(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120501
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】チェスト
(51)【国際特許分類】
A47B 67/04 20060101AFI20230823BHJP
【FI】
A47B67/04 A
A47B67/04 B
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023412
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】593010213
【氏名又は名称】JEJアステージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】原 祐一
【テーマコード(参考)】
3B160
【Fターム(参考)】
3B160AA05
3B160AA08
3B160AB11
3B160AB31
3B160AB52
3B160AB56
3B160AB61
3B160CA02
3B160CA14
3B160CA33
3B160DA14
(57)【要約】
【課題】コンパクトな形態で梱包でき、部品点数を減らしつつ良好な外観体裁を確保でき、容易な組み立て性も確保できるチェストを提供すること。
【解決手段】本体1が、上下の基体部3の間または下側の基体部3と上側の天板部4との間に、対向状態に配される左右の側板部5と、並設状態に配される複数の背板部6とが囲み状態にして立板状態に設けられて構築され、左右の各側板部5は、引き出し体2内に収納し得る大きさに構成され、複数の背板部6は、基体部3の中央開口部27に分離自在に成形され基体部3から分離することで背板部6として使用されるように構成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に引き出し体が引き出し自在に設けられているチェストであって、
前記本体は、上下の基体部の間または下側の基体部と上側の天板部との間に、角隅部に支柱部が設けられていなく、対向状態に配される左右の側板部と、並設状態に配される複数の背板部とが囲み状態にして立板状態に設けられ構築されており、
前記左右の各側板部は、前記引き出し体内に収納し得る大きさに構成され、
前記複数の背板部は、前記基体部の中央開口部に分離自在にこの基体部とともに成形されこの基体部から分離することで背板部として使用されるように構成されていて、
上下の前記基体部の間または下側の基体部と上側の天板部との間に、前記引き出し体内から取り出す左右の前記側板部を対向状態に組み付け、前記基体部の前記中央開口部から分離する複数の前記背板部を並設状態に組み付けて構築される前記本体の前記基体部の間または前記基体部と前記天板部との間に、前記引き出し体が引き出し自在に設けられている構成であることを特徴とするチェスト。
【請求項2】
前記本体に前記引き出し体が上下に複数段前方に引き出し自在に設けられ、
前記本体は、下側の前記基体部と上側の前記基体部との間および最上段の前記天板部とこの下側の前記基体部との間に、前記引き出し体が引き出し自在に設けられていて、
この下側の前記基体部と上側の前記基体部との間および最上段の前記天板部とこの下側の前記基体部との間に、対向状態に配される左右の側板部と、並設状態に配される複数の背板部とが囲み状態にして立板状態に設けられ構築されていることを特徴とする請求項1記載のチェスト。
【請求項3】
前記天板部の下部には、連結部が備えられていて、この連結部とこの連結部の下側の前記基体部との間に、左右の前記側板部と前記背板部とが囲み状態にして立板状体に設けられ構築されていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のチェスト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類や雑貨などを整理収納するチェストに関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、この種のチェストとして、特許第5728037号(特許文献1)を提案している。
【0003】
この特許文献1について説明すると、前後左右の四隅に配設された支柱を介して本体形成体が上下複数段設けられていると共に、最上段の本体形成体の上部に支柱を介して天板部が設けられている枠状本体と、この本体の各本体形成体に、本体から前方へ引き出し入れ自在に支持される引き出し体とから構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5728037号公報
【特許文献2】特許第6263521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のチェストは、外観上で前記枠状本体の四隅の支柱間の開口部分からこの枠状本体に収納されている前記引き出し体の左右両側面と後側面とが見えてしまうので、あまり体裁が良いとは言えない。
【0006】
そこで、本出願人は、枠状本体の前後の支柱間に側面閉塞板を装着すると共に、後側の左右の支柱間に背面閉塞板を装着することで、引き出し体が外観上で見えず体裁良好となる特許第6263521号(特許文献2)を提案している。
【0007】
しかしながら、この特許文献2の構成によると、側面閉塞板と背面閉塞板を追加することで部品点数が増えてコストアップしてしまう上、組み立て工数も増えるという問題があった。
【0008】
また、この特許文献2は、前記支柱が、前記本体形成体の中央開口部に分離自在にこの本体形成体とともに成形されて、この本体形成体から分離することで支柱として使用されるように構成されていて、この中央開口部に支柱が成形された本体形成体と、前記左右の側面閉塞板と、前記背面閉塞板と、前記引き出し体とが分割された状態にでき、さらに、左右の側面閉塞板と背面閉塞板とが前記引き出し体内に収納し得る大きさに構成されていて、側面閉塞板と背面閉塞板とが収納されたこの引き出し体を前記本体形成体上に載置したコンパクトな形態で梱包用ボックス(段ボール箱)に収納し、出荷できるというメリットを有している。
【0009】
本発明は、上記特許文献2の問題点に注目し、コンパクトな形態で梱包できるメリットは踏襲しつつ、部品点数を減らして良好な外観体裁を確保できると共に、上記特許文献1と同等の容易な組み立て性を確保できる実用性に優れたチェストを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0011】
本体1に引き出し体2が引き出し自在に設けられているチェストであって、
前記本体1は、上下の基体部3の間または下側の基体部3と上側の天板部4との間に、角隅部に支柱部が設けられていなく、対向状態に配される左右の側板部5と、並設状態に配される複数の背板部6とが囲み状態にして立板状態に設けられ構築されており、
前記左右の各側板部5は、前記引き出し体2内に収納し得る大きさに構成され、
前記複数の背板部6は、前記基体部3の中央開口部27に分離自在にこの基体部3とともに成形されこの基体部3から分離することで背板部6として使用されるように構成されていて、
上下の前記基体部3の間または下側の基体部3と上側の天板部4との間に、前記引き出し体2内から取り出す左右の前記側板部5を対向状態に組み付け、前記基体部3の前記中央開口部27から分離する複数の前記背板部6を並設状態に組み付けて構築される前記本体1の前記基体部3の間または前記基体部3と前記天板部4との間に、前記引き出し体2が引き出し自在に設けられている構成であることを特徴とするチェストに係るものである。
【0012】
また、前記本体1に前記引き出し体2が上下に複数段前方に引き出し自在に設けられ、
前記本体1は、下側の前記基体部3と上側の前記基体部3との間および最上段の前記天板部4とこの下側の前記基体部3との間に、前記引き出し体2が引き出し自在に設けられていて、
この下側の前記基体部3と上側の前記基体部3との間および最上段の前記天板部4とこの下側の前記基体部3との間に、対向状態に配される左右の側板部5と、並設状態に配される複数の背板部6とが囲み状態にして立板状態に設けられ構築されていることを特徴とする請求項1記載のチェストに係るものである。
【0013】
また、前記天板部4の下部には、連結部7が備えられていて、この連結部7とこの連結部7の下側の前記基体部3との間に、左右の前記側板部5と前記背板部6とが囲み状態にして立板状体に設けられ構築されていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のチェストに係るものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上述のように構成したから、本体を容易に構築でき、引き出し体の左右両側面と後側面とが左右の側板部と複数の背板部とによって囲われて見えず体裁良好となり、しかも、上記特許文献1の構造と比較して角隅部の支柱部の代わりに左右の側板部と複数の背板部とを用いているので、例えば背板部を後述の実施例のような二枚構成とすることで部品点数の増加がなく、従ってコスト的にも組み立て工数的にも上記特許文献1と同等の構成を採用でき、その上、例えば、天板部と、複数の背板部が中央開口部に成形されている基体部と、左右の側板部が内部に収納された引き出し体とを積み重ねたコンパクト形態にでき、このコンパクト形態で梱包・出荷を行うことができるなど、極めて実用性に優れたチェストとなる。
【0015】
また、請求項2記載の発明においては、前記作用・効果に加えて、上下複数段の引き出し体を有する収納能力の高いチェスト構造を簡易構成にして容易に設計実現可能となる一層実用性に優れた構成のチェストとなる。
【0016】
また、請求項3記載の発明においては、天板部とその下側の前記基体部との間に、左右の側板部と背板部とが囲み状態にして立板状体に設けられる構成を簡易構成にして容易に設計実現可能となる一層実用性に優れた構成のチェストとなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図4】本実施例を示す一部を分解した説明斜視図である。
【
図5】本実施例の、背板部が分離されていない基体部を示す拡大平面図である。
【
図6】本実施例の、背板部が分離されていない基体部を示す拡大底面図である。
【
図7】本実施例の木製天板部と連結部を示す説明拡大分解斜視図である。
【
図8】本実施例の、連結部が下部に取付けられている木製天板部を示す拡大底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の最適な実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示し簡単に説明する。
【0019】
本発明のチェストは、例えば、天板部4と、複数の背板部6が中央開口部27に成形されている基体部3とを重ねて積層すると共に、この積層された天板部4と基体部3の上に、左右の側板部5が内部に収納された引き出し体2を載置してコンパクトな形態にでき、このコンパクト形態で梱包・出荷が可能である。
【0020】
このようにして梱包・出荷された本発明のチェストは、上下の前記基体部3の間または下側の基体部3と上側の天板部4との間に、前記引き出し体2内から取り出した左右の前記側板部5を対向状態に組み付け、前記基体部3の前記中央開口部27から分離させた複数の前記背板部6を並設状態に組み付けて、上下の基体部3の間または下側の基体部3と上側の天板部4との間に、角隅部に支柱部が設けられていなく、対向状態に配される左右の側板部5と、並設状態に配される複数の背板部6とが囲み状態にして立板状態に設けられた本体1を容易に構築でき、この本体1の上下の基体部3の間または基体部3と天板部4との間に、前記引き出し体2を引き出し自在に設けることで使用形態になる(チェストが完成品となる)。
【0021】
そして、この使用形態に組立てられたチェストは、引き出し体2の左右両側面と後側面とが左右の側板部5と複数の背板部6とによって囲われて見えず、外観体裁が良好なものとなる。
【0022】
また、本発明の本体1は、上記特許文献1で採用されていた角隅部の支柱部を用いず、この支柱部に代わるものとして左右の側板部5と複数の背板部6を用いているが、例えば背板部6を後述の実施例のような二枚構成とすることで部品点数を特許文献1と同等にでき、コスト的にも組み立て工数的にも上記特許文献1と同等の構成を設計実現可能である。
【0023】
また、中央開口部27に複数の背板部6が成形されている前記基体部3は、一枚の背板部6に対しての成形材料の通路(ゲート部26)を少なくして背板部6を基体部3から分離し易い構成を簡易に設計実現可能である。
【0024】
即ち、基体部3の中央開口部27に一枚の大型な背板部6を成形しようとすると、大型の成形型装置内に成形材料を十分に充填するためには材料の通路(ゲート部26)を三箇所以上設ける必要があり、三箇所以上のゲート部26からの背板部6の分離作業は容易ではないが、複数に分割されて(小型パーツ化されて)並設状態で使用される背板部6が基体部3に成形されている本発明にあっては、例えば後述の実施例で示されているように、一枚の背板部6に対しての成形材料の通路(ゲート部26)を二箇所に設定することが可能であり、この二箇所のゲート部26から例えば基体部3に対し背板部6を回動させるなどしてこの背板部6を容易に切断分離させることができる。
【実施例0025】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0026】
本実施例のチェストは、天板部4を有する本体1に、引き出し体2が引き出し入れ自在に設けられている。
【0027】
具体的には、本実施例の本体1は、左右一対の側板部5を介して基体部3が上下複数段配設され、さらに最上段の基体部3上に前記側板部5を介して天板部4が配設される形態に構築されており、この本体1の上下の前記基体部3間の空間と、前記天板部4とその下側の基体部3との間の空間とが引き出し収納部として構成されて、この各引き出し収納部に前記引き出し体2が配設されている(本体1に引き出し体2が上下複数段に設けられている。)。
【0028】
また、本実施例の本体1は、上側の基体部3の下部後部と下側の基体部3の上部後部との間および天板部4の下部後部とその下側の基体部3の上部後部との間に、二枚横に並べて使用される背板部6を備えている。
【0029】
即ち、本体1は、上下の基体部3の間および天板部4とその下側の基体部3との間に、角隅部四箇所に支柱部が設けられているのではなく、支柱部の代わりに対向状態に配される左右の側板部5と、並設状態に配される複数(二枚)の背板部6とが囲み状態にして立設状態に設けられる形態に構築されており、この本体1の前側は開口していて、この前側開口部から上下の前記基体部3間の前記引き出し収納部と、前記天板部4とその下側の基体部3との間の前記引き出し収納部に前方へ引き出し可能に引き出し体2が配設されたチェストとなっている。そして、引き出し体2の左右両側面と後側面は左右の側板部5と複数の背板部6とによって囲まれて見えず、外観体裁が良好な形態となっている。
【0030】
尚、本実施例では、
図1~
図3に示すような上下三段の引き出し体2を有するチェストが採用されているが、これに限らず一段構造や二段構造でも良いし、四段以上の構造が採用されていても良い。また、図面は、最下段の基体部3の下部に、後述する下側の係合凹部9を利用して四体の(後述する係止凸部8を有する)脚パーツ22が取付けられている場合を示しているが、この脚パーツ22に替えてキャスターパーツが取付けられていても良いし、これらのパーツが取付けられることなく最下段の基体部3が載置面に直に載置される構成が採用されていても良い。
【0031】
以下、前記本体1を構成する各部材について詳しく説明する。
【0032】
本実施例の前記基体部3は、合成樹脂製であって
図4~
図6に示すような中央開口部27を有する長方形枠状体に一体成形されており、前記中央開口部27の開口方向が上下方向となる水平状態で、なお且つ長辺枠部を前後,短辺枠部を左右に配して使用される。
【0033】
また、この基体部3の上側の四隅部と下側の四隅部には、
図5,
図6に示すように全て同一形状となる角筒状の前記係合凹部9が設けられ(一体成形され)ており、さらに、前後の長辺枠部の上面の所定の四箇所には、後述する背板部6下部の係止突起15を係止するための前記係合穴16が設けられ(一体成形され)ている(
図4,
図5参照)。
【0034】
また、係合凹部9には、詳しく図示していないが後述する係止凸部8の爪受穴に係止する爪が設けられ(一体成形され)ている。
【0035】
本実施例では、この基体部3を複数(図面は三体)用いて前記本体1が構築されているが、この基体部3は、全て同一構造の共通パーツで構成されている。
【0036】
本実施例の天板部4は、
図4,
図7に示すような平面視長方形状の木板材で構成され(以下、本実施例では天板部4を木製天板部4と称す。)、長辺部を前後,短辺部を左右に配して使用される。尚、天板部4は、合成樹脂製が採用されていても良い。
【0037】
また、この木製天板部4の下面の左右寄りの前後位置には、上方に向かって浅く凹設される平断面円形の取付穴13が穿設され(
図7参照)、この取付穴13を利用して木製天板部4の下部に合成樹脂製の連結部7が取付けられている。
【0038】
本実施例の連結部7は、前記取付穴13に嵌合可能な短い円柱状の嵌合突起14を前後に有し、この嵌合突起14を介して前記木製天板部4の下部左右部に取付けられる左右一対の側枠10と、この左右の側枠10の前端部間に架設状態で組付けられる前枠11と、左右の側枠10の後端部間に架設状態で組付けられる後枠17で平面視ロ字状を呈する方形枠状体に組成されている。
【0039】
さらに詳しくは、左右の側枠10は、
図7に示すように同一構造の共通パーツで構成されていて、前記基体部3の左右の短辺枠部の長さ寸法と同等の長さ寸法を有する角棒状体に一体成形され、なお且つこの棒状側枠10の前後端部には、上部に前記嵌合突起14が形成(一体成形)され、下部に前記基体部3の係合凹部9と同一構造の係合凹部9が設けられ(一体成形され)、側部に後述する前枠11および後枠17の差し込み凸部18が差し込み係止される角筒状の受凹部19が設けられ(一体成形され)ている。
【0040】
また、前記嵌合突起14は、詳しく図示していないが外周面に凸条が設けられ(一体成形され)ており、この嵌合突起14を前記取付穴13に嵌合した際に前記凸条が取付穴13の内周面に圧接することで嵌合突起14が取付穴13に圧入されて抜け止め状態となるように構成されている。
【0041】
前記前枠11と前記後枠17とは、同一構造の共通パーツで構成されている。具体的には、
図7に示すように前記側枠10より長さのある角棒状体に一体成形され、この棒状前枠11の左右端部の側部には、角状の前記差し込み凸部18が形成(一体成形)されている。
【0042】
即ち、前枠11の左右の差し込み凸部18を左右の前記側枠10夫々の前端部の前記受凹部19に差し込みすると共に、後枠17の左右の差し込み凸部18を左右の側枠10の後端部の前記受凹部19に差し込みすることで平面視ロ字枠状の前記連結部7が組立てられており(
図8参照)、この際、前枠11(後枠17)とこれに差し込み連結される左右の側枠10とがなす左右の長さ幅寸法が、前記基体部3の前後の長辺枠部の長さ寸法と同等の長さ寸法を有するように、側枠10,前枠11,後枠17の各パーツが設定構成されている(
図1,
図2参照)。
【0043】
この連結部7を構成する側枠10,前枠11,後枠17は、いずれも棒状の小型パーツであるため、小型で安価な成形金型装置を用いて安価且つ容易に設計実現可能であり、また、側枠10と前枠11を組成する構造上この側枠10と前枠11の組付け部位には遊びがあって多少の変形が許容されるものとなっているので、木製天板部4を構成する木材が伸縮したり、前記取付穴13の形成位置に多少の誤差があったり、側枠10や前枠11に部品精度の誤差や歪みがあったとしても、この連結部7を変形させて木製天板部4に容易に取付可能で量産性に優れる。
【0044】
尚、合成樹脂製の天板部4が採用されている場合には、本実施例のような合成樹脂製の連結部7は設けずとも良く、天板部4の下面に前記基体部3の係合凹部9と同一構造の係合凹部9を設け(一体成形し)て、この係合凹部9を連結部7とすると良い。
【0045】
本実施例の側板部5は、合成樹脂製であって長方形板状体に一体成形されていて、
図1,
図3,
図4に示すように、板面方向が鉛直方向となるように立てた状態で使用されると共に、長辺部を上下,短辺部を前後に配して(前後方向に長さを有する態様で立てて)使用される。
【0046】
また、この側板部5は、前後方向の長さ寸法が、前記基体部3の左右の短辺枠部の長さ寸法(前記木製天板部4に設けられている連結部7の側枠10の長さ寸法)と同等の長さ寸法を有する形状に形成(一体成形)されていると共に、上端の前後部と下端の前後部とに、前記係合凹部9に差し込み係止可能な角状の係止凸部8が設けられ(一体成形され)ている(
図4参照)。
【0047】
また、詳しく図示していないが、この係止凸部8には外周面に前記爪受穴が設けられ(一体成形され)ており、係止凸部8を前記係合凹部9に差し込んだ際に係合凹部9の前記爪がこの爪受穴に係止することで係止凸部8が係合凹部9から抜け止め状態となって、側板部5が前記基体部3および前記木製天板部4に対して抜け止め状態となるように構成されている。
【0048】
この側板部5も、複数(図面は六体)を用いて前記本体1が構築されているが、この側板部5は、全て同一構造の共通パーツで構成されている。
【0049】
従って、前記側板部5の上端係止凸部8を前記基体部3下部の係合凹部9または前記木製天板部4下部の係合凹部9に差し込み係止すると共に、側板部5の下端係止凸部8を基体部3上部の係合凹部9に差し込み係止することにより、上側の基体部3の下部左右部と下側の基体部3の上部左右部との間および木製天板部4の下部左右部とその下側の基体部3の上部左右部との間に側板部5が配設する形態の本体1が構築されている。
【0050】
また、この際、木製天板部4と側板部5とは、間に連結部7を介して取付けられる構造上、最上段の引き出し体2に対して木製天板部4の取付位置が高所となってしまい、それ故木製天板部4の前側下部と、最上段の引き出し体2の前側上部との間に隙間12が生じてしまうが、本実施例では、この隙間12は連結部7の前記前枠11とこれに組付けられる左右の側枠10の前端部とによって塞がれるように構成されている。そのため、隙間12から引き出し体2内にゴミやホコリが侵入してしまったり、引き出し体2内の収納物が見えて体裁不良となったりする不都合がない。
【0051】
本実施例の背板部6は、合成樹脂製であって長方形板状体に一体成形されていて、板面方向が鉛直方向となるように立てた状態で使用されると共に、長辺部を上下,短辺部を左右に配して(左右方向に長さを有する態様で立てて)使用される(
図4参照)。
【0052】
また、この背板部6は、左右方向の長さ寸法が、前記基体部3の後側の長辺枠部の長さ寸法および前記木製天板部4に設けられている連結部7の後枠17の長さ寸法の約1/2の長さ寸法を有する形状に形成(一体成形)されていて、この背板部6を二枚横に並べると、上下の基体部3の後部間、および木製天板部4の後部とその下側の基体部3の後部との間を丁度塞ぐように構成されている。
【0053】
また、この背板部6は、下端の左右部に前記係止突起15が設けられ(一体成形され)ており、なお且つ上端には、その全縁部に前記基体部3の後側長辺枠部の下端の外側面および前記連結部7の後枠17の下端の外側面に当接可能な止壁20が設けられていると共に、この止壁20より内側の左右部に基体部3の後側長辺枠部の下縁の内側面および連結部7の後枠17の下端の外側面に係止可能な爪部21が設けられている。
【0054】
この背板部6の取付方法は、前記基体部3と前記木製天板部4と前記側板部5とが組付けられた後で、背板部6下端の前記係止突起15を基体部3の上部後部の係合穴16に差し込み係止し、次いでこの係合穴16を支点に背板部6をその上部が基体部3の後側長辺枠部および連結部7の後枠17に接近するように傾動させることにより前記爪部21が基体部3の後側長辺枠部の下端および連結部7の後枠17の下端を前方へ乗り越えると、この基体部3の後側長辺枠部の下端および連結部7の後枠17の下端が爪部21と前記止壁20との間に挟まれて背板部6が立板状態で取付保持される(上側の基体部3の下部後部と下側の基体部3の上部後部との間および木製天板部4の下部後部とその下側の基体部3の上部後部との間に二枚の背板部6が横並び状態で配設される)。
【0055】
この背板部6も、複数(詳しく図示していないが六体)を用いて前記本体1が構築されているが、この背板部6は、全て同一の共通パーツで構成されている。
【0056】
本実施例の引き出し体2は、合成樹脂製であって上部開口部23を有する一体成形された箱状体24と、この箱状体24の前面部に嵌め込み装着される合成樹脂製の前面化粧板25とから構成されている(
図4参照)。本実施例は、この引き出し体2を三体備えていて、前記本体1の複数(図面は三箇所)の前記引き出し収納部に夫々が引き出し自在に配設されている。
【0057】
また、この引き出し体2は、箱状体24に前面化粧板25が装着されていない状態では、上部開口部23に他の箱状体24を入れ子(ネスティング)状態で上下に積層し得るように構成されている。
【0058】
また、本実施例の前記側板部5は、前記上部開口部23を介して前記引き出し体2内に収納し得る大きさに構成されていて、この複数の側板部5を上下に積層した最上段の引き出し体2内に全て収納できるように構成されている。
【0059】
また、本実施例の複数の背板部6は、前記基体部3の中央開口部27の空きスペースを利用してこの基体部3とともに分離自在に一体成形されており、前記本体1を組付け構築する際にこの基体部3から分離することで並設状態に組付けできるように構成されている(
図5,
図6参照)。
【0060】
具体的には、基体部3は、中央開口部27の前後二箇所の縁部に設けられたゲート部26を介してこの中央開口部27内に二枚の背板部6が各々前後架設状態となるようにして並設状態に設けられている。
【0061】
また、このゲート部26は、背板部6側程径小となる形状に成形されていて、背板部6を基体部3から分離させる際には、このゲート部26が必ず基体部3の中央開口部27側に残るように構成されている。
【0062】
即ち、基体部3に対し背板部6を回動させることでこの背板部6が二箇所のゲート部26の先端から切断分離され、このゲート部26を基体部3の中央開口部27の縁部に残したまま各背板部6を容易に取り外せるように構成されている。
【0063】
尚、基体部3の中央開口部27に一枚の大型な背板部6を成形することも可能であるが、そうした場合、大型の成形型装置内に成形材料を十分に充填するためには材料の通路(ゲート部26)を三箇所以上設ける必要があり、三箇所以上のゲート部26からの背板部6の分離作業は容易ではない。この点、二枚に分割された(小型パーツ化された)背板部6が基体部3に成形される本実施例にあっては、上述のように一枚の背板部6に対するゲート部26を二箇所に設定することが可能であり、この二箇所のゲート部26から例えば基体部3に対し背板部6を回動させるなどしてこの背板部6を容易に切断分離させることができる。
【0064】
以上のように構成された本実施例の木製天板付きチェストは、各パーツ(中央開口部27に背板部6が一体成形されている基体部3,連結部7が取付けられた木製天板部4,側板部5,箱状体24と前面化粧板25とに分離された引き出し体2および脚パーツ22)が分割された状態で梱包されて出荷される。
【0065】
図9は、各パーツが分割されている組み立て前の状態(出荷時の梱包される状態)を示している。具体的には、上下反転させた木製天板部4の上に、中央開口部27に背板部6が一体成形された三体の基体部3が積層され、この最上段の基体部3の上部に入れ子状態で上下に積層した三体の箱状体24が載置され、この最上段の箱状体24内には六体の側板部5および脚パーツ22(脚パーツ22は別梱包でも良い。)が収納されていると共に、最上段の箱状体24の上部開口部23には二体の前面化粧板25が架設状態に載置されてそのうちの一枚の前面化粧板25上にはもう一体前面化粧板25が積層されている。本実施例の木製天板付きチェストは、このようなコンパクト形態で図示省略の梱包用ボックス(段ボール箱)に収納されて出荷され、購入したユーザーにより組立てられて使用される。
【0066】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。