IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社NTTファシリティーズの特許一覧

特開2023-12061座席エリア選定システム、座席エリア選定方法及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012061
(43)【公開日】2023-01-25
(54)【発明の名称】座席エリア選定システム、座席エリア選定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/1093 20230101AFI20230118BHJP
【FI】
G06Q10/10 344
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115477
(22)【出願日】2021-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】目代 有美
(72)【発明者】
【氏名】上澤 道彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 献一
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA11
(57)【要約】
【課題】フリーアドレス型のオフィス内で、グループが利用する位置の割り付けの傾向の偏りを低減可能な座席エリア選定システム、座席エリア選定方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】座席エリア選定システムは、フリーアドレス型オフィスとして利用される対象領域内に配置される複数のテーブルの中から、各グループがそれぞれ利用するテーブルを定めるグループ配置に関し、前記対象領域内の前記複数のテーブルの中から配置対象に選定する優先度を示すテーブル優先順位と、前記各グループの配置順と、前記各グループの利用予定に基づいてグループごとに決定した必要テーブル数と、前記対象領域内の割り当て済みのテーブルを示す割当済テーブル識別情報とに基づいて、前記各グループが利用するテーブルを夫々選定するレコメンド処理部を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フリーアドレス型オフィスとして利用される対象領域内に配置される複数のテーブルの中から、各グループがそれぞれ利用するテーブルを定めるグループ配置に関し、
前記対象領域内の前記複数のテーブルの中から配置対象に選定する優先度を示すテーブル優先順位と、前記各グループの配置順と、前記各グループの利用予定に基づいてグループごとに決定した必要テーブル数と、前記対象領域内の割り当て済みのテーブルを示す割当済テーブル識別情報とに基づいて、前記各グループが利用するテーブルを夫々選定するレコメンド処理部
を備える座席エリア選定システム。
【請求項2】
前記レコメンド処理部は、
前記対象領域の利用予定情報と、グループ配置の傾向の偏りを減らすための補助情報とを用いた第1選定基準に従って、前記各グループの中から優先して配置する第1グループを決定する、
請求項1に記載の座席エリア選定システム。
【請求項3】
前記配置の傾向の偏りを減らすための補助情報は、第1グループとして選定される対象外にすることを示す識別情報と、第1グループとして選定された履歴を示す履歴情報との何れかを含む
請求項2に記載の座席エリア選定システム。
【請求項4】
前記レコメンド処理部は、
前記第1選定基準とは異なる第2選定基準に従って前記各グループの中から前記第1グループを除いて第2グループ以降の配置順を決定する、
請求項2に記載の座席エリア選定システム。
【請求項5】
前記第2選定基準は、前記各グループ間の関連度を用いて規定されている、
請求項4に記載の座席エリア選定システム。
【請求項6】
前記レコメンド処理部は、
前記各グループの中から選定されたグループに1卓目のテーブルを割り当てる場合に、当該グループが前記第1グループか否かによって選定対象のテーブルを決定する、
請求項4又は請求項5に記載の座席エリア選定システム。
【請求項7】
前記レコメンド処理部は、
前記第1グループに1卓目のテーブルを割り当てる場合には、前記対象領域内の各テーブルの割り当て優先順位に従って前記選定対象のテーブルを決定する、
請求項6に記載の座席エリア選定システム。
【請求項8】
前記レコメンド処理部は、
前記第2グループ以降に1卓目のテーブルを割り当てる場合には、対象のグループよりも前のグループに割り当てられたテーブルに隣接する各テーブルの中から、前記テーブル優先順位に従って前記選定対象のテーブルを決定する、
請求項6又は請求項7に記載の座席エリア選定システム。
【請求項9】
前記対象領域の利用予定情報は、前記対象領域の利用日に前記対象領域内で予定されている打ち合わせを示す前記各グループの打ち合わせ予定情報を含む
請求項1から請求項8の何れか1項に記載の座席エリア選定システム。
【請求項10】
フリーアドレス型オフィスとして利用される対象領域内に配置される複数のテーブルの中から、各グループがそれぞれ利用するテーブルを定めるグループ配置に関する座席エリア選定方法であって、
コンピュータによって、
前記対象領域内の前記複数のテーブルの中から配置対象に選定する優先度を示すテーブル優先順位と、前記各グループの配置順と、前記各グループの利用予定に基づいてグループごとに決定した必要テーブル数と、前記対象領域内の割り当て済みのテーブルを示す割当済テーブル識別情報とに基づいて、前記各グループが利用するテーブルを夫々選定するステップ、
を含む座席エリア選定方法。
【請求項11】
フリーアドレス型オフィスとして利用される対象領域内に配置される複数のテーブルの中から、各グループがそれぞれ利用するテーブルを定めるグループ配置に関し、
コンピュータに、
前記対象領域内の前記複数のテーブルの中から配置対象に選定する優先度を示すテーブル優先順位と、前記各グループの配置順と、前記各グループの利用予定に基づいてグループごとに決定した必要テーブル数と、前記対象領域内の割り当て済みのテーブルを示す割当済テーブル識別情報とに基づいて、前記各グループが利用するテーブルを夫々選定するステップ、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座席エリア選定システム、座席エリア選定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ワーカー(従業員)が最も効率的に仕事を行う場所を選択できるワークスタイル(ABW:Activity Based Working)が注目されている。
オフィスにおけるワーカーの行動を複数の「シーン(ワークシーン)」、例えば、「スィンク(Think)」、「ステーション(Station)」、「コミュニティー(Community)」、「レビュー(Review)」、「レセプション(Reception)」、「アカデミー(Academy)」、「ブレイク(Break)」に区分する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。各シーンの建物内の配置、建物を利用するグループが業務を行う位置を、フロアプランの設計段階で最適化することで、建物の利便性を高めることができる。特許文献1によれば、一般的なオフィス業務は「ステーション」に分類され、ワーカー同士が打ち合わせをする交流は「コミュニティー」などに分類される。このようなシーン分けによって、効率的に仕事を行えるように構成された建物が既に提供されている。
さらに、オフィス業務のための領域(「ステーション」)をフリーアドレス型で構成すれば、ワーカーの好みで、その領域内に設けられたテーブルと席の中から自身が利用するテーブルと席との選択が可能になる。このようなフリーアドレス型のオフィスにおいて、グループ内のコミュニケーションを活性化させること、適した環境で仕事ができることなどが望まれる場合があった。
また、フリーアドレス型のオフィスにおいて、例えばグループ単位でグループが活動する領域の位置を割り付けるグループアドレスが適用される場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-115006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
グループアドレスを適用した際に、グループが利用する位置の割り付けの傾向がグループ間で偏ることがあった。このような場合に、フリーアドレスであることの利便性が低下してしまうことがあった。
本発明の目的は、フリーアドレス型のオフィス内で、グループが利用する位置の割り付けの傾向の偏りを低減可能な座席エリア選定システム、座席エリア選定方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1の態様である座席エリア選定システムは、フリーアドレス型オフィスとして利用される対象領域内に配置される複数のテーブルの中から、各グループがそれぞれ利用するテーブルを定めるグループ配置に関し、前記対象領域内の前記複数のテーブルの中から配置対象に選定する優先度を示すテーブル優先順位と、前記各グループの配置順と、前記各グループの利用予定に基づいてグループごとに決定した必要テーブル数と、前記対象領域内の割り当て済みのテーブルを示す割当済テーブル識別情報と、に基づいて、前記各グループが利用するテーブルを夫々選定するレコメンド処理部を備える。
【0006】
(2)さらに座席エリア選定システムにおいて、前記レコメンド処理部は、前記対象領域の利用予定情報と、グループ配置の傾向の偏りを減らすための補助情報とを用いた第1選定基準に従って、前記各グループの中から優先して配置する第1グループを決定する。
【0007】
(3)さらに座席エリア選定システムにおいて、前記配置の傾向の偏りを減らすための補助情報は、第1グループとして選定される対象外にすることを示す識別情報と、第1グループとして選定された履歴を示す履歴情報との何れかを含む。
【0008】
(4)さらに座席エリア選定システムにおいて、前記レコメンド処理部は、前記第1選定基準とは異なる第2選定基準に従って前記各グループの中から前記第1グループを除いて第2グループ以降の配置順を決定する。
【0009】
(5)さらに座席エリア選定システムにおいて、前記第2選定基準は、前記各グループ間の関連度を用いて規定されている。
【0010】
(6)さらに座席エリア選定システムにおいて、前記レコメンド処理部は、前記各グループの中から選定されたグループに1卓目のテーブルを割り当てる場合に、当該グループが前記第1グループか否かによって選定対象のテーブルを決定する。
【0011】
(7)さらに座席エリア選定システムにおいて、前記レコメンド処理部は、前記第1グループに1卓目のテーブルを割り当てる場合には、前記対象領域内の各テーブルの割り当て優先順位に従って前記選定対象のテーブルを決定する。
【0012】
(8)さらに座席エリア選定システムにおいて、前記レコメンド処理部は、前記第2グループ以降に1卓目のテーブルを割り当てる場合には、対象のグループよりも前のグループに割り当てられたテーブルに隣接する各テーブルの中から、前記テーブル優先順位に従って前記選定対象のテーブルを決定する。
【0013】
(9)さらに座席エリア選定システムにおいて、前記対象領域の利用予定情報は、前記対象領域の利用日に前記対象領域内で予定されている打ち合わせを示す前記各グループの打ち合わせ予定情報を含む。
【0014】
(10)さらに本発明の一態様は、フリーアドレス型オフィスとして利用される対象領域内に配置される複数のテーブルの中から、各グループがそれぞれ利用するテーブルを定めるグループ配置に関する座席エリア選定方法であって、コンピュータによって、前記対象領域内の前記複数のテーブルの中から配置対象に選定する優先度を示すテーブル優先順位と、前記各グループの配置順と、前記各グループの利用予定に基づいてグループごとに決定した必要テーブル数と、前記対象領域内の割り当て済みのテーブルを示す割当済テーブル識別情報とに基づいて、前記各グループが利用するテーブルを夫々選定するステップ、を含む座席エリア選定方法である。
【0015】
(11)さらに本発明の一態様は、フリーアドレス型オフィスとして利用される対象領域内に配置される複数のテーブルの中から、各グループがそれぞれ利用するテーブルを定めるグループ配置に関し、コンピュータに、前記対象領域内の前記複数のテーブルの中から配置対象に選定する優先度を示すテーブル優先順位と、前記各グループの配置順と、前記各グループの利用予定に基づいてグループごとに決定した必要テーブル数と、前記対象領域内の割り当て済みのテーブルを示す割当済テーブル識別情報とに基づいて、前記各グループが利用するテーブルを夫々選定するステップを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、フリーアドレス型のオフィス内で、グループが利用する位置の割り付けの傾向の偏りを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態が適用される建物の例を説明するための図である。
図2A】実施形態の座席エリア選定システム1の概略構成図である。
図2B図2Aの座席エリア選定システム1の適用例を説明するための図である。
図2C図2Aの座席エリア選定システム1の適用例を説明するための図である。
図3】実施形態の解析処理装置100の構成図である。
図4A】実施形態のテーブルに係る情報の一例を説明するための図である。
図4B】実施形態のグループに係る情報の一例を説明するための図である。
図4C】実施形態の処理結果のデータの一例を説明するための図である。
図5】実施形態のレコメンド処理のフローチャートである。
図6】実施形態のグループの優先順位を決定する処理のフローチャートである。
図7】実施形態の各グループをテーブルに配置する処理のフローチャートである。
図8】実施形態のグループ内のテーブルを隣接させる配置処理のフローチャートである。
図9A図8に示す処理の過程で抽出されたテーブルについて説明するための図である。
図9B図8に示す処理の過程で抽出されたテーブルについて説明するための図である。
図9C図8に示す処理の過程で抽出されたテーブルについて説明するための図である。
図9D図8に示す処理の過程で抽出されたテーブルについて説明するための図である。
図10】実施形態の配置先の候補として抽出されたテーブルを並び替える処理のフローチャートである。
図11A図10に示す処理によって配置先の候補を並び替えた結果の一例を説明するための図である。
図11B図10に示す処理によって配置先の候補を並び替えた結果の一例を説明するための図である。
図12】実施形態のグループ同士の隣接した配置処理のフローチャートである。
図13A図12に示す処理の過程で抽出されたテーブルについて説明するための図である。
図13B図12に示す処理の過程で抽出されたテーブルについて説明するための図である。
図13C図12に示す処理の過程で抽出されたテーブルについて説明するための図である。
図13D図12に示す処理の過程で抽出されたテーブルについて説明するための図である。
図14A図12に示す処理によって配置先の候補を並び替えた結果の一例を説明するための図である。
図14B図12に示す処理によって配置先の候補を並び替えた結果の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る座席エリア選定システム、座席エリア選定方法及びプログラムの実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
【0019】
(各実施形態に共通する事項)
以下に示す座席エリア選定システムは、例えば、フリーアドレス型オフィスの座席エリア選定処理に適用される。
【0020】
例えば、そのオフィスが設けられる建物内には、ワークスタイルに合うように前述の7つのシーンが適宜配置されている。ワークスタイルは、仕事内容や就業場所、雇用形態、勤務時間などのさまざまな要件を含み、グループ又はワーカー単位で予め定められている。各シーンの配置は、フロアプランとゾーニングとによって設計段階で予め定められていて、変更される頻度は比較的低い。毎日の業務の内容によって上記の各シーンの利用率が異なる場合があるが、本実施形態では、共通のフロアプランが適用され、各シーンの位置は不変とする。
【0021】
以下に示す実施形態は、「ステーション」に割り当てられた領域の利用に関するものである。実施形態の座席エリア選定システムは、フリーアドレス型の「ステーション」において、ワーカーが利用するテーブルと席をグループ単位にまとめた「ホームエリア」を設けて、「グループアドレス方式」を適用する。この「ホームエリア」の中に、日ごとの業務で利用する席(ホーム)を定める。座席エリア選定システムは、ワーカーからの要求に応じて、「ホームエリア」に割り当てられたテーブルの位置を提案(レコメンド)する。これによって、グループ内外のコミュニケーションの活性化を図り、ワーカーの帰属意識が高まることに作用することを見込む。さらに、各グループの作業領域(ホームエリア)の配置が最適化されることによってフリースペースが生まれる。座席エリア選定システムは、そのフリースペースを所望の位置に設けて、その活用の機会を提供する。以下、これに関する詳細を説明する。
【0022】
(実施形態の適用例)
次の適用例を示して、実施形態について説明する。
図1は、実施形態が適用される建物の例を説明するための図である。
図1の中の(a)に示す対象領域TZには、「ステーション(Station)」が割り当てられている。この対象領域TZを利用するワーカーの人数は、各テーブルの座席の総数に基づいて決定される。例えば、合計で概ね30人から50人を見込む。座席の総数までの人数を収容可能であるが、利便性を考慮すると座席の総数の80%程度までの人数で利用するとよい。例えば、「ステーション」に配置されるテーブルには、1テーブルあたり4席から6席が設けられているとよい。各テーブルは、例えば、2次元の格子の交点の位置に配置されている。各テーブルのサイズ、形、席数などは、一様であってよく、一部のものが互いに異なっていてもよい。各テーブルの個数、配置の位置は、図1の中の(a)に示すものに制限されることなく適宜変更してもよい。
【0023】
図1の中の(a)に示す適用例の図には、上述の対象領域TZのほかに、隣接領域NZ1と、隣接領域NZ2とが含まれる。隣接領域NZ1は、対象領域TZに隣接する。隣接領域NZ1は、上述したシーンの1つである「コミュニティー(Community)」が割り当てられている。「コミュニティー」では、例えば、ワーカー同士がコミュニケーションを行える場が提供される。対象領域TZと隣接領域NZ1とには、隣接領域NZ2が隣接する、隣接領域NZ2には、対象領域TZと隣接領域NZ1が並べて配置される方向に沿った「通路」が設けられている。図1の中の(b)に、上記図1の中の(a)に示すテーブル部分に示す情報の凡例を示す。
【0024】
なお、対象領域TZ内のテーブルの位置を、XY座標を用いて示す。XY座標の原点を、「コミュニティー」と「通路」とが接する箇所に定める。X軸方向が「通路」の延伸方向に沿う方向なり、Y軸方向が「通路」の延伸方向に交わる方向になる。
【0025】
図1の中の(a)に示す、「a1」から「a4」、「b1」から「b4」、及び「c1」から「c4」のそれぞれは、例えば4つの席が設けられたテーブルを示している。
【0026】
図示していないが、対象領域TZを利用する各グループの就業時間は、共通する時間帯に設定されていて、就業時間が互いに異なるシフト制によるものではない。さらに、フレックスタイム制や、残業時間が適用されていてもよい。例えば、座席エリア選定システムが提案対象にする時間帯は、正規の就業時間内と残業時間との一方又は両方であってよい。両方の場合、座席エリア選定システムは、正規の就業時間内と残業時間の提案内容を変えてもよい。
【0027】
各グループに割り当てられないフリーテーブルFT(不図示)が配置された領域をフリースペースFS(不図示)という。フリーテーブルFTがまとめて配置される領域を中央テーブルBBという。フリーテーブルFTは、空席化によって利用可能になったテーブルであるが、その空席を配置する位置を調整することで、各グループがそれぞれの目的でコミュニケーションなどの場として利用したり、ワーカー個人が集中の場として活用したりすることが許可される。
【0028】
(実施形態)
図2Aは、実施形態の座席エリア選定システム1の概略構成図である。
本実施形態における座席エリア選定システム1は、解析処理装置100と、端末装置200と、端末装置200Mとを含む。ワーカーを符号Wで示す。管理者を符号Mで示す。以下の説明で、符号Wと符号Mの記載を省略する。
【0029】
端末装置200は、ワーカーが情報を投稿したり、閲覧したりする際に使用する装置である。例えば各ワーカーは、同種の端末装置200を携帯する。図2Aに示す符号GA、GB、GC、GDは、ワーカーが所属するグループを示す。各ワーカーは、自身が携帯する端末装置200を操作することで、解析処理装置100に情報(例えば、アンケートの回答。)を送り、解析処理装置100からの情報を取得して、その表示部に表示させることで、オフィス内でワーカーが利用可能なテーブルの位置を得ることができる。
【0030】
端末装置200Mは、座席エリア選定システム1の管理者Mが操作して、解析処理装置100の設定を変更する装置である。
【0031】
図2B図2Cは、座席エリア選定システム1の適用例を説明するための図である。
図2Bにある一日の典型的なワークスタイルを示す。
座席エリア選定システム1は、例えば、9時にワーカーが出社したとき、又は出社予定の時刻(9時)になったときに、ワーカーがその日に利用する座席を案内する情報を、ワーカーが所持する端末装置200(例えばスマートホン)に表示させる。端末装置200は、この案内をポップアップ形式で表示してもよい(図2C)。ワーカーは、端末装置200のポップアップアイコンを操作して、座席の案内に関する関連情報を表示(サイネージ表示)させてもよい。
【0032】
また、座席エリア選定システム1は、例えば、退社時刻(例えば17時半)になると、ワーカーがその日の残業時間に利用するワークエリア(座席)を案内する情報を、ワーカーが所持する端末装置200(例えばスマートホン)に表示させる。残業時間に利用するワークエリアは、全体の中の一部の領域内に全グループが収まるように決定される。このワークエリアの中で、グループごとに纏まるようにグループに分けて配置してもよく、一般的なフリーアドレス型で配置してもよい。
【0033】
このように、座席エリア選定システム1は、オフィスの利用形態に合わせて、ワークエリアのリコメンドを行うことができる。
【0034】
図3を参照して、解析処理装置100の一例について説明する。図3は、実施形態の解析処理装置100の構成図である。解析処理装置100は、コンピュータシステムの一例である。
【0035】
解析処理装置100は、例えば、情報取得部10と、算出部30と、レコメンド処理部40と、出力部50と、記憶部60(不図示)とを備える。
【0036】
記憶部60は、座席エリア選定システム1の後述する各部が実行する各種処理のための各種データとプログラムを格納する。なお、座席エリア選定システム1は、記憶部60のほかに外部の記憶部を利用するように構成してもよく、これについては、通信を利用する一般的な方法を適用してよい。
【0037】
情報取得部10は、図3に示されない操作部から、又は通信回線NW(図2A)を介して、座席エリア選定システム1の処理に係る各種データを取得する。各種データには、例えば、基本情報と、前日のアンケートに係る情報(予定情報)と、前日までの組織間コミュニケーション量のデータが含まれる。
【0038】
例えば、基本情報には、建物のフロアプラン、対象の各グループのワークスタイル、各グループのワーカーの人員構成、複数のテーブルの配置、テーブル優先順などの各種情報が含まれる。フロアプラン情報には、フリーアドレス型オフィスとして利用される対象領域TZと対象領域TZの外部に位置する特定用途の領域との位置関係と距離に関する情報が含まれる。前日のアンケートに関する情報には、各グループのワーカーが申告した当日の在室予定、当日の打ち合わせ予定の有無などが含まれている。上記の前日のアンケートに関する情報は、複数のテーブルの利用日前(前日)に申告された利用日の業務に関わる予定情報の一例である。上記の予定情報は、対象領域TZの利用予定情報の一例である。対象領域TZの利用予定情報は、対象領域TZの利用日に対象領域TZ内で予定されている打ち合わせを示す各グループの打ち合わせ予定情報を含むものであってよい。グループ間のコミュニケーション量には、前日までの数日間の行動履歴情報(位置情報を含む。)が含まれている。
【0039】
情報取得部10は、上記の各種データを取得すると、記憶部60に取得した情報を書き込み、追加する。以下に示す各機能部は、情報取得部10が取得した各種データ、又は記憶部60に格納された各種データを利用した処理の結果を記憶部60に追加する。
【0040】
算出部30は、上記の予定情報に基づいて、対象領域TZ内の複数のテーブルの中から、利用日の利用形態を制限するテーブルとして利用する利用日当日の必要テーブルの個数(必要テーブル数)を算出する。必要テーブル数には、各グループのテーブル数、及びフリーテーブルの個数が含まれる。より具体的には、この利用日当日の必要テーブル数には、各グループが専ら利用するように割り当てるテーブルのテーブル数と、各グループが共用するように割り当てるフリーテーブルFTのテーブル数とが含まれる。本実施形態では、テーブル数を基準にした処理について説明するが、これに代えて、席の数を基準にした処理を用いてもよい。
【0041】
算出部30は、上記の予定情報に基づいて、グループごとの打ち合わせありと回答した人数を算出し、これに基づいて打ち合わせ比率、在席率などを算出する。算出部30は、行動履歴情報に基づいて、グループ間のコミュニケーション量を算出する。グループ間近接度は、グループ間のコミュニケーション量の一例である。
【0042】
レコメンド処理部40は、上記の予定情報に基づいて、対象領域TZ内に第1グループと第2グループとを含む複数のグループがそれぞれ利用するテーブルを決定するためのグループ配置の優先度を決定する。例えば、グループ配置の優先度がより高いグループを第1グループと呼ぶ。この場合、第2グループは、第1グループよりも優先度が低い。以下同様である。
【0043】
さらに、レコメンド処理部40は、第1グループのグループ配置の優先度よりも、優先度が低い第2グループの領域を、その必要テーブル数を満たすように第1グループの領域を配置した領域以外の領域に配置する。これによって、第2グループの領域の位置が決定する。なお、この第2グループの領域の配置は、後述する第2グループの領域の配置の規則に従うものとする。
【0044】
レコメンド処理部40は、第1グループのメンバーと第2グループのメンバーとが適宜利用することが許可されたフリーテーブルFTを、その必要テーブル数を満たすように選定してもよい。
【0045】
出力部50は、外部の端末装置からの要求を受け付けて、その要求に応じてレコメンド処理部40の処理の結果を、上記の端末装置に対して出力する。
【0046】
図4Aから図4Cを参照して、実施形態に示す事例に係る各種情報の一例について説明する。
【0047】
図4Aは、実施形態のテーブルに係る情報の一例を説明するための図である。図4Aに示された「テーブルマスタ」には、各テーブルに係る情報が格納されている。「テーブルマスタ」は、テーブルID、座席数、座標(X座標、Y座標)、中央テーブル、抽出順、テーブル優先順位などの項目を含む。「テーブルマスタ」の各レコードは、テーブルごとに設けられている。
【0048】
テーブルIDは、各テーブルの識別情報である。座席数は、各テーブルの座席数である。X座標は、各テーブルのX方向の座標を示し、Y座標は、Y方向の座標を示す。テーブル優先順位は、グループの配置を行う際に選択するテーブルの優先順位である。
【0049】
中央テーブルは、中央テーブルBB内のテーブルであることを識別するための情報と、中央テーブルBB内のテーブルの優先順位を規定する情報とを示す。例えば、「0」は、中央テーブルBBとして設定されていないことを示し、「0」以外の数値は、各テーブルが中央テーブルとして設定されていることを示す。中央テーブルBB内のテーブルの優先順位は、例えば、「1」を最も優先順位が高いものとして規定して、以下連番で数値が大きくなるほど優先順位が下がるものとする。
【0050】
抽出順は、テーブルの割り付けに関する所定の演算処理の結果を示す。抽出順は、例えば、「1」を最も優先順位が高いものとして規定して、以下連番で数値が大きくなるほど優先順位が下がるものとする。
【0051】
テーブル優先順位は、グループの配置を行う際に選択するテーブルの優先順位である。テーブル優先順位について、例えば、「1」を最も優先順位が高いものとして規定して、以下連番で数値が大きくなるほど優先順位が下がるものとする。
【0052】
図4Bは、実施形態のグループに係る情報の一例を説明するための図である。図4Bに示された「グループマスタ」には、各グループに係る情報が格納されている。
「グループマスタ」は、例えば、グループID、名称、所属人数、在席予定者数、必要テーブル数、打合せ予定者数、打合せ予定者比率、1番目にしないフラグ、グループ処理順などの項目を含む。
【0053】
例えば、グループIDは、各グループの識別情報である。名称は、各グループの名称を示す。所属人数は、各グループの所属人数を示す。
在席予定者数は、その日に在籍する予定人数を示す。例えば、アンケート結果に基づいて、その日に在籍する予定人数を集計した値であって良い。必要テーブル数は、在席予定者数に基づいて、在席予定者を割り当てることに要するテーブル数を示す。
【0054】
打合せ予定者数は、在籍予定者の中で打ち合わせの予定がある人数を示す。例えば、アンケート結果に基づいて、在籍予定者の中で打ち合わせの予定があると回答した人数を集計した値であって良い。打合せ予定者比率は、在席予定者の内、打ち合わせ予定があると回答した人の割合を示す。例えば、上記の「在席予定者数」に対する「打合せ予定者数」の比率であってよい。
【0055】
1番目にしないフラグは、グループの配置処理を行う際に、最優先のテーブルに配置されないようにするための情報を示す。例えば、最優先のテーブルに配置されないようにするグループには1を設定する。グループ優先順は、グループの配置を行う処理において、次に処理をするグループを順に選択する際の順位を示す。このグループ優先順は、処理の都度、グループマスタの基礎データ、グループ間近接度、出力履歴などを参照して再計算され更新される。
【0056】
なお、グループマスタの基礎データは、アンケート結果などに基づいた情報を含み、グループID、所属人数、在席予定者数、必要テーブル数、打合せ予定者数、打合せ予定者比率、1番目にしないフラグなどを含むとよい。グループ間近接度の算出方法として、特開2016-115006号公報などに記載の既知の方法を利用してもよい。「グループマスタ」のグループ優先順も、前述のテーブル優先順位と同様に1からの連番で規定するとよい。
【0057】
図4Cは、実施形態の処理結果のデータの一例を説明するための図である。図4Eに示された「出力データ」には、処理結果のデータが格納されている。「出力データ」は、テーブルID、座席数、グループID、グループ名、使用数、空席数などの項目を含む。例えば、座席数は、テーブルごとに割り当て可能な座席の席数を示す。テーブルIDに対応づけられたテーブルごとに、グループIDに対応づけられたグループが割り当てられ、その人数が座席の使用数として格納される。空席数は、各テーブルの座席数から使用数を減算した結果になる。
【0058】
図4Cは示す状態は、「a1」、「a2」及び「b1」の3つのテーブルに、グループAの10人を分散して割り付けたときを例示する。「a1」及び「a2」のテーブルに4人ずつ割り当てられていて、空席がない。これに対して、「b1」のテーブルに2人が割り当てられていて、2つの空席がある。その他の各テーブルは何れも空席である。
【0059】
図5を参照して、実施形態のレコメンド処理の概要について説明する。
図5は、実施形態のレコメンド処理のフローチャートである。
【0060】
レコメンド処理部40は、グループの優先順位を決定する(ステップS1)。これの詳細について後述する。
【0061】
レコメンド処理部40は、グループの優先順位に従って、グループID、在席予定者数を取得して(ステップS2)、これに基づいて、各グループをテーブルに配置して(ステップS3)、その結果を出力データに追加する。これの詳細について後述する。
【0062】
レコメンド処理部40は、出力データを参照して配置済座席数を取得する(ステップS4)。レコメンド処理部40は、在席予定者数と配置済座席数とを比較して、在席予定者数が配置済座席数以下(在席予定者数 ≦ 配置済座席数)であるか否かを識別する(ステップS5)。在席予定者数が配置済座席数を超えている場合、レコメンド処理部40は、そのグループの処理を継続してステップS3からの処理を実施する。
【0063】
在席予定者数が配置済座席数以下である場合、レコメンド処理部40は、そのグループの処理を終えて次のグループの処理に切り替えることを試みる。例えば、レコメンド処理部40は、全てのグループの処理が終了したか否かを識別する(ステップS6)。全てのグループの処理が終了していない未了段階の場合、レコメンド処理部40は、次のグループの処理に切り替えるためにステップS2からの処理を実施する。
【0064】
全てのグループの処理が終了した場合、レコメンド処理部40は、履歴情報を出力して(ステップS7)、一連の処理を終える。
【0065】
上記の処理は、管理者の要求に応じて、又は予め定められた所定の時刻になった場合に実施される。以下、より具体的な処理の事例を示して、各ステップの処理をより詳しく説明する。
【0066】
まず、図6を参照して、前述のステップS1(図5)に関わる各グループの優先順位を決定する処理の一例について説明する。図6は、実施形態のグループの優先順位を決定する処理のフローチャートである。この図6に例示する処理は、最初に割り当てるグループとして抽出した結果に、グループ間のバランスを確保するときなどに適用するとよい。
【0067】
レコメンド処理部40は、前日のアンケート結果を元に打合せ予定者比率を計算する(ステップS11)。
【0068】
「1番目にしないフラグ」と、打合せ予定者比率と、選択するグループの優先順とに基づいてグループをソートティングして、処理対象にするグループの選択順を決定するとよい。レコメンド処理部40は、この選択順の先頭になったグループを処理対象として抽出する(ステップS12)。
【0069】
例えば、「1番目にしないフラグ」については、同フラグが立っていないグループを同フラグが立っているグループよりも優先させる。打合せ予定者比率については、比率が比較的高いグループを優先させる。換言すれば、打合せ予定者比率の場合、その降順で選択する。グループの優先順については、その優先度に従う。グループの優先順として、グループマスタの優先順を用いてよい。
【0070】
レコメンド処理部40は、抽出したグループが過去の所定の期間(例えば30日間)に、1番目に割り当てられた回数の割合(単に「割合」という。)を算出する(ステップS13)。レコメンド処理部40は、その割合が所定の比率(例えば30%)を超えているか否かを判定する(ステップS14)。
【0071】
割合がその所定の比率を超えていない場合、レコメンド処理部40は、抽出したグループを「第1優先グループ」に決定する(ステップS15)。
【0072】
割合がその所定の比率を超えている場合、レコメンド処理部40は、評価対象の全グループの中で評価未了のグループがあるか否か、換言すれば評価対象のグループが最後のグループか否かを判定する(ステップS16)。
【0073】
最後のグループではない場合、レコメンド処理部40は、評価未了のグループの中から次の評価対象にするグループ(次のグループ)を抽出する(ステップS17)。
【0074】
最後のグループであった場合、レコメンド処理部40は、ステップS12の処理において選択順の先頭になったグループを「第1優先グループ」に決定する(ステップS18)。
【0075】
レコメンド処理部40は、2番目以降のグループの処理順を決定する(ステップS19)。
【0076】
なお、この2番目以降のグループの処理順の決定処理には、グループ間近接度を適用するとよい。例えば、グループ間近接度は、過去の行動履歴に基づいた各グループ間のコミュニケーション量の情報に基づいて決定するとよい。この場合、2つ以上のグループのメンバーが所定の範囲内に位置していて、その場所に所定時間(例えば、5分)以上滞在していた時間と人数を計測して、1週間分の延べ時間(時間と人数の積)の合計をそのグループの構成人数で割った結果を利用する。
【0077】
例えば、Aグループの構成人数が5人、Bグループの構成人数が10人とする。
Aグループの3人とBグループの3人が10分間、Aグループの2人とBグループの2人が20分間、夫々打ち合わせした場合には、下記の式(1)から式(3)に従って、AグループとBグループのグループ間近接度を算出する。グループ間近接度は、グループ間の関連度を示す指標の一例である。
【0078】
A:(30+40)/5人=14分 ・・・(1)
B:(30+40)/10人=7分 ・・・(2)
AグループとBグループのグループ間近接度:14+7=21分 ・・・(3)
【0079】
上記と同様の方法で、各グループに対して2つのグループ間のグループ間近接度を算出する。
【0080】
なお、グループ間近接度が同じ値になったグループの組が複数発生した場合には、下記の条件を利用して順位を決定してもよい。
【0081】
・過去に近接して配置した回数(近接回数という。)が少ない方を選択する(第1条件)。
・前回近接して配置したときがより過去の方を選択する(第2条件)。
【0082】
上記の条件を組み合わせてもよい。例えば、第1条件による判定を先に適用し、その結果、その近接回数も同じになった場合に、第2条件を適用する。
【0083】
なお、この2番目以降のグループの処理順の決定処理は、上記に制限されることなく、既知の順序決定処理の手法を適用してもよい。
【0084】
以上の処理により、各グループの優先順位を決定するとよい。
【0085】
次に、図7を参照して、前述のステップS3(図5)に関わる各グループをテーブルに配置する処理の一例について説明する。図7は、実施形態の各グループをテーブルに配置する処理のフローチャートである。
【0086】
レコメンド処理部40は、取得したグループIDのグループについての1卓目の配置か否かを識別する(ステップS31)。
【0087】
取得したグループIDのグループの1卓目の配置である場合、レコメンド処理部40は、取得したグループIDのグループが、配置対象のグループの中で1番目のグループとして抽出されているか否かを識別する(ステップS32)。
【0088】
1番目のグループが抽出されている場合、レコメンド処理部40は、テーブル優先順位の1番のテーブルに、そのグループの1卓目を配置して(ステップS34)、一連の処理を終える。これにより、テーブル優先順位の1番のテーブルに、最初に配置するグループの1卓目を配置することができる。
【0089】
1番目のグループ以外のグループ、つまり2番目以降のグループが抽出されている場合、レコメンド処理部40は、配置対象のグループのひとつ前に処理したグループのテーブルに隣接するテーブルで、かつまだ割り当てられていないテーブルの中で、テーブル優先順位が高いテーブルに、配置対象のグループを配置して(ステップS35)、一連の処理を終える。これにより、2番目以降のグループの1卓目を、ひとつ前のグループに隣接するように配置することができる。
【0090】
取得したグループIDのグループの1卓目の配置処理でない場合、レコメンド処理部40は、そのグループIDのグループが配置されたテーブルに隣接するテーブルで、かつまだ割り当てられていないテーブルの中で、テーブル優先順位が高いテーブルにそのグループを配置して(ステップS33)、一連の処理を終える。これにより、各グループの2卓目以降のテーブルを、夫々順に配置することができる。
【0091】
上記の処理によれば、各グループ内のグループの割り当て順序と、同グループ内の1卓目の割り付け処理であるかを識別することにより、グループを割り付ける順序に従った処理を実施できる。
【0092】
(第1適用例)
次に、図8図9Aから図9Dとを参照して、上記のステップS35(図7)に関するグループ内のテーブルを隣接して配置処理の適用例(第1適用例)について説明する。図8は、実施形態のグループ内のテーブルを隣接させる配置処理のフローチャートである。図9Aから図9Dは、図8に示す処理の過程で抽出されたテーブルについて説明するための図である。図9Aの(a)に、濃いハッチングで抽出されたテーブルを示す。斜め線のハッチングは、起点のテーブルを示す。図9Aの(b)に、テーブルマスタに対応する項目を含むリストを示す。このリストは、テーブルマスタから「横座標」と「縦座標」を省略したものであり、それぞれの処理において抽出されたテーブルを示している。図9Bから図9Dについても、図9Aと同様である。
【0093】
レコメンド処理部40は、1卓目の座標を取得して(ステップS81)、ここを起点とする。例えば、図9Aから図9Dに示す例では、Xグループの1卓目が「a1」に配置済であり、これを起点とする。以下、Xグループの2卓目のテーブルを配置する場合を例示する。Xグループは、AグループからDグループの何れでもよく、説明用に例示したものである。
【0094】
レコメンド処理部40は、起点から縦方向又は横方向に±1の範囲で空いているテーブルを、配置先の候補(第1候補という。)のテーブルとして抽出する(ステップS82)。例えば、図9Aに示すように「a1」を起点にした抽出によって、第1候補として「b1」と「a2」が抽出された。レコメンド処理部40は、抽出した「b1」と「a2」について、テーブルマスタの抽出順のデータとして第1候補を示す「1」を追加する。
【0095】
レコメンド処理部40は、起点から斜め方向に±1の範囲で空いているテーブルを、配置先の候補のテーブルとして抽出する(ステップS83)。例えば、図9Bに示すように「a1」を起点にした抽出によって、第2候補として「b2」が抽出された。レコメンド処理部40は、抽出した「b2」について、テーブルマスタの抽出順のデータとして第2候補を示す「2」を追加する。
【0096】
レコメンド処理部40は、起点から縦方向又は横方向に±2の範囲で空いているテーブルを、配置先の候補のテーブルとして抽出する(ステップS84)。例えば、図9Cに示すように「a1」を起点にした抽出によって、第3候補として「b1」、「c2」、「a2」及び「a3」が抽出された。レコメンド処理部40は、抽出した「b1」、「c2」、「a2」及び「a3」について、テーブルマスタの抽出順のデータとして第3候補を示す「3」を追加する。
【0097】
レコメンド処理部40は、空いているテーブル全てを、配置先の候補のテーブルとして抽出する(ステップS85)。空いているテーブルとは、グループの割り当てが未了のテーブルのことである。例えば、図9Dに示すように「a1」を起点にした抽出によって、第4候補として「a1」以外の全てのテーブルが抽出された。レコメンド処理部40は、抽出した「a1」以外の全てのテーブルについて、テーブルマスタの抽出順のデータとして第4候補を示す「4」を追加する。
【0098】
レコメンド処理部40は、抽出したテーブルが1つもないか否かを識別する(ステップS86)。レコメンド処理部40は、抽出したテーブルが1つもない場合、空きテーブルがない状況なので処理を中止する(ステップS89)。
【0099】
抽出したテーブルがある場合、レコメンド処理部40は、配置先の候補として抽出したテーブルを、所定の規則に従い並び替える(ステップS87)。レコメンド処理部40は、並び替えて先頭になったテーブルに配置して(ステップS88)、一連の処理を終了する。
【0100】
ここで、図10と、図11A図11Bとを参照して、配置先の候補として抽出されたテーブルを並び替える事例について説明する。図10は、実施形態の配置先の候補として抽出されたテーブルを並び替える処理のフローチャートである。図11A図11Bは、配置先の候補を並び替えた結果の一例を説明するための図である。
【0101】
レコメンド処理部40は、第1候補から第4候補として抽出されたテーブルのデータを統合する(ステップS871)。このとき、繰り返し抽出されたテーブルは、そのデータが重複するが、以下の処理を続けてよい。
【0102】
レコメンド処理部40は、配置対象内の全テーブル数に対する空きテーブルになるテーブル数の比率が予め定められた所定の値(閾値Kという。)に達するか否かを判定する(ステップS872)。例えば、閾値Kを半分とする。
【0103】
その比率が所定の値の閾値Kに達していない状態、つまり空きテーブルの比率が閾値Kよりも少ない場合には、中央付近のテーブル(BBエリア内のテーブル)をフリーテーブルFTとして利用するように確保するような並び替えを実施するとよい。より具体的には、レコメンド処理部40は、最初に中央テーブルの項目のデータを利用してソーティングを行い(ステップS873)、中央付近のテーブルの割り付けが候補の最後の方になるように配置する。続けて、レコメンド処理部40は、グループマスタ(例えば、図11A図11B)における抽出順の項目のデータを利用してソーティングを行い(ステップS874)、最後にテーブル優先順の項目のデータを利用してソーティングを行う(ステップS875)。これにより、図11Aに示すような結果を得ることができる。
【0104】
これに対して、その比率が所定の値の閾値Kに達した状態、つまり空きテーブルの比率が閾値K以上の場合には、中央付近のテーブル(BBエリア内のテーブル)をフリーテーブルFTとして確保することなく並び替えを実施するとよい。より具体的には、レコメンド処理部40は、中央テーブルの項目のデータを利用するソーティングを行わずに、処理をステップS874に進める。これにより、上記の結果と異なる図11Bに示すような結果を得ることができる。
【0105】
図11A図11Bを比べると、先頭が「b1」であることは変わらない。図11Bの場合、中央テーブルの項目に割り付けられている「b2」と「b3」のテーブルが、このリストの中央よりも後半に割り付けられている。リストの最後に割り付けられている図11Aの場合と異なっている。
【0106】
上記の適用例によれば、座席エリア選定システム1は、グループ内のメンバーが利用するテーブルを隣接して配置できる。
【0107】
(第2適用例)
次に、図12図13Aから図13Dとを参照して、上記のステップS34(図7)に関するグループ同士の隣接した配置処理の適用例(第2適用例)について説明する。図12は、実施形態のグループ同士の隣接した配置処理のフローチャートである。図13Aから図13Dは、図12に示す処理の過程で抽出されたテーブルについて説明するための図である。図12図13Aから図13Dは、前述の図8図9Aから図9Dに対応する。
【0108】
レコメンド処理部40は、ひとつ前に処理したグループのテーブルの座標を全て取得して(ステップS81A)、ここを起点とする。例えば、図13Aから図13Dに示す例では、Aグループの2卓目が「a1」と「b1」に配置済であり、これらを起点としてBグループのテーブルを配置する場合を例示する。図13Aから図13Dの表記は、前述の図9Aから図9Dと同様である。
【0109】
レコメンド処理部40は、それぞれの起点から縦方向又は横方向に±1の範囲で空いているテーブルを、配置先の候補(第1候補という。)のテーブルとして抽出する(ステップS82A)。例えば、図13Aに示すように「a1」と「b1」とを起点にした抽出によって、第1候補として「c1」、「a2」及び「b2」が抽出された。レコメンド処理部40は、抽出した「c1」、「a2」及び「b2」について、テーブルマスタの抽出順のデータとして第1候補を示す「1」を追加する。
【0110】
レコメンド処理部40は、それぞれの起点から斜め方向に±1の範囲で空いているテーブルを、配置先の候補のテーブルとして抽出する(ステップS83A)。例えば、図13Bに示すように「a1」と「b1」とを起点にした抽出によって、第2候補として「a2」、「b2」及び「c2」が抽出された。レコメンド処理部40は、抽出した「a2」、「b2」及び「c2」について、テーブルマスタの抽出順のデータとして第2候補を示す「2」を追加する。
【0111】
レコメンド処理部40は、それぞれの起点から縦方向又は横方向に±2の範囲で空いているテーブルを、配置先の候補のテーブルとして抽出する(ステップS84A)。例えば、図13Cに示すように「a1」と「b1」とを起点にした抽出によって、第3候補として「c1」、「a2」、「b2」、「a3」及び「b3」が抽出された。レコメンド処理部40は、抽出した「c1」、「a2」、「b2」、「a3」及び「b3」について、テーブルマスタの抽出順のデータとして第3候補を示す「3」を追加する。
【0112】
レコメンド処理部40は、空いているテーブル全てを、配置先の候補のテーブルとして抽出する(ステップS85A)。空いているテーブルとは、グループの割り当てが未了のテーブルのことである。例えば、図13Dに示すように「a1」と「b1」とを起点にした抽出によって、第4候補として「a1」と「b1」を除く全てのテーブルが抽出された。レコメンド処理部40は、抽出した「a1」と「b1」を除く全てのテーブルについて、テーブルマスタの抽出順のデータとして第4候補を示す「4」を追加する。
【0113】
レコメンド処理部40は、抽出したテーブルが1つもないか否かを識別する(ステップS86)。これ以降、ステップS87からステップS89の処理は、前述の図8と同じである。
【0114】
ここで、図14A図14Bとを参照して、配置先の候補として抽出されたテーブルを並び替える事例について説明する。図14A図14Bは、配置先の候補を並び替えた結果の一例を説明するための図である。図14A図14Bは、前述の図11A図11Bに対応する。
【0115】
配置対象内の全テーブル数に対する空きテーブルになるテーブル数の比率が所定の値に達していない状態、つまり空きテーブルが比較的少ない場合には、図14Aに示すような結果が得られる。
【0116】
これに対して、その比率が所定の値に達した状態、つまり空きテーブルが比較的多い場合には、図14Bに示すような結果を得ることができる。
【0117】
図14A図14Bを比べると、先頭が「c1」であることは変わらない。図14Bの場合、中央テーブルの項目に割り付けられている「b2」と「b3」のテーブルが、このリスト中に点在する。例えば、「b2」は、リストの上段側から3つ目に割り付けられている。リストの最後に割り付けられている図14Aの場合と異なっている。
【0118】
上記の適用例によれば、座席エリア選定システム1は、グループ同士の関連度の高い核グループが利用するテーブルを隣接して配置できる。
【0119】
上記の何れかの実施形態の座席エリア選定システム1は、フリーアドレス型オフィスとして利用される対象領域内に配置される複数のテーブルの中から、各グループがそれぞれ利用するテーブルを定めるグループ配置に関し、対象領域内の複数のテーブルの中から配置対象に選定する優先度を示すテーブル優先順位と、各グループの配置順と、各グループの利用予定に基づいてグループごとに決定した必要テーブル数と、対象領域内の割り当て済みのテーブルを示す割当済テーブル識別情報とに基づいて、各グループが利用するテーブルを夫々選定するレコメンド処理部40を備えることにより、フリーアドレス型のオフィス内で、グループが利用する位置の割り付けの傾向の偏りを低減することができる。
【0120】
なお、レコメンド処理部40は、対象領域TZの利用予定情報と、グループ配置の傾向の偏りを減らすための補助情報とを用いた第1選定基準に従って、各グループの中から優先して配置する第1グループを決定するとよい。その際に、配置の傾向の偏りを減らすための補助情報に、第1グループとして選定される対象外にすることを示す識別情報と、第1グループとして選定された履歴を示す履歴情報との何れかを含むとよい。第1グループとして選定される対象外にすることを示す識別情報に、「1つ目にしないフラグ」を適用することができる。第1グループとして選定された履歴を示す履歴情報に、所定の期間中に選定された回数を適用してもよい。
【0121】
なお、レコメンド処理部40は、第1選定基準とは異なる第2選定基準に従って各グループの中から第1グループを除いて第2グループ以降の配置順を決定してよい。その第2選定基準は、各グループ間の関連度を用いて規定されていてもよい。これにより、第1グループの割り当てを終えたのちの状況に合わせて、第2グループを割り当てることができる。
【0122】
なお、レコメンド処理部40は、前記各グループの中から選定されたグループに1卓目のテーブルを割り当てる場合に、当該グループが第1グループか否かによって選定対象のテーブルを決定してもよい。これにより、第1グループの1卓目に、予め定められた所望のテーブルを割り当てることができる。その際に、レコメンド処理部40は、対象領域TZ内の各テーブルの割り当て優先順位に従って選定対象のテーブルを決定するとよい。
【0123】
なお、レコメンド処理部40は、第2グループ以降に1卓目のテーブルを割り当てる場合には、対象のグループよりも前のグループに割り当てられたテーブルに隣接する各テーブルの中から、テーブル優先順位に従って、選定対象のテーブルを決定することにより、テーブル優先順位に則して各グループの位置を決定できる。
【0124】
以上、本発明の実施形態について説明したが、座席エリア選定システム1は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した処理に関する一連の処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここで、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどをいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。また、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSなども含むものとする。
【0125】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の実施形態は上記のものに限定されない。本発明の実施形態は、例えば、上記の実施形態を次のように変形したものとすることができる。
例えば、上記の実施形態では、本発明に関連する構成を便宜上、座席エリア選定システム1の各機能が1つの装置に一体化されたものとして説明したが、各機能を複数の装置に適宜分散して構成してもよい。
【符号の説明】
【0126】
1 座席エリア選定システム、10 情報取得部、30 算出部、40 レコメンド処理部、50 出力部、60 記憶部、100 解析処理装置、200、200M 端末装置
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B