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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023120686
(43)【公開日】2023-08-30
(54)【発明の名称】ガス充填包装機
(51)【国際特許分類】
   B65B 31/02 20060101AFI20230823BHJP
【FI】
B65B31/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022023667
(22)【出願日】2022-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】391025419
【氏名又は名称】友和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098936
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100098888
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 明子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 保彦
【テーマコード(参考)】
3E053
【Fターム(参考)】
3E053AA06
3E053BA04
3E053CA01
3E053CB03
3E053DA03
3E053EA03
3E053FA01
3E053GA02
3E053GA04
3E053JA01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】作業効率を犠牲にせずに、花かつお等の舞い上がり易いものを包装できる、チャンバ式のガス充填包装装置の提供。
【解決手段】袋Pの袋口からガス噴射ノズル43を差し込んだ状態で、袋口側を袋受けと袋押え33で挟持して開口Kを残しながら仮閉じする。開口Kはノズル口43aに対向させる。この状態で真空引きをすると、袋Pの外側が優先的に吸引され、遅れて袋Pの内部が吸引される。最終的な真空度は袋Pの内外でほぼ同じになるが、この遅れにより、袋Pが膨張して真空引きが終了する。次に、不活性ガスを袋Pの内部に吹き込む際に、ある程度の吹込み速度で実施しても、袋Pは膨張されて容量が大きくなっており、不活性ガスは袋Pの隅々まで回り込み易く、花かつおFの舞い上がりが抑えられている。ガス噴射ノズル43を後退させて袋口から出した後にシールして袋Pを密閉する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ内に被包装物を収容した袋をセットしてガス充填包装するチャンバ式ガス充填包装装置において、
前記袋の袋口寄りで開口を一時的に狭める開口狭め手段と、前記袋口からガス充填ノズルが差込まれて前記狭められた開口にノズル口が対向する位置と、前記袋口から後退する位置とに移動可能なノズル移動機構を備え、
前記狭められた開口を介して、前記袋の内部が真空引きされることで前記袋が膨張し、前記膨張した袋の内部に、前記ガス充填ノズルの対向したノズル口から充填ガスが吹き込まれることを特徴するガス充填包装装置。
【請求項2】
請求項1に記載したチャンバ式ガス充填包装装置において、
前記狭められた開口は左右方向中心寄りに設けられていることを特徴とするガス充填包装装置。
【請求項3】
請求項2に記載したチャンバ式ガス充填包装装置において、
扁平状になった開口に、扁平なノズル口が近接して対向していることを特徴とするガス充填包装装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載したチャンバ式ガス充填包装装置において、
開口狭め手段は、袋面を重ね合わせて、その一部を弾性的に圧接して閉じることで開口を狭めることを特徴とするガス充填包装装置。
【請求項5】
請求項4に記載したチャンバ式ガス充填包装装置において、
開口狭め手段は、弾性面が溝付きの滑止め面に対して溝に跨るように袋口を介して押圧することで閉じることを特徴とするガス充填包装装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載したチャンバ式ガス充填包装装置において、
開口狭め手段は、袋のセット手段を兼ねていることを特徴とするガス充填包装装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載したチャンバ式ガス充填包装装置において、
被包装物はガスの流動により舞い上がり易い性状の集合物であることを特徴とするガス充填包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品等を不活性ガス中に保持して酸素を遮断することで長期間の保存を可能とするガス充填包装に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガス充填方法には、特許文献1に記載のように、チャンバ式があり、このチャンバ式ではチャンバ内に袋をセットし、チャンバ内全体を真空引きした後、そのままの状態で充填ガスを送り込んだ上で、袋口をシールするようになっている。チャンバ内全体を真空にし、且つ充填ガス雰囲気中でのシールとなるので、ガス置換率は非常に高くなっている。
【0003】
最近では、花かつおや抹茶のように、軽くて舞い易いようなものについても、長期保存するために、このチャンバ式でガス充填包装したいとの要望が出ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-99934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ガス充填の際には充填ガスはノズル口から袋内に向けてある程度の勢いで吹込むことになり、花かつお等はどうしても舞い上がったりして飛散してしまい、シール不良等を起こし易くなっていた。これに対して、吹込み速度を下げることは技術的には可能であるが、充填時間が有意的に延びることになり、作業効率を著しく悪化させることから、そのような対処は現実的ではなかった。
【0006】
本発明は上記従来の問題点に着目して為されたものであり、作業効率を犠牲にせずに、花かつお等をチャンバ式の充填包装に適用できる、新規且つ有用なチャンバ式のガス充填包装装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1の発明は、チャンバ内に被包装物を収容した袋をセットしてガス充填包装するチャンバ式ガス充填包装装置において、前記袋の袋口寄りで開口を一時的に狭める開口狭め手段と、前記袋口からガス充填ノズルが差込まれて前記狭められた開口にノズル口が対向する位置と、前記袋口から後退する位置とに移動可能なノズル移動機構を備え、前記狭められた開口を介して、前記袋の内部が真空引きされることで前記袋が膨張し、前記膨張した袋の内部に、前記ガス充填ノズルの対向したノズル口から充填ガスが吹き込まれることを特徴するガス充填包装装置である。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載したチャンバ式ガス充填包装装置において、前記狭められた開口は左右方向中心寄りに設けられていることを特徴とするガス充填包装装置である。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2に記載したチャンバ式ガス充填包装装置において、扁平状になった開口に、扁平なノズル口が近接して対向していることを特徴とするガス充填包装装置である。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかに記載したチャンバ式ガス充填包装装置において、開口狭め手段は、袋面を重ね合わせて、その一部を弾性的に圧接して閉じることで開口を狭めることを特徴とするガス充填包装装置である。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4に記載したチャンバ式ガス充填包装装置において、開口狭め手段は、弾性面が溝付きの滑止め面に対して溝に跨るように袋口を介して押圧することで閉じることを特徴とするガス充填包装装置である。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれかに記載したチャンバ式ガス充填包装装置において、開口狭め手段は、袋のセット手段を兼ねていることを特徴とするガス充填包装装置である。
【0013】
請求項7の発明は、請求項1から6のいずれかに記載したチャンバ式ガス充填包装装置において、被包装物はガスの流動により舞い上がり易い性状の集合物であることを特徴とするガス充填包装装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明のチャンバ式のガス充填包装装置によれば、花かつおや抹茶のように、軽くて舞い易いようなものについても包装対象にできる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態に係るチャンバ式ガス充填包装装置の斜視図である。
図2図1のガス充填包装装置を別の方向から見た斜視図である。
図3図1の一部拡大図である。
図4図3から、袋押え及びそれに関連する部材が図示省略された、一部省略拡大図である。
図5図1のガス充填包装装置における袋セット状態を示す、一部断面側面図である。-
図6図5における袋押え状態を示す拡大図である。
図7図5に続く、扉閉じ状態を示す、一部断面説明図である。
図8図1のガス充填包装装置を用いたガス充填包装動作の説明図である。
図9図8のガス充填時のイメージ図である。
図10】花かつおを袋に収容し、図1のガス充填包装装置を用いて窒素ガスを充填しシールした物品の実物を示す。
図11】抹茶を袋に収容し、図1のガス充填包装装置を用いて窒素ガスを充填しシールした物品の実物を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態に係るチャンバ式ガス充填包装装置1を図面にしたがって説明する。
図1図2に示すように、機台3の上側に真空チャンバ5が設けられている。この真空チャンバ5は四角容器状の本体7と扉13とでなり、本体7の上縁の溝9にOリング11(図1では省略、図5図7で図示)が取り付けられている。平板状の扉13で本体7を覆い被せると、Oリング11を介して閉じられて、内部が密閉される。扉13には、真空チャンバ5内を観察するためのガラス窓(図示省略)が設けられている。本体7は、正面側が低くなるように傾斜しており、後述するように袋Pがセットされたときには、自重により半吊下げ状態になる。
図3図7の図示状態も併用しながら、以下で構造を詳細に説明する。
【0017】
符号15はアームを示し、このアーム15の中間部が本体7の背面部7aの外面側に回動自在に支持されている。本体7の底面にはエアシリンダ17の本体17aが取付けられており、17aからピストンロッド17bが伸縮するようになっている。このピストンロッド17bの先端がアーム15の一方の端側に固定されている。また、アーム15の他方の端側は扉13の天面に固定されている。
上記のように扉開閉機構19が構成されており、ピストンロッド17bの伸縮により、アーム15が回動して扉13が開閉する。
【0018】
この扉開閉機構19の他に、扉13の天面には取っ手20も取り付けられており、ピストンロッド17bを動作フリーにしたときには、取っ手20で開閉することが可能になっている。
以下で、本体7の内部構造を詳述するが、説明の便宜のために、方向の説明の際には、本体7の傾斜を無視して単純に前後左右方向と記載する。
【0019】
図3図4の拡大図で明確に示すように、本体7の内部の底面には、四角形で薄型の載置プレート21が、底面の四角形の縁内に相似状に取付けられている。載置プレート21の後辺縁と本体7の側面については間隔があけられており、載置プレート21の後辺縁に沿って、本体7の底面に取付部23が固定されている。
この取付部23は本体7の左右方向に細長く延びており、左右方向に垂直な断面が凹面になっている。
【0020】
取付部23の前面には、断面L形に曲げられたアングル材で構成されたブラケット25の縦面部25aが重ね合されて固定されている。このブラケット25の横面部25bは縦面部25aの上端から前方向に突き出して、載置プレート21の上方に位置している。また、横面部25bの前端からは縦面部25aと平行に下方に向かって極短の縦面部25cが垂下されている。横面部25bの上面は取付部23の上端とほぼ同じ高さになっている。
この横面部25bの上面には、滑止め用にラバーシート27が貼着されている。このラバーシート27は細長い帯状になっており、2枚のラバーシート27、27の一方が横面部25bの前辺縁に沿って、他方が後辺縁に沿ってそれぞれ貼着されている。2枚のラバーシート27、27の間には隙間があり、その隙間が溝29になっている。
ラバーシート27、27と溝29で袋受け31が構成されている。
【0021】
袋受け31の上方には、袋押え33が配置されている。符号35はシャフトを示し、このシャフト35に、シリコン樹脂製の弾性を有する円筒37、37、……が外嵌されて固定されている。円筒37の上側と前側にはそれぞれ貫通穴37a、37aが形成されている。3個の円筒37、37、37を一組として、同じ組内では隣合う円筒37、37どうしの端面は密着している。この一組で袋押え33が構成されている。隣合う袋押え33、33どうしの間には所定の隙間39があけられている。
【0022】
本体7の左右側内面にそれぞれガイド部40、40が対向して設けられており、シャフト35の軸方向両端部をこのガイド部40、40にガイドさせながら下ろすと、シャフト35が所定の位置に装着されて、上記したように、袋受け31の上方には、袋押え33が配置された状態になり、ラバーシート27に対して円筒37が当接する。
このとき、シャフト35の軸方向が2枚のラバーシート27、27の間の溝29の幅方向中心線と上下方向でほぼ一致しており、円筒37の弾性外周面が溝29に跨っている。
【0023】
扉13の下面からはプレス部41、41、……が突設されており、プレス部41の下面は円環状の剛性の押圧面41aになっている。このプレス部41は所定の間隔をあけて複数配置されており、扉13が閉まると、袋押え33、33、……に対してプレス部41、41、……が各別に対応して、プレス部41の押圧面41aが袋抑え33の中間の円筒37を上側から押さえ付ける。この押付けにより、ラバーシート27に対して円筒37が弾性的に圧接した状態になる。
袋受け31、袋押え33、プレス部41で袋のセット手段が構成されている。
【0024】
符号43はガス噴射ノズルを示す。このガス噴射ノズル43の円筒断面は、基端側が真円形になっているが、ノズル口43aに向かって徐々に扁平状に変形しており、ノズル口43aの近傍では上下方向の外面が扁平面43b、43bになっている。従って、ノズル口43aは横長の長円形になっている。
細長い角状のノズルベース45が左右方向に延びた状態で、本体7の内部に配置されている。このノズルベース45の前面にはガス噴射ノズル43の基端側が接続されており、ガス噴射ノズル43の軸方向は前後方向になっている。
複数のガス噴射ノズル43、43、……が互いに所定の間隔をあけて平行に接続されている。
【0025】
ノズルベース45の内部は空洞でガス室になっており、充填ガスとして使用される窒素ガスのボンベが接続されており、ガス室を介して、それぞれのノズル口43a、43a、……から窒素ガスが噴射される。
【0026】
本体7の背面部7aの外面には、エアシリンダ47の本体47aが取付けられている。背面部7aの貫通穴7bを気密保持しながら通り抜けて、本体47aからピストンロッド47bが伸縮するようになっている。このピストンロッド47bの先端がノズルベース45の背面に固定されている。
エアシリンダ47は2つ並列して設けられており、ノズルベース45の背面に左右方向に間隔をあけて固定されている。
【0027】
上記のようにノズル移動機構49が構成されており、ノズルベース45と一体となってガス噴射ノズル43、43、……が前後方向に進退移動自在になっている。なお、エアシリンダ47はロック解除するとフリー状態になり、手動でノズルベース45と共にガス噴射ノズル43を動かすことができる。
ガス噴射ノズル43は進行すると、袋のセット手段側に近づく。隣合う袋押え33、33どうしの間の隙間39にガス噴射ノズル43の進行軌道が位置しており、最大進行時には袋受け31まで接近する。
【0028】
取付部23の前面側には、上記したように、袋受け31が取付けられているが、凹面には直方体状のシールバー51が収容されている。このシールバー51の上面は取付部23から僅かに上方に突出しており、ラバーシート27の上面とほぼ面一になっている。従って、ガス噴射ノズル43の進行時には、下側の扁平面43bがシールバー51の上面の上方を通過することになるが接触はしない。
【0029】
扉13の上面には、エアシリンダ53の本体53aが取付けられている。扉13には貫通穴13a(図5)が形成されており、この貫通穴13aを気密保持しながら通り抜けて、本体53aからピストンロッド53bが伸縮するようになっている。このピストンロッド53bの先端に取付部54が固定されている。取付部54は取付部23と同様な構成になっており、プレス側となるシールバー55が取付けられている。エアシリンダ53は所定の間隔をあけて3つ設けられており、取付部54の上面に左右方向で所定の間隔をあけて固定されている。上記のようにプレス進退機構57が構成されている。
【0030】
シールバー55はシールバー51と対になる形状になっており、扉13が閉じても、シールバー55の下面がシールバー51の上面に対向するが間隔があいており、ガス噴射ノズル43が進退移動可能になっている。
なお、ガス噴射ノズル43と共にノズルベース45も進退移動するが、最大進行時でも、ノズルベース45の前面は取付部23よりも後側に位置しており、ガス噴射ノズル43の進行に支障はない。
【0031】
シールバー55とシールバー51にはそれぞれ通電により発熱するヒータ(図示省略)が備えられており、プレス進退機構57の動作により、シールバー55がシールバー51に対して最接近してその間に袋を挟み込むと、シールバー51はシールバー55との協働により、その挟み込んだ袋の袋口のシールが可能になる。
【0032】
本体7の背面部7aには、上記したようにガス噴射ノズル43に連なる貫通穴7bが2つ左右方向に間隔をあけて形成されているが、中心には別の貫通穴7cが形成されている。この貫通穴7cはスルーバルブ(大気開放)を介して真空ポンプに配管接続されている。
【0033】
チャンバ式ガス充填包装装置1は上記のように構成されており、各部の動作を、被包装物として花かつおFを収容した熱溶着可能なビニール製の袋Pに窒素ガスを充填するガス充填包装作業と絡めて、図8にしたがって説明する。
【0034】
(袋セット)
扉13を開き、袋押え33を取り外した状態で、ガス噴射ノズル43は手動により最大進行させて前方に押出しておく。
その状態で、図5に示すように、ガス噴射ノズル43のノズル口43a側を袋Pの袋口P1から差込みながら、袋口P1側を袋受け31とシールバー51の上面に載せる。袋口P1はシールバー51の後縁よりも僅かにはみ出した位置までもってくる。また、ガス噴射ノズル43は、袋Pの左右方向のほぼ中間にくるように調整する。
【0035】
袋Pは角形平袋で構成されており、対向する一対の袋面の一方が袋受け31とシールバー51の上面に当接するように、載置プレート21上に寝かせた状態で載せる。載置プレート21は傾斜しているので、袋Pはブラケット25の横面部25bと縦面部25cの角部から下方に半吊下げ状態になっており、自重により袋Pに収容された花かつおFは開口Kから間隔をおいて溜まっている。
【0036】
次に、袋押え33、33、……側のシャフト35を本体7の内部に装着する。袋受け31の上には既に袋Pの袋口P1側が載せられているので、この装着により袋押え33の自重により袋口P1側の一対の袋面が重ね合され軽く挟み込まれて仮閉じされる。その際に、隣り合う袋押え33、33により、袋口P1の左右両端から中間までは、袋押え33と袋受け31との間で挟み込まれるが-、中間は隙間39に位置しているので、仮閉じされずに開口している。このように、袋のセット手段は袋口P1の本来の開口の一部を一時的に閉じて狭める開口狭め手段も兼ねている。
【0037】
袋口P1側から差し込まれたガス充填ノズル43のノズル口43aに近接しているので、開口Kは上下方向に押し広げられている。図6に示すように、ノズル口43a側は扁平面43b、43bになっているので、開口Kも小さな扁平状になっている。袋Pの内部は、この開口Kを介して、真空チャンバ5の内部と連通する。
【0038】
ガス噴射ノズル43のノズル移動機構49を作動可能状態に戻した上で、扉13を手動で閉じると、以降は制御部の制御により各部を動作させる。先ず、扉開閉機構19により扉13が完全に閉じられ、真空チャンバ5が閉じられる。閉じられた真空チャンバ5の内部雰囲気は大気圧になっている。
また、袋セットが完了する。図7に示すように、プレス部41の押圧面41aが袋押え33を袋受け31側に対して押さえ付け、ラバーシート27に対して袋Pを挟込みながら円筒37が弾性的に圧接するので、仮閉じ状態が安定化する。
真空チャンバ5内には、袋押え33、33、……が複数備えられており、袋Pを複数同時にセットできる。
【0039】
(真空引き)
スルーバルブを連通させると共に真空ポンプを作動させて、真空チャンバ5内の空気を吸引する。袋Pの内部も開口Kを介して連通しているので、袋Pの内部からも空気が吸引される。
但し、袋Pの内部の空気の抜け道が狭められた開口Kになっているので、袋Pの外側が優先的に吸引され、遅れて袋Pの内部が吸引される。最終的な真空度は袋Pの内外でほぼ同じになるが、この遅れにより、袋Pの外側が内部よりも先んじて低圧になるので、袋Pが膨張し、その膨張状態のまま所定の真空度に到達して真空引きが終了する。
【0040】
真空引き時は、プレス部41で袋押え33が強固に拘束されているので、袋押え33の浮き上がりが阻止されている。また、ラバーシート27、27の間には溝29があるので、袋Pの膨張による袋抜けが阻止されている。
なお、真空引きの際には作業効率を考慮して、ある程度の吸引速度で実施しており、その吸引速度で吸引されると、花かつおKは普通は壊れるが、袋P内は結果的にソフトな吸引になるので、壊れることなく、形を保つことが可能になっている。
【0041】
(ガス充填)
真空ポンプを停止させると共にスルーバルブを閉じて真空引きを終了させた後、窒素ボンベ側の弁を開いて、ガス充填ノズル43のノズル口43aから、窒素ガスを袋Pの内部に吹き込む。ノズル口43aが袋口P1から袋P内に入り込んでおり、吹込み前方には開口Kが近接しているので、窒素ガスは優先的に袋P内に入り込んでいく。
作業効率を考慮して、ある程度の吹込み速度で実施しているが、袋Pは膨張されて容量が大きくなっており、窒素ガスは花かつおFの舞い上がりを抑えながら、袋Pの隅々まで回り込んでいく。
【0042】
図9に示すように、袋Pの内部では、吹き込まれた窒素ガスは太矢印に示すように左右方向に分かれて旋回する気流が形成されている。吹き込みが進行すると、窒素ガスは開口Kから破線矢印に示すように徐々に少しずつ漏れ出ていくが、この気流は強力であり、花かつおFが少量舞い上がっても、開口Kを通り抜けることはできない。
窒素ガスの吹込みが終了しても、袋Pの内部の圧力が外の圧力よりも高くなっているので、袋Pは膨張したままになっている。
【0043】
(袋口シール)
弁を閉じて窒素ガスの吹込みを終了させた後、ガス噴射ノズル43を後退させて、代わってシールバー55を下げて、シールバー51との間に袋口P1側を挟み込んで、熱溶着によりシールする。これにより袋Pはシール部Sにより窒素ガスが充填した状態で密封される。
【0044】
(袋の取出し)
この後に、シールバー55を上げ、更に、スルーバルブを閉じて大気開放させ、真空チャンバ5内の圧力を大気圧まで戻す。これにより、扉13が開くようになり、扉開閉機構19によりある程度開いた後は、手動可能状態になり、手動で大きく開き、袋押え33を脱着させて、袋Pを取出す。
これで一連のガス充填包装作業が終了する。
【0045】
上記したように、チャンバ式ガス充填包装装置1の特徴的な構成により、袋口P1の一部を閉じて袋口P1よりも狭められた開口Kにし、真空引きの際に袋Pを膨張させてその後のガス充填動作に移すことが可能になっており、その後のガス充填の際には膨張した袋P内へのガス吹込みになることで現実的なガス吹込み速度を採用しても花かつおFの舞い上がりを効果的に阻止できる。従って、花かつおFを包装する場合であっても、チャンバ式でのガス置換度を高くできるメリットをそのまま享受できる。
【0046】
開口Kの面積は袋Pのサイズ、収容する花かつおFの量、真空引きの吸引速度等を考慮して最適に設定されている。
従って、他のものを充填する場合には、その都度設定することになるが、ガス噴射ノズル43が扁平になっているので、袋口P1を閉じ易く、開口Kの開口面積を調整し易い。
【0047】
実際の作業で得られた袋は、図10に示すようになっており、花かつおも壊れていない。また、最終的にシールされた袋は膨張しているので、花かつおのクッション材としての機能も果たす。
また、図11は抹茶を封入したものが示されている。
【0048】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、上記の本実施の形態に係るチャンバ式ガス充填包装装置1は花かつおFを手作業で収容した袋Pをセットする、所謂「手動機」になっているが、機械の中で袋を開口して原料を中に入れながら真空にし、更にその後に不活性ガスを充填する、所謂「自動機」でも、本発明は適用可能である。
また、被包装物は本発明のガス充填包装装置でガス充填できるものであれば特に限定されないが、花かつおや抹茶等の粉に代表される、ガスの流動により舞い上がり易い性状の集合物であれば、装置的特性が最も生かされる装置の使い方になる。
【符号の説明】
【0049】
1…チャンバ式ガス充填包装装置 3…機台
5…真空チャンバ 7…本体 7a…背面部
7b…貫通穴 7c…貫通穴 9…溝
11…Oリング 13…扉 13a…貫通穴
15…アーム 17…エアシリンダ 17a…本体
17b…ピストンロッド 19…扉開閉機構 20…取っ手
21…載置プレート 23…取付部 25…ブラケット
25a…縦面部 25b…横面部 25c…縦面部
27…ラバーシート 29…溝 31…袋受け
33…袋押え 35…シャフト 37…円筒
37a…貫通穴 39…隙間 40…ガイド部
41…プレス部 41a…押圧面 43…ガス噴射ノズル
43a…ノズル口 43b…扁平面 45…ノズルベース
47…エアシリンダ 47a…本体 47b…ピストンロッド
49…ノズル移動機構 51…シールバー 53…エアシリンダ
53a…本体 53b…ピストンロッド 54…取付部
55…シールバー 57…プレス進退機構
K…開口 P…袋 P1…袋口 F…花かつお S…シール部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11