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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120632
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20230823BHJP
   H01H 3/12 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
G06F1/16 312Z
G06F1/16 312E
H01H3/12 C
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023584
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木下 宏晃
(72)【発明者】
【氏名】田角 和也
(72)【発明者】
【氏名】佐野 哲也
【テーマコード(参考)】
5G025
【Fターム(参考)】
5G025AA04
5G025BA06
5G025CA02
5G025EA02
(57)【要約】
【課題】ボタンの良好な操作感を実現することのできる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器10は、扁平形状の本体筐体12にマザーボード26を備えており、マザーボード26の端部に設けられたスイッチ32と、スイッチ32のアクチュエータ32bを押圧操作するボタン34と、ボタン34がアクチュエータ32bを押圧操作する際に、当接部Pを中心と下回転を制限する制限片26bと、スイッチ32より上方にずれた位置で本体筐体12の側壁12cに形成されたボタン孔36とを有する。ボタン34は、ボタン孔36から露呈される操作部34aと、アクチュエータ32bと対向する位置まで延在するアーム部34cと、突出するヒレ片34baとを備える。制限片26bは上下方向に関してヒレ片34baより下方にずれた位置で該ヒレ片34baと対向するように設けられている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平形状の筐体に電子基板を備える電子機器であって、
アクチュエータが前記筐体の側方に向けて突出するように前記電子基板の端部に設けられたスイッチと、
前記アクチュエータを押圧操作するボタンと、
前記ボタンが前記アクチュエータを押圧操作する際に該アクチュエータとの当接部を中心として回転することを制限する制限部と、
前記筐体の厚み方向に関して前記スイッチより一方にずれた位置で、前記筐体の側面に形成されたボタン孔と、
を有し、
前記ボタンは、
前記ボタン孔から一部が露呈される操作部と、
前記アクチュエータと対向する位置まで延在するアーム部と、
押圧操作される際の変位方向に向かって突出するヒレ片と、
を備え、
前記制限部は、前記筐体の厚み方向に関して前記ヒレ片より他方にずれた位置で該ヒレ片と対向するように設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記制限部は、前記電子基板の端部によって形成されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電子機器において、
前記ボタンは、前記操作部の両端から前記ヒレ片と直交する方向に突出する弾性片を有し、
前記弾性片は、前記筐体の厚み方向に関して前記操作部の中心より前記一方にずれた位置に設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記ヒレ片と前記制限部とは前記スイッチを挟んだ両側に一対ずつ設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記ヒレ片は先端に向かって前記制限部との間隔が大きくなる形状である
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記筐体における前記一方の面にはキーボードが設けられ、
前記ボタン孔は前記キーボードの側方に設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項6に記載の電子機器において、
前記ボタンの非操作時に、前記ヒレ片は前記キーボードの端部よりも側方にずれた位置にある
ことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項6または7に記載の電子機器において、
前記スイッチは、前記電子基板における前記他方の面に実装されている
ることを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボタンを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型PCのような電子機器は、例えば特許文献1で示されるように、電子基板およびキーボードを搭載した本体筐体とディスプレイを搭載したディスプレイ筐体とがヒンジで連結されている。電子機器の電源用などのボタンスイッチは特許文献1に記載されているように本体筐体の上面に設けられることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-170176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ノート型PCはコンパクト化の要請があることから本体筐体の平面視面積を小さくするためにボタンスイッチは本体筐体の側面に配置することがある。ボタンスイッチは電子基板に実装されるスイッチと、本体筐体の側面に露呈した操作部を押圧操作することによりスイッチのアクチュエータを押圧するボタンとによって構成することができる。
【0005】
ところで、ノート型PCは薄型化の要請もあることから内部スペースに制約があり、スイッチとボタンとを同軸上に配置することが困難となる場合がある。そのため、ボタンにはアクチュエータと対向する位置まで延在するアーム部を設け、該アーム部を介してアクチュエータを押圧することになる。しかしながらこのような構成では、ボタンは押圧操作されるとアクチュエータとの当接部を中心として回転する事態が発生し、該ボタンの操作感が低下する。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、ボタンの良好な操作感を実現することのできる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の実施態様に係る電子機器は、扁平形状の筐体に電子基板を備える電子機器であって、アクチュエータが前記筐体の側方に向けて突出するように前記電子基板の端部に設けられたスイッチと、前記アクチュエータを押圧操作するボタンと、前記ボタンが前記アクチュエータを押圧操作する際に該アクチュエータとの当接部を中心として回転することを制限する制限部と、前記筐体の厚み方向に関して前記スイッチより一方にずれた位置で、前記筐体の側面に形成されたボタン孔と、を有し、前記ボタンは、前記ボタン孔から一部が露呈される操作部と、前記アクチュエータと対向する位置まで延在するアーム部と、押圧操作される際の変位方向に向かって突出するヒレ片と、を備え、前記制限部は、前記筐体の厚み方向に関して前記ヒレ片より他方にずれた位置で該ヒレ片と対向するように設けられている。
【0008】
前記制限部は、前記電子基板の端部によって形成されていてもよい。
【0009】
前記ボタンは、前記操作部の両端から前記ヒレ片と直交する方向に突出する弾性片を有し、前記弾性片は、前記筐体の厚み方向に関して前記操作部の中心より前記一方にずれた位置に設けられていてもよい。
【0010】
前記ヒレ片と前記制限部とは前記スイッチを挟んだ両側に一対ずつ設けられていてもよい。
【0011】
前記ヒレ片は先端に向かって前記制限部との間隔が大きくなる形状となっていてもよい。
【0012】
前記筐体における前記一方の面にはキーボードが設けられ、前記ボタン孔は前記キーボードの側方に設けられていてもよい。
【0013】
前記ボタンの非操作時に、前記ヒレ片は前記キーボードの端部よりも側方にずれた位置にあってもよい。
【0014】
前記スイッチは、前記電子基板における前記他方の面に実装されていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の上記態様によれば、スイッチとボタンの操作部とが同軸上ないことから、操作部を押圧操作するとアーム部とアクチュエータとの当接部を中心として回転モーメントが作用する。しかしながら、ボタンにはヒレ片が突出して設けられており、さらに該ヒレ片に対向する位置に制限部が設けられていることから、ボタンが回転してもヒレ片が制限部に当接し、ボタンは過度な回転が制限されて良好な操作感を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施形態に係る電子機器を上から見下ろした模式的な平面図である。
図2図2は、電子機器の側方部分の拡大斜視図である。
図3図3は、ボタンを本体筐体の内部の側から見た側面図である。
図4図4は、ボタンを下方から見た斜視図である。
図5図5は、下カバー材を取り外した状態の本体筐体の一部拡大斜視図である。
図6図6は、本体筐体におけるスイッチを含む箇所の断面正面図である。
図7図7は、本体筐体における制限片を含む箇所の断面正面図である。
図8図8は、ボタンを押圧操作した際の本体筐体における制限片を含む箇所の断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明にかかる電子機器の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0018】
図1は、本発明の実施形態に係る電子機器10を上から見下ろした模式的な平面図である。図1に示すように、電子機器10は、本体筐体12とディスプレイ筐体14とをヒンジ16で相対的に回動可能に連結したクラムシェル型のノート型PCである。本発明に係る電子機器は、ノート型PC以外、フォルダブル型PC、タブレット型PC、スマートフォン等でもよい。
【0019】
本体筐体12は、扁平な箱体である。本体筐体12については、図1で視認されていてキーボード24が設けられている方を「上」(厚み方向に関して一方)、その反対側を「下」(厚み方向に関して他方)とする。また、図1の図中の下側を「前」7、その反対側でヒンジ16に近い側を「後」とする。
【0020】
本体筐体12は、上面12aを形成する上カバー材20と、下面12b(図6参照)を形成する下カバー材21とを有する。本体筐体12の前後左右の側壁12cは、上カバー材20の四周縁部から起立した壁部によって形成されている。上面12aには、キーボード24及びタッチパッド25が設けられている。キーボード24は本体筐体12の左右方向のほぼ全幅に亘って設けられている。つまり、上カバー材20はキーボード24とほぼ同じ幅となっていて、本体筐体12がコンパクトに構成されている。本体筐体12の内部には、電子基板であるマザーボード26(図5参照)やバッテリ装置、SSD(Solid State Drive)、メモリ、アンテナ装置等の各種電子部品が収容されている。
【0021】
ディスプレイ筐体14は薄い扁平な箱体である。ディスプレイ18は、ディスプレイ筐体14の正面14aに設けられている。ディスプレイ筐体14は、背面14bを形成する背面カバー材28を有する。ディスプレイ筐体14の前後左右の側面14cは、背面カバー材28の四周縁部から起立した壁部によって形成されている。側面14cは、背面カバー材28とは独立した部材で構成してもよい。ディスプレイ18は、例えば有機EL(OLED:Organic Light Emitting Diode)や液晶で構成される。ディスプレイ18はタッチパネル式であってもよい。ディスプレイ筐体14は、図1中の下側面14dにヒンジ16が取り付けられている。ヒンジ16は、筐体12,14の対向している側面12d,14d間を連結している。本実施形態のヒンジ16は左右一対設けられているが、1本の長尺な構造であってもよい。
【0022】
図2は、電子機器10の側方部分の拡大斜視図である。電子機器10の電源オンの操作はボタンスイッチ30の操作によって行われる。電子機器10の電源オフの操作はソフトウェア的に自動で行われ、またはボタンスイッチ30の長押し操作によって行われる。ボタンスイッチ30は、マザーボード26の端部に設けられたスイッチ32と(図5参照)、ボタン34とを有している。本体筐体12のキーボード24の右側方の側壁12cには長楕円型のボタン孔36が形成されている。側壁12cは薄く形成されており、ボタン孔36は側壁12cの厚み方向のほぼ全幅にわたって設けられている。ボタン孔36は、側壁12cにおける後ろ寄りでヒンジ16に比較的近い位置に設けられている。ボタン孔36からはボタン34における操作部34aの一部が露呈している。
【0023】
図3は、ボタン34を本体筐体12の内部の側から見た側面図である。図4は、ボタン34を下方から見た斜視図である。ボタン34は上記の操作部34aがベース体となっており、操作部34aの下端から本体筐体12の内側へ向かって突出する突出片34bと、該突出片34bの先端から下方に向けて延在するアーム部34cと、操作部34aの両端から突出する弾性片34dを有する。弾性片34dの突出方向は、前後方向つまり突出片34bの突出方向と直交する方向であり、長楕円の操作部34aを長尺方向に延長するように突出している。
【0024】
アーム部34cは、前後方向の長さが突出片34bの1/3程度であり、該突出片34bの中央に設けられている。アーム部34cは本体筐体12の内側を指向する面が平面状となっている。この平面状の部分が後述するアクチュエータ32bを押圧する。突出片34bのうち、アーム部34cを挟んだ前後両側の部分はヒレ片34baを形成している。ヒレ片34baは先端に向かって鋭角を形成するように薄くなっている(図7も参照)。操作部34aには外部に露呈される部分と筐体内部に収まる部分との境に段差34aaが形成されている。操作部34aにおける外部に露呈される部分の中央には円形のマーク34abが設けられている。
【0025】
ボタン34は、弾性片34dがラバーなどの弾性材であり、それ以外が樹脂材である。弾性片34dはそれ以外の部分と一体成型されている。図3図4では弾性片34dを識別しやすいようにドット地で示している。弾性片34dは、操作部34aから延在する延在部34daと、先端で下方に屈曲する屈曲部34dbと、屈曲部34dbの途中に設けられた係合突起34dcとを有する。延在部34daは適度に長く、一対の延在部34daの合計長さは操作部34aと同程度になっている。延在部34daは、上下方向(筐体の厚み方向)に関して操作部34aの中心より上方にずれた位置に設けられている。屈曲部34dbの先端は先細り形状となっている。係合突起34dcは突出片34bと同方向に突出している。
【0026】
図5は、下カバー材21を取り外した状態の本体筐体12の一部拡大斜視図である。マザーボード26における下面26aの端部にはスイッチ32が実装されている。下面26aにはスイッチ32以外にも複数のチップ40が実装されており、下カバー材21を取り外した状態で露呈されメンテナンス等に好適である。スイッチ32は他のチップ40と同じ面にあることから同じ工程での実装が可能である。
【0027】
スイッチ32はいわゆるマイクロスイッチであり、接点を内蔵する本体32aと、該本体32aから突出するアクチュエータ32bとを有している。アクチュエータ32bは本体筐体12の側壁12cの方向に向けて突出している。マザーボード26におけるスイッチ32を挟んだ両側には側壁12cの内面近くまで突出する制限片(制限部)26bが形成されている。各制限片26bはマザーボード26の端部が突出したものである。一対の制限片26bは両側が傾斜した対称形状であり適度な幅を有している。アクチュエータ32bは一対の制限片26bの間に配置されている。
【0028】
ボタン34の段差34aaは側壁12cの内面に当接しており、操作部34aの側面がボタン孔36から外部に露呈している(図2参照)。一対の屈曲部34dbは、金具38によって押さえられながら側壁12cの内面に当接した状態で固定されている。係合突起34dcは、金具38の上面(図示略)に当接して係合している。アーム部34cは一対の制限片26bの間にあり、アクチュエータ32bと対向する位置まで延在している。
【0029】
ボタン34の操作部34aを人手により押圧操作すると該操作部34aは弾性片34dの弾性力に抗して内側にやや変位する。アーム部34cは操作部34aとともに変位するため、対向位置にあるアクチュエータ32bを押圧してスイッチ32がオンとなる。人手による押圧を解除すると、操作部34aおよびアーム部34cは弾性片34dの弾性作用によって元の位置に復帰し、スイッチ32はオフとなる。マザーボード26はスイッチ32の近傍で2つのビスBによって上カバー材20またはその他の部材に固定されており、スイッチ32はボタン34によって押圧操作される際に安定している。金具38はビスBによって共締めされている。
【0030】
図6は、本体筐体12におけるスイッチ32を含む箇所の断面正面図である。キーボード24は支持プレート24aをベースにして構成されており、複数のキートップ24bが上面に露呈される構造となっている。支持プレート24aの端は側壁12cのすぐ近くまで達しており、レイアウト上の関係から支持プレート24aと側壁12cとの間にスイッチ32を配置することは困難となっている。また、マザーボード26は支持プレート24aと対面するように上下に平行配置されており、該マザーボード26に実装するスイッチ32は支持プレート24aよりも下側に配置されることになる。さらに、スイッチ32は他のチップ40とともにマザーボード26の下面26aに実装されていることから、支持プレート24aよりもかなり下方に配置される。
【0031】
下カバー材21の端部は側方に向かって上向きとなるような傾斜面21aを形成している。このため、側壁12cは狭くなっていて薄型をイメージする好適な外観が得られるが、側壁12cに形成されるボタン孔36は支持プレート24aの側方でほぼ同じ高さに配置されることになり、上下方向に関してスイッチ32より上方にずれた位置となっている。
【0032】
図7は、本体筐体12における制限片26bを含む箇所の断面正面図である。図8は、ボタン34を押圧操作した際の本体筐体12における制限片26bを含む箇所の断面正面図である。図7に示すように、ヒレ片34baは、ボタン34が押圧操作される際に変位する方向(図7の左側)に向かって突出している。そして、制限片26bは、上下方向に関してヒレ片34baより下方にずれた位置で該ヒレ片34baと対向するように設けられている。ヒレ片34baは、上記のとおり鋭角を形成していることから先端に向かって制限片26bとの間隔が大きくなる形状である。ヒレ片34baはボタン34の非操作時に、支持プレート24aの端部よりも側方にわずかにずれた位置にある。このため、本体筐体12の組み立て時に下カバー材21が無い状態で、ボタン34を所定位置に配置したままキーボード24を下方から着脱することができる。
【0033】
ところで、このように構成されるボタンスイッチ30を備える電子機器10では、スイッチ32とボタン34の操作部34aとが同軸上ないことから、図6に示すように、操作部34aを押圧操作するとアーム部34cとアクチュエータ32bとの当接部Pを中心として矢印で示すような回転モーメントが作用する。しかしながら、ボタン34にはヒレ片34baが突出して設けられており、さらにマザーボード26には該ヒレ片34baの下側で対向する位置に制限片26bが設けられていることから、図8に示すように、ボタン34が回転してもヒレ片34baが制限片26bに当接する。つまり、制限片26bは、ボタン34のアーム部34cがアクチュエータ32bを押圧操作する際に、ボタン34の回転を制限する制限部として作用している。このため、ボタン34は過度な回転が制限されて良好な操作感が得られる。
【0034】
ヒレ片34baと制限片26bとはスイッチ32を挟んだ両側に一対ずつ設けられていることからバランスがよく、偏りのない回転制限作用が得られる。制限片26bはマザーボード26の端部によって形成されており、ボタン34の回転を制限するのにばらつきなく正確な位置に配置可能であり、しかも部費点数の増加がなくて好適である。ただし、このような制限部としては制限片26b以外にも、例えば該制限片26bと同じ位置に配置されるように下カバー材21にリブを設けてもよい。
【0035】
また、弾性片34dは操作部34aの中心より上方にずれた位置に設けられていることから、図8の矢印で示すように操作部34aの押圧操作時にその上方部分を側方に引き戻すように作用する。そのため、ボタン34には当接部Pを中心として回動するモーメントを相殺するような力が生じ、該ボタン34の回転を抑制することができる。
【0036】
さらに、ヒレ片34baは先端に向かって制限片26bとの間隔が大きくなる形状であることから、図8に示すようにヒレ片34baはボタン34が多少回転してから制限片26bに当接することになる。つまり、ボタン34は多少の回転が許容されるようになっている。ヒレ片34baと制限片26bとの隙間は詰めすぎると摩擦によりスタックしてしまうことがあるが、このようにヒレ片34baは先端に向かって制限片26bとの間隔が大きくなる形状としてボタン34に多少の回転を許容することによりスタックを防止することができる。
【0037】
ボタンスイッチ30は、電子機器10における電源用途以外(例えばスピーカボリューム用途)にも適用可能である。ボタンスイッチ30は本体筐体12の側面に設けられている例について説明したが、ディスプレイ筐体14の側面に設けられていてもよい。この場合、本体筐体12におけるキーボード24はディスプレイ筐体14におけるディスプレイ18に相当し、電子基板とスイッチ32とがディスプレイ18と重なるように配置されている構成にボタンスイッチ30を適用可能である。
【0038】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0039】
10 電子機器
12 本体筐体(筐体)
12c 側壁
14 ディスプレイ筐体
21 下カバー材
21a 傾斜面
24 キーボード
24a 支持プレート
26 マザーボード(電子基板)
26a 下面
26b 制限片
30 ボタンスイッチ
32 スイッチ
32a 本体
32b アクチュエータ
34 ボタン
34a 操作部
34b 突出片
34ba ヒレ片
34c アーム部
34d 弾性片
36 ボタン孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-06-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平形状の筐体に電子基板を備える電子機器であって、
アクチュエータが前記筐体の側方に向けて突出するように前記電子基板の端部に設けられたスイッチと、
前記アクチュエータを押圧操作するボタンと、
前記ボタンが前記アクチュエータを押圧操作する際に該アクチュエータとの当接部を中心として回転することを制限する制限部と、
前記筐体の厚み方向に関して前記スイッチより一方にずれた位置で、前記筐体の側面に形成されたボタン孔と、
を有し、
前記ボタンは、
前記ボタン孔から一部が露呈される操作部と、
前記アクチュエータと対向する位置まで延在するアーム部と、
押圧操作される際の変位方向に向かって突出するヒレ片と、
を備え、
前記制限部は、前記筐体の厚み方向に関して前記ヒレ片より他方にずれた位置で該ヒレ片と対向するように設けられており、
前記ヒレ片は先端に向かって前記制限部との間隔が大きくなる形状である
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
扁平形状の筐体に電子基板を備える電子機器であって、
アクチュエータが前記筐体の側方に向けて突出するように前記電子基板の端部に設けられたスイッチと、
前記アクチュエータを押圧操作するボタンと、
前記ボタンが前記アクチュエータを押圧操作する際に該アクチュエータとの当接部を中心として回転することを制限する制限部と、
前記筐体の厚み方向に関して前記スイッチより一方にずれた位置で、前記筐体の側面に形成されたボタン孔と、
を有し、
前記ボタンは、
前記ボタン孔から一部が露呈される操作部と、
前記アクチュエータと対向する位置まで延在するアーム部と、
押圧操作される際の変位方向に向かって突出するヒレ片と、
を備え、
前記制限部は、前記筐体の厚み方向に関して前記ヒレ片より他方にずれた位置で該ヒレ片と対向するように設けられており、
前記制限部は、前記電子基板の端部によって形成されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電子機器において、
前記ボタンは、前記操作部の両端から前記ヒレ片と直交する方向に突出する弾性片を有し、
前記弾性片は、前記筐体の厚み方向に関して前記操作部の中心より前記一方にずれた位置に設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記ヒレ片と前記制限部とは前記スイッチを挟んだ両側に一対ずつ設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1~のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記筐体における前記一方の面にはキーボードが設けられ、
前記ボタン孔は前記キーボードの側方に設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項に記載の電子機器において、
前記ボタンの非操作時に、前記ヒレ片は前記キーボードの端部よりも側方にずれた位置にある
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項またはに記載の電子機器において、
前記スイッチは、前記電子基板における前記他方の面に実装されている
ることを特徴とする電子機器。