(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023012067
(43)【公開日】2023-01-25
(54)【発明の名称】測定装置、測定方法、および測定プログラム
(51)【国際特許分類】
G01R 29/10 20060101AFI20230118BHJP
H01Q 3/02 20060101ALI20230118BHJP
【FI】
G01R29/10 E
H01Q3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021115485
(22)【出願日】2021-07-13
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻澤 成彰
【テーマコード(参考)】
5J021
【Fターム(参考)】
5J021AA01
5J021DA02
5J021DA06
5J021DA07
5J021EA04
5J021JA10
(57)【要約】
【課題】アンテナと対象との接触を回避し良好に通信システムの通信性能を測定する。
【解決手段】測定装置10の発信制御部12Bは、アンテナ21から距離検出用電波50Aを発信させる。検出部12Cは、アンテナ21で受信した第1受信電波50Bに基づいて、アンテナ21と車両Tとの距離を検出する。第1受信電波50Bは、測定対象電波52Aを発信する通信システム30が搭載された車両Tで反射した距離検出用電波50Aの反射波をアンテナ21で受信した受信電波である。駆動制御部12Aは、検出された距離が0より大きい設定距離となるように、アンテナ21および車両Tの少なくとも一方を駆動制御する。導出部12Dは、検出された距離が設定距離である場合、アンテナ21で受信した測定対象電波52Aである第2受信電波52Bに基づいて、通信システム30の通信性能を導出する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナから距離検出用電波を発信させる発信制御部と、
測定対象電波を発信する通信システムが搭載された対象で反射した前記距離検出用電波の反射波を前記アンテナで受信した第1受信電波に基づいて、前記アンテナと前記対象との距離を検出する検出部と、
検出された前記距離が0より大きい設定距離となるように、前記アンテナおよび前記対象の少なくとも一方を駆動制御する駆動制御部と、
検出された前記距離が前記設定距離である場合、前記アンテナで受信した前記測定対象電波である第2受信電波に基づいて、前記通信システムの通信性能を導出する導出部と、
を備える測定装置。
【請求項2】
前記駆動制御部は、
前記測定対象電波の無線通信方式に応じた前記設定距離となるように、前記アンテナおよび前記対象の少なくとも一方を駆動制御する、
請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記駆動制御部は、
検出された前記距離が前記設定距離未満である場合、前記アンテナおよび前記対象の駆動を停止制御する、
請求項1または請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記駆動制御部は、
検出された前記距離が前記設定距離未満である場合、前記アンテナと前記対象との前記距離が大きくなるように、前記アンテナおよび前記対象の少なくとも一方を駆動制御する、
請求項3に記載の測定装置。
【請求項5】
前記駆動制御部は、
検出された前記距離が前記設定距離を超える場合、前記アンテナと前記対象との前記距離が小さくなるように、前記アンテナおよび前記対象の少なくとも一方を駆動制御する、
請求項1~請求項4の何れか1項に記載の測定装置。
【請求項6】
アンテナから距離検出用電波を発信させるステップと、
測定対象電波を発信する通信システムが搭載された対象で反射した前記距離検出用電波の反射波を前記アンテナで受信した第1受信電波に基づいて、前記アンテナと前記対象との距離を検出するステップと、
検出された前記距離が0より大きい設定距離となるように、前記アンテナおよび前記対象の少なくとも一方を駆動制御するステップと、
検出された前記距離が前記設定距離である場合、前記アンテナで受信した前記測定対象電波である第2受信電波に基づいて、前記通信システムの通信性能を導出するステップと、
を含む測定方法。
【請求項7】
アンテナから距離検出用電波を発信させるステップと、
測定対象電波を発信する通信システムが搭載された対象で反射した前記距離検出用電波の反射波を前記アンテナで受信した第1受信電波に基づいて、前記アンテナと前記対象との距離を検出するステップと、
検出された前記距離が0より大きい設定距離となるように、前記アンテナおよび前記対象の少なくとも一方を駆動制御するステップと、
検出された前記距離が前記設定距離である場合、前記アンテナで受信した前記測定対象電波である第2受信電波に基づいて、前記通信システムの通信性能を導出するステップと、
をコンピュータに実行させるための測定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、測定装置、測定方法、および測定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話や車両などの対象に搭載された通信システムから発せられる電波をアンテナで受信し、受信した受信電波に基づいて通信システムの通信性能を導出するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。例えば、回転台などに対象を載置し、アンテナと対象との距離を一定に保った状態で対象を回転させることで、対象の周囲の各々の位置で受信電波を取得することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
対象に搭載される通信システムには、長距離無線通信や近距離無線通信などの複数の無線通信方式がある。近距離無線通信による電波や弱い強度の電波を発信する通信システムから発信された電波を受信するためには、アンテナを対象に近接させて測定を行う必要がある。しかし、従来技術では、測定時にアンテナが対象に衝突する場合があった。すなわち、従来技術では、アンテナと対象との接触を回避し良好に通信システムの通信性能を測定することは困難であった。
【0005】
本開示が解決しようとする課題は、アンテナと対象との接触を回避し良好に通信システムの通信性能を測定することができる測定装置、測定方法、および測定プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかる測定装置は、発信制御部と、検出部と、駆動制御部と、導出部と、を備える。発信制御部は、アンテナから距離検出用電波を発信させる。検出部は、測定対象電波を発信する通信システムが搭載された対象で反射した前記距離検出用電波の反射波を前記アンテナで受信した第1受信電波に基づいて、前記アンテナと前記対象との距離を検出する。駆動制御部は、検出された前記距離が0より大きい設定距離となるように、前記アンテナおよび前記対象の少なくとも一方を駆動制御する。導出部は、検出された前記距離が前記設定距離である場合、前記アンテナで受信した前記測定対象電波である第2受信電波に基づいて、前記通信システムの通信性能を導出する。
【発明の効果】
【0007】
本開示にかかる測定装置、測定方法、および測定プログラムによれば、アンテナと対象との接触を回避し良好に通信システムの通信性能を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態の測定システムの一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、測定装置の一例の機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、測定装置で実行される情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、測定装置の一例のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、本開示に係る測定装置、測定方法、および測定プログラムの実施形態を説明する。
【0010】
図1は、本実施形態の測定システム1の一例を示す模式図である。測定システム1は、測定装置10と、測定機構20と、を備える。
【0011】
測定システム1は、対象に搭載された通信システム30の通信性能を測定するためのシステムである。
【0012】
対象とは、通信システム30を搭載された物である。対象は、通信システム30を搭載可能な物であればよい。対象は、例えば、車両T、飛行機などの飛翔体、船舶、建物などの建造物、携帯端末、パーソナルコンピュータなどの電子機器、などである。本実施形態では、対象が、車両Tである形態を一例として説明する。
【0013】
通信システム30は、無線により測定対象電波52Aを発信する電波発信機である。言い換えると、通信システム30は、空中に測定対象電波52Aを発信する電波発信機である。通信システム30は、例えば、コードレスの電話機器、Wi-Fi(Wireless Fidelity)ルータなどの無線通信機、レーダ発信機、などである。また、通信システム30は、例えば、追跡、検出、または通信などに用いられる各種の発信機である。
【0014】
測定対象電波52Aは、通信システム30から無線により発信される電波である。測定対象電波52Aは、本実施形態の測定システム1における測定対象となる電波である。測定対象電波52Aは、ミリ波、マイクロ波、極超電波、超電波、短波、中波、および長波、の何れであってもよい。ミリ波は、26GHz以上の周波数帯のミリ波周波数帯域の電波である。ミリ波は、5G(第5世代移動通信システム)などの移動通信システム、車両Tの自動運転技術、ADAS(Advanced Driver Assistance System)技術などに用いられる。ADAS技術で用いられる電波には、例えば、レーダ波などが含まれる。
【0015】
通信システム30から発信される測定対象電波52Aには、移動通信システムなどで用いられる数100m~数kmなどの長距離無線通信や、100m程度までの近距離無線通信など、様々な無線通信方式が用いられる。例えば、長距離無線通信には、特定の周波数および特定の強い強度の電波の測定対象電波52Aが用いられる。また、例えば、近距離無線通信には、特定の周波数および特定の弱い強度の電波の測定対象電波52Aが用いられる。強い強度とは、予め定めた閾値以上の強度であることを意味する。弱い強度とは、予め定めた閾値未満の強度であることを意味する。
【0016】
本実施形態では、通信システム30は、対象の一例である車両T内に搭載された形態を一例として説明する。
【0017】
測定機構20は、車両Tに搭載された通信システム30から発信された測定対象電波52Aをアンテナ21で受信するための機構である。測定機構20は、少なくとも一部が可動することで、車両Tの全方位の位置の各々で測定対象電波52Aを受信可能に構成されている。
【0018】
詳細には、測定機構20は、アンテナ21と、支持部22と、支持部23と、支持部24と、を備える。
【0019】
アンテナ21は、無線による電波の受信および無線による電波の発信を行う装置である。言い換えると、アンテナ21は、電波を空中に放射し、また、空中を伝搬した電波を受信する。
【0020】
アンテナ21は、支持部24によって支持されている。支持部24は、棒状の部材である。支持部24は、長手方向の一端部にアンテナ21を支持し、他端部を支持部23によって支持されてなる。本実施形態では、支持部24が、支持部24の長手方向と鉛直方向に対して交差する方向とが略一致するように配置されている形態を一例として説明する。
【0021】
支持部23は、棒状の部材である。本実施形態では、支持部23は、支持部23の長手方向と鉛直方向とが略一致するように配置されている形態を一例として説明する。支持部23の長手方向の一端部は支持部22によって支持されている。支持部22は、地面などに配置された棒状の部材である。本実施形態では、支持部22の長手方向は水平方向に略一致する形態を一例として説明する。
【0022】
支持部25は、車両Tを支持する部材である。本実施形態では、支持部25は、円盤状の部材である。本実施形態では、支持部25の円盤状の盤面は、水平方向に沿った方向となるように配置されている場合を一例として説明する。支持部25の円中心には、駆動部25Aが設けられている。駆動部25Aは、後述する測定装置10の制御によって駆動する。駆動部25Aの駆動によって、支持部25が円中心を回転中心として所定角度ごとに回転する(矢印Q方向)。支持部25の回転に伴って、支持部25上に載置された車両Tが回転する(矢印Q方向)。
【0023】
支持部23には、駆動部23Aが設けられている。支持部24には、駆動部24Aが設けられている。駆動部23Aおよび駆動部24Aは、後述する測定装置10の制御によって駆動する。駆動部23Aの駆動によって、支持部23は支持部22の長手方向(矢印X方向)に沿って移動する。駆動部24Aの駆動によって、支持部24は支持部23の長手方向(矢印Z方向)に沿って移動する。
【0024】
支持部24によって支持されたアンテナ21は、駆動部23Aおよび駆動部24Aの駆動によって、車両Tに対して、鉛直方向に近づく方向または離れる方向、および鉛直方向に対して交差する方向に近づく方向または離れる方向に、移動可能に支持されている。
【0025】
すなわち、アンテナ21は、駆動部23Aおよび駆動部24Aの駆動によって、車両Tを球中心とする半球Cの頂点部と半球Cの周縁部との間を移動可能に支持されている。また、アンテナ21は、半球Cの径を変更可能に支持されている。
【0026】
次に、測定装置10について説明する。測定装置10は、アンテナ21で受信した測定対象電波52Aに基づいて、通信システム30の通信性能を測定する装置である。
【0027】
図2は、測定装置10の一例の機能ブロック図である。
図2には、測定システム1に含まれる測定装置10以外の電気的構成部分も併せて示す。
【0028】
測定装置10は、処理部12と、通信部14と、記憶部15と、出力部16と、入力部17と、を備える。処理部12、通信部14、記憶部15、出力部16、および入力部17は、例えば、バス19を介して通信可能に接続されている。
【0029】
通信部14は、駆動部23A、駆動部24A、駆動部25A、およびアンテナ21と通信可能に接続されている。本実施形態では、通信部14は、駆動部23A、駆動部24A、駆動部25A、およびアンテナ21の各々と、有線により通信可能に接続された形態を一例として説明する。また、本実施形態では、通信部14は、通信システム30に有線により通信可能に接続されている形態を一例として説明する。
【0030】
記憶部15は、各種の情報を記憶する。出力部16は、各種の情報を出力する。出力部16は、例えば、画像を表示するディスプレイ、音声を出力するスピーカ、などである。なお、出力部16は、ネットワークなどを介して外部の情報処理装置と通信する通信機能を備えていてもよい。通信機能を備えることで、出力部16は、各種の情報を外部の情報処理装置へ送信することができる。入力部17は、ユーザによる操作入力を受付ける。入力部17は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネルなどである。
【0031】
処理部12は、各種の情報処理を実行する。本実施形態では、処理部12は、駆動制御部12Aと、発信制御部12Bと、検出部12Cと、導出部12Dと、を備える。駆動制御部12A、発信制御部12B、検出部12C、および導出部12Dの一部または全ては、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの処理装置にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現してもよいし、IC(Integrated Circuit)などのハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。また、駆動制御部12A、発信制御部12B、検出部12C、および導出部12Dの少なくとも1つを、ネットワークなどを介して測定装置10と通信可能に接続された外部の情報処理装置に搭載した構成としてもよい。
【0032】
駆動制御部12Aは、アンテナ21および車両Tの少なくとも一方を駆動制御する。駆動制御とは、アンテナ21および車両Tの少なくとも一方の実空間上の位置を移動させる制御を意味する。本実施形態では、アンテナ21の位置を移動させる駆動制御を行う形態を一例として説明する。
【0033】
具体的には、駆動制御部12Aは、駆動部23A、駆動部24A、および駆動部25Aを駆動制御する。例えば、駆動制御部12Aは、車両Tを中心とした半球C(
図1参照)の外周を複数領域に分割した各領域に、アンテナ21が順次配置されるように、駆動部23A、駆動部24A、および駆動部25Aを駆動する。
【0034】
詳細には、駆動制御部12Aは、駆動部23Aおよび駆動部24Aの駆動制御によって、車両Tへ近づける方向または車両Tから離れる方向にアンテナ21を駆動制御する。そして、駆動制御部12Aは、アンテナ21の位置が半球Cの頂点部と半球Cの周縁部との間の次の測定位置へと移動制御されるごとに、駆動部25Aを制御する。駆動部25Aの制御によって、駆動制御部12Aは、支持部25上に載置された車両Tを所定の回転角度ごとに回転駆動させる。
【0035】
測定装置10では、駆動制御部12Aの駆動制御によってアンテナ21が次の測定位置に移動され、支持部25上に載置された車両Tが所定の回転角度回転駆動されるごとに、アンテナ21で受信した測定対象電波52Aの第2受信電波52Bを用いて通信システム30の通信性能を導出する。すなわち、測定装置10は、車両Tを中心とした半球Cの外周に沿って、該外周を複数領域に分割した各領域において受信した第2受信電波52Bを取得可能に構成されている。言い換えると、測定装置10は、車両Tの全方位の各々の位置で受信した第2受信電波52Bを取得可能に構成されている。
【0036】
発信制御部12Bは、通信システム30からの測定対象電波52Aの発信開始および発信停止を制御する。
【0037】
発信制御部12Bは、通信部14を介して通信システム30へ測定対象電波52Aの発信開始を表す発信開始信号を送信する。測定対象電波52Aの発信開始信号を受け付けた通信システム30は、無線による測定対象電波52Aの発信を開始する。また、発信制御部13Bは、通信部14を介して通信システム30へ、測定対象電波52Aの発信停止を表す発信停止信号を送信する。測定対象電波52Aの発信停止信号を受け付けた通信システム30は、測定対象電波52Aの発信を停止する。
【0038】
また、発信制御部12Bは、アンテナ21から距離検出用電波50Aを発信させる。
【0039】
距離検出用電波50Aは、アンテナ21と車両Tとの距離の検出に用いる電波である。本実施形態では、距離検出用電波50Aが、変調波である形態を一例として説明する。例えば、発信制御部12Bは、予め定めた特定の周波数のパルス波を表す距離検出用電波50Aの発信信号を、通信部14を介してアンテナ21へ出力する。アンテナ21は、通信部14を介して発信制御部12Bから発信信号を受付けると、該発信信号によって表される距離検出用電波50Aの発信を開始する。
【0040】
検出部12Cは、アンテナ21で受信した第1受信電波50Bに基づいて、アンテナ21と車両Tとの距離を検出する。
【0041】
第1受信電波50Bは、アンテナ21から発信された距離検出用電波50Aが車両Tによって反射した反射波を、アンテナ21で受信した受信電波である。
【0042】
検出部12Cは、距離検出用電波50Aおよび第1受信電波50Bに基づいて、アンテナ21と車両Tとの距離を算出する。
【0043】
例えば、検出部12Cは、公知のタイムドメイン法などを用いて、距離検出用電波50Aの発信から、該距離検出用電波50Aの車両Tによる反射波である第1受信電波50Bの受信までの時間を導出する。そして、検出部12Cは、導出した時間と電波の速さとを用いて、車両Tとアンテナ21との距離を算出する。
【0044】
なお、発信制御部13Bは、FMCW(周波数連続変調)方式による変調波を距離検出用電波50Aとしてアンテナ21から発信させてもよい。この場合、検出部12Cは、距離検出用電波50Aおよび第1受信電波50BからIF(Intermediate Frequency)信号を生成し、IF信号に対して公知の信号処理を行うことで、距離を算出する。例えば、検出部12Cは、IF信号をAD(アナログデジタル)変換し、さらにフーリエ変換(FFT)することで周波数スペクトルを導出する。そして、検出部12Cは、導出した周波スペクトルから、車両Tとアンテナ21との距離を算出する。
【0045】
また、検出部12Cは、距離検出用電波50Aの強度と、第1受信電波50Bの強度と、の差に基づいて、アンテナ21と車両Tとの距離を算出してもよい。例えば、検出部12Cは、距離検出用電波50Aの振幅強度と、第1受信電波50Bの振幅強度と、の差に対応する距離を予め対応付けて記憶部15に記憶する。そして、検出部12Cは、距離検出用電波50Aの振幅強度と、第1受信電波50Bの振幅強度と、の差に対応する距離を記憶部15から読み取ることで、アンテナ21と車両Tとの距離を導出してもよい。
【0046】
駆動制御部12Aは、検出部12Cで検出された距離が0より大きい設定距離となるように、アンテナ21および車両Tの少なくとも一方を駆動制御する。本実施形態では、上述したように、駆動制御部12Aは、駆動部23Aおよび駆動部24Aを駆動制御することで、アンテナ21の位置を駆動制御する形態を一例として説明する。
【0047】
設定距離は、測定時の車両Tとアンテナ21との目標距離である。上述したように、通信システム30から発信される測定対象電波52Aには、長距離無線通信や近距離無線通信などの様々な無線通信方式が用いられる。例えば、長距離無線通信には、特定の周波数および特定の強度の電波の測定対象電波52Aが用いられる。近距離無線通信には、特定の周波数および特定の弱い強度の電波の測定対象電波52Aが用いられる。
【0048】
近距離無線通信用の測定対象電波52Aの通信性能の測定時には、車両Tにより近い位置にアンテナ21を配置する必要がある。一方、長距離無線通信用の測定対象電波52Aの通信性能の測定時には、車両Tからより遠い位置にアンテナ21を配置する必要がある。そこで、設定距離には、無線通信方式に応じた通信性能を測定するための目標距離が定められる。なお、設定距離には、アンテナ21と車両Tとの衝突を避ける観点から、0より大きい値が予め定められる。
【0049】
本実施形態では、駆動制御部12Aは、通信システム30から発信される測定対象電波52Aの無線通信方式に応じた設定距離となるように、アンテナ21および車両Tの少なくとも一方を駆動制御する。まず、駆動制御部12Aは、測定対象電波52Aの無線方式に応じた設定距離を取得する。
【0050】
例えば、駆動制御部12Aは、通信部14を介して通信システム30から、測定対象電波52Aの無線通信方式を取得する。また、例えば、駆動制御部12Aは、ユーザによって入力された無線通信方式を入力部17から取得してもよい。
【0051】
そして、駆動制御部12Aは、取得した無線通信方式に対応する設定距離を記憶部15から読み取ることで、測定対象電波52Aの無線通信方式に応じた設定距離を取得する。
【0052】
記憶部15には、例えば、設定距離対応テーブル15Aを予め記憶すればよい。設定距離対応テーブル15Aは、無線通信方式と、設定距離と、を対応付けたテーブルである。なお、設定距離対応テーブル15Aのデータ形式は、データベースなどでもよく、テーブルに限定されない。詳細には、設定距離対応テーブル15Aは、無線通信方式と、無線通信方式に応じた通信性能を測定するための目標距離を表す設定距離と、を予め対応付けたテーブルである。具体的には、設定距離対応テーブル15Aには、例えば、無線通信方式である長距離無線通信に対して、Nmmを表す設定距離が対応付けて予め登録される。Nは、0を超える整数である。また、設定距離対応テーブル15Aには、例えば、無線通信方式である近距離無線通信に対して、Lmmを表す設定距離が対応付けて予め登録される。Lは、0を超え、且つ、上記N未満の整数である。
【0053】
駆動制御部12Aは、取得した無線通信方式に対応する設定距離を記憶部15から読み取ることで、測定対象電波52Aの無線通信方式に応じた設定距離を取得すればよい。
【0054】
なお、設定距離対応テーブル15Aに登録されている無線通信方式および設定距離は、例えば、ユーザによる入力部17の操作指示などに応じて変更可能としてもよい。
【0055】
また、ユーザは、入力部17を操作することで、所望の設定距離を入力してもよい。この場合、駆動制御部12Aは、入力部17から設定距離を取得すればよい。入力部17から設定距離を取得することで、駆動制御部12Aは、ユーザの任意の設定距離を取得することができる。ただし、上述したように、設定距離は、0を超える値であることが必須である。
【0056】
駆動制御部12Aは、検出部12Cで検出されたアンテナ21と車両Tとの距離が取得した設定距離となるように、アンテナ21および車両Tの少なくとも一方を駆動制御する。
【0057】
本実施形態では、駆動制御部12Aは、駆動部23Aおよび駆動部24Aの駆動制御によって、車両Tへ近づける方向または車両Tから遠ざける方向にアンテナ21を駆動制御する。例えば、駆動制御部12Aは、駆動部23Aおよび駆動部24Aの駆動制御によって、アンテナ21を実空間上の所定位置へと移動させる。
【0058】
そして、駆動制御部12Aは、該位置でアンテナ21から発信された距離検出用電波50Aと、該位置でアンテナ21が受信した距離検出用電波50Aの車両Tによる反射波である第1受信電波50Bと、から検出されたアンテナ21と車両Tとの距離を検出部12Cから取得する。
【0059】
駆動制御部12Aは、検出部12Cで検出された距離が設定距離未満である場合、アンテナ21および車両Tの駆動を停止制御する。本実施形態では、駆動制御部12Aは、検出部12Cで検出された距離が設定距離未満である場合、駆動部23Aおよび駆動部24Aの駆動制御を停止することで、アンテナ21の移動を停止させる停止制御を行う。
【0060】
検出部12Cで検出された距離が設定距離未満である場合、駆動制御部12Aが、アンテナ21および車両Tの駆動を停止制御するため、アンテナ21と車両Tとの接触および衝突が回避される。
【0061】
また、駆動制御部12Aは、検出部12Cで検出された距離が設定距離未満である場合、アンテナ21と車両Tとの距離が大きくなるように、アンテナ21および車両Tの少なくとも一方を駆動制御する。本実施形態では、駆動制御部12Aは、駆動部23Aおよび駆動部24Aを制御することで、車両Tから離れる方向にアンテナ21を移動させる。
【0062】
駆動制御部12Aは、検出部12Cで検出された距離が設定距離未満である場合、アンテナ21および車両Tの駆動の停止制御、および、アンテナ21と車両Tとの距離が大きくなる駆動制御、の少なくとも一方を行えばよい。本実施形態では、駆動制御部12Aは、検出部12Cで検出された距離が設定距離未満である場合、アンテナ21の駆動を停止制御した後に、車両Tから離れる方向にアンテナ21を移動させる駆動制御を行う。
【0063】
駆動制御部12Aは、検出部12Cで検出された距離が設定距離を超える場合、アンテナ21と車両Tとの距離が小さくなるように、アンテナ21および車両Tの少なくとも一方を駆動する。本実施形態では、駆動制御部12Aは、検出部12Cで検出された距離が設定距離を超える場合、駆動部23Aおよび駆動部24Aを駆動制御することで、車両Tに近づく方向にアンテナ21を移動させる駆動制御を行う。
【0064】
検出部12Cで検出された距離が設定距離である場合、導出部12Dは、アンテナ21で受信した測定対象電波52Aである第2受信電波52Bに基づいて、通信システム30の通信性能を導出する。
【0065】
例えば、導出部12Dは、取得した第2受信電波52Bを表す情報と、該第2受信電波52Bの取得時のアンテナ21の実空間における位置情報と、を対応付けた情報を、通信性能として導出する。アンテナ21の実空間における位置には、駆動制御部12Aによる駆動部23A、駆動部24A、および駆動部25Aの制御によって導出される、アンテナ21の半球Cの外面における位置を用いればよい。
【0066】
なお、導出部12Dは、取得した第2受信電波52Bの振幅、波長、周期、振幅、および速さの少なくとも1つを、第2受信電波52Bを表す情報として用いればよい。
【0067】
次に、本実施形態の測定装置10で実行する情報処理の流れの一例を説明する。
【0068】
図3は、測定装置10で実行される情報処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図3に示すフローチャートが実行される直前の状態では、アンテナ21および通信システム30は電波を発信していない状態であるものとして説明する。また、
図3に示すフローチャートの実行前に、処理部12は、測定対象電波52Aの無線通信方式に応じた設定距離を予め取得しているものとして説明する。
【0069】
駆動制御部12Aは、次の測定位置へアンテナ21を移動制御する(ステップS100)。駆動制御部12Aは、駆動部23Aおよび駆動部24Aを駆動制御することにより、車両Tを中心とした半球C(
図1参照)の外周におけるアンテナ21の位置を、該外周における半球Cの頂点部と半球Cの周縁部との間の次の測定位置へと移動させる。
【0070】
発信制御部12Bは、距離検出用電波50Aの発信信号を、通信部14を介してアンテナ21へ送信する(ステップS102)。距離検出用電波50Aの発信信号を受付けたアンテナ21は、距離検出用電波50Aの発信を開始する。
【0071】
検出部12Cは、アンテナ21で受信した、距離検出用電波50Aの車両Tによる反射波である第1受信電波50Bを取得する(ステップS104)。検出部12Cは、アンテナ21から通信部14を介して第1受信電波50Bを取得する。
【0072】
検出部12Cは、距離検出用電波50AおよびステップS104で取得した第1受信電波50Bに基づいて、アンテナ21と車両Tとの距離を検出する(ステップS106)。
【0073】
駆動制御部12Aは、ステップS106で検出された距離が設定距離未満であるか否かを判断する(ステップS108)。ステップS106で検出された距離が設定距離未満であると判断した場合(ステップS108:Yes)、ステップS110へ進む。
【0074】
ステップS110では、駆動制御部12Aは、駆動部23Aおよび駆動部24Aの駆動制御を停止することで、アンテナ21の移動を停止させる停止制御を行う(ステップS110)。ステップS110の処理によって、アンテナ21と車両Tとの接触および衝突が回避される。
【0075】
そして、駆動制御部12Aは、アンテナ21と車両Tとの距離が大きくなるようにアンテナ21を駆動制御する(ステップS112)。ステップS112では、駆動制御部12Aは、駆動部23Aおよび駆動部24Aを制御することで、車両Tから離れる方向にアンテナ21を移動させる。そして、上記ステップS104へ戻る。
【0076】
一方、駆動制御部12Aは、上記ステップS108において、ステップS106で検出した距離が設定距離以上と判断した場合(ステップS108:No)、ステップS114へ進む。ステップS114では、駆動制御部12Aは、ステップS106で検出した距離が設定距離と一致するか否かを判断する(ステップS114)。
【0077】
ステップS114で否定判断すると(ステップS114:No)、ステップS116へ進む。すなわち、駆動制御部12Aは、ステップS106で検出した距離が設定距離より大きい場合、ステップS114で否定判断する(ステップS114:No)。
【0078】
ステップS116では、駆動制御部12Aは、アンテナ21と車両Tとの距離が小さくなるように、アンテナ21を駆動制御する(ステップS116)。駆動制御部12Aは、駆動部23Aおよび駆動部24Aを駆動制御することで、車両Tに近づく方向にアンテナ21を移動させる駆動制御を行う。そして、上記ステップS104へ戻る。
【0079】
一方、ステップS114で肯定判断すると(ステップS114:Yes)、ステップS118へ進む。駆動制御部12Aは、ステップS106で検出した距離が設定距離に一致する場合、ステップS114で肯定判断する(ステップS114:Yes)。
【0080】
ステップS118では、駆動制御部12Aは、駆動部23Aおよび駆動部24Aの駆動制御を停止することで、アンテナ21の移動を停止させる停止制御を行う(ステップS118)。ステップS118の処理によって、アンテナ21と車両Tとの距離が設定距離となった状態が維持される。
【0081】
次に、発信制御部12Bが、アンテナ21への距離検出用電波50Aの発信信号の送信を停止する(ステップS120)。距離検出用電波50Aの発信信号の送信が停止されたアンテナ21は、距離検出用電波50Aの発信を停止する。
【0082】
次に、発信制御部12Bは、測定対象電波52Aの発信開始を表す発信開始信号を通信システム30へ送信する(ステップS122)。発信開始信号を受付けた通信システム30は、測定対象電波52Aの発信を開始する。
【0083】
導出部12Dは、アンテナ21で受信した測定対象電波52Aである第2受信電波52Bを取得する(ステップS124)。導出部12Dは、アンテナ21から通信部14を介して第2受信電波52Bを取得する。
【0084】
導出部12Dは、ステップS214で取得した第2受信電波52Bに基づいて、通信システム30の通信性能を導出する(ステップS126)。そして、導出部12Dは、ステップS126で導出した通信性能を、記憶部15へ記憶する(ステップS128)。
【0085】
次に駆動制御部12Aは、駆動部25Aを制御することで、支持部25上に載置された車両Tを所定の回転角度、回転駆動させる(ステップS130)。そして、ステップS132へ進む。所定の回転角度は、予め定めればよい。所定の回転角度は、例えば、5°、10°、または30°などであるが、これらに限定されない。所定の回転角度は、ユーザによる入力部17の操作指示などによって設定および変更可能とすればよい。
【0086】
ステップS132では、発信制御部11Bが、測定対象電波52Aの発信停止を表す発信停止信号を通信システム30へ送信する(ステップS132)。発信停止信号を受付けた通信システム30は、測定対象電波52Aの発信を停止する。なお、ステップS132の処理の後に、ステップS130の処理を実行してもよい。
【0087】
次に、処理部13は、ステップS100で調整された、半球Cにおける頂点と周縁との間の測定位置にアンテナ21が位置された状態で、支持部25上に載置された車両Tを360°周方向(
図1中、矢印Q方向参照)に回転駆動済であるか否かを判断する。
【0088】
ステップS134で否定判断すると(ステップS134:No)、上記ステップS102へ戻る。ステップS134で肯定判断すると(ステップS134:Yes)、ステップS136へ進む。
【0089】
ステップS136では、処理部12が測定処理を終了するか否かを判断する(ステップS136)。例えば、処理部12は、車両Tを中心とした全方位の測定位置における通信システム30の通信性能の測定が完了したか否かを判別することで、ステップS136の判断を行う。ステップS136で否定判断すると(ステップS136:No)、上記ステップS100へ戻る。ステップS136で肯定判断すると(ステップS136:Yes)、本ルーチンを終了する。
【0090】
以上説明したように、本実施形態の測定装置10は、発信制御部12Bと、検出部12Cと、駆動制御部12Aと、を備える。発信制御部12Bは、アンテナ21から距離検出用電波50Aを発信させる。検出部12Cは、アンテナ21で受信した第1受信電波50Bに基づいて、アンテナ21と車両Tとの距離を検出する。第1受信電波50Bは、測定対象電波52Aを発信する通信システム30が搭載された車両Tで反射した距離検出用電波50Aの反射波をアンテナ21で受信した受信電波である。駆動制御部12Aは、検出された距離が0より大きい設定距離となるように、アンテナ21および車両Tの少なくとも一方を駆動制御する。導出部12Dは、検出された距離が設定距離である場合、アンテナ21で受信した測定対象電波52Aである第2受信電波52Bに基づいて、通信システム30の通信性能を導出する。
【0091】
このように、本実施形態の測定装置10では、駆動制御部12Aが、検出部12Cで検出されたアンテナ21と車両Tとの距離が0より大きい設定距離となるように、アンテナ21および車両Tの少なくとも一方を駆動制御する。そして、導出部12Dは、アンテナ21と車両Tとの距離が設定距離である場合、設定距離に位置されたアンテナ21で受信した第2受信電波52Bに基づいて、通信システム30の通信性能を導出する。
【0092】
このため、本実施形態の測定装置10では、アンテナ21と車両Tとの接触や衝突を回避し、良好に通信システム30の通信性能を測定することができる。
【0093】
従って、本実施形態の測定装置10は、アンテナ21と対象(車両T)との接触を回避し良好に通信システム30の通信性能を測定することができる。
【0094】
また、本実施形態の測定装置10の駆動制御部12Aは、測定対象電波52Aの無線通信方式に応じた設定距離となるように、アンテナ21および車両Tの少なくとも一方を駆動制御する。
【0095】
図4および
図5は、設定距離の一例の説明図である。
図4は、設定距離をR1とした場合の測定位置の群を表す半球CAの一例を示す図である。半球CAは、半球Cの一例である。
図5は、設定距離をR2とした場合の測定位置の群を表す半球CBの一例を示す図である。測定距離R2は、測定距離R1より短い距離である。半球CBは、半球Cの一例である。
【0096】
図4および
図5に示すように、本実施形態の測定装置10では、アンテナ21と車両Tとの設定距離を可変とすることができる。このため、本実施形態の測定装置10は、アンテナ21と車両Tとの距離を、無線通信方式に応じた設定距離に調整することができる。
【0097】
また、本実施形態の測定装置10は、車両Tに接触または衝突することを抑制され且つ車両Tとの距離を設定距離に調整された状態のアンテナ21で受信した第2受信電波52Bに基づいて、通信システム30の通信性能を導出する。このため、本実施形態の測定装置10は、上記効果に加えて、アンテナ21と車両Tとの接触を回避し且つ高精度に通信システム30の通信性能を測定することができる。
【0098】
なお、
図4および
図5には、半球Cの形状を模式的に示す図として、半球Cの周縁に対して平行な断面が略正円となる半球Cを一例として示した。しかし、実際には、アンテナ21による測定位置の群を表す半球Cは、車両Tの外表面から設定距離離れた測定位置の群であるため、車両Tの外形に沿った形状となることはいうまでもない。
【0099】
また、本実施形態の測定装置10は、アンテナ21で受信した、距離検出用電波50Aの車両Tによる反射波である第1受信電波50Bに基づいて、アンテナ21と車両Tとの距離を検出する。また、測定装置10は、アンテナ21で受信した、測定対象電波52Aの第2受信電波52Bに基づいて、通信システム30の通信性能を導出する。
【0100】
このように、本実施形態の測定装置10は、アンテナ21を用いて距離の検出および通信性能の導出を行う。このため、本実施形態の測定装置10は、距離検知用の装置を別途設けることなく、簡易な構成で、アンテナ21と車両Tとの接触を回避し且つ高精度に通信システム30の通信性能を測定することができる。
【0101】
なお、本実施形態では、測定装置10は、駆動部23Aおよび駆動部24Aを駆動制御することで、車両Tに対するアンテナ21の位置を移動させる駆動制御を行う形態を一例として説明した。しかし、測定装置10は、車両Tおよびアンテナ21の少なくとも一方の実空間上の位置を移動させる駆動制御を行えばよく、アンテナ21を駆動制御する形態に限定されない。例えば、支持部25に設けられた駆動部25Aを、支持部25を回転駆動するとともに実空間における支持部25の位置を移動させる駆動部として機能させる。この場合、測定装置10は、駆動部25Aを駆動制御することで、実空間における支持部25の位置を制御し、支持部25上に載置された車両Tの位置を駆動制御することができる。すなわち、測定装置10は、駆動部23A、駆動部24A、および駆動部25Aを駆動制御することで、アンテナ21および車両Tの少なくとも一方の実空間上の位置を移動させてもよい。
【0102】
また、本実施形態では、通信システム30の搭載される対象が、車両Tである場合を一例として説明した。しかし、対象は、車両Tに限定されない。上述したように、対象は、通信システム30を搭載される物であればよく、飛行機などの飛翔体、船舶、建物などの建造物、携帯端末、パーソナルコンピュータなどの電子機器、であってもよい。本実施形態の測定装置10は、特に、外形が不均一な対象や、衝撃に弱い精密な対象などに搭載された通信システム30の通信性能の導出に、特に有用に適用される。
【0103】
次に、上記実施形態の測定装置10のハードウェア構成の一例を説明する。
【0104】
図6は、上記実施形態の測定装置10の一例のハードウェア構成図である。
【0105】
上記実施形態の測定装置10は、CPU60Aなどの制御装置と、ROM(Read Only Memory)60BやRAM(Random Access Memory)60CやHDD(ハードディスクドライブ)などの記憶装置と、各種機器とのインターフェースであるI/F部60Dと、各部を接続するバス60Eとを備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0106】
上記実施形態の測定装置10では、CPU60Aが、ROM60BからプログラムをRAM60C上に読み出して実行することにより、上記各部がコンピュータ上で実現される。
【0107】
なお、上記実施形態の測定装置10で実行される上記各処理を実行するためのプログラムは、HDDに記憶されていてもよい。また、上記実施形態の測定装置10で実行される上記各処理を実行するためのプログラムは、ROM60Bに予め組み込まれて提供されていてもよい。
【0108】
また、上記実施形態の測定装置10で実行される上記処理を実行するためのプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)、フレキシブルディスク(FD)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されてコンピュータプログラムプロダクトとして提供されるようにしてもよい。また、上記実施形態の測定装置10で実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するようにしてもよい。また、上記実施形態の測定装置10で実行される上記処理を実行するためのプログラムを、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布するようにしてもよい。
【0109】
なお、上記には、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0110】
10 測定装置
12A 駆動制御部
12B 発信制御部
12C 検出部
12D 導出部
21 アンテナ
30 通信システム