(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012040
(43)【公開日】2023-01-25
(54)【発明の名称】ストーブ
(51)【国際特許分類】
F24B 5/02 20060101AFI20230118BHJP
F23B 60/00 20060101ALI20230118BHJP
F23L 1/00 20060101ALI20230118BHJP
F24B 1/02 20060101ALI20230118BHJP
F24C 15/08 20060101ALI20230118BHJP
【FI】
F24B5/02 F
F23B60/00
F23L1/00 B
F24B1/02 C
F24C15/08 Q
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115440
(22)【出願日】2021-07-13
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-01-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り Webサイト
(71)【出願人】
【識別番号】521185240
【氏名又は名称】株式会社アップ総合企画
(74)【代理人】
【識別番号】100155158
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 仁
(72)【発明者】
【氏名】田中 勇人
【テーマコード(参考)】
3K023
3K046
【Fターム(参考)】
3K023BA13
3K023BA15
3K046AA06
3K046AC01
3K046AD01
3K046BA02
3K046BA04
3K046BA07
3K046FA02
(57)【要約】
【課題】ストーブを小型化するのに好適な配管構成の空気供給管を有するストーブを提供する。
【解決手段】 薪ストーブ1は、燃焼炉10内部の燃焼室11が、木質バイオマス燃料を一次燃焼する一次燃焼部110と、一次燃焼部110の上方において一次燃焼によって生じる未燃焼ガスを二次燃焼する二次燃焼部112とを有し、二次燃焼部112に二次燃焼用の空気を外部から供給する二次燃焼用空気供給部40が、中空管状に構成されているとともにその上端部を中空部が燃焼室11と連通する構成とし且つ設置状態において外部の空気を流入可能に開口部31hを設けた構成の左前脚部30Lと、左前脚部30Lと連通するとともに先端部のノズル47nが二次燃焼部112の上方に位置するように燃焼室11の内面に沿って配管された下部配管部43及び上部配管部47とを備える構成とした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
煙突接続口と、燃料投入口と、燃焼室と、当該燃焼室の下部に設けられた燃料載置部とを有する燃焼炉を備え、前記燃料投入口を介して前記燃料載置部に載置された木質バイオマス燃料を燃焼するストーブであって、
前記燃焼室は、前記燃料載置部に載置された前記木質バイオマス燃料を一次燃焼する一次燃焼部と、当該一次燃焼部の上方において前記一次燃焼によって生じる未燃焼ガスを二次燃焼する二次燃焼部とを備え、
前記一次燃焼部に一次燃焼用の空気を外部から供給する一次燃焼用空気供給部と、
前記二次燃焼部に二次燃焼用の空気を外部から供給する二次燃焼用空気供給部と、
前記燃焼炉の下部に設けられた当該燃焼炉を設置するための複数の脚部と、を備え、
前記複数の脚部のうち少なくとも1つは中空管状に構成され、その上端部は中空部が前記燃焼室と連通するように前記燃焼炉に接続されているとともに、設置状態において外部の空気を流入可能に下端部に設けられた空気流入口を有し、
前記二次燃焼用空気供給部は、前記中空管状の脚部からなる第1空気供給管路と、前記第1空気供給管路と連通するとともに先端部が前記二次燃焼部の上方に位置するように前記燃焼室の内面に沿って配管され且つ前記先端部が前記二次燃焼部に向かって空気を放出可能に構成された第2空気供給管路とを備えることを特徴とするストーブ。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2空気供給管路は、前記燃焼室の下部に平面状に配管されて前記燃料載置部を構成する下部配管部と、当該下部配管部と連通し前記燃焼炉の側面のいずれかの内周面に沿って下方から上方に向かって配管されるとともに先端部に前記二次燃焼部に向かって空気を放出するノズルが設けられた上部配管部とを備え、
前記下部配管部及び前記上部配管部は、当該下部配管部及び当該上部配管部を横切る仮想線をそれぞれ引いたときにそれぞれの前記仮想線が2つ以上の管部分と交わるように配管されていることを特徴とするストーブ。
【請求項3】
請求項2において、
前記下部配管部は、前記燃焼室の下部にジグザグに配管されていることを特徴とするストーブ。
【請求項4】
請求項3において、
前記下部配管部は、前記燃焼室の前記燃料投入口を挟む左右側面部の一方の内周面から他方の内周面に向かって且つ前記燃料投入口の存在する前端側とその反対側の後端側との間を前後に往復してジグザグに配管されているとともに、前端側で上側凸状に屈曲させてから後端側に向かって配管されていることを特徴とするストーブ。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか1項において、
前記上部配管部は、前記燃焼炉の側面のいずれかの内周面に沿って下方から上方に向かってジグザグに配管されていることを特徴とするストーブ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項において、
前記二次燃焼用空気供給部は、前記中空状の脚部からなる前記第1空気供給管路とは異なる第3空気供給管路と、当該第3空気供給管路と連通し、前記燃焼室の下部又は内側面の少なくとも一方に沿って先端部が前記二次燃焼部の上部に至る位置まで配管された第4空気供給管路とを更に備え、
前記第4空気供給管路は、当該第4空気供給管路を横切る仮想線を引いたときに当該仮想線が1つの管部分と交わるように配管されていることを特徴とするストーブ。
【請求項7】
請求項6において、
前記第1空気供給管路及び前記第3空気供給管路を構成する前記中空管状の脚部には、それぞれ中空部分を流れる空気の流量を調整する流量調整バルブが設けられていることを特徴とするストーブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薪などの木質バイオマス燃料を燃焼するストーブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薪などの木質バイオマス燃料を燃焼するとともに、一次燃焼によって発生した未燃焼ガスを燃焼するための空気を供給して未燃焼ガスを燃焼(二次燃焼)するストーブとして、例えば、特許文献1に記載の薪ストーブがある。
かかる薪ストーブは、本体内側の燃焼室内に薪が載置される平面状の載置部を設け、本体に、載置部の上側中央に向けて斜め上方から外気を供給可能な流出口を有した傾斜空気供給管を、流出口が載置部の中心線に対して対称に配置されるように複数設けた構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の薪ストーブは、二次燃焼用の空気を供給する複数の傾斜空気供給管が燃焼室内を斜めに横切って配管されているため、燃焼室内に比較的大きめの配管スペースが必要となる。加えて、上記従来の薪ストーブでは、本体の外側に複数の傾斜空気供給管の一部が配管されており、内側の配管と合わせてストーブが大型化する配管構成となっている。
【0005】
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、ストーブを小型化するのに好適な配管構成の空気供給管を有するストーブを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
〔発明1〕 上記目的を達成するために、発明1のストーブは、煙突接続口と、燃料投入口と、燃焼室と、当該燃焼室の下部に設けられた燃料載置部とを有する燃焼炉を備え、前記燃料投入口を介して前記燃料載置部に載置された木質バイオマス燃料を燃焼するストーブであって、前記燃焼室は、前記燃料載置部に載置された前記木質バイオマス燃料を一次燃焼する一次燃焼部と、当該一次燃焼部の上方において前記一次燃焼によって生じる未燃焼ガスを二次燃焼する二次燃焼部とを備え、前記一次燃焼部に一次燃焼用の空気を外部から供給する一次燃焼用空気供給部と、前記二次燃焼部に二次燃焼用の空気を外部から供給する二次燃焼用空気供給部と、前記燃焼炉の下部に設けられた当該燃焼炉を設置するための複数の脚部と、を備え、前記複数の脚部のうち少なくとも1つは中空管状に構成され、その上端部は中空部が前記燃焼室と連通するように前記燃焼炉に接続されているとともに、設置状態において外部の空気を流入可能に下端部に設けられた空気流入口を有し、前記二次燃焼用空気供給部は、前記中空管状の脚部からなる第1空気供給管路と、前記第1空気供給管路と連通するとともに先端部が前記二次燃焼部の上方に位置するように前記燃焼室の内面に沿って配管され且つ前記先端部が前記二次燃焼部に向かって空気を放出可能に構成された第2空気供給管路とを備える。
【0007】
ここで、上記木質バイオマス燃料は、薪、木材チップ、木質ペレット、木粉(おが粉)等が該当する。
〔発明2〕 さらに、発明2のストーブは、発明1のストーブにおいて、前記第2空気供給管路は、前記燃焼室の下部に平面状に配管されて前記燃料載置部を構成する下部配管部と、当該下部配管部と連通し前記燃焼炉の側面のいずれかの内周面に沿って下方から上方に向かって配管されるとともに先端部に前記二次燃焼部に向かって空気を放出するノズルが設けられた上部配管部とを備え、前記下部配管部及び前記上部配管部は、当該下部配管部及び当該上部配管部を横切る仮想線をそれぞれ引いたときにそれぞれの前記仮想線が2つ以上の管部分と交わるように配管されている。
【0008】
〔発明3〕 さらに、発明3のストーブは、発明2のストーブにおいて、前記下部配管部は、前記燃焼室の下部にジグザグに配管されている。
〔発明4〕 さらに、発明4のストーブは、発明3のストーブにおいて、前記下部配管部は、前記燃焼室の前記燃料投入口を挟む左右側面部の一方の内周面から他方の内周面に向かって且つ前記燃料投入口の存在する前端側とその反対側の後端側との間を前後に往復してジグザグに配管されているとともに、前端側で上側凸状に屈曲させてから後端側に向かって配管されている。
【0009】
〔発明5〕 さらに、発明5のストーブは、発明2乃至4のいずれか1のストーブにおいて、前記上部配管部は、前記燃焼炉の側面のいずれかの内周面に沿って下方から上方に向かってジグザグに配管されている。
〔発明6〕 さらに、発明6のストーブは、発明1乃至5のいずれか1のストーブにおいて、前記二次燃焼用空気供給部は、前記中空状の脚部からなる前記第1空気供給管路とは異なる第3空気供給管路と、当該第3空気供給管路と連通し、前記燃焼室の下部又は内側面の少なくとも一方に沿って先端部が前記二次燃焼部の上部に至る位置まで配管された第4空気供給管路とを更に備え、前記第4空気供給管路は、当該第4空気供給管路を横切る仮想線を引いたときに当該仮想線が1つの管部分と交わるように配管されている。
〔発明7〕 さらに、発明7のストーブは、発明6のストーブにおいて、前記第1空気供給管路及び前記第3空気供給管路を構成する前記中空管状の脚部には、それぞれ中空部分を流れる空気の流量を調整する流量調整バルブが設けられている。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、発明1のストーブによれば、中空管状の脚部が二次燃焼用の空気を供給する第1空気供給管路を担うので、燃焼炉の外部に別途供給管路を設ける必要が無くなりストーブを小型化することができる。また、中空管状の脚部の下端部に設置状態でも空気が流入可能な空気流入口を設ける構成としたので、設置状態において設置面に近い空気(冷たい空気)を流入させることができるので、煙突効果による上昇気流をより強く発生させることができる。
【0011】
また、発明2のストーブによれば、配管部を横切る仮想線が2つ以上の管部分と交わるように(例えば、ジグザグ状、ギザギザ状、らせん状に)配管するようにしたので、直線状に真っすぐに配管する構成と比較して管路長を長くすることができる。その結果、熱交換を行う距離を長くすることができるので二次燃焼用の空気をより高温に熱することができる。また、下部配管部に燃料載置部を兼用させる構成としたので、別途燃料載置用のプレートや底部等を設ける必要が無くストーブを軽量化することができる。
【0012】
また、発明3のストーブによれば、下部配管部を平面状にジグザグに配管するようにしたので、下部配管部の管路長を効率よく長くすることができるとともに、薪等の燃料を載置する平面部と、燃焼により残った灰を落とす隙間部とを有する燃料載置部を構成することができる。
【0013】
また、発明4のストーブによれば、下部配管部をより長尺にできるとともに、上側凸状の部分がアンダイアン(薪止め)の役割を果たすので、別途アンダイアンを設ける必要が無く部品点数を低減することができる。
また、発明5のストーブによれば、上部配管部をジグザグに配管するようにしたので、上部配管部の管路長を効率よく長くすることができる。
【0014】
また、発明6のストーブによれば、管路を横切る仮想線が1つの管部分と交わるように(例えば、直線状に)配管するようにしたので、第1空気供給管路及び第2空気供給管路と比較して単純且つ短い管路長となり、煙突効果による上昇気流を容易に発生させることができる。
【0015】
また、発明7のストーブによれば、流量調整部によって二次燃焼用の空気の流量を調整できるので、より細かく二次燃焼用空気の温度をコントロールすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る薪ストーブ1の一構成例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【
図2】本発明に係る薪ストーブ1の一構成例を示す図であり、(a)は左側面図、(b)は
図1(a)のA-A線断面図である。
【
図3】(a)は、
図1(a)のB-B線断面図、(b)は、
図2(a)のC-C線断面図である。
【
図4】本発明に係る薪ストーブ1から開閉扉20等の一部の部品を取り外した部分斜視図である。
【
図5】薪ストーブ1内部の配管構成を示す図である。
【
図6】薪ストーブ1の一次燃焼及び二次燃焼の様子を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔構成〕
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1乃至
図6は、本実施の形態を示す図である。
図1及び
図2は、本発明に係る薪ストーブ1の一構成例を示す図であり、
図1(a)は正面図、
図1(b)は平面図、
図2(a)は左側面図、
図2(b)は
図1(a)のA-A線断面図である。また、
図3(a)は、
図1(a)のB-B線断面図、
図3(b)は、
図2(a)のC-C線断面図である。
【0018】
以下、薪ストーブ1の正面側及び背面側を、適宜、前面側及び後面側とする。同様に、平面側及び底面側を、適宜、上面側及び下面側とする。
図1乃至
図3に示すように、薪ストーブ1は、煙突(図示略)のドラフト効果を利用する気密型のストーブであり、燃焼炉10と、開閉扉20と、左前脚部30Lと、右前脚部30Rと、左後脚部33Lと、右後脚部33Rとを備える。
【0019】
燃焼炉10は、略中空立方体形状を成し、内部には、燃焼室11と、燃焼室11の下方に燃焼室11と連通して設けられた集灰部12と、燃焼室11の下部に設けられた燃料載置部(後述する下部配管部43)とを備える。加えて、燃焼炉10の上部の左右中央の後方側には、燃焼室11と連通するとともに上方に突出して設けられた円筒状の煙突接続口13が設けられている。
【0020】
さらに、燃焼炉10の集灰部12より上側の正面(前端)には、燃焼室11と連通する燃料投入口14(
図3(a)を参照)が設けられ、燃焼炉10の左右側面の前後方向中央の上端部には、平面視略U字状のフォールディング取手17がそれぞれ下方に折り畳み可能に設けられている。すなわち、薪ストーブ1は、左右のフォールディング取手17を掴んで持ち運びが可能となっている。
【0021】
なおさらに、燃焼炉10下部の4隅には、それぞれ脚部を取り付けるための中空管状の円筒状の脚部取付部18が下方に突出して設けられている。脚部取付部18の上端部は例えば溶接やネジ止め等によって接合されており、前端部側の左右2つの脚部取付部18は、その中空部が内部と連通するように設けられている。また、各脚部取付部18の下端部の内周部には雌ネジ部が設けられている。
【0022】
燃焼室11は、燃料投入口14を介して燃料載置部(下部配管部43)の上に載置された燃料を、一次燃焼用の空気の供給を受けて一次燃焼する領域である一次燃焼部110を有している。加えて、一次燃焼部110の上方で一次燃焼によって発生した可燃性ガスを含む未燃焼ガスを、二次燃焼用の空気の供給を受けて再度燃焼する領域である二次燃焼部112を有している。また、二次燃焼部112と煙突接続口13との間には、一次燃焼によって発生した炎やガスが煙突接続口13(煙突)へと直接流れ込むのを阻止するための反射板60が設けられている。
集灰部12は、燃焼室11と連通しており、引き出し部50を前後方向に出し入れする前端側及び上端側に開口部を有する中空部120と、中空部120の周囲を平面視で略U字状に囲む枠部121とを有する。枠部121の前端側の左右両端には、左右前脚部30L及び30Rの中空部と連通する脚用開口部140h及び141hが設けられている。
【0023】
引き出し部50は、木質バイオマス燃料が燃焼した後に残る灰を集めるためのもので、上部が開口した箱状を成しており、正面側の側壁の中央部に丸棒を平面視横長U字状に加工した形状の取手51が取り付けられている。加えて、正面側の側壁の取手51を間に挟んだ左右には、一次燃焼用の空気を一次燃焼部110に外部から供給するための一次空気供給部52が1つずつ設けられている。一次空気供給部52は、流量調整板を回転させるための摘み部を中心に放射状に設けられた複数の通気口を有している。そして、流量調整板を回転させることで、通気口の開口量を調整することが可能となっており、これにより通気量を調整することができる。また、引き出し部50の開口部は、燃焼室11と連通しており、引き出し部50を引き出すことでも外部の空気を一次燃焼部110へと取り込むことができる。
開閉扉20は、燃料投入口14を開閉する扉であり、正面視で外形が矩形の窓枠部21と、窓枠部21に嵌め込まれた耐熱ガラスからなる正面視矩形の透明の窓部22と、窓枠部21の左側面側の枠部に設けられたハンドル式ロック23とを備える。窓枠部21は、右側面側の端部が上下に設けられた2つの蝶番25によって開閉可能に取り付けられている。また、ハンドル式ロック23は、ハンドル部分が着脱可能となっており、薪ストーブ1を使用中は開閉扉20を閉めた後(ロック後)にハンドル部分を取り外すことができる。
【0024】
さらに、開閉扉20の窓枠部21の上部には、複数の通気口26と、これら通気口26の開閉状態を調整するスライド機構27とが設けられている。スライド機構27を左右にスライドさせることで通気口26の開口面積を調整することができ、これにより通気量を調整することができる。これら複数の通気口26は、二次燃焼部112に二次燃焼用の空気(外気)を取り込む役割を有している。
左前脚部30Lは、燃焼炉10を地面等の水平面に設置する役割を有するとともに、二次燃焼部112に外気を供給する二次燃焼用空気供給部40(以下、「二次空気供給部40」と略称する)の一部を構成するものである。左前脚部30Lは、中空管状の上脚管31aと、上脚管31aの約半分の長さを有する中空管状の下脚管31bと、下脚管31bよりも短い中空管状の足管31cと、エルボ継手31dと、エアバルブ32とを備える。上脚管31a及び下脚管31bは、それぞれ長手方向の両端部の外周部に雄ネジ部が設けられた金属製の両ネジ管から構成されており、足管31cは長手方向の一端側の外周部のみに雄ネジ部が設けられた金属製の片ネジ管から構成されている。エアバルブ32は、バルブ本体32aと、バルブ本体32aの開口量(外気の流入量)を調節する開閉レバー32bとを有する。エルボ継手31d及びエアバルブ32のバルブ本体32aは、それぞれ両端部の内周部に雌ネジ部が形成されており、片ネジ管又は両ネジ管と接続されるように構成されている。
【0025】
即ち、上脚管31aの上端側雄ネジ部を左前脚部30L用の脚部取付部18の雌ネジ部に螺合するとともに、下端側雄ネジ部をエアバルブ32の上端側雌ネジ部に螺合する。加えて、エアバルブ32の上端側雌ネジ部に下脚管31bの上端側雄ネジ部を螺合し、下脚管31bの下端側雄ネジ部にエルボ継手31dの一端側雌ネジ部を螺合し、エルボ継手31dの他端側雌ネジ部に足管31cの雄ネジ部を螺合する。このようにして、左前脚部30Lが、燃焼炉10下部の前端側左側端部に接続される。
【0026】
なお、足管31cをエルボ継手31dによって接続する構成としたので、左前脚部30Lは全体で略L字状をなし、足管31cを設置平面に設置した状態でも足管31cの開口部31hは設置面によって塞がれることがない。そのため、足管31cの開口部31hが外気の流入口(空気取入口)としての役割を果たすことが可能である。また、エアバルブ32の開閉レバー32bを開閉操作することで外気の流入量を調整することが可能となっている。
【0027】
また、足管31cにホース等をつなぐことで、例えば、キャンプのテント内部や気密性住宅などにおいて外気の供給路を容易に確保することができる。この場合に、ホース等の接続厚さ分を考慮して、足管31cを設置面よりも高い位置に設ける構成としてもよい。
一方、右前脚部30Rは、燃焼炉10を地面等の水平面に設置する役割を有するとともに、二次燃焼部112に外気を供給する空気供給管路の役割と上昇気流を発生させ易くする役割とを有するものである。右前脚部30Rは、左前脚部30Lと同様の構成及び同様の燃焼炉10との接続構成を有している。
【0028】
右前脚部30Rは、燃焼炉10下部の前端側の右側端部に接続され、全体で略L字状をなしている。かかる構成により、足管31cの開口部31hが外気の流入口(空気取入口)の役割を果たすことが可能である。また、エアバルブ32の開閉レバー32bを開閉操作することで外気の流入量を調整することが可能となっている。
【0029】
左後脚部33L及び右後脚部33Rは、それぞれ上端部に雄ネジ部を有した有底の金属製の中空管から構成されている。左後脚部33Lは、燃焼炉10下部の後端側左側端部の脚部取付部18の雌ネジ部に雄ネジ部を螺合することで接続され、右後脚部33Rは、燃焼炉10下部の右側端部の脚部取付部18の雌ネジ部に雄ネジ部を螺合することで接続されている。
【0030】
次に、燃焼室11の内部構成について詳細に説明する。
図2(b)、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、燃焼室11の内部には、二次燃焼部112に二次燃焼用の空気を外部から供給するための二次空気供給部40を構成する空気供給管路が配管されている。
【0031】
具体的に、二次空気供給部40は、
図1乃至
図3に示すように、左前脚部30Lと、右前脚部30Rと、ドラフト用配管部41と、下部配管部43と、上部配管部47とを備える。
ドラフト用配管部41は、熱交換性が高く、折り曲げ容易で且つ耐熱性を有する金属製のフレキシブル管から構成されており、左前脚部30の中空部と一端部側で連通し、他端側が集灰部12内をその上部に沿って前端側から後端側に配管されるとともに、集配部12の後端側の内周面と燃焼室11の後端側の内周面である後内周面113Bに沿って且つ上部配管部47の後ろ側を通って下方から上方に向かって配管されている。このとき、ドラフト用配管部41の先端部は燃焼室11の上部で上方に向かって開口した状態となっている。
下部配管部43は、ドラフト用配管部41と同様のフレキシブル管から構成されており、左前脚部30の中空部と一端部側で連通し、他端部が上部配管部47の一端部と連通した構成となっている。加えて、燃焼室11の下部に左内周面113L側から右内周面113R側に向かって前後方向に往復しながらジグザグに配管された構成となっている。すなわち、下部配管部43は、平面状に配管されており、燃料を載置する燃料載置部の役割も兼ね備えている。
【0032】
上部配管部47は、下部配管部43と同様のフレキシブル管から構成されており、始端となる一端部が下部配管部43の終端となる他端部と連通した構成となっている。本実施の形態では、下部配管部43と上部配管部47とは1本のフレキシブル管から構成されている。さらに、上部配管部47は、後内周面113Bに沿って下方から上方に向かって左右方向に往復しながらジグザグに配管されるとともに、後端側の内周面の左右中央上部から上端側の内周面(反射板60(後述)の下側)に沿って前端側に配管された構成となっている。また、上部配管部47の先端部にはノズル47nが設けられている。
【0033】
なお、図示省略するが、開閉扉20、集灰用の引き出し部50などは、グラスファイバーロープ等のガスケット材によって隙間部分のシールをして燃焼炉10の気密性を高めることが望ましい。
次に、ドラフト用配管部41、下部配管部43及び上部配管部47の配管構成について詳細に説明する。
【0034】
図4は、本発明に係る薪ストーブ1から開閉扉20等の一部の部品を取り外した部分斜視図であり、
図5は、薪ストーブ1内部の配管構成を示す図である。
図示省略するが、ドラフト用配管部41の一端部は、
図2(b)に示す脚用開口部141hを通って右前脚部30Rのエアバルブ32と接続されている。
【0035】
一方、
図2(a)及び
図3(b)並びに
図4及び
図5に示すように、ドラフト用配管部41の他端側は、脚用開口部141hを通って集灰部12の中空部120内の引き出し部50の右内周面113R側の横を通って前端側から後端側へと直線状に配管され、後端側にて左内周面113L側に少し曲げられてからさらに上方側に曲げられて後内周面113Bに沿って且つ上部配管部47の後ろ側を通って下から上に向かって直線状に配管されている。このとき、ドラフト用配管部41の他端側の先端部は、上部配管部47の最上部の管の左端の後ろ側で上方に向かって開口した状態で配管されている。すなわち、ドラフト用配管部41は、その他端側の一部が後内周面113と上部配管部47との間に挟み込まれるようにして配管されている。
一方、下部配管部43の一端部は、
図2(b)に示すように、脚用開口部140hを通って左前脚部30のエアバルブ32と接続されている(図示略)。
【0036】
また、下部配管部43の脚用開口部140hを通って燃焼室11内に入った部分は、
図2(b)、
図4及び
図5に示すように、まず、左内周面113L側の最左端の前端側から後端側に向かって直線状に配管されている。加えて、後端側(後内周面113Bの手前)において平面視U字状に右内周面113R方向に屈曲されて方向転換して後端側から前端側へと直線状に配管され、前端側において正面視で上下逆U字状に起立且つ右内周面113R方向に屈曲して薪止め部43aを形成し、再び、後端側に向かって直線状に配管されている。以降は、後端側では平面視U字状に屈曲され、前端側では正面視上下逆U字状に屈曲されてジグザグに配管され、右内周面113R側の最右端にて後端側に配管されて、その終端位置から上部配管部47へと続いている。
【0037】
ここで、集灰部12の枠部121の左右端部上には、前端側にて左右方向に懸架された前側管固定板46Fと、後端側にて左右方向に懸架された後側管固定板46Bとが設けられている。下部配管部43は、前側管固定板46F及び後側管固定板46Bを前後方向に跨ぐように配管されている。そして、下部配管部43の前側管固定板46F及び後側管固定板46B上に配置されている直線部分がU字ボルト45及びナットによって前側管固定板46F及び後側管固定板46Bに固定されている。
【0038】
また、
図3(b)、
図4及び
図5に示すように、上部配管部47は、下部配管部43の終端位置から後内周面113Bに沿って上方に向かって直線状にわずかに配管された後、左内周面113L側に正面視L字状に折り曲げられて方向転換し、右端側から左端側に向かって直線状に配管されている。さらに、左端側(左内周面113Lの手前)において正面視U字状に上方に屈曲されて方向転換して左端側から右端側へと直線状に配管されている。さらに、右端側(右内周面113Rの手前)において正面視U字状に上方に屈曲されて方向転換して右端側から左端側へと直線状に配管されている。以降は、同様に左右端部側にて正面視U字状に屈曲されて方向転換しつつジグザグに配管されている。そして、最上端且つ最左端位置まで配管されると、前方側へと平面視U字状に折り曲げられて左右中央位置へと折り返すように配管され、左右中央位置から更に平面視L字状に折り曲げられて方向転換し、前端側へと向かって配管されている。このとき、先端部のノズル47nの放射口が、二次燃焼部112に向かうように配管されている。
【0039】
ここで、後内周面113Bには、左内周面113L及び右内周面113R側に、それぞれ上下方向に延在する左側管固定板49Lと、右側管固定板46Rとがそれぞれ設けられている。上部配管部47は、左側管固定板49L及び右側管固定板49Rを左右方向に跨ぐように配管されている。そして、上部配管部47の左側管固定板49L及び右側管固定板49R上に配置されている直線部分がU字ボルト48及びナットによって左側管固定板49L及び右側管固定板49Rに固定されている。
【0040】
次に、実際に薪を燃焼させたときの二次燃焼用空気の流れや温度変化等について説明する。なお、図示省略するが、煙突接続口13を介して煙突が正常に設置されていることとして説明する。
図6は、薪ストーブ1の一次燃焼及び二次燃焼の様子を示す模式図である。
薪ストーブ1は、通称、クリーンバーニングと呼ばれる燃焼方式を用い、一次燃焼部110にて薪等の木質バイオマス燃料を燃焼させ、二次燃焼部112にて一次燃焼部110にて発生した可燃性ガスを外部の空気と混合させ完全燃焼させるものである。
【0041】
また、薪ストーブ1は、燃料を燃焼させることで生じる煙突効果(ドラフト効果)によって、外部からの吸気及び煙突からの排煙(排気)を行うように構成されている。
燃焼に先だって、まず、煙突に設けられたダンパー(不図示)を操作して開閉部を全開の状態とし、スライド機構27を操作して通気口26を全開の状態とする。加えて、左右前脚部30L及び30Rのエアバルブ32の開閉レバー32bを操作していずれも全開の状態(流量最大の状態)とし、さらに、引き出し部50を例えば1[cm]ほど引き出す。これにより、燃焼室11内に外気を多めに取り込む状態にするとともに、煙突効果が最大限に発揮される状態とする。この状態で、燃料載置部に紙屑又は燃焼材を載置し、その上に小さい薪・枝などを載置し、さらにその上に大きな薪70を載置して、ガスバーナー等によって紙屑又は燃焼材に着火する。
これにより、
図6に示すように、薪70が燃焼状態となって、燃焼室11が熱せられるとともに外気よりも熱い空気が煙突内部に流入して煙突効果による上昇気流が発生する。これにより、
図1(a)に示すように、左前脚部30L及び右前脚部30Rの足管31cの開口部31h(空気取入口)からそれぞれ冷たい空気CAが流入する。
【0042】
特に、右前脚部30R及びドラフト用配管部41は直線状の比較的短い配管となっており、煙突効果による上昇気流が発生しやすい構成となっている。そのため、燃焼後の比較的早い段階で開口部31hから冷たい空気CAが流入して、右前脚部30Rの中空部(内部)を通ってドラフト用配管部41に流入し、二次燃焼用の空気として、先端の開口部から二次燃焼部112の上部に排出される。
一方、煙突効果による上昇気流によって左前脚部30Lの開口部31hから流入した冷たい空気CAは、二次燃焼用の空気として、左前脚部30Lの中空部(内部)を通って下部配管部43へと流入し、ジグザグに配管された下部配管部43内を上部配管部47に向かって移動する。このとき、薪70が一次燃焼しているため一次燃焼により発生する熱によって、管内部を移動するごとに空気が熱せられていく。即ち、
図2(b)中の矢印に示すように、下部配管部43の内部を移動する空気は上部配管部47に近づくほどより高温になる。ここで、
図2(b)中の矢印は、下部配管部43内を移動する二次燃焼用の空気の流れとその温度が上がっていく様子を示しており、色が薄いほど温度が低く、色が濃いほど温度が高いことを示している。
【0043】
引き続き、下部配管部43内を通過した空気はジグザグに配管された上部配管部47内を移動し、上部配管部47の下方では主に一次燃焼によって生じる熱によって熱せられ、上方では主に二次燃焼によって生じる熱によって熱せられて、
図3(b)中の矢印に示すように、内部を移動する空気が更に高温に熱せられていく。ここで、
図3(b)中の矢印は、上部配管部47内を移動する二次燃焼用の空気の流れとその温度が上がっていく様子を示しており、色が薄いほど温度が低く、色が濃いほど温度が高いことを示している。
【0044】
そして、上部配管部47内を通って高温に熱せられた空気HAは、
図6に示すように、ノズル47n(斜め上方)から二次燃焼部112に向けて放射される。ここで、二次燃焼部112には、一次燃焼部110における薪70の一次燃焼によって発生した可燃性ガスを含む未燃焼ガスUGが反射板60によって滞留している。従って、この未燃焼ガスUGに向けて、ノズル47nから高温に熱せられた二次燃焼用の空気HAが放射されることになり、未燃焼ガスUGと高温の空気HAとが混合して未燃焼ガスUG中の可燃性ガスが燃焼する。この燃焼によって、未燃焼ガスUGは黒色から無色に近い色に変化し、クリーンな無色煙CLAとして煙突接続口13を介して煙突(図示略)へと排出される。
【0045】
なお、薪ストーブ1の温度が例えば200~250°C程度になり、火力が安定してきたら引き出し50を完全に閉める。また、薪ストーブ1の温度が例えば250~400°C程度になり、火力が安定してきたらスライド機構27を操作して通気口26を半分程度開いた状態とする。また、薪ストーブ1の温度が例えば250~400°C程度になり、火力が安定してきたら右前脚部30Rの開閉レバー32を操作して完全に閉鎖した状態(流量ゼロの状態)とする。また、薪ストーブ1の温度が例えば300~350°C程度になり、火力が安定してきたら左前脚部30Lの開閉レバー32を操作して開閉部の開閉角度を45~60°の斜めの状態として半分程度の開状態として空気の流量を調整する。また、ストーブの温度が例えば300~350°C程度になり、火力が安定してきたら、ダンパーの開閉部の開閉角度を例えば45~60°程度の斜めの状態として半分程度の開状態としてドラフトの強さを調整する。
【0046】
このようにして、燃焼効率と燃費効率とのバランスがとれた燃焼状態へと調整することができる。また、燃焼状態を調整することで、オーロラのような炎を発生させることができる。
また、燃焼途中で薪70を追加するに際して、薪70の燃え残りなどが崩れた場合に、前端側に上下逆U字状に起立した下部配管部43の薪止め部43aが燃え残りを阻止して、燃料投入口14から外へと転がり落ちるのを防ぐことが可能である。また、開閉扉20を閉めて薪70を燃焼しているときも、燃焼している薪70が窓部22に直接当たるのを防ぐことができ、窓部22が汚れるのを防ぐことが可能である。
【0047】
〔実施の形態の効果〕
本実施の形態では、薪ストーブ1を、煙突接続口13と、燃料投入口14と、燃焼室11と、燃焼室11の下部に設けられた燃料載置部(下部配管部43)とを有する燃焼炉10を備え、燃焼室11が、下部配管部43上(燃料載置部)に載置された木質バイオマス燃料を一次燃焼する一次燃焼部110と、一次燃焼部110の上方において一次燃焼によって生じる未燃焼ガスを二次燃焼する二次燃焼部112とを有する構成とした。加えて、一次燃焼部110に一次燃焼用の空気を外部から供給する右前脚部30R及び一次空気供給部52と、二次燃焼部112に二次燃焼用の空気を外部から供給する二次燃焼用空気供給部40と、燃焼炉10下部の4隅にそれぞれ下方に突出して設けられた燃焼炉10を設置するための左右前脚部30L及び30R並びに左右後脚部33L及び33Rとを備える構成とした。さらに、左右前脚部30L及び30Rを、中空管状に構成するとともに、その上端部を中空部が燃焼室11と連通するように燃焼炉10に接続する構成とし、加えて、エルボ継手31dによって足管31cを全体でL字状となるように設けることで設置状態において外部の空気を流入可能に開口部31hを設ける構成とした。なおさらに、二次燃焼用空気供給部40は、左前脚部30Lと、左前脚部30Lと連通するとともに先端部のノズル47nが二次燃焼部112の上方に位置するように燃焼室11の内面に沿って配管され且つノズル47nが二次燃焼部112に向かって空気を放出可能に構成された下部配管部43及び上部配管部47とを備える構成とした。
【0048】
このような構成であれば、左前脚部30Lが二次燃焼用の空気供給管路を担うので、燃焼炉10の外部に別途供給管路を設ける必要が無くなり薪ストーブ1を小型化することができる。また、左右前脚部30L及び30Rの下端部に設置状態でも空気が流入可能な開口部31hを設ける構成としたので、設置状態において設置面に近い空気(冷たい空気)を流入させることができる。これにより、煙突効果による上昇気流をより強く発生させることができる。また、テント内や高気密住宅内に設置した場合に、足管31cにホース等をつなぐことで空気流入口を離れた位置に配置できるので外気供給が容易となる。
【0049】
また、本実施の形態では、さらに、下部配管部43を、燃焼室11の下部で且つ集灰部12の上部にジグザグ且つ平面状に配管して燃料載置部を兼任する構成とし、さらに、上部配管部47を、燃焼室11の後内周面113Bに沿って下方から上方に向かってジグザグに配管するとともに、後内周面113Bの上端部中央から二次燃焼部112の上方に向かって配管されて先端部のノズル47nが二次燃焼部112に向かって空気を放出する配管構成とした。
【0050】
このような構成であれば、下部配管部43及び上部配管部47をジグザグに配管するとともに下部配管部43が燃料載置部を兼ねるので、二次燃焼用の空気供給管路(空気を熱する経路)を長尺にできるとともに別途燃料載置用のプレートや底部等を設ける必要が無いので薪ストーブ1を軽量化することができる。
【0051】
また、本実施の形態では、さらに、下部配管部43を、燃焼室11の燃料投入口14を挟む左内周面113Lから右内周面113Rに向かって且つ燃料投入口14の存在する前端側とその反対側の後端側との間を前後に往復してジグザグに配管する構成とするとともに、前端側で正面視上下逆U字状に屈曲させてから後端側に向かって配管する構成とした。
【0052】
このような構成であれば、二次燃焼用の空気供給管路をより長尺にできるとともに、複数の薪止め部43aにアンダイアン(薪止め)の役割を兼任させることができるので、別途アンダイアンを設ける必要が無く部品点数を低減することができる。
また、本実施の形態では、さらに、二次空気供給部40が、右前脚部30Rと、右前脚部30Rと連通し燃焼室11の下部及び後側内周面113Bに沿って先端部が二次燃焼部112の上部に至る位置まで配管されたドラフト用配管部41とを更に備える構成とした。加えて、ドラフト用配管部41を、集灰部12の中空部120内の引き出し部50の右内周面113R側の横を通って前端側から後端側へと直線状に配管され、後端側にて左内周面113L側に少し曲げられてからさらに上方側に曲げられて後内周面113Bに沿って且つ上部配管部47の後ろ側を通って下から上に向かって直線状に配管された構成とした。
【0053】
このような構成であれば、左前脚部30L、下部配管部43及び上部配管部47から構成される管路と比較して、右前脚部30R及びドラフト用配管部41から構成される管路の方が単純且つ短い構成の管路となるので、煙突効果による上昇気流を容易に発生させることができる。
また、本実施の形態では、さらに、右前脚部30R及び下部配管部43を構成する左前脚部30Lには、それぞれ中空部分を流れる空気の流量を調整するエアバルブ32を設けた。
【0054】
このような構成であれば、エアバルブ32によって二次燃焼用の空気の流量を調整できるので、より細かく燃焼用空気の温度をコントロールすることができる。
ところで、薪ストーブ1において、オーロラのように揺れる炎を発生させるには、木材を燃やすというよりは、炭焼きに近い状態を作り出すことが重要である。すなわち、炭焼きの熱分解と木材の燃焼とをバランスよく同時進行させる必要がある。そのためには、同時進行に必要な最小限の空気を力強く吸気する事が必要であり、薪ストーブ1では、ジグザグの配管を行うことで、煙突と吸気配管(下部配管部43及び上部配管部47)の内部温度を高温に保ち、且つ空気供給管路の長さを稼ぐことで、小さな開口部31hから強力に吸気するようにしている。
【0055】
〔対応関係〕
本実施の形態において、引き出し部50及び一次空気供給部52が、発明1の一次燃焼用空気供給部に対応し、通気口26、左右前脚部30L及び30R、ドラフト用配管部41、下部配管部43並びに上部配管部47は、発明1及び6の二次燃焼用空気供給部に対応している。
【0056】
また、本実施の形態において、左前脚部30Lが、発明1、6及び7の第1空気供給管路に対応し、開口部31hが、発明1の空気流入口に対応し、下部配管部43及び上部配管部47が、発明1及び2の第2空気供給管路に対応している。
また、本実施の形態において、右前脚部30Rが、発明6及び7の第3空気供給管路に対応し、ドラフト用配管部41が、発明6の第4空気供給管路に対応し、エアバルブ32が、発明7の流量調整バルブに対応している。
〔変形例〕
上記実施の形態においては、左前脚部30Lを二次燃焼用空気供給部40の一部として、下部配管部43を左内周面113Lから右内周面113Rに向かってジグザグに配管する構成としたが、この構成に限らない。例えば、右前脚部30Rを二次燃焼用空気供給部40の一部として、下部配管部43を右内周面113Rから左内周面113Lに向かってジグザグに配管する構成としてもよい。
【0057】
また、上記実施の形態及びその変形例において、上部配管部47を後内周面113Bに沿って下から上に向かってジグザグに配管する構成としたが、この構成に限らず、例えば、左内周面113L又は右内周面113Rに沿って配管する構成としてもよい。
また、上記実施の形態及びその変形例において、下部配管部43及び上部配管部47をジグザグに配管する構成としたが、この構成に限らず、必要な管路長を確保できれば、例えば、ギザギザ状、らせん状等の他の配管構成としてもよい。
【0058】
また、上記実施の形態及びその変形例において、左右後脚部33L及び33Rに足管を設けない構成としたが、この構成に限らず、左右後脚部33L及び33Rにも足管31cと同等の管をエルボ継手を介して設ける構成としてもよい。この場合に、足管の開口部を塞ぐ構成としてもよい。
【0059】
また、上記実施の形態及びその変形例において、左右前脚部30L及び30R並びに左右後脚部33L及び33Rを、長さ可変の構成としていないが、この構成に限らず、長さ可変の構成(例えば伸縮可能な構成)としてもよい。
また、上記実施の形態及びその変形例において、二次燃焼用空気供給部40から外気の供給によって、二次燃焼部112にて二次燃焼を行う構成としたが、この構成に限らない。例えば、二次燃焼部112に触媒を設置してより低温でも効率よく二次燃焼できる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…薪ストーブ、 10…燃焼炉、 11…燃焼室、 12…集灰部、 13…煙突接続口、 14…燃料投入口、 17…フォールディング取手、 18…脚部取付部、 20…開閉扉、 21…窓枠部、 22…窓部、 23…ハンドル式ロック、 25…蝶番、 26…通気口、 27…スライド機構、 30L,30R…左,右前脚部、 31a…上脚管、 31b…下脚管、 31c…足管、 31d…エルボ継手、 31h…開口部、 32…エアバルブ、 33L,33R…左、右後脚部、 40…二次燃焼用空気供給部、 41…ドラフト用配管部、 43…下部配管部、 43a…薪止め部、 45,48…U字ボルト、 46F,46B…前,後側管固定板、 47…上部配管部、 49L,49R…左,右側管固定板、 50…引き出し部、 51…取手、 52…一次空気供給部、 52…一次空気供給部、 60…反射板、 110…一次燃焼部、 112…二次燃焼部、 113L,113R…左,右内周面、 113B…後内周面、 120…中空部、 121…枠部、 140h,141h…脚用開口部
【手続補正書】
【提出日】2021-10-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
煙突接続口と、燃料投入口と、燃焼室と、当該燃焼室の下部に設けられた燃料載置部とを有する燃焼炉を備え、前記燃料投入口を介して前記燃料載置部に載置された木質バイオマス燃料を燃焼するストーブであって、
前記燃焼室は、前記燃料載置部に載置された前記木質バイオマス燃料を一次燃焼する一次燃焼部と、当該一次燃焼部の上方において前記一次燃焼によって生じる未燃焼ガスを二次燃焼する二次燃焼部とを備え、
前記一次燃焼部に一次燃焼用の空気を外部から供給する一次燃焼用空気供給部と、
前記二次燃焼部に二次燃焼用の空気を外部から供給する二次燃焼用空気供給部と、
前記燃焼炉の下部に設けられた当該燃焼炉を設置するための複数の脚部と、を備え、
前記複数の脚部のうち少なくとも1つは中空管状に構成され、その上端部は中空部が前記燃焼室と連通するように前記燃焼炉に接続されているとともに、設置状態において外部の空気を流入可能に下端部に設けられた空気流入口を有し、
前記二次燃焼用空気供給部は、前記中空管状の脚部からなる第1空気供給管路と、前記第1空気供給管路と連通するとともに先端部が前記二次燃焼部の上方に位置するように前記燃焼室の内面に沿って配管され且つ前記先端部が前記二次燃焼部に向かって空気を放出可能に構成された第2空気供給管路とを備え、
前記第2空気供給管路は、前記燃焼室の下部に平面状に配管されて前記燃料載置部を構成する下部配管部と、当該下部配管部と連通し前記燃焼炉の側面のいずれかの内周面に沿って下方から上方に向かって配管されるとともに先端部に前記二次燃焼部に向かって空気を放出するノズルが設けられた上部配管部とを備え、
前記下部配管部及び前記上部配管部は、当該下部配管部及び当該上部配管部を横切る仮想線をそれぞれ引いたときにそれぞれの前記仮想線が2つ以上の管部分と交わるように配管されていることを特徴とするストーブ。
【請求項2】
請求項1において、
前記下部配管部は、前記燃焼室の下部にジグザグに配管されていることを特徴とするストーブ。
【請求項3】
請求項2において、
前記下部配管部は、前記燃焼室の前記燃料投入口を挟む左右側面部の一方の内周面から他方の内周面に向かって且つ前記燃料投入口の存在する前端側とその反対側の後端側との間を前後に往復してジグザグに配管されているとともに、前端側で上側凸状に屈曲させてから後端側に向かって配管されていることを特徴とするストーブ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記上部配管部は、前記燃焼炉の側面のいずれかの内周面に沿って下方から上方に向かってジグザグに配管されていることを特徴とするストーブ。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、
前記二次燃焼用空気供給部は、前記中空状の脚部からなる前記第1空気供給管路とは異なる第3空気供給管路と、当該第3空気供給管路と連通し、前記燃焼室の下部又は内側面の少なくとも一方に沿って先端部が前記二次燃焼部の上部に至る位置まで配管された第4空気供給管路とを更に備え、
前記第4空気供給管路は、当該第4空気供給管路を横切る仮想線を引いたときに当該仮想線が1つの管部分と交わるように配管されていることを特徴とするストーブ。
【請求項6】
請求項5において、
前記第1空気供給管路及び前記第3空気供給管路を構成する前記中空管状の脚部には、それぞれ中空部分を流れる空気の流量を調整する流量調整バルブが設けられていることを特徴とするストーブ。
【手続補正書】
【提出日】2021-12-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項5
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、
前記二次燃焼用空気供給部は、前記中空管状の脚部からなる前記第1空気供給管路とは異なる第3空気供給管路と、当該第3空気供給管路と連通し、前記燃焼室の下部又は内側面の少なくとも一方に沿って先端部が前記二次燃焼部の上部に至る位置まで配管された第4空気供給管路とを更に備え、
前記第4空気供給管路は、当該第4空気供給管路を横切る仮想線を引いたときに当該仮想線が1つの管部分と交わるように配管されていることを特徴とするストーブ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
【
図1】本発明に係る薪ストーブ1の一構成例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【
図2】本発明に係る薪ストーブ1の一構成例を示す図であり、(a)は
右側面図、(b)は
図1(a)のA-A線断面図である。
【
図3】(a)は、
図1(a)のB-B線断面図、(b)は、
図2(a)のC-C線断面図である。
【
図4】本発明に係る薪ストーブ1から開閉扉20等の一部の部品を取り外した部分斜視図である。
【
図5】薪ストーブ1内部の配管構成を示す図である。
【
図6】薪ストーブ1の一次燃焼及び二次燃焼の様子を示す模式図である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0017】
〔構成〕
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1乃至
図6は、本実施の形態を示す図である。
図1及び
図2は、本発明に係る薪ストーブ1の一構成例を示す図であり、
図1(a)は正面図、
図1(b)は平面図、
図2(a)は
右側面図、
図2(b)は
図1(a)のA-A線断面図である。また、
図3(a)は、
図1(a)のB-B線断面図、
図3(b)は、
図2(a)のC-C線断面図である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
具体的に、二次空気供給部40は、
図1乃至
図3に示すように、左前脚部30Lと、右前脚部30Rと、ドラフト用配管部41と、下部配管部43と、上部配管部47とを備える。
ドラフト用配管部41は、熱交換性が高く、折り曲げ容易で且つ耐熱性を有する金属製のフレキシブル管から構成されており、左前脚部30の中空部と一端部側で連通し、他端側が集灰部12内をその上部に沿って前端側から後端側に配管されるとともに、
集灰部12の後端側の内周面と燃焼室11の後端側の内周面である後内周面113Bに沿って且つ上部配管部47の後ろ側を通って下方から上方に向かって配管されている。このとき、ドラフト用配管部41の先端部は燃焼室11の上部で上方に向かって開口した状態となっている。
下部配管部43は、ドラフト用配管部41と同様のフレキシブル管から構成されており、左前脚部30の中空部と一端部側で連通し、他端部が上部配管部47の一端部と連通した構成となっている。加えて、燃焼室11の下部に左内周面113L側から右内周面113R側に向かって前後方向に往復しながらジグザグに配管された構成となっている。すなわち、下部配管部43は、平面状に配管されており、燃料を載置する燃料載置部の役割も兼ね備えている。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
1…薪ストーブ、 10…燃焼炉、 11…燃焼室、 12…集灰部、 13…煙突接続口、 14…燃料投入口、 17…フォールディング取手、 18…脚部取付部、 20…開閉扉、 21…窓枠部、 22…窓部、 23…ハンドル式ロック、 25…蝶番、 26…通気口、 27…スライド機構、 30L,30R…左,右前脚部、 31a…上脚管、 31b…下脚管、 31c…足管、 31d…エルボ継手、 31h…開口部、 32…エアバルブ、 33L,33R…左、右後脚部、 40…二次燃焼用空気供給部、 41…ドラフト用配管部、 43…下部配管部、 43a…薪止め部、 45,48…U字ボルト、 46F,46B…前,後側管固定板、 47…上部配管部、 49L,49R…左,右側管固定板、 50…引き出し部、 51…取手、 52…一次空気供給部、 60…反射板、 110…一次燃焼部、 112…二次燃焼部、 113L,113R…左,右内周面、 113B…後内周面、 120…中空部、 121…枠部、 140h,141h…脚用開口部
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】