(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120639
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】太陽電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 31/044 20140101AFI20230823BHJP
H01L 31/0352 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
H01L31/04 520
H01L31/04 340
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023596
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】510311621
【氏名又は名称】株式会社エクソル
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】川勝 一司
【テーマコード(参考)】
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
5F151EA02
5F151EA06
5F151JA27
5F251EA02
5F251EA06
5F251JA27
(57)【要約】
【課題】セルサイズが大型化しても、住宅等の屋根に設置することができる太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】太陽電池モジュール1は、サブモジュール2a、2bが直列接続されており、例えばサブモジュール2aは、セルストリング3a、3bが直列接続されている。そして、例えばセルストリング3aは、カットセル5が複数直列接続されており、カットセル5は、太陽電池セルをカットして長方形状に形成したものである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サブモジュールが複数直列接続されている太陽電池モジュールであって、
前記サブモジュールは、セルストリングが複数直列接続されており、
前記セルストリングは、カットセルが複数直列接続されており、
前記カットセルは、太陽電池セルをカットして長方形状に形成したものである、
ことを特徴とする太陽電池モジュール。
【請求項2】
前記セルストリングは、バイパスダイオードが並列接続されていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。
【請求項3】
前記バイパスダイオードは端子ボックスに収容されて、前記サブモジュールを構成し、
一対の前記サブモジュールは、一方の前記サブモジュールの前記端子ボックスと他方の前記サブモジュールの前記端子ボックスと、が隣接するように位置づけられている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池モジュール。
【請求項4】
前記太陽電池モジュールからの電力の引き出し線は、長手方向又は短手方向の一方の端部から引き出されていることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項に記載の太陽電池モジュール。
【請求項5】
住宅の屋根に設置されることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項に記載の太陽電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅屋根等の狭小な場所に設置される太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池モジュールは、例えば住宅の屋根等に設置され太陽光発電システムを構成する(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1に記載の太陽電池モジュールは、住宅の南側の傾斜屋根の設置面上に固定架台を介して3行4列のマトリックス状に並べて配置され電気的に接続して設置されている。そして、太陽光発電システムの発電電力は、電力出力線を介して接続箱に供給され、接続箱において電圧を調整してからパワーコンディショナへ供給され、そのパワーコンディショナにおいて直流から交流に変換し、その後配電盤に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
住宅の屋根等の狭小な場所では、設置できる太陽電池モジュールの数が限られるため、直列接続したセルを並列接続することで、パワーコンディショナ等が動作できる程度の電圧や電流を生成している。
【0006】
近年では、太陽光発電の需要の増加に伴い、メガソーラー等に利用し易いことから太陽電池セルのサイズ(面積)が大型化する傾向にある。セルサイズが大型化すると太陽電池セルの出力電圧は変わらないが出力電流は増加する。
【0007】
セルサイズが大型化してもパワーコンディショナを動作させる電圧を生成するために必要な太陽電池モジュールの数は従来と変わらない。一方でセルサイズが大型化しているため、複数の太陽電池セルから構成される太陽電池モジュールも大型化し、狭小な屋根等では、従来と同じ数の太陽電池モジュールが設置できなくなり、パワーコンディショナを動作させる電圧を生成することができない場合が生じてしまう。さらに、太陽電池セルの出力電流が増加すると、太陽電池モジュール内の配線を太くする必要が生じ、パワーコンディショナも大電流に対応させる必要がある。
【0008】
このように、セルサイズが大型化すると住宅等の屋根に設置する太陽電池モジュールにとっては使い勝手がよくない場合があった。
【0009】
そこで、本発明は、上記のような問題点に鑑み、セルサイズが大型化しても、住宅等の屋根に設置することができる太陽電池モジュールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するためになされた発明は、サブモジュールが複数直列接続されている太陽電池モジュールであって、前記サブモジュールは、セルストリングが複数直列接続されており、前記セルストリングは、カットセルが複数直列接続されており、前記カットセルは、太陽電池セルをカットして長方形状に形成したものである、ことを特徴とする太陽電池モジュールである。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本発明は、カットセルを使用するため、面積を削減しつつ出力電流を削減することができる。また、各カットセルは直列接続されるため、パワーコンディショナが必要とする電圧とすることが容易となる。したがって、狭小な屋根に設置すること可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる太陽電池モジュールの設置例である。
【
図2】
図1に示された太陽電池モジュールの概略構成図である。
【
図3】
図1に示された太陽電池モジュールの端子ボックスの配置状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる太陽電池モジュールの設置例である。
図2は、
図1に示された太陽電池モジュールの概略構成図である。
【0014】
太陽電池モジュール1は、
図1に示したように、住宅等の屋根Rに設置される。なお、屋根Rの形状は
図1に示した三角形状に限らず、矩形状等他の形状であってもよい。
【0015】
図1の例では、屋根Rには、3つの太陽電池モジュール1が設置されている。勿論、3つに限らず、屋根Rの表面積や発電量等に応じて適宜増減してもよい。
【0016】
太陽電池モジュール1は、
図2に示したように、複数のサブモジュール2a、2bを備えている。サブモジュール2aとサブモジュール2bとは互いに直列接続されている。
図2に示した形態では、2つのサブモジュールが直列接続されていたが、3以上であってもよい。
【0017】
また、
図2において、X方向を太陽電池モジュール1の短手方向、Y方向を太陽電池モジュール1の長手方向と呼ぶ。即ち、太陽電池モジュール1は、全体として長方形状に形成される。
【0018】
サブモジュール2aは、複数のセルストリング3a、3bと、バイパスダイオード4a、4bと、を備えている。
【0019】
セルストリング3aとセルストリング3bとは直列接続されている。
図2に示した形態では、2つのセルストリングが直列接続されているが、3以上であってもよい。
【0020】
セルストリング3aは、複数のカットセル5が直列接続されている。セルストリング3bは、複数のカットセル5が直列接続されている。
図2の例では、セルストリング3aは、カットセル5-1~5-18まで18個が直列接続されている。セルストリング3bは、カットセル5-19~5-36まで18個が直列接続されている。なお、セルストリングにおける直列数は、太陽電池モジュール1の仕様等により適宜変更してもよい。
【0021】
カットセル5は、太陽電池セルを半分にカットしたセルである(ハーフセルともいう)。カットセル5は、正方形状に形成される太陽電池セルをカットするため、長方形状に形成される。なお、カットセルは、半分にカットするに限らず、3等分や4等分にカットしてもよい。
【0022】
バイパスダイオード4aは、セルストリング3aと並列接続されている。即ち、カットセル5-1とバイパスダイオード4aのカソードが接続され、カットセル5-18とバイパスダイオード4aのアノードが接続されている。
【0023】
バイパスダイオード4bは、セルストリング3bと並列接続されている。即ち、カットセル5-19とバイパスダイオード4bのカソードが接続され、カットセル5-36とバイパスダイオード4bのアノードが接続されている。また、バイパスダイオード4a、4bは、互いに直列接続されている。
【0024】
バイパスダイオード4a、4bは、公知のように、発電できない太陽電池セルをバイパスして保護するためのものである。
【0025】
例えば太陽電池モジュール1の上に樹木や建物の影がかかったりすると、それによって太陽光を遮られた太陽電池セル(カットセル5)は発電することができなくなる。発電できないカットセル5は抵抗となるため、そこに電流が流れると発熱して温度上昇し、カットセル5の破壊に至ってしまう(ホットスポット現象)。このような発電できないカットセル5が存在するとき、バイパスダイオード4a、4bは、その発電できないカットセル5をバイパスして、他の正常なカットセル5で発電された電流を流す。そのため、発電できないカットセル5での温度上昇を回避することができる。
【0026】
本実施形態では、バイパスダイオード4a、4bは、セルストリングと並列に接続されるため、発電できないカットセル5を含むセルストリングをバイパスすることができる。
【0027】
また、バイパスダイオード4aは、端子ボックス6aに収容されている。バイパスダイオード4bは、端子ボックス6bに収容されている。
【0028】
サブモジュール2bは、複数のセルストリング3c、3dと、バイパスダイオード4c、4dと、を備えている。
【0029】
セルストリング3cとセルストリング3dとは直列接続されている。セルストリング3cは、複数のカットセル5が直列接続されている。セルストリング3dは、複数のカットセル5が直列接続されている。
図2の例では、セルストリング3cは、カットセル5-37~5-54まで18個が直列接続されている。セルストリング3dは、カットセル5-55~5-72まで18個が直列接続されている。
【0030】
バイパスダイオード4cは、セルストリング3cと並列接続されている。即ち、カットセル5-37とバイパスダイオード4cのカソードが接続され、カットセル5-54とバイパスダイオード4cのアノードが接続されている。
【0031】
バイパスダイオード4dは、セルストリング3dと並列接続されている。即ち、カットセル5-55とバイパスダイオード4dのカソードが接続され、カットセル5-72とバイパスダイオード4dのアノードが接続されている。
【0032】
また、バイパスダイオード4cは、端子ボックス6cに収容されている。バイパスダイオード4dは、端子ボックス6dに収容されている。
【0033】
バイパスダイオード4aのアノード側は、引き出し線7aと接続されている。バイパスダイオード4dのカソード側は、引き出し線7bと接続されている。引き出し線7aは、太陽電池モジュール1の+極として機能し、引き出し線7bは、太陽電池モジュール1の-極として機能する。引き出し線7a、7bは、
図2に示したように、太陽電池モジュール1の短手方向の一端から引き出される。
【0034】
端子ボックス6a、6b、6c、6dおよび引き出し線7a、7bの配置について図を参照して説明する。
図3は、太陽電池モジュール1の要部拡大図である。
図3に示したように、端子ボックス6aと端子ボックス6dとは隣接するように配置され、端子ボックス6bと端子ボックス6cとは隣接するように配置されている。また、引き出し線7a、7bも太陽電池モジュール1の短手方向の一端から引き出されることが明らかである。
【0035】
図2等に示された太陽電池モジュール1は、カットセル5を直列接続しているため、太陽電池モジュール1から出力される電流値がカットしないセルの約半分になる。一方、セルストリング内だけでなく、1つの太陽電池モジュール1内で全てのセルが直列接続されるため、太陽電池モジュール1から出力される電圧は直列接続された分の値となる。そのため、電流を削減しつつ、パワーコンディショナを動作させるだけの電圧を生成することが可能となる。
【0036】
本実施形態によれば、太陽電池モジュール1は、サブモジュール2a、2bが直列接続されており、例えばサブモジュール2aは、セルストリング3a、3bが直列接続されている。そして、例えばセルストリング3aは、カットセル5が複数直列接続されており、カットセル5は、太陽電池セルをカットして長方形状に形成したものである。
【0037】
太陽電池モジュール1が上記のように構成されることにより、カットセル5を使用するため、面積を削減しつつ電流を削減することができる。また、各カットセル5は直列接続されるため、パワーコンディショナが必要とする電圧とすることが容易となる。したがって、狭小な屋根に設置すること可能となる。
【0038】
また、例えばセルストリング3aは、バイパスダイオード4aが並列接続されている。このようにすることにより、発電できない太陽電池セルをバイパスして、ホットスポット現象を回避することができる。また、セルストリング毎にバイパスダイオードが接続されているので、バイパスダイオードの数を最小限に留め、バイパスダイオードの増加によるコスト増加を抑えることができる。
【0039】
また、例えば、バイパスダイオード4bは端子ボックス6bに収容され、バイパスダイオード4cは端子ボックス6cに収容されている。そして、一対のサブモジュール2a、2bは、一方のサブモジュール2aの端子ボックス6bと他方のサブモジュール2bの端子ボックス6cと、が隣接するように位置づけられている。このようにすることにより、例えば、端子ボックス6bと6cとが互いに接近することとなり、サブモジュール2aとサブモジュール2bとを直列接続するバスバー等の配線も短くすることが可能となる。
【0040】
また、太陽電池モジュール1からの電力の引き出し線は、当該太陽電池モジュール1のX方向(短手方向)の一方の端部から引き出されている。このようにすることにより、電力引き出し線を片方に寄せることができるので、配線工事が容易となる。
【0041】
また、太陽電池モジュール1は、住宅の屋根Rに設置されているので、住宅のような設置範囲が限られる場所において、パワーコンディショナを動作させるだけの電圧を生成しつつ、電流を抑えることが可能となる。
【0042】
ここで、上述した実施形態の変形例を説明する。
図4は、
図2の変形例である。
図4は、セルストリングが奇数の場合である。
図4に示した太陽電池モジュール1’は、サブモジュール2a’、2b’を備えている。
【0043】
サブモジュール2a’は、セルストリング3a、3bと、バイパスダイオード4a、4bと、を備えている。サブモジュール2b’は、セルストリング3c、3dと、バイパスダイオード4c、4dと、を備えている。セルストリング3a、3b、3c、3dと、バイパスダイオード4a、4b、4c、4dと、は上述した実施形態と同様であるので説明は省略する。
【0044】
太陽電池モジュール1’は、セルストリング3eを備えている。このセルストリング3eは、サブモジュール2a’とサブモジュール2b’に亘って構成されている。セルストリング3eは、サブモジュール2a’側にカットセル5-37~5-45までの9個のカットセル5が直列接続され、サブモジュール2b’側にカットセル5-46~5-54までの9個のカットセル5が直列接続されている。セルストリング3eは、セルストリング3a、3b、3c、3dと直列接続されている。
【0045】
また、太陽電池モジュール1’は、バイパスダイオード4eを備えている。バイパスダイオード4eはセルストリング3eと並列接続されている。バイパスダイオード4eは、端子ボックス6eに収容されている。なお、バイパスダイオード4eは、サブモジュール2a’側に含めてもよいし、サブモジュール2b’側に含めてもよい。
【0046】
図4に示したように、サブモジュール2に含まれる複数のセルストリング3のうち、1つは、全てがサブモジュール2に含まれず、複数のサブモジュール2に分割されていてもよい。このような構成とすることで、サブモジュール2に含めるカットセル5の数を柔軟にすることができる。
【0047】
最後に
図1の変形例を
図5に示す。
図5は、屋根Rへの設置の変形例である。以下の説明では、太陽電池モジュール1で説明するが、
図4に示した太陽電池モジュール1’でも適用可能なことは勿論である。
図5(a)~(d)は、いずれも屋根Rを上方からみた図である。
図5(a)は、宝形(宝形造)の屋根Rに設置した例である。
図5(a)では、4つの三角形状の面のうち3つの面にそれぞれ2つの太陽電池モジュール1が設置されているが、1つや2つの面でもよいし、全ての面に設置してもよい。
【0048】
図5(b)は、寄棟(寄棟造)の屋根Rに設置した例である。
図5(b)では、三角形状の1つ面に3つの太陽電池モジュール1が設置し、台形状の1つの面に従来の太陽電池モジュール10を6つ設置したものである。即ち、本発明にかかる太陽電池モジュールは、従来の太陽電池モジュールと混在させてもよい。
図5(b)の場合は、面積の狭い三角形状の部分に本発明に係る太陽電池モジュール1を設置してパワーコンディショナが必要とする電圧を生成することができる。
【0049】
図5(c)、(d)は、
図5(b)の変形例である。
図5(c)は、三角形状の2つ面にそれぞれ2つの太陽電池モジュール1が設置し、台形状の1つの面に従来の太陽電池モジュール10を4つ設置したものである。
図5(d)は、三角形状の2つ面にそれぞれ2つの太陽電池モジュール1が設置し、台形状の1つの面に従来の太陽電池モジュール10を3つ設置したものである。
【0050】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の太陽電池モジュールの構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0051】
1、1’ 太陽電池モジュール
2a、2b、2a’、2b’ サブモジュール
3a、3b、3c、3d、3e セルストリング
4a、4b、4c、4d、4e バイパスダイオード
5 カットセル
6a、6b、6c、6d、6e 端子ボックス
7a、7b 引き出し線