い小さい繊維(またはフレーク)の不均一な混合物、および/または完全に分離および分散されていない繊維(またはフレーク)の束が生じる可能性がある。そのような分散体は、低いコーティング品質、特に、基板に対する非濡れ性、不均一なコーティング厚さ、およびマクロ気孔率(コーティング内の切断されたフィルムの空きスペース)などを有する可能性がある。コーティング品質の低い分散体から作製されたセパレータフィルムまたは膜は、破壊および引張強さが弱くなっている可能性があり、セルの二次加工中またはサイクリング中に短絡を起こしやすく、低いイオン輸送特性を示す可能性がある。一方、ミリング媒体が大きすぎる場合には、ナノワイヤの幅よりも直径がはるかに大きい媒体は効率的に相互作用することができない可能性があるため、結果として得られる分散体は、大きいアスペクト比のワイヤの多数の束で構成され得る。そのような分散体は、不十分な表面均一性およびマイクロ気孔率(望ましくない大きなサイズの大きな繊維束間の空きスペース)を有するコーティングフィルムまたはセパレータ膜を作り出す可能性がある。コーティング品質の低い分散体から作製したフィルムは、弱くなった破壊および引張強さを有することになり、短絡を起こしやすい。
【0078】
一部のプロセス設計では、小さいセラミック繊維(またはフレーク)のミリングに複数の媒体サイズを組み合わせること、および/または異なるサイズの媒体で複数のミリング段階を使用すること、さらに広くは、種々のミリング条件(これには、種々の溶媒、種々の媒質、種々のミリングエネルギーおよび速度を使用することなどが含まれ得る)を使用することが有利であり得る。一部の設計では、異なる種類の撹拌(例えば、異なるミリングの種類を組み合わせること、あるいは一段階または複数段階でミリングと音波処理(または超音波処理)を組み合わせること)を含む複数の段階を介して小さいセラミック繊維(またはフレーク)をミリングすることが有利であり得る。
【0079】
一部のプロセス設計では、ミリングプロセスで使用される溶媒は水であり得る。一部の設計では、ミリングプロセスで使用される溶媒は、炭素鎖サイズが1~5炭素の範囲、または6~10炭素の範囲のアルコールであり得る。一部の設計では、最適なサイズのアルコール分子(例えば、所望のサイズの個々の小さい繊維またはフレークまたはフレーク/繊維を最大の割合で含む最も安定した分散体を実現するため)は、双極子モーメントへの影響のために、複数のパラメータの影響を受ける場合がある。一部の設計では、溶媒はグリコールまたはグリコールエーテルであってよい。一部の設計では、界面活性剤またはその他の追加の溶媒または追加の塩(有機塩または無機塩を含み得る)は、分散体の品質を向上させるため、または膜(またはコーティング)の調製の後の段階で小さい繊維のドーピングを誘導するために(例えば、局所的な焼結または繊維もしくはフレーク間の結合を誘導するためなど)、小量または中程度の量で(例えば、約0.00001体積%~約20体積%)添加され得る。一部の設計では、異なるサイズ(またはバッチ)の繊維は異なる添加剤を含み得る。一部の設計では、これらのバッチは、電極/セパレータのコーティングまたは膜形成の前に一緒に混合される。一部の設計では、個々のバッチまたは異なる組成の繊維(またはフレーク)の特別なドーピングは、同じバッチの繊維(またはフレーク)間の同等の結合を(例えば、熱処理で)誘発することなく、異なるバッチからのバインダー間の結合を誘発し得る。一部の設計では、添加剤は、分散体またはミリングプロセスの後に添加され得る。添加剤が分散/ミリングプロセスで使用される場合、溶媒の選択は、溶媒と添加剤の相溶性に影響を受けることがある。一例では、溶媒の双極子モーメントの影響は、所与サイズの粒子(例えば、繊維またはフレーク)のフロキュレーション(凝集)時間に影響を与える可能性がある。
【0080】
一部の設計では、適したミリング媒体の材料は、いくつか例を挙げると、イットリア(Y2O3)安定化ジルコニア酸化物(YZT)、コランダム(Al2O3)、スチール、炭化タングステンなどであり得る。一部の設計では、ミリング媒体の材料は、分散体の特性に多い影響を有し得る。例えば、媒体が十分に高密度でない場合は、媒体は、所与ミリング速度でナノワイヤの大きい束を破壊して分散させるのに十分な慣性を有していないことがある。逆に、ミリング媒体の密度が所望の密度よりも大きい場合、それはその「長軸」に垂直な繊維(またはフレーク)破砕を引き起こし、望ましくない小さなアスペクト比の粒子をもたらす可能性がある。
【0081】
一部の設計では、1または複数の高分子(一部の設計では可塑剤を含む)および/または1または複数の界面活性剤をミリング中にスラリーに添加して、個々の小さい繊維(またはフレーク)または比較的少数の小さい繊維またはフレーク(例えば、約2~約2,000)のみの凝集塊を含む安定したコロイドの形成を支援することができる。
【0082】
一部の例では、ミリング容器中の小さいセラミック(例えば、酸化物)繊維(またはフレーク)の適した添加量は、全分散体(例えば、フレーク/繊維+媒体+溶媒+添加剤)の質量の約0.01~約1重量%であり得る。一部の例では、ミリング容器中の小さいセラミック(例えば、酸化物)繊維(またはフレーク)の適した添加量は、分散体の全質量の約1~約10重量%であり得る。一部の設計では、重量パーセントが大きすぎる場合には、ミリングには非常に長い時間がかかるか、または媒体は、実質的に均一で安定した分散体を作成するために必要な望ましい方法で小さい繊維(またはフレーク)に影響を与えないことがある。さらに、一部の設計では、小さい繊維(またはフレーク)の添加量は、最終セパレータコーティング(またはセパレータ膜)の品質に重要なパラメータであり得る分散体の最終粘度に直接的な影響を与える可能性がある。例えば、重量パーセントが低すぎる場合には、ミリング中の媒体-媒体の衝撃/相互作用により、ミリング媒体は不必要に過度に摩耗し、分散粘度が希望よりも低くなる可能性がある。一部の例では、ミリング容器中のミリング媒体の添加量は、混合した(フレーク/繊維、溶媒および添加剤)の総質量/重量の約1~約50重量%であり得る。一部の例では、ミリング容器中のミリング媒体の添加量は、混合した(フレーク/繊維、溶媒および添加剤)の総質量/重量の約50~約100重量%であり得る。一部の例では、ミリング容器中のミリング媒体の添加量は、混合した(フレーク/繊維、溶媒および添加剤)の総質量/重量の約100~約200重量%であり得る。一部の例では、ミリング容器中のミリング媒体の添加量は、混合した(フレーク/繊維、溶媒および添加剤)の総質量/重量の約200~約300重量%であり得る。一例では、ミリング媒体の重量パーセントが低すぎる場合には、ミリングには非常に長い時間がかかるか、または媒体は、実質的に均一で安定した分散体を作成するために必要な望ましい方法でナノワイヤに影響を与えないことがある。さらに、一例では、ミリング媒体の添加量は、最終のセパレータフィルム/膜の品質に重要なパラメータであり得る分散体の最終粘度に直接的な影響を与える可能性がある。他方では、一例では、媒体の重量パーセントが低すぎる場合には、ミリング媒体は媒体と媒体の衝撃により過剰に摩耗することがあり、分散体の粘度は希望よりも低くなる可能性がある。
【0083】
一部の設計では、ミリング容器の回転速度は、分散体の品質に大きな影響を与える可能性があり、ミリング媒体のサイズおよび密度、小さい繊維(またはフレーク)の密度および機械的性質、繊維と溶媒の密度の違い、ミリング容器のサイズ、および/またはその他のパラメータに依存する可能性がある。一部の例では、ミリング容器の適した回転速度は、約50~約100rpmの間であり得る。一部の例では、ミリング容器の適した回転速度は、約100~約200rpmの間であり得る。一部の例では、ミリング容器の適した回転速度は、約200~約300rpmの間であり得る。一部の例では、ミリング容器の適した回転速度は、約300~約400rpmの間であり得る。一部の例では、ミリング容器の適した回転速度は、約400~約600rpmの間であり得る。一部の例では、ミリング容器の適した回転速度は、約600~約2000rpmの間であり得る。一部の例では、ミリング容器の適した速度は、約0.3~約1m/秒の間であり得る。一部の例では、ミリング容器の適した速度は、約1~約2m/秒の間であり得る。一部の例では、ミリング容器の適した速度は、約2~約3m/秒の間であり得る。一部の例では、ミリング容器の適した速度は、約3~約6m/秒の間であり得る。一部の例では、ミリング容器の適した速度は、約6~約14m/秒の間であり得る。一部の設計では、ミリング容器の回転速度が高すぎる場合には、得られる分散体は、不必要に低いアスペクト比の小さい繊維を(例えば、ほぼ球形のナノ粒子に至るまで)含み得る。一部の設計では、そのような望ましくない分散体から作製されたセパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティングフィルム)は、脆化および亀裂を起こしやすく、弱くなった破壊および引張強さなどの機械的性質が低下している可能性があり、短絡を起こしやすい(例えば、二次加工および/またはサイクル中)。一例では、ミリング容器の回転速度が低すぎる場合には、ミルの回転速度が、繊維(フレーク)の大きな束を壊すのに十分なエネルギーを媒体に与えない可能性があるため、得られる分散体はアスペクト比が不必要に広く分布する小さい繊維(またはフレーク)の不均一な混合物で構成され得る。そのような分散体は、不十分な表面均一性およびマイクロ気孔率(例えば、不必要に大きなサイズの大きな繊維束間の空きスペース)を有するフィルムを作り出す可能性がある。そのような望ましくない分散体から作製されたセパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティングフィルム)は、低い品質を示すことがある(例えば弱くなった破壊および引張強さなど、そして、セルの構築または動作中に短絡を起こしやすい)。一部の例では、適したミリング時間は、約10~約30分の範囲であり得る。一部の例では、適したミリング時間は、約30~約60分の範囲であり得る。一部の例では、適したミリング時間は、約60~約120分の範囲であり得る。一部の例では、適したミリング時間は、約120~約240分の範囲であり得る。一部の例では適したミリング時間は、約240~約480分の範囲であり得る。一部の例では、適したミリング時間は、約480分~5日間の範囲であり得る。
【0084】
ミリング手順の終わりに、得られるミリングされた生成物(例えば、小さいセラミック繊維またはフレークと溶媒および/または添加剤とのミリングされた混合物など)は、スラリーと特徴付けられ得る。一部の例では、適した最終スラリー粘度は、約50~約500センチポアズの範囲であり得る。一部の例では、適した最終スラリー粘度は、約500~約1000センチポアズの範囲であり得る。一部の例では、適した最終スラリー粘度は、約1000~約2000センチポアズの範囲であり得る。一部の例では、適した最終スラリー粘度は、約2000~約10,000センチポアズの範囲であり得る。一部の設計では、セラミックの小さい繊維(またはフレーク)の安定した機能性分散体を作成する場合、最終スラリー粘度は、ミリング媒体の添加量、小さいセラミック繊維(またはフレーク)の添加量、溶媒組成、添加剤組成および/または加工条件によって制御され得る、重要なパラメータであり得る。一部の設計では、小さいセラミック繊維(またはフレーク)を含有する最終スラリー粘度を制御するために使用することができる上記の条件は、同様の粘度をもつナノ粒子の分散体を作成するために使用することができる条件とはまったく異なる場合がある。言い換えれば、望ましい分散体は特定の粘度を有し得るが、特定の粘度をもつすべての分散体が望ましいわけではない。
【0085】
ミリング媒体の材料、溶媒、添加剤、ミリング媒体サイズ、小さい繊維(例えばAl2O3またはMgOまたはZrO2繊維など)の添加量、ミリング速度およびミリング時間には多くの可能な組合せがあるが、一部のそのような組合せは、その他の組合せよりもはるかに良好な最終セパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)の品質を生成することができる。
【0086】
適したスラリー配合物の1つの例示的な例では、Al合金溶融体の酸化によって生成された8gのバルクの小さいAl2O3繊維を約0.05gの小片に粉砕し、8オンスのジャーに入れた。次に、16個の直径1/2インチの鋼のスチール製の媒体を200mlのエタノールとともにジャーに加え、添加剤は加えなかった(塩も溶媒添加物もなし)。サンプルをローラーの上で混合し、160rpmで12時間ミリングして、望ましい均一性と個性の小さい繊維のおよび望ましいアスペクト比を備えた高品質の分散体を実現した。
【0087】
上述のように、一部の設計では、バルクから小さい繊維(またはフレーク)の良好な分散体を実現するのに最適なミリング条件は、ナノ粒子または大きい粒子に最適な条件とは明らかに異なり得る。例えば、一部の設計では、平均サイズが約100nmのナノ粒子の分散液を得るためには、約0.1mm以下のサイズの媒体が好ましくは使用されるべきである。さらに、一部の設計では、ミリングの速度と添加量の比は、ミリングされる粒子の種類と、溶媒およびミリング時間に合わせてさらに最適化する必要がある。対照的に、一部の設計では、直径約100nmの小さい繊維の良好な(例えば、例えばスタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティングとしての、セパレータ層の二次加工に適した)分散体を達成するために、1mm以上の媒体サイズを使用することが好ましいことがある。
【0088】
上記の例では、ミリングの前に材料の寸法を検討することが役に立ち得る。例として、ミリングプロセスでは、約100pmの寸法の粒子のサイズを、約10mmのサイズのメディアを使用して、平均最長寸法(例えば、繊維の長さまたはフレークの幅)が約10pmになるようにミリングすることによって縮小することができる。繊維の場合には、一部の設計では、サイズ縮小のために繊維の最大寸法(長さ)を目的とするように媒体サイズを選択することができる。例えば、繊維が約100pmの長さで直径が約100nmである場合、約10mmなどの大きい媒体直径を選択すると、繊維の長さを優先的にサイズが縮小して約10pmにすることができる。さらに、一部の設計では、100pm×100nmのナノ繊維が、約100pmの幅の束に束ねられている場合、ナノ繊維はミリング媒体によって約10pmの最大サイズに分割されるが、束は優先的に破壊され、平均長が約10pm未満の直径約100nmの単繊維になる可能性があるため、大部分はさらに小さくなるであろう。
【0089】
一部の設計では、最終分散体中の小さい繊維(またはフレーク)のアスペクト比(例えば、セパレータ層、例えばスタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティングなどを形成する前)は、好ましくは約1:4~約1:1,000,000の範囲であり得る。一部の例では、アスペクト比は、約1:50~約1:500の範囲であり得る。その他の例では、アスペクト比は、約1:500~約1:5,000の範囲であり得る。さらにその他の例では、アスペクト比は、約1:5,000~約1:50,000の範囲であり得る。一部の設計では、アスペクト比は、セパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)の機械的性質(柔軟性、強度および靭性を含む)ならびに孔径分布および密度に影響を及ぼし得る。一部の設計では、異なるサイズと異なるアスペクト比の繊維を組み合わせることが望ましい場合がある。一部の設計では、より大きい繊維は、好ましくは、小さい繊維または小さいフレーク(フレークが繊維の代わりにまたは繊維に加えて使用される場合)と比較して、より小さい平均アスペクト比(例えば、約2倍または約4倍またはそれ以上)を示し得る。同様に、一部の設計では、小さい繊維と小さいフレーク(それぞれ独自のアスペクト比分布を有する)とを組み合わせるか、あるいはより大きい繊維と小さいフレーク(それぞれ独自のアスペクト比分布を有する)とを組み合わせるか、あるいは小さい繊維と大きい繊維および追加のフレーク(それぞれ独自のアスペクト比分布を有する)とを組み合わせることが有利であり得る。
【0090】
1つの例示的な例では、平均アスペクト比が約1,000の小さい繊維(例えば、平均径が約5~8nm)の分散体は、約2:1の重量比で、平均アスペクト比が約250のより大きい繊維(例えば、平均径が約40~60nm)の別の分散体と混合され得る。この分散混合物は、2つの親分散に特徴的な二峰性のアスペクト比分布を有することを特徴とし得る。次に、この混合懸濁液は、有効なセパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)の調製に利用することができる。
【0091】
別の例示的な例では、平均アスペクト比が約1,000の小さい繊維(例えば、約5~8nmの間の平均径)の分散体は、約1:1の重量比で、平均アスペクト比が約150のより大きい繊維(例えば、約40~60nmの間の平均径)の別の分散体と混合され得る。この分散混合物は、2つの親分散に特徴的な二峰性のアスペクト比分布を有することを特徴とし得る。次に、この混合懸濁液は、別の有効なセパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)の調製に利用することができる。
【0092】
さらに別の例示的な例では、平均アスペクト比が約1,000の小さい繊維(例えば、約5~8nmの間の平均径)の分散体は、約4:1の重量比で、平均アスペクト比が約200の小さい多孔質フレーク(例えば、3~6nmの間の平均厚さ)の別の分散体と混合され得る。この分散混合物は、2つの親分散に特徴的な二峰性のアスペクト比分布を有することを特徴とし得る。次に、この混合懸濁液は、別の有効なセパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)の調製に利用することができる。
【0093】
様々なサイズのフレークおよび繊維に加えて、その他の種類および形状の粒子またはナノ粒子を、本開示のその他の実施形態において、セパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)の調製に利用することができる(例えば、特に、ナノスター、ナノリング、平面および三次元の樹枝状ナノ構造)。
【0094】
共溶媒および塩(有機塩と無機塩の両方)に加えて、適した分散体のための添加剤の使用に戻ると、その他の種類の添加剤としては、限定されるものではないが(高分子)バインダー、焼結剤、凝集防止剤、増粘剤、乳化剤、静電安定剤、界面活性剤、凝集防止剤、および/または、望ましい分散体を実現するために溶媒に(例えば、分散体を作製する前に)、または分散体自体に添加され得るその他の種類の添加剤を挙げることができる。このような材料は、本開示では「添加剤」と呼ばれる。
【0095】
1つの例示的な例では、添加剤(例えば、界面活性剤)は、撹拌プロセス(例えば、ミリング)の前に、(溶媒と小さい繊維またはフレークの両方の重量に対して)約2重量%の量で添加されてよい。別の例示的な例では、分散体が事前に形成されると、2種類の添加剤(例えば、(溶媒と小さい繊維またはフレークの両方の重量に対して)約3重量%の量の焼結助剤、および(溶媒と小さい繊維またはフレークの両方の重量に対して)約2重量%の量の界面活性剤)が添加されてよい。さらに別の例示的な例では、添加剤(例えば、溶媒と小さい繊維またはフレークの両方の重量に対して約4重量%の量の界面活性剤)は、分散体の適用中に添加されてよい。さらに別の例示的な例では、添加剤(例えば、焼結助剤)は、小さい繊維(またはフレーク)の分散体から作製したセパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)に、分散体を微細なミストとして適用した後に添加されてよい。一例では、1または複数の添加剤はまた、他の添加方法の中でも、セパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)(または乾燥した繊維またはフレーク)に噴霧されるか、セパレータコーティング(またはセパレータ膜)の上に堆積させるか、または気体媒体(蒸気)として導入されてもよい。
【0096】
一部の設計では、スタンドアロンのセパレータ膜が、セラミック(例えば、酸化アルミニウム、リチウムアルミニウム酸化物、酸化マグネシウム、アルミニウム-酸化マグネシウム、リチウムマグネシウム酸化物、リチウム-アルミニウム-酸化マグネシウム、酸化ジルコニウムなどの酸化物)粒子(小さいフレーク、小さい繊維など)から調製される場合、様々な加工技法の1つまたは組合せを使用して良好な機械的性質を実現することが重要であり得る。適した加工技法の一例は、個々の(例えば、ランダムに充填され、ほとんどが平面内にある)小さい繊維またはフレークをともに(例えば、圧力支援焼結またはその他の手段をはじめとする焼結によって)最終的な形態で結合して、セラミックセパレータ膜を形成することである。一部の設計では、分散体が、種々の形状およびサイズの粒子(例えば、小さい繊維および大きい繊維または小さい繊維およびフレークなど)の混合物を含む場合、結合は、(例えば、同じ種類の粒子間結合に加えて)異なる種類の粒子間で起こり得る。一部の設計では、結合された(例えば、局部焼結によって)繊維(またはフレーク)は、その他の望ましい特性の中でも、破壊および引張強さを増加させながら、望ましい曲げ特性および剛性特性を理想的に保持し得る。一部の設計において酸化物繊維またはフレーク(例えば、小さいAl2O3繊維またはフレーク)を利用する際の1つの課題は、添加剤を用いずに、そのような繊維(またはフレーク)が、(例えば、焼結を介して)互いに結合を誘発するために高温(例えば、約800℃を超える)を必要とする場合があり、熱処理プロセス中に不必要に粗くなる場合があることである。結晶粒粗大化は、気孔率および柔軟性の望ましくない低下を引き起こすことがあり、脆性および破壊靭性を増加せることがある。そのため、一部の設計では、実質的な結晶粒粗大化が起こらない低温で結合(例えば、焼結)を達成するか、または高温での結晶粒粗大化を減少(最小化)させるために、結晶粒粗大化防止剤を利用することが望ましい場合がある。
【0097】
一部の設計では、適した添加剤は、水酸化アルカリ(例えばLiOH、NaOH、KOHなど)の形をとってよい。そのような水酸化物は、加熱すると酸化物に変化することができ、小さい酸化物(例えば、Al2O3、MgO、ZrO2など)繊維(またはフレーク)と共晶を形成することができ、それにより、より低い焼結温度を可能にする。一部の設計では、そのような添加剤は、繊維(またはフレーク)の分散体(懸濁液)かまたは事前に形成されたセパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)に導入され、適度な移動性を提供するのには十分に高いが、隣接する繊維(またはフレーク)が互いに接触するエリアに主に位置する酸化物への変換を誘導するのには十分に低い温度で熱処理される。
【0098】
一部の設計では、セパレータ膜は、最初に、適した形状およびサイズの小さく細長いセラミック(例えば、酸化物)粒子(例えば、小さい繊維または小さいフレークなど)からではなく、むしろ、有機金属化合物(例えば、多くの中でも、アルミニウムエトキシドなどのアルミニウムアルコキシドなどの金属アルコキシド)の小さく細長い粒子(例えば、小さい繊維または大きい繊維または小さいフレークまたはそれらの混合物など)から形成され得る。
【0099】
1つの例示的な例では、1つの溶媒(「溶媒A」)(この例では無水ブタノール)中のLiOHの少量の濃縮溶液は、別の溶媒(「溶媒B」)(この例では無水エタノール)に分散された小さいアルミニウム(またはマグネシウムまたはその他の適した金属)アルコキシド(例えば、アルミニウムエトキシドまたはマグネシウムイソプロポキシドなど)繊維(例えば、直径約50~100nm)の懸濁液に添加され得る。次に、混合物を基板上にコーティングして薄い(例えば、厚さ約20ミクロン)フィルムを形成する。乾燥したフィルムが残れば、高温(例えば、約300~1100℃)の酸化環境(例えば、乾燥空気)中でサンプルを加熱することにより、水酸化物およびアルコキシド相は酸化物相に変換され得る。
【0100】
一部の設計では、適した形状およびサイズ(例えば、小さい繊維または小さいフレークなど)のセラミック(例えば、酸化物)粒子と、有機金属化合物(例えば、多くの中でも、アルミニウムエトキシドなどのアルミニウムアルコキシドなどの金属アルコキシド)の適した形状およびサイズの粒子(例えば、小さいまたは大きい繊維または小さいフレークまたはそれらの混合物など)との混合物を使用して、セパレータ層(例えば、セパレータコーティングまたはスタンドアロンのセパレータ膜)を形成することが有利であり得る。膜の場合、制御された環境での堆積膜の熱処理は、有機金属粒子(例えば、小さいアルコキシド繊維)を軟化させ、一方、セラミック粒子(例えば、小さい酸化物繊維)は、混合物が望ましい形状を保持するのに役立つ。次に、熱処理は、小さい酸化物繊維を小さいアルコキシド繊維に結合することができ、それによって酸化物繊維はアルコキシド繊維を互いに結合(連結)させる。酸化環境での膜のさらなる熱処理は、アルコキシドを、所望の特性(例えば、十分な強度、柔軟性、気孔率など)をもつ酸化物膜を形成する酸化物に変換し得る。同様の添加剤は、純粋な酸化物粒子(例えば、繊維、フレークなど)の場合と同様に、アルコキシドと酸化物の混合物にも使用することができる。
【0101】
一部の設計では、適した添加剤は、硝酸アルカリ塩(特に、LiNO3、NaNO3、KNO3、CsNO3など)の形をとることがあり、元の分散体中のセラミック(例えば、酸化物)または有機金属(例えば、アルコキシド)繊維またはフレークまたはその他の粒子と分解および反応することもある。1つの例示的な例では、溶媒A中の硝酸リチウムの少量の濃縮溶液を、溶媒B中に分散したアルミニウムアルコキシド(この例では、エトキシド)ナノワイヤの溶液に加えてもよい。次に、混合物を基板上にコーティングして薄膜(例えば、約5~100ミクロン)を形成し、乾燥させ、(例えば、約300~800℃で)熱処理する。この例では、溶媒Aは、限定されるものではないが、ブタノールのような無水アルコールであり、溶媒Bは、限定されるものではないが、メタノールのような無水アルコールである。乾燥したフィルムが残れば、酸化環境でサンプルを加熱することにより、硝酸塩およびアルコキシド相は酸化物相に変換され得る。
【0102】
一部の設計では、適した添加剤は、LiOR、NaOR、KOR、CsORを含むアルカリアルコキシドの形をとることもでき、ここでRは炭素数1~10のアルカンである。
【0103】
一部の設計では、アルコキシドの相対溶解度を制御するために(例えば、後で焼結剤として使用する、小さい金属アルコキシド繊維内でのLiアルコキシドの沈殿を可能にするために)様々な有機溶媒中の小さいアルコキシド繊維(またはフレーク)に(例えば、アルミニウムまたはマグネシウムアルコキシドに)リチウムアルコキシドを加えることが有利であり得る。1つの例示的な例では、溶媒A中のリチウムアルコキシドの少量の濃縮溶液を、溶媒B中に分散した小さいアルミニウムアルコキシド繊維の溶液に加えてもよい。次に、混合物を基板上に薄膜(例えば、約3~50ミクロン)としてコーティングする。溶媒Bの蒸気圧が溶媒Aよりも高い場合、溶媒Bが蒸発するにつれて、リチウムアルコキシドは沈殿し始め、大部分の表面積が利用可能であるアルミニウムアルコキシドナノワイヤの接合部で核生成することになる。この例では、溶媒Aは、ブタノールのような無水アルコールまたは別の適した溶媒であり得、溶媒Bは、メタノールのような無水アルコールまたは別の適した溶媒であり得る。
【0104】
一部の設計では、適した添加剤を加えた後、小さいセラミック(例えば、酸化物)または有機金属(例えば、アルコキシド)繊維(またはフレークまたはその他の適した粒子)は、熱処理されて(そして結合され、例えば、焼結される、ここで、ほとんどの繊維は、フレークの隣接繊維などの少なくとも1つの隣接粒子に結合されることになる)、機械的に堅牢な多孔質膜を形成し得る。一部の合成設計では、(例えば、膜中の)有機金属(例えば、アルコキシド)繊維(またはフレークまたはその他の適した粒子)の少なくとも一部分は、セラミック(例えば、酸化物)繊維(またはフレークまたはその他の適した粒子)への変換の前に水酸化物またはオキシ水酸化物繊維(またはフレークまたはその他の適した粒子)に少なくとも部分的に変換され得る。一部の設計では、このような中間相は、これらの繊維(またはフレークまたは他の適した粒子)を結合して、望ましい柔軟性および気孔率を備えた機械的に堅牢な多孔質膜を形成するのに役立ち得る。一部の設計では、箱形炉、管状炉、ベルト炉、誘導加熱器または他のデバイスを熱処理に利用することができる。用途にもよるが、適した加工温度は、Al2O3セパレータ膜の形成の場合には約100℃~約1100℃、MgOセパレータ膜の形成の場合には約100℃~約2000℃の範囲であり得る。その他の種類のセラミックセパレータ膜に関して、適した加工温度は、約100℃~約2000℃の範囲であり得る。一部の例示的な例では、最高熱処理温度は、約200℃~約300℃、約300℃~約400℃、約400℃~約500℃、約500℃~約600℃、約600℃~約700℃、約700℃~約800℃、約800℃~約900℃、約900℃~約1000℃、または約1000℃~約1100℃であり得る。一部の設計では、焼結温度は、小さい(例えば、酸化物)繊維の焼結を可能にする融点または化学反応(すなわち、相変態または共融融液)が、添加剤を用いずに必要とされるよりも低い温度で行われるように、添加剤の化学的性質と調和するように最適化されることが好ましい。
【0105】
一部の設計では、熱処理中に焼結雰囲気を変更することが有利な場合がある(例えば、添加剤と小さなセラミック(酸化物など)繊維の望ましい温度での化学反応、または小さなセラミック繊維間の表面反応を可能にするため)。そのような雰囲気の例としては、限定されるものではないが、特に、窒素、アルゴン、ヘリウム、水素、水蒸気(H2O)および酸素ガスまたはそれらの様々な混合物(例えば、体積分率が約0~約100%のもの)を含むものが挙げられ得る。一部の設計では、気体環境(例えば、特に、H2O)は、小さい繊維の表面上の種の表面拡散を(バルク拡散に比べて)大幅に向上させる可能性があり、その結果、結合は、望ましくない結晶粒粗大化が不必要に速い速度で進行しない、十分に低い温度で行われる可能性がある。
【0106】
一部の手法では、反応性ガスは、小さいセラミック(例えば、酸化物)または有機金属(例えば、アルコキシド)繊維(またはフレークまたは他の適した粒子)に熱を加えることができる。一部の設計では、加熱速度、および、反応性ガス流と非反応性ガス流の比(ガス混合物を使用する場合)は、最も好ましい膜形成に最適化され得る。一部の設計では、反応性ガスと非反応性ガスの比は、約0.1~0.990の範囲であり得、温度ランプレートは、混合物の組成および化学、圧力および環境(例、大気)に応じて、一般に約0.1℃/分~約1000℃/分の範囲になり得る。反応性ガスの例としては、限定されるものではないが、CO2、H2O、NH4OH、NH3、O2、H2、およびNF3が挙げられる。非反応性ガスの例としては、Ar、N2、およびその他の貴金属が挙げられる。
【0107】
一部の設計では、レーザー処理またはプラズマ処理を使用して、小さいセラミック(例えば、酸化物)または有機金属(例えば、アルコキシド)繊維間の結合を誘導することができる。
【0108】
一部の設計では、機械的圧力(または静水圧)(例えば、約1~約50,000atm.の範囲内)を焼結(結合)中に有利に適用して、焼結(結合)プロセス中に繊維間の接触表面積を増加させることができる。一部の例では、そのような圧力は、ホットプレス、重力による圧力、動的真空による陰圧によって加えることができる。
【0109】
一部の設計では、小さいセラミック(例えば、酸化物)または有機金属(例えば、アルコキシド)繊維(またはフレークまたはその他の適した粒子)に加えられる熱は、最も好ましい膜形成のための1または複数の加熱段階の間に特定のランプレートを使用し得る。例えば、適したランプレートは、混合物の組成および化学、圧力および環境(例えば、大気)に応じて、一般に約0.1℃/分~約1000℃/分の範囲になり得る。
【0110】
一部の設計では、高分子セパレータは、細孔内またはその表面の1つに組み込まれた酸化物粒子を含み得る。これらの例では、高分子セパレータの主な機能は、アノードとカソードを電気的に分離することであり、一方、酸化物粒子は、高分子膜が収縮して破損し得る高温で特別なレベルの安全性を提供するために添加される。残念ながら、そのような複合膜の全体的な熱安定性はかなり劣っている可能性があり、粒子の膜への接着はあまり良好ではない可能性があり(例えば、セラミック粒子は取り扱い中に膜から落ちる可能性がある)、そのような複合膜の全体的な厚さは、一般にかなり大きい(例えば、一部の設計では約1~30ミクロン、他の設計では約15~30ミクロン以内)。
【0111】
本開示の1または複数の実施形態は、主に改良された機械的支持体として、あるいは小さいセラミック(例えば、酸化物)繊維(またはフレークもしくはそれらの混合物などのその他の適した粒子)をともに(または、一部の設計では、電極もしくは別の膜と)結合する(または結合を助ける)バインダーとして役立つ1または複数の高分子添加剤の添加を提供する。そのような設計では、高分子の添加により、小さい繊維を含むセパレータ膜またはセパレータ膜層の機械的性質(例えば、強度、柔軟性、接着性、破壊靭性など)が向上する。一部の設計では、高分子を膜に添加することにより、電気化学的還元が一般的に起こり得る電位でセパレータ膜がアノードに直接接触する場合に、小さいセラミック(例えば、酸化物)繊維(またはフレークもしくはそれらの混合物などのその他の適した粒子)の電気化学的還元を低減または防止することができる。例えば、Liイオン電池のリチウムまたはグラファイトまたはSnまたはSiを含むアノードは、それと直接接触している酸化物(またはセラミック)繊維の望ましくない電気化学的還元を誘導し得る、十分に低い電位にさらされる可能性があり、それは不可逆的なLi損失につながる可能性がある。一部の設計では、アノードと膜の間の高分子バインダーの薄層または少量の高分子バインダーの膜への添加は、そのような望ましくない結果を防ぐことができる。
【0112】
一部の設計では、膜の高分子成分の少なくとも一部分(小さいセラミック(例えば、酸化物)繊維またはフレークもしくはそれらの混合物などのその他の適した粒子を含む)は、高分子繊維(多孔質繊維と小さい繊維を含む)または高分子フレーク(小さいフレークと多孔質フレークを含む)または高分子を含む複合材料繊維または高分子を含む複合材料フレークの形態であり得る。そのような高分子繊維(またはフレーク)は、小さいセラミック繊維(フレーク)と結合するかまたは/および絡み合って、セパレータ膜の機械的性質または加工性を向上させることができる。高分子成分の弾性(および変形性)が高いために、高分子成分は、より広い接触面積でセラミック粒子との結合を形成するのに役立ち、したがって、膜の全体的な強度を高めることができる。その上、一部の設計では、高分子成分は、膜の全体的な弾性と膜の全体的な靭性を高めることができる。一部の設計では、高分子成分(例えば、繊維またはフレーク)は、セラミック粒子のより安定した懸濁液を形成して、より均一な分離層を形成するのに役立ち得る。一部の設計では、高分子繊維またはフレークは、セラミック繊維またはフレークよりも小さい寸法またはアスペクト比を有し得る(例えば、高分子繊維またはフレークは、直径または厚さが約1nm~約200nmの範囲であり得る)。一部の設計では、高分子繊維の直径が小さいと、(高分子の全質量と比較して)化学基の割合が高くなり、さらに、高分子繊維またはフレークがより容易に変形可能となり(例えば、セラミック粒子の周りの湾曲)、したがってセラミック粒子との結合をより多く形成する可能性がある。その上、小さな高分子繊維(またはフレーク)は、(大きな高分子繊維またはフレークと比較して)より高い(断面積が正規化された)強度を示し得る。同時に、大きい繊維寸法は、絶対的に高い繊維強度をもたらし、したがって一部の設計では有利になり得る。したがって、他の設計では、高分子繊維またはフレークは、セラミック繊維またはフレークよりも大きい寸法またはアスペクト比を有し得る(例えば、直径または厚さが約200nm~約10ミクロンの範囲内)。さらにその他の設計では、異なるサイズの高分子繊維(またはフレーク)の組合せを利用するか、または繊維(フレーク)形状とそうでない形状(例えば、より低いアスペクト比またはランダムな形状をもつ粒子として、またはコーティングとしてなど)の両方の高分子を利用することが有利であり得る。一部の設計では、高分子繊維またはフレークは、膜内のセラミック粒子と一次(化学)結合を形成する場合がある。他の設計では、高分子繊維またはフレークは、セラミック粒子と二次結合を形成する場合がある(その利点はすでに説明されている)。セラミック粒子の用途および寸法に応じて、高分子繊維または高分子フレークのアスペクト比は、約10~約10,000,000の範囲であり得る。
【0113】
一部の設計では、個々の高分子フレークまたは繊維が約10MPa~約10GPaの範囲の引張強さを示すことは有利であり得る。一部の設計では、高分子フレークまたは繊維が約120℃~約400℃の範囲の熱安定性を示すことは有利であり得る。そのような熱および機械的性質をもつ高分子繊維(またはナノ繊維)の例としては、限定されるものではないが、多くの中でも、様々なセルロース繊維(またはナノ繊維)、様々なキチン繊維(またはナノ繊維)、様々なアラミド繊維(またはナノ繊維)が挙げられる。
【0114】
一部の設計では、個々の高分子フレークまたは繊維がセラミック繊維(小さい繊維を含む)またはフレーク(小さいフレークを含む)との一次もしくは二次結合のための官能基を含むことは有利であり得る。
【0115】
一部の設計では、セラミックを含むセパレータ層が、約1MPa~約1,000MPaの範囲の引張強さ(室温で空気中で測定)を示すことは有利であり得る。一部の設計では、セラミックを含むセパレータ層が、動作温度範囲内で約1MPa~約1,000MPaの範囲の引張強さを示すことは有利であり得る(特定の温度範囲は用途によって異なる;一部の設計では、それは例えば、低くて-70℃から、高くて+200℃までの範囲であり得る)。
【0116】
一部の設計では、セラミックを含むセパレータ層が、電解質または電解質溶媒混合物に浸した場合に、約1MPa~約1,000MPaの範囲の室温引張強さを示すことは有利であり得る。
【0117】
一部の設計では、セラミックを含むセパレータ層が、約1MPa~約2,000MPaの範囲の圧縮強さ(室温で空気中で測定)を示すことは有利であり得る。一部の設計では、セラミックを含むセパレータ層が、動作温度範囲で約1MPa~約2,000MPaの範囲の圧縮強さ(室温で空気中で測定)を示すことは有利であり得る(特定の温度範囲は用途によって異なる;一部の設計では、それは例えば、低くて-70℃から、高くて+200℃までの範囲であり得る)。
【0118】
一部の設計では、セラミックを含むセパレータ層が、電解質または電解質溶媒混合物に浸した場合に、約1MPa~約1,000MPaの範囲の室温引張強さを示すことは有利であり得る。
【0119】
一部の設計では、セラミックを含むセパレータ層が、電解質または電解質溶媒混合物に浸した場合に、約1MPa~約2,000MPaの範囲の室温圧縮強さを示すことは有利であり得る。
【0120】
一部の設計では、セラミックを含むセパレータ層が、用途および支持電極または膜(存在する場合)透過性に応じて、200Paで約1L/m2秒~約50,000L/m2の空気透過性(膜全体に加わる圧力差)を示すことは有利であり得る。空気透過性が高いほど、電池およびスーパーキャパシタの高速アプリケーションに有利であり得る。
【0121】
一部の設計では、セラミックを含むセパレータ層が、約1ミクロン以下(例えば、約10nm~約1,000nm)の細孔排除サイズを示すことは有利であり得る。つまり、たとえ大きい細孔がセパレータ層に存在したとしても、それらはサブミクロンの細孔のみで接続されているので、例えば1ミクロン(または特定の細孔排除サイズ)よりも大きい粒子は膜を貫通することができない。
【0122】
前述のように、高分子セラミック膜は、膜の機械的性質または純度を高めるために、約40~約300℃の範囲の温度(高分子組成および、ガラス転移温度、分解温度、熱膨張などの特性に依存する)で有利に熱処理(加圧下での熱処理を含む)され得る。一部の設計では、小さいセラミック(例えば、酸化物)繊維(またはフレークもしくはそれらの混合物などのその他の適した粒子)を含む高分子含有複合膜は、より小さいセラミック(例えば、酸化物)繊維と1または複数の高分子の両方を含む複合繊維を含み得る。一部の設計では、分離膜中のそのような複合繊維の割合は、約1~約100重量%の範囲であり得る。そのような複合繊維(小さい複合繊維を含む)は、ブロー紡糸、電界紡糸(例えば、溶融紡糸または溶液紡糸)、およびより伝統的な紡糸技法(例えば、湿式紡糸、乾式ジェット紡糸、乾式紡糸など)などの様々な紡糸技法によって製造することができる。そのような方法論は、高分子-小さい繊維-溶媒コロイドの形成、または(例えば、溶融紡糸の場合には)高分子-小さい繊維溶融体の形成に依存し得る。一例では、ブロー紡糸および電界紡糸は、はるかに小さい直径の複合繊維を生成することができる(小さいセラミック繊維が10nm以下である場合には、10nmまで)。紡糸の間、一部の設計では、大部分の小さいセラミック繊維は、繊維の長さに平行に配向し得る。
【0123】
様々な(例えば上記の)高分子-小さいセラミック繊維(または高分子-小セラミックフレークまたは、より一般的には、高分子-セラミック粒子)複合膜における高分子の相対重量、分布および体積分率は、それらの熱的特性、物理的特性および化学的特性を決定し、特定の用途に最適化され得る。例えば、高分子成分の割合が高くなると、極性の低下、熱安定性の低下、熱膨張の増加、強度の低下、柔軟性の向上、最大伸びの増加、加工性の向上、酸化安定性の低下をもたらす可能性がある。別の例では、小さいセラミック(例えば、酸化物)繊維(またはフレークまたはその他の適した粒子)の割合が高くなると、良好な電解質濡れ性、高い平均誘電率、表面双極子および粒子との静電相互作用、高い機械的強度(特に圧縮時)、高い耐摩耗性、低い熱膨張係数、および/または良好な熱安定性をもたらす可能性がある。さらなる例では、そのような膜の最高の破壊靭性または靭性係数は、(加工条件、サイズ、小さいセラミック繊維の特性および形状、高分子成分の特性および形状、高分子とセラミック粒子との間の結合、高分子とセラミック粒子との接触面積などに応じて)構成要素のいくつかの最適な重量分率に対して達成され得る。全体的に、一部の設計では、セパレータ膜の高分子成分(またはバインダー)の適量(セラミック高分子の総重量に対する)は、一般に、(用途にもよるが、調製条件および所望のセパレータ膜特性に応じて)約0.0重量%~約80.0重量%の範囲である。加工条件にもよるが、過度の割合の高分子成分は、その他の望ましくない膜特性の中でも、膜の透過性および気孔率の低下、電解質による濡れ性の低下、熱安定性の低下を引き起こす可能性がある。
【0124】
高分子-セラミック複合膜の一部の設計では、小さいセラミック(例えば、酸化物)繊維(またはフレークもしくはそれらの混合物などのその他の適した粒子)は、アノードとカソードとの間の電気的分離のほとんどを提供することができるが、1または複数の高分子添加剤は、アノードとカソードとの間のある程度の増加した電気的分離を依然として提供することができる。一例では、比較的小さい重量%の添加された高分子(例えば、乾燥複合膜の総重量に対して約0.1~20重量%)は、小さいセラミック(例えば、酸化物)繊維(またはフレークもしくはそれらの混合物などのその他の適した粒子)をその接合部で結合するかまたは電極層自体に結合して、サイクル中の1または複数の電極のサイズの変化により良好に適応することを目的とし得る。一部の例では(例えば、膜が分散体から調製される場合)、高分子バインダーは、小さいセラミック(例えば、酸化物)繊維(またはフレークまたはその他の粒子タイプ)の分散体に、(酸化物繊維またはその他の酸化物粒子と溶媒の総質量に対して)約0.001~0.01重量%の添加量で添加されてよい。その他の例では、バインダーは、小さい繊維分散体に、(酸化物繊維またはその他の酸化物粒子と溶媒の総質量に対して)約0.01~0.1重量%の添加量で添加され、さらに他の例では、バインダーは、分散体に、(酸化物繊維またはその他の酸化物粒子と溶媒の総質量に対して)約0.1~50重量%の添加量で添加され得る。高分子-セラミック複合膜中の小さいセラミック(例えば、酸化物)繊維の相対的な割合は、かなり広く、約5重量%~約99.9重量%の範囲であり得る。一部の設計では、高分子成分は、膜層内のセラミック粒子の均一な分布を達成するのにも役立ち得る。一部の設計では、高分子成分は、セラミック粒子と一次(化学)結合を形成する場合がある。その他の設計では、高分子成分は、セラミック粒子と二次(例えば、水素またはファンデルワールス)結合を形成する場合がある。一部の設計では、高分子成分とセラミック粒子との間には、一次結合と二次結合の両方が存在し得る。
【0125】
一部の例では(特定の用途、合成方法、および目的の特性に応じて)、複合高分子-小さいセラミック繊維(または高分子-小さいセラミックフレーク、または、より一般的には、高分子-セラミック)膜の高分子成分は、熱硬化性または熱可塑性高分子を(スタンドアロンで、または混合物として、または共高分子成分として)含むことがあり、それには、限定されるものではないが、特に、様々な多糖類および、限定されるものではないが、多糖類と、タンパク質をはじめとするその他の高分子との混合物(例えば、特に、アラビノキシラン、アラビアガム、キサンタンガム(xantham gum)、ペクチン、キチンおよびキチン誘導体、様々な修飾された天然高分子、例えば酢酸セルロース(CA)、セルロースアセテートブチレート(CBA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、硝酸セルロース(CN)、エチルセルロース(EC)を含むセルロースおよびセルロース誘導体、特にセルロース誘導体、アルギン酸およびその塩を含むアルギン酸塩など);アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS);アリル樹脂(Allyl);カゼイン(CS);クレゾール-ホルムアルデヒド(CF);塩素化ポリエチレン(CPE);塩素化ポリ塩化ビニル(CPVC);様々なエポキシ(ポリエポキシド)(フッ素化エポキシを含む);エピクロロヒドリン共重合体(ECO);エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM);エチレン-プロピレンコポリマー(EPM);エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA);エチレンビニルアルコール(E/VAL);様々なフルオロポリマー(例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PCTFE)、パーフルオロアルコキシポリマー(PFA/MFA)、フッ素化エチレン-プロピレン(FEP)、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンおよびそれらのコポリマー(例えばTHV)、ポリエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリエチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、様々なパーフルオロエラストマー(FFPM/FFKM)、クロロトリフルオロエチレンビニリデンフルオリド(FPM/FKM)、テトラフルオロエチレンプロピレン(FEPM)、パーフルオロポリエーテル(PFPE)、パーフルオロスルホン酸(PFSA)、パーフルオロポリオキセタン、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、などの様々なフルオロカーボン、様々なフルオロシリコーンゴム(ビニル、メチルなど));様々なアイオノマー-熱可塑性ポリマー;イソブテン-イソプレンコポリマー(IIR);様々な液晶ポリマー(LCP);メラミンホルムアルデヒド(MF);天然ゴム(NR);フェノール-ホルムアルデヒドプラスチック(PF);ポリオキシメチレン(POM);ポリアクリレート(ACM);ポリアクリル酸(PAA);ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル(PAN);様々なポリアミド(PA)(アラミドまたはポリアラミドとしばしば呼ばれる様々な芳香族ポリアミドを含む);ポリアリールエーテルケトン(PAEK);ポリブタジエン(PBD);ポリブチレン(PB);ポリブチレンテレフタレート(teraphtalate)(PBTP);ポリカーボネート(PC);ポリクロロメチルオキシラン(エピクロロヒドリン高分子)(CO);ポリクロロプレン(CR);ポリジシクロペンタジエン(PDCP);ポリエステル(熱可塑性または熱硬化性重縮合物の形態);ポリエーテルエーテルケトン(PEEK);ポリエーテルイミド(PEI);ポリエーテルスルホン(PES);ポリエチレン(PE);ポリエチレンクロリネート(polyethylenechlorinates)(PEC);ポリエチレンテレフタレート(teraphtalate)(PET);ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート(PEDOT:PSS);フェノール-ホルムアルデヒド(PF);ポリイミド(PI)(熱可塑性または熱硬化性重縮合物として);ポリイソブチレン(PIB);ポリメチルメタクリレート(PMMA);ポリメチルペンテン(PMP);ポリオキシメチレン(POM);ポリケトン(PK);ポリメチルペンテン(PMP);ポリエチレンオキシド(PEO);ポリフェニレンオキシド(PPO);ポリフェニレンスルフィド(PPS);ポリーフタルアミド(PTA);ポリプロピレン(PP);プロピレンオキシドコポリマー(GPO);ポリスチレン(PS);ポリスルホン(PSU);ポリエステルウレタン(AU);ポリエーテルウレタン(PUR);ポリビニルアルコール(PVA);ポリビニルアセテート(PVAc);ポリビニルブチラール(PVB);ポリビニルクロリド(PVC);ポリビニルホルマール(PVF);ポリビニリデンクロリド(PVDC);スチレン-アクリロニトリルコポリマー(SAN);スチレン-ブタジエンコポリマー(SBRおよびYSBR);様々なシリコーン(SI)(例えばポリジメチルシロキサン、ポリメチルヒドロシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、Sylgard(登録商標)、様々なシリコーンエラストマー((フェニル、メチル)(PMQ)、(フェニル、ビニル、メチル)(PMVQ)、(ビニル、メチル)(VMQ)など);ポリイソプレン;尿素-ホルムアルデヒド(UF)が含まれる。一部の設計では、一部のそのような高分子は、少なくとも部分的にフッ素化されていてよい。
【0126】
一部の設計では、複合高分子-小さいセラミック繊維膜の高分子およびコポリマーは、以下のモノマー成分の少なくとも1つを含み得る:特に、アクリレートおよび変性アクリレート(メチルアクリレート、メチルメタクリレートなど)、ジアリルフタラート、二無水物、アミン、アルコール、無水物、エポキシ、ジポダール(dipodals)、イミド(ポリイミド)、フラン、メラミン、パリレン、フェノール-ホルムアルデヒド、ポリエステル、尿素-ホルムアルデヒド、ウレタン、アセタール、アミド、ブチレンテレフタラート、炭酸塩、エーテルケトン、エチレン、フェニレンスルフィド、プロピレン、スチレン、スルホン、ビニル、ビニルブチラール、塩化ビニル、ブチレン、クロロブチル、フルオロブチル、ブロモブチル、エピクロロヒドリン、フルオロ炭カーボン、イソプレン、ネオプレン、ニトリル、硫化物、シリコーンなど。
【0127】
一部の設計では、シランカップリング剤を使用して、ポリマーとセラミック(例えば、酸化物)界面との間に強固な結合を生成することができる。これらの分子は、官能性有機基と官能性シラン基(R-Si-X3(Rは有機配位子であり、Xは一般に、アルコキシ、アシルオキシ、ハロゲン、またはアミンである)を有するため、一般に非反応性表面を連結することができ得る。これらの基は、高分子および無機(酸化物などのセラミック)表面と共有結合するかまたは物理的に相互作用することができる。シランカップリング剤の3つの主な構造の例には、トリアルコキシシラン、モノアルコキシシラン、ジポダール(dipodal)シランが含まれる。結合は、シラン基の加水分解により進行し、ヒドロキシ官能基が生成され得る。独立したシランモノマーは、その後、縮合反応を通じて重合することができる。次に、ケイ素に結合したヒドロキシ基は、無機基質のヒドロキシ結合に水素結合することができ、続いて酸素をシロキサン高分子への架橋として使用して共有結合することができる。有機官能基は、シロキサン高分子にも接続されており、有機分子が化学的に(例えば、共有結合)または二次結合/物理的相互作用(例えばファンデルワールス、イオン相互作用、水素結合など)によって結合するための部位として機能し得る。無水結合も可能であり得、ここで、モノマーシラン基は、オキサン結合を介して無機基質に共有結合する。基質へのモノマー添加は、シランカップリング剤の単層薄膜を生成することができるかもしれない。シランカップリング剤は、完成したポリマーを処理することにより、またはシランカップリング剤をコポリマーとして含めることにより、高分子とともに使用することができる。シランカップリング剤は、配合またはコーティングによる樹脂の改質、またはフィラーもしくはセラミック粒子の表面処理に使用することができる。
【0128】
一部の設計では、シランカップリング剤を用いて、複合セパレータ層材料中の無機(例えば、セラミック)成分と有機(例えば、高分子)成分へのより強固な連結を得ることができる。シランカップリング剤を含む複合セパレータ層は、機械的安定性の向上、良好な熱安定性、より高いイオン伝導性、およびその他の特性の向上を有し得る。シランカップリング剤の助けを借りて、通常は互換性のない(または結合しない)セラミックで使用できる、より幅広いポリマー材料も利用可能であり得る。一実施例では、セラミック材料(例えば、セラミック繊維またはフレーク)は、シランカップリング剤を使用して機能的に修飾される。加水分解(通常はトリアルコキシシラン、ジアルコキシシラン)または無水(モノアルコキシシラン)共有結合の両方が、周囲材料のセラミック、前駆体、および/または水感受性に応じて使用され得る。これは、無水液相堆積(1つの例では、トルエン、テトラヒドロフラン、および/または炭化水素溶液に約5%のシランカップリング剤を含む還流基板を使用)、水性アルコール堆積(1つの例では、約5のpHの混合物に調整した、約95%EtOH/約5%H2O中で約2%のシランを使用)、水性堆積(1つの例では、約5.5のpHに調整した、約0.5~2.0%のシラン、約0.1%の非イオン性界面活性剤を使用)、浸漬コーティング(1つの例では、セラミックサンプルを2%シラン溶液に約1~2分間沈めることによる)、スプレー堆積(1つの例では、セラミック粉末または膜に25%のシラン溶液を噴霧することによる)、または気相蒸着(1つの例では、約5~50Torrで約50℃~約200℃)を用いて行うことができる。ジポダール(dipodal)シランを用いてセラミック-高分子マトリックスの加水分解安定性を増加させてもよい。あるいは、シランカップリング剤を、コポリマーのモノマー成分として導入して、機械的強度、熱安定性、および結合能力を改善することができる。セラミック複合材料を架橋するために使用され得るシランカップリング剤の一部の例としては、限定されるものではないが:他の機能性シランの中でも、アクリレート、メタクリレート、アルデヒド、アミノ、無水物、アジド、カルボン酸塩、ホスホン酸塩、スルホン酸塩、エポキシ、エステル、ハロゲン、ヒドロキシル、イソシアネート、マスクされたイソシアネート、ホスフィン、リン酸塩、硫黄、ビニル、オレフィン、高分子、UV活性(UV active)、蛍光、キラル、トリヒドロ、ジポダール(dipodal)などが挙げられる。
【0129】
一部の設計では、不活性環境または空気中で約120.0℃~約450.0℃の範囲の高温での室温引張強さの少なくとも50%を維持する、熱的に安定した高分子を複合膜が利用することは有利であり得る(一部の設計では、そのような熱安定性温度が150℃またはさらには200℃を超えることが望ましい場合がある)。一部の設計では、そのような高分子は、有利には、それらの原子組成に窒素(N)および/またはフッ素(F)を含み得る。一部の設計では、NまたはFまたはその両方(N+F)の原子分率は、約5原子%~約70原子%の範囲であり得る。そのような高分子の実例としては、限定されるものではないが、Viton(化学構造(C3F6)n(C2H2F2)m)および様々なポリイミド(特に半芳香族および芳香族ポリイミド)(例えば、多くの中でも、無水ピロメリット酸とp,p’-ジアミノジフェニルエーテル、ポリ-オキシジフェニレン-ピロメリットイミドのポリイミド(III))が挙げられる。一部の設計では、側鎖を持つポリイミドまたは官能基化ポリイミドを利用して小さいセラミック繊維と結合することが有利であり得る。
【0130】
一部の設計では、高分子の特性を損なわずに(一部の例では単に空気中で、酸素含有環境で)高分子を硬化/架橋し、膜の機械的性質を向上させる、互換性のある雰囲気で室温に近い温度で複合高分子-小粒子(例えば、小さいセラミック繊維、小セラミックフレークなど)の膜を紫外(UV)光にさらすことが有利であり得る。
【0131】
一部の設計では、金属塩または塩混合物(例えば、無機または有機または混合)は、セパレータ膜を形成する前に、またはその予備形成および乾燥後に膜に浸透させる前に、小さいアルコキシドまたは酸化物繊維(例えば、フレークまたはその他の適した粒子または粒子混合物)の懸濁液(分散体)に添加され得る。そのような塩または塩混合物は、様々なアニオン(例えば、F-、Cl-、Br-、I-、NO3
-、SO4
-、CO3
2-、C2O4
2-、ClO4
-、BF4
-、PF6
-ならびにこれらおよびその他の化合物の水和形態)を含み得る。適した塩の適した有機アニオンの例としては、(限定されるものではないが)酢酸塩および置換酢酸塩、2-エチルヘキサノエートおよび置換カルボン酸、シクロペンタジエニド、置換シクロペンタジエニド、シクロオクタジエニドおよび置換シクロオクタジエニド、トリフェニルホスフィンおよび置換トリフェニルフォンフィン(trifenylphonephine)、アセチルアセトナートおよび置換アセチルアセトナート、ジケチミンおよび置換ジケチミン、ビピリデンおよび置換ビピリデン、ビス[1-N,N-ジメチルアミノ)-2-プロパノラト(DMAP)、アセトニトリルジハライド、カルボニルおよび置換カルボニル、シクロヘキサンおよび置換シクロヘキサン、ステアリン酸塩および置換ステアリン酸塩、ポルフィリンおよび置換ポルフィリン、蟻酸塩、酢酸塩および酢酸アルキルを挙げることができる。適した塩のカチオン(またはそれらの混合物)の例としては、限定されるものではないが、特に、Al3+、Li+、Na+、Mg2+、Ca2+、Cr3+、Cr4+、Cr5+、Cr6+、K+、Zr4+、Zn2+、Sr2+、Ti4+、Sc3+、Fe2+、Fe3+、Cu2+、などが挙げられる。一部の設計では、Rb+、Co2+Co3+、Ni2+、Mn+、Mn2+、Mn3+、Mn4+、Mn5+、Mn6+、Mn7+、Ta3+、Ta4+、Ta5+、Si4+、Ge4+、La3+、V5+、V3+、Cs+、Ba2+、Sr2+なども利用することができる。
【0132】
そのような塩または塩混合物は、その添加前に相溶性溶媒に溶解することができる。次に、これらの金属塩をUV光にさらすことによって酸化物に変換し、隣接する粒子(例えば、小さい繊維またはフレークなど)を結合して、堅牢で柔軟なセパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)を形成することができる。一部の例では、Ga(OR)3、Ti(OR)4、Zr(OR)4、V(OR)5、Ni(OR)2、CuOR、Zn(OR)2、LiOR、NaOR、KOR、Mg(OR)2、Ca(OR)2などの金属アルコキシドを、セラミック(例えば、酸化物)の小さい繊維およびその他の粒子の分散体に添加して、UV光および酸素含有雰囲気(例えば周囲雰囲気など)への曝露によって酸化物に変換することができる。このプロセスは低温であるため、熱応力を最小限に抑え、熱に敏感な基板に対応するので、特に魅力的である(例えば、セパレータ層を電極またはセパレータの表面のコーティングとして形成するのに非常に魅力的である)。
【0133】
一部の設計では、シロキサンは、結合添加剤として使用され得、これはSiO2に変換され得る。例えば、O2は185nmのUV光でO3-に変換され、次にO3-は254nmのUV光への曝露下で光解離して分子状酸素と原子状酸素を形成し得る。次に、原子状酸素は、シロキサン(または金属アルコキシド)と反応してSiO2(または金属酸化物)を形成し得る。その他の設計では、SiO2結合剤は、オルガノシランの気相化学吸着と、それに続く172nmの真空紫外(VUV)光を使用する光酸化によって形成され得る。
【0134】
一部の設計では、小さい有機金属繊維(例えば、小さいアルコキシド繊維)(またはフレークまたはその他の適した粒子)または小さい水酸化物繊維(またはフレークまたはその他の適した粒子)は、紫外線またはオゾンへの曝露によって酸化物繊維(またはフレークまたはその他の適した粒子)に変換され得る。一部の設計では、そのようなUV光への曝露により、ランダムに(または配向された)繊維(またはフレーク)とその他の隣接する繊維(またはフレーク)の結合を誘導し、堅牢で柔軟な酸化物膜を生成することができる。一部の設計では、そのような小さい有機金属(または水酸化物)繊維(またはフレーク)は、UV露光の前に、酸化物またはその他のセラミック繊維(小さいまたは大きい)またはフレーク形状の粒子(小さいまたは大きい)と混合され得る。一部の設計では、繊維(またはフレーク)分散体(追加の塩の有無にかかわらず)は、UV露光の前に基板の上にコーティングされ得る。一部の設計では、繊維(またはフレーク)コーティングは、UV露光の前に乾燥され得る。一部の設計では、繊維(またはフレーク)コーティングは、UV露光の前に、(例えば、機械的圧力を加えることにより、例えば、圧延(calendaring)により)高密度化することができる。一部の設計では、繊維(またはフレーク)コーティングは、UV露光の前に、(例えば、約+30℃~約500℃またはそれ以上の範囲の温度に)加熱されてよい。
【0135】
一部の設計では、UV露光は高温下で行われ得る。一部の設計では、そのような高温は、約+30℃~約1200℃の範囲であり得る。
【0136】
一部の設計では、非常に薄く(例えば、約5~10pm未満)非常に多孔質の(例えば、気孔率が全気孔率の約75%超)酸化アルミニウム(または他の適切な酸化物および適切なセラミック)膜を使用することにより、必要なレベルの安全性を向上または維持すると同時に、LiおよびLiイオン電池だけでなくその他の電池のレート特性およびエネルギー密度を著しく増加させることが可能になり得る。機械的完全性および柔軟性と相まって、高いレート特性に有益である、このレベルの気孔率は、小さな繊維状またはフレーク状の構造を使用して達成可能であり得る。しかし、「規則的」(例えば、ほぼ球形)の粒子に基づくセラミック構造は、対照的に、機械的ネットワークを生成するためにかなり高密度のパッキングを必要とし、一般にあまり柔軟ではない。それらは高電位での安定性が高いため、そのような膜はLiおよびLiイオン電池セルにおいて高電圧カソード(例えば、平均リチウム化電位がLi/Li+に対して約3.9~約5.6Vであるカソード)と組み合わせて使用することができる。
【0137】
上記のように、スタンドアロンの(例えば、多孔質酸化アルミニウム)セパレータ膜を使用することに加えて、小さい繊維またはフレーク(例えば、酸化アルミニウムまたは多孔質酸化アルミニウム製)を、キャスティング(例えば、スロットダイキャスティングまたはブレードキャスティング)を使用することによるか、またはスプレー堆積によるか、または電界を用いる堆積によるか、または浸漬コーティングによるか、または別の適した方法によって、電極の少なくとも1つの上に(または別の膜の上に)直接堆積させることができる。一部の設計では、そのような堆積させた繊維は、イオン輸送に対する小さな抵抗を提供し、比較的小さい空間を占有する一方で、直接の電気的接触からアノードとカソードを分離する統合された(薄く柔軟な)膜としての機能を果たし得る。セパレータが分散体からのキャスティングまたは噴霧乾燥により製造される例では、セパレータは、(キャスティング/噴霧乾燥後に)約40℃~約400℃の範囲の温度で乾燥され得る。
【0138】
図4は、セパレータ層を、Cu箔401上にコーティングされたSi系Liイオン電池のアノード402上のコーティングとして生成するための、電極上の小さなAl
2O
3繊維コーティング403の例を示す。
【0139】
図5は、高電圧リチウムコバルト酸化物(LCO)カソードおよびSiアノード上に直接コーティングされた2つの厚さの小さいAl
2O
3繊維セパレータのいずれかで構築したSi系Liイオン電池アノード(thickSSAnodeおよびthinSSAnode)と、従来の市販の高分子(PP)セパレータ(コントロール4およびコントロール5)を備える4つのフルセルの性能特性の比較を示す。試験されたすべてのセルは、同一のアノードとカソードで構築されていた。容量(mAh/g)は、アノードコーティングの重量で正規化されている。中間サイクルヒステリシス(V)は、セルがC/2レートで循環した場合に記録された。小さいAl
2O
3繊維セパレータ層コーティングを有するセルのほうがヒステリシスが小さいことは、
図5ではっきりと見える。
【0140】
Al2O3セパレータ層(例えば、コーティングまたはスタンドアロンの膜)に加えて、その他のセラミックセパレータ層(多孔質の小さい繊維およびフレークをはじめとする、小さい繊維または小さいフレークから製造された層またはそれを含む層を含む)は、Liイオンおよびその他の電池においてセパレータとして利用され得る。これらには、MgO、ZrO2、様々な混合酸化物などが含まれる。一部の設計で重要なパラメータは、一般に機械的性質、電解質中のセラミック膜の安定性、および(正または負の電極と直接接触する場合)電気化学的副反応(例えば、電極との接触における顕著なリチウム化または溶解など)がないことである。
【0141】
一部の用途では、電極との小さな副反応をさらに低減するために、スタンドアロンセラミック(Al2O3、MgO、ZrO2など)セパレータ膜の片側または両側に多孔質高分子層を堆積させることが有利であり得る。例えば、そのような膜をLiまたはLiイオン(またはNaまたはNaイオンまたはその他の金属または金属イオン)電池で使用する場合、そのような多孔質高分子層(例えば、多孔質エチレン、多孔質プロピレン、多孔質アラミド、多孔質セルロース、多孔質糖類など-適した高分子のその他の例は上に記載されている)を膜のアノード側に堆積させることにより、アノードとセラミックセパレータとの間の望ましくない副反応(例えば、リチウム化、電気化学的還元など)を低減または防止することができる。同様に、そのような多孔質高分子層を膜のカソード側に形成することにより、潜在的な望ましくない酸化反応を低減することができる。一部の設計では、そのような多孔質高分子層の適した厚さは、約10nm~約10ミクロンの範囲であり得る。LiおよびLiイオン(またはその他の金属または金属イオン電池)の一部の用途では、セラミックワイヤとLiの直接接触を防止するために(例えば、Liデンドライト形成の場合)薄い(例えば、約1nm~約200nm)、ほとんど無孔の(高密度)高分子層を膜の内面(例えば、個々のワイヤの周囲)に堆積させることが有利であり得る。一部の設計では、そのような高分子層がLiと接触して安定しており、高分子/Li界面で高い界面エネルギーを示すことがさらに好ましい。この場合、Liデンドライトの形成により、システムのエネルギーの大幅な増加がもたらされ、その成長が大幅に減少するかまたは排除される可能性がある。対照的に、多くのセラミック材料とLiの直接接触は、低いエネルギー界面の形成をもたらし、これはLiデンドライトの表面エネルギーを減少させ、したがってその伝播を不必要に好む。
【0142】
一部の用途では、セラミック(例えば、Al2O3、MgO、ZrO2など)膜の片側または両側にある多孔質高分子層が熱応答性であり(または熱応答性層を含み)、特定の温度を超えると細孔を閉じることは有利であり得る。特定の温度(例えば、一部の用途では約70℃~約120℃の範囲で選択される)を超えると膜が電流を遮断するため、これはセルの追加の安全機能を提供し得る。一部の設計では、熱応答性層は、臨界温度を超えて(例えば、典型的な用途では約70℃~約120℃の範囲で選択される)溶融して、Liイオン伝導を遮断する熱可塑性物質を含み得る。
【0143】
一部の用途では、酸化物(例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウムなど)またはその他の適したセラミックの小さい繊維またはフレーク(限定されるものではないが多孔質小さい繊維またはフレークを含む)のセパレータ層(例えば、スタンドアロンのセパレータ膜またはセパレータコーティング)を(特に上に考察される高分子コーティングと組み合わせて)中型(例えば、約10mAh~約200mAh)、大型(例えば、約200mAh~約10,000mAh)、または特大(例えば、約10,000mAhを超える)セルの金属アノード系電池セルで使用することは、特に有利であり得る(例えば、中型または大型または特大のセルにとって特に重要な安全性が強化されるため)。適した金属アノード系電池セルの例としては、限定されるものではないが、いくつか挙げると、Liアノード(例えば、Li金属電池におけるような)、Mgアノード(例えば、Mg金属電池におけるような)、Naアノード(例えば、Li金属電池におけるような)、Znアノード(ZnまたはZn合金アノードと、小さいワイヤ膜の溶解または還元を誘導しない電解質を含む多くの電池化学物質)、Kアノード(例えば、K金属電池におけるような)、を有するセルが挙げられる。一部の設計では、再充電可能な金属アノード電池は、この膜技術から特に恩恵を受け得る。そのような再充電可能な電池セルの金属アノードは、放電中に金属ストリッピング(イオンとして電解質に溶解)を受け、充電中に再めっきされる可能性がある。このプロセスは、内部短絡を誘発し得るデンドライトの形成を引き起こす可能性があり、それは電池の故障(さらに、一部の例では、特にLi電池の化学で公知の火災などの様々な安全上のリスク)を引き起こす可能性がある。固体電解質または固体セラミック保護層による表面層の保護の使用は、高価である場合が多く、常に適しているわけではなく、(特に、輸送に使用される場合など、電池に衝撃が与えられるか、または様々なストレスにさらされ得る状況で)必ずしもデンドライトの浸透からセルを保護するものではない。一部の電池研究では、科学者の大多数が、電極材料またはセパレータの性能を評価するために、金属アノードを備えたいわゆるハーフセル(Liハーフセルなど)(通常、容量が約10mAh未満の非常に小さいコイン型セル)を利用することが一般的であるが、金属アノードのコストが高いだけでなく、信頼性および安全性への懸念のために(特に、可燃性の有機電解質が使用される場合、セルのサイズが大きくなると、デンドライトによって誘発される熱暴走および急速な分解の間に、より多くのエネルギーが放出されることになる)、市販のセル(特に、水性液体および有機電解質を備えた再充電可能なセル)における金属アノードの使用は稀である。膜材料の弾性係数が比較的高く、気孔率が高く、(潜在的に重要な)小さく(例えば、平均で約2ミクロン未満、より好ましくは約0.25ミクロン未満)曲がりくねった細孔を備える、本明細書に記載される小さい繊維またはフレークのセパレータ層(例えば、セパレータ膜またはセパレータコーティング)(例えば、いくつか例を挙げると、多孔質酸化アルミニウムまたは酸化マグネシウムまたは酸化ジルコニウム膜)を使用すると、デンドライトの成長を大幅に抑制または排除する可能性があり、その上、比較的速い金属(例えば、Li、Mg、Znなど)の堆積(めっき)および従って高い出力密度が得られる。金属デンドライトは一部の用途では(例えば、高分子セパレータ膜を備えたセルにおける金属デンドライトの成長中に)多くの高分子膜を貫通することができるが、金属デンドライトは、個々の小さな酸化物繊維(例えば、小さな酸化アルミニウム繊維)を、たとえこれらが高分子層でコーティングされていても貫通できないことがある。そのため、一部の用途では、金属デンドライトの形成は、デンドライトが小さな繊維の周囲で成長することを必要とし、そのことによりデンドライトの比表面積が大幅に増加する可能性がある。膜壁の小さい特徴、その粗さ、その誘電特性、またはその表面特性も、デンドライトの成長の抑制に関与している可能性がある。
【0144】
一部の設計では、他の(非金属)アノード(例、Si系またはグラファイト系)を備えた中型または大型または特大型のセルも、大幅に向上した安全性、より高い圧縮強さ、低下したイオン抵抗、より良好な熱安定性またはその他の有益な特性により、多孔質セラミック(例えば、柔軟な)の小さい繊維(限定されるものではないが、多孔質の小さい繊維を含む)または小さいフレークのセパレータ層(例えば、セパレータ膜またはセパレータコーティング)を構成に使用することで大きな利益を得ることができる。
【0145】
一部の用途では、酸化物(例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウムなど)の小さい繊維またはフレーク(限定されるものではないが、多孔質小さい繊維またはフレークを含む)を含む膜と、少なくとも1つの電極との間でイオン透過性(例えば、多孔質)高分子層を使用することは、電気化学セル(例えば、電池セル)のセパレータとして使用することに有益であり得る。一部の設計では、そのような高分子層は、膜上または電極上に堆積させてもよいし、セラミック膜と少なくとも1つの電極との間に単に挟んでもよい。一部の設計では、そのような高分子層は、種々の有用な機能を果たすことができる。一例では、それは、電極と多孔質酸化物セパレータとの間の界面での応力の集中を減らすことができる(例えば、高分子は一般に、酸化物に比べて柔らかく変形しやすいため)。これにより、セルスタックが加圧された場合のセルの組み立て中の信頼性の向上、および、より信頼性の高いセル動作をもたらすことができる。別の例では、そのような高分子層は、酸化物セパレータの取り扱いをより容易にすることができる(例えば、細胞の組み立て中または酸化物膜の製造中)。さらに別の例では、そのような高分子層は、酸化物膜と電極との間の接着を強化することができる(例えば、本質的に接着剤/接着層として機能する)。さらに別の例では、そのような高分子層は、酸化物膜の電気化学安定性を向上させることができる。前述のように、例えば、LiまたはLiイオン電池の場合、酸化物膜とアノードの間に高分子層を使用することにより、低電位(例えば、酸化物および電解質の化学的性質に応じて、Li/Li+に対して約0.1~2V未満)でのLiまたはその他の好ましくない相互作用による酸化物の還元が低下または防止され得る。この場合、アルミニウム、マグネシウムおよびジルコニウムの酸化物だけでなく、Liと接触すると一般に不安定であるか、または著しく安定性が低い、他の多くの酸化物も利用することができる(例えば、酸化ケイ素、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化カドミウム、酸化銅、酸化クロム、酸化チタン、酸化物の様々な組合せなど)。高分子層が酸化物膜とカソードの間に置かれる場合、より高い電位(例えば、酸化物および電解質の化学的性質に応じて、Li/Li+に対して約3~4V超)での酸化物と電解質またはカソードとの間の様々な望ましくない相互作用を防止するかまたは最小限に抑えることができる。さらに別の例では、そのような高分子層は、追加の安全機構としての機能を果たし得る。例えば、それは、臨界温度以上に加熱された(または臨界温度以下に冷却された)場合に、(例えば、細孔を閉じることによるか、または電解質溶媒が不透過性になることによるか、またはその他の機構によって)イオン輸送を防ぐことができる。一部の設計では、そのような高分子層の適した気孔率は、約0~約99体積%(より好ましくは、約10~約90体積%)の範囲であり得る。一部の設計では、そのような高分子層の適した厚さは、約5nm~約20ミクロン(より好ましくは、約10nm~約10ミクロン)の範囲であり得る。一部の設計では、約5nmよりも小さい厚さは、このような高分子層の有用性を低下させる可能性があり、一方、約20ミクロンよりも大きい厚さは、セパレータスタック全体の厚さを不必要に増加させ、有害な影響を誘導する可能性がある(例えば、加熱中の高分子の収縮は、酸化膜も損傷する可能性がある)。一部の設計では、高分子層は、多層(酸化物繊維または酸化物フレークを含む)膜の一部であってもよく、または少なくとも1つの電極に堆積されてもよく、またはスタンドアロンのフィルムとして調製されてもよい。高分子層の組成は、望ましい特定の機能性および電気化学セルの特定の化学的性質に依存する可能性があり、本明細書に記載の高分子複合材料と併せて考察される高分子組成のリストから選択され得る。
【0146】
一部の用途では、酸化物(例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウムなど)またはその他の適したセラミックの小さい繊維またはフレーク(限定されるものではないが、多孔質の小さい繊維および多孔質の小さいフレークを含む)を、様々な電池(例えば、LiおよびLiイオン電池、NaおよびNaイオン電池など)およびその他の電気化学エネルギー貯蔵デバイスの電極、固体(例えば、高分子、セラミック、ガラス-セラミック、または複合材料)の電解質およびセパレータの熱的に安定した、電気的に絶縁された機械的補強として使用することも非常に有利であり得る。一部の設計では、小さい繊維は、例えば、カーボンナノチューブまたはカーボン繊維およびナノ繊維とは対照的に酸化アルミニウムおよびその他の酸化物において電気伝導性がないために、電解質の分解に望ましくない電気化学的に活性な表面積をもたらすことなく、電極の機械的強度、疲労抵抗、および全体的な耐久性を向上させることができる。その上、酸化物(例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなど)またはその他の適したセラミックの小さい繊維の使用は、電極内に高速イオン経路を提供する(そしてサイクル中に維持する)のに有利であり得る。例えば、多孔質酸化物(例えば、酸化アルミニウムまたは酸化マグネシウムなど)の小さい繊維の細孔は、電極の上面からバルクへのイオンのアクセスのための経路として利用され得る。これらの細孔は電解質で満たされたままで電解質分解生成物がないままであり得るため、さらに酸化物の機械的強度は、細孔の崩壊を誘発することなく動作中の電極の体積変化に耐えるのに十分に大きい場合があるため、一部の設計では、サイクル中に電極内の高いイオン伝導率を維持するためにこのような細孔をうまく利用することができる。
【0147】
図6は、リチウム不純物を含む小さいアルミニウムエトキシド繊維から製造された小さい酸化リチウムアルミニウム繊維を含む小さな酸化物繊維コーティング601の例を示す。このような小さいアルミニウムエトキシド繊維は、今度は、Li-Al合金粒子を無水エタノールにさらすことによって生成された。
【0148】
図7Aは、小さい酸化物繊維(この例ではAl
2O
3)と高分子(PVA、平均分子量(MW)は約30,000)の両方を含むコロイド溶液からキャスティングすることにより製造された複合膜701の例を示す。PVAをエタノール溶媒に溶解し、酸化物繊維をそのような溶液に懸濁した。この例では約91:9(酸化物:高分子)の重量比を使用した。
図7Aに示す画像は、走査電子顕微鏡(SEM)を使用して記録した。
図7Bは、約2.5mmの小さい曲げ半径が壊れることなく達成される、
図7Aの複合膜701の曲げ半径の例を示す。高分子のMWは広範囲に変化する可能性があるが、最適なMWは、高分子の組成、使用する溶媒、溶媒への高分子の溶解度、高分子の割合、および/またはその他のパラメータに依存する。一部の設計では、適したMWは、約500~約5,000,000の範囲であり得る。
【0149】
図8A~
図8Jは、小さいセラミック粒子を含み、異なる模範的な実施形態に従って製造された様々な複合膜のいくつかの概略図の例を示す。
図8Aは、介在する細孔804Aを有する小さい繊維802Aを含む100%セラミックセパレータ膜の最も単純なケースを示す;
図8Bは、
図8Aに示される小さい繊維および細孔を含むが、同時に、片側に多孔質高分子コーティング806Bをさらに含む、セラミック膜を示す;
図8Cは、小さい繊維、細孔および高分子コーティング806Bを含むが、同時に、セラミック膜の反対側に別の高分子コーティング808Cをさらに含む、セラミック膜を示す;
図8Dは、介在する細孔814Dを有する小さい繊維812Dの間の膜のバルクに(例えば、バインダーとして)存在する高分子810Dを有するセラミック-高分子複合膜を示す;
図8Eは、小さいセラミック繊維(またはフレーク)818Eおよび高分子繊維(またはフレーク)818Eを含むセラミック-高分子複合膜を示す;
図8Eは、実質的に異なる直径および長さの繊維(例えば、長くて太い繊維820Fおよび短くて細い繊維822F)を含むセラミック膜を示す;
図8Gは、介在する細孔828Gを有する、繊維形状の粒子824Gと非繊維形状の粒子826G(例えば、アスペクト比>4のフレーク、アスペクト比<2の不規則形状の粒子など)を含むセラミック膜を示す;
図8Hは、異なる形態および/または組成または微細構造の2つ以上の種類(830Hおよび832H)の繊維を含むセラミック-セラミック複合膜を示す;
図8Iは、それらの表面上にコーティングシェル836Iを含む(例えば、高分子または別のセラミック層でできている)小さい繊維834Iを含むセラミック複合膜を示す;
図8Jは、小さいセラミック(例えば、酸化物)繊維838J、電極粒子842J間のギャップを充填する低アスペクト比のセラミック(例えば、酸化物)粒子840J(これは次に、電極集電体844Jに電気的に接続されている)、繊維838J間に配置された低アスペクト比のセラミック(酸化物など)粒子846J、および高分子バインダー848Jを含むセラミック-高分子複合分離膜層を示し、セラミック-高分子複合分離膜層は電極表面(例えば、Si含有アノードまたは他の適したアノードまたはカソード上)に直接コーティングされている。
【0150】
図9は、本開示の一部の実施形態によるセパレータ層コーティングで使用され得るセラミックプレートレット901の例を示す。
図9に示されるセラミックプレートレット901は、セラミックを含むセパレータ層のセラミックを含む成分(例えば、この例ではAl
2O
3から形成された小さい金属酸化物フレーク(またはプレートレット))のフレーク形状構成の一例を表す。一例では、
図9に示されるようなフレーク型(またはプレートレット型)の小さなセラミック粒子は、様々な技法によって合成されることができ、それには、限定されるものではないが、特に、層状材料の剥離(または部分的エッチング)、様々な蒸着技法(例えば、化学気相堆積法などによる)、様々な溶液合成技法(例えば、ゾル-ゲル、水熱、ソルボサーマル、金属塩、金属アルコキシド、金属ケイ酸塩または前駆体を含むその他の適した金属を含む反応溶液の加熱など)が含まれる。さらなる例では、触媒またはキャッピング剤または界面活性剤は、一部の設計では、フレーク型(またはプレートレット型)の小さいセラミック(例えば、
図9に示されるものなど)の合成で使用され得る。
【0151】
小さいセラミック(例えば、酸化物、例えば酸化アルミニウム、酸化リチウムアルミニウム、酸化マグネシウムアルミニウム、酸化リチウムマグネシウムアルミニウム、酸化マグネシウム、酸化リチウムマグネシウムなど)繊維を含む上記の分離膜のエネルギー貯蔵用途での(例えば、Liイオンおよびその他の電池またはスーパーキャパシタでの)使用に加えて、空気浄化用途(例えば、HEPA濾過)でのそれらの使用も非常に魅力的であり、非常に有利であり得る。例えば、そのような膜の高い気孔率(例えば、約40~80体積%)は、空気の流れに対する抵抗を小さくすることができ、従って単位膜面積あたりの空気の処理(浄化)量を多くすることができる。さらなる例では、小さい繊維の細孔のサイズが小さいことにより、サブミクロン粒子の効果的な排除(濾過)が可能になり得る。一部の設計では、酸化物繊維の極性が高い(その表面に高い双極子モーメントが存在する)ことにより、そのような材料は、小さい繊維の表面と小さい粒子との間の強い静電相互作用のために(膜の孔径よりも)小さい粒子をさらに吸着する、このことにより、(高分子HEPAフィルター膜と比較して)より効果的な濾過が可能になる。一部の設計では、セラミック繊維の高い機械的強度および耐摩耗性により、セラミック膜の寿命が増加する。さらに、一部の設計では、濾過された粒子の多くは、オールセラミック膜の安定性の温度よりも低い温度で空気(またはプラズマ)内で燃焼することがあり得る。したがって、小さい繊維に基づくセラミック膜は、あまり損傷を与えずに容易に洗浄され得る。対照的に、特定の繊維ガラスまたは高分子繊維に基づくHEPAフィルターは、熱安定性に劣り、そのような手段によって精製することができない。高分子フィルターと比較してセラミックフィルターの良好な熱安定性はまた、セラミックの小さい繊維ベースの膜フィルターの効果的な使用と、高温気候での、または温度が比較的高い用途での(例えば、車両フィルター、様々な工場などでの)長期安定性を可能にすることができる。対照的に、小さい高分子HEPAフィルターは、長時間高温にさらされると、急速に劣化することがよくある。同様に、多くの高分子膜は低温にさらされると強度と延性を失う。したがって、それらは寒い気候では劣化する可能性がある。対照的に、セラミックの小さい繊維ベースの膜フィルターは、約マイナス(-)70℃未満に冷却した場合でさえも、その機械的性質をあまり低下させることはない。
【0152】
一部の設計では、小さなセラミック(例えば、酸化物)繊維(特に多孔質繊維)の使用も、その細孔(または外面)が耐久性のある金属または金属酸化物系触媒(例えば、酸化チタン、銅、酸化銅、酸化鉄、酸化鉄銅、オキシ塩化銅、オキシ塩化鉄、オキシ塩化鉄銅など)を例えばナノ粒子またはコーティングの形態で簡単に充填できるため、非常に有利である。このような触媒は、有機混入物質を分解するだけでなく、細菌、細菌胞子、およびウイルスを効果的に死滅させるのにも役立ち得る。このようなナノ粒子の堆積は、前駆体塩の溶液に基づく浸透とその後のそれらの酸化(酸化物ナノ粒子を形成する場合)または還元(金属ナノ粒子を形成する場合)を介して行うことができ得る。小さい繊維(特に小さい多孔性繊維)の表面積が大きいと、膜の機械的特性をあまり低下させずに1または複数の触媒を高い添加量で使用することが可能となり得る。
【0153】
同様に、小さいセラミック(例えば、酸化物、例えば酸化アルミニウム、酸化リチウムアルミニウム、酸化マグネシウムアルミニウム、酸化リチウムマグネシウムアルミニウム、酸化マグネシウム、酸化リチウムマグネシウムなど)繊維(多孔質のもの、および触媒と抗菌剤を配合したもの含む)を含む上記の分離膜を、特に、達成された平均孔径がかなり小さい場合(例えば、約0.02~0.6ミクロン)浄水用途に使用することは有利であり得る。一部の設計では、そのような膜は非常に耐久性があり、細菌や様々な有毒粒子を水から除去するのに非常に効果的であり得る(例えば、飲料水あるいは、手、顔または体または食品(例えば、果物、果実、野菜など)または食器を洗浄するのに十分に安全な水を形成するため)。一部の設計では、そのような膜をストローに組み込んで、様々な有害な細菌またはウイルスで汚染されている可能性のある貯水池(例えば、湖や川など)から直接飲用することを可能にすることができる。同様に、そのような膜は、(例えば、飲料水を生成するためなどの)様々な水容器に組み込むことができる。
【0154】
この説明は、当業者が本発明の実施形態を作成または使用できるようにするために提供される。しかし、これらの実施形態に対する様々な修正が当業者に容易に明らかとなるため、本開示が、本明細書に開示される特定の配合、プロセスステップ、および材料に限定されないことが理解されるであろう。すなわち、本明細書において定義される一般的な原理は、本開示の趣旨または要旨から逸脱することなく、その他の実施形態に適用され得る。例えば、記載された柔軟なセラミック膜の合成は、エネルギー貯蔵および変換デバイスにおける記載された使用に加えて、様々な複合材料またはセパレータ膜用途で使用されてもよい。