(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120484
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】部品実装システムおよび部品装着装置ならびに部品実装方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20230823BHJP
【FI】
H05K13/02 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023386
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】馬渡 道明
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC04
5E353CC17
5E353EE02
5E353EE03
5E353EE51
5E353GG02
5E353GG11
5E353GG12
5E353GG17
5E353GG31
5E353KK01
5E353KK11
5E353LL06
5E353LL07
5E353QQ05
(57)【要約】
【課題】下流からの基板の逆搬送を容易に設定することができる部品実装システムおよび部品装着装置ならびに部品実装方法を提供する。
【解決手段】部品実装システムは、基板に部品を装着する作業を行う第1部品装着装置と、第1部品装着装置の下流に設けられた第2部品装着装置とを備える。第1部品装着装置および第2部品装着装置は、基板の搬送方法として、上流から基板を搬入する第1搬送モード、または、下流から基板を搬入する第2搬送モードのいずれかを設定する設定部を有する。第1部品装着装置の設定部が搬送方法として第2搬送モードの設定を受け付け(ST1)、第1部品装着装置の設定部が搬送方法を第2搬送モードに移行させると(ST4)、第2部品装着装置の設定部が搬送方法を第2搬送モードに移行させる(ST9)。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に部品を装着する作業を行う第1部品装着装置と、
前記第1部品装着装置の下流に設けられた少なくとも1つの第2部品装着装置と、を備え、
前記第1部品装着装置および前記第2部品装着装置は、前記基板の搬送方法として、上流から前記基板を搬入する第1搬送モード、または、下流から前記基板を搬入する第2搬送モードのいずれかを設定する設定部をそれぞれ有し、
前記第1部品装着装置の前記設定部が前記第1部品装着装置の前記搬送方法を前記第2搬送モードに設定すると、前記第2部品装着装置の前記設定部が前記第2部品装着装置の前記搬送方法を前記第2搬送モードに設定する、部品実装システム。
【請求項2】
前記第1部品装着装置は第1通信部を有し、
前記第1部品装着装置の前記設定部が前記搬送方法を前記第2搬送モードに移行させると、前記第1通信部は、前記第2搬送モードへの移行を要求する情報を前記第2部品装着装置に送信する、請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項3】
前記第1部品装着装置および前記第2部品装着装置は、前記第1搬送モードにおいて、上流からの前記基板の搬入が可能であることを示す第1信号線と、下流への前記基板の搬出が可能であることを示す第2信号線をそれぞれ有し、
前記第2搬送モードでは、前記第2信号線を用いて下流からの前記基板の搬入が可能であることを示し、前記第1信号線を用いて上流への前記基板の搬出が可能であることを示す、請求項1または2に記載の部品実装システム。
【請求項4】
前記設定部は、前記第2搬送モードへの移行を受け付けた後、前記第1搬送モードによりその装置内にある全ての基板が下流に搬出されると前記搬送方法を前記第2搬送モードに移行させる、請求項1から3のいずれか1項に記載の部品実装システム。
【請求項5】
前記第1部品装着装置の前記設定部は、前記第2搬送モードへの移行を受け付けると、上流から前記第1部品装着装置への前記基板の搬入を抑止するように設定する、請求項1から4のいずれか1項に記載の部品実装システム。
【請求項6】
前記第2部品装着装置は、第2通信部を有し、
前記部品実装システムは、複数の前記第2部品装着装置を備え、
複数の前記第2部品装着装置の中の最下流の前記第2部品装着装置の前記設定部が前記搬送方法を前記第2搬送モードに移行させると、最下流の前記第2部品装着装置の前記第2通信部は、最下流の前記第2部品装着装置の下流からの前記基板の搬入が可能である旨を作業者が使用する情報端末に通知する、請求項1から5のいずれか1項に記載の部品実装システム。
【請求項7】
前記第1部品装着装置の前記設定部は、前記第2搬送モードによる前記第1部品装着装置への前記基板の搬入が完了すると、前記搬送方法を前記第1搬送モードに移行させる、請求項1から6のいずれか1項に記載の部品実装システム。
【請求項8】
前記第2部品装着装置の前記設定部は、前記第2搬送モードによる上流への前記基板の搬出が完了すると、前記搬送方法を前記第1搬送モードに移行させる、請求項1から7のいずれか1項に記載の部品実装システム。
【請求項9】
前記第1部品装着装置は、前記基板を留めおく複数の位置を有し、
前記第1部品装着装置の前記設定部は、設定された枚数の前記基板が前記第2搬送モードにより前記位置に搬入されると、前記搬送方法を前記第1搬送モードに移行させる、請求項1から8のいずれか1項に記載の部品実装システム。
【請求項10】
前記第1部品装着装置は、前記基板を搬送するための搬入コンベア、前記搬入コンベアの下流に位置する作業ステーションコンベア、前記作業ステーションコンベアの下流に位置する搬出コンベアを有し、
前記基板は、前記設定された枚数に応じて前記第2搬送モードによって、前記搬入コンベアまたは前記作業ステーションコンベアに搬送される、請求項9に記載の部品実装システム。
【請求項11】
前記第1部品装着装置は、
前記基板に付されたコードを読み取る撮像部と、前記基板に対する部品装着の履歴情報を記憶する記憶部とを有し、
前記第2搬送モードで搬入された前記基板を、前記コードの読み取りにより得られた識別情報を前記履歴情報と照合して特定する、請求項1から10のいずれか1項に記載の部品実装システム。
【請求項12】
前記第1部品装着装置および前記第2部品装着装置は、前記基板を搬送する複数の搬送レーンを並列に有し、
前記設定部は、複数の前記搬送レーンの各々について、前記第1搬送モードまたは前記第2搬送モードに設定する、請求項1から11のいずれか1項に記載の部品実装システム。
【請求項13】
連結して使用され、上流または下流から搬入した基板に部品を装着する作業を行う部品装着装置であって、
前記基板の搬送方法として、上流から前記基板を搬入する第1搬送モード、または、下流から前記基板を搬入する第2搬送モードのいずれかを設定する設定部を有し、
上流に連結された部品装着装置の前記設定部が前記搬送方法を前記第2搬送モードに移行させると、下流に連結された部品装着装置の前記設定部が前記搬送方法を前記第2搬送モードに移行させる、部品装着装置。
【請求項14】
基板に部品を装着する作業を行う第1部品装着装置と、前記第1部品装着装置の下流に設けられた少なくとも1つの第2部品装着装置とを備えた部品実装システムにおける部品実装方法であって、
前記第1部品装着装置および前記第2部品装着装置は、前記基板の搬送方法として、上流から前記基板を搬入する第1搬送モード、または、下流から前記基板を搬入する第2搬送モードのいずれかを設定する設定部をそれぞれ有し、
前記第1部品装着装置の前記設定部が前記搬送方法として前記第2搬送モードの設定を受け付け、
前記第1部品装着装置の前記設定部が前記搬送方法を前記第2搬送モードに移行させると、
前記第2部品装着装置の前記設定部が前記搬送方法を前記第2搬送モードに移行させる、部品実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に部品を装着する部品実装システムおよび部品装着装置ならびに部品実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に部品を装着した実装基板を生産する部品実装ラインでは、連結された複数の部品装着装置において上流から下流に基板を順に搬送させながら基板に部品が装着される。ところで、実装基板の生産前に部品装着装置で行われる基板を用いたパラメータの設定作業や部品の試し装着、欠品部品のリペア装着などでは、連結された部品装着装置の上流から下流に基板を搬送させるのではなく、最下流から投入した基板を上流に逆搬送させて作業対象の部品装着装置に搬入させる方が効率的な場合がある(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1の部品実装システムでは、基板を逆搬送させる部品装着装置を、下流から投入された基板を装置内に搬入する基板逆搬入モード、または、下流から投入された基板を通過させて上流の装置まで搬送する基板逆搬送モードのいずれかに設定することで、基板の逆搬送を実現させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1を含む従来技術では、部品実装ラインを構成する部品装着装置において基板を逆搬送させることはできるものの、逆搬送させる部品装着装置の各々で基板逆搬入モードか基板着搬送モードを正しく設定する必要がある。この設定は複雑であるため設定を誤ることがあり、部品実装ラインにおいて基板の逆搬送を容易かつ確実に設定するためにはさらなる改善の余地があった。
【0006】
そこで本発明は、下流からの基板の逆搬送を容易に設定することができる部品実装システムおよび部品装着装置ならびに部品実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の部品実装システムは、基板に部品を装着する作業を行う第1部品装着装置と、前記第1部品装着装置の下流に設けられた少なくとも1つの第2部品装着装置と、を備え、前記第1部品装着装置および前記第2部品装着装置は、前記基板の搬送方法として、上流から前記基板を搬入する第1搬送モード、または、下流から前記基板を搬入する第2搬送モードのいずれかを設定する設定部をそれぞれ有し、前記第1部品装着装置の前記設定部が前記第1部品装着装置の前記搬送方法を前記第2搬送モードに設定すると、前記第2部品装着装置の前記設定部が前記第2部品装着装置の前記搬送方法を前記第2搬送モードに設定する。
【0008】
本発明の部品装着装置は、連結して使用され、上流または下流から搬入した基板に部品を装着する作業を行う部品装着装置であって、前記基板の搬送方法として、上流から前記基板を搬入する第1搬送モード、または、下流から前記基板を搬入する第2搬送モードのいずれかを設定する設定部を有し、上流に連結された部品装着装置の前記設定部が前記搬送方法を前記第2搬送モードに移行させると、下流に連結された部品装着装置の前記設定部が前記搬送方法を前記第2搬送モードに移行させる。
【0009】
本発明の部品実装方法は、基板に部品を装着する作業を行う第1部品装着装置と、前記第1部品装着装置の下流に設けられた少なくとも1つの第2部品装着装置とを備えた部品実装システムにおける部品実装方法であって、前記第1部品装着装置および前記第2部品装着装置は、前記基板の搬送方法として、上流から前記基板を搬入する第1搬送モード、または、下流から前記基板を搬入する第2搬送モードのいずれかを設定する設定部をそれぞれ有し、前記第1部品装着装置の前記設定部が前記搬送方法として前記第2搬送モードの設定を受け付け、前記第1部品装着装置の前記設定部が前記搬送方法を前記第2搬送モードに移行させると、前記第2部品装着装置の前記設定部が前記搬送方法を前記第2搬送モードに移行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、下流からの基板の逆搬送を容易に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施の形態の部品実装システムの構成説明図
【
図2】本発明の一実施の形態の部品装着装置の要部の構成および機能を示す断面図
【
図3】本発明の一実施の形態の部品装着装置の制御系の構成を示すブロック図
【
図4】本発明の一実施の形態の部品装着装置のタッチパネルに表示された動作モード設定画面の一例を示す図
【
図5】本発明の一実施の形態の部品実装の工程説明図
【
図6】本発明の一実施の形態の部品実装の工程説明図
【
図7】本発明の一実施の形態の部品実装の工程説明図
【
図8】本発明の一実施の形態の部品実装の工程説明図
【
図9】本発明の一実施の形態の部品実装の工程説明図
【
図10】本発明の一実施の形態の部品実装方法のフロー図
【
図11】本発明の一実施の形態の部品実装方法のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装システム、部品装着装置の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸として、基板搬送方向のX軸(
図1における左右方向)、基板搬送方向に直交するY軸(
図1における上下方向)が示される。
図2、及び後述する一部では、水平面と直交する高さ方向としてZ軸(
図2における上下方向)が示される。
【0013】
まず
図1を参照して、部品実装システム1の構成を説明する。部品実装システム1は、基板に部品を装着して実装基板を製造する機能を有する。部品実装システム1は、基板搬送方向の上流(紙面左側)から下流(紙面右側)に向けて、5台の部品装着装置M1~M5が直列に連結されている。なお、部品実装システム1が備える部品装着装置M1~M5は5台に限定されることはなく、2台から4台または6台以上でも良い。部品装着装置M1~M5は、通信ネットワークNTを介して管理コンピュータCPと接続されている。
【0014】
部品装着装置M1~M5は、2列の基板搬送部を備えた複数ライン方式の設備である。これらの基板搬送部を直列に連結することにより、上流から下流に基板搬送方向(X軸)に沿うように2条の基板搬送ラインLA,LBが形成される。部品実装システム1による実装基板の製造過程では、作業対象の基板は基板搬送ラインLA,LBによって上流から下流へ順搬送され、部品装着装置M1~M5によって部品が装着される。このように、部品装着装置M1~M5は、基板を搬送する複数の搬送レーン(基板搬送ラインLA,LB)を並列に有している。以下、基板搬送ラインLAが配置された側を「前」、基板搬送ラインLBが配置された側を「後」と称する。
【0015】
図1において、最上流の部品装着装置M1の上流には、図示省略する印刷装置が配置されている。印刷装置は、基板に形成された電極にはんだペーストを印刷する。部品装着装置M1の基板搬送ラインLAと基板搬送ラインLBは、印刷装置からはんだペーストが印刷された基板を受け取る(矢印a)。部品装着装置M1~M5において部品が装着された基板は、最下流の部品装着装置M5の基板搬送ラインLAと基板搬送ラインLBからリフロー装置に向けて搬出される(矢印b)。リフロー装置は、基板を加熱してはんだペーストを融解させて基板に部品をはんだ接合させる。
【0016】
なお、部品実装システム1は、部品装着装置M1の上流または部品装着装置M5の下流に、部品装着装置M1,M5との間で基板の受け渡しを行うとともに、基板の投入、回収が可能な連結コンベアを連結してもよい。部品装着装置M1~M5に対して、パーツフィーダ4に部品を補給する部品補給作業、装置エラーを復旧させるエラー対応作業、製造する実装基板の種類を変更する段取り替え作業、装置の動作パラメータを設定するティーチ作業などの各種作業を実行する作業者Wは、情報端末Tを所持している。情報端末Tには、無線通信により部品装着装置M1~M5や、部品装着装置M1~M5を統括して制御する管理コンピュータCPから作業に関する各種指示、情報が通知される。
【0017】
次に、
図1、
図2を参照して、部品装着装置M1~M5の構成と機能について説明する。部品装着装置M1~M5は同様の構成であり、以下、部品装着装置M4を例として説明する。
図2は、前側から見た部品装着装置M4、部品装着装置M4の上流に連結された部品装着装置M3と下流に連結された部品装着装置M5の要部の構成を示している。
図2では、2条の基板搬送ラインLA,LBのうち、前側の基板搬送ラインLA(レーンA)のみを示しているが、後側の基板搬送ラインLB(レーンB)についても同様である。
【0018】
図1において、部品装着装置M4の基台2の中央には、2条の基板搬送ラインLA,LBがX方向に配置されている。前側の基板搬送ラインLA(レーンA)には、上流から2つの作業ステーション[A1],[A2]が設定されている。同様に後側の基板搬送ラインLB(レーンB)には、上流から2つの作業ステーション[B1],[B2]が設定されている。部品装着装置M4は、これらの複数の作業ステーションのうちの少なくとも一つの作業ステーションにおいて、基板に部品を装着する部品装着作業を行う。
【0019】
基板搬送ラインLA,LBの前後の外側には部品供給部3A,3Bが配置されている。部品装着作業では、部品供給部3A,3Bのパーツフィーダ4から取り出した部品が、いずれかの作業ステーションに搬入された基板に装着される。部品装着装置M4の前後の両側面には、作業者Wが操作するタッチパネル5A,5Bが設置されている。タッチパネル5A,5Bは、その表示部に各種情報を表示し、また表示部に表示される操作ボタンなどを使って作業者Wがデータ入力や部品装着装置M4の操作、設定を行う。
【0020】
図2において、部品装着装置M4は、基板を搬送する複数のコンベアユニット(搬入コンベア6、作業ステーションコンベア7L,7Rおよび搬出コンベア8)をX軸に沿って直列に配置した構成の基板搬送部を備えている。部品装着装置M4は、これらの基板搬送部を、基板搬送ラインLA,LBのそれぞれに備えている。基板搬送部を構成する搬入コンベア6、作業ステーションコンベア7L、作業ステーションコンベア7R、搬出コンベア8は、それぞれコンベア駆動モータD1,D2,D3,D4によって駆動される。コンベア駆動モータD1~D4は、部品装着装置M4が備える制御装置13によって制御される。
【0021】
基板搬送部は、コンベア駆動モータD1~D4を順方向に駆動することにより、上流の部品装着装置M3から渡された基板を(矢印c)、搬入コンベア6、作業ステーションコンベア7L、作業ステーションコンベア7R、搬出コンベア8の順に、順搬送させることができる。また、基板搬送部は、コンベア駆動モータD1~D4を逆方向に駆動することにより、下流の部品装着装置M5から渡された基板を(矢印d)、搬出コンベア8、作業ステーションコンベア7R、作業ステーションコンベア7L、搬入コンベア6の順に、逆搬送させることができる。
【0022】
図2において、基板搬送部による基板の順搬送、逆搬送を制御するため、搬入コンベア6、作業ステーションコンベア7L、作業ステーションコンベア7R、搬出コンベア8には、基板を検出する複数の基板検出センサ(図示省略)が配置されている。複数の基板検出センサによる基板の検出結果は制御装置13に送信される。制御装置13は、複数の基板センサによる基板の検出結果に基づいてコンベア駆動モータD1~D4を制御して、搬入コンベア6、作業ステーションコンベア7L、作業ステーションコンベア7R、搬出コンベア8にそれぞれ設定されている基板の停止位置(基板を留めおく位置)まで移動させる。
【0023】
このように、部品装着装置M4は、基板を搬送するための搬入コンベア6、搬入コンベア6の下流に位置する作業ステーションコンベア7L,7R、作業ステーションコンベア7L,7Rの下流に位置する搬出コンベア8を有している。搬入コンベア6、作業ステーションコンベア7L、作業ステーションコンベア7R、搬出コンベア8は、それぞれ基板を留め置く位置を有している。すなわち、部品装着装置M4は、基板を留めおく複数の停止位置を有している。
【0024】
図2において、作業ステーションコンベア7L,7Rには、基板に部品装着作業を実行する作業ステーション[A1],[A2]が設定されている。作業ステーション[A1],[A2]において、作業ステーションコンベア7L,7Rの下方には、基板下受け部10L,10Rが配置されている。基板下受け部10L,10Rは、それぞれ昇降機構12によって昇降(矢印e)する下受けピン11を備えている。作業ステーションコンベア7L,7Rにおいて、基板下受け部10L,10Rに基板が搬入された状態で、基板下受け部10L,10Rを駆動することにより、作業対象の基板が下受けピン11によって下受け支持される。
【0025】
作業ステーション[A1],[A2]のそれぞれにおいて、作業ステーションコンベア7L,7Rの上方には、部品装着ヘッド9L、9Rが配置されている。部品装着ヘッド9L、9Rは、ヘッド移動機構(図示省略)によって部品供給部3A,3Bと作業ステーション[A1],[A2]に位置決めされた基板との間を移動する。これにより部品供給部3A,3Bから取り出した部品を作業ステーション[A1],[A2]に位置決めされた基板に装着する部品装着作業が実行される。
【0026】
図2において、部品装着ヘッド9L、9Rには、それぞれ作業ステーション[A1],[A2]に位置決めされた基板を上方から撮影する基板認識カメラ14L,14Rが配置されている。基板認識カメラ14L,14Rは、ヘッド移動機構によって部品装着ヘッド9L、9Rと一体的に移動する。基板認識カメラ14L,14Rは、基板に付されたマーク(図示省略)を撮像する。マークの撮像結果から、位置決められた基板の位置が認識される。また、基板認識カメラ14L,14Rは、基板に付されたバーコードや2次元コードなどのコード(図示省略)を撮像する。コードの撮像結果は制御装置13に送信され、その基板を特定する識別情報が認識される。このように、基板認識カメラ14L,14Rは、基板に付されたコードを読み取る撮像部である。
【0027】
図2において、部品装着装置M4の制御装置13は、上流の部品装着装置M3の制御装置13と2本の信号線E1,E2で接続されている。また、部品装着装置M4の制御装置13は、下流の部品装着装置M5の制御装置13と2本の信号線E3,E4で接続されている。より具体的には、部品装着装置M4の信号線E1は、コネクタC1を介して部品装着装置M3の信号線E3と接続されている。部品装着装置M4の信号線E2は、コネクタC1を介して部品装着装置M3の信号線E4と接続されている。部品装着装置M4の信号線E3は、コネクタC2を介して部品装着装置M5の信号線E1と接続されている。部品装着装置M4の信号線E4は、コネクタC2を介して部品装着装置M5の信号線E2と接続されている。
【0028】
信号線E1は、基板を上流から下流に搬送する順搬送において、部品装着装置M4から上流の部品装着装置M3に対して基板の搬入が可能であることを示す信号(以下、単に「搬入可能信号」と称する。)を伝達する。信号線E2は、順搬送において、上流の部品装着装置M3から部品装着装置M4に対して基板の搬出が可能であることを示す信号(以下、単に「搬出可能信号」と称する。)を伝達する。信号線E3は、順搬送において、下流の部品装着装置M5から部品装着装置M4に対して搬入可能信号を伝達する。信号線E4は、順搬送において、部品装着装置M4から下流の部品装着装置M5に対して搬出可能信号を伝達する。
【0029】
すなわち、信号線E1と信号線E3は、上流からの基板の搬入が可能であることを示す第1信号線である。また、信号線E2と信号線E4は、下流への基板の搬出が可能であることを示す第2信号線である。そして、部品装着装置M4は、第1信号線(信号線E1、信号線E3)と第2信号線(信号線E2、信号線E4)を有している。以下、信号線E1と信号線E3を第1信号線E1と第1信号線E3と称する。また、信号線E2と信号線E4を第2信号線E2と第2信号線E4と称する。
【0030】
次に
図3を参照して、部品装着装置M1~M5の制御系の構成について説明する。部品装着装置M1~M5は同様の構成であり、以下、部品装着装置M4を例として説明する。部品装着装置M4が備える制御装置13は、基板搬送処理部15、部品装着処理部16、設定部17、通信部18、無線通信部19、記憶部20を備えている。記憶部20は記憶装置であり、装着データ20a、履歴情報20b、搬送枚数20cなどが記憶されている。装着データ20aには、基板に装着される部品の種類(部品名)、装着位置(XY座標)、部品を供給するパーツフィーダ4の位置などの情報が含まれている。
【0031】
履歴情報20bには、部品装着装置M4における部品装着作業の作業履歴が基板の識別情報に紐付けされて記憶されている。基板の識別情報は、基板認識カメラ14L,14R(撮像部)が基板のコードを読み取って取得される。また、履歴情報20bには、後工程においてリペアが必要であることが判明した基板のリペアが必要な部品の情報が基板の識別情報に紐付けされて記憶されている。リペアに関する情報は、管理コンピュータCPや作業者Wによるリペア作業を支援するリペア支援装置(図示省略)から送信されて、記憶部20に記憶される。このように、記憶部20は、基板に対する部品装着の履歴情報20bを記憶する。
【0032】
図3において、通信部18(第1通信部)は、通信ネットワークNTを介して、管理コンピュータCP、他の部品装着装置M1~M3,M5との間で各種情報の送受信を行う。また、部品装着装置M4の通信部18は、第1信号線E1と第2信号線E2を介して上流の部品装着装置M3の通信部18と接続されており、基板の受け渡しに関する信号の授受を行う。また、部品装着装置M4の通信部18は、第1信号線E3と第2信号線E4を介して下流の部品装着装置M5の通信部18と接続されており、基板の受け渡しに関する信号の授受を行う。無線通信部19(第2通信部)は、無線通信により作業者Wが所持する情報端末Tとの間で各種情報の送受信を行う。
【0033】
基板搬送処理部15は、基板搬送ラインLA,LB(レーンA、レーンB)にそれぞれに設けられたコンベア駆動モータD1~D4、基板下受け部10L,10Rを制御して、基板搬送部による基板の搬送作業、位置決め作業を実行させる。基板搬送処理部15は、内部処理機能として、第1搬送処理部15aと第2搬送処理部15bを備えている。上流から基板を搬入する第1搬送モードの場合は、第1搬送処理部15aによって基板搬送部の各部が制御される。また、下流から基板を搬入する第2搬送モードの場合は、第2搬送処理部15bによって基板搬送部の各部が制御される。
【0034】
図3において、部品装着処理部16は、装着データ20aに基づいて、部品供給部3A,3B、部品装着ヘッド9L、9Rを制御して、基板に部品を装着する部品装着動作を実行させる。また、部品装着処理部16は、基板認識カメラ14L,14Rで基板に付されたコードを読み取らせて識別情報を取得して履歴情報20bに記憶させる。また、部品装着処理部16は、リペアが必要な基板に対して、基板の識別情報と履歴情報20bに含まれるリペアが必要な部品の情報、装着データ20aに含まれる部品の装着位置に基づいて、リペアが必要な部品のみを基板に装着させるリペア部品装着作業を実行させる。
【0035】
設定部17は、タッチパネル5A,5Bに表示される動作モード設定画面により設定される情報と、上流の部品装着装置M3または下流の部品装着装置M5から送信される情報と、部品装着装置M4における基板の停止位置などに基づいて、基板の搬送方法として第1搬送モードまたは第2搬送モードのいずれかに設定する。すなわち、設定部17は、複数の搬送レーン(基板搬送ラインLA,LB)の各々について、第1搬送モードまたは第2搬送モードに設定する。
【0036】
次に、
図4を参照して、タッチパネル5A,5Bに表示される動作モード設定画面30について説明する。動作モード設定画面30には、レーンA情報設定領域31、レーンB情報設定領域32、開始ボタン33が配置されている。レーンA情報設定領域31では、レーンA(基板搬送ラインLA)の動作モードに関する情報が設定される。レーンB情報設定領域32では、レーンB(基板搬送ラインLB)の動作モードに関する情報が設定される。
【0037】
レーンA情報設定領域31とレーンB情報設定領域32には、通常生産モード選択ラジオボタン31a,32a、基板逆搬入モード選択ラジオボタン31b,32b、搬送枚数入力枠31c,32cがそれぞれ配置されている。通常生産モード選択ラジオボタン31a,32aが選択されると、第1搬送モードにより上流から基板を搬入して部品を装着する通常生産モードが設定される。基板逆搬入モード選択ラジオボタン31b,32bが選択されると、第2搬送モードにより下流から基板を搬入してリペア動作などを実行する基板逆搬入モードが設定される。
【0038】
図4において、基板逆搬入モードが選択されると、搬送枚数入力枠31c,32cから部品装着装置に搬入する基板の搬送枚数を入力可能な状態となる。また、通常生産モードが選択されると、搬送枚数入力枠31c,32cは入力不可能な状態となる。
図4の例では、また、レーンAには、基板逆搬入モードで3枚の基板を搬入するように設定されている。また、レーンBには、通常生産モードで実装基板を生産するように設定されている。開始ボタン33が操作されると、動作モード設定画面30に入力された内容で基板搬送作業などが開始される。また、搬送枚数入力枠31c,32cに設定された搬送枚数が、搬送枚数20cとして記憶部20に記憶される。
【0039】
次に、
図5~
図9の工程説明図、
図10~
図11のフロー図を参照しながら、第1部品装着装置と、第1部品装着装置の下流に設けられた少なくとも1つの第2部品装着装置とを備えた部品実装システム1における部品実装方法について説明する。ここでは、
図1に示す部品実装システム1の部品装着装置M4(第1部品装着装置)のタッチパネル5A,5Bにおいて、
図4に示す動作モード設定画面30の開始ボタン33が操作されて基板搬送作業が開始される例で説明する。すなわち、部品装着装置M4のレーンAに下流からリペア対象の3枚の基板を搬入し、リペア部品装着作業を実行することが設定された例で説明する。なお、レーンBでは継続して通常生産モードで実装基板が製造される。以下、レーンBの動作については、説明を省略する。
【0040】
図5(a)において、部品実装システム1のレーンA(基板搬送ラインLA)には、部品装着装置M3において部品装着作業中の基板P1と基板P2のみが存在しているとする。部品装着装置M3で部品が装着された基板P1は、第1搬送モードで部品装着装置M3の搬出コンベア8まで順搬送されている。基板P1が搬出コンベア8まで搬送されると、部品装着装置M3の通信部18から第2信号線E2,E4を介して部品装着装置M4の通信部18に伝達される搬出可能信号がONとなる。
【0041】
また、部品装着装置M4の搬入コンベア6は空であり、部品装着装置M4の通信部18から第1信号線E1,E3を介して部品装着装置M3の通信部18に伝達される、基板の搬入が可能である旨の搬入可能信号はONである。すなわち、上流の部品装着装置M3から部品装着装置M4に基板P1が搬送可能な状態である。そこで、第1搬送処理部15aは、部品装着装置M4のコンベア駆動モータD1を順方向に駆動させる。これによって、基板P1が第1搬送モードで部品装着装置M4の搬入コンベア6に順搬送され、部品装着装置M4から部品装着装置M3に第1信号線E1,E3を介して伝達される搬入可能信号がOFFとなる。
【0042】
図5(b)、
図5(c)において、部品装着装置M4に搬入された基板P1は、搬入コンベア6、作業ステーションコンベア7L、作業ステーションコンベア7Rによって順搬送されて(矢印f1)、作業ステーション[A2]まで搬送される。作業ステーション[A2]に搬送された基板P1は、基板下受け部10Rによって下受けされ(矢印f3)、部品が装着される。また、次の基板P2が部品装着装置M3から部品装着装置M4に搬入され、搬入コンベア6、作業ステーションコンベア7Lによって順搬送されて(矢印f2、矢印f4)、作業ステーション[A1]まで搬送される。部品装着装置M3の搬出コンベア8が空になると、部品装着装置M3から部品装着装置M4に第2信号線E2,E4を介して伝達される搬出可能信号がOFFとなる。
【0043】
図5(c)において、部品装着装置M4の搬入コンベア6が空になると、部品装着装置M4から部品装着装置M3に第1信号線E1,E3を介して伝達される搬入可能信号がONとなる。また、部品装着装置M4の搬出コンベア8は空であり、部品装着装置M4の通信部18から第2信号線E2,E4を介して下流の部品装着装置M5の通信部18に伝達される搬出可能信号はOFFである。
図5(a)~
図5(d)において、部品装着装置M5の搬入コンベア6は空であり、部品装着装置M5の通信部18から第1信号線E1,E3を介して部品装着装置M4の通信部18に伝達される搬入可能信号はONである。
【0044】
図5(d)において、部品が装着された基板P1は、基板下受け部10Rによる下受けが解除された後(矢印f5)、作業ステーションコンベア7R、搬出コンベア8によって搬出コンベア8まで順搬送される(矢印f6)。部品装着装置M4の搬出コンベア8に基板P1が搬送されると、部品装着装置M4から部品装着装置M5に第2信号線E2,E4を介して伝達される搬出可能信号がONとなる(
図6(a)も参照)。また、作業ステーション[A1]に搬送された基板P2は、基板下受け部10Lによって下受けされ(矢印f7)、部品が装着される。
【0045】
この過程で、
図4に示す動作モード設定画面30の開始ボタン33が作業者Wによって操作され、部品装着装置M4のレーンAに基板逆搬送モードが設定されたとする。すなわち、部品装着装置M4(第1部品装着装置)の設定部17が搬送方法として第2搬送モードの設定を受け付けたとする(
図10のST1)。設定部17は、部品装着装置M4内に基板P1、P2があるため、搬送方法は第1搬送モードを維持する。以下、この状態を、「逆搬送予約」状態と称する。また、部品装着装置M4の搬送枚数20cには、3枚が記憶される。
【0046】
図5(d)において、次いで設定部17は、部品装着装置M4の通信部18から第1信号線E1,E3を介して部品装着装置M3の通信部18に伝達される、基板の搬入が不可である旨の信号(以下、単に「搬入不可信号」と称する。)をONにする。すなわち、部品装着装置M4(第1部品装着装置)の設定部17は、第2搬送モードへの移行を受け付けると(ST1の後)、上流から部品装着装置M4への基板の搬入を抑止するように設定する(
図10のST2)。
【0047】
図6(b)、
図6(c)において、下流の部品装着装置M5に搬入された基板P1は、作業ステーション[A2]において部品が装着された後、第1搬送モードで搬出コンベア8まで順搬送される(矢印g1)、その後、部品装着装置M5から下流に搬出される(矢印g2)。
【0048】
図6(c)において、次いで部品装着装置M4から部品装着装置M5の搬入コンベア6に基板P2が順搬送される(矢印g3)。これにより、部品装着装置M4から全ての基板P1、P2が下流に搬出されたことになる(
図10のST3)。部品装着装置M4の設定部17は、第2搬送モードへの移行を受け付けた後(ST1の後)、第1搬送モードによりその装置内にある全ての基板P1、P2が下流に搬出されると(ST3)、搬送方法を第2搬送モードに移行させる(
図10のST4)。
【0049】
次いで部品装着装置M4(第1部品装着装置)の設定部17は通信部18(第1通信部)を介して、下流の部品装着装置M5(第2部品装着装置)に、搬送方式を第2搬送モードに設定する旨と、逆搬送させる基板の枚数(搬送枚数)は3枚である旨の情報を送信させる(
図10のST5)。すなわち、部品装着装置M4(第1部品装着装置)の設定部17が搬送方法を第2搬送モードに移行させると(ST4)、部品装着装置M4の通信部18(第1通信部)は、第2搬送モードへの移行を要求する情報を部品装着装置M5(第2部品装着装置)に送信する(ST5)。
【0050】
図6(c)において、次いで部品装着装置M4の設定部17は、部品装着装置M4から部品装着装置M5に第2信号線E2,E4を介して伝達される搬入可能信号をONにする。すなわち、第1搬送モードにおいて下流への基板の搬出が可能であること(搬出可能信号)を示す第2信号線E2,E4は、第2搬送モードでは下流からの基板の搬入が可能であること(搬入可能信号)を示す。
【0051】
部品装着装置M4からの情報を受信した部品装着装置M5の設定部17は、部品装着装置M5を逆搬送予約状態とし、記憶部20の搬送枚数20cに3枚を記憶させる(
図10のST6)。次いで部品装着装置M5の設定部17は、部品装着装置M5から部品装着装置M4に第1信号線E1,E3を介して伝達される搬入不可信号をONにする。すなわち、部品装着装置M5の設定部17は、第2搬送モードへの移行を受け付けると(ST6の後)、上流から部品装着装置M5への基板の搬入を抑止するように設定する(
図10のST7)。
【0052】
図6(d)において、下流の部品装着装置M5に搬入された基板P2は、作業ステーション[A1]において部品が装着された後、第1搬送モードで搬出コンベア8まで順搬送される(矢印g4)。
【0053】
図7(a)において、その後、基板P2が部品装着装置M5から第1搬送モードで下流に搬出される(矢印h1)。部品装着装置M5内にある全ての基板P1、P2が下流に搬出されると(
図10のST8)、部品装着装置M5の設定部17は、搬送方法を第2搬送モードに移行させる(
図10のST9)。また、部品装着装置M5の下流に他の部品装着装置(第2部品装着装置)が連結されている場合は、部品装着装置M5の設定部17は通信部18(第1通信部)を介して、下流の部品装着装置(第2部品装着装置)に、搬送方式を第2搬送モードに設定する旨と、逆搬送させる基板の枚数(搬送枚数)は3枚である旨の情報を送信させる。
【0054】
このように、本実施の形態の部品実装方法は、第1部品装着装置(部品装着装置M4)の設定部17が搬送方法として第2搬送モードの設定を受け付け(ST1)、第1部品装着装置の設定部17が搬送方法を第2搬送モードに移行させると(ST4)、下流の第2部品装着装置(部品装着装置M5)の設定部17が搬送方法を第2搬送モードに移行させる(ST9)。
【0055】
次いで部品装着装置M5の無線通信部19(第2通信部)は、部品装着装置M5の下流から基板の搬入が可能である旨を作業者Wが使用する情報端末Tに無線で通知する(
図10のST10)。すなわち、部品実装システム1が備える最下流の第2部品装着装置(部品装着装置M5)の設定部17が搬送方法を第2搬送モードに移行させると、最下流の第2部品装着装置の第2通信部(無線通信部19)は、最下流の第2部品装着装置の下流からのレーンAに3枚の基板の搬入が可能である旨を作業者Wが使用する情報端末Tに通知する。
【0056】
図7(b)、
図7(c)において、通知を受けた作業者Wは、部品装着装置M5の下流から搬送枚数20cに設定された3枚の基板P3,P4,P5を順に搬入させる(矢印h2)(
図11のST11)。例えば、部品装着装置M5の下流に連結コンベアが連結されている場合は、作業者Wはリペア対象の基板P3,P4,P5を連結コンベアから搬入させる。部品装着装置M5のレーンAに搬入された基板P3,P4,P5は、第2搬送モードで部品装着装置M5内を順番に逆搬送される(矢印h3,h4,h5)。すなわち、第2搬送処理部15bは、コンベア駆動モータD1~D4を逆方向に駆動させる。なお、部品装着装置M5の作業ステーション[A1],[A2]では、基板P3,P4,P5に対する部品装着作業は実行されない。
【0057】
図7(c)において、基板P3が搬入コンベア6まで逆搬送されると、設定部17は、部品装着装置M5から部品装着装置M4に第1信号線E1,E3を介して伝達される搬出可能信号をONにする。すなわち、第1搬送モードにおいて上流からの基板の搬入が可能であること(搬入可能信号)を示す第1信号線E1,E3は、第2搬送モードでは上流への基板の搬出が可能であること(搬出可能信号)を示す。
【0058】
図7(d)において、部品装着装置M5から部品装着装置M4に第2搬送モードで基板P3が逆搬送されると(矢印h6)、部品装着装置M4から部品装着装置M5に第2信号線E2,E4を介して伝達される搬入可能信号がOFFとなる。また、部品装着装置M5から部品装着装置M4に第1信号線E1,E3を介して伝達される搬出可能信号もOFFとなる。以降順番に、基板P4と基板P5が部品装着装置M5から部品装着装置M4に第2搬送モードで逆搬送される。
【0059】
図8(a)において、部品装着装置M5から部品装着装置M4に基板P5が逆搬送されると、第2搬送モードによる上流への搬送枚数20cに記憶されている3枚の基板P3,P4,P5の搬出が完了する(
図11のST12)。全ての基板P3,P4,P5の搬出が完了すると(ST12)、部品装着装置M5(第2部品装着装置)の設定部17は、搬送方法を第1搬送モードに移行させる(
図11のST13)。第1搬送モードに移行すると、上流から部品装着装置M5への基板の搬入抑止が解除される(
図11のST14)。これにより、部品装着装置M5の搬入コンベア6が空であるため、部品装着装置M5から部品装着装置M4に第1信号線E1,E3を介して伝達される搬入可能信号がONとなる。
【0060】
図8(a)において、部品装着装置M5から第2搬送モードにより逆搬送された基板P3,P4,P5は、部品装着装置M4内を第2搬送モードにより予め設定されている基板を留めおく位置(停止位置)まで逆搬送される(
図11のST15)。基板が逆搬送される停止位置は、搬送枚数20cに記憶されている枚数に応じて決定される。例えば、搬送枚数20cが3枚の場合は、基板P3は搬入コンベア6の停止位置に(矢印i1)、基板P4は作業ステーションコンベア7Lの停止位置に(矢印i2)、基板P5は作業ステーションコンベア7Rの停止位置に逆搬送される(矢印i3)。
【0061】
搬送枚数20cが2枚の場合は、基板は作業ステーションコンベア7Lと作業ステーションコンベア7Rの停止位置に逆搬送される。搬送枚数20cが1枚の場合は、基板は作業ステーションコンベア7Rの停止位置に逆搬送される。すなわち、基板は、搬送枚数20cによって設定された枚数に応じて第2搬送モードによって、搬入コンベア6または作業ステーションコンベア7L,7Rの停止位置に逆搬送される。
【0062】
図8(b)において、部品装着装置M4(第1部品装着装置)の設定部17は、第2搬送モードによる部品装着装置M4への基板P3,P4,P5の搬入が完了し、基板P3,P4,P5が所定の位置に搬入されると、搬送方法を第1搬送モードに移行させる(
図11のST16)。第1搬送モードに移行すると、上流から部品装着装置M4への基板の搬入抑止が解除される(
図11のST17)。これにより、部品装着装置M4の搬入コンベア6が空になると、部品装着装置M4から部品装着装置M3に第1信号線E1,E3を介して伝達される搬入可能信号がONとなる(例えば、
図8(d)、
図9(a)参照)。
【0063】
作業ステーション[A2]に搬送された基板P5は、基板下受け部10Rによって下受けされ(矢印i4)、リペア部品装着作業が行われる。また、作業ステーション[A1]に搬送された基板P4は、基板下受け部10Lによって下受けされ(矢印i5)、リペア部品装着作業が行われる。リペア部品装着作業では、基板認識カメラ14L,14Rが基板P4,P5に付されたコードを読み取り、得られた識別情報が履歴情報20bと照合されて、基板P4,P5が特定される(
図11のST18)。
【0064】
すなわち、部品装着装置M4(第1部品装着装置)は、第2搬送モードで搬入された基板P4,P5を、コードの読み取りにより得られた識別情報を履歴情報20bと照合して特定する。その後、部品装着処理部16は、装着データ20aと履歴情報20bに基づいて、基板P4,P5にリペア対象の部品を装着するリペア部品装着作業を実行させる(
図11のST19)。
【0065】
図8(c)、
図8(d)、
図9(a)において、リペア部品装着作業が完了した基板P4,P5は、基板下受け部10L,10Rによる下受けが解除された後(矢印i6,i8)、第1搬送モードにより部品装着装置M5に順搬送される(矢印i7,i9,i10,j1)。
【0066】
図8(d)、
図9(a)、
図9(b)において、基板P3は作業ステーション[A2]に逆搬送され(矢印i11)、基板下受け部10Rによって下受けされ(矢印i12)、リペア部品装着作業が行われる。リペア部品装着作業が完了した基板P3は、基板下受け部10Rによる下受けが解除された後(矢印j2)、第1搬送モードにより部品装着装置M5に順搬送される(矢印j3)。これにより、第2搬送モードにより部品装着装置M4に搬入された基板P3,P4,P5は、リペア部品装着作業後に下流の部品装着装置M5に全て搬出されたことになる(
図11のST20)。
【0067】
図9(b)において、部品装着装置M5に搬入された基板P3,P4,P5は、部品装着装置M5において部品装着作業が行われることなく、全て下流に搬出される(
図11のST21)。部品装着装置M4には、通常生産モードで上流の部品装着装置M3から基板P6が搬送され(矢印j4)、作業ステーション[A2]において部品装着作業が実行される。
【0068】
上記説明したように、本実施の形態の部品実装システム1は、基板に部品を装着する作業を行う第1部品装着装置(部品装着装置M4)と、第1部品装着装置の下流に設けられた少なくとも1つの第2部品装着装置(部品装着装置M5)と、を備えている。そして、第1部品装着装置および第2部品装着装置は、基板の搬送方法として、上流から基板を搬入する第1搬送モード、または、下流から基板を搬入する第2搬送モードのいずれかを設定する設定部17をそれぞれ有している。第1部品装着装置の設定部17が第1部品装着装置の搬送方法を第2搬送モードに設定すると(ST4)、第2部品装着装置の設定部17が第2部品装着装置の搬送方法を第2搬送モードに設定する(ST9)。
【0069】
このように、作業者Wは、基板を逆搬入させる第1部品装着装置(部品装着装置M4)で基板を逆搬入させることを設定するのみである。これによって、下流からの基板の逆搬送を容易に設定することができる。また、下流の第2部品装着装置(部品装着装置M5)での設定は不要である。これによって、下流の第2部品装着装置での作業者の誤設定を防止することができる。また、本実施の形態の部品装着装置M1~M5は、相互に連結させることで、管理コンピュータCPを介在させることなく、下流からの基板の逆搬送を容易に設定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の部品実装システムおよび部品装着装置ならびに部品実装方法は、下流からの基板の逆搬送を容易に設定することができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0071】
1 部品実装システム
6 搬入コンベア
7L,7R 作業ステーションコンベア
8 搬出コンベア
14L,14R 基板認識カメラ(撮像部)
E1,E3 第1信号線
E2,E4 第2信号線
LA,LB 基板搬送ライン(搬送レーン)
M1~M3 部品装着装置
M4 部品装着装置(第1部品装着装置)
M5 部品装着装置(第2部品装着装置)
P1~P6 基板