(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120489
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】判定装置、判定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20230823BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023398
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柿山 優大
(72)【発明者】
【氏名】道辻 健太
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】ユーザが滞在するエリアを適切に判定する。
【解決手段】判定装置は、ユーザが携帯する端末に備えられる動作センサによって検出された、ユーザの動きを示す動作情報を取得する動作情報取得部と、動作情報に基づいて、時刻毎の前記ユーザの位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、ユーザが静止しているかを示す静止情報を取得する静止情報取得部と、位置情報と静止情報とに基づき、ユーザが滞在しているエリアを判定するエリア判定部と、を含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが携帯する端末に備えられる動作センサによって検出された、前記ユーザの動きを示す動作情報を取得する動作情報取得部と、
前記動作情報に基づいて、時刻毎の前記ユーザの位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記ユーザが静止しているかを示す静止情報を取得する静止情報取得部と、
前記位置情報と前記静止情報とに基づき、前記ユーザが滞在しているエリアを判定するエリア判定部と、
を含む、
判定装置。
【請求項2】
前記エリア判定部は、
前記位置情報と、エリアの位置を示すエリア情報とに基づき、前記ユーザが前記エリア内に位置しているかを判定し、
前記ユーザが前記エリア内に位置し、かつ静止している状態が、所定時間以上継続している場合に、前記ユーザがそのエリアに滞在していると判定する、請求項1に記載の判定装置。
【請求項3】
前記エリア判定部は、前記ユーザが、静止しつつ第1エリア内に位置している状態が所定時間以上継続した後、前記ユーザが第1エリア外に位置した場合に、前記第1エリアから出発したと判定する、請求項2に記載の判定装置。
【請求項4】
前記エリア判定部は、前記ユーザが、静止しつつ第1エリア内に位置している状態が所定時間以上継続した後で、静止しつつ第2エリア内に位置している状態が所定時間以上継続した場合に、前記第2エリアに到着したと判断する、請求項3に記載の判定装置。
【請求項5】
前記エリア判定部は、前記ユーザが、静止しつつ第1エリア内に位置している状態が所定時間以上継続した後で、第2エリア内に位置しているが、静止した状態でない場合には、前記第2エリアに到着したと判断しない、請求項4に記載の判定装置。
【請求項6】
前記エリア判定部は、前記動作センサによって検出された前記ユーザの動きと、前記動作センサ以外のセンサによって検出された前記ユーザの動きとの少なくとも一方に基づき、前記ユーザが前記エリア内に滞在している滞在時間を、作業時間毎に区分する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の判定装置。
【請求項7】
前記静止情報取得部は、前記動作センサによって検出された前記ユーザの動きと、前記動作センサ以外のセンサによって検出された前記ユーザの動きとの少なくとも一方に基づき、前記静止情報を設定する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の判定装置。
【請求項8】
ユーザが携帯する端末に備えられる動作センサによって検出された、前記ユーザの動きを示す動作情報を取得するステップと、
前記動作情報に基づいて、時刻毎の前記ユーザの位置を示す位置情報を取得するステップと、
前記ユーザが静止しているかを示す静止情報を取得するステップと、
前記位置情報と前記静止情報とに基づき、前記ユーザが滞在しているエリアを判定するステップと、
を含む、
判定方法。
【請求項9】
ユーザが携帯する端末に備えられる動作センサによって検出された、前記ユーザの動きを示す動作情報を取得するステップと、
前記動作情報に基づいて、時刻毎の前記ユーザの位置を示す位置情報を取得するステップと、
前記ユーザが静止しているかを示す静止情報を取得するステップと、
前記位置情報と前記静止情報とに基づき、前記ユーザが滞在しているエリアを判定するステップと、
を含む判定方法を、コンピュータに実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、判定装置、判定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが滞在する位置を判定する手法が知られている。例えば特許文献1には、ユーザが携帯する端末からの距離と、端末からの電波強度とに基づいて、ユーザが位置しているエリアを判定する旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば金属により遮蔽された環境などにおいては、端末からの距離と電波強度との関係が不規則となるため、ユーザが位置するエリアを適切に判定できない場合がある。また、ユーザが単に通過したエリアではなく、ユーザがある程度の時間滞在したエリアを判定することも求められている。従って、ユーザが滞在するエリアを適切に判定することが求められている。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、ユーザが滞在するエリアを適切に判定可能な判定装置、判定方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る判定装置は、ユーザが携帯する端末に備えられる動作センサによって検出された、前記ユーザの動きを示す動作情報を取得する動作情報取得部と、前記動作情報に基づいて、時刻毎の前記ユーザの位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、前記ユーザが静止しているかを示す静止情報を取得する静止情報取得部と、前記位置情報と前記静止情報とに基づき、前記ユーザが滞在しているエリアを判定するエリア判定部と、を含む。
【0007】
本開示に係る判定方法は、ユーザが携帯する端末に備えられる動作センサによって検出された、前記ユーザの動きを示す動作情報を取得するステップと、前記動作情報に基づいて、時刻毎の前記ユーザの位置を示す位置情報を取得するステップと、前記ユーザが静止しているかを示す静止情報を取得するステップと、前記位置情報と前記静止情報とに基づき、前記ユーザが滞在しているエリアを判定するステップと、を含む。
【0008】
本開示に係るプログラムは、ユーザが携帯する端末に備えられる動作センサによって検出された、前記ユーザの動きを示す動作情報を取得するステップと、前記動作情報に基づいて、時刻毎の前記ユーザの位置を示す位置情報を取得するステップと、前記ユーザが静止しているかを示す静止情報を取得するステップと、前記位置情報と前記静止情報とに基づき、前記ユーザが滞在しているエリアを判定するステップと、を含む判定方法を、コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ユーザが滞在するエリアを適切に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る判定システムの模式図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る端末の模式的なブロック図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る判定装置の模式的なブロック図である。
【
図4】
図4は、時刻毎のユーザの位置の一例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、ユーザの移動の他の例を示す模式図である。
【
図8】
図8は、ユーザの移動の他の例を示す模式図である。
【
図10】
図10は、ユーザの移動の他の例を示す模式図である。
【
図12】
図12は、ユーザの移動の他の例を示す模式図である。
【
図13】
図13は、第1実施形態に係る判定装置の処理フローを説明するフローチャートである。
【
図14】
図14は、滞在時間の区分の例を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0012】
(第1実施形態)
(判定システム)
図1は、第1実施形態に係る判定システムの模式図である。
図1に示すように、第1実施形態に係る判定システム100は、端末10と、判定装置20とを有する。ユーザUは、端末10を携帯しつつ、設備W内で移動や作業を行う。設備Wの領域AR0内においては、複数のエリアARが設定されており、ユーザUは、エリアAR内で作業や移動を行ったり、1つのエリアARから他のエリアARに移動したりする。なお、設備Wは、本実施形態の例では、電波が遮断される領域(その領域の外と電波を送受信できない領域)を少なくとも一部に含む屋内設備であるが、それに限られない。設備Wは、任意の設備であってよく、屋内の設備であってもよいし屋外の設備であってよい。また、領域ARの位置や大きさも、任意に設定されてよい。また、
図1の例では、端末10は1つであるが、複数設けられていてよい。例えば設備W内で複数のユーザUが作業している場合には、それぞれのユーザUが端末10を携帯してよい。
【0013】
(端末)
図2は、第1実施形態に係る端末の模式的なブロック図である。端末10は、ユーザUに携帯される装置である。端末10としては、いわゆるスマートフォン、タブレット端末、及びラップトップ型コンピュータなどが挙げられる。端末10は、例えばコンピュータであり、
図2に示すように、通信部12と、記憶部14と、動作センサ16と、制御部18とを有する。通信部12は、判定装置20などの外部の装置と通信を行う通信モジュールであり、例えばアンテナやWi-Fi(登録商標)モジュールなどであってよい。端末10は、無線通信で外部の装置と通信を行うが、有線通信でもよく、通信方式は任意であってよい。記憶部14は、制御部18の演算内容やプログラムの情報などを記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置と、フラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性の記憶装置のうち、少なくとも1つ含む。なお、記憶部14が保存する制御部18用のプログラムは、端末10が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0014】
(動作センサ)
動作センサ16は、端末10に設けられて、端末10の動きを示す動作情報を検出するセンサである。なお、端末10はユーザUに携帯されているので、動作センサ16は、ユーザUの動きを示す動作情報を検出するともいえる。動作情報は、端末10(ユーザU)がどのように動いているかを示す情報であり、本実施形態では、端末10(ユーザU)の移動速度と移動方向とを示す情報であってよい。より詳しくは、本実施形態では、動作情報は、端末10(ユーザU)の加速度及び角速度である。この場合、動作センサ16は、端末10(ユーザU)の加速度を検出する加速度センサと、端末10(ユーザU)の角速度を検出する角速度センサ(例えばジャイロセンサ)とを含む。動作センサ16は、加速度センサと角速度センサとが一体で構成されていてもよいし、それらが別体で構成されていてもよい。また、動作情報は、加速度及び角速度であることに限られない。動作情報は、他の装置に電波を送信する以外の手法で検出され、かつ、それにより端末10の位置の推定が可能な、任意の情報であってよい。
【0015】
(制御部)
制御部18は、演算装置であり、例えばCPU(Central Processing Unit)などの演算回路を含む。制御部18は、動作情報取得部18Aを含む。制御部18は、記憶部14からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、動作情報取得部18Aを実現して、その処理を実行する。なお、制御部18は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、動作情報取得部18Aの処理の少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。
【0016】
(動作情報取得部)
動作情報取得部18Aは、動作センサ16を制御することにより動作情報を検出させて、動作センサ16により検出された動作情報を取得する。動作情報取得部18Aは、所定の時間毎に、動作センサ16に動作情報を逐次検出させて、逐次検出された動作情報を取得する。本実施形態では、動作情報取得部18Aは、取得した動作情報を、通信部12を介して、判定装置20に送信する。
【0017】
(判定装置)
図3は、第1実施形態に係る判定装置の模式的なブロック図である。判定装置20は、ユーザUが滞在しているエリアARを判定する装置である。判定装置20は、例えばコンピュータであり、
図3に示すように、通信部22と、記憶部24と、制御部26とを有する。通信部22は、端末10などの外部の装置と通信を行う通信モジュールであり、例えばアンテナやWi-Fiモジュールなどであってよい。判定装置20は、無線通信で外部の装置と通信を行うが、有線通信でもよく、通信方式は任意であってよい。記憶部24は、制御部26の演算内容やプログラムの情報などを記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、フラッシュメモリやHDDなどの不揮発性の記憶装置のうち、少なくとも1つ含む。なお、記憶部24が保存する制御部26用のプログラムは、判定装置20が読み取り可能な記録媒体に記憶されていてもよい。
【0018】
(制御部)
制御部26は、演算装置であり、例えばCPUなどの演算回路を含む。制御部26は、動作情報取得部30と、位置情報取得部32と、静止情報取得部34と、エリア判定部36とを含む。制御部26は、記憶部24からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、動作情報取得部30と位置情報取得部32と静止情報取得部34とエリア判定部36を実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部26は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、動作情報取得部30と位置情報取得部32と静止情報取得部34とエリア判定部36との処理の少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。
【0019】
なお、
図1の例では、判定装置20は、設備W外に設けられているが、判定装置20の設けられる位置は任意であり、設備W内に設けられていてもよい。また、本実施形態では、判定装置20は、端末10とは別の装置であったが、判定装置20が、端末10の機能を兼ね備えていてもよい。言い換えれば、ユーザUに携帯される端末が、携帯可能な判定装置として、判定装置20の機能と端末10の機能とを有していてもよい。
【0020】
(動作情報取得部)
動作情報取得部30は、動作センサ16によって検出された動作情報を取得する。本実施形態では、動作情報取得部30は、通信部22を介して、端末10から動作情報を受信することで、動作情報を取得する。
【0021】
(位置情報取得部)
位置情報取得部32は、動作情報取得部30が取得した動作情報に基づいて、時刻毎のユーザUの位置を示す位置情報を取得する。位置情報とは、所定座標系におけるユーザU(端末10)の位置(座標)を示す情報である。所定座標系は、任意の座標系であってよく、例えば地球座標系でもよいし、設備Wの領域AR0内で設定された二次元座標系でもよい。本実施形態では、位置情報取得部32は、所定座標系におけるユーザU(端末10)の初期位置を取得して、初期位置と動作情報とに基づき、所定座標系におけるユーザU(端末10)の位置を算出する。この場合、位置情報取得部32は、ユーザUの位置情報に基づき、初期位置からのユーザUの移動方向及び移動速度を算出する。すなわち例えば、位置情報取得部32は、ユーザUの角速度に基づいてユーザUの移動方向を算出し、ユーザUの加速度に基づいてユーザUの移動速度を算出する。そして、位置情報取得部32は、初期位置から、算出した移動方向に移動速度に対応する移動量だけ離れた位置を、ユーザUの位置情報として算出する。すなわち、位置情報取得部32は、いわゆるPDR(Pedestrian Dead-Reckoning)手法により、位置情報を算出する。なお、初期位置は、設備W内における任意の位置であってよく、例えば端末10による動作情報の検出が開始される位置であってよい。位置情報取得部32は、任意の方法で初期位置を取得してよく、例えば、初期位置にある端末10に設けられたGNSS(Grobal Navigation Satellite System)モジュールによって取得された座標を初期位置として取得してもよいし、予め初期位置が設定されていてもよい。
【0022】
図4は、時刻毎のユーザの位置の一例を示す模式図である。位置情報取得部32は、所定時間毎に検出された動作情報のそれぞれに基づいて、所定時間毎(時刻毎)の位置情報を算出する。
図4では、位置情報取得部32が、位置情報として、時刻毎のユーザUの位置P-3、P-2、P-1、P0、P1、・・・P25を算出している例が示されている。なお、例えば位置P0は、時刻t0におけるユーザUの位置を示しており、他についても同様である。なお、位置情報が設定される時刻同士の間隔(時間)は、一定であってよいし、異なっていてもよい。すなわち例えば、時刻t0と時刻t1との間の時間と、時刻t1と時刻t2との間の時間とは、同じであってもよいし異なっていてもよい。
【0023】
(静止情報取得部)
静止情報取得部34は、ユーザUが静止しているかを示す静止情報を取得する。静止情報とは、位置情報が示す位置にユーザU(端末)が存在しているタイミングにおいて、ユーザUが静止しているか否かを示す情報である。静止情報取得部34は、所定時間毎(時刻毎)の静止情報を取得する。
図4の例では、静止情報取得部34は、位置P-3・・・P25が設定された時刻t-3、・・・t25のそれぞれについて、静止情報を取得する。
【0024】
静止情報取得部34による静止情報の取得方法は任意であってよいが、例えば、静止情報取得部34は、動作情報取得部30が取得した動作情報に基づいて、静止情報を設定してよい。この場合例えば、静止情報取得部34は、動作情報が所定の条件を満たす場合には、ユーザUが静止している旨の静止情報を設定し、動作情報が所定の条件を満たさない場合には、ユーザUが静止していない旨の静止情報を設定する。例えば、静止情報取得部34は、動作情報におけるユーザU(端末10)の加速度が閾値以下である場合には、動作情報が所定の条件を満たすとして、ユーザUが静止している旨の静止情報を設定してよい。同様に、静止情報取得部34は、動作情報におけるユーザU(端末10)の加速度が閾値より高い場合には、動作情報が所定の条件を満たさないとして、ユーザUが静止していない旨の静止情報を設定してよい。静止情報取得部34は、時刻毎の動作情報を用いて同様の処理を繰り返して、時刻毎の静止情報を設定する。例えば
図4の例では、時刻t-3(位置P-3)、時刻t-2(位置P-2)、時刻t3(位置P3)、時刻t4(位置P4)、時刻t9(位置P9)、時刻t12(位置P12)、時刻t13(位置P13)、時刻t14(位置P14)、時刻t24(位置P24)、時刻t25(位置P25)において、静止している旨の静止情報が設定され、それ以外の時刻で、静止していない旨の静止情報が設定されている。
【0025】
なお、静止情報取得部34による静止情報の設定は、動作情報取得部30が取得した動作情報(動作センサ16により検出された動作情報)を用いることに限られない。例えば、設備Wに、動作センサ16以外のセンサが設けられており、静止情報取得部34は、そのセンサによるユーザUの検出結果に基づき、静止情報を設定してよい。この場合のセンサは、ユーザUの動きを示す情報を検出する。ユーザUの動きを示す情報は、例えば、時刻毎のユーザの画像であってもよく、この場合のセンサは、ユーザUを撮像する可視光カメラであってもよいし、ユーザUを撮像する赤外カメラであってもよい。また、ユーザUの動きを示す情報は、ユーザUの動作量を示す情報であってよく、この場合のセンサは、例えば、センサからユーザUまでの距離を検出するセンサ(例えばLiDAR(Light Detection And Ranging))であってよい。静止情報取得部34は、ユーザUの動きを示す情報において、ユーザUの動く度合い(ユーザUの位置の変動量)が閾値以下である場合には、ユーザUが静止している旨の静止情報を設定してよい。同様に、静止情報取得部34は、ユーザUの動く度合いが閾値より高い場合には、ユーザUが静止していない旨の静止情報を設定してよい。
【0026】
(エリア判定部)
エリア判定部36は、位置情報取得部32が取得した位置情報と、静止情報取得部34が取得した静止情報とに基づき、ユーザUが滞在しているエリアARを判定する。ユーザUがエリアAR内に滞在しているかの判定結果を滞在エリア情報とすると、エリア判定部36は、位置情報とエリア情報とに基づき、滞在エリア情報を設定するといえる。以下、エリア判定部36の処理について具体的に説明する。
【0027】
(存在エリア情報の設定)
エリア判定部36は、ユーザUの位置情報と、エリアARの位置を示すエリア情報とに基づき、ユーザUがエリアAR内に位置しているかを判定する。ユーザUがエリアAR内に位置しているかの判定結果を存在エリア情報とすると、エリア判定部36は、位置情報とエリア情報とに基づき、存在エリア情報を設定するといえる。エリア情報は、ユーザUの位置情報が設定された所定座標系における、エリアARの位置(座標)を示す情報である。エリア情報におけるエリアARは、任意に設定されてよく、例えば、設備W内においてユーザUが滞在したかを判定したいエリアが、エリア情報におけるエリアARとして登録される。エリア判定部36は、エリア情報を任意の方法で取得してよく、例えば操作者によって判定装置20に入力されたエリア情報を取得してもよいし、他の装置からエリア情報を受信してもよい。また、本実施形態では、エリア情報においては、複数のエリアARが指定されるが、それに限られず1つのエリアARのみが指定されてもよい。
【0028】
エリア判定部36は、エリア情報が示すエリアARの位置が、ユーザUの位置情報が示すユーザUの位置と重なるかを判定して、その判定結果を存在エリア情報とする。エリア判定部36は、エリアARの位置がユーザUの位置と重なる場合には、そのエリアARにユーザUが位置していると判定して、その位置におけるユーザUがエリアARに位置している旨を、その位置についての存在エリア情報として設定する。さらに言えば、エリア情報では複数のエリアARが指定されているため、エリア判定部36は、エリア情報が示す複数のエリアARのうちで、位置情報が示すユーザUの位置と重なるエリアARを抽出する。そして、エリア判定部36は、その位置におけるユーザUが、抽出したエリアARに位置している旨を、その位置における存在エリア情報として設定する。エリア判定部36は、位置情報とエリア情報とに基づき、時刻毎のユーザUの位置のそれぞれについて、存在エリア情報を設定する。なお、エリア判定部36は、ユーザUの位置と重なるエリアARが無い場合には、エリアARにユーザUが位置していない旨の存在エリア情報を設定してもよいし、指定外のエリアにユーザUが存在している旨の存在エリア情報を設定してもよい。
【0029】
図4の例では、エリアARA、ARBが設定されており、位置P-3~P-1、位置P23~P25がエリアARAに重なるため、これらの位置についての存在エリア情報は、エリアARAにユーザUが位置している旨を示している。また、位置P6~P18はエリアARBに重なるため、これらについての存在エリア情報は、エリアARBにユーザUが位置している旨を示している。一方、位置P0~P5、P19~P22はエリアARA、ARBのいずれにも重ならないため、指定外のエリア(エリアARA、ARB以外のエリア)にユーザUが存在している旨の存在エリア情報が設定される。
【0030】
(滞在エリア情報の設定)
エリア判定部36は、存在エリア情報と静止情報とに基づき、ユーザUがエリアAR内に滞在しているかの判定結果を示す滞在エリア情報を設定する。具体的には、エリア判定部36は、存在エリア情報においてユーザUがエリアAR内に位置することを示し、かつ、同じ時刻における静止情報においてユーザUが静止していることを示している状態が、所定時間以上継続している場合に、ユーザUがそのエリアARに滞在していると判定する。すなわち、ユーザUが静止しつつエリアAR内に位置している旨が示された存在エリア情報及び静止情報が、所定時間以上連続している場合には、エリア判定部36は、その連続している時間帯において、ユーザUがそのエリアARに滞在していると判定する。ここでの所定時間は、任意に設定されてよい。
【0031】
エリア判定部36は、ユーザUがエリアAR内に滞在しているかの情報と、エリアARに滞在した時間である滞在時間とを、滞在エリア情報として設定してよい。この場合、エリア判定部36は、ユーザUが静止しつつ同じエリアAR内に位置し続けている時間を、滞在時間として算出してよい。
【0032】
図4の例では、位置P-2(時刻t-2)までにおいて、ユーザUが静止しつつエリアARA内に位置している状態が所定時間以上継続しているため、時刻t-2までにおいてはユーザUがエリアARAに滞在していると判定される。また、
図4の例では、位置P12(時刻t12)から位置P14(時刻t14)において、ユーザUが静止しつつエリアARB内に位置している状態が所定時間以上継続しているため、時刻t12から時刻t14までにおいてはユーザUがエリアARBに滞在していると判定される。この場合、時刻t12から時刻t14までが、エリアARBの滞在時間とされる。また、
図4の例では、位置P24(時刻t24)以降において、ユーザUが静止しつつエリアARA内に位置している状態が所定時間以上継続しているため、時刻t24以降においてはユーザUがエリアARAに滞在していると判定される。なお、
図4の例では、位置P3(時刻t3)から位置P4(時刻t4)や、位置P9(時刻t9)などにおいては、ユーザUが静止しているが、静止しつつ同じエリアAR内に位置している時間が所定時間以上継続していないので、それらの時刻においては、エリアに滞在しているとは判定されない。
【0033】
(移動情報の設定)
図5は、移動情報の一例を示す表である。エリア判定部36は、滞在エリア情報に基づいて、ユーザUの移動情報を設定することが好ましい。エリア判定部36は、移動情報として、ユーザUの出発エリアと、ユーザUの到着エリアと、ユーザUの移動時間との、少なくとも1つを設定することが好ましい。ユーザUの出発エリアとは、ユーザUがエリアARから出て移動する場合における、ユーザUの移動元のエリアであり、ユーザUの到着エリアとは、ユーザUの移動先のエリアである。また、ユーザUの移動時間とは、出発エリアから到着エリアまでの移動に要した時間である。以下、これらの設定方法について具体的に説明する。
【0034】
エリア判定部36は、ユーザUが静止しつつエリアAR内に位置している状態が所定時間以上継続した後、ユーザUがそのエリアAR外に位置した場合に、そのエリアARをユーザUの出発エリアとして設定する。すなわち、エリア判定部36は、ユーザUがエリアARに滞在していると判定した後の時刻の存在エリア情報が、ユーザUがそのエリアAR内に存在していることを示さない場合に、そのエリアARをユーザUの出発エリアとして設定する。またこの場合、エリア判定部36は、ユーザUがエリアARに滞在していると判定された最後の時刻を、そのエリアAR(出発エリア)からの出発時刻として設定する。
【0035】
エリア判定部36は、ユーザUが静止しつつエリアAR(例えばエリアARA)内に位置している状態が所定時間以上継続した後で、ユーザUがそのエリアAR外に位置し、かつ、ユーザUが静止しつつ次のエリアAR(例えばエリアARB)内に位置している状態が所定時間継続した場合に、その次のエリアAR(例えばエリアARB)をユーザUの到着エリアとして設定する。すなわち、エリア判定部36は、ユーザUがエリアARに滞在していると判定した後にそのエリアAR外に移動し、ユーザUが次にエリアARに滞在していると最初に判定されたエリアARを、ユーザUの到着エリアとして設定する。またこの場合、エリア判定部36は、ユーザUが次のエリアARに滞在していると判定された最初の時刻を、そのエリアAR(到着エリア)への到着時刻として設定する。なお、エリア判定部36は、ユーザUがエリアARに滞在していると判定した後で、ユーザUが次のエリアARに位置しているが、静止した状態でない場合には、その次のエリアARを到着エリアとして設定しない。
【0036】
エリア判定部36は、出発エリアからの出発時刻から、その直後の到着エリアへの到着時刻までの時間を、移動時間として設定する。
【0037】
以下、出発エリア、到着エリア、移動時間の設定の例を、
図4に基づいて説明する。
図4の例では、位置P-2(時刻t-2)までにおいてユーザUがエリアARA内に滞在し、それよりも後の位置P0(時刻t0)以降においては、ユーザUがエリアARA外に位置している。従って、エリアARAが出発エリアとして設定されて、エリアARAに滞在していると判定された最後の時刻t-2が、エリアARAからの出発時刻として設定される。なお、位置P-1(時刻t-1)においても、ユーザUはエリアARA内に位置しているが、位置P-1ではユーザUが静止していないため、最後に静止していた時刻t-2が出発時刻となる。また、
図4の例では、エリアARAからの出発時刻である時刻t-2の後に、位置P12(時刻t12)から位置P14(時刻t14)までにおいて、ユーザUがエリアARB内に滞在している。すなわち、時刻t-2の後に、エリアARに滞在したと最初に判定される期間は、時刻t12から時刻t14となる。従って、エリアARBが到着エリアとして設定され、エリアARBに滞在していると判定された最初の時刻t12が、エリアARBへの到着時刻として設定される。なお、
図4の例では、位置P3(時刻t3)から位置P4(時刻t4)や、位置P9(時刻t9)などにおいては、ユーザUが静止しているが滞在しているとは判定されないため、これらは出発エリアとされない。また、例えば位置P6(時刻t6)などにおいては、ユーザUがエリアARBに位置しているが滞在しているとは判定されないため、時刻t6などは到着時刻とされない。このように、
図4の例では、ユーザUは、時刻t-2にエリアARAを出発し、時刻t12にエリアARBに到着したと判定される。この場合、エリア判定部36は、
図5に示すように、ユーザUが、エリアARAを出発エリアとし、エリアARBを到着エリアとし、エリアARAからエリアARBまでの移動時間が「t12-(t-2)」である旨を、移動情報として設定する。
【0038】
同様に、
図4の例では、位置P12(時刻t12)から位置P14(時刻t14)までにおいてユーザUがエリアARB内に滞在し、それよりも後の位置P19(時刻t19)以降においては、ユーザUがエリアARB外に位置している。従って、エリアARBが出発エリアとして設定されて、エリアARBに滞在していると判定された最後の時刻t14が、エリアARBからの出発時刻として設定される。また、
図4の例では、エリアARBからの出発時刻である時刻t14の後に、位置P24(時刻t24)以降において、ユーザUがエリアARA内に滞在している。すなわち、時刻t14の後にエリアに滞在したと最初に判定される期間は、時刻t24以降となる。従って、エリアARAが到着エリアとして設定され、エリアARAに滞在していると判定された最初の時刻t24が、エリアARAへの到着時刻として設定される。このように、
図4の例では、ユーザUは、時刻t14にエリアARBを出発し、時刻t24にエリアARBに到着したと判定される。この場合、エリア判定部36は、
図5に示すように、ユーザUが、エリアARBを出発エリアとし、エリアARAを到着エリアとし、エリアARBからエリアARAまでの移動時間が「t24-(t12)」である旨を、移動情報として設定する。
【0039】
なお、
図5の例では、エリア判定部36は、同じ出発エリアで同じ到着エリアとして移動した回数と、同じ出発エリアで同じ到着エリアとして移動した移動時間の合計値とを、移動情報として設定する。ただしそれに限られず、エリア判定部36は、ユーザUの出発エリアと、ユーザUの到着エリアと、ユーザUの移動時間とを示す情報との少なくとも1つを、移動情報として設定してよい。
【0040】
(他の例)
以上では、
図4を例として滞在エリア情報と移動情報の設定を説明したが、以降で、他のケースを例として説明する。
図6、
図8、
図10、
図12は、ユーザの移動の他の例を示す模式図であり、
図7、
図9、
図11は、移動情報の他の例を示す表である。
【0041】
図6の例では、
図4の例とは異なり、位置P14(時刻t14)においては、ユーザUが静止しておらず、ユーザUが静止しつつエリアARB内に位置している状態が所定時間以上継続しないことになる。従って、
図6の例においては、時刻t-2まで及び時刻t24以降においてエリアARA内に滞在していると判定されるが、エリアARBには滞在していないと判定される。そのため、
図6の例では、エリアARAが出発エリアとして設定されて、エリアARAに滞在していると判定された最後の時刻t-2が、エリアARAからの出発時刻として設定される。また、
図6の例では、位置P-2(時刻t-2)の後にユーザUがエリアARA外に位置し、その後の位置P24(時刻t24)以降で、ユーザUがエリアARA内に滞在している。すなわち、時刻t-2の後に、エリアARに滞在したと最初に判定される期間は、時刻t24以降となる。従って、エリアARAが到着エリアとして設定され、エリアARAに滞在していると判定された最初の時刻t24が、エリアARAへの到着時刻として設定される。このように、
図6の例では、ユーザUは、時刻t-2にエリアARAを出発し、時刻t24にエリアARAに到着したと判定される。この場合、エリア判定部36は、
図7に示すように、ユーザUが、エリアARAを出発エリアとし、エリアARAを到着エリアとし、エリアARAからエリアARAまでの移動時間が「t24-(t-2)」である旨を、移動情報として設定する。
【0042】
図8の例では、
図4の例とは異なり、位置P2(時刻t2)から位置P4(時刻t4)において、ユーザUが静止しつつエリアARA、ARB以外のエリア(他エリア)に位置し、位置P7(時刻t7)から位置P9(時刻t9)において、ユーザUが静止しつつエリアARBに位置している。従って、
図8の例においては、時刻t-2までにおいてエリアARAに滞在し、時刻t2から時刻t4において他エリアに滞在し、時刻t7から時刻t9、及び時刻t12から時刻t14までにおいてエリアARBに滞在すると判定される。なお、時刻t9と時刻t12との間の時刻t10、t11においては、ユーザUは、静止していないが同じエリアARB内に位置しているため、時刻t7から時刻t14までにおいてエリアARBに滞在していると判定してもよい。すなわち、同じエリアAR内での静止状態が第1所定時間続いた後(滞在したと判定された後)、同じエリアAR内で静止していない状態となり、その直後に同じエリアAR内での静止状態が第2所定時間続いた場合(滞在したと判定された場合)には、第1所定時間の開始時刻から第2所定時刻の終了時刻まで、そのエリアARに滞在していると判定してもよい。
【0043】
図8の例においては、
図9に示すように、出発時刻t-2でエリアARAを出発エリアとし、到着時刻t2で他エリアを到着エリアとし、その移動時間をt2-(t-2)時間とする移動情報が設定される。また、出発時刻t4で他エリアを出発エリアとし、到着時刻t7でエリアARBを到着エリアとし、その移動時間をt7-t4時間とする移動情報が設定される。同様に、出発時刻t14でエリアARBを出発エリアとし、到着時刻t24でエリアARAを到着エリアとし、その移動時間をt24-t14時間とする移動情報が設定される。
【0044】
図10の例では、
図4の例とは異なり、ユーザUは、位置P3(時刻t3)において他エリアで静止し、位置P9(時刻t9)においてエリアARBで静止し、位置P28(時刻t28)から位置P30(時刻t30)においてエリアARCで静止し、位置P39(時刻t39)以降においてエリアARAで静止する。
図10の例では、時刻t3及び時刻t9での静止は、所定時間以上継続しておらず、時刻t28から時刻t30と、時刻t39以降での静止が、所定時間以上継続している。従って、
図10の例においては、時刻t-2までにおいてエリアARAに滞在し、時刻t28から時刻t30においてエリアARCに滞在し、時刻t39以降でエリアARAに滞在していると判定される。
【0045】
図10の例においては、
図11に示すように、出発時刻t-2でエリアARAを出発エリアとし、到着時刻t28でエリアARCを到着エリアとし、その移動時間をt28-(t-2)時間とする移動情報が設定される。また、出発時刻t30でエリアARCを出発エリアとし、到着時刻t39でエリアARAを到着エリアとし、その移動時間をt39-t30時間とする移動情報が設定される。
【0046】
図12は、ユーザUがエリアAR外に移動したと判定する場合の例を示している。エリア判定部36は、ユーザUがエリアAR内で滞在していると判定された時刻の後に、ユーザUがそのエリアAR外に位置した状態が所定時間以上継続した場合に、ユーザUがエリアAR外に移動したと判定して、そのエリアARを出発エリアとして設定してよい。すなわち、エリア判定部36は、滞在しているエリアAR外にユーザUが位置した状態が、所定時間以上継続した場合には、エリアARを出発エリアとする。一方、エリア判定部36は、滞在しているエリアAR外にユーザUが位置した状態が、所定時間以上継続しない場合には、すなわち、所定時間が経過する前にユーザUがエリアARに戻った場合には、ユーザUがエリアAR外に移動していないと判定して、そのエリアARを出発エリアとして設定しない。
【0047】
図12の例では、位置P1(時刻t1)から位置P3(時刻t3)においてユーザUがエリアARA内で静止し、位置P4(時刻t4)ではユーザUがエリアARA内で静止しておらず、位置P5(時刻t5)ではユーザUがエリアARA内で静止し、位置P6(時刻t6)ではユーザUがエリアARA外で静止し、位置P7(時刻t7)から位置P8(時刻t8)においてユーザUがエリアARA内で静止し、位置P9(時刻t9)から位置P10(時刻t10)においてユーザUがエリアARA外で静止しておらず、位置P11(時刻t11)ではユーザUがエリアARA内で静止しておらず、位置P12(時刻t12)以降ではユーザUがエリアARA内で静止している。すなわち、
図12の例では、ユーザUは、エリアARAを出発してエリアARAに到着しているが、エリアARAの外に位置している時間が、所定時間未満である。そのためこの場合には、エリア判定部36は、エリアARAを出発エリア及び到着エリアとして設定しない。エリア判定部36は、ユーザUがエリアARA外に移動したと判定せず、エリアARAを出発エリアとしない。
【0048】
(処理フロー)
以上説明した判定装置20の処理の処理フローを、フローチャートに基づき説明する。
図13は、第1実施形態に係る判定装置の処理フローを説明するフローチャートである。
図13に示すように、本実施形態に係る判定装置20は、動作情報取得部30により、動作センサ16によって検出された動作情報を取得し(ステップS10)、位置情報取得部32により、動作情報に基づいてユーザUの位置情報を設定し(ステップS12)、静止情報取得部34により、ユーザUが静止しているかを示す静止情報を設定し(ステップS14)、エリア判定部36により、ユーザUの位置情報とエリア情報とに基づいて、ユーザUがエリアARに位置しているかを示す存在エリア情報を設定する(ステップS16)。エリア判定部36は、静止情報と存在エリア情報とに基づき、ユーザUがエリアARに滞在しているかを示す滞在エリア情報と、移動情報とを設定する(ステップS18)。具体的には、エリア判定部36は、滞在エリア情報に基づいて、ユーザUの出発エリア、到着エリア、移動時間などを示す移動情報を設定する。
【0049】
(効果)
例えば設備WでのユーザUの作業状況などを確認するために、ユーザUの滞在するエリアを適切に判定することが求められている。このような判定を行う際には、端末から出力される電波の情報を用いることも考えらえるが、例えば遮蔽されて電波の送受信ができない環境などにおいて、電波の情報を用いてエリア判定することが難しい。それに対して、本実施形態においては、端末10の動作センサ16によって検出された動作情報を用いて、ユーザUの位置を推定するため、例えば遮蔽されて電波の送受信ができない環境でも、ユーザUの位置を適切に推定できる。さらに、このように端末10の動作情報を用いる場合には、ユーザUが単にエリアを通過しただけである場合にも、端末10がそのエリア内に位置していると推定されるため、ユーザUがそのエリアに滞在していると判定されるおそれがある。それに対し、本実施形態においては、動作情報から推定したユーザUの位置に加えて、ユーザUが静止しているかを示す静止情報も用いて、ユーザUが滞在しているエリアを判定する。そのため、本実施形態によると、ユーザUが滞在するエリアを適切に判定することが可能となる。さらに言えば、本実施形態においては、ユーザUが静止しつつエリアAR内に滞在した時間が所定時間以上となった場合に、そのエリアARに滞在したと判定するため、ユーザUが滞在するエリアをより適切に判定可能となる。
【0050】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態においては、算出したエリアARでの滞在時間を、作業内容毎に区分する点で、第1実施形態とは異なる。第2実施形態において、第1実施形態と構成が共通する箇所は、説明を省略する。
【0051】
図14は、滞在時間の区分の例を説明する模式図である。上述のように、エリア判定部36は、エリアARに滞在した時間である滞在時間を、滞在エリア情報として算出する。第2実施形態においては、エリア判定部36は、算出した滞在時間を作業内容毎に区分して、作業内容が互いに異なる複数の滞在時間に分類する。作業内容とは、その時間帯にユーザUが行っていたと想定される作業を指す。例えば、作業内容としては、そのエリアで主に行われる直接作業と、直接作業を行うための準備として実施される間接作業とが挙げられる。
図14の例では、エリア判定部36は、滞在時間を、第1滞在時間と、第1滞在時間とは別の作業内容が行われていたと想定される第2滞在時間とに区分している。例えば第1滞在時間で間接作業が実施されたと想定され、第2滞在時間で直接作業が実施されたと想定される。ただし、滞在時間を区分する数や、作業内容は、
図14の例に限られず任意であってよい。
【0052】
エリア判定部36は、任意の方法で滞在時間を作業内容毎に区分してよいが、例えば、動作センサ16によって検出された動作情報に基づいて、滞在時間を作業内容毎に区分してよい。例えば、動作情報の時間波形(例えば加速度の時間波形)と作業内容との対応関係が予め設定されており、エリア判定部36は、その対応関係と、検出された動作情報とに基づいて、滞在時間を作業内容毎に区分してよい。この場合例えば、エリア判定部36は、滞在時間における動作情報の時間波形と、対応関係における動作情報の時間波形(参照波形)とを比較して、参照波形との一致度が所定値以上となる時間帯を、その参照波形に対応付いた作業内容が想定される滞在時間に区分してよい。すなわち例えば、滞在時間における動作情報の時間波形のうちで、所定の作業内容(例えば間接作業)に対応付いた参照波形との一致度が所定値以上となる時間波形の時間帯を、その所定の作業内容に対応する第1滞在時間に区分してよい。一致度が所定値以上であるかの判断方法は、任意であってよい。例えば、動作情報の時間波形と、参照波形との、時刻毎の差分の平均値が所定値以下となる場合に、参照波形との一致度が所定値以上と判断してよい。また例えば、機械学習によって、滞在時間を作業内容毎に区分してよい。この場合例えば、既知の作業が行われた際の動作情報の時間波形と、その作業内容とを教師データとして、時間波形と作業内容との対応関係を、学習モデル(機械学習用のプログラム)に機械学習させる。そして、エリア判定部36は、機械学習済みの学習モデルに、滞在時間における動作情報の時間波形(時刻毎の動作情報)を入力することで、その滞在時間の時間帯毎に、対応付けられた作業内容を取得する。エリア判定部36は、対応付けられた作業内容毎に、滞在時間の時間帯を区分することで、滞在時間を作業内容毎に区分する。ただし、動作情報に基づいた滞在時間の区分方法は、以上の説明に限られず任意であってよい。
【0053】
また例えば、エリア判定部36は、動作センサ16によって検出された動作情報以外の情報に基づいて、滞在時間を作業内容毎に区分してよい。例えば、設備Wに、動作センサ16以外のセンサが設けられており、エリア判定部36は、そのセンサによるユーザUの検出結果に基づき、滞在時間を作業内容毎に区分してよい。この場合のセンサは、ユーザUの動きを示す情報を検出する。ユーザUの動きを示す情報は、例えば、時刻毎のユーザの画像であってもよく、この場合のセンサは、ユーザUを撮像する可視光カメラであってもよいし、ユーザUを撮像する赤外カメラであってもよい。また、ユーザUの動きを示す情報は、ユーザUの動作量を示す情報であってよく、この場合のセンサは、例えば、センサからユーザUまでの距離を検出するセンサ(例えばLiDAR)であってよい。この場合例えば、ユーザUの動き度合いの時間波形(ユーザUの位置の変動量の時間波形)と作業内容との対応関係が予め設定されており、エリア判定部36は、その対応関係と、検出されたユーザUの動き度合いとに基づいて、滞在時間を作業内容毎に区分してよい。また例えば、エリア判定部36は、ユーザUの動き度合いの時間波形とその作業内容との対応関係を機械学習した学習モデルを用いて、滞在時間を作業内容毎に区分してよい。これらの場合の演算方法は、上述の動作情報を用いた場合の演算方法と同様であるため、詳細な説明は省略する。ただし、ユーザUの動きを示す情報に基づいた滞在時間の区分方法は、以上の説明に限られず任意であってよい。
【0054】
このように、第2実施形態においては、エリアARでの滞在時間を、作業内容毎に区分することにより、例えば作業内容毎の作業時間を高精度に推定して、例えば作業効率の改善などに役立てることができる。
【0055】
(効果)
以上説明したように、本開示に係る判定装置20は、動作情報取得部30と、位置情報取得部32と、静止情報取得部34と、エリア判定部36とを含む。動作情報取得部30は、ユーザUが携帯する端末10に備えられる動作センサ16によって検出された、ユーザUの動きを示す動作情報を取得する。位置情報取得部32は、動作情報に基づいて、時刻毎のユーザUの位置を示す位置情報を取得する。静止情報取得部34は、ユーザUが静止しているかを示す静止情報を取得する。エリア判定部36は、位置情報と静止情報とに基づき、ユーザUが滞在しているエリアARを判定する。
【0056】
本開示に係る判定装置20は、動作センサ16によって検出された動作情報を用いて、ユーザUの位置を推定するため、例えば遮蔽されて電波の送受信ができない環境でも、ユーザUの位置を適切に推定できる。また、判定装置20は、動作情報から推定したユーザUの位置に加えて、ユーザUが静止しているかを示す静止情報も用いて、ユーザUが滞在しているエリアを判定するため、ユーザUが滞在するエリアを適切に判定することが可能となる。
【0057】
エリア判定部36は、位置情報と、エリアARの位置を示すエリア情報とに基づき、ユーザUがエリアAR内に位置しているかを判定する。また、エリア判定部36は、ユーザUがエリアAR内に位置し、かつ静止している状態が、所定時間以上継続している場合に、ユーザUがそのエリアARに滞在していると判定する。判定装置20は、ユーザUが静止しつつエリアAR内に滞在した時間が所定時間以上となった場合に、そのエリアARに滞在したと判定するため、ユーザUが滞在するエリアをより適切に判定可能となる。
【0058】
エリア判定部36は、ユーザUが、静止しつつエリアARA(第1エリア)内に位置している状態が所定時間以上継続した後、ユーザUがエリアARA外に位置した場合に、ユーザUがエリアARAから出発したと判定する。判定装置20は、このようにしてユーザUの出発エリアを設定するため、ユーザUの移動元のエリアを適切に設定できる。
【0059】
エリア判定部36は、ユーザUが、静止しつつエリアARA(第1エリア)内に位置している状態が所定時間以上継続した後で、静止しつつエリアARB(第2エリア)内に位置している状態が所定時間以上継続した場合に、エリアARBに到着したと判断する。判定装置20は、このようにしてユーザUの到着エリアを設定するため、ユーザUの移動先のエリアを適切に設定できる。
【0060】
エリア判定部36は、ユーザUが、静止しつつエリアARA(第1エリア)内に位置している状態が所定時間以上継続した後で、エリアARB(第2エリア)内に位置しているが、静止した状態でない場合には、エリアARBに到着したと判断しない。判定装置20は、このようにしてユーザUの到着エリアを設定するため、ユーザUの移動先のエリアを適切に設定できる。
【0061】
エリア判定部36は、動作センサ16によって検出されたユーザUの動きと、動作センサ16以外のセンサによって検出されたユーザの動きとの少なくとも一方に基づき、ユーザUがエリアAR内に滞在している滞在時間を、作業時間毎に区分する。エリアARでの滞在時間を作業内容毎に区分することにより、例えば作業内容毎の作業時間を高精度に推定して、例えば作業効率の改善などに役立てることができる。
【0062】
静止情報取得部34は、動作センサ16によって検出されたユーザUの動きと、動作センサ16以外のセンサによって検出されたユーザの動きとの少なくとも一方に基づき、静止情報を設定する。このようにして静止情報を設定することで、ユーザUが静止しているかを高精度に特定して、ユーザUが滞在するエリアをより適切に判定可能となる。
【0063】
以上、本開示の実施形態を説明したが、この実施形態の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0064】
10 端末
16 動作センサ
20 判定装置
30 動作情報取得部
32 位置情報取得部
34 静止情報取得部
36 エリア判定部
AR エリア
U ユーザ