(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120660
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】角度検出装置用確認治具
(51)【国際特許分類】
G01D 18/00 20060101AFI20230823BHJP
G01D 11/30 20060101ALI20230823BHJP
【FI】
G01D18/00
G01D11/30 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023625
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】中地 成介
(72)【発明者】
【氏名】田淵 浩史
【テーマコード(参考)】
2F076
【Fターム(参考)】
2F076AA02
2F076AA11
(57)【要約】
【課題】ラックの回転角度の変化を抑制することができる角度検出装置用確認治具を得る。
【解決手段】この角度検出装置用確認治具は、回転軸1と、開口部704が形成され、回転軸1を中心に回転するラック7と、回転軸1の軸線に直交する平面に沿って設けられた固定板2と、固定板2に対向する対向部802を有し、ラック7に固定されたラック固定部8と、回転軸1の周方向D3に並んだ複数の位置に対向部802が移動可能となっており、複数の位置のうちの対向部802がある位置で固定板2に対して対向部802を固定するプランジャ9と、を備えている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、
開口部が形成され、前記回転軸を中心に回転するラックと、
前記回転軸の軸線に直交する平面に沿って設けられた固定板と、
前記固定板に対向する対向部を有し、前記ラックに固定されたラック固定部と、
前記回転軸の周方向に並んだ複数の位置に前記対向部が移動可能となっており、前記複数の位置のうちの前記対向部がある位置で前記固定板に対して前記対向部を固定するラック回転制限部と、
を備えている角度検出装置用確認治具。
【請求項2】
前記複数の位置に対応した前記固定板における複数の位置には、プランジャ挿入用穴が1つずつ形成されており、
前記ラック回転制限部は、前記対向部に設けられたプランジャであり、
前記プランジャが前記プランジャ挿入用穴に挿入されることによって、前記固定板に対して前記対向部が固定される請求項1に記載の角度検出装置用確認治具。
【請求項3】
前記回転軸の径方向に沿って見た場合に、前記開口部が前記固定板側を向くように、前記ラックは前記固定板に隣り合って配置されており、
前記固定板には、貫通孔が形成されており、
前記回転軸の軸方向に沿って見た場合に、前記開口部は、前記貫通孔の領域内に位置している請求項1または請求項2に記載の角度検出装置用確認治具。
【請求項4】
前記ラックの回転を減速させる回転ダンパ装置をさらに備えている請求項1から請求項3までの何れか一項に記載の角度検出装置用確認治具。
【請求項5】
前記回転ダンパ装置は、前記回転軸と同軸に設けられたダンパ回転軸と、前記ラックに前記ダンパ回転軸を固定しているダンパ回転軸固定部と、前記ダンパ回転軸の回転を減速させるダンパ本体と、前記ダンパ本体を支持し、前記固定板に固定されたダンパケースとを有している請求項4に記載の角度検出装置用確認治具。
【請求項6】
前記回転ダンパ装置は、前記回転軸と同軸に設けられ、前記回転軸に接続されたダンパ回転軸と、前記ダンパ回転軸の回転を減速させるダンパ本体と、前記ダンパ本体を支持し、前記ラックに固定されたダンパ固定金具とを有している請求項4に記載の角度検出装置用確認治具。
【請求項7】
前記固定板に固定された底板と、
前記固定板と前記回転軸との間に介在し、前記固定板に対して前記回転軸を回転可能にする第1軸受装置と、
前記底板と前記回転軸との間に介在し、前記底板に対して前記回転軸を回転可能にする第2軸受装置と、
を備え、
前記回転軸は、前記ラックに固定されている請求項1から請求項6までの何れか一項に記載の角度検出装置用確認治具。
【請求項8】
前記ラックと前記回転軸との間に介在し、前記ラックに対して前記回転軸を回転可能にする第3軸受装置を備え、
前記回転軸は、前記固定板に固定されている請求項1から請求項6までの何れか一項に記載の角度検出装置用確認治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、角度検出装置用確認治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラックを回転可能に支持する回転支持機構が知られている。この回転支持機構では、トルクヒンジを用いて、設定された回転角度にラックの回転角度が維持される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された構成では、トルクヒンジに発生する摩擦力によって、ラックの回転角度が維持される。したがって、設定された回転角度に維持されたラックに外力が作用した場合に、ラックの回転角度は、設定された回転角度から変化してしまう恐れがあるという問題点があった。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、ラックの回転角度の変化を抑制することができる角度検出装置用確認治具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る角度検出装置用確認治具は、回転軸と、開口部が形成され、回転軸を中心に回転するラックと、回転軸の軸線に直交する平面に沿って設けられた固定板と、固定板に対向する対向部を有し、ラックに固定されたラック固定部と、回転軸の周方向に並んだ複数の位置に対向部が移動可能となっており、複数の位置のうちの対向部がある位置で固定板に対して対向部を固定するラック回転制限部と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る角度検出装置用確認治具によれば、ラックの回転角度の変化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る角度検出装置用確認治具を示す正面図である。
【
図2】
図1の角度検出装置用確認治具を示す側面図である。
【
図3】
図1の角度検出装置用確認治具を示す斜視図である。
【
図4】
図1の角度検出装置用確認治具を示す斜視図である。
【
図5】
図1の角度検出装置用確認治具の要部を示す正面図である。
【
図6】
図5の角度検出装置用確認治具の要部を示す側面図である。
【
図7】実施の形態1に係る角度検出装置用確認治具に確認対象基板が設けられた状態を示す正面図である。
【
図8】
図7の角度検出装置用治具および確認対象基板を示す側面図である。
【
図9】実施の形態2に係る角度検出装置用確認治具を示す正面図である。
【
図10】
図9の角度検出装置用確認治具の要部を示す側面図である。
【
図11】実施の形態3に係る角度検出装置用確認治具の要部を示す側面図である。
【
図14】実施の形態4に係る角度検出装置用確認治具の要部を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る角度検出装置用確認治具を示す正面図である。
図2は、
図1の角度検出装置用確認治具を示す側面図である。
図3は、
図1の角度検出装置用確認治具を示す斜視図である。
図4は、
図1の角度検出装置用確認治具を示す斜視図である。
【0010】
実施の形態1に係る角度検出装置用確認治具は、回転軸1と、固定板2と、底板3と、一対の側板4と、第1軸受装置5と、第2軸受装置6と、ラック7と、ラック固定部8とを備えている。また、実施の形態1に係る角度検出装置用確認治具は、プランジャ9と、一対のストッパ10と、ハンドル11と、一対の把持部12とを備えている。
【0011】
回転軸1は、水平面に沿って配置されている。回転軸1の軸線に沿った方向を軸方向D1とする。回転軸1の軸線に直交する平面において回転軸1の軸線を中心とする円の半径に沿った方向を径方向D2とする。回転軸1の軸線に直交する平面において回転軸1の軸線を中心とする円の円周に沿った方向を周方向D3とする。
【0012】
固定板2は、回転軸1の軸線に直交する平面に沿って配置されている。固定板2は、板形状の固定板本体201と、補強板202とを有している。固定板本体201の厚み方向における固定板本体201の一方の面を第1面203とする。固定板本体201の厚み方向における固定板本体201の他方の面を第2面204とする。固定板本体201の厚み方向は、軸方向D1と一致する。補強板202は、固定板本体201の第1面203に設けられている。補強板202は、周方向D3に沿って延びるように形成されている。
【0013】
固定板本体201には、第1軸受装置5が取り付けられる取付穴205が形成されている。また、固定板本体201には、ラック固定部8が挿入された扇型の貫通孔206が形成されている。
【0014】
固定板2には、プランジャ挿入用穴207が3つ形成されている。3つのプランジャ挿入用穴207は、周方向D3に沿って並んでいる。したがって、周方向D3に並んだ固定板2における3つの位置には、プランジャ挿入用穴207が1つずつ形成されている。それぞれのプランジャ挿入用穴207は、固定板本体201の厚み方向に固定板本体201および補強板202を貫通している。
【0015】
底板3は、水平面に沿って配置されている。また、底板3は、回転軸1に沿って配置されている。また、底板3は、固定板2に直交するように配置されている。また、底板3は、回転軸1よりも下方に配置されている。
【0016】
一対の側板4は、水平方向において互いに対向するように配置されている。また、一対の側板4は、径方向D2において回転軸1を挟むように配置されている。それぞれの側板4は、固定板2および底板3のそれぞれに直交するように配置されている。
【0017】
それぞれの側板4は、複数のねじ13を介して、固定板2に固定されている。固定板本体201には、ねじ13が挿入される図示しないねじ挿入穴が形成されている。側板4には、ねじ13が挿入される図示しないねじ挿入穴が形成されている。互いに重ねられた固定板本体201のねじ挿入穴および側板4のねじ挿入穴にねじ13が挿入されることによって、側板4が固定板2に固定されている。
【0018】
固定板本体201のねじ挿入穴の口径は、ねじ13の外径よりも大きくなっている。これにより、固定板本体201と側板4とが互いに固定されていない状態において、回転軸1の軸線に直交する平面に沿った方向における固定板本体201に対する側板4の位置の調整が可能となっている。
【0019】
また、それぞれの側板4は、図示しない複数のねじを用いて底板3に固定されている。したがって、固定板2、底板3および一対の側板4は、互いに固定されている。
【0020】
図5は、
図1の角度検出装置用確認治具の要部を示す正面図である。
図6は、
図5の角度検出装置用確認治具の要部を示す側面図である。
図5および
図6では、側板4が取り外された角度検出装置用確認治具が示されている。
【0021】
第1軸受装置5は、固定板2の固定板本体201と回転軸1との間に介在している。第1軸受装置5は、1つの軸受から構成されている。第1軸受装置5は、固定板2に対して回転軸1を回転可能にする。言い換えれば、回転軸1は、第1軸受装置5を介して固定板2に回転可能に支持されている。
【0022】
第2軸受装置6は、底板3と回転軸1との間に介在している。第2軸受装置6は、2つの軸受から構成されている。2つの軸受は、軸方向D1に互いに離れて配置されている。第2軸受装置6は、底板3に対して回転軸1を回転可能にする。言い換えれば、回転軸1は、第2軸受装置6を介して底板3に回転可能に支持されている。
【0023】
ねじ13を介して固定板2と側板4とが互いに固定される場合には、第1軸受装置5が取付穴205に挿入されるように、回転軸1の軸線に直交する平面に沿った方向における固定板本体201に対する側板4の位置が調整される。固定板本体201に対する側板4の位置が調整された後に、ねじ13を介して、側板4が固定板2に固定される。
【0024】
ラック7は、一対のラック脚部701と、ラック固定台702と、ラック本体703とを有している。一対のラック脚部701は、軸方向D1に互いに離れて配置されている。それぞれのラック脚部701は、回転軸1に固定されている。したがって、ラック7は、回転軸1に固定されている。
【0025】
ラック固定台702は、一対のラック脚部701に渡って設けられている。ラック固定台702は、それぞれのラック脚部701に固定されている。
【0026】
ラック本体703は、ラック固定台702に固定されている。ラック本体703には、開口部704が形成されている。径方向D2に沿って見た場合に、ラック本体703は、固定板本体201の第2面204に対向するように配置されている。また、径方向D2に沿って見た場合に、開口部704が固定板2側を向くように、ラック本体703が配置されている。回転軸1の軸方向に沿って見た場合に、開口部704は、固定板本体201の貫通孔206の領域内に位置している。
【0027】
ラック本体703の内側には、開口部704を介して図示しない確認対象基板が挿入される。確認対象基板は、回転角度を検出する角度検出装置に含まれる基板であって、回転角度を検出する素子が実装された基板である。
【0028】
回転軸1が周方向D3に回転することによって、ラック7が回転軸1を中心に周方向D3に回転する。これにより、ラック7の内側に挿入された確認対象基板が回転軸1を中心に周方向D3に回転する。
【0029】
ラック本体703の内側には、図示しないコネクタが設けられている。ラック本体703の内側に確認対象基板が挿入された場合に、確認対象基板は、ラック本体703の内側にあるコネクタに接続される。
【0030】
ラック本体703には、図示しないケーブルを介して、図示しない角度検出確認装置が接続されている。確認対象基板の検出結果は、ケーブルを介して角度検出確認装置に入力される。
【0031】
ラック固定部8は、ラック固定台702に固定されている。したがって、ラック固定部8は、ラック7とともに回転軸1を中心に周方向D3に回転する。ラック固定部8は、固定部本体801と、対向部802とを有している。固定部本体801は、ラック固定台702から径方向D2に延びるように形成されている。
【0032】
固定部本体801は、固定板本体201の貫通孔206に挿入されている。ラック固定部8が回転軸1を中心に周方向D3に回転する場合に、固定部本体801は、貫通孔206の内側で回転軸1を中心に周方向D3に回転する。
【0033】
対向部802は、固定部本体801の先端部に設けられている。固定部本体801の先端部とは、径方向D2において、回転軸1から最も離れた固定部本体801の部分である。対向部802は、軸方向D1において、固定板本体201に対してラック7とは反対側に配置されている。対向部802は、軸方向D1において補強板202に対向している。
【0034】
固定部本体801には、軸方向D1に固定部本体801を貫通した貫通孔803が形成されている。軸方向D1に沿って見た場合に、貫通孔803は、開口部704に重なっている。確認対象基板は、貫通孔803および開口部704を介して、ラック本体703の内側に挿入される。
【0035】
ラック7が回転軸1を中心に周方向D3に回転することによって、対向部802は、回転軸1の周方向D3に並んだ3つの位置に移動可能となっている。
【0036】
プランジャ9は、対向部802に設けられている。プランジャ9は、3つのプランジャ挿入用穴207のそれぞれに別々に挿入可能となっている。プランジャ9がプランジャ挿入用穴207に挿入されることによって、固定板2に対して対向部802が固定される。これにより、水平面に対するラック7の回転角度が維持される。
【0037】
対向部802とプランジャ9との間には、図示しないばねが設けられている。プランジャ9は、ばねの弾性力によって、補強板202に向かって押されている。これにより、プランジャ9がプランジャ挿入用穴207に挿入された状態が維持される。プランジャ9がプランジャ挿入用穴207から引き抜かれる場合には、ばねの弾性力に逆らって作業者がプランジャ9を移動させる。
【0038】
3つのプランジャ挿入用穴207は、周方向D3に並んだ固定板2の3つの位置に形成されている。固定板2に形成された3つのプランジャ挿入用穴207の位置は、移動可能となっている対向部802の3つの位置に対応している。プランジャ9は、3つの位置のうちの対向部802がある位置で固定板2に対して対向部802を固定するラック回転制限部となっている。
【0039】
周方向D3に並んだ3つのプランジャ挿入用穴207のうちの中央に配置されたプランジャ挿入用穴207にプランジャ9が挿入された場合に、ラック7は、鉛直方向に延びるように配置される。これにより、ラック7の内側に挿入された確認対象基板は、鉛直方向に延びるように配置される。
【0040】
一方、並んだ3つのプランジャ挿入用穴207のうちの両端に配置されたそれぞれのプランジャ挿入用穴207にプランジャが挿入された場合に、ラック7は、鉛直線に対して予め設定された回転角度だけ傾斜するように配置される。これにより、ラック7の内側に配置された確認対象基板は、鉛直線に対して予め設定された回転角度だけ傾斜するように配置される。予め設定された回転角度としては、例えば、20度が挙げられる。
【0041】
一対のストッパ10は、固定板本体201における第1面203に設けられている。また、一対のストッパ10は、周方向D3において補強板202および対向部802を挟むように配置されている。それぞれのストッパ10は、複数のねじ14を用いて、固定板本体201に固定されている。一対のストッパ10は、ラック固定部8の回転を制限する。これにより、回転軸1を中心としたラック7の周方向D3の回転が制限されている。
【0042】
ハンドル11は、対向部802に設けられている。作業者がハンドル11を掴んだ状態で、作業者がハンドル11を周方向D3に移動させることによって、ラック7が回転軸1を中心に周方向D3に回転する。
【0043】
一対の把持部12は、固定板本体201の第1面203に設けられている。作業者が一対の把持部12を掴んだ状態で、作業者が一対の把持部12を持ち上げることによって、角度検出装置用確認治具が持ち上げられる。これにより、作業者は、角度検出装置用確認治具を容易に持ち運ぶことができる。
【0044】
次に、角度検出装置用確認治具を用いて確認対象基板による回転角度の検出を確認する手順について説明する。
図7は、実施の形態1に係る角度検出装置用確認治具に確認対象基板15が設けられた状態を示す正面図である。
図8は、
図7の角度検出装置用治具および確認対象基板15を示す側面図である。
【0045】
作業者は、貫通孔803および開口部704を介して確認対象基板15をラック7の内側に挿入する。確認対象基板15の挿入方向は、回転軸1の軸方向D1に沿った方向となる。ラック固定部8の固定部本体801が貫通孔206に挿入されていることによって、確認対象基板15がラック7の内側に挿入される際に、確認対象基板15が貫通孔206に挿入される。
【0046】
確認対象基板15がラック7の内側に挿入された状態で、作業者は、回転軸1を中心にラック7を周方向D3に回転させる。その後、作業者は、プランジャ9をプランジャ挿入用穴207に挿入する。プランジャ9がプランジャ挿入用穴207に挿入されることによって、ラック7の回転角度は、予め設定された回転角度に維持される。したがって、予め設定された回転角度に維持されたラック7に外力が作用した場合であっても、ラック7の回転角度は、設定された回転角度から変化することが抑制される。
【0047】
以上説明したように、実施の形態1に係る角度検出装置用確認治具は、回転軸1と、固定板2と、ラック7と、ラック固定部8と、プランジャ9とを備えている。ラック7には、開口部704が形成されている。ラック7は、回転軸1を中心に周方向D3に回転する。固定板2は、回転軸1の軸線に直交する平面に沿って設けられている。ラック固定部8は、固定板2に対向する対向部802を有している。ラック固定部8は、ラック7に固定されている。対向部802は、回転軸1の周方向D3に並んだ3つの位置に移動可能となっている。プランジャ9は、回転軸1の周方向D3に並んだ3つの位置のうちの対向部802がある位置で固定板2に対して対向部802を固定する。この構成によれば、プランジャ9が固定板2に対して対向部802を固定する。これにより、実施の形態1に係る角度検出装置用確認治具は、予め設定された回転角度に維持されたラック7に外力が作用した場合に、予め設定された回転角度からラックの回転角度が変化することを抑制することができる。その結果、実施の形態1に係る角度検出装置用確認治具は、ラック7の回転角度の変化を抑制することができる。
【0048】
また、実施の形態1に係る角度検出装置用確認治具では、対向部802が移動可能となっている3つの位置に対応した固定板2における3つの位置には、プランジャ挿入用穴207が1つずつ形成されている。プランジャ9は、対向部802に設けられている。プランジャ9がプランジャ挿入用穴207に挿入されることによって、固定板2に対して対向部802が固定される。この構成によれば、プランジャ9がプランジャ挿入用穴207に出し入れされることによって、固定板2に対する対向部802の固定および固定板2に対する対向部802の固定の解除を行うことができる。これにより、固定板2に対する対向部802の固定および固定板2に対する対向部802の固定の解除を容易に行うことができる。
【0049】
また、実施の形態1に係る角度検出装置用確認治具では、径方向D2に沿って見た場合に、ラック7の開口部704が固定板2側を向くように、ラック7は固定板2に隣り合って配置されている。固定板2には、貫通孔206が形成されており、回転軸1の軸方向に沿って見た場合に、開口部704は、貫通孔206の領域内に位置している。この構成によれば、軸方向D1において、固定板2に対してラック7とは反対側から確認対象基板15をラック7の内側に出し入れすることができる。
【0050】
また、実施の形態1に係る角度検出装置用確認治具は、固定板2に固定された底板3と、固定板2と回転軸1との間に介在した第1軸受装置5と、底板3と回転軸1との間に介在した第2軸受装置6とを備えている。第1軸受装置5は、固定板2に対して回転軸1を回転可能にする。第2軸受装置6は、底板3に対して回転軸1を回転可能にする。回転軸1は、ラック7に固定されている。この構成によれば、軸受装置を介してラック7が回転軸1に取り付けられる構成と比較して、回転軸1へのラック7の取り付けを容易に行うことができる。
【0051】
実施の形態2.
図9は、実施の形態2に係る角度検出装置用確認治具を示す正面図である。
図10は、
図9の角度検出装置用確認治具の要部を示す側面図である。
図10では、側板4が取り外された角度検出装置用確認治具が示されている。
【0052】
実施の形態2に係る角度検出装置用確認治具は、実施の形態1に係る角度検出装置用確認治具と異なり、第1軸受装置5および第2軸受装置6を備えていない。実施の形態2に係る角度検出装置用確認治具は、第3軸受装置16と、一対の回転軸固定部17とを備えている。
【0053】
第3軸受装置16は、ラック7のラック固定台702と回転軸1との間に介在している。ラック7は、ラック脚部701を有していない。第3軸受装置16は、2つの軸受を有している。第3軸受装置16における2つの軸受は、軸方向D1に互いに離れて配置されている。第3軸受装置16は、ラック7に対して回転軸1を回転可能にしている。言い換えれば、ラック7は、第3軸受装置16を介して、回転軸1に対して回転可能に支持されている。
【0054】
取付穴205には、回転軸1が嵌められている。これにより、回転軸1は、固定板2に固定されている。
【0055】
一対の回転軸固定部17は、底板3と回転軸1とに渡って設けられている。回転軸1は、一対の回転軸固定部17を介して、底板3に固定されている。
【0056】
実施の形態2に係る角度検出装置用確認治具のその他の構成は、実施の形態1に係る角度検出装置用確認治具の構成と同様である。
【0057】
以上説明したように、実施の形態2に係る角度検出装置用確認治具は、ラック7と回転軸1との間に介在した第3軸受装置16を備えている。第3軸受装置16は、ラック7に対して回転軸1を回転可能にする。回転軸1は、固定板2に固定されている。この構成によれば、第1軸受装置5および第2軸受装置6を備えている構成を比較して、軸受の数を減らすことができる。これにより、角度検出装置用確認治具の構成を簡素化することができる。
【0058】
実施の形態3.
図11は、実施の形態3に係る角度検出装置用確認治具の要部を示す側面図である。実施の形態3に係る角度検出装置用確認治具は、実施の形態1に係る角度検出装置用確認治具と比較して、回転軸1を中心としたラック7の周方向D3の回転を減速させる回転ダンパ装置18をさらに備えている。
【0059】
図12は、
図11の回転ダンパ装置18を示す斜視図である。
図13は、
図11の回転ダンパ装置18を示す斜視図である。回転ダンパ装置18は、ダンパ回転軸181と、ダンパ回転軸固定部182と、ダンパ本体183と、ダンパケース184とを有している。
【0060】
ダンパ回転軸181は、回転軸1と同軸に配置されている。ダンパ回転軸181は、回転軸1から切り離されている。言い換えれば、ダンパ回転軸181は、回転軸1に接続されていない。
【0061】
ダンパ回転軸固定部182は、ラック7のラック固定台702とダンパ回転軸181とに渡って設けられている。ダンパ回転軸固定部182は、ラック固定台702にダンパ回転軸181を固定している。したがって、ラック7が回転軸1を中心に周方向D3に回転する場合に、ラック7の回転力がダンパ回転軸固定部182を介してダンパ回転軸181に伝達される。
【0062】
ダンパ回転軸固定部182は、複数のねじ19を介して、ラック固定台702に固定されている。ラック固定台702には、ねじ19が挿入される図示しないねじ挿入穴が形成されている。ダンパ回転軸固定部182には、ねじ19が挿入される図示しないねじ挿入穴が形成されている。互いに重ねられたラック固定台702のねじ挿入穴およびダンパ回転軸固定部182のねじ挿入穴にねじ19が挿入されることによって、ダンパ回転軸固定部182がラック固定台702に固定されている。
【0063】
ダンパ回転軸固定部182のねじ挿入穴の口径は、ねじ19の外径よりも大きくなっている。これにより、ラック固定台702とダンパ回転軸固定部182とが互いに固定されていない状態において、回転軸1に直交する平面に沿った方向におけるラック固定台702に対するダンパ回転軸固定部182の位置の調整が可能となっている。その結果、軸方向D1に見た場合に、回転軸1とダンパ回転軸181とを容易に重ねることができる。
【0064】
ダンパ回転軸固定部182には、ダンパ回転軸181が嵌められる嵌合穴185が形成されている。ダンパ回転軸181が嵌合穴185に嵌められることによって、ダンパ回転軸固定部182がダンパ回転軸181に固定されている。
【0065】
ダンパ本体183は、ダンパ回転軸181の回転を減速させる。したがって、ダンパ本体183は、回転軸1を中心としたラック7の周方向D3の回転を減速させる。
【0066】
ダンパケース184は、ダンパ本体183を支持している。ダンパケース184は、ダンパ本体183および底板3のそれぞれに固定されている。ダンパケース184は、ダンパ本体183に固定されるダンパケース立板186と、底板3に固定されるダンパケース底板187とを有している。
【0067】
ダンパ本体183は、複数のねじ20を介して、ダンパケース立板186に固定されている。ダンパケース立板186には、ねじ20が挿入される図示しないねじ挿入穴が形成されている。ダンパ本体183には、ねじ20が挿入される図示しないねじ挿入穴が形成されている。互いに重ねられたダンパケース立板186のねじ挿入穴およびダンパ本体183のねじ挿入穴にねじ20が挿入されことによって、ダンパ本体183がダンパケース184に固定されている。
【0068】
ダンパケース底板187は、複数のねじ21を介して、底板3に固定されている。ダンパケース底板187には、ねじ21が挿入されるねじ挿入穴188が形成されている。底板3には、ねじ21が挿入される図示しないねじ挿入穴が形成されている。互いに重ねられたダンパケース底板187のねじ挿入穴188および底板3のねじ挿入穴にねじ21が挿入されることによって、ダンパケース底板187が底板3に固定されている。
【0069】
ダンパケース底板187のねじ挿入穴188の口径は、ねじ21の外径よりも大きくなっている。これにより、ダンパケース底板187と底板3とが互いに固定されていない状態において、底板3に沿った方向における底板3に対するダンパケース底板187の位置の調整が可能となっている。その結果、軸方向D1に見た場合に、回転軸1とダンパ回転軸181とを容易に重ねることができる。
【0070】
実施の形態3に係る角度検出装置用確認治具におけるその他の構成は、実施の形態1に係る角度検出装置用確認治具の構成と同様である。
【0071】
以上説明したように、実施の形態3に係る角度検出装置用確認治具は、ラック7の回転を減速させる回転ダンパ装置18をさらに備えている。この構成によれば、ラック7を回転させる途中において作業者の手がハンドル11から離れてしまった場合に、ラック7の回転を減速することができる。これにより、ラック7がストッパ10に勢いよく衝突することを抑制することができる。
【0072】
また、実施の形態3に係る角度検出装置用確認治具では、回転ダンパ装置18は、ダンパ回転軸181と、ダンパ回転軸固定部182と、ダンパ本体183と、ダンパケース184とを有している。ダンパ回転軸181は、回転軸1と同軸に設けられている。ダンパ回転軸固定部182は、ラック7にダンパ回転軸181を固定している。ダンパ本体183は、ダンパ回転軸181の回転を減速させる。ダンパケース184は、ダンパ本体183を支持している。また、ダンパケース184は、底板3を介して固定板2に固定されている。この構成によれば、回転軸1とダンパ回転軸181とを互いに接続することなく、回転軸1を中心としたラック7の周方向D3の回転を減速させることができる。
【0073】
なお、実施の形態3に係る角度検出装置用確認治具では、実施の形態1に係る角度検出装置用確認治具と同様に、回転軸1が第2軸受装置6を介して底板3に回転可能に支持されている構成について説明した。しかしながら、実施の形態2に係る角度検出装置用確認治具と同様に、回転軸1が底板3に対して固定されている構成であってもよい。この場合であっても、回転ダンパ装置18は、ラック7の回転を減速させることができる。
【0074】
実施の形態4.
図14は、実施の形態4に係る角度検出装置用確認治具の要部を示す側面図である。実施の形態4に係る角度検出装置用確認治具は、回転軸1を中心としたラック7の周方向D3の回転を減速させる回転ダンパ装置22を備えている。
【0075】
図15は、
図14の回転ダンパ装置22を示す斜視図である。
図16は、
図14の回転ダンパ装置22を示す斜視図である。回転ダンパ装置22は、ダンパ回転軸221と、カップリング222と、ダンパ本体223と、ダンパ固定金具224とを有している。
【0076】
ダンパ回転軸221は、回転軸1と同軸に配置されている。
【0077】
カップリング222は、回転軸1とダンパ回転軸221とに渡って設けられている。カップリング222を介して、ダンパ回転軸221は、回転軸1に接続されている。したがって、回転軸1が回転する場合に、回転軸1の回転力がカップリング222を介してダンパ回転軸221に伝達される。
【0078】
ダンパ本体223は、ダンパ回転軸221の回転を減速させる。したがって、ダンパ本体223は、回転軸1を中心としたラック7の周方向D3の回転を減速させる。
【0079】
ダンパ本体223は、複数のねじ23を介して、ダンパ固定金具224に固定されている。これにより、ダンパ本体223は、ダンパ固定金具224に支持されている。
【0080】
ダンパ固定金具224は、複数のねじ24を介して、ラック7のラック固定台702に固定されている。ラック固定台702には、ねじ24が挿入される図示しないねじ挿入穴が形成されている。ダンパ固定金具224には、ねじ24が挿入される図示しないねじ挿入穴が形成されている。互いに重ねられたラック固定台702のねじ挿入穴およびダンパ固定金具224のねじ挿入穴にねじ24が挿入されることによって、ダンパ固定金具224がラック固定台702に固定されている。
【0081】
ダンパ固定金具224のねじ挿入穴の口径は、ねじ24の外径よりも大きくなっている。これにより、ダンパ固定金具224とラック固定台702とが互いに固定されていない状態において、回転軸1の軸線に直交する平面に沿った方向におけるラック固定台702に対するダンパ固定金具224の位置の調整が可能となっている。その結果、軸方向D1に見た場合に、回転軸1とダンパ回転軸221とを容易に重ねることができる。
【0082】
実施の形態3に係る角度検出装置用確認治具におけるその他の構成は、実施の形態1に係る角度検出装置用確認治具の構成と同様である。
【0083】
以上説明したように、実施の形態4に係る角度検出装置用確認治具では、回転ダンパ装置22は、ダンパ回転軸221と、ダンパ本体223と、ダンパ固定金具224とを有している。ダンパ回転軸221は、回転軸1と同軸に設けられている。また、ダンパ回転軸221は、回転軸1に接続されている。ダンパ本体223は、ダンパ回転軸221の回転を減速させる。ダンパ固定金具224は、ダンパ本体223を支持している。また、ダンパ固定金具224は、ラック7のラック固定台702に固定されている。この構成によれば、ダンパ本体223を底板3に固定することなく、回転軸1を中心としたラック7の周方向D3の回転を減速させることができる。
【0084】
なお、各実施の形態では、プランジャ9が対向部802に設けられている構成について説明した。しかしながら、プランジャ9が固定板2に設けられている構成であってもよい。この場合に、対向部802には、プランジャ9が挿入されるプランジャ挿入用穴が形成される。
【0085】
また、各実施の形態では、ラック回転制限部がプランジャ9である構成について説明した。しかしながら、ラック回転制限部は、プランジャ9に限らず、回転軸1の周方向D3に並んだ3つの位置のうちの対向部802がある位置で固定板2に対して対向部802を固定する構成であればよい。
【0086】
また、各実施の形態では、回転軸1の周方向D3に並んだ3つの位置に対向部802が移動可能となっており、3つの位置のうちの対向部802がある位置で固定板2に対してラック回転制限部が対向部802を固定する構成について説明した。しかしながら、対向部802が移動可能となる位置は、3つの位置に限らない。回転軸1の周方向D3に並んだ複数の位置に対向部802が移動可能となっており、複数の位置のうちの対向部802がある位置で固定板2に対してラック回転制限部が対向部802を固定する構成であればよい。
【0087】
また、各実施の形態では、一対の側板4が図示しない複数のねじを用いて底板3に固定されている構成について説明した。しかしながら、一対の側板4および底板3が、例えば、板金の曲げ加工によって形成された一体の構造物であってもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 回転軸、2 固定板、3 底板、4 側板、5 第1軸受装置、6 第2軸受装置、7 ラック、8 ラック固定部、9 プランジャ、10 ストッパ、11 ハンドル、12 把持部、13 ねじ、14 ねじ、15 確認対象基板、16 第3軸受装置、17 回転軸固定部、18 回転ダンパ装置、19 ねじ、20 ねじ、21 ねじ、22 回転ダンパ装置、23 ねじ、24 ねじ、181 ダンパ回転軸、182 ダンパ回転軸固定部、183 ダンパ本体、184 ダンパケース、185 嵌合穴、186 ダンパケース立板、187 ダンパケース底板、188 ねじ挿入穴、201 固定板本体、202 補強板、203 第1面、204 第2面、205 取付穴、206 貫通孔、207 プランジャ挿入用穴、221 ダンパ回転軸、222 カップリング、223 ダンパ本体、224 ダンパ固定金具、701 ラック脚部、702 ラック固定台、703 ラック本体、704 開口部、801 固定部本体、802 対向部、803 貫通孔。